説明

スライド装置並びにスライド装置を用いた電子機器

【課題】本体部と重合部とを連結する回動リンク部の枢着部にカム機構を設けてチルトアップ機構を実現して薄型化を図れる構成となり、極めて簡易な構成で組み付けも極めて容易に実現できる極めて実用性に優れた画期的なスライド装置を提供すること。
【解決手段】回動リンク部5と共に回動するカム部6と、これと重合しすり合わせ相対回動するカム係合部7とを設け、このカム部6に対して相対回動するカム係合部7のすり合わせ面に、前記第一部材1に対する前記第二部材2のスライドに伴って第二部材2を重合面に対して起き上がり傾斜させるチルトアップカム面8を形成してチルトアップカム機構9を設けたスライド装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スライド装置並びにスライド装置を用いた携帯電話,モバイル,あるいは電子手帳・小型パソコンなどの電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば従来の折り畳み式の携帯電話は、数字キーやファンクションキーを配列した操作部を下側となる本体部の上面側に設け、この操作部のキー操作などにより所定の表示がなされる液晶パネルなどのディスプレイ部を上側となる重合部の伏面側(重合側)に設け、この本体部と重合部とをヒンジ装置を介して連結して、本体部と重合部とを二つ折り重合して操作部を重合部により隠蔽した折り畳み重合閉塞状態から、ヒンジ装置により重合部を起伏回動して反転し、操作部とディスプレイ部とが露出した開放状態に切り替えできるように構成している。
【0003】
そのため、従来このような起伏回動する重合部で本体部の操作部を覆う電子機器においては、折り畳み重合してコンパクト化できるものの操作部を隠蔽した重合状態ではディスプレイ部も隠蔽してしまう構造となり、コンパクト化した状態での使用が制限されざるを得なく不便である場合も多い。
【0004】
また、操作部を操作する場合には、ディスプレイ部を設けた重い重合部を立ち起こし反転回動させなければならず、この開閉動作(特に開放動作)させづらい欠点もある。
【0005】
そこで、起伏回動により開閉動作するのではなく、重合面に沿って前後方向に重合部をスライドして開閉動作するように構成すれば、重合部の上側面にディスプレイ部を設けることができ、例えば不使用時あるいはキー操作不要時に重合した際においても、言い換えるとたとえディスプレイ部を設けた重合部を本体部に重合して操作部を隠蔽したコンパクト化状態においても、ディスプレイ部が上側に配設され、ディスプレイ部を視認したり、機能させたりすることが可能となり、またこの場合はタッチパネル式に操作して動作表示させるようにしたり、また重合してコンパクト化した状態から操作部も露出した状態に切り替える場合は、重合面に沿って前後方向や左右方向に重合部をスライドすることで行なえるため、この開放動作も非常に容易に行なえ、機器装置として使用用途が広がり、しかも前記開閉動作も容易となる携帯電話,モバイルなどの電子機器となる。
【0006】
しかしながら、従来のこのようなスライド開閉方式は、単に重合面方向(水平方向)に移動することによって開閉する構成のため、スライド重合閉塞位置でもスライド開放位置でも、常に本体部に対して重合部は平行に重合しており、重合部の上面は平坦のままである。
【0007】
一方、前述の起伏回動方式の場合は、重合部を起伏反転回動して開放状態とした際、所定回動以上の開放回動をストッパー機構等により阻止し180度反転にまで至らないようにして回動開放状態では露出面と反転露出面とがフラットとにならず、数度から20度以内程度の傾斜状態となるように構成する場合が多い。
【0008】
即ち、特に反転する重合部の反転露出面(伏面である反転上面)にディスプレイ部を設ける場合は、回動開放位置(使用位置)では数度から20度以内程度の起き上がり傾斜状態となって手前からディスプレイ部を見やすいように構成している。
【0009】
これに対して従来のスライド開閉方式では単に平坦のまま平行スライドするだけでこのような角度を付けることはできず、使用用途が制限されたり、取り扱いづらい場合が生じたり、特にディスプレイ部を設ける場合は、この起き上がり傾斜状態とならないために見づらかったりする。
【0010】
そこで、出願人は、スライド開閉方式を実現するスライド構造にチルトアップ機構を設けることで、このスライドに伴って、例えば徐々に角度がついたり、あるいは所定スライド位置までスライドあるいは少なくともスライド終端のスライド開放位置では自動的に起き上がり傾斜(チルトアップ)するように構成して、単にスライドすることで互いに平行でコンパクト重合した状態からスライド開放位置では自動的にやや起き上がり傾斜状態となり、使い易く使用用途が広がり、特にディスプレイ部を上面に設ける場合はコンパクト化した重合閉塞位置からスライド開放位置にスライドすると、自動的にスライド先端側はやや手前に起き上がり傾斜状態となり、非常に見易くなるなど非常に実用性に優れた画期的なスライド装置を用いた電子機器を開発した(特開2007−74411号)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2007−74411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、スライドガイド機構を単に湾曲させてスライド方向を規制することで重合部がこの湾曲するスライドガイド機構に沿ってスライドしてスライド終端で重合部がやや起き上がり傾斜状態となるように構成したのでは、この湾曲させたスライドガイド機構を設ける分どうしても肉厚となり薄型化の妨げになるし、重合部を側方から見るとこの湾曲したスライドガイド部が見え体裁が悪くデザイン性に劣る場合が多い。
