説明

スタビライザ制御装置

【課題】 トーションバーのサスペンション部材への取付け位置の左右差を防止し、ねじり剛性の切り換えを円滑に行い得るスタビライザ制御装置を提供する。
【解決手段】 左右一方の車輪に接続される第1トーションバーTB1、他方の車輪に接続される第2トーションバーTB2、及びこれらに接合され、連結位置及び開放位置を切り換える切換手段KR(第1及び第2クラッチ部材CL1,CL2、外筒OTP等)を備え、切換手段が連結位置に保持された状態で、第1トーションバーと第2トーションバーとの相対位置が調整されて成る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のスタビライザ制御装置に関し、特に、切換手段によってスタビライザのねじり剛性を切り換えるスタビライザ制御装置に係る。
【背景技術】
【0002】
車両のスタビライザは、車両の左右車輪間に配設され、左右車輪間のサスペンションストロークに相対的な変位差が発生したときにねじりばねとして作用するものである。従って、平坦な路面を直進走行するときにはスタビライザは作用しないが、車両が旋回するときにスタビライザは車両のロール運動を抑制するように作用する。このようなスタビライザは、車両のサスペンション部材に取り付けられるが、その取付け位置には左右差がないことが要求される。仮に、取付け位置に左右差がある場合には、車両が直進走行時にスタビライザに対しねじりが生じた状態となり、そのねじりばね力は車両の傾斜方向に作用する。また、車両が旋回する場合においても、旋回方向(左旋回又は右旋回)によってロール運動の抑制効果が異なる。このような点に鑑み、スタビライザのねじり剛性を可変とするスタビライザ制御装置が知られている。
【0003】
例えば下記の特許文献1には、旋回路等での有効なロール制御と一般路での直線走行時の良好な乗り心地とを両立させるために、スタビライザのトーション部を左半部と右半部に分割し、その左半部と右半部の各端部を対向させ、左半部の端部と右半部の端部間をクラッチ機構によって連結・遮断する装置が提案されている。そして、クラッチ機構として、スプラインによる係合形式のもの、あるいは作動ピン方式のものが記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、トーションバーのねじれ部径方向の外方に配置され、ねじれ部にシール状態に相対回転可能に結合されたパイプ内に、このパイプ内を2つの流体室に区画するピストンを配置し、ねじれ部およびパイプに相対回転不可にかつ軸線方向へピストンを移動させることによって剛性を連続的に切り換える剛性可変スタビライザが開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開2000−289427号公報
【特許文献2】特公平7−84125号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
スタビライザ制御装置は、直進走行時の乗り心地の向上と旋回時のロール運動の抑制を企図するものであるため、車両がロール運動を開始する前、即ち直進走行時もしくは僅かにロール運動が発生したときにねじり剛性を切り換えるように構成することが一般的である。また、運転者の要請に応じて手動スイッチで切り換え可能とすべく、車両の停止時にも切り換え得るように構成することが必要となる。
【0007】
上記特許文献1に記載のスタビライザ装置においては、スプラインによる係合形式のクラッチ機構、あるいは作動ピン方式のクラッチ機構によってスタビライザのトーション部の左半部と右半部との連結・遮断が行われる。前述のように、スタビライザ制御装置のサスペンション部材への取付け位置が左右の車輪側で異なる場合には、車両の停止又は直進走行時にスタビライザ制御装置に対しねじりが生ずる。このとき、特許文献1に記載の装置ではスプラインや作動ピン等がそのねじりを受けもつことになるため、クラッチ機構の連結や遮断の切り換えを円滑に行うことが困難となる。
【0008】
同様に、前掲の特許文献2に記載の剛性可変スタビライザにおいては、ねじり剛性を可変とするために、ピストンがねじれ部に対して相対回転できない構成(スプライン結合)で軸方向に移動させるように構成されているが、サスペンション部材への取付け位置に左右差があると、直進走行時にはスプラインにねじりが生じた状態となり、ピストンを円滑に移動させることが困難となる。
【0009】
そこで、本発明は、クラッチ手段の連結及び開放によってスタビライザのねじり剛性を切り換え可能なスタビライザ制御装置において、トーションバーのサスペンション部材への取付け位置の左右差を防止し、ねじり剛性の切り換えを円滑に行うことができるスタビライザ制御装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を達成するため、本発明は、請求項1に記載のように、車両の左右車輪間に配設されるスタビライザのねじり剛性を制御するスタビライザ制御装置において、前記車両の一方の車輪に接続される第1トーションバーと、前記車両の他方の車輪に接続される第2トーションバーと、前記第1トーションバーと前記第2トーションバーとに接合され、前記第1トーションバーと前記第2トーションバーとの連結位置及び開放位置を切り換える切換手段とを備え、該切換手段を前記連結位置に保持した状態で、前記第1トーションバーと前記第2トーションバーとの相対位置が調整されて成る。
