説明

ステージ装置及びこのステージ装置を利用したカメラの手振れ補正装置

【課題】 可動部材に余計な負荷が掛からずに、位置検出を可能としたステージ装置及びこのステージ装置を利用したカメラの手振れ補正装置を提供する。
【解決手段】 固定支持基板10に対して、特定のX方向及びY方向に直線移動可能なXY移動部材30、31、36を備え、固定支持基板に、X用光源51とその受光位置をX方向について認識可能なX用受光部材52とをX方向に並べて固定し、XY移動部材に、X用光源から出た光を反射してX用受光部材に導くX用反射部材53を固定したことを特徴とするステージ装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに直交する2方向に直線移動可能なステージ装置、及びこのステージ装置を利用したカメラの手振れ補正装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特定のX方向とY方向(X方向に直交する方向)に直線移動可能なステージ装置を利用したカメラの手振れ補正装置の従来技術としては、例えば特許文献1に記載されたものがある。
この特許文献1では、固定板に対してX方向とY方向とに直線的に移動可能な可動板に撮像素子を固定し、可動板にX方向駆動用コイルとY方向駆動用コイルを設け、固定板側には金属製ヨークと磁石からなるX用磁力発生装置とY用磁力発生装置を固定してある。そして、X用磁力発生装置とY用磁力発生装置で発生した磁力を、X方向駆動用コイルとY方向駆動用コイルにそれぞれ及ぼした状態で、X方向駆動用コイルとY方向駆動用コイルに電流を流すことにより、可動板をX方向とY方向に駆動している。
【0003】
さらに、この手振れ補正装置には可動板(撮像素子)の固定板に対する相対位置を検出するための位置検出手段が設けられている。具体的には、上記固定板に2次元PSDを設け、可動板にLED(光源)を設けて、LEDから射出された光を2次元PSDで受光することにより、固定板に対する可動板(撮像素子)の相対位置を検出している。そして、この検出結果に基づいてX方向駆動用コイルとY方向駆動用コイルに、大きさと向きを調整しながら電流を流して、可動板(撮像素子)をX方向とY方向に移動させることにより像ぶれを補正している。
【特許文献1】特開2001−117129号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のように、可動板にLEDを設ける場合、LEDから延びる電気線(リード線)を、固定板に設けた制御回路等に接続する必要がある。このため、2次元PSDに接続された電気線が可動板移動時の負荷となってしまい、可動板を駆動するために大きな駆動力が必要になってしまう。
また、可動板に2次元PSDを設ける場合は(この場合は固定板にLEDを設ける)、2次元PSDから延びる電気線を固定板に設けた制御回路等に接続する必要があるため、上記と同様の問題が発生する。
【0005】
本発明の目的は、可動部材に余計な負荷を掛けずに位置検出を可能としたステージ装置及びこのステージ装置を利用したカメラの手振れ補正装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のステージ装置は、固定支持基板と、該固定支持基板に、互いに直交し、かつ、該固定支持基板と平行な特定のX方向及びY方向に直線移動可能として支持されたXY移動部材と、上記XY移動部材の上記固定支持基板に対するX方向の相対位置を検出するX方向位置検出手段と、を備え、該X方向位置検出手段が、X用光源と、その受光位置をX方向について認識可能なX用受光部材と、該X用受光部材の受光位置に基づいて上記XY移動部材の上記固定支持基板に対するX方向の相対位置を演算する演算手段と、を備えるステージ装置において、上記固定支持基板に、上記X用光源及び上記X用受光部材をX方向に並べて固定し、上記XY移動部材に、該X用光源から出た光を反射して上記X用受光部材に導くX用反射部材を固定したことを特徴としている。
【0007】
上記X用反射部材を、上記X用光源から出た光を反射する第1の反射面と、該第1の反射面と上記X方向に並び、かつ、該第1の反射面で反射された光を反射して上記X用受光部材に導く第2の反射面と、を備えるものとするのが実際的である。
【0008】
さらに、上記X用光源を、X方向及びY方向に対して直交するZ方向に光を射出するものとし、上記第1の反射面と上記第2の反射面を、Y方向と平行で、かつ、その上記XY移動部材側の端部の仮想延長部が、Z方向と平行なZ方向軸に45°の角度で交わる第1の反射平面と第2の反射平面とするのが実際的である。
【0009】
さらに、上記XY移動部材の上記固定支持基板に対するY方向の相対位置を検出するY方向位置検出手段を備え、該Y方向位置検出手段が、共に上記固定支持基板に固定され互いにY方向に並ぶ、Y用光源及び、その受光位置をY方向について認識可能なY用受光部材と、該Y用受光部材の受光位置に基づいて上記XY移動部材の上記固定支持基板に対するY方向の相対位置を演算する演算手段と、上記XY移動部材に固定された、該Y用光源から出た光を反射して上記Y用受光部材に導くY用反射部材と、を備えるものとするのが好ましい。
【0010】
上記Y用反射部材を、上記Y用光源から出た光を反射する第1の反射面と、該第1の反射面と上記Y方向に並び、かつ、該第1の反射面で反射された光を反射して上記Y用受光部材に導く第2の反射面と、を備えるものとするのが実際的である。
【0011】
上記Y用光源を、上記X方向及びY方向に対して直交するZ方向に光を射出するものとし、上記Y用反射部材の上記第1の反射面と上記第2の反射面を、X方向と平行で、かつ、その上記XY移動部材側の端部の仮想延長部が、上記Z方向と平行なZ方向軸に45°の角度で交わる第1の反射平面と第2の反射平面とするのが実際的である。
【0012】
上記X用受光部材と上記Y用受光部材を1次元PSDとするのが実際的である。
【0013】
別の態様によれば、本発明のステージ装置は、該固定支持基板に、互いに直交し、かつ、該固定支持基板と平行な特定のX方向及びY方向に直線移動可能として支持されたXY移動部材と、上記XY移動部材の上記固定支持基板に対するX方向及びY方向の相対位置を検出するXY方向位置検出手段と、を有し、上記XY方向位置検出手段が、XY用光源と、その受光位置をX方向及びY方向について認識可能なXY用受光部材と、該XY用受光部材の受光位置に基づいて上記XY移動部材の上記固定支持基板に対するX方向及びY方向の相対位置を演算する演算手段と、を備えるステージ装置において、上記固定支持基板に、上記XY用光源及び上記XY用受光部材を固定し、上記XY移動部材に、該XY用光源から出た光を反射して上記X用受光部材に導くXY用反射部材を固定したことを特徴としている。
