説明

スタッドボルト穴の洗浄、検査及び損傷履歴管理システム

【課題】ボルト穴の洗浄と目視検査と損傷履歴の管理とを一括して行うことができるスタッドボルト穴の洗浄、検査及び損傷履歴管理システムを提供する。
【解決手段】シリンダの主フランジの上面に沿って移動しつつ、スタッドボルトを挿通するためのボルト穴を洗浄、検査、及び管理する本体100と、本体100に接続されて自動またはマニュアル操作を行う自動制御部210及びマニュアル制御部230と、ボルト穴の状態及び履歴管理を行う写真検索部250とを有するメインコントローラ200と、メインコントローラ200に接続され、マニュアル操作を行うためのペンダントコントローラ300と、本体100に接続されて前記ボルト穴へ洗浄水を供給する洗浄水タンク400と、ボルト穴の洗浄後に異物及び洗浄水を吸引して貯溜する真空洗浄機500とを備えるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスタッドボルト穴の洗浄、検査及び損傷履歴管理システムに関し、さらに詳しくは、原子炉及び原子炉冷却材ポンプのヘッドと圧力容器本体を固定するためのボルト穴を洗浄し、前記ボルト穴を目視検査し、さらには、前記ボルト穴の損傷履歴を管理するのに好適なスタッドボルト穴の洗浄、検査及び損傷履歴管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
通常、図1に示すように、原子炉冷却材ポンプのヘッドとなるシリンダの主フランジ1には、スタッドボルト(図2における20)を用いて圧力容器本体に結合するためのボルト穴30が多数、好ましくは、48本、54本、または58本穿設されている。
【0003】
このため、原子炉冷却材ポンプのヘッドと原子炉の圧力容器本体は、発電所の形態に応じて僅かな寸法の相違はあるものの、通常、図2に示すようなスタッドボルト20とボルト穴30とにより結合されている。このような結合は、運転中に高温、高圧の状態に保たれる必要がある原子炉内部の気密維持とそれに伴う原子力の安全に寄与する上で非常に重要な役割を司っている。
【0004】
また、前記スタッドボルト及びボルト穴は締結作業を通じて螺合するため、スタッドボルト20とボルト穴30のねじ山が破損する可能性が高いが、ボルト穴30及びスタッドボルト20の洗浄状態がこれらスタッドボルト20及びボルト穴30の螺合度及び破損の有無にかなり影響している。さらに、スタッドボルト20をボルト穴30から取外すに際しても、洗浄状態はスタッドボルト20及びボルト穴30が固着する現象を防ぐ上で重要な役割を果たすため、ボルト穴を洗浄状態に維持することは極めて重要な業務の一つであると言われている。
【0005】
従来、図3に示すように、スタッドボルトを挿通するためのボルト穴30の洗浄に際しては、作業者がウェット及びドライの環境下においてボルト穴30に近づいて電動ブラシ2で直接的に擦掃してきた。なお、その洗浄作業は、最初に、洗浄油をボルト穴30に注ぎ込んでブラシ2で擦った後、さらにブラシ2に洗浄用の布を巻き付けてきれいに拭き取る、といった手順で行なわれていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、スタッドボルトを挿通するためのボルト穴30の洗浄をドライ環境下で行う場合、ブラシ2を用いて洗浄をする日本のMHI社製の洗浄専用の装置が存在するものの、作動上の問題点が多いために現在使用されていないのが現状である。
【0007】
特に、同装置はウェット環境下での洗浄用としては不向きであるため、前記装置を用いた洗浄は全く行われていないのが現状である。しかも、同装置には、ボルト穴30を目視検査したり履歴管理するような機能などが全く含まれていない。
【0008】
このため、これまでは、ウェット環境下での洗浄は、作業者が電動ブラシ2と雑巾などを用いて直接的に行っており、しかも、目視検査も作業者が直接的にミラーを用いて行っていた。
【0009】
上述のように、従来のボルト穴の洗浄方式においては、洗浄と目視検査がそれぞれ別々に行われており、これにより、損傷履歴は全く管理されていない。加えて、亀裂が入る前後の状況が比較可能な比較データの生成や履歴の体系的な管理も行われていない。
【0010】
さらに、前記ボルト穴を直接的に洗浄せねばならない作業者の場合、多量の放射線被爆の影響を受ける可能性があり、しかも、洗浄を手作業に依存して行うために洗浄能率が上がらないのが現状である。
【0011】
本発明はこれらの事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、原子炉及び原子炉冷却材ポンプのボルト穴のドライ洗浄、ウェット洗浄、目視検査などが一括して行える自動化システムを開発し、圧力容器の気密維持に求められるボルト穴の安全性の向上と体系的な管理が両立できるスタッドボルト穴の洗浄、検査及び損傷履歴管理システムを提供するところにある。
【0012】
本発明の他の目的は、ウェット洗浄の場合、洗浄の対象となるボルト穴への接近が磁性ホイールにより自動的に可能になり、ブラシングユニット、真空洗浄機及び洗浄ラインを用いて洗浄を行うことにより清浄な洗浄面にしてボルト締め時に別途の追加工程が不要である他、特に、原子炉のスタッドボルトの固着が著しいために防錆剤を塗布してスタッドボルトを取り外すようなウェット環境下での作業現場において特に卓越した性能を発揮可能なスタッドボルト穴の洗浄、検査及び損傷履歴管理システムを提供するところにある。
【0013】