【0013】
また、スライド終端でスライドガイド機構とは別に設けた回動機構による起き上がり回動を自動作動させてスライド終端で起き上がるように構成することも提案されこれは非常に画期的であるが、構造は複雑となりコスト高となるおそれがある。
【0014】
一方、所定量スライドするまでは戻り付勢を生じさせて重合閉塞状態で閉じ付勢を生じさせ、所定量以上スライドすると、今度は自動的に進み付勢が生じてスライド操作が軽くなったり自動スライドするように構成してスライド終端では開き付勢が生じるようにスライド付勢機構を設けることが望ましく、この場合、本体部と重合部とをこのスライド付勢機構を実現するバネで連結する構成となる。
【0015】
本発明は、スライド装置にチルトアップ機構を設けるにあたり、スライド途中で付勢向きが切り替わるスライド付勢機構を設けることができる回動リンク部で本体部(第一部材)と重合部(第二部材)とを連結し、この回動リンク部の枢着部にカム機構を設けてチルトアップ機構を実現するチルトアップカム機構を設けることで、薄型化を図れる構成(肉厚となりにくい構成)となり、連結部材である回動リンク部の枢着部のカム機構によってチルトアップを実現できることから、極めて簡易な構成で組み付けも極めて容易に実現できる極めて実用性に優れた画期的なスライド装置並びにスライド装置を用いた電子機器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0017】
第一部材1とこの第一部材1に重合配設した第二部材2とを重合面方向にスライド自在に連結するスライド装置であって、前記第一部材1若しくは第一部材1に連結する第一連結部3に一端部を回動自在に設け、他端部を前記第二部材2若しくは第二部材2に連結する第二連結部4に回動自在に設ける回動リンク部5の少なくともいずれかの端部枢着部に、前記第一部材1に対する前記第二部材2のスライドに伴って回動するこの回動リンク部5と共に回動するカム部6若しくはカム係合部7と、これと重合しすり合わせ相対回動するカム係合部7若しくはカム部6とを設け、このカム部6若しくはカム係合部7のすり合わせ面に、前記第一部材1に対する前記第二部材2のスライドに伴ってこのカム部6とカム係合部7との相対回動によって第二部材2を重合面に対して起き上がり傾斜させるチルトアップカム面8を形成してチルトアップカム機構9を前記回動リンク部5の端部枢着部に設けたことを特徴とするスライド装置に係るものである。
【0018】
また、前記カム部6に凸部10を設け、前記カム係合部7に、前記凸部10が前記回動リンク部5の回動に伴って圧接摺動しこの回動リンク部5の傾斜度を可変する前記チルトアップカム面8を設けて、前記第一部材1に対して重合した前記第二部材2を重合面方向にスライドすると、前記回動リンク部5が回動するに伴って前記凸部10が前記チルトアップカム面8を圧接摺動しこのチルトアップカム面8の形状によって前記回動リンク部5が傾斜して前記第二部材2が重合面に対して起き上がり傾斜するように構成したことを特徴とする請求項1記載のスライド装置に係るものである。
【0019】
また、相対回動する前記凸部10が前記チルトアップカム面8に沿ってこれに圧接摺動し、前記第一部材1に対する前記第二部材2のスライド終了位置で前記回動リンク部5を起き上がり傾斜させて第二部材2を第一部材1の重合面に対して起き上がり傾斜させるチルトアップ傾斜面11とこれに至る誘導傾斜面12とを前記チルトアップカム面8に設けたことを特徴とする請求項2記載のスライド装置に係るものである。
【0020】
また、前記回動リンク部5の端部に回動軸部13を設け、この回動軸部13に前記カム部6とこれに対して相対回動する前記カム係合部7とを設け、前記回動リンク部5の回動に同期して前記カム部6が前記カム係合部7に対して相対回動してこのカム部6の前記凸部10がカム係合部7の前記チルトアップカム面8を圧接摺動し、前記第一部材1に対して前記第二部材2をスライドすることで前記凸部10が前記チルトアップカム面8のチルトアップ傾斜面11に圧接することによって、前記回動リンク部5が起き上がり傾斜し前記第二部材2が起き上がり傾斜するように構成したことを特徴とする請求項3記載のスライド装置に係るものである。
【0021】
また、前記回動リンク部5に前記第一部材1に対して前記第二部材2が所定量スライドするまでは戻り付勢が生じ所定量以上スライドすると逆に進み付勢が生じるスライド付勢機構14を設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のスライド装置に係るものである。
【0022】
また、前記回動リンク部5を対向状態に設け、前記第一部材1に対して前記第二部材2をスライド往復するに伴って各回動リンク部5が対向内側に向けて往復回動しこの回動途中で互いの先端部が接近し再び回動離反するように構成し、この各回動リンク部5の先端部に抗縮バネ部15を設けて、前記先端部が除々に接近してゆき互いに最も接近するまでは前記抗縮バネ部15により戻り付勢による閉じ付勢が生じ最も接近する位置を超えて再び離反する位置では前記抗縮バネ部15により逆に進み付勢による開き付勢が生じるように前記スライド付勢機構14を構成したことを特徴とする請求項5記載のスライド装置に係るものである。
【0023】
