説明

スクリーン印刷装置およびスクリーン印刷方法

【課題】マスクプレートと基板との位置合わせ作業を効率よく正確に行うことができるスクリーン印刷装置およびスクリーン印刷方法を提供すること。
【解決手段】マスクプレートに基板を当接させてスキージによりパターン孔を介して基板10にペーストを印刷するスクリーン印刷において、基板にペーストを試し印刷した後の基板10のA位置、B位置を基板認識カメラ20aによって撮像した画像を画像表示部31の表示画面に表示させた画像をマシンオペレータが目視観察して、A位置、B位置における印刷されたペースト32と電極10との位置ずれ量Δxa、Δya、Δxb、Δybをスケール31aと対比することにより計数値として検出し、検出された計数値を制御演算装置に手動入力し位置ずれを補正するための位置決め制御パラメータの補正量を演算によって求め、演算結果をオフセット量として記憶させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板にクリーム半田や導電性ペーストなどのペーストを印刷するスクリーン印刷装置およびスクリーン印刷方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子部品実装工程において、基板上にクリーム半田や導電性ペーストなどを供給する方法として、スクリーン印刷が広く用いられている。この方法は、印刷対象部位に応じてパターン孔が開口されたマスクプレートに基板を当設させマスクプレート上にペーストを供給してスキージを摺動させることにより、パターン孔を介して基板上にペーストを印刷するものである。
【0003】
このスクリーン印刷においては、マスクプレートを基板に対して正確に位置合わせする必要がある。このため、品種切替え時にマスクプレートを新たに装着した場合には、マスクプレートの装着状態、すなわちX方向、Y方向、θ方向の位置ずれを検出して初期の位置ずれ量として記憶させ、生産対象の基板をマスクプレートにセットする際には、この記憶された位置ずれ量に基づいて基板の位置決めを行う。
【0004】
この位置合わせには従来よりカメラによって基板やマスクプレートを撮像して位置認識することにより、位置合わせを行う方法が用いられていた。すなわち基板の電極および電極に対応してマスクプレートに設けられたパターン孔のうち、予め位置検出用の特徴部として設定された複数の電極やパターン孔を撮像して得られた画像データから、基板およびマスクプレートの特徴部の重心位置を求め、これらの重心位置を一致させることにより、基板とマスクプレートの位置あわせを行う方法が知られている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−245370号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、基板の電極やマスクプレートのパターン孔の位置は、マスクプレートや基板の初期の製作誤差や経時的な伸縮変形により必ずしも一定ではなくばらついている。このため基板における複数電極間の相対位置関係と、マスクプレートにおける複数パターン孔間の相対位置関係とは必ずしも完全に一致しない。特に薄型の樹脂基板など製作誤差が生じやすい種類の基板を対象とする場合には位置合わせが難しく、画像認識による位置合わせを行った後にさらに試し印刷を行い、印刷結果をマシンオペレータが目視により確認して手作業による位置あわせの修正を反復して行う必要があった。そしてこの目視による確認および位置合わせは熟練と勘が必要とされる複雑な作業であり、従来のマスクプレートと基板との位置あわせ作業は多大な手間と時間を要するものであった。
【0006】
そこで本発明は、マスクプレートと基板との位置合わせ作業を効率よく正確に行うことができるスクリーン印刷装置およびスクリーン印刷方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のスクリーン印刷装置は、パターン孔が設けられたマスクプレートに基板を当接させ、ペーストが供給された前記マスクプレート上でスキージを摺動させることにより、前記パターン孔を介して基板にペーストを印刷するスクリーン印刷装置であって、前記基板をマスクプレートに対して相対的に位置決めする基板位置決め部と、この基板位置決め部を位置決め制御パラメータに基づいて制御する制御手段と、印刷後の前記基板を撮像し