本発明のさらに他の目的は、マイクロカメラを用いた目視検査により円形状のボルト穴を探索して画像記録を収集し、且つ、プログラム上において損傷履歴を管理し、検査前後の資料を比較するなどの一連の過程が本機器一機で行えるスタッドボルト穴の洗浄、検査及び損傷履歴管理システムを提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の目的を達成するために、請求項1の発明に係るスタッドボルト穴の洗浄、検査及び損傷履歴管理システムは、シリンダの主フランジの上面に沿って移動しつつ、スタッドボルトを挿通するためのボルト穴を洗浄、検査、及び管理する本体と、前記本体に接続されて自動またはマニュアル操作を行う自動制御部及びマニュアル制御部と、前記ボルト穴の状態及び履歴管理を行う写真検索部とを有するメインコントローラと、前記メインコントローラに接続され、マニュアル操作を行うためのペンダントコントローラ(メインコントローラから派生した付属的なコントローラ)と、前記本体に接続されて前記ボルト穴へ洗浄水を供給する洗浄水タンクと、前記ボルト穴の洗浄後に異物及び洗浄水を吸引して貯溜する真空洗浄機とを備えることを特徴とする。
【0015】
請求項2の発明は、請求項1記載のスタッドボルト穴の洗浄、検査及び損傷履歴管理システムにおいて、前記本体は、シリンダの主フランジの上面に敷設されたレールに沿って移動可能であることを特徴とする。
【0016】
請求項3の発明は、請求項1記載のスタッドボルト穴の洗浄、検査及び損傷履歴管理システムにおいて、前記本体は、前記本体の中央部に設けられ、最下端部に着脱可能なブラシが取付けられるとともに、前記ブラシを回転させるための速度可変型のモータを有するブラシングユニットと、前記ブラシングユニットの一側部に設けられ、前記本体を前記ペンダントコントローラの操作によりマニュアル制御する内蔵コントロールボックスと、前記ブラシングユニットの一側部に設けられてボルト穴内部の状態を検査する目視検査ユニットと、前記ブラシングユニットと目視検査ユニットとがボルト穴への対応箇所に位置するように前記本体を固定するグリッパーユニットと、前記本体を前記シリンダの主フランジの上面から逸脱させずに円弧に沿って移動させる磁性ホイールと、前記ブラシングユニット、前記目視検査ユニット、及び前記グリッパーユニットを一体的に組み合わせるツールクランプユニットとを備えることを特徴とする。
【0017】
請求項4の発明は、請求項3記載のスタッドボルト穴の洗浄、検査及び損傷履歴管理システムにおいて、前記目視検査ユニットは、マイクロカメラと送りモータ及び回転モータを用いてボルト穴が正常であるか否かを検査し、該画像記録をメインコントローラに送るものであることを特徴とする。
【0018】
請求項5の発明は、請求項3記載のスタッドボルト穴の洗浄、検査及び損傷履歴管理システムにおいて、前記磁性ホイールは、永久磁石及びウレタンよりなることを特徴とする。
【0019】
請求項6の発明は、請求項3記載のスタッドボルト穴の洗浄、検査及び損傷履歴管理システムにおいて、前記ツールクランプユニットは、前記本体が前記シリンダの主フランジの上面に沿って移動するときに、前記上面の状況に応じて送り角度が調節されるように上下動自在に配設されていることを特徴とする。
【0020】
請求項7の発明は、請求項1または3記載のスタッドボルト穴の洗浄、検査及び損傷履歴管理システムにおいて、前記メインコントロールの自動制御部は、マイクロカメラからの画像信号をリアルタイムにて表示するビデオ画面表示部と、装置の駆動状態、位置及びセンサの入力状態を表示する進行状態表示部と、自動またはマニュアル洗浄のための自動及びマニュアル制御方式を含む制御方式選択部と、マニュアル洗浄の許容可否を決定するマニュアルコントロール部と、自動洗浄を許容するために、自動制御方式を選択した場合に限って操作を開始する洗浄開始ボタン部と、自動洗浄を一時中止または続行する一時中止・洗浄続行ボタン部と、前記ボルト穴の洗浄が行われる最中に強制的に洗浄を終了する洗浄終了ボタン部と、前記ブラシングユニット、前記目視検査ユニット及び前記グリッパーユニットを初期状態に戻す装置初期化ボタン部と、洗浄機をマニュアル操作でオンまたはオフさせる洗浄機オン/オフボタン部と、前記本体を当該ボルト穴に移動させる移動部と、当該ボルト穴の洗浄状態を切り換える洗浄状態切換部と、前記本体の現在のボルト穴の位置を指定する現在位置設定部と、前記ボルト穴の洗浄が完了した状態であっても、そのボルト穴の洗浄状態を未洗浄の状態に初期化させる洗浄初期化ボタン部と、前記ボルト穴の洗浄動作方法を制御する洗浄モード選択ボタン部とを備えることを特徴とする。
【0021】
請求項8の発明は、請求項7記載のスタッドボルト穴の洗浄、検査及び損傷履歴管理システムにおいて、前記制御方式選択部においては、自動洗浄時にはマニュアル洗浄指令ボタンが操作不可であり、マニュアル洗浄時には自動洗浄指令ボタンが操作不可であることを特徴とする。
【0022】
請求項9の発明は、請求項7記載のスタッドボルト穴の洗浄、検査及び損傷履歴管理システムにおいて、前記マニュアルコントロール部がマニュアル洗浄を許容した場合には、前記本体の内蔵コントロールボックスに接続されている前記ペンダントコントローラが操作可能であることを特徴とする。
【0023】
請求項10の発明は、請求項7記載のスタッドボルト穴の洗浄、検査及び損傷履歴管理システムにおいて、前記洗浄モード選択ボタン部は、「洗浄開始」の指令時にブラシによる洗浄は行わずに洗浄状態のみをキャプチャーするカメラモードと、「洗浄開始」の指令時にカメラキャプチャーは行わずにブラシによる洗浄のみを行うブラシモードと、ブラシによる洗浄及び洗浄完了状態のカメラキャプチャーを同時に行う全部モードとを含むことを特徴とする。
【0024】
