説明

スクリーン印刷装置およびスクリーン印刷方法

【課題】膜厚を厚くして断面形状のアスペクト比が大きな回路パターンを形成して変換効率の向上を図ることができるスクリーン印刷装置およびスクリーン印刷方法を提供する。
【解決手段】メタルマスク1における上面に対して所定長さのスキージ14を相対的に摺接させながら回路パターンとなるペーストをメタルマスク1の表面に対して所定の圧力で供給するカートリッジ式のスキージヘッド13と、を備え、メタルマスク1が、回路パターンの長手方向に沿って各開口部が配列されているとともに、各開口部の間において回路パターンの長手方向に対して交差する方向に沿って架橋部が設けられ、スキージヘッド13が、各開口部および架橋部の配列方向に対して直交する方向にスキージ14の長手方向が沿うようにメタルマスク1に対して相対的に配置されるとともに、スキージ14が、各開口部および架橋部の配列方向に沿ってメタルマスク1に対して相対的に移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材にクリーム半田や導電性ペーストなどのペーストを印刷するスクリーン印刷装置およびスクリーン印刷方法に関し、特に太陽電池の電極を形成するのに適用されるスクリーン印刷装置およびスクリーン印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より電極形成のための印刷にメッシュマスクを用いたスクリーン印刷装置およびスクリーン印刷方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−62079号公報(図1、段落番号0052)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
太陽電池の変換効率を向上させるためには、電極を細線化して受光面積を増やすことが有効である。しかし、電極を細線化すると電気抵抗が極端に増大して性能の悪化をまねき、逆に変換効率が低下してしまうため、電極の膜厚を厚く形成する必要がある。
ところが、上記特許文献1のスクリーン印刷装置およびスクリーン印刷方法では、メッシュスクリーンの開口部のメッシュが抵抗となって開口率が低くなるため、このメッシュマスクを用いて形成された電極の膜厚は薄くなる。
従って、上記特許文献1のスクリーン印刷装置およびスクリーン印刷方法では、変換効率が低下する虞がある。
【0005】
本発明は、前述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、膜厚を厚くして断面形状のアスペクト比が大きな回路パターンを形成して変換効率の向上を図ることができるスクリーン印刷装置およびスクリーン印刷方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るスクリーン印刷装置は、基材の表面に帯状の回路パターンを形成するために、前記基材を支持する支持台と、前記基材の表面の一部を覆う被覆部と、前記基材の一部が露出する複数の開口部とを有するメタルマスクと、前記メタルマスクにおける上面に対して所定長さのスキージを相対的に摺接させながら前記回路パターンとなるペーストを前記メタルマスクの表面に対して所定の圧力で供給するカートリッジ式のスキージヘッドと、を備え、前記メタルマスクが、前記回路パターンの長手方向に沿って前記各開口部が配列されているとともに、前記各開口部の間において回路パターンの長手方向に対して交差する方向に沿って架橋部が設けられ、前記スキージヘッドが、前記各開口部および前記架橋部の配列方向に対して直交する方向に前記スキージの長手方向が沿うように前記メタルマスクに対して相対的に配置されるとともに、前記スキージが、前記各開口部および前記架橋部の配列方向に沿って前記メタルマスクに対して相対的に移動する。
【0007】
本発明においては、メタルマスクの各開口部および架橋部の配列方向に対して直交する方向に長手方向が沿うようにメタルマスクに対して相対的に配置されたスキージが、メタルマスクの各開口部および架橋部の配列方向に沿ってメタルマスクに対して相対的に移動する。
従って、本発明においては、膜厚を厚くして断面形状のアスペクト比が大きな回路パターンを形成して変換効率の向上を図ることができる。
【0008】
本発明に係るスクリーン印刷装置は、上記スクリーン印刷装置において、前記架橋部の下面が前記被覆部の下面に対して凹状の段差面となっている。
【0009】
