説明

セラミックグリーンシートの製造方法及びセラミック電子部品の製造方法

【課題】 表面に離型処理が施された基材上に微細な導体パターン部を形成できるセラミックグリーンシートの製造方法及びセラミック電子部品の製造方法を提供すること。
【解決手段】 本実施形態のセラミックグリーンシートの製造方法は、基材上に、導電材料又はセラミック材料からなる下地層を形成する工程、下地層上に導電材料又はセラミック材料からなる上地層を形成する工程、上地層の所定部分に露光を施す工程、所定の溶媒を用いて、上地層を現像するとともに、下地層をエッチングする工程、基材上に、並びに、絶縁層を形成する工程を含んでいる。そして、この方法においては、下地層を形成する材料の平均粒径d1と、上地層を形成する材料の平均粒径d2とが、下記式(1)に示す関係を満たしている。
d2>d1 …(1)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミックグリーンシートの製造方法及びセラミック電子部品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
セラミックコンデンサ等のセラミック電子部品を製造するためには、セラミック材料からなる薄膜に導体パターン等が内蔵された形態のセラミックグリーンシートが用いられる。セラミックグリーンシートは、通常、所定の基材上に設けられるが、セラミック電子部品は、例えば、このセラミックグリーンシートを基材から剥離した後、転写、積層することによって製造される。この場合、セラミックグリーンシートの基材からの剥離を容易化するために、通常、表面に離型処理が施された基材が用いられる。
【0003】
また、セラミックグリーンシートの製造方法として、例えば特許文献1に記載されている方法が知られている。この方法では、まず、支持体の表面に感光性導電性ペーストを塗布し、乾燥させて支持体上に感光性導電膜を形成する。次に、この感光性導電膜にマスクを介して紫外線等の光線を照射する。続いて、現像液を用いて感光性導電膜を現像する。これにより、支持体上に所定の形状の導体パターンが形成される。さらに、支持体の表面に、導体パターンを覆うように絶縁体層を形成する。
【特許文献1】特開2003−168617号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されているセラミックグリーンシートの製造方法では、現像の際に微細な導体パターンが支持体から剥離してしまう。特に、近年では導体パターンの微細化が顕著であるため、上記方法では微細な導体パターンを支持体上に形成することは困難である。また、表面に離型処理が施された基材上に微細な導体パターン部を形成することは一段と困難である。
【0005】
そこで、本発明は、表面に離型処理が施された基材上に微細なパターンを形成できるセラミックグリーンシートの製造方法及びセラミック電子部品の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明のセラミックグリーンシートの製造方法は、表面に離型処理が施された基材上に、所定の溶媒に対して可溶性を有する第1の導電材料からなる下地層を形成する工程と、下地層上に、感光性を有する第2の導電材料からなる上地層を形成する工程と、上地層の所定部分に露光を施す工程と、所定の溶媒を用い、上地層を現像して第1の導体パターン部を形成するとともに、下地層をエッチングして第2の導体パターン部を形成する工程と、基材上に絶縁層を形成する工程とを備え、第1の導電材料の平均粒径d1と、第2の導電材料の平均粒径d2とは、下記式(1)に示す関係を満たしていることを特徴とする。
d2>d1 …(1)
【0007】
また、本発明の他のセラミックグリーンシートの製造方法は、表面に離型処理が施された基材上に、所定の溶媒に対して可溶性を有するセラミック材料からなる下地層を形成する工程と、下地層上に、感光性を有する導電材料からなる上地層を形成する工程と、上地層の所定部分に露光を施す工程と、所定の溶媒を用い、上地層を現像して導体パターン部を形成するとともに、下地層をエッチングしてセラミックパターン部を形成する工程と、基材上に絶縁層を形成する工程とを備え、セラミック材料の平均粒径d1と、導電材料の平均粒径d2とは、下記式(1)に示す関係を満たしていることを特徴とする。
d2>d1 …(1)
【0008】