請求項11の発明は、請求項1または3記載のスタッドボルト穴の洗浄、検査及び損傷履歴管理システムにおいて、前記メインコントロールのマニュアル制御部は、マイクロカメラからの画像信号をリアルタイムにて表示して画像ファイルとして保存するビデオ画面表示部と、装置の駆動状態、位置及びセンサの入力状態を表示する進行状態表示部と、自動及びマニュアル制御方式を含んで自動またはマニュアル洗浄を行う制御方式選択部と、マニュアル洗浄の許容可否を決めるマニュアルコントロール部と、前記ブラシングユニット、前記目視検査ユニット及び前記グリッパーユニットを初期状態に戻す装置初期化ボタン部と、洗浄機をマニュアル操作でオンまたはオフさせる洗浄機オン/オフボタン部と、前記ボルト穴の状態に対するビデオ画面を静止画で撮影してフォルダに保存する撮影ボタン部と、前記マイクロカメラ画面の内容を動画像で撮影して保存する機能をマニュアルで操作させる動画像保存部と、前後方グリッパーの移動を制御して前記グリッパーのロック及び解除を行うグリッパー操作部と、カメラの上下動と回転を制御し、カメラの位置と角度を画面上に表示するカメラ操作部と、前記ブラシの上下動と回転を制御し、前記ブラシの位置と回転状態を画面上に表示するブラシ操作部と、前記本体に取付けられたモータを制御するモータ駆動部と、前記本体を当該ボルト穴に移動させる移動部とを備えることを特徴とする。
【0025】
請求項12の発明は、請求項1記載のスタッドボルト穴の洗浄、検査及び損傷履歴管理システムにおいて、前記メインコントローラの写真検索部は、前記ボルト穴の写真倍率に応じてサイズ及び配列を調整する写真表示部と、表示写真のボルト穴の番号及び位置を切り換える参照マップ画面部と、当該ボルト穴の以前の作業写真ファイルに対する読込みや削除を行う写真検索部と、画面上の写真配列を上下左右に移動させる位置移動部と、作業者にさらに正確に判断させるために、写真配列の表示倍率を調整する写真倍率調整部と、当該ボルト穴の以前の作業写真を検索して読込み、現在の状態と既存の状態とを比較して当該ボルト穴の履歴管理を行う写真観察部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明によるスタッドボルト穴の洗浄、検査及び損傷履歴管理システムによれば、原子炉及び原子炉冷却材ポンプのボルト穴のドライ洗浄、ウェット洗浄、目視検査などが一括して行え、これにより、圧力容器の気密維持に求められるボルト穴の安全性の向上と体系的な管理が両立できる。さらに、本発明によれば、洗浄時間の短縮、洗浄品質の向上、作業者への放射線の照射量の低減、作業者の疲労度の低減及び作業便宜性の増大が図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、添付図面に基づき、本発明に係る一実施形態を詳述する。
【0028】
図4は、本実施形態のスタッドボルト穴の洗浄、検査及び損傷履歴管理システムの構成図であり、図5および図6はそれぞれ同システムの本体を示す正面図及び側面図であり、図7は、同システムの本体を示す分解斜視図であり、図8は、同システムのメインコントローラにおける自動制御状態を示す図であり、図9は、同システムのメインコントローラにおけるマニュアル制御状態を示す図であり、そして図10は、同システムのメインコントローラにおける損傷履歴の管理状態を示す図である。
【0029】
図4に示すように、本実施形態のスタッドボルト穴の洗浄、検査及び損傷履歴管理システムは、本体100と、メインコントローラ200と、ペンダントコントローラ300(メインコントローラ200から派生した付属的なコントローラ)と、洗浄水タンク400及び真空洗浄機500を備えてなる。
【0030】
前記本体100は、シリンダの主フランジ1(図1参照)の上面あるいは上面に敷設されたレールに沿って移動しつつ、スタッドボルト20(図2参照)を挿通するためのボルト穴30(図2参照)を洗浄、検査、及び管理する装置であり、図4から図7に示すように、ブラシングユニット110と、内蔵コントロールボックス120と、目視検査ユニット130と、グリッパーユニット140と、磁性ホイール150及びツールクランプユニット160を備えてなる。
【0031】
前記ブラシングユニット110は、スタッドボルトを挿通するためのボルト穴30を洗浄するものであり、前記本体100の中央部に設けられる。
【0032】
前記ブラシングユニット110の構造を簡略に述べる。ブラシングユニット110の上部には後述する真空洗浄機500の吸引ホース510、洗浄水タンク400の洗浄水供給ホース410、及びエアーを供給するためのエアー供給ホース220が設けられ、下部には着脱可能な荒い(あるいは、柔らかい)ブラシ112が取付けられ、さらに、中央部にはブラシ112にボルト穴30を上下動しつつ洗浄せしめる送りモータ(図示せず)付きケーシング116が設けられている。なお、前記ブラシングユニット110は、前記ケーシング116とブラシ112を接続し、ブラシ112を回転するための速度可変型のモータ(図示せず)を収容している第1のシリンダ118をさらに備えている。
【0033】
また、前記ケーシング116は、上下に遊動自在に取付けられ、磁性ホイール150を両側に有するブラケット115を備える。
【0034】
これにより、前記ブラシングユニット110は、メインコントローラ200の制御により自動またはマニュアル操作(手動操縦)で、そしてウェットまたはドライでボルト穴30を洗浄することになる。
【0035】
前記内蔵コントロールボックス120はブラシングユニット110の一側部に設けられて、前記本体100を前記ペンダントコントローラ300の操作によりマニュアルで制御する。
【0036】
すなわち、前記ボルト穴30をマニュアル操作で洗浄しようとする場合、前記メインコントローラ200においてマニュアルコントローラの許容ボタンを押下すると、内蔵コントロールボックス120に接続されているペンダントコントローラ300の操作を許容してマニュアル操作を可能にし、これにより、マニュアル洗浄が行われる。
【0037】
前記目視検査ユニット130はブラシングユニット110の一側部に設けられ、ボルト穴30の内部状態を検査する。
【0038】
また、前記目視検査ユニット130は、マイクロカメラと送りモータ(図示せず)を用いてボルト穴30が正常であるか否かを検査し、該画像記録をメインコントローラ200に送る。
【0039】
