説明

スラブ型レーザ装置

【課題】パルスレーザを放射するスラブ型炭酸ガス(CO)レーザ装置について、より効率の高い、設置面積を縮小できるレーザ装置を提供する。
【解決手段】スラブ型ガスレーザ媒体部30の一部を挟んで対向する1対の共振器ミラー11,12とカップリング装置で構成され、内部で発振したレーザ光を所定の光強度まで増幅した後にカップリング装置を駆動してレーザ光を増幅器部20に入射させる発振器部10と、入射したレーザ光を偏向する入射ミラー21と、スラブ型ガスレーザ媒体部30の一部を挟んで対向する折返しミラー22,23の間をレーザ光が複数回往復するように構成され、レーザ光を所定の出力をもつレーザ光まで増強して出力する増幅器部20を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パルスレーザを放射するスラブ型レーザ装置に関し、特に極端紫外(EUV)光源装置においてターゲット物質に照射してプラズマ化し極端紫外光を放射させるドライバレーザを出力するスラブ型炭酸ガス(CO)レーザ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体プロセスの微細化に伴って光リソグラフィも微細化が急速に進展しており、次世代においては、100〜70nmの微細加工、さらには50nm以下の微細加工が要求されるようになる。そのため、例えば、波長13nm程度のEUV光源と縮小投影反射光学系(reduced projection reflective optics)とを組み合わせた露光装置の開発が期待されている。
最近では、ArFレーザの液浸方式により、45nmの微細加工までできるようになり、EUV光は32〜22nm以下の微細加工がEUVリソグラフィにより行われようとしている。
【0003】
EUV光源として、ターゲットにレーザビームを照射することによって生成されるプラズマを用いたLPP(laser produced plasma:レーザ生成プラズマ)光源がある。LPP光源は、プラズマ密度をかなり大きくできるので黒体輻射に近い高い輝度が得られ、ターゲット物質を選択することにより必要な波長帯のみの発光が可能であり、ほぼ等方的な角度分布を持つ点光源であるので光源の周囲に電極等の構造物がなく、2πステラジアンという極めて大きな捕集立体角の確保が可能であること等の利点から、数十ワット以上のパワーが要求されるEUVリソグラフィ用の光源として有力である。最近は、約4πステラジアンまでの集光ミラーが製造可能となり、100W程度のEUV光の出力が必要となってきている。
【0004】
図31は、LPP式EUV光源のシステム構成を示す。
EUV光源は、真空チャンバ内に存在するターゲットたとえばスズ(Sn)にドライバレーザを集光することによりプラズマを生成する。生成したプラズマからは、極端紫外光(EUV)を含む様々な波長成分が放射されるので、その内の所望のEUV成分を、集光ミラー(EUV集光ミラー)を用いて選択的に反射集光し、EUV光を利用する露光機などの機器に出力する。
EUV光源には100Wを超える出力が要求されており、比較的高効率にEUVを発生する、たとえば炭酸ガス(CO)レーザスズ(Sn)プラズマであっても、産業用途に用いるためには、プラズマ生成用ドライバレーザを放射するCOレーザ装置の高効率化、省スペース化が要求される。
【0005】
図32は、ドライバレーザとして用いられる発振増幅型レーザの構成を示す概略図である。
プラズマ生成にはパルスレーザが使われるので、図に示す発振増幅型レーザは、短パルスCOレーザ発生器であるレーザ発振器と、短パルスCOレーザ光を増幅するレーザ増幅器とから構成される。レーザ増幅器は、二酸化炭素(CO)、窒素(N)、ヘリウム(He)、さらに、必要に応じて、水素(H)、一酸化炭素(CO)、キセノン(Xe)等を含むCOレーザガスを放電によって励起する放電装置を有している。
【0006】
レーザ発振器から出射したエネルギーAを有するレーザ光(シードレーザ光)は、レーザ増幅器において所望のエネルギーBを有するレーザ光に増幅される。このエネルギーBを有するレーザ光は、レーザ光伝播系を通して、又は、レンズによって集光されて、錫(Sn)やキセノン(Xe)等から選択されるEUV発光ターゲット物質に照射される。
【0007】
出願人らは、既に特願2007−186798により、レーザエネルギーAをレーザエネルギーBまで増幅するレーザ増幅器として、第1のウインドウから入射するレーザ光を多重反射することにより放電領域内を伝播させて第2のウインドウから出射させる複数のミラーを有する光学系を含むスラブ型レーザ増幅器を採用した極端紫外光源装置用ドライバレーザを開示している。
【0008】
開示したドライバレーザ装置によれば、入射したレーザがレーザ媒体中を複数回往復するようにしたマルチパス方式を採用するためドライバレーザの小型化が可能で、レーザ光の増幅を効率良く行うことができる。
しかし、上記構成を有する発振増幅型レーザ装置では、発振器と増幅器の最低2台のレーザモジュールで構成されるため、広い設置面積が必要とされるという問題がある。
【0009】
なお、出願人の調査によっては、本願発明に対する的確な先行技術文献が検出できなかったが、関連する技術として、非特許文献1が、高速軸流COレーザ増幅器について開示する。
【非特許文献1】有我達也、遠藤彰,「極端紫外線(EUV)リソグラフィ光源用CO2レーザ」,O plus E,新技術コミュニケーションズ,平成16年12月,第28巻,第12号,p.1263−1267
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、本願発明が解決しようとする課題は、パルスレーザを放射するスラブ型レーザ装置、特に極端紫外(EUV)光源装置においてターゲット物質に照射してプラズマ化し極端紫外光を放射させるドライバレーザ光を出力するスラブ型炭酸ガス(CO)レーザ装置について、より効率の高い、設置面積を縮小できるレーザ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明のスラブ型レーザ装置は、ガスレーザ媒体が充填される空間内で平行に対向して配設した1対の電極平板で画定した領域で構成され、その電極平板には高周波電源が接続され、ガスレーザ媒体を充填して電極平板に高周波電力を印加するとガスレーザ媒体が励起されるスラブ型ガスレーザ媒体部と、スラブ型ガスレーザ媒体部の一部を挟んで対向する1対の共振器ミラーとカップリング装置で構成され、内部で発振したレーザ光を所定の光強度まで増幅した後にそのカップリング装置を駆動してレーザ光を増幅器部に入射させる発振器部と、入射したレーザ光を偏向する入射ミラーと、スラブ型ガスレーザ媒体部の一部を挟んで対向する折返しミラーを備え、折返しミラーの間をレーザ光が複数回往復するように構成され、入射したレーザ光を所定の出力をもつレーザ光まで増幅して出力する増幅器部とを備えることを特徴とする。
【0012】
また、本発明のスラブレーザ装置は、発振器部と増幅器部とスラブ型ガスレーザ媒体部を収納したスラブ型レーザ装置からなり、スラブ型ガスレーザ媒体部は、ガスレーザ媒体が充填される空間内で平行に対向して配設した1対の電極平板で画定した領域で構成され、電極平板には高周波電源が接続され、ガスレーザ媒体を充填して電極平板に高周波電力を印加するとガスレーザ媒体が励起される。そして、発振器部は、スラブ型ガスレーザ媒体部の一部を挟んで対向する1対の共振器ミラーとカップリング装置で構成され、発振器部内で発振したレーザ光を所定の光強度まで増幅した後にカップリング装置を駆動して出力されたレーザ光を増幅器部に入射させる。そして、増幅器部は、入射したレーザ光がスラブ型ガスレーザ媒体部を少なくとも2回以上通過増幅させる光学システムを備えたマルチパス増幅器として構成されることを特徴とする。
【0013】
本発明のスラブ型レーザ装置は、たとえば、ポッケルスセルとポーラライザとカップリングミラーで構成されるカップリング装置を用いて発振器部から増幅器部にレーザ光を伝送するので、発振器部と増幅器部で1個のガスレーザ媒体部を共用することができるようになり、設置面積を縮小してより高い効率でパルスレーザを出力することができる。
なお、カップリング装置は、共振器中で共振した光を必要な時に外部にレーザ光を出力するための装置あり、必ずしもカップリングミラーで構成しなくてもよい。例えば、少なくとも、ポケルスセルとポーラライザの組合せ、または、光音響素子からなってもよい。
【0014】
また、発振器部を、シングルラインシーダーあるいは炭酸ガスレーザ装置や固体レーザ装置から得られるマルチラインシーダーなどの種レーザ光を取り込んで共振器ミラー間で増幅する再生増幅器部に代えた構成とすることもできる。種レーザ光を使用する場合は、共振器ミラーの間にλ/4波長板と2個のポッケルスセルとポーラライザを配置して、2個のポッケルスセルを制御することにより種レーザ光の取り込みと再生増幅器における共振増幅と増幅器部への出力を支配して、パルスレーザ光を出力することができる。
さらに、シングルラインシーダーの例としては、炭酸ガスレーザの増幅ラインの波長で発振するシングル縦モードの半導体レーザであってもよい。また、マルチラインシーダーの例としては、複数の炭酸ガスレーザの増幅ラインのレーザ光を出す半導体レーザもしくは、複数台のシングル縦モードの半導体レーザを合波したレーザ光であってもよい。
また、再生増幅器部の共振器には種レーザ光を共振器内に注入するための第1のカップリング装置と共振して増幅されたレーザ光を共振器の外部に出力するための第2のカップリング装置で構成してもよい。
【0015】
レーザ媒体として炭酸ガスを含むCOレーザ媒体を使用する場合は、出力されるパルスレーザ光は、スズ粒子などをターゲットとしてプラズマ化し極端紫外光を放射させるためのドライバレーザ光として利用することができる。
なお、増幅器部の折返しミラーは、平面鏡同士、平面鏡と凹面鏡、凹面鏡同士、凹面鏡と凸面鏡など、目的に適合する各種の組合せが可能である。
また、増幅器における寄生発振を防ぐために、折返しミラーの間に6フッ化イオウなどの可飽和吸収体を配置してもよい。
さらに、増幅器部のマルチパス増幅器は、入射するレーザ光が増幅領域に最初に入射する入射ビームの光路上の第1の定点を通過して、最後のレーザ増幅領域を通過して出射される出射ビーム上の光路上の第2の定点を通過し、かつ、第1の定点における入射ビームの断面の像を、第2の定点において、転写結像させる光学システムで構成してもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、上記のようなスラブ型COレーザ増幅器を用いてドライバレーザを構成するので、ドライバレーザを小型化し、レーザ光の増幅を効率良く行うことができ、ビームの広がりを抑制して集光性に優れたレーザ光を得ることができる。
したがって、本発明のレーザ装置を極端紫外光源装置のドライバレーザ発生装置として利用すれば、省スペースの効率の良いEUV発生装置を得ることができる。
また、同一のスラブレーザ装置において、マルチラインシーダーの光を再生増幅器で増幅した後に、同一のスラブレーザ内のマルチパス増幅器でさらに増幅することができるため、コンパクトでしかも増幅効率が向上する。
【0017】
特に、発振器部または再生増幅器部から出力されたレーザ光がマルチパス増幅器に入射するレーザ光が増幅領域に最初に入射する入射ビームの光路上の第1定点を通過して、最後の前記レーザ増幅領域を通過して出射される出射ビーム上の光路上の第2の定点を通過し、かつ、前記第1の定点における入射ビームの断面の像を、前記第2の定点において、転写結像させる光学システムで構成することにより、増幅部の光軸が安定するので、全体装置の光軸調整および組立が極めて容易になると同時に、増幅効率高く維持されるため、レーザが高出力で出力の安定性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。なお、各図面において若い番号の図面に記載されたものと同一の機能を有する構成要素には同一の参照番号を付して、説明の重複を回避した。
