説明

セメント組成物用の可溶化脱泡剤

アミン可溶化剤が、水不溶性脱泡剤および任意選択でセメント組成物用分散剤と混合されて、経時的に安定なセメント組成物用の混和剤が提供される。セメント材料、水、水不溶性脱泡剤、任意選択でセメント組成物用分散剤、および水不溶性脱泡剤を可溶化するアミン可溶化剤を含む、セメント組成物が提供される。セメント材料、水、水不溶性脱泡剤、水不溶性脱泡剤を可溶化するアミン可溶化剤、および任意選択でセメント組成物用分散剤を混合することを含む、セメン組成物の製造方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関係出願の相互参照
本出願は、1999年10月出願の米国特許仮出願第60/170,062号の優先権を主張する、2000年12月7日付け出願の米国特許出願第09/732,380号の部分的な継続であり、両者とも参照により本明細書に組み入れてある。
【0002】
背景
ポルトランドセメントなどの水硬性セメントは、構造構成体を形成するのに使用される。水硬性セメントは、骨材と混合して、さらに細骨材および水を含むモルタルを形成するか、または追加で粗骨材を含むモルタルである、コンクリートを形成するのに使用することができる。
水硬性セメントを施工するときには、組成物の施工(placement)を補助し、セメント組成物の施工を完了するために適当な時間を提供するために、流動性期間(period of flowability)を延長するために、最初に形成される水硬性セメント組成物のスランプ特性(slump property)を向上させることが望ましい。混和剤は、水硬性セメントに添加して、スランプを向上させることができる。さらに、必要な水の量を低減するとともに流動性のセメント組成物を生成する、混和剤を添加することもできる。水含有量の減少によって、強度が増大し、結果として得られる水硬性セメント構成体の耐久性が向上する。
【0003】
流動性を向上させ、かつ水含有量を低減するための混和剤の1種に、ポリカルボキシレート分散剤がある。ポリカルボキシレート分散剤類は、ペンダント側鎖を有するカーボン主鎖を有する重合体であり、カルボキシル基またはエーテル基を介して側鎖の少なくとも一部が主鎖に結合している。ポリカルボキシレート分散剤は、水硬性セメント内での分散化と、水含有量の低減に非常に有効である。
ポリカルボキシレート分散剤についての1つの欠点は、混合中にセメント組成物内に空気を連行する傾向があることである。いくらかの連行空気は、セメント組成物に冷解凍耐久性を与えるなどの、特定の用途に対しては望ましいが、過剰な連行空気は、結果として得られる水硬性構成体の圧縮強度に対して有害である。
【0004】
一般に、建設業界においては、空気含有量3%未満の空気非連行(non-air entrained)セメント組成物が望ましく、空気含有量2%未満が好ましい。空気連行混和剤は、セメント組成物の冷解凍耐久性を向上させる、5〜8%の空気含有量を意図的に提供するために使用されることがある。この場合には、空気連行剤投入量を変えることによって空気含有量が調整可能であること、および結果として得られる空気が経時的に安定していることが望ましい。
【0005】
セメント組成物において空気の過剰な連行を克服するために、脱泡剤がセメントミックスに添加されて、空気含有量を望ましいレベルまで下げている。脱泡剤は、通常、ポリカルボキシレート混和剤に一緒に含められる。しかしながら、先行技術において使用される脱泡剤は、単独使用の非水溶性組成物である。非水溶性脱泡剤の問題は、混和剤の長期貯蔵安定性が不十分となり、結果として相分離が生ずることである。ポリカルボキシレート分散剤は、一般に水溶性分散剤である。非水溶性脱泡剤を水溶性分散剤と一緒に使用する場合には、その混合物は時間経過とともに分離する。このことから、この混合物は使用前に混合することが必要となる。また、非水溶性脱泡剤は、時間経過とともに、予測のできない空気含有量を生ずる可能性がある。
【0006】
先行技術において使用されている別の技法は、脱泡剤の分散剤分子上へのグラフト接合である。しかしながら、この先行技術は、アミン可溶化剤または安定化剤と一緒に使用されるポリカルボキシレート分散剤と化学的に結合されていない脱泡剤の組合せを示していない。
業界において必要としていることは、水不溶性脱泡剤と、セメント組成物用分散剤と、空気非連行および空気連行セメント組成物中で制御可能な空気含有量を生成する水不溶性脱泡剤を、可溶化または安定化するアミン可溶化剤とを組み合わせることである。
【0007】
要約
アミン可溶化剤を、水不溶性脱泡剤およびセメント塑性物用の分散剤と混ぜ合わせて、時間経過に対して安定したセメント組成物用の混和剤を提供することができる。結果として得られる混和剤は、長期貯蔵安定性を有し、その結果、混和剤は施工現場において使用前に混合する必要がない。
水不溶性脱泡剤、該水不溶性脱泡剤を可溶化するアミン可溶化剤、および任意選択でセメント組成物用分散剤を含む、セメント組成物用の混和剤が提供される。
【0008】
セメント材料、水、水不溶性脱泡剤、この水不溶性脱泡剤を可溶化するアミン可溶化剤、および任意選択でセメント組成物用分散剤を含む、セメント組成物が提供される。
セメント材料、水、水不溶性脱泡剤、この水不溶性脱泡剤を可溶化するアミン可溶化剤、および任意選択でセメント組成物用分散剤を混合することを含む、セメント組成物の製造方法が提供される。
【0009】
詳細な説明
塩形態で可溶化剤として有効であり、アルカリ性pHにおいて不活性化されるアミン可溶化剤と、セメント組成物内の空気含有量を制御するために分散剤と一緒に使用される脱泡剤との組合せが提供される。
【0010】
アミン可溶化剤という用語は、不溶性物質を可溶化することのできる物質を意味する。可溶化とは、そうでなければ所与の媒体において不溶性である物質を溶液にする方式として定義される。可溶化には、先にコロイド系(有機化)溶液の存在を伴い、その粒子が、そうでなければ不溶性の物質を、それ自体の内部またはその上に吸収して組み入れる。(M.E.L. McBain and E. Hutchinson, Solubilization and Related Phenomena, Academic Press, New York (1955).)一般に、アミン可溶化剤は、可溶化界面活性剤である。本発明に含まれるアミン可溶化剤には、それに限定はされないが、Akzo Nobel Surface Chemistry、LLC(イリノイ州シカゴ)、Corsicana Technologies, Inc.(テキサス州ダラス)、Croda, Inc.(ニューヨーク州、ニューヨーク)Scher Chemicals, Inc.、Lonza, Inc.(スイス国)、Colonial Chemical Company(テネシー州サウスピッツバーグ)、Tomah Products, Inc.(ウイスコンシン州、ミルトン)、Uniqema (米国連絡先−デラウエア州ニューキャッスル)、およびStepan Company(イリノイ州ノースフィールド)によって販売される、アミン可溶化剤を含めることができる。
【0011】
本明細書の全体を通してセメント組成物用分散剤という用語は、ポリカルボキシレート分散剤類およびオリゴマー分散剤類を含む。
本明細書の全体を通して、ポリカルボキシレートという用語は、ペンダント側鎖を有する、炭素またはポリアミドバックボーンを有する重合体を意味し、少なくとも側鎖の一部分がカルボキシル基またはエーテル基を介してバックボーンに結合している。分散剤という用語は、また、セメント組成物用の可塑剤、減水剤、流動化剤、反凝集剤(antiflocculating agent)、または超可塑剤(superplasticizer)としても機能する化学物質も含むことを意味する。ポリカルボキシレート分散剤の例は、以下の米国特許に記載されており、それは、
【表1】

であり、これらは参照により本明細書に組み入れてある。
【0012】
オリゴマー分散剤という用語は、本明細書の全体を通して、成分A、任意選択で成分B、および成分Cの反応生成物である、オリゴマーを意味し、それらの成分は、参照により本明細書に組み入れてある米国特許第6,133,347号、2000年7月31日付出願の米国特許出願番号第09/630,021号、および2000年7月31日付出願の米国特許出願番号第09/629,724号に定義されている。
【0013】
水不溶性脱泡剤、および水不溶性脱泡剤を可溶性にするアミン可溶性化剤と組み合わせて使用される分散剤は、以下の内の少なくとも1種である:
a)式(I)の分散剤:
【化1】

【0014】
式(I)において、
Xは、水素、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオン、またはアミンの少なくとも1種、
Rは、C〜Cのアルキル(アルキレン)エーテルもしくはその混合物、またはC〜Cのアルキル(アルキレン)イミンもしくはその混合物の少なくとも1種、
Qは、酸素、NH、または硫黄の少なくとも1種、
pは、線状側鎖または分枝状側鎖の少なくとも1種を結果として生ずる、1〜約300の数、
は、水素、C〜C20の炭化水素、あるいは−OH、−COOH、−COOHのエステルもしくはアミド誘導体、スルホン酸、スルホン酸のエステルもしくはアミド誘導体、アミン、またはエポキシの少なくとも1種を含む官能化炭化水素の少なくとも1種、
【0015】
Yは、水素、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオン、アミン、疎水性炭化水素または脱泡剤として機能するポリアルキレンオキシド部分の少なくとも1種、
m、m’、m’’、n、n’、およびn’’は、それぞれ独立に0または1〜約20の間の整数、
Zは、i)少なくとも1種のアミンおよび1種の酸基、ii)二無水物、ジアルデヒド、および二酸塩化物(di-acid-chlorides)からなる群から選択される、バックボーンに組み入れることのできる2つの官能基、またはiii)イミド残基の少なくとも1つを含む部分であり、そして
a、b、cおよびdは、各ユニットのモル割合を反映し、a、b、c、およびdの合計は1に等しく、a、b、c、およびdはそれぞれ0以上で1未満の値であり、a、b、c、およびdの少なくとも2つは0よりも大きい;
【0016】
b)式(II)の分散剤:
【化2】

【0017】
式(II)において、
Aは、COOMであるか、または任意選択で「y」構造において、A基の代わりに、A基が結合して無水物を形成する炭素原子の間に、酸無水物基(−CO−O−CO)が形成されており、
BはCOOM、
Mは、水素、遷移金属陽イオン、疎水性ポリアルキレングリコールもしくはポリシロキサンの残基、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、鉄イオン、アルミニウムイオン、(アルカノール)アンモニウムイオン、または(アルキル)アンモニウムイオン、
Rは、C2−6アルキレン根基、
は、C1−20アルキル基、C6−9シクロアルキル基、またはフェニル基、
x、y、およびzは、0.01〜100までの数、
mは、1〜100の数、そして
nは、10〜100の間の数である;
【0018】
c)次のものからなる共重合体の形態を有する、少なくとも1種の重合体またはその塩を含む分散剤:
i)式RO(AO)Hの化合物を含む、無水マレイン酸半エステルであって、ここでRはC1−20アルキル基であり、AはC2−4アルキレン基、そしてmは2〜16の整数、および
ii)式CH=CHCH2−(OA)ORを有する単量体であって、nは1〜90の整数、RはC1−20アルキル基である;
【0019】
d)以下の単量体(a)、(b)、および(c)の合計が100重量%であることを条件として、それらを共重合化して得られる分散剤:
(a)次の一般式(1)、
【化3】

で表わされる、5〜98重量%の(アルコキシ)ポリアルキレングリコールモノアクリル(メタクリル)エステル単量体:
【0020】
ここで、Rは、水素原子またはメチル基を表わし、ROは、2種以上の混合物をブロックの形態またはランダム形態のいずれかで添加できる条件で、2〜4個の炭素原子のオキシアルキレン基の1種または2種以上の混合物を表わし、Rは、水素原子または1〜5個の炭素原子のアルキル基を表わし、mは、1〜100の範囲の整数である、オキシアルキレン基の平均追加モル数を示す値である、
(b)上記の一般式(2)で表わされる95〜2重量%の(メタクリル)アクリル酸単量体:ここでRおよびRはそれぞれ独立に水素原子またはメチル基であり、Mは、水素原子、一価金属原子、二価金属原子、アンモニウム基、または有機アミン基を表わす、および
(c)これらの単量体と共重合化可能な、0〜50重量%のその他の単量体である;
【0021】
e)オリゴアルキレングリコール類、ポリアルコール類、ポリオキシアルキレンアミン類、およびポリアルキレングリコール類からなる群から選択される少なくとも1種から誘導される側鎖を有する、ポリカルボン酸またはその塩であるグラフト重合体;
f)以下に示す、成分A、任意選択で成分B、および成分Cの反応生成物:
各成分Aは、独立して非重合性多官能部分、またはセメント粒子上に吸着する、一官能性部分または多官能性部分の組合せであり、リン酸塩類、ホスホン酸塩類、ホスフィサン酸塩類、次亜リン酸塩類、硫酸塩類、スルホン酸塩類、スルフィン酸塩類、アルキルトリアルコキシシラン類、アルキルトリアシルオキシシラン類、アルキルトリアリルオキシシラン類、ほう酸塩類、ボロネート類、ボロキシン類(boroxines)、ホスホラミド類(phosphoramides)、アミン類、アミド類、第四アンモニウム基類、カルボン酸類、カルボン酸エステル類、アルコール類、炭水化物類、糖のリン酸エステル類、糖のホウ酸エステル類、糖の硫酸エステル類、前記任意の部分の塩およびその混合物からなる群から選択される第1の成分から誘導される少なくとも1つの残基を含む、
【0022】
成分Bは、任意選択の部分であり、それが存在する場合には、各成分Bは、成分A部分と成分C部分との間に配置される、独立に非重合性部分であり、線状飽和炭化水素類、線状非飽和炭化水素類、飽和分枝状炭化水素類、非飽和分枝状炭化水素類、脂環式炭化水素類、複素環式炭化水素類、アリル、リン酸エステル、窒素含有化合物類、およびそれらの混合物からなる群から選択される第2の成分から誘導される、
【0023】
成分Cは、セメント粒子に対して実質的に非吸着性である、線状または分枝状の水溶性、非イオン性重合体である、少なくとも1つの部分であって、ポリ(オキシアルキレングリコール)、ポリ(オキシアルキレンアミン)、ポリ(オキシアルキレンジアミン)、モノアルコキシポリ(オキシアルキレンアミン)、モノアリルオキシポリ(オキシアルキレンアミン)、モノアルコキシポリ(オキシアルキレングリコール)、モノアリルオキシポリ(オキシアルキレングリコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(メチルビニルエーテル)、ポリ(エチレンイミン)、ポリ(アクリルアミド)、ポリオキサゾール類、およびそれらの混合物から選択される;
【0024】
g)式(III)の分散剤:
【化4】