次いで、前記目視検査ユニット130の構成を簡略に述べる。前記目視検査ユニット130は、上部に設けられてボルト穴30へのカメラの角度及び構図を決めるアングル部131と、最下部に設けられてボルト穴30の内部が画像撮影可能なマイクロカメラ(図示せず)を収容しているカメラ筐体132と、前記アングル部131とカメラ筐体132を接続する中空のカメラシャフト134と、前記カメラシャフト134を上下動させる送りモータ133と、前記カメラシャフト134を回転させる回転モータ136と、前記カメラシャフト134を取り囲む第2のシリンダ138と、前記第2のシリンダ138の外部に遊動自在に取付けられ、両側に磁性ホイール150を有する第1のホルダ135とを備えている。
【0040】
さらに、前記目視検査ユニット130は、カメラシャフト134が所望の箇所に設定されたときに固定するグリッパー(後方グリッパー)を備える。
前記グリッパーユニット140は、本体100をボルト穴30に固定するものであり、前記ブラシングユニット110と目視検査ユニット130がボルト穴30への対応箇所に位置するように前記本体100を固定する。
【0041】
次いで、前記グリッパーユニット140の構成を簡略に述べる。前記グリッパーユニット140は、前記ボルト穴30に挿入されて本体100を固定するためにグリッパーユニット140の下部に取付けられたグリッパー142(前方グリッパー)と、前記グリッパー142の上下動を弾性的に行うために内部に多数のバネ(図示せず)が設けられた第3のシリンダ148と、前記シリンダ148の外側に遊動自在に取付けられ、両側に磁性ホイール150を有する第2のホルダ145と、を備えている。
【0042】
前記磁性ホイール150は、上述のように、ブラシングユニット110、目視検査ユニット130、及びグリッパーユニット140にそれぞれ設けられて、前記本体100を前記シリンダの主フランジ1の上面から逸脱させずに原子炉のシリンダの主フランジ1の円弧に沿って移動させる。
【0043】
ここで、前記磁性ホイール150は、永久磁石とウレタンよりなることが好ましい。
【0044】
前記ツールクランプユニット160は、第1の係合口161とブラシングユニット110を係合させ、第2の係合口162と目視検査ユニット130を係合させ、第3の係合口163とグリッパーユニット140を係合させることによりこれらを一体的に組み合わせる。
【0045】
ここで、前記第2の係合口162及び第3の係合口163の役割は互いに変わるようにしてもよい。
【0046】
前記ツールクランプユニット160にはそれを上下動可能にするクッション体(図示せず)が設けられており、これにより、本体100がシリンダの主フランジ1の上面に沿って移動するときに、凹状態、凸状態、または異物有りの状態など上面の状況に合わせて送り角度が調節される。
【0047】
前記メインコントローラ200は、図8から図10に示すように、コントロールケーブル205により前記本体100の内蔵コントロールボックス120に接続されて自動またはマニュアル操作を行う自動制御部210及びマニュアル制御部230と、前記ボルト穴30の状態及び履歴管理を行う写真検索部250とを備えている。
【0048】
前記メインコントローラ200の自動制御部210は、図8に示すように、ビデオ画面表示部211と、進行状態表示部212と、制御方式選択部213と、マニュアルコントロール部214と、洗浄開始ボタン部215と、一時中止・洗浄続行ボタン部216と、洗浄終了ボタン部217と、装置初期化ボタン部218と、洗浄機オン/オフボタン部219と、移動部220と、洗浄状態切換部221と、現在位置設定部222と、洗浄初期化ボタン部223と、洗浄モード選択ボタン部224とを備えている。
【0049】
前記ビデオ画面表示部211は、マイクロカメラからの画像信号をリアルタイムにて表示する。
【0050】
前記進行状態表示部212は、本体100の駆動状態、位置及びセンサの入力状態を表示するものであり、作業者にモニターを通じて一目で装置のあらゆる状態を閲覧させる。
【0051】
前記制御方式選択部213は、自動またはマニュアル洗浄のために自動及びマニュアル制御方式を含んでいる。
【0052】
前記制御方式選択部213において、「自動」の選択時には自動洗浄モードが設定され、「自動」制御方式を選択した場合に限って自動洗浄が行え、この状態では、マニュアル操作に関わる指令ボタンが操作不可である。
【0053】
これに対し、前記制御方式選択部213において、「マニュアル」の選択時にはマニュアル操作モードが設定され、マニュアル運用画面の指令ボタンが操作可能であるが、「洗浄開始」などの自動洗浄に関わる指令ボタンは操作不可である。
【0054】
前記マニュアルコントロール部214は、作業者に作業現場の近傍において微調整可能なペンダントコントローラ300(マニュアルコントローラ)の使用有無を決定させる。
【0055】
ここで、前記マニュアルコントロール部214がペンダントコントローラ300の使用を許容する場合には、本体100の内蔵コントロールボックス120に接続されているペンダントコントローラ300が別の離れた箇所(作業現場近傍)においても操作可能になる。
【0056】
すなわち、マニュアルコントロール部214の許容ボタンを押下した場合にはペンダントコントローラ300の操作を許容して本体100の内蔵コントロールボックス120に接続されているペンダントコントローラ300を操作可能にする一方、禁止ボタンを押下した場合にはペンダントコントローラ300を操作不可にする。
【0057】
前記洗浄開始ボタン部215は、本体100の自動洗浄を許容するために自動制御方式を選択した場合に限って操作可能になる。
【0058】
前記一時中止・洗浄続行ボタン部216は、自動洗浄を一時中止または続行する。
【0059】
これにより、前記一時中止・洗浄続行ボタン部216は自動洗浄中の状態においてのみ使用可能である。なお、洗浄中に発生する不具合を解決する場合には「装置初期化」を行う必要があるが、このとき、装置初期化を行う目的で装置を一時中止させるときにも使用可能である。
【0060】
