説明

スキャニングビームデバイスにおける温度調節

スキャニングビームデバイスについて開示する。1つの態様では、装置が、透明部分を有するハウジングを含むことができる。ハウジングにスキャニング光学素子を封入することができる。スキャニング光学素子とハウジングの透明部分との間に光を導くことができる。デバイスは、ハウジング内の温度を調節するための温度調節デバイスを含むことができる。温度の調節を制御するためのベースステーションとして、このような装置を使用する方法も開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、スキャニングビームデバイスに関する。特に、本発明の実施形態は、スキャニングビームデバイスにおける温度調節に関する。
【背景技術】
【0002】
スキャニングビームデバイスは当業でよく知られている。様々な例示的なスキャニングビームデバイスが、少なくとも以下の参考文献に開示されている。
米国特許出願第20060138238号公報(Johnston他)
米国特許出願第20060072843号公報(Johnston)
米国特許出願第20060072874号公報(Johnston)
米国特許出願第20020064341号公報(Fauver他)
米国特許第6,563,105号(Siebel他)
米国特許第6,975,898号(Siebel)
米国特許第6,294,775号(Siebel他)
Siebel他著、「フルカラースキャニングファイバ内視鏡」、I.Gannot編、国際光工学会会報第6083巻9〜16頁(2006年)、医学的診断と治療に適用するための光ファイバ及びセンサ
【0003】
これらはほんのわずかな例である。スキャニングビームデバイスのその他の例については、特許及び一般の文献に記載がある。
【0004】
スキャニングビームデバイスの1つの種類に、スキャニングファイバデバイスがある。スキャニングファイバデバイスは、画像を作成するための走査パターンにおいて、1次元又は2次元で振動及び走査させることができる単一の片持ち状の光ファイバを含むことができる。
【0005】
画像を作成するステップは、目標領域の画像を取得するステップ、及び/又は目標領域に画像を表示するステップを含むことができる。目標領域の画像を取得する際、スキャニングファイバデバイスは、レンズシステムを通じて、及び走査パターン内の目標領域全体にわたって照明スポットを走査することができる。例えば光センサによって、後方散乱光を時系列で捕捉することができる。目標領域に画像を表示又は形成する際、目標領域に所望の画像を形成するために、光ファイバの端部から放射された光を走査パターン中に画素の位置に応じて調整することができる。
【0006】
画像の作成時には、ありとあらゆる走査点に関して光ファイバの位置を正確に知ることが一般に望ましい。位置が不正確だと、作成した画像に歪みが生じる傾向にある可能性がある。光ファイバの走査に使用する駆動信号を知ることにより、走査パターン中に個々のピクセル点に関して照明スポットの位置を予測できるようになる可能性がある。
【0007】
しかし実際には、環境変数、製造変数、スキャニングファイバデバイスの共振周波数付近での感度、及び/又はその他の要因により、このような予測の精度が制限される傾向にある可能性がある。必要に応じて、米国特許出願第20060138238号公報(Johnston その他)に記載されているような較正及び再マッピングを行って、このような要因のいくつかに起因する画像の歪みを低減させるのに役立てることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願公開第20060138238号公報
【特許文献2】米国特許出願公開第20060072843号公報
【特許文献3】米国特許出願公開第20060072874号公報
【特許文献4】米国特許出願公開第20020064341号公報
【特許文献5】米国特許第6,563,105号公報
【特許文献6】米国特許第6,975,898号公報
【特許文献7】米国特許第6,294,775号公報
【特許文献8】米国特許第5,212,466号公報
【特許文献9】国際公開第WO/2003/019578号公報
【特許文献10】国際公開第WO/2002/047093号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Siebel他著、「フルカラースキャニングファイバ内視鏡」、I.Gannot編、国際光工学会会報第6083巻9〜16頁(2006年)、医学的診断と治療に適用するための光ファイバ及びセンサ
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、この較正及び再マッピングによる方法は、使用中に急激に変化し及び/又は多くの異なる値を取ることができる環境変数に対しては完全なものではない。従って、例えばスキャニングファイバデバイスなどのスキャニングビームデバイスにより作成又は取得した画像において、環境変数に起因する画像の歪みを低減するのに役立つことができる方法、装置、システム及びキットの利点が存在し得る。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の実施形態の例示に使用する以下の説明及び添付図面を参照することにより、本発明を最も良く理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態による、温度調節デバイスを有する例示的なスキャニングビームデバイスのブロック図である。
【図2A】本発明の1又はそれ以上の実施形態による、第1の例示的なスキャニングビームデバイスのブロック図である。
【図2B】本発明の1又はそれ以上の実施形態による、第2の例示的なスキャニングビームデバイスのブロック図である。
【図3A】本発明の1又はそれ以上の実施形態による、コイル抵抗ヒータの斜視図である。
【図3B】本発明の1又はそれ以上の実施形態による、中心又は中心方向よりも、端部又は端部方向における単位長さ当たりの巻線又はその他のループの数の方が多いコイル抵抗ヒータの斜視図である。
【図3C】本発明の1又はそれ以上の第1の実施形態による、第1の方法を使用して反対方向に電流を流すために、隣接するループ又はコイルを結合した例示的なコイル抵抗ヒータの斜視図である。
【図3D】本発明の1又はそれ以上の第2の実施形態による、第2の方法を使用して反対方向に電流を流すために、隣接するループ又はコイルを結合したコイル抵抗ヒータの斜視図である。
【図3E】本発明の1又はそれ以上の実施形態による、薄膜抵抗ヒータの平面図である。
【図3F】本発明の1又はそれ以上の実施形態による、自己調整型抵抗ヒータのブロック図である。
【図4】本発明の1又はそれ以上の実施形態による、温度調節デバイスとセンサデバイスとを有するスキャニングビームデバイスのブロック図である。
【図5】本発明の1又はそれ以上の実施形態による、スキャニングビームデバイスが行う方法のブロックフロー図である。
【図6】本発明の1又はそれ以上の実施形態による、温度制御システムのブロック図である。
【図7】本発明の1又はそれ以上の実施形態による、スキャニング光学素子を有する、内視鏡などのスキャニングビーム画像取得デバイス用のベースステーションのブロック図である。
【図8】本発明の1又はそれ以上の実施形態による、スキャニングビーム画像取得デバイスの詳細例の垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の説明では、数多くの具体的な詳細について説明する。しかしながら、これらの具体的な詳細を伴わずに本発明の実施形態を実施できることを理解されたい。その他の例では、この説明を曖昧に理解しないように、公知の回路、構造及び技術については詳細に示していない。
【0014】
温度は、スキャニングビームデバイスの動作に影響を及ぼす可能性がある1つの環境変数である。これについて考慮しなければ、温度変化がデバイスのスキャニング光学素子の位置の不正確さを増大させる傾向にある可能性がある。限定的な意味ではないが、このことは、少なくとも部分的に、スキャニング光学素子の動きに関連する材料の特性に対する温度変化の影響によるものである可能性がある。このような位置の不正確さは、スキャニングビームデバイスを使用して作成する画像に歪みを加える傾向にある可能性があり、一般に望ましくない。
【0015】
図1は、本発明の実施形態による、温度調節デバイス108を有する例示的なスキャニングビームデバイス100のブロック図である。本発明の様々な実施形態では、スキャニングビームデバイスは、内視鏡、スキャニングファイバ内視鏡、カテーテル、気管支鏡、ファイバスコープ、顕微鏡、ボロスコープ、バーコードリーダ、画像ディスプレイ、スキャニングファイバディスプレイ、或いは当業で公知のその他の画像取得デバイス及び/又は画像表示デバイスの形をとることができる。
