説明

スロットマシン

【課題】特別役の内部当選確率が高いSB状態等の特定状態を発生させるスロットマシンであって、特定状態が発生したにも関わらず特別役が入賞しなかった場合にも遊技者の期待感を高く維持可能な優れた特性のスロットマシンを提供すること。
【解決手段】スロットマシン1は、第一賭け数では特別役を含まない複数種類の役の中から内部当選役を決定するための内部抽選を実行し、第二賭け数では複数種類の特別役を含む複数種類の役の中から内部当選役を決定するための内部抽選を実行し、対応する内部当選フラグを成立させる内部抽選手段41と、何れかの特別役に対応する内部当選フラグが成立している場合において、特定状態では特定の停止操作が行われたときに特別役の入賞図柄を図柄表示領域に停止表示させる一方、通常状態では停止操作に関わらず対応する特別役の入賞図柄とは異なる図柄の組合せを停止表示させる表示制御手段43と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部当選役に対応する入賞図柄の停止表示に応じて入賞を発生させるスロットマシンに関する。
【背景技術】
【0002】
スロットマシンの遊技では、複数種類の役の中から抽選により決定された内部当選役に対応する入賞図柄が停止表示されたときに入賞が発生し得る。何れかの役が内部当選役として決定されても、その内部当選役に対応する入賞図柄を停止表示させることができなければ入賞を獲得することはできない。
【0003】
従来より、1回のゲームの実行に必要な遊技媒体数である媒体賭け数として複数パターンの媒体賭け数が設定されたスロットマシンが知られている。さらに、このようなスロットマシンの中には、媒体賭け数毎に役の内部当選確率が異なるスロットマシンもある(例えば、特許文献1参照。)。このスロットマシンの遊技では、通常状態においてはボーナス役の内部当選確率が低く設定された媒体賭け数による遊技のみが可能である。SB役が入賞すると、ボーナス役の内部当選確率が高く設定された媒体賭け数による遊技が可能なSB状態下のゲームが1回だけ実行される。
【0004】
このスロットマシンの遊技では、SB状態は1回のゲームですぐに終了して通常状態に復帰するものの、SB状態においてボーナス役が内部当選していれば通常状態への復帰後にそのボーナス役を入賞できる可能性がある。通常状態への復帰後にボーナス役に対応する入賞図柄を目押し停止できれば、直ちにボーナス役を入賞させてボーナス状態を発生させることができる。
【0005】
しかしながら、前記従来のスロットマシンでは、次のような問題がある。すなわち、SB状態等の特定状態が発生したにも関わらずボーナス役が全く入賞しなかった場合には、遊技者を落胆させるだけであり遊技を継続的に楽しませることが困難であるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−305161号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、ボーナス役等の特別役の内部当選確率が高いSB状態等の特定状態を発生させるスロットマシンであって、特定状態が発生したにも関わらず特別役が入賞しなかった場合にも遊技者の期待感を高く維持できる優れた特性のスロットマシンを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、複数の図柄表示領域において複数種類の図柄を所定の配列に従って変動表示する複数の変動表示部を備えた図柄変動表示手段と、
通常状態においては1回のゲームに対して賭けられた遊技媒体数である賭け数が所定の第一賭け数である場合にゲームの開始を許可する開始許可状態を設定するが所定の第二賭け数である場合には開始許可状態を設定せず、所定の特定状態においては前記賭け数が前記第二賭け数である場合に開始許可状態を設定するゲーム開始許可手段と、
ゲームを開始させるために遊技者が操作するゲーム開始操作手段と、
前記開始許可状態における前記ゲーム開始操作手段の操作に応じて、賭け数が前記第一賭け数である場合には特別役を含まない複数種類の役の中から内部当選役を決定するための内部抽選を実行し、賭け数が前記第二賭け数である場合には複数種類の特別役を含む複数種類の役の中から内部当選役を決定するための内部抽選を実行し、決定された内部当選役に対応する内部当選フラグを成立させる内部抽選手段と、
前記図柄変動表示手段による図柄の変動表示を停止させるために遊技者が操作する停止操作手段と、
前記停止操作手段の操作に応じて、前記内部当選フラグに対応する図柄を予め規定された引込範囲内で引き込んで図柄表示領域に停止表示させる表示制御手段と、
前記図柄変動表示手段の各図柄表示領域に停止表示された図柄の組合せが所定の入賞図柄であるか否かを判定する入賞判定手段と、
前記入賞判定手段により入賞図柄であると判定されたときに、当該入賞図柄に対応する利益を遊技者に付与する利益付与手段と、
前記入賞判定手段により所定の特定役の入賞図柄であると判定された場合に前記特定状態を発生させる一方、所定の特定状態終了条件が満たされたときに当該特定状態を終了させる特定状態発生手段と、
前記入賞判定手段により前記特別役の入賞図柄であると判定された場合に遊技者にとって有利な特別状態を発生させる特別状態発生手段と、
前記特別役の内部当選フラグである特別役フラグが成立しているにも関わらず、前記入賞判定手段により前記特別役の入賞図柄であると判定されなかった場合に当該特別役フラグを次のゲームに持ち越すフラグ持越手段と、を備え、
前記複数の変動表示部のうちの少なくとも何れか一の変動表示部では、前記複数種類の特別役の各入賞図柄のうち当該一の変動表示部に対応する各図柄すべてが同時に前記引込範囲内に含まれることがないように図柄が配列され、