てペーストが印刷された状態の基板の画像を取得する画像取得部と、前記画像取得部によって取得された前記画像を表示画面に表示する画像表示部と、前記表示された画像をマシンオペレータが目視観察することにより印刷された前記ペーストの位置ずれを前記画像上の少なくとも2位置において計数値として検出する印刷位置ずれ検出手段と、前記検出された計数値を前記制御手段に入力する入力手段と、入力された前記計数値に基づいて前記位置ずれを補正するための前記位置決め制御パラメータの補正量を求める演算を行う補正量演算部と、演算された前記補正量を記憶する補正量記憶部とを備えた。
【0008】
本発明のスクリーン印刷方法は、基板をパターン孔が設けられたマスクプレートに対して相対的に位置決めする基板位置決め部と、この基板位置決め部を位置決め制御パラメータに基づいて制御する制御手段と、印刷後の基板を撮像してペーストが印刷された状態の基板の画像を取得するする画像取得部と、前記画像取得部によって取得された印刷後の基板の画像を表示画面に表示する画像表示部とを備えたスクリーン印刷装置によって、前記マスクプレートに基板を当接させ、ペーストが供給された前記マスクプレート上でスキージを摺動させることにより、前記パターン孔を介して基板にペーストを印刷するスクリーン印刷方法であって、前記スキージを移動させて基板にペーストを印刷する印刷工程と、印刷後の基板を撮像してペーストが印刷された状態の基板の画像を取得する画像取得工程と、前記取得された画像を表示画面に表示する画像表示工程と、前記表示された画像をマシンオペレータが目視観察することにより印刷された前記ペーストの位置ずれを前記画像上の少なくとも2位置において計数値として検出する印刷位置ずれ検出工程と、前記取得された計数値を前記制御手段に入力する入力工程と、入力された前記計数値に基づいて前記位置ずれを補正するための前記位置決め制御パラメータの補正量を求める演算を行う補正量演算工程と、演算された前記補正量を記憶する補正量記憶工程とを含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、基板にペーストを印刷した後の基板の画像をマシンオペレータが目視観察することにより、印刷されたペーストの位置ずれを画像上の少なくとも2位置において計数値として検出し、検出された計数値に基づいて位置ずれを補正するための位置決め制御パラメータの補正量を求めることにより、熟練と勘に依存することなくマスクプレートと基板との位置合わせ作業を効率よく正確に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次に本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置の側面図、図2は本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置の正面図、図3は本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置の平面図、図4は本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置における基板認識カメラのカメラ画像の説明図、図5は本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置の制御系の構成を示すブロック図、図6は本発明の一実施の形態のスクリーン印刷方法における基板とマスクプレートとの位置合わせのためのオフセット量演算処理のフロー図、図7は本発明の一実施の形態のスクリーン印刷方法の動作フロー図である。
【0011】
まず図1、図2、図3を参照して、スクリーン印刷装置の構造を説明する。図1において、スクリーン印刷装置は、基板位置決め部1の上方にスクリーン印刷機構を配設して構成されている。基板位置決め部1は、Y軸テーブル2、X軸テーブル3およびθ軸テーブル4を段積みし、更にその上に第1のZ軸テーブル5、第2のZ軸テーブル6を組み合わせて構成されている。基板位置決め部1は、印刷対象の基板を保持してスクリーン印刷機構のマスクプレートに対して相対的に位置合わせする機能を有している。
【0012】
第1のZ軸テーブル5の構成を説明する。θ軸テーブル4の上面に設けられた水平なベースプレート4aの上面側には、同様に水平なベースプレート5aが昇降ガイド機構(図
示省略)によって昇降自在に保持されている。ベースプレート5aは、複数の送りねじ5cを基板移動Z軸モータ5bによってベルト5dを介して回転駆動する構成のZ軸昇降機構によって昇降する。ベースプレート5aには2つの垂直フレーム5eが立設されており、垂直フレーム5eの上端部には基板搬送機構8を構成する2条の搬送レール8aが保持されている。
