説明

スロットマシン

【課題】ぶら下がりゴトが行われることを防止できる、スロットマシンを提供する。
【解決手段】演出制御基板32では、ベット信号LINEBET、レバーオン信号START0、リール回転開始信号START1、3つの停止操作信号STOPおよび遊技終了信号GENTRYの各信号入力間での当選役信号ENSおよび遊技状態信号RTの入力の有効/無効が設定されている。当選役信号ENSの入力が無効に設定されている信号入力間で当選役信号ENSがサブ基板に入力されても、その入力は、すべて無効にされる。また、レバーオン信号START0の入力とリール回転開始信号START1の入力との間においては、1つの当選役信号ENSの入力のみが有効とされ、それ以上の入力は無効にされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スロットマシンに関する。
【背景技術】
【0002】
スロットマシンでは、メダルの投入またはベットボタンの操作後に、スタートレバーが操作されると、それぞれ周面に複数種類の図柄が配置された3個のリールが一斉に回転し始める。また、複数の役が設定されており、スタートレバーの操作を契機として、その役に関する抽選(内部抽選)が行われる。その後、各リールに対応して設けられたリールストップボタンが操作されると、その操作されたリールストップボタンに対応するリールが停止する。すべてのリールが停止すると、1ゲームが終了である。そして、すべてのリールが停止した時点で入賞ライン上にいずれかの役に対応した図柄の組合せが並べば、その役の入賞となり、役によっては、所定枚数のメダルが払い出される。
【0003】
近年の主流のスロットマシンは、AT(アシストタイム)機能を有している。AT機能が作動している状態(AT状態)では、内部抽選で特定の役が当選した場合に、その役を入賞させるための操作(3個のリールストップボタンの押し順など)を案内する報知がなされる。この報知がなされることにより、内部抽選で役に当選したにもかかわらず、その役の入賞を得られないといった、いわゆる取りこぼしを防止することができる。
【0004】
AT状態への突入は、AT抽選で決定される。AT抽選は、たとえば、内部抽選で当選確率が低いレア小役に当選した場合に、内部抽選が行われるメイン基板と通信可能に接続されたサブ基板で行われる。この場合、AT抽選の実行に必要な情報として、内部抽選での当選役に関する情報がメイン基板からサブ基板に送信される。そして、内部抽選でレア小役に当選したことを表す信号がサブ基板に受け取られると、これを契機として、サブ基板でAT抽選が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−51189号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このようなスロットマシンでは、いわゆるぶら下がりゴトが行われるおそれがある。すなわち、メイン基板とサブ基板とを接続するためのケーブルやコネクタなどに不正部品を接続し、短時間で、不正部品からサブ基板にレア小役に当選したことを表す信号を繰り返し送信させて、サブ基板でAT抽選を繰り返し行わせることにより、AT状態に突入させるといった不正行為が行われるおそれがある。このような不正行為が行われると、スロットマシンのメーカやスロットマシンを設置しているホールの想定外の出玉(入賞によって払い出されるメダル)が不正に獲得されてしまう。
【0007】
本発明の目的は、ぶら下がりゴトが行われることを防止できる、スロットマシンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するため、本発明に係るスロットマシンは、複数種類の図柄の配列を有し、当該図柄を変動表示および停止表示する複数の図柄表示手段と、所定条件が成立した後、前記複数の図柄表示手段による図柄の変動表示の開始を指示するために操作される始動指示手段と、各前記図柄表示手段に対応して設けられ、前記図柄表示手段による図柄の変動表示の停止を指示するために操作される複数の停止指示手段と、前記図柄表示手段、前記始動指示手段および前記停止指示手段と電気的に接続されたメイン基板と、前記メイン基板と通信可能に接続され、前記メイン基板から信号を一方的に受信し、当該受信した信号に基づく制御を実行するサブ基板とを含む。
【0009】
そして、本発明の一の局面に係るスロットマシンでは、前記所定条件の成立からゲームの終了を表す終了信号が出力されるまでの間を1ゲームとして、前記メイン基板は、1ゲーム中に、前記所定条件が成立したことを表す条件成立信号、前記始動指示手段が操作されたことを表す始動操作信号、前記図柄表示手段による図柄の変動表示の開始を指令したことを表す変動開始信号および前記複数の停止指示手段がそれぞれ操作されたことを表す複数の停止操作信号をこの順で前記サブ基板に送信し、すべての前記停止指示手段が操作された後に、前記終了信号を前記サブ基板に送信するとともに、前記始動操作信号、前記変動開始信号、前記停止操作信号および前記終了信号以外の所定の信号を前記サブ基板に送信し、前記サブ基板では、前記条件成立信号、前記始動操作信号、前記変動開始信号、前記複数の停止操作信号および前記終了信号の各信号入力間での前記所定の信号の入力の有効/無効が設定されるとともに、特定の前記信号入力間では、入力を有効とする前記所定の信号の数が予め定める数に限定されている。
【0010】
スロットマシンには、複数の図柄表示手段が備えられている。各図柄表示手段は、複数種類の図柄の配列を有しており、それらの図柄を変動表示および停止表示する。また、スロットマシンには、始動指示手段および停止指示手段が備えられている。所定条件の成立後、始動指示手段が操作されると、各図柄表示手段による図柄の変動表示が開始される。停止指示手段は、各図柄表示手段に対応して設けられており、図柄の変動表示が開始された後、停止指示手段が操作されると、その操作された停止指示手段に対応する図柄表示手段による図柄の変動表示が停止(図柄が停止表示)される。すべての停止指示手段が操作されると、1ゲームが終了する。
【0011】
各図柄表示手段、始動指示手段および停止指示手段は、メイン基板に接続されている。また、メイン基板には、サブ基板が通信可能に接続されている。
【0012】
メイン基板は、1ゲーム中に、所定条件が成立したことを表す条件成立信号、始動指示手段が操作されたことを表す始動操作信号、図柄表示手段による図柄の変動表示の開始を指令したことを表す変動開始信号および記複数の停止指示手段がそれぞれ操作されたことを表す複数の停止操作信号をこの順でサブ基板に送信した後、1ゲームの終了を表す終了信号をサブ基板に送信する。また、メイン基板は、所定のタイミングで、始動操作信号、変動開始信号、停止操作信号および終了信号以外の所定の信号をサブ基板に送信する。
【0013】
サブ基板では、条件成立信号、始動操作信号、変動開始信号、複数の停止操作信号および終了信号の各信号入力間での所定の信号の入力の有効/無効が設定されている。所定の信号の入力が無効に設定されている信号入力間(以下、この項において「無効期間」という。)で所定の信号がサブ基板に入力されても、その入力は、すべて無効にされる。
【0014】