【0011】
前記切換手段は、請求項2に記載のように、第1クラッチ部材及び第2クラッチ部材の一対のクラッチ部材を対向して配置して成るクラッチ手段を具備したものとし、該クラッチ手段によって前記第1トーションバーと前記第2トーションバーとの連結位置及び開放位置を切り換えるように構成するとよい。
【0012】
尚、前記クラッチ手段は、テーパ歯面の複数の噛み合い歯を有する第1クラッチ部材及び第2クラッチ部材の一対のクラッチ部材を対向して配置して成る噛み合いクラッチ機構とするとよい。例えば、所謂ツースクラッチを用いるとよい。即ち、軸方向で対向する平面を有する一対のクラッチ部材を具備し、該一対のクラッチ部材の対向する平面の各々に、当該クラッチ部材の円周に沿って、連続して等間隔に台形歯を形成したものとするとよい。あるいは、軸方向で対向する平面を有する一対のクラッチ部材を具備し、該一対のクラッチ部材の対向する平面の各々に、当該クラッチ部材の円周に沿って、連続して等間隔に三角形歯を形成したものとしてもよい。
【0013】
更に、前記切換手段は、請求項3に記載のように、前記第1クラッチ部材に固定し軸方向移動するスライド部材と、該スライド部材を軸方向に駆動する駆動手段と、前記スライド部材に固定された前記第1クラッチ部材に対し、回転方向の運動を拘束し軸方向移動を許容する回り止め手段と、該回り止め手段を固定すると共に前記駆動手段を固定するハウジングとを備え、該ハウジングを第1固定手段によって前記第1トーションバーに固定し、前記第2クラッチ部材を第2固定手段によって前記第2トーションバーに固定したものとするとよい。
【0014】
そして、請求項4に記載のように、前記第2固定手段は、前記第2クラッチ部材に固着すると共に前記第2トーションバーに対し相対回転位置を調整可能に支持する保持部材と、該保持部材を前記第2トーションバーに対し回転不能に接合する接合手段とを備えたものとし、前記接合手段は、前記保持部材と前記第2トーションバーとの間に介装し、前記保持部材と前記第2トーションバーとをスプライン結合する中間部材を備えたものとし、該中間部材と前記保持部材を固定状態変更不能の固着手段で固着したものとしてもよい。尚、前記第1固定手段についても上記と同様に構成することができる。
【0015】
また、本発明は、請求項5に記載のように、車両の左右車輪間に配設されるスタビライザのねじり剛性を制御するスタビライザ制御装置において、前記車両の一方の車輪に接続される第1トーションバーと、前記車両の他方の車輪に接続される第2トーションバーと、前記第1トーションバーと前記第2トーションバーとの間に配設される中間トーションバーと、前記第1トーションバーと前記第2トーションバーとに接合され、前記第1トーションバーと前記第2トーションバーとの連結位置と開放位置を切り換える切換手段とを備え、前記切換手段を前記連結位置に保持した状態で、前記第1トーションバー、前記第2トーションバー及び前記中間トーションバーの相対位置が調整されて成るものとしてもよい。
【0016】
前記切換手段は、請求項6に記載のように、第1クラッチ部材及び第2クラッチ部材の一対のクラッチ部材を対向して配置して成るクラッチ手段を具備したものとし、該クラッチ手段によって前記中間トーションバーの両端と前記第1トーションバー及び前記第2トーションバーとの連結位置及び開放位置を切り換えるように構成するとよい。
【0017】
更に、前記切換手段は、請求項7に記載のように、前記第1クラッチ部材に固定し軸方向移動するスライド部材と、該スライド部材を軸方向に駆動する駆動手段と、前記スライド部材に固定された前記第1クラッチ部材に対し、回転方向の運動を拘束し軸方向移動を許容する回り止め手段と、該回り止め手段を固定すると共に前記駆動手段を固定するハウジングとを備え、該ハウジングを第1固定手段によって前記中間トーションバーの一端と前記第1トーションバーの少なくとも一方に固定し、前記第2クラッチ部材を第2固定手段によって前記中間トーションバーの他端と前記第2トーションバーの少なくとも一方に固定したものとするとよい。
【0018】
そして、請求項8に記載のように、前記第2固定手段は、前記第2クラッチ部材に固着すると共に前記中間トーションバーの他端と前記第2トーションバーの少なくとも一方に対し相対回転位置を調整可能に支持する保持部材と、該保持部材を前記中間トーションバーの他端と前記第2トーションバーの少なくとも一方に対し回転不能に接合する接合手段とを備えたものとし、前記保持部材と前記中間トーションバーの他端とをスプライン結合すると共に、前記保持部材と前記第2トーションバーとの間に介装し、前記保持部材と前記第2トーションバーとをスプライン結合する中間部材を備えたものとし、該中間部材と前記保持部材を固定状態変更不能の固着手段で固着したものとしてもよい。尚、前記第1固定手段についても上記と同様に構成することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明は上述のように構成されているので以下の効果を奏する。即ち、請求項1乃至3に記載のように構成されたスタビライザ制御装置においては、切換手段を連結位置に保持した状態で、第1トーションバー及び第2トーションバーを接合することとしているので、トーションバーはサスペンション部材への取付け位置に対し左右差が無く中立位置にあって、車両の停止時及び直線走行時にねじりが生ずることはない。従って、スタビライザのねじり剛性の切り換えを円滑に行うことができる。