前記洗浄終了ボタン部217は、スタッドボルトを挿通するためのボルト穴30の洗浄が行われる最中に最後のボルト穴30まで洗浄を進めずに強制的に洗浄を終了するものであり、このとき、現在進行中のボルト穴30への洗浄作業を完了してから洗浄を終了する。
【0061】
前記装置初期化ボタン部218は、本体100の設定値を初期化させてブラシングユニット110、目視検査ユニット130、及びグリッパーユニット140を初期状態に戻す。
【0062】
前記洗浄機オン/オフボタン部219は、真空洗浄機500をマニュアル操作でオンまたはオフさせる。
【0063】
前記移動部220は、作業者に洗浄または目視検査を行わせるために本体100を当該ボルト穴30に移動させる。
【0064】
前記洗浄状態切換部221は、当該ボルト穴30の洗浄状態を切り換えるものであり、作業者が指定したボルト穴30の洗浄状態を切り換えようとするとき、すなわち、未洗浄の状態に切り換えようとするときに使用する。
【0065】
ここで、洗浄が完了したボルト穴30は青表示となるが、洗浄が完了したボルト穴を選択した後、「洗浄状態の切換」ボタンを押下すると、未洗浄の状態に切り換えられる。
【0066】
前記現在位置設定部222は、本体100の現在のボルト穴30の位置を指定するものであり、現在本体100が位置しているボルト穴30の番号を作業者が指定したボルト穴30の番号に設定する。
【0067】
前記洗浄初期化ボタン部223は、ボルト穴30の洗浄が完了した状態であっても、前記ボルト穴30の洗浄状態を未洗浄の状態に初期化させる。
【0068】
すなわち、装置の初期化の条件は、自動/マニュアル運転前の装置の初期化は「装置初期化」のボタンを押下して行い、自動運転中の装置の初期化は「一時中止」のボタンを押下して自動運転を停止させた後、「装置初期化」のボタンを押下して行う。
【0069】
前記洗浄モード選択ボタン部224は、検査終了後及び検査中に特定のボルト穴を単独で検査若しくは洗浄する場合のモード切替えを制御する。
【0070】
すなわち、前記洗浄モード選択ボタン部224のモードは、「洗浄開始」の指令時にブラシ112による洗浄は行わずに洗浄状態のみをキャプチャーするカメラモード224−1と、「洗浄開始」の指令時にカメラキャプチャーは行わずにブラシ112による洗浄のみを行うブラシモード224−2と、ブラシによる洗浄及び洗浄完了状態のカメラキャプチャーを同時に行う全部モード224−3とを備える。
【0071】
前記メインコントローラ200のマニュアル制御部230は、図9に示すように、ビデオ画面表示部231と、進行状態表示部232と、制御方式選択部233と、マニュアルコントロール部234と、装置初期化ボタン部235と、洗浄機オン/オフボタン部236と、写真撮影ボタン部237と、動画像保存部238と、グリッパー操作部239と、カメラ操作部240と、ブラシ操作部241と、モータ駆動部242と、移動部243とを備えている。
【0072】
前記ビデオ画面表示部231は、マイクロカメラからの画像信号をリアルタイムにて表示し、ねじ山の損傷有無を視認させ、カメラによる撮影部分を画像ファイルとして保存する。
【0073】
前記進行状態表示部232は、本体100の駆動状態、位置及びセンサの入力状態を表示し、これらの状況を作業者に一目で閲覧させることにより、マニュアル制御による作業者のミスを前もって予防する。
【0074】
前記制御方式選択部233は、自動及びマニュアル制御方式を含んで作業者に自動またはマニュアル洗浄を行わせる。
【0075】
前記制御方式選択部233において、「自動」の選択時には自動洗浄モードが設定され、「自動」の制御方式を選択したときに限って自動洗浄が行え、この状態では、マニュアル操作に関わる指令ボタンが操作不可である。
【0076】
これに対し、前記制御方式選択部233において、「マニュアル」の選択時にはマニュアル操作モードが設定され、マニュアル運用画面の指令ボタンが操作可能であるが、「洗浄開始」などの自動洗浄に関わる指令ボタンは操作不可である。
【0077】
前記マニュアルコントロール部234は、作業者にマニュアル洗浄の許容有無を決定させる。
【0078】
前記装置初期化ボタン部235は、本体100の設定値を初期化させてブラシングユニット110、目視検査ユニット130、及びグリッパーユニット140を初期状態に戻す。
【0079】
前記洗浄機オン/オフボタン部236は、洗浄機をマニュアル操作でオンまたはオフさせる。
【0080】
前記写真撮影ボタン部237は、前記ボルト穴30の状態に対するビデオ画面を静止画で撮影してフォルダに保存する。
【0081】
上述のように、写真撮影ボタン部237において撮影されたビデオ画面は写真検索では検索できず、通常のグラフィックスファイルビューアにより閲覧可能である。このとき、ファイル名は、現在のボルト穴、深さ、角度、時刻などを考慮して自動的に生成される。
【0082】
前記動画像保存部238は、マイクロカメラ画面の内容を動画像で撮影して保存する機能をマニュアルで操作させる。
【0083】
前記グリッパー操作部239は、前後方グリッパーの上下動を制御し、前記グリッパーをロック及び解除させる。
【0084】
ここで、後方グリッパーの操作に当たっては、カメラが下降(98mm)されていない状態で後方グリッパーを下降させると、装置に損傷を負わせるため、操作に当って常に注意を払わなければならない。
【0085】
前記カメラ操作部240は、カメラの上下動と回転を制御し、カメラの位置と角度を画面上に表示する。
【0086】
前記ブラシ操作部241は、ブラシ112の上下動と回転を制御し、前記ブラシ112の位置と回転状態を画面上に表示する。
【0087】
前記モータ駆動部242は、本体100の内外側に取付けられたモータの駆動を制御するものであり、送りモータの個別の駆動を制御してモータの正逆転及び停止を促す。
【0088】
前記移動部243は、本体100を当該ボルト穴30に移動させるものであり、本体100の前後進及び停止をマニュアルで操作可能にする。
