説明

スロットマシン

【課題】RT遊技中にAT遊技を実行し、抽選でAT遊技の継続を決定する場合に、AT遊技の実行(継続)回数の情報を外部に送信できるスロットマシンを提供する。
【解決手段】演出制御手段80は、RT遊技に移行したときは、RT終了小役の当選時にその図柄の組合せを停止させないためのストップスイッチ42の操作情報を報知するAT遊技を実行する。演出制御手段80は、AT遊技において20ゲームを消化したときは、AT遊技を継続するか否かを抽選により決定し、継続することに決定したときは、再度20ゲームのAT遊技を実行する。遊技制御手段60は、RT遊技中は、20ゲームに1回の割合で、RT信号を外部情報送信基板13に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、報知遊技(AT遊技)の実行回数を、スロットマシンの外部の遊技履歴表示装置に送信可能としたスロットマシンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のスロットマシンでは、遊技の進行を制御するメイン制御基板と、演出の出力を制御するサブ制御基板と、外部の遊技履歴表示装置に遊技履歴情報を送信するための外部情報送信基板(中継基板)とを備えている。そして、メイン制御基板からサブ制御基板に対し、遊技情報(役の抽選結果に関する情報等)を一方向で送信できるように、メイン制御基板とサブ制御基板とが電気的に接続されている。
一方、メイン制御基板から外部情報送信基板に対し、遊技履歴情報(BBゲーム実行回数等)を一方向で送信できるように、メイン制御基板と外部情報送信基板とが電気的に接続されている。
【0003】
ここで、当該遊技がRT(Replay Time )遊技である場合には、RT信号を遊技履歴表示装置(管理装置)に送信し続けるスロットマシンが知られている(例えば特許文献1の「0015」参照)。
なお、「遊技履歴表示装置」は、スロットマシンの設置店(ホール)の管理室に備えられる他に、ホール店内にも設置され、遊技者が自由に遊技履歴を閲覧できるようになっている。遊技者は、遊技履歴表示装置を操作して、これから遊技を行おうと考えている台の今日又は前日等のBBゲーム回数等を見て、その台の今日の設定値の予測やボーナス当選の流れ等を検討し、その台で遊技を行うか否かの判断材料としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−280709号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述の従来の技術では、RT遊技中に特定小役の抽選を行い、この特定小役に当選し、特定小役に対応する図柄の組合せが有効ラインに停止したとき(すなわち、特定小役の入賞時)に、RT遊技を終了するスロットマシンが知られている。また、RT遊技が開始されると、所定遊技回数(例えば20ゲーム)だけ、AT(Assist Time )遊技を実行するスロットマシンが知られている。具体的には、最初のAT遊技の終了時(20ゲーム消化時)に、AT遊技の継続抽選を行い、この継続抽選に当選したときには、次遊技から、再度、20ゲームのAT遊技を継続する。
【0006】
そして、AT遊技中では、特定小役に当選したときに、特定小役の入賞を回避するための操作情報(例えば、当選した特定小役の図柄の情報)を報知する。遊技者は、この報知に従い、当選した特定小役が有効ラインに停止しないように(当選した特定小役に係る図柄が表示窓内に停止しないように)ストップスイッチを操作することで、特定小役の入賞を回避することができる。
【0007】
これに対し、AT遊技の継続抽選に当選しなかったときは、次遊技以降に特定小役に当選しても、当選した特定小役の入賞を回避するためのストップスイッチの操作情報が報知されない。したがって、次遊技以降に特定小役に当選したときは、特定小役が入賞するか否かは運次第となる。そして、特定小役の当選時に、当選した特定小役が入賞しなかったときはRT遊技が継続するが、当選した特定小役が入賞したときは、当該遊技をもってRT遊技が終了する。
【0008】
以上の場合において、特許文献1の技術を用いると、メイン制御基板から、RT遊技が1回実行されたという遊技履歴情報が外部情報送信基板を介して遊技履歴表示装置に送信することができる。しかし、BBゲーム終了後には、無条件でRT遊技に移行するスロットマシンが知られているが、この場合は、BBゲームの実行回数とRT遊技の実行回数とが一致してしまい、RT遊技の実行回数を遊技者に開示しても、遊技者に実益がないという問題がある。
【0009】
これに対し、AT遊技の継続抽選を行う場合には、設定値ごとにAT遊技の継続抽選の当選確率を変えているのが一般的である。例えば設定値が高いほど、AT遊技の継続抽選の当選確率が高くなるように設定されている。
【0010】
このため、遊技者側から見れば、RT遊技の実行回数よりもAT遊技の継続回数を知ることが、そのスロットマシンの設定値を推測する上でメリットとなる。しかし、AT遊技の継続抽選は、サブ制御基板側で行われるものである(当選した特定小役に関する情報を報知するというAT遊技自体が演出の一態様であるため)。しかし、サブ制御基板と外部情報送信基板とは電気的に接続されていないので、サブ制御基板から外部情報送信基板に、AT遊技の継続回数を送信することができない。
これにより、AT遊技が何回継続したかにかかわらず、RT遊技の実行回数が1回という情報しか外部に送信することができなかった。
【0011】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、RT遊技中にAT遊技を実行するとともに、抽選でAT遊技を継続するか否かを決定するスロットマシンにおいて、AT遊技の実行(継続)回数の情報を外部に送信できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1の発明は、複数種類の図柄が表示されており、有効ラインに停止した図柄の組合せにより当該遊技の遊技結果を表示するための複数のリールと、遊技中における演出及び遊技情報を表示するための演出出力装置と、役の抽選、前記リールの回転及び停止制御を含む、遊技の進行を制御する遊技制御手段と、前記演出出力装置を制御する演出制御手段と、外部の遊技履歴表示装置に遊技履歴を送信するための外部情報送信手段とを備え、前記遊技制御手段は、前記演出制御手段に対して、遊技情報を一方向で送信するとともに、前記外部情報送信手段に対して、遊技履歴情報を一方向で送信するスロットマシンであって、遊技状態として、第1遊技状態と、前記第1遊技状態よりも遊技者にとって有利な第2遊技状態とを有し、前記遊技制御手段は、前記第2遊技状態に移行するための条件を満たしたときは、遊技状態を前記第2遊技状態に設定し、前記第2遊技状態では、特定役を含めて役の抽選を行い、前記特定役の当選時には、遊技者によるストップスイッチの操作に応じて、前記第2遊技状態を終了させる図柄の組合せが停止する場合と停止しない場合とを有するように前記リールを停止制御し、前記第2遊技状態において前記特定役に当選し、前記第2遊技状態を終了させる図柄の組合せが停止したときは、前記第2遊技状態の終了条件を満たすと判断し、前記第1遊技状態に移行するように制御し、前記演出制御手段は、前記第2遊技状態に移行した場合において所定条件を満たしたときに、その後の所定遊技回数の遊技において前記報知遊技を実行するように制御し、前記遊技制御手段は、前記第2遊技状態では、前記所定遊技回数に少なくとも1回の割合で、前記第2遊技状態である旨の遊技履歴情報を前記外部情報送信手段に送信するように制御することを特徴とする。
【0013】
また、上記請求項以外の解決手段は、以下の通りである。なお、かっこ書きで、対応する実施形態の一例を示す。
第1の解決手段は、複数種類の図柄が表示されており、有効ラインに停止した図柄の組合せにより当該遊技の遊技結果を表示するための複数のリール(左、中、及び右リール31)と、遊技中における演出及び遊技情報を表示するための演出出力装置(ランプ21、スピーカ22、画像表示装置23等)と、役の抽選、前記リールの回転及び停止制御を含む、遊技の進行を制御する遊技制御手段(メイン制御基板11、遊技制御手段60)と、前記演出出力装置を制御する演出制御手段(サブ制御基板12、演出制御手段80)と、外部の遊技履歴表示装置(遊技履歴表示装置100)に遊技履歴を送信するための外部情報送信手段(外部情報送信基板13)とを備え、前記遊技制御手段は、前記演出制御手段に対して、遊技情報を一方向で送信するとともに、前記外部情報送信手段に対して、遊技履歴情報を一方向で送信するスロットマシンであって、遊技状態として、第1遊技状態(通常遊技)と、前記第1遊技状態よりも遊技者にとって有利な第2遊技状態(RT遊技)とを有し、前記遊技制御手段は、前記第2遊技状態に移行するための条件を満たしたとき(BB遊技の終了時)は、遊技状態を前記第2遊技状態に設定し、前記第2遊技状態では、特定役(小役1A及び小役1B)を含めて役の抽選を行い、前記特定役の当選時には、遊技者によるストップスイッチの操作に応じて、前記第2遊技状態を終了させる図柄の組合せ(左リール31「赤チェリー」又は「青チェリー」)が停止する場合と停止しない場合とを有するように前記リールを停止制御し、前記第2遊技状態において前記特定役に当選し、前記第2遊技状態を終了させる図柄の組合せが停止したときは、前記第2遊技状態の終了条件を満たすと判断し、前記第1遊技状態に移行するように制御し、前記演出制御手段は、前記第2遊技状態に移行したときは、無条件で又は所定の条件を満たしたときに、前記特定役の当選時に前記第2遊技状態を終了させるための図柄の組合せを停止させないための情報を報知する報知遊技(AT遊技)を実行するように制御するとともに、前記報知遊技において所定遊技回数(20ゲーム)を消化したときは、前記報知遊技を継続するか否かを抽選により決定し、継続することに決定したときは、その後の所定遊技回数の遊技において前記報知遊技を実行するように制御し、継続しないことに決定したときは、その後の遊技では前記特定役の当選時であっても前記情報を報知しない非報知遊技を実行するように制御し、前記遊技制御手段は、前記第2遊技状態では、前記所定遊技回数に少なくとも1回(20ゲームに1回)の割合で、前記第2遊技状態である旨の遊技履歴情報(RT信号)を前記外部情報送信手段に送信するように制御することを特徴とする。
【0014】
第2の解決手段は、第1の解決手段において、前記遊技制御手段は、前記第2遊技状態への移行が決定した時(例えばBB遊技の終了時)、前記第2遊技状態に移行した時(RT遊技の開始時)又は前記第2遊技状態が開始されてから規定遊技回数経過後(RT遊技が開始されてから10ゲーム後)に、前記第2遊技状態である旨の遊技履歴情報の送信を前記外部情報送信手段に開始するように制御することを特徴とする。
【0015】
第3の解決手段は、第2の解決手段において、前記遊技制御手段は、前記第2遊技状態以外の遊技状態では、遊技状態移行役(小役4)を含めて役の抽選を行い、役の抽選で前記遊技状態移行役に当選し、前記遊技状態移行役に対応する図柄の組合せが有効ラインに停止したときは、遊技状態を前記第2遊技状態に移行するように制御するとともに、前記外部情報送信手段に、前記第2遊技状態である旨の遊技履歴情報の送信を開始し、所定時間の経過後(2秒後)にその送信を終了するように制御することを特徴とする。
【0016】