前記表示制御手段は、何れかの特別役フラグが成立している場合において、前記特定状態では当該特別役フラグに対応する特別役の種類に応じた特定の停止操作が行われたときに当該特別役の入賞図柄を図柄表示領域に停止表示させる一方、当該特定の停止操作とは異なる停止操作が行われた場合には当該特別役の入賞図柄とは異なる図柄の組合せを停止表示させ、前記通常状態では停止操作に関わらず当該特別役の入賞図柄とは異なる図柄の組合せを停止表示させることを特徴とするスロットマシンにある(請求項1)。
【0009】
本発明のスロットマシンの遊技では、前記第一賭け数が設定されたゲームが実行される前記通常状態、及び前記第二賭け数が設定されたゲームが実行される前記特定状態が発生し得る。この特定状態は、前記複数種類の特別役が内部当選役として決定される可能性がある点で、特別役が内部当選役として決定される可能性がない前記通常状態と比べて有利となっている。
【0010】
このスロットマシンの遊技では、何れかの前記特別役が内部当選しても前記特定状態の発生中でなければその特別役を入賞させることができない。前記通常状態では、何れかの特別役フラグが成立していても特別役が入賞する可能性はゼロである。前記特定状態の発生中に内部当選した特別役を入賞できなければ、その後、新たな特定状態が発生するまで前記特別役フラグが持ち越されることになる。
【0011】
前記特定状態が発生した場合には、当該特定状態の発生中に特別役を入賞させることができなかったとしても特別役が内部当選している可能性がある。それ故、このスロットマシンによれば、前記特定状態が終了した後の遊技においても遊技者の期待感を維持させることができ、継続して遊技するように遊技者を動機付けできる。
【0012】
また、前記特定状態において前記特別役が内部当選した場合には、運がよければその特定状態の発生中に特別役を入賞させることができる。運が悪くともその後、特定状態が発生する毎に、前記複数種類の特別役の各入賞図柄を順番に狙って停止操作すれば、少なくとも特別役の種類数と同数の特定状態を消化するまでの間に内部当選した特別役を入賞させることが可能である。一方、前記特別役が内部当選しているか否かを判別できない状態であれば、前記特定状態が発生するだけで特別役の内部当選への期待感を高めると共に入賞への期待感も徐々に高めることができる。
【0013】
本発明のスロットマシンとしては、メダルやコインを遊技媒体とした狭義のスロットマシンのほか、パチンコ玉を遊技媒体としたパロット(R)などであっても良い。
また、前記特定状態発生手段における前記所定の特定状態終了条件としては、1回のゲームの終了が設定されていることが好ましい(請求項2)。
この場合には、前記特定状態が1回のゲームで即座に終了するため、遊技者の緊張感を高めることができる。
【0014】
また、前記特定状態において何れかの特別役フラグが成立している場合に、対応する特別役の入賞図柄を停止表示させるための前記特定の停止操作を示す停止操作情報を報知可能な停止操作情報報知手段と、
前記通常状態における遊技結果、及び前記特別状態における遊技結果のうちの少なくとも何れか一方に応じて前記停止操作情報報知手段による報知を実行するか否かを決定する報知可否決定手段と、を備えていることが好ましい(請求項3)。
この場合には、前記通常状態における遊技結果や、前記特別状態における遊技結果に対して遊技者の関心を一層、惹き付けることができるようになる。遊技者にあっては、通常状態の発生中や、特別状態の発生中における遊技の興趣が高められる。
【0015】
また、前記通常状態及び前記特定状態のうちの少なくとも何れか一方の状態において何れかの特別役フラグが成立しているときに前記特定の停止操作を示す停止操作情報を報知可能な停止操作情報報知手段を備えていることが好ましい(請求項4)。
【0016】
この場合には、何れかの特別役フラグが成立していれば前記通常状態の発生中又は前記特定状態の発生中に前記停止操作情報が報知される可能性が生じる。前記通常状態や前記特定状態の発生中に前記停止操作情報が報知されるか否かについて遊技者が関心を抱くようになる。
【発明の効果】
【0017】
本発明のスロットマシンは、特別役の内部当選確率が高い特定状態が発生したにも関わらず特別役が入賞しなかった場合にも遊技者の期待感を高く維持可能な優れた特性のスロットマシンである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施例1における、スロットマシンの外観を示す正面図。
【図2】実施例1における、入賞ラインの構成を示す説明図。
【図3】実施例1における、スロットマシンの役、入賞図柄、利益を示す説明図。
【図4】実施例1における、リールの外周に配置された図柄の配列を展開して示す展開図。
【図5】実施例1における、スロットマシンの電気的な構成を示すブロック図。
【図6】実施例1における、内部当選役抽選テーブルを示す説明図。
【図7】実施例1における、通常状態用のAT抽選テーブルを示す説明図。
【図8】実施例1における、SB状態用のAT抽選テーブルを示す説明図。
【図9】実施例1における、遊技状態の遷移を示す状態遷移図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施の形態につき、以下の実施例を用いて具体的に説明する。
(実施例1)
本例は、ボーナス役の内部当選確率が高い特定状態を発生させるスロットマシン1に関する例である。この内容について、図1〜図9を用いて説明する。
【0020】
まず、本例のスロットマシン1の外観的な構成について、図1を参照して説明する。スロットマシン1では、遊技者に対面する前面部分が、略矩形状の図柄表示窓11を略中央に設けた前面枠体10によって形成されている。前面枠体10は、図柄表示窓11の上側に、液晶表示部53、左右一対のスピーカ520及び装飾ランプ部56を配置してなる。図柄表示窓11の下側には、スロットマシン1の基部をなすベース部100が形成されている。図柄表示窓11の右側には、メダル払出数を表示する払出数表示部551、及びクレジット数を表示するクレジット数表示部552が配置されている。