【0016】
スキャニングビームデバイスはハウジング102を含む。このハウジングは、筐体の材料又はデバイスに相当するものであってもよい。ハウジングは、スキャニングビームデバイスがとる特定の形状に応じて大幅に変化する可能性があるため、本発明の範囲は、ハウジングのサイズ及び形状に特に限定されることはない。例えば、内視鏡、カテーテル又は同様のデバイスの場合などのいくつかの実施構成では、ハウジングは、例えばデバイスの患者への挿入を容易にするために比較的小型になる可能性がある。しかしながら、別の実施構成では、このような必要性がない可能性もある。例えば、デバイスが患者に挿入される場合などのいくつかの実施構成ではハウジングを密閉することができるが、別の実施構成ではこの密閉は必要とされない。
【0017】
ハウジングは透明部分106を有する。この透明部分は、この部分を通して一方向又は両方向に導かれる少なくともいくつかの光に対して透明である。本発明の1又はそれ以上の実施形態では、この透明部分は、1又はそれ以上のレンズ(例えばレンズシステム)を任意に含むことができるが、これは必須ではない。別の選択肢として、本発明の1又はそれ以上の実施形態では、透明部分は、レンズ以外の単純なウィンドウ又はその他の透明材料を任意に含むことができる。スキャニング光学素子104へ、及び/又はこの素子から導かれる光の光路内に透明部分を配置又は位置付けすることができる。図示の実施形態に示すように、透明部分をデバイスの端部又は端部方向に任意に配置することができる。或いは、ハウジングの側面又はその他の場所に透明部分を配置してもよい。
【0018】
スキャニング光学素子104はハウジング内に封入される。説明を明確にするために、「スキャニングビームデバイス」、「スキャニング光学素子」並びに同様のデバイス又は装置における「スキャニング」という用語は、必ずしもデバイス又は装置が使用中であること、或いは現在スキャニング処理中であることを意味するものではない。むしろ、「スキャニング」という用語は、デバイス又は装置がスキャニングを行うことができるということを意味するものであるにすぎない。
【0019】
スキャニング光学素子は、例えば、導波管、鏡又はレンズなどの光学素子を含むことができ、このスキャニング光学素子を画像の取得及び/又は表示のために走査し、或いは別様に動かすことができる。スキャニング光学素子は、光又は光学信号110及び電気信号112を受信して、光学素子の動きを制御することができる。スキャニング光学素子は、目標面の異なる部分にわたって光ビームを走査し又は動かし、及び/又は目標面の異なる部分から光を取得することができる。光は光ビームの形をとることができ、ビームは平行であっても、或いは平行な光線を有していてもよいが、その必要はない。図示のように、スキャニング光学素子とハウジングの透明部分との間で、光114を一方向又は両方向に導くことができる。
【0020】
従って、スキャニング光学素子は動くことができる。上述したように、温度は、スキャニング光学素子の動きに関連する材料の特性に潜在的に影響を及ぼす可能性がある。これらの特性の変化は、スキャニング光学素子が所定の駆動信号又は作動に対してどのように動くかに影響を及ぼす可能性がある。このことは、スキャニング光学素子の位置の正確な予測を妨げる傾向にある可能性があり、スキャニングビームデバイスを使用して作成した画像の歪みを引き起こす可能性がある。
【0021】
さらには、いくつかの例示的な異なる種類の適当なスキャニング光学素子と、これらの動作及び/又は画質が温度によって潜在的に影響を受ける可能性があるような様々な方法とを検討することは有用である可能性がある。
【0022】
図2Aは、本発明の1又はそれ以上の実施形態による、第1の例示的なスキャニングビームデバイス200Aのブロック図である。このスキャニングビームデバイスは、第1の種類のスキャニング光学素子204Aを含む。具体的には、このスキャニング光学素子は、ハウジング202Aに封入された光ファイバ、微小電気機械系(MEMS)光導波管、微小光導波管又はその他の光導波管218の単一の片持ち状の自由端部216又は遠位端と、この自由端部を動かすように構成されたアクチュエータ220Aとを含む。
【0023】
光導波管は拘束部分222を有する。図示のように、1又はそれ以上の実施形態では、アクチュエータは拘束部分と結合することができるが、これは必須ではない。本発明の1又はそれ以上の実施形態では、任意で接着剤224を使用して拘束部分をアクチュエータ又は別のアンカに拘束、接着、又は結合することができるが、これは必須ではない。
【0024】
説明及び特許請求の範囲では、「結合した」及び「接続した」という用語をこれらの派生語とともに使用する。これらの用語は、互いに同義語であることを意図されたものではない。むしろ、「接続した」は、2又はそれ以上の要素が互いに直接物理的に、或いは電気的に接触していることを示すために使用することができる。「結合した」は、2又はそれ以上の要素が直接物理的に、或いは電気的に接触していることを意味することができる。しかしながら、「結合した」はまた、2又はそれ以上の要素が互いに直接接触してはいないが、まだ互いに物理的、電気的又は光学的に協同又は相互作用していることを意味することもできる。例えば、光導波管とアクチュエータとの間に直接的な接触がなくても、介在する接着剤を通じて、光導波管の拘束部分をアクチュエータと結合させることができる。
【0025】
アクチュエータは、例えば電気制御信号などの入力信号212Aに応答して自由端部を動かすための変換器、或いはその他の材料又はデバイスを含むことができる。本発明の1又はそれ以上の実施形態では、アクチュエータに含まれる圧電チューブを介して拘束部分を挿入することができるが、本発明の範囲はこのように限定されるものではない。その他の適当なアクチュエータとしては、以下に限定されるわけではないが、その他の電気機械変換器、微小電気機械系(MEMS)、電磁材料又はデバイス、静電型変換器、電気音響変換器、電気活性ポリマー(EAP)材料、及び当業で公知のその他のアクチュエータが含まれる。本発明の範囲は、いずれの既知の種類のアクチュエータにも限定されるものではない。
【0026】
光導波管の自由端部は、アクチュエータにより少なくとも1次元的に自由に共振し、或いは別様に動く。矢印を使用して、自由端部がどのように動くことができるかを示している。点線を使用して、光導波管の自由端部が動いた結果、交互に到達する可能性のある位置を示している。1つの態様では、光導波管は、ハウジングの透明部分206Aの異なる領域に光214Aを提供し、及び/又はこの領域から光214Aを取得するために走査パターンに従って共振し、或いは別様に動くことができる。適当な走査パターンは、以下に限定されるわけではないが、楕円、円、螺旋、プロペラパターン及びこれらの組合せなどの放射状の走査パターンと、ラスター走査パターン、リサジュー走査パターン及びこれらの組合せなどの非放射状の走査パターンとを含む。これらの走査パターンは、1次元又は2次元であってもよい。
【0027】
光導波管の自由端部は、例えば、温度とともに変化する可能性のある弾性及び/又は可撓性などの1又はそれ以上の機械的特性を潜在的に有するものであってもよい。同様に、接着剤(存在する場合)は、例えば、温度とともに変化する可能性のある弾性及び/又は硬度などの1又はそれ以上の機械的特性を潜在的に有するものであってもよい。いくつかの作動機構もまた、潜在的に温度とともに変化するものであってもよい。このような変化は、所定の駆動信号及び/又は加えられる力の量に対して光導波管がどのように動くかに影響を及ぼす傾向にある可能性がある。共振時に、光導波管の自由端部の動きは、比較的このような変化に反応する可能性がある。これについて考慮しなければ、これにより位置の不正確さが増大する傾向にある可能性があり、この結果、画像の歪みが増大する傾向にある可能性がある。
【0028】
図2Bは、本発明の1又はそれ以上の実施形態による、第2の例示的なスキャニングビームデバイス200Bのブロック図である。このスキャニングビームデバイスは、第2の種類のスキャニング光学素子204Bを含む。詳細には、このスキャニング光学素子は、鏡又はその他の反射デバイス226と、この反射デバイスを動かすための微小電気機械系(MEMS)又はその他のアクチュエータ220Bとを含む。
【0029】
ハウジングは透明部分206Bを有する。図示のように、この透明部分をハウジングの側面又はその他の場所に配置することができる。第1の光214Bを、反射デバイスと透明部分との間で一方向又は両方向に導くことができる。同様に、第2の光215を、反射デバイスと、ハウジング外部の導波管又はその他の透明媒体210との間で一方向又は両方向に導くことができる。
