説明

スクリーン印刷用接着剤組成物

【課題】大面積の塗膜を、一定の厚みで形成できる、スクリーン印刷用組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】(A)エポキシ樹脂 (B)硬化剤 成分(A)中のエポキシ基1当量に対する該成分(B)中の、エポキシ基と反応性の基の量が0.8〜1.25当量となる量 (C)硬化促進剤 0.1〜10重量部 (D)無機充填剤 10〜150質量部 (E)25℃において固体状の熱可塑性樹脂の粒子 5〜50質量部 及び (F)レーザー回折法で測定される累積頻度50%の粒径が1〜50μmであるシリコーンパウダー 10〜100質量部 を含むスクリーン印刷用接着剤組成物、但し、成分(C)〜(F)の量は、成分(A)と成分(B)の合計100重量部に対する量である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子を接着するのに好適な接着剤組成物に関し、詳細にはシリコーンパウダーを含有し、スクリーン印刷性が良好であり、さらに、印刷された後に、ウエハー上或いは基板上で安定なBステージ状態を形成する接着剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
エポキシ樹脂は接着性・耐熱性等に優れていることから、種々の用途に使用されている。特に液状エポキシ樹脂は、電機及び電子部品の製造に、広く使用されている。液状エポキシ樹脂又はそれを主成分とする組成物を部品に施与する方法としては、スピンコーティング、印刷、ディッピング等がある。このうち、印刷は、種々の形状の塗膜を、簡易且つ生産性良く形成することができるので、広く使用されている。
【0003】
エポキシ樹脂を含むスクリーン印刷用組成物としては、例えば(A)ポリイミドシリコーン樹脂、(B)エポキシ樹脂、(C)エポキシ樹脂硬化剤、(D)無機フィラー、(E)有機溶剤を含む接着剤ワニス(特許文献1)が知られている。また、エポキシ樹脂、光重合開始剤、B−ステージ状態及び硬化後の靭性を付与するための熱可塑性エラストマープレポリマー、チクソトロピー性向上のためのフィラー、及び溶剤を含むリードフレーム固定用組成物が知られている(特許文献2)。これらの組成物は、リードフレーム等の狭い領域に施与される。
【特許文献1】特開2005−60417公報
【特許文献2】特開平5−226571号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記組成物を、より大きな面積、例えば大口径のシリコンウエハー全面、に印刷すると、表面に凹凸が出来、均一な厚みの膜を形成することが難しい。そこで、本発明は、大面積の塗膜を、数十μm程度の一定の厚みで、表面に凹凸が無く形成できる、スクリーン印刷用組成物を提供することを目的とする。さらに、塗膜をBステージ状態で、安定に保存することができる、スクリーン印刷用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
即ち本発明は、下記のものである。
(A)エポキシ樹脂
(B)硬化剤 成分(A)中のエポキシ基1当量に対する該成分(B)中の、エポキシ基と反応性の基の量が0.8〜1.25当量となる量
(C)硬化促進剤 0.1〜10重量部
(D)無機充填剤 10〜150質量部
(E)25℃において固体状の熱可塑性樹脂の粒子 5〜50質量部
及び
(F)レーザー回折法で測定される累積頻度50%の粒径が1〜50μmであるシリコーンパウダー 10〜100質量部
を含むスクリーン印刷用接着剤組成物、但し、成分(C)〜(F)の量は、成分(A)と成分(B)の合計100重量部に対する量である。
【発明の効果】
【0006】
上記本発明の組成物は、スクリーン印刷性に優れ、大口径シリコンウエハーのような大面積でも凹凸無く数十μm厚で均一に塗布できる。スクリーン印刷は簡易且つ迅速に行なうことができるので、シリコンウエハーのダイシング工程を短縮することができる。さらに、印刷された塗膜は、Bステージ状態、即ち、流動性が無い状態、で保存しても、硬化が進むことがなく、半導体製品のボンディング工程での歩留まりが高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の組成物を成分ごとに説明する。
(F)シリコーンパウダー
本発明の組成物は、シリコーンパウダーを含むことを特徴とする。該シリコーンパウダーとしては、主として直鎖状のオルガノポリシロキサンを架橋した構造であるシリコーンエラストマーパウダー、例えば特開平3−93834号公報記載のもの、ポリオルガノシルセスキオキサン微粉末であるシリコーンレジンパウダー、例えば特開平2−209927号公報記載のもの、及び、シリコーンゴムパウダーの表面をシリコーンレジンで被覆した構造のシリコーン複合パウダー、例えば特開平7−196815号公報記載のもの、などがあり、これらの混合物であってもよい。好ましくは、シリコーン複合パウダーが使用される。
【0008】
シリコーンパウダーは、レーザー回折法で測定される累積頻度50%の粒径(d50)が1〜50μm、好ましくは3〜40μmである。d50が、前記下限値未満であると、塗膜表面の平滑性が悪くなり、接着層にボイドが発生する傾向があり、一方前記上限値を超えると、スクリーンに目詰まりを発生する場合がある。好ましくは、レーザー回折法で測定される累積頻度99%の粒径(d99)が、スクリーンマスクのオープニングの1/20〜2/3である。なお、オープニングは、下記式:
(25400/メッシュ)− 糸径(μm)
で定義される。本発明の用途には、通常、メッシュ100〜300、糸径60〜20μm程度が一般的であり、従って、d99は、3〜130μm程度である。d99が上記上限値を超えると、スクリーンに目詰まりが生じる可能性がある。一方、上記下限値未満では、塗膜表面の平滑性が悪くなり、接着層にボイドが発生する傾向がある。
【0009】
該シリコーンパウダーの含有量は、成分(A)と成分(B)との合計の100質量部に対して、好ましくは10質量部〜100質量部、より好ましくは15〜60質量部である。含有量が前記下限値より少ない場合は、均一な厚みの接着剤組成物をスクリーン印刷法で形成することが難しく、チップを搭載した後にボイド発生の原因となる。一方、含有量が前記上限値よりも多い場合は、組成物が高粘度になり、スクリーン印刷性が悪くなる。
【0010】
(A)エポキシ樹脂
本発明において、(A)エポキシ樹脂としては、例えばノボラック型、ビスフェノール型、ビフェニル型、フェノールアラルキル型、ジシクロペンタジエン型、ナフタレン型、アミノ基含有型、後述するシリコーン変性エポキシ樹脂及びこれらの混合物等が挙げられる。なかでも、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ノボラック型エポキシ樹脂及びシリコーン変性エポキシ樹脂が好ましい。シリコーン変性エポキシ樹脂については、シリコーン変性フェノール樹脂と共に、(B)硬化剤の項で述べる。
【0011】
(C)硬化促進剤
(C)硬化促進剤としては、例えば有機リン、イミダゾール、3級アミン等の塩基性有機化合物が挙げられる。有機リンの例としては、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリ(p−トルイル)ホスフィン、トリ(p−メトキシフェニル)ホスフィン、トリ(p−エトキシフェニル)ホスフィン、トリフェニルホスフィン・トリフェニルボレート誘導体、テトラフェニルホスフィン・テトラフェニルボレート誘導体等が挙げられる。イミダゾールの例としては、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル-4-メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール等が挙げられ、3級アミンの例としてはトリエチルアミン、ベンジルジメチルアミン、α−メチルベンジルジメチルアミン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等が挙げられる。
【0012】
これらのなかでも、下記式(10)に表されるテトラフェニルホスフィン・テトラフェニルボレート誘導体、又は下記式(11)で表されるメチロールイミダゾール誘導体が好ましく、より好ましくは、後述する(B)硬化剤のフェノール樹脂またはシリコーン変性フェノール樹脂と、これらを組合せて使用する。
【化1】