本発明においては、架橋部の下面が段差面となっているため、開口部を通じてペーストが基材と架橋部と間に充填され、これにより帯状の回路パターンを形成できる。
【0010】
本発明に係るスクリーン印刷方法は、基材の表面に帯状の回路パターンを形成するために、前記基材を支持台に支持させるとともに、前記基材の表面の一部を覆う被覆部と、前記基材の一部が露出する複数の開口部とを有するメタルマスクを前記基材の表面に載置させ、次いで、前記メタルマスクにおける上面に対して所定長さのスキージを相対的に摺接させながら前記回路パターンとなるペーストをカートリッジ式のスキージヘッドにより前記メタルマスクの表面に対して所定の圧力で供給するスクリーン印刷方法において、前記メタルマスクが、前記回路パターンの長手方向に沿って前記各開口部が配列されているとともに、前記各開口部の間において回路パターンの長手方向に対して交差する方向に沿って架橋部が設けられ、前記各開口部および前記架橋部の配列方向に対して直交する方向に前記スキージの長手方向が沿うように前記メタルマスクに対して前記スキージヘッドを相対的に配置し、前記各開口部および前記架橋部の配列方向に沿って前記メタルマスクに対して前記スキージを相対的に移動させる。
【0011】
本発明においては、メタルマスクの各開口部および架橋部の配列方向に対して直交する方向に長手方向が沿うようにメタルマスクに対して相対的に配置されたスキージが、メタルマスクの各開口部および架橋部の配列方向に沿ってメタルマスクに対して相対的に移動するスクリーン印刷方法が実行される。
従って、本発明においては、膜厚を厚くして断面形状のアスペクト比が大きな回路パターンを形成して変換効率の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明のスクリーン印刷装置およびスクリーン印刷方法によれば、メタルマスクの各開口部および架橋部の配列方向に対して直交する方向にスキージの長手方向が沿うようにメタルマスクに対して相対的に配置されたスキージが、メタルマスクの各開口部および架橋部の配列方向に沿ってメタルマスクに対して相対的に移動する。
これにより、本発明のスクリーン印刷装置およびスクリーン印刷方法によれば、膜厚を厚くして断面形状のアスペクト比が大きな回路パターンを形成して変換効率の向上を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る一実施形態のスクリーン印刷方法を適用する開放式のスキージを有するスクリーン印刷装置の正面図
【図2】図1のスクリーン印刷方法を適用するカートリッジ式のスキージを有するスクリーン印刷装置の正面図
【図3】図1のスクリーン印刷装置の側面図
【図4】図1のスクリーン印刷装置の平面図
【図5】図1のスクリーン印刷装置に適用されるメタルマスクの平面図
【図6】図5のメタルマスクの拡大図
【図7】図5のメタルマスクの要部拡大図
【図8】図7のA−A線断面図
【図9】図7のB−B線断面図
【図10】図5のメタルマスクにおける架橋部周りの外観斜視図
【図11】図5のメタルマスクの変形例の架橋部周りの外観斜視図
【図12】図1のスクリーン印刷装置の変形例の要部平面図
【図13】図5のメタルマスクの変形例の平面図
【図14】図5のメタルマスクの他の変形例の平面図
【図15】図5のメタルマスクの他の変形例の平面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態に係るスクリーン印刷装置およびスクリーン印刷方法について図面を参照して説明する。
【0015】
本発明の一実施形態であるスクリーン印刷方法を適用したスクリーン印刷装置10は、基材11と、基材11を支持する支持台12と、メタルマスク1と、メタルマスク1における上面に対して所定長さのスキージ14を相対的に摺接させながら回路パターンとなるペーストPをメタルマスク1の表面に供給するスキージヘッド13と、メタルマスク1の下面をクリーニングするクリーニング機構15と、を備える。
【0016】
図1、図2、図3、図4に示すように、スクリーン印刷装置10は、基材11の位置決め手段である支持台12が、Y軸テーブル16と、X軸テーブル17と、θ軸テーブル18と、を段積みして構成されており、更にそれらの上に第1Z軸テーブル19と、第2Z軸テーブル20とが組み合わされている。
【0017】