【0030】
アクチュエータは、温度とともに変化する可能性のある、例えば弾性及び/又は可撓性などの1又はそれ以上の機械的特性を潜在的に有することができる。このような変化は、反射デバイスがどのように動くかに影響を及ぼす傾向にある可能性がある。これについて考慮しなければ、これにより、走査中の位置の不正確さが増大する傾向にある可能性があり、この結果、画像の歪みが増大する傾向にある可能性がある。
【0031】
別のスキャニング光学素子について企図する。例えば、別のスキャニング光学素子は、MEMS又はその他のアクチュエータにより動かすことができるレンズ又はその他の焦点調整デバイスを含むことができる。その他の例として、スキャニング光学素子は、検流計、互いに動く複数の光学素子など、及びこれらの組合せを含むことができる。さらに別の適当なスキャニング光学素子は、当業で公知のものであり、及び/又は当業者にとって明らかでありかつ本開示の利点を有するものとなる。様々なこのような異なる種類のスキャニング光学素子では、スキャニング光学素子の動きに関連する1又はそれ以上の材料の1又はそれ以上の特性が温度とともに潜在的に変化する可能性がある。
【0032】
再び図1を参照してわかるように、スキャニングビームデバイスは温度調節デバイス108を含む。この温度調節デバイスは、温度調節デバイスの動作を指定又は制御することができる、例えばコントローラなどの別の構成要素から電気信号109を受信することができる。同様に、図2A〜図2Bのスキャニングビームデバイスは、電気信号209A、209Bを受信する温度調節デバイス208A、208Bを含む。
【0033】
温度調節デバイスは、電気信号に基づいてそれぞれのハウジング内の温度を調節し、或いは別様にそれぞれのスキャニング光学素子の温度を調節することができる。本発明の1又はそれ以上の実施形態では、この温度の調節を使用して、ハウジング内の温度をほぼ一定に調整又は保持し、位置の不正確さ及び/又は画像の歪みを低減することができるが、本発明の範囲はこの点に限定されるものではない。例えば、本発明の様々なその他の実施形態では、温度調節を行って、位置の不正確さ及び/又は画像の歪みが低減されるかどうかにかかわらず、(例えば低温環境で使用できるようにするための)加熱、(例えば高温環境で使用できるようにするための)冷却、又は曇りの除去を行うことができる。
【0034】
以下、異なる種類の温度調節デバイスについて説明する。
【0035】
本発明の1又はそれ以上の実施形態では、温度調節デバイスはヒータを含むことができる。このヒータは、熱を発生させることによりハウジング内の温度を上昇させ、或いは別様にスキャニング光学素子の温度を上昇させることができる。使用できる1つの種類のヒータに電気抵抗ヒータがあるが、本発明の範囲はこれに限定されるものではない。電気抵抗ヒータは、電気抵抗を通じて電気エネルギを熱に変換することができる。適当な電気抵抗ヒータの例として、以下に限定されるわけではないが、コイル抵抗ヒータ、薄膜抵抗ヒータ、カートリッジ抵抗ヒータ、正の温度係数(PCT)抵抗ヒータ、当業で公知のその他の抵抗ヒータ、及びこれらの組合せが含まれる。適当なコイル抵抗ヒータの例として、以下に限定されるわけではないが、抵抗金属コイル抵抗ヒータ、巻線抵抗ヒータ、巻線型薄膜コイル抵抗ヒータ、巻線型テープコイル抵抗ヒータ、当業で公知のその他のコイル抵抗ヒータ、及びこれらの組合せが含まれる。或いは、当業で公知のその他の種類のヒータを任意に使用することができる。
【0036】
図3Aは、本発明の1又はそれ以上の実施形態による、コイル抵抗ヒータ308Aの斜視図である。このコイル抵抗ヒータは、大まかに螺旋形のいくつかの巻線又はその他のループを含む。図示のヒータは約4つのループを含むが、別のヒータはそれよりも少ない又は多くのループ、及びさらに多くのループを任意に含むことができる。本発明の1又はそれ以上の実施形態では、シリンダの周りに抵抗ワイヤ又はその他の抵抗材料を巻きつけることによりコイル抵抗ヒータを形成することができるが、これは必須ではない。適当な抵抗ワイヤとして、限定的な意味ではないが、様々な異なる合金及び組成のニッケル−クロム抵抗ワイヤが含まれる。
【0037】
動作中、このようなコイル抵抗ヒータの端部における温度は、中心部における温度よりもわずかに低い傾向にある可能性がある。端部におけるループは、中心におけるループよりも、コイルの端部における空気のような大量のより冷たい空気により多く触れることができる。これにより、端部におけるループにより大きな温度勾配が生じる可能性があり、この結果、端部におけるループからより速く熱放出が行われる可能性がある。このため、コイルの端部では、コイルの中心方向よりもわずかに温度が低くなる可能性がある。場合によっては、このような端部におけるより低い温度は望ましくないことがある。例えば、スキャニングファイバデバイスの光ファイバの長さがコイルの長さに収まるという特定の例では、光ファイバの長さに沿って異なる温度が生じる可能性があり、この結果、光ファイバの動きがかなり複雑な方法で影響される傾向にある可能性がある。従って、場合によっては、コイル抵抗ヒータの端部と中心との間の温度差を除去し、或いは少なくとも低減させることが望ましい場合がある。
【0038】
図3Bは、本発明の1又はそれ以上の実施形態による、中心又は中心方向よりも、端部又は端部方向における単位長さ当たりの巻線又はその他のループの数の方が多いコイル抵抗ヒータ308Bの斜視図である。図示の実施形態では、中心領域のループ間の間隔と比較して、端部領域のループ間の間隔の方が減少している。しかしながら、巻線又はその他のループの単位長さ当たりの相対数を増加させる別の方法が存在する。例えば、巻線又はループを互いの上に巻き付け、或いは積層することができる。この方法は、きつく巻いたコイルの場合に有効に機能することができる。中心又は中心方向と比較して、端部又は端部方向における単位長さ当たりの巻線又はループの数を増加させることにより、中心又は中心方向における温度に対する端部又は端部方向における温度の上昇に役立てることができる。1つの態様では、端部方向及び中心方向の単位長さ当たりのループの相対数を、ヒータの長さに沿ってほぼ均一の温度がもたらされるように選択することができるが、これは必須ではない。例えば、コイル抵抗ヒータに沿った温度変化は、約2℃未満だけ、或いは実施構成に適した別の値だけ変化することができる。
【0039】
コイル抵抗ヒータ内を流れる電流が、磁界を発生させる可能性がある。このような磁界はしばしば望ましくない場合がある。例えば、このような磁界は、スキャニングビームデバイスが、磁気共鳴画像法(MRI)、磁気共鳴断層撮影法(MRT)、核磁気共鳴(NMR)などに使用される場合、望ましくない可能性がある。場合によっては、近くにある他の回路又はデバイスの動作に磁界が干渉する場合、このような磁界は望ましくない可能性がある。従って、場合によっては、コイル抵抗ヒータによって発生した磁界を除去し、或いは少なくとも低減させることが望ましい可能性がある。
【0040】
図3Cは、本発明の1又はそれ以上の第1の実施形態による、第1の方法を使用して反対方向に電流を流すために、隣接するループ又はコイル328C、330Cを結合した例示的なコイル抵抗ヒータ308Cの斜視図である。コイル抵抗ヒータはバイファイラコイルを含む。バイファイラコイルは、2つの隣接する狭い間隔の平行なコイル328C、330Cを含むことができ、これらのコイルは、いくつかの対応する隣接する狭い間隔の平行なループを有する。一例として、バイファイラコイルはワイヤ又はその他の抵抗材料から形成され、これらの材料自体を折り重ね、或いは別様に折り返し、その後巻き付け又は別の方法でバイファイラコイルを形成することができる。バイファイラコイルの右側端部に、折り曲げ点又は「折り返し点」332を示す。隣接するループ又はコイルを電気的に結合させて、反対方向に電流を流すことができる。詳細には、ワイヤの左側端部の一方を電流源と結合させ、ワイヤの端部の他方を電流シンクと結合させることができる。電流は、電流源からバイファイラコイルの第1のコイルを通って折り曲げ点又は折り返し点へと第1の方向に流れ、バイファイラコイルの第2のコイルを通って電流シンクへと第2の反対方向に逆流することができる。矢印は、電流がバイファイラコイルの隣接するループ又はコイルを通って反対方向に流れることができることを示している。図示のように、ワイヤの両端部はヒータの同じ側(図示の実施形態では左側)に位置している。特にヒータが小型で、小型のハウジング内に配置される場合、ワイヤの両端部を同じ側に有することにより、端部への電気接続を容易にすることができる。
【0041】