但し、R乃至R8は夫々独立に水素原子又は或いは炭素数1乃至10の炭化水素基、或いはハロゲン原子である。
【化2】

但し、R9はメチル基或いはメチロール基であり、R10は炭素数1乃至10の炭化水素基である。
【0013】
(C)硬化促進剤の添加量は、(A)エポキシ樹脂と(B)硬化剤との合計の100重量部に対して、0.1〜10重量部であることが望ましく、特に0.2〜5重量部であることが望ましい。硬化促進剤が前記下限値未満である場合は、接着剤組成物が硬化不十分になる恐れがあり、また前記上限値より多い場合は接着剤組成物の保存性、或いはBステージ状態の安定性に支障をきたす恐れがある。
【0014】
(D)無機充填剤
無機充填剤としては、例えば、溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、酸化チタン、シリカチタニア、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、マグネシア、マグネシウムシリケート、タルク、マイカ等を挙げることができ、これらは1種単独あるいは2種類以上組み合せて使用することができる。特に、シリカ、アルミナ、タルクを1種単独あるいは2種類以上組み合せて使用することが好ましい。
【0015】
無機充填剤は、(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、10〜150質量部好ましくは30〜100質量部配合する。
【0016】
該無機質充填剤の最大粒径は、ウエハー上に塗布されたダイボンド剤の厚み、通常50〜200μm程度、の20%以下、特に10%以下であることが望ましく、平均粒径は該厚みの10%以下、特に5%以下であることが望ましい。最大粒径が上記上限値より大きい、或いは、平均粒径が上記上限値より大きい場合は、チップ、基板、金配線等にダメージを与えたり、或いは無機質充填材とそれ以外の部分との境界において局所的なストレスが発生し、半導体装置の機能を損なう恐れがある。一方、下限値については、シリコーンパウダーに関して述べたような制限はない。
【0017】
無機質充填剤は、予めシラン系カップリング剤で表面処理したものを使用することが好ましい。より好ましくは、(A)成分のエポキシ樹脂とカップリング剤で表面処理した充填剤とを予め減圧・混練処理を行うことが望ましい。これにより充填剤表面とエポキシ樹脂の界面がよく濡れた状態とすることができ、耐湿信頼性が格段に向上する。
【0018】
上記シランカップリング剤としては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシプロピル)テトラスルフィド、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。これらは1種単独でも2種以上組み合わせても使用することができる。これらの中でもγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを使用することが好ましい。
【0019】
(E)25℃において固体状の熱可塑性樹脂粒子
25℃で固体状の熱可塑性樹脂粒子としては、公知の樹脂の粒子であってよく、例えばAAS樹脂、AES樹脂、AS樹脂、ABS樹脂、MBS樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、メタクリル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリブタジエン樹脂、各種のフッ素樹脂、各種のシリコーン樹脂、ポリアセタール、各種のポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレン、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポニフェニレンエーテル、ポリフェニレンサルファイド、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等が挙げられる。これらの中でもメタクリル樹脂、フェノキシ樹脂、ブタジエン樹脂、ポリスチレン樹脂もしくはこれらの共重合体が望ましい。或いは粒子の内核(コア)部と外皮(シェル)部で樹脂が異なるコア・シェル構造ものであっても良い。その場合コアはシリコーン樹脂、フッ素樹脂、又はブタジエン樹脂等からなるゴム粒子であり、シェルは線形分子鎖からなる上記各種の熱可塑性樹脂であることが望ましい。