【0021】
ベース部100は、遊技者から奥まって位置する図柄表示窓11に対して相対的に張り出すように形成されている。ベース部100は、図柄表示窓11に隣り合う上端部にテーブル状の操作面14を有し、メダル(遊技媒体)を払い出すメダル受け皿15を下端部に有し、操作面14とメダル受け皿15との間に操作パネル13を有している。
【0022】
操作面14には、クレジット機能によりクレジット(貯留)されたメダルを賭けるためのベットボタン64と、クレジットされたメダルを払い出させるための精算ボタン65と、メダルを直接賭けるためのメダル投入口630とが配置されている。操作パネル13には、リール21の図柄変動を開始させるためのスタートレバー62(ゲーム開始操作手段)と、図柄変動を停止させるためのストップボタン61(停止操作手段)とが配置されている。
【0023】
ベットボタン64は、クレジットされたメダルの中から1回のゲームに必要な賭け数に当たるメダルを賭けるためのボタンである。ベットボタン64は、三枚賭けのゲーム(第一賭け数が設定されたゲーム)では賭け数3を表す3ベット信号を発生する一方、二枚賭けのゲーム(第二賭け数が設定されたゲーム)では賭け数2を表す2ベット信号を発生する。ただし、残りのクレジットが1回のゲームに必要な賭け数に満たない場合には、2ベット信号あるいは1ベット信号を発生し、クレジットがゼロの場合は、ベット信号を発生しない。
【0024】
スタートレバー62は、遊技者の操作に応じてリール21の制御信号であるゲーム開始信号を発生する操作レバーである。スロットマシン1では、メダルの直接投入、あるいはベットボタン64の操作等によりメダルが賭けられたことを前提として、スタートレバー62を有効に操作可能な開始許可状態が設定される。
【0025】
ストップボタン61は、遊技者の操作に応じてリール21の制御信号である変動停止信号を発生する操作ボタンである。本例のストップボタン61は、左リール21Lに対応する左ストップボタン61L、中リール21Cに対応する中ストップボタン61C、及び右リール21Rに対応する右ストップボタン61Rを組み合わせてなる。
【0026】
図柄表示窓11は、図1に示すごとく、図柄表示領域110L、C、Rを含む表示窓である。各図柄表示領域110L、C、Rは、いずれも3図柄分の図柄表示領域である。図柄表示窓11全体では、3行3列よりなる2次元マトリクス状に配置された9図柄分の図柄表示領域が形成されている。図柄表示窓11は、遊技者側から図柄20が見えるように、窓全体が透明な樹脂プレートにより形成されている。
【0027】
2次元マトリクス状に9個の図柄20が配置される図柄表示領域においては、図2に示すごとく、入賞の対象となる入賞図柄の並び方向である入賞ライン211〜214が設定されている。本例では、対角方向の入賞ライン211、212と、V字状の入賞ライン213と、逆V字状の入賞ライン214とよりなる4ラインの入賞ラインが設定されている。図柄表示領域110L、Rに表示される3図柄のうち中段の図柄を除く2図柄が何れかの入賞ライン上に位置し得る一方、図柄表示領域110Cでは3図柄のうちの中段の1図柄のみが4本全ての入賞ライン上に同時に位置することになる。
【0028】
各図柄表示領域110L、C、Rの裏側には、図柄変動表示手段2を構成するリール21L、C、Rがそれぞれ配置されている。リール21L、C、Rは、円柱形状をなし、その外周面において略一定の間隔を空けて21個の図柄20が配置された回転式のリールである。なお、各リール21L、C、Rにおける図柄配列については、図4を参照して後述する。また、リール21としては、本例の回転式のリールに代えて、液晶ディスプレイに図柄を変動表示する画像式のリールを採用することもできる。
【0029】
スピーカ520及び装飾ランプ部56は、図1に示すごとく、音あるいは光により遊技を演出するための演出手段である。
払出数表示部551は、入賞時のメダル払出数を表示する表示部である。
クレジット数表示部552は、クレジット機能によりクレジット(貯留)されたメダル数を表示する表示部である。
液晶表示部53は、液晶ディスプレイよりなる。液晶表示部53は、AT状態下の報知演出画面(図示略)のほか、各種の演出画面を表示する。
【0030】
次に、本例のスロットマシン1の役、図柄配列、遊技性の概要について説明する。
スロットマシン1では、図3に示すごとく役が設定されている。同図では、左列に各役の名称を、中列に各役に対応する図柄の組合せである入賞図柄を、右列に入賞に応じて遊技者に付与される利益を示してある。入賞図柄は、左、中、右の3図柄の組合せよりなる。スロットマシン1では、内部抽選により当選した役が内部当選役になる。
【0031】
役としては、BB役A・B、6種類のRB役A〜F(特別役)、SB役(特定役)、3種類の9枚役A〜C、3枚役、及びリプレイ役等が設定されている。RB役A〜Fは、各リール21L、C、Rにおける「黒7」及び「白7」の全通りの組合せである全8種類(2の3乗)の入賞図柄の中からBB役A・Bの入賞図柄を除外した6種類の入賞図柄にそれぞれ対応している。9枚役A〜Cは、中リール21C及び右リール21Rに対応する「ベル」が共通している一方、左リール21Lに対して「白7」、「黒7」、「灰7」を組み合わせた3種類の入賞図柄にそれぞれ対応している。なお、3枚役は、AT状態を発生させるか否か等を決定するためのAT抽選の契機となるAT抽選役となっている。
【0032】
各リール21L、C、Rにおける図柄配列は、図4の通りである。まず、RB役A〜Fに対応する「黒7」、「白7」の配置について説明する。各リール21L、C、Rでは、「黒7」及び「白7」の最大間隔が7図柄を超えている。ここで、本例のスロットマシン1では、後述するごとくリール21が停止する際の引込範囲として4図柄分に相当する範囲が設定されている。また、前述するごとく図柄表示領域110L、Rでは、上段下段の中抜きの3図柄幅に渡って入賞ラインが設定されている。さらに、図柄表示領域110Cでは、中段の1図柄のみに入賞ラインが設定されている。