第1Z軸テーブル19は、水平なベースプレート21を有し、ベースプレート21上の基材搬送部22において基材搬送方向(X方向)に平行に配設された2条の搬送レール23によって印刷対象の基材11の両端部が支持されながら搬送される。基材搬送部22は上流側および下流側に延出しており、上流側から搬入された基材11が基材搬送部22によって搬送され、さらに支持台12により位置決められる。印刷が行われた後の基材11は、搬送レール23により下流側に搬出される。
【0018】
メタルマスク1はマスク枠2内に展張されている。メタルマスク1上にはスキージヘッド13が配置されている。スキージヘッド13は開放式であり、水平なプレート24に所定の長さを有するスキージ14を昇降させるためのスキージ昇降機構25が配設されている。スキージヘッド13は、回路パターンとなるペースト(図10参照)Pを所定の圧力でメタルマスク1の表面に供給し、スキージ昇降機構25が駆動されることによりスキージ14が昇降されてメタルマスク1の上面に当接する。
【0019】
図2は、開放式のスキージヘッド13に代えてカートリッジ式のスキージヘッド13を装備したスクリーン印刷装置10を示している。このスクリーン印刷装置10も上記と同様に、回路パターンとなるペースト(図10参照)Pを所定の圧力でメタルマスク1の表面に供給し、スキージ昇降機構25が駆動されることによりスキージ14が昇降されてメタルマスク1の上面に当接する。なお、カートリッジ式のスキージヘッド13は開放式と比べて充填性に優れている。
【0020】
縦フレーム26上にはブラケット27が配設されており、ブラケット27上にガイドレール28がY方向に配設されている。ガイドレール28にスライド自在に嵌合されたスライダ29がプレート24の両端に結合されている。これにより、スキージヘッド13はY方向にスライド自在となっている。
【0021】
クリーニング機構15は、クリーニングヘッドユニット30が基材11およびメタルマスク1を撮像するカメラヘッドユニット31と一体的に移動する。カメラヘッドユニット31は、基材11を上方から撮像するための基材認識カメラ32と、メタルマスク1を下面側から撮像するためのマスク認識カメラ33とを備えており、カメラヘッドユニット30が移動されることにより、基材11の認識とメタルマスク1の認識とを同時に行うことができる。
【0022】
クリーニングヘッドユニット30には、未使用のクリーニングペーパを巻回したペーパロール34と、使用済みのクリーニングペーパを巻回したペーパロール35およびメタルマスク1の下面に所定の長さのクリーニング領域を設定するクリーニングノズル36が配設されている。クリーニングヘッドユニット30は、縦フレーム26上のガイドレール37にスライド自在に組付けられているヘッドX軸テーブル38に支持されており、ヘッドX軸テーブル38上のヘッドY軸移動機構39によりY方向に水平移動する。
【0023】
クリーニングヘッドユニット30は、待機時に支持台12の側方に退避している。クリーニングを実行する際には、クリーニングヘッドユニット30がカメラヘッドユニット31とともにメタルマスク1の下方に進出されていき、次いでクリーニングヘッドユニット30が上昇される。そして、クリーニングノズル36によってクリーニングペーパをメタルマスク1の下面に押し当てた状態で、クリーニングヘッドユニット30を水平移動させてクリーニングが実行される。
【0024】
次に、メタルマスク1について詳細に説明する。図5、図6、図7、図8、図9、図10に示すように、メタルマスク1は、例えば、0.1mmの厚さ寸法T1、550mmの幅寸法L1、650mmの長さ寸法L2を有し、マスク枠2の内側に基材11の表面の一部を覆う被覆部3と、基材11の一部が露出する複数の長方形の開口部4とを有し、各開口部4の間において形成される回路パターンの長手方向に対して交差する方向に沿って架橋部5が設けられている。メタルマスク1は、各開口部4および架橋部5が設けられたグリット部6を複数、かつ、平行に配列して有し、各グリット部6の長手方向端部の終端開口部に連続する帯状のバスバー部7を有する。
【0025】
グリッド部6は、例えば0.08mmの線幅寸法を有して67本有する。グリッド部6には、長手方向において例えば153mmの幅寸法L3内に中央部の75mmの幅寸法L4を挟んで図6中の左右からそれぞれ39mmの長さ寸法L5の位置に2mmの幅寸法L6をそれぞれ有するバスバー部7が配置されている。開口部4は、例えば0.08mmの幅寸法L7を有する。架橋部5は、例えば0.05mmの幅寸法L8で、例えば0.02mmの高さ寸法L9を有する。そして、架橋部5は、例えば、0.1mmの厚さ寸法T1を有する開口部4の上端部において例えば0.02mmの高さ寸法L9を有するために、下面が被覆部3の下面に対して凹状の段差状に形成されている。