小径のワイヤ及び/又は延性が不十分な材料などの場合、折り曲げ又は折り返しにより、破損が起きやすい可能性がある。本発明の1又はそれ以上の実施形態では、2つの別個のワイヤを各々巻き付けてコイルにし、次にヒータの同じ側に位置するワイヤの端部を半田付けし、或いは別様に電気的に結合又は接合して、折り曲げ点又は折り返し点と同等の物を形成することができる。これは破損の低減に役立つことができる。さらに、上述したように、ワイヤを折り曲げ、或いは巻き付けた際に破損が起こった場合、破損した端部を半田付けし、或いは別様に再接合することができる。
【0042】
図3Dは、本発明の1又はそれ以上の第2の実施形態による、第2の方法を使用して反対方向に電流を流すために、隣接するループ又はコイル328D、330Dを結合したコイル抵抗ヒータ308Dの斜視図である。前述と同様に、コイル抵抗ヒータは、2つの隣接する狭い間隔の平行なコイル328C、330Cを含み、これらのコイルは、いくつかの対応する隣接する狭い間隔の平行なループを有する。しかしながら、このバイファイラコイルでは、コイルは互いに電気的に接続されていない。すなわち、折り曲げ点又は折り返し点は存在しない。正確には、2つの別個のより線又はその他の抵抗材料を巻き付け、或いは別様にバイファイラコイルを形成する。この場合も、隣接するループ又はコイルを電気的に結合させて、反対方向に電流を流すことができる。詳細には、第1のコイルの左端部を電流源と電気的に結合させ、第1のコイルの右端部を電流シンクと電気的に結合させることができる。続いて、第2のコイルの右端部を電流源と電気的に結合させ、第2のコイルの左端部を電流シンクと電気的に結合させることができる。矢印は、電流がバイファイラコイルの隣接するループ又はコイルを通って反対方向に流れることができることを示している。
【0043】
隣接するループ又はコイルを結合させて電流を反対方向に流すさらに別の企図される方法は、2層のワイヤ又はその他の抵抗材料を巻き付け、或いは別様に形成するステップを含み、各層は異なる方向に、任意にほぼ等しい巻数だけ巻き付けられる。これらはほんのわずかな説明例であるにすぎない。
【0044】
そのような電気抵抗コイルでは、一方のコイルのループにおいて一方向に流れる電流により発生した磁界は、他方のコイルのループにおいて反対方向に流れる電流により発生した磁界とほぼ同等かつ逆向きであることができる。このようなほぼ同等かつ逆向きの磁界は、打ち消し合い、或いは相殺する傾向にある可能性がある。例示のヒータの場合のように、隣接する対応するループの数が各方向においてほぼ等しい場合、結果として、約ゼロの正味磁界を生じさせることができる。換言すれば、バイファイラコイルは、約ゼロの自己インダクタンスを有することができる。スキャニングビームデバイスが、磁気共鳴画像法(MRI)、磁気共鳴断層撮影法(MRT)、核磁気共鳴(NMR)などに使用される場合、或いは別の点で磁界が望ましくない場合、このような方法を使用して磁界を低減させることができる。
【0045】
図3Eは、本発明の1又はそれ以上の実施形態による、薄膜抵抗ヒータ308Eの平面図である。この薄膜抵抗ヒータは、いくつかのほぼ同一平面上にある、基板上に形成されたパターン化した抵抗層の蛇行した巻線を含む。このようなヒータは、任意で極めて小型にすることができる。一例として、本発明の1つの特定の実施形態では、このヒータをプラチナで作製し、約270マイクロメートル(μm)×270μmとし、約5μm幅のプラチナラインを有し、ライン間の間隔を約5μmとすることができる。このヒータはまた、他の形状及びサイズであってもよい。例えば、より蛇行した巻線又はより幅広の巻線を含めることにより、ヒータをいずれの方向にも拡張することができる。1つの態様では、光ファイバの自由端部の長さに沿ってヒータを拡張することができる。必要であれば、このようなヒータを並べて、或いは別様に複数個使用してさらなる加熱を行うことができる。1つの態様では、光ファイバの自由端部の長さに沿って並べることができる。本発明の1又はそれ以上の実施形態では、可撓性のある基板又は支持体上に薄膜抵抗ヒータを形成し、或いは薄膜抵抗ヒータを並べて、又は別様に複数個形成し、これを巻くか、或いは別の方法で円筒又はその他の非平面形状に形成することができる。
【0046】
図3Fは、本発明の1又はそれ以上の実施形態による、自己調整抵抗ヒータ308Fのブロック図である。この自己調整抵抗ヒータは、温度が上昇するとともに抵抗が増加する材料334を含む。
【0047】
温度が上昇するとともに抵抗が増加する1つの種類の材料に、正の温度係数(PCT)材料がある。「PTCサーミスタ及びその製造方法」と題する米国特許第5,212,466号公報に、例示的なPCT材料についての記載がある。「正の温度係数を有する導電性高分子、その正の温度係数特性を制御する方法及びそれを使用した電気デバイス」と題する特許文献第WO/2003/019578号に、別の例示的なPCT材料についての記載がある。「正の温度係数サーミスタ」と題する特許文献第WO/2002/047093号に、さらに別の例示的なPCT材料についての記載がある。その他のPCT材料の例は当業で公知である。
【0048】
所定の電圧(V)が抵抗ヒータを横切って印加される場合、抵抗ヒータを通じて流れる電流(I)と抵抗ヒータの抵抗(R)とは、方程式V=IRに従って反比例する。抵抗ヒータにより熱に変換される電力(P)は、P=I2Rに従って、2乗した電流(I)に抵抗(R)を乗算したものにほぼ等しい。従って、所定の電圧(V)が抵抗を横切る場合、温度の上昇に起因して抵抗(R)が増加すると、電流(I)は減少することになる。電流(I)は、発生する熱に対して2次(2乗)の効果を有し、抵抗(R)は、発生する熱に対して1次の効果のみを有するため、電流(I)が減少すると発生する熱が減少することになる。従って、より低い温度では、抵抗ヒータはより大きな熱を発生させるが、より高い温度では、抵抗ヒータは熱をあまり発生させないことになる。
【0049】
このヒータの自己調整特性を利用して、スキャニング光学素子の温度をほぼ一定の値へ向けて調整又は制御することができる。本発明の1又はそれ以上の実施形態では、専用の温度センサ及びフィードバック制御機構の代わりに、このような自己調整ヒータを使用することができる。さらに、必要であれば、このような材料を通って流れる電流を測定し、この測定した電流を使用して抵抗を予測し、この抵抗を使用して温度を予測し、この温度を温度調整又は制御のために使用することができる。或いは、以下でさらに説明するように、専用の温度センサデバイス及びフィードバック制御機構を任意に使用することもできる。
【0050】
いくつかの異なる種類のヒータを示し、説明してきたが、本発明の範囲はこれらの特定のヒータに限定されるものではない。さらに多くのヒータの例について企図する。例えば、図3C〜図3Dに示したようなバイファイラコイルは、例えば図3Bに示したように、中心又は中心方向よりも、1又はそれ以上の端部又は端部方向において、より数多くの単位長さ当たりの巻線又はその他のループを任意で有することができる。別の例として、コイル、バイファイラコイル又は薄膜抵抗ヒータに、温度とともに抵抗が増加するPCT材料又はその他の材料を使用することができる。さらに多くのヒータの例は、当業者にとって明らかでありかつ本開示の利点を有するものとなる。
【0051】
さらに別の選択肢として、本発明の1又はそれ以上の実施形態では、温度調節デバイスが冷却器を含むことができる。この冷却器はハウジング内の温度を低下させ、或いは熱を除去することにより、別様にスキャニング光学素子の温度を低下させることができる。適当な冷却器の例として、以下に限定されるわけではないが、ペルチェ素子、当業で公知のその他の熱電冷却素子、及びヒートパイプが含まれる。或いは、当業で公知の他の冷却器を任意に使用することもできる。
【0052】
本明細書で示し、説明した温度調節デバイスは、スキャニングビームデバイスがとる特定の形状に応じて、様々な異なるサイズ及び形状を有することができる。例えば、内視鏡、カテーテル又は患者に挿入される同様のデバイスの場合のようないくつかの実施構成では、ヒータは比較的小型であってもよい。しかしながら、その他の実施構成では、このような必要性はなくてもよい。例えば、表示デバイスの場合、このような小さいサイズの必要性はなくてもよい。
【0053】
図4は、本発明の1又はそれ以上の実施形態による、温度調節デバイス408とセンサデバイス436とを有するスキャニングビームデバイス400のブロック図である。センサデバイスは、スキャニングビームデバイスのハウジングに封入することができる。センサデバイスは、ハウジング内の状態を感知又は測定し、或いはスキャニングビームデバイスの状態を感知又は測定することができる。本発明の1又はそれ以上の実施形態では、感知した状態に基づいて温度調節デバイスを制御して、ハウジング内の温度を一定に保つことができる。
【0054】
