説明

スクリーン印刷機及びスクリーン印刷方法

【課題】基板のサイズによらず基板の十分な反りの矯正をしたうえでスクリーン印刷を実行することができるスクリーン印刷機及びスクリーン印刷方法を提供することを目的とする。
【解決手段】一対のベルトコンベア機構から成る搬送コンベア11により基板PBを搬送して作業位置に位置決めした後、基板PBに対してプレート部材18を基板PBの搬送方向と直交する方向(搬送される基板PBの幅方向)に移動させ、搬送コンベア11を構成する一対のベルトコンベア機構の間隔(コンベア幅)に基づいて求められる基板PBの中心軸C1とプレート部材18の中心軸C2を上下方向に一致させて基板PBとプレート部材18の中心軸合わせを行った後、基板PBとプレート部材18を互いに上下方向に押し付けて基板PBの反りの矯正を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスクプレートのパターン孔を介して基板に半田ペーストなどのペーストを印刷するスクリーン印刷機及びスクリーン印刷方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
スクリーン印刷機は、一対のベルトコンベア機構から成る基板搬送手段によって基板の搬送と作業位置への位置決めを行った後、基板の印刷対象部位に応じてパターン孔が設けられたマスクプレートを基板の印刷面に接触させ、マスクプレート上にペーストを供給してスキージを摺動させることにより、パターン孔を介して基板上にペーストを印刷する。また、基板搬送手段は一対のベルトコンベア機構のうちの一方が移動不能な固定側ベルトコンベア機構、他方が搬送する基板の幅方向(基板の搬送方向と直交する水平面内方向)に移動自在な可動側ベルトコンベア機構となっており、可動側ベルトコンベア機構を基板の幅方向に移動させることによって一対のベルトコンベア機構の間隔(コンベア幅)を変えることができるようになっている。このためスクリーン印刷機では、異なるサイズ(幅方向寸法)の基板の搬送及び位置決めを行うことができ、これによりスクリーン印刷機は複数種の基板に対してスクリーン印刷を行うことができる。
【0003】
このようなスクリーン印刷機では、基板に反りが生じているとペーストの印刷を良好に行うことができないため、スクリーン印刷を実行する前に、基板を上方から押圧して基板の反りを矯正する必要がある。基板の反りを矯正する基板反り矯正装置としては、例えば、下端にプレート部材を有した上下シリンダを基板の搬送方向に移動自在な移動フレームに固定して設け、プレート部材を基板の上方に対向させた状態で上下シリンダを伸張させることにより、プレート部材を介して基板が上下シリンダによって押圧されるようにしたものが知られている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2005−305884号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、基板搬送手段によって搬送及び位置決めされる基板の中心軸(基板の搬送方向に延びる基板の中心線)の位置は、基板のサイズに対応して可変設定されるコンベア幅に応じて基板の幅方向に移動するため、基板の中心軸と基板反り矯正装置が備えるプレート部材の中心軸が上下方向に必ずしも一致せず、プレート部材から受ける押し付け力のかかり具合が基板全体として不均衡になって基板の反りを十分に矯正できない場合があった。この場合、基板に反りが残ってしまい、その後のスクリーン印刷における印刷精度が低下するおそれがあった。
【0005】
そこで本発明は、基板のサイズによらず基板の十分な反りの矯正をしたうえでスクリーン印刷を実行することができるスクリーン印刷機及びスクリーン印刷方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載のスクリーン印刷機は、基板を搬送して作業位置に位置決めする一対のベルトコンベア機構から成る基板搬送手段と、基板搬送手段による基板の搬送方向と直交する方向に移動自在に設けられたプレート部材と、作業位置に位置決めされた基板に対してプレート部材を基板の搬送方向と直交する方向に移動させ、基板搬送手段を構成する一対のベルトコンベア機構の間隔に基づいて求められる基板の中心軸とプレート部材の中心軸を上下方向に一致させて基板とプレート部材の中心軸合わせを行う中心軸合わせ手段と
