説明

スクリーン印刷方法

【課題】スクリーン印刷において、スクリーンマスクと被印刷物との位置決めを精度良く行い、目的の印刷パターンを被印刷物上に精度良く印刷することができるスクリーン印刷方法を提供することを目的とする。
【解決手段】印刷パターンに対応する開口窓を有するスクリーンマスクと被印刷物との位置決めを行った後、前記印刷パターンを前記開口窓を通じて前記被印刷物に印刷するスクリーン印刷方法において、前記位置決めを、前記スクリーンマスク及び、前記被印刷物に位置決め基準を設け、前記スクリーンマスク側の位置決め基準の直上から光を照射して前記被印刷物上に前記スクリーンマスク側の位置決め基準の影を投影し、該影の位置と前記被印刷物側の位置決め基準の位置とのずれをなくすように前記被印刷物と前記スクリーンマスクを相対的に移動させることによって行うことを特徴とするスクリーン印刷方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被印刷物上に目的の印刷パターンを形成するスクリーン印刷において、印刷パターンを被印刷物上の所望の位置に精度良く印刷することができるスクリーン印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、フラットパネルディスプレイ等の画像表示装置やセラミック部品、プリント基板、太陽電池等の電子部品の製造工程の1つに、各種基板上に形成された溝や穴等の凹部の内部に電極や発光層を形成する工程がある。この電極や発光層は、基板上に形成された凹部に導電性や発光性のペースト状印刷材料を充填して形成されており、これらの材料が凹部に十分に充填され、かつ、凹部周辺の基板表面上にこれらの材料がはみ出さないことが必要とされている。
【0003】
これらの材料を基板の凹部へ充填する方法としては、フォトリソグラフィやインクジェット印刷等が用いられてきた。しかし、これらの方法は、導電性や発光性の印刷材料を精度良く高い充填率で凹部に充填することができるが、一方で、生産に要する費用が多大となるという問題があった。
【0004】
そこで、生産に要する費用を削減することを目的として、スクリーン印刷を用いて上記材料を基板上に形成された凹部に充填し、電極や発光層を形成することが行われている。
スクリーン印刷により基板上に形成された凹部に導電性や発光性の印刷材料を充填する方法としては、例えば図2のように、先ず、凹部12が形成された被印刷物1である基板上に、凹部12に対応した位置に開口窓9が設けられているスクリーンマスク2を設置する。
【0005】
そして、印刷材料11をスクリーンマスク2上に供給し、スクレッパ(不図示)をスクリーンマスク2上で平行移動させて開口窓9に印刷材料11を充填する。その後、スキージ10をスクリーンマスク2に接触させてスキージ10でスクリーンマスク2を基板に押し当てながらスキージ10を平行移動させて、開口窓9に充填された印刷材料11を基板上の凹部12内に押し出し、凹部12に印刷材料11を充填する。
ここで、印刷を精度良く行うためには、スクリーンマスク2の開口窓9と凹部12の位置が一致していることが重要である。すなわち、スクリーン印刷において、被印刷物とスクリーンマスクの位置決めが必要となる。
【0006】
上記のような一連の作業を繰り返すことにより、凹部12に導電性や発光性の印刷材料11が充填された基板を生産する。スクリーン印刷法を用いることにより、フォトリソグラフィやインクジェット印刷に比べ工程数の削減や処理速度の増大が図られ、生産に要する費用を削減することが可能である。
【0007】
また、このようなスクリーン印刷方法で、例えば太陽電池の電極を形成する場合、ペースト状印刷材料として、導電性ペースト材料が用いられるが、一般的に導電性ペースト材料の特性等から、一度の印刷で形成される電極の線幅に対してその高さは半分が限界とされており、線幅が細く厚い、すなわち、アスペクト比が高い電極を1度のスクリーン印刷で形成することは困難である。
【0008】
そこで、例えば太陽電池のフィンガー電極のような、高アスペクト比が要求される電極を得るために、スクリーン印刷を複数回繰り返して、下層の電極線上に導電性ペーストを重ね合わせて印刷し、複層構造の電極を形成することが行われる。