第4の解決手段は、第1〜第3の解決手段において、前記遊技制御手段では、前記スロットマシンの出玉率を定める複数の設定値(設定1〜設定6)の中からいずれか1つの設定値が設定されるともに、前記設定値が高いほど前記出玉率が高くなるように役の当選確率が設定され、前記演出制御手段は、前記設定値が高いほど、前記報知遊技を継続するか否かの抽選の当選確率が高くなるように設定することを特徴とする。
【0017】
第5の解決手段は、第1〜第4の解決手段において、前記演出制御手段は、前記第2遊技状態において、予め定められた一定の遊技回数(20ゲーム)を消化したときは、前記報知遊技を継続するか否かを抽選により決定することを特徴とする。
【0018】
第6の解決手段は、第1〜第4の解決手段において、前記遊技制御手段は、前記第2遊技状態では、1回の前記報知遊技の遊技回数を抽選により決定し、決定した遊技回数を前記演出制御手段に送信するように制御し、前記演出制御手段は、前記報知遊技を、前記遊技制御手段から送信されてきた遊技回数だけ実行するとともに、その遊技回数を消化したときは、前記報知遊技を継続するか否かを抽選により決定することを特徴とする。
【0019】
(作用)
上記解決手段においては、第2遊技状態に移行したときは、遊技制御手段から外部情報送信手段に対し、第2遊技状態である旨の遊技履歴情報が送信される。この情報の送信は、第2遊技状態中は、所定遊技回数に少なくとも1回送信され、第2遊技状態から第1遊技状態に移行したときは、その後は送信されなくなる。
また、演出制御手段側では、第2遊技状態において、報知遊技が実行される。報知遊技は、所定遊技回数を1セット(1回)として行われ、1セット終了時に、報知遊技を継続するか否かの抽選が行われる。そして、この抽選に当選したときは、再度、1セット(第1実施形態では所定遊技回数)の報知遊技が実行される。一方、報知遊技を継続するか否かの抽選に当選しなかったときは、報知遊技が終了して非報知遊技に移行するが、第2遊技状態は維持される。
【0020】
したがって、外部の遊技履歴表示装置側では、第2遊技状態である旨の遊技履歴情報の受信回数をカウントすれば、実質的に(ほとんど誤差なく)、報知遊技の継続回数をカウントする(知る)ことができる。したがって、このカウント値を遊技者に対して閲覧可能にすれば、遊技者は、報知遊技の実行(継続)回数を知ることができる。
【発明の効果】
【0021】
上記解決手段によれば、演出制御手段と外部情報送信手段とを電気的に接続することなく、外部の遊技履歴表示装置に対し、第2遊技状態で行われる報知遊技の実行(継続)回数をほとんど誤差なく送信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本実施形態におけるスロットマシンの制御の概略を示すブロック図である。
【図2】リールの図柄配列を示す図である。
【図3】表示窓とリールとの関係、及び有効ラインを示す図である。
【図4】本実施形態における役の種類、払出し枚数等、及び図柄の組合せ等を示す図である。
【図5】本実施形態における役抽選テーブル62を示す図である。
【図6】本実施形態における役抽選テーブル62を示す図である。
【図7】各遊技状態間の移行を説明する図である。
【図8】AT遊技の継続抽選における継続率を示す図である。
【図9】遊技制御手段による遊技履歴情報の送信例を示すタイムチャートである。
【図10】第1実施形態における遊技制御手段の処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】第1実施形態における演出制御手段の処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】第2実施形態における遊技制御手段の処理の流れを示すフローチャートである。
【図13】第2実施形態における演出制御手段の処理の流れを示すフローチャートである。
【図14】第2実施形態における演出制御手段の処理の流れを示すフローチャートであり、図13に続くフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面等を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
なお、以下の実施形態のスロットマシン10は、メダルを遊技媒体としているが、メダルに限らず、遊技球等であってもよいのはもちろんである。
【0024】
<第1実施形態>
図1は、本実施形態におけるスロットマシン10の制御の概略を示すブロック図である。スロットマシン10は、遊技制御手段60と演出制御手段80とを有する。
遊技制御手段60は、役の抽選、リール31の駆動制御、及び入賞時の払出し等の遊技の進行を制御するものである。遊技制御手段60は、メイン制御基板11上に設けられており、演算等を行うCPU、遊技の進行等に必要なプログラム等を記憶しておくROM、CPUが各種の制御を行うときに取り込んだデータ等を一時的に記憶しておくRAM等を備える。以下の説明において、遊技制御手段60というときは、メイン制御基板11を含む意味で用いる。
【0025】
また、演出制御手段80は、遊技中又は遊技待機中における演出(遊技情報を含む)の出力等を制御するものである。演出制御手段80は、サブ制御基板12上に設けられており、演算等を行うCPU、演出用のデータ等(演出パターン等)を記憶しておくROM、CPUが各種の演出を出力するときに取り込んだデータ等を一時的に記憶しておくRAM等を備える。以下の説明において、演出制御手段80というときは、サブ制御基板12を含む意味で用いる。
なお、サブ制御基板12は、メイン制御基板11の下位に属する制御基板であり、メイン制御基板11とサブ制御基板12とは電気的に接続されている。そして、メイン制御基板11からサブ制御基板12に一方向で信号や情報(コマンド)が送信されるように形成されている。
【0026】
さらにまた、外部情報送信基板(中継基板、外部集中端子板)13は、メイン制御基板11と電気的に接続され、メイン制御基板11から受け取った遊技履歴情報を、外部情報送信基板13と電気的に接続されるとともに外部(ホール店内)に設置された遊技履歴表示装置100に一方向で送信するための基板である。
なお、外部情報送信基板13は、サブ制御基板12とは直接接続されていない。
【0027】
遊技履歴表示装置100は、スロットマシン10とは別体であり、ホールに設置されたすべてのスロットマシン10と電気的に接続され、各スロットマシン10ごとに、遊技履歴を遊技者に対して開示(提供)するためのものである。なお、遊技履歴表示装置100は、ホール内に1〜数台設置されている。遊技者は、遊技履歴表示装置100を操作することで、希望の台(スロットマシン10)の遊技履歴、例えば当日、前日、又は過去数日における1日のトータル遊技回数や、ボーナス役の入賞回数等を自由に検索することができる。
【0028】
図1に示すように、遊技制御手段60の入力側(図1中、左側)には、ベットスイッチ40、スタートスイッチ41、及びストップスイッチ42が電気的に接続されている。
ベットスイッチ40は、遊技者が貯留メダルを投入するときに操作するスイッチであり、本実施形態でのベットスイッチ40は、3枚(max)投入専用のスイッチである。なお、図1ではメダル投入口を図示していないが、通常は、ベットスイッチ40とは別個にメダル投入口が設けられている。このメダル投入口は、実際のメダルを投入する部分であり、メダル投入口からのメダルの投入は、ベットスイッチ40の操作と同様の機能を果たす。
【0029】
また、スタートスイッチ41は、リール31を始動させるときに遊技者が操作するスイッチである。
さらにまた、(左、中、右)ストップスイッチ42は、3つのリール31に対応して3つ設けられ、対応するリール31を停止させるときに遊技者が操作するスイッチである。
【0030】
さらに、設定変更スイッチ43は、スロットマシン10の設定値を変更・設定するときに操作されるものである。設定値は、設定1から設定6までの6段階有し、設定値が高くなるほど遊技者にとって有利となるように(出玉率が高くなるように)設定されている。なお、設定変更スイッチ43は、遊技者が操作するものではなく、スロットマシン10の設置店(ホール)側で操作するものであり、遊技者からは操作できないようにスロットマシン10の内部に配置されている。
【0031】
さらに、遊技制御手段60の出力側(図1中、右側)には、モータ32が電気的に接続されている。
モータ32は、リール31を回転させるためのものであり、リール31の回転中心部に連結され、後述するリール制御手段65によって制御される。ここで、リール31は、左リール31、中リール31、右リール31からなり、左リール31を停止させるときに操作するストップスイッチ42が左ストップスイッチ42であり、中リール31を停止させるときに操作するストップスイッチ42が中ストップスイッチ42であり、右リール31を停止させるときに操作するストップスイッチ42が右ストップスイッチ42である。
【0032】
リール31は、リング状のものであって、その外周面には複数種類の図柄(役に対応する図柄の組合せを構成している図柄)を印刷したリールテープを貼付したものである。図2は、本実施形態におけるリール31の図柄配列を示す図である。図2では、図柄番号を併せて図示している。図2に示すように、本実施形態では、各リール31ごとに、21個の図柄が等間隔で配置されている。
【0033】
また、図3は、スロットマシン10のフロントマスク部(前面扉。図示せず。)に設けられた表示窓(透明窓)14と、各リール31との位置関係を示す図である。各リール31は、本実施形態では横方向に並列に3個(左リール31、中リール31、及び右リール31)設けられている。さらに、各リール31は、表示窓14から、上下に連続する3図柄が見えるように配置されている。よって、スロットマシン10の表示窓14から、合計3×3=9個の図柄が見えるように配置されている。
なお、本明細書では、図3中、例えば左リール31の「RP」の図柄が停止している位置を「上段」、「7」の図柄が停止している位置を「中段」、「ベル」の図柄が停止している位置を「下段」と称する。
【0034】
また、図3に示すように、スロットマシン10の表示窓14を含む部分には、図柄組合せラインL1〜L5が設けられている。
ここで、「図柄組合せライン」とは、リール31の停止時における図柄の並びラインであって図柄の組合せを形成させるラインである。本実施形態では、水平方向の中段、上段、及び下段の3本の図柄組合せラインL1〜L3と、斜め右下がり方向及び斜め右上がり方向の2本の図柄組合せラインL4及びL5の合計5本の図柄組合せラインを有する。
【0035】
また、図柄組合せラインは、有効ラインと無効ラインとを有する。
ここで、「有効ライン」とは、いずれかの役に対応する図柄の組合せがそのラインに停止したときに、その役の入賞となるラインである。
一方、「無効ライン」とは、図柄組合せラインのうち、有効ラインとして設定されないラインであって、いずれかの役に対応する図柄の組合せがそのラインに停止した場合であっても、その役に応じた利益の付与(メダルの払出し等)を行わないラインである。すなわち、無効ラインは、そもそも図柄の組合せの成立対象となっていないラインである。
【0036】
有効ライン及び無効ラインは、メダルの投入枚数に応じて設定されるが、本実施形態では、いずれの遊技中においても、3枚のメダルを投入して遊技を行うように設定されている。そして、すべての遊技において、5本すべての図柄組合せラインL1〜L5が有効ラインとなり、無効ラインは存在しないように設定されている。
なお、これに限らず、メダルの投入枚数は、1枚又は2枚でもよい。さらに、メダル投入枚数や遊技状態等に応じて、5本の図柄組合せラインL1〜L5のうち、一部のみを有効ライン(残りを無効ライン)に設定してもよい。