、中心軸合わせがなされた基板とプレート部材を互いに上下方向に押し付けて基板の反りの矯正を行う押し付け手段と、反りの矯正がなされた基板に接触されるマスクプレートと、基板と接触されたマスクプレートにペーストを供給するペースト供給手段と、ペースト供給手段によりペーストが供給されたマスクプレートに対して摺動され、マスクプレートに設けられたパターン孔を介して基板にペーストを印刷するスキージと、を備えた。
【0007】
請求項2に記載のスクリーン印刷機は、請求項1に記載のスクリーン印刷機であって、押し付け手段は基板を上昇させてプレート部材に下方から押し付けるものである。
【0008】
請求項3に記載のスクリーン印刷方法は、一対のベルトコンベア機構から成る基板搬送手段により基板を搬送して作業位置に位置決めする工程と、作業位置に位置決めした基板に対してプレート部材を基板の搬送方向と直交する方向に移動させ、基板搬送手段を構成する一対のベルトコンベア機構の間隔に基づいて求められる基板の中心軸とプレート部材の中心軸を上下方向に一致させて基板とプレート部材の中心軸合わせを行う工程と、中心軸合わせがなされた基板とプレート部材を互いに上下方向に押し付けて基板の反りの矯正を行う工程と、反りの矯正がなされた基板にマスクプレートを接触させる工程と、基板と接触したマスクプレートにペーストを供給する工程と、ペーストが供給されたマスクプレートに対してスキージを摺動させ、マスクプレートに設けられたパターン孔を介して基板にペーストを印刷する工程と、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、作業位置に位置決めした基板に対してプレート部材を基板の搬送方向と直交する方向に移動させ、基板搬送手段を構成する一対のベルトコンベア機構の間隔に基づいて求められる基板の中心軸とプレート部材の中心軸を上下方向に一致させて基板とプレート部材の中心軸合わせを行った後、基板とプレート部材を互いに上下方向に押し付けて基板の反りを矯正するようになっている。このため基板のサイズ(幅方向寸法)によらず基板の十分な反りの矯正をしたうえでスクリーン印刷を実行することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機の平面図、図2は本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機の側面図、図3は本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機を構成する印刷装置の正面図、図4は本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機の制御系統を示すブロック図、図5(a),(b)は本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機が備える搬送コンベアのコンベア幅を変更した様子を示す図、図6(a),(b)及び図7(a),(b)は本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機の動作説明図、図8(a),(b)は本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機において基板がプレート部材に押し付けられる様子を示す図、図9(a),(b)は本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機を構成する印刷装置の動作説明図である。
【0011】
図1及び図2において、本実施の形態におけるスクリーン印刷機1は、基板PBの搬送方向の上流側(図1及び図2における紙面左側)から投入された基板PBに対して半田ペーストや導電性ペースト等のペーストのスクリーン印刷を行って基板PBの搬送方向の下流側(図1及び図2における紙面右側)の装置(図示せず)に搬出する。以下の説明では、スクリーン印刷機1における基板PBの搬送方向をX軸方向とし、X軸方向と直交する水平面内方向をY軸方向とする。また、上下方向をZ軸方向とする。
【0012】
図1及び図2において、スクリーン印刷機1は、基台2上に基板PBにスクリーン印刷を施す印刷装置3、この印刷装置3に基板PBを搬入する基板搬入コンベア4及び印刷装置3によってスクリーン印刷が施された基板PBを印刷装置3から搬出する基板搬出コン