また、前記第一部材1若しくは第一部材1に連結する前記第一連結部3に基端部を回動自在に枢着する二つの前記回動リンク部5の先端部を、前記第二部材2若しくは前記第二部材2に連結する前記第二連結部4に夫々回動自在にして且つこの回動リンク部5の対向方向にスライド自在に連結し、この回動リンク部5の先端部間にこの先端部が接近する際に抗し離反する際に付勢する抗縮バネ部15を設けてスライド付勢機構14を設け、前記回動リンク部5の基端部の枢着部に前記チルトアップカム機構9を設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のスライド装置に係るものである。
【0024】
また、各前記回動リンク部5間に同期リンク18を架設し、前記第一部材1とこの第一部材1に重合配設した前記第二部材2をスライド移動した際に前記各回動リンク部5が同調して回動するように構成したことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のスライド装置に係るものである。
【0025】
また、前記同期リンク18は、変形自在な四角形状に形成しこの四角形状の同期リンク18の対角線上に対向する二組の枢着部20のうち、一の組の枢着部20を夫々前記回動リンク部5の先端部に枢着し、他の組の枢着部20を夫々前記第二部材2若しくは前記第二部材2に連結する前記第二連結部4の中央部に重合面方向に移動自在に設けたことを特徴とする請求項8記載のスライド装置に係るものである。
【0026】
また、操作部に設けた本体部を第一部材1若しくは第二部材2とし、ディスプレイ部を設けた重合部を前記第二部材2若しくは前記第一部材1とし、本体部と重合部とを重合配設し、この重合した状態から前記重合部を相対的に重合面方向にすれ違うようにスライドして重合面の一部を露出させることができるように前記本体部と前記重合部とを前記請求項1〜9のいずれか1項に記載のスライド装置を用いて連結したことを特徴とするスライド装置を用いた電子機器に係るものである。
【発明の効果】
【0027】
本発明は上述のように構成したから、チルトアップカム機構により、単にスライドするだけで例えば徐々に角度がついたり、少なくともスライド終端のスライド開放位置では自動的に起き上がり傾斜(チルトアップ)するため、使い易く使用用途が広がり、特にディスプレイ部を上面に設ける場合はコンパクト化した重合閉塞位置からスライド開放位置にスライドすると、自動的にスライド先端側はやや手前に起き上がり傾斜状態となり、非常に見易くなり例えばディスプレイが見やすいためパソコンとして使用し易くなるなど非常に実用性に優れ、しかも本体部(第一部材)と重合部(第二部材)とを連結する回動リンク部の枢着部にカム機構を設けてチルトアップ機構を実現するチルトアップカム機構を設けたことで、薄型化を図れる構成(肉厚となりにくい構成)となり、連結部材である回動リンク部の枢着部のカム機構によってチルトアップを実現できることから、極めて簡易な構成で組み付けも極めて容易に実現できる極めて実用性に優れた画期的なスライド装置並びにスライド装置を用いた電子機器となる。
【0028】
また、請求項2,3,4記載の発明においては、一層容易に本発明を実現でき一層実用性に優れたスライド装置となるもので、特に請求項4記載の発明においては、例えば、回動リンク部を枢着するにあたり、この枢着部の固定側にカム係合部を設け回動側となる回動リンク部の端部にカム部を設けて軸着し、このカム部に対するカム係合部のチルトアップカム面を所定形状に設定することで実現でき、一層簡易な構成で組み付けも容易となるなど極めて優れた画期的なスライド装置となる。
【0029】
また、請求項5,6,7記載の発明においては、途中で付勢の向きが切り替わり途中までは戻り付勢による閉じ付勢,途中からはスライド操作が軽くなったり自動スライドさせる進み付勢による開き付勢が生じるスライド付勢機構を備え、このスライド付勢機構を設ける回動リンク部の枢着部に前記チルトアップカム機構を設けるため、スライド付勢機構とチルトアップカム機構の双方を備えながら、極めて簡易な構成で組み付けも極めて容易に実現できる極めて実用性に優れた画期的なスライド装置となる。
【0030】
特に請求項7記載の発明においては、前記発明を一層簡易な構成で実現でき一層実用性に優れた画期的なスライド装置となる。
【0031】
また、請求項8,9記載の発明においては、第一部材に対して第二部材を重合面方向にスライド移動させた際に、左右の回動リンク部がガタ付くことなく同調してスムーズに回動し、第二部材のスライド移動がスムーズとなる操作性、実用性に優れた画期的なスライド装置となる。
【0032】
また、請求項10記載の発明においては、前述のような作用効果を発揮する画期的なスライド装置を用いた電子機器を提供できることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】実施例1の重合閉塞状態の説明斜視図である。
【図2】実施例1のスライド開放途中の説明斜視図である。
【図3】実施例1のスライド開放状態の説明斜視図である。
【図4】実施例1のスライド装置の説明斜視図である。
【図5】実施例1のスライド装置の裏面から見た説明斜視図である。
【図6】実施例1のスライド装置の説明分解斜視図である。
【図7】実施例1のチルトアップ機能を示す説明側面図である。
【図8】実施例1のチルトアップカム機構の要部の説明分解斜視図である。
【図9】実施例2の重合閉塞状態の説明斜視図である。
【図10】実施例2のスライド開放途中の説明斜視図である。
【図11】実施例2のスライド開放状態の説明斜視図である。
【図12】実施例2のスライド装置の裏面から見た説明斜視図である。
【図13】実施例2のチルトアップ機能を示す説明斜視図である。
【図14】実施例2のチルトアップ機能を示す説明側面図である。
【図15】実施例2のチルトアップ機能を示す説明側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0035】