【0037】
さらに、図1において、演出制御手段80の出力側には、ランプ21、スピーカ22、及び画像表示装置23等の演出出力機器が電気的に接続されている。
ランプ21は、スロットマシン10の演出用のランプであり、所定の条件を満たしたときに、それぞれ所定のパターンで点灯する。なお、ランプ21には、各リール31の内周側に配置され、リール31に表示された図柄(表示窓14から見える上下に連続する3図柄)を背後から照らすためのバックランプ(図示せず)や、スロットマシン10の筐体前面に配置され、役の入賞時等に点滅する上部ランプ及びサイドランプ(図示せず)等が含まれる。
【0038】
また、スピーカ22は、遊技中に各種の演出を行うべく、所定の条件を満たしたときに、所定のサウンドを出力するものである。
さらにまた、画像表示装置23は、液晶ディスプレイやドットディスプレイ等からなるものであり、遊技中に各種の演出画像や所定の遊技情報等を表示するものである。
【0039】
図4は、本実施形態における役(後述する役抽選手段62で抽選される役)の種類、払出し枚数等、及び図柄の組合せ等を示す図である。図4に示すように、役としては、特別役、小役及びリプレイが設けられている。
そして、各役に対応する図柄の組合せ及び入賞時の払出し枚数等が定められている。これにより、すべてのリール31の停止時に、いずれかの役に対応する図柄の組合せが有効ラインに停止する(その役が入賞する)と、その役に対応する枚数のメダルが払い出される(ただし、特別役を除く)。
【0040】
役において、まず、特別役とは、通常遊技から特別遊技(通常遊技以上に出玉率が高く、遊技者にとって有利な遊技)に移行させる役である。本実施形態では、図4に示すように、特別役として、BB(第1種ビッグボーナス)及びRB(レギュラーボーナス)が設けられている。そして、BBが入賞すると、当該遊技におけるメダルの払い出しはないが、次遊技から、特別遊技の1つであるBB遊技に移行する。同様に、RBが入賞すると、当該遊技におけるメダルの払い出しはないが、次遊技から、特別遊技の他の1つであるRB遊技に移行する。
なお、他の特別役としては、2BB(第2種ビッグボーナス。MB(ミドルボーナス)ともいう。)、及びSB(シングルボーナス)が挙げられるが、本実施形態では設けられていない。
【0041】
また、小役とは、予め定められた枚数のメダルが払い出される役であり、本実施形態では、小役1A、小役1B、小役2、及び小役3の4種類を備えており、各小役ごとに異なる図柄の組合せが設定されている。なお、小役1Aと小役1Bは、別個独立した小役である。すなわち、小役1Aに当選しても小役1Bの当選とはならず、かつ、小役1Bに当選しても小役1Aの当選とはならない。また、詳細は後述するが、小役1A又は小役1Bは、RT遊技中に入賞したときには、RT遊技から通常遊技(非RT遊技)に移行するための小役(非RT遊技移行小役、RT遊技パンク役、又はRT遊技終了契機小役等ともいう。)に設定されている。なお、図4中、小役1A及び小役1Bにおける「any」とは、いずれの図柄でもよいことを意味する。
さらにまた、リプレイとは、再遊技役であって、当該遊技で投入したメダル枚数を維持した再遊技が行えるようにした役である。
【0042】
上述した各役において、役に当選した遊技でその役に対応する図柄の組合せが有効ラインに停止しなかったときは、次遊技以降に持ち越される役と、持ち越されない役とが定められている。
持ち越される役としては、特別役であるBB及びRBが挙げられる。特別役に当選したときは、リール31の停止時に、特別役に対応する図柄の組合せが有効ラインに停止するまでの遊技において、特別役の当選を次遊技以降に持ち越すように制御される。
【0043】
このように、特別役の当選は持ち越されるのに対し、特別役以外の役(小役及びリプレイ)は、持ち越されない。役の抽選において、特別役以外の役に当選したときは、当該遊技でのみその当選役が有効となり、その当選は次遊技以降に持ち越されない。すなわち、これらの役に当選した遊技では、その当選した役に対応する図柄の組合せが有効ラインに停止(入賞)可能なようにリール31が停止制御されるが、その当選役の入賞の有無にかかわらず、その遊技の終了時に、その当選役に係る権利は消滅する。
【0044】
なお、特別役に当選していない遊技中(特別役の当選が持ち越されていない遊技中)を、「非内部中」という。また、当該遊技以前の遊技において特別役に当選しているが、当選した特別役に対応する図柄の組合せが有効ラインに停止していない(入賞していない)遊技中(特別役の当選が持ち越されている遊技中)を「内部中」という。
【0045】
遊技の開始時には、遊技者は、ベットスイッチ40を操作して予め貯留されたメダルを投入するか、又はメダル投入口からメダルを投入し、スタートスイッチ41を操作(オン)する。スタートスイッチ41が操作されると、そのときに発生する信号が遊技制御手段60に入力される。遊技制御手段60(具体的には、後述するリール制御手段65)は、この信号を受信すると、すべてのモータ32を駆動制御して、すべてのリール31を回転させるように制御する。このようにしてリール31がモータ32によって回転されることで、リール31上の図柄は、所定の速度で表示窓14内で上下方向に移動表示される。
【0046】
そして、遊技者は、ストップスイッチ42を押すことで、そのストップスイッチ42に対応するリール31(例えば、左ストップスイッチ42に対応する左リール31)の回転を停止させる。ストップスイッチ42が操作されると、そのときに発生する信号が遊技制御手段60に入力される。遊技制御手段60(具体的には、後述するリール制御手段65)は、この信号を受信すると、そのストップスイッチ42に対応するモータ32を駆動制御して、そのモータ32に係るリール31の停止制御を行う。そして、すべてのリール31の停止時に、いずれかの役に対応する図柄の組合せが有効ラインに停止したとき(その役の入賞となったとき)は、入賞した役に対応するメダルの払出し等が行われる。
【0047】
図1に示すように、遊技制御手段60は、以下の設定値変更手段61等を備える。なお、本実施形態における以下の各手段は例示であり、遊技制御手段60は、本実施形態で示した手段に限定されるものではない。
【0048】
設定値変更手段61は、スロットマシン10の出玉率を定める設定値を変更・決定するためのものである。特に本実施形態では、設定値として設定1〜設定6までの6段階が設けられており、設定値が高いほど、後述する特別役の当選確率及びAT遊技の継続率が高くなるように設定されている。
【0049】
本実施形態では、電源ユニット(図示せず)に設けられている電源スイッチ(図示せず)を操作してオフにし、設定キー挿入口(図示せず)に設定キーを差し込んで、時計回りに90度回転させる。この状態でオンとなり、電源を投入すると、設定変更モードとなる。したがって、この場合には、通常の立ち上げ処理が行われない。なお、設定キー挿入口に設定キーを差し込んで、時計回りに90度回転させ、この状態で電源を一旦オフにした後、電源を再投入しても良い。
そして、設定変更モードでは所定の表示部に、現在の設定値が表示される。
【0050】
設定値を変更するときは、設定変更スイッチ43を押す操作を行う。設定変更スイッチ43を1回押すごとに、設定値の表示が、・・・→「1」→「2」→「3」→「4」→「5」→「6」→「1」→「2」→・・・と順次変化する。設定変更スイッチ43を押すことで、所望の設定値とした状態で、本実施形態ではスタートスイッチ41をオンする。この操作で設定値が確定するとともに、前記所定の表示部には、設定値が確定したことを示すため、「0」と表示される。
【0051】
そして、設定値変更手段61には、設定値を記憶するための設定値記憶手段61a(RAM等のメモリ)が設けられており、確定した設定値を設定値記憶手段61aに記憶する。
次に、電源をオフにし、設定キーを反時計回りに90度回して(オフにして)抜き、電源を再投入するか、又は設定キーを反時計回りに90度回して抜いた後電源をオフにし、再度電源を入れれば、変更後の設定値での通常の立ち上げ処理が行われる。
なお、設定値記憶手段61aに記憶された設定値は、演出制御手段80に送信され、演出制御手段80側でも設定値が設定される。
【0052】
役抽選手段62は、役(上述した特別役、小役及びリプレイ)の抽選を行うものである。役抽選手段62は、例えば、役抽選用の乱数発生手段(ハードウェア乱数等)と、この乱数発生手段が発生する乱数を抽出する乱数抽出手段と、乱数抽出手段が抽出した乱数値に基づいて、役の当選の有無及び当選役を判定する判定手段とを備えている。
【0053】
乱数発生手段は、所定の領域(例えば10進法で0〜65535)の乱数を発生させる。乱数は、例えば200n(ナノ)secで1カウントを行うカウンターが0〜65535の範囲を1サイクルとしてカウントし続ける乱数であり、スロットマシン10の電源が投入されている間は、乱数をカウントし続ける。
【0054】
乱数抽出手段は、乱数発生手段によって発生した乱数を、所定の時、本実施形態では遊技者によりスタートスイッチ41が操作(オン)された時に抽出する。判定手段は、乱数抽出手段により抽出された乱数値を、後述する役抽選テーブル63と照合することにより、その乱数値が属する領域に対応する役を決定する。例えば、抽出した乱数値がBBの当選領域に属する場合は、BBの当選と判定し、非当選領域に属する場合は、非当選と判定する。
【0055】
役抽選テーブル63は、抽選される役の種類と、各役の当選確率とを定めたものである。図5及び図6は、本実施形態における役抽選テーブル62(62A〜62D)を示す図である。役抽選テーブル62は、遊技状態ごとに設けられている。役抽選テーブル62は、それぞれ所定の範囲の抽選領域を有し、この抽選領域は、各役の当選領域及び非当選領域に分けられているとともに、抽選される役が、予め設定された当選確率となるように所定の割合に設定されている。
【0056】
まず、本実施形態の「遊技状態」としては、通常遊技と特別遊技とを備える。「特別遊技」とは、本実施形態ではBB遊技及びRB遊技が相当する。また、「通常遊技」とは、特別遊技以外の遊技をいい、非RT遊技、RT遊技、非内部中遊技、内部中遊技が設けられている。そして、本明細書では、「通常遊技」というときは、非RT遊技かつ非内部中遊技を指す。また、「RT遊技」とは、RT遊技かつ非内部中遊技を指す。さらにまた、「内部中遊技」とは、非RT遊技かつ内部中遊技を指すものとする。
【0057】
また、「RT(Replay Time )遊技」とは、広義には、リプレイの当選確率が非RT遊技と異なる遊技を指し、狭義には、リプレイの当選確率が非RT遊技よりも高く設定されることで出玉率が非RT遊技よりも高くなった遊技を指す。本実施形態のRT遊技は、後者である。
【0058】
図5において、役抽選テーブル62Aは、通常遊技(非RTかつ非内部中)で用いられる役抽選テーブル62である。
役抽選テーブル62Aでは、特別役(BB及びRB)、小役1〜小役3、及びリプレイの各(単独)当選と、役の非当選とが設けられている。なお、特別役と小役とが重複当選したり、異なる複数の小役が重複当選するように設定することも可能であるが、本実施形態では、役は、単独当選のみを設けている。
【0059】
また、役抽選テーブル62Aでは、設定値(設定1〜設定6)に対して、小役及びリプレイの当選確率は一定に設定されている。これに対し、BB及びRBは、設定値ごとに異なるように定められている。図5に示すように、設定値が高いほど、BB及びRBの当選確率が高く設定されている。このことは、以下の役抽選テーブル62Cも同様である。