しかし、このようにして、複層構造の電極を形成すると、下層の電極線のパターンとスクリーンマスクの開口窓の位置にずれが存在している場合、本来は垂直に積み重なるべき電極パターンが少しずつ傾斜していくといったようなずれが、層間で発生してしまい、安定した特性が得られず、電極のシャドウロスが発生してしまうという問題があった。
【0009】
このように、スクリーン印刷において、被印刷物とスクリーンマスクの位置決めを精度良く行う必要があり、従来は、例えば以下に示すような位置決め方法を用いていた。
図3は、スクリーン印刷時における、従来の位置決め方法の例を示す説明概要図である。
被印刷物1は、印刷ステージ8上に載置され固定される。そして、被印刷物1の位置をカメラ7でチェックしながら、機械的な辺合わせ、もしくはセンター出しなどで、印刷ステージ8を微動させて被印刷物1の位置決めを行う。
その後、印刷ステージ8はスクリーンマスク2の直下まで所定量移動し、その後、被印刷物上に印刷パターンがスクリーン印刷される。
【0010】
ところが、カメラ7の直下で正確に被印刷物1の位置決めを行っても、スクリーンマスク2の直下に印刷ステージ8が所定量移動する際、例えば移動の手段として用いられるボールねじの摩擦熱等により、印刷ステージ8とボールねじとの接続部等に歪みが発生する。この歪みにより、印刷ステージ8の移動距離に誤差が生じ、被印刷物への印刷パターンの印刷位置とスクリーンマスクの開口窓にずれが発生する。このため、印刷された印刷パターンの位置が本来印刷されるべき位置からずれてしまうといった問題があった。
【0011】
この問題に対し、移動してきた印刷ステージがストッパに接触する際、圧縮バネによりモーターの駆動力を吸収して印刷ステージの位置決めとスクリーン印刷を正確に行う方法が開示されている(特許文献1参照)。
しかし、この方法においては、圧縮バネやセンサーの調節を頻繁に行わなければならず、また摩擦熱により印刷機全体に歪みが発生した場合、ズレを吸収しきれなくなるという問題があった。
【特許文献1】特許公開平7−136889
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は前述のような問題に鑑みてなされたもので、スクリーン印刷において、スクリーンマスクと被印刷物との位置決めを精度良く行い、目的の印刷パターンを被印刷物上に精度良く印刷することができるスクリーン印刷方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明によれば、印刷パターンに対応する開口窓を有するスクリーンマスクと被印刷物との位置決めを行った後、前記印刷パターンを前記開口窓を通じて前記被印刷物に印刷するスクリーン印刷方法において、前記位置決めを、前記スクリーンマスク及び、前記被印刷物に位置決め基準を設け、前記スクリーンマスク側の位置決め基準の直上から光を照射して前記被印刷物上に前記スクリーンマスク側の位置決め基準の影を投影し、該影の位置と前記被印刷物側の位置決め基準の位置とのずれをなくすように前記被印刷物と前記スクリーンマスクを相対的に移動させることによって行うことを特徴とするスクリーン印刷方法が提供される(請求項1)。
【0014】
このように、前記位置決めを、前記スクリーンマスク及び、前記被印刷物に位置決め基準を設け、前記スクリーンマスク側の位置決め基準の直上から光を照射して前記被印刷物上に前記スクリーンマスク側の位置決め基準の影を投影し、該影の位置と前記被印刷物側の位置決め基準の位置とのずれをなくすように前記被印刷物と前記スクリーンマスクを相対的に移動させることによって行うことで、印刷時にスクリーンマスクと被印刷物との位置決めを精度良く行うことができ、目的の印刷パターンを被印刷物上に精度良く印刷することができる。
【0015】
このとき、前記被印刷物と前記スクリーンマスクの位置決めを行う際、前記影と前記被印刷物側の位置決め基準の画像を画像処理手段に取り込み、前記画像を画像処理して前記ずれの量を算出し、前記被印刷物と前記スクリーンマスクを前記算出したずれの量だけ相対的に移動させて位置決めすることができる(請求項2)。
【0016】