第一部材1(例えば操作部を重合面となる上面に設けた本体部1)に対して第二部材2(例えばディスプレイ部を上面に設けた重合部2)を重合面方向にスライドする。
【0036】
即ち、下側の第一部材1の上面の操作部が上側に重合する第二部材2により隠蔽された重合閉塞位置から例えば重合面方向の前後方向あるいは左右方向に第二部材2をスライドして第一部材1の上面の操作部を露出させる。
【0037】
このスライドに際して、第一部材1と第二部材2とをスライド自在に連結する回動リンク部5が回動する。
【0038】
即ち、回動リンク部5はその端部が第一部材1若しくは第一部材1に設けた第一連結部3に枢着され、他端部が第二部材2若しくは第二部材2に設けた第一連結部3に枢着され、第一部材1に対する第二部材2のスライドに伴って回動リンク部5は回動する。
【0039】
尚、回動スライドさせずに直線スライドさせるには少なくとも回動リンク部5の一端部の枢着部はスライド自在に設けられ、枢着部がスライドによって移動する構成とする。
このスライドに伴って回動リンク部5が回動する際、回動リンク部5の端部枢着部に設けたチルトアップカム機構9により自動的に第一部材1に対して第二部材2が少し起き上がる(チルトアップする)。
【0040】
即ち、回動リンク部5と共にこれに共回り状態に設けたカム部6が枢着部の固定側に設けたカム係合部7に対して回動するが、このカム部6の凸部10がこのカム係合部7のチルトアップカム面8を圧接摺動し、このチルトアップカム面8の形状によってこの回動リンク部5が傾動し、この回動リンク部5の傾動によって第一部材1に対して第二部材2がチルトアップする。
【0041】
具体的には例えば左右に回動リンク部5を設け、この双方の基端部と第一部材1とを枢着固定し、先端部を第二部材2に対して左右方向にスライド自在にして枢着して双方の回動リンク部5を互いに例えば逆ハ字状からハ字状へと回動させ各先端部枢着部が接近離反するように第一部材1に対して第二部材2が直線的に重合面に沿ってスライド自在となるように連結し、この回動リンク部5の基端部枢着部に前記チルトアップカム機構9を設ける。
【0042】
即ち例えばこの回動リンク部5の基端部の回動軸部13に回動リンク部5と共に回動するカム部6とこれに対して相対回動するカム係合部7とを設け、第二部材2のスライドに伴って回動リンク部5が回動し、カム部6が第一部材1側となるカム係合部7に対して相対回動して、このカム部6の凸部10がカム係合部7のチルトアップカム面8に沿って圧接摺動し、チルトアップカム面8に設けたチルトアップ傾斜面11によって回動リンク部5がやや起き上がり傾斜して第二部材2がやや起き上がり傾斜する(チルトアップする)こととなる。
【0043】
また、例えばこのように回動リンク部5を左右に並設し、この先端部は夫々前記第二部材2に設ける第二連結部4に回動自在に枢着すると共にこの枢着部が左右方向に接離自在となるようにスライド自在に設け、この対向するカム部6の先端部間にスライド付勢機構14を設けて、スライド途中まで戻り付勢が生じ、途中から自動的に進み付勢が生じるスライド付勢機構14を実現しつつ、このスライド付勢機構14を設ける回動リンク部5の基端部に前記カム部6とカム係合部7とを組み込んで前記チルトアップカム機構9を実現する構成とすることで、スライド付勢機構14とチルトアップカム機構9との双方を備えつつ簡易な構成で組み付けも容易な極めて実用性に優れたスライド装置が実現できることとなる。
【実施例1】
【0044】
本発明の具体的な実施例1について図1〜図8に基づいて説明する。
【0045】
本実施例は、重合コンパクト化の図れる携帯電話と携帯情報端末の機能を備えた情報機器に本発明を適用したもので、回路基板,電源などの電子部品をケースに内装した縦長厚板状の第一部材1(本体部1)の上面側に横向きにして使うキーボード機能を果たす操作部を設け、この本体部1に重合して操作部を覆う略同形の縦長厚板状の第二部材2(重合部2)を長さ方向と直交する左右方向にスライド自在となるスライド装置により連結した構成としている。
【0046】
この重合部2の上面側には予め設定した画面やタッチパネル式によるタッチ操作あるいは並設した操作部の操作や着信などにより所定の表示や映像を表示でき、また前記本体部の操作部をキーボードとしたパソコン画面としても機能する液晶パネルなどのディスプレイ部を設けている。
【0047】
この本体部1と重合部2との連結は、双方の重合部分の互いの伏面に後述するチルトアップ機構を実現するチルトアップカム機構9を組み込み且つ途中でスライド付勢向きが変更するスライド付勢機構14を組み込んだスライド装置により連結して、本体部1に対して重合部2をスライド自在に開閉できるように構成し、本体部1の操作部を重合部2で隠蔽した重合閉塞位置と、重合部2を位置ズレするように左右方向へ直線スライドさせて操作部を露出させ、この操作部をキーボードとして使用でき、後述するチルトアップカム機構9によって、重合部2は本体部1と平行な状態のままスライドするのでなく、徐々にあるいは所定スライド位置から徐々に起き上がり、スライド終端のスライド開放位置までスライドさせると、重合部のスライド先端側がスライド基端側に対して例えば0度〜10度程度起き上がり傾斜状態となり、ディスプレイ部が見易くなるようにチルトアップする構成としている。
【0048】
以下、本実施例のこのチルトアップカム機構9及びスライド付勢機構14を備えたスライド装置について説明する。
【0049】