【0013】
搬送レール8aは基板搬送方向(X方向−−図1において紙面垂直方向)に平行に配設されており、これらの搬送レール8aに設けられた基板搬送コンベアよって印刷対象の基板10の両端部を支持して搬送する。第1のZ軸テーブル5を駆動することにより、基板搬送機構8によって保持された状態の基板10を、搬送レール8aとともに後述するスクリーン印刷機構に対して昇降させることができる。
【0014】
第2のZ軸テーブル6の構成を説明する。基板搬送機構8とベースプレート5aの中間には、水平なベースプレート6aが昇降ガイド機構(図示省略)に沿って昇降自在に配設されている。ベースプレート6aは、複数の送りねじ6cを下受部昇降モータ6bによってベルト6dを介して回転駆動する構成のZ軸昇降機構によって昇降する。ベースプレート6aの上面には、基板下受部7が着脱自在に装着される。基板下受部7は、スクリーン印刷機構による印刷位置に搬送された基板10を下方から下受けして保持する。
【0015】
図2、図3に示すように、搬送レール8aは上流側(図2、図3において左側)および下流側に延出している。スクリーン印刷装置による印刷動作において、基板搬送機構8は、搬送レール8aによって基板10を上流側装置から受け取ってスクリーン印刷機構による印刷位置に搬入し位置決めする。そしてスクリーン印刷機構によって印刷が行われた後の基板10を搬送レール8aによって印刷位置から搬出し、下流側装置に受渡す。
【0016】
第2のZ軸テーブル6を駆動することにより、基板下受部7は基板搬送機構8に保持された状態の基板10に対して昇降する。そして基板下受部7の下受面が基板10の下面に当接することにより、基板下受部7は基板10を下面側から支持する。基板搬送機構8の上面にはクランプ機構9が配設されている。クランプ機構9は、左右対向して配置された2つのクランプ部材9aを備えており、一方側のクランプ部材9aを駆動機構9bによって進退させることにより、基板10を両側からクランプして固定する(図3(b)参照)。
【0017】
次に基板位置決め部1の上方に配設され、印刷位置に搬送された基板に対してペーストを印刷するスクリーン印刷機構について説明する。図1,図2において、マスクホルダ(図示省略)によって保持されたマスク枠11にはマスクプレート12が展張されており、マスクプレート12にはパターン孔12aが設けられている。図3(a)、(b)に示すように、パターン孔12aは基板10において印刷対象となる電極10a(図3(b)参照)の形状・位置に対応して設けられている。
【0018】
マスクプレート12上には、スキージ駆動機構13が配設されている。スキージ駆動機構13は、対向配置された1対のスキージヘッド16をそれぞれ昇降させる2つのスキージ昇降機構15を、水平なプレート14に配設した構成となっている。各スキージ昇降機構15の昇降軸15aに結合されたスキージヘッド16には、それぞれ板状のスキージ部材が保持されている。これらのスキージ部材はそれぞれフロント側スキージ16f、リア側スキージ16rであり、正方向(矢印a方向)に印刷動作を行う場合にはフロント側スキージ16fをマスクプレート12に摺接させ、逆方向(矢印b方向)に印刷動作を行う場合にはリア側スキージ16rをマスクプレート12に摺接させる。
【0019】
スキージ昇降機構15を駆動することによりスキージヘッド16は昇降し、これにより
フロント側スキージ16f、リア側スキージ16rがマスクプレート12の上面に当接する。プレート14の下面に固着されたナット19には、スキージ移動モータ17により回転駆動される送りねじ18が螺合しており、スキージ移動モータ17を正逆駆動することにより、2つのスキージヘッド16はプレート14とともにY方向の正逆各方向に水平移動する。すなわち本実施の形態に示すスクリーン印刷装置は、それぞれ正逆各方向の印刷動作を行う対をなす2つのスキージを備えている。
【0020】
図2に示すように、縦フレーム21上に配置されたブラケット22上にはガイドレール23がY方向に配設されており、ガイドレール23にスライド自在に嵌合したスライダ24は、プレート14の両端に結合されている。これにより、スキージ駆動機構13はY方向にスライド自在となっている。図2において縦フレーム21上にはガイドレール27がY方向に配設されており、ガイドレール27にスライド自在に嵌合したスライダ28は、ヘッドX軸テーブル26にブラケット26aを介して結合されている。これにより、ヘッドX軸テーブル26はY方向にスライド自在となっている。ヘッドX軸テーブル26は、ナット30、送りねじ29および送りねじ29を回転駆動するヘッド移動用モータ(図示省略)より成るヘッドY軸移動機構25により、Y方向に水平移動する。
