説明

スクイーズフィルムダンパ軸受

【課題】構造が簡単であり、設置に必要なスペースが少なく、内外面の精度確保が容易であり、最大応力を許容応力以下に容易に設定でき、半径方向のばね定数が周方向に一定であり、かつ潤滑油により軸振動の十分な減衰効果を持たせることができるスクイーズフィルムダンパ軸受を提供する。
【解決手段】円筒形の回転軸と回転軸を囲む軸受と軸受を囲む円筒形の固定面とを有する回転軸受部に用いられ、回転軸と軸受との間、又は軸受と固定面との間に挿入され回転軸又は軸受を支持する一体型のスクイーズフィルムダンパ軸受。回転軸又は軸受を支持する中空円筒形の内輪12と、軸受又は固定面に密着して固定される中空円筒形の外輪14と、内輪と外輪との間にスリット18を隔てて位置し周方向に同一間隔を隔てる3以上の中間円弧部16とからなる。各中間円弧部16は、周方向一端16aが外輪と一体的に連結され、他端16bが内輪と一体的に連結されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はジェットエンジンなど高速回転軸を支持し、その振動を抑制するスクイーズフィルムダンパ軸受に関する。
【背景技術】
【0002】
スクイーズフィルムダンパ軸受は、回転軸を支持する軸受と固定面との間に流体膜を形成して、この流体膜圧力により軸受を支持する方式の軸受であり、特に高速回転軸の振動を低減させる特徴がある。そのため、この軸受は、ジェットエンジン、ターボ圧縮機、ターボチャージャなどの軸受として従来から用いられている。
以下、本出願において、スクイーズフィルムダンパ軸受を単に、「ダンパ軸受」と略称する。
【0003】
従来のダンパ軸受は、例えば、特許文献1,2、および非特許文献1に開示されている。
【0004】
特許文献1は、軸の振れ廻りを有効に減衰でき、かつ製作費用の安価なスクイーズフィルムダンパ軸受を目的とする。
そのため、このダンパ軸受は、図1に示すように、軸受メタル52を、内外面に軸方向に平行な突起を有し、かつ、同方向に等分割した剛性の大きい同心化バネ53を介して軸受ケーシング54により支持し、突起間に形成される凹部に油膜を形成するものである。
【0005】
特許文献2は、大形から小形の軸受まで適用でき、簡単な構造でダンピング効果を得ることを目的とする。
そのため、このダンパ軸受は、図2に示すように、回転体60と支持体61との間に配される軸受のダンパ要素であって、支持体61に固定された筒状体62の内面と外面との間に形成されたスリット63と、スリット63内に充填された粘性流体とを含み、スリット63は、少なくとも略一周にわたって筒状体の略周方向に連続して延び、スリット63の一端が筒状体62の内面と外面との間にあり、かつ他の一端が筒状体62の内面及び外面のいずれか一方で開放されているものである。なおこの図で64は円形穴である。
【0006】
非特許文献1に開示されたダンパ軸受は、特許文献2にも同様の構成が開示されており、図3(A)(B)に示すように、外輪72の内面72aと外面72bとの間に2つのスリット73を有する。各スリット73は、ほぼ1周にわたって外輪72のほぼ周方向に連続して伸び、その両端がともに外輪72の中実部(外輪の厚み内)にある。さらに、スリット73の両端には、スリット73の幅よりも大径の円形穴74が軸線方向に全長にわたって形成されているものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平8−261232号公報、「スクイーズフィルムダンパ軸受」
【特許文献2】特開2007−56976号公報、「軸受のダンパ要素及びその製造方法、並びにガスタービンエンジン」
【0008】
【非特許文献1】H. Kanki, et. al, “DEVELOPMENT OF COMPACT DAMPER BEARING”, Proceedings of IDETC/CIE 2005, Sept.24−25,2005, Long Beach,California,USA