また、特定の信号入力間では、その入力を有効とする所定の信号の数が予め定める数に限定されている。したがって、特定の信号入力間において、予め定める数を超える数の所定の信号が入力されても、その予め定める数を超えた所定の信号の入力は、すべて無効にされる。
【0015】
所定の信号の入力が無効にされると、その所定の信号に基づいては、サブ基板による制御が行われない。
【0016】
そのため、サブ基板に不正部品が接続されて、不正部品からサブ基板に所定の信号が短時間に繰り返し送信されても、無効期間においては、その不正部品からサブ基板への所定の信号の入力がすべて無効にされるので、不正部品からの所定の信号の入力に基づく制御は行われない。また、特定の信号入力間においては、予め定める数の所定の信号の入力のみが有効とされるので、その予め定める数を超える数の制御は行われない。
【0017】
このように、サブ基板への所定の信号の入力が有効にされる期間が限られ、さらに特定の信号入力間に予め定める数を超える数の制御が行われることがないので、サブ基板に不正部品を接続しても、1ゲーム中にサブ基板で行われる所定の信号の入力に基づく制御の回数をそれほど増加させることができない。したがって、サブ基板に不正部品を接続することに利点がない。その結果、サブ基板に不正部品を接続する不正行為、いわゆるぶら下がりゴトが行われることを防止できる。
【0018】
メイン基板には、1ゲームごとに、役およびはずれを抽選対象とする抽選を実行する抽選手段が備えられており、所定の信号には、抽選手段による抽選での当選役に関する情報を表す当選役信号が含まれていてもよい。
【0019】
この場合、特定の信号入力間には、始動操作信号の入力から変動開始信号の入力までの期間が含まれ、当該期間では、入力を有効とする当選役信号の数が1に限定されていることが好ましい。
【0020】
これにより、始動操作信号の入力から変動開始信号の入力までの期間に、メイン基板からサブ基板に1つの当選役信号が送信されると、それ以上の当選役信号のサブ基板への入力が無効にされる。よって、サブ基板に当選役信号を繰り返し送信する不正部品が接続されても、その不正部品からサブ基板への当選役信号の入力を無効にすることができる。
【0021】
メイン基板には、抽選手段における抽選に用いられる抽選テーブルが異なる複数の遊技状態を設定する遊技状態設定手段が備えられており、所定の信号には、遊技状態設定手段によって設定されている遊技状態に関する情報を表す遊技状態信号が含まれていてもよい。
【0022】
この場合、特定の信号入力間には、条件成立信号の入力から始動操作信号の入力までの期間が含まれ、当該期間では、入力を有効とする遊技状態信号の数が1に限定されていることが好ましい。
【0023】
これにより、条件成立信号の入力から始動操作信号の入力までの期間に、メイン基板からサブ基板に1つの遊技状態信号が送信されると、それ以上の遊技状態信号のサブ基板への入力が無効にされる。よって、サブ基板に遊技状態信号を繰り返し送信する不正部品が接続されても、その不正部品からサブ基板への遊技状態信号の入力を無効にすることができる。
【0024】
抽選対象には、複数の停止指示手段の押し順が所定の正解押し順と一致した場合に、当該押し順が正解押し順と一致しなかった場合と比較して、遊技者に有利な図柄の組合せが複数の図柄表示手段によって停止表示される押し順役が含まれていてもよい。そして、所定の信号には、押し順報知抽選に関する信号が含まれ、サブ基板には、押し順報知抽選に関する信号に基づいて、正解押し順に関する情報を報知する権利を取得するか否かを決定する押し順報知抽選を実行する押し順報知抽選実行手段が備えられていてもよい。
【0025】
この場合、始動操作信号の入力から変動開始信号の入力までの期間(特定の信号入力間)において、メイン基板からサブ基板に押し順報知抽選に関する信号が1つだけ送信され、サブ基板への入力が有効とされる押し順報知抽選に関する信号の数が1に限定されていることが好ましい。
【0026】
無効期間においては、サブ基板への押し順報知抽選に関する信号の入力がすべて無効にされるので、押し順報知抽選は実行されない。また、始動操作信号の入力から変動開始信号の入力までの期間においては、1つの押し順報知抽選に関する信号の入力のみが有効とされ、それ以上の入力は無効にされるので、押し順報知抽選が複数回行われることはない。したがって、サブ基板に不正部品が接続されて、不正部品からサブ基板に押し順報知抽選に関する信号が短時間に繰り返し送信されても、1ゲーム中に行われる押し順報知抽選は1回のみである。そのため、ぶら下がりゴトにより、正解押し順に関する情報を報知する権利を不正に取得することができない。その結果、正解押し順に関する情報が報知される機種において、ぶら下がりゴトが行われることを効果的に防止できる。
【0027】
サブ基板には、1ゲームごとに、条件成立信号、始動操作信号および変動開始信号がこの順に入力されるか否かを判定する順序判定手段が備えられていることが好ましい。
【0028】
条件成立信号、始動操作信号および変動開始信号がこの順に入力されない場合には、サブ基板に不正部品から信号が送信されているなどの異常が発生していると判断して、たとえば、サブ基板への所定の信号の入力を無効にすることができる。
【0029】
また、本発明の他の局面に係るスロットマシンでは、前記所定条件の成立からゲームの終了を表す終了信号が出力されるまでの間を1ゲームとして、前記メイン基板は、1ゲーム中に、前記所定条件が成立したことを表す条件成立信号、前記始動指示手段が操作されたことを表す始動操作信号、前記図柄表示手段による図柄の変動表示の開始を指令したことを表す変動開始信号および前記複数の停止指示手段がそれぞれ操作されたことを表す複数の停止操作信号をこの順で前記サブ基板に送信し、すべての前記停止指示手段が操作された後に、前記終了信号を前記サブ基板に送信するとともに、前記始動操作信号、前記変動開始信号、前記停止操作信号および前記終了信号以外の所定の信号を前記サブ基板に送信し、前記サブ基板では、前記条件成立信号、前記始動操作信号、前記変動開始信号、前記複数の停止操作信号および前記終了信号の各信号入力間での前記所定の信号の入力の有効/無効が設定されており、前記サブ基板には、1ゲームごとに、前記条件成立信号、前記始動操作信号および前記変動開始信号がこの順に入力されるか否かを判定する順序判定手段が備えられている。
【0030】
サブ基板では、条件成立信号、始動操作信号、変動開始信号、複数の停止操作信号および終了信号の各信号入力間での所定の信号の入力の有効/無効が設定されている。無効期間で所定の信号がサブ基板に入力されても、その入力は、すべて無効にされる。
【0031】
所定の信号の入力が無効にされると、その所定の信号に基づいては、サブ基板による制御が行われない。
【0032】
また、サブ基板では、1ゲームごとに、条件成立信号、始動操作信号および変動開始信号がこの順に入力されるか否かが判定される。
【0033】
条件成立信号、始動操作信号および変動開始信号がこの順に入力されない場合には、サブ基板に不正部品から信号が送信されているなどの異常が発生していると判断して、たとえば、サブ基板への所定の信号の入力を無効にすることができる。