【0026】
架橋部5は、図11に示すメタルマスク1の変形例のように、開口部4の厚さ方向中央部に配置されても良い。この場合も架橋部5は下面が被覆部3の下面に対して凹状の段差状に形成される。
【0027】
次に、スクリーン印刷装置10を適用した太陽電池の電極形成システムおよびスクリーン印刷方法を適用した太陽電池の電極形成方法について説明する。太陽電池の電極形成方法では、カートリッジ式のスキージヘッドを用いるスクリーン印刷工程と、焼成工程とが行われる。
【0028】
スクリーン印刷工程においては、基材搬送部22によって基材11が印刷位置に搬入されると、第2Z軸テーブル20が駆動されて基材11の下面が下受けされる。そして、この状態で支持台12により基材11がメタルマスク1に対して位置合わせされて基材11上にメタルマスク1が面接触される。このとき、スキージヘッド13は、メタルマスク1の各開口部4および架橋部5の配列方向に対して直交する方向にスキージ14の長手方向が沿うようにスキージ14をメタルマスク1に対して相対的に配置させる。そして、スキージ14による所定の圧力でペーストPがメタルマスク1上に供給されながら、スキージ14が各開口部4および架橋部5の配列方向に沿ってメタルマスク1に対してY方向に相対的に摺動移動されることにより基材11がメタルマスク1に接触状態でコンタクト印刷が行われる。このとき、ペーストPは、スキージ14のY方向への移動に伴い、各開口部4から架橋部5の下方へ向けて押圧進行されていくことにより、架橋部5の下方を含めた各開口部4内に十分に充填される。印刷が行われた後の基材11は、搬送レール23により下流側の焼成工程に搬出される。
【0029】
すなわち、図7に示すように、スキージヘッド13は、メタルマスク1の各開口部4および架橋部5の配列方向に対して直交する方向にスキージ14の長手方向が沿うようにスキージ14をメタルマスク1に対して相対的に配置させている。そして、スキージ14による所定の圧力でペーストPがメタルマスク1上に供給されながら、スキージ14が各開口部4および架橋部5の配列方向に沿ってメタルマスク1に対してY方向に相対的に摺動移動されることにより基材11がメタルマスク1に接触状態でコンタクト印刷が行われる。
カートリッジ式のスキージヘッド13でペーストPをメタルマスク1の表面に対して所定の圧力で供給することにより、ペーストPは各開口部4から架橋部5の下方に向けて押圧進行され、架橋部5の下方を含めた各開口部4内に十分に充填される。
【0030】
次に、焼成工程において、基材11の表面にペーストPが所定の形状に載せられた状態で焼成が実行される。これにより、ペーストPが太陽電池の電極に形成される。このとき、電極を形成するために、スクリーン印刷工程にカートリッジ式のスキージヘッド13を用いることにより、スクリーン印刷工程と、焼成工程とは一回行われる。そして、スクリーン印刷工程にカートリッジ式のスキージヘッド13を用いることにより、断面形状のアスペクト比が1.0以上に設定された電極が形成される。
【0031】
印刷が終了したスクリーン印刷装置10においてクリーニングが行われる場合、クリーニングヘッドユニット30のクリーニングノズル36の長手方向がメタルマスク1のバスバー部7の長手方向に対して平行に配置されてメタルマスク1の下面に対するクリーニングが行われる。
【0032】
このとき、クリーニングノズル36の長手方向がメタルマスク1のバスバー部7の長手方向に対して平行に配置されている、すなわち、バスバー部7はグリッド部6よりも幅広のため、グリッド部6よりバスバー部7の残留ペーストは多くなる。このため、グリッド部6よりバスバー部7のクリーニングを優先するノズル配置とすることにより、メタルマスク1の全体としてクリーニング品質を向上させることができる。
【0033】
