説明

ズームレンズ系

【課題】物体側から順に、負先行(最も物体側のレンズが負レンズ)の負の第1レンズ群、正の第2レンズ群、及び正の第3レンズ群から構成される3群ズーム構成において、少ないレンズ構成枚数で高画素化に対応可能な高い光学性能を有し、非常に小型なズームレンズ系を提供する。
【解決手段】物体側から順に、負の第1レンズ群、絞り、正の第2レンズ群、及び正の第3レンズ群から構成され、第1レンズ群及び第2レンズ群を光軸方向に移動させて変倍するズームレンズ系において、第1レンズ群は、物体側から順に、第1負レンズ、第2正レンズの2枚から構成され、第2レンズ群は、物体側から順に位置する、第3正レンズ、第4負レンズ及び第5正レンズの3枚を全て接合した接合レンズからなり、第3レンズ群は、1枚の第6正レンズからなるズームレンズ系。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ズームレンズ系に関し、特に超小型のデジタルカメラに適したズームレンズ系に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カメラ付き携帯電話やPDA(情報携帯端末)が急速に普及し、撮像素子を内蔵したデジタルカメラの小型化、高性能化が求められている。高性能化に対応するために、撮像素子は、1/3”(対角像高y=3.0mm)程度、あるいはそれ以上のイメージサイズが必要とされている。このような高画素に対応できるズームレンズ系も、当然に小型化、高性能化が求められているが、従来、主にカメラ付き携帯電話に用いられているズームレンズ系は、レンズ構成枚数が3から4枚程度であり、高性能化には対応できない。また、デジタルカメラに広く採用されている6から8枚程度のレンズ構成では、十分な小型化が実現できない。
【特許文献1】特開2002-14284号公報
【特許文献2】特開2003-140046号公報
【特許文献3】特開2003-121743号公報
【特許文献4】特開2003-140043号公報
【特許文献5】特開2003-140047号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
小型のズームレンズ系としては一般に、最も物体側に負レンズ群が位置するネガティブリーディング型(負レンズ先行型)が用いられており、物体側から順に負の第1レンズ群と正の第2レンズ群からなる2群タイプと、第2レンズ群の後方(像面側)にさらに正の第3レンズ群を設けた3群タイプとが主に知られている。2群タイプは、正の第2レンズ群のレンズ構成枚数を増加させて、倍率を高くし、移動量を少なくすることで小型化を図るのが一般的である。また3群タイプは、レンズ群数及びレンズ構成枚数が増えるため、各レンズ群の移動量を少なくすることができるが、群数及び枚数の増加と、レンズ全長及びレンズ径の大型化とのバランスをとることが難しい。
【0004】
本発明は、物体側から順に、負の第1レンズ群、正の第2レンズ群、及び正の第3レンズ群から構成される3群ズームレンズ構成を採用した上で、少ないレンズ構成枚数で高画素化に対応可能な高い光学性能を有し、非常に小型なズームレンズ系を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のズームンズ系は、物体側から順に、負の第1レンズ群、絞り、正の第2レンズ群、及び正の第3レンズ群から構成され、第1レンズ群及び第2レンズ群を光軸方向に移動させて変倍するズームレンズ系において、第1レンズ群は、物体側から順に、第1負レンズ、第2正レンズの2枚から構成され、第2レンズ群は、物体側から順に位置する、第3正レンズ、第4負レンズ及び第5正レンズの3枚を全て接合した接合レンズからなり、第3レンズ群は、1枚の第6正レンズからなる、全体として6枚構成であることを特徴としている。
【0006】
本発明のズームレンズ系は、最短焦点距離から最長焦点距離に向けての変倍時に、第1レンズ群と第2レンズ群の間隔は減少し、第2レンズ群と第3レンズ群の間隔は増大し、第3レンズ群は像面に対して固定するズーミング基礎軌跡を与えることができる。
【0007】
本発明のズームレンズ系は、次の条件式(1)を満足することが好ましい。