【0020】
更に、請求項4に記載のように中間部材を備えた接合手段とすれば、第2トーションバーと切換手段との接合を任意の回転位置で行うことができるので、構造を簡略化することができる。しかも、接合に最適な形状及び材料を選択することができるので、加工及び組み付けが容易となる。
【0021】
また、請求項5乃至7に記載のように構成されたスタビライザ制御装置においても、切換手段を連結位置に保持した状態で、第1トーションバー、第2トーションバー及び中間トーションバーを接合することとしているので、トーションバーのサスペンション部材への取付け位置の左右差を防止し、ねじり剛性の切り換えを円滑に行うことができる。しかも、車両の停止時及び直線走行時に連結位置に切り換える場合には、中間トーションバーにねじりが生ずることはないので、従前の駆動手段による調整は不要となる。
【0022】
更に、請求項8に記載のように中間部材を備えた接合手段とすれば、中間トーションバーと切換手段との接合を任意の回転位置で行うことができるので、構造を簡略化することができる。しかも、接合に最適な形状及び材料を選択することができるので、加工及び組み付けが容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の望ましい実施形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施形態に係るスタビライザ制御装置の構成を示すもので、車両の左右車輪間に配設され、一方の車輪に接続される第1トーションバーTB1、他方の車輪に接続される第2トーションバーTB2、及びこれらの連結位置及び開放位置を切り換える切換手段KRとで構成される。切換手段KRは、第1クラッチ部材CL1及び第2クラッチ部材CL2を対向して配置して成るクラッチ手段CLMを備え、このクラッチ手段CLMによって、第1トーションバーTB1と第2トーションバーTB2との相対位置が調整されて切換手段KRの連結位置が設定され、設定後の連結位置に保持した状態で、切換手段KRに第1トーションバーTB1及び第2トーションバーTB2が接合される。
【0024】
そして、切換手段KRとしては、第1クラッチ部材CL1に固定し軸方向移動するスライド部材SLMと、スライド部材SLMを軸方向に駆動する駆動手段DRMと、スライド部材SLMに固定された第1クラッチ部材CL1に対し、回転方向の運動を拘束し軸方向移動を許容する回り止め手段SPMと、回り止め手段SPMを固定すると共に駆動手段DRMを固定するハウジング(外筒OTP)を備えたものとすることができる。このハウジングは、第1固定手段によって第1トーションバーTB1に固定され、第2クラッチ部材CL2は、第2固定手段によって第2トーションバーTB2に固定される。
【0025】
上記の第1固定手段としては、固定状態変更不能の固着手段、例えば溶接やかしめ接合とするとよい。一方、第2固定手段としては、第2クラッチ部材CL2に固着すると共に第2トーションバーTB2に対し相対回転位置を調整可能に支持する保持部材(これについては図6乃至図8を参照して後述する)と、この保持部材を第2トーションバーTB2に対し回転不能に接合する接合手段(スプライン結合手段や上記の固着手段)で構成することができる。
【0026】
尚、本実施形態の切換手段KRとしては、テーパ歯面の複数の噛み合い歯を有する第1クラッチ部材CL1及び第2クラッチ部材CL2が対向して配置された噛み合いクラッチ機構が用いられ、例えば、第1クラッチ部材CL1及び第2クラッチ部材CL2が軸方向で対向する平面を有する具備し、これらの対向する平面の各々に、円周に沿って連続して等間隔に台形歯又は三角形歯が形成され、所謂ツースクラッチ(tooth clutch)が構成される。これらの構成については、図4及び図5を参照して後に詳細に説明する。
【0027】
更に、図1に破線で示すように中間トーションバーを備えたスタビライザ制御装置においては、例えば、ハウジング(外筒OTP)が第1固定手段によって第1トーションバーTB1に固定され、第2クラッチ部材CL2は、第2固定手段によって中間トーションバーと共に第2トーションバーTB2に固定されるが、種々の態様があり、これらについては図11乃至図13を参照して詳細に説明する。
【0028】
図2は、本発明の一実施形態に係るスタビライザ制御装置を備えた制御システムを示すもので、スタビライザ制御装置STBf及びSTBrが車両に設けられる。スタビライザ制御装置STBf及びSTBrには、ねじり剛性を切り換えるための切換アクチュエータKAf及びKArが備えられる。切換アクチュエータKAf及びKArはスタビライザ用電子制御ユニットECU1により制御される。このスタビライザ用電子制御ユニットECU1には、手動スイッチMSが接続されており、運転者のスイッチ操作によってスタビライザ制御装置STBf及びSTBrのねじり剛性を切り換えることができる。
【0029】