このように、前記被印刷物と前記スクリーンマスクの位置決めを行う際、前記影と前記被印刷物側の位置決め基準の画像を画像処理手段に取り込み、前記画像を画像処理して前記ずれの量を算出し、前記被印刷物と前記スクリーンマスクを前記算出したずれの量だけ相対的に移動させて位置決めすることで、印刷時にスクリーンマスクと被印刷物との位置決めをより精度良く行うことができ、その工程を自動化することができる。
【0017】
またこのとき、前記被印刷物は太陽電池の電極であることができる(請求項3)。
本発明のスクリーン印刷方法では、目的の印刷パターンを被印刷物上に精度良く印刷することができるので、高精度かつ低コスト化が要求される太陽電池の電極のスクリーン印刷において特に有用である。
【0018】
またこのとき、前記スクリーンマスク及び被印刷物の位置決め基準として、アラインメントマークを用いることができる(請求項4)。
このように、前記スクリーンマスク及び被印刷物の位置決め基準として、アラインメントマークを用いれば、具体的に位置決め基準を設定することができ、容易に精度良く位置決めを行うことができる。
【0019】
またこのとき、前記被印刷物は第1層目に電極パターンが印刷された太陽電池の電極であり、前記被印刷物側の位置決め基準として、前記第1層目の電極パターンを用い、また前記スクリーンマスク側の位置決め基準として、印刷する太陽電池の電極パターンに対応する開口窓を用い、前記第1層目の電極パターンの上に、少なくとも1層以上の電極パターンを印刷して複層構造の電極とすことができる(請求項5)。
【0020】
このように、前記被印刷物は第1層目に電極パターンが印刷された太陽電池の電極であり、前記被印刷物側の位置決め基準として、前記第1層目の電極パターンを用い、また前記スクリーンマスク側の位置決め基準として、印刷する太陽電池の電極パターンに対応する開口窓を用い、前記第1層目の電極パターンの上に、少なくとも1層以上の電極パターンを印刷して複層構造の電極とすれば、アラインメントマークがなくても具体的に位置決め基準を設定することができ、電極パターンを精度良く印刷することができる。すなわち、シャドウロスを低減した複層構造の電極をスクリーン印刷することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明では、スクリーン印刷において、位置決めを、スクリーンマスク及び、被印刷物に位置決め基準を設け、前記スクリーンマスク側の位置決め基準の直上から光を照射して前記被印刷物上に前記スクリーンマスク側の位置決め基準の影を投影し、該影の位置と前記被印刷物側の位置決め基準の位置とのずれをなくすように前記被印刷物と前記スクリーンマスクを相対的に移動させることによって行うので、スクリーンマスクと被印刷物との位置決めを精度良く行うことができ、目的の印刷パターンを被印刷物上に精度良く印刷することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明について実施の形態を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
従来より、プリント基板の電子部品、太陽電池の電極等を形成する際、基板上に導電性のペースト状の印刷材料をスクリーン印刷する方法が用いられてきた。しかし、被印刷物に目的の印刷パターンをスクリーン印刷する際、被印刷物とスクリーンマスクの位置のずれがあることにより、被印刷物上に目的の印刷パターンが所望の位置に精度良く印刷されないという問題があった。
【0023】
そこで、本発明者はこのような問題を解決すべく鋭意検討を重ねた。その結果、被印刷物とスクリーンマスクの位置決めを精度良く行うために、スクリーンマスク及び、被印刷物に位置決め基準を設け、光の照射によって被印刷物上にスクリーンマスク側の位置決め基準の影を投影し、その影の位置と被印刷物側の位置決め基準の位置と比較して位置の補正を行えば、精度良く位置決めができることに想到し、本発明を完成させた。
【0024】
本発明のスクリーン印刷方法を、太陽電池の製造工程の中で、基板上に形成された溝状の凹部に導電性ペーストを充填し電極を形成する工程を例に挙げて説明する。
まず、印刷パターンを印刷する被印刷物、及びその印刷パターンに対応する開口窓を有するスクリーンマスクを用意する。被印刷物としては、例えば、シリコン単結晶ウェーハを用いることができる。このシリコン単結晶ウェーハには、予め研削加工によって形成された溝状の凹部(電極パターン)が設けられている。