【0060】
さらに、役抽選テーブル62Bは、内部中遊技で用いられる役抽選テーブル62であり、役抽選テーブル62Aと比較すると、特別役(BB及びRB)が抽選されない点で異なり、それ以外は役抽選テーブル62Aと同一である。すなわち、一旦BB又はRBに当選し、内部中遊技になると、その入賞に基づくBB遊技又はRB遊技が終了するまでBB及びRBは抽選されない。
【0061】
また、図6において、役抽選テーブル62Cは、RT遊技で用いられる役抽選テーブル62であり、役抽選テーブル62Aと比較すると、リプレイの当選確率のみが異なる。役抽選テーブル62Cでは、リプレイの当選確率は1/1.3と高く設定されている。これにより、役抽選テーブル62Cにおける非当選確率は、厳密には設定値に応じて異なるが、おおよそ5/100となる。
【0062】
さらにまた、役抽選テーブル62Dは、BB遊技及びRB遊技で用いられる役抽選テーブル62である。役抽選テーブル62Dでは、小役1〜小役3のみが抽選されるとともに、小役3の当選確率が高く設定されている。すなわち、BB遊技及びRB遊技では、ほぼ毎遊技、小役3に当選する遊技状態となる。
【0063】
ここで、スロットマシンの出玉率について説明する。
「出玉率」とは、メダルの投入枚数に対する払出し枚数の期待値をいう。
まず、通常遊技において、1遊技あたりのメダル払出し枚数の期待値は、
1/50×4枚(小役1A)+1/50×4枚(小役1B)+1/30×6枚(小役2)+1/10×12枚(小役3)+3×1/7.3(リプレイ)
≒1.97(枚)
となる。
なお、リプレイの入賞時は、3枚のメダルが払い出されるものとして計算を行っている。また、本実施形態では、期待値の計算の簡略化のため、役の当選時には常に当選役が入賞するものとしている(入賞率100%)。
【0064】
したがって、1遊技あたりのメダルの差枚数(増減値)の期待値は、
1.97(払出し枚数の期待値)−3(投入枚数)=−1.03(枚)
となる。
よって、1遊技あたりの差枚数の期待値が負の値であるので、遊技の進行ととともに、メダルが徐々に増加していく遊技状態となる。
【0065】
また、出玉率は、
1.97/3≒0.66
となり、1を下回る。
なお、1遊技あたりの差枚数の期待値が±0であるとき、及び出玉率が1であるときは、メダルの投入枚数と払出し枚数(期待値)とが同一値となり、遊技の進行によってもメダルが増減しない遊技状態となる。
以上は、内部中遊技についても当てはまる。
【0066】
これに対し、RT遊技において、1遊技あたりのメダル払出し枚数の期待値は、
1/50×4枚(小役1A)+1/50×4枚(小役1B)+1/30×6枚(小役2)+1/10×12枚(小役3)+3×1/1.3(リプレイ)
≒3.87(枚)
となる。
【0067】
したがって、1遊技あたりのメダルの差枚数(増減値)の期待値は、
3.87(払出し枚数の期待値)−3(投入枚数)=+0.87(枚)
となる。
よって、1遊技あたりの差枚数の期待値が正の値であるので、遊技の進行ととともに、メダルが徐々に増加していく遊技状態となる。すなわち、遊技者にとって有利な遊技状態となる。
なお、出玉率は、
3.87/3=1.29
となり、1を超える。
【0068】
また、本実施形態では、詳細は後述するが、BBが入賞してBB遊技に移行したときは、そのBB遊技の終了後にRT遊技が実行できるように設定されている。ここで、図5に示すように、設定値が高いほどBBの当選確率が高く設定されているので、設定値が高いほどRT遊技に移行できる確率が高くなる。さらに、後述するが、設定値が高いほど、RT遊技が長く続く確率が高く設定されている。これにより、設定値が高いほど、遊技中の出玉率が高くなる。
【0069】
説明を図1に戻す。
当選フラグ制御手段64は、役抽選手段62による役の抽選結果に基づいて、各役に対応する当選フラグ64aのオン/オフを制御するものである。本実施形態では、当選役に対応するように、BB、RB、小役1A、小役1B、小役2、小役3、及びリプレイの各当選フラグ64aを備える。そして、役抽選手段62による役の抽選において当選したときは、対応する役の当選フラグ64aをオンにする(当選フラグ64aを立てる)。例えば、リプレイに当選したときは、リプレイに係る当選フラグ64aがオンとなり、それ以外の役の当選フラグ64aはオフのままである。
【0070】
また、上述したように、小役及びリプレイの当選は持ち越されないので、当該遊技で小役やリプレイに当選し、小役やリプレイの当選フラグ64aがオンにされても、当該遊技の終了時にその当選フラグ64aがオフにされる。
これに対し、BB及びRBの当選は持ち越されるので、当該遊技でBB又はRBに当選し、当選したBB又はRBに係る当選フラグ64aがオンになったときは、そのBB又はRBが入賞するまでオンの状態が維持され、そのBB又はRBが入賞した時点でオフにされる。
【0071】
例えば、当該遊技でBBに当選したときは、BBの当選フラグ64aがオンにされ、当該遊技でBBが入賞しなかったときは、BBに係る当選フラグ64aはオンの状態が維持される。そして、次遊技(内部中遊技)で、小役2に当選したときは、すでにオンであるBBに係る当選フラグ64aのほか、小役2の当選フラグ64aがオンにされる。そして、当該遊技の終了時にBBが非入賞のときは、BBに係る当選フラグ64aのオンの状態が維持されるとともに、小役2の当選フラグ64aはオフにされる。
【0072】
リール制御手段65は、リール31の回転開始命令を受信したとき、特に本実施形態ではスタートスイッチ41が操作されたとき(スタートスイッチ41が操作された旨の信号を受信したとき)に、すべて(3つ)のリール31の回転を開始するように制御するものである。さらに、リール制御手段65は、役抽選手段62により役の抽選が行われた後、当該遊技における当選フラグ64aのオン/オフを参照して当選フラグ64aのオン/オフに対応する停止位置決定テーブル66を選択するとともに、ストップスイッチ42が操作されたときに、ストップスイッチ42が操作されたときのタイミングに基づいて、そのストップスイッチ42に対応するリール31の停止位置を決定するとともに、モータ32を駆動制御して、その決定した位置にそのリール31を停止させるように制御するものである。
【0073】
例えば、リール制御手段65は、少なくとも1つの当選フラグ64aがオンである遊技では、リール31の停止制御の範囲内において、当選役(当選フラグ64aがオンになっている役)に対応する図柄の組合せを有効ラインに停止可能にリール31を停止制御するとともに、当選役以外の役(当選フラグ64aがオフになっている役)に対応する図柄の組合せを有効ラインに停止させないようにリール31を停止制御する。
【0074】
ここで、「リール31の停止制御の範囲内」とは、ストップスイッチ42が操作された瞬間からリール31が実際に停止するまでのリール31の回転量(移動図柄数)の範囲内を意味し、本実施形態では、ストップスイッチ42が操作された瞬間の図柄からの移動図柄数が4図柄以内(ストップスイッチ42が操作された瞬間の図柄を含めて5図柄以内)、いいかえればストップスイッチ42が操作された瞬間からリール31が停止するまでの時間が190ms以内に設定されている。
【0075】
これにより、ストップスイッチ42の操作を検知した瞬間の図柄から数えてリール31の停止制御の範囲内にある図柄のいずれかが有効ラインに停止させるべき図柄であるときは、ストップスイッチ42が操作されたときに、その図柄が有効ラインに停止するように制御されることとなる。
【0076】
すなわち、役の当選時にストップスイッチ42が操作された瞬間に直ちにリール31を停止させると、当選した役に係るその図柄が有効ラインに停止しないときには、リール31の停止時に、リール31の停止制御の範囲内においてリール31を回転移動制御することで、当選した役に係る図柄ができる限り有効ラインに停止させるように制御するものである。
【0077】
また逆に、ストップスイッチ42が操作された瞬間に直ちにリール31を停止させると、当選していない役に対応する図柄の組合せが有効ラインに停止してしまうときは、リール31の停止時に、リール31の停止制御の範囲内においてリール31を回転移動制御することで、当選していない役に対応する図柄の組合せが有効ラインに停止しないように制御する。
【0078】
さらに、リール制御手段65は、複数の当選フラグ64aがオンである遊技(複数の役が重複当選している遊技)では、いずれか1つの役に対応する図柄の組合せを有効ラインに停止させるように制御し、複数の役に対応する図柄の組合せが同時に有効ラインに停止しないようにリール31を停止制御する。
【0079】
停止位置決定テーブル66は、当選フラグ64aのオン/オフの状態ごとに対応して設けられており、ストップスイッチ42が操作された瞬間のリール31の位置に対する、リール31の停止位置を定めたものである。具体的には、各停止位置決定テーブル66には、例えば0番の図柄(左リール31であれば「ベル」)が上段(中段又は下段でも可)を通過する瞬間にストップスイッチ42が操作されたときは、何図柄だけ移動制御して、何番の図柄を上段に停止させる、というように停止位置が定められている。
【0080】
停止位置決定テーブル66は、以下のテーブルを備える。
BBテーブルは、BB(のみ)の当選フラグ64aがオンであるとき(非内部中遊技でBBに当選したとき、又はBBの内部中遊技で役の非当選時)に用いられ、リール31の停止制御の範囲内において、BBに対応する図柄の組合せを有効ラインに停止させるとともに、BBに対応する図柄の組合せを有効ラインに停止させることができないときは、いずれの役に対応する図柄の組合せも有効ラインに停止させないように、リール31の停止位置が定められたものである。
【0081】
RBテーブルは、RB(のみ)の当選フラグ64aがオンであるときに用いられる停止位置決定テーブル65であり、上記BBテーブル中、「BB」を「RB」と読み替えたものに相当する。
【0082】
また、小役1Aテーブルは、小役1Aの当選フラグ64aがオンであるときに用いられ、リール31の停止制御の範囲内において、小役1Aに対応する図柄の組合せを有効ラインに停止させるとともに、小役1Aに対応する図柄の組合せを有効ラインに停止させることができないときは、いずれの役に対応する図柄の組合せも有効ラインに停止させないように、リール31の停止位置が定められたものである。
【0083】
小役1Bテーブル、小役2テーブル、小役3テーブル、及びリプレイテーブルについても、小役1Aテーブルと同様である。すなわち、小役1Bテーブル、小役2テーブル、小役3テーブル、及びリプレイテーブルは、それぞれ、小役1Aテーブル中、「小役1A」を「小役1B」、「小役2」、「小役3」、及び「リプレイ」と読み替えたものに相当する。
【0084】
また、BB又はRBの内部中遊技において、小役又はリプレイに当選したときは、当選した小役又はリプレイの入賞が優先されるとともに、当選した小役又はリプレイを入賞させることができないときは、次に、当選を持ち越しているBB又はRBに対応する図柄の組合せを有効ラインに停止させるようにリール31の停止位置が定められた停止位置決定テーブル66が用いられる。
【0085】
さらにまた、非当選テーブルは、すべての当選フラグ64aがオフであるとき(すなわち、非内部中遊技、又は特別遊技における役の非当選時)に用いられ、いずれの役に対応する図柄の組合せも有効ラインに停止しないように、リール31の停止時の図柄の組合せを定めたものである。
【0086】
次に、リール31の図柄配列と停止制御との関係について説明する。