(1)1.2<f2G/fw<1.6
但し、
2G;第2レンズ群の焦点距離、
w;短焦点距離端の全系の焦点距離、
である。
【0008】
また、次の条件式(2)を満足することが好ましい。
(2)0.8<fw/f3<1.2
但し、
w;短焦点距離端の全系の焦点距離、
3;第2レンズ群中の第3正レンズの焦点距離、
である。
【0009】
また、次の条件式(3)を満足することが好ましい。
(3)-2.0<fw/f4<-1.4
但し、
w;短焦点距離端の全系の焦点距離、
4;第2レンズ群中の第4負レンズの焦点距離、
である。
【0010】
また、次の条件式(4)を満足することが好ましい。
(4)0.8<fw/f5<1.4
但し、
w;短焦点距離端の全系の焦点距離、
5;第2レンズ群中の第5正レンズの焦点距離、
である。
【0011】
また、次の条件式(5)を満足することが好ましい。
(5)1.5<|f1G|/fw<2.5
但し、
1G;第1レンズ群の焦点距離、
w;短焦点距離端の全系の焦点距離、
である。
【0012】
また、次の条件式(6)を満足することが好ましい。
(6)0.2<f2G/f6<0.5
但し、
2G;第2レンズ群の焦点距離、
6;第6正レンズの焦点距離、
である。
【0013】
また、次の条件式(7)を満足することが好ましい。
(7)0.5<Σ2G/fw<1.0
但し、
Σ2G;第2レンズ群の最も物体側の面から最も像側の面迄の距離、
w;短焦点距離端の全系の焦点距離、
である。
【0014】
また、次の条件式(8)を満足することが好ましい。
(8)(Nn-Np)/rc2<0.1
但し、
n;第2レンズ群中の第4負レンズのd線に対する屈折率、
p;第2レンズ群中の第5正レンズのd線に対する屈折率、
c2;第2レンズ群中の第4負レンズと第5正レンズの接合面の曲率半径、
である。
【0015】
また、次の条件式(9)を満足することが好ましい。
(9)12<νpn
但し、
νp;第2レンズ群中の第3正レンズと第5正レンズのアッベ数の平均値、
νn;第2レンズ群中の第4負レンズのアッベ数、
である。
【0016】
また、次の条件式(10)を満足することが好ましい。
(10)10°<βw<25°
但し、
βw;短焦点距離端の最大像高に対して射出される光束の主光線と光軸のなす角度、
である。
【0017】
また、次の条件式(11)を満足することが好ましい。
(11)βwT<12°
但し、
βw;短焦点距離端の最大像高に対して射出される光束の主光線と光軸のなす角度、
βT;長焦点距離端の最大像高に対して射出される光束の主光線と光軸のなす角度、
である。
【0018】
また、次の条件式(12)を満足することが好ましい。
(12)0<rc1
但し、
c1;第2レンズ群中の第3正レンズと第4負レンズの接合面の曲率半径、
である。
【0019】
また、次の条件式(13)を満足することが好ましい。
(13)2.8<fT/fw
但し、
T;長焦点距離端の全系の焦点距離、
w;短焦点距離端の全系の焦点距離、
である。
【0020】
本発明のズームレンズ系において、フォーカシングは、第1レンズ群の単独移動、第2レンズ群の単独移動または第1レンズ群と第2レンズ群の一体移動で行うことができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、変倍比(ズーム比)が2から3倍程度で、レンズ構成枚数が少なく、高画素の撮像素子に対応できる小型で高性能なズームレンズ系を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明によるズームレンズ系は、図13の簡易移動図に示すように、物体側から順に、負の第1レンズ群10、絞りS、正の第2レンズ群20、及び正の第3レンズ群30からなっている。第1レンズ群10は、物体側から順に、第1負レンズ、第2正レンズの2枚から構成されている。第2レンズ群20は、物体側から順に、第3正レンズ、第4負レンズ、及び第5正レンズの3枚から構成され、全てのレンズが接合されている。第3レンズ群30は、1枚の第6正レンズからなっている。短焦点距離端(W)から長焦点距離端(T)へのズーミング(変倍)に際し、第1レンズ群10は一旦像側に移動してからUターンして物体側に移動し、第2レンズ群20は、物体側に単調に移動し、第3レンズ群30は、固定である(像面(I)に対して移動しない)。第1レンズ群10と第2レンズ群20の間隔は、最初に大きく減少した後、徐々に減少する。第2レンズ群20と第3レンズ群30の間隔は、単調に増大する。絞りSは、第2レンズ群20と一緒に移動する。フォーカシングは、第1レンズ群10単体、第2レンズ群単体または第1レンズ群と第2レンズ群20の一体移動で行う。