【0025】
式(III)において、
D=構造d1、構造d2、およびそれらの混合物からなる群から選択される成分、
X=H、CH、C〜Cアルキル、フェニル、p−メチルフェニル、またはスルホン化フェニル、
Y=Hまたは−COOM、
R=HまたはCH
Z=H、−SOM、−POM、−COOM、−O(CHORただしn=2〜6、COOR、もしくは−(CHORただしn=0〜6、CONHR、−CONHC(CHCHSOM、−COO(CHROHただしn=2〜6、または−O(CHORただしn=2〜6、
【0026】
、R、R、Rはそれぞれ独立に、オキシエチレンユニットとオキシプロピレンユニットとの−(CHRCHO)ランダム共重合体であり、ここでm=10〜500、ランダム共重合体内でのオキシエチレンの量は約60%〜100%であり、ランダム共重合体内のオキシプロピレンの量は0%〜約40%であり、
=H、メチル、C〜約Cのアルキル、または約C〜約C10のアリル、
M=H、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アミン、トリエタノールアミン、メチル、またはC〜約Cのアルキル、
a=0〜約0.8、
b=約0.2〜約1.0、
c=0〜約0.5、
d=0〜約0.5、そして
a、b、c、およびdは、各ユニットのモル分率を表わし、a、b、c、およびdの合計は1.0である;
【0027】
h)式(IV)の分散剤:
【化5】

式(IV)において、
「b」構造は、カルボン酸単量体、エチレン不飽和単量体、または無水マレイン酸の内の1つであり、酸無水物基(−CO−O−CO−)は、Y基およびZ基がそれぞれ接合されている炭素原子間に、Y基およびZ基の代わりに形成され、「b」構造は、ペンダントエステル結合を有する少なくとも1つの部分およびペンダントアミドリンクを有する少なくとも1つの部分を含まなくてはならない、
【0028】
X=H、CH、C〜Cアルキル、フェニル、p−メチルフェニル、p−エチルフェニル、カルボキシル化フェニル、またはスルホン化フェニル、
Y=H、−COOM、−COOH、またはW、
W=式RO−(CHCHO)−(CHC(CH)HO)−(CHCHO)で表わされる疎水性脱泡剤であり、ここでs、t、およびuは、t>(s+u)という条件付で0〜200の間の整数であり、疎水性脱泡剤の合計量は、ポリカルボキシレート分散剤の約10重量%未満の量であり、
Z=H、−COOM、−O(CHORただしn=2〜6、−COOR、−(CHORただしn=0〜6、または−CONHR
=H、またはCH
【0029】
、Rは、それぞれ独立に、一般式−(CH(R)CHO)の、オキシエチレンユニットとオキシプロピレンユニットのランダム共重合体であり、ここでm=10〜500、ランダム共重合体内のオキシエチレンの量は約60%〜100%、ランダム共重合体内のオキシプロピレンの量は0%〜約40%であり、
=H、メチル、またはC〜Cアルキル、
=C〜C18アルキルまたはC〜C18アルキルアリル、
M=アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニア、アミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、イミダゾール、
a=0.01〜0.8、
b=0.2〜0.99、
c=0〜0.5、そして
a、b、cは各ユニットのモル分率を表わし、a、b、およびcの合計は1である;
【0030】
i)以下の単量体ユニットおよび単量体ユニット数を有する遊離酸または塩の形態の、以下の式(V)に対応するランダム共重合体:
【化6】

【0031】
ここで、Aは、以下の部分(i)または部分(ii)から選択され、
(i)は−CR−CR−、(ii)は、
【化7】

ここで、RおよびRは、置換ベンゼン、C1−8アルキル、C2−8アルケニル、C2−8アルキルカルボニル、C1−8アルコキシ、カルボキシル、水素、および環から選択され、RおよびRは、水素、C1−4アルキルからなる群から選択され、RおよびRは、Rおよび/またはRがC1−4アルキルの場合に、Rおよび/またはRと一緒に環を形成することができる;
【0032】
、R、R、およびR10は、水素、C1−6アルキル、およびC2−8炭化水素鎖からなる群から個別に選択され、RおよびRは、Rおよび/またはR、R、およびR10と一緒に、それらが結合する炭素原子を接合してC2−8炭化水素鎖を形成し、炭化水素鎖は、任意選択で少なくとも1つの陰イオン基を有し、少なくとも1つの陰イオン基は任意選択でスルホン基であり、
Aが(ii)であり、かつMが疎水性ポリアルキレングリコールであるときに、Mは基−(RO)と異ならなくてはならないことを条件として、Mは、水素、および疎水性ポリアルキレングリコールまたはポリシロキサンの残基とからなる群から選択され、
【0033】
は、C2−8アルキレン根基であり、
は、C1−20アルキル、C6−9シクロアルキルおよびフェニルからなる群から選択され、
n、x、およびzは1〜100までの数、
yは0〜100、
mは2〜1000、
x:(y+z)の比は1:10〜10:1の間であり、y:zの比は、5:1〜1:100の間である;
【0034】
j)以下を含む、オキシアルキレングリコール−アルケニルエーテルと不飽和ジカルボン酸との共重合体:
i)0〜90モル%の、式3aまたは3bの少なくとも1種の成分:
【化8】

【0035】
ここで、Mは、水素原子、一価もしくは二価の金属陽イオン、アンモニウムイオンまたは有機アミン残基であり、aは1、またはMが二価金属陽イオンのときにはaは1/2であり、
Xは−OM
−O−(C2mO)−RただしRは水素原子、1〜20の炭素原子を含む脂肪族炭化水素根基、5〜8の炭素原子を含む脂環式炭化水素根基または任意選択でヒドロキシル、カルボキシル、C1−14アルキル、または6〜14の炭素原子を含むスルホン基置換アリル根基であり、mは2〜4、そしてnは0〜100、
−NHR、−N(Rまたはその混合物であり、ここでR=Rまたは−CO−NHであり;
Yは酸素原子または−NRである;
【0036】
ii)1〜89モル%の一般式4の成分:
【化9】

式中、Rは水素原子または1〜5の炭素原子を含む脂肪族炭化水素根基であり、pは0〜3、Rは水素、1〜20の炭素原子を含む脂肪族炭化水素根基、5〜8の炭素原子を含む脂環式炭化水素根基、または任意選択でヒドロキシル、カルボキシル、C1−14アルキル、または6〜14の炭素原子を含むスルホン基置換アリル根基であり、mは2〜4、そしてnは0〜100である、および
【0037】
iii)0.1〜10モル%の、式5aまたは5bの少なくとも1つの成分:
【化10】

【0038】
式中、Sは水素原子または−COOMもしくは−COOR、Tは−COOR、−W−R、−CO−[−NH−(CH)−]−W−R、−CO−O−(CH−W−R、一般式:
【化11】

の根基、または−(CH−V−(CH−CH=CH−R、あるいはSが−COORもしくは−COOM、Uが−CO−NHM−、−O−または−CHO、Uが−NH−CO−、−O−または−OCH、Vが−O−CO−C−CO−O−またはW、そしてWが、
【化12】

のとき、
【0039】
は水素原子またはメチル根基、Rは3〜20の炭素原子を含む脂肪族炭化水素根基、5〜8の炭素原子を含む脂環式炭化水素根基、または6〜14の炭素原子を含むアリル根基であり、R=Rまたは
【化13】

であり、
【0040】
=Rまたは
【化14】

であり、
rは2〜100、sは1または2、xは1〜150、yは0〜15そしてzは0〜4である;
【0041】
iv)0〜90モル%の、式6a、6b、または6cの少なくとも1つの成分:
【化15】

ここで、Mは水素原子、一価または二価金属陽イオン、アンモニウムイオン、または有機アミン残基であり、aは1、またはMが二価金属陽イオンのときには、aは1/2;
【0042】
ここでXは、−OM
−O−(C2mO)n−ただしRは水素原子、1〜20の炭素原子を含む脂肪族炭化水素根基、5〜8の炭素原子を含む脂環式炭化水素根基または任意選択でヒドロキシル、カルボキシル、C1−14アルキル、または6〜14の炭素原子を含むスルホン基置換アリル根基であり、mは2〜4、そしてnは0〜100である、
−NH−(C2mO)−R
−NHR、−N(Rまたはその混合物であり、ここでR=Rまたは−CO−NHである、そして
ここでYは酸素原子または−NRである;
【0043】
k)以下を含む、ジカルボン酸誘導体とオキシアルキレングリコールエーテルとの共重合体:
i)1〜90モル%の、式7aおよび式7bの構造ユニットからなる群から選択される、少なくとも1種:
【化16】

ここで、MはH、一価金属陽イオン、二価金属陽イオン、アンモニウムイオン、または有機アミン、
aは、Mが二価金属陽イオンのときには1/2、またはMが一価金属陽イオンのときには1であり、
【0044】
ここでRは、−OM、または
−O−(C2mO)−RただしRは水素原子、C1―20脂肪族炭化水素根基、C5−8脂環式炭化水素根基または任意選択で[−COOM、−(SO)M、および−(PO)Ma2]からなる群から選択される少なくとも1種によって置換されているC6−14アリルである、
mは2〜4、
nは0〜200であり、
【0045】
ii)0.5〜80モル%の、式8の構造ユニット:
【化17】

ここで、RはHまたはC1−5脂肪族炭化水素、
pは0〜3、
は、H、C1−20脂肪族炭化水素、C5−8脂環式炭化水素、または[−COOM、(SO)M、および−(PO)Ma2]からなる群から選択される少なくとも1種によって置換されている、C6−14アリルであり、
mは2〜4、
nは1〜200;
【0046】
iii)0.5〜80モル%の、式9aおよび式9bからなる群から選択される構造ユニット:
【化18】

【0047】
ここで、RはH、任意選択で少なくとも1種のヒドロキシル基で置換されているC1−20脂肪族炭化水素、−(C2mO)−R、−CO−NH−R、C5−8脂環式炭化水素、または任意選択で[−COOM、−(SO)M、および−(PO)Ma2]からなる群から選択される少なくとも1つのメンバーによって置換されたC5−8アリルであり;
MはH、一価金属陽イオン、二価金属陽イオン、アンモニウムイオンまたは有機アミン;
aは、Mが二価金属陽イオンのときには1/2、Mが一価金属陽イオンのときには1であり、
はH、C1−20脂肪族炭化水素、C5−8脂環式炭化水素、または任意選択で[−COOM、−(SO)M、および−(PO)Ma2]からなる群から選択される少なくとも1種で置換されている、C6−14アリルであり、
mは2〜4、
nは1〜200である;
【0048】
iv)1〜90モル%の、式10の構造ユニット:
【化19】