【0034】
このように、サブ基板への所定の信号の入力が有効にされる期間が限られ、さらに条件成立信号、始動操作信号および変動開始信号がこの順でサブ基板に入力される必要があるので、サブ基板に不正部品を接続しても、1ゲーム中にサブ基板で行われる所定の信号の入力に基づく制御の回数をそれほど増加させることができない。したがって、サブ基板に不正部品を接続することに利点がない。その結果、サブ基板に不正部品を接続する不正行為、いわゆるぶら下がりゴトが行われることを防止できる。
【0035】
条件成立信号、始動操作信号、変動開始信号、複数の停止操作信号、終了信号および所定の信号をメイン基板からの送信順序と同じ順序で送信する不正部品がサブ基板に接続されて、不正部品からサブ基板にそれらの信号が短時間で繰り返し入力されることが考えられる。
【0036】
そこで、サブ基板には、変動開始信号の入力から1ゲームの消化に最低限必要な時間が経過するまでの間に変動開始信号が再び入力されるか否かを判定する再入力判定手段が備えられていることが好ましい。
【0037】
変動開始信号の入力から1ゲームの消化に最低限必要な時間が経過するまでの間に変動開始信号が再び入力された場合に、サブ基板に不正部品が接続されていると判断することができ、その不正部品からサブ基板への所定の信号の入力を無効にすることができる。これにより、1ゲーム中に、不正部品からサブ基板に始動操作信号、変動開始信号、複数の停止操作信号、終了信号および所定の信号がそれぞれ複数入力されても、サブ基板で所定の信号に基づく制御が複数回行われることを防止できる。
【0038】
よって、ぶら下がりゴトが行われることを一層効果的に防止できる。
【発明の効果】
【0039】
本発明によれば、所定の信号を短時間に繰り返し送信する不正部品をサブ基板に接続しても、1ゲーム中にサブ基板で行われる所定の信号の入力に基づく制御の回数をそれほど増加させることができない。よって、サブ基板に不正部品を接続する不正行為、いわゆるぶら下がりゴトが行われることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係るスロットマシンの斜視図である。
【図2】図2は、スロットマシンの電気的構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、主制御基板で実行される主制御の流れを示すフローチャートである。
【図4】図4は、1ゲーム中に主制御基板から演出制御基板への信号の送信順序を示す図である。
【図5】図5は、演出制御基板で実行される処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】図6は、演出制御基板で実行されることが好ましい処理について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下では、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0042】
図1は、本発明の一実施形態に係るスロットマシンの斜視図である。
【0043】
スロットマシン1は、前面が開放された箱型の本体2と、本体2の前面を開閉可能に設けられた前面扉3とを備えている。
【0044】
本体2内には、上下方向の中央部より少し上方の位置に、3個のリール4L,4C,4R が左右に並べて配置されている。各リール4L,4C,4Rは、ドラム状のリール枠の周面にリール帯を巻着した構成を有しており、リール枠の中心で左右方向に延びる軸を中心に回転可能に設けられている。リール帯には、スイカ図柄、チェリー図柄、ベル図柄、リプレイ図柄など、7種類で21個の図柄が周方向に並べて配置されている。
【0045】
前面扉3には、パネル表示部5、操作部6および演出表示部7が設けられている。
【0046】
パネル表示部5には、3個のリール4L,4C,4Rを一括して臨むように、リール窓8が形成されている。リール4L,4C,4Rの回転中は、リール窓8内に、各リール4L,4C,4Rの図柄が次々に現れる(図柄の変動表示)。リール4L,4C,4Rが停止すると、リール窓8内に、各リール4L,4C,4Rの3個の図柄(合計9個の図柄)が表示される(図柄の停止表示)。
【0047】
リール窓8の左方には、たとえば、ベット(BET)されたメダルの枚数(ベット数)およびそのベット数に応じて有効化された入賞ラインを表示するための3個の入賞ライン表示器9が配置されている。
【0048】
リール窓8の下方には、スロットマシン1に預けられているメダルの枚数(クレジット数)を表示するクレジット数表示器10と、所定の役の入賞時に払い出されるメダルの枚数(配当数)を表示する配当数表示器11とが左右に並べて配置されている。クレジット数表示器10および配当数表示器11は、たとえば、2桁の数字を表示可能な7セグメント表示器からなる。
【0049】
操作部6は、パネル表示部5の下方に配置されている。操作部6は、パネル表示部5から手前に張り出しており、上面12および上面12の手前側の端縁に連続する前面13を有している。
【0050】
上面12の右端部には、メダル投入口14が設けられている。
【0051】
メダル投入口14からメダルが投入(ベット)されると、その投入枚数(ベット数)に応じた本数の入賞ラインが有効化される。1ゲームに対して、最大で3枚のメダルをベットすることができる。メダル投入口14から3枚以上のメダルが投入された場合には、3枚を超えて投入されたメダルがスロットマシン1に預けられ、クレジット数表示器10に表示されているクレジット数がその預けられた枚数分だけ加算された数に更新される。
【0052】
また、上面12の左端部には、MAXベットボタン15、1枚ベットボタン16および2枚ベットボタン17が設けられている。1枚ベットボタン16および2枚ベットボタン17は、MAXベットボタン15の左方で前後に並べて配置されている。
【0053】
3枚以上のメダルがスロットマシン1に預けられている状態で、MAXベットボタン15が操作されると、その預けられているメダルから3枚のメダルがベットされ、クレジット数表示器10に表示されているクレジット数が3だけ減算された数に更新される。1枚ベットボタン16が操作されると、スロットマシン1に預けられているメダルから1枚のメダルがベットされ、クレジット数表示器10に表示されているクレジット数が1だけ減算された数に更新される。また、2枚ベットボタン17が操作されると、スロットマシン1に預けられているメダルから2枚のメダルがベットされ、クレジット数表示器10に表示されているクレジット数が2だけ減算された数に更新される。
【0054】
前面13には、スタートレバー18、左ストップボタン19L、中ストップボタン19C、右ストップボタン19Rおよび精算ボタン20が設けられている。左ストップボタン19L、中ストップボタン19Cおよび右ストップボタン19Rは、前面13の左右方向の中央部で左からこの順に並べて配置されている。スタートレバー18は、左ストップボタン19Lの左方に配置されている。精算ボタン20は、スタートレバー18のさらに左方に配置されている。
【0055】