【0033】
したがって、各リール21L、C、Rにおいて、「黒7」及び「白7」は、停止操作のタイミングによっては引込範囲内に含まれず、入賞ライン上に停止表示させることができない場合がある目押しの必要な図柄となっている。それ故、各RB役は、全てのリール21L、C、Rにおいて目押しの必要な役となっている。また、リール21L、Rにおいて「黒7」と「白7」とは6図柄以上離れて配列され、リール21Cにおいて「黒7」と「白7」とは4図柄以上離れて配列されている。つまり、各リール21L、C、Rでは、「黒7」と「白7」とが同時に引込範囲内に含まれないように図柄が配列されている。
【0034】
左リール21Lにおいて9枚役A〜Cに対応する「白7」、「黒7」、「灰7」は、6図柄ずつの間隔を空けて1図柄ずつ配列されている。また、前述するごとく図柄表示領域110Lでは、上段下段の中抜きの3図柄幅に渡って入賞ラインが設定されている。前記のごとくリール21が停止する際の引込範囲が4図柄分であるから、左リール21Lにおける図柄「7」は、停止操作のタイミングに関わらず何れかの「7」が必ず引込範囲内に存在し、その種類が問われなければ必ず、入賞ライン上に停止表示させ得る図柄となっている。
【0035】
一方、右リール21Rにおける「ベル」は、最大間隔5図柄で配列されている。右リール21Rに対応する図柄表示領域110Rでは、上段下段の中抜きの3図柄幅に渡って入賞ラインが設定されている。前記のごとくリール21が停止する際の引込範囲が4図柄分であるから、右リール21Rにおける「ベル」は、停止操作のタイミングに関わらず必ず引込範囲内に存在し、入賞ライン上に停止表示させ得る目押しの必要のない図柄となっている。
【0036】
中リール21Cにおける「ベル」は、最大間隔4図柄で配列されている。中リール21Cに対応する図柄表示領域110Cでは、中断の1図柄のみに入賞ラインが設定されている。前記のごとくリール21が停止する際の引込範囲が4図柄分であるから、中リール21Cにおける「ベル」は、停止操作のタイミングに関わらず必ず引込範囲内に存在し、入賞ライン上に停止表示させ得る目押しの必要のない図柄となっている。
【0037】
以上のことから9枚役A〜Cの何れか1種類が内部当選した際、内部当選した9枚役の種類の報知があれば比較的容易に入賞できる一方、報知がない状態では入賞可能性が低くなる。一方、9枚役A〜Cが同時当選した際には、停止操作のタイミングに関わらず必ず何れかの9枚役を入賞できる。
【0038】
スロットマシン1で発生する遊技状態は、以下の通りである。
(1)BB状態:最も有利な遊技状態。メダルの払出数が465枚を超えたときに終了する。
(2)通常RT0状態:通常状態の一態様。滞在時間が最も長い基本となる遊技状態。
(3)通常RT1状態:通常状態の一態様。通常RT0状態よりもリプレイ役の内部当選確率が高く有利な通常状態。内部当選役が報知されるAT状態が発生する場合がある。
(4)SB状態(特定状態):SB役の入賞に応じて発生し得る1ゲーム限りの遊技状態。RB役が高確率で内部当選し得る。内部当選役が報知されるAT状態が発生する場合がある。
(5)RB状態(特別状態):BB状態の次に有利な遊技状態。メダルの払出数が120枚を超えたときに終了する。
【0039】
BB状態、通常RT0状態及び通常RT1状態は、三枚(第一賭け数)のメダルが賭けられたゲームである三枚賭けのゲームが実行される状態である。SB状態及びRB状態は、二枚(第二賭け数)のメダルが賭けられたゲームである二枚賭けのゲームが実行される状態である。なお、通常RT1状態及びSB状態では、入賞を容易にするための報知演出が実行されるAT状態が併せて発生する場合がある。なお、以上の各遊技状態間の状態遷移については、図9を参照して後で詳しく説明する。
【0040】
次に、本例のスロットマシン1の電気的な構成について、図5を参照して説明する。スロットマシン1の全体動作を制御する制御部3に対しては、既出の構成のほか、メダル投入口630(図1)を介して直接投入されたメダルを検知する投入メダル検知部63、リール21と共に図柄変動表示手段2を構成するリール駆動部22、リール21の回転位置を検知する基準位置検知部66、メダルを払い出すメダル払出部54、払出数表示部551やクレジット数表示部552を含む各種表示部55、遊技者の有利度合いを表す設定値を設定するための設定値操作部68、及びスピーカ520を制御する音声出力部52等が電気的に接続されている。
【0041】
投入メダル検知部63は、メダル投入口630から直接投入されたメダルの検知部である。投入メダル検知部63は、メダル投入口630からメダルが投入される毎にインサート信号を出力する。なお、本例のスロットマシン1では、メダルの直接投入やベットボタン64の操作等により所定の賭け数に当たるメダルが賭けられた際、スタートレバー62の操作に応じてゲームを開始可能な開始許可状態が設定される。
【0042】
リール駆動部22は、ステップ単位で制御可能なステッピングモータ(図示略)を含み、このステッピングモータの回転駆動力によりリール21を回転駆動する手段である。
基準位置検知部66は、各リール21L、C、Rについて基準位置片の通過を検知し、検知信号を出力する検知部である。
【0043】
メダル払出部54は、入賞役に応じた枚数(図3参照。)のメダルを払い出す払出部である。例えば、9枚役が入賞役である場合には、9枚のメダルが払い出される。
設定値操作部68は、設定キー680を利用して、ボーナス役等の内部当選確率が異なる6段階の設定値を変更するための操作部である。
【0044】