式中、Rはメチル基、またはメチレン基であり、Rは、Rと共に、1個または2個以上の5〜8員環を形成し、
はH、メチル、またはエチル、
は、H、C1−20脂肪族炭化水素、任意選択で[−COOM、−(SO)M、および−(PO)Ma2]からなる群から選択される少なくとも1種で置換されているC6−14アリル、C5−8脂環式炭化水素、−OCOR、−OR、または−COORであり、RはH、任意選択で少なくとも1つの−OHで置換されているC1−20脂肪族炭化水素、−(C2mO)−R、−CO−NH−R、C5−8脂環式炭化水素、または任意選択で[−COOM、−(SO)M、−(PO)Ma2]からなる群から選択される1種で置換されているC6−14アリル残基である。
【0049】
式(e)において、用語「誘導された(derived)」とは、誘導体一般を指すものではなく、分散剤特性と整合性があり、グラフト重合体を破壊しない、オリゴアルキレングリコール類、ポリアルコール類、ポリオキシアルキレンアミン類、およびポリアルキレングリコール類の任意のポリカルボン酸/ポリカルボキシル塩側鎖誘導体を指すものである。
6〜14の炭素原子を含む、式(j)の任意選択で置換されるアリルにおける好ましい置換基は、ヒドロキシル基、カルボキシル基、C1−14アルキル基、またはスルホナート基である。
【0050】
置換されるベンゼンにおける好ましい置換基は、ヒドロキシル基、カルボキシル基、C1−14アルキル基、またはスルホナート基である。
本明細書において使用する場合には、セメントの用語は、任意の水硬セメントを指している。水硬セメントとは、水と混合されるときに凝結する材料である。水硬セメントの適当な例としては、それに限定はされないが、ポルトランドセメント、れんが用セメント(masonry cement)、アルミナセメント、耐火セメント(refractory cement)、マグネシアセメント、カルシウムスルホアルミネート(calcium sulfoaluminate)セメント、油井セメント、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0051】
ペーストは、水硬セメント結合剤単独またはフライアッシュ、シリカヒューム、蝦焼クレー(calcined clay)、または高炉スラグなどのポゾランとの組合せと、水とからなる混合物として定義される。モルタルは、追加で細骨材を含むペーストとして定義される。コンクリートは、さらに粗骨材を含む。
アミン可溶化剤は、水不溶性脱泡剤およびセメント組成物用分散剤と混ぜ合わせて、セメント組成物用の混和剤を形成することができる。アミン可溶化剤と水不溶性脱泡剤およびセメント組成物用分散剤との組合せによって、分散剤と脱泡剤との間にほとんど層分離がないことにおいて、経時的に安定な混和剤が得られる。
【0052】
理論に限定されるものではないが、アミン可溶化剤と水不溶性脱泡剤とを併用すると、場合によってはミセル性溶液(micellar solution)が形成されることが理論づけられる。ミセル性溶液とは、単一の、熱力学的に安定な平衡相であり、液体または液晶である2種以上の相を含み、200〜5000ナノメートルを超える大型液滴の分散である、マクロエマルジョンと比較される。エマルジョンは、通常、不透明で、熱力学的に不安定であり、0.5〜10ミクロン液滴寸法のマクロ分散系である。ミセル性溶液は、通常、界面活性剤の中間層によって安定化された、透明な水中油(oil-in-water)系であり、その粒径は約0.01〜約0.05ミクロンである。小さな粒径は、光学的透明性をもたらす。ミセル性溶液のさらなる定義は、L.M. PrinceによるMicroemulsions: Theory and Practice, Academic Press, New York (1977)に記述されている。
【0053】
アミン可溶化剤は、水相における油の合計水可溶性を増大させることができる。溶液中に、限界ミセル濃度を超える、十分な量の可溶化剤があると、可溶化剤分子が凝集してミセルとなる。ミセル/水分配係数(micelle-water partition coefficient)およびモル可溶化比によって、アミン可溶化剤により達成される可溶性向上の程度を特徴づけることができる。脱泡剤の可溶化は、アミン可溶化剤が限界ミセル濃度に達した後に増加する。脱泡剤は、水相を介してミセルに拡散し、ミセルの芯中に溶解する。可溶化剤の添加を増加させるにつれて、ミセルの形状は円筒形に変化することになる。さらに多量の可溶化剤を添加すると、最終的に形状は層状に変化する。しかしながら、これらの変化を通して、ミセルの数はほぼ同じのままとなる。
【0054】
セメント組成物に対して安定なミセル性溶液を製造する一方法は、酸を含む媒体にアミン可溶化剤を添加し、該媒体は水または任意の溶液、混合物、または酸を含むときに酸活性化アミン塩を形成する組成物とすること、続いて、アミン可溶化剤によって可溶化される不溶性脱泡剤を添加すること、次いで、任意選択で分散剤およびその他任意の添加剤または混和剤を添加することを含む。
【0055】
セメント組成物用の安定性のあるミセル性溶液を製造する別の方法では、アミン可溶化剤、不溶性脱泡剤、分散剤およびその他任意の添加剤または混和剤を、酸を含む媒体に組み合わせて添加してもよく、この媒体は水または酸を含むときに、酸活性化アミン塩を形成する任意の溶液、混合物、もしくは組成物とすることができる。「組み合わせて(in combination)」とは、脱泡剤を可溶化するのに先立って、アミン可溶化剤、不溶性脱泡剤、分散剤およびその他の添加剤または混和剤を、酸性媒体に添加することを意味する。
【0056】
アミン可溶化剤、不溶性脱泡剤、分散剤およびその他の添加剤または混和剤は、通常、推定で数年の長期間安定性を有する、安定で透明なミセル性溶液を生成する。さらに、セメント組成物のアルカリpH環境において、アミン可溶化剤は、非プロトン化(非塩)形態に不活性化されて、より大きな脱泡性能が観察される。
【0057】
活性化されたアミン可溶化剤とは、酸と反応させられて水可溶性塩を形成したアミン界面活性剤を指す。非活性化(deactivated)アミン可溶化剤とは、非プロトン化(非塩)形態にあるアミン界面活性剤を指す。
アミン可溶化剤の例としては、それに限定はされないが、(モノ、ジ、トリ)アルキルアミン、(モノ、ジ、トリ)アルキルエーテルアミン、アルコキシ化アミン、アルキルアミドアミン、アルキルイミダゾリン、アルキル(ジまたはトリ)アミン、アルキル(ジまたはトリ)エーテルアミン、アルコキシ化(ジ、トリ)アミン、エトキシ化アルキルエーテルアミン、それらの混合物がある。
【0058】
一態様において、エーテルアミン類は、ウィスコンシン州ミルトンのTomah Products, Inc.製のDAシリーズエーテルジアミン類であり、次の組成、R−O−CHCHCHNHCHCHCHNHを有する。別の態様においては、エーテルアミン類は、次の組成を有する。すなわち、DA−1214のRは、C17/C1021(オクチル/デシルオキシプロピル−1,3−ジアミノプロパン)であり、DA−14のRは、分枝状C1221(イソデシルオキシプロピル−1,3−ジアミノプロパン)、DA−16のRは、分枝状C1225(イソドデシルオキシプロピル−1,3−ジアミノプロパン)、DA−1618のRは、C1225/C1429(ドデシル/テトラデシルオキシプロピル−1,3−ジアミノプロパン)、DA−17のRは、分枝状C1327(イソトリデシルオキシプロピル−1,3−ジアミノプロパン)、DA−18のRは、C1429(テトラデシルオキシプロピル−1,3−ジアミノプロパン)である。
【0059】
一態様においては、エーテルアミン類は、ウィスコンシン州ミルトンのTomah Products, Inc.製のPAシリーズ第一エーテルジアミン類(エトキシ化アルキルジアミンおよびアルキルジアミン)である。ある特定の態様においては、第一エーテルアミン類は、次の組成を有する。すなわち、PA−7のRは、IsoC(イソプロピルオキシプロピルアミン)であり、PA−10のRは分枝状C13(イソヘキシルオキシプロピルアミン)、PA−12EHのRは分枝状C13(2−エチルヘキシルオキシプロピルアミン)、PA−1214のRはC17/C1021(オクチル/デシルオキシプロピルアミン)、PA−14のRは分枝状C1021(イソデシルオキシプロピルアミン)、PA−16のRは分枝状C1225(イソドデシルオキシプロピルアミン)、PA−1618のRはC/C1021(ドデシル/テトラデシルオキシプロピルアミン)、PA−17のRは分枝状C1327(イソトリデシルオキシプロピルアミン)、PA−18のRはC1429(テトラデシルオキシプロピルアミン)、PA−1816のRはC1429/C1225(テトラデシル/ドデシルオキシプロピルアミン)、PA−19のRはC1225/C1531(線状アルキルオキシプロピルアミン)、そしてPA−2220のRはC1837/C1633(オクタデシル/ヘキサデシルオキシプロピルアミン)である。
【0060】
一態様において、エトキシ化エーテルアミン類は、ウィスコンシン州ミルトンのTomah Products, Inc.製のEシリーズ、エトキシ化エーテルアミン類であり、次の組成を含む。
【化20】