【0025】
スクリーンマスクには印刷パターン、すなわちウェーハ表面の溝状の凹部に対応する位置に開口窓が設けられている。そして、被印刷物、及びスクリーンマスクに、両者の位置決めを行う際に基準とする位置決め基準を設ける。
このとき、被印刷物、及びスクリーンマスクの位置決め基準をアラインメントマークとすることができる。アラインメントマークを設けて位置決め基準とすれば、容易に精度良く位置決めを行うことができる。
【0026】
ここで、アラインメントマークは複数設けることができる。少なくとも2つ以上設ければ位置決め精度をより向上することができるが、特にこれに限定されず、1つでも良い。また、アラインメントマークは、被印刷物、及びスクリーンマスクのどの位置に設けても良く、被印刷物とスクリーンマスクのアラインメントマークがそれぞれ対応するように構成されていれば良いが、例えば、印刷時にスクリーンマスクの歪みが少ない中央部に設けることで、スクリーンマスクの歪みによる位置決め誤差を小さくすることができる。
【0027】
次に、図1に示すように、印刷ステージ8を下降させ、被印刷物1であるウェーハを印刷ステージ8上に載置し固定する。そして、ウェーハ1の上方にスクリーンマスク2を設置する。
その後、スクリーンマスク2側のアラインメントマーク4の直上からライト5によって光を照射する。このように、アラインメントマーク4の直上から光を照射することによって、ウェーハ1上にスクリーンマスク2側のアラインメントマーク4の影6が投影される。
【0028】
この影6の位置と、ウェーハ1側のアラインメントマーク3の位置のずれをなくすように、ウェーハ1(印刷ステージ8)とスクリーンマスク2を相対的に移動させることにより、極めて誤差の少ない位置決めを行うことができる。
【0029】
このとき、影6と被印刷物1であるウェーハ側のアラインメントマーク3の画像をカメラ7を用いて画像処理手段に取り込み、その画像を画像処理して、影6とウェーハ1側のアラインメントマーク3の位置のずれの量を算出し、ウェーハ1とスクリーンマスク2を、算出したずれの量だけ相対的に移動させて位置決めすることができる。
このように、カメラ7で取り込んだ、影6と被印刷物1であるウェーハ側のアラインメントマーク3の画像から両者の位置のずれの量を算出することにより、正確にずれ量を算出することができ、スクリーンマスク2と被印刷物1との位置決めをより精度良く行うことができる。また、この工程を自動化することができる。尚、図1では判り易くするために、アライメントマーク3は突出するように設けられているが凹んでいても良いことは言うまでもない。
【0030】
ここで、印刷ステージ8の上下動可能な距離を大きくすれば、カメラ7を固定したまま、カメラ7の視認範囲を広げることができ、例えば、アラインメントマーク3、4を中央部に設けた場合であっても、そのアラインメントマーク3、及びアラインメントマーク4の影6の位置をカメラの視認範囲とすることができる。
【0031】
このようにして被印刷物1であるウェーハとスクリーンマスク2の位置決めを行った後、印刷ステージ8を所定の位置まで上昇させ、スクリーンマスク2上に印刷材料である導電性ペーストを供給し、スクレッパをスクリーンマスク2に平行な方向に移動させてスクリーンマスク2の開口窓9に導電性ペーストを充填する。
【0032】
次に、図2に示すように、スキージ10を印刷材料11である導電性ペーストに直接接触させて加圧すると共に、スクリーンマスク2には接触しないようにしてスクリーンマスク2上を平行移動させると、スキージ10から導電性ペースト11を介してスクリーンマスク2に圧力がかかり、スクリーンマスク2がウェーハ1に接触し、導電性ペースト11が開口窓9を通って押し出され、ウェーハ1に形成された溝状の凹部12内部に充填され、電極が形成される。
【0033】
また、本発明のスクリーン印刷方法は、太陽電池の複層構造電極の形成における、電極パターンの印刷に用いることができる。複層構造の電極は、第1層目の電極パターンと同一パターンが複数層重ね合わされて形成されており、電極の線幅に対し、線の高さが高い、すなわち、アスペクト比が高い電極として利用される。従って、第1層目に対し、その上に積層される第2層目以降が正確に第1層目とパターン上に精度良く印刷される必要がある。このような場合に、本発明は特に有効である。