本発明の1又はそれ以上の実施形態では、センサデバイスは、温度を感知又は測定する温度センサデバイスを含むことができる。適当な温度センサデバイスの例として、以下に限定されるわけではないが、熱電対、抵抗温度デバイス(RTD)及びサーミスタが含まれる。
【0055】
或いは、本発明の1又はそれ以上の実施形態では、センサデバイスは、圧力を感知又は測定する圧力センサデバイスを含むこともできる。密閉した一定の容積のハウジング内では、温度はハウジング内の圧力にほぼ正比例する。このような環境下で圧力を感知又は測定し、これを使用して、一定の比例定数に基づいて、対応する温度を予測することができる。適当な圧力センサの例として、以下に限定されるわけではないが、MEMS圧力センサ、圧電圧力センサ、当業で公知のその他の種類の圧力センサ及びこれらの組合せが含まれる。
【0056】
センサデバイス及び温度調節デバイスの各々を、コントローラなどの別の構成要素(図示せず)と電気的に結合させ、或いは別様に連通させることができる。センサデバイスは、感知した状態を別の構成要素に提供することができる。この別の構成要素は、感知した状態を使用して温度調節デバイスを制御することができる。
【0057】
図5は、本発明の1又はそれ以上の実施形態による、スキャニングビームデバイスが行う方法540のブロックフロー図である。
【0058】
この方法は、ブロック541において、スキャニング光学素子の状態を感知するステップを含む。本発明の1又はそれ以上の実施形態では、このステップは、スキャニング光学素子の温度を感知するステップ、例えば、スキャニング光学素子の周囲の大気温度を感知するステップを含むことができる。別の選択肢として、本発明の1又はそれ以上の実施形態では、このステップは、スキャニング光学素子を取り囲む密閉した一定容積のハウジングの圧力を感知するステップを含むことができる。
【0059】
この方法は、ブロック542において、感知した状態に応じてスキャニング光学素子の温度を調節するステップをさらに含む。本発明の1又はそれ以上の実施形態では、このステップは、スキャニング光学素子の温度を加熱により上昇させるステップを含むことができる。別の選択肢として、本発明の1又はそれ以上の実施形態では、スキャニング光学素子の温度を冷却により低下させることができる。本発明の1又はそれ以上の実施形態では、アルゴリズムを使用することにより、温度を調節する量を決定することができる。例えば、本発明の1又はそれ以上の実施形態では、温度調節の量を決定して、スキャニング光学素子の温度をほぼ一定の値に保つことができる。本明細書の他の箇所で説明したように、このことは、スキャニング光学素子を使用して作成する画像における歪みの低減に役立つことができる。
【0060】
本発明の1又はそれ以上の実施形態では、温度を調節するステップは、透明材料の温度を、スキャニング光学素子を配置した多湿又は湿潤な環境の温度以上の値に上昇させて、スキャニング光学素子を通して導かれる光の光路内における透明材料の曇り又は水分の蓄積を低減させるステップを含むことができる。例えば、患者の体内に配置される内視鏡又は同様のデバイスの場合、ほぼ体温(37℃)から体温よりも約10℃高い温度に及ぶ温度まで透明材料を加熱することができるが、本発明の範囲はこれに限定されるものではない。
【0061】
この方法はさらに、ブロック543において、スキャニング光学素子を使用して光を走査するステップを含む。本発明の1又はそれ以上の実施形態では、このステップは、単一の片持ち型の光ファイバ又はその他の光導波管を共振させ、或いは別様に動かすステップを含むことができる。別の選択肢として、本発明の1又はそれ以上の実施形態では、このステップは、鏡、レンズ又はその他の光学素子を動かすステップを含むことができる。スキャニング光学素子をほぼ一定の温度を有するように制御した場合、スキャニング光学素子を使用して表示又は取得した画像の歪みを低減できるという利点が得られる。
【0062】
上述の方法に関する多くの変形例について企図する。1つの態様では、この方法に動作を加え、及び/又はこの方法から動作を削除することができる。例えば、感知の動作を任意に省略することができる。別の態様では、任意に異なる順番で動作を行うことができる。例えば、感知及び/又は調節の前に走査を開始することができる。別の例として、状態が感知される前に温度調節を開始することができる。
【0063】
図6は、本発明の1又はそれ以上の実施形態による、温度制御システム646のブロック図である。この温度制御システムは、スキャニングビームデバイス600と温度コントローラ648とを含む。
【0064】
スキャニングビームデバイスは、周囲環境650においてハウジング602に封入されたスキャニング光学素子604を有する。スキャニングビームデバイスは、1つの考えられる種類のセンサに相当するサーミスタ636と、1つの考えられる種類の温度調節デバイスに相当するヒータ608とを含む。サーミスタ及びヒータの両方は、周囲環境において、スキャニング光学素子に近接してハウジングに封入される。
【0065】
温度コントローラは、スキャニングビームデバイスと電気的に結合している。詳細には、温度コントローラは、サーミスタに電流を供給するために結合された電流源652を含む。一般に、電流の量は、サーミスタによる著しい自己加熱を避けるように十分に小さい。電流は、一定又は可変のいずれであってもよい。例えば、サーミスタを横切る電圧降下(V)を測定するために電圧計又は電圧計回路などの電圧測定デバイス654が結合される。
【0066】
この測定した電圧降下(V)は、1又はそれ以上の関係656、657に入力として与えられる。一例として、図示の実施形態に示すように、電圧降下(V)が電圧−抵抗の関係656に入力として与えられる。電圧−抵抗の関係は、例えば、抵抗(R)は電圧(V)を電流(I)で除算したものに等しいという周知の関係を使用することにより、電圧降下(V)を抵抗(R)に変換することができる。図示の実施形態にさらに示すように、この抵抗(R)を抵抗−温度の関係657に入力として与えることができる。所定のサーミスタでは、抵抗は、変化する温度とともに既知の又は所定の方法で変化することができる。一例として、この関係をサーミスタの製造者から知り、或いは実験的に測定することができる。この結果、判明したサーミスタの抵抗からサーミスタの温度を予測することができる。サーミスタへの電流が十分に一定である場合、上述した2つの別個の関係の代わりに単一の電圧−温度の関係を任意に使用することができる。適当な関係の例として、限定的な意味ではないが、方程式、テーブル及び当業で公知の同様の種類の関係が含まれる。ハードウェア、ソフトウェア、又はハードウェア及びソフトウェア双方の組合せにおいて、テーブル、方程式又はその他の関係を実行することができる。
【0067】
温度コントローラの制御アルゴリズム658は、測定電圧に対応する測定温度に加えて、設定点温度を受信することができる。この設定点温度は、スキャニング光学素子の所望の動作温度を表すことができる。制御アルゴリズムは、測定温度及び設定点温度に少なくとも部分的に基づいて、ヒータ制御を決定することができる。ヒータ制御は、温度センサをほぼ一定の設定点温度に保とうとすることができる。次に、制御アルゴリズムは、このヒータ制御をヒータに適用することができる。ヒータ制御は、特定の電流、電圧、又は電流−電圧の組合せの形をとることができる。ハードウェア、ソフトウェア、又はハードウェア及びソフトウェア双方の組合せにおいて、この制御アルゴリズムを実行することができる。
【0068】
本発明の範囲は、いずれの既知の種類の制御アルゴリズムにも限定されるものではない。適当な制御アルゴリズムの例として、以下に限定されるわけではないが、オン−オフ制御アルゴリズム、比例制御アルゴリズム、比例−微分制御アルゴリズム、比例−積分制御アルゴリズム、比例−積分−微分(PID)制御アルゴリズム、及び当業で公知のその他の制御アルゴリズムが含まれる。PID制御アルゴリズムなどの比較的高度な制御アルゴリズムを使用することにより、正確かつ安定した制御が促進される傾向にある可能性がある。しかしながら、このような比較的高度な制御アルゴリズムを使用することは必須ではない。実際に、制御アルゴリズムを手動調節に任意に置き換えることができるが、これにより、一般に温度制御の質が落ちる傾向にある。
【0069】