ベア5を備えている。これら基板搬入コンベア4、印刷装置3及び基板搬出コンベア5はこの順でX軸方向に並んで設けられており、基板搬入コンベア4及び基板搬出コンベア5はそれぞれ、同期して駆動される左右一対のベルトコンベア機構から構成されている。
【0013】
図1、図2及び図3において、印刷装置3は、基板搬入コンベア4から基板PBを受け取ってX軸方向に搬送する搬送コンベア11と、搬送コンベア11上の基板PBをクランプして基板PBを搬送コンベア11上に固定するクランパ12と、搬送コンベア11上の基板PBの水平面内方向への位置合わせと上下方向への位置合わせを行う基板位置合わせ部13と、基板位置合わせ部13の上方に設けられたマスクプレート14と、スキージヘッド15と、基台2の上方をY軸方向に延び、基台2に相対的に固定して設けられたY軸ステージ16a、X軸方向に延び、Y軸ステージ16aに沿って移動自在に設けられたX軸ステージ16b及びX軸ステージ16bに沿って移動自在に設けられた移動プレート16cから成るXYロボット16と、XYロボット16の移動プレート16cに取り付けられたカメラユニット17と、XYロボット16のX軸ステージ16bに固定された水平なプレート部材18及びマスクプレート14上にペーストを供給するペースト供給部19を備えている。
【0014】
図2及び図3において、XYロボット16を構成するX軸ステージ16bは基板位置合わせ部13とマスクプレート14の間の領域に設けられている。このためX軸ステージ16bがY軸ステージ16aに沿ってY軸方向に移動すると、X軸ステージ16b上を移動自在に設けられた移動プレート16c(すなわちカメラユニット17)及びX軸ステージ16bに固定されたプレート部材18は、X軸ステージ16bと一体となって、基板位置合わせ部13とマスクプレート14の間の領域をY軸方向に移動する。
【0015】
図1及び図3において、搬送コンベア11は同期して駆動される左右一対のベルトコンベア機構から構成されており、クランパ12はY軸方向に開閉動作する左右一対の部材から構成されている。
【0016】
図3において、基板位置合わせ部13は、基台2に対してY軸方向に相対移動するYテーブル13a、Yテーブル13aに対してX軸方向に相対移動するXテーブル13b、Xテーブル13bに対してZ軸回りに相対回転するθテーブル13c、θテーブル13cに固定されたベースプレート13d、ベースプレート13dに対して相対昇降する第1昇降プレート13e、第1昇降プレート13eに対して相対昇降する第2昇降プレート13f及び第2昇降プレート13fに固定された基板支持部材13gを有して構成されている。
【0017】
基台2に対するYテーブル13aのY軸方向への移動、Yテーブル13aに対するXテーブル13bのX軸方向への移動、Xテーブル13bに対するθテーブル13cのZ軸回りの回転、ベースプレート13dに対する(すなわちθテーブル13cに対する)第1昇降プレート13eの昇降、第1昇降プレート13eに対する第2昇降プレート13fの(すなわち基板支持部材13gの)昇降の各動作は、このスクリーン印刷機1が備える制御装置20(図4)がYテーブル駆動モータMy(図3)やXテーブル駆動モータMx(図3)等のアクチュエータ等から成る基板位置合わせ部作動機構21(図4)の作動制御を行うことによってなされる。
【0018】
また、搬送コンベア11による基板PBの搬送動作は、制御装置20が図示しないアクチュエータ等から成る搬送コンベア作動機構22(図4)の作動制御を行うことによってなされ(図4)、クランパ12による搬送コンベア11上の基板PBのクランプ動作は制御装置20が図示しないアクチュエータ等から成るクランパ作動機構23(図4)の作動制御を行うことによってなされる。
【0019】
図1及び図3において、マスクプレート14は平面視において矩形形状を有するマスク枠14aによって四辺が支持されており、マスク枠14aによって囲まれた内側領域には、印刷対象物である基板PBの上面に形成された電極(図示せず)の形状及び位置に対応した多数のパターン孔(図示せず)が設けられている。
【0020】
図3において、スキージヘッド15はY軸方向に移動自在に設けられた移動ビーム15pに、Y軸方向に対向する2つのスキージ15aが取り付けられた構成となっている。各スキージ15aはX軸方向に延びた「へら」状の部材であり、移動ビーム15pに対する昇降動作とアタック角の設定を行うことができるようになっている。アタック角とは、搬送コンベア11上の基板PB或いはマスクプレート14に対してスキージ15aがなす角度αのことである。