【0019】
(実施形態1)
図1は、本発明の第1の実施形態に係るスラブ型レーザ装置の構成を示す概念図である。
本実施形態に係るスラブ型レーザ装置は、露光装置に極端紫外光(EUV)を供給する極端紫外光源装置におけるターゲット物質に照射してプラズマ化するレーザビームを供給するCOレーザ装置である。
【0020】
スラブ型レーザ装置は、1体のスラブ型COレーザ媒体部30に発振器部10と増幅器部20を一緒に組み込んだ構成を有する。
COレーザ媒体部30は、高周波電源(図示せず)に接続された1対の電極が対向して設置された領域で、電極に高周波電圧を印加することにより電極で挟んだ炭酸ガス(CO)を含むCOレーザ媒体を励起して電極の間にスラブ型の放電領域が形成される。
【0021】
発振器部10は、COレーザ媒体部30の一部を含み、1対の共振器ミラー11,12、電気光学(EO)ポッケルスセル13、ポーラライザ14、カップリングミラー15で構成される。
発振器部10では、偏光方向を高速でスイッチするQスイッチを構成するEOポッケルスセル13を使って10ns程度の短パルスCOレーザ光を発生させる。なお、パルス幅が100ns程度のレーザ光が欲しいときは、EOポッケルスセル13に代えて音響光学素子(AO素子)にすることができる。
【0022】
ポーラライザ14はS偏光を反射しP偏光を透過する光学素子である。また、EOポッケルスセル13は高電圧を印加したときにのみ偏光が回転する光学素子である。
EOポッケルスセル13に電圧を印加しないときは偏光状態が変化しないので、発振器部1で発生したP偏光のレーザ光は、共振器ミラー11,12の間を多数回往復しレーザ媒体のエネルギーを転移して増強することができる。すなわち、レーザ光がレーザ媒体を通過することによって誘導放出が発生し、レーザ光は増幅される。
発振器部10で発生したCOレーザ光は、λ/4波長電圧を印加したEOポッケルスセル13を往復する間にS偏光となり、ポーラライザ14で反射してカップリングミラー15に入射し、カップリングミラー15で反射して増幅器部20に入射する。
このように、所望のタイミングで共振器で共振した光を共振器の外部へ出力する、または、共振器中に導入する機構をカップリング装置と呼ぶ。
【0023】
増幅器部20は、COレーザ媒体部30の一部を含み、入射ミラー21、1対の折返しミラー22とこれに対向する折返しミラー23で構成される。
折返しミラー22と対向する折返しミラー23は平面鏡で、COレーザ媒体部30を挟んで平行に対向して配置される。発振器部10から入射したCOレーザ光は、入射ミラー21で偏向して、平行に配設された折返しミラー22と対向する折返しミラー23の間に入射して、折返しミラー22と対向する折返しミラー23の間を多重反射しながら反射位置をずらせていって、最後に折返しミラー22の端から射出し、スラブ型レーザ装置の出力窓を介してEUV光生成チャンバや別のCOレーザ増幅器に供給される。
COレーザ光は、励起されたCOレーザ媒体中を往復走行する間に出力を増幅し、高出力のレーザ光になる。
【0024】
共振器と増幅器を直列に接続した従来のスラブ型レーザ装置と比較すると、本実施形態のスラブ型レーザ装置は、COレーザ媒体を増幅器部20と共用してレーザ発振器部10を形成するので、従来2個あった構成部品が一つに纏まり、装置の構成が単純化しかつ小型になった。また、発振器部10を増幅器部20と同じCOレーザ媒体中で作動させる上、増幅器部20においてレーザ光がマルチパスになり十分なエネルギー転化を受けることができるので、高出力のCOレーザを得ることができ、また、COレーザ当たりの発振効率が向上することになる。レーザ光がマルチパスになり十分なエネルギー転化を受けることができるので、高出力のCOレーザを得ることができ、また、COレーザ当たりの発振効率が向上することになる。すなわち、発振器部10を増幅器部20と同じCOレーザ媒体中で作動させることと、増幅器部20においてレーザ光をマルチパス増幅させることにより、増幅効率が高くなり高出力のCOレーザを得ることができると同時に、コンパクトなスラブレーザ装置となる。
このように、本実施形態のスラブ型レーザ装置は、省スペースで、高出力の短パルスCOレーザ発振装置になる。
また、パルス幅を長くすることにより、さらに高出力、高効率のレーザ装置になる。
【0025】
図2〜図5は、本実施形態の別の態様を示す概念図である。
図1の実施形態では、増幅器部20の折返しミラー22とこれに対向する折返しミラー23はいずれも平面鏡であったが、図2に示すように一方のミラーを凹面鏡24にしたり、図3に示すように両方のミラー25,26を共に凹面鏡としたりしてもよいことはいうまでもない。また、一方を凹面鏡、他方を凸面鏡として、不安定共振器と同様に大断面積の放電部を有効に利用するようにしてもよい。
【0026】
さらに、図4に示すように、往復する光路ごとに対になった反射鏡27,28を装備するようにしてもよい。これら反射鏡は個々に設置することもできるが、折返しミラー27と対向する折返しミラー28のそれぞれについて一体に形成することができる。一体で形成したものを使用するとアラインメントが容易である。
図5は、増幅器部20の往復光路中に6フッ化イオウ(SF)などの可飽和吸収体31を介挿したものである。増幅器部20において寄生発振が見られた場合は、可飽和吸収体を用いて抑制することができる。
ここで、折返しミラー22と対向する折返しミラー23の機能としては、発振部10から出力されたレーザ光を増幅器部20は、入射したレーザ光がスラブ型ガスレーザ媒体部30を少なくとも2回以上通過増幅させる光学システムを備えたマルチパス増幅器として構成され、入射したレーザ光を所定の出力をもつレーザ光まで増幅して出力する機能をはたしている。
【0027】
(第2実施形態)
さらに、図6〜図18は、本発明に係る第2の実施形態のスラブ型レーザ装置を説明する図面である。本実施形態のスラブ型レーザ装置は、第1実施形態に係るスラブ型レーザ装置に対して、光学システム(折返しミラー光学系)を改良することにより光軸を安定化させた増幅器部を適用したものであり、増幅器部の他は実質的に同じ構成を有する。
【0028】
<第1態様>
図6と図7は、第2実施形態の第1態様に係るスラブ型レーザ装置を説明する図面である。図6は第1態様のスラブ型レーザ装置の構成概念を示す平面図、図7は本態様のスラブ型レーザ装置の一部を断面で示す側面図である。
図6と図7に示す通り、本態様のスラブ型レーザ装置も、1体のスラブ型COレーザ媒体部30に発振器部10と増幅器部20を一緒に組み込んだ構成を有する。スラブ型COレーザ媒体部30は、高周波電源(図示せず)に接続された1対の平板電極40,41が対向して設置された領域で、電極に高周波電圧を印加することにより、電極で挟んだ炭酸ガス(CO)を含むCOレーザ媒体を励起して電極の間にスラブ型の放電領域を形成する。電極ギャップは約0.5〜5mm程度であり、放電断面は薄型の長方形の形状となっている。
【0029】
発振器部10は、COレーザ媒体部30の一部を含み、1対の共振器ミラー11,12、電気光学(EO)ポッケルスセル13、ポーラライザ14、カップリングミラー15で構成される。発振器部10では、偏向方向を高速でスイッチするQスイッチを構成するEOポッケルスセル13を使って、10から100ns程度の短パルスCOレーザ光を発生させる。なお、パルス幅が100ns程度のレーザ光でよければ、EOポッケルスセルに代えて、音響光学素子(AO素子)を用いてもよい。
【0030】
発振器部10で発生したP偏光のレーザ光は、EOポッケルスセル13に電圧を印加しない間に共振器ミラー11,12の間を多数回往復し、レーザ媒体のエネルギーを転移して増幅する。増幅器部20のスラブレーザ筐体部32の壁には、共振するレーザ光が透過するウインドウ19が設けられている。
ここで、EOポッケルスセル13にλ/4波長位相がずれるように電圧を印加すると、発振器部10で発生したポーラライザ14の反射面に対してP偏光のCOレーザ光はEOポッケルスセル13を往復する間にS偏光となるので、ポーラライザ14で反射し、高反射(HR)ミラーであるカップリングミラー15に入射する。
【0031】
カップリングミラー15で反射したCOレーザ光は、増幅器部20の入射ミラー21に導かれ、ここで反射し入射ウインドウ33を透過して、シード光として増幅器部20のスラブレーザ筐体部32に入射する。シードレーザ光は、光学系にとって仮想的な物体位置となる入射ビーム位置(第1定点)34を通過して、増幅領域となるスラブ型COレーザ媒体部30を通過することにより増幅され、最初の折返しミラー37となる球面凹面HRミラーにより高反射率で反射されて、再び増幅領域を通過して増幅され、次の折返しミラー38となる球面凹面HRミラーにより高反射率で反射される。
【0032】
反射したレーザ光は、折返しミラー38で反射した後、再び増幅領域を通過しながら増幅され、対向する折返しミラー37で高反射率反射して増幅領域を通過して増幅し、再度折返しミラー38で反射し、増幅領域を通過して増幅する。増幅されたレーザ光は、出射ウインドウ36を透過して増幅器部20から出力される。
本態様の増幅器部20における折返しミラー37,38からなる光学系システムは、入射ビーム位置(第1定点)34におけるレーザ光の断面像がレーザ光の光路上であって出射ウインドウ36近傍の入射ビーム転写位置(第2定点)35において入射ビーム転写像として結像するように構成される。
【0033】
この方式のメリットは、増幅部の入射ビームの光軸が多少ずれても、出射ビームは入射ビームと同程度しか変動しないので、増幅効率が変動しにくく、安定に増幅することができ、かつ光軸の安定性が向上することである。本態様のスラブ型レーザ装置を利用する場合は、後工程の装置類は出射ウインドウ36近傍の入射ビーム転写位置(第2定点)35を基準として組み付ければよい。
【0034】
<第2態様>
図8と図9は、第2実施形態に係る第2態様のスラブ型レーザ装置を説明する図面である。図8は本態様のスラブ型レーザ装置における発振器部と増幅器部の平面断面図、図9は本態様の増幅器部に関する光学システム図である。本態様のスラブ型レーザ装置は、第1態様に係るスラブ型レーザ装置において、増幅器部の折返しミラー光学系でレーザ光がトリプルパスの増幅をするようにしたもので、実質的に同類の構成を有する。
【0035】
カップリングミラー15により発振器部10から出力されたシードレーザ光は、入射ミラー21で反射し、入射ウインドウ33を斜めに透過して、増幅領域となるスラブ型COレーザ媒体部30を通過し増幅される。シードレーザ光は、折返しミラー37となる球面凹面HRミラーに0度より大きな入射角で入射して高反射率で反射されて、再び増幅領域30で増幅される。次いで、先の折返しミラー37と対向配置された、球面凹面HRミラーである第2の折返しミラー38に0度より大きな入射角で入射し高反射率で反射されて、増幅領域30で増幅され、出射ウインドウ36を透過して出力される。
【0036】
本態様の増幅器部20における折返しミラー37,38からなる光学システムも、入射ウインドウ33の近くに設定された入射ビーム位置(第1定点)34におけるレーザ光の断面像が、レーザ光の光路上であって出射ウインドウ36近傍の所定の入射ビーム転写位置(第2定点)35において入射ビーム転写像として結像するように構成される。
【0037】
一般に、薄い2個のレンズM1及びM2の合成焦点距離Fと、前側の1個のレンズM1の主点とこの合成レンズ系の前側主点間の距離ZHは、次式で表現される。
(1) F=f1・f2/(f1+f2−t)
(2) ZH=f1・t/(f1+f2−t)
ここで、f1は前側レンズM1の焦点距離,f2は後ろ側レンズM2の焦点距離、tはレンズ間の距離である。