制御部3に接続された液晶表示部53は、AT状態の発生中において内部当選役を入賞させるための報知演出手段7としての機能を備えている。報知演出手段7は、通常RT1状態下で9枚役A〜Cの何れかが内部当選した場合に内部当選した9枚役の入賞図柄を液晶表示部53に表示する。また、SB状態下でRB役A〜Fの何れかが内部当選した場合に内部当選したRB役の入賞図柄を液晶表示部53に表示する。特に、SB状態におけるRB役の入賞図柄を報知すれば、そのRB役を入賞させるための停止操作タイミング(特定の停止操作)を示す停止操作情報を遊技者に報知できる。本例の報知演出手段7は、停止操作情報を報知する停止操作情報報知手段としての機能を備えている。
【0045】
制御部3は、図5に示すごとく、CPU31と、メモリ手段であるROM33・RAM34と、入出力インターフェースとしてのI/O部32と、乱数を発生する乱数発生部350と、乱数を抽出する乱数抽出部35とを有している。CPU31は、ROM33から読み込みしたソフトウェアプログラムを実行することにより、内部当選役を抽選する内部抽選手段41、内部当選役に対応する内部当選フラグを制御するフラグ持越手段42、リール21を制御する表示制御手段43、ゲーム開始可能な開始許可状態を設定するゲーム開始許可手段431、入賞に応じて利益を付与する利益付与手段45、停止表示された図柄の組合せが入賞図柄であるか否か判定する入賞判定手段46、特定状態であるSB状態を発生させる特定状態発生手段47、特別状態であるRB状態を発生させる特別状態発生手段48、AT状態を発生させるか否か等を抽選により決定する報知可否決定手段49としての各機能を実現する。
【0046】
メモリ手段であるRAM34の記憶領域には、AT状態の残実行回数を記憶するATカウンタ341が設定されている。ATカウンタ341のカウンタ値は、後述するAT抽選により決定された実行回数が加算される一方、AT状態が発生する毎に1回ずつ減算される。
【0047】
メモリ手段であるROM33は、内部当選役の抽選に用いる内部当選役抽選テーブル(図6)、リール21の停止制御に用いるリール制御テーブル(図示略)、及びAT抽選のためのAT抽選テーブル(図7及び図8)を記憶している。
リール制御テーブルは、入賞ライン211〜214上に停止可能な停止位置が規定されたテーブルである。
【0048】
内部当選役抽選テーブルは、図6に示すごとく、内部当選役を抽選により決定するための抽選テーブルである。内部当選役抽選テーブルでは、0〜65535の乱数範囲のうち、各役の当選乱数が規定されている。本例のスロットマシン1では、遊技状態毎の内部当選役抽選テーブルが設定値毎(図示略)に用意されている。
【0049】
同図から知られるように通常RT1状態用の内部当選役抽選テーブルでは、通常RT0状態と比べてリプレイ役の当選乱数が多く設定されている。SB状態用の内部当選役抽選テーブルでは、各RB役及び3枚役の当選乱数が多く設定されている。BB状態及びRB状態用の内部当選役抽選テーブルでは、0〜65535の乱数範囲のほぼ100%が9枚役A〜Cの同時当選乱数として設定されている。
【0050】
AT抽選テーブルでは、0〜255の範囲の256個の乱数のうち、0回〜5回までの各実行回数に対する当選乱数の個数が図7及び図8に示すごとく設定されている。図7は通常状態用のAT抽選テーブルを示し、図8はSB状態用のAT抽選テーブルを示している。例えば、図7の通常状態用のAT抽選テーブルでは、実行回数ゼロ回に対する当選乱数の個数が200個であり、それ故、通常RT0状態を含む通常状態下のAT抽選では、実行回数ゼロ回、すなわちAT状態を発生させない旨が高確率で決定され得る。
【0051】
一方、図8のSB状態用のAT抽選テーブルでは、実行回数ゼロ回に対する当選乱数が未設定である一方、実行回数1回に対する当選乱数の個数が128個となっている。それ故、SB状態下のAT抽選では、1/2の確率で実行回数1回が当選し得る一方、AT状態を発生させない旨が決定されることはない。このように本例では、1ゲーム限りのSB状態においてAT抽選役である3枚役が内部当選した際の有利度合いを高く設定してある。
【0052】
前記乱数発生部350は、図5に示すごとく、所定の整数範囲に属する乱数を発生する部分である。乱数発生部350が発生する乱数としては、内部当選役抽選用の0〜65535の範囲に属する乱数と、AT抽選用の0〜255の範囲に属する乱数とがある。
【0053】
乱数抽出部35は、抽選用の乱数を抽出する部分である。乱数抽出部35は、乱数発生部350が発生する乱数の中から抽選用の乱数を抽出する。乱数抽出部35は、スタートレバー62の操作に応じたゲーム開始信号を契機として内部当選役抽選用の乱数を抽出し、AT抽選役である3枚役の内部当選に応じてAT抽選用の乱数を抽出する。
【0054】
内部抽選手段41は、内部抽選により内部当選役を決定し、その内部当選役に対応する内部当選フラグを成立させる手段である。内部抽選手段41は、発生中の遊技状態に応じた内部当選役抽選テーブル(図6)に規定された各役の当選乱数に対して内部当選役抽選用の乱数を照合して内部当選役を決定し、内部当選役に対応する内部当選フラグを成立させる。
【0055】
ここで、本例では、三枚賭けにより開始許可状態が設定される通常状態RT0状態及び通常RT1状態におけるRB役の内部当選確率がゼロとなっている。一方、二枚賭けにより開始許可状態が設定されるSB状態におけるRB役の内部当選確率が高確率に設定されている。さらに、本例の内部抽選手段41は、RB役に対応する内部当選フラグであるRB役フラグ(特別役フラグ)に対して、契機となったRB役が入賞したゲームの賭け数を関連付ける。
【0056】
フラグ持越手段42は、内部当選役に対応する内部当選フラグを制御する手段である。フラグ持越手段42は、ボーナス役以外の他の役の内部当選フラグについては、当該内部当選フラグが初めて成立したゲームで入賞したか否かに関わらず次のゲームが開始されるまでにオフ状態(ゼロ)にリセットする。したがって、ボーナス役以外の各役が内部当選したゲームで入賞しなかった場合、全て取りこぼしとなる。一方、ボーナス役の内部当選フラグであるボーナス役フラグについては、入賞するまで内部当選フラグの成立状態を次回のゲームに順次、持ち越し、入賞に応じてオフ状態にリセットする。