本体部1となる第一部材1に連結する第一連結部3に一端部を回動自在に設け、他端部を重合部2となる第二部材2若しくは第二部材2に連結する第二連結部4に回動自在に設ける回動リンク部5の固定枢着部となる基端部枢着部にチルトアップカム機構9を設けるが、この第一部材1に対する第二部材2のスライドに伴って回動する回動リンク部5と共に回動するように本実施例では回動リンク部5の基端部に回り止め係合させてカム部6を設け、これと重合しすり合わせ相対回動するカム係合部7を枢着部の固定部に設け、このカム部6の凸部10が圧接摺動するカム係合部7のすり合わせ面に、前記第一部材1に対する前記第二部材2のスライドに伴ってこのカム部6とカム係合部7との相対回動によって第二部材2を重合面に対して起き上がり傾斜させるチルトアップカム面8を形成してチルトアップカム機構9を設けた構成としている。
【0050】
具体的には、本実施例ではハ字状あるいは逆ハ字状に左右対向状態に設ける前記回動リンク部5の基端部に回り止め状態に設けた前記カム部6とこれに対して相対回動することとなる前記カム係合部7とを回動軸部13に設けて、この回動軸部13を軸に前記回動リンク部5をやや傾動可能となるようにして水平回動自在に設けると共に、前記カム係合部7に対して前記カム部6が相対回動してこのカム部6の前記凸部10がカム係合部7の前記チルトアップカム面8を圧接摺動し、前記第一部材1に対して前記第二部材2をスライドすることで前記凸部10が前記チルトアップカム面8のチルトアップ傾斜面11に圧接することによって、前記回動リンク部5が水平回動しながら起き上がり傾斜し前記第二部材2が起き上がり傾斜するように構成している。
【0051】
即ち、前記カム部6に二箇所対向状態に凸部10を設け、前記カム係合部7に、前記一方の凸部10が前記回動リンク部5の回動に伴って圧接摺動して傾斜面を登ってゆきこの回動リンク部5の傾斜度を可変する前記チルトアップカム面8を設けるが、このチルトアップカム面8には、前記第一部材1に対する前記第二部材2のスライド終了位置で前記回動リンク部5を起き上がり傾斜させて第二部材2を第一部材1の重合面に対して起き上がり傾斜させるチルトアップ傾斜面11と、これに至るまで除々に傾斜度を上げてゆくことになる登り傾斜面とする誘導傾斜面12とを設けている。
【0052】
また本実施例では、第二部材2がチルトアップするに際してその基端部が重合面に干渉したり重合面を傷つけたりしないように傾斜度を上げてゆく途中や傾斜度を上げる前に、先ず第一部材1に対してこれに重合する第二部材2を少し浮き上げそれからスライドに伴って(回動リンク部5の回動に伴って)第二部材2が除々に傾斜してゆくようにチルトアップカム面8を形成している。
【0053】
従って、チルトアップカム面8はカム部6の一方の凸部10が乗り上がる丘部を設け、これにより第二部材2が重合面から少し浮き上がり、この丘部に前記ゆるやかに登る誘導傾斜面12を連設してこれを除々に凸部10が登り上がってゆくことでチルトアップしてゆき、ストッパーによってスライド阻止されるスライド終端でチルトアップ傾斜面11に一方の凸部10が至ることでチルトアップするように構成している。
【0054】
従って、このように前記第一部材1に対して重合した前記第二部材2を重合面方向にスライドすると、前記回動リンク部5が回動するに伴って前記凸部10が前記チルトアップカム面8を圧接摺動しこのチルトアップカム面8の形状によって前記回動リンク部5が傾斜して前記第二部材2が重合面に対して起き上がり傾斜するように構成している。
【0055】
更に説明すると、本実施例では、具体的には前述のように左右に回動リンク部5を設け、この双方の基端部と第一部材1とを枢着固定し、逆ハ字状にして互いに内側へ向く各先端部を第二部材2に対して左右方向にスライド自在にして枢着し、双方の回動リンク部5を互いに内方から外方へと回動させつつ各先端部を接近離反移動させながら第一部材1に対して第二部材2が直線的に重合面に沿ってスライド自在となるように連結し、この回動リンク部5の基端部枢着部に前述のようにチルトアップカム機構9を設けている。
【0056】
即ちこの回動リンク部5の基端部を枢着する回動軸部13に、回動リンク部5の端部を回動自在にしてやや傾斜可能に設けると共に、この回動リンク部5の基端部に回り止め係合したカム部6を共回り回動自在に被嵌し、この枢着部の固定部にはカム部6に対して相対回動することとなるカム係合部7とを設け、このカム部6とカム係合部7とを押圧する付勢するカム付勢バネ19を設けて、第一部材1側となるカム係合部7に対して第二部材2をスライドに伴って回動リンク部5と共に回動するカム部6が相対回動して、このカム部6の二つの凸部10がカム係合部7のチルトアップカム面8によって沿って圧接摺動し、その一方の凸部10がチルトアップカム面8に設けた誘導傾斜面12を登って略90度回動したスライド終端ではチルトアップ傾斜面11によって回動リンク部5がやや起き上がり傾斜して第二部材2がやや起き上がり傾斜する(8度程度チルトアップする)こととなる。
【0057】
また、このように左右に並設した回動リンク部5の先端部は、夫々前記第二部材2の重合面に付設する板材を採用した第二連結部4に回動自在に枢着すると共に、この枢着部が左右方向に接離自在となるようにスライド自在に設け、この対向するカム部6の先端部間にスライド付勢機構14を設けて、スライド途中まで戻り付勢が生じ、途中から自動的に進み付勢が生じるスライド付勢機構14を実現しつつ、このスライド付勢機構14を設ける回動リンク部5の基端部に前記カム部6とカム係合部7とを組み込んで前記チルトアップカム機構9を実現する構成としている。
【0058】