1枚以上のメダルがベットされた後、スタートレバー18が操作されると、リール4L,4C,4Rが一斉に回転し始める。その後、左ストップボタン19L、中ストップボタン19Cおよび右ストップボタン19Rが操作されると、それぞれリール4L,4C,4Rの回転が停止する。精算ボタン20が操作されると、スロットマシン1に預けられているメダルが返却される。返却されるメダルは、前面扉3の最下部に設けられた受皿21に排出される。
【0056】
演出表示部7には、ゲームの進行に合わせた演出画像などを表示するための液晶表示器22が設けられている。また、演出表示部7には、液晶表示器22の左方および右方に、ゲーム中の雰囲気を盛り上げるための効果音などを出力するスピーカ23が配置されている。
【0057】
また、前面扉3には、操作部6の下方に、スロットマシン1の機種名などを表示する表示パネル24が装着されている。
【0058】
さらに、受皿21と表示パネル24との間には、スピーカ23とともに効果音などを出力するスピーカ25が配置されている。
【0059】
図2は、スロットマシンの電気的構成を示すブロック図である。
【0060】
スロットマシン1は、ゲームのための主たる制御を行う主制御基板31と、ゲームに付随する演出のための制御を行う演出制御基板32と、光と音による電飾のための制御を行う電飾制御基板33とを備えている。
【0061】
主制御基板31には、CPU41、ROM42、RAM43、入出力ポート44および信号送出回路45が備えられている。CPU41は、ROM42、RAM43、入出力ポート44および信号送出回路45と接続されている。CPU41は、ROM42に格納されている制御プログラムに従って、入出力ポート44から入力される各種信号に基づき、入出力ポート44に接続されている各種制御対象を制御する。このとき、RAM43は、ワークエリアとして使用される。また、CPU41は、信号送出回路45を介して、演出制御基板32および電飾制御基板33にコマンドおよび制御に必要な情報を送信(送出)する。
【0062】
入出力ポート44には、MAXベットボタン15、1枚ベットボタン16、2枚ベットボタン17、スタートレバー18、左ストップボタン19L、中ストップボタン19C、右ストップボタン19Rおよび精算ボタン20が接続されている。MAXベットボタン15、1枚ベットボタン16、2枚ベットボタン17、スタートレバー18、左ストップボタン19L、中ストップボタン19C、右ストップボタン19Rおよび精算ボタン20が操作されると、それらに内蔵されたスイッチ(図示せず)から操作信号が出力され、その操作信号が入出力ポート44を介してCPU41に入力される。
【0063】
入出力ポート44には、CPU41の制御対象として、クレジット数表示器10および配当数表示器11が接続されている。
【0064】
また、入出力ポート44には、CPU41の制御対象として、リール4L,4C,4Rをそれぞれ回転させるためのステッピングモータ51L,51C,51Rが接続されている。
【0065】
入出力ポート44には、リール位置検出センサ52L,52C,52Rが接続されている。リール4L,4C,4Rが1回転する度に、リール位置検出センサ52L,52C,52Rから検出信号が出力され、その検出信号が入出力ポート44を介してCPU41に入力される。
【0066】
CPU41は、ステッピングモータ51L,51C,51Rのステップ数およびリール位置検出センサ52L,52C,52Rの検出信号に基づいて、各リール4L,4C,4Rの回転位置を常に把握している。そして、CPU41は、リール4L,4C,4Rの回転位置に基づいて、ステッピングモータ51L,51C,51Rに駆動パルス信号を与え、リール4L,4C,4Rの回転を制御する。
【0067】
入出力ポート44には、CPU41の制御対象として、メダル投入口14から投入されるメダルの排出先を本体2内のメダル貯留部(図示せず)と受皿21とに切り替えるためのメダルブロックソレノイド53と、メダル貯留部から受皿21にメダルを排出するメダル排出モータ54とが接続されている。
【0068】
入出力ポート44には、メダル投入センサ55が接続されている。メダル投入口14から投入されたメダルがメダル貯留部に1枚排出される度に、メダル投入センサ55から検出信号が出力され、その検出信号が入出力ポート44を介してCPU41に入力される。
【0069】
また、入出力ポート44には、メダル排出センサ56が接続されている。メダル排出モータ54によってメダルが受皿21に1枚排出される度に、メダル排出センサ56から検出信号が出力され、その検出信号が入出力ポート44を介してCPU41に入力される。
【0070】
スロットマシン1に預けられているメダルの枚数(クレジット数)は、RAM43に設けられたカウンタによって計数されている。CPU41は、メダルブロックソレノイド53を制御して、クレジット数が50に達するまでは、メダル投入口14から投入されるメダルの排出先をメダル貯留部にし、クレジット数が50に達すると、その排出先を受皿21にする。また、クレジット数が50に達した後、メダルの払出し(配当)がある役に入賞した場合、CPU41は、メダル排出モータ54を制御し、その払い出されるメダルを受皿21に排出する。
【0071】
また、ROM42には、制御プログラムの他に、第1抽選テーブル57および第2抽選テーブル58を含む複数の抽選テーブルが格納されている。CPU41は、1ゲームごとに、1つの抽選テーブルを用いて、複数種類の役およびはずれを抽選対象とする役抽選(内部抽選)を行う。
【0072】
演出制御基板32には、CPU61、ROM62、RAM63、信号入力回路64および駆動回路65が備えられている。CPU61は、ROM62、RAM63、信号入力回路64および駆動回路65と接続されている。CPU61は、ROM62に格納されている制御プログラムに従って、信号入力回路64から入力される信号に基づき、駆動回路65を介して、液晶表示器22の表示を制御する。このとき、RAM63は、ワークエリアとして使用される。
【0073】
電飾制御基板33は、主制御基板31から送信されるコマンドに基づいて、入賞ライン表示器9、左ストップボタン19L、中ストップボタン19C、右ストップボタン19Rなどに内蔵されたLED71の点灯を制御する。また、スピーカ23,25からの効果音の出力を制御する。
【0074】
図3は、主制御基板で実行される主制御の流れを示すフローチャートである。
【0075】
主制御基板31では、CPU41により、図3に示される主制御が繰り返し実行される。
【0076】
ゲームの開始前は、MAXベットボタン15、1枚ベットボタン16および2枚ベットボタン17からの操作信号の入力の有無ならびにメダル投入センサ55からの検出信号の入力の有無が繰り返し調べられている(ステップS1)。
【0077】
いずれかの操作信号または検出信号の入力があれば、メダルがベットされたと判断されて(ステップS1のYES)、スタートレバー18からの操作信号の入力の有無が調べられる(ステップS2)。スタートレバー18からの操作信号の入力がなければ(ステップS2のNO)、MAXベットボタン15、1枚ベットボタン16および2枚ベットボタン17からの操作信号の入力の有無ならびにメダル投入センサ55からの検出信号の入力の有無が再び調べられる(ステップS1)。