【0014】
上記XY用反射部材を、上記XY用光源から出た光を反射する第1の反射面と、該第1の反射面で反射された光を反射して上記XY用受光部材に導く第2の反射面と、を備えるものとするのが実際的である。
【0015】
上記XY用光源を、上記X方向及びY方向に対して直交するZ方向に光を射出するものとし、上記第1の反射面と上記第2の反射面を、上記Z方向と平行なZ方向軸を中心とし、上記固定支持基板側に向かうにつれて拡開する中心角が90°の仮想円錐面の一部をなし、かつ、上記Z方向軸を挟んで対向する第1の反射曲面と第2の反射曲面とするのが実際的である
【0016】
上記XY用受光部材として2次元PSDを用いることが可能である。
【0017】
いずれの態様でも、上記X用光源と上記Y用光源と上記XY用光源のいずれかをLEDまたはLDとすれば、消費電力を最小限に抑えることができ、光源の耐久性が向上する。
【0018】
上記XY移動部材を上記固定支持基板に対して、X方向とY方向にそれぞれ相対移動させるX方向駆動装置と、を備えるのが実際的である。
【0019】
X方向駆動装置及びY方向駆動装置を備えるステージ装置はカメラの手振れ補正装置として利用できる。具体的には、上記ステージ装置を内蔵するカメラと、上記XY移動部材と一緒に移動する、前面に結像面を有する撮像素子と、上記カメラの光軸のX方向及びY方向の角度振れ量を検出する角度振れ量検出手段と、該角度振れ量検出手段が検出した角度振れ量と、上記X方向位置検出手段、上記Y方向位置検出手段、またはXY方向位置検出手段の検出量との差が小さくなるように上記X方向駆動装置とY方向駆動装置を駆動する制御手段と、を備えることにより手振れ補正装置が得られる。
【0020】
また、カメラの手振れ補正装置は、上記ステージ装置を内蔵するカメラと、上記XY移動部材と一緒に移動する、手振れを補正するための補正レンズと、上記カメラの光軸のX方向及びY方向の角度振れ量を検出する角度振れ量検出手段と、該角度振れ量検出手段が検出した角度振れ量と、上記X方向位置検出手段、上記Y方向位置検出手段、またはXY方向位置検出手段の検出量との差が小さくなるように上記X方向駆動装置とY方向駆動装置を駆動する制御手段と、を備えることにより得られる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によると、可動部材に余計な負荷を掛けずに位置検出を可能としたステージ装置及びこのステージ装置を利用したカメラの手振れ補正装置が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図1〜図20に基づいて、本発明の第1の実施形態について説明する。
図1に示すように、デジタルカメラ(カメラ)1内には、複数のレンズL1、L2、L3からなる光学系が配設されており、レンズL3の後方にはCCD(撮像素子)3が配設されている。上記カメラ光学系の光軸Oに対して直交するCCD3の撮像面(結像面)3aの位置は、該カメラ光学系の結像位置と一致しており、デジタルカメラ1に内蔵された手振れ補正装置5に固定されている。
【0023】
手振れ補正装置5は、図2〜図17に示すように、以下のような構造となっている。
図2、図6、及び図9に示すように、後方から視たときに方形をなし、その中央部に方形の収容孔10aが穿設された固定支持基板10は、図示を省略した固定手段によりデジタルカメラ1のボディ内に、光軸Oに対して直交し、かつ、光軸Oが収容孔10aの中心に位置するように固定されている。固定支持基板10の後面の左側部には、合成樹脂等の弾性材料からなる2個の同形状のY方向案内部11が、図2やその他の図面に矢線Yで示したY方向(上下方向)に並べて突設されており、両Y方向案内部11を、Y方向案内溝12がY方向に直線的に貫通している。図7に示すように、Y方向案内溝12は、断面視円形の案内部12aと、案内部12aと外部とを連通する開口部12bとからなる。上下のY方向案内部11に設けられた案内部12aは互いに同心をなしており、開口部12bの外側の開口幅(L1)は案内部12aとの連通部の開口幅(L2)より大きい。
固定支持基板10の後面の右側部には、2個の自由端支持部13がY方向に並べて突設されている。両自由端支持部13には、自由端支持部13を、図2やその他の図面に矢印Xで示したX方向(左右方向)に貫通し、かつ、Y方向に長いY方向長孔14がそれぞれ穿設されている。
【0024】
さらに、固定支持基板10の後面の下端部には、X方向位置検出手段50の構成要素である円柱形状のLED(X用光源)51と、角柱形状の1次元PSD(X用受光部材)52が、X方向に並べて設けられている。LED51からは電源からの電力を導くためのリード線(図示略)が延びており、さらに、LED51の直後にはコリメートレンズCLXがLED51と同軸的に移動不能として配設されている。LED51の発光面51aは円形であり、1次元PSD52の受光面52aは方形であり、周知のように1次元PSD52は、その受光面52aのX方向の受光位置を認識するものである。
また、固定支持基板10の後面の左側部には、Y方向位置検出手段60の構成要素である円柱形状のLED(Y用光源)61と、角柱形状の1次元PSD(Y用受光部材)62が、Y方向に並べて設けられている。LED61からは電源からの電力を導くためのリード線(図示略)が延びており、さらに、LED61の直後にはコリメートレンズCLYがLED61と同軸的に移動不能として配設されている。LED61の発光面61aは円形であり、1次元PSD62の受光面62aは方形であり、1次元PSD62は、その受光面62aのY方向の受光位置を認識するものである。
【0025】
図2、図6、及び図9に示すように、後方から視たときに逆コ字形をなすY方向移動部材20は、断面形状が円形をなす金属棒を曲折して成形したものである。このY方向移動部材20は、Y方向に延在するY方向棒状部21と、Y方向棒状部21の上下両端から図2、図6、及び図9の右側に向かって延出するX方向棒状部22、23とを具備している。X方向棒状部22、23の断面径は、Y方向長孔14の前後方向寸法と略同一である。
【0026】
CCD3は、後方から視たときに方形をなすベース板(XY移動部材)30の前面に固定されており、図12に示すように、ベース板30の前面には中空のカバー部材(XY移動部材)31が、CCD3を囲むように固着されている。このカバー部材31の前面には正面視方形の採光孔31aが穿設されており(図12参照)、正面から視たときに、この採光孔31aを通してCCD3の撮像面3aが完全に露出するようにしている。さらに、カバー部材31の内部空間には透光性材料からなるローパスフィルタ32が、カバー部材31の前部の内周面に当接する状態で配設されており、CCD3の前面の撮像面3aの周囲とローパスフィルタ32の間には、撮像面3aの周縁部に接触する正面視方形環状の押さえ部材33が設けられている。