スタビライザ用電子制御ユニットECU1は、通信バスに接続され、この通信バスを介して他の制御システムの電子制御ユニット(ブレーキ系電子制御ユニットECU2、及びインパネ系電子制御ユニットECU3)における処理情報及びセンサ信号を共有することができる。更に、上記の通信バスには、ステアリングホイールSWの操舵角δswを検出する操舵角センサSA、車両の前後加速度Gxを検出する前後加速度センサGX、車両の横加速度Gyを検出する横加速度センサGY、車両のヨー角速度Yrを検出するヨー角速度センサYRが接続され、各電子制御ユニットにセンサ信号の情報を提供できるように構成されている。
【0030】
各車輪WHxx(添字「xx」は各車輪を表し、「fr」は右前輪、「fl」は左前輪、「rr」は右後輪、「rl」は左後輪を意味する)には、車輪速度センサWSxxが配設され、これらがブレーキ系電子制御ユニットECU2に接続されており、各車輪の回転速度、即ち車輪速度に比例するパルス数のパルス信号がブレーキ系電子制御ユニットECU2に入力されるように構成されている。そして、ブレーキ系制御ユニットECU2内において、車輪速度センサWSxxからの車輪速度信号Vwxxに基づいて、車両の前後方向速度(車両速度)Vが演算される。
【0031】
スタビライザ制御装置STBf及びSTBrは、マウントMTxxによって車体に装着される。左右の車輪に異なるストローク入力が入った場合には、スタビライザ制御装置にねじりが発生し、そのねじりを戻そうとする力(ねじりばね力)が発生する。スタビライザ制御装置STBf及びSTBrは、手動スイッチMSの操作、又は上述のセンサ信号から演算される車両の走行状態に基づいて、ねじり剛性を切り換える。尚、図2では、スタビライザ制御装置が左右前輪間及び左右後輪間に備えられる場合を示しているが、これらのうち少なくとも一方に備える構成とすることもできる。
【0032】
左右前輪間に配置される前輪スタビライザ制御装置STBfは、図3に示すように構成されており、左前輪に接続されるトーションバーTBfl(以下、左前輪トーションバーという)が前述の第2トーションバーTB2に相当し、右前輪に接続されるトーションバーTBfr(以下、右前輪トーションバーという)が前述の第1トーションバーTB1に相当する。前輪スタビライザ制御装置STBfは、左前輪トーションバーTBfl、右前輪トーションバーTBfr及び切換アクチュエータKAfで構成される。右前輪トーションバーTBfrは端部CNfrで右前輪のサスペンション部材と接続され、端部Aで切換アクチュエータKAfの外筒OTPと接合される。一方、左前輪トーションバーTBflは端部CNflで左前輪のサスペンション部材と接続され、端部Bで切換アクチュエータKAfの外筒OTPと接合される。
【0033】
後輪スタビライザ制御装置STBrも同様の構成であるので、以下の説明では、前輪スタビライザ制御装置STBfについて説明する。尚、添字の「f」は前輪を表し、また「r」は後輪を表す。そして、前輪スタビライザ制御装置STBfの説明に用いられる添字「f」を、添字「r」に変更すれば、後輪スタビライザ制御装置STBrについての説明となる。また、以下の説明では、(制限を加えることなく)単に「回転方向」といった場合にはスタビライザ制御装置のねじりばね力を発生するねじりの回転方向を意味し、「軸方向」といった場合にはスタビライザ制御装置のねじりに対する軸方向を意味する。
【0034】
切換アクチュエータKAfは図1の切換手段KRに対応し、クラッチ手段CLMとクラッチ手段を駆動する駆動手段DRMが備えられ、クラッチ手段CLMの連結位置及び開放位置の切り換えによってスタビライザ制御装置STBfのねじり剛性の切り換えを行う。クラッチ手段CLMの一方のクラッチ部材(第1クラッチ部材)CL1は、スライド部材SLMに固定され、外筒OTPに固定される回り止め手段SPMによってガイドされて軸方向に可動となり、他方側のクラッチ部材(第2クラッチ部材)CL2との連結位置又は開放位置が設定される。第2クラッチ部材CL2は左前輪トーションバーTBflの端部Bと結合されている。
【0035】
クラッチ手段CLMが開放位置にある場合には、左前輪トーションバーTBflと右前輪トーションバーTBfrとは分離された状態にあり、スタビライザ制御装置STBfはねじり剛性を有さない。一方、クラッチ手段CLMが連結位置にある場合には、左前輪トーションバーTBflと右前輪トーションバーTBfrとが切換アクチュエータKAfを介して接続されるので、ねじり剛性を有する。
【0036】
本実施形態の駆動手段DRMは、クラッチ手段CLMを駆動する手段で、電気(回転)モータ、リニアモータ、油圧、空気圧、電磁力等を利用した公知のアクチュエータを利用することができる。クラッチ手段CLMは、連結位置と開放位置を有し選択的に切り換え可能な手段で、以下に説明する噛み合いクラッチを用いている。回り止め手段SPMは、スライド部材SLMに固定された第1クラッチ部材CL1を、回転方向の運動を拘束し軸方向移動を許容する手段であり、キー、スプライン、セレーション、ボールスプライン等の公知の回り止め機構を用いることができる。
【0037】