【0061】
ある特定の態様においては、エトキシ化エーテルアミン類は次の組成を有する。すなわち、E14−2のRは、分枝状C1021(イソ(2−ヒドロキシエチル)イソデシルオキシプロピルアミン)であり、E14−5のRは、分枝状C1021(ポリ(5)オキシエチレンイソデシルオキシプロピルアミン)、E17−2のRは、分枝状C1327(ビス(2−ヒドロキシエチル)イソトリデシルオキシプロピルアミン)、E17−5のRは、分枝状C1327(ポリ(5)オキシエチレンイソトリデシルオキシプロピルアミン)、E19−2のRは、C1225/C1531(ビス(2−ヒドロキシエチル)線状C12〜15アルキルオキシプロピルアミン)、E22−2、E−2220−2およびE18−2のRは、C1827(ビス(2−ヒドロキシエチル)オクタデシルアミン(&5、15モル付加物))、E−S−2のRは、オレイン酸/リノール酸(ビス−(2−ヒドロキシエチル)ソーヤアミン(&15モール付加物))(Oleic/Linoleic (bis-(2-hydroxyethyl) soya amine (&15 mole adduct)))、E−T−2のRは、ステアリン酸/オレイン酸(ビス−(2−ヒドロキシエチル)タローアミン(&5、15モル付加物))である。
一態様においては、アミン可溶化剤のモル重量は、約100〜約1000である。
【0062】
セメント組成物内の空気含有量を制御することのできる、使用可能なアミン可溶化剤の実証例としては、ジココアルキルアミン(di coco alkylamine)、トリドデシルアミン、オレイルジメチルアミン、水素化タロージメチルアミン、オレイルアミン、タローアミン、ドデシルエーテルアミンまたはテトラデシルエーテルアミン、エトキシ化(2)ココアルキルアミン、プロポキシ化(2)タローアルキルアミン、ビス(2−ヒドロキシエチル)オレイルアミン、ビス(2−ヒドロキシエチル)オクタデシルアミン、ポリオキシエチレン(15)タローアルキルアミン、ビス(2−ヒドロキシエチル)ココアルキルアミンまたはN−オレイル−1,1−イミノビス−2−プロパノール、ラウラミドプロピルジメチルアミン、ステアラミドプロピルジメチルアミンまたはオレアミドプロピルジメチルアミン、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−(ヘプタデセニル)イミダゾリン、オレイルヒドロキシエチルイミダゾリン、またはココアルキルヒドロキシエチルイミダゾリン、オレイルジアミン、タローペンタミン、タローテトラミン、タロートリアミン、N−オレイル−1,3−ジアミノプロパン、トリス(2−ヒドロキシエチル)−N−タローアルキル−1,3−ジアミノプロパン、イソトリデシルオキシプロピル−1,3−ジアミノプロパンまたはテトラデシルオキシプロピル−1,3−ジアミノプロパン、エトキシ化(3)N−タロー−1,3−ジアミノプロパン、およびそれらの混合物がある。
【0063】
「可溶化された(solubilized)」とは、水中での界面活性剤の凝集または自己集合ミセル化を意味し、その中では、水不溶性種が存在し、粒子寸法は光学的な透明性をもたらすのに十分に小さい。「可溶性である(Soluble)」とは、個々の分子の水との相互作用を意味する。
本発明によるアミン可溶化剤は、好ましくは、それ自体で少なくとも部分的にセメント組成物用の脱泡剤として有効である。しかしながら、アミン可溶化剤と不溶性脱泡剤の組合せによって、アミン可溶化剤だけを使用する場合に対して、セメント混合物中での空気制御が改善される。
【0064】
混和剤中に存在するセメント組成物用分散剤の量は、乾燥固体の重量に基づいて、約0〜約60%の範囲である。セメント混合物中に存在するセメント組成物用分散剤の量は、セメント材料の乾燥重量に基づいて、約0%〜約2.0%の主活性成分の範囲である。好ましくは、セメント混合物中に存在するセメント組成物用分散剤の量は、セメント材料の乾燥重量に基づいて、約0.05%〜約0.5%の主活性成分の範囲である。
【0065】
混和剤中に存在するアミン可溶化剤の量は、少なくとも、安定な溶液を得るのに十分な量である。好ましくは、混和在中に存在するアミン可溶化剤の量は、乾燥固体の重量に基づいて、約0.02%〜約60%である。好ましくは、セメント組成物中に存在するアミン可溶化剤の量は、セメント材料の乾燥重量に基づいて、主活性成分が約0.0001%〜約0.2%の範囲である。
【0066】
混和剤中に存在する水不溶性脱泡剤の量は、乾燥固体の重量に基づいて、約0.02%〜約30%の範囲である。好ましくは、混和剤中に存在する水不溶性脱泡剤の量は、乾燥固体の重量に基づいて、約0.25%〜約10%の範囲である。好ましくは、セメント混合物中に存在する水不溶性脱泡剤の量は、セメント材料の乾燥重量に基づいて、約0.0001%〜約0.1%の主活性成分の範囲である。
【0067】
混和在中に存在する酸の量は、少なくとも、酸活性化水溶性アミン塩を形成するのに十分な量である。好ましくは、混和剤中に存在する酸の量は、乾燥固体の重量に基づいて0〜約25%である。好ましくは、セメント状混合物中に存在する酸の量は、セメント材料の乾燥重量に基づいて、主活性成分が0〜約2%である。いくつかの態様においては、酸活性化水溶性アミン塩を形成するのに使用する酸性媒体は、分散剤によって提供される。
アミン可溶化剤と不溶性脱泡剤の重量比は、約0.25:1〜約5:1の範囲である。
【0068】
セメント組成物中の空気含有量を制御するのに有用な、水不溶性脱泡剤の例としては、それに限定はされないが、ミネラル油もしくは植物油を基剤とする化学物質、脂肪類および油類、脂肪酸エステル類、−OH(ヒドロキシル)官能性を有する任意の化学物質(例えば、アルコール類、特に脂肪アルコール類)、エーテル化合物類、リン酸エステル類、シリコーン、ポリオキシアルキレン類、エチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシド部分を含む重合体類、液体炭化水素類、およびアセチレン化合物がある。
セメント組成物における空気含有量を制御するのに有用な水不溶性脱泡材の好適な例としては、DYNOL(登録商標)604、SURFYNOL(登録商標)440、SURFYNOL(登録商標)104、SURFYNOL(登録商標)2502、SURFYNOL(登録商標)420、SURFYNOL(登録商標)DF−75、ノニルフェノール、エトキシ化ノニルフェノール、リン酸トリブチル、リン酸トリイソブチル、およびポリプロピレンオキシドがある。
【0069】
水不溶性脱泡剤のさらに別の例としては次のものがある。すなわち、灯油(kerosene)、液体パラフィン、動物油、植物油、ゴマ油、ヒマシ油、それらのアルキレンオキシド付加物、天然ワックス、線状または分枝状脂肪アルコールおよびそのアルコキシ化誘導体、オクチルアルコール、ヘキサデシルアルコール、アセチレンアルコール、アセチレンアルコールアルコキシル化物(acetylinic alcohol alkoxylates)、グリコール類、ポリオキシアルキレングリコール、ポリオキシアルキレンアミド、アクリル酸ポリアミン、シリコーン油、シリコーンペースト、シリコーンエマルジョン、有機改質ポリシロキサン、フルオロシリコーン油、およびポリオキシエチレンポリオキシプロピレン付加物がある。前述のリストの脱泡剤がアルキレンオキシドを含有する程度まで、水不溶性であるもの(長鎖ポリアルキレンオキシド)を参照する。
【0070】
セメント組成物用の不溶性脱泡剤と分散剤との任意の組合せに対する高温安定性は、アミン可溶化剤のレベルを向上させるか、または不溶性脱泡剤の量を低下させることによって得ることができる。例えば、不溶性脱泡剤レベルおよびアミン可溶化剤の有効性に応じて、25℃〜45℃に温度が上昇すると、安定な溶液を維持するために、アミン可溶化剤を10〜20%増加させることが必要となる可能性がある。
【0071】
本発明の混和剤は、セメント用のその他任意の混和剤または添加剤と組み合せて使用することができる。その他のセメント混和剤および添加剤としては、それに限定はされないが、凝結抑制剤、凝結促進剤、空気連行剤または空気排出剤(air detraining agent)、腐食防止剤、セメント用のその他任意の分散剤、顔料、湿潤剤(wetting agents)、水溶性重合体類、強度向上剤、レオロジー改質剤、撥水剤、および本発明の混和剤の特性に悪影響を与えない、その他任意の混和剤または添加剤がある。
【0072】
その他の、セメント用分散剤としては、それに限定されないが、カルシウムリグノスルホナート類、ベータナフタレンスルホナート類、スルホン化メラミンホルムアルデヒド凝縮物、セメント用の分散剤または減水剤または超可塑剤として機能するその他の任意の化学物質、およびそれらの混合物がある。
本発明に使用することができる混和剤および添加剤のいくつかの例を以下に列挙していある。本明細書に参照により組み入れてある、Buryらに授与された米国特許第5,728,209号は、様々な種類の混和剤を詳細に記載している。
【0073】
空気連行剤という用語は、セメント組成物中に空気を連行する任意の化学物質を含む。空気連行剤は、また、低濃度において組成物の表面張力を低減することもできる。空気連行混和剤は、意図的に微視的な空気泡をコンクリート中に連行するのに使用される。空気連行によって、凍結と解凍のサイクル中に湿気に晒されるコンクリートの耐久性が大幅に向上する。さらに、連行される空気は、化学的徐氷剤に起因する表面スケーリングに対するコンクリートの抵抗を大幅に向上させる。空気連行は、また、分離およびブリーディングを防止または低減しながら、フレッシュコンクリートの作業性を向上させる。これらの所望の特性を達成するために使用される材料には、木材樹脂の塩、(Vinsol樹脂)、ある種の合成洗剤、スルホン化リグニンの塩類、石油酸の塩類、タンパク質材料の塩類、脂肪酸およびレジン酸類(resinous acids)ならびにその塩類、アルキルベンゼンスルホン酸塩類、およびスルホン化炭化水素の塩類から選択できる。空気連行剤は、セメント組成物中に所望のレベルの空気を得るための量が添加される。一般に、セメント組成物中の空気連行剤の量は、セメント材料100ポンド当たり、約0.2〜約5.0フルイドオンス(fluid ounces)である。しかし、これは、材料、混合割合、温度、および混合操作に応じて広範に変わる可能性がある。
【0074】
抑制混和剤、または遅延凝結混和剤は、コンクリートの凝結を抑制(retard)、遅延(delay)、または減速(slow)するのに使用される。これらは、初期バッチ分け時点または水和プロセスが始まった後のある時点で、コンクリートミックスに添加することができる。抑制剤は、高温天候がコンクリートの凝結に与える促進硬化を相殺するために、あるいは困難な施工状況が発生するとき、または施工現場への配送の問題が発生するときに、コンクリートまたはグラウトの初期凝結を遅延させるため、あるいは特殊仕上げ工程のための時間を与えるため、あるいは作業日の終わりに残ったコンクリートの回収を支援するために使用される。ほとんどの抑制剤は、また、減水剤としても作用するとともに、コンクリート中にいくらかの空気を連行するのに使用することもできる。本発明の混和剤に使用される、抑制剤としては、それに限定はされないが、オキシ−ボロン(oxy-boron)化合物、リグニン、ポリリン酸、カルボン酸、ヒドロキシカルボン酸、ポリカルボン酸、ヒドロキシル化カルボン酸、フマル酸、イタコン酸、マロン酸、ホウ砂酸、グルコン酸、および酒石酸、リグノスルホナート類、アスコルビン酸、イソアスコルビン酸、スルホン酸−アクリル酸共重合体、およびそれらの対応する塩、ポリヒドロキシシラン、ポリアクリルアミド、炭水化物およびそれらの混合物がある。抑制剤の実証例は、本明細書に参照により組み入れてある、米国特許第5,427,617号および第5,203,919号に記載されている。本発明での使用に特に好適な、抑制剤のさらに別の例としては、オハイオ州クリーブランドのMaster Builders Inc.によりDELVO(登録商標)の商標で販売されている、水和制御混和剤がある。
【0075】
空気排出剤(air detrainer)は、コンクリートの混合物中の空気含有量を減少させるために使用される。この効果を達成するのに使用することのできる一般的な材料として、ジブチルフタレート、オクチルアルコール、カルボン酸およびホウ酸の水不溶性エステル類、ならびにシリコーン類がある。
アルカリ反応性減力剤(alkali-reactivity reducer)は、アルカリ凝集反応を減力して、硬化コンクリート内における破壊的な膨張力を制限することができる。ポゾラン類(フライアッシュ、シリカヒューム)、高炉スラグ、リチウムおよびバリウムの塩類は特に有効である。
【0076】
結合混和剤(bonding admixture)は、通常、新旧のコンクリートの間の結合強度を増加させるためにポルトランドセメント混合物に添加されるものであり、ゴム、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、スチレンブタジエン共重合体類、およびその他の粉末化重合体類などの有機材料がある。
あるスランプ量のコンクリートを製造するために必要な混合水の量を低減するため、水とセメント材料との比を低減するため、またはスランプを増大させるために、減水混和剤が使用される。通常、減水剤はコンクリート混合物の水含有量を約15%まで低減する。
【0077】
超可塑剤(superplasticizers)は、高性能減水剤、または減水混和剤である。超可塑剤は、高スランプ、流動性コンクリートを生成し、それによって水−セメント材料比を低減するために、コンクリートに添加される。これらの混和剤は、不要な凝結抑制またはモルタルまたはセメント中に空気連行を生じることなく、大幅に水を低減するか、または高い流動性をもたらす。超可塑剤として使用可能な材料の中には、スルホン化メラミンホルムアルデヒド縮合体類、スルホン化ナフタレンホルムアルデヒド縮合体類、ある種の有機酸、リグノスルホナート類、および/またはそれらの混合物がある。
【0078】
天然および合成混和剤が、美的および安全の理由でコンクリートに着色するために使用される。これらの着色混和剤は、通常、顔料からなり、カーボンブラック、鉄酸化物、フタロシアニン、アンバー、酸化クロム、酸化チタンおよびコバルトブルーを含む。
コンクリート中の腐食防止剤は、埋め込まれた強化スチールを、その強いアルカリ性による腐食から保護する役割をする。コンクリートの強いアルカリ特性によって、スチール上に化合し難い耐食性の保護酸化物膜が生成される。しかしながら、炭酸塩化によるか、または徐氷剤または海水からの塩素イオンの存在によって膜が破壊されるか、または貫通されて、腐食が発生する可能性がある。腐食防止混和剤は、この腐食反応を化学的に阻止する。腐食を防止するのに最も一般に使用される材料は、硝酸カルシウム、硝酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ある種のリン酸塩類またはフルオロ珪酸塩類、フルオロアルミン酸塩類、アミン類、有機系撥水剤、および関係する化学物質である。
【0079】
防湿混和剤(dampproofing admixtures)は、セメント含有量が低い、水/セメント材料比が高い、または骨材中に微粉が不足するコンクリートの透過性を低下させる。これらの混和剤は、乾燥コンクリート中への水分貫通を抑制するものであり、ある種の石鹸類、ステアリン酸塩類、および石油製品を含む。
空気連行混和剤、促進剤(accelerators)、抑制剤、および非収縮剤および作業性(workability)剤などのグラウティング剤(grouting agent)は、グラウト特性を調節して、特定の用途に対する所望の結果を達成する。例えば、ポルトランドセメントグラウトは、多種多様な目的に使用され、それぞれの目的には、基礎を安定化させたり、機械基礎を設置したり、コンクリート施工におけるクラックおよび継手を充填したり、油井をセメントで固めたり、石造り壁の芯を充填したり、プリストレステンドンおよびアンカーボルトをグラウト詰めしたり、あるいは事前施工骨材コンクリート(pre-placed aggregate concrete)の穴を充填したりするために、異なる剤を必要とすることがある。
【0080】
発泡剤(gas formers)、またはガス発生剤(gas-forming agent)は、コンクリートおよびグラウトに非常に小量添加されて、硬化の前にわずかな膨張を発生させる。膨張量は、使用するガス発生材料の量およびフレッシュ混合物の温度によって変る。アルミニウム粉末、レジン石鹸、および植物または動物にかわ、サポニンまたはタンパク質水解物を、発泡剤として使用することができる。
【0081】
透過性低減剤(permeability reducers)は、圧力下で水がコンクリートを透過する速度を低下させるために使用される。シリカヒューム、フライアッシュ、磨砕スラグ、天然ポゾラン、減水剤、およびラテックスを使用して、コンクリートの透過性を低下させることができる。ポゾランは、シリカを含む、またはシリカおよびアルミナを含む材質であり、それ自体はセメントとしての価値はほとんど、あるいはまったくない。しかしながら、微粉砕された形態で、かつ水分の存在において、ポゾランは常温において水酸化カルシウムと化学的に反応して、セメント特性を有する化合物を形成する。
【0082】
ポンピング助剤は、ポンピング特性を改善するためにコンクリート混合物に添加される。これらの混和剤は流体コンクリートを濃化、すなわち粘性を増大させて、ペーストがポンプからの圧力を受ける間の、ペーストの脱水を低減する。コンクリートにおいてポンピング助剤として使用される材料の中には、有機および合成重合体、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)または分散剤と混合したHEC、有機綿状物質(organic flocculents)、パラフィンの有機エマルジョン、コールタール、アスファルト、アクリル樹脂、ベントナイトおよび熱分解法シリカ(pyrogenic silicas)、天然ポゾラン、フライアッシュならびに消石灰(hydrated lime)がある。
【0083】
硬化セメント中でのバクテリアおよびかびの成長は、殺真菌性、殺菌性、および殺虫性の混和剤を使用することによって部分的に制御することができる。このような目的に対して最も有効な物質は、ポリハロゲン化フェノール類、ジアルドリン(dialdrin)エマルジョン類、および銅化合物類である。
フレッシュコンクリートは、誤った混合割合または粒子形状や不適当な粒度(grading)などの、ある種の骨材特性のために、粗くなることがある。このような状態においては、潤滑剤として働く連行された空気を、作業性改善剤として使用することができる。その他の作業性剤は減水剤およびある種の微粉砕混和剤である。
【0084】
微粉砕鉱質混和剤は、ポルトランドセメントコンクリートの塑性特性または硬化特性の一部を改善または変更するために、粉末形態または微粉形態で、混合工程の前、または混合工程中にコンクリートに添加される物質である。業界で使用される場合には、ポルトランドセメントとは、クリンカーを微粉化することによって製造される水硬セメントを意味し、本質的に水硬性ケイ酸カルシウム類からなり、通常、すべて1つまたは2つ以上の形態の硫酸カルシウムを、ASTMタイプI、II、III、IV、またはVのインターグラウンド添加物(interground addition)として含有する。微粉化鉱質混和剤は、その科学的または物理的な性質にしたがって、ポゾランなどのセメント材料、ポゾラン性およびセメント状用材、および名目上不活性(nominally inert)材料に分類することができる。セメント状用材は、単独で水硬性セメント特性を有し、水の存在によって凝結して硬化する材料である。セメント状用材に含まれるのは、磨砕粒状化高炉スラグ、天然セメント、水硬性消石灰、ならびにこれらおよびその他の材料の組合せである。
【0085】
上述したように、ポゾランは、ケイ酸質、またはアルミノケイ酸質の材料であり、セメント状価値をほとんど、またはまったく有さないが、水の存在下で、かつ微粉化形態において、ポルトランドセメントの水和によって放出される水酸化カルシウムと化学的に反応する。ケイ藻土(diatomaceous earth)、オパール質チャート(opaline cherts)、粘度、シェール(shales)、フライアッシュ、シリカヒューム、凝灰岩(volcanic tuffs)および軽石(pumicites)は、知られているポゾラン類の一部である。ある種の磨砕粒状化高炉スラグおよび高カルシウムフライアッシュは、ポゾラン特性およびセメント特性の両方を有する。天然ポゾランは、凝灰石、軽石、火山土(trasses)、ケイ藻土、オパール質チャート、およびいくつかのシェール類などの、自然に発生するポゾランを定義するのに使用される技術用語であり、名目上不活性材料には、微粉化原水晶(raw quarts)、ドロマイト類、石灰石類、大理石、花崗岩、その他が含まれる。フライアッシュは、ASTM C−618に定義されている。
【0086】
建設領域においては、長年にわたり、コンクリートを強化する多くの方法が開発されている。1つの現代的な方法は、フレッシュコンクリート混合物の全体に繊維を分布させることを伴う。硬化すると、このコンクリートは繊維強化コンクリートと呼ばれる。繊維は、ジルコニウム材料、鋼、グラスファイバ、または合成材料、例えばポリプロピレン、ナイロン、ポリエチレン、ポリエステル、レイヨン、高強度アラミド(すなわち、KEVLAR(登録商標))、またはそれらの混合物から製造することができる。
【0087】
制御された空気含有量のセメント組成物を形成することが可能であり、それは、セメント材料、水、水不溶性脱泡剤、セメント組成物用分散剤、および水不溶性脱泡剤を可溶化するアミン可溶化剤を含む。このセメント材料には、細骨材、粗骨材、ポゾラン、(捕捉されるか、または意図的に連行した)空気、蝦焼クレー、および顔料を含めることができる。
細骨材は、天然砂または人工砂などの、第4号篩(ASTM C125およびASTM C33)を通過する材料である。粗骨材は、シリカ、水晶、破砕丸大理石、ガラス球、花崗岩、石灰石、方解石(calcite)、長石(feldspar)、沖積砂(alluvial sands)、またはその他任意の耐久性のある骨材、およびそれらの混合物などの、第4号篩(ASTM C125およびASTM C33)に保持される材料である
【0088】
本発明によれば、セメント組成物における空気を制御する方法も提供され、その方法は、セメント材料を、水、水不溶性脱泡剤、該水不溶性脱泡剤を可溶化するアミン可溶化剤、および任意選択でセメント組成物用分散剤を混合することを含む。その他の混和剤および添加剤は、本発明の混和剤を添加する前、またはその後の適当な時点で添加される。
セメント組成物に添加される水の量は、所望の水対セメント材料(W/C)比に基づいて計算される。水対セメント材料比は、水およびセメント材料を重量で計測して、通常、約0.2〜約0.7の範囲である。
【0089】
本発明の具体的な実施態様
ミセル性溶液およびセメント組成物のサンプルは、セメント組成物用の、異なる不溶性脱泡剤、可溶化剤、酸および分散剤を使用して製造した。
セメント組成物には、さらにセメントおよび骨材を含めた。以下のサンプルで使用したセメント組成物用分散剤は、ポリエーテル側鎖を含む、重合体カルボキシレートバックボーンを有する、ポリカルボキシレート分散剤であった。
使用した試験は、スランプ(ASTM C143)試験および空気含有量‐体積式(ASTM C231)試験である。骨材は、ASTM C33規格に適合した。W/Cという用語は、セメント状混合物中での水対セメント材料比を指す。S/Aの用語は、砂対骨材の体積比を指す。
【0090】
溶液サンプル
どのアミンが可溶化剤として機能するかを判定するために、以下の表1および表2に示すように、水、不溶性脱泡剤、アミン可溶化剤、酸、および任意選択でポリカルボキシレート分散剤を含む溶液を製作した。材料の量は、溶液の重量パーセントで示してある。溶液は、最初に水、酸、アミン可溶化剤、不溶性脱泡剤、および任意選択でポリカルボキシレート分散剤(表2)を、ガラスビーカー中で、磁気攪拌棒で連続的に攪拌しながら混ぜ合わせて製作した。別の製造方法は、すべての成分をビーカーに同時に加えて、透明溶液が得られるまで攪拌することによった。
サンプルS1〜S51を、上述のように、すべてのサンプルが3〜8%の不溶性脱泡剤、アミン可溶化剤、アミン可溶化剤を活性にするのに十分な酸を含むとともに、ポリカルボキシレート分散剤は含めずに製作した。
【0091】
【表2】