図2に示すように、すべてのリール31において、「ベル」の図柄は、5図柄以内の間隔で配置されている。これにより、リール31がどの瞬間に位置するときにストップスイッチ42が操作されても、リール制御手段65は、常に、所望の有効ラインに「ベル」の図柄を停止させることができる。よって、小役3に当選したときは、リール制御手段65は、常に、小役3に対応する図柄の組合せ(「ベル」−「ベル」−「ベル」)を有効ラインに停止させることができる。
【0087】
このことは、「RP」の図柄についても当てはまる。図2に示すように、すべてのリール31において、「RP」の図柄は、5図柄以内の間隔で配置されている。これにより、リール31がどの瞬間に位置するときにストップスイッチ42が操作されても、リール制御手段65は、所望の有効ラインに「RP」の図柄を停止させることができる。よって、リプレイに当選したときは、リール制御手段65は、常に、リプレイに対応する図柄の組合せ(「RP」−「RP」−「RP」)を有効ラインに停止させることができる。
【0088】
一方、「7」、「BAR」、「スイカ」、左リール31の「赤チェリー」及び「青チェリー」の各図柄については、間隔が5図柄を超えて配置されている。これにより、BB、RB、小役1A、小役1B、及び小役2の当選時には、当選役に対応する図柄が有効ラインに停止するタイミングでストップスイッチ42が操作されなければ、当選役に対応する図柄の組合せは有効ラインに停止しない。
【0089】
例えば、小役1Aの当選時には上記小役1Aテーブルが用いられるが、この場合には、左リール31の図柄番号8番〜10番までの図柄が表示窓14内に位置する瞬間から、図柄番号19番〜0番までの図柄が表示窓14内に位置する瞬間までの間に左ストップスイッチ42が操作されれば、14番又は19番の「赤チェリー」の図柄が有効ラインに停止する。これに対し、上記以外の位置で左ストップスイッチ42が操作されたときは、小役1Aテーブルが用いられたとしても、小役1Aは入賞しない(いいかえれば、小役1Aの入賞を回避することができる)。
【0090】
同様に、小役1Bの当選時には上記小役1Bテーブルが用いられるが、この場合には、左リール31の図柄番号18番〜20番までの図柄が表示窓14内に位置する瞬間から、図柄番号8番〜10番までの図柄が表示窓14内に位置する瞬間までの間に左ストップスイッチ42が操作されれば、3番又は8番の「青チェリー」の図柄が有効ラインに停止する。これに対し、上記以外の位置で左ストップスイッチ42が操作されたときは、小役1Bテーブルが用いられたとしても、小役1Bは入賞しない(いいかえれば、小役1Bの入賞を回避することができる)。
なお、上記より、小役1A又は小役1Bのいずれも入賞しないような左ストップスイッチ42の操作位置は存在しない。
【0091】
説明を図1に戻す。
停止図柄判断手段67は、リール31の停止時に、有効ラインに停止したリール31の図柄の組合せが、いずれかの役に対応する図柄の組合せと一致するか否かを判断するものである。停止図柄判断手段67は、例えばモータ32の停止時の角度やステップ数等を検知することにより、有効ライン上の図柄を判断する。
ただし、停止図柄判断手段67は、ストップスイッチ42が操作され、停止位置決定テーブル66を用いて停止位置が決定された時に、そのリール31が停止したか否かにかかわらず、停止図柄を判断することが可能である。
【0092】
払出し手段68は、停止図柄判断手段67により、リール31の停止時に有効ラインに停止した図柄の組合せがいずれかの役に対応する図柄の組合せと一致すると判断され、その役の入賞となったときに、その入賞役に応じて所定枚数のメダルを遊技者に対して払い出すか、又はクレジットの加算等の処理を行うものである。
【0093】
特別遊技制御手段69は、本実施形態の特別遊技であるBB遊技又はRB遊技の開始、BB遊技又はRB遊技中の遊技の進行、及びBB遊技又はRB遊技の終了を制御するものである。
遊技中に、BBに対応する図柄の組合せが有効ラインに停止したときは、BBの入賞となり、特別遊技制御手段69は、次遊技からBB遊技を開始するように制御する。
BB遊技では、上述した役抽選テーブル62Dを用いて役の抽選が行われる。これにより、BB遊技中は、小役3の当選確率が高くなる。
【0094】
また、本実施形態では、BB遊技の終了条件として、BB遊技中に払い出されたメダル枚数が450枚以上になったことに設定されている。
このため、特別遊技制御手段69は、BB遊技中に払い出されたメダル枚数をカウントし、毎遊技、払い出された枚数を更新し続けるとともに、カウントされた払出し枚数が450枚以上となったと判断したときは、BB遊技の終了条件を満たすと判断する。
【0095】
また、遊技中に、RBに対応する図柄の組合せが有効ラインに停止したときは、RBの入賞となり、特別遊技制御手段69は、次遊技からRB遊技を開始するように制御する。
RB遊技では、BB遊技と同様に役抽選テーブル62Dを用いて役の抽選が行われる。
また、本実施形態では、RB遊技の終了条件として、RB遊技中に払い出されたメダル枚数が100枚以上になったことに設定されている。
このため、特別遊技制御手段69は、RB遊技中に払い出されたメダル枚数をカウントし、毎遊技、払い出された枚数を更新し続けるとともに、カウントされた払出し枚数が100枚以上となったと判断したときは、RB遊技の終了条件を満たすと判断する。
【0096】
また、特別遊技制御手段69は、特別遊技フラグ69aを備える。特別遊技フラグ69aは、特別遊技中はずっとオンにされており、特別遊技が終了したときにオフにされるフラグである。
【0097】
遊技状態制御手段70は、本実施形態で設けられている各遊技状態間の移行を制御する手段である。
図7は、各遊技状態間の移行を説明する図である。
図7において、まず、スロットマシン10の電源が投入されると、遊技状態制御手段70は、遊技状態を通常遊技に設定するように制御する。そして、この通常遊技においてBB又はRBに当選し、当該遊技で当選したBB又はRBが入賞しなかったときは、遊技状態制御手段70は、次遊技から、遊技状態を内部中遊技に移行するように制御する。
【0098】
そして、内部中遊技において、当選したBB又はRBが入賞すると、遊技状態制御手段70は、それぞれBB遊技又はRB遊技に移行するように制御する。なお、BB又はRBに当選した遊技でBB又はRBが入賞したときは、遊技状態制御手段70は、内部中遊技を経ないでBB遊技又はRB遊技に移行するように制御する。
【0099】
BBが入賞してBB遊技に移行し、そのBB遊技が終了したときは、遊技状態制御手段70は、次遊技から、遊技状態をRT遊技(かつAT遊技)に移行するように制御する。また、RBが入賞してRB遊技に移行し、そのRB遊技が終了したときは、遊技状態制御手段70は、次遊技から、遊技状態を通常遊技に移行するように制御する。
【0100】
RT遊技に移行すると、遊技状態制御手段70は、RT遊技の終了条件を満たすまでRT遊技を継続するように制御する。本実施形態のRT遊技の終了条件としては、
(1)BB又はRBに当選したこと
(2)小役1A又は小役1Bが入賞したこと
に設定されている。そして、いずれか1つの条件を満たしたときは、当該遊技をもってRT遊技を終了する。上記(1)の場合には、次遊技から内部中遊技に移行し、上記(2)の場合には通常遊技に移行する。
なお、本実施形態では、RT遊技の遊技回数の上限値は予め設定していない(無限RTである)が、上記条件以外に、(1)、(2)の条件を満たすことなく、例えば2000ゲームを消化したときは、RT遊技から通常遊技に移行するという条件を設定してもよい。
【0101】
遊技状態制御手段70は、図1に示すように、RTフラグ70aを備える。RTフラグ70aは、RT遊技中はオンにされるフラグである。特に本実施形態では、BB遊技の終了時にRTフラグ70aがオンにされる。また、RT遊技中に小役1A又は小役1Bが入賞したときはオフにされる。さらにまた、RT遊技中にBB又はRBに当選したときもオフにされる。
【0102】
また、遊技制御手段60は、各種の遊技履歴情報を、外部情報送信基板13を介して遊技履歴表示装置100に送信するように制御する。
ここで、遊技制御手段60から外部情報送信基板13に送信される遊技履歴情報としては、当日のトータルの遊技回数、特別役の入賞回数(BB遊技及びRB遊技のそれぞれの実行回数)、BB遊技又はRB遊技の終了後から次の特別役が入賞するまでの遊技回数等である。
さらに、遊技制御手段60は、詳細は後述するが、RT遊技中に、RT遊技の実行中である旨の遊技履歴情報を、外部情報送信基板13を介して遊技履歴表示装置100に送信するように制御する。
【0103】
また、遊技制御手段60は、演出制御手段80に対し、各種の遊技情報を送信する。送信される遊技情報としては、設定値の情報、ベットスイッチ40が操作された(メダル投入口からメダルが投入された)旨の情報、スタートスイッチ41が操作された旨の情報、役の抽選結果に関する情報(当選/非当選の有無、及び当選役の情報)、リール31が回転された旨の情報、ストップスイッチ42が操作された旨(どのストップスイッチ42が操作されたか)の情報、リール31が停止した旨(どのリール31が停止したか)の情報、停止図柄判断手段67による判断結果(どの有効ラインに、どの役に対応する図柄の組合せが停止したか)の情報、払出し手段68によるメダルの払い出し情報、遊技状態が移行した旨の情報、特別遊技が終了した旨の情報等である。
【0104】
図1において、演出制御手段80は、上述したランプ21、スピーカ22、及び画像表示装置23からの演出の出力を制御するものである。
演出制御手段80は、複数種類の演出パターンを記憶した演出パターン記憶手段81を備える。そして、演出制御手段80は、遊技の開始時等に、役抽選手段62による役の抽選が行われた後、ソフトウェア乱数を用いた抽選によって、役の抽選結果に対応するいずれか1つの演出パターンを選択する。
【0105】
また、演出パターンは、当選役に応じて、それぞれ複数種類が設けられている。例えば、特別役当選時、小役当選時、リプレイ当選時、非当選時等ごとに、それぞれ複数種類の演出パターンが設けられている。
演出パターンは、遊技の進行に伴って、どのようなタイミングで(スタートスイッチ41の操作時や各ストップスイッチ42の操作時等)、どのような演出を出力するか(ランプ21をどのように点灯、点滅又は消灯させるか、スピーカ22からどのようなサウンドを出力するか、及び画像表示装置23にどのような画像を表示させるか等)を定めたものである。
そして、演出制御手段80は、選択した演出パターンに従い、所定のタイミングで演出出力機器から演出を出力するように制御する。
【0106】
また、演出制御手段80は、AT遊技制御手段82を備える。AT遊技制御手段82は、RT遊技中に、AT遊技の終了条件を満たすまでAT遊技を実行(継続)するように制御するものである。
ここで、本実施形態における「AT(Assist Time )遊技(報知遊技)」とは、小役1A又は小役1Bに当選したときに、その旨を報知することで、当選した小役1A又は小役1Bの入賞を遊技者が回避できるような情報(ストップスイッチ42の操作情報)を遊技者に報知する遊技である。例えば小役1Aに当選したときは、最初のストップスイッチ42が操作される前(左リール31が停止する前)、より具体的にはスタートスイッチ41が操作された直後に、遊技者に対し、「赤チェリーを外せ!」等の報知(指示、ナビ又はコメント)を画像表示装置23を用いて画像表示するものである。小役1Bに当選したときも「青チェリーを外せ!」等の報知を行う。
【0107】