本発明の様々な実施形態では、設定点温度の約5℃以内、約3℃以内、約2℃以内、約1℃以内、約0.1℃以内、又は約0.01℃以内になるように温度を制御することができるが、本発明の範囲はこの点において限定されるものではない。この制御量は、特定の実施構成によって決定されるものであってもよい。一例として、正確な画像の取得が望まれるスキャニング光ファイバ内視鏡の特定の例では、設定点温度の約1℃以内になるように温度を制御することができるが、本発明の範囲はこのように限定されるものではない。本発明の1又はそれ以上の実施形態によれば、多湿又は湿潤な環境においてスキャニングビームデバイスを使用すべき場合、デバイスのレンズ又はその他の透明部分の曇り又は水分の蓄積を低減させるのに役立つように、設定点温度を任意で環境温度にほぼ等しく、或いはそれよりも高くすることができる。例えば、内視鏡又は患者に挿入されるその他のデバイスの場合、設定点温度を、本明細書では37℃と見なしている患者の体温よりも任意で高く、或いはこの体温と等しくすることができる。様々な実施形態では、設定点温度を患者の体温よりも約0℃から10℃まで高くすることができる。
【0070】
図7は、本発明の1又はそれ以上の実施形態による、スキャニング光学素子を有する、内視鏡などのスキャニングビーム画像取得デバイス用のベースステーション760のブロック図である。
【0071】
このベースステーションはコネクタインターフェース762を含む。このコネクタインターフェースを使用して、内視鏡又はその他のスキャニングビームデバイスの近接部分の対応するコネクタに接続を行うことができる。コネクタインターフェースを介して、ベースステーションと内視鏡又はその他のスキャニングビームデバイスとの間で電気信号及び光信号を交換することができる。
【0072】
ベースステーションは光源764を含む。この光源は、インターフェースを介して、内視鏡又はその他のスキャニングビームデバイスに光を供給することができる。本発明の1又はそれ以上の実施形態では、光源は、例えば、赤、緑及び青の光源などの複数の異なる光源を含むことができるが、これは必須ではない。
【0073】
ベースステーションはまた、コントローラ766も含む。このコントローラはアクチュエータコントローラ768を含む。このアクチュエータコントローラは、インターフェースを介して内視鏡又はその他のスキャニングビームデバイスに制御信号を供給して、スキャニング光学素子の動きを制御することができる。本発明の1又はそれ以上の実施形態では、アクチュエータコントローラは、スキャニング光学素子を走査パターンに従って動くように制御することができる。
【0074】
本発明の1又はそれ以上の実施形態では、ベースステーションは、光検出システム774を任意で含むことができる。この任意の光検出システムは、コネクタインターフェースを介して、内視鏡又はその他のスキャニングビームデバイスから戻る光を検出することができる。このような実施形態の1又はそれ以上では、この任意の光検出システムは、例えば、赤、緑及び青の光検出器などの複数の異なる光検出器を含むことができるが、これは必須ではない。別の選択肢として、例えば、内視鏡又はその他のスキャニングビームデバイス内などの別の場所に光検出システムを任意に配置することができる。
【0075】
光検出システムから、或いはスキャニングビームデバイスからコネクタインターフェースを介して、検出した光を表す信号を画像コントローラ770に供給することができる。この画像コントローラは、電気信号を処理して画像を生成することができる。本発明の1又はそれ以上の実施形態では、画像コントローラは、較正データを使用して画像を再マッピングし、歪みを低減し、及び/又は画像の見た目を改善することができるが、これは必須ではない。
【0076】
本発明の1又はそれ以上の実施形態では、ベースステーションは、表示デバイス776を任意に含むことができる。この任意の表示デバイスは、ユーザに画像を表示することができる。或いは、表示デバイスをベースステーションから分離し、ベースステーションと電気的に結合させることが可能である。
【0077】
ベースステーションは温度コントローラ748をさらに含む。温度コントローラ748は、図6に示した温度コントローラ648と同じもの又は異なるものであってもよい。温度コントローラは、感知したスキャニング光学素子の状態をインターフェースを介して受信することができる。温度コントローラは、応答制御信号を決定し、この信号をインターフェースを介して内視鏡又はその他のスキャニングビームデバイスへ供給して、スキャニング光学素子の温度を制御することができる。本発明の1又はそれ以上の実施形態では、温度コントローラは、例えば、PIDアルゴリズムなどのアルゴリズムを使用して制御信号を決定することができる。本発明の1又はそれ以上の実施形態では、温度コントローラは、スキャニング光学素子の温度を調整又は制御してほぼ一定の値を保持することができる。
【0078】
ベースステーションはその他の従来の構成要素778を含むことができる。ベースステーション内に含むことができるその他の構成要素の例として、以下に限定されるわけではないが、電源、増幅器、デジタル−アナログ変換器、アナログ−デジタル変換器、時計、波形発生器、ユーザインターフェース、感光性位置センサ、較正チャンバなど、その他の構成要素、及びこれらの様々な異なる組合せが含まれる。説明を曖昧にしないように、これらの構成要素についてはこれ以上詳細には説明しないことにする。
【0079】
上述したように、加熱の1つの利用の可能性は、画像の歪みを低減させるためにスキャニング光学素子の温度をほぼ一定の値に制御することであるが、本発明の範囲はこの点において限定されるものではない。例えば、温度がほぼ一定になるように制御されるか否か、或いは画像の歪みが低減されるか否かにかかわらず、ヒータを使用して、デバイスを配置した多湿な環境の温度と同じ温度又はそれよりも高い温度までデバイスを加熱して曇りを低減させることができる。別の例として、デバイスの動作又は信頼性が別様に妨げられる高温環境において、冷却器を使用してデバイスを冷却し、デバイスを使用できるようにすることができる。さらに別の例として、デバイスの動作が妨げられる可能性のある低温環境において、ヒータを使用してデバイスを加熱し、デバイスを使用できるようにすることができる。さらに、温度をほぼ一定の値に調整又は制御することが望まれる場合でも、センサデバイスは必須ではない。例えば、ヒータは自己調整を行うことができる。
【0080】
ある概念をさらに説明するために、本発明の1つの実施形態によるスキャニングビームデバイスの具体的な実施例について検討する。この実施例は、本発明を限定するためのものではなく、単に例示的なものと見なすべきであることを理解されたい。
【0081】
図8は、本発明の1又はそれ以上の実施形態による、スキャニングビーム画像取得デバイス800の詳細例の垂直断面図である。この特定の図示のスキャニングビームデバイスは、内視鏡又は患者に挿入するためのその他の器具又はプローブとしての使用に非常に適したものである。
【0082】
このスキャニングビームデバイスはハウジング802を含む。このハウジングは、ステンレス鋼又は患者の体内への配置に適したその他の材料を含むことができる。ハウジングは、内視鏡又は同様の器具又はプローブとして患者に挿入するために十分に密閉することができる。ハウジングは小型又は極小型であってもよい。例えば、本発明の1又はそれ以上の実施形態では、ハウジングは大まかに管状で、約1から2ミリメートル(mm)以下の直径を有し、約10から15mm以下の長さを有することができる。しかしながら、本発明の範囲はこの点において限定されるものではない。スキャニングビームデバイスを内視鏡として使用し、或いは別様に患者に挿入すべき場合、このような極小のハウジングはいくつかの利点を提供することができるが、その他の実施構成では、ハウジングのサイズ及び形状は大幅に変化してもよい。
【0083】
光ファイバ818の自由端部816はハウジング内に存在する。圧電チューブ820もまた、ハウジング内に含まれる。この圧電チューブは、光ファイバの自由端部を動かすためのアクチュエータの1つの特定の例を示すものである。本発明の1又はそれ以上の実施形態では、圧電チューブはPZT 5A材料を含むことができるが、これは必須ではない。圧電チューブは、約0.5mmの外径を有することができる。圧電チューブ内の円筒状開口部を通じて、光ファイバの拘束部分(図示せず)が挿入される。光ファイバの拘束部分を圧電チューブに拘束、接着又は別様に結合させるために、接着剤824が使用される。適当な接着剤の1つの特定の例として、Super Glueブランドのシアノアクリレートがあるが、この接着剤は必須ではない。本発明の1又はそれ以上の実施形態では、光ファイバを2次元で動かすために、圧電チューブに4つの象限金属電極880をメッキすることができる。取付環882により、圧電チューブをハウジングに結合することができる。取付環を貫いてきつく嵌合する、大まかに円筒状の開口部を通して圧電チューブを挿入することができる。
【0084】