【0034】
すなわち、本発明のスクリーン印刷方法では、被印刷物1を第1層目に電極パターンが印刷された太陽電池の電極とし、被印刷物側の位置決め基準として、第1層目の電極パターンを用い、またスクリーンマスク2側の位置決め基準として、印刷する太陽電池の電極パターンに対応する開口窓9を用いることができる。
【0035】
この場合、まず、第1層の電極パターンが印刷された例えばシリコン単結晶ウェーハ等の半導体基板を準備する。そして、この基板を印刷ステージ8上に固定する。そして、スクリーンマスク2を基板の上方に設置する。
その後、スクリーンマスク2の開口窓9の直上からライト5によって光を照射し、基板上にスクリーンマスク2の開口窓9の影を投影する。そして、その影と第1層目の電極パターンのずれの量を、前述と同様にして算出し、基板(印刷ステージ)とスクリーンマスクの位置決めを行う。
【0036】
その後、第1層目の電極パターンの上に、上記と同様にしてスクリーン印刷して、これを少なくとも1回以上繰り返すことにより、複層構造の電極とすることができる。
このようにして、被印刷物1とスクリーンマスク2の位置決めを行った後、電極パターンをスクリーン印刷することで、アラインメントマークがなくても具体的に位置決め基準を設定して位置決めを精度良く行うことができ、複層構造の電極パターンを精度良く重ね合わせて印刷することができる。すなわち、電極幅が不必要に幅広となっておらず、シャドウロスを低減した複層構造の電極をスクリーン印刷することができる。
【0037】
以上説明したように、本発明では、被印刷物とスクリーンマスクの位置決めを行った後、被印刷物に印刷するスクリーン印刷方法において、その位置決めを、スクリーンマスク及び、被印刷物に位置決め基準を設け、スクリーンマスク側の位置決め基準の直上から光を照射して被印刷物上に前記スクリーンマスク側の位置決め基準の影を投影し、該影の位置と被印刷物側の位置決め基準の位置とのずれをなくすように被印刷物とスクリーンマスクを相対的に移動させることによって行うので、印刷時にスクリーンマスクと被印刷物との位置決めを精度良く行うことができ、目的の印刷パターンを被印刷物上に精度良く印刷することができる。
【実施例】
【0038】
以下、本発明の実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0039】
(実施例)
シリコン単結晶ウェーハ上に太陽電池の電極パターンを本発明のスクリーン印刷方法を用い、50枚のウェーハを連続して印刷して、被印刷物上に印刷された印刷パターンと本来印刷されるべき印刷パターンの位置とのずれ量を測定し、そのずれ量の経時変化を評価した。
まず、厚さ300μm、直径125mmのシリコン単結晶ウェーハ50枚を準備した。そして、それぞれのウェーハに、研削加工により、幅90μm、深さ60μmの溝状の凹部を形成した。また、位置決め基準としてのアラインメントマークをウェーハの中央付近に2箇所設けた。
【0040】
このシリコン単結晶ウェーハを印刷ステージ上に固定し、その上方にウェーハの凹部に対応した開口窓、及びウェーハ側のアラインメントマークに対応する2つのアラインメントマークを有するスクリーンマスクを設置した。
次に、スクリーンマスク側のアラインメントマークの直上からライトにより光を照射し、それによってウェーハ上に投影されたスクリーンマスク側のアラインメントマークの影とウェーハ側のアラインメントマークの画像をカメラに取り込み、画像処理して両者のずれの量を算出した。
【0041】
次に、算出したずれの量だけ、印刷ステージを移動させ位置決めを行った。
その後、印刷ステージを所定の位置まで上昇させ、スクリーンマスク上に粘度100pa・sの導電性ペーストを供給し、スクレッパでスクリーンマスクの開口窓に導電性ペーストを充填し、スキージを平行移動させてウェーハ上の凹部に導電性ペーストを充填した。
【0042】
測定したずれ量の結果を図4に示す。
図4に示すように、本発明のスクリーン印刷方法では、被印刷物上に印刷された印刷パターンと本来印刷されるべき印刷パターンの位置とのずれ量は極めて小さくなっており、時間の経過によるそのずれ量の変化も非常に小さく抑えられている。また、後述の比較例の従来のスクリーン印刷方法によるずれ量と比較して、高精度に印刷されていることが分かる。