【0027】
カバー部材31の上端部には、左右一対のX方向案内部34が突設されており、下端部には支持部35が突設されている。両X方向案内部34には、X方向案内部34をX方向に貫通する、断面形状がX方向棒状部22と略同一のX方向案内孔34aが設けられている。一方、支持部35には、支持部35をX方向に貫通する支持用溝35aが設けられている。この支持用溝35aは、図8に示すように、その下端が開口しており、そのY方向長はX方向棒状部23の断面径より長く、その前後方向幅はX方向棒状部23と略同一である。
【0028】
図11及び図12に示すように、ベース板30の後面には電気基板(XY移動部材)36が固着されている。電気基板36には4つの突出舌片36a、36b、36c、36dが形成されており、突出舌片36a、36bの後面にはそれぞれ、電気基板36と平行な平面状のX方向駆動用コイルCXとY方向駆動用コイルCYが、プリントにより形成されている。
図13に示すように、X方向駆動用コイルCXは、各辺が直線状をなす渦巻き状をなしており、右辺CX1と、左辺CX2と、上辺CX3と、下辺CX4とからなっている。
図14に示すように、Y方向駆動用コイルCYも各辺が直線状をなす渦巻き状をなしており、右辺CY1と、左辺CY2と、上辺CY3と、下辺CX4とからなっている。X方向駆動用コイルCXとY方向駆動用コイルCYは、便宜上電気線を数回巻いたものとして図示しているが、実際は数十回巻かれている。
図11に示すように、後方から視たときに、X方向駆動用コイルCXの中心を通るX方向の直線であるX方向直線LXは、電気基板36、ベース板30、カバー部材31、ローパスフィルタ32、押さえ部材33、CCD3及び、後述するLED51、反射部材53、LED61、及び反射部材63からなるX方向移動体の重心Gと重合する。一方、Y方向駆動用コイルCYの中心を通るY方向の直線であるY方向直線LYは、図11の非作動状態において、このX方向移動体にY方向移動部材20を加えたY方向移動体の重心(重心Gから僅かにずれている)と重合する。
【0029】
突出舌片36cの前面には、X方向位置検出手段50の構成要素である反射部材(X用反射部材)53が設けられている。図15から図17に示すように、この反射部材53はLED51の発光面51aから射出されてコリメートレンズCLXによって平行光とされた光を反射して1次元PSD52の受光面52aに導くものである。
反射部材53の前面には、正面視においてX方向に長い長方形をなす凹部53aが形成されており、この凹部53aの左右の端部には第1の反射平面(第1の反射面)53bと第2の反射平面(第2の反射面)53cが形成されている。図16及び図17に示すように、Y方向(上下方向)に見たときに、第1の反射平面53b及び第2の反射平面53cの突出舌片36c側の端部を延長した仮想延長部53b1と仮想延長部53c1は、共にZ方向軸(図16及び図17の矢印Z参照。前後方向を向く軸)に対して45°の角度で交わる。
【0030】
突出舌片36dの前面には、Y方向位置検出手段60の構成要素である反射部材(Y用反射部材)63が設けられている。この反射部材63は反射部材53と同形状のY方向を向く部材であり、LED61の発光面61aから射出されてコリメートレンズCLYによって平行光とされた光を反射して1次元PSD62の受光面62aに導くものである。
反射部材63の前面には、正面視においてY方向に長い長方形をなす凹部63aが形成されており、この凹部63aの上下の端部には第1の反射平面(第1の反射面)63bと第2の反射平面(第2の反射面)63cが形成されている。図18及び図19に示すように、X方向(左右方向)に見たときに、第1の反射平面63b及び第2の反射平面63cの突出舌片36d側の端部を延長した仮想延長部63b1、63c1は共に、Z方向軸に対して45°の角度で交わる。
【0031】
固定支持基板10の後面の2カ所には金属等の磁性体からなる断面視コ字形のヨークYX、YYが固着されており、各ヨークYX、YYの内面には磁石MX、MYが設けられている。ヨークYXの磁石MXは、N極とS極がX方向に並んでおり、ヨークYYの磁石MYは、N極とS極がY方向に並んでいる。
図11及び図12に示すように、ヨークYYの先端部は磁石MYと対向しており、両者の間に磁気回路が形成されている。
同様に、図11に示すように、ヨークYXの先端部は磁石MXと磁気回路を形成している。
また、磁石MXとヨークYXによりX方向用磁力発生装置が、磁石MYとヨークYYによりY方向用磁力発生装置がそれぞれ構成されている。さらに、X方向用磁力発生装置とX方向駆動用コイルCXによりX方向駆動装置が、Y方向用磁力発生装置とY方向駆動用コイルCYによりY方向駆動装置が、それぞれ構成されている。
【0032】
上記固定支持基板10とY方向移動部材20とベース板30(及び電気基板36)は、以下の手順によって組み立てられる。
カバー部材31を収容孔10a内に位置させ、かつ、各突出舌片36a、36bを両ヨークYX、YYの内部にそれぞれ位置させた状態で、図2、図6、図9及び図11の左側からY方向移動部材20をカバー部材31に接近させ、X方向棒状部22を両X方向案内部34のX方向案内孔34aに貫通させるとともに、X方向棒状部23を支持用溝35aに貫通させると、電気基板36及びベース板30がY方向移動部材20に対してX方向に相対移動自在となる。
【0033】
そして、図6に示すように、このようにベース板30、カバー部材31、両X方向案内部34、支持部35、及び電気基板36と一体となったY方向移動部材20を、図6の左側から右側に直線的に移動させ、その両X方向棒状部22、23の自由端を、両自由端支持部13のY方向長孔14に嵌合させ、かつ、Y方向棒状部21を開口部12bに嵌合させる。Y方向棒状部21が開口部12bに嵌合すると、Y方向棒状部21の断面径は、開口部12bの外側の開口幅(L1)より狭いが、内側の開口幅(L2)より広いので、開口部12bは拡開する方向に弾性変形する。Y方向棒状部21をさらに図6の右側に移動させると、Y方向棒状部21が案内部12aに抜け止めされた状態で嵌合し、開口部12bは元の形状に弾性復帰して、図11及び図12に示すように組み立て完了状態となる。
【0034】