【0057】
報知可否決定手段49は、AT状態下の報知演出の実行回数を決定するためのAT抽選を実行する手段である。報知可否決定手段49は、AT抽選役である3枚役の内部当選に応じて乱数抽出部35が抽出したAT抽選用の乱数をAT抽選テーブル(図7又は図8)と照合することによりAT抽選を実行する。実行回数ゼロ回の場合にはAT状態を発生させない一方、1回以上の実行回数が当選した場合にAT状態を発生させる。報知可否決定手段49は、決定された実行回数をATカウンタ341の残実行回数に加算する。
【0058】
ATカウンタ341の残実行回数が1以上の場合に3枚役が内部当選したときにもAT抽選が実行され、決定された実行回数が加算される。なお、スロットマシン1では、AT状態の制御フラグであるATフラグがオフ状態であるときにATカウンタ341の残実行回数が1以上であった場合、残実行回数の1回減算に応じてATフラグがオン状態に設定される。
【0059】
表示制御手段43は、図5に示すごとく、ゲーム開始信号に応じてリール21の図柄変動を開始すると共に、変動停止信号に応じてリール21の図柄変動を停止させる手段である。表示制御手段43は、リール駆動部22を構成するステッピングモータに制御パルスを入力し、1パルス毎に1ステップずつステッピングモータを回転させる。表示制御手段43は、リール駆動部22に入力した制御パルス数、すなわちステッピングモータが回転したステップ数をカウントする。特に、本例の表示制御手段43は、各リール21の基準位置片の検知信号を取り込むごとにステップ数をゼロリセットすることで、直近の検知信号の後に生じたステップ数をカウントしている。
【0060】
表示制御手段43は、規則(遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則)等が定める所定の引込範囲内の図柄を入賞ライン上に停止させる、いわゆる引込制御を実行する手段である。本例では、引込範囲として4図柄分に相当する範囲が設定されている。表示制御手段43は、変動停止信号を取り込みした際のステップ数をリール制御テーブルと照合し、停止位置を決定する。表示制御手段43は、決定した停止位置に当たる図柄を引き込んでリール21を停止させる。
【0061】
本例の表示制御手段43は、RB役に対応する内部当選フラグであるRB役フラグが成立している場合、当該RB役フラグに関連づけされた賭け数と同数の賭け数が設定されたゲームであることを前提条件として、そのRB役フラグに対応するRB役の入賞図柄を入賞ライン上に停止表示させる。すなわち、二枚賭けのSB状態下のゲームで内部当選したRB役は、通常RT0状態あるいは通常RT1状態下では入賞できず、SB状態においてのみ入賞可能となっている。
【0062】
ゲーム開始許可手段431は、ゲームを開始が許可された状態である開始許可状態を設定する手段である。ゲーム開始許可手段431は、通常RT0状態、通常RT1状態及びBB状態では、メダル三枚が賭けられたときに開始許可状態を設定する。一方、SB状態及びRB状態では、メダル二枚が賭けられたときに開始許可状態を設定する。
【0063】
入賞判定手段46は、図5に示すごとく、3つのリール21L、C、Rが停止表示する図柄組合せを判定する手段である。具体的には、入賞判定手段46は、3つのリール21L、C、Rを横断するように設定された入賞ライン211〜214上に停止した図柄組合せに応じて入賞・ハズレを判定する。入賞判定手段46は、各リール21L、C、Rが停止した後、リール21L、C、Rに対応する各ステッピングモータ(リール駆動部22)のステップ数を取り込む。入賞判定手段46は、このステップ数を基にして入賞ライン211〜214上に停止した図柄20の種類を求め、その図柄組合せについて入賞役の種類又はハズレを判定する。
【0064】
利益付与手段45は、入賞判定手段46が判定した入賞役に応じた利益を付与する手段である。例えば、RB役が入賞役である場合には、利益付与手段45は、RB状態の発生という利益を付与する。9枚役が入賞役である場合には、9枚のメダルの払い出しという利益を付与する。
【0065】
特定状態発生手段47は、SB役の入賞に応じて特定状態であるSB状態を発生させる手段である。特定状態発生手段47は、1ゲームの実行という条件(所定の特定状態終了条件)が満たされたときにSB状態を終了させる。なお、スロットマシン1の遊技では、SB状態及び通常RT1状態の発生中であって、かつ、前記ATフラグがオン状態であるとき、AT状態が開始され、内部当選した9枚役(通常RT1状態)あるいはRB役(SB状態)の入賞図柄が報知される。ATフラグは、報知された9枚役が取りこぼされたとき、又はRB役が報知されたときにオフ状態にリセットされる。
【0066】
特別状態発生手段48は、SB役の入賞に応じてRB状態を発生させる手段である。特別状態発生手段48は、メダルの払出数が120枚を超えたときにRB状態を終了する。スロットマシン1においてRB状態が終了すると前記通常RT1状態へ復帰する。
【0067】
次に、図9を参照してスロットマシン1における遊技状態が遷移する様子について説明する。このスロットマシン1の遊技では、基本的には、三枚賭けのゲームのみが実行される通常状態が発生している。通常状態としては、遊技者にとって不利な通常RT0状態のほか、リプレイ役の内部当選確率が高い通常RT1状態がある。
【0068】
通常状態においてSB役が入賞すると二枚賭けのゲームが1ゲームだけ実行されるSB状態が発生する。このSB状態は、RB役が高確率で内部当選し得る期待度の高い遊技状態である。ただし、RB役は6種類あり、RB役が内部当選しても対応する入賞図柄を揃えることができなければ入賞できないまま再度、通常状態へ移行する。RB役が内部当選し、かつ、入賞できなかった場合には、当該RB役に対応する内部当選フラグであるRB役フラグは成立状態のまま次のゲームに持ち越される。