【0020】
該熱可塑性樹脂粒子は略球状、円柱もしくは角柱状、不定形状、破砕状、及び燐片状等であってよく、ダイボンド剤用途には略球状、及び鋭角部を有しない不定形状が好ましい。
該熱可塑性樹脂粒子の平均粒径は、用途に応じて適宜選択されるが、通常は最大粒径が10μm以下、特に5μm以下であることが望ましく、平均粒径は0.1〜5μm、特に0.1〜2μmであることが望ましい。最大粒径が前記上限値より大きい、或いは平均粒径が5μmより大きい場合は、Bステージ化段階或いは硬化段階において、粒子熱可塑性樹脂の一部が十分に膨潤或いは溶解せずに残り、硬化後の組成物の特性を損なう恐れがある。一方、平均粒径が前記下限値よりも小さい場合、組成物の粘度が大きくなり、作業性が著しく悪くなる恐れがある。なお粒径の測定は、電子顕微鏡観察により行うことができる。なお、上記平均粒径の下限値は、シリコーンパウダーに関して述べた下限値よりも小さいが、塗膜の平滑性については何ら支障無い。
【0021】
該熱可塑性樹脂粒子の最大粒径はウエハー上に塗布されたダイボンド剤の厚みの20%以下、特に10%以下であることが望ましく、平均粒径は該厚みの10%以下、特に5%以下であることが望ましい。最大粒径が上記上限値より大きい、或いは平均粒径が上記上限値より大きい場合は、Bステージ化段階、或いは硬化段階に粒子状熱可塑性樹脂の一部が十分に膨潤或いは溶解せずに残り、硬化後のダイボンド剤の外観上の不良や、チップ表面の破損或いはリーク等の不良を引き起こす恐れがある。
【0022】
該熱可塑性樹脂粒子は架橋構造を有していてもよい。しかし熱可塑性樹脂(C)がエポキシ樹脂網目構造中に均一に分散された構造を形成することが好ましいと考えられることから、架橋度は低い方が好ましく、より好ましくは架橋の無い線状分子鎖である。
【0023】
該熱可塑性樹脂粒子の分子量は、樹脂の種類に依存して適宜選択される。典型的には、ポリスチレン換算の数平均分子量が1,000〜10,000,000、好ましくは10,000〜100,000、重量平均分子量が10,000〜100,000,000、好ましくは100,000〜1,000,000である。数平均分子量が上記下限値より小さい、或いは重量平均分子量が上記下限値より小さい場合は、膨潤する温度が低温になりすぎ、Bステージが早期に出現するためにAステージ状態が不安定になる恐れがある。また十分なBステージ状態の硬度が得られず、特にダイボンド材用途ではボイドや流出、或いはダイシフト等の不良が発生する恐れがある。一方、数平均分子量が上記上限値より大きい、或いは重量平均分子量が上記上限値より大きい場合は膨潤する温度が高くなって、Cステージの出現温度との差が小さくなり、Bステージ状態が不安定になる恐れがある。またBステージ化後、或いはCステージ化後に粒子熱可塑性樹脂の一部がエポキシ樹脂網目構造の形成を阻害する恐れがある
【0024】
熱可塑性樹脂粒子の含有量は、安定なBステージ状態を得るために、成分(A)と成分(B)との合計の100質量部に対して、好ましくは5質量部〜50質量部、より好ましくは10〜30質量部である。含有量が前記下限値より少ない場合は、十分なBステージ状態の硬度が得られず、半導体チップの外側に樹脂が流れ出して、フィレットが発生する恐れがある。一方含有量が前記上限値よりも多い場合は、Bステージ状態が硬くなりすぎ、接着不足等の不良が発生する恐れがある。
【0025】
(B)硬化剤
硬化剤としては、エポキシ樹脂用硬化剤として公知のものを使用することができ、例えばフェノール樹脂(後述するシリコーン変性フェノール樹脂を含む)、酸無水物、及びアミン類が挙げられる。この中でも硬化性とBステージ状態の安定性のバランスを考慮すると、フェノール樹脂及びシリコーン変性フェノール樹脂が好ましい。該フェノール樹脂としては、ノボラック型、ビスフェノール型、トリスヒドロキシフェニルメタン型、ナフタレン型、シクロペンタジエン型、フェノールアラルキル型等が挙げられ、これらを単独、あるいは2種類以上を混合して用いても良い。なかでもノボラック型、ビスフェノール型が好ましい。
【0026】
シリコーン変性フェノール樹脂としては、芳香族重合体とオルガノポリシロキサンとを反応させて得られる共重合体が挙げられる。該芳香族重合体としては、下式(3)或いは(4)の化合物が例示される。
【化3】