このように、Y方向移動部材20を図2、図6、及び図9の左側から右側に直線的に移動させるだけで、Y方向移動部材20をY方向長孔14とY方向案内溝12へ簡単に取り付けることができる。また、Y方向移動部材20を、開口部12bを弾性変形させるだけの力で、図2、図6、及び図9の右側から左側に直線移動させることにより、Y方向移動部材20をY方向案内溝12とY方向長孔14から簡単に取り外すことができる。
【0035】
上述したように、X方向棒状部22、23の断面径とY方向長孔14の前後方向寸法が同じなので、Y方向移動部材20のY方向棒状部21回りの回転は規制されており、この結果、Y方向移動部材20の中心軸は常に、X方向及びY方向と平行なXY仮想平面P(図4参照)上に位置する。さらに、図4に示すように、Y方向案内部11、自由端支持部13、カバー部材31の各部材もXY仮想平面P上に位置している。
【0036】
図20に示すように、デジタルカメラ1内には、デジタルカメラ1の手振れに伴う光学系L1〜L3の撮影光軸Oの角度振れを検出するためのセンサが設けられている。具体的には、デジタルカメラ1の光軸OのX方向の角度振れを検出するX方向角速度センサ(角度振れ量検出手段)70と、光軸OのY方向の角度振れを検出するY方向角速度センサ(角度振れ量検出手段)71である。
このX方向角速度センサ70は積分回路(角度振れ量検出手段)72に電気的に接続されており、積分回路72は誤差増幅器(制御手段)73に電気的に接続されている。さらに、上記X方向位置検出手段50の1次元PSD52は演算手段(CPU)(X方向位置検出手段)76に電気線によって電気的に接続されており、この演算手段76は誤差増幅器73に電気的に接続されている。そして、誤差増幅器73はX方向駆動用コイルCXに電気的に接続されている。
一方、Y方向角速度センサ71は積分回路(角度振れ量検出手段)74に電気線によって電気的に接続されており、積分回路74は誤差増幅器(制御手段)75に電気的に接続されている。さらに、上記Y方向位置検出手段60の1次元PSD62は演算手段(CPU)(Y方向位置検出手段)76に電気的に接続されており、演算手段76は誤差増幅器75に電気的に接続されている。そして、誤差増幅器75はY方向駆動用コイルCYに電気的に接続されている。
【0037】
以上のような構成の手振れ補正装置5の構成部材の内、CCD3、X方向角速度センサ70、Y方向角速度センサ71、積分回路72、誤差増幅器73、積分回路74、及び誤差増幅器75を除いた構成部材はステージ装置の構成要素である。
【0038】
次に、手振れ補正装置5の動作について説明する。
最初に、X方向位置検出手段50、Y方向位置検出手段60、X方向角速度センサ70、Y方向角速度センサ71、積分回路72、積分回路74、誤差増幅器73、誤差増幅器75、及び演算手段76等の動作と切り離して、X方向駆動用コイルCXとY方向駆動用コイルCYに電流が流れたときの手振れ補正装置5の動作について説明する。
【0039】
カバー部材31(電気基板36)は、X方向駆動用コイルCXの右辺CX1が磁石MXのN極と、左辺CX2がS極と前後方向に重合関係を維持する範囲内でX方向に移動可能である。
図11及び図13に示す非作動状態で、例えばX方向駆動用コイルCXに図13に矢線で示す方向の電流が流れると、右辺CX1と左辺CX2にはX方向右向きの直線的な力FXが生じる。この力FXにより、X方向案内部34と支持部35がX方向棒状部22、23に沿って右側に移動するので、電気基板36及びCCD3が固定支持基板10に対して右側に相対移動する。なお、この際、上辺CX3と下辺CX4にも力が生じるが、これらの力は互いに打ち消し合うので、電気基板36には力を及ぼさない。
【0040】
X方向駆動用コイルCXに図13の矢線と逆向きの電流を流すと、右辺CX1と左辺CX2にはX方向左向きの直線的な力が生じ、電気基板36及びCCD3はX方向棒状部22、23に沿って固定支持基板10に対して左側に相対移動する。
このようにX方向駆動用コイルCXへ流す電流の向きを調整することにより、右辺CX1がN極と重合し左辺CX2がS極と重合し、かつ、カバー部材31が収容孔10aに当接しない範囲内で、電気基板36がX方向棒状部22、23に沿ってX方向(左右方向)に移動する。
さらに、X方向駆動用コイルCXへの給電を停止すると、その瞬間にX方向の動力が失われ、電気基板36及びCCD3は停止する。
また、X方向駆動用コイルCXに流れる電流の大きさと生じる力は比例するので、X方向駆動用コイルCXへ給電する電流を大きくすれば、X方向駆動用コイルCXに掛かる力は大きくなり、電流を小さくすればX方向駆動用コイルCXに掛かる力は小さくなる。
【0041】
一方、カバー部材31(電気基板36)は、Y方向駆動用コイルCYの上辺CY3が磁石MYのN極と、下辺CY4がS極と前後方向に重合関係を維持する範囲内でY方向に移動可能である。
図11及び図14に示す非作動状態で、例えば、Y方向駆動用コイルCYに図14に矢線で示す方向の電流が流れると、上辺CY3と下辺CY4にはY方向上向きの直線的な力FYが生じる。この力FYにより、Y方向移動部材20がY方向案内溝12とY方向長孔14に沿って固定支持基板10に対して上向きに相対移動するので、電気基板36及びCCD3は上向きに相対移動する。なお、この際、右辺CY1と左辺CY2にも力が生じるが、これらの力は互いに打ち消し合うので、電気基板36及びCCD3には力を及ぼさない。
【0042】
Y方向駆動用コイルCYに図14の矢線と逆向きの電流を流すと、上辺CY3と下辺CY4にはY方向下向きの直線的な力が生じ、電気基板36及びCCD3(Y方向移動部材20)はY方向案内溝12とY方向長孔14に沿って固定支持基板10に対して下方に相対移動する。
このようにY方向駆動用コイルCYへ流す電流の向きを調整することにより、上辺CY3がN極と重合し下辺CY4がS極と重合し、かつ、カバー部材31が収容孔10aに当接しない範囲内で、電気基板36がY方向案内溝12とY方向長孔14に沿ってY方向(上下方向)に移動する。
さらに、Y方向駆動用コイルCYへの給電を停止すると、その瞬間にY方向の動力が失われ、電気基板36及びCCD3は停止する。
また、Y方向駆動用コイルCYに流れる電流の大きさと生じる力は比例するので、Y方向駆動用コイルCYへ給電する電流を大きくすれば、Y方向駆動用コイルCYに掛かる力は大きくなり、電流を小さくすればY方向駆動用コイルCYに掛かる力は小さくなる。
【0043】
次に、X方向位置検出手段50とY方向位置検出手段60の働きについて説明する。