【0092】
【表3】

【0093】
サンプルS1〜3、S5〜30、S32、S34〜S36、およびS38〜S51は、様々なアミン可溶化剤を異なる不溶性脱泡剤と組み合せて使用することによって、安定なミセル性溶液が生成されたことを示している。アミン可溶化剤を含まなかった対照標準(S37)の混濁溶液は、不溶性脱泡剤は安定化されず、すぐさま分離されたことを示している。サンプルS31およびS33を、サンプルS32およびS34と比較すると、アミン可溶化剤と不溶性脱泡剤の比は、安定な溶液を得るために最適化が可能であることを示している。
【0094】
サンプルS52〜S73は、上述のように、すべてのサンプルが、4つの異なるポリカルボキシレート分散剤(PC1、2&3は、短い(低いモル重量の)PEG側鎖と異なる電荷密度を有する重合体であり、PC4は長いPEG側鎖を有する)、溶液重量の0.1〜1.6%の不溶性脱泡剤、アミン可溶化剤、およびアミン可溶化剤を活性にするのに十分な酸を含ませて製作した。
【0095】
【表4】

【0096】
サンプルS52〜S73は、異なるポリカルボキシレート分散剤の存在において、様々なアミンが酸性媒体内で不溶性脱泡剤を可溶化し、安定で透明な溶液を形成することを示している。溶液透明性は、最善の長期溶液安定性を表わすために好ましいが、ポリカルボキシレート分散剤の特性は、溶液透明性に影響を与える可能性がある。しかしながら、サンプルS72およびS73で実証されるように、適度な安定性を有する混濁溶液も、アミン可溶化剤を使用して得ることもできる。
【0097】
表3のサンプルは、上述のように、すべてのサンプルが20%ポリカルボキシレート分散剤を含むように製作した。使用した不溶性脱泡剤は、ペンシルベニア州アレンタアウンのAir Products and Chemicals製の市販の製品S−440(SURFYNOL(登録商標)440)であり、これは2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールへの40%エチレンオキシド付加物である。
【0098】
【表5】

【0099】
表3のサンプルは、可溶化剤を含まない溶液においては、不溶性脱泡剤の量を増加(0.20%を超える)させると、可溶化されていない脱泡剤によって生成される分離相が原因で、溶液が混濁(S74)することを示している。これらの結果が示していることは、溶液中の酸の量を増加させることによって、アミン可溶化剤をさらに増大させることなしに標準的な安定な透明混合物が、得られる。このことは、サンプルS75〜S79によって実証されており、これらのサンプルは、不溶性脱泡剤を可溶化するとともに、サンプルS75〜S79と同じ量の界面活性剤と脱泡剤を含有していたが、より多量の酸(1重量%に対して5%)を含んでいた。
【0100】
コンクリート性能例
表4〜表8に示す実施例に対するコンクリート混合物調合は、タイプIポルトランドセメントを使用する600lb/ydセメントファクタ混合物、石灰石粗骨材と天然砂を使用しての0.42〜0.45の砂対骨材(S/A)比、および0.4〜0.5の水対セメント(W/C)比に基づいておこなった。示した値はすべて、コンクリート混合物におけるセメント重量を基準とする、活性材料の百分率で表わしてある。
【0101】
表4および表5は、ポリカルボキシレート分散剤を含むセメント状混合物において、追加の脱泡剤を含む場合および含まない場合の、50〜70°Fのコンクリート温度の範囲での、様々なアミン可溶化剤の性能を示している。表4の混合物は空気連行剤を含まず、表5の混合物は、オハイオ州クリーブランドのMaster Builders, Inc.製の市販の商標製品Micro−Air(登録商標)を使用して空気連行された。アミン可溶化剤添加量は、セメント重量に対して0.0091%に固定され、使用する場合には、脱泡剤の添加量は、セメント重量に対して0.0061%であり、その結果、アミン可溶化剤(ASA)対脱泡剤比は1.5:1となった。これらの実施例においては、各成分は、混合手順の最初に、セメント状混合物に個別に添加された。
【0102】
表6は、Mirco−Air混和剤と、小量のポリカルトキシレート分散剤とを使用する、空気連行混合物を示す。セメント重量に基づき0.0032重量%で脱泡剤だけの添加を、アミン可溶化剤と脱泡剤の1:1比での組合せの添加と比較して、これらの実施例において、各成分は、混合順序の最初にセメント状混合物に添加した。
【0103】
【表6】

【0104】
【表7】

【0105】
【表8】

【0106】
表4、5、および6に示す結果は、アミン可溶化剤と脱泡剤の組合せは、室温(70°F)およびより低温(50°F)でのコンクリート空気含有量を低下させることを実証している。表4に示すように、空気非連行コンクリートの空気含有量は、2.5%未満の望ましいレベルまで減少している。さらに、アミン可溶化剤と脱泡剤の組合せによって、表5および表6に示すように、ポリカルボキシレート分散剤の複数の複数レベルにおいて、空気連行剤の存在における、コンクリート空気含有量を低下させる。
【0107】
表4において、アミン可溶化剤(オレイルアミン2EO、デシルアミン2EO、タローアミン2EO)および不溶性脱泡剤を含むサンプルはすべて、アミン可溶化剤のみを含むサンプルよりも空気含有量が低かった。対照標準(アミン可溶化剤および不溶性脱泡剤の添加なし)と不溶性脱泡剤なしのサンプルの間にはほとんど、またはまったく差がなかった。このことは、脱泡能力は、アミン可溶化剤単独によってではなく、主として不溶性脱泡剤とアミン可溶化剤の反応によって支配されることを実証するものである。
【0108】
表5は、空気連行剤およびポリカルボキシレート分散剤を一定レベルとして、アミン可溶化剤および不溶性脱泡剤を含むサンプルは、対照標準(アミン可溶化剤および不溶性脱泡剤の添加なし)および不溶性脱泡剤を含まないサンプルと比較してコンクリート混合物の空気含有量を約半分に減少させたことを実証している。
表6は、アミン可溶化剤と脱泡剤の組合せによる高い脱泡性能は、空気連行剤の投入が少量すぎる結果、それらが現場状況下で十分に送達するのが困難となる可能性のある、分散剤の投入量の低い場合にさらに有利になることを示している。
【0109】
表7および表8のデータを生成するのに使用した試験溶液は、水、不溶性脱泡剤、アミン可溶化剤、および酢酸で構成した。示してある材料の量は、セメントの重量パーセントに基づいている。溶液は、水、酸、アミン可溶化剤、および不溶性脱泡剤を混ぜ合わせ、次いでガラスビーカー内で磁気攪拌棒を用いて攪拌することによって製作した。ポリカルボキシレート分散剤は、別個の溶液としてセメント状混合物に添加した。
【0110】
表7は、空気非連行コンクリートにおける、アミン可溶化剤、不溶性脱泡剤、およびポリカルボキシレート分散剤に対する性能データをまとめたものである。1つのサンプルを除き他のすべては、特に断らない限り、1.5:1のアミン可溶化剤対不溶性脱泡剤比に対して、セメント重量で0.0032%TBP(リン酸トリブチル)と0.0048%アミン可溶化剤を送達した。スランプおよび空気含有量測定は、5分間の混合の後に行った。
【0111】
【表9】

【0112】
表7に示す結果によって実証されるのは、ポリカルボキシレート分散剤、アミン可溶化剤および脱泡剤の組合せは、一般に、空気非連行コンクリートにおいて低い空気含有量をもたらすことである。短いアルキル基を含み、高いEO含有量(ラウラミドプロピルジメチルアミン、1−ヒドロキシエチル−2−ココイミダゾリン、タローアミン5EOおよびタローアミン15EO)のアミン可溶化剤は、対応する低EOまたは長いアルキル鎖のアミン可溶化剤よりも、高い空気含有量を示した。
【0113】
表8は、空気連行コンクリートにおける、アミン可溶化剤、不溶性脱泡剤、および酢酸溶液、ならびに個別に添加したポリカルボキシレート分散剤に対する性能データをまとめたものである。(注記の)1つのサンプルは、アミン可溶化剤、不溶性脱泡剤、酢酸、およびポリカルボキシレート分散剤の透明溶液として製作した。両方とも市販の2種類の空気連行剤、オハイオ州クリーブランドのMaster Builders, Inc.製造の商標製品AE(登録商標)90、およびMicro−Air混和剤を、表8に示す投入量で使用した。すべてのサンプルは、特に断らない限り、セメント重量で0.0032%TBP(リン酸トリブチル)および0.0048%アミン可溶化剤を送達した。
【0114】
【表10】