【0023】
第1レンズ群10は、小型化を図るため2枚構成としている。特に歪曲収差を補正するため、非球面を用いることが好ましい。第1レンズ群を3枚のレンズから構成するタイプも知られているが、このタイプは群厚和の増大を招くため小型化は困難である。
【0024】
第2レンズ群20は、物体側から順に正負正の順のトリプレットタイプとし、小型化のために全てのレンズを接合している。第2レンズ群20は、3枚構成の正レンズ群であり、正レンズ2枚、負レンズ1枚から構成することが通常である。球面収差の補正を考慮した場合には、パワーの強い正レンズを2枚に分割した、物体側から順に正正負の構成がよく用いられている。しかし、正レンズ2枚が凸面で付き合わせたようなレンズ形状となり、正正負の3枚接合は難しい。
正負正の配置にすると、収差補正は十分可能であるが、特に負正の偏心感度が問題となる。そこで、トリプレットの3枚接合にすることによって、小型化を達成し、収差、感度共に、良好にすることができる。すなわち、各レンズの偏芯感度、及びレンズ間隔感度を高くしても製造誤差による性能劣化が少なく、群厚和(第2レンズ群の最も物体側の面から最も像側の面迄の距離)を小さくすることができる。
【0025】
さらに、第2レンズ群20の後方(像面側)に、正の第3レンズ群30を設けることによって、十分な変倍及びテレセントリック性(テレセン性)を得ることができる。本発明では、この正の第3レンズ群30を単レンズから構成することで、小型化を図っている。
【0026】
条件式(1)は、第2レンズ群の焦点距離に関する条件式である。条件式(1)の上限を越えて第2レンズ群のパワーが弱くなると、短焦点距離端から長焦点距離端にかけて、第2レンズ群の移動量が増加してしまう。この状態で小型化を図ると、第1レンズ群のパワーを強く設定することになり、収差(特に短焦点距離端におけるコマ収差)が大きく発生し、第2レンズ群および第3レンズ群での補正が困難となる。条件式(1)の下限を越えて第2レンズ群の正のパワーが強くなると、第2レンズ群の移動量が減少するため、全系を小型にすることができるが、反面、収差(特に球面収差)が大きく発生し、第1レンズ群(2枚構成)または第3レンズ群(1枚構成)での補正が困難となる。
【0027】
条件式(2)は、第2レンズ群の第3正レンズの焦点距離に関する条件式である。条件式(2)の上限を越えて第3正レンズのパワーが強くなると、第2レンズ群のパワーを強くすることができるが、第3正レンズ単独で発生する球面収差が大きくなり、補正が困難となる。条件式(2)の下限を越えて第3正レンズのパワーが弱くなると、第2レンズ群内での正のパワーを大きくすることができない。この状態でレンズ全長を小型化すると、第2レンズ群の正のパワーは、第5正レンズに、そのほとんどを負担させることになる。そのため、第5正レンズで発生する球面収差が大きくなり、補正が困難となる。
【0028】
条件式(3)は、第2レンズ群の第4負レンズの焦点距離に関する条件式である。条件式(3)の上限を越えて第4負レンズのパワーが弱くなると、正の第2レンズ群内で発生する球面収差(アンダー)の補正が困難となる。条件式(3)の下限を越えて第4負レンズのパワーが強くなると、正の第2レンズ群内の負のパワーが強くなりすぎる。この状態でレンズ全長を小型化すると、第2レンズ群の正のパワーを確保するため、第3正レンズと第5正レンズのパワーを必要以上に強くすることになる。そのため、第3正レンズと第5正レンズで発生する球面収差が大きくなり、補正が困難となる。
【0029】