電気基板36が原位置(図11に示す非作動状態のときの位置)にあるとき、反射部材53のLED51及び1次元PSD52に対するX方向の相対位置は、図16に示す関係となる。この状態でLED51がZ方向軸と平行な方向に光を射出すると、コリメートレンズCLXにより平行光に整形される。この平行光は第1の反射平面53bで反射され、固定支持基板10と平行な光として第2の反射平面53cに向かい第2の反射平面53cで反射される。第2の反射平面53cで反射された光は、Z方向軸と平行な光として1次元PSD52の受光面52aに向かい、受光面52aの位置A(図16参照)で受光される。
一方、電気基板36が固定支持基板10に対して上記原位置からX方向に所定距離だけ移動すると、反射部材53のLED51及び1次元PSD52に対するX方向の相対位置が図17に示す関係となる。この状態でLED51がZ方向軸と平行な方向に光を射出すると、この光は第1の反射平面53bと第2の反射平面53cで反射され、Z方向軸と平行な光として1次元PSD52の受光面52aに向かい、受光面52aの位置B(図17参照)で受光される。
このように、電気基板36(CCD3)の固定支持基板10に対するX方向の相対位置が変化すると、受光面52aの受光位置がX方向に変化し、この受光位置の変化に基づいて演算手段76が、固定支持基板10に対する電気基板36(CCD3)のX方向の相対位置変化量を演算する。
なお、電気基板36(CCD3)が固定支持基板10に対してX方向に相対移動しても、図18、図19に示した、反射部材63の第1の反射平面63bにおけるY方向の入射位置は変わらない。
【0044】
一方、電気基板36が原位置(非作動状態のときの位置)にあるとき、反射部材63のLED61及び1次元PSD62に対するY方向の相対位置は、図18に示す関係となる。この状態でLED61がZ方向軸と平行な方向に光を射出すると、この光は第1の反射平面63bで反射され、固定支持基板10と平行な光として第2の反射平面63cに向かい第2の反射平面63cで反射される。第2の反射平面63cで反射された光は、Z方向軸と平行な光として1次元PSD62の受光面62aに向かい、受光面62aの位置C(図18参照)で受光される。
一方、電気基板36が固定支持基板10に対して上記原位置からY方向に所定距離だけ移動すると、反射部材63のLED61及び1次元PSD62に対するY方向の相対位置が図19に示す関係となる。この状態でLED61がZ方向軸と平行な方向に光を射出すると、この光は第1の反射平面63bと第2の反射平面63cで反射され、Z方向軸と平行な光として1次元PSD62の受光面62aに向かい、受光面62aの位置D(図19参照)で受光される。
このように、電気基板36(CCD3)の固定支持基板10に対するY方向の相対位置が変化すると、受光面62aの受光位置がY方向に変化し、この受光位置の変化に基づいて演算手段76が、固定支持基板10に対する電気基板36(CCD3)のY方向の相対位置変化量を演算する。
【0045】
このように、電気基板36(CCD3)がX方向とY方向に直線的に移動し、かつ、X方向位置検出手段50とY方向位置検出手段60が上記のように機能する補正装置5を具備するデジタルカメラ1は、以下の要領で手振れ補正を行う。
即ち、デジタルカメラ1によって撮影を行うと、各レンズL1〜L3を透過した光が、収容孔10aとローパスフィルタ32を通ってCCD3の撮像面3aに結像する。この際、デジタルカメラ1の手振れ補正スイッチ(不図示)をONにして撮影を行なうと、デジタルカメラ1に手振れ(像振れ)が生じなければ、X方向角速度センサ70とY方向角速度センサ71が角速度を検出しないので、手振れ補正装置5は図2から図5、及び図11に示す非作動状態を維持する。
【0046】
一方、デジタルカメラ1に手振れが生じると、デジタルカメラ1のX方向の角速度をX方向角速度センサ70が検出し、Y方向の角速度をY方向角速度センサ71が検出する。そして、X方向角速度センサ70とY方向角速度センサ71が検出したデジタルカメラ1のX方向とY方向の角速度を積分回路72と積分回路74がそれぞれ積分し、光軸OのX方向とY方向の角度振れ量に変換する。そして、積分回路72の出力(角度振れ量)と1次元PSD52の出力に基づく上記演算手段の演算結果(相対位置変化量)が誤差増幅器73で比較され、両者の差に応じた電圧が誤差増幅器73によってX方向駆動用コイルCXに印加され、電気基板36及びCCD3をこの差が小さくなるようにX方向に駆動する。同様に、積分回路74の出力(角度振れ量)と1次元PSD62の出力に基づく上記演算手段の演算結果が誤差増幅器75で比較され、両者の差に応じた電圧が誤差増幅器75によってY方向駆動用コイルCYに印加され、電気基板36及びCCD3をこの差が小さくなるようにY方向に駆動する。
このように、手振れによる光軸Oの角度振れ量に追従してCCD3がXY方向に移動することにより、手振れによるCCD3上の像振れが補正される。
【0047】
以上説明したように本実施形態によれば、電気基板36に電気線(リード線)が接続されていない反射部材53と反射部材63を固定し、従来は電気基板36に固定されていた1次元PSD52や1次元PSD62やLED51やLED61を固定支持基板10に固定しているので、これら1次元PSD52や1次元PSD62やLED51やLED61から延びる電気線(リード線)が電気基板36駆動時の負荷とはならず、従来の手振れ補正装置に比べて小さい動力(電力)で電気基板36を駆動できる。
【0048】
さらに、X方向駆動用コイルCXとY方向駆動用コイルCYが、電気基板36と平行な平面状なので、X方向駆動用コイルCX及びY方向駆動用コイルCYの巻き数を多くして大きな動力を得ようとすると、X方向駆動用コイルCXとY方向駆動用コイルCYはX方向とY方向に延びる。しかし、X方向駆動用コイルCとY方向駆動用コイルCYの巻き数を多くしても、X方向駆動用コイルCXとY方向駆動用コイルCYが光軸O方向には大きくならず、ヨークYX、YYも光軸O方向に大型化しないので、デジタルカメラ1が光軸O方向に大型化することはない。
【0049】
また、X方向直線LXが、電気基板36、ベース板30、カバー部材31、ローパスフィルタ32、押さえ部材33、及びCCD3等からなるX方向移動体の重心Gと前後方向に重合するので、X方向駆動用コイルCXに生じた力は電気基板36に効率よく伝達される。一方、Y方向直線LYは、非作動状態においてX方向移動体にY方向移動部材20を加えたY方向移動体の重心と前後方向に重合し、電気基板36のX方向への移動によりこの重心がX方向に僅かに移動した後も前後方向にほぼ重合するので、Y方向駆動用コイルCYに生じた力は電気基板36に効率よく伝達される。
【0050】
次に、本発明の第2の実施形態を、図21から図25に基づいて説明する。なお、第1の実施形態と同じ部材には同じ符合を付すに止めて、その詳細な説明は省略する。