【化4】


但し、R11は、水素原子であり、R12は水素原子又はメチル基であり、Xは水素原子又は臭素原子であり、nは0以上の整数、好ましくは0乃至50、特に好ましくは1乃至20の整数である。
【0027】
他の芳香族重合体としては、下式(5)乃至(8)のアルケニル基含有化合物が挙げられる。
【化5】

【化6】

【化7】

【化8】

但し、R11、R12、X及びnについては上で述べた通りであり、mは0以上の整数、好ましくは0乃至5の整数、特に好ましくは0或いは1である。
【0028】
既に(A)エポキシ樹脂において例示した、シリコーン変性エポキシ樹脂は、上記式(3)〜(8)において、R11が下記式で表されるオキシラン基含有基のものと、オルガノポリシロキサンとを反応させて得られる共重合体が挙げられる。
【化9】

【0029】
上記芳香族重合体と反応させるオルガノポリシロキサンは式(9)で示される。
(R13a(R14bSiO (4-a-b)/2 (9)
但し、R13は水素原子、或いは、アミノ基、エポキシ基、ヒドロキシ基もしくはカルボキシ基を含有する有機基、或いはアルコキシ基であり、R14は置換、或いは非置換の1価炭化水素基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、或いはアルケニルオキシ基であり、a、bは0.001≦a≦1、1≦b≦3、1≦a+b≦4を満足する数である。1分子中のケイ素原子数は1乃至1000であり、1分子中のケイ素原子に直結したR13は1以上である。
【0030】
ここでR13のアミノ基含有有機基としては、下記のものが例示され、ここで、cは1、2、又は3である。
【化10】

【0031】
エポキシ基含有有機基としては、下記のものが例示され、ここでcは1、2、又は3である。
【化11】

【0032】
ヒドロキシ基含有有機基としては、下記のものが例示され、ここで、dは0、1、2、又は3であり、eは1、2又は3である。
【化12】

【0033】
カルボキシ基含有有機基としては、下記が例示され、ここで、fは1〜10の整数である。
【化13】

またアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基等の炭素数1〜4のものが挙げられる。
【0034】
また、R14の置換または非置換の1価炭化水素基としては、炭素数1乃至10のものが好ましく、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、デシル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基等のアラルキル基や、これらの炭化水素基の水素原子の一部または全部をハロゲン原子等で置換したハロゲン置換1価炭化水素基が挙げられる。
【0035】
更にa、bは上述した値であるが、好ましくは0.01≦a≦0.1、1.8≦b≦2、1.85≦a+b≦2.1、ケイ素原子数は2乃至400であることが望ましく、特に5乃至200であることが望ましい。該オルガノポリシロキサンとしては、式(10)或いは(11)の化合物が挙げられる。
【化14】