【0021】
移動ビーム15pのY軸方向への移動動作は、制御装置20が図示しないアクチュエータ等から成るスキージヘッド移動機構24(図4)の作動制御を行うことによってなされ、各スキージ15aの昇降動作は、制御装置20がスキージ昇降シリンダ15b(図3)等から成るスキージ昇降機構25(図4)の作動制御を行うことによってなされる。また、各スキージ15aのアタック角の設定動作は、制御装置20が図示しないアクチュエータ等から成るアタック角設定機構26(図4)の作動制御を行うことによってなされる。
【0022】
XYロボット16を構成するX軸ステージ16bのY軸方向への移動動作及び移動プレート16cのX軸方向への移動動作は、制御装置20が図示しないアクチュエータから成るXYロボット作動機構34(図4)の作動制御を行うことによってなされる。
【0023】
図3において、カメラユニット17は撮像面を下方に向けた第1カメラ17aと撮像面を上方に向けた第2カメラ17bを備えて成る。第1カメラ17aは、制御装置20に制御されて基板位置合わせ部13によって位置合わせされた基板PBに設けられている基板位置検出マークM(図1)の撮像を行い、第2カメラ17bは、制御装置20に制御されてマスクプレート14に設けられているマスク位置検出マーク(図示せず)の撮像を行う。第1カメラ17a及び第2カメラ17bの撮像によって得られた画像データは制御装置20に入力される(図4)。
【0024】
図3において、ペースト供給部19は、基板位置合わせ部13に対して水平面内方向に移動自在に設けられた移動プレート19pに、基板PBに印刷しようとするペーストを下方に吐出するシリンジ19aが取り付けられた構成となっている。移動プレート19pの移動動作は、制御装置20が図示しないアクチュエータ等から成るペースト供給部移動機構38(図4)の作動制御を行うことによってなされ、シリンジ19aによるペーストの供給動作は、制御装置20が図示しないアクチュエータ等から成るペースト供給機構39(図4)の作動制御を行うことによってなされる。
【0025】
また、基板搬入コンベア4による基板PBの搬送(搬入)動作の制御及び基板搬出コンベア5による基板PBの搬送(搬出)動作の制御は制御装置20によってなされる(図4)。
【0026】
ここで、スクリーン印刷機1において、基板搬入コンベア4、搬送コンベア11及び基板搬出コンベア5はそれぞれ、左右一対のベルトコンベア機構のうち一方が基台2に対して移動不能な固定側ベルトコンベア機構、他方が搬送する基板PBの幅方向(基板PBの搬送方向と直交する水平面内方向であり、Y軸方向)に移動自在な可動側ベルトコンベア機構となっており、可動側ベルトコンベア機構を基板PBの幅方向に移動させることによって左右一対のベルトコンベア機構の間隔(コンベア幅)を可変設定することができるようになっている。このため、このスクリーン印刷機1では異なるサイズ(幅方向寸法)の
基板PBの搬送及び位置決めを行うことができ、これによりスクリーン印刷機1は複数種の基板PBに対してスクリーン印刷を行うことができる。
【0027】
図5(a),(b)は基板PBのサイズに応じ、搬送コンベア11の固定側ベルトコンベア機構CBaに対して可動側ベルトコンベア機構CBbを基板PBの幅方向に移動させることによって、搬送コンベア11のコンベア幅Wを変更した様子を示したものであり、図5(b)は図5(a)よりも相対的にコンベア幅Wが小さいときを示している。また、この図から分かるように、搬送コンベア11のコンベア幅Wを変更すると、搬送コンベア11によって搬送される基板PBの中心軸(基板PBの搬送方向に延びる基板PBの中心線)C1の位置が、基板PBの幅方向(Y軸方向)に移動する。なお、ここでは搬送コンベア11についてのみ示しているが、基板搬入コンベア4及び基板搬出コンベア5についても同様である。
【0028】
コンベア幅の設定入力はオペレータが制御装置20に繋がるコンベア幅設定入力部40(図4)から所定の操作を行うことによってなされ、コンベア幅設定入力部40から出力されたコンベア幅の設定値の信号入力を受けた制御装置20は、図示しないアクチュエータ等から成るコンベア幅設定機構41(図4)を介して基板搬入コンベア4、搬送コンベア11及び基板搬出コンベア5それぞれの可動側ベルトコンベア機構をY軸方向に移動させ、これら基板搬入コンベア4、搬送コンベア11及び基板搬出コンベア5のコンベア幅がいずれもコンベア幅設定入力部40から入力された設定値になるようにする。