ここで、物体の位置と前側レンズM1の距離がレンズ間距離tと等しい場合を想定する場合、この合成レンズ系による物体の転写像の倍率Mは、次式で表現される。
(3) M=(ZH+t−F)/F
【0038】
そこで、図9に表すように、2枚の薄型レンズM1,M2間の距離t=Lとし、物体位置に当たる入射ビーム位置(第1定点)34と最初のレンズM1との距離をLとし、入射ビーム位置(第1定点)34での断面像の転写像を形成する入射ビーム転写位置(第2定点)35とレンズM2との距離をLとし、倍率M=1で結像するとする。さらに、レンズM1とレンズM2で表した凹面HRミラー37,38が同じ焦点距離f=R/2を持つとする。
【0039】
これらの関係を上記の式に代入すると、
(4) F=f/(2f−L)
(5) ZH=f・L/(2f−L)
(6) M=1=(ZH+L−F)/F
【0040】
(4)(5)(6)式から、f=R/2=L、すなわち曲率半径R=2Lの球面凹面HRミラー37,38を距離Lだけ離して対向させる配置にすることにより、入射ビーム位置(第1定点)34におけるビームの断面像が出射ビーム光路上の入射ビーム転写位置(第2定点)35に1:1で結像することになる。
本態様のスラブ型レーザ装置では、出射ビームの転写像は入射ビームと同程度しか変動しないので、増幅部の入射ビームの光軸が多少ずれても安定に増幅することができ、かつ出射ビーム光軸の安定性が向上する。
【0041】
<第3態様>
図10と図11は、第2実施形態に係る第3態様のスラブ型レーザ装置を説明する図面である。図10は本態様のスラブ型レーザ装置における発振器部と増幅器部の平面断面図、図11は本態様の増幅器部に関する光学システム図である。
本態様のスラブ型レーザ装置は、第1態様に係るスラブ型レーザ装置において、増幅器部の折返しミラーからなる光学システムでレーザ光が5パス増幅をするようにしたもので、入射ビームの第1の定点での断面像が折返し光路中にある第3の定点に第1の転写結像させ、この光路途中における第1の転写像をさらに出射レーザ光の光路上の第2の定点に第2の転写像を結像させることに特徴がある。しかし、本態様も、入射ビームの第1定点における入射ビームの断面を出射レーザ光の光路上の第2定点位置に転写することにより光軸を安定化させるものであって、実質的に第1態様などと同類の構成を有する。
【0042】
以下、増幅器部20について説明する。
本態様のスラブ型レーザ装置は、入口側の入射ビーム光路の第1定点34におけるビーム断面像を2回転写結像させて、出口側の出射ビーム光路上の第2の定点35に結像させるところに特徴がある。特に、本態様の光学システム入射ビームの所定位置(第1定点)34と最後の転写像としての出射ビームの光路上の入射ビームの第2の転写像位置(第2定点)35がほぼ一致するように構成している。このような光学システムを構成することによって、レーザ装置全体の光学システムを構成する上で便利となる。
【0043】
1対の折返しミラー37,38が、増幅領域30を挟んで対向し距離Lの間隔で配置されている。折返しミラー37,38は、曲率半径Rの凹面HRミラーであって、図では両方のの折返し37、38が互いに上側に僅かに傾けて、両ミラー37,38で挟んだ空間が下方向にわずかにすぼまるように配置されている。
【0044】
発振器部10からのシードレーザ光が、増幅器部20の入射ウインドウ33を斜めに透過し、増幅領域30中を通過する間に増幅される。ここで、折返しミラー37,38間の距離Lを半分する位置(第1定点)34を、折返しミラー光学システムにおける入射ビーム位置とする。この第1定点を通過して増幅したレーザ光は、図中右側の凹面HRミラー37において0度入射よりも大きな入反射角度で入反射して、図中斜め左下方向に反射され、再び増幅領域30を通過してさらに増幅される。レーザ光は、さらに、図中左側の折返しミラー38において、0度より大きな角度で入反射して、図中ほぼ水平に増幅領域30を通過して増幅される。ここで、光学システムの構成を調整することにより、折返しミラー37,38の間の中間位置第3定点39に先の第1定点34における入射ビームの断面像を形成させるようにすることができる。この断面像は、第1定点における入射ビーム断面の第1の転写像である。
【0045】
レーザ光はさらに、増幅領域30を透過して増幅され、右側の折返しミラー37で反射して、今度は、図中左上方向に偏向し増幅領域30で増幅され、左側の折返しミラー38で右上方向に反射し増幅領域30で増幅され、出射ビームとして出射ウインドウ36を透過して、さらに、別のレーザ増幅器によりさらに増幅高出力化する。そして、例えば、後工程の露光装置、やレーザ加工器などに供給される。このとき、折返しミラー光学システムは、入射ビーム位置(第3定点)39に結像する第1の転写像を物体として、最後に反射した左側の折返しミラー37から出射ウインドウ36に向かうレーザ光の光路中、左右の折返しミラー37,38の中間位置(第2定点)35に第2の入射ビームの転写像を結像させる。なお、第2の入射ビームの転写像を結像する位置(第3定点)35は、入射ビーム位置(第1定点)34と重なるようにすることができる。
【0046】
図11は、本態様の増幅器部の光学システムを、透過素子に置き換えて説明する光学システム図である。
本態様の光学システムは、図9の態様の光学システムと異なり、(1)式に、f1=f2=L/2、t=Lを代入すると合成焦点距離は無限大となり、(1)、(2)、(3)式は適用することはできなくなる。このような光学システムは一般的にアフォーカル系と呼ばれる。レンズM1及びレンズM2の焦点距離をそれぞれf1とf2として、M1とM2のレンズをf1+f2の間隔で配置した場合、物体の位置がM1レンズの前側f1の位置とすると、物体の転写結像位置はM2レンズの後ろ側f2の位置となる。
そして、アフォーカル系の場合の倍率Mは次式で表される。
(7) M=f1/f2
本態様のようにf1=f2の場合は、倍率Mは1となる。ここで、レンズM1、M2、M3、M4の焦点距離を同じfとして、互いのレンズ間距離をLとすると、L=2fの関係を満たせば、図7のような光学結像システムとなる。凹面ミラー37及び38の曲率半径をRとすると、L=Rの関係を満たすことによって本光学システムを実現できる。
図11を参照すると、入射ビーム(シードレーザ光)は、入射ビームの光路上にある入射ビーム位置(第1定点)34を通って、図中右側の凹面HRミラー37の集光力を持った焦点距離fのレンズM1に入射する。入射ビーム位置(第1定点)34はレンズM1の前側L/2の距離にある。図中左側の凹面HRミラー38の集光力を持った焦点距離fのレンズM2とレンズM1の間隔はLである。入射ビーム位置(第1定点)34を通ったレーザ光は、レンズM1とレンズM2を透過して、レンズM2に対してL/2後側の位置である入射ビーム第1の転写像位置(第3定点)39に第1の転写像を結像する。
【0047】
さらに、この第1転写像が結像される第3定点39に対して距離L/2下流の位置に図中右側の凹面HRミラー37の集光力を持った焦点距離fのレンズM3が設けられ、さらにレンズM3に対して距離L下流の位置に図中左側の凹面HRミラー38の集光力を持った焦点距離fのレンズM4を設けられている。すると、第3定点39における第1転写像の実像から発生するビームはレンズM3及びレンズM4を透過した後にレンズM4からの距離L/2のところに、第2の転写像を結像する。
【0048】
本態様では、転写像を2回転写しているが、この例に限定されることなく、ビームを複数回転写して、入射ビームの光路上における第1定点の像が出射ビームの光路上の第2の定点に転写結像させればよい。
本態様のスラブ型レーザ装置では、出射ビームの光路上の定点における入射ビーム位置(定点)における断面の転写像は入射ビームと同程度しか変動しないので、出射ビームの安定性が向上する。さらに、増幅効率を高く維持できるのでレーザの出力が安定する。
また、本態様では、レーザ増幅器の入射ビームの光路上の第1定点と出射ビーム光路上の第2定点が一致することから、さらに、本態様の光学システムとして、アフォーカル系を採用しているので、入射ビームの光品位特性(ビームサイズ、ビーム広がり角等)を維持した状態で、出射ビームとして、出力される。その結果、多数の増幅器を直列に繋いで大増幅を行う装置を構成する場合に、接続される光学装置同士のアライメントが極めて容易になる特性を有する。
【0049】
<第4態様>
図12と図13は、第2実施形態に係る第4態様のスラブ型レーザ装置を説明する図面である。図12は本態様のスラブ型レーザ装置における発振器部と増幅器部の平面断面図、図13は本態様の増幅器部に関する光学システム図である。
本態様のスラブ型レーザ装置は、第1態様に係るスラブ型レーザ装置において、増幅器部の折返しミラーの脇に入射ミラーを設けて、発振器部のポーラライザから出力したシードレーザ光を入射ミラーにより入射ビームとして増幅器部の側面から直接的に折返しミラー光学システムに取り込んだところと、折返しミラー光学システム内をレーザ光がマルチパスでジグザグに往復するところが異なる、マルチパス増幅式スラブ型レーザ装置で、実質的に同類の構成を有する。
【0050】
図12に示した本態様のスラブ型レーザ装置は、図中上部に配された発振器部10において、1対の高反射率の共振器ミラー11,12を発振器の共振器として、共振器中にポッケルスセル13、ウインドウ19、ポーラライザ14、増幅領域30の順で配置されている。ポーラライザ14から出力されたパルスレーザ光をシードレーザ光として、増幅器部20に直接入射し、入射ミラー21で図中斜め右下方に反射して、対向設置された1対の凹面HRミラーの折返しミラー37,38で形成される折返しミラー光学システムに入射する。ここで、入射ミラー21の位置は、入射ビーム位置(第1定点)34と略一致させる光学システムを構成している。
【0051】
入射ミラー21を介して折返しミラー光学システムに入射したシードレーザ光は、増幅領域30を通過増幅して(1パス)、図中右側の折返しミラー37に0度より大きな角度で入射反射して左側下方に反射する。そして、増幅領域30を通過増幅して(2パス)、図中左側の折返しミラー38に0度より大きな角度で入射反射して右側下方に反射する。さらに、増幅領域30を通過増幅して(4パス)、図中右側の折返しミラー37に0度より大きな角度で入射反射して左側下方に反射する。5パスと6パスも同様に0度より大きな角度で入射反射して下方に反射することを繰り返して、左側折返しミラー38で水平方向に反射して増幅領域30を通過増幅する(7パス)。
【0052】
その後は、図中点線で示すように、8パスから11パスまで、増幅領域30を通過増幅しながら折返しミラーで0度より大きな角度で上方斜め方向に反射することを繰り返す。11パスは、増幅領域30を通過増幅し、出射ウインドウ36を透過して出射ビームとして出力する光路である。11パスの図中右側折返しミラー37の脇の位置である入射ビーム転写像位置(第2定点)35には、入射ミラー21、かつ、第1定点における入射ビームの断面像を転写した像が結像される。
【0053】
図13に、本態様の光学システムにおいて反射素子を透過素子に置き換えて直列に展開した光学システム図を示す。
図13に、折返し(凹面HR)ミラー系の両側に凹面ミラーを配したマルチパス増幅の場合、入射ビームの位置(第一定点)のビーム断面を増幅後の出射ビームの光路上の第2の定点に転写結像させる光学システムは、同じ焦点距離f=R/2を持つ複数のレンズが間隔Lで並んだ合成レンズにおいて、前側最初のレンズMの距離Lだけ手前の位置(第1定点)34における入射ビームの断面像を、最終レンズMから距離Lだけ離れた位置(第2定点)35に転写像を結像するように、レンズを直列配置した場合と等価である。
【0054】
ここで、k+1個のレンズ(M、M、・・・Mk+1)の焦点距離を全て同一のfと仮定する。そして、これらレンズの合成焦点距離F、k個のレンズ(M、M、・・・M)までの合成レンズの前側の主点とk+1個のレンズ(M、M、・・・Mk+1)合成レンズ系の主点間距離ZHk+1と、倍率Mは、式(1)(2)(3)から、次式で表現される。