【0078】
スタートレバー18からの操作信号が入力されると、つまりスタートレバー18が操作されると(ステップS2のYES)、メダルブロックソレノイド53が制御されて、メダル投入口14から投入されるメダルの排出先が受皿21にされ、以降のメダルの投入が禁止される(ステップS3)。
【0079】
また、スタートレバー18が操作されると、複数種類の役およびはずれを抽選対象とする役抽選が行われる(ステップS4)。
【0080】
役には、当選確率が相対的に低いレア小役であるスイカ役、押し順に応じて入賞時のメダルの払出枚数が異なる押し順小役であるベル役、メダルのベットなしで1ゲームの実行が許可されるリプレイ役などが含まれる。
【0081】
スイカ役に当選すると、「スイカ」−「スイカ」−「スイカ」の図柄の組合せが入賞ライン上に並ぶことが許容される。
【0082】
ベル役に当選すると、「ベルA」−「ベルA」−「ベルA」の図柄の組合せと「ベルA」−「ベルB」−「ベルB」の図柄の組合せとが入賞ライン上に並ぶことが許容される。「ベルA」および「ベルB」は、ベルをモチーフとした同じ種類の図柄であるが、同じではない。左ストップボタン19L、中ストップボタン19Cおよび右ストップボタン19Rの押し順が所定の正解押し順と一致した場合、「ベルA」−「ベルA」−「ベルA」の図柄の組合せが入賞ライン上に並び、相対的に多い枚数(たとえば、12枚)のメダルが払い出される。一方、左ストップボタン19L、中ストップボタン19Cおよび右ストップボタン19Rが正解押し順と異なる順序で操作された場合、「ベルA」−「ベルB」−「ベルB」の図柄の組合せが入賞ライン上に並び、相対的に少ない枚数(たとえば、3枚)のメダルが払い出される。また、遊技状態がリプレイ役の当選確率が相対的に高いRT(リプレイタイム)状態であった場合には、「ベルA」−「ベルB」−「ベルB」の図柄の組合せが入賞ライン上に並ぶと、遊技状態がRT状態からリプレイ役の当選確率が相対的に低い通常状態に移行する。
【0083】
リプレイ役に当選すると、「リプレイA」−「リプレイA」−「リプレイA」の図柄の組合せと「リプレイA」−「リプレイB」−「リプレイB」の図柄の組合せとが入賞ライン上に並ぶことが許容される。「リプレイA」および「リプレイB」は、同じ種類の図柄であるが、同じではない。左ストップボタン19L、中ストップボタン19Cおよび右ストップボタン19Rの押し順が所定の正解押し順と一致した場合、「リプレイA」−「リプレイA」−「リプレイA」の図柄の組合せが入賞ライン上に並び、メダルのベットなしで1ゲームの実行が許可される。また、遊技状態が通常状態であった場合には、遊技状態が通常状態からRT状態に移行する。一方、左ストップボタン19L、中ストップボタン19Cおよび右ストップボタン19Rが正解押し順と異なる順序で操作された場合、「リプレイA」−「リプレイB」−「リプレイB」の図柄の組合せが入賞ライン上に並び、メダルのベットなしで1ゲームの実行が許可される。
【0084】
役抽選では、スタートレバー18が操作されたことに応答して、乱数カウンタから乱数値が取得される。そして、遊技状態に応じた抽選テーブルがROM42から読み出され、乱数値および抽選テーブルに基づいて、当選役またははずれが決定される。たとえば、遊技状態が通常状態である場合には、ROM42から第1抽選テーブル57が読み出される。また、遊技状態がRT状態である場合には、ROM42から第2抽選テーブル58が読み出される。第1抽選テーブル57では、リプレイ役の当選確率が1/7.3に設定され、第2抽選テーブル58では、リプレイ役の当選確率が1/1.5に設定されている。
【0085】
その後、ステッピングモータ51L,51C,51Rに駆動パルス信号が供給されて、リール4L,4C,4Rの回転が開始される(ステップS5)。リール4L,4C,4Rの回転速度が一定になると、左ストップボタン19L、中ストップボタン19Cおよび右ストップボタン19Rからの操作信号が受付可能とされる。
【0086】
その後、左ストップボタン19L、中ストップボタン19Cおよび右ストップボタン19Rが操作されたか否かが繰り返し調べられる(ステップS6)。
【0087】
左ストップボタン19L、中ストップボタン19Cおよび右ストップボタン19Rが選択的に操作されると(ステップS6のYES)、それぞれステッピングモータ51L,51C,51Rへの駆動パルス信号の供給が停止される。これにより、リール4L,4C,4Rの回転が停止する(ステップS7)。ステッピングモータ51L,51C,51Rへの駆動パルス信号の供給を停止するタイミングは、左ストップボタン19L、中ストップボタン19Cおよび右ストップボタン19Rが操作されたタイミングと役抽選の結果とに基づいて制御される

【0088】
すべてのリール4L,4C,4Rの回転が停止すると(ステップS8のYES)、有効化されている入賞ライン上に当選役に対応した図柄の組合せが並んでいるか否かが判定され、つまり当選役が成立したか否かが判定され、当選役が成立していれば入賞と判定される(ステップS9)。入賞に対しては、当選役ごとに設定された枚数のメダルが払い出される。
【0089】
その後、クレジット数が50に達していなければ、メダルブロックソレノイド53が制御されて、メダル投入口14から投入されるメダルの排出先がメダル貯留部にされ、メダル投入口14からのメダルの投入が許可される(ステップS10)。
【0090】
以上で、主制御が終了する。メダルのベットから主制御の終了までがスロットマシン1における1ゲームである。
【0091】
図4は、1ゲーム中に主制御基板から演出制御基板への信号の送信順序を示す図である。
【0092】
メダルがベットされると、主制御基板31から演出制御基板32に、ゲーム開始の条件が成立したことを表すベット信号LINEBETが送信される。ベット信号LINEBETは、ベットされたメダルの枚数と同数だけ入力される。
【0093】
次いで、スタートレバー18が操作されると、主制御基板31から演出制御基板32に、そのスタートレバー18が操作されたことを表すレバーオン信号START0が送信される。
【0094】
その後、主制御基板31からステッピングモータ51L,51C,51Rへの駆動パルス信号の供給が開始されると、主制御基板31から演出制御基板32に、リール4L,4C,4Rが回転し始めたこと(リール4L,4C,4Rの回転による図柄の変動表示の開始を指令したこと)を表すリール回転開始信号START1が送信される。
【0095】
その後、左ストップボタン19L、中ストップボタン19Cおよび右ストップボタン19Rが操作されると、その操作ごとに、主制御基板31から演出制御基板32に、左ストップボタン19L、中ストップボタン19Cまたは右ストップボタン19Rが操作されたことを表す停止操作信号STOPが送信される。
【0096】
そして、図3に示される主制御が終了すると、主制御基板31から演出制御基板32に、1ゲームの終了を表す遊技終了信号GENTRYが送信される。
【0097】
また、1ゲーム中に、主制御基板31から演出制御基板32に、主制御基板31での役抽選に関する情報を表す当選役信号ENSと、遊技状態がどういった状態であるかを表す遊技状態信号RTとが送信される。
【0098】