【化15】

但し、R16はアミノ基、エポキシ基、ヒドロキシ基、又はカルボキシ基含有の1価炭化水素基であり、R15は置換、或いは非置換の1価炭化水素基、好ましくはメチル基或いはフェニル基であり、pは0乃至1000の整数、好ましくは3乃至400の整数であり、qは0乃至20の整数、好ましくは0乃至5の整数である。
【0036】
斯かるオルガノポリシロキサンの例としては下記を挙げることができる。
【化16】

【化17】

【0037】
式(10)のオルガノポリシロキサンの分子量は、100乃至100000が望ましい。オルガノポリシロキサンの分子量が前記範囲内である場合、該オルガノポリシロキサンと反応させる芳香族重合体の構造或いは分子量により、オルガノポリシロキサンがマトリクスに均一に分散した均一構造、或いはオルガノポリシロキサンがマトリクスに微細な層分離を形成する海島構造が出現する。
【0038】
オルガノポリシロキサンの分子量が比較的小さい場合、特に100乃至10000である場合は均一構造、一方オルガノポリシロキサンの分子量が比較的大きい場合、特に1000乃至100000である場合は海島構造が形成される。均一構造と海島構造の何れが選択されるかは用途に応じて選択される。ここでオルガノポリシロキサンの分子量が100未満であれば硬化物は剛直で脆くなり、一方分子量が70000より大きければ、海島が大きくなり、局所的な応力が発生し、何れの場合でもシリコーン骨格をエポキシ樹脂或いは硬化剤分子中に導入する主旨に沿うものではない。
【0039】
上記の芳香族重合体とオルガノポリシロキサンとを反応させる方法としては公知の方法を用いることができ、例えば、白金系触媒の存在下で、芳香族重合体とオルガノポリシロキサンとを付加反応に付する。
【0040】
本発明の組成物において、成分(A)と成分(B)の配合比は、エポキシ基の当量と硬化剤中のエポキシ基と反応性の基の当量比、(エポキシ基)/(硬化剤中の反応性基)が、0.8〜1.25であることが望ましく、特に0.9〜1.1であることが望ましい。当量比がこの範囲にない場合、一部未反応になり、硬化物の性能、更にはこれを用いる半導体装置の性能に支障をきたす恐れがある。
【0041】
なお、成分(B)がシリコーン変性フェノール樹脂を含まない場合、成分(A)が、シリコーン変性エポキシ樹脂であることが好ましい。即ち、成分(A)と成分(B)の少なくとも一方が、シリコーン変性樹脂を含むことが好ましい。
【0042】
上記成分の他、本発明の組成物には用途に応じて、シランカップリング剤、難燃剤、イオントラップ剤、ワックス、着色剤、接着助剤、希釈材等を、本発明の目的を阻害しない量で、添加することができる。
【0043】
上記シランカップリング剤としては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシプロピル)テトラスルフィド、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。これらは1種単独でも2種以上組み合わせても使用することができる。これらの中でもγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを使用することが好ましい。上記カップリング剤を用いる場合、その使用量は、上記(A)〜(F)成分100質量部に対して、通常0.1〜5.0質量部であり、好ましくは0.3〜3.0質量部である。
【0044】
組成物の調製法
本発明の組成物は、上記各成分を、公知の混合方法、例えば、ミキサー、ロール等を用いて混合することによって、調製することができる。
【0045】
本発明の組成物の使用方法は、下記(1)〜(4)の工程、又は(i)〜(v)の工程を含む。
(1)接着剤組成物を、基板上にスクリーン印刷法で塗布する工程、
(2)60℃から200℃で、3時間から1分間加熱することにより、前記接着剤組成物をBステージ化する工程、
(3)前記接着剤組成物の上にチップを搭載する工程、及び
(4)前記接着剤組成物を硬化させる工程。
【0046】
(i)接着剤組成物を、シリコンウエハーの、基板に接着する側の下面にスクリーン印刷法で塗布する工程、
(ii)60℃から200℃で、3時間から1分間加熱することにより、前記接着剤組成物をBステージ化する工程、
(iii)前記シリコンウエハー及びその下面に塗布されている前記接着剤組成物を複数の個片に切断する工程、
(iv)前記個片を、該個片の下面に塗布されている接着剤組成物を介して、基板もしくは他のチップ上に搭載する工程、及び
(v)基板もしくは他のチップ上の前記接着剤組成物を硬化させる工程。