本実施形態の特徴は、手振れ補正装置5にY方向位置検出手段60を設けず、かつ、第1の実施形態のX方向位置検出手段50の代わりに図21から図24に示すXY方向位置検出手段80を設けた点にある。即ち、XY方向位置検出手段80は、第1の実施形態と同様の態様で固定支持基板10に設けられたLED(XY用光源)51と、1次元PSD52と同じ位置に固定された2次元PSD(XY用受光部材)81と、LED51の直後に位置するコリメートレンズCLXYと、電気基板36の突出舌片36cの前面に固定された反射部材(XY用反射部材)82とを備えている。
【0051】
周知のように2次元PSD81は、その受光面81aの2方向(X方向とY方向)の受光位置を認識するものである。
本実施形態の反射部材82の前面には、正面視においてX方向に長い長方形をなす凹部82aが形成されており、この凹部82aの左右の端部には第1の反射曲面(第1の反射面)82bと第2の反射曲面(第2の反射面)82cが形成されている。図22から図24に示すように、第1の反射曲面82bと第2の反射曲面82cは、上記X方向及びY方向に対して直交するZ方向軸を中心とし、その中心角が90°であり、かつ、固定支持基板10側に向かうにつれて拡開する仮想円錐面ICSの一部をなしている。
そして、図25に示すように、2次元PSD81には演算手段(CPU)(XY方向位置検出手段)76が電気的に接続されており、この演算手段76は誤差増幅器73、75に電気的に接続されている。さらに、第1の実施形態と同様に、誤差増幅器73と誤差増幅器75には、X方向駆動用コイルCXとY方向駆動用コイルCYがそれぞれ電気的に接続されている。さらに、誤差増幅器73と誤差増幅器75には、積分回路72と積分回路74を介して、X方向角度センサ70とY方向角度センサ71がそれぞれ電気的に接続されている。
【0052】
このような構成のXY方向位置検出手段80を備える手振れ補正装置5では、電気基板36が原位置(非作動状態のときの位置)にあるとき、反射部材82のLED51及び2次元PSD81に対する相対位置は図22及び図24に実線で示す関係となる。この状態でLED51がZ方向軸と平行な方向に光を射出すると、この光はコリメートレンズCLXYによって平行光とされた後に第1の反射曲面82bで反射され、固定支持基板10と平行な光として第2の反射曲面82cに向かい第2の反射曲面82cで反射される。第2の反射曲面82bで反射された光は、Z方向軸と平行な光として2次元PSD81の受光面81aに向かい、受光面81aの位置E(図22及び図24参照)で受光される。
一方、電気基板36が固定支持基板10に対して原位置からX方向及びY方向に所定距離だけ移動すると、LED51の反射部材82に対する相対位置は図24に仮想線で示す関係となる(2次元PSD81は省略している)。この状態でLED51がZ方向軸と平行な方向に光を射出すると、この光は第1の反射曲面82bと第2の第2の反射曲面82cで反射され、Z方向軸と平行な光として2次元PSD81の受光面81aに向かい、受光面81aの位置F(図24参照)で受光される。
【0053】
このように、電気基板36(CCD3)の固定支持基板10に対する相対位置がX方向及びY方向に変化すると、受光面81aの受光位置がX方向及びY方向に変化し、この受光位置の変化に基づいて演算手段76が、固定支持基板10に対する電気基板36(CCD3)のX方向及びY方向の相対位置変化量を演算する。
なお、電気基板36(CCD3)が固定支持基板10に対してX方向にのみ相対移動した場合には、受光面81aの受光位置がX方向にのみ変化し、演算手段76は固定支持基板10に対する電気基板36(CCD3)のX方向の相対位置変化量を演算する。また、電気基板36(CCD3)が固定支持基板10に対してY方向にのみ相対移動した場合には、受光面81aの受光位置がY方向にのみ変化し、演算手段76は固定支持基板10に対する電気基板36(CCD3)のY方向の相対位置変化量を演算する。
【0054】
従って、上記手振れ補正スイッチをONにしてデジタルカメラ1で撮影を行ない、デジタルカメラ1に手振れが生じると、X方向角速度センサ70とY方向角速度センサ71が検出したデジタルカメラ1のX方向とY方向の角速度を積分回路72と積分回路74が積分し、光軸OのX方向とY方向の角度振れ量に変換する。そして、積分回路72の出力(角度振れ量)と2次元PSD81の出力に基づく上記演算手段76の演算結果(相対位置変化量)とが誤差増幅器73で比較され、両者の差に応じた電圧が誤差増幅器73によってX方向駆動用コイルCXに印加され、電気基板36及びCCD3をこの差が小さくなるようにX方向に駆動する。同様に、積分回路74の出力(角度振れ量)と2次元PSD81の出力に基づく上記演算手段76の演算結果(相対位置変化量)とが誤差増幅器75で比較され、両者の差に応じた電圧が誤差増幅器75によってY方向駆動用コイルCYに印加され、電気基板36及びCCD3をこの差が小さくなるようにY方向に駆動する。
このように、手振れによる光軸の角度振れ量に追従してCCD3がXY方向に駆動され、手振れによるCCD3上の像振れが補正される。
【0055】
このような本実施形態も、電気基板36に電気線(配線)が接続されていない反射部材82を固定し、従来は電気基板36に固定されていた2次元PSD81やLED51を固定支持基板10に固定しているので、2次元PSD81やLED51から延びる電気線(電気配線)が電気基板36駆動時の負荷とはならず、従来の手振れ補正装置に比べて小さい動力(電力)で電気基板36を駆動できる。
さらに、2次元PSD81と、反射部材82を用いることにより、一つのXY方向位置検出手段80でX方向とY方向の位置を検出できるので、第1の実施形態に比べて部品点数を少なくできる。
【0056】
以上、第1及び第2の実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、様々な変形を施して実施可能である。
例えば、上記実施形態では、電気基板36にCCD3を固定して、CCD3をX方向及びY方向に移動させることにより手振れ補正を行っているが、例えば、CCD3を固定支持基板10の後方に配設し、電気基板36に円形の取付孔(図示略)を穿設して、この取付孔に補正レンズ(図示略)を嵌合固定し、この補正レンズをレンズL1とレンズL2の間またはレンズL2とレンズL3の間に配置させてもよい。このような構造として補正レンズをX方向とY方向に直進移動させても、手振れ補正を行うことが可能である。さらに、このような補正レンズを用いた手振れ補正装置は、CCD3を省略することにより、銀塩カメラにも適用可能となる。
【0057】