(8) Fk+1=F・f/(F+f−L)
(9) ZHk+1=F・L/(F+f−L)+ZH
(10) M=(ZHk+1+L−Fk+1)/Fk+1
k=0の場合(Mのみの場合)の合成焦点距離Fの初期値F=fである。ここで、式(8)(9)(10)を用いて、FからFまで、逐次計算することにより、n個のレンズ(M、M、・・・M)までの、合成レンズの焦点距離Fと前側主点位置ZHを求めて、倍率Mが約1を満たすような各レンズの焦点距離fを求めることができる。
【0055】
たとえば、1対の折返しミラー間の距離Lを1000mm、倍率M=1及び11パス増幅の場合を仮定すると、式(8)(9)(10)からfが約11000mmとなり、曲率半径R(=2f)は約22000mmとなる。
本態様では、増幅領域30をジグザグに上から下の方向に斜めに通過した後に、今度は下から上の方向にジグザグに増幅領域30を通過するようにする光学システムを採用することにより、11パスという多数のパスを有するマルチパス増幅により高い増幅効率を実現し、かつ入射ミラー21の位置と同じ入射ビーム位置(第1定点)34におけるレーザビームの断面像を出射ビームの光路上の第2の定点35の位置に結像させて安定なビーム軌跡を実現することができる。
【0056】
<第5態様>
図14と図15は、第2実施形態に係る第5態様のスラブ型レーザ装置を説明する図面である。図14は本態様のスラブ型レーザ装置における発振器部と増幅器部の平面断面図、図15は本態様の増幅器部に関する光学システム図である。
本態様のスラブ型レーザ装置は、第4態様に係るスラブ型レーザ装置に対して、折返しミラーの一方を平面HRミラーとして6パス増幅を行うようにしたところが異なる、マルチパス増幅式スラブ型レーザ装置である。
【0057】
図14を参照すると、シードレーザ光を出力する発振器部10は図12に示した第4態様のスラブ型レーザ装置と同じである。発振器部10から供給される入射ビーム(シードレーザ光)は、増幅器部20の入射ミラー21で反射し折返しミラー光学システムに入射する。折返しミラー光学システムは、平面HRミラーである平面折返しミラー42と凹面HRミラーである凹面折返しミラー38で構成される。
【0058】
入射ミラー21により入射したシードレーザ光は、増幅領域30を通過増幅し(1パス)、平面折返しミラー42で0度より大きな角度で入射し、正反射して下方向に斜めに出射し、増幅領域30を通過増幅して(2パス)、凹面折返しミラー38に対して0度より大きな角度で入反射して、下方向に斜めに出射し増幅領域30を通過増幅する(3パス)。
【0059】
シードレーザ光は、さらに、平面折返しミラー42で正反射して下方向に斜めに出射し、増幅領域30を通過増幅して(4パス)、凹面折返しミラー38に対して0度より大きな角度で入反射して、下方向に斜めに出射し増幅領域30を通過増幅し(5パス)、平面折返しミラー42で正反射して下方向に斜めに出射し、増幅領域30を通過増幅して(6パス)、出射ウインドウ36を介して出射ビームとして出力される。
【0060】
本態様においては、入射ミラー21の反射面の位置と同じ入射ビーム位置(第1定点)34を物体位置として、この第1定点における入射ビームの断面像を、出口側の出射ビーム光路上の入射ビーム転写位置(第2定点)35に結像させるように、折返しミラー光学システムを構成する。凹面折返しミラー38と平面折返しミラー42との距離をLとし、平行に対向する用に設けて、入射ミラー21の位置である第1定点34の入射ビーム断面の転写像を出口側の第2定点35に結像させる。この第1定点34と第2定点35はそれぞれ、凹面折返しミラー38の脇に並んだ位置に設定する。
【0061】
図15に、本態様の光学システムにおいて反射素子を透過素子に置き換えて直列に展開した光学システム図を示す。図15において、平面折返しミラー42を示す平面透明板HR1,HR2,HR3は集光力がないので、本態様の光学システムは、実質的に図9に示したものと同じ構成になり、1個の凹面折返しミラー38に対応する2枚のレンズM1,M2の間の距離が2Lで、入射ビーム位置(第1定点)34がレンズM1の前側2Lの位置にあり、第1定点における入射ビーム断面の転写像がレンズM2の先2Lの位置である入射ビーム転写位置(第2定点)35に結像する位置関係となる。
【0062】
合成焦点距離F、主点間距離ZH、倍率Mは、式(4)(5)(6)においてLを2Lに置き換えた下式により求めることができる。
(11) F=f/(2f−2L)
(12) ZH=f・2L/(2f−2L)
(13) M=1=(ZH+2L−F)/F
【0063】
凹面折返しミラー38の焦点距離fは曲率半径をRとすると、図15から分かるようにf=R/2=2Lであるから、曲率半径R=4Lとなる。
本態様のスラブ型レーザ装置は、増幅部の入射ビームの光軸が多少ずれても、出射ビームの位置と角度は入射ビームの位置と角度と同程度しか変動しないので、増幅効率が変動しにくく、安定に増幅することができ、かつ光軸の安定性が向上する。さらに、本態様に係るスラブ型レーザ装置の特徴のひとつは、入射ビームと出射ビームが凹面折返しミラー38を挟んだ両側面に配置されることである。
【0064】
<第6態様>
図16と図17は、第2実施形態に係る第6態様のスラブ型レーザ装置を説明する図面である。図16は本態様のスラブ型レーザ装置における発振器部と増幅器部の平面断面図、図17は本態様の増幅器部に関する光学システム図である。
本態様のスラブ型レーザ装置は、第5態様に係るスラブ型レーザ装置に対して、凹面折返しミラーを平面HRミラーに対して角度をもって設置したところなどが異なる、マルチパス増幅式スラブ型レーザ装置である。
【0065】
図16を参照すると、発振器部10には発振器部10から増幅器部20にレーザ光を入射させるためのカップリングミラー15が設けられていて、ウインドウ19を透過し共振器ミラー11,12の間を共振するレーザ光はポーラライザ14およびカップリングミラー15を介して発振器部10から出力されてシードレーザ光として増幅器部20に供給される。増幅器部20に供給されたシードレーザ光は、入射ミラー21で反射し、以下の光学システムに入射する。この光学システムは、平面折返しミラー42と距離Lをもって対向配置された凹面折返しミラー38とで構成されている。ここで、平面折返しミラー42と凹面折返しミラー38はそれぞれ、平面HRミラーと球面HRミラーである。
【0066】
平面折返しミラー42と凹面折返しミラー38は、平行に対向するのではなく、わずかに角度をもって設置されている。図16では、凹面折返しミラー38が、図中上方で平面折返しミラー42により近く、図中下方でより遠くなるように配置されている。このように、平面折返しミラー42と凹面折返しミラー38が互いにわずかに傾いて配置されたことにより、パス数の多いマルチパス増幅を実現することができる。
【0067】
また、折返しミラー光学系で入射ビーム位置(第1定点)34を、発振器ミラー11,12の共振器の外部に出力したシードレーザ光を反射させるカップリングミラー15の反射面と略一致させるようにする。その結果、物体位置となる第1定点34は非常に安定となる。そこで、折返しミラー光学システムは、入射ビームが最初に凹面折返しミラー38に当たる位置の前側2Lの光路上の位置に入射ビーム位置(第1定点)34が来るように構成されている。また、出射ウインドウ36近傍に設定する入射ビーム転写位置(第2定点)35の位置は、出射ビームが最後に凹面折返しミラー38を反射した位置から後側に2Lの光路上の位置にとなるように構成している。
【0068】
折返しミラー光学システムに入射した入射ビーム光は、図中上方向に斜めに増幅領域30を通過増幅して(1パス)、凹面折返しミラー38に対して0度より大きな角度で入反射して、上方向に斜めに出射し増幅領域30を通過増幅し(2パス)、平面折返しミラー42で正反射して上方向に斜めに出射し、増幅領域30を通過増幅する(3パス)。さらに、凹面折返しミラー38に対して0度より大きな角度で入反射するが、凹面折返しミラー38の反射面がより図中下方に向いているため、今度は点線で示すように下方向斜めに出射する。凹面折返しミラー38で反射した入射ビーム光は、増幅領域30を通過増幅し(4パス)、平面折返しミラー42で正反射して下方向に斜めに出射し、増幅領域30を通過増幅する(5パス)。
【0069】
入射ビーム光は、次いで、凹面折返しミラー38に対して0度より大きな角度で入反射し、下方向に斜めに出射し増幅領域30を通過増幅し(6パス)、平面折返しミラー42で正反射して下方向に斜めに出射し、増幅領域30を通過増幅する(7パス)。さらに、凹面折返しミラー38に対して0度より大きな角度で入反射し、下方向に斜めに出射し増幅領域30を通過増幅し(8パス)、平面折返しミラー42で正反射して下方向に斜めに出射し、増幅領域30を通過増幅し(9パス)、出射ウインドウ36を透過して出射ビームとして出力される。
【0070】
このとき、折返しミラー光学システムの働きにより、カップリングミラー15の反射面(第1定点)34におけるレーザ光の断面像が、出射ビームの光路上において平面折返しミラー42からの後側に距離Lの位置(第2定点)35に転写される。
【0071】
図17を参照すると、入射ビーム位置(第1定点)34と最初の凹面折返しミラー38までの距離が2Lで、凹面折返しミラー38と平面折返しミラー42との距離がそれぞれLで、最後の平面折返しミラー42と入射ビーム転写位置(第2定点)35までの距離がLとなる。しかし、平面折返しミラー42は集光力がないので、焦点距離fの凹面折返しミラー38に相当するレンズ(たとえばM1とM2)同士の距離がそれぞれ2Lで、第1定点34がレンズM1の前側2Lの位置で、入射ビーム転写位置(第2定点)35が最終のレンズMnの後側に距離2Lだけ離れた所に位置する関係となる。
【0072】
ミラー(レンズ)同士の距離Dを使った場合、k個のミラー(レンズ)の合成焦点距離F、主点間距離ZH、倍率Mは、式(8)(9)(10)においてLを2Lに置き換えた次式により求めることができる。
(14) Fk+1=F・f/(F+f−2L)
(15) ZHk+1=F・2L/(F+f−2L)+ZH
(16) M=(ZHk+1+2L−Fk+1)/Fk+1
k=0の場合合成焦点距離Fの初期値F=fである。
ここで、式(14)(15)(16)を用いて、FからFまで、逐次計算することにより、n個のミラー(レンズ)(M、M、・・・M)までの、合成焦点距離Fと前側主点位置ZHを求めて、倍率Mが約1を満たすような各ミラー(レンズ)の焦点距離fを求めることができる。
【0073】
たとえば、L=600mmで、9パス増幅する場合は、曲率半径Rは約7200mmとなる。
この方式のメリットは、増幅領域に多数のパスを通すことにより、レーザ媒体のエネルギーをより有効に活用して、高出力のレーザ光を得ることであり、また、発振器部10のカップリングミラー15の位置におけるビーム断面像を転写結像させて出力するため、増幅後のレーザ出力ビームの位置及び角度が安定することである。
【0074】
<第7態様>
図18は、第2実施形態に係る第7態様のスラブ型レーザ装置における発振器部と増幅器部の平面断面図である。なお、本態様の増幅器部に関する光学システム図は、本質的に図17に表されたものと変わらないので、ここでは省略する。
本態様のスラブ型レーザ装置は、図16に示された第6態様に係るスラブ型レーザ装置とほぼ同じ構成を有するもので、凹面折返しミラーを筐体に対して直交するように配置し、平面HRミラーを凹面折返しミラーに対して角度をもって対向配置した、マルチパス増幅式スラブ型レーザ装置である。この型式のスラブ型レーザ装置では、折返しミラーの集光力や長さ、挟角、およびシードレーザ光の入射角度などを調整することによりパス数を適宜に変化させることができる。図18に表した態様では、パス数を11にしている。