次に、クラッチ手段CLMは連結位置と開放位置を切り換える手段で、例えば図4及び図5に示す噛み合いクラッチで構成される。この噛み合いクラッチとして、歯面が所定角(以下、噛み合い角という)αのテーパ歯面を有する台形又は三角形の複数歯を有するツースクラッチを用いることにより、クラッチ手段CLMによる連結を確実に行うことができる。即ち、複数の連続した噛み合い歯を有するため、車両のロール運動によってスタビライザ制御装置にねじりが付与されたときに、仮に連結位置に切り換えるべき位置での連結を逃したとしても、次の噛み合い状態での連結が可能となる。
【0038】
特に、図4及び図5に示すように、噛み合い角αのテーパ歯面を有する台形又は三角形の歯形を有するツースクラッチを用いることにより、クラッチ部材CL1及びCL2の凸部同士が当接する可能性は少なく、若干の回転方向運動が生ずればクラッチ部材の噛み合いが可能となる。また、回転方向に若干の変位差を以って噛み合う場合、歯形が噛み合い角αを有するため、スライド部材SLMの押圧力によって、確実にクラッチ手段CLMの噛み合いを確保することができる。
【0039】
尚、ツースクラッチは噛み合い歯のピッチに応じて段階的に連結されるクラッチ手段である。このようなクラッチ手段を用いる場合、上記のように回転方向に位置が多少ずれていたとしてもクラッチ手段の結合は可能である。しかし、円滑なクラッチ手段の切り換えには、車両の停止又は直進走行時に噛み合い歯の凸部と凹部の位置が対応していることが望ましい。
【0040】
次に、図6を参照して、クラッチ手段の噛み合い歯の凸部と凹部(ツースクラッチの歯先と歯底)を適正に位置決めした状態で、切換アクチュエータKAfと左前輪トーションバーTBfl及び右前輪トーションバーTBfrとを接合する手段について説明する。先ず、スライド部材SLMに固定された第1クラッチ部材CL1が、ハウジングたる外筒OTPに固定された回り止め手段SPMにガイドされ、クラッチ手段CLMの連結位置まで軸方向に前進駆動される。そして、保持部材STMに固定された第2クラッチ部材CL2が第1クラッチ部材CL1と噛合される。その状態で、図3に示す左前輪トーションバーTBflの端部CNflと右前輪トーションバーTBfrの端部CNfrとの位置が合致するように、左前輪トーションバーTBfl及び右前輪トーションバーTBfrの端部と切換アクチュエータKAfとの接合部A及びBが位置決めされ、例えば溶接、かしめ等、固定状態変更不能の固着手段により接合される。図6のWL1,WL2は溶接部を示す。
【0041】
接合手段としては、上記の固着手段のほか、図7乃至図10に示すようなスプライン結合手段や、中間部材を介装した手段を適用することも可能である。図7及び図8において、左前輪トーションバーTBflの端部での接合部Bを示し、図9及び図10において、右前輪トーションバーTBfrの端部での接合部Aを示す。先ず、図7においては、左前輪トーションバーTBflの端部にスプラインAS1が形成され、これと嵌合可能なスプライン孔が形成された保持部材STMに、スプラインAS1が圧入されて接合される。
【0042】
また、左前輪トーションバーTBflとして、ばね鋼等の溶接が困難な材料が用いられる場合には、図8に示す中間部材TYBが用いられる。図8において、左前輪トーションバーTBflの端部にスプラインAS1が形成され、これと嵌合可能なスプライン孔が形成された中間部材TYBに、スプラインAS1が圧入され、中間部材TYBと保持部材STMが溶接される(溶接部WL3)。また、溶接に代えて、かしめによって接合する場合にも、中間部材TYBをかしめに適した材質で形成すればよい。
【0043】
中間部材TYBは、溶接又はかしめ工程において接合が容易な形状とすることができるため、大量生産に好適である。また、左前輪トーションバーTBflと中間部材TYBとのトルク伝達をスプライン結合によって行い、接合部(溶接部又はかしめ部)を径方向に大きい箇所(中心軸から離れた箇所)とすればトルク強度上で有利となる。尚、スプライン結合はスプライン歯のピッチにより段階的な位置の選択となるため、クラッチ手段CLMの噛み合い位置において、左前輪トーションバーTBfl及び右前輪トーションバーTBfrのスプライン部の相対的な回転位置の精度が要求される。これに対し、溶接又はかしめによる接合は任意に回転位置を選択することができるため、簡略な構造とすることができる。
【0044】
一方、図9においては、右前輪トーションバーTBfrの端部にスプラインが形成され、これと嵌合可能なスプライン孔が形成された外筒OTPに、右前輪トーションバーTBfr(のスプライン)が圧入されて接合される。また、右前輪トーションバーTBfrとして、ばね鋼等の溶接が困難な材料が用いられる場合には、図10に示す中間部材TYB2が用いられる。図10において、右前輪トーションバーTBfrの端部にスプラインが形成され、これと嵌合可能なスプライン孔が形成された中間部材TYB2に、右前輪トーションバーTBfr(のスプライン)が圧入され、中間部材TYBと外筒OTPが溶接される。また、溶接に代えて、かしめによって接合する場合にも、中間部材TYB2をかしめに適した材質で形成すればよい。
【0045】