【0069】
このRB役フラグには、そのRB役が内部当選したゲームの賭け数である二枚(第二賭け数)が関連付けされている。スロットマシン1では、賭け数二枚が関連付けされたRB役フラグによる入賞は、二枚賭けのゲームでしか発生し得ないように設定されている。それ故、SB状態のゲームで初めて成立したRB役フラグは、次回のSB状態まで持ち越しされることになる。なお、RB役フラグの持越状態であっても、通常状態では小役はもちろんのことSB役やBB役の内部抽選が実行されるようになっている。
【0070】
RB役フラグの持越状態で新たなSB状態が発生した場合には、そのSB状態ではRB役の内部抽選は実行されない。ただし、持ち越されたRB役フラグに対応するRB役の入賞図柄を停止表示させることは可能であり、停止表示されればRB役の入賞となる。したがって、何れかのRB役フラグが成立した場合、SB状態が発生する毎にRB役A〜Fの6種類の入賞図柄を順番に目押しすれば、少なくともRB役が内部当選してから6度目のSB状態が発生するまでにそのRB役を入賞させることができる。
【0071】
スロットマシン1の遊技では、通常RT1状態及びSB状態においてAT状態が発生する可能性がある。AT状態が発生すれば、SB状態下では内部当選したRB役の入賞図柄の報知に応じてRB状態の発生可能性が高くなる。通常RT1状態では、単独で内部当選した9枚役の入賞図柄の報知に応じて9枚役の取りこぼしを回避でき、AT状態を継続させることが可能になる。通常RT1状態では、リプレイ役の入賞確率も高まるのでメダルを減らすことなく、RB状態の連続的な発生が可能となる。
【0072】
通常RT1状態は、RB状態の終了後、及びBB状態の終了後に発生する。この通常RT1状態は、内部当選した9枚役の取りこぼしに応じて終了し、有利度合いの低い通常RT0状態に移行する。通常RT1状態が発生したとき、ATカウンタ341の残実行回数が1以上である場合にAT状態が発生する。このとき、ATフラグがオン状態に設定されると共にATカウンタ341の残実行回数が1回減算される。
【0073】
通常RT1状態下のAT状態では、9枚役の内部当選フラグである9枚役フラグの何れかが成立している場合に、対応する9枚役の入賞図柄が液晶表示部53に表示されるという報知演出が実行される。前述のごとく、9枚役のハズレ図柄は、通常RT1状態の終了図柄となっている。そのため、内部当選した9枚役を把握できれば、通常RT1状態の終了に応じた通常RT0状態の発生を確実性高く回避できる。
【0074】
一方、SB状態下のAT状態では、RB役の内部当選フラグであるRB役フラグの何れかが成立している場合に、対応するRB役の入賞図柄が液晶表示部53に表示されるという報知演出が実行される。なお、1回のAT状態の発生期間は、AT状態の開始後、RB役の報知演出の実行、又は報知演出した9枚役の取りこぼしまでの期間が設定されている。それ故、ATフラグは、RB役の報知演出の実行、又は報知演出した9枚役の取りこぼしに応じて一旦、オフ状態にリセットされる。ATフラグがリセットされても、ATカウンタ341の残実行回数が1以上であれば、残実行回数の1回減算に応じてATフラグが再度オン状態となり、AT状態が継続し得る。
【0075】
スロットマシン1の遊技では、AT状態が発生した場合には、SB状態でRB役を比較的容易に入賞させてRB状態を発生でき、その終了後に通常RT1状態が発生してAT状態をそのまま継続できる可能性が高い、遊技者の期待度が高まる熱い状態が発生し得る。
【0076】
以上の通り、本例のスロットマシン1の遊技では、RB役の期待度の高いSB状態が発生した際に直ちにRB役が入賞しなくてもRB役が内部当選している可能性がある。遊技者にあっては、SB状態が発生した際に直ちにRB役が入賞しなくてもRB役に対する期待感を維持しながら遊技を継続できる。特に、AT状態が発生した場合には、SB状態におけるRB役の入賞に応じてRB状態を発生させ易くなると共に、RB状態の終了に応じて発生する通常RT1状態を継続し易くなる。この場合には、通常RT1状態→SB状態→RB状態→通常RT1状態→SB状態→RB状態・・・という有利度合いの高い遊技サイクルが展開される可能性が高くなる。
【0077】
なお、遊技者が狙ったが入賞しなかったRB役を液晶表示部53等により表示するようにしても良い。狙ったか否かの判定は、遊技者に狙った入賞図柄を入力させても良いし、停止操作のタイミングにより判定しても良い。
また、SB状態において所定の条件を満たした場合には、次回のゲームにおいて再度SB状態を発生させるようにしても良い。所定の条件としては、例えば、所定の役に内部当選又は入賞したこと、所定の図柄組合せが停止表示されたこと等を設定可能である。
【0078】
なお、通常状態やRB状態における遊技結果に基づいて、SB状態の発生期間を決定するようにしても良い。この場合、通常状態やRB状態における遊技結果が、RB状態の連続的な発生の可否に大きく影響するようになる。通常状態やRB状態における遊技結果に対する遊技者の関心を惹き付け、これらの遊技状態の発生中における遊技の興趣を高めることができる。
【0079】
なお、本例は、RB役フラグに対して賭け数を関連付けた例である。本例では、賭け数が二枚である特定状態で成立し、賭け数二枚が関連付けされたRB役フラグに応じては、賭け数が3枚である通常状態においてRB役の入賞を発生させないようにしている。このような構成であれば、このRB役の入賞に応じて発生するRB状態と同じ抽選確率で、かつ、同じ終了条件の状態を発生させることが可能な役を通常状態において抽選し、入賞可能としても良い。この場合、この通常状態において入賞可能な役とRB役とで、共通の入賞図柄を設定したり、共通の内部当選フラグを設定することも良い。