【0075】
本態様のスラブ型レーザ装置では、共振器ミラー11,12の間を共振するレーザ光が、ポーラライザ14およびカップリングミラー15を介して発振器部10から増幅器部20に供給される。増幅器部20に供給されたシードレーザ光は、入射ミラー21で反射し、平面折返しミラー42とこれと距離Lをもって対向配置された凹面折返しミラー38とで構成された折返しミラー光学システムに入射する。
本態様のスラブ型レーザ装置では、凹面折返しミラー38がスラブレーザ筐体部32に対して直交するように配置され、平面HRミラー42が凹面折返しミラー38に対して図中上端が近づく方向に傾いくように配置されている。
【0076】
入射ミラー21で反射し折返しミラー光学システムに入射した入射ビーム光は、図中上方向に斜めに増幅領域30を通過増幅して(1パス)、凹面折返しミラー38に対して0度より大きな角度で入反射して、上方向に斜めに出射し増幅領域30を通過増幅し(2パス)、平面折返しミラー42で正反射して上方向に斜めに出射し、増幅領域30を通過増幅する(3パス)。次いで、凹面折返しミラー38に対して0度より大きな角度で入反射して、上方向に斜めに出射し増幅領域30を通過増幅し(4パス)、平面折返しミラー42で正反射して筐体32の壁にほぼ平行に出射し、増幅領域30を通過増幅する(5パス)。
【0077】
入射ビーム光は、さらに、凹面折返しミラー38に対して0度より大きな角度で入反射するが、入射ビーム光の入射点においては、凹面折返しミラー38の反射面が図中下方に向いているため、今度は点線で示すように下方向斜めに出射する。凹面折返しミラー38で反射した入射ビーム光は、増幅領域30を通過増幅し(6パス)、平面折返しミラー42で正反射して下方向に斜めに出射し、増幅領域30を通過増幅する(7パス)。
【0078】
入射ビーム光は、次いで、凹面折返しミラー38に対して0度より大きな角度で入反射し、下方向に斜めに出射し増幅領域30を通過増幅し(8パス)、平面折返しミラー42で正反射して下方向に斜めに出射し、増幅領域30を通過増幅する(9パス)。入射ビーム光は、さらに、凹面折返しミラー38に対して0度より大きな角度で入反射し、下方向に斜めに出射し増幅領域30を通過増幅し(10パス)、平面折返しミラー42で正反射して下方向に斜めに出射し、増幅領域30を通過増幅し(11パス)、出射ウインドウ36を透過して出射ビームとして出力される。
【0079】
このとき、折返しミラー光学システムの働きにより、ポーラライザ14の反射面である入射ビーム位置(第1定点)34におけるレーザ光の断面像が、出射ビームの光路上平面折返しミラー42からの距離Lの位置である入射ビーム転写位置(第2定点)35に転写される。
このときの光学システムは、入射ビーム位置(第1定点)34と初めの凹面折返しミラー38までの光路長が2Lで、凹面折返しミラー38と平面折返しミラー42との距離がそれぞれLで、最後の凹面折返しミラー38と入射ビーム転写位置(第2定点)35までの距離が2Lとなるように構成されている。
【0080】
合成焦点距離F、主点間距離ZHは、式(14)(15)(16)により求めることができる。たとえば、倍率M=1、L=1800mm及び11パス増幅する場合は、曲率半径Rは約30000mmとなる。
この方式のメリットは、第6態様におけるものと同じであるが、さらに、位置姿勢の調整が難しい凹面折返しミラー38を固定して、平面折返しミラー42の調整により光路の調整を行うため、装置の設計及びアライメントがより簡単になることである。
【0081】
(実施形態3)
図19は、本発明の第3の実施形態に係るスラブ型レーザ装置の構成を示す概念図である。
本実施形態に係るスラブ型レーザ装置は、1体のCOレーザ媒体部30に再生増幅器部50と増幅器部20を一緒に組み込んだ構成を有し、マルチラインシーダー60など外部の励起光発生装置から種レーザを導入し共振器ミラー間で再生増幅した後にレーザ増幅して高出力化したCOレーザ光をEUV光源装置に供給するようにしたものである。
【0082】
再生増幅器部50は、第1実施形態における発振器部10に代替するもので、COレーザ媒体部30の一部を含み、1対の共振器ミラー11,12、第1のEOポッケルスセル13、ポーラライザ14に加えて、第2のEOポッケルスセル16とλ/4波長板17を備えることにより構成される。なお、レーザ光を増幅器部20に偏向するカップリング機能はポーラライザ14が担うので、カップリングミラー15は不要である。
【0083】
再生増幅器部50は、たとえばCOレーザや固体レーザなどで形成されるマルチラインシーダー60からの発振光を入力して、再生増幅器部50内を何度も往復させる間に増幅して出力する。ここで、マルチラインシーダーの例として、COレーザの増幅ラインの波長で発振するマルチ縦モード半導体レーザや複数のシングル縦モード半導体レーザの光を合波してもよい。
マルチラインシーダー60からS偏光である発振光を入射させると、入射光はポーラライザ14で反射して再生増幅器部50内に注入される。注入された光はλ/4波長板17を往復通過する間にP偏光に変化するのでポーラライザ14を透過し、フロント側の共振器ミラー12で反射して戻り、再びポーラライザ14を透過する。
【0084】
再生増幅器50の機能をさらに詳しく説明する。マルチラインシーダー60からポーラライザ14の反射面に対してS偏光のシードレーザ光を入射させる。このシードレーザ光はポーラライザ14で高反射して再生増幅器部50の共振器内に注入される。注入されたシードレーザ光は第1のEOポケルスセル13をそのまま透過して、λ/4波長板17により円偏光に変換される。そして、共振器ミラー11により折り返され再びλ/4波長板17を透過するとP偏光に変化する。P偏光の状態で第1のEOポケルスセル13をそのまま透過してポーラライザ14を透過する。そして、このP偏光のレーザ光は、COレーザ媒体部30を通過増幅され、第2のEOポッケルスセル16をP偏光の状態でそのまま透過し、フロント側の共振器ミラー12で反射して戻り、再び、第2のEOポッケルスセル16及びCOレーザ媒体部30を通過増幅して、P偏光の状態でポーラライザ14を透過する。
【0085】
ポーラライザ14を透過したP偏光レーザ光がλ/4波長板17を往復通過するとS偏光に変化するので、ポーラライザ14で反射されることになる。そこで、EOポッケルスセル13にλ/4波長電圧を印加することにより、さらに偏光面を回転させP偏光にしてポーラライザ14を透過させる。
上記内容をさらに詳しく説明する。第1のEOポッケルスセルに電圧を印加しない場合は、ポーラライザ14を透過したP偏光レーザ光がλ/4波長板17を往復通過するとS偏光に変化するので、ポーラライザ14で高反射されることになる。そこで、第1のEOポッケルスセル13にλ/4波長位相がずれるように電圧を印加することにより、第1のEOポッケルスセル13とλ/4波長板17を透過することにより、P偏光からS偏光に変換される。そして、共振器ミラー11によって、再び、λ/4波長板17と第1のEOポッケルスセル13を透過することにより、S偏光からP偏光に変換されポーラライザ14を透過させる。
第1のEOポッケルスセル13にλ/4波長電圧を印加した状態では、レーザ光が共振器ミラー11,12の間を何度も往復してCOレーザ媒体により出力増幅をすることができる。いいかえれば、第1のEOポッケルスセル13にλ/4波長位相がずれるように電圧を印加した状態では、レーザ光が共振器ミラー11,12の間を何度も往復してCOレーザ媒体により、マルチラインシーダからのシードレーザ光を増幅することができる。
【0086】
再生増幅器部50内のCOレーザ媒体部30で十分増幅されたところで、第2のEOポッケルスセル16にλ/4波長電圧を印加すると、再生増幅器部50内のレーザ光がS偏光に変化してポーラライザ14で反射し、増幅器部20に入射する。
再生増幅器部50内のレーザ光を放出した後に、再び第1のEOポッケルスセル13と第2のEOポッケルスセル16の印加電圧を零にすると、マルチラインシーダー60からの発振光を再生増幅器部50内に取り込むことができる。
【0087】
増幅器部20は、COレーザ媒体部30の一部を含み、入射ミラー21、1対の折返しミラー22,23で構成される。
増幅器部20は、第1の実施形態におけるものと同じものなので、折返しミラー22とこれに対向する折返しミラー23は図1に示したようにいずれも平面鏡であってもよいが、一方のミラーを凹面鏡にしたり、両方のミラーを共に凹面鏡としたりしてもよいことはいうまでもない。また、一方を凹面鏡、他方を凸面鏡として、大断面積の放電部を有効に利用するようにしてもよい。また、往復する光路ごとに対になった反射鏡をそれぞれ装備してもよい。
さらに、可飽和吸収体や空間フィルタなどを介挿して、増幅器部20における寄生発振を抑制するようにしてもよい。
【0088】
再生増幅器部50から増幅器部20に入射したCOレーザ光は、平行に配設された折返しミラー22と対向する折返しミラー23の間で多重反射し、最後にスラブ型レーザ装置の出力窓を介してEUV光生成チャンバや別のCOレーザ増幅器に供給される。
COレーザ光は、励起されたCOレーザ媒体中を往復走行する間に出力を増幅し、高出力のレーザ光になる。
【0089】
本実施形態のスラブ型レーザ装置は、従来のスラブ型レーザ装置と比較すると、COレーザ媒体を増幅器部20と再生増幅器部50で共用するので、装置の構成が単純化しかつ小型になった。また、再生増幅器部50と増幅器部20を同じCOレーザ媒体中で任意の回数往復走行させて十分なエネルギー転化を受けることができるので、発振効率が高く高出力のCOレーザを得ることができる。
すなわち、再生増幅器部50を増幅器部20と同じCOレーザ媒体中で作動させることと、増幅器部20においてレーザ光をマルチパス増幅させることにより、増幅効率が高くなり高出力のCOレーザを得ることができると同時に、コンパクトなスラブレーザ装置となる。
このように、本実施形態のスラブ型レーザ装置は、省スペースで、高出力の短パルスCOレーザ発振装置になる。
なお、上記では注入するレーザ光がマルチラインシーダーから得られるレーザ光である場合を説明したが、シングルラインシーダーを用いてレーザ光を供給してもよい。
【0090】
図20は、本実施形態の別の態様を示す概念図である。
本態様のスラブ型レーザ装置は、図19に示したレーザ装置に対して、再生増幅器部50のレーザ光路中に1対のプリズム18を挿入したところのみが異なり、他は全く同じものである。
再生増幅器部50に1対のプリズム18を挿入することにより、共振器ミラー11,12間の光学距離を微調整することができるので、たとえば、マルチラインシーダー60を使用する場合には波長選択が可能になり、またシングルラインシーダーを使用するときは共振調整ができるなど、出力レーザ光の波長選択や波長調整が容易になる。
【0091】
なお、本実施形態のスラブ型レーザ装置に対して、上記第2実施形態として開示した、増幅器部20のマルチパス増幅器の光学システムを改良して入射ビーム位置(第1定点)におけるビーム断面像を出口近傍にある入射ビーム転写位置(第2定点)に転写する増幅器部を適用することにより、出力レーザ光の光軸を安定化させることができることは言うまでもない。
【0092】
(実施形態4)
図21〜図25は、本発明に係る第4の実施形態のスラブ型レーザ装置を説明する図面である。本実施形態のスラブ型レーザ装置は、極端紫外光源装置におけるターゲット物質にレーザビームを供給するCOレーザ装置である。本実施形態は、平面ミラーをほぼ平行に対向配置した折返しミラー光学システムを備えた増幅器部に対して、光学システムを簡約化した発振器部を適用したものであり、発振器部の他は、図1に例示した、第1実施形態の第1態様に係るスラブ型レーザ装置と実質的に同じ構成を有する。
【0093】
<第1態様>