本実施形態では、BB遊技の終了後、RT遊技に移行したときは、RT遊技の1遊技目で、AT遊技制御手段82は、ATフラグ82aをオンにするとともに、当該遊技から20遊技間をAT遊技に設定する。そして、このAT遊技中に小役1A又は小役1Bに当選したときは、上述したような報知を行う。したがって、遊技者は、AT遊技中は、上記報知に従うことで、当選した小役1A又は小役1Bの入賞を回避することができる。具体的には、上述したように、例えば小役1Aの当選時には、図柄番号20番〜1番までの図柄が表示窓14内に位置する瞬間から、図柄番号7番〜9番までの図柄が表示窓14内に位置する瞬間までの間に左ストップスイッチ42を操作すれば、14番又は19番の「赤チェリー」の図柄は有効ライン(表示窓14内)に停止しない。したがって、遊技者は上記タイミングで左ストップスイッチ42を操作すれば、当選した小役1Aの入賞を回避することができる。小役1B当選時も同様に所定のタイミングで左ストップスイッチ42を操作すればよい。
【0108】
上述したように、本実施形態のRT遊技の終了条件の1つとして、小役1A又は小役1Bが入賞したことに設定されている。このため、RT遊技中に小役1A又は小役1Bの入賞を回避し続ければ、RT遊技の他の終了条件を満たさない限り、RT遊技を継続することができる。RT遊技は出玉率が1を上回る遊技であるので、RT遊技が長く続くほど、遊技者にとって有利となる。
なお、以上のようなRT遊技かつAT遊技は、「ART遊技」と称される場合もある。
【0109】
また、AT遊技制御手段82は、AT遊技を開始すると、AT遊技の遊技回数をカウントし続け、カウント値が「20」となったとき、すなわち20遊技目となったときは、当該遊技中又は当該遊技の終了時に、次遊技以降もAT遊技を継続するか否かの抽選を行う。
図8は、AT遊技の継続抽選における継続率を示す図である。本実施形態では、最初のAT遊技が開始されるときに、AT遊技制御手段82は、AT遊技の継続率を何%にするかを抽選により選択(決定)する。そして、この継続率は、スロットマシン10の設定値に応じて異なる。例えば図8に示すように、設定値が設定1であるときは、7/10の確率で70%に決定され、2/10の確率で80%に決定され、1/10の確率で90%に決定される。図8に示すように、設定値が高設定であるほど、高い継続率が選択されやすくなるように設定されている。なお、上述したように、遊技制御手段60側で設定された設定値の情報が演出制御手段80に送信されてくるので、演出制御手段80側では、その設定値を記憶している。
【0110】
そして、継続率が一旦決定されると、AT遊技が終了するまでその継続率が維持される。例えば設定値が設定1であり、継続率80%が選択されたときは、AT遊技の20遊技目に、継続率80%の抽選が行われる。すなわち、80%の確率でAT遊技を継続することに決定し、20%の確率でAT遊技を継続しない(終了する)ことに決定される。
【0111】
AT遊技を継続することに決定されたときは、次遊技から、再度、20遊技回数のAT遊技が実行される。そして、このAT遊技の20遊技目に、再度、AT遊技を継続するか否かの抽選が行われる。以上のようにして、AT遊技を継続しないことに決定されるまで、20遊技回数のAT遊技が連続して実行される。
【0112】
なお、AT遊技を継続することに決定された場合において、20遊技目の遊技の終了時に一旦AT遊技を終了し、次遊技のスタートスイッチ41が操作されるまでは、非AT遊技とし、スタートスイッチ41が操作された時から新たなAT遊技が開始されるとしてもよい。あるいは、AT遊技の継続抽選を行う時点までAT遊技とし、AT遊技を継続することに決定されたときは、その前のAT遊技から連続して(切れ目なく)新たなAT遊技が継続されるとしてもよい。
【0113】
また、AT遊技制御手段82は、AT遊技を継続しないことに決定されたときは、ATフラグ82aをオフにし、当該遊技をもってAT遊技を終了するように制御する。このため、次遊技以降は、AT遊技ではないがRT遊技は継続する。ただし、このRT遊技(非AT遊技)中に小役1A又は小役1Bに当選しても、遊技者には、上記のような報知は行われない。このため、当選した小役1A又は小役1Bが入賞するか否かは運次第となる。左リール31の「赤チェリー」及び「青チェリー」の配列上、小役1A又は小役1Bの当選時には、約1/2の確率で入賞する。
【0114】
そして、小役1A又は小役1Bの当選時に、小役1A又は小役1Bが入賞したときは、RT遊技が終了し、次遊技から通常遊技に移行する。これに対し、運良く小役1A又は小役1Bが入賞しなかったときは、RT遊技が継続される。
なお、AT遊技中に小役1A又は小役1Bの当選の報知が行われた場合であっても、遊技者のストップスイッチ42の操作ミスにより小役1A又は小役1Bを入賞させてしまったときは、当該遊技をもってAT遊技及びRT遊技の双方が終了し、次遊技から通常遊技に移行する。
【0115】
続いて、遊技制御手段60による遊技履歴情報の送信について説明する。上述したように、外部情報送信基板13は、遊技制御手段60(メイン制御基板11)とのみ電気的に接続され、演出制御手段80(サブ制御基板12)とは接続されていない。しかし、本発明では、AT遊技の継続回数がどの程度であるかを、遊技履歴情報(本実施形態では、RT信号)として遊技制御手段60から外部情報送信基板13に送信するように制御する。
【0116】
図9は、遊技制御手段60による遊技履歴情報の送信例を示すタイムチャートである。
図9において、メイン側(遊技制御手段60側)では、T1の時点からRT遊技が開始され(BB遊技が終了してRT遊技に移行し)、T2の時点で小役1A又は小役1Bが入賞し、RT遊技が終了したと仮定する。また、サブ側(演出制御手段80側)では、RT遊技の開始と同時(T1の時点)にAT遊技が開始され、AT遊技が4回継続された例を示している。そして、4回目の継続抽選で非当選となり、AT遊技が終了した例を示している。なお、AT遊技が終了した後に、T2の時点で小役1A又は小役1Bが入賞してRT遊技が終了している。
【0117】
本実施形態では、BB遊技の最後の遊技の次遊技からRT遊技が開始されるが、送信パターン1の例では、BB遊技の最後の遊技の終了時(全てのリール31が停止し、かつメダルの払出しがある場合にあっては払出し処理終了時。以下同じ。)に、遊技制御手段60は、RTフラグ70aをオンにするとともに、最初のRT信号(RT遊技の実行中である旨の遊技履歴情報であって、後述するように、実質的には、AT遊技の実行中である旨の遊技履歴情報)を外部情報送信基板13に送信する。図9では、送信パターンで「ON」となっている間、RT信号を送信し続けることを意味している。
そして、外部情報送信基板13は、このRT信号を受信すると、遊技履歴表示装置100にそのRT信号を転送する。
【0118】
ここで、RT信号の送信時間としては、約2秒間行われ(特に本実施形態では、パルス幅2000msのパルス信号を送信し)、RT信号の送信中の2秒間は、フリーズ処理(遊技の進行の中断)が行われ、遊技者からの全ての操作が無効にされる。このため、RT信号の送信中に、次遊技に移行するためのベットスイッチ40が操作されてもその操作は無効とされ、メダルの投入は行われない。また、メダル投入口からメダルが投入された場合には受け付けずに遊技者に返却される。また、フリーズ処理中は、スタートスイッチ41の操作等も行うことができない。
【0119】
さらに、遊技制御手段60は、20遊技目の遊技の終了時に、RTフラグ70aがオンであるか否かを判断し、オンであるときは、上記と同様に、約2秒間、RT信号を送信する。
これに対し、20遊技目の遊技の終了時に、RTフラグ70aがオフであるときは、当該遊技におけるRT信号は送信せず、それ以降も送信しない。
【0120】
なお、上記の例に限らず、RT遊技の1遊技目の開始時(スタートスイッチ41が操作された時。以下同じ。)、21遊技目の開始時、・・・にRTフラグ70aがオンであるか否かを判断し、オンであるときはRT信号を送信するようにしてもよい。この場合にも2秒間送信されるが、その時間中はフリーズ処理を行わない。ただし、信号の送信を開始した後、2秒経過前(RT信号の送信終了となる前)に、全てのリール31が停止して当該遊技が終了したとき、すなわちRT信号送信の終了よりも当該遊技の終了の方が早かったときは、RT信号の送信が終了するまでフリーズ処理を行い、次遊技に移行できないように制御する。
【0121】
また、送信パターン2の例では、AT遊技開始時の最初のRT信号、すなわち、BB遊技の終了時のRT信号を送信しない例である。ただし、本実施形態では、図示しないが、BB遊技の開始時から終了時までの間は、BB遊技が実行されている旨の信号が送信される。この信号により、BB遊技が終了したことを外部情報送信基板13に伝達することができる。
【0122】
さらにまた、送信パターン3の例では、AT遊技の開始後、10遊技目に最初のRT信号を送信する例である。この送信パターン3のように、必ずしもAT遊技の開始時(BB遊技終了時)や最初の遊技時にRT信号を送信しなくてもよい。送信パターン3の例では、AT遊技の開始後、10遊技目の遊技の終了時に最初のRT信号を送信し、次に、20遊技間隔で、RT信号を送信する。送信パターン3の例のRT信号の送信時間や送信タイミングは、上記送信パターン1や送信パターン2と同様である。
【0123】
以上のようなRT信号を遊技制御手段60(メイン制御基板11)から外部情報送信基板13に送信することで、外部情報送信基板13を介して遊技履歴表示装置100に対し、実質的にAT遊技の継続回数を送信することができる。ただし、本実施形態では、AT遊技の終了後、小役1A又は小役1Bが入賞するまでRT遊技が継続されるので、その間にRT信号の送信時期を迎えた場合には、(非AT遊技中でも)RT信号が送信されることとなる。しかし、非AT遊技中かつRT遊技中が何十遊技も続き、この間に何回もRT信号が送信されることは確率的にまれであるので、AT遊技の継続回数とRT信号の送信回数とに若干の不一致があっても、それを問題にはしない。
【0124】
なお、以上のように、RT信号を送信している時間中(2秒間)にフリーズ処理を行うのは、遊技者にスタートスイッチ41を操作させないためである。その理由は、下記の通りである。
スタートスイッチ41が操作されると、その情報が遊技履歴表示装置100に送信される。そして、遊技履歴表示装置100は、この情報を受信したときに、遊技回数を「+1」とカウントする。
一方、上述したように、特別遊技中は、特別遊技フラグ69aがオンにされる。そして、特別遊技フラグ69aがオンである旨の信号は、遊技履歴表示装置100に送信され続ける。遊技履歴表示装置100は、特別遊技フラグ69aがオンである旨の信号を受信している間は、スタートスイッチ41が操作された旨の情報を受信しても、遊技回数としてカウントしない。すなわち、遊技履歴表示装置100は、トータルの遊技回数には、特別遊技中の遊技回数を含めないように制御する。このように制御する理由は、特別役の当選確率は、「特別役の当選(入賞)回数/総遊技回数」から算出されるが、特別役の抽選が行われない特別遊技中の遊技回数を総遊技回数に含めると、特別役の当選確率を正しく算出できなくなるためである。特別役の当選確率を正しく算出できないと、遊技履歴表示装置100は、特別役の当選確率の正しい数値を遊技者に対して開示できなくなり、遊技者にとって不利益となる。
【0125】
これに対し、RT遊技中は、特別役の抽選が行われる。したがって、遊技履歴表示装置100は、RT遊技中は、スタートスイッチ41が操作された旨の情報を受信すると、この情報に基づいて遊技回数をカウントする必要がある。