当選役信号ENSは、レバーオン信号START0の送信からリール回転開始信号START1の送信までの期間に1つ送信され、それ以外の期間に送信されることはない。
【0099】
遊技状態信号RTは、ベット信号LINEBETの送信からレバーオン信号START0の送信までの間に1つ送信され、レバーオン信号START0の送信からリール回転開始信号START1の送信までの期間、停止操作信号STOPの送信から遊技終了信号GENTRYの送信までの期間および遊技終了信号GENTRYの送信後に送信されることがある。
【0100】
図5は、演出制御基板で実行される処理の流れを示すフローチャートである。
【0101】
演出制御基板32では、CPU61により、主制御基板31から当選役信号ENSが入力されたか否かが繰り返し調べられている(ステップS11)。
【0102】
演出制御基板32に当選役信号ENSが入力されると(ステップS11のYES)、CPU61により、当選役信号ENSに基づいて、主制御基板31で行われた役抽選でレア小役であるスイカ役が当選したか否かが判定される(ステップS12)。
【0103】
スイカ役に当選していなければ(ステップS12のNO)、図5に示される処理が直ちに終了される。
【0104】
スイカ役に当選していれば(ステップS12のYES)、AT状態に突入するか否かを決定するAT抽選が実行される(ステップS13)。
【0105】
そして、AT抽選に当選したか否かが判定される(ステップS14)。
【0106】
AT抽選に当選しなかった場合(ステップS14のNO)、図5に示される処理が直ちに終了される。
【0107】
AT抽選に当選した場合(ステップS14のYES)、AT状態に突入する(ステップS15)。
【0108】
なお、AT抽選の当選に応答して、AT状態に即時に突入してもよいし、AT状態への突入がストック(保留)されて、その後の所定のタイミング(たとえば、ボーナスゲームの終了後)でAT状態に突入してもよい。
【0109】
AT状態では、主制御基板31で行われた役抽選でベル役が当選した場合に、演出制御基板32によって駆動回路65が制御されて、液晶表示器22にベル役に関する正解押し順が表示される。また、主制御基板31で行われた役抽選でリプレイ役が当選した場合に、演出制御基板32によって駆動回路65が制御されて、液晶表示器22にリプレイ役に関する正解押し順が表示される。
【0110】
このように、AT状態では、正解押し順が液晶表示器22への表示により報知されるので、左ストップボタン19L、中ストップボタン19Cおよび右ストップボタン19Rが正解押し順で操作されることにより、ベル役が当選しているにもかかわらず、入賞ライン上に「ベルA」−「ベルA」−「ベルA」の図柄の組合せが並ばなかったり、リプレイ役が当選しているにもかかわらず、入賞ライン上に「リプレイA」−「リプレイA」−「リプレイA」の図柄の組合せが並ばないという、いわゆる取りこぼしが生じることを防止できる。そのため、AT状態は、遊技者にとって有利な状態であり、そのAT状態に突入するか否かを決定するAT抽選は、遊技者の利益に関係する重要な抽選である。
【0111】
AT状態は、たとえば、遊技状態が通常状態からRT状態に移行し、いわゆるART状態に突入してから、所定のゲーム数(たとえば、50ゲーム)が消化されると終了となる。演出制御基板32では、CPU61により、主制御基板31から入力される遊技状態信号RTに基づいて、現在の遊技状態が通常状態であるかRT状態であるかが把握されている。そして、CPU61により、ART状態に突入した後、AT状態を終了するか否かの判断基準となるゲーム数のカウントが開始される。
【0112】
そのため、主制御基板31から演出制御基板32に入力される当選役信号ENSおよび遊技状態信号RTは、AT状態に関係する重要な信号である。
【0113】
そこで、図4に示されるように、演出制御基板32では、ベット信号LINEBETの入力とレバーオン信号START0の入力との間、レバーオン信号START0の入力とリール回転開始信号START1の入力との間、リール回転開始信号START1の入力と1つ目の停止操作信号STOPの入力との間、1つ目の停止操作信号STOPの入力と2つ目の停止操作信号STOPの入力との間、2つ目の停止操作信号STOPの入力と3つ目の停止操作信号STOPの入力との間、3つ目の停止操作信号STOPの入力と遊技終了信号GENTRYの入力との間および遊技終了信号GENTRYの入力とベット信号LINEBETの入力との間での当選役信号ENSおよび遊技状態信号RTの入力の有効/無効が設定されている。
【0114】
具体的には、ベット信号LINEBETの入力とレバーオン信号START0の入力との間では、当選役信号ENSの入力が無効に設定されており、当選役信号ENSが演出制御基板32に入力されても、その入力は無効にされる。また、この信号入力間では、演出制御基板32への入力が有効とされる遊技状態信号RTの数が1に限定されている。そのため、この信号入力間に2以上の遊技状態信号RTが演出制御基板32に入力されると、2つ目の遊技状態信号RTの入力は無効にされる。
【0115】
レバーオン信号START0の入力とリール回転開始信号START1の入力との間では、演出制御基板32への入力が有効とされる当選役信号ENSの数が1に限定されている。そのため、この信号入力間に2以上の当選役信号ENSが演出制御基板32に入力されると、2つ目の当選役信号ENSの入力は無効にされる。また、この信号入力間では、遊技状態信号RTの入力が有効に設定されている。
【0116】
リール回転開始信号START1の入力と1つ目の停止操作信号STOPの入力との間、1つ目の停止操作信号STOPの入力と2つ目の停止操作信号STOPの入力との間および2つ目の停止操作信号STOPの入力と3つ目の停止操作信号STOPの入力との間の各信号入力間では、当選役信号ENSおよび遊技状態信号RTの入力がともに無効に設定されている。そのため、各信号入力間に当選役信号ENSおよび遊技状態信号RTが入力されても、その入力は無効にされる。
【0117】
3つ目の停止操作信号STOPの入力と遊技終了信号GENTRYの入力との間および遊技終了信号GENTRYの入力とベット信号LINEBETの入力との間の各信号入力間では、当選役信号ENSの入力が無効に設定されており、当選役信号ENSが演出制御基板32に入力されても、その入力は無効にされる。また、この信号入力間では、遊技状態信号RTの入力が有効に設定されている。たとえば、入賞ライン上に「ベルA」−「ベルB」−「ベルB」の図柄の組合せまたは「リプレイA」−「リプレイA」−「リプレイA」の図柄の組合せが並ぶと遊技状態が変更されるので、その場合に、主制御基板31から演出制御基板32に遊技状態信号RTが送信される。
【0118】
また、通常は、ベット信号LINEBETの入力とレバーオン信号START0の入力との間で、1つの遊技状態信号RTが演出制御基板32に入力され、レバーオン信号START0の入力とリール回転開始信号START1の入力との間で、1つの当選役信号ENSが演出制御基板32に入力される。したがって、通常、演出制御基板32には、ベット信号LINEBET、遊技状態信号RT、レバーオン信号START0、当選役信号ENSおよびリール回転開始信号START1がこの順に入力される。