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1のダンパ軸受は、軸受メタル52と同心化バネ53の2つの部品からなるため、構造が複雑であり、スペースを要し、内外面の精度確保が難しい問題点があった。また同心化バネ53の突起を介して軸受メタル52を軸受ケーシング54により支持するので、突起部に過大応力が発生し、これを回避するために、突起数を増やすると、同心化バネ53のばね定数が過大となり軸振動の減衰効果が不十分になる問題点があった。
【0010】
特許文献2のダンパ軸受は、筒状体62が一体であり、内外面の精度確保はできるが、スリット63の内端(円形穴64近傍)に過大応力が発生し、これを許容応力以下にすると、半径方向のばね定数が過大となり軸振動の減衰効果が不十分になる問題点があった。
【0011】
非特許文献1に開示されたダンパ軸受は、筒状体72が一体であり、内外面の精度確保はでき、最大応力も小さくできるが、半径方向のばね定数が周方向に変化する問題点があった。
【0012】
本発明は、上述した問題点を解決するために創案されたものである。すなわち本発明の目的は、構造が簡単であり、設置に必要なスペースが少なく、内外面の精度確保が容易であり、最大応力を許容応力以下に容易に設定でき、半径方向のばね定数が周方向に一定であり、かつ潤滑油により軸振動の十分な減衰効果を持たせることができるスクイーズフィルムダンパ軸受を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によれば、円筒形の回転軸と該回転軸を囲む軸受と該軸受を囲む円筒形の固定面とを有する回転軸受部に用いられ、前記回転軸と軸受との間、又は前記軸受と固定面との間に挿入され回転軸又は軸受を支持する一体型のスクイーズフィルムダンパ軸受であって、
前記回転軸又は軸受を支持する中空円筒形の内輪と、前記軸受又は固定面に密着して固定される中空円筒形の外輪と、前記内輪と外輪との間にスリットを隔てて位置し周方向に同一間隔を隔てる3以上の中間円弧部とからなり、
該各中間円弧部は、周方向一端が外輪と一体的に連結され、他端が内輪と一体的に連結されている、ことを特徴とするスクイーズフィルムダンパ軸受が提供される。
【0014】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記中間円弧部は、回転軸の回転中心から一定の半径を有し、半径方向の厚さが一定であり、周方向角度が120度以下の曲がり梁である。
【0015】
前記スリットは、外輪との間の外側スリットと、内輪との間の内側スリットとからなり、各外側スリットは、隣接する中間円弧部の内側スリットと周方向に傾斜した傾斜スリットで連結されている。
【0016】
また前記傾斜スリットで連結された外側スリットと内側スリットは、その両端部に応力低減用の貫通穴を有する。
【発明の効果】
【0017】
上記本発明の構成によれば、一体型のスクイーズフィルムダンパ軸受が、円筒形の回転軸と軸受(例えば転がり軸受)との間、又は軸受と固定面の間に挿入され、回転軸又は軸受を支持するので、設置に必要なスペースが少なく、内外面の精度確保が容易である。
【0018】
さらに、中間円弧部が内輪と外輪との間にスリットを隔てて位置し、その周方向一端が外輪と一体的に連結され他端が内輪と一体的に連結されているので、中間円弧部を曲がり梁としてその弾性変形により、内輪を固定された外輪から弾性的に支持できる。これにより、スリット内に潤滑油を保持することで、軸振動の十分な減衰効果を持たせることができ、かつ所定の軸振動に対し最大応力を許容応力以下に容易に設定できる。
【0019】
また、3以上の中間円弧部が周方向に同一間隔を隔てる構造であるため、構造が簡単である。さらにこの構造により、半径方向のばね定数が周方向に一定になることが後述する解析により確認された。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】特許文献1のダンパ軸受の模式図である。
【図2】特許文献2のダンパ軸受の模式図である。
【図3】非特許文献1のダンパ軸受の模式図である。
【図4】本発明によるダンパ軸受の第1実施形態図である。
【図5】図4のダンパ軸受10の詳細図である。
【図6】本発明によるダンパ軸受の第2実施形態図である。
【図7】参考例1のダンパ軸受の構成図である。
【図8】参考例2のダンパ軸受の構成図である