【0126】
しかし、本実施形態では、従来より設けられている、特別遊技フラグ69aのオンの状態を送受信する入出力ポート(端子)を利用してRT信号を送受信している。このため、RT信号を送受信している間は、遊技履歴表示装置100は、スタートスイッチ41が操作された旨の情報を受信しても、遊技回数としてカウントしない。したがって、RT信号を送受信している間は、スタートスイッチ41を操作させないようにしている。
ただし、外部情報送信基板13や遊技履歴表示装置100に、RT信号送受信専用の入出力ポート(端子)を設けた場合には、必ずしも上記のように制御する必要はない。
【0127】
また、遊技履歴表示装置100側では、RT信号の受信回数を、「AT遊技継続回数」と画像表示して遊技者に閲覧させることで、遊技者は、実質的に、その台の(本日の)AT継続回数を知ることができる。
【0128】
続いて、フローチャートに基づき、RT信号の送受信処理を時系列的に説明する。
図10は、遊技制御手段60の処理の流れを示すフローチャートである。
先ず、ステップS11において、遊技制御手段60は、RTフラグ70aがオンとなったか否かを判断し続ける。オンになったと判断したとき(BB遊技の終了時)はステップS12に進み、遊技制御手段60は、遊技制御手段60は、タイマ値Xをセットする。例えば上述した例では、2秒間をカウントするタイマ値Xをセットする。そして、次のステップS13に進み、遊技制御手段60は、外部情報送信基板13に対し、RT信号の送信を開始する。
【0129】
次のステップS14では、タイマ値Xが「0」となったか否か、すなわちステップS13での送信を開始してから2秒が経過したか否かを判断する。経過していないと判断したときはステップS15に進み、タイマ値Xから「1」を減算し、ステップS14に戻る。これに対し、2秒が経過したと判断したときはステップS16に進み、遊技制御手段60は、RT信号の送信を終了する。
【0130】
次に、遊技制御手段60は、RT遊技(AT遊技)の遊技回数Gの初期値として、「G=20」をセットする。
次のステップS18では、遊技制御手段60は、遊技が開始されたか否か(スタートスイッチ41が操作されたか否か)を判断し続ける。遊技が開始されたと判断したときはステップS19に進み、遊技制御手段60は、遊技回数Gから「1」を減算する処理を行う。次にステップS20に進み、当該遊技が終了したか否か(全てのリール31が停止し、払出しが終了したか否か)を判断し続ける。
【0131】
そして、遊技が終了したと判断したときは、ステップS21に進み、遊技制御手段60(停止図柄判断手段67)は、小役1A又は小役1Bが入賞したか否かを判断する。小役1A又は小役1Bが入賞したと判断したときは、RT遊技の終了条件を満たすので、ステップS23に進み、遊技制御手段60(遊技状態制御手段70)は、RTフラグ70aをオフにし、遊技回数Gをクリアする。そして本フローチャートによる処理を終了する。
【0132】
これに対し、ステップS21で小役1A又は小役1Bが入賞していないと判断されたときはステップS22に進み、遊技制御手段60は、遊技回数Gが「0」となったか否かを判断する。「G=0」でないと判断したときはステップS18に進み、次遊技の開始を待つ。これに対し「G=0」であると判断したときは、ステップS12に進み、上述と同様に外部情報送信基板13に対してRT信号を送信する。
【0133】
図11は、演出制御手段80(AT遊技制御手段82)の処理の流れを示すフローチャートである。
先ず、ステップS31において、演出制御手段80は、RT遊技を開始する旨の情報を受信したか否かを判断し続ける。RT遊技が開始されると(BB遊技の終了時に)、遊技制御手段60から演出制御手段80に対し、RT遊技を開始した旨の情報が送信されるようになっている。
そして、この情報を受信したときは、演出制御手段80は、RT遊技が開始されたと判断し、ステップS32に進む。ステップS32では、演出制御手段80(AT遊技制御手段82)は、ATフラグ82aをオンにする。そしてステップS33に進む。
ステップS33では、演出制御手段80(AT遊技制御手段82)は、AT遊技の遊技回数Gの初期値として、「G=20」をセットする。
【0134】
次のステップS34では、演出制御手段80は、遊技が開始されたか否かを判断し続ける。例えば、スタートスイッチ41が操作されると、遊技制御手段60は、演出制御手段80に対し、その旨の情報を送信するので、この情報を受信したとき、演出制御手段80は、遊技が開始されたと判断する。
【0135】
そして、遊技が開始されたと判断したときはステップS35に進み、AT遊技制御手段82は、遊技回数Gから「1」を減算する処理を行う。次にステップS36に進み、AT遊技制御手段82は、当該遊技で小役1A又は小役1Bに当選したか否かを判断する。遊技制御手段60(役抽選手段62)で役の抽選が行われると、役の抽選結果(当選役に関する情報)が遊技制御手段60から演出制御手段80に送信される。この情報を受信して、演出制御手段80は、当該遊技における当選役を判断する。そして、小役1A又は小役1Bに当選したと判断したときはステップS37に進み、当選していないと判断したときはステップS38に進む。
【0136】
ステップS37では、演出制御手段80は、AT遊技に係る報知を行う。すなわち、小役1Aの当選時には、「赤チェリーを外せ!」等の報知を行う。また、小役1Bの当選時には、「青チェリーを外せ!」等の報知を行う。そしてステップS38に進む。
ステップS38では、演出制御手段80は、当該遊技が終了したか否か(全てのリール31が停止し、払出しが終了したか否か)を判断し続ける。全てのリール31が停止した旨の情報やメダルの払出しが完了した旨の情報は、遊技制御手段60から演出制御手段80に送信されるので、演出制御手段80は、この情報の受信に基づいて遊技が終了したか否かを判断する。
【0137】
遊技が終了したと判断したときは、ステップS39に進み、演出制御手段80は、RT遊技が終了したか否か、すなわち当該遊技で小役1A又は小役1Bが入賞したか否かを判断する。停止図柄(入賞役)に関する情報は遊技制御手段60から演出制御手段80に送信されるので、演出制御手段80は、この情報の受信に基づいて小役1A又は小役1Bの入賞を判断する。
【0138】
そして、RT遊技が終了したと判断したときはステップS44に進む。また、RT遊技が終了していないと判断したときはステップS40に進む。
ステップS40では、演出制御手段80は、遊技回数Gが「0」となったか否かを判断する。「G=0」でないと判断したときはステップS34に進み、次遊技の開始を待つ。これに対し「G=0」であると判断したときは、ステップS41に進み、AT遊技制御手段82は、AT遊技を継続するか否かの抽選を行う。そして、ステップS42で、AT遊技の継続抽選に当選したか否かを判断し、当選したときはステップS43に進み、AT遊技制御手段82は、画像表示装置23等により、AT遊技を継続する旨の演出表示を行う。そして、ステップS33に進む。
【0139】
これに対し、ステップS42で当選していないと判断したときはステップS45に進む。
ステップS39からステップS44に進むと、AT遊技制御手段82は、遊技回数Gをクリアし、ステップS45に進む。ステップS45では、AT遊技制御手段82は、ATフラグ82aをオフにするとともに、画像表示装置23等により、AT遊技を終了する旨の演出表示を行う。そして本フローチャートによる処理を終了する。
【0140】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態では、通常遊技中にRT遊技に移行するか否かの抽選を行い、この抽選に当選したときは、通常遊技からRT遊技に移行するように制御する。
先ず、役抽選手段62で抽選される役として、図柄の組合せが「ベル」−「RP」−「ベル」に設定された小役4を設ける。この小役4は、例えば払出し枚数が6枚に設定されるとともに、BBの当選確率と同程度の当選確率で当選するように設定されている。例えば設定1では1/400、・・・、設定6では1/320である。
【0141】
そして、役抽選手段62による役の抽選で小役4に当選したときは、リール制御手段65は、小役4テーブルを用いてリール31を停止制御する。小役4テーブルは、当該遊技で小役4に当選したときに用いられ、リール31の停止制御の範囲内において、小役4に対応する図柄の組合せを有効ラインに停止させるとともに、小役4以外の役に対応する図柄の組合せを有効ラインに停止させないようにリール31の停止時の図柄の組合せを定めたものである。
【0142】
上述したように、「ベル」及び「RP」は、常に所望の有効ラインに停止可能であるので、小役4テーブルが用いられたときは、常に小役4が入賞する。
そして、小役4が入賞したときは、遊技状態制御手段70は、RTフラグ70aをオンにするとともに、次遊技から、RT遊技を開始するように制御する。すなわち、小役4は、RT遊技移行役としての機能を有する小役である。
また、小役4が入賞した時には、遊技制御手段60は、演出制御手段80に対してRT遊技を開始する旨の情報を送信するとともに、外部情報送信基板13に対して第1実施形態と同様に2秒間のRT信号の送信を行う。
【0143】
また、第2実施形態では、RT遊技に移行したときは、常にAT遊技が開始されるとは限らず、AT遊技制御手段82は、AT遊技を行うか否かの抽選を行う。この抽選では、例えば設定値が高いほど当選確率が高くなるように設定されている。例えば、設定1では、6/10、設定2では6.5/10、設定3では、7/10、設定4では7.5/10、設定5では8.5/10、設定値6では9/10等の当選確率に設定されている。
【0144】
さらに第2実施形態では、AT遊技を実行することに決定された場合には、AT遊技の遊技回数を抽選する。すなわち、第1実施形態では1回のAT遊技は20遊技に固定されていたが、第2実施形態では、1回のAT遊技の遊技回数が固定ではない。ここで、AT遊技を実行するか否か、及び1回のAT遊技の終了時にAT遊技を継続するか否かは、AT遊技制御手段82が決定する。これに対し、AT遊技の遊技回数は、遊技制御手段60が抽選により決定する。遊技回数についても、例えば設定値が高いほど多い遊技回数が選択されやすく設定される。遊技回数としては、例えば10、20、30、及び50の4種類を設け、抽選によりいずれか1つを選択することが挙げられる。
【0145】
RT遊技が開始されると、遊技制御手段60は、AT遊技の遊技回数を抽選で決定し、その旨の情報を演出制御手段80に送信する。演出制御手段80は、AT遊技を実行することに決定したときは、遊技制御手段60から送信されてくる遊技回数をセットする。
【0146】
また、遊技制御手段60は、セットした遊技回数が終了した時点でRTフラグ70aがオンであるときは、未だAT遊技が継続されているとみなして、再度、AT遊技の遊技回数を抽選で決定し、決定した遊技回数を演出制御手段80に送信する。
演出制御手段80では、1回のAT遊技の終了時に、AT遊技を継続するか否かの抽選を行い、その抽選に当選したときは、遊技制御手段60から送信されてきた遊技回数を、次遊技以降のAT遊技の遊技回数にセットする。
【0147】
なお、AT遊技の継続抽選で当選せず、AT遊技を終了した後も、RT遊技が継続されているときは、遊技制御手段60から演出制御手段80に対し、次回のAT遊技の遊技回数が送信されてくる場合がある。しかし、このような場合には送信されてきた遊技回数の情報は無視する。
【0148】
図12は、第2実施形態における遊技制御手段60の処理の流れを示すフローチャートであり、図10に相当する図である。以下、第1実施形態と異なる点について説明する。