【0021】
図1、図2に示すように、ヘッドX軸テーブル26には、カメラヘッドユニット20が装着されている。カメラヘッドユニット20は、基板10を上方から撮像するための基板認識カメラ20aと、マスクプレート12を下面側から撮像するためのマスク認識カメラ20bとを備えており、ヘッドY軸移動機構25、ヘッドX軸テーブル26を駆動してカメラヘッドユニット20を移動させることにより、基板10の認識とマスクプレート12の認識とを同時に行うことができる。本実施の形態においては、後述するように、印刷後の基板10を基板認識カメラ20aによって撮像した画像を画面表示させることにより、マシンオペレータが印刷の位置ずれを目視観察によって検出するようにしている。カメラヘッドユニット20による基板10やマスクプレート12の認識を行わないときには、図1に示すように、カメラヘッドユニット20は基板位置決め部1の上方から側方に退避した位置にある。
【0022】
次にスクリーン印刷機構による印刷動作について説明する。まず基板搬送機構8の搬送レール8aによって、印刷対象の基板10が印刷位置に搬入され、基板下受部7に対して位置合わせされる。次いで第2のZ軸テーブル6を駆動して基板下受部7を上昇させ、基板10の下面を下受けする。次いで基板位置決め部1を駆動して、基板10をマスクプレート12に対して位置合わせした後、第1のZ軸テーブル5を駆動して基板10を基板搬送機構8とともに上昇させて、パターン孔12aが設けられたマスクプレート12の下面に当接させる。この後、基板10をクランプ機構9によってクランプすることにより、基板10の水平位置が固定される。
【0023】
そしてこの状態で、当該スキージング動作における印刷動作の方向に対応して、2つのスキージヘッド16のうち1つを下降させ、フロント側スキージ16f、リア側スキージ16rのいずれかをマスクプレート12に当接させる。次いでクリーム半田などのペーストが供給されたマスクプレート12上で、フロント側スキージ16f、リア側スキージ16rのいずれかをスキージング方向(Y方向)に摺動させることにより、パターン孔12aを介して基板10にはペーストが印刷される。
【0024】
上述の印刷動作においては、印刷対象の基板10がマスクプレート12に対して正しく位置合わせされて、電極10aの位置とパターン孔12aの位置とが一致していることが極めて重要であるが、マスクプレート12や基板10の初期の製作誤差や経時的な伸縮変形により、電極10aの位置とパターン孔12aの位置とは必ずしも一致せず、印刷にずれが生じる場合が多い。このため本実施の形態においては、このような基板10とマスク
プレート12との位置合わせの誤差に起因する印刷の位置ずれを極力防止するため、以下の方法によって位置ずれを補正するようにしている。
【0025】
すなわち本実施の形態においては、生産品種切替に伴う段取替え作業などに際し試験的に印刷を実行するいわゆる「試し刷り」において、印刷後の基板10を基板認識カメラ20aによって撮像した画像を表示画面上に表示させ、表示された画像をマシンオペレータが目視観察することにより、印刷されたペーストの位置ずれを画像上の少なくとも2位置において検出し、検出された位置ずれに基づいて基板位置決め部1による基板10のマスクプレート12に対する位置合わせ時の制御パラメータを補正するようにしている。
【0026】
目視観察による位置ずれ検出について、図4を参照して説明する。図4は、基板10における印刷対象の電極10aのうち、基板10の相対向する2対角に相当するA位置,B位置(図3(b)参照)に位置する電極10aを撮像した状態を示すものである。図4(a)、(b)は、基板認識カメラ20aを基板10のA位置、B位置の上方にそれぞれ移動させ、ペーストを印刷した後の基板10の表面を撮像して得られた画像を、液晶パネルなどの表示パネルを備えた画像表示部31(図5参照)の表示画面に表示させた状態を示している。
【0027】
図4(a)に示すように、A位置カメラ画像を示す画像表示部31内には、図3(b)に示すA位置を撮像した画像、すなわち円形の電極10aに同形状のパターン孔12aによってペースト32が印刷された状態が画像表示されている。ここで、基板10のマスクプレート12に対する位置合わせの不良のため、ペースト32は電極10aの位置とは完全に一致しておらず、最外縁において電極10aとこの電極10aに印刷されたペースト32とは、X方向、Y方向にそれぞれΔxa、Δyaだけ位置ずれしている。