条件式(4)は、第2レンズ群の第5正レンズの焦点距離に関する条件式である。条件式(4)の上限を越えて第5正レンズのパワーが強くなると、第2レンズ群の正のパワーを強くすることができるが、第5正レンズ単独で発生する球面収差が大きくなり、補正が困難となる。条件式(4)の下限を越えて第5正レンズのパワーが弱くなると、第2レンズ群内での正のパワーを大きくすることができない。この状態でレンズ全長を小型化すると、第2レンズ群の正のパワーのほとんどを第3正レンズが負担することになる。そのため、第3正レンズで発生する球面収差が大きくなり、補正が困難となる。
【0030】
条件式(5)は、第1レンズ群の焦点距離に関する条件式である。条件式(5)の上限を越えて第1レンズ群の負のパワーが弱くなると、第2レンズ群がレンズ全長を短縮するためのパワーを極端に負担することになる。そのため、収差(特に球面収差)が大きく発生し、第1レンズ群および第3レンズ群での補正が困難となる。条件式(5)の下限を越えて第1レンズ群のパワーが強くなると、第1レンズ群の移動量は少なくなり小型化には有利であるが、負の歪曲収差の発生が大きくなり、レンズ構成枚数が少ないため、補正が困難となる。
【0031】
条件式(6)は、第2レンズ群と正の第3レンズ群のパワー配分に関する条件式である。条件式(6)の上限を越えると、第2レンズ群へのパワー配分が緩くなり(第2レンズ群のパワーが相対的に弱くなり)、第1レンズ群がレンズ全長を短縮するためのパワーを極端に負担することになる。そのため、収差(特に短焦点距離端におけるコマ収差)が大きく発生し、第2レンズ群および第3レンズ群での補正が困難となる。条件式(6)の下限を越えると、第3レンズ群へのパワー配分が緩くなるため(第3レンズ群のパワーが相対的に弱くなり)、射出瞳位置が像面に近づき、テレセントリック性(テレセン性)が悪くなる。また、相対的に第2レンズ群のパワーが強くなり、球面収差が増大する。
【0032】
条件式(7)は、第2レンズ群の群厚和に関する条件式である。条件式(7)の上限を越えると、群厚和が大きくなる分、第2レンズ群のパワーを極端に強くすることが必要となり、収差(特に球面収差)が大きく発生し、第1レンズ群および第3レンズ群による補正が困難となる。条件式(7)の下限を越えると、第2レンズ群のレンズ構成枚数が少ないため、正のパワーが不足し、収差(特に球面収差及びコマ収差)の補正が困難となる。
【0033】
条件式(8)は、第2レンズ群の第4負レンズと第5正レンズの接合面の曲率半径に関する条件式である。条件式(8)の上限を越えると、接合面のパワーが強くなり、球面収差の補正が困難となる。
【0034】
条件式(9)は、第2レンズ群の2枚の正レンズ及び1枚の負レンズのd線に対するアッベ数の差に関する条件式である。第2レンズ群のレンズ構成枚数が少ない場合、色収差補正のため、アッベ数差の大きい硝材を選択することが好ましい。条件式(9)の下限を超えると、色収差、特に軸上色収差が補正出来なくなる。
【0035】
条件式(10)は、短焦点距離端における射出光束の主光線の射出角度に関する条件式である。本条件式は、テレセン性に関与する。条件式(10)の上限を越えると、撮像面に主光線が垂直に入射する状態から大きく逸脱し、シェーディングを招く原因となる。条件式(10)の下限を越えると、短焦点距離端でのバックフォーカスが長くなり、全長及び径が増大する。
【0036】
条件式(11)は、短焦点距離端と長焦点距離端の主光線の射出角度の差に関する条件式である。本条件式は、シェーディングに関与する。条件式(11)の上限を越えて射出角度差が大きくなると、シェーディングを招く原因となる。
【0037】
条件式(12)は、3枚接合の第2レンズ群の物体側の2枚のレンズ(第3正レンズと第4負レンズ)の接合面の曲率半径に関する条件式である。この接合面は、曲率半径が大きいため、収差補正を目的とするには、凹面又は凸面のいずれにも構成することが可能である。