尚、図1の第2トーションバーTB2に相当する左前輪トーションバーTBflを、切換手段KRに相当する切換アクチュエータKAf(の保持部材STM)に接合した後、この切換アクチュエータKAfを連結位置に保持し、その状態で、第1トーションバーTB1に相当する右前輪トーションバーTBfrを切換アクチュエータKAf(の外筒OTP)に接合することとしてもよい。あるいは、右前輪トーションバーTBfrを切換アクチュエータKAfの外筒OTPに接合した後、この切換アクチュエータKAfを連結位置に保持し、その状態で、左前輪トーションバーTBflを切換アクチュエータKAfの保持部材STMに接合することとしてもよい。
【0046】
以上のように、クラッチ手段CLMが連結位置にあるときに左前輪トーションバーTBflと切換アクチュエータKAfとの位置決めが行われて両者が接合されるため、サスペンション部材に固定されるトーションバー端部CNfl及びCNfrの相対位置が適切に決定される。従って、クラッチ手段CLMが連結位置にある場合には、車両の停止又は直進走行時に、端部CNfl及びCNfrの位置は一致しており、スタビライザ制御装置は、不必要にねじりばね力を発生することがない。また、クラッチ手段CLMが開放位置にある場合にも、クラッチ手段CLMの凸部と凹部とは適切な位置関係となるので、開放位置から連結位置へ円滑に切り換えることができる。
【0047】
図3の構成では、クラッチ手段CLMが開放位置にある場合には、左前輪トーションバーTBflと右前輪トーションバーTBfrとは連結されず、従って、スタビライザ制御装置STBfとしてはねじり剛性を有していない。これに対し、図11に示すように、左前輪トーションバーTBflと右前輪トーションバーTBfrが中間トーションバーTBfcを介して接続される構成とすれば、クラッチ手段CLMが開放位置にある場合でも、スタビライザ制御装置STBfはねじり剛性を有する。
【0048】
図11に示す実施形態では、クラッチ手段CLMが連結位置に切り換えられるときに、中間トーションバーTBfcによって位置決めされるので、左前輪トーションバーTBflと右前輪トーションバーTBfrとの中立位置でのクラッチ手段CLMの正確な位置変更が可能となる。また、仮に、クラッチ手段CLMが開放位置で故障した場合でも、スタビライザ制御装置STBfはねじり剛性を維持することができる。このような図11の構成においても、サスペンション部材に取り付けられるスタビタイザバー端部CNfl及びCNfrの相対位置差を防止するため、クラッチ手段CLMを連結位置で噛み合わせた状態で、左前輪トーションバーTBflと切換アクチュエータKAfとを位置決めして接合することが必要となる。
【0049】
上記のような中間トーションバーTBfcを有するスタビライザ制御装置STBfにおいて、左前輪トーションバーTBfl、右前輪トーションバーTBfr及び中間トーションバーTBfcの接合について、図12を参照して説明する。前述の図6と同様に、第1クラッチ部材CL1がクラッチ手段CLMの連結位置まで軸方向に前進駆動され、駆動手段DRMにより移動可能な保持部材STMに固定された第2クラッチ部材CL2が、第1クラッチ部材CL1と噛合される。次に、右前輪トーションバーTBfrと一体である中間トーションバーTBfcが外筒OTP及び保持部材STMに挿入され、更に、中間トーションバーTBfcに左前輪トーションバーTBflの端部が嵌合される。この状態で、左前輪トーションバーTBflの端部CNflと右前輪トーションバーTBfrの端部CNfrとの位置が合致するように位置決めされ、左前輪トーションバーTBfl、右前輪トーションバーTBfr及び中間トーションバーTBfcの夫々の端部と切換アクチュエータKAfとの接合部C及びDにて、例えば溶接、かしめ等により接合される。図12のWL4、WL5及びWL6は溶接部を示す。
【0050】
ここでは、中間トーションバーTBfcは右前輪トーションバーTBfrと一体とされているが、溶接部WL4とWL5(又はWL6)との間を中間トーションバーTBfcと呼ぶ。図12では、溶接部WL5とWL6とは別々の接合部としているが、これらの接合部を近接させて、一回の溶接又はかしめ工程で接合させることも可能である。接合部C及びDの接合手段としては、図7乃至図10に示したようなスプライン結合手段や中間部材を介装した手段を適用することも可能である。但し、中間トーションバーTBfcを有する構成において、その両端部をスプライン結合とする場合には、スプラインのピッチ、及びクラッチ手段CLMの噛み合い歯のピッチによって、回転方向の位置決めが段階的となるという制約がある。そのため、クラッチ手段CLMが連結位置となったときの中間トーションバーTBfcの両端部におけるスプラインの相対的な回転位置の精度が必要となる。この場合には、中間トーションバーTBfcの一方の端部の接合に対して、図8及び図10を参照して説明したような中間部材を介した溶接又はかしめによる接合手段を適用すれば、回転方向の位置決めを任意に設定することができる。
【0051】
図13は、中間トーションバーTBfcの両端部の接合手段を示すもので、先ず、第1クラッチ部材CL1が連結位置に切り換えられ、第2クラッチ部材CL2が第1クラッチ部材CL1と噛合される。次に、保持部材STMにスプライン結合(AS4)された中間トーションバーTBfcが、ハウジングを構成する外筒OTPに挿入され、同様にハウジングを構成する蓋部材CVRとスプライン結合される(AS5)。そして、クラッチ部材CL1及びCL2が噛合した状態で中間トーションバーTBfcにねじりが生じない回転位置とされ、この位置で蓋部材CVRと外筒OTPとが溶接又はかしめにより接合される(溶接部WL7)。更に、左前輪トーションバーTBflの端部CNflと右前輪トーションバーTBfrの端部CNfrとの位置が合致するように、左前輪トーションバーTBfl及び右前輪トーションバーTBfrの端部と切換アクチュエータKAfとの接合部C及びDが位置決めされて、接合される(溶接部WL8及びWL9。更に、図8に示すスプライン結合を併用する場合にはAS6及びAS7)。