【0028】
画像表示部31の表示画面には、画面の表示倍率に応じた単位寸法を示すスケール31aが表示されており、マシンオペレータが表示された画像を目視観察して位置ずれ量Δxa、Δyaをスケール31aと対比することにより、A位置における位置ずれ量をデジタルの計数値として判読して検出することができる。そしてこの後、基板認識カメラ20aをB位置に移動させて同様に基板10の表面を撮像することにより、図4(b)に示す画像が画像表示部31の表示画面に表示される。同様にマシンオペレータが表示された画像を目視観察して位置ずれ量Δxb、Δybをスケール31aと対比することにより、B位置における位置ずれ量をデジタルの計数値として判読して検出することができる。
【0029】
そしてこのようにして検出された位置ずれ量Δxa、Δya、Δxb、Δybをスクリーン印刷装置の制御演算装置に入力することにより、これらの位置ずれを補正するために必要な位置決め制御パラメータの補正量、すなわち本来の位置合わせのための位置決め制御パラメータに対するオフセット量が演算され、基板位置決め部1を駆動して基板10をマスクプレート12に対して位置合わせする際には、このオフセット量を加味した位置決め制御パラメータによって基板位置決め部1の各軸が駆動される。なお本実施の形態においては、対角に相当するA位置、B位置の2位置において印刷の位置ずれを検出するようにしているが、もちろん2位置以上の複数位置において印刷の位置ずれを検出するようにしてもよい。
【0030】
次に図5を参照して制御系の構成を説明する。図5において制御部40はCPUを備えた全体制御装置であり、以下に説明する各部の処理を統括して制御する。すなわち制御部40が駆動部44を制御することにより、スキージ移動モータ17、スキージ昇降シリンダ15、カメラ移動X軸モータ26M、カメラ移動Y軸モータ25M、基板移動X軸モータ3M、基板移動Y軸モータ2M、基板移動Z軸モータ5b、基板移動θ軸モータ4Mが駆動され、基板10をマスクプレート12に体して位置合わせする基板位置決め動作やス
クリーン印刷機構による印刷動作が実行される。
【0031】
オフセット量設定部41は、基板10をマスクプレート12に対して位置あわせする基板位置決め動作における前述の位置決め制御パラメータのオフセット量を設定する機能を有している。制御部40が駆動部44を制御して基板位置決め部1に上述の基板位置決め動作を行わせる際には、制御部40はオフセット量設定部41によって設定されたオフセット量を加味して制御を行う。したがって制御部40およびオフセット量設定部41は、基板位置決め部1を位置決め制御パラメータに基づいて制御する制御手段となっている。
【0032】
オフセット量演算部42は、マシンオペレータが印刷後の基板の画像を目視観察して検出され、キーボードやマウスなどの入力装置を備えた入力部46を介して手動入力された位置ずれ量Δxa、Δya、Δxb、Δybに基づいて、上述の位置決め制御パラメータのオフセット量を求めるための演算を行う。すなわち、対角に位置する2点における直交方向の位置ずれ量に基づき、直交座標系の変換計算式を用いて、この位置ずれを補正するためのX方向、Y方向およびθ方向の補正量を固有のオフセット量として算出する。したがってオフセット量演算部42は、入力された計数値に基づいて位置ずれを補正するための位置決め制御パラメータの補正量を求める演算を行う補正量演算部となっている。
【0033】
この演算によって求められたオフセット量は、オフセット量記憶部43に記憶される。オフセット量記憶部43は演算された補正量を記憶する補正量記憶部となっている。ここで印刷動作時には、スキージの摺動によってマスクプレート12が引きずられて若干の伸びを示すことから、印刷の位置ずれ状態(位置ずれ量・位置ずれ方向)は、印刷動作の方向によって異なることが知られている。このため本実施の形態においては、フロント側スキージ16fによって印刷動作を実行する場合のオフセット量を示すフロント側スキージ印刷時オフセット量43aと、リア側スキージ16rによって印刷動作を実行する場合のオフセット量を示すリア側スキージ印刷時オフセット量43bとを個別のオフセットデータとして記憶しておく。すなわち本実施の形態では、補正量記憶部は、2つのスキージ部材(フロント側スキージ16f、リア側スキージ16r)による個別の印刷動作のそれぞれについて、補正量を記憶するようにしている。
【0034】