本条件を満たすと、第3正レンズの像側の面が凹面となり、3枚のレンズを接合する工程において、第3正レンズの物体側の面を基準面として下方から支えると、像側の凹面に接着剤を滴下するとき、接着剤が流れ落ちずに第4負レンズを上方から載せて接合することができる。さらに、第4負レンズの像側の面(上記工程で第3正レンズと第4負レンズを接合した状態において上側の面)は元々強い凹面であり、接着剤を滴下しても流れ落ちず、第5正レンズを上方から載せて接合することができる。以上の一連の接合工程において、接合の基準面である第3正レンズの物体側の面を固定して、3枚のレンズを接合することができ、製造上、偏心を抑えることができる。条件式(12)の下限を超えると、第3正レンズの像側の面は凸面となり、接着剤を溜めることができないので、第3正レンズと第4負レンズの接合時は、第4負レンズの像側の面を基準面として下方から支え、物体側の面(凹面)に接着剤を溜めて第3正レンズを上方から載せて接合する。さらに、第5正レンズの接合時には、第3正レンズの物体側の面を基準面に代えて下方から支え、第4負レンズの像側の凹面に接着剤を溜めて第5正レンズを上から載せて接合する。このように、接合時に基準面が変更されるため、偏心する原因となる。
【0038】
条件式(13)は、全系の変倍比に関する条件式である。本条件式を満たすと、十分な変倍比が得られる。
【0039】
次に具体的な実施例を示す。諸収差図中、球面収差で表される色収差(軸上色収差)図及び倍率色収差図中のd線、g線、C線はそれぞれの波長に対する収差であり、Sはサジタル、Mはメリディオナルである。また、表中のFはF値、fは全系の焦点距離、Wは半画角(゜)、fB はバックフォーカス(第3レンズ群の最も像側の面から撮像素子の撮像面までの空気換算距離)、rは曲率半径、dはレンズ厚またはレンズ間隔、Nd はd線に対する屈折率、νはアッベ数を示す。
また、回転対称非球面は次式で定義される。
x=cy2/[1+[1-(1+K)c2y2]1/2]+A4y4+A6y6+A8y8+A10y10+A12y12・・・
(但し、cは曲率(1/r)、yは光軸からの高さ、Kは円錐係数、A4、A6、A8、・・・・・は各次数の非球面係数)
【実施例1】
【0040】
図1ないし図4は本発明のズームレンズ系の実施例1を示している。図1はレンズ構成図、図2は短焦点距離端における諸収差図、図3は中間焦点距離における諸収差図、図4は長焦点距離端における諸収差図、表1はその数値データである。負の第1レンズ群10は、物体側から順に、第1負レンズと第2正レンズからなり、第2正レンズの物体側と像側の面はともに回転対称非球面である。正の第2レンズ群20は、物体側から順に位置する、第3正レンズ、第4負レンズ、及び第5正レンズの接合レンズからなっている。第3正レンズの物体側の面、及び第5正レンズの像側の面は、回転対称非球面である。正の第3レンズ群30は、像側に凸の正メニスカスレンズ(第6正レンズ)からなり、その物体側と像側の面はともに回転対称非球面である。正の第3レンズ群30の後方(像面側)には、撮像素子前のカバーガラスが配置されている。絞りSは、第5面(第2レンズ群20)の前方0.20の位置にある。
【0041】
(表1)
F= 1: 3.6-4.6-6.3
f= 4.40-7.60-13.00
W= 35.4-20.7-12.4
fB= 2.50-2.50-2.50
面No. r d Nd ν
1 371.737 0.50 1.88300 40.8
2 4.285 0.93 - -
3* 7.896 1.00 1.84666 23.8
4* 36.355 8.80-3.54-0.54 - -
5* 3.577 1.17 1.87408 41.3
6 250.000 1.00 1.69287 29.8
7 1.899 1.55 1.58636 60.9
8* 6.428 3.25-5.57-9.48 - -
9* -6.904 0.90 1.65128 38.3
10* -4.562 1.00 - -
11 ∞ 0.50 1.51633 64.1
12 ∞ - - -
*は回転対称非球面。
非球面データ(表示していない非球面係数は0.00である。):
面No. K A4 A6 A8
3 0.00 -0.37957×10-3 0.72870×10-4 -0.59022×10-5
4 0.00 -0.11275×10-2 0.55760×10-4 -0.88593×10-5
5 0.00 -0.25165×10-3 -0.68257×10-4
8 0.00 0.10802×10-1 0.15863×10-2 0.20000×10-4