図21は、本発明の第4の実施形態に係る第1の態様のスラブ型レーザ装置の構成例を示す概念図である。本態様のスラブ型レーザ装置は、1体のスラブ型COレーザ媒体部30に発振器部10と増幅器部20を一緒に組み込んだ構成を有する。図1に例示する第1実施形態の第1態様のスラブ型レーザ装置と比較すると、スラブ型COレーザ媒体部30と増幅器部20の構成は変わらず、発振器部10の構成が異なる。
【0094】
本態様のスラブ型レーザ装置では、発振器部10は、COレーザ媒体部30の一部を含み、1対の共振器ミラー11,12、電気光学(EO)ポッケルスセル13、ポーラライザ14で構成される。カップリングミラーは使用しない。
発振器部10は、ポーラライザ14により発振器部10で発生したCOレーザ光のS偏光成分を反射して、共振器ミラー11及び12で共振させて成長させる。適宜の間隔で、EOポッケルセル13を駆動してλ/4位相を変化させることにより、共振しているCOレーザ光をP偏光に変換すると、COレーザ光はポーラライザ14を透過して増幅器部20に入射する。
【0095】
増幅器部20に入射したCOレーザ光は、入射ミラー21に入反射させて、増幅COレーザ媒体部30を透過増幅した後、ほぼ平行に配置された折返しミラー22と23間をマルチパス増幅させて出力する。
本態様のスラブ型レーザ装置では、発振器部10にカップリングミラー15を使用せず、光学系が簡約化する。
【0096】
<第2態様>
図22は、本発明の第4の実施形態に係る第2の態様のスラブ型レーザ装置の構成例を示す概念図である。本態様のスラブ型レーザ装置の発振器部10は、第1態様のものと同様に、COレーザ媒体部30の一部を含み、1対の共振器ミラー11,12、電気光学(EO)ポッケルスセル13、ポーラライザ14で構成される。
【0097】
ただし、発振器部10は、第1態様のものと異なり、発振器部10で発生したCOレーザ光の偏光成分のうち、ポーラライザ14を透過するP偏光成分を共振器ミラー11及び12で共振させる。レーザ光は、平行に対向した1対の共振器ミラー11,12の間でほぼ直線的な光路上で共振する。そして、EOポッケルセル13を駆動してλ/4位相を変化させることにより、COレーザ光のP偏光をS偏光に変換すると、COレーザ光はポーラライザ14で反射して増幅器部20に入射する。
【0098】
図22に示した構成では、入射したCOレーザ光をほぼ平行に配置された折返しミラー22と23の間で多重反射させるように導く入射ミラー21は、ポーラライザ14に対してCOレーザ媒体部30を挟んだほぼ対角位置に設けられている。したがって、ポーラライザ14で走行方向を切り替えられたCOレーザ光は、入射ミラー21に届くまでCOレーザ媒体部30中を走行して増幅作用を受けた上で、ほぼ平行に配置された折返しミラー22と23の間に入射させマルチパス増幅させて出力するので、増幅効率がより向上する。
また、発振器部10にカップリングミラーを使用せず、光学系が簡約化する。
【0099】
<第3態様>
図23は、本発明の第4の実施形態に係る第3の態様のスラブ型レーザ装置の構成例を示す概念図である。本態様のスラブ型レーザ装置の発振器部10は、第2態様のものと同様に、COレーザ媒体部30の一部を含み、1対の共振器ミラー11,12、電気光学(EO)ポッケルスセル13、ポーラライザ14で構成され、P偏光成分の共振を使っている。ただし、発振器部10と増幅器部20は交差するように配置され、一部のCOレーザ媒体部30を共用している。所望のタイミングでEOポッケルスセル13に電圧を印加して、位相をλ/4ずらすことによって、このEOポッケルスセル13を往復することによって、P偏光からS偏光に変換される。P偏光で共振しているCOレーザ光をS偏光に切り替えることによって、レーザ光はポーラライザ14によって高反射されて、そのまま増幅器部20に入射させる。このため、カップリングミラー15に加えて入射ミラー21も設置する必要がない。
【0100】
(実施形態5)
図24は、本発明に係る第5の実施形態のスラブ型レーザ装置を説明する図面である。本実施形態のスラブ型レーザ装置は、発振器部10においてEOポッケルセルとポーラライザの代わりに光音響素子70を用いることにより、第4実施形態のスラブ型レーザ装置と同様にカップリングミラーを使わず、さらに増幅器部20における入射ミラーを省いた構成となっている。
本実施形態のスラブ型レーザ装置は、共振器ミラー11と12の間でレーザ光を共振させている間に、所定のタイミングで光音響素子70を動作させると、共振器ミラー間の光軸と異なる方向にレーザ光が出力され、発振器部10に近い側から増幅器部20に入射する。入射したレーザ光は、COレーザ媒体部30を挟んでほぼ平行に配置された折返しミラー22と23間をマルチパス増幅させて、増幅器部20の発振器部10に遠い側から出力する。
【0101】
(実施形態6)
図25は、本発明に係る第6の実施形態のスラブ型レーザ装置を説明する図面である。本実施形態のスラブ型レーザ装置は、第5実施形態のスラブ型レーザ装置の発振器部10に代えて、共振器ミラー11と12の間の共振光軸中に第2の光音響素子71を設け、シードレーザ光を導入して増幅する再生増幅器50を備えたものである。
【0102】
本実施形態においては、再生増幅器50の第2の光音響素子71をオンにすると、パルス状のシードレーザ光が共振器ミラー11及び12の共振器中に導入される。その後、第2の光音響素子71をオフにすると、シードレーザ光は共振器ミラー12により折り返され、オフされた第2の光音響素子71をそのまま透過して、COレーザ媒体部30を透過増幅した後、オフされた第1の光音響素子70を透過し、共振器ミラー11により、折り返され、オフになっている第1の光音響素子70をそのまま通過し、再び、COレーザ媒体部30に入射して透過増幅する。
【0103】
これを繰り返すことによりシードレーザ光が再生増幅される。所望のエネルギーになった時点で、第1の光音響素子70を動作させて、再生増幅されたレーザ光が増幅部20に出力される。この再生増幅器50から出力されたレーザ光は、COレーザ媒体部30を透過増幅し、高反射ミラー22に入反射する。そして、COレーザ媒体部30を通過増幅して、高反射ミラー23及び高反射ミラー22の間でマルチパス増幅して、増幅部20から出力される。
【0104】
(実施形態7)
図26と図27は、本発明に係る第7の実施形態のスラブ型レーザ装置を説明する図面である。本実施形態のスラブ型レーザ装置は、たとえば図22に示す第4実施形態のスラブ型レーザ装置における発振器部の代わりに、シードレーザ光を導入して再生増幅する再生増幅器部を備えたものである。
【0105】
<第1態様>
図26は、第7実施形態に係る第1の態様のスラブ型レーザ装置の構成例を示す概念図である。本態様のスラブ型レーザ装置は、再生増幅器部50において、共振器ミラー11,12の間にEOポッケルセル13とポーラライザ14と光音響素子71とを備え、光音響素子71でシードレーザ光を導入して再生増幅し、増幅器部20に供給するようにしたものである。
【0106】
本態様のスラブ型レーザ装置では、再生増幅器50の光音響素子71をオンにすると、P偏光のパルス状のシードレーザ光が共振器ミラー11及び12で構成される共振器中に導入される。その後、光音響素子71をオフにすると、シードレーザ光は共振器ミラー12により折り返され、オフされた光音響素子71をそのまま透過して、COレーザ媒体部30を透過増幅した後、P偏光の状態でポーラライザ14を透過し、オフされたEOポッケルセル13を透過して、共振器ミラー11により折り返され、EOポッケルセル13をそのまま通過し、P偏光の状態でポーラライザ14を透過し、再び、COレーザ媒体部30に入射して透過増幅する。これを繰り返すことによりシードレーザ光が再生増幅される。
【0107】
所望のエネルギーになった時点で、EOポッケルセル13を動作させてS偏光に変換され、ポーラライザ14において高反射され、再生増幅されたレーザ光が増幅部20に出力される。この再生増幅器50から出力されたレーザ光は、COレーザ媒体部30を透過増幅し、高反射ミラー21に入反射する。そして、COレーザ媒体部30を通過増幅して、高反射ミラー23及び高反射ミラー22の間でマルチパス増幅して、増幅部20から出力される。
【0108】
<第2態様>
図27は、第7実施形態に係る第2の態様のスラブ型レーザ装置の構成例を示す概念図である。本態様のスラブ型レーザ装置は、再生増幅器部50において、共振器ミラー11,12の間に第1のEOポッケルセル13とポーラライザ14と第2のEOポッケルセル16と、λ/4位相を変化させる素子としての高反射膜ミラー17−2とを備え、ポーラライザ14でS偏光のシードレーザ光を導入して共振器ミラー11,12間で再生増幅し、増幅器部20に供給するようにしたものである。再生増幅器部50と増幅器部20の間にカップリングミラーを設ける必要がない。
【0109】
本態様のスラブ型レーザ装置は、S偏光のパルス状のシードレーザ光をポーラライザ14の偏光膜面に入反射させて、共振器ミラー11及び12の間で構成される共振器中に導入する。共振器中に導入されたシードレーザ光は、COレーザ媒体部30を通過増幅して、第2のEOポッケルセル16をそのまま通過し、λ/4位相だけ変化させる高反射膜をコートした高反射膜ミラー17−2で反射して円偏光に変換され、共振器ミラー12により反射し、再び、λ/4位相変化させる高反射膜ミラー17−2で反射してP偏光に変換される。そして、第2のEOポッケルセル16をそのまま透過し、COレーザ媒体部30を通過増幅し、ポーラライザ14を透過する。そして、第1のEOポッケルセル13を通過し共振器ミラー11により折り返され、P偏光の状態で第1のEOポッケルセル13とポーラライザ14を通過する。
【0110】
シードレーザ光は、さらに、P偏光の状態でCOレーザ媒体部30を透過して増幅した後、第2のEOポッケルセル16を動作させて位相をλ/4ずらし円偏光に変換され、λ/4位相変化させる高反射膜ミラー17−2で反射してS偏光に変換される。このS偏光は共振器ミラー12により反射され、λ/4位相を変化させる高反射膜ミラー17−2により円偏光に変換され、第2のEOポッケルセル16により、さらにλ/4位相が変化してP偏光に変換される。そして、このP偏光は、COレーザ媒体部30を透過増幅し、ポーラライザ14を透過する。そして第1のEOポッケルセル13を透過して、共振器ミラー11で反射して、P偏光の状態で第1のEOポッケルセル13及びポーラライザ14を透過して、再び、COレーザ媒体部30に入射し、これを繰り返す。
【0111】
そして、共振器ミラー11及び12間で共振することにより再生増幅されたシードレーザ光が所望のエネルギーになった時点で、第1のEOポッケルセル13を動作させて、P偏光を円偏光に変換し、共振器ミラー11により高反射させて、第1のEOポッケルセルによりS偏光に変換して、ポーラライザ14を高反射して、シードレーザ光が再生増幅されたレーザ光が出力される。この再生増幅器から出力されたレーザ光は、COレーザ媒体部30を透過して増幅し、高反射ミラー21に入反射する。そして、ミラー23及び22間で往復する間に、COレーザ媒体部30で増幅して、出力される。
【0112】
図28は、シードレーザ光を発生する半導体レーザの縦モードがシングルモードである場合のCOレーザの各ラインの波長のゲイン領域との関係を模式的に示す図面である。図28のグラフは、横軸に波長、縦軸に増幅ゲインを模式的にプロットしている。点線は、COレーザにおける、P(18),P(20),P(22),P(24),P(26),P(28),P(30)の増幅波長領域を示しており、この各々のラインに対して、所定の波長幅のゲイン領域が存在する。このゲイン波長幅Δνは、回転ゲインバンド幅の圧力広がりにより発生し、
(17) Δν=7.58(ΦCO+0.73ΦN+0.64ΦHe)×P(300/T)1/2
となる。ここで、Φは分圧、Pは圧力(torr)、Tは温度(K)である。典型的な条件として、CO:N:He=1:1:8で、圧力が100torr、温度が450Kとすれば、各ラインのゲイン幅Δν=424MHz、すなわち波長幅が約0.001588μmとなる。