画像取得部45は、基板認識カメラ20a、マスク認識カメラ20bによって撮像された撮像データから必要な画像を取得する処理を行う。この画像には、前述の印刷後の基板10を撮像したA位置カメラ画像、B位置カメラ画像が含まれる。すなわち、画像取得部45は印刷後の基板を撮像してペーストが印刷された状態の基板の画像を取得する。画像取得部45によって取得された印刷後の基板の画像は、画像表示部31の表示画面に表示される。このとき、画像表示部31の表示画面には位置ずれ量検出用のスケール31aがともに表示される。
【0035】
そしてマシンオペレータが画像表示部31の表示画面上で印刷されたペーストの位置ずれを目視によりスケール31aと対比することによって位置ずれ量を示す計数値を取得する構成は、表示された画像をマシンオペレータが目視観察することにより。印刷されたペーストの位置ずれを画像上の少なくとも2位置において計数値として検出する印刷位置ずれ検出手段となっている。なおスケール31aの表示形態としては、図4に示す直交スケール以外にも、読み取りの便宜に応じて各種の形態のもの、例えば十字スケールに複数の同心円を組み合わせたものや、スケールが表示画面内でポインタによって任意位置に移動可能なものなど、各種の形態を使用することができる。
【0036】
入力部46は、キーボードやタッチパネルなどに設定されたテンキーなどの入力装置であり、上述の取得された計数値はマシンオペレータによって入力部46を介して手動入力される。したがって取得された計数値をマシンオペレータが手動入力するための入力装置
を備えた入力部46は、検出された位置ずれ量を示す計数値を入力するための入力手段となっている。
【0037】
なお印刷位置ずれ検出手段としては、マシンオペレータが目視によって印刷の位置ずれをスケールと対比することにより計数値として検出する方法以外にも、ティーチングによる方法など各種の方法が採用可能である。例えばティーチングによる方法の例では、画像表示部31においてペースト32の映像部分のみを抽出した白抜き画像を作成し、この白抜き画像をマシンオペレータが目視観察しながらジョグダイヤルなどの機能によって画像表示部31内で移動させて電極10aに重ね、このときの画像移動量を前述の位置ずれ量としてデジタルの計数値で求めるようにしてもよい。このとき、計数値を表示画面に数値表示させるようにしてもよく、また求められた計数値を制御装置内部で自動入力するようにしてもよい。
【0038】
次にこのスクリーン印刷装置を用いたスクリーン印刷方法における基板とマスクプレートとの位置合わせのためのオフセット量演算処理およびスクリーン印刷方法の動作フローについて、図6,図7を参照して説明する。まず図6において、ペースト印刷が実行される(ST1)。すなわちスキージを移動させて基板10にペーストを印刷する(印刷工程)。このペースト印刷は、一般には段取り替えに伴う「試し刷り」の場合が多いが、多数枚の基板を対象として連続して生産を反復実行する場合に、抜き取り検査的に実行されるものであってもよい。
【0039】
ペースト印刷が完了すると、まず印刷後の基板A位置へ基板認識カメラ20aを移動させ(ST2)、基板認識カメラ20aによって基板10のA位置を撮像してペーストが印刷された状態の基板A位置の画像を取得し(画像取得工程)、取得した印刷後の画像を画像表示部31に表示させる(ST3)(画像表示工程)。そして表示された画像をマシンオペレータが目視観察することにより、A位置のXY方向印刷ズレ量(Δxa、Δya)を確認し(ST4)、次いでA位置のXY方向印刷補正量を入力する(ST5)。ここでは、マシンオペレータが表示画面31上で印刷の位置ずれを目視によりスケール31aと対比することによって計数値を取得し、取得された計数値を入力部46を介してマシンオペレータが手動入力するようにしている。
【0040】
この後、B位置に対して同様の処理を実行する。すなわち印刷後の基板B位置へ基板認識カメラ20aを移動させ(ST6)、基板認識カメラ20aによって基板10のB位置を撮像してB位置の画像を画像表示部31に表示させる(ST7)。そして表示された画像をマシンオペレータが目視観察することにより、B位置のXY方向印刷ズレ量(Δxb、Δyb)を確認し(ST8)、次いでB位置のXY方向印刷補正量を入力する(ST9)。すなわち(ST4)〜(ST9)では、表示された画像をマシンオペレータが目視観察することにより、印刷されたペーストの位置ずれを画像上の少なくとも2位置において計数値として検出し(印刷位置ずれ検出工程)、取得された計数値を入力部46に入力する(入力工程)処理が実行される。
【0041】