スキャニングビームデバイスは、ハウジング内の温度を感知するための温度センサデバイス836を含む。適当な温度センサデバイスの例として、限定的な意味ではないが、熱電対、抵抗温度デバイス(RTD)及びサーミスタが含まれる。適切なサーミスタの1つの特定の例として、ニュージャージー州セコーカスのPanasonic社から市販されている積層NTCサーミスタPanasonicERTJシリーズ0201サイズ(約2mmx1mm)が含まれる。このサーミスタは約10kΩの抵抗を有する。本発明の1又はそれ以上の実施形態では、サーミスタのサイズをさらに減少させるために、サーミスタを任意で約半分だけ研磨し、或いは別の方法で切削加工することができるが、これは必須ではない。切削が行われた場合、抵抗が変化する可能性があり、サーミスタを再較正する必要がある。
【0085】
スキャニングビームデバイスは、感知した温度に応じてハウジング内の温度を上昇させるためのヒータ808を含む。このヒータはコイル抵抗ヒータを含むことができる。小径のワイヤを巻き付けてコイルにすることにより、コイル抵抗ヒータを形成することができる。ワイヤ自体を折り重ね、或いは折り返して巻き付け、バイファイラコイルにすることができる。これにより、ワイヤの両端部が同じ側に存在できるようになる。単位長さ当たりのさらなる巻線を任意で端部に設けて、ヒータの長さ全体にわたる均一な温度を促すことができる。適当なワイヤの例として、Wilbur B.Driver社から市販されている、約400Ω/ftの抵抗を有する36μmEVANOHM(登録商標)ニッケル−クロム抵抗ワイヤがあるが、本発明の範囲はこの特定の種類のワイヤに限定されるものではない。図示のように、ハウジングの内壁の内側にコイル抵抗ヒータを配置することができる。別の選択肢として、1又はそれ以上の実施形態では、コイル抵抗ヒータをハウジングの外側に配置することができる。図示のように、コイルは、光ファイバの自由端部を取り囲むとともに、ほぼその長さにまで及ぶことができる。本発明の1つの特定の実施形態では、ヒータは、約300個のループ、約6mmの長さ及び約0.9mmの直径を有する、ワイヤ自体に折り重ねられ、或いは折り返された36μmEVANOHM(登録商標)ニッケル−クロム抵抗ワイヤのバイファイラコイルを含むが、この特定のヒータは必須ではない。このようなヒータは、平均で約30ミリワットの熱を生成できる可能性がある。
【0086】
図示のように、本発明の1又はそれ以上の実施形態では、温度センサデバイスを接着剤に近接して配置することができる。温度は接着剤の特性に影響を及ぼし、この結果、光ファイバの自由端部の動きに影響を及ぼす可能性がある。接着剤に近接してサーミスタ又はその他の温度センサデバイスを配置することにより、接着剤の温度の正確な測定を促すことができる。一例として、このような患者に挿入される小型のデバイスでは、サーミスタを接着剤の約5mm内に配置することができる。さらに図示のように、1又はそれ以上の実施形態では、サーミスタをヒータのコイルの内面に接着することができる。
【0087】
ベースステーション(図示せず)からデバイスの近接端へいくつかの導電経路884が引かれている。導電経路は、圧電チューブ、温度センサデバイス及びヒータへ電気信号を送信することができる。一例として、4つの導電経路886の各々を圧電チューブ上の4つの象限電極のそれぞれに半田付けし、或いは別の方法で電気的に結合させることができる。これらの4つの経路は、駆動信号を圧電チューブへ送信して、圧電チューブが、例えば拡大する螺旋走査パターンで光ファイバを走査できるようにする。圧電チューブ内の接地電極に1つの導電経路を与えることができるが、これは必須ではない。2つのセンサワイヤ888を温度センサと電気的に結合させることができる。2つのヒータワイヤ890をヒータと電気的に結合させることができる。ハウジングの内面に沿って、センサワイヤ及びヒータワイヤを引くことができる。これらのワイヤの通路を収容するために、ハウジングの内面に隣接するインターフェースにおける取付環内に1又はそれ以上の切欠を設けることができる。
【0088】
本発明の1又はそれ以上の実施形態では、ヒータに通じるワイヤは、ヒータの抵抗ワイヤ又はその他の材料よりも高い導電率を有することができる。このことは、スキャニング光学素子から離れた領域における抵抗損失を低減させるのに役立つことができる。例えば、磁気ワイヤなどの銅線をヒータに通じさせてもよく、このヒータは、EVANOHM(登録商標)ニッケル−クロム抵抗ワイヤ、又は銅の抵抗よりも極めて大きな抵抗を有するその他のワイヤを有することができる。銅又はその他のより高い伝導性のワイヤを、より抵抗の高いワイヤに半田付けし、或いは別様に結合させることができる。1つの態様では、銅線の端部を、例えばニッケルで、或いは最初にニッケルで次に金で任意に電気メッキすることができる。ニッケルでメッキすることにより、半田付けに役立つことができる。金でメッキすることにより、酸化を低減させるのに役立つことができる。
【0089】
デバイスは1又はそれ以上のレンズ806を含む。1又はそれ以上のレンズは、光ファイバの自由端部を通じて導かれた光の光路内に配置される。本発明の1又はそれ以上の実施形態では、1又はそれ以上のレンズはPentax社のレンズを含むことができるが、これは必須ではない。
【0090】
本発明の1又はそれ以上の実施形態では、目標面からの後方散乱光を集めるために、ハウジングの外側周辺に光ファイバ892を含むことができる。一例として、フルカラースキャニングファイバ内視鏡の特定の例では、光を集めるためにハウジングの外側周辺に12本の光ファイバを含むことができる。光ファイバは光を集め、スキャニングビームデバイスの近接端に配置された光検出器に光を戻すことができる。
【0091】
説明を目的として、上記の説明では、本発明の実施形態の完全な理解をもたらすために数多くの特定の詳細について説明してきた。説明した特定の実施形態は、本発明を限定するためではなく、本発明を説明するために提供したものである。これらの特定の詳細のいくつかを伴わずに、実施形態を実施することができる。さらに、本明細書で開示した実施形態に、例えば、実施形態の構成要素のサイズ、形状、構成、形態、機能、材料、動作の態様、並びに組み立て及び使用法に対して修正を施すことができる。図面に示し、本明細書で説明したものに対する全ての同等の関連物は、本発明の実施形態の範囲に含まれる。本発明の範囲は、上記に提供した特定の実施例によってではなく、以下の特許請求の範囲によってのみ決定されるべきである。その他の場合、説明の理解を曖昧にしないように、周知の回路、構造、デバイス及び動作についてはブロック図形式で、或いは詳細を伴わずに示した。
【0092】
図示の要素は、必ずしも縮尺通りに描いたものではない。例えば、説明のために、要素のいくつかの寸法はその他のものと比較して誇張した。さらに、参照番号及び/又は参照番号の末端部を図を通じて適宜繰り返し、任意に同様の特性を有する可能性がある対応又は類似する要素を示した。
【0093】
なお、本明細書を通じて、「1つの実施形態」、「実施形態」、又は「1又はそれ以上の実施形態」に対する言及は、例えば、本発明の実施に際して特定の特徴を含むことができることを意味するものであると理解されたい。同様に、本開示を簡素化し、様々な発明の態様の理解に役立てる目的で、説明において様々な特徴を単一の実施形態、図又はその説明にまとめた部分があることを理解されたい。しかしながら、本開示のこの方法について、本発明が、個々の請求項に明確に記載したものよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映したものであると解釈すべきではない。むしろ、以下の特許請求の範囲が示すように、発明の態様は、単一の開示した実施形態の全ての特徴よりも少ないものにより成立することができる。従って、詳細な説明に続く特許請求の範囲は、本明細書によりこの詳細な説明において明確に引用され、個々の請求項は、それ自体が本発明の独立した実施形態として成立するものである。従って、いくつかの実施形態の観点から本発明について十分に説明したが、当業者であれば、本発明は、説明した特定の実施形態に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲の思想及び範囲内で修正及び変形を伴って実施できるものであることを理解するであろう。従って、本説明は、本発明を限定するものではなく、例示であると見なすべきである。
【符号の説明】
【0094】
100 スキャニングビームデバイス
102 ハウジング
104 スキャニング光学素子
106 透明部分
108 温度調節デバイス
109 電気信号
110 光又は光学信号
112 電気信号
114 光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
前記ハウジングに封入された自由端部を有する光ファイバと、
前記光ファイバの自由端部を動かすためのアクチュエータと、
前記ハウジング内の温度を感知するための温度センサデバイスと、