また、本実施形態では固定支持基板10側に両ヨークYX、YY(及び磁石MX、MY)を設け、電気基板36側に両コイルCX、CYを設けたが、固定支持基板10側に両コイルCX、CYを設けて、電気基板36側に両ヨークYX、YY(及び磁石MX、MY)を設けてもよい。
さらに、X方向駆動装置及びY方向駆動装置として、ヨークYX、YY、磁石MX、MY、X方向駆動用コイルCX、及びY方向駆動用コイルCY以外の構成のものを採用してもよい。
【0058】
いずれの実施形態でも光源51、61としてLEDを用いたが、LED以外の光源、例えばLD(レーザーダイオード、図示略)を用いてもよい。なお、LDを用いる場合は各コリメートレンズCLX、CLY、CLXYは不要である。
また、第2の実施形態では反射部材82をX方向に向け、LED51と2次元PSD81をX方向に並べたが、反射部材82をX方向以外に向けて、LED51と2次元PSD81をこの反射部材82の向きと同じ方向に並べてもよい。
【0059】
なお、Y方向移動部材20を構成するY方向棒状部21、及びX方向棒状部22、23は、それぞれ完全な直線状部材でなくてもよい。例えばY方向棒状部21は、Y方向への移動中に案内部12aに嵌合する部分のみがY方向を向く直線状であればよく、Y方向への移動中に案内部12aに嵌合しない部分は、例えば正面視曲線状であってもよい。
また、Y方向移動部材20の剛性が高く殆ど弾性変形しないのであれば、Y方向案内部11や自由端支持部13を一つとしてもよく、このようにしても電気基板36はX方向及びY方向に円滑に直線移動する。
【0060】
以上は、本発明のステージ装置を手振れ補正装置5に利用した実施形態であるが、本発明のステージ装置の用途は手振れ補正装置5に限定されず、電気基板のような移動部材を、該移動部材と平行なX方向とY方向に移動させる様々な装置に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の第1の実施形態である手振れ補正装置を内蔵したデジタルカメラの縦断側面図である。
【図2】手振れ補正装置の非作動状態を電気基板とヨークを省略して示す背面図である。
【図3】図2のIII矢線方向から見た手振れ補正装置のステージを省略した側面図である。
【図4】図2のIV矢線方向から見た手振れ補正装置の底面図である。
【図5】図2のV矢線方向から見た手振れ補正装置のステージを省略した側面図である。
【図6】手振れ補正装置の組み立て状態を、CCDと電気基板とヨークを省略して示す背面図である。
【図7】ステージ支持部材をY方向案内部の案内部に嵌合する状態を示す、図6のVII−VII線に沿う断面図である。
【図8】図2のVIII−VIII線に沿う断面図である。
【図9】手振れ補正装置の作動状態をCCDと電気基板とヨークを省略して示す背面図である。
【図10】図9のX矢線方向から見た手振れ補正装置のステージを省略した側面図である。
【図11】手振れ補正装置の非作動状態をヨークを破断して示す背面図である。
【図12】図11のXII−XII線に沿う断面図である。
【図13】X方向駆動装置を模式的に示す拡大図である。
【図14】Y方向駆動装置を模式的に示す拡大図である。
【図15】X方向位置検出手段の斜視図である。
【図16】図11のXVI−XVI矢線に沿って切断したX方向位置検出手段の断面図である。
【図17】電気基板(撮像素子)がX方向に移動したときの図16と同様の断面図である。
【図18】図11のXVIII−XVIII矢線に沿って切断したY方向位置検出手段の断面図である。
【図19】電気基板(撮像素子)がY方向に移動したときの図18と同様の断面図である。
【図20】制御回路ブロック図である。
【図21】本発明の第2の実施形態のXY方向位置検出手段を模式的に示す斜視図である。
【図22】図21のXXII−XXII矢線に沿って切断したXY方向位置検出手段の断面図である。
【図23】反射部材の凹部の斜視図である。
【図24】反射部材の凹部とLEDと2次元PSDの位置関係を示す図である。
【図25】制御回路ブロック図である。
【符号の説明】
【0062】
1 デジタルカメラ(カメラ)
3 CCD(撮像素子)
3a 撮像面(結像面)
5 手振れ補正装置
10 固定支持基板
10a 収容孔
11 Y方向案内部
12 Y方向案内溝
12a 案内部
12b 開口部
13 自由端支持部
14 Y方向長孔
20 Y方向移動部材
21 Y方向棒状部
22 23 X方向棒状部
30 ベース板(XY移動部材)
31 カバー部材(XY移動部材)
31a 採光孔
32 ローパルフィルター
33 押さえ部材
34 X方向案内部
34a X方向案内孔
35 支持部
35a 支持用溝
36 電気基板(XY移動部材)
36a 36b 36c 36d 突出舌片
50 X方向位置検出手段
51 LED(X用光源)(XY用光源)
52 1次元PSD(X用受光部材)
52a 受光面
53 反射部材(X用反射部材)
53b 第1の反射平面(第1の反射面)
53b1 仮想延長部
53c 第2の反射平面(第2の反射面)
53c1 仮想延長部
60 Y方向位置検出手段
61 LED(Y用光源)
62 1次元PSD(Y用受光部材)
63 反射部材(Y用反射部材)
63b 第1の反射平面(第1の反射面)
63c 第2の反射平面(第2の反射面)
70 X方向角速度センサ(角度振れ量検出手段)
71 Y方向角速度センサ(角度振れ量検出手段)
72 積分回路(角度振れ量検出手段)
73 誤差増幅器(制御手段)
74 積分回路(角度振れ量検出手段)
75 誤差増幅器(制御手段)
76 演算手段(CPU)(X方向位置検出手段)(Y方向位置検出手段)(XY方向位置検出手段)
80 XY方向位置検出手段
81 2次元PSD(XY用受光部材)
81a 受光面
82 反射部材(XY用反射部材)
82b 第1の反射曲面(第1の反射面)
82c 第2の反射曲面(第2の反射面)
CX X方向駆動用コイル(X方向駆動装置)
CY Y方向駆動用コイル(Y方向駆動装置)
G X方向移動体の重心
ICS 仮想円錐面
LX X方向直線
LY Y方向直線
MX 磁石(X方向駆動装置)
MY 磁石(Y方向駆動装置)
O 光軸
P XY仮想平面
X X方向
Y Y方向
YX ヨーク(X方向駆動装置)
YY ヨーク(Y方向駆動装置)



【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定支持基板と、
該固定支持基板に、互いに直交し、かつ、該固定支持基板と平行な特定のX方向及びY方向に直線移動可能として支持されたXY移動部材と、
上記XY移動部材の上記固定支持基板に対するX方向の相対位置を検出するX方向位置検出手段と、を備え、