このようにして補正量の入力が行われたならば、オフセット量演算部42によって、A,B位置のXY方向印刷補正量から基板10全体のXYθオフセット量を演算する(ST10)。すなわち入力された計数値に基づいて位置ずれを補正するための位置決め制御パラメータの補正量であるXYθオフセット量を求める演算を行う(補正量演算工程)。そして演算されたXYθオフセット量をオフセット量記憶部43に記憶する(補正量記憶工程)。
【0042】
ここでは印刷工程において対をなす2つのスキージ(フロント側スキージ16f、リア側スキージ16r)によって正逆各方向の印刷動作を行うように装置構成されていること
から、2つのスキージによる個別の印刷動作のそれぞれについてXYθオフセット量を記憶するようにしている。すなわち当該ペースト印刷において用いられたスキージを特定し(ST11)、フロント側スキージ16fで印刷した場合には、フロント側スキージ印刷時のオフセット量としてオフセット量記憶部43に登録する(ST12)。また(ST11)にてリア側スキージ16rで印刷した場合には、リア側スキージ印刷時のオフセット量としてオフセット量記憶部43に登録する(ST12)。
【0043】
次に図7はこのようにして登録されたオフセット量に基づいて実際の印刷動作を実行する場合の動作フローを示している。ペースト印刷が開始されると(ST20)、まず当該ペースト印刷において用いられるスキージを特定する(ST21)。ここでフロント側スキージ16fで印刷する場合には、オフセット量設定部41はオフセット量記憶部43からフロント側スキージ印刷時のオフセット量を読み出し、当該印刷動作時における基板位置決め動作のオフセット量として設定する(ST22)。
【0044】
また(ST21)にてリア側スキージ16rで印刷する場合には、オフセット量設定部41はオフセット量記憶部43からリア側スキージ印刷時のオフセット量を読み出し、当該印刷動作時における基板位置決め動作のオフセット量として設定する(ST23)。そして制御部40は、このようにして設定されたオフセット量が加味された位置決め制御パラメータを用いて基板位置決め部1の動作を制御して、基板10とマスクプレート12を位置合わせし(ST24)、この後スクリーン印刷機構による印刷動作が実行される(ST25)。
【0045】
上記説明したように、本実施の形態に示すスクリーン印刷における基板10とマスクプレート12に位置合わせにおいては、基板にペーストを印刷した後の基板の画像をマシンオペレータが目視観察することにより、印刷されたペーストの位置ずれを画像上の少なくとも2位置において計数値として検出し、検出された計数値に基づいて位置ずれを補正するための位置決め制御パラメータの補正量を求めるようにしたものである。これにより、従来は熟練作業者が試し印刷を複数回反復した結果に基づいて行われていた基板とマスクプレートとの位置合わせ作業を、熟練と勘に依存することなく効率よく正確に行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明のスクリーン印刷装置およびスクリーン印刷方法は、熟練と勘に依存することなくマスクプレートと基板との位置合わせを効率よく正確に行うことができるという効果を有し、基板にクリーム半田や導電性ペーストなどのペーストを印刷するスクリーン印刷の分野に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置の側面図
【図2】本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置の正面図
【図3】本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置の平面図
【図4】本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置における基板認識カメラのカメラ画像の説明図
【図5】本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置の制御系の構成を示すブロック図
【図6】本発明の一実施の形態のスクリーン印刷方法における基板とマスクプレートとの位置合わせのためのオフセット量演算処理のフロー図
【図7】本発明の一実施の形態のスクリーン印刷方法の動作フロー図
【符号の説明】
【0048】
1 基板位置決め部
10 基板
10a 電極
12 マスクプレート
12a パターン孔
13 スキージ駆動機構
16f フロント側スキージ
16r リア側スキージ
20 カメラヘッドユニット
20a 基板認識カメラ