【0119】
そこで、演出制御基板32では、CPU61により、ベット信号LINEBETの入力後、ベット信号LINEBET、遊技状態信号RT、レバーオン信号START0、当選役信号ENSおよびリール回転開始信号START1がこの順に入力されるか否かが判定される。そして、ベット信号LINEBET、遊技状態信号RT、レバーオン信号START0、当選役信号ENSおよびリール回転開始信号START1がこの順に入力されない場合には、CPU61により、たとえば、演出制御基板32への当選役信号ENSおよび遊技状態信号RTの入力が無効にされる。また、CPU61の制御により、エラーが発生している旨が液晶表示器22に表示されるとともに、スピーカ23,25からエラーを報知する音が出力される。
【0120】
以上のように、主制御基板31は、1ゲーム中に、ゲーム開始の条件が成立したことを表すベット信号LINEBET、スタートレバー18が操作されたことを表すレバーオン信号START0、リール4L,4C,4Rが回転し始めたことを表すリール回転開始信号START1、左ストップボタン19L、中ストップボタン19Cまたは右ストップボタン19Rがそれぞれ操作されたことを表す3つの停止操作信号STOPをこの順で演出制御基板32に送信した後、1ゲームの終了を表す遊技終了信号GENTRYを送信する。
【0121】
演出制御基板32では、ベット信号LINEBET、レバーオン信号START0、リール回転開始信号START1、3つの停止操作信号STOPおよび遊技終了信号GENTRYの各信号入力間での当選役信号ENSおよび遊技状態信号RTの入力の有効/無効が設定されている。当選役信号ENSの入力が無効に設定されている信号入力間で当選役信号ENSがサブ基板に入力されても、その入力は、すべて無効にされる。また、遊技状態信号RTの入力が無効に設定されている信号入力間で遊技状態信号RTがサブ基板に入力されても、その入力は、すべて無効にされる。
【0122】
主制御基板31における役抽選の抽選対象には、左ストップボタン19L、中ストップボタン19Cおよび右ストップボタン19Rの押し順が所定の正解押し順と一致した場合に、当該押し順が正解押し順と一致しなかった場合と比較して、遊技者に有利な図柄の組合せである「ベルA」−「ベルA」−「ベルA」の図柄の組合せが入賞ライン上に並ぶベル役が含まれる。また、左ストップボタン19L、中ストップボタン19Cおよび右ストップボタン19Rの押し順が所定の正解押し順と一致した場合に、当該押し順が正解押し順と一致しなかった場合と比較して、遊技者に有利な図柄の組合せである「リプレイA」−「リプレイA」−「リプレイA」の図柄の組合せが並ぶリプレイ役が含まれる。そして、演出制御基板32では、当選役信号ENSに基づいて、正解押し順が報知されるAT状態に突入するか否かを決定するAT抽選が実行される。
【0123】
レバーオン信号START0の入力とリール回転開始信号START1の入力との間では、演出制御基板32への入力が有効とされる当選役信号ENSの数が1に限定されている。そのため、この信号入力間に2以上の当選役信号ENSが演出制御基板32に入力されると、2つ目の当選役信号ENSの入力は無効にされる。
【0124】
当選役信号ENSの入力が無効に設定されている信号入力間においては、演出制御基板32への当選役信号ENSの入力がすべて無効にされるので、AT抽選は実行されない。また、レバーオン信号START0の入力とリール回転開始信号START1の入力との間においては、1つの当選役信号ENSの入力のみが有効とされ、それ以上の入力は無効にされるので、AT抽選が複数回行われることはない。したがって、演出制御基板32に不正部品が接続されて、不正部品から演出制御基板32に当選役信号ENS(スイカ役が当選したことを表す当選役信号ENS)が短時間に繰り返し送信されても、1ゲーム中に行われるAT抽選は1回のみである。そのため、ぶら下がりゴトにより、正解押し順が報知されるAT状態に不正に突入させることができない。その結果、スロットマシン1において、ぶら下がりゴトが行われることを効果的に防止できる。
【0125】
また、演出制御基板32では、CPU61により、ベット信号LINEBETの入力後、ベット信号LINEBET、遊技状態信号RT、レバーオン信号START0、当選役信号ENSおよびリール回転開始信号START1がこの順に入力されるか否かが判定される。そして、ベット信号LINEBET、遊技状態信号RT、レバーオン信号START0、当選役信号ENSおよびリール回転開始信号START1がこの順に入力されない場合には、演出制御基板32への当選役信号ENSおよび遊技状態信号RTの入力が無効にされる。そのため、スロットマシン1において、ぶら下がりゴトが行われることをより効果的に防止できる。
【0126】
図6は、演出制御基板で実行されることが好ましい処理について説明するための図である。
【0127】
前述のように、ベット信号LINEBET、遊技状態信号RT、レバーオン信号START0、当選役信号ENSおよびリール回転開始信号START1がこの順に入力されるか否かが判定される構成であっても、たとえば、ベット信号LINEBET、遊技状態信号RT、レバーオン信号START0、当選役信号ENSおよびリール回転開始信号START1をこの順序で送信する不正部品が演出制御基板32に接続されて、その不正部品からそれらの信号が短時間で繰り返し入力されると、演出制御基板32に入力される信号数および信号の入力順序が正しいので、当選役信号ENS(スイカ役が当選したことを表す当選役信号ENS)の入力に応答して、AT抽選が行われるおそれがある。
【0128】
そこで、演出制御基板32では、CPU61により、リール回転開始信号START1が入力されてからの時間が計測される。そして、次のリール回転開始信号START1が入力された時点(now_time)で、先のリール回転開始信号START1の入力から1ゲームの消化に最低限必要な時間、たとえば、4.1秒間が経過していなければ、CPU61により、エラー(不正部品の接続)が発生していると判断されて、演出制御基板32への当選役信号ENSおよび遊技状態信号RTの入力が無効にされる。
【0129】
これにより、1ゲーム中に、不正部品から演出制御基板32にベット信号LINEBET、遊技状態信号RT、レバーオン信号START0、当選役信号ENSおよびリール回転開始信号START1がこの順に複数回繰り返して入力されても、演出制御基板32でAT抽選が複数回行われることを防止できる。
【0130】
よって、ぶら下がりゴトが行われることを一層効果的に防止できる。
【0131】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、他の形態で実施することもできる。
【0132】
たとえば、主制御基板31から演出制御基板32に入力される所定の信号として、当選役信号ENSおよび遊技状態信号RTを例示したが、スタートレバー18の操作から通常よりも遅延させてリール4L,4C,4Rの回転を開始させる、いわゆるフリーズによって所定の役が当選したことを報知する演出が行われる機種では、所定の信号は、フリーズの実行が決定されたことを表すフリーズ信号であってもよい。