図12において、先ず、ステップS51では、遊技制御手段60は、小役4が入賞したか否かを判断する。小役4が入賞したと判断したときはステップS52に進み、遊技状態制御手段70は、RTフラグ70aをオンにする。そして、ステップS12に進む。
【0149】
ステップS12からステップS16までは第1実施形態と同様である。
ステップS16の後、ステップS53に進み、遊技制御手段60は、遊技回数Gの抽選を行う。そして、次のステップS54で、決定した遊技回数Gをセットし、さらに次のステップS55で、決定した遊技回数Gを演出制御手段80に送信する。
その後のステップS18からステップS23までの処理は第1実施形態と同様である。
【0150】
図13及び図14は、第2実施形態における演出制御手段80の処理の流れを示すフローチャートであり、図11に相当する図である。なお、図14は、図13に続くフローチャートである。以下、第1実施形態と異なる点について説明する。
図13において、ステップS31でRT遊技を開始した旨の情報を受信したときは、演出制御手段80は、RT遊技が開始されたと判断し、ステップS61に進む。ステップS61では、AT遊技制御手段82は、AT遊技を実行するか否かの抽選を行う。そして、次のステップS62では、AT遊技制御手段82は、ステップS61の抽選で当選したか否かを判断し、当選したと判断したときはステップS32に進み、当選していないと判断したときはステップS63に進む。ステップS63では、AT遊技制御手段82は、AT遊技を実行しない(抽選にはずれた)旨を画像表示装置23を用いて画像表示等し、本フローチャートによる処理を終了する。
【0151】
これに対しステップS32に進んだときは、AT遊技制御手段82は、ATフラグ82aをオンにする。次のステップS64では、演出制御手段80は、遊技制御手段60から送信された遊技回数Gに係る情報を受信したか否かを判断し続ける。受信したと判断したときは、次のステップS65に進み、受信した遊技回数Gをセットする。その後のステップS34からステップS45までは第1実施形態と同様である。
【0152】
なお、第2実施形態では、入賞率が100%に設定された図柄の組合せ「ベル」−「RP」−「ベル」からなる小役4を設け、この小役4の入賞によりRT遊技に移行するようにした。
しかし、確率的に有効ラインに停止しにくい図柄の組合せを、RT遊技に移行するための図柄の組合せに設定してもよい。例えば「7」−「BAR」−「BAR」からなる図柄の組合せに設定したときは、各リール31にぞれぞれ1つしかその図柄が設けられていないので、普通に遊技を消化しているときには入賞しにくい。そして、RT遊技に移行させたいときは、小役4の当選時に「7」−「BAR」−「BAR」を狙う旨を遊技者に報知することが挙げられる。
【0153】
ただし、このように設定すると、小役4の当選時に上記報知が行われなくても偶然に「7」−「BAR」−「BAR」が有効ラインに停止してしまう場合がある。
しかし、この場合にRT遊技に移行しても、小役1A又は小役1Bの当選時に報知が行われないので、すぐに小役1A又は小役1Bが入賞し、RT遊技が終了してしまう場合がほとんどである。このようなときに、図9中、送信パターン2のような送信方法を採用すれば、最初にRT信号が送信される前にRT遊技が終了する場合がほとんどである。よって、送信パターン2のような送信方法とすれば、上記のように偶然にRT遊技に移行した場合のRT信号の送信を(ほぼ)なくすことができる。
【0154】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態について説明する。第3実施形態では、第1実施形態において、小役1A及び小役1Bの代わりに、小役5A〜小役5Cを設けたものである。すなわち、RT遊技中に小役5A〜小役5Cが入賞したときはRT遊技を終了させるように制御する。
ここで、小役5A〜小役5Cに対応する図柄の組合せは、いずれも、「ベル」−「ベル」−「RP」に設定されている。
【0155】
リール制御手段65は、小役5Aに当選した場合において、最初に操作されたストップスイッチ42が左ストップスイッチ42であるときは小役5Aに対応する図柄の組合せを有効ラインに停止させないように制御し、最初に操作されたストップスイッチ42が中又は右ストップスイッチ42であるときは小役5Aに対応する図柄の組合せを有効ラインに停止させるように制御する。
【0156】
また、リール制御手段65は、小役5Bに当選した場合において、最初に操作されたストップスイッチ42が中ストップスイッチ42であるときは小役5Bに対応する図柄の組合せを有効ラインに停止させないように制御し、最初に操作されたストップスイッチ42が左又は右ストップスイッチ42であるときは小役5Bに対応する図柄の組合せを有効ラインに停止させるように制御する。
【0157】
さらにまた、リール制御手段65は、小役5Cに当選した場合において、最初に操作されたストップスイッチ42が右ストップスイッチ42であるときは小役5Cに対応する図柄の組合せを有効ラインに停止させないように制御し、最初に操作されたストップスイッチ42が左又は中ストップスイッチ42であるときは小役5Cに対応する図柄の組合せを有効ラインに停止させるように制御する。
【0158】
このように、ストップスイッチ42の押し順に応じて入賞/非入賞となる小役5A〜小役5Cを、RT遊技終了小役に設定する。
そして、小役5A〜小役5Cの当選確率を同一(例えばそれぞれ1/50)に設定する。また、AT遊技制御手段82は、AT遊技中に小役5A〜小役5Cに当選した場合において、報知を行うときは、当選した小役5A〜小役5Cを入賞させないための最初に操作すべきストップスイッチ42を遊技者に対して報知する。
【0159】
また、報知方法としては、例えば小役5A当選時は、「最初に左ストップスイッチ42を押せ!」等のような報知を行うことが挙げられる。小役5B又は小役5Cの当選時についても同様に、入賞を回避するための最初に操作するストップスイッチ42の押し順を報知する。
これにより、報知が行われたときは、その報知に従ってストップスイッチ42を操作すれば、当選した小役5A〜小役5Cの入賞を回避することができる。一方、報知が行われないときは、2/3の確率で当選した小役5A〜小役5Cが入賞する。
【0160】
なお、小役5A〜小役5Cに対応する図柄の組合せを「ベル」−「ベル」−「RP」とすれば、すべてのリール31において小役5A〜小役5Cを構成する図柄は5図柄以内の間隔で配置されている。したがって、ストップスイッチ42の押し順が正しければ、目押しをすることなく、常に、当選した小役5A〜小役5Cの入賞を回避することができる。
【0161】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、以下のような種々の変形が可能である。
(1)上記実施形態では、RT信号の送信時間を2秒間に設定したが、これに限られるものではない。
(2)AT遊技の継続率は、必ずしも設定値ごとに異ならせる必要はない。設定値ごとに異ならなくても、遊技者は、本日のAT遊技の継続回数を参照して(本日のその台の調子を考慮して)遊技を行うべきか否かを決定することができる。ただし、設定値が高いほどAT遊技の継続率が高くなるように設定しておけば、遊技者は、AT遊技の継続回数を参照してその台の設定値を推測することが可能となる。
【0162】
また、例えば設定値が奇数の場合は、AT遊技の実行抽選に当選しにくいが、当選した場合には継続率が高いものが選択されやすいようし、設定値が偶数の場合は、AT遊技の実行抽選に当選しやすいが、当選しても継続率が低いものが選択されやすいようにすることも可能である。
【0163】
(3)なお、本実施形態では、遊技制御手段60から外部情報送信基板13に対して20遊技ごとに2秒間送信する信号を「RT信号」と称した。しかし、「RT信号」は、実質的には、AT遊技が継続されていることを意味する信号でもあるため、「A(R)T信号」、「A(R)T継続信号」、「A(R)T継続数カウント用信号」等と称することもできる。
【符号の説明】
【0164】
10 スロットマシン
11 メイン制御基板
12 サブ制御基板
13 外部情報送信基板
14 表示窓
21 ランプ
22 スピーカ
23 画像表示装置
31 (左、中、右)リール
32 モータ
40 ベットスイッチ
41 スタートスイッチ
42 (左、中、右)ストップスイッチ
43 設定変更スイッチ
60 遊技制御手段
61 設定値変更手段
61a 設定値記憶手段
62 役抽選手段
63(63A〜63D) 役抽選テーブル
64 当選フラグ制御手段
64a 当選フラグ
65 リール制御手段
66 停止位置決定テーブル
67 停止図柄判断手段
68 払出し手段
69 特別遊技制御手段
69a 特別遊技フラグ
70 遊技状態制御手段
70a RTフラグ
80 演出制御手段
81 演出パターン記憶手段
82 AT遊技制御手段
82a ATフラグ
100 遊技履歴表示装置
L1〜L5 有効ライン(図柄組合せライン)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類の図柄が表示されており、有効ラインに停止した図柄の組合せにより当該遊技の遊技結果を表示するための複数のリールと、
遊技中における演出及び遊技情報を表示するための演出出力装置と、
役の抽選、前記リールの回転及び停止制御を含む、遊技の進行を制御する遊技制御手段と、
前記演出出力装置を制御する演出制御手段と、
外部の遊技履歴表示装置に遊技履歴を送信するための外部情報送信手段と
を備え、
前記遊技制御手段は、
前記演出制御手段に対して、遊技情報を一方向で送信するとともに、前記外部情報送信手段に対して、遊技履歴情報を一方向で送信するスロットマシンであって、
遊技状態として、第1遊技状態と、前記第1遊技状態よりも遊技者にとって有利な第2遊技状態とを有し、
前記遊技制御手段は、
前記第2遊技状態に移行するための条件を満たしたときは、遊技状態を前記第2遊技状態に設定し、
前記第2遊技状態では、特定役を含めて役の抽選を行い、
前記特定役の当選時には、遊技者によるストップスイッチの操作に応じて、前記第2遊技状態を終了させる図柄の組合せが停止する場合と停止しない場合とを有するように前記リールを停止制御し、
前記第2遊技状態において前記特定役に当選し、前記第2遊技状態を終了させる図柄の組合せが停止したときは、前記第2遊技状態の終了条件を満たすと判断し、前記第1遊技状態に移行するように制御し、
前記演出制御手段は、前記第2遊技状態に移行した場合において所定条件を満たしたときに、その後の所定遊技回数の遊技において前記報知遊技を実行するように制御し、
前記遊技制御手段は、前記第2遊技状態では、前記所定遊技回数に少なくとも1回の割合で、前記第2遊技状態である旨の遊技履歴情報を前記外部情報送信手段に送信するように制御する
ことを特徴とするスロットマシン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−245333(P2011−245333A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−172397(P2011−172397)
【出願日】平成23年8月5日(2011.8.5)
【分割の表示】特願2009−28359(P2009−28359)の分割
【原出願日】平成21年2月10日(2009.2.10)
【出願人】(390031783)サミー株式会社 (5,279)
【Fターム(参考)】