【0115】
これらの結果は、アミン可溶化剤と脱泡剤の組合せは、異なる空気連行剤化学性質と一緒に使用して、コンクリート中に所望の制御された空気含有量を連行することができることを実証している。一般に、その他のアミン可溶化剤と比較して、低アルコキシレートアミン可溶化剤によって、低い空気含有量が得られる。さらに、オレアミドプロピルジメチルアミンのサンプルの空気含有率は、AE90空気連行剤の投入量が減少すると、許容レベルまで低下した。
【0116】
したがって、本発明は、セメント組成物における空気量を予測可能な方法で制御するための、水不溶性脱泡剤、酸性媒体において該水不溶性脱泡剤を可溶化することのできるアミン可溶化剤、および任意選択でセメント組成物用分散剤を含む混和剤を提供する。
また、本発明は、セメント組成物における空気量を予測可能な方法で制御するための、セメント状材料、水、水不溶性脱泡剤、該水不溶性脱泡剤を可溶化することのできるアミン可溶化剤、および任意選択でセメント組成物用分散剤を含む、セメント組成物を提供する。
【0117】
また、本発明は、セメント組成物における空気量を予測可能な方法で制御するための、セメント状材料、水、水不溶性脱泡剤、該水不溶性脱泡剤を可溶化することのできるアミン可溶化剤、および任意選択でセメント組成物用分散剤を含む、セメント組成物の製造方法を提供する。
本発明は、上記の特定の態様に限定されるものではなく、添付のクレームによって定義される変更態様、修正態様および等価な態様を含むことを認識すべきである。本発明の様々な態様を組み合せて所望の特性または結果をもたらすことができるので、開示した態様は単独では必ずしも代替選択肢ではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水不溶性脱泡剤、該水不溶性脱泡剤を酸性媒体内で可溶化することのできるアミン可溶化剤、および任意選択でセメント組成物用分散剤を含む、セメント組成物用の混和剤組成物。
【請求項2】
セメント材料、水不溶性脱泡剤、該水不溶性脱泡剤を可溶化することのできるアミン可溶化剤、および任意選択でセメント組成物用分散剤を含む、セメント組成物。
【請求項3】
セメント材料への添加前に、酸性媒体を、最初に水不溶性材料を可溶化することのできるアミン可溶化剤と、続いて水不溶性脱泡剤と、次いで任意選択で分散剤と混ぜ合わせることをさらに特徴とする、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
セメント組成物への添加前に、水不溶性脱泡剤、該水不溶脱泡剤を可溶化することのできるアミン可溶化剤、および任意選択でセメント組成物用分散剤を、組み合わせて酸性媒体と混ぜ合わせることをさらに特徴とする、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項5】
アミン可溶化剤が合計で約8個〜約100個の炭素を含む、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項6】
アミン可溶化剤が、約30未満のエトキシレートユニットを含む、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項7】
アミン可溶化剤が、約15未満のエトキシレートユニットを含む、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項8】
アミン可溶化剤が、(モノ、ジ、またはトリ)アルキルアミン、(モノ、ジ、トリ、またはテトラ)アルキルエーテルアミン、アルコキシ化アミン、アルキルアミドアミン、アルキルイミダゾリン、アルキル(ジ、トリ、またはテトラ)アミン、アルキル(ジ、トリ、またはテトラ)エーテルアミン、アルコキシ化(ジまたはトリ)アミン、エトキシ化アルキルエーテルアミン、またはそれらの混合物の少なくとも1種である、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項9】
(モノ、ジ、またはトリ)アルキルアミンが、ジココアルキルアミン、トリドデシルアミン、オレイルジメチルアミン、水素添加タロージメチルアミン、オレイルアミン、タローアミン、またはそれらの混合物の少なくとも1種である、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
(モノ、ジ、トリ、またはテトラ)アルキルエーテルアミンが、デシルエーテルアミンもしくはテトラデシルエーテルアミン、またはその混合物の少なくとも1種である、請求項8に記載の組成物。
【請求項11】
アルコキシ化アミンは、エトキシ化(2)ココアルキルアミン、プロポキシ化(2)タローアルキルアミン、ビス(2−ヒドロキシエチル)オレイルアミン、ビス(2−ヒドロキシエチル)オクタデシルアミン、ポリオキシエチレン(3−15)タローアルキルアミン、ビス(2−ヒドロキシエチル)ココアルキルアミンもしくはN−オレイル−1,1−イミノビス−2−プロパノール、またはそれらの混合物の少なくとも1種である、請求項8に記載の組成物。
【請求項12】
アルキルアミドアミンが、ラウラミドプロピルジメチルアミン、ステアラミドプロピルジメチルアミン、オレアミドプロピルジメチルアミン、またはその混合物の少なくとも1種である、請求項8に記載の組成物。
【請求項13】
アルキルイミダゾリンが、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−(ヘプタデセニル)イミダゾリン、オレイルヒドロキシエチルイミダゾリン、ココアルキルヒドロキシエチルイミダゾリン、またはそれらの混合物の少なくとも1種である、請求項8に記載の組成物。
【請求項14】
アルキル(ジ、トリ、またはテトラ)アミンが、オレイルジアミン、タローペンタミン、タローテトラミン、タロートリアミン、N−オレイル−1,3−ジアミノプロパン、トリス(2−ヒドロキシエチル)−N−タローアルキル−1,3−ジアミノプロパン、またはそれらの混合物の少なくとも1種である、請求項8に記載の組成物。
【請求項15】
アルキル(ジ、トリ、またはテトラ)エーテルアミンが、イソトリデシルオキシプロピル−1,3−ジアミノプロパン、テトラデシルオキシプロピル−1,3−ジアミノプロパンまたはそれらの混合物の少なくとも1種である、請求項8に記載の組成物。
【請求項16】
アルコキシ化(ジまたはトリ)アミンが、エトキシ化(3)N−タロー−1,3−ジアミノプロパンである、請求項8に記載の組成物。
【請求項17】
アミン可溶化剤が酸によって活性化されている、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項18】
アミン可溶化剤が、アルカリ性pHにおいて非活性化される、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
空気連行剤をさらに含む、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項20】
凝結促進剤、凝結抑制剤、空気排出剤、発泡剤、防湿混和剤、ポンピング支援剤、殺真菌混和剤、殺虫混和剤、殺菌混和剤、アルカリ活性減力剤、結合混和剤、腐食防止剤、または顔料の少なくとも1種をさらに含む、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項21】
セメント材料への添加前に、アミン可溶化剤が、安定なミセル性溶液を形成するのに十分な量で存在する、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項22】
組成物が、乾燥固体の重量を基準として、約0.02%〜約60%のアミン可溶化剤、約0.02%〜約30%の不溶性脱泡剤、約0〜約60%のセメント組成物用分散剤、および0〜約25%の酸を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項23】
組成物が、乾燥固体の重量を基準として、約0.25%〜約10%の不溶性脱泡剤を含む、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
セメント材料の乾燥重量を基準として、アミン可溶化剤が約0.0001%〜約0.2%の主活性成分量で存在し、不溶性脱泡剤が約0.0001%〜約0.1%の主活性成分量で存在し、セメント組成物用分散剤が0〜約2%の主活性成分量で存在し、酸が0〜約2%の主活性成分量で存在する、請求項2に記載の組成物。
【請求項25】
セメント組成物用分散剤が、セメント材料の乾燥重量を基準として、約0.05%〜約0.5%の主活性成分量で存在する、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
水不溶性脱泡剤が、ミネラル油、植物油、脂肪酸エステル、エーテル化合物、ヒドロキシル官能性化合物、アルコール、リン酸エステル、シリコーン、ポリオキシアルキレン、プロピレンオキシド部分またはエチレンオキシド部分の少なくとも一方を含む重合体、炭化水素、またはアセチレン化合物の少なくとも1種である、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項27】
水不溶性脱泡剤が、ノニルフェノール、ポリプロピレンオキシド、リン酸トリイソブチル、灯油、液体パラフィン、動物油、植物油、ゴマ油、ヒマシ油、アルキレンオキシド、天然ワックス、線状または分枝状脂肪アルコール類およびそのアルコキシ化誘導体類、オクチルアルコール、ヘキサデシルアルコール、アセチレンアルコール、アセチレンアルコールアルコキシ化物類、グリコール類、ポリオキシアルキレングリコール、ポリオキシアルキレンアミド、アクリラートポリアミン、燐酸トリブチル、シリコーン油、シリコーンペースト、シリコーンエマルジョン、有機修飾ポリシロキサン、フルオロシリコーン油、およびポリオキシエチレンポリオキシプロピレン付加物類の少なくとも1種である、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項28】
セメントが、ポルトランドセメント、れんが用セメント、アルミナセメント、耐火セメント、マグネシアセメント、カルシウムスルホアルミネートセメント、油井セメント、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項2に記載の組成物。
【請求項29】
ポゾラン、蝦焼クレー、または骨材の少なくとも1種である、セメント混和剤または添加剤をさらに含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項30】
骨材が、シリカ、水晶、破砕丸大理石、ガラス球、花崗岩、石灰石、方解石、長石、沖積砂類、および砂の少なくとも1種である、請求項29に記載のセメント組成物。
【請求項31】
ポゾランが、天然ポゾラン、フライアッシュ、シリカヒューム、蝦焼クレー、および高炉スラグの少なくとも1種である、請求項29に記載のセメント組成物。
【請求項32】
セメント組成物用分散剤が、以下に示す群から選択される、少なくとも1種のポリカルボキシレート高性能減水分散剤である請求項1または2に記載の組成物:
a)式(I)の分散剤:
【化1】

式(I)において、
Xは、水素、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオン、またはアミンの少なくとも1種、
Rは、C〜Cのアルキル(アルキレン)エーテルもしくはその混合物、またはC〜Cのアルキル(アルキレン)イミンもしくはその混合物の少なくとも1種、
Qは、酸素、NH、または硫黄の少なくとも1種、
pは、線状側鎖または分枝状側鎖の少なくとも1種を結果として生ずる、1〜約300の数、
は、水素、C〜C20の炭化水素、あるいは−OH、−COOH、−COOHのエステルもしくはアミド誘導体、スルホン酸、スルホン酸のエステルもしくはアミド誘導体、アミン、またはエポキシの少なくとも1種を含む官能化炭化水素の少なくとも1種、
Yは、水素、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオン、アミン、疎水性炭化水素または脱泡剤として機能するポリアルキレンオキシド部分の少なくとも1種、
m、m’、m’’、n、n’、およびn’’は、それぞれ独立に0または1〜約20の間の整数、
Zは、i)少なくとも1種のアミンおよび1種の酸基、ii)二無水物、ジアルデヒド、および二酸塩化物からなる群から選択される、バックボーンに組み入れることのできる2つの官能基、またはiii)イミド残基の少なくとも1つを含む部分であり、そして
a、b、cおよびdは、各ユニットのモル割合を反映し、a、b、c、およびdの合計は1に等しく、a、b、c、およびdはそれぞれ0以上で1未満の値であり、a、b、c、およびdの少なくとも2つは0よりも大きい;
b)式(II)の分散剤:
【化2】

式(II)において、
Aは、COOMであるか、または任意選択で「y」構造において、A基の代わりに、A基が結合して無水物を形成する炭素原子の間に、酸無水物基(−CO−O−CO)が形成されており、
BはCOOM、
Mは、水素、遷移金属陽イオン、疎水性ポリアルキレングリコールもしくはポリシロキサンの残基、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、鉄イオン、アルミニウムイオン、(アルカノール)アンモニウムイオン、または(アルキル)アンモニウムイオン、
Rは、C2−6アルキレン根基、
は、C1−20アルキル基、C6−9シクロアルキル基、またはフェニル基、
x、y、およびzは、0.01〜100までの数、
mは、1〜100の数、そして
nは、10〜100の間の数である;
c)次のものからなる共重合体の形態を有する、少なくとも1種の重合体またはその塩を含む分散剤:
i)式RO(AO)Hの化合物を含む、無水マレイン酸半エステルであって、ここでRはC1−20アルキル基であり、AはC2−4アルキレン基、そしてmは2〜16の整数、および
ii)式CH=CHCH2−(OA)ORを有する単量体であって、nは1〜90の整数、RはC1−20アルキル基である;
d)以下の単量体(a)、(b)、および(c)の合計が100重量%であることを条件として、それらを共重合化して得られる分散剤:
(a)次の一般式(1)、
【化3】

で表わされる、5〜98重量%の(アルコキシ)ポリアルキレングリコールモノアクリル(メタクリル)エステル単量体:
ここで、Rは、水素原子またはメチル基を表わし、ROは、2種以上の混合物をブロックの形態またはランダム形態のいずれかで添加できる条件で、2〜4個の炭素原子のオキシアルキレン基の1種または2種以上の混合物を表わし、Rは、水素原子または1〜5個の炭素原子のアルキル基を表わし、mは、1〜100の範囲の整数である、オキシアルキレン基の平均追加モル数を示す値である、
(b)上記の一般式(2)で表わされる95〜2重量%の(メタクリル)アクリル酸単量体:ここでRおよびRはそれぞれ独立に水素原子またはメチル基であり、Mは、水素原子、一価金属原子、二価金属原子、アンモニウム基、または有機アミン基を表わす、および
(c)これらの単量体と共重合化可能な、0〜50重量%のその他の単量体である;
e)オリゴアルキレングリコール類、ポリアルコール類、ポリオキシアルキレンアミン類、およびポリアルキレングリコール類からなる群から選択される少なくとも1種から誘導される側鎖を有する、ポリカルボン酸またはその塩であるグラフト重合体;
f)以下に示す、成分A、任意選択で成分B、および成分Cの反応生成物:
各成分Aは、独立して非重合性多官能部分、またはセメント粒子上に吸着する、一官能性部分または多官能性部分の組合せであり、リン酸塩類、ホスホン酸塩類、ホスフィサン酸塩類、次亜リン酸塩類、硫酸塩類、スルホン酸塩類、スルフィン酸塩類、アルキルトリアルコキシシラン類、アルキルトリアシルオキシシラン類、アルキルトリアリルオキシシラン類、ほう酸塩類、ボロネート類、ボロキシン類、ホスホラミド類、アミン類、アミド類、第四アンモニウム基類、カルボン酸類、カルボン酸エステル類、アルコール類、炭水化物類、糖のリン酸エステル類、糖のホウ酸エステル類、糖の硫酸エステル類、前記任意の部分の塩およびその混合物からなる群から選択される第1の成分から誘導される少なくとも1つの残基を含む、
成分Bは、任意選択の部分であり、それが存在する場合には、各成分Bは、成分A部分と成分C部分との間に配置される、独立に非重合性部分であり、線状飽和炭化水素類、線状非飽和炭化水素類、飽和分枝状炭化水素類、非飽和分枝状炭化水素類、脂環式炭化水素類、複素環式炭化水素類、アリル、リン酸エステル、窒素含有化合物類、およびそれらの混合物からなる群から選択される第2の成分から誘導される、
成分Cは、セメント粒子に対して実質的に非吸着性である、線状または分枝状の水溶性、非イオン性重合体である、少なくとも1つの部分であって、ポリ(オキシアルキレングリコール)、ポリ(オキシアルキレンアミン)、ポリ(オキシアルキレンジアミン)、モノアルコキシポリ(オキシアルキレンアミン)、モノアリルオキシポリ(オキシアルキレンアミン)、モノアルコキシポリ(オキシアルキレングリコール)、モノアリルオキシポリ(オキシアルキレングリコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(メチルビニルエーテル)、ポリ(エチレンイミン)、ポリ(アクリルアミド)、ポリオキサゾール類、およびそれらの混合物から選択される;
g)式(III)の分散剤:
【化4】