【0133】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0134】
1 スロットマシン
4L リール(図柄表示手段)
4C リール(図柄表示手段)
4R リール(図柄表示手段)
18 スタートレバー(始動指示手段)
19L 左ストップボタン(停止指示手段)
19C 中ストップボタン(停止指示手段)
19R 右ストップボタン(停止指示手段)
31 主制御基板(メイン基板)
32 演出制御基板(サブ基板)
41 CPU(抽選手段、遊技状態設定手段)
57 第1抽選テーブル
58 第2抽選テーブル
61 CPU(押し順報知抽選実行手段、順序判定手段、再入力判定手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類の図柄の配列を有し、当該図柄を変動表示および停止表示する複数の図柄表示手段と、
所定条件が成立した後、前記複数の図柄表示手段による図柄の変動表示の開始を指示するために操作される始動指示手段と、
各前記図柄表示手段に対応して設けられ、前記図柄表示手段による図柄の変動表示の停止を指示するために操作される複数の停止指示手段と、
前記図柄表示手段、前記始動指示手段および前記停止指示手段と電気的に接続されたメイン基板と、
前記メイン基板と通信可能に接続され、前記メイン基板から信号を一方的に受信し、当該受信した信号に基づく制御を実行するサブ基板とを含み、
前記所定条件の成立からゲームの終了を表す終了信号が出力されるまでの間を1ゲームとして、
前記メイン基板は、1ゲーム中に、前記所定条件が成立したことを表す条件成立信号、前記始動指示手段が操作されたことを表す始動操作信号、前記図柄表示手段による図柄の変動表示の開始を指令したことを表す変動開始信号および前記複数の停止指示手段がそれぞれ操作されたことを表す複数の停止操作信号をこの順で前記サブ基板に送信し、すべての前記停止指示手段が操作された後に、前記終了信号を前記サブ基板に送信するとともに、前記始動操作信号、前記変動開始信号、前記停止操作信号および前記終了信号以外の所定の信号を前記サブ基板に送信し、
前記サブ基板では、前記条件成立信号、前記始動操作信号、前記変動開始信号、前記複数の停止操作信号および前記終了信号の各信号入力間での前記所定の信号の入力の有効/無効が設定されるとともに、特定の前記信号入力間では、入力を有効とする前記所定の信号の数が予め定める数に限定されている、スロットマシン。
【請求項2】
前記メイン基板には、1ゲームごとに、役およびはずれを抽選対象とする抽選を実行する抽選手段が備えられており、
前記所定の信号には、前記抽選手段による抽選での当選役に関する情報を表す当選役信号が含まれている、請求項1に記載のスロットマシン。
【請求項3】
前記特定の前記信号入力間には、前記始動操作信号の入力から前記変動開始信号の入力までの期間が含まれ、
当該期間では、入力を有効とする前記当選役信号の数が1に限定されている、請求項2に記載のスロットマシン。
【請求項4】
前記メイン基板には、
前記抽選手段における抽選に用いられる抽選テーブルが異なる複数の遊技状態を設定する遊技状態設定手段が備えられており、
前記所定の信号には、前記遊技状態設定手段によって設定されている前記遊技状態に関する情報を表す遊技状態信号が含まれている、請求項2または3に記載のスロットマシン。
【請求項5】
前記特定の前記信号入力間には、前記条件成立信号の入力から前記始動操作信号の入力までの期間が含まれ、
当該期間では、入力を有効とする前記遊技状態信号の数が1に限定されている、請求項4に記載のスロットマシン。
【請求項6】
前記抽選対象には、前記複数の停止指示手段の押し順が所定の正解押し順と一致した場合に、当該押し順が前記正解押し順と一致しなかった場合と比較して、遊技者に有利な図柄の組合せが前記複数の図柄表示手段によって停止表示される押し順役が含まれ、
前記サブ基板には、前記正解押し順に関する情報を報知する権利を取得するか否かを決定する押し順報知抽選を実行する押し順報知抽選実行手段が備えられ、
前記所定の信号には、前記押し順報知抽選に関する信号が含まれている、請求項2〜5のいずれか一項に記載のスロットマシン。
【請求項7】
前記サブ基板には、1ゲームごとに、前記条件成立信号、前記始動操作信号および前記変動開始信号がこの順に入力されるか否かを判定する順序判定手段が備えられている、請求項1〜6のいずれか一項に記載のスロットマシン。
【請求項8】
複数種類の図柄の配列を有し、当該図柄を変動表示および停止表示する複数の図柄表示手段と、
所定条件が成立した後、前記複数の図柄表示手段による図柄の変動表示の開始を指示するために操作される始動指示手段と、
各前記図柄表示手段に対応して設けられ、前記図柄表示手段による図柄の変動表示の停止を指示するために操作される複数の停止指示手段と、
前記図柄表示手段、前記始動指示手段および前記停止指示手段と電気的に接続されたメイン基板と、
前記メイン基板と通信可能に接続され、前記メイン基板から信号を一方的に受信し、当該受信した信号に基づく制御を実行するサブ基板とを含み、
前記所定条件の成立からゲームの終了を表す終了信号が出力されるまでの間を1ゲームとして、
前記メイン基板は、1ゲーム中に、前記所定条件が成立したことを表す条件成立信号、前記始動指示手段が操作されたことを表す始動操作信号、前記図柄表示手段による図柄の変動表示の開始を指令したことを表す変動開始信号および前記複数の停止指示手段がそれぞれ操作されたことを表す複数の停止操作信号をこの順で前記サブ基板に送信し、すべての前記停止指示手段が操作された後に、前記終了信号を前記サブ基板に送信するとともに、前記始動操作信号、前記変動開始信号、前記停止操作信号および前記終了信号以外の所定の信号を前記サブ基板に送信し、
前記サブ基板では、前記条件成立信号、前記始動操作信号、前記変動開始信号、前記複数の停止操作信号および前記終了信号の各信号入力間での前記所定の信号の入力の有効/無効が設定されており、
前記サブ基板には、1ゲームごとに、前記条件成立信号、前記始動操作信号および前記変動開始信号がこの順に入力されるか否かを判定する順序判定手段が備えられている、スロットマシン。
【請求項9】
前記サブ基板には、前記変動開始信号の入力から1ゲームの消化に最低限必要な時間が経過するまでの間に前記変動開始信号が再び入力されるか否かを判定する再入力判定手段が備えられている、請求項1〜8のいずれか一項に記載のスロットマシン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−106910(P2013−106910A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−256447(P2011−256447)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【特許番号】特許第5107457号(P5107457)
【特許公報発行日】平成24年12月26日(2012.12.26)
【出願人】(501016847)KPE株式会社 (145)
【Fターム(参考)】