【0113】
したがって、シングル縦モード発振の場合は、例えば半導体レーザの発振波長をCOレーザ増幅ラインP(20)10.5912μmの少なくともゲイン幅約0.001588μmの範囲となるように、10.5912±0.000794μmに安定化すれば、増幅されることになる。ただし、レーザの出力を安定に維持するためには、増幅ゲインのピーク付近に半導体レーザの発振波長を安定化させる必要がある。なお、半導体レーザの発振波長は、この増幅ラインP(20)に限定されることなく、各増幅ラインの波長を中心に±0.000794μmの範囲で安定化させることにより増幅することができる。ただし、レーザの出力を安定に維持するためには、各増幅ゲインのピーク付近にそれぞれの半導体レーザの発振波長を安定化させる必要がある。
【0114】
図29は、シードレーザとして使用される半導体レーザがシングル縦モードの場合の共振器の例を示す概念図である。半導体デバイス61のフロント側に出力結合ミラー(Output Coupler、OC)62、リア側にリア光学モジュール63が設置されている。OC62とリア光学モジュール63は、光共振器を構成している。OC62は、部分反射ミラーコートがされたミラーで、一部のレーザ光を出力する一方、一部のレーザ光を共振器内に戻して共振させている。リア光学モジュール63は、コリメータレンズ64と、グレーティング65とが配置される。グレーティング65は、入射角度と回折角度が同じとなるリトロー配置されている。この入射回折角度を変化させることにより選択する波長を制御することができる。
【0115】
このようにして、グレーティング65によってマルチ縦モードのうち1本の光のみを選択して共振器に戻すことにより、シングル縦モード発振が可能となる。そして、このグレーティング65を回転させて波長選択する機構と、共振器長を制御安定化する図示しない機構とを用いて、シングル縦モードの波長をP(20)10.5912μmに固定させることにより、COガスレーザ増幅器によるパルス増幅が可能となる。
【0116】
この実施形態では、半導体レーザの波長をP(20)に一致させたが、この例に限定されることなく、各増幅ラインのゲイン領域に一致させればよい。また、この半導体レーザのシングル縦モードの例として、グレーティングのリトロー配置の例を示したが、この例に限定されることなく、例えば、エタロンなど、シングル縦モードを選択可能な各種の波長選択技術を使用することができる。さらに、この実施形態では、外部共振器によるシングル縦モード発振する半導体レーザの例を示したが、この例に限定されることなく、例えば、半導体デバイス中にグレーティング等の波長選択素子が組み込まれた分布帰還型の半導体レーザを使用してもよい。
【0117】
図30は、本発明の実施形態のスラブ型レーザ装置におけるシードレーザとして用いられる半導体レーザの構成を示す模式図である。図29の例に対して異なる点は、シングル縦モードの半導体レーザを複数台の出力光を合波して、マルチラインシーダとして本発明の再生増幅器部の共振器中に注入してもよい。合波部の機能を果たす光学素子として合波用グレーティングを使用している。
【0118】
グレーティングにおける分光では、入射角度αと回折角度βの間に下の式が成立する
(18) mλ=a(sinα±sinβ)
ここで、mは次数、λは波長、aは格子間距離である。したがって、下の式が成立するような入射角度α1、α2、・・・αnと回折角度βを設定することによって合波することが可能となる。
(19) mλ1=a(sinα1±sinβ)
(20) mλ2=a(sinα2±sinβ)


(21) mλn=a(sinαn±sinβ)
ここで、半導体レーザの発振波長λ1、λ2・・・λnは、図28に示したようなCOレーザの増幅ラインの波長であればどれでもよい。
【0119】
図30において、複数の半導体レーザ67−1〜67−n(67)は、各々シングル縦モードであって再生増幅器部50および増幅器部20の増幅波長領域の波長光を発振する。各半導体レーザ67−1〜67−n(67)は、それぞれ、合波用グレーティング66へ入射角度α1、α2、・・・αnで入力される。そして、各半導体レーザは合波用グレーティング66から同じ回折角度βで出力され、合波されることになる。合波部の例としては、この実施形態に限定されることなく、機能としては、複数のシングル縦モード半導体レーザ光を同じ光軸に合波する機能を有していればよい。
【0120】
各半導体レーザ67は、それぞれ再生増幅器部50および増幅器部20の増幅波長領域の波長にほぼ合わせられているが、温度変化などによって屈折率が変化することによって波長が変化するため、各半導体レーザ67−1〜nに搭載されている図示しない各々の縦モードコントローラにより、温度調整や共振器長とグレーティングの選択波長を制御するによって各々の波長制御を行う。
【産業上の利用可能性】
【0121】
本発明は、露光装置の光源として用いられる極端紫外光源装置における発光プラズマを生成するレーザ光源などに利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るスラブ型レーザ装置の構成概念図である。
【図2】第1実施形態の第2の態様に係るスラブ型レーザ装置の構成概念図である。
【図3】第1実施形態の第3の態様に係るスラブ型レーザ装置の構成概念図である。
【図4】第1実施形態の第4の態様に係るスラブ型レーザ装置の構成概念図である。
【図5】第1実施形態の第5の態様に係るスラブ型レーザ装置の構成概念図である。
【図6】第2実施形態の第1の態様に係るスラブ型レーザ装置の構成概念図である。
【図7】第2実施形態第1態様に係るスラブ型レーザ装置の構成を示す側面図である。
【図8】第2実施形態の第2の態様に係るスラブ型レーザ装置の構成概念図である。
【図9】第2実施形態第2態様に係るスラブ型レーザ装置の光学システム図である。
【図10】第2実施形態の第3の態様に係るスラブ型レーザ装置の構成概念図である。
【図11】第2実施形態第3態様に係るスラブ型レーザ装置の光学システム図である。
【図12】第2実施形態の第4の態様に係るスラブ型レーザ装置の構成概念図である。
【図13】第2実施形態第4態様に係るスラブ型レーザ装置の光学システム図である。
【図14】第2実施形態の第5の態様に係るスラブ型レーザ装置の構成概念図である。
【図15】第2実施形態第5態様に係るスラブ型レーザ装置の光学システム図である。
【図16】第2実施形態の第6の態様に係るスラブ型レーザ装置の構成概念図である。
【図17】第2実施形態第6態様に係るスラブ型レーザ装置の光学システム図である。
【図18】第2実施形態の第7の態様に係るスラブ型レーザ装置の構成概念図である。
【図19】本発明の第3の実施形態に係るスラブ型レーザ装置の構成概念図である。
【図20】第3実施形態の第2の態様に係るスラブ型レーザ装置の構成概念図である。
【図21】第4実施形態の第1の態様に係るスラブ型レーザ装置の構成概念図である。
【図22】第4実施形態の第2の態様に係るスラブ型レーザ装置の構成概念図である。
【図23】第4実施形態の第3の態様に係るスラブ型レーザ装置の構成概念図である。
【図24】第4実施形態の第4の態様に係るスラブ型レーザ装置の構成概念図である。
【図25】第4実施形態の第5の態様に係るスラブ型レーザ装置の構成概念図である。
【図26】第5実施形態の第1の態様に係るスラブ型レーザ装置の構成概念図である。
【図27】第5実施形態の第2の態様に係るスラブ型レーザ装置の構成概念図である。
【図28】第6実施形態のスラブ型レーザ装置における炭酸ガスレーザのゲイン領域を示す模式図である。
【図29】第6実施形態のスラブ型レーザ装置のシーダとして使う半導体レーザ装置の構成概念図である。
【図30】第6実施形態の第2の態様に使う半導体レーザ装置の構成概念図である。
【図31】本発明を適用する極端紫外光源装置の構成図である。
【図32】従来技術のスラブ型レーザ装置のブロック図である。
【符号の説明】
【0123】
10・・・発振器部、11,12・・・共振器ミラー、13・・・(第1)EOポッケルスセル、14・・・ポーラライザ、15・・・カップリングミラー、16・・・第2EOポッケルスセル、17・・・λ/4波長板、17−2・・・λ/4波長高反射ミラー、18・・・プリズム、19・・・ウインドウ、20・・・増幅器部、21・・・入射ミラー、22,23,24,25,26,27,28・・・折返しミラー、30・・・COレーザ媒体部、31・・・可飽和吸収体、32・・・スラブレーザ筐体部、33・・・入射ウインドウ、34・・・入射ビーム位置(第1定点)、35・・・入射ビーム転写位置(第2定点)、36・・・出射ウインドウ、37,38・・・折返しミラー、39・・・入射ビーム第1の転写位置(第3定点)、40,41・・・電極、42・・・平面折返しミラー、50・・・再生増幅器部、60・・・マルチラインシーダー、61・・・半導体デバイス、62・・・出力結合ミラー、63・・・リア光学モジュール、64・・・グレーティング、65・・・コリメータレンズ、66・・・合波用グレーティング、67−1〜n・・・半導体レーザ、70,71・・・光音響素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発振器部と増幅器部とスラブ型ガスレーザ媒体部を収納したスラブ型レーザ装置であって、
該スラブ型ガスレーザ媒体部は、ガスレーザ媒体が充填される空間内で平行に対向して配設した1対の電極平板で画定した領域で構成され、該電極平板には高周波電源が接続され、ガスレーザ媒体を充填して電極平板に高周波電力を印加するとガスレーザ媒体が励起され、
前記発振器部は、前記スラブ型ガスレーザ媒体部の一部を挟んで対向する1対の共振器ミラーとカップリング装置で構成され、該発振器部内で発振したレーザ光を所定の光強度まで増幅した後に前記カップリング装置を駆動して該レーザ光を前記増幅器部に入射させ、
該増幅器部は、入射したレーザ光を偏向する入射ミラーと、前記スラブ型ガスレーザ媒体部の一部を挟んで対向する折返しミラーを備え、該折返しミラーの間をレーザ光が複数回往復するように構成され、入射したレーザ光を所定の出力をもつレーザ光まで増強して出力するスラブ型レーザ装置。
【請求項2】
前記カップリング装置は、ポッケルスセルとポーラライザとカップリングミラーで構成され、該ポッケルスセルでレーザ光をS偏光に変えることにより該ポラライザ表面で反射させて該カップリングミラーに入射させ、該カップリングミラーで反射して前記増幅器部に入射させることを特徴とする請求項1記載のスラブ型レーザ装置。
【請求項3】
再生増幅器部と増幅器部とスラブ型ガスレーザ媒体部を収納したスラブ型レーザ装置であって、
該スラブ型ガスレーザ媒体部は、ガスレーザ媒体が充填される空間内で平行に対向して配設した1対の電極平板で画定した領域で構成され、該電極平板には高周波電源が接続され、ガスレーザ媒体を充填して電極平板に高周波電力を印加するとガスレーザ媒体が励起され、
前記再生増幅器部は、前記スラブ型ガスレーザ媒体部の一部を挟んで対向する1対の共振器ミラーとλ/4波長板とカップリング装置と種レーザ発生器で構成され、該種レーザ発生部から放出される種レーザ光を取り込んで前記共振ミラーの間で共振させてレーザ光を所定の光強度まで増幅した後に前記カップリング装置を駆動して該レーザ光を前記増幅器部に入射させ、
該増幅器部は、入射したレーザ光を偏向する入射ミラーと、前記スラブ型ガスレーザ媒体部の一部を挟んで対向する折返しミラーを備え、該折返しミラーの間をレーザ光が複数回往復するように構成され、入射したレーザ光を所定の出力をもつレーザ光まで増強して出力するスラブ型レーザ装置。
【請求項4】