【0029】
次に、図6〜図9を用いて本実施の形態におけるスクリーン印刷機1の動作について説明する。
【0030】
スクリーン印刷機1の制御装置20は、基板搬入コンベア4の上流側から基板PBが投入されたことを図示しない検知手段により検知したら、基板搬入コンベア4を作動させてその基板PBを受け取り、印刷装置3の搬送コンベア11に向けて搬送する(図6(a)。図中に示す矢印A1。基板搬入工程)。
【0031】
制御装置20は、基板搬入コンベア4により印刷装置3の搬送コンベア11に基板PBが投入されたことを図示しない検知手段により検知したら、搬送コンベア11を作動させてその基板PBを受け取り、作業位置に向けて搬送する。そして、基板PBが作業位置に到達したら、搬送コンベア11による基板PBの搬送作動を停止させて、基板PBを作業位置に位置決めする(図6(b)。基板位置決め工程)。
【0032】
制御装置20は、基板PBを作業位置に位置決めしたら、XYロボット16を構成するX軸ステージ16bの作動制御を行って、プレート部材18をY軸方向(基板PBの搬送方向と直交する水平面内方向)に移動させ、基板PBの中心軸C1(図1)とプレート部材18の中心軸C2(図1)を上下方向に一致させて基板PBとプレート部材18の中心軸合わせを行う(中心軸合わせ工程)。
【0033】
ここで制御装置20は、基板PBのサイズ(幅方向寸法)に応じて変化する基板PBの中心軸C1の位置を求めるに当たり、先ず、コンベア幅設定入力部40からオペレータが入力したコンベア幅の設定値に基づいて、搬送コンベア11を構成する一対のベルトコンベア機構(固定側ベルトコンベア機構CBa及び可動側ベルトコンベア機構CBb)の間隔(コンベア幅)を検知する。そして、その検知したコンベア幅に基づいて、基板PBの中心軸C1の位置を求める。なお、コンベア幅と基板PBの中心軸C1の関係データは、制御装置20に繋がる記憶装置20a(図4)に予め記憶されている。
【0034】
すなわち、この中心軸合わせ工程において、制御装置20及び制御装置20によって作
動制御がなされるXYロボット16は、作業位置に位置決めされた基板PBに対してプレート部材18を基板PBの搬送方向と直交する方向(搬送する基板PBの幅方向)に移動させ、搬送コンベア11を構成する一対のベルトコンベア機構の間隔(コンベア幅)に基づいて求められる基板PBの中心軸C1とプレート部材18の中心軸C2を上下方向に一致させて基板PBとプレート部材18の中心軸合わせを行う中心軸合わせ手段として機能している。
【0035】
制御装置20は、基板PBとプレート部材18の中心軸合わせを行ったら、第2昇降プレート13fを第1昇降プレート13eに対して相対上昇させ(図7(a)中に示す矢印A2)、基板支持部材13gの上面を基板PBの下面に下方から当接させて、基板PBを基板支持部材13gに支持させる。そして更に、第2昇降プレート13fを上昇させて基板PBが搬送コンベア11から上方に離間するように基板PBを持ち上げていき、基板PBをプレート部材18の下面に下方から押し付ける(図7(a)。押し付け工程)。これにより基板PBはプレート部材18と基板支持部材13gに挟まれ、基板PBの反りが矯正される。図8(a)はプレート部材18に押し付けられる前の反りがある状態の基板PBを示しており、図8(b)はプレート部材18に押し付けられて反りが矯正されている状態の基板PBを示している。
【0036】
すなわち、この押し付け工程において、制御装置20及び制御装置20によって作動制御がなされる基板位置合わせ部13は、中心軸合わせがなされた基板PBとプレート部材18を互いに上下方向に押し付けて基板PBの反りの矯正を行う押し付け手段として機能している。
【0037】
制御装置20は、基板PBとプレート部材18の押し付けが終了したら、第2昇降プレート13fを第1昇降プレート13eに対して相対下降させ(図7(b)中に示す矢印A3)、基板PBが搬送コンベア11に上方から載置されたところで第2昇降プレート13fの下降を停止させる。制御装置20は、第2昇降プレート13fの下降を停止させたら、クランパ作動機構23の作動制御を行い、クランパ12により基板PBを搬送コンベア11上に固定する。そして、XYロボット16のX軸ステージ16bをY軸方向に移動させて、プレート部材18を搬送コンベア11の上方位置から外れた所定の待機位置に移動させる(図1)。
【0038】