9 0.00 -0.53057×10-2 0.73506×10-3 0.44593×10-5
10 0.00 -0.28029×10-2 0.38430×10-3 0.25000×10-4
【実施例2】
【0042】
図5ないし図8は本発明のズームレンズ系の実施例2を示している。図5はレンズ構成図、図6は短焦点距離端における諸収差図、図7は中間点距離における諸収差図、図8は長焦点距離端における諸収差図、表2はその数値データである。第1負レンズの像側の面は、非球面である。その他の基本的なレンズ構成は実施例1と同様である。絞りSは、第5面(第2レンズ群20)の前方0.20の位置にある。
【0043】
(表2)
F= 1: 3.5-4.6-6.3
f= 4.40-7.60-13.00
W= 35.3-20.9-12.6
fB= 2.60-2.60-2.60
面No. r d Nd ν
1 20.838 0.50 1.88300 40.8
2* 3.633 1.01 - -
3* 5.937 0.96 1.84666 23.8
4* 11.973 8.15-3.38-0.66 - -
5* 3.548 1.16 1.83481 42.7
6 125.000 1.00 1.68740 29.6
7 1.999 1.80 1.59884 54.6
8* 7.987 2.99-5.31-9.22 - -
9* -5.409 0.90 1.63854 55.4
10* -4.100 1.00 - -
11 ∞ 0.50 1.51633 64.1
12 ∞ - - -
*は回転対称非球面。
非球面データ(表示していない非球面係数は0.00である。):
面No. K A4 A6 A8
2 0.00 -0.63085×10-4 -0.85225×10-5
3 0.00 -0.77823×10-3 0.62326×10-4 -0.12357×10-4
4 0.00 -0.16913×10-2 0.21552×10-4 -0.16513×10-4
5 0.00 -0.38972×10-3 -0.89671×10-4
8 0.00 0.10781×10-1 0.16503×10-2 0.20000×10-4
9 0.00 -0.75191×10-2 0.66822×10-3 0.44593×10-5
10 0.00 -0.42498×10-2 0.24916×10-3 0.25000×10-4
【実施例3】
【0044】
図9ないし図12は本発明のズームレンズ系の実施例3を示している。図9はレンズ構成図、図10は短焦点距離端における諸収差図、図11は中間焦点距離における諸収差図、図12は長焦点距離端における諸収差図、表3はその数値データである。基本的なレンズ構成は、実施例2と同様である。絞りSは、第5面(第2レンズ群20)の前方0.20の位置にある。
【0045】
(表3)
F= 1: 3.6-4.6-6.3
f= 4.40-7.60-13.00
W= 35.2-20.5-12.3
fB= 2.20-2.20-2.20
面No. r d Nd ν
1 -306.390 0.50 1.88300 40.8
2* 4.300 1.06 - -
3* 7.633 0.97 1.84666 23.8
4* 35.433 9.16-3.66-0.53 - -
5* 3.455 1.19 1.88300 40.8
6 90.000 1.01 1.71677 28.1
7 1.688 1.44 1.58309 47.2
8* 6.659 3.62-5.94-9.85 - -
9* -8.868 0.97 1.67859 30.5
10* -5.275 1.00 - -
11 ∞ 0.50 1.51633 64.1
12 ∞ - - -
*は回転対称非球面。
非球面データ(表示していない非球面係数は0.00である。):
面No. K A4 A6 A8
2 0.00 -0.14624×10-2 0.38977×10-4
3 0.00 -0.19699×10-2 0.55384×10-4 -0.38703×10-5
4 0.00 -0.17729×10-2 0.22016×10-4 -0.62418×10-5