前記カップリング装置は、第1のポッケルスセルとポーラライザと第2のポッケルスセルで構成され、該第1ポッケルスセルと第2ポッケルスセルの印加電圧を調整することにより前記種レーザ光の前記再生増幅器部内における再生増幅と前記増幅器部へのレーザ光出力を切り替えることを特徴とする請求項3記載のスラブ型レーザ装置。
【請求項5】
前記種レーザ光はシングルラインシーダーおよびマルチラインシーダーのいずれかであることを特徴とする請求項3または4記載のスラブ型レーザ装置。
【請求項6】
前記レーザ媒体が炭酸ガス(CO)を含むCOレーザ媒体である請求項1から5のいずれか一項に記載のスラブ型レーザ装置。
【請求項7】
前記折返しミラーが、それぞれ平面鏡同士、平面鏡と凹面鏡、凹面鏡同士、凹面鏡と凸面鏡のいずれか1つの組合せである請求項1から6のいずれか一項に記載のスラブ型レーザ装置。
【請求項8】
前記増幅器部における前記折返しミラーの間に可飽和吸収体を備える請求項1から7のいずれか一項に記載のスラブ型レーザ装置。
【請求項9】
発振器部と増幅器部とスラブ型ガスレーザ媒体部を収納したスラブ型レーザ装置であって、
該スラブ型ガスレーザ媒体部は、ガスレーザ媒体が充填される空間内で平行に対向して配設した1対の電極平板で画定した領域で構成され、該電極平板には高周波電源が接続され、ガスレーザ媒体を充填して電極平板に高周波電力を印加するとガスレーザ媒体が励起され、
前記発振器部は、前記スラブ型ガスレーザ媒体部の一部を挟んで対向する1対の共振器ミラーとカップリング装置で構成され、該発振器部内で発振したレーザ光を所定の光強度まで増幅した後に前記カップリング装置を駆動して出力された該レーザ光を前記増幅器部に入射させ、
該増幅器部は、前記入射したレーザ光が前記スラブ型ガスレーザ媒体部を少なくとも2回以上通過増幅させる光学システムを備えたマルチパス増幅器として構成され、該入射したレーザ光を所定の出力をもつレーザ光まで増幅して出力するスラブ型レーザ装置。
【請求項10】
発振器部と増幅器部と前記発振器部から出力されたレーザ光を前記増幅部に入射させる入射部とスラブ型ガスレーザ媒体部を収納したスラブ型レーザ装置であって、
該スラブ型ガスレーザ媒体部は、ガスレーザ媒体が充填される空間内で平行に対向して配設した1対の電極平板で画定した領域で構成され、該電極平板には高周波電源が接続され、ガスレーザ媒体を充填して電極平板に高周波電力を印加するとガスレーザ媒体が励起され、
前記発振器部は、前記スラブ型ガスレーザ媒体部の一部を挟んで対向する1対の共振器ミラーとカップリング装置で構成され、該発振器部内で発振したレーザ光を所定の光強度まで増幅した後に前記カップリング装置を駆動して出力され、
前記発振器部から出力されたレーザ光を増幅部に導入する入射部は、少なくとも1個の光学素子で構成され、前記カップリング装置を駆動して出力された該レーザ光を前記増幅部に入射させ、
該増幅器部は、前記入射したレーザ光が前記スラブ型ガスレーザ媒体部を少なくとも2回以上通過増幅させる光学システムを備えたマルチパス増幅器として構成され、該入射したレーザ光を所定の出力をもつレーザ光まで増幅して出力するスラブ型レーザ装置。
【請求項11】
前記カップリング装置は、ポッケルスセルとポーラライザで構成され、該ポッケルスセルでレーザ光をS偏光またはP偏光に変えることにより、該ポラライザの偏光の分離面でそれぞれS偏光を反射またはP偏光を透過させて発振器部でレーザ発振したレーザ光を出力することを特徴とする請求項9または10記載のスラブ型レーザ装置。
【請求項12】
前記カップリング装置は、光音響素子で構成され、前記光音響素子により前記共振器軸と異なる光軸方向に変えることにより、前記発振器部でレーザ発振したレーザ光を出力することを特徴とする請求項9または10記載のスラブ型レーザ装置。
【請求項13】
再生増幅器部と増幅器部とスラブ型ガスレーザ媒体部を収納したスラブ型レーザ装置であって、
該スラブ型ガスレーザ媒体部は、ガスレーザ媒体が充填される空間内で平行に対向して配設した1対の電極平板で画定した領域で構成され、該電極平板には高周波電源が接続され、ガスレーザ媒体を充填して電極平板に高周波電力を印加するとガスレーザ媒体が励起され、
前記再生増幅器部は、前記スラブ型ガスレーザ媒体部の一部を挟んで対向する1対の共振器ミラーと種レーザ発振器と該種レーザ光を前記共振器内にレーザ光を注入する第1のカップリング装置と前記共振器内で増幅されたレーザ光を外部に出力する第2のカップリング装置で構成され、該種レーザ発生部から放出される種レーザ光を前記第1のカップリング装置により取り込んで前記共振ミラーの間で共振させてレーザ光を所定の光強度まで増幅した後に前記第2のカップリング装置を駆動して出力された該レーザ光を前記増幅器部に入射させ、
該増幅器部は、前記入射したレーザ光が前記スラブ型ガスレーザ媒体部を少なくとも2回以上通過増幅させる光学システムを備えたマルチパス増幅器として構成され、該入射したレーザ光を所定の出力をもつレーザ光まで増幅して出力するスラブ型レーザ装置。
【請求項14】
再生増幅器部と増幅器部と前記再生増幅器部から出力されたレーザ光を前記増幅部に入射させる入射部とスラブ型ガスレーザ媒体部を収納したスラブ型レーザ装置であって、
該スラブ型ガスレーザ媒体部は、ガスレーザ媒体が充填される空間内で平行に対向して配設した1対の電極平板で画定した領域で構成され、該電極平板には高周波電源が接続され、ガスレーザ媒体を充填して電極平板に高周波電力を印加するとガスレーザ媒体が励起され、
前記再生増幅器部は、前記スラブ型ガスレーザ媒体部の一部を挟んで対向する1対の共振器ミラーと種レーザ発振器と該種レーザ光を前記共振器内にレーザ光を注入する第1のカップリング装置と前記共振器内で増幅されたレーザ光を外部に出力する第2のカップリング装置で構成され、該種レーザ発生部から放出される種レーザ光を前記第1のカップリング装置により前記共振器内に注入して前記共振ミラーの間で共振させてレーザ光を所定の光強度まで増幅した後に前記第2のカップリング装置を駆動して出力された該レーザ光を前記増幅器部に入射させ、
前記再生増幅器部から出力されたレーザ光を増幅部に導入する入射部は、少なくとも1個の光学素子で構成され、前記カップリング装置を駆動して出力された該レーザ光を前記増幅部に入射させ、
該増幅器部は、前記入射したレーザ光が前記スラブ型ガスレーザ媒体部を少なくとも2回以上通過増幅させる光学システムを備えたマルチパス増幅器として構成され、該入射したレーザ光を所定の出力をもつレーザ光まで増幅して出力するスラブ型レーザ装置。
【請求項15】
前記第1及び第2カップリング装置は、位相をλ/4ずらす光学素子とポーラライザと第1のポッケルスセルと第2のポッケルスセルで構成され、該第1ポッケルスセルと第2ポッケルスセルの動作タイミングを制御することにより前記種レーザ光の前記再生増幅器部内における再生増幅と前記増幅器部へのレーザ光出力を切り替えることを特徴とする請求項13または14記載のスラブ型レーザ装置。
【請求項16】
前記第1及び第2カップリング装置は、位相をλ/4ずらす光学素子とポーラライザとポッケルスセルと光音響素子で構成され、該ポッケルスセルと該光音響素子の動作タイミングを制御することにより前記種レーザ光の前記再生増幅器部内における再生増幅と前記増幅器部へのレーザ光出力を切り替えることを特徴とする請求項13または14記載のスラブ型レーザ装置。
【請求項17】
前記第1及び第2カップリング装置は、第1の光音響素子と第2の光音響素子で構成され、該第1の光音響素子と第2の光音響素子の動作のタイミングを制御することにより前記種レーザ光の前記再生増幅器部内における再生増幅と前記増幅器部へのレーザ光出力を切り替えることを特徴とする請求項13または14記載のスラブ型レーザ装置。
【請求項18】
前記種レーザ光発振器はスラブ型ガスレーザ媒体の複数の増幅ラインの波長領域で出力するシングル縦モード発振またはマルチ縦モード発振する種レーザ発振器のいずれかであることを特徴とする請求項13から17のいずれか一項に記載のスラブ型レーザ装置。
【請求項19】
前記種レーザ光発振器はスラブ型ガスレーザ媒体の複数の増幅ラインの波長領域で出力する発振波長の異なる複数のシングル縦モード発振する種レーザ発振器からなり、前記複数の波長の光を合波した光を種レーザ光とすることを特徴とする請求項13から17のいずれか一項に記載のスラブ型レーザ装置。
【請求項20】
前記種レーザ光発振器はスラブ型ガスレーザ媒体の複数の増幅ラインの波長領域で出力する前記シングル縦モード発振またはマルチモード発振する種レーザ発振器は量子化カスケードレーザであることを特徴とする請求項18または19記載のスラブ型レーザ装置。
【請求項21】
前記レーザ媒体が炭酸ガス(CO)を含むCOレーザ媒体である請求項9から20のいずれか一項に記載のスラブ型レーザ装置。
【請求項22】
前記増幅器部の前記マルチパス増幅器は、前記入射するレーザ光が該増幅領域に最初に入射する入射ビームの光路上の第1定点を通過して、最後の前記レーザ増幅領域を通過して出射される出射ビーム上の光路上の第2の定点を通過し、かつ、前記第1の定点における入射ビームの断面の像を、前記第2の定点において、転写結像させる光学システムを構成する、請求項9から21のいずれか一項に記載のスラブ型レーザ装置。
【請求項23】
前記増幅器部の前記マルチパス増幅器は、前記入射ビームの光路上の第1の定点入射ビームの断面像を第1及び第2の定点間の光路中で少なくとも1回以上転写結像させた後、前記出射ビームの光路上の第2の定点において、転写結像させる光学システムを構成する、請求項9から21のいずれか一項に記載のスラブ型レーザ装置。
【請求項24】
前記増幅器部の前記マルチパス増幅器は、前記入射ビームの光路上の第1の定点はするレーザ光が前記第2のカップリング装置の前記ポーラライザまたは光音響素子の位置と一致し、前記第1の定点における入射ビームの断面像を最後の前記レーザ増幅領域を通過して出射される出射ビーム上の光路上の第2の定点を通過し、前記第2の定点において、転写結像させる光学システムを構成する、請求項9から21のいずれか一項に記載のスラブ型レーザ装置。
【請求項25】
前記増幅器部の前記マルチパス増幅器は、前記入射部の少なくとも1個の光学そしの位置と前記第1定点が一致し、前記第1の定点における該レーザ光の断面像が、最後の前記レーザ増幅領域を通過して出射される出射ビーム上の光路上の第2の定点を通過し、前記第2の定点において、転写結像させる光学システムを構成する、請求項9から21のいずれか一項に記載のスラブ型レーザ装置。
【請求項26】
前記光学システムが、それぞれ、平面鏡と凹面鏡、凹面鏡同士、凹面鏡と凸面鏡のいずれか1つの組合せである請求項9から25のいずれか一項に記載のスラブ型レーザ装置。
【請求項27】
前記光学システムが、それぞれ平面鏡同士の組合せである請求項9から21のいずれか一項に記載のスラブ型レーザ装置。
【請求項28】
前記増幅器部における前記光学システムの光路中に可飽和吸収体を備える請求項9から27のいずれか一項に記載のスラブ型レーザ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【公開番号】特開2010−21518(P2010−21518A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−29011(P2009−29011)
【出願日】平成21年2月10日(2009.2.10)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成19年度 独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「極端紫外線(EUV)露光システムの基盤開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000001236)株式会社小松製作所 (1,686)
【出願人】(300073919)ギガフォトン株式会社 (227)
【Fターム(参考)】