【0052】
上記の中間トーションバーTBfcの端部は、圧入によるスプライン結合とされているが、図14に示すように、くびれ部を形成し、ピンPN又はボルトによる抜け止め機構を構成することもできる。而して、クラッチ手段CLMの連結位置でも中間トーションバーTBfcにねじりが生ずる状態とはならないため、クラッチ手段CLMが連結位置に切り換えられる際に、駆動手段DRMによって中間トーションバーTBfcに対しねじりを付与するといった無駄な動力を必要としない。更に、車両の停止又は直進走行時には、スタビライザ制御装置STBfにねじりが生じた状態ではないため、クラッチ手段CLMの切り換えを円滑に行うことができる。
【0053】
また、図13では、左前輪トーションバーTBfl、右前輪トーションバーTBfr、及び中間トーションバーTBfcがそれぞれ独立したトーションバーとされている。この場合の左前輪トーションバーTBfl、右前輪トーションバーTBfr及び中間トーションバーTBfcと切換アクチュエータKAfの接合について以下に説明する。
【0054】
上述のようにクラッチ手段CLMが連結位置とされ、先ず、中間トーションバーTBfcにねじりが生じないように、その両端部が切換アクチュエータKAfに溶接、かしめ、スプライン結合等によって接合される。そして、中間トーションバーTBfcが備えられた切換アクチュエータKAfに左前輪トーションバーTBfl及び右前輪トーションバーTBfrが接合される。これらの接合に際しては、上述と同様に、左前輪トーションバーTBflの端部CNflと右前輪トーションバーTBfrの端部CNfrとの位置が合致するよう位置決めされ、左前輪トーションバーTBfl及び右前輪トーションバーTBfrの端部が切換アクチュエータKAfに接合される。
【0055】
尚、以上の実施形態では、クラッチ手段CLMとしてツースクラッチを用いた態様を説明したが、段階的な連結状態を形成するクラッチ手段(ピン、スプライン等)を用いることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明に係る切換手段の構成例を含むスタビライザ制御装置の構成図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るスタビライザ制御装置を備えた制御システムを示すブロック図である。
【図3】図2における前輪側のスタビライザ制御装置を示す構成図である。
【図4】本発明の一実施形態に供するクラッチ手段として台形の歯形を有するツースクラッチを示す側面図である。
【図5】本発明の一実施形態に供するクラッチ手段として三角形の歯形を有するツースクラッチを示す側面図である。
【図6】本発明の一実施形態においてクラッチ手段を適正に位置決めした状態で、切換アクチュエータとトーションバーを接合する一例を示す部分断面図である。
【図7】本発明の一実施形態においてクラッチ手段とトーションバーをスプライン結合する接合手段を示す拡大断面図である。
【図8】本発明の一実施形態においてクラッチ手段とトーションバーを、中間部材を用いて接合する接合手段を示す拡大断面図である。
【図9】本発明の一実施形態において外筒とトーションバーをスプライン結合する接合手段を示す拡大断面図である。
【図10】本発明の一実施形態において外筒とトーションバーを、中間部材を用いて接合する接合手段を示す拡大断面図である。
【図11】本発明の他の実施形態に係るスタビライザ制御装置を示す構成図である。
【図12】図11のスタビライザ制御装置において、左前輪トーションバー、右前輪トーションバー及び中間トーションバーを接合する一例を示す部分断面図である。
【図13】図11のスタビライザ制御装置において、左前輪トーションバー、右前輪トーションバー及び中間トーションバーを接合する他の例を示す部分断面図である。
【図14】本発明の他の実施形態において中間トーションバーの端部を、抜け止め機構を用いて接合する手段を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
【0057】
TB1 第1トーションバー
TB2 第2トーションバー
KR 切換手段
KA 切換アクチュエータ
DRM 駆動手段
STBf,STBr スタビライザ制御装置
KAf,KAr 切換アクチュエータ
ECU1 スタビライザ用電子制御ユニット
MS 手動スイッチ
SW ステアリングホイール
GX 前後加速度センサ
GY 横加速度センサ
YR ヨー角速度センサ
TBfr 右前輪トーションバー
TBfl 左前輪トーションバー
TBfc 中間トーションバー
TYB,TYB2 中間部材
CLM クラッチ手段
CL1 第1クラッチ部材
CL2 第2クラッチ部材
SPM 回り止め手段
OTP 外筒(ハウジング)
SLM スライド部材