【0080】
また、本例のごとく通常状態ではRB役が内部当選する可能性がない場合には、RB役フラグに対する賭け数の関連付けを省略することも可能である。通常状態においてはRB役の入賞図柄が停止表示されないように構成し、RB役の入賞が発生しないように構成すれば良い。
【0081】
以上、実施例1のごとく本発明の具体例を詳細に説明したが、これらの具体例は、特許請求の範囲に包含される技術の一例を開示しているにすぎない。言うまでもなく、具体例の構成や数値等によって、特許請求の範囲が限定的に解釈されるべきではない。特許請求の範囲は、公知技術や当業者の知識等を利用して前記具体例を多様に変形あるいは変更した技術を包含している。
【符号の説明】
【0082】
1 スロットマシン
11 図柄表示窓
110 図柄表示領域
2 図柄変動表示手段
21 リール
3 制御部
35 乱数抽出部
350 乱数発生部
41 内部抽選手段
42 フラグ持越手段
43 表示制御手段
431 ゲーム開始許可手段
45 利益付与手段
46 入賞判定手段
47 特定状態発生手段
48 特別状態発生手段
49 報知可否決定手段
61 ストップボタン(停止操作手段)
62 スタートレバー(ゲーム開始操作手段)
7 報知演出手段(停止操作情報報知手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の図柄表示領域において複数種類の図柄を所定の配列に従って変動表示する複数の変動表示部を備えた図柄変動表示手段と、
通常状態においては1回のゲームに対して賭けられた遊技媒体数である賭け数が所定の第一賭け数である場合にゲームの開始を許可する開始許可状態を設定するが所定の第二賭け数である場合には開始許可状態を設定せず、所定の特定状態においては前記賭け数が前記第二賭け数である場合に開始許可状態を設定するゲーム開始許可手段と、
ゲームを開始させるために遊技者が操作するゲーム開始操作手段と、
前記開始許可状態における前記ゲーム開始操作手段の操作に応じて、賭け数が前記第一賭け数である場合には特別役を含まない複数種類の役の中から内部当選役を決定するための内部抽選を実行し、賭け数が前記第二賭け数である場合には複数種類の特別役を含む複数種類の役の中から内部当選役を決定するための内部抽選を実行し、決定された内部当選役に対応する内部当選フラグを成立させる内部抽選手段と、
前記図柄変動表示手段による図柄の変動表示を停止させるために遊技者が操作する停止操作手段と、
前記停止操作手段の操作に応じて、前記内部当選フラグに対応する図柄を予め規定された引込範囲内で引き込んで図柄表示領域に停止表示させる表示制御手段と、
前記図柄変動表示手段の各図柄表示領域に停止表示された図柄の組合せが所定の入賞図柄であるか否かを判定する入賞判定手段と、
前記入賞判定手段により入賞図柄であると判定されたときに、当該入賞図柄に対応する利益を遊技者に付与する利益付与手段と、
前記入賞判定手段により所定の特定役の入賞図柄であると判定された場合に前記特定状態を発生させる一方、所定の特定状態終了条件が満たされたときに当該特定状態を終了させる特定状態発生手段と、
前記入賞判定手段により前記特別役の入賞図柄であると判定された場合に遊技者にとって有利な特別状態を発生させる特別状態発生手段と、
前記特別役の内部当選フラグである特別役フラグが成立しているにも関わらず、前記入賞判定手段により前記特別役の入賞図柄であると判定されなかった場合に当該特別役フラグを次のゲームに持ち越すフラグ持越手段と、を備え、
前記複数の変動表示部のうちの少なくとも何れか一の変動表示部では、前記複数種類の特別役の各入賞図柄のうち当該一の変動表示部に対応する各図柄すべてが同時に前記引込範囲内に含まれることがないように図柄が配列され、
前記表示制御手段は、何れかの特別役フラグが成立している場合において、前記特定状態では当該特別役フラグに対応する特別役の種類に応じた特定の停止操作が行われたときに当該特別役の入賞図柄を図柄表示領域に停止表示させる一方、当該特定の停止操作とは異なる停止操作が行われた場合には当該特別役の入賞図柄とは異なる図柄の組合せを停止表示させ、前記通常状態では停止操作に関わらず当該特別役の入賞図柄とは異なる図柄の組合せを停止表示させることを特徴とするスロットマシン。
【請求項2】
前記特定状態発生手段における前記所定の特定状態終了条件としては、1回のゲームの終了が設定されていることを特徴とする請求項1に記載のスロットマシン。
【請求項3】
前記特定状態において何れかの特別役フラグが成立している場合に、対応する特別役の入賞図柄を停止表示させるための前記特定の停止操作を示す停止操作情報を報知可能な停止操作情報報知手段と、
前記通常状態における遊技結果、及び前記特別状態における遊技結果のうちの少なくとも何れか一方に応じて前記停止操作情報報知手段による報知を実行するか否かを決定する報知可否決定手段と、を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載のスロットマシン。
【請求項4】
前記通常状態及び前記特定状態のうちの少なくとも何れか一方の状態において何れかの特別役フラグが成立しているときに前記特定の停止操作を示す停止操作情報を報知可能な停止操作情報報知手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載のスロットマシン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−227278(P2010−227278A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−77794(P2009−77794)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000108937)ダイコク電機株式会社 (893)
【Fターム(参考)】