具体的には、各回動リンク部5の先端部は第二部材2に直接でなく第二部材2に連結する板状の第二連結部4に枢着するが、この枢着部を夫々左右方向に移動自在に設けて第二部材2が直線的にスライドするように構成している。この板状の第二連結部4はスライドガイド孔16を設け、このスライドストッパーとしての機能を果たすスライドガイド孔16にスライド自在にスライド枢着部17を設け、このスライド枢着部17に前記回動リンク部5の先端部を枢着し、このスライド枢着部17のL状先端部間に架設状態に出願人が開発した例えば特許第4214169号に開示される抗縮バネ部15(アクチュエータ)を連結してスライド付勢機構14を構成している。
【0059】
即ち、第一部材1に対して第二部材2をスライド往復するに伴って各回動リンク部5が対向内側に向けて往復回動しこの回動途中で互いの先端部が接近し再び回動離反するように構成し、この各回動リンク部5の先端部間を前記スライド枢着部17を介して抗縮バネ部15で連結して先端部が除々に接近してゆき互いに最も接近するまでは前記抗縮バネ部15により戻り付勢による閉じ付勢が生じ最も接近する位置を超えて再び離反する位置では前記抗縮バネ部15により逆に進み付勢による開き付勢が生じるように前記スライド付勢機構14を構成している。
【0060】
また本実施例では、左右の回動リンク部5がガタ付くことなく同調してスムーズに回動しスライドがスムーズとなるように、各回動リンク部5を同期リンク18で連結している。即ち各回動リンク部5の基端部同志を結ぶように同期リンク18を基端部間に架設連結している。
【実施例2】
【0061】
本発明の具体的な実施例2について図9〜図15に基づいて説明する。
【0062】
本実施例は、実施例1と同様のスライド装置であるが、同期リンク18の構成とチルトアップカム機構9の構成が異なるものであり、他の構成は実施例1と同様である。
【0063】
本実施例における同期リンク18及びこの同期リンク18を設けた構成は以下のようになっている。
【0064】
同期リンク18は、四つのリンクブラケット板21を組み合わせた構成で、具体的には、各リンクブラケット板21の両端部同士を枢着し変形自在な四角形状に形成している。
【0065】
この四角形状の同期リンク18の対角線上に対向する二組の枢着部20のうち、一の組の枢着部20を夫々回動リンク部5の先端部に枢着し、他の組の枢着部20を第二連結部4の中央部に重合面方向に配設した溝状の嵌合部22に重合面方向にスライド移動自在に設けている。
【0066】
また、回動リンク部5の先端部よりも基端側にスライド枢着部17を設け、このスライド枢着部17は第二連結部4に設けた重合面方向と直交するスライドガイド孔16に沿ってスライド移動自在に設けている。
【0067】
上述のように構成したことで、第一部材1に対して第二部材2をスライド往復移動させた際の各部の動きは、各回動リンク部5が対向内側に向けて往復回動すると共にスライド枢着部17が重合面方向と直交する方向に往復スライド移動し、このスライド枢着部17の往復スライド移動に伴って、同期リンク18が縦長(重合面方向に長い)や横長(重合面方向と直交する方向に長い)の菱形状態に変形する。
【0068】
具体的には、例えば、第一部材1と第二部材2とが重合閉塞位置の状態から第二部材2を重合面方向にスライド移動させて操作部を露出状態にする際、重合閉塞位置の状態では、各回動リンク部5に設けた各スライド枢着部17が第二連結部4に設けた重合面方向と直交する各スライドガイド孔16の外側端部に位置し各スライド枢着部17間が最も離れた状態となり、且つ同期リンク18が最も横長の菱形形状となっている。
【0069】
この状態から第二部材2を操作部を露出状態にする方向にスライド移動させていくと、各回動リンク部5に設けた各スライド枢着部17がスライドガイド孔16の内側方向に移動すると共に同期リンク18が横長の菱形形状から縦長の菱形形状に変形していく。
【0070】
また、第二部材2が重合閉塞位置の状態と操作部を完全に露出する状態との中間位置となったときには、各回動リンク部5が重合面方向と直交する状態となり、且つ各スライド枢着部17が各スライドガイド孔16の内側端部に位置し各スライド枢着部17間が最も近接した状態となり、且つ同期リンク18が最も縦長の菱形形状となる。
【0071】
更に、第二部材2のスライド移動が進むと、各回動リンク部5に設けた各スライド枢着部17がスライドガイド孔16の外側方向に移動すると共に同期リンク18が縦長の菱形形状から横長の菱形形状に変形していく。
【0072】
そして、第二部材2がスライド終端のスライド開放位置までスライド移動し操作部を完全に露出状態にした状態では、重合閉塞位置の状態と同様に、各回動リンク部5に設けた各スライド枢着部17が第二連結部4に設けた重合面方向と直交する各スライドガイド孔16の外側端部に位置し各スライド枢着部17間が最も離れた状態となり、且つ同期リンク18が最も横長の菱形形状となる。
【0073】
このように、同期リンク18を設けたことで、左右の各回動リンク部5の動作がガタ付くことなく同調してスムーズに回動し第二部材2のスライド移動が一層スムーズとなる操作性、実用性に優れたスライド装置となる。
【0074】
また、第一実施例では、スライド付勢機構14は回動リンク部5の先端部に設けたスライド枢着部17のL状先端部間に架設状態に設けたアクチュエータータイプのものを採用した構成のものであるが、本実施例では、回動リンク部5に夫々設けた構成とし、回動リンク部5に、例えばプレスばねやトーションばねなどの抗縮バネ部15の一端を設け、第二連結部4に他端を設けた構成としているが、その作用・効果は第一実施例と同様である。
【0075】
続いて、チルトアップカム機構9の構成を以下に説明する。
【0076】