式(III)において、
D=構造d1、構造d2、およびそれらの混合物からなる群から選択される成分、
X=H、CH、C〜Cアルキル、フェニル、p−メチルフェニル、またはスルホン化フェニル、
Y=Hまたは−COOM、
R=HまたはCH
Z=H、−SOM、−POM、−COOM、−O(CHORただしn=2〜6、COOR、もしくは−(CHORただしn=0〜6、CONHR、−CONHC(CHCHSOM、−COO(CHROHただしn=2〜6、または−O(CHORただしn=2〜6、
、R、R、Rはそれぞれ独立に、オキシエチレンユニットとオキシプロピレンユニットとの−(CHRCHO)ランダム共重合体であり、ここでm=10〜500、ランダム共重合体内でのオキシエチレンの量は約60%〜100%であり、ランダム共重合体内のオキシプロピレンの量は0%〜約40%であり、
=H、メチル、C〜約Cのアルキル、または約C〜約C10のアリル、
M=H、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アミン、トリエタノールアミン、メチル、またはC〜約Cのアルキル、
a=0〜約0.8、
b=約0.2〜約1.0、
c=0〜約0.5、
d=0〜約0.5、そして
a、b、c、およびdは、各ユニットのモル分率を表わし、a、b、c、およびdの合計は1.0である;
h)式(IV)の分散剤:
【化5】

式(IV)において、
「b」構造は、カルボン酸単量体、エチレン不飽和単量体、または無水マレイン酸の内の1つであり、酸無水物基(−CO−O−CO−)は、Y基およびZ基がそれぞれ結合されている炭素原子間に、Y基およびZ基の代わりに形成され、「b」構造は、ペンダントエステル結合を有する少なくとも1つの部分およびペンダントアミドリンクを有する少なくとも1つの部分を含まなくてはならない、
X=H、CH、C〜Cのアルキル、フェニル、p−メチルフェニル、p−エチルフェニル、カルボキシル化フェニル、またはスルホン化フェニル、
Y=H、−COOM、−COOH、またはW、
W=式RO−(CHCHO)−(CHC(CH)HO)−(CHCHO)で表わされる疎水性脱泡剤であり、ここでs、t、およびuは、t>(s+u)という条件付で0〜200の間の整数であり、疎水性脱泡剤の合計量は、ポリカルボキシレート分散剤の約10重量%未満の量であり、
Z=H、−COOM、−O(CHORただしn=2〜6、−COOR、−(CHORただしn=0〜6、または−CONHR
=H、またはCH
、Rは、それぞれ独立に、一般式−(CH(R)CHO)の、オキシエチレンユニットとオキシプロピレンユニットのランダム共重合体であり、ここでm=10〜500、ランダム共重合体内のオキシエチレンの量は約60%〜100%、ランダム共重合体内のオキシプロピレンの量は0%〜約40%であり、
=H、メチル、またはC〜Cアルキル、
=C〜C18アルキルまたはC〜C18アルキルアリル、
M=アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニア、アミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、イミダゾール、
a=0.01〜0.8、
b=0.2〜0.99、
c=0〜0.5、そして
a、b、cは各ユニットのモル分率を表わし、a、b、およびcの合計は1である;
i)以下の単量体ユニットおよび単量体ユニット数を有する遊離酸または塩の形態の、以下の式(V)に対応するランダム共重合体:
【化6】

ここで、Aは、以下の部分(i)または部分(ii)から選択され、
(i)は−CR−CR−、(ii)は、
【化7】

ここで、RおよびRは、置換ベンゼン、C1−8アルキル、C2−8アルケニル、C2−8アルキルカルボニル、C1−8アルコキシ、カルボキシル、水素、および環から選択され、RおよびRは、水素、C1−4アルキルからなる群から選択され、RおよびRは、Rおよび/またはRがC1−4アルキルの場合に、Rおよび/またはRと一緒に環を形成することができる、
、R、R、およびR10は、水素、C1−6アルキル、およびC2−8炭化水素鎖からなる群から個別に選択され、RおよびRは、Rおよび/またはR、R、およびR10と一緒に、それらが結合する炭素原子を接合してC2−8炭化水素鎖を形成し、炭化水素鎖は、任意選択で少なくとも1つの陰イオン基を有し、少なくとも1つの陰イオン基は任意選択でスルホン基であり、
Aが(ii)であり、かつMが疎水性ポリアルキレングリコールであるときに、Mは基−(RO)と異ならなくてはならないことを条件として、Mは、水素、および疎水性ポリアルキレングリコールまたはポリシロキサンの残基とからなる群から選択され、
は、C2−8アルキレン根基であり、
は、C1−20アルキル、C6−9シクロアルキルおよびフェニルからなる群から選択され、
n、x、およびzは1〜100までの数、
yは0〜100、
mは2〜1000、
x:(y+z)の比は1:10〜10:1の間であり、y:zの比は、5:1〜1:100の間である;
j)以下を含む、オキシアルキレングリコール−アルケニルエーテルと不飽和ジカルボン酸との共重合体:
i)0〜90モル%の、式3aまたは3bの少なくとも1種の成分:
【化8】

ここで、Mは、水素原子、一価もしくは二価の金属陽イオン、アンモニウムイオンまたは有機アミン残基であり、aは1、またはMが二価金属陽イオンのときにはaは1/2であり、
Xは−OM
−O−(C2mO)−RただしRは水素原子、1〜20の炭素原子を含む脂肪族炭化水素根基、5〜8の炭素原子を含む脂環式炭化水素根基または任意選択でヒドロキシル、カルボキシル、C1−14アルキル、または6〜14の炭素原子を含むスルホン基置換アリル根基であり、mは2〜4、そしてnは0〜100、
−NHR、−N(Rまたはその混合物であり、ここでR=Rまたは−CO−NHであり;
Yは酸素原子または−NRである;
ii)1〜89モル%の一般式4の成分:
【化9】

式中、Rは水素原子または1〜5の炭素原子を含む脂肪族炭化水素根基であり、pは0〜3、Rは水素、1〜20の炭素原子を含む脂肪族炭化水素根基、5〜8の炭素原子を含む脂環式炭化水素根基、または任意選択でヒドロキシル、カルボキシル、C1−14アルキル、または6〜14の炭素原子を含むスルホン基置換アリル根基であり、mは2〜4、そしてnは0〜100である、および
iii)0.1〜10モル%の、式5aまたは5bの少なくとも1つの成分:
【化10】

式中、Sは水素原子または−COOMもしくは−COOR、Tは−COOR、−W−R、−CO−[−NH−(CH)−]−W−R、−CO−O−(CH−W−R、一般式:
【化11】

の根基、または−(CH−V−(CH−CH=CH−R、あるいはSが−COORもしくは−COOM、Uが−CO−NHM−、−O−または−CHO、Uが−NH−CO−、−O−または−OCH、Vが−O−CO−C−CO−O−またはW、そしてWが、
【化12】

のとき、
は水素原子またはメチル根基、Rは3〜20の炭素原子を含む脂肪族炭化水素根基、5〜8の炭素原子を含む脂環式炭化水素根基、または6〜14の炭素原子を含むアリル根基であり、R=Rまたは
【化13】

であり、
=Rまたは
【化14】

であり、
rは2〜100、sは1または2、xは1〜150、yは0〜15そしてzは0〜4である;
iv)0〜90モル%の、式6a、6b、または6cの少なくとも1つの成分:
【化15】

ここで、Mは水素原子、一価または二価金属陽イオン、アンモニウムイオン、または有機アミン残基であり、aは1、またはMが二価金属陽イオンのときには、aは1/2;
ここでXは、−OM
−O−(C2mO)n−ただしRは水素原子、1〜20の炭素原子を含む脂肪族炭化水素根基、5〜8の炭素原子を含む脂環式炭化水素根基または任意選択でヒドロキシル、カルボキシル、C1−14アルキル、または6〜14の炭素原子を含むスルホン基置換アリル根基であり、mは2〜4、そしてnは0〜100である、
−NH−(C2mO)−R
−NHR、−N(Rまたはその混合物であり、ここでR=Rまたは−CO−NHである、そして
ここでYは酸素原子または−NRである;
k)以下を含む、ジカルボン酸誘導体とオキシアルキレングリコールエーテルとの共重合体:
i)1〜90モル%の、式7aおよび式7bの構造ユニットからなる群から選択される、少なくとも1種:
【化16】

ここで、MはH、一価金属陽イオン、二価金属陽イオン、アンモニウムイオン、または有機アミン、
aは、Mが二価金属陽イオンのときには1/2、またはMが一価金属陽イオンのときには1であり、
ここでRは、−OM、または
−O−(C2mO)−RただしRは水素原子、C1―20脂肪族炭化水素根基、C5−8脂環式炭化水素根基または任意選択で[−COOM、−(SO)M、および−(PO)Ma2]からなる群から選択される少なくとも1種によって置換されているC6−14アリルである、
mは2〜4、
nは0〜200であり、
ii)0.5〜80モル%の、式8の構造ユニット:
【化17】

ここで、RはHまたはC1−5脂肪族炭化水素、
pは0〜3、
は、H、C1−20脂肪族炭化水素、C5−8脂環式炭化水素、または[−COOM、(SO)M、および−(PO)Ma2]からなる群から選択される少なくとも1種によって置換されている、C6−14アリルであり、
mは2〜4、
nは1〜200;
iii)0.5〜80モル%の、式9aおよび式9bからなる群から選択される構造ユニット:
【化18】

ここで、RはH、任意選択で少なくとも1種のヒドロキシル基で置換されているC1−20脂肪族炭化水素、−(C2mO)−R、−CO−NH−R、C5−8脂環式炭化水素、または任意選択で[−COOM、−(SO)M、および−(PO)Ma2]からなる群から選択される少なくとも1つのメンバーによって置換されたC5−8アリルであり;
MはH、一価金属陽イオン、二価金属陽イオン、アンモニウムイオンまたは有機アミン;
aは、Mが二価金属陽イオンのときには1/2、Mが一価金属陽イオンのときには1であり、
はH、C1−20脂肪族炭化水素、C5−8脂環式炭化水素、または任意選択で[−COOM、−(SO)M、および−(PO)Ma2]からなる群から選択される少なくとも1種で置換されている、C6−14アリルであり、
mは2〜4、
nは1〜200である;
iv)1〜90モル%の、式10の構造ユニット:
【化19】