【0047】
工程(2)又は(ii)では開閉式や連続式のオーブンで加熱によりBステージ、即ち、流動性の無い状態にし、工程(iii)ではダイサーを使用し、工程(3)又は(iv)ではダイボンダーで接着剤組成物を介してチップを搭載し、工程(4)又は(v)では開閉式や連続式のオーブンで接着剤組成物を硬化させる。以下、各工程について詳細に説明する。
【0048】
個片化法
ウェハの切断(ダイシング)は通常ダイヤモンドブレードを高速回転させることでウエハーを切削するダイシングと、レーザーによるレーザーダイシングがあり、用途に応じて任意に選択される。
【0049】
チップ搭載条件
チップ搭載条件は特に限定されるものではなく、組成や用途に応じて任意に選択される。チップ搭載条件にはチップ搭載直前のプレヒートの温度、時間、チップ搭載時のチップ及び基板の温度、時間、圧力がある。プレヒートの目的はチップに塗布されたダイボンド材とチップが搭載される側の密着性向上である。プレヒートの温度は50℃乃至150℃、時間は2秒ないし10分であることが望ましい。またチップ搭載の温度はチップが25℃乃至250℃、基板が25℃乃至200℃、時間が0.1秒ないし10秒、圧力が0.01MPa乃至10MPaであることが望ましい。
【0050】
硬化条件
接着剤組成物の典型的な硬化条件は、100℃〜200℃の温度で、8〜1時間である。後続の、半導体装置の封止工程において、硬化を同時に行ってもよい。
【0051】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1〜3、比較例1、参考例1〜5
表1に示す各成分を、25℃のプラネタリーミキサーで混合し、25℃の3本ロールを通過させた後、25℃においてプラネタリーミキサーで再度混合して、各組成物を調製した。各組成物について、後述の(a)乃至(f)の諸試験を行った。結果を、表1に示す。
【0052】
使用樹脂等
(A)エポキシ樹脂
エポキシ樹脂a(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、当量180、日本化薬社製RE310S)
シリコーン変性エポキシ樹脂b(合成例1)
(B)硬化剤
硬化剤h(フェノールノボラック、当量110、明和化成製DL92)
シリコーン変性硬化剤i(合成例2)
(C)硬化促進剤
硬化促進剤c(テトラフェニルホスフィン・テトラフェニルボレート、北興化学製TPP-K)
(D)無機充填剤
シリカ(球状溶融シリカ、平均粒径0.8μm、最大粒径3μm、アドマッテクス製SE2030)
(E)粒子状熱可塑性樹脂
粒子状熱可塑性樹脂d(ポリメタクリル酸メチル製、数平均分子量50,000、重量平均分子量150,000、平均粒径1ミクロン、最大粒径3ミクロン)
(F)シリコーンパウダー
シリコーンパウダーe(d50:0.8μm、d99:2μm、信越化学工業製、X−52−7030)
シリコーンパウダーf(d50:12μm、d99:25μm、信越化学工業製、KMP−601)
シリコーンパウダーg(d50:30μm、d99:60μm、信越化学工業製、KMP−602)
【0053】
シリコーン変性樹脂の合成
(合成例1)
攪拌羽、滴下漏斗、温度計、エステルアダプターと環流管を取り付けたフラスコに、式(12)のエポキシ樹脂42.0g(0.10mol)とトルエン168.0gを入れ、130℃/2時間で共沸脱水を行う。これを100℃に冷却し、触媒(信越化学製CAT−PL−50T)0.5gを滴下し、直ちに式(14)のオルガノポリシロキサン36.3g(0.05mol)とトルエン145.2gの混合物を30分程度で滴下し、更に100℃/6時間で熟成した。これからトルエンを除去し、黄色透明液体(η=5Pa・s/25℃、エポキシ当量400、オルガノポリシロキサン含有量46.4重量部)を得た。これをシリコーン変性エポキシ樹脂とした。
【0054】
(合成例2)
攪拌羽、滴下漏斗、温度計、エステルアダプターと環流管を取り付けたフラスコに、式(13)のフェノール樹脂30.8g(0.10mol)とトルエン123.2gを入れ、130℃/2時間で共沸脱水を行う。これを100℃に冷却し、触媒(信越化学製CAT−PL−50T)0.5gを滴下し、直ちに式(14)のオルガノポリシロキサン36.3g(0.05mol)とトルエン145.2gの混合物を30分程度で滴下し、更に100℃/6時間で熟成した。これからトルエンを除去し、褐色透明液体(η=20Pa・s/25℃、フェノール当量340、オルガノポリシロキサン含有量54.1重量部)を得た。これをシリコーン変性硬化剤とした。
【化18】