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための最良の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0022】
図4は、本発明によるダンパ軸受の第1実施形態図である。この図において、(A)はダンパ軸受10を軸方向から見た正面図であり、(B)は(A)のB−B線における断面図である。以下、図4の形態を「本発明1」と呼ぶ。
この図において、本発明のダンパ軸受10は、円筒形の回転軸20、回転軸20を囲む軸受22(この例で転がり軸受)、及び軸受22を囲む円筒形の固定面30を有する回転軸受部に用いられる。またこの例において、本発明のダンパ軸受10は、軸受22と固定面30との間に挿入され、軸受22を支持する。
なお、本発明のダンパ軸受10は、この例に限定されず、回転軸20と軸受22との間との間に挿入され、回転軸22を支持してもよい。また、回転軸22は転がり軸受に限定されず、その他の軸受であってもよい。
【0023】
図5は、図4のダンパ軸受10の詳細図であり、図5(A)は図4のダンパ軸受10のみを軸方向から見た正面図である。
【0024】
図5(A)において、本発明のダンパ軸受10は、一体型のスクイーズフィルムダンパ軸受であり、全体として中空円筒形である。
以下、この図において、回転軸20の回転中心(すなわち円筒形の固定面30の中心)を原点Oとし、x軸とy軸を図のように定義する。
【0025】
本発明のダンパ軸受10は、内輪12、外輪14、および4つの中間円弧部16からなる。内輪12、外輪14、および中間円弧部16は、スリット18で部分的に分離されているが、全体として一体の部材である。また、内輪12の内面とスリット18には潤滑油が供給され、スリット18間の流体膜圧力により回転軸20(及び軸受22)の振動を低減させるようになっている。
【0026】
内輪12は、原点Oを中心とする中空円筒形部材であり、その内面で回転軸20の外側に設けた転がり軸受22を支持する。また、ダンパ軸受10を、回転軸20と軸受22との間との間に挿入する場合には、内輪12は、回転軸20を支持する。
【0027】
外輪14は、原点Oを中心とする中空円筒形部材であり、その外面が固定面30に密着して固定される。外輪14の外面は固定面30に隙間なく嵌合しており、外輪14が固定面30に固定された状態で、共回りすることなく回転軸20が軸心を中心に所定の高速回転ができるようになっている。
また、ダンパ軸受10を、回転軸20と軸受22との間との間に挿入する場合には、外輪14は、軸受22の内輪に密着して固定される。
【0028】
中間円弧部16は、その内面と外面が原点Oを中心とする円弧面からなる円弧状部材である。すなわち、中間円弧部16は、回転軸20の回転中心Oから一定の半径を有し、半径方向の厚さが一定である曲がり梁である。
また、中間円弧部16は、内輪12と外輪14との間にそれぞれ所定幅のスリット18を隔てて位置する。
さらに、この例では4つの中間円弧部16は、周方向に同一間隔を隔てており、この周方向角度は90度である。
【0029】
さらに、各中間円弧部16は、周方向一端16aが外輪14と一体的に連結され、他端16bが内輪12と一体的に連結されている。
【0030】
スリット18は、外輪14との間の外側スリット18aと、内輪12との間の内側スリット18bとからなる。各外側スリット18aは、隣接する中間円弧部16の内側スリット18bと周方向に傾斜した傾斜スリット18cで連結されている。
外側スリット18a、内側スリット18b、および傾斜スリット18cは、好ましくは半径方向に同一の幅を有し、軸方向に平行な貫通溝である。これらのスリットの幅は、回転軸20の軸振動によりスリット幅が0にならず(すなわち接触せず)、かつスリット18間の流体膜圧力により回転軸20の振動を効果的に低減できるように設定するのがよい。
【0031】
さらに、傾斜スリット18cで連結された外側スリット18aと内側スリット18bは、その両端部に応力低減用の貫通穴19を有する。貫通穴19の大きさは、その周辺に発生する最大応力が材料の許容応力を超えないように設定する。
【0032】
図5(B)は、図5(A)の簡易モデルの図である。この図に示すように、図5(A)のダンパ軸受10は、4つの中間円弧部16が、それぞれ回転軸の回転中心Oから一定の半径Rを有し、半径方向の厚さが一定であり、周方向角度が90度の曲がり梁とみなすことができる。