【0089】
前記メインコントローラ200の写真検索部250は、図10に示すように、写真表示部251と、参照マップ画面部252と、写真検索部253と、位置移動部254と、写真倍率調整部255と、写真観察部256とを備えている。
【0090】
前記写真表示部251は、カメラにより撮影されたボルト穴30の写真を表示するものであり、前記ボルト穴30の写真倍率に応じてサイズと配列を調整する。
【0091】
前記参照マップ画面部252は、作業者によるマウスクリックにより表示写真のボルト穴30の番号及び位置を変える。
【0092】
前記写真検索部253は、当該ボルト穴30に対する以前の作業写真ファイルを特に制限を設けることなく読込みまたは削除可能である。
【0093】
前記位置移動部254は、画面上の写真の配列を上下左右に移動させる。
【0094】
前記写真倍率調整部255は、作業者にさらに正確に判断させるために、写真配列の表示倍率を調整する。
【0095】
前記写真観察部256は、当該ボルト穴30の以前の作業写真を検索して読込み、現在の状態と既存の状態を画面上において比較して、当該ボルト穴30の履歴管理を行う。
【0096】
ここで、現在作業及び以前の作業写真を検索しようとするときには、写真検索モードに切り替えた上で、前記写真検索ボタン256−1を用いて行う。
【0097】
また、現在の作業写真と以前の作業写真を比較しようとするときには、写真比較モードに切り替えた上で、写真比較ボタン256−2を用いて行う。
【0098】
前記ペンダントコントローラ300はメインコントローラ200に接続され、このメインコントローラ200はコントロールケーブル205を介して本体100の内蔵コントロールボックス120に接続される。
【0099】
このため、前記メインコントローラ200において本体100をマニュアル操作するには、ペンダントコントローラ300に設けられた当該スイッチを用いてマニュアル操作モードに切り替えた後、メインコントローラ200の当該画面表示部を通じて本体100をマニュアル操作する。
【0100】
このときには、原子炉のシリンダの主フランジ1に穿設された全てのスタッドボルトを挿通するためのボルト穴30を洗浄及び検査することなく、作業者の意図の通りに、すなわち、洗浄及び検査が必要であると思われる当該ボルト穴30を選択して行う。
【0101】
これにより、前記ボルト穴30の以前の写真撮影による写真画面と現在表示されるボルト穴30のビデオ画面とを比較観察しつつボルト穴30の洗浄を選択的に行うことができる。
【0102】
前記洗浄水タンク400はウェット洗浄時に用いられるものであり、洗浄を行うために、本体100の上部に接続されている洗浄液ホース410を用いてボルト穴30に洗浄液を供給する。
【0103】
前記洗浄水タンク400からの洗浄液の供給は内蔵コントロールボックス120により制御されるが、このとき、メインコントローラ200の当該スイッチを押下することで洗浄液の供給制御が行われる。
【0104】
もし、前記ボルト穴30をウェットではないドライで洗浄しようとする場合には、メインコントローラ200またはその周辺に設けられた送風器(図示せず)からの空気を本体100の上部に接続されているエアー供給ホース220を用いてボルト穴30に供給することにより行い、これは、前記ペンダントコントローラ300によるボルト穴30のマニュアル洗浄時にも採用可能である。
【0105】
前記真空洗浄機500は、吸引ホース510を介して本体100の上部においてボルト穴30に接続され、前記ボルト穴30の自動またはマニュアル洗浄の最中または完了後に前記ボルト穴30の内部にある異物及び洗浄水を吸引して貯溜する。
【0106】
前記真空洗浄機500は、メインコントローラ200またはペンダントコントローラ300により自動またはマニュアルで制御される。
【0107】
通常、ボルト穴30のドライ及びウェットの洗浄方式は、作業者がボルト穴30の現在の状態に応じて選択し、これらの洗浄方式は単一の工程により一括して行われる。
【0108】
以下、上述した構成を有する本実施形態のスタッドボルト穴の洗浄、検査及び損傷履歴管理システムの作動状態を簡略に述べる。
【0109】
まず、作業者は、原子炉冷却材ポンプと圧力容器本体を結合させているスタッドボルトを取り外し、ボルト穴30を洗浄・検査するための装置の本体100を原子炉のシリンダの主フランジ1の上部に載置する。
【0110】
その後、作業者は、原子炉のシリンダの主フランジ1のスタッドボルトを挿通するためのボルト穴30を自動洗浄するのかマニュアル洗浄するのかをメインコントローラ200により選択する。
【0111】
作業者がボルト穴30の自動洗浄を選択し自動制御ボタン210を押下すると、予め設定された該当ボルト穴の番号、1ボルト穴当たりの洗浄時間、1ボルト穴当たりの洗浄液または空気の供給量などに合わせて洗浄液または空気がボルト穴30に供給され、ブラシングユニット110に取付けられたブラシ112が動作してボルト穴30を洗浄し始める。
【0112】
所定の洗浄時間が経過すると、前記本体100が自動的に次のボルト穴30に移動し、これと同時に、洗浄完了直後のボルト穴30に目視検査ユニット130が通される。前記ボルト穴30に通された目視検査ユニット130によりボルト穴30の内部の検査及び写真撮影が同時に行われ、そのボルト穴30の状態がメインコントローラ200の画面表示部に表示されて保存される。これと同時に、次のボルト穴30に移動したブラシングユニット110は、そのボルト穴30の洗浄を続行する。
【0113】
しかしながら、上述の如きボルト穴30の洗浄及び検査を順次に行っていく最中に、洗浄が不完全になされたボルト穴30がビデオ画面部211を通じて見つけられたときには、作業者が一時中止ボタンを押下し、不完全に洗浄されたボルト穴30に前記本体100を戻して再度洗浄を行わせてもよい。このときには、洗浄モードをマニュアル制御モード230に切り替えることも可能である。
【0114】