制御装置20は、クランパ12により基板PBを搬送コンベア11上に固定したら、XYロボット16の作動制御による第1カメラ17aの移動と第1カメラ17aの撮像制御を行って基板PBの基板位置検出マークMの画像データを取得し、基板PBの位置を把握するとともに、XYロボット16の作動制御による第2カメラ17bの移動と第2カメラ17bの撮像制御を行ってマスクプレート14のマスク位置検出マークの画像データを取得し、マスクプレート14の位置を把握する。
【0039】
制御装置20は、基板PBの位置とマスクプレート14の位置を把握したら、基板位置合わせ部13による基板PBの水平面内方向の移動動作によって、基板PBをマスクプレート14の直下の所定位置に位置させた後、基板位置合わせ部13による基板PBの垂直方向の移動(第1昇降プレート13eの上昇)動作によって(図9(a)中に示す矢印A4)、基板PBの印刷面(上面)をマスクプレート14の下面に下方から接触させる(マスクプレート接触工程)。これによりマスクプレート14が基板PBに対して位置合わせされる(図9(a))。
【0040】
制御装置20は、マスクプレート14に対する基板PBの位置合わせを行ったら、基板PBに対するスクリーン印刷を実行する。これには先ず、ペースト供給部19をマスクプレート14の上方に移動させ、シリンジ19aからマスクプレート14の上面にペースト
Pを供給する(図9(a)。ペースト供給工程)。
【0041】
制御装置20は、マスクプレート14の上面にペーストPを供給したら、一方のスキージ15aを下降させてそのスキージ15aの下縁をマスクプレート14の上面に当接させる(図9(b))。そして、スキージヘッド15をY軸方向に移動させ、ペーストPをスキージ15aによってかき寄せて、ペーストPをマスクプレート14のパターン孔内に充填させる。
【0042】
なお、図9(b)は、図中の左側のスキージ15aを矢印A5の方向に移動させることによってペーストPを矢印A5の方向にかき寄せる様子を示したものである。ペーストPを矢印A5と反対の方向にかき寄せるときには、図中の右側のスキージ15aをマスクプレート14の上面に当接させて、スキージヘッド15を矢印A5と反対の方向に移動させる。
【0043】
制御装置20は、マスクプレート14のパターン孔内にペーストPを充填させたら、第2昇降プレート13fを第1昇降プレート13eに対して相対下降させ、マスクプレート14を基板PBから分離させる。これにより、いわゆる版離れが行われ、マスクプレート14のパターン孔内に充填されたペーストPが基板PB上に印刷(転写)される(印刷工程)。
【0044】
制御装置20は、基板PBにペーストを印刷したら、基板位置合わせ部13を作動させて、搬送コンベア11の基板搬出コンベア5に対する位置調整を行ったうえで、基板PBを搬送コンベア11から基板搬出コンベア5に載せ換え、基板搬出コンベア5によって、基板PBをスクリーン印刷機1の外部に搬出する(基板搬出工程)。
【0045】
このように、本実施の形態におけるスクリーン印刷機1は、基板PBを搬送して作業位置に位置決めする一対のベルトコンベア機構(固定側ベルトコンベア機構CBa及び可動側ベルトコンベア機構CBb)から成る基板搬送手段としての搬送コンベア11、搬送コンベア11による基板PBの搬送方向と直交する方向(搬送する基板PBの幅方向)に移動自在に設けられたプレート部材18、作業位置に位置決めされた基板PBに対してプレート部材18を基板PBの搬送方向と直交する方向に移動させ、搬送コンベア11を構成する一対のベルトコンベア機構の間隔に基づいて求められる基板PBの中心軸C1とプレート部材18の中心軸C2を上下方向に一致させて基板PBとプレート部材18の中心軸合わせを行う中心軸合わせ手段(制御装置20及びXYロボット16)、中心軸合わせがなされた基板PBとプレート部材18を互いに上下方向に押し付けて基板PBの反りの矯正を行う押し付け手段(制御装置20及び基板位置合わせ部13)、反りの矯正がなされた基板PBに接触されるマスクプレート14、基板PBと接触されたマスクプレート14にペーストPを供給するペースト供給手段としてのペースト供給部19、ペースト供給部19によりペーストPが供給されたマスクプレート14に対して摺動され、マスクプレート14に設けられたパターン孔を介して基板PBにペーストPを印刷するスキージ15aを備えたものとなっている。
【0046】