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の左右車輪間に配設されるスタビライザのねじり剛性を制御するスタビライザ制御装置において、前記車両の一方の車輪に接続される第1トーションバーと、前記車両の他方の車輪に接続される第2トーションバーと、前記第1トーションバーと前記第2トーションバーとに接合され、前記第1トーションバーと前記第2トーションバーとの連結位置及び開放位置を切り換える切換手段とを備え、該切換手段を前記連結位置に保持した状態で、前記第1トーションバーと前記第2トーションバーとの相対位置が調整されて成ることを特徴とするスタビライザ制御装置。
【請求項2】
前記切換手段は、第1クラッチ部材及び第2クラッチ部材の一対のクラッチ部材を対向して配置して成るクラッチ手段を具備し、該クラッチ手段によって前記第1トーションバーと前記第2トーションバーとの連結位置及び開放位置を切り換えるように構成したことを特徴とする請求項1記載のスタビライザ制御装置。
【請求項3】
前記切換手段は、前記第1クラッチ部材に固定し軸方向移動するスライド部材と、該スライド部材を軸方向に駆動する駆動手段と、前記スライド部材に固定された前記第1クラッチ部材に対し、回転方向の運動を拘束し軸方向移動を許容する回り止め手段と、該回り止め手段を固定すると共に前記駆動手段を固定するハウジングとを備え、該ハウジングを第1固定手段によって前記第1トーションバーに固定し、前記第2クラッチ部材を第2固定手段によって前記第2トーションバーに固定して成ることを特徴とする請求項2記載のスタビライザ制御装置。
【請求項4】
前記第2固定手段は、前記第2クラッチ部材に固着すると共に前記第2トーションバーに対し相対回転位置を調整可能に支持する保持部材と、該保持部材を前記第2トーションバーに対し回転不能に接合する接合手段とを備え、前記接合手段は、前記保持部材と前記第2トーションバーとの間に介装し、前記保持部材と前記第2トーションバーとをスプライン結合する中間部材を備え、該中間部材と前記保持部材を固定状態変更不能の固着手段で固着して成ることを特徴とする請求項3記載のスタビライザ制御装置。
【請求項5】
車両の左右車輪間に配設されるスタビライザのねじり剛性を制御するスタビライザ制御装置において、前記車両の一方の車輪に接続される第1トーションバーと、前記車両の他方の車輪に接続される第2トーションバーと、前記第1トーションバーと前記第2トーションバーとの間に配設される中間トーションバーと、前記第1トーションバーと前記第2トーションバーとに接合され、前記第1トーションバーと前記第2トーションバーとの連結位置と開放位置を切り換える切換手段とを備え、前記切換手段を前記連結位置に保持した状態で、前記第1トーションバー、前記第2トーションバー及び前記中間トーションバーの相対位置が調整されて成ることを特徴とするスタビライザ制御装置。
【請求項6】
前記切換手段は、第1クラッチ部材及び第2クラッチ部材の一対のクラッチ部材を対向して配置して成るクラッチ手段を具備し、該クラッチ手段によって前記中間トーションバーの両端と前記第1トーションバー及び前記第2トーションバーとの連結位置及び開放位置を切り換えるように構成したことを特徴とする請求項5記載のスタビライザ制御装置。
【請求項7】
前記切換手段は、前記第1クラッチ部材に固定し軸方向移動するスライド部材と、該スライド部材を軸方向に駆動する駆動手段と、前記スライド部材に固定された前記第1クラッチ部材に対し、回転方向の運動を拘束し軸方向移動を許容する回り止め手段と、該回り止め手段を固定すると共に前記駆動手段を固定するハウジングとを備え、該ハウジングを第1固定手段によって前記中間トーションバーの一端と前記第1トーションバーの少なくとも一方に固定し、前記第2クラッチ部材を第2固定手段によって前記中間トーションバーの他端と前記第2トーションバーの少なくとも一方に固定して成ることを特徴とする請求項6記載のスタビライザ制御装置。
【請求項8】
前記第2固定手段は、前記第2クラッチ部材に固着すると共に前記中間トーションバーの他端と前記第2トーションバーの少なくとも一方に対し相対回転位置を調整可能に支持する保持部材と、該保持部材を前記中間トーションバーの他端と前記第2トーションバーの少なくとも一方に対し回転不能に接合する接合手段とを備え、前記接合手段は、前記保持部材と前記中間トーションバーの他端とをスプライン結合すると共に、前記保持部材と前記第2トーションバーとの間に介装し、前記保持部材と前記第2トーションバーとをスプライン結合する中間部材を備え、該中間部材と前記保持部材を固定状態変更不能の固着手段で固着して成ることを特徴とする請求項7記載のスタビライザ制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−38894(P2007−38894A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−226191(P2005−226191)
【出願日】平成17年8月4日(2005.8.4)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【出願人】(000210986)中央発條株式会社 (173)
【Fターム(参考)】