この場合、各中間円弧部16は、周方向一端16aが外輪14と一体的に連結され、他端16bが内輪12と一体的に連結されている。
【0033】
このモデルでは、内輪12は、回転軸20の軸振動(この図で左右方向)を中間円弧部16に伝達できる十分な厚さを有しており、内輪12に発生する最大応力は許容応力より十分小さく設定されている。
また、外輪14は、中間円弧部16から伝達される力を固定面30に伝達できる十分な厚さを有しており、外輪14に発生する最大応力は許容応力より十分小さく設定されている。
さらに、上述したスリット18の半径方向幅は、軸方向に一定であり、回転軸20の軸振動の半径方向最大幅よりも大きく、中間円弧部16の内外面が内輪12又は外輪14と接触しないように設定する。
なおこの場合、中間円弧部16の周方向一端16aは固定端であり、中間円弧部16の他端16bは内輪12の振動方向1にのみ移動する移動端とみなすことができる。
【0034】
上述したモデルを用いることにより、ダンパ軸受10の特性(バネ定数や最大応力)を材料力学に基づき、簡易的に求めることができる。
【0035】
図6は、本発明によるダンパ軸受の第2実施形態図である。この図において、(A)はダンパ軸受10を軸方向から見た正面図、(B)はその簡易モデルの図である。以下、図6の形態を「本発明2」と呼ぶ。
本発明のダンパ軸受10は、内輪12、外輪14、および3つの中間円弧部16からなる。この例では3つの中間円弧部16は、周方向に同一間隔を隔てており、この周方向角度は120度である。
その他の構成は図4の第1実施形態と同様である。
【0036】
図7は、参考例1のダンパ軸受の構成図であり、ダンパ軸受62を軸方向から見た正面図である。
このダンパ軸受62は、特許文献2に開示されたものであり、回転体60と支持体61との間に配される軸受のダンパ要素であって、支持体61に固定された筒状体62(ダンパ軸受)の内面と外面との間に形成されたスリット63と、スリット63内に充填された粘性流体とを含み、スリット63は、少なくとも略一周にわたって筒状体の略周方向に連続して延び、スリット63の一端が筒状体62の内面と外面との間にあり、かつ他の一端が筒状体62の外面で開放されているものである。なおこの図で64は円形穴である。
この参考例1のダンパ軸受は、スリット63の一端が筒状体62の外面で開放されている点において、本発明のダンパ軸受と大きく相違する。また、スリット同士が交差していないことから、ばねとしての役割をほとんど持たない。
【0037】
図8は、参考例2のダンパ軸受の構成図であり、ダンパ軸受70を軸方向から見た正面図である。
このダンパ軸受は、非特許文献1及び特許文献2に開示されたものであり、外輪72の内面72aと外面72bとの間に2つのスリット73を有する。各スリット73は、ほぼ1周にわたって外輪72のほぼ周方向に連続して伸び、その両端がともに外輪72の中実部(外輪の厚み内)にある。さらに、スリット73の両端には、スリット73の幅よりも大径の円形穴74が軸線方向に全長にわたって形成されているものである。
この参考例2のダンパ軸受は、本発明の中間円弧部16に相当する部分が、周方向に2つのみである点において、本発明のダンパ軸受と大きく相違する。
【実施例1】
【0038】
上述した参考例1,2と本発明1,2のダンパ軸受を、以下の同一条件で解析し、そのバネ係数と最大応力を求めた。
【0039】
(解析条件)
内径/外径/幅:127mm/90mm/20mm
スリット幅:0.15mm
材質:SUS630(相当材)(応力比−1、疲労限434MPa)
ヤング率:202GPa
ポアソン比:0.291
【0040】
上記解析は、汎用の有限要素法解析プログラムを用いて、スリット幅に相当する撓みを所望の方向に与えて最大応力を求め、そのときの反力からバネ定数を求めた。解析結果を表1に示す。
【0041】
【表1】

【0042】
表1において、内輪12に対する負荷方向(軸の振動方法)は、y方向からの角度であり、y方向は0°、x方向は90°である。また、表中の上段はバネ定数[N/mm]、下段(括弧内)は最大応力を示している。
【0043】