また、本実施の形態におけるスクリーン印刷方法は、一対のベルトコンベア機構から成る搬送コンベア11により基板PBを搬送して作業位置に位置決めする工程(基板位置決め工程)、作業位置に位置決めした基板PBに対してプレート部材18を基板PBの搬送方向と直交する方向(搬送する基板PBの幅方向)に移動させ、搬送コンベア11を構成する一対のベルトコンベア機構の間隔に基づいて求められる基板PBの中心軸C1とプレート部材18の中心軸C2を上下方向に一致させて基板PBとプレート部材18の中心軸合わせを行う工程(中心軸合わせ工程)、中心軸合わせがなされた基板PBとプレート部材18を互いに上下方向に押し付けて基板PBの反りの矯正を行う工程(押し付け工程)
、反りの矯正がなされた基板PBにマスクプレート14を接触させる工程(マスクプレート接触工程)、基板PBと接触したマスクプレート14にペーストPを供給する工程(ペースト供給工程)及びペーストPが供給されたマスクプレート14に対してスキージ15aを摺動させ、マスクプレート14に設けられたパターン孔を介して基板PBにペーストPを印刷する工程(印刷工程)を含むものとなっている。
【0047】
このように、本実施の形態におけるスクリーン印刷機1(スクリーン印刷方法)では、作業位置に位置決めした基板PBに対してプレート部材18を基板PBの搬送方向と直交する方向(搬送する基板PBの幅方向)に移動させ、搬送コンベア11を構成する一対のベルトコンベア機構の間隔に基づいて求められる基板PBの中心軸C1とプレート部材18の中心軸C2を上下方向に一致させて基板PBとプレート部材18の中心軸合わせを行った後、基板PBとプレート部材18を互いに上下方向に押し付けて基板PBの反りを矯正するようになっている。このため基板PBのサイズ(幅方向寸法)によらず、基板PBの十分な反りの矯正をしたうえでスクリーン印刷を実行することができる。
【0048】
ここで、本実施の形態におけるスクリーン印刷機1では、中心軸合わせがなされた基板PBとプレート部材18を互いに上下方向に押し付けて基板PBの反りの矯正を行う押し付け手段は制御装置20及び基板位置合わせ部13から成り、基板PBを上昇させてプレート部材18に下方から押し付けるタイプのものとなっているが、このようなタイプのものに替えて、プレート部材18を下降させて基板PBに上方から押し付けるタイプのものとすることもできる。この場合、制御装置20により作動制御がなされてプレート部材18を昇降させるプレート部材昇降機構(例えば空圧シリンダ)がX軸ステージ16bとプレート部材18の間に介装されることになる。
【0049】
しかし、このようなプレート部材昇降機構が移動部材であるX軸ステージ16bに設けられると、X軸ステージ16bを移動させるためのアクチュエータの最大出力を大きくする必要がでてきたり、プレート部材昇降機構を作動させるための配管をX軸ステージ16bとともに移動させる機構が必要になったりするので製造コストの増大を招くおそれがある。このため押し付け手段は本実施の形態のように、基板PBを上昇させてプレート部材18に下方から押し付けるタイプとすることが好ましく、これにより製造コストの増大を防ぐことができる。特に本実施の形態では、基板PBのマスクプレート14に対する位置決めを行うための機構(基板位置合わせ部13)を利用して基板PBをプレート部材18に押し付けるようにしており、押し付け手段を新たに設ける必要がないものとなっている。
【0050】
これまで本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上述の実施の形態に示したものに限定されない。例えば、上述の実施の形態では、制御装置20は、搬送コンベア11を構成する一対のベルトコンベア機構の間隔(コンベア幅)を、コンベア幅設定入力部40からオペレータが入力したコンベア幅の設定値に基づいて検知するようにしていたが、搬送コンベア11を構成する一対のベルトコンベア機構の間隔(コンベア幅)を検出するコンベア幅検出器を設け、このコンベア幅検出器によって検出されるコンベア幅の値に基づいてコンベア幅を検知するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0051】
基板のサイズによらず基板の十分な反りの矯正をしたうえでスクリーン印刷を実行することができるスクリーン印刷機及びスクリーン印刷方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機の平面図