前記感知した温度に応じて前記ハウジング内の温度を上昇させるためのヒータと、
前記光ファイバの自由端部を通って導かれる光の光路内における前記ハウジングの1又はそれ以上のレンズと、
を備えることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記ヒータは、前記光ファイバの自由端部の長さの周囲に巻かれたコイル抵抗ヒータを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記コイル抵抗ヒータは、中心方向よりも1又はそれ以上の端部方向においてより多くの数の単位長さ当たりのループを含む、
ことを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記光ファイバの自由端部は接着剤でアクチュエータに取り付けられ、前記温度センサデバイスは前記接着剤に近接して配置される、
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記ヒータは、ワイヤがそれ自体に折り返されたバイファイラコイルを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記ヒータは、該ヒータをコントローラに結合するワイヤよりも大きな抵抗を有するワイヤを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項7】
透明部分を有するハウジングと、
前記ハウジングに封入され、前記ハウジングの透明部分との間に光が導かれるようにされたスキャニング光学素子と、
前記ハウジング内の温度を調節するための温度調節デバイスと、
を備えることを特徴とする装置。
【請求項8】
前記温度調節デバイスはヒータを含む、
ことを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記ヒータはコイル抵抗ヒータを含む、
ことを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記コイル抵抗ヒータは、反対方向に電流を流すために接続された隣接するループを含む、
ことを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記コイル抵抗ヒータは、ワイヤがそれ自体に折り返されたバイファイラコイルを含む、
ことを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項12】
前記コイル抵抗ヒータは、中心方向よりも1又はそれ以上の端部方向においてより多くの数の単位長さ当たりのループを含む、
ことを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項13】
前記ヒータは、温度が上昇するとともに電気抵抗が増加する材料を含む、
ことを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項14】
前記ヒータは薄膜抵抗ヒータを含む、
ことを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項15】
前記温度調節デバイスは冷却器を含む、
ことを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項16】
前記ハウジング内の状態を感知するためのセンサデバイスをさらに備える、
ことを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項17】
前記センサデバイスは、前記ハウジング内の温度を感知するための温度センサデバイスを含む、
ことを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記温度センサデバイスは、熱電対、抵抗温度デバイス(RTD)及びサーミスタから選択される、
ことを特徴とする請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記センサデバイスは、前記ハウジング内の圧力を感知するための圧力センサデバイスを含む、
ことを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項20】
前記スキャニング光学素子は、
光導波管の自由端部と、
前記光導波管の自由端部を動かすためのアクチュエータと、
を備えることを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項21】
前記装置は内視鏡を含む、
ことを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項22】
請求項7の装置を患者に挿入するステップを含む、
ことを特徴とする方法。
【請求項23】
スキャニング光学素子の状態を感知するステップと、
前記感知した状態に応じて前記スキャニング光学素子の温度を調節するステップと、
前記スキャニング光学素子を使用して光を走査するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項24】
アルゴリズムを使用することにより、温度を調節する量を決定するステップをさらに含む、
ことを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記スキャニング光学素子の温度をほぼ一定の値に保つことにより、該スキャニング光学素子を使用して作成する画像の歪みを低減させるステップをさらに含む、
ことを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記状態を感知するステップは、温度及び圧力から選択した状態を感知するステップを含む、
ことを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項27】
前記温度を調節するステップは、加熱により温度を上昇させるステップを含む、
ことを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項28】
前記スキャニング光学素子を配置した環境の温度以上の値に温度を上昇させることにより、該スキャニング光学素子を通して導かれる光の光路内の透明材料の曇りを低減させるステップをさらに含む、
ことを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記環境は患者の体内を含み、前記温度は37℃から47℃に及ぶ、
ことを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記スキャニング光学素子を患者に挿入するステップをさらに含む、
ことを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項31】
スキャニング光学素子を有する内視鏡の近接部分を接続するためのインターフェースと、
前記インターフェースを介して内視鏡に光を供給するための1又はそれ以上の光源と、
前記インターフェースを介して前記内視鏡に制御信号を供給し、前記スキャニング光学素子の動きを制御するためのアクチュエータコントローラと、
前記インターフェースを介して感知した前記スキャニング光学素子の状態を受信し、前記インターフェースを介して前記内視鏡に制御信号を供給し、該スキャニング光学素子の温度を制御するための温度コントローラと、
を含むことを特徴とする装置。
【請求項32】
前記温度コントローラは、前記スキャニング光学素子の温度をほぼ一定の値に制御するようにされた、
ことを特徴とする請求項31に記載の装置。
【請求項33】
前記温度コントローラは、オン−オフ制御アルゴリズム、比例制御アルゴリズム、比例−微分制御アルゴリズム、比例−積分制御アルゴリズム、比例−積分−微分(PID)制御アルゴリズムから選択された温度制御アルゴリズムを含む、
ことを特徴とする請求項31に記載の装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図3F】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2010−503890(P2010−503890A)
【公表日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−528220(P2009−528220)
【出願日】平成19年4月20日(2007.4.20)
【国際出願番号】PCT/US2007/009598
【国際公開番号】WO2008/033168
【国際公開日】平成20年3月20日(2008.3.20)
【出願人】(502457803)ユニヴァーシティ オブ ワシントン (93)
【Fターム(参考)】