このようにして、本発明のスクリーン印刷方法は、印刷時にスクリーンマスクと被印刷物との位置決めを精度良く行うことができ、目的の印刷パターンを被印刷物上に精度良く印刷することができることが確認できた。
【0043】
(比較例)
図3に示すような、従来の被印刷物の位置決め工程により、被印刷物の位置決めを行った後、印刷ステージをスクリーンマスクの直下に移動させて印刷パターンをスクリーン印刷するスクリーン印刷方法を用いて、実施例1と同様の条件のウェーハ50枚に電極パターンを印刷し、実施例1と同様の評価を行った。
測定したずれ量の結果を図4に示す。
図4に示すように、実施例の結果と比較してずれ量は大きく、また時間の経過とともにそのずれ量は大きくなっていることが分かった。従って、所定周期でメンテナンスが必要となる。
【0044】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明に係るスクリーン印刷方法の一例を説明する概略説明図である。
【図2】スクリーン印刷における、印刷パターンを被印刷物上に印刷する様子を示す概略説明図である。
【図3】従来の被印刷物とスクリーンマスクの位置決め方法の一例を説明する概略説明図である。
【図4】実施例及び比較例の結果を示したグラフである。
【符号の説明】
【0046】
1…被印刷物、2…スクリーンマスク、3…被印刷物側のアラインメントマーク、
4…スクリーンマスク側のアラインメントマーク、5…ライト、6…影、
7…カメラ、8…印刷ステージ、9…開口窓、10…スキージ、
11…印刷材料、12…凹部。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷パターンに対応する開口窓を有するスクリーンマスクと被印刷物との位置決めを行った後、前記印刷パターンを前記開口窓を通じて前記被印刷物に印刷するスクリーン印刷方法において、前記位置決めを、前記スクリーンマスク及び、前記被印刷物に位置決め基準を設け、前記スクリーンマスク側の位置決め基準の直上から光を照射して前記被印刷物上に前記スクリーンマスク側の位置決め基準の影を投影し、該影の位置と前記被印刷物側の位置決め基準の位置とのずれをなくすように前記被印刷物と前記スクリーンマスクを相対的に移動させることによって行うことを特徴とするスクリーン印刷方法。
【請求項2】
前記被印刷物と前記スクリーンマスクの位置決めを行う際、前記影と前記被印刷物側の位置決め基準の画像を画像処理手段に取り込み、前記画像を画像処理して前記ずれの量を算出し、前記被印刷物と前記スクリーンマスクを前記算出したずれの量だけ相対的に移動させて位置決めすることを特徴とする請求項1に記載のスクリーン印刷方法。
【請求項3】
前記被印刷物は太陽電池の電極であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のスクリーン印刷方法。
【請求項4】
前記スクリーンマスク及び被印刷物の位置決め基準として、アラインメントマークを用いることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のスクリーン印刷方法。
【請求項5】
前記被印刷物は第1層目に電極パターンが印刷された太陽電池の電極であり、前記被印刷物側の位置決め基準として、前記第1層目の電極パターンを用い、また前記スクリーンマスク側の位置決め基準として、印刷する太陽電池の電極パターンに対応する開口窓を用い、前記第1層目の電極パターンの上に、少なくとも1層以上の電極パターンを印刷して複層構造の電極とすることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のスクリーン印刷方法。






【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−23307(P2010−23307A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−185892(P2008−185892)
【出願日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】