上記の如き過程を経て全てのボルト穴30の洗浄が完了すると、本体100は初期状態に戻る。
【0115】
一方、作業者が自動ではないマニュアル操作でボルト穴30を洗浄するために、メインコントローラ200のマニュアル制御230を選択したとする。マニュアル洗浄は、メインコントローラ200の各当該ボタンまたはペンダントコントローラ300の各当該スイッチを押下して行うが、このとき、メインコントローラ200の画面に表示されたボルト穴30の状況に応じて、ボルト穴30の洗浄時間、洗浄液または空気の供給量を調節しつつ行う。
【0116】
これにより、あるボルト穴30の洗浄が完了すると、作業者はペンダントコントローラ300の当該スイッチを押下して前記本体100のブラシングユニット110を次のボルト穴30に移動させて洗浄を続行すると同時に、洗浄済みのボルト穴に対して当該スイッチを押下して目視検査及び写真撮影を行う。このとき、撮影された当該ボルト穴30の状態はメインコントローラ200に保存される。
【0117】
上述の過程を経て全てのボルト穴30のマニュアル洗浄が完了すると、作業者はペンダントコントローラ300の当該スイッチを押下して本体100を初期状態に戻す。
【0118】
上述のように、ボルト穴30の洗浄中に撮影されたボルト穴30の状態は写真としてデータベース化され、これにより、洗浄を行う度に起きたボルト穴30の状態変化を検知してボルト穴30の履歴を管理することができるので、ボルト穴30の損傷有無が判断し易くなる結果、原子炉冷却ポンプからの水漏れを未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】通常の原子炉ヘッドに穿設されたスタッドボルト挿通用のボルト穴のレイアウトを示す平面図である。
【図2】前記スタッドボルトがボルト穴に挿入された状態を示す断面図である。
【図3】従来の技術による前記ボルト穴の作業状態を示す図である。
【図4】本発明に係る一実施形態のスタッドボルト穴の洗浄、検査及び損傷履歴管理システムの構成図である。
【図5】前記システムの本体の正面図である。
【図6】前記システムの本体の側面図である。
【図7】前記システムの本体の分解斜視図である。
【図8】前記システムのメインコントローラにおける自動制御状態を示す図である。
【図9】前記システムのメインコントローラにおけるマニュアル制御状態を示す図である。
【図10】前記システムのメインコントローラにおける損傷履歴の管理状態を示す図である。
【符号の説明】
【0120】
1 シリンダの主フランジ
20 スタッドボルト
30 ボルト穴
100 本体
110 ブラシングユニット
120 内蔵コントロールボックス
130 目視検査ユニット
140 グリッパーユニット
150 磁性ホイール
160 ツールクランプユニット
200 メインコントローラ
210 自動制御部
230 マニュアル制御部
250 写真検索部
300 ペンダントコントローラ
400 洗浄水タンク
500 真空洗浄機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダの主フランジの上面に沿って移動しつつ、スタッドボルトを挿通するためのボルト穴を洗浄、検査、及び管理する本体(100)と、
前記本体(100)に接続されて自動またはマニュアル操作を行う自動制御部(210)及びマニュアル制御部(230)と、
前記ボルト穴の状態及び履歴管理を行う写真検索部(250)とを有するメインコントローラ(200)と、
前記メインコントローラ(200)に接続され、マニュアル操作を行うためのペンダントコントローラ(300)と、
前記本体(100)に接続されて前記ボルト穴へ洗浄水を供給する洗浄水タンク(400)と、
前記ボルト穴の洗浄後に異物及び洗浄水を吸引して貯溜する真空洗浄機(500)とを備えることを特徴とするスタッドボルト穴の洗浄、検査及び損傷履歴管理システム。
【請求項2】
前記本体(100)は、シリンダの主フランジの上面に敷設されたレールに沿って移動可能であることを特徴とする請求項1記載のスタッドボルト穴の洗浄、検査及び損傷履歴管理システム。
【請求項3】
前記本体(100)は、
前記本体(100)の中央部に設けられ、最下端部に着脱可能なブラシ(112)が取付けられるとともに、前記ブラシ(112)を回転させるための速度可変型のモータを有するブラシングユニット(110)と、
前記ブラシングユニット(110)の一側部に設けられ、前記本体(100)を前記ペンダントコントローラ(300)の操作によりマニュアル制御する内蔵コントロールボックス(120)と、
前記ブラシングユニット(110)の一側部に設けられてボルト穴内部の状態を検査する目視検査ユニット(130)と、
前記ブラシングユニット(110)と目視検査ユニット(130)とがボルト穴への対応箇所に位置するように前記本体(100)を固定するグリッパーユニット(140)と、
前記本体(100)を前記シリンダの主フランジの上面から逸脱させずに円弧に沿って移動させる磁性ホイール(150)と、
前記ブラシングユニット(110)、前記目視検査ユニット(130)、及び前記グリッパーユニット(140)を一体的に組み合わせるツールクランプユニット(160)とを備えることを特徴とする請求項1記載のスタッドボルト穴の洗浄、検査及び損傷履歴管理システム。
【請求項4】
前記目視検査ユニット(130)は、マイクロカメラと送りモータ(133)及び回転モータ(136)を用いてボルト穴が正常であるか否かを検査し、該画像記録をメインコントローラ(200)に送るものであることを特徴とする請求項3記載のスタッドボルト穴の洗浄、検査及び損傷履歴管理システム。
【請求項5】
前記磁性ホイール(150)は、永久磁石及びウレタンよりなることを特徴とする請求項3記載のスタッドボルト穴の洗浄、検査及び損傷履歴管理システム。
【請求項6】