図12に示すように、スクリーン印刷装置10の変形例では、各開口部4の間において形成される回路パターンの長手方向に対して交差する方向に沿って架橋部5が設けられたメタルマスク1が用いられており、スキージ14の長手方向が、メタルマスク1の各開口部4および架橋部5の配列方向に対して直交する方向に対して予め定められた角度θ1で交差する方向に沿うように相対的に配置され、スキージ14が、メタルマスク1の各開口部4および架橋部5の配列方向に対して直交するX方向に沿って相対的に移動する。スキージ14がメタルマスク1の各開口部4および架橋部5の配列方向に対して直交する方向に対して予め定められた角度θ1で交差する方向から移動されることにより、ペーストPは各開口部4から架橋部5の下方に向けて斜めに押圧進行されていくことにより、架橋部5の下方を含めた各開口部4内に十分に充填される。
【0034】
図13に示すように、メタルマスク1の変形例では、形成する回路パターンの長手方向に沿って平行四辺形の各開口部4を有する。そのため、架橋部5は、形成する回路パターンの長手方向に直交する方向に対して傾斜して配置されている。本変形例では、スキージ14が、長手方向をメタルマスク1の各開口部4および架橋部5の配列方向に対して直交する方向に相対的に配置されて、各開口部4および架橋部5の配列方向に直交するX方向に沿ってメタルマスク1に対して相対的に移動する。これにより、ペーストPは、スキージ14の進行方向に対して傾斜して配置されている架橋部5の鋭角部分から架橋部5の下方に向けて押圧進行されていくことにより、架橋部5の下方を含めた各開口部4内に十分に充填される。なお、スキージ14は、各開口部4および架橋部5の配列方向に沿うY方向にメタルマスク1に対して相対的に移動するようにしても良い。
【0035】
図14に示すように、メタルマスク1の他の変形例では、形成する回路パターンの長手方向に沿って上底と下底とが互い違いの位置に配置された等脚台形の各開口部4を有する。そのため、架橋部5は、形成する回路パターンの長手方向に直交する方向に対して傾斜して配置されている。本変形例では、スキージ14が、長手方向をメタルマスク1の各開口部4および架橋部5の配列方向に対して直交する方向に相対的に配置されて、各開口部4および架橋部5の配列方向に沿ってメタルマスク1に対して相対的に移動する。これにより、ペーストPは、スキージ14の進行方向に対して傾斜して配置されている架橋部5の鋭角部分から架橋部5の下方に向けて押圧進行されていくことにより、架橋部5の下方を含めた各開口部4内に十分に充填される。なお、スキージ14は、各開口部4および架橋部5の配列方向に沿うY方向にメタルマスク1に対して相対的に移動するようにしても良い。
【0036】
図15に示すように、メタルマスク1の他の変形例では、形成する回路パターンの長手方向に沿って正方形の各開口部4を有する。本変形例では、スキージ14の長手方向が、メタルマスク1の各開口部4および架橋部5の配列方向に対して直交する方向に対して予め定められた角度で交差する方向に沿うように相対的に配置され、スキージ14が、メタルマスク1の各開口部4および架橋部5の配列方向に対して直交するX方向に沿って相対的に移動する。これにより、ペーストPは、スキージ14のX方向への移動に伴い、各開口部4から架橋部5の下方へ向けて押圧進行されていくことにより、架橋部5の下方を含めた各開口部4内に十分に充填される。
【0037】
上述したように、本発明の一実施形態のスクリーン印刷装置10によれば、メタルマスク1の各開口部4および架橋部5の配列方向に対して直交する方向に長手方向が沿うようにメタルマスク1に対して相対的に配置されたスキージ14が、メタルマスク1の各開口部4および架橋部5の配列方向に沿うY方向にメタルマスク1に対して相対的に移動する。
従って、本発明の一実施形態のスクリーン印刷装置10によれば、スクリーン印刷工程にカートリッジ式のスキージヘッド13を用いることにより、膜厚を厚くして断面形状のアスペクト比が大きな回路パターンを形成して変換効率の向上を図ることができる。
【0038】
本発明の一実施形態のスクリーン印刷装置10によれば、メタルマスク1において、架橋部5の下面が段差面となっているため、開口部4を通じてペーストPが基材11と架橋部5との間に充填され、これにより帯状の回路パターンを形成できる。
【0039】
本発明の一実施形態のスクリーン印刷方法によれば、メタルマスク1の各開口部4および架橋部5の配列方向に対して直交する方向に長手方向が沿うようにメタルマスク1に対して相対的に配置されたスキージ14が、メタルマスク1の各開口部4および架橋部5の配列方向に沿ってメタルマスク1に対して相対的に移動するスクリーン印刷方法が実行される。
従って、本発明の一実施形態のスクリーン印刷方法によれば、カートリッジ式のスキージヘッドを用いることにより、膜厚を厚くして断面形状のアスペクト比が大きな回路パターンを形成して変換効率の向上を図ることができる。