5 0.00 -0.35502×10-3 -0.63574×10-4
8 0.00 0.10216×10-1 0.84465×10-3 0.20000×10-4
9 0.00 -0.32206×10-2 0.52473×10-3 0.44593×10-5
10 0.00 -0.77385×10-3 0.19518×10-3 0.25000×10-4
【0046】
各実施例の各条件式に対する値を表4に示す。
(表4)
実施例1 実施例2 実施例3
条件式(1) 1.43 1.37 1.47
条件式(2) 1.06 1.01 1.09
条件式(3) -1.59 -1.48 -1.82
条件式(4) 1.08 1.10 1.26
条件式(5) 2.17 2.00 2.21
条件式(6) 0.35 0.29 0.37
条件式(7) 0.85 0.90 0.83
条件式(8) 0.06 0.04 0.08
条件式(9) 21.3 19.1 15.9
条件式(10) 15.2 15.6 14.8
条件式(11) 8.25 8.78 7.67
条件式(12) 250.0 120.0 90.0
条件式(13) 2.95 2.95 2.95
【0047】
表4から明らかなように、実施例1ないし実施例3は、条件式(1)ないし(13)を満足しており、かつ収差図に示すように各焦点距離での諸収差もよく補正されている。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明によるズームレンズ系の実施例1のレンズ構成図である。
【図2】図1のレンズ構成の短焦点距離端における諸収差図である。
【図3】図1のレンズ構成の中間焦点距離における諸収差図である。
【図4】図1のレンズ構成の長焦点距離端における諸収差図である。
【図5】本発明によるズームレンズ系の実施例2のレンズ構成図である。
【図6】図5のレンズ構成の短焦点距離端における諸収差図である。
【図7】図5のレンズ構成の中間焦点距離における諸収差図である。
【図8】図5のレンズ構成の長焦点距離端における諸収差図である。
【図9】本発明によるズームレンズ系の実施例3のレンズ構成図である。
【図10】図9のレンズ構成の短焦点距離端における諸収差図である。
【図11】図9のレンズ構成の中間焦点距離における諸収差図である。
【図12】図9のレンズ構成の長焦点距離端における諸収差図である。
【図13】本発明によるズームレンズ系の簡易移動図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から順に、負の第1レンズ群、絞り、正の第2レンズ群、及び正の第3レンズ群から構成され、第1レンズ群及び第2レンズ群を光軸方向に移動させて変倍するズームレンズ系において、
第1レンズ群は、物体側から順に、第1負レンズ、第2正レンズの2枚から構成され、
第2レンズ群は、物体側から順に位置する、第3正レンズ、第4負レンズ及び第5正レンズの3枚を全て接合した接合レンズからなり、
第3レンズ群は、1枚の第6正レンズからなることを特徴とするズームレンズ系。
【請求項2】
請求項1記載のズームレンズ系において、最短焦点距離から最長焦点距離に向けての変倍時に、第1レンズ群と第2レンズ群の間隔は減少し、第2レンズ群と第3レンズ群の間隔は増大し、第3レンズ群は像面に対して固定されているズームレンズ系。
【請求項3】
請求項1または2記載のズームレンズ系において、次の条件式(1)を満足するズームレンズ系。
(1)1.2<f2G/fw<1.6
但し、
2G;第2レンズ群の焦点距離、
w;短焦点距離端の全系の焦点距離。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項記載のズームレンズ系において、次の条件式(2)を満足するズームレンズ系。
(2)0.8<fw/f3<1.2
但し、
w;短焦点距離端の全系の焦点距離、
3;第2レンズ群中の第3正レンズの焦点距離。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項記載のズームレンズ系において、次の条件式(3)を満足するズームレンズ系。
(3)-2.0<fw/f4<-1.4
但し、