この表から、参考例1では、最大応力が過大応力であり、かつばね定数も過大であり、軸振動の減衰効果が低いことがわかる。
また、参考例2では、半径方向のばね定数が周方向の0°と90°で大きく相違することがわかる。
【0044】
これに対し、本発明1では、最大応力が224〜268MPaであり、許容応力より十分低く、かつ、周方向の0,30,45,90°において、半径方向のばね定数が一定(2.84E+4)となっている。
さらに、本発明2においても、周方向の0,45,90°において、半径方向のばね定数が一定(6810.1)となっている。
【0045】
従って、本発明1,2のダンパ軸受では、スリットに粘性流体を注入することによりダンパとして作用することがわかる。
【0046】
上述した本発明の構成によれば、一体型のスクイーズフィルムダンパ軸受10が、円筒形の回転軸20とこれを囲む円筒形の固定面30の間に挿入、回転軸の回転を支持するので、設置に必要なスペースが少なく、内外面の精度確保が容易である。
【0047】
さらに、中間円弧部16が内輪12と外輪14との間にスリット18を隔てて位置し、その周方向一端16aが外輪12と一体的に連結され他端16bが内輪12と一体的に連結されているので、中間円弧部16を曲がり梁としてその弾性変形により、内輪12を固定された外輪14から弾性的に支持できる。これにより、スリット18内に潤滑油を保持することで、軸振動の十分な減衰効果を持たせることができ、かつ所定の軸振動に対し最大応力を許容応力以下に容易に設定できる。
【0048】
また、3以上の中間円弧部16が周方向に同一間隔を隔てる構造であるため、構造が簡単である。さらにこの構造により、半径方向のばね定数が周方向に一定になることが解析により確認された。
【0049】
なお本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、中間円弧部は、3又は4に限定されず、5以上であってもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 振動方向、10 ダンパ軸受、
12 内輪、14 外輪、16 中間円弧部、
16a 一端、16b 他端、18 スリット、
18a 外側スリット、18b 内側スリット、
19 貫通穴、20 回転軸、30 固定面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒形の回転軸と該回転軸を囲む軸受と該軸受を囲む円筒形の固定面とを有する回転軸受部に用いられ、前記回転軸と軸受との間、又は前記軸受と固定面との間に挿入され回転軸又は軸受を支持する一体型のスクイーズフィルムダンパ軸受であって、
前記回転軸又は軸受を支持する中空円筒形の内輪と、前記軸受又は固定面に密着して固定される中空円筒形の外輪と、前記内輪と外輪との間にスリットを隔てて位置し周方向に同一間隔を隔てる3以上の中間円弧部とからなり、
該各中間円弧部は、周方向一端が外輪と一体的に連結され、他端が内輪と一体的に連結されている、ことを特徴とするスクイーズフィルムダンパ軸受。
【請求項2】
前記中間円弧部は、回転軸の回転中心から一定の半径を有し、半径方向の厚さが一定であり、周方向角度が120度以下の曲がり梁である、ことを特徴とする請求項1に記載のスクイーズフィルムダンパ軸受。
【請求項3】
前記スリットは、外輪との間の外側スリットと、内輪との間の内側スリットとからなり、各外側スリットは、隣接する中間円弧部の内側スリットと周方向に傾斜した傾斜スリットで連結されている、ことを特徴とする請求項1に記載のスクイーズフィルムダンパ軸受。
【請求項4】
前記傾斜スリットで連結された外側スリットと内側スリットは、その両端部に応力低減用の貫通穴を有する、ことを特徴とする請求項3に記載のスクイーズフィルムダンパ軸受。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−203504(P2010−203504A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−48705(P2009−48705)
【出願日】平成21年3月3日(2009.3.3)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】