式中、Rはメチル基、またはメチレン基であり、Rは、Rと共に、1個または2個以上の5〜8員環を形成し、
はH、メチル、またはエチル、
は、H、C1−20脂肪族炭化水素、任意選択で[−COOM、−(SO)M、および−(PO)Ma2]からなる群から選択される少なくとも1種で置換されているC6−14アリル、C5−8脂環式炭化水素、−OCOR、−OR、または−COORであり、RはH、任意選択で少なくとも1つの−OHで置換されているC1−20脂肪族炭化水素、−(C2mO)−R、−CO−NH−R、C5−8脂環式炭化水素、または任意選択で[−COOM、−(SO)M、−(PO)Ma2]からなる群から選択される1種で置換されているC6−14アリル残基である。
【請求項33】
セメント材料を含有する請求項32の組成物を水と混合することを含む、セメント組成物の製造方法。
【請求項34】
アミン可溶化剤が酸によって活性化される、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
アミン可溶化剤をアルカリ性pHにおいて非活性化することをさらに含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
アミン可溶化剤が、合計で約8個〜約30個の炭素を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
アミン可溶化剤が、約30未満のエトキシレートユニットを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項38】
アミン可溶化剤が、約15未満のエトキシレートユニットを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項39】
セメント材料の乾燥重量を基準として、アミン可溶化剤が約0.0001%〜約0.2%の主活性成分量で存在し、不溶性脱泡剤が約0.0001%〜約0.1%の主活性成分量で存在し、セメント組成物用分散剤が0〜約2%の主活性成分量で存在し、酸が0〜約2%の主活性成分量で存在する、請求項33に記載の方法。
【請求項40】
セメント組成物用分散剤が、セメント材料の乾燥重量を基準として、約0.05%〜約0.5%主活性成分の量で存在する、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
セメント材料への添加前に、酸性媒体を、最初に水不溶性材料を可溶化することのできるアミン可溶化剤と、続いて水不溶性脱泡剤と、次いで任意選択で分散剤と混ぜ合わせることをさらに特徴とする、請求項33に記載の方法。
【請求項42】
セメント組成物への添加前に、水不溶性脱泡剤、該水不溶脱泡剤を可溶化することのできるアミン可溶化剤、および任意選択でセメント組成物用分散剤を、組み合わせて酸性媒体と混ぜ合わせることをさらに特徴とする、請求項33に記載の方法。
【請求項43】
アミン可溶化剤が、(モノ、ジ、またはトリ)アルキルアミン、(モノ、ジ、トリ、またはテトラ)アルキルエーテルアミン、アルコキシ化アミン、アルキルアミドアミン、アルキルイミダゾリン、アルキル(ジ、トリ、またはテトラ)アミン、アルキル(ジ、トリ、またはテトラ)エーテルアミン、アルコキシ化(ジまたはトリ)アミン、エトキシ化アルキルエーテルアミン、またはそれらの混合物の少なくとも1種である、請求項33に記載の方法。
【請求項44】
(モノ、ジ、またはトリ)アルキルアミンが、ジココアルキルアミン、トリドデシルアミン、オレイルジメチルアミン、水素添加タロージメチルアミン、オレイルアミン、タローアミン、またはそれらの混合物の少なくとも1種である、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
(モノ、ジ、トリ、またはテトラ)アルキルエーテルアミンが、デシルエーテルアミンもしくはテトラデシルエーテルアミン、またはその混合物の少なくとも1種である、請求項43に記載の組成物。
【請求項46】
アルコキシ化アミンが、エトキシ化(2)ココアルキルアミン、プロポキシ化(2)タローアルキルアミン、ビス(2−ヒドロキシエチル)オレイルアミン、ビス(2−ヒドロキシエチル)オクタデシルアミン、ポリオキシエチレン(3−15)タローアルキルアミン、ビス(2−ヒドロキシエチル)ココアルキルアミンもしくはN−オレイル−1,1−イミノビス−2−プロパノール、またはそれらの混合物の少なくとも1種である、請求項43に記載の方法。
【請求項47】
アルキルアミドアミンが、ラウラミドプロピルジメチルアミン、ステアラミドプロピルジメチルアミン、オレアミドプロピルジメチルアミン、またはその混合物の少なくとも1種である、請求項43に記載の方法。
【請求項48】
アルキルイミダゾリンが、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−(ヘプタデセニル)イミダゾリン、オレイルヒドロキシエチルイミダゾリン、ココアルキルヒドロキシエチルイミダゾリン、またはそれらの混合物の少なくとも1種である、請求項43に記載の方法。
【請求項49】
アルキル(ジ、トリ、またはテトラ)アミンが、オレイルジアミン、タローペンタミン、タローテトラミン、タロートリアミン、N−オレイル−1,3−ジアミノプロパン、トリス(2−ヒドロキシエチル)−N−タローアルキル−1,3−ジアミノプロパン、またはそれらの混合物の少なくとも1種である、請求項43に記載の方法。
【請求項50】
アルキル(ジ、トリ、またはテトラ)エーテルアミンが、イソトリデシルオキシプロピル−1,3−ジアミノプロパン、テトラデシルオキシプロピル−1,3−ジアミノプロパンまたはそれらの混合物の少なくとも1種である、請求項43に記載の方法。
【請求項51】
アルコキシ化(ジまたはトリ)アミンが、エトキシ化(3)N−タロー−1,3−ジアミノプロパンである、請求項43に記載の方法。
【請求項52】
水不溶性脱泡剤が、ミネラル油、植物油、脂肪酸エステル、エーテル化合物、ヒドロキシル官能性化合物、アルコール、リン酸エステル、シリコーン、ポリオキシアルキレン、プロピレンオキシド部分またはエチレンオキシド部分の少なくとも一方を含む重合体、炭化水素、またはアセチレン化合物の少なくとも1種である、請求項33に記載の方法。
【請求項53】
水不溶性脱泡剤が、ノニルフェノール、ポリプロピレンオキシド、リン酸トリイソブチル、灯油、液体パラフィン、動物油、植物油、ゴマ油、ヒマシ油、アルキレンオキシド、天然ワックス、線状または分枝状脂肪アルコール類およびそのアルコキシ化誘導体類、オクチルアルコール、ヘキサデシルアルコール、アセチレンアルコール、アセチレンアルコールアルコキシ化物類、グリコール類、ポリオキシアルキレングリコール、ポリオキシアルキレンアミド、アクリラートポリアミン、燐酸トリブチル、シリコーン油、シリコーンペースト、シリコーンエマルジョン、有機修飾ポリシロキサン、フルオロシリコーン油、およびポリオキシエチレンポリオキシプロピレン付加物類の少なくとも1種である、請求項33に記載の方法。
【請求項54】
セメントが、ポルトランドセメント、れんが用セメント、アルミナセメント、耐火セメント、マグネシアセメント、カルシウムスルホアルミネートセメント、油井セメント、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項33に記載の方法。
【請求項55】
セメント混和剤または添加剤をセメント組成物中に混合することをさらに含み、前記セメント混和剤または添加剤が、凝結促進剤、凝結抑制剤、空気排出剤、発泡剤、防湿混和剤、ポンピング支援剤、殺真菌混和剤、殺虫混和剤、殺菌混和剤、アルカリ活性減力剤、結合混和剤、腐食防止剤、ポゾラン類、クレー、顔料、または骨材の少なくとも1種である、請求項33に記載の方法。
【請求項56】
骨材が、シリカ、水晶、破砕丸大理石、ガラス球、花崗岩、石灰石、方解石、長石、沖積砂類、および砂の少なくとも1種である、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
ポゾランが、天然ポゾラン、フライアッシュ、シリカヒューム、蝦焼クレー、および高炉スラグの少なくとも1種である、請求項55に記載の方法。
【請求項58】
セメント材料の添加の前に、アミン可溶化剤が、安定なミセル性溶液を形成するのに十分な量で存在する、請求項33に記載の方法。
【請求項59】
水不溶性脱泡剤、該水不溶性脱泡剤を可溶化することのできるアミン可溶化剤、および任意選択でセメント組成物用分散剤を、単一溶液としてセメント材料に添加する、請求項33に記載の方法。
【請求項60】
セメント材料、水、水不溶性脱泡剤、該水不溶性脱泡剤を可溶化することのできるアミン可溶化剤、および任意選択でセメント組成物用分散剤を混合することを含む、セメント組成物の製造方法。
【請求項61】
アミン可溶化剤が酸によって活性化される、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
アミン可溶化剤が、アルカリ性pHにおいて非活性化される、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
アミン可溶化剤が、合計で約8個〜約30個の炭素を含む、請求項60に記載の方法。
【請求項64】
アミン可溶化剤が、約30未満のエトキシレートユニットを含む、請求項60に記載の方法。
【請求項65】
アミン可溶化剤が、約15未満のエトキシレートユニットを含む、請求項60に記載の方法。
【請求項66】
セメント材料の乾燥重量を基準として、アミン可溶化剤が約0.0001%〜約0.2%の主活性成分量で存在し、不溶性脱泡剤が約0.0001%〜約0.1%の主活性成分量で存在し、セメント組成物用分散剤が0〜約2%の主活性成分量で存在し、酸が0〜約2%の主活性成分量で存在する、請求項60に記載の方法。
【請求項67】
セメント組成物用分散剤が、セメント材料の乾燥重量を基準として、約0.05%〜約0.5%の主活性成分の量で存在する、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
セメント材料への添加前に、酸性媒体を、最初に水不溶性材料を可溶化することのできるアミン可溶化剤と、続いて水不溶性脱泡剤と、次いで任意選択で分散剤と混ぜ合わせることをさらに特徴とする、請求項60に記載の方法。
【請求項69】
セメント組成物への展開の前に、水不溶性脱泡剤、該水不溶脱泡剤を可溶化することのできるアミン可溶化剤、および任意選択でセメント組成物用分散剤を、組み合わせて酸性媒体と混ぜ合わせることをさらに特徴とする、請求項60に記載の方法。
【請求項70】
アミン可溶化剤が、(モノ、ジ、またはトリ)アルキルアミン、(モノ、ジ、トリ、またはテトラ)アルキルエーテルアミン、アルコキシ化アミン、アルキルアミドアミン、アルキルイミダゾリン、アルキル(ジ、トリ、またはテトラ)アミン、アルキル(ジ、トリ、またはテトラ)エーテルアミン、アルコキシ化(ジまたはトリ)アミン、エトキシ化アルキルエーテルアミン、またはそれらの混合物の少なくとも1種である、請求項60に記載の方法。
【請求項71】
(モノ、ジ、またはトリ)アルキルアミンが、ジココアルキルアミン、トリドデシルアミン、オレイルジメチルアミン、水素添加タロージメチルアミン、オレイルアミン、タローアミン、またはそれらの混合物の少なくとも1種である、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
(モノ、ジ、トリ、またはテトラ)アルキルエーテルアミンが、デシルエーテルアミンもしくはテトラデシルエーテルアミン、またはその混合物の少なくとも1種である、請求項70に記載の方法。
【請求項73】
アルコキシ化アミンは、エトキシ化(2)ココアルキルアミン、プロポキシ化(2)タローアルキルアミン、ビス(2−ヒドロキシエチル)オレイルアミン、ビス(2−ヒドロキシエチル)オクタデシルアミン、ポリオキシエチレン(3−15)タローアルキルアミン、ビス(2−ヒドロキシエチル)ココアルキルアミンもしくはN−オレイル−1,1−イミノビス−2−プロパノール、またはそれらの混合物の少なくとも1種である、請求項70に記載の方法。
【請求項74】
アルキルアミドアミンが、ラウラミドプロピルジメチルアミン、ステアラミドプロピルジメチルアミン、オレアミドプロピルジメチルアミン、またはその混合物の少なくとも1種である、請求項70に記載の方法。
【請求項75】
アルキルイミダゾリンが、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−(ヘプタデセニル)イミダゾリン、オレイルヒドロキシエチルイミダゾリン、ココアルキルヒドロキシエチルイミダゾリン、またはそれらの混合物の少なくとも1種である、請求項70に記載の方法。
【請求項76】
アルキル(ジ、トリ、またはテトラ)アミンが、オレイルジアミン、タローペンタミン、タローテトラミン、タロートリアミン、N−オレイル−1,3−ジアミノプロパン、トリス(2−ヒドロキシエチル)−N−タローアルキル−1,3−ジアミノプロパン、またはそれらの混合物の少なくとも1種である、請求項70に記載の方法。
【請求項77】
アルキル(ジ、トリ、またはテトラ)エーテルアミンが、イソトリデシルオキシプロピル−1,3−ジアミノプロパン、テトラデシルオキシプロピル−1,3−ジアミノプロパンまたはそれらの混合物の少なくとも1種である、請求項70に記載の方法。
【請求項78】
アルコキシ化(ジまたはトリ)アミンが、エトキシ化(3)N−タロー−1,3−ジアミノプロパンである、請求項70に記載の方法。
【請求項79】
水不溶性脱泡剤が、ミネラル油、植物油、脂肪酸エステル、エーテル化合物、ヒドロキシル官能性化合物、アルコール、リン酸エステル、シリコーン、ポリオキシアルキレン、プロピレンオキシド部分またはエチレンオキシド部分の少なくとも一方を含む重合体、炭化水素、またはアセチレン化合物の少なくとも1種である、請求項60に記載の方法。
【請求項80】
水不溶性脱泡剤が、ノニルフェノール、ポリプロピレンオキシド、リン酸トリイソブチル、灯油、液体パラフィン、動物油、植物油、ゴマ油、ヒマシ油、アルキレンオキシド、天然ワックス、線状または分枝状脂肪アルコール類およびそのアルコキシ化誘導体類、オクチルアルコール、ヘキサデシルアルコール、アセチレンアルコール、アセチレンアルコールアルコキシ化物類、グリコール類、ポリオキシアルキレングリコール、ポリオキシアルキレンアミド、アクリラートポリアミン、燐酸トリブチル、シリコーン油、シリコーンペースト、シリコーンエマルジョン、有機修飾ポリシロキサン、フルオロシリコーン油、およびポリオキシエチレンポリオキシプロピレン付加物類の少なくとも1種である、請求項60に記載の方法。
【請求項81】
セメントが、ポルトランドセメント、れんが用セメント、アルミナセメント、耐火セメント、マグネシアセメント、カルシウムスルホアルミネートセメント、油井セメント、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項60に記載の方法。
【請求項82】
セメント混和剤または添加剤をセメント組成物中に混合することをさらに含み、前記セメント混和剤または添加剤が、凝結促進剤、凝結抑制剤、空気排出剤、発泡剤、防湿混和剤、ポンピング支援剤、殺真菌混和剤、殺虫混和剤、殺菌混和剤、アルカリ活性減力剤、結合混和剤、腐食防止剤、ポゾラン類、クレー、顔料、または骨材の少なくとも1種である、請求項60に記載の方法。
【請求項83】
骨材が、シリカ、水晶、破砕丸大理石、ガラス球、花崗岩、石灰石、方解石、長石、沖積砂類、および砂の少なくとも1種である、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
ポゾランが、天然ポゾラン、フライアッシュ、シリカヒューム、蝦焼クレー、および高炉スラグの少なくとも1種である、請求項82に記載の方法。
【請求項85】
セメント材料の添加の前に、アミン可溶化剤が、安定なミセル性溶液を形成するのに十分な量で存在する、請求項60に記載の方法。
【請求項86】
水不溶性脱泡剤、該水不溶性脱泡剤を可溶化することのできるアミン可溶化剤、および任意選択でセメント組成物用分散剤を、単一溶液としてセメント材料に添加する、請求項60に記載の方法。

【公表番号】特表2006−511418(P2006−511418A)
【公表日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−561153(P2004−561153)
【出願日】平成15年10月28日(2003.10.28)
【国際出願番号】PCT/EP2003/012177
【国際公開番号】WO2004/056445
【国際公開日】平成16年7月8日(2004.7.8)
【出願人】(503343336)コンストラクション リサーチ アンド テクノロジー ゲーエムベーハー (139)
【Fターム(参考)】