【0040】
(実施例)
次に、本発明に係るスクリーン印刷装置10およびスクリーン印刷方法の作用効果を確認するために行った実施例について説明する。実施例では、開口率が50%以下のメッシュマスクを用い、開放式のスキージヘッドによりギャップ印刷を行った比較例1と、開口率が50%以下のメッシュマスクを用い、カートリッジ式のスキージヘッドを用いてコンタクト印刷を行った比較例2と、を用意して太陽電池の電極を形成し、形成された電極の高さ寸法と電極の幅寸法との断面積によるアスペクト比を測定した。
【0041】
実施例の結果、比較例1は0.3以下のアスペクト比であり、比較例2は0.7以下のアスペクト比であった。これらに対して、本発明のアスペクト比は1.0以上であった。それは、メタルマスク1の各開口部4および架橋部5の配列方向に対して直交する方向に長手方向が沿うようにメタルマスク1に対して相対的に配置されたカートリッジ式のスキージヘッド13のスキージ14を、メタルマスク1の各開口部4および架橋部5の配列方向に沿ってメタルマスク1に対して相対的に移動させたからであることがわかる。これにより、開口率が90%以上のメタルマスク1を適用することも可能である。
【0042】
なお、前記実施形態で使用した支持台12、スキージ14、クリーニング機構15等は例示したものに限定するものではなく適宜変更が可能である。
【符号の説明】
【0043】
1 メタルマスク
3 被覆部
4 開口部
5 架橋部
10 スクリーン印刷装置
11 基材
12 支持台
13 スキージヘッド
14 スキージ
P ペースト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の表面に帯状の回路パターンを形成するために、
前記基材を支持する支持台と、
前記基材の表面の一部を覆う被覆部と、前記基材の一部が露出する複数の開口部とを有するメタルマスクと、
前記メタルマスクにおける上面に対して所定長さのスキージを相対的に摺接させながら前記回路パターンとなるペーストを前記メタルマスクの表面に対して所定の圧力で供給するカートリッジ式のスキージヘッドと、
を備え、
前記メタルマスクが、
前記回路パターンの長手方向に沿って前記各開口部が配列されているとともに、
前記各開口部の間において回路パターンの長手方向に対して交差する方向に沿って架橋部が設けられ、
前記スキージヘッドが、
前記各開口部および前記架橋部の配列方向に対して直交する方向に前記スキージの長手方向が沿うように前記メタルマスクに対して相対的に配置されるとともに、
前記スキージが、前記各開口部および前記架橋部の配列方向に沿って前記メタルマスクに対して相対的に移動するスクリーン印刷装置。
【請求項2】
請求項1に記載のスクリーン印刷装置において、
前記架橋部の下面が前記被覆部の下面に対して凹状の段差面となっているスクリーン印刷装置。
【請求項3】
基材の表面に帯状の回路パターンを形成するために、
前記基材を支持台に支持させるとともに、
前記基材の表面の一部を覆う被覆部と、前記基材の一部が露出する複数の開口部とを有するメタルマスクを前記基材の表面に載置させ、
次いで、前記メタルマスクにおける上面に対して所定長さのスキージを相対的に摺接させながら前記回路パターンとなるペーストをカートリッジ式のスキージヘッドにより前記メタルマスクの表面に対して所定の圧力で供給するスクリーン印刷方法において、
前記メタルマスクが、
前記回路パターンの長手方向に沿って前記各開口部が配列されているとともに、
前記各開口部の間において回路パターンの長手方向に対して交差する方向に沿って架橋部が設けられ、
前記各開口部および前記架橋部の配列方向に対して直交する方向に前記スキージの長手方向が沿うように前記メタルマスクに対して前記スキージヘッドを相対的に配置し、
前記各開口部および前記架橋部の配列方向に沿って前記メタルマスクに対して前記スキージを相対的に移動させるスクリーン印刷方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−201052(P2011−201052A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−68252(P2010−68252)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】