31 画像表示部
31a スケール
32 ペースト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パターン孔が設けられたマスクプレートに基板を当接させ、ペーストが供給された前記マスクプレート上でスキージを摺動させることにより、前記パターン孔を介して基板にペーストを印刷するスクリーン印刷装置であって、
前記基板をマスクプレートに対して相対的に位置決めする基板位置決め部と、この基板位置決め部を位置決め制御パラメータに基づいて制御する制御手段と、印刷後の前記基板を撮像してペーストが印刷された状態の基板の画像を取得する画像取得部と、前記画像取得部によって取得された前記画像を表示画面に表示する画像表示部と、前記表示された画像をマシンオペレータが目視観察することにより印刷された前記ペーストの位置ずれを前記画像上の少なくとも2位置において計数値として検出する印刷位置ずれ検出手段と、前記検出された計数値を前記制御手段に入力する入力手段と、入力された前記計数値に基づいて前記位置ずれを補正するための前記位置決め制御パラメータの補正量を求める演算を行う補正量演算部と、演算された前記補正量を記憶する補正量記憶部とを備えたことを特徴とするスクリーン印刷装置。
【請求項2】
前記画像は前記表示画面に単位寸法を示すスケールとともに表示され、前記印刷位置ずれ検出手段は、前記マシンオペレータが前記表示画面上で前記位置ずれを目視により前記スケールと対比することによって前記計数値を取得する構成であり、前記入力手段は、前記取得された計数値を前記マシンオペレータが手動入力するための入力部であることを特徴とする請求項1記載のスクリーン印刷装置。
【請求項3】
それぞれ正逆各方向の印刷動作を行う対をなす2つのスキージを備え、前記補正量記憶部は、前記2つのスキージによる個別の印刷動作のそれぞれについて、前記補正量を記憶することを特徴とする請求項1記載のスクリーン印刷装置。
【請求項4】
基板をパターン孔が設けられたマスクプレートに対して相対的に位置決めする基板位置決め部と、この基板位置決め部を位置決め制御パラメータに基づいて制御する制御手段と、印刷後の基板を撮像してペーストが印刷された状態の基板の画像を取得するする画像取得部と、前記画像取得部によって取得された印刷後の基板の画像を表示画面に表示する画像表示部とを備えたスクリーン印刷装置によって、前記マスクプレートに基板を当接させ、ペーストが供給された前記マスクプレート上でスキージを摺動させることにより、前記パターン孔を介して基板にペーストを印刷するスクリーン印刷方法であって、
前記スキージを移動させて基板にペーストを印刷する印刷工程と、印刷後の基板を撮像してペーストが印刷された状態の基板の画像を取得する画像取得工程と、前記取得された画像を表示画面に表示する画像表示工程と、前記表示された画像をマシンオペレータが目視観察することにより印刷された前記ペーストの位置ずれを前記画像上の少なくとも2位置において計数値として検出する印刷位置ずれ検出工程と、前記取得された計数値を前記制御手段に入力する入力工程と、入力された前記計数値に基づいて前記位置ずれを補正するための前記位置決め制御パラメータの補正量を求める演算を行う補正量演算工程と、演算された前記補正量を記憶する補正量記憶工程とを含むことを特徴とするスクリーン印刷方法。
【請求項5】
前記基板の画像は前記表示画面に単位寸法を示すスケールとともに表示され、前記印刷位置ずれ検出工程において、前記マシンオペレータが前記表示画面上で前記位置ずれを目視により前記スケールと対比することによって前記計数値を取得し、前記入力工程において、前記取得された計数値を前記マシンオペレータが入力部に手動入力することを特徴とする請求項4記載のスクリーン印刷方法。
【請求項6】
前記印刷工程において対をなす2つのスキージによって正逆各方向の印刷動作を行い、
前記補正量記憶工程において、前記2つのスキージによる個別の印刷動作のそれぞれについて前記補正量を記憶することを特徴とする請求項4記載のスクリーン印刷方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−179029(P2008−179029A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−13335(P2007−13335)
【出願日】平成19年1月24日(2007.1.24)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】