本実施例のチルトアップカム機構9は、第一部材1に対する第二部材2のスライドに伴って回動する回動軸部13に回動リンク部5の端部を設け、また、カム部6とこれに対して相対回動するカム係合部7とを設け、このカム係合部7のすり合わせ面に、第一部材1に対する第二部材2のスライドに伴ってカム部6とカム係合部7との相対回動によって第二部材2を重合面に対して起き上がり傾斜させるチルトアップカム面8を形成し、カム部6にはこのチルトアップカム面8に圧接摺動する凸部10を設けている。
【0077】
更に、回動軸部13には、カム軸受筒部23と、これに対して相対回動するカム座金部24とを設け、カム軸受筒部23のすり合わせ面に、第一部材1に対する第二部材2のスライドに伴ってこのカム座金部24とカム軸受筒部23との相対回動によってカム座金部24とカム軸受筒部23との係合時の高さを変化させるカム傾斜面25を形成し、カム座金部24にはこのカム傾斜面25に圧接摺動する凸部26を設けた構成としている。
【0078】
具体的には、第一部材1に係合する第一部材係合部27に回動軸部13を回動自在に設け、この回動軸部13の第二部材2側端部に、第一部材1に対して第二部材2を重合面方向にスライドする際のこの回動軸部13の回動作動に同期して回動するハ字状或いは逆ハ字状に左右対向状態に設ける回動リンク部5の基端部を固着し、これより第一部材1側にカム係合部7を固着し、更に回動軸部13の第一部材1側端部にカム座金部24を固着している。
【0079】
また、カム係合部7と相対回動するカム部6を、回動軸部13が貫通状態で且つ第一部材係合部27に固定状態に設け、カム座金部24と相対回動するカム軸受筒部23に回り止め凸部を形成し、このカム軸受筒部23を回動軸部13に枢着し且つ第一部材係合部27に回り止め凹部を形成し、カム軸受筒部23を回り止め係合するように設けた構成としている。
【0080】
尚、本実施例ではカム係合部7と相対回動するカム部6を別部材で設けて第一部材係合部27に固定状態に設けたが、例えば、カム部6の有する凸部を第一部材係合部27に予め形成してカム部6と第一部材係合部27とが一体となった第一部材係合部27としても良い。
【0081】
従って、第一部材1に対して第二部材2を重合閉塞位置の状態から操作部を露出状態にする重合面方向にスライドすることで、カム部6とカム係合部7とが相対回動すると共にカム係合部7に設けたチルトアップカム面8のチルトアップ傾斜面11と、カム部6に設けた凸部10とが圧接摺動し、カム係合部7が水平回動しながら起き上がり傾斜し、これに伴い回転軸部13が傾斜し、この回転軸部13に固着した回動リンク部5も傾斜状態となり第二部材2が起き上がり傾斜する。
【0082】
一方、カム座金部24とカム軸受筒部23も、カム部6とカム係合部7との相対回動に同期して相対回動し、カム軸受筒部24に設けたカム傾斜面25とカム座金部24に設けた凸部26とが圧接摺動して、カム座金部24とカム軸受筒部23との高さ間隔が縮まり、この縮まった間隔分回動軸部13が上方に移動することができるので、カム係合部7に設けたチルトアップカム面8のチルトアップ傾斜面11をカム部6に設けた凸部10が圧接摺動しながら上方側に移動することができる構成となっている。
【0083】
また、カム軸受筒部23は上部を略半球体状に形成していて、このカム軸受筒部23を回り止め係合する第一部材係合部27の係合面も略半球体状に形成している。
【0084】
このようにカム軸受筒部23及び第一部材係合部27の係合部形状に略半球体状に形成することによって、第二部材2が起き上がり傾斜する際の回転軸部13の傾斜に伴うカム軸受筒部23の回動移動をガタツキなく、且つスムーズに動作可能としている。
【0085】
また、第一部材1に対して第二部材2を操作部を露出状態から重合閉塞位置の状態にする重合面方向にスライドすることで、各部が上述の逆の動作を行い重合閉塞位置の状態になるが、この第一部材1と第二部材2とが重合閉塞位置の状態ときにカム座金部24に設けた凸部26がカム軸受筒部23のカム傾斜面25の頂部に位置し、即ち、回動軸部13が最下方位置となる構成としている。
【0086】
即ち、第一部材1と第二部材2とが重合閉塞位置の状態ときにこのカム座金部24とカム軸受筒部23との係合によって回動軸部13が上下方向に移動できないので、第一部材1に対して第二部材2が浮いたりガタついたりしない構成となっている。
【0087】
また、本実施例では、カム軸受筒部23とカム座金部24との間に縮退状態のカム付勢バネ19を設け、このカム付勢バネ19が縮退状態から伸長しようとする力でカム座金部24を押圧し、これによって回動軸部13にも同様の力が作用し、即ち、回動軸部13には第一部材1側方向に移動しようとする力が作用し、これによってカム部6がカム係合部7を押圧する力が作用することで、一層チルトアップカム機構9の各部間のガタつきを抑えた構成となっている。
【0088】
尚、本発明は、実施例1,2に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【符号の説明】
【0089】
1 第一部材(本体部)
2 第二部材(重合部)
3 第一連結部
4 第二連結部
5 回動リンク部
6 カム部
7 カム係合部
8 チルトアップカム面
9 チルトアップカム機構
10 凸部
11 チルトアップ傾斜面
12 誘導傾斜面
13 回動軸部
14 スライド付勢機構
15 抗縮バネ部
18 同期リンク