該X方向位置検出手段が、X用光源と、その受光位置をX方向について認識可能なX用受光部材と、該X用受光部材の受光位置に基づいて上記XY移動部材の上記固定支持基板に対するX方向の相対位置を演算する演算手段と、を備えるステージ装置において、
上記固定支持基板に、上記X用光源及び上記X用受光部材をX方向に並べて固定し、
上記XY移動部材に、該X用光源から出た光を反射して上記X用受光部材に導くX用反射部材を固定したことを特徴とするステージ装置。
【請求項2】
請求項1記載のステージ装置において、
上記X用反射部材が、上記X用光源から出た光を反射する第1の反射面と、該第1の反射面と上記X方向に並び、かつ、該第1の反射面で反射された光を反射して上記X用受光部材に導く第2の反射面と、を備えるステージ装置。
【請求項3】
請求項2記載のステージ装置において、
上記X用光源が、X方向及びY方向に対して直交するZ方向に光を射出するものであり、
上記第1の反射面と上記第2の反射面が、Y方向と平行で、かつ、その上記XY移動部材側の端部の仮想延長部が、Z方向と平行なZ方向軸に45°の角度で交わる第1の反射平面と第2の反射平面であるステージ装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項記載のステージ装置において、
上記XY移動部材の上記固定支持基板に対するY方向の相対位置を検出するY方向位置検出手段を備え、
該Y方向位置検出手段が、
共に上記固定支持基板に固定され互いにY方向に並ぶ、Y用光源及び、その受光位置をY方向について認識可能なY用受光部材と、
該Y用受光部材の受光位置に基づいて上記XY移動部材の上記固定支持基板に対するY方向の相対位置を演算する演算手段と、
上記XY移動部材に固定された、該Y用光源から出た光を反射して上記Y用受光部材に導くY用反射部材と、を備えるステージ装置。
【請求項5】
請求項4記載のステージ装置において、
上記Y用反射部材が、上記Y用光源から出た光を反射する第1の反射面と、該第1の反射面と上記Y方向に並び、かつ、該第1の反射面で反射された光を反射して上記Y用受光部材に導く第2の反射面と、を備えるステージ装置。
【請求項6】
請求項5記載のステージ装置において、
上記Y用光源が、上記X方向及びY方向に対して直交するZ方向に光を射出するものであり、
上記Y用反射部材の上記第1の反射面と上記第2の反射面が、X方向と平行で、かつ、その上記XY移動部材側の端部の仮想延長部が、上記Z方向と平行なZ方向軸に45°の角度で交わる第1の反射平面と第2の反射平面であるステージ装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項記載のステージ装置において、
上記X用受光部材または上記Y用受光部材が1次元PSDであるステージ装置。
【請求項8】
固定支持基板と、
該固定支持基板に、互いに直交し、かつ、該固定支持基板と平行な特定のX方向及びY方向に直線移動可能として支持されたXY移動部材と、
上記XY移動部材の上記固定支持基板に対するX方向及びY方向の相対位置を検出するXY方向位置検出手段と、を有し、
上記XY方向位置検出手段が、XY用光源と、その受光位置をX方向及びY方向について認識可能なXY用受光部材と、該XY用受光部材の受光位置に基づいて上記XY移動部材の上記固定支持基板に対するX方向及びY方向の相対位置を演算する演算手段と、を備えるステージ装置において、
上記固定支持基板に、上記XY用光源及び上記XY用受光部材を固定し、
上記XY移動部材に、該XY用光源から出た光を反射して上記X用受光部材に導くXY用反射部材を固定したことを特徴とするステージ装置。
【請求項9】
請求項8記載のステージ装置において、
上記XY用反射部材が、上記XY用光源から出た光を反射する第1の反射面と、該第1の反射面で反射された光を反射して上記XY用受光部材に導く第2の反射面と、を備えるステージ装置。
【請求項10】
請求項9記載のステージ装置において、
上記XY用光源が、X方向及びY方向に対して直交するZ方向に光を射出するものであり、
上記第1の反射面と上記第2の反射面が、Z方向と平行なZ方向軸を中心とし、上記固定支持基板側に向かうにつれて拡開する中心角が90°の仮想円錐面の一部をなし、かつ、上記Z方向軸を挟んで対向する第1の反射曲面と第2の反射曲面であるステージ装置。
【請求項11】
請求項8から10のいずれか1項記載のステージ装置において、
上記XY用受光部材が2次元PSDであるステージ装置。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか1項記載のステージ装置において、
上記X用光源と上記Y用光源と上記XY用光源のいずれかがLEDまたはLDであるステージ装置。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか1項記載のステージ装置において、
上記XY移動部材を上記固定支持基板に対して、X方向とY方向にそれぞれ相対移動させるX方向駆動装置及びY方向駆動装置と、を備えるステージ装置。
【請求項14】
請求項13記載のステージ装置を利用したカメラの手振れ補正装置であって、
上記ステージ装置を内蔵するカメラと、
上記XY移動部材と一緒に移動する、前面に結像面を有する撮像素子と、
上記カメラの光軸のX方向及びY方向の角度振れ量を検出する角度振れ量検出手段と、
該角度振れ量検出手段が検出した角度振れ量と、上記X方向位置検出手段、上記Y方向位置検出手段、またはXY方向位置検出手段の検出量との差が小さくなるように上記X方向駆動装置とY方向駆動装置を駆動する制御手段と、
を備えるステージ装置を利用したカメラの手振れ補正装置。
【請求項15】
請求項13記載のステージ装置を利用したカメラの手振れ補正装置であって、
上記ステージ装置を内蔵するカメラと、
上記XY移動部材と一緒に移動する、手振れを補正するための補正レンズと、
上記カメラの光軸のX方向及びY方向の角度振れ量を検出する角度振れ量検出手段と、
該角度振れ量検出手段が検出した角度振れ量と、上記X方向位置検出手段、上記Y方向位置検出手段、またはXY方向位置検出手段の検出量との差が小さくなるように上記X方向駆動装置とY方向駆動装置を駆動する制御手段と、
を備えるステージ装置を利用したカメラの手振れ補正装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2006−201306(P2006−201306A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−10861(P2005−10861)
【出願日】平成17年1月18日(2005.1.18)
【出願人】(000000527)ペンタックス株式会社 (1,878)
【Fターム(参考)】