【化19】

【化20】

【0055】
試験方法
(a)粘度
各組成物について、JIS Z−8803に準じ、E型粘度計(HBDV−III、ブルックフィールド社製)を用いて、測定温度25℃、ずり速度2.00(sec−1)、回転開始後2分における粘度を測定した。
【0056】
(b)シリコンウエハーへのスクリーン印刷性
シリコンウエハー(6インチ径、0.3mm)の片面に開口部150mmφのスクリーン印刷を行い、ウエハー全面に薄い接着剤組成物層を形成した。ここでのスクリーン印刷の条件は200メッシュスクリーン、糸径40μmを使用し、スクリーンとウエハーのギャップを1mmとし、10psiの印圧で印刷し、30ミクロン乃至60ミクロンの接着剤組成物層が形成されるようにした。
形成された接着剤組成物層を120℃/20分間/窒素通気の条件下で、Bステージ化させ、接着剤組成物付きのウエハーを得た。得られた接着剤組成物層の厚さを厚さ計で測定し、得られた接着剤組成物層の厚さを厚さ計で測定し、
厚さ比=接着剤組成物層の最大厚さ(μm))/(接着剤組成物層の最小厚さ(μm))を計算し、該比が1.2以下であるものを○、1.2を超えるものを×とした。
さらに目視によりボイドの有無を確認し、印刷された接着剤組成物にボイドが認められないものを○、1個以上のボイド或いはボイドが破泡した痕が認められたものを×とした。
【0057】
(c)基板へのスクリーン印刷性
表面にソルダーレジスト(30ミクロン厚)を塗布したBT基板(200ミクロン厚、35mm×35mm)の片面に開口部7mm□のスクリーン印刷を行い、接着剤組成物層を形成した。ここでのスクリーン印刷の条件は200メッシュスクリーン、糸径40μmを使用し、スクリーンとウエハーのギャップを1mmとし、10psiの印圧で印刷し、30ミクロン乃至60ミクロンの接着剤組成物層が形成されるようにした。
形成された接着剤組成物層を120℃/20分間/窒素通気の条件下で、Bステージ化させ、接着剤組成物付きの基板を得た。
得られた接着剤組成物層の厚さを厚さ計で測定し、
厚さ比=接着剤組成物層の最大厚さ(μm))/(接着剤組成物層の最小厚さ(μm))を計算し、該比が1.1以下であるものを○、1.1を超えるものを×とした。
さらに目視によりボイドの有無を確認し、印刷された接着剤組成物にボイドが認められないものを○、1個以上のボイド或いはボイドが破泡した痕が認められたものを×とした。
【0058】
(d)Bステージ状態での安定性:DSC発熱量
接着剤組成物10mgを120℃で20分間加熱してBステージ化させた直後と、Bステージ化後25℃で所定時間放置したもの夫々について、10mgをアルミセル中に採取し、空のアルミセルを参照試料として、DSC(示差熱分析計/メトラー製)を用いて、空気中で25℃から300℃迄、昇温速度10℃/分でDSC測定を行った。Bステージ化直後に測定されたCステージ化のピーク面積を初期値として、所定時間放置したもののCステージ化のピーク面積の該初期値に対する割合を算出した。
【0059】
(e)チップ搭載後のボイド
図1に示すような試験片を作成し、各試験片について超音波観察(SAT)を行い、ボイドを含む試験片数/総試験片数(20個)を数えた。
試験片の作成方法は以下の通りである:
表面にソルダーレジスト(30ミクロン厚)を塗布したBT基板(200ミクロン厚、35mm×35mm)上に、試験方法(b)により作成されたBステージ状態の接着剤組成物が施与されたシリコンウエハーをダイボンドテープ(T−80MW、トーヨーアドテック社製)に貼り、ダイサーで個片化した。得られたシリコンチップ(7mm×7mm)を150℃(チップ)/100℃(基板)/1Mpa/1秒で搭載し、150℃で2時間加熱して、Cステージ化した。
【0060】
(f)チップ搭載後のボイド
図1に示すような試験片を作成し、各試験片について超音波観察(SAT)を行い、ボイドが観察された試験片数/総試験片数(20個)を数えた。
試験片の作成方法は以下の通りである:
試験方法(c)により作成されたBステージ状態の接着剤組成物付き基板上に、シリコンチップ(7mm×7mm)を150℃(チップ)/100℃(基板)/1Mpa/1秒で搭載し、150℃で2時間加熱して、Cステージ化した。
【0061】
【表1】