w;短焦点距離端の全系の焦点距離、
4;第2レンズ群中の第4負レンズの焦点距離。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項記載のズームレンズ系において、次の条件式(4)を満足するズームレンズ系。
(4)0.8<fw/f5<1.4
但し、
w;短焦点距離端の全系の焦点距離、
5;第2レンズ群中の第5正レンズの焦点距離。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項記載のズームレンズ系において、次の条件式(5)を満足するズームレンズ系。
(5)1.5<|f1G|/fw<2.5
但し、
1G;第1レンズ群の焦点距離、
w;短焦点距離端の全系の焦点距離。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1項記載のズームレンズ系において、次の条件式(6)を満足するズームレンズ系。
(6)0.2<f2G/f6<0.5
但し、
2G;第2レンズ群の焦点距離、
6;第6正レンズの焦点距離。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか1項記載のズームレンズ系において、次の条件式(7)を満足するズームレンズ系。
(7)0.5<Σ2G/fw<1.0
但し、
Σ2G;第2レンズ群の最も物体側の面から最も像側の面迄の距離、
w;短焦点距離端の全系の焦点距離。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれか1項記載のズームレンズ系において、次の条件式(8)を満足するズームレンズ系。
(8)(Nn-Np)/rc2<0.1
但し、
n;第2レンズ群中の第4負レンズのd線に対する屈折率、
p;第2レンズ群中の第5正レンズのd線に対する屈折率、
c2;第2レンズ群中の第4負レンズと第5正レンズの接合面の曲率半径。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれか1項記載のズームレンズ系において、次の条件式(9)を満足するズームレンズ系。
(9)12<νpn
但し、
νp;第2レンズ群中の第3正レンズと第5正レンズのアッベ数の平均値、
νn;第2レンズ群中の第4負レンズのアッベ数。
【請求項12】
請求項1ないし11のいずれか1項記載のズームレンズ系において、次の条件式(10)を満足するズームレンズ系。
(10)10°<βw<25°
但し、
βw;短焦点距離端の最大像高に対して射出される光束の主光線と光軸のなす角度。
【請求項13】
請求項1ないし12のいずれか1項記載のズームレンズ系において、次の条件式(11)を満足するズームレンズ系。
(11)βwT<12°
但し、
βw;短焦点距離端の最大像高に対して射出される光束の主光線と光軸のなす角度、
βT;長焦点距離端の最大像高に対して射出される光束の主光線と光軸のなす角度。
【請求項14】
請求項1ないし13のいずれか1項記載のズームレンズ系において、次の条件式(12)を満足するズームレンズ系。
(12)0<rc1
但し、
c1;第2レンズ群中の第3正レンズと第4負レンズの接合面の曲率半径。
【請求項15】
請求項1ないし14のいずれか1項記載のズームレンズ系において、次の条件式(13)を満足するズームレンズ系。
(13)2.8<fT/fw
但し、
T;長焦点距離端の全系の焦点距離、
w;短焦点距離端の全系の焦点距離。
【請求項16】
請求項1ないし15のいずれか1項記載のズームレンズ系において、フォーカシングは、第1レンズ群の単独移動、第2レンズ群の単独移動または第1レンズ群と第2レンズ群の一体移動で行うズームレンズ系。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−276445(P2006−276445A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−95327(P2005−95327)
【出願日】平成17年3月29日(2005.3.29)
【出願人】(000000527)ペンタックス株式会社 (1,878)
【Fターム(参考)】