20 枢着部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一部材とこの第一部材に重合配設した第二部材とを重合面方向にスライド自在に連結するスライド装置であって、前記第一部材若しくは第一部材に連結する第一連結部に一端部を回動自在に設け、他端部を前記第二部材若しくは第二部材に連結する第二連結部に回動自在に設ける回動リンク部の少なくともいずれかの端部枢着部に、前記第一部材に対する前記第二部材のスライドに伴って回動するこの回動リンク部と共に回動するカム部若しくはカム係合部と、これと重合しすり合わせ相対回動するカム係合部若しくはカム部とを設け、このカム部若しくはカム係合部のすり合わせ面に、前記第一部材に対する前記第二部材のスライドに伴ってこのカム部とカム係合部との相対回動によって第二部材を重合面に対して起き上がり傾斜させるチルトアップカム面を形成してチルトアップカム機構を前記回動リンク部の端部枢着部に設けたことを特徴とするスライド装置。
【請求項2】
前記カム部に凸部を設け、前記カム係合部に、前記凸部が前記回動リンク部の回動に伴って圧接摺動しこの回動リンク部の傾斜度を可変する前記チルトアップカム面を設けて、前記第一部材に対して重合した前記第二部材を重合面方向にスライドすると、前記回動リンク部が回動するに伴って前記凸部が前記チルトアップカム面を圧接摺動しこのチルトアップカム面の形状によって前記回動リンク部が傾斜して前記第二部材が重合面に対して起き上がり傾斜するように構成したことを特徴とする請求項1記載のスライド装置。
【請求項3】
相対回動する前記凸部が前記チルトアップカム面に沿ってこれに圧接摺動し、前記第一部材に対する前記第二部材のスライド終了位置で前記回動リンク部を起き上がり傾斜させて第二部材を第一部材の重合面に対して起き上がり傾斜させるチルトアップ傾斜面とこれに至る誘導傾斜面とを前記チルトアップカム面に設けたことを特徴とする請求項2記載のスライド装置。
【請求項4】
前記回動リンク部の端部に回動軸部を設け、この回動軸部に前記カム部とこれに対して相対回動する前記カム係合部とを設け、前記回動リンク部の回動に同期して前記カム部が前記カム係合部に対して相対回動してこのカム部の前記凸部がカム係合部の前記チルトアップカム面を圧接摺動し、前記第一部材に対して前記第二部材をスライドすることで前記凸部が前記チルトアップカム面のチルトアップ傾斜面に圧接することによって、前記回動リンク部が起き上がり傾斜し前記第二部材が起き上がり傾斜するように構成したことを特徴とする請求項3記載のスライド装置。
【請求項5】
前記回動リンク部に前記第一部材に対して前記第二部材が所定量スライドするまでは戻り付勢が生じ所定量以上スライドすると逆に進み付勢が生じるスライド付勢機構を設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のスライド装置。
【請求項6】
前記回動リンク部を対向状態に設け、前記第一部材に対して前記第二部材をスライド往復するに伴って各回動リンク部が対向内側に向けて往復回動しこの回動途中で互いの先端部が接近し再び回動離反するように構成し、この各回動リンク部の先端部に抗縮バネ部を設けて、前記先端部が除々に接近してゆき互いに最も接近するまでは前記抗縮バネ部により戻り付勢による閉じ付勢が生じ最も接近する位置を超えて再び離反する位置では前記抗縮バネ部により逆に進み付勢による開き付勢が生じるように前記スライド付勢機構を構成したことを特徴とする請求項5記載のスライド装置。
【請求項7】
前記第一部材若しくは第一部材に連結する前記第一連結部に基端部を回動自在に枢着する二つの前記回動リンク部の先端部を、前記第二部材若しくは前記第二部材に連結する前記第二連結部に夫々回動自在にして且つこの回動リンク部の対向方向にスライド自在に連結し、この回動リンク部の先端部間にこの先端部が接近する際に抗し離反する際に付勢する抗縮バネ部を設けてスライド付勢機構を設け、前記回動リンク部の基端部の枢着部に前記チルトアップカム機構を設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のスライド装置。
【請求項8】
各前記回動リンク部間に同期リンクを架設し、前記第一部材とこの第一部材に重合配設した前記第二部材をスライド移動した際に前記各回動リンク部が同調して回動するように構成したことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のスライド装置。
【請求項9】
前記同期リンクは、変形自在な四角形状に形成しこの四角形状の同期リンクの対角線上に対向する二組の枢着部のうち、一の組の枢着部を夫々前記回動リンク部の先端部に枢着し、他の組の枢着部を夫々前記第二部材若しくは前記第二部材に連結する前記第二連結部の中央部に重合面方向に移動自在に設けたことを特徴とする請求項8記載のスライド装置。
【請求項10】
操作部に設けた本体部を第一部材若しくは第二部材とし、ディスプレイ部を設けた重合部を前記第二部材若しくは前記第一部材とし、本体部と重合部とを重合配設し、この重合した状態から前記重合部を相対的に重合面方向にすれ違うようにスライドして重合面の一部を露出させることができるように前記本体部と前記重合部とを前記請求項1〜9のいずれか1項に記載のスライド装置を用いて連結したことを特徴とするスライド装置を用いた電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−166551(P2010−166551A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−269179(P2009−269179)
【出願日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(396019022)株式会社ストロベリーコーポレーション (88)
【Fターム(参考)】