前記ツールクランプユニット(160)は、前記本体(100)が前記シリンダの主フランジの上面に沿って移動するときに、前記上面の状況に応じて送り角度が調節されるように上下動自在に配設されていることを特徴とする請求項3記載のスタッドボルト穴の洗浄、検査及び損傷履歴管理システム。
【請求項7】
前記メインコントロール(200)の自動制御部(210)は、
マイクロカメラからの画像信号をリアルタイムにて表示するビデオ画面表示部(211)と、
装置の駆動状態、位置及びセンサの入力状態を表示する進行状態表示部(212)と、
自動またはマニュアル洗浄のための自動及びマニュアル制御方式を含む制御方式選択部(213)と、
マニュアル洗浄の許容可否を決定するマニュアルコントロール部(214)と、
自動洗浄を許容するために、自動制御方式を選択した場合に限って操作を開始する洗浄開始ボタン部(215)と、
自動洗浄を一時中止または続行する一時中止・洗浄続行ボタン部(216)と、
前記ボルト穴の洗浄が行われる最中に強制的に洗浄を終了する洗浄終了ボタン部(217)と、
前記ブラシングユニット(110)、前記目視検査ユニット(130)及び前記グリッパーユニット(140)を初期状態に戻す装置初期化ボタン部(218)と、
洗浄機をマニュアル操作でオンまたはオフさせる洗浄機オン/オフボタン部(219)と、
前記本体(100)を当該ボルト穴に移動させる移動部(220)と、
当該ボルト穴の洗浄状態を切り換える洗浄状態切換部(221)と、
前記本体(100)の現在のボルト穴の位置を指定する現在位置設定部(222)と、
前記ボルト穴の洗浄が完了した状態であっても、そのボルト穴の洗浄状態を未洗浄の状態に初期化させる洗浄初期化ボタン部(223)と、
前記ボルト穴の洗浄動作方法を制御する洗浄モード選択ボタン部(224)とを備えることを特徴とする請求項1または3記載のスタッドボルト穴の洗浄、検査及び損傷履歴管理システム。
【請求項8】
前記制御方式選択部(213)においては、自動洗浄時にはマニュアル洗浄指令ボタンが操作不可であり、マニュアル洗浄時には自動洗浄指令ボタンが操作不可であることを特徴とする請求項7記載のスタッドボルト穴の洗浄、検査及び損傷履歴管理システム。
【請求項9】
前記マニュアルコントロール部(214)がマニュアル洗浄を許容した場合には、前記本体(100)の内蔵コントロールボックス(120)に接続されている前記ペンダントコントローラ(300)が操作可能であることを特徴とする請求項7記載のスタッドボルト穴の洗浄、検査及び損傷履歴管理システム。
【請求項10】
前記洗浄モード選択ボタン部(224)は、
「洗浄開始」の指令時にブラシ(112)による洗浄は行わずに洗浄状態のみをキャプチャーするカメラモード(224−1)と、
「洗浄開始」の指令時にカメラキャプチャーは行わずにブラシ(112)による洗浄のみを行うブラシモード(224−2)と、
ブラシによる洗浄及び洗浄完了状態のカメラキャプチャーを同時に行う全部モード(224−3)とを含むことを特徴とする請求項7記載のスタッドボルト穴の洗浄、検査及び損傷履歴管理システム。
【請求項11】
前記メインコントロール(200)のマニュアル制御部(230)は、
マイクロカメラからの画像信号をリアルタイムにて表示して画像ファイルとして保存するビデオ画面表示部(231)と、
装置の駆動状態、位置及びセンサの入力状態を表示する進行状態表示部(232)と、
自動及びマニュアル制御方式を含んで自動またはマニュアル洗浄を行う制御方式選択部(233)と、
マニュアル洗浄の許容可否を決めるマニュアルコントロール部(234)と、
前記ブラシングユニット(110)、前記目視検査ユニット(130)及び前記グリッパーユニット(140)を初期状態に戻す装置初期化ボタン部(235)と、
洗浄機をマニュアル操作でオンまたはオフさせる洗浄機オン/オフボタン部(236)と、
前記ボルト穴の状態に対するビデオ画面を静止画で撮影してフォルダに保存する撮影ボタン部(237)と、
前記マイクロカメラ画面の内容を動画像で撮影して保存する機能をマニュアルで操作させる動画像保存部(238)と、
前後方グリッパーの移動を制御して前記グリッパーのロック及び解除を行うグリッパー操作部(239)と、
カメラの上下動と回転を制御し、カメラの位置と角度を画面上に表示するカメラ操作部(240)と、
前記ブラシ(112)の上下動と回転を制御し、前記ブラシ(112)の位置と回転状態を画面上に表示するブラシ操作部(241)と、
前記本体(100)に取付けられたモータを制御するモータ駆動部(242)と、
前記本体(100)を当該ボルト穴に移動させる移動部(243)とを備えることを特徴とする請求項1または3記載のスタッドボルト穴の洗浄、検査及び損傷履歴管理システム。
【請求項12】
前記メインコントローラ(200)の写真検索部(250)は、
前記ボルト穴の写真倍率に応じてサイズ及び配列を調整する写真表示部(251)と、
表示写真のボルト穴の番号及び位置を切り換える参照マップ画面部(252)と、
当該ボルト穴の以前の作業写真ファイルに対する読込みや削除を行う写真検索部(253)と、
画面上の写真配列を上下左右に移動させる位置移動部(254)と、
作業者にさらに正確に判断させるために、写真配列の表示倍率を調整する写真倍率調整部(255)と、
当該ボルト穴の以前の作業写真を検索して読込み、現在の状態と既存の状態とを比較して当該ボルト穴の履歴管理を行う写真観察部(256)とを備えることを特徴とする請求項1記載のスタッドボルト穴の洗浄、検査及び損傷履歴管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−31215(P2009−31215A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−197806(P2007−197806)
【出願日】平成19年7月30日(2007.7.30)
【出願人】(507256452)コリア プラント サービス アンド エンジニアリング カンパニー リミテッド (9)
【Fターム(参考)】