表1に示すように、本発明の実施例の組成物は、スクリーン印刷法でシリコンウエハー上或いは基板上への均一な塗布が可能であることからチップ搭載後においてもボイドがない。また、Bステージ化してから所定時間経過した後であっても初期の95%以上の硬化発熱を示し、Bステージで硬化が進行しておらず、安定であることが分かる。
参考例1の組成物から得られた塗膜は、シリコーンパウダーのd50が小さく、塗膜表面の平滑性に劣った。一方、参考例5の組成物は、シリコーンパウダーのd99が大きく、印刷の段階でメッシュに目詰まりを起こし、きれいな塗膜を形成することができなかったため、粘度以外の評価も行なわなかった。参考例4の組成物は、成分(E)が少なく、Bステージ状態での安定性に劣った。参考例2及び3の組成物は、その粘度が本実施例で使用した印刷には不適切であった例であるが、実施例1と参考例2から分かるように、本発明の配合範囲内で粘度を調整することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明の組成物は、大口径のウエハー上にも簡易なスクリーン印刷によって均一な厚みで塗布することが可能であることから、半導体装置の製造工程の簡略化、コストの削減を達成できる。さらにB−ステージ状態で保存しておくこともできるので、生産性の向上も見込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】実施例で作成した試験片の作り方を示す断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)エポキシ樹脂
(B)硬化剤 成分(A)中のエポキシ基1当量に対する該成分(B)中の、エポキシ基と反応性の基の量が0.8〜1.25当量となる量
(C)硬化促進剤 0.1〜10重量部
(D)無機充填剤 10〜150質量部
(E)25℃において固体状の熱可塑性樹脂の粒子 5〜50質量部
及び
(F)レーザー回折法で測定される累積頻度50%の粒径が1〜50μmであるシリコーンパウダー 10〜100質量部
を含むスクリーン印刷用接着剤組成物、但し、成分(C)〜(F)の量は、成分(A)と成分(B)の合計100重量部に対する量である。
【請求項2】
(F)シリコーンパウダーの、レーザー回折法で測定される累積頻度99%の粒径が、スクリーンマスクのメッシュのオープニングの2/3以下である、請求項1記載のスクリーン印刷用接着剤組成物。
【請求項3】
(F)シリコーンパウダーが、シリコーンゴムパウダー、シリコーンレジンパウダー、及びシリコーンゴムパウダーの表面をシリコーンレジンで被覆した構造のシリコーン複合パウダーからなる群より選ばれる、請求項1または2記載の接着剤組成物。
【請求項4】
(E)25℃において固体状の熱可塑性樹脂の粒子が、メタクリル樹脂、フェノキシ樹脂、ブタジエン樹脂、ポリスチレン樹脂又はこれらの共重合体から選択される熱可塑性樹脂の粒子であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の接着剤組成物。
【請求項5】
(E)25℃において固体状の熱可塑性樹脂の粒子が、ポリスチレン換算の数平均分子量10,000〜100,000及び重量平均分子量100,000〜1,000,000を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の接着剤組成物。
【請求項6】
成分(A)及び成分(B)の少なくともいずれかの成分が、シリコーン変性樹脂を含む、請求項1〜5のいずれか1項記載の接着剤組成物。
【請求項7】
E型粘度計により25℃において測定される接着剤組成物の粘度が、100〜500Pa・sである、請求項1〜6のいずれか1項記載の接着剤組成物。
【請求項8】
(1)接着剤組成物を、基板上にスクリーン印刷法で塗布する工程、
(2)60℃から200℃で、3時間から1分間加熱することにより、前記接着剤組成物をBステージ化する工程、
(3)前記接着剤組成物の上にチップを搭載する工程、及び
(4)前記接着剤組成物を硬化させる工程、
を含む請求項1〜7のいずれか1項に記載の接着剤組成物の使用方法。
【請求項9】
(i)接着剤組成物を、シリコンウエハーの、基板に接着する側の下面にスクリーン印刷法で塗布する工程、
(ii)60℃から200℃で、3時間から1分間加熱することにより、前記接着剤組成物をBステージ化する工程、
(iii)前記シリコンウエハー及びその下面に塗布されている前記接着剤組成物を複数の個片に切断する工程、
(iv)前記個片を、該個片の下面に塗布されている接着剤組成物を介して、基板もしくは他のチップ上に搭載する工程、及び
(v)基板もしくは他のチップ上の前記接着剤組成物を硬化させる工程
を含む請求項1〜7のいずれか1項に記載の接着剤組成物の使用方法。
【請求項10】
請求項1〜7のいずれか1項記載の接着剤組成物の硬化物を備える半導体装置。

【図1】
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【公開番号】特開2008−308614(P2008−308614A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−158984(P2007−158984)
【出願日】平成19年6月15日(2007.6.15)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】