【図2】本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機の側面図
【図3】本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機を構成する印刷装置の正面図
【図4】本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機の制御系統を示すブロック図
【図5】(a)(b)本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機が備える搬送コンベアのコンベア幅を変更した様子を示す図
【図6】(a)(b)本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機の動作説明図
【図7】(a)(b)本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機の動作説明図
【図8】(a)(b)本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機において基板がプレート部材に押し付けられる様子を示す図
【図9】(a)(b)本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機を構成する印刷装置の動作説明図
【符号の説明】
【0053】
1 スクリーン印刷機
11 搬送コンベア(基板搬送手段)
13 基板位置合わせ部(押し付け手段)
14 マスクプレート
15a スキージ
16 XYロボット(中心軸合わせ手段)
18 プレート部材
19 ペースト供給部(ペースト供給手段)
20 制御装置(中心軸合わせ手段、押し付け手段)
PB 基板
C1 基板の中心軸
C2 プレート部材の中心軸
P ペースト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を搬送して作業位置に位置決めする一対のベルトコンベア機構から成る基板搬送手段と、
基板搬送手段による基板の搬送方向と直交する方向に移動自在に設けられたプレート部材と、
作業位置に位置決めされた基板に対してプレート部材を基板の搬送方向と直交する方向に移動させ、基板搬送手段を構成する一対のベルトコンベア機構の間隔に基づいて求められる基板の中心軸とプレート部材の中心軸を上下方向に一致させて基板とプレート部材の中心軸合わせを行う中心軸合わせ手段と、
中心軸合わせがなされた基板とプレート部材を互いに上下方向に押し付けて基板の反りの矯正を行う押し付け手段と、
反りの矯正がなされた基板に接触されるマスクプレートと、
基板と接触されたマスクプレートにペーストを供給するペースト供給手段と、
ペースト供給手段によりペーストが供給されたマスクプレートに対して摺動され、マスクプレートに設けられたパターン孔を介して基板にペーストを印刷するスキージと、
を備えたことを特徴とするスクリーン印刷機。
【請求項2】
押し付け手段は基板を上昇させてプレート部材に下方から押し付けるものであることを特徴とする請求項1に記載のスクリーン印刷機。
【請求項3】
一対のベルトコンベア機構から成る基板搬送手段により基板を搬送して作業位置に位置決めする工程と、
作業位置に位置決めした基板に対してプレート部材を基板の搬送方向と直交する方向に移動させ、基板搬送手段を構成する一対のベルトコンベア機構の間隔に基づいて求められる基板の中心軸とプレート部材の中心軸を上下方向に一致させて基板とプレート部材の中心軸合わせを行う工程と、
中心軸合わせがなされた基板とプレート部材を互いに上下方向に押し付けて基板の反りの矯正を行う工程と、
反りの矯正がなされた基板にマスクプレートを接触させる工程と、
基板と接触したマスクプレートにペーストを供給する工程と、
ペーストが供給されたマスクプレートに対してスキージを摺動させ、マスクプレートに設けられたパターン孔を介して基板にペーストを印刷する工程と、
を含むことを特徴とするスクリーン印刷方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−76286(P2010−76286A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−247833(P2008−247833)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】