さらに、本発明の他のセラミックグリーンシートの製造方法は、表面に離型処理が施された基材上に、所定の溶媒に対して可溶性を有する導電材料からなる下地層を形成する工程と、下地層上に、感光性を有するセラミック材料からなる上地層を形成する工程と、上地層の所定部分に露光を施す工程と、所定の溶媒を用い、上地層を現像してセラミックパターン部を形成するとともに、下地層をエッチングして導体パターン部を形成する工程と、基材上に絶縁層を形成する工程とを備え、導電材料の平均粒径d1と、セラミック材料の平均粒径d2とは、下記式(1)に示す関係を満たしていることを特徴とする。
d2>d1 …(1)
【0009】
さらにまた、本発明の他のセラミックグリーンシートの製造方法は、表面に離型処理が施された基材上に、所定の溶媒に対して可溶性を有する第1のセラミック材料からなる下地層を形成する工程と、下地層上に、感光性を有する第2のセラミック材料からなる上地層を形成する工程と、上地層の所定部分に露光を施す工程と、所定の溶媒を用い、上地層を現像して第1のセラミックパターン部を形成するとともに、下地層をエッチングして第2のセラミックパターン部を形成する工程と、基材上に絶縁層を形成する工程とを備え、第1のセラミック材料の平均粒径d1と、第2のセラミック材料の平均粒径d2とは、下記式(1)に示す関係を満たしていることを特徴とする。
d2>d1 …(1)
【0010】
ここで、上述した「導電材料の平均粒径」とは、当該材料中に含まれる導電成分の粉末の平均粒径をいい、例えば、導電材料が金属粉末、バインダー、有機溶剤等を含むペーストやスラリーである場合、これに含まれる金属粉末の平均粒径が、「導電材料の平均粒径」に該当する。「セラミック材料の平均粒径」も同様に、当該材料中に含まれるセラミック粉末の平均粒径をいい、例えば、セラミック材料がセラミック粉末、バインダー、溶剤等を含むペーストやスラリーである場合、これに含まれるセラミック粉末の平均粒径が、「セラミック材料の平均粒径」に該当する。
【0011】
表面に離型処理が施された基材上に導体パターン部やセラミックパターン部等の微細なパターン部を直接形成すると、これらのパターン部は基材から剥離し易くなる。これに対して、本発明のセラミックグリーンシートの製造方法では、基材上に導電材料又はセラミック材料からなる下地層を形成した後、導電材料又はセラミック材料からなる上地層を形成し、この上地層を現像することによって導体パターン部を形成している。このため、上地層から形成される導体パターン部又はセラミックパターンが微細化しても基材から剥離し難い。
【0012】
また、通常、基材上の所定の層に対してパターン形成を行う場合には、当該層を構成する粒子が粗いほうが現像の際の除去が容易であり、微細なパターン形成に有利であるが、この場合、かかる層の基材に対する密着性が低下する傾向にある。これに対し、本発明のセラミックグリーンシートの製造方法においては、上地層を構成している導電材料又はセラミック材料として、下地層を構成しているこれらの材料よりも平均粒径が大きいものを用いている。こうすることで、上地層は、現像に有利な粗い粒子により構成される場合であっても、より細かい粒子からなる下地層を介して基材に良好に接着されることとなる。したがって、上地層から形成される導体パターン部又はセラミックパターン部は、微細化が容易であり、しかも、微細化した場合であっても基材から剥離し難いものとなる。
【0013】
これらのセラミックグリーンシートの製造方法においては、下地層の厚さt1と、上地層の厚さt2とは、下記式(2)に示す関係を満たしているとより好ましい。すなわち、下地層の厚さt1が、上地層の厚さt2以下であると好ましい。
t2≧t1 …(2)
【0014】
こうすれば、下地層を除去するためのエッチングの条件(上記所定の溶液の濃度、エッチング時間等)を緩くした場合であっても、下地層を良好に除去することができる。これにより、上地層から形成される導体パターン部やセラミックパターン部のエッチングによるダメージが大幅に軽減され、その結果、これらのパターン部を更に良好に形成することが可能となる。
【0015】
また、本発明のセラミック電子部品の製造方法は、上記セラミックグリーンシートの製造方法により製造されるセラミックグリーンシートを焼成する焼成工程を含むことを特徴とする。なお、焼成の工程では、上記セラミックグリーンシートの製造方法により製造されるセラミックグリーンシートと、上記セラミックグリーンシートの製造方法以外の製造方法により製造されるセラミックグリーンシートとを組み合わせて焼成するとしてもよい。このようなセラミック電子部品の製造方法においては、上記本発明の製造方法により得られたセラミックグリーンシートを用いているため、微細な導体パターン部又はセラミックパターン部を有するセラミック電子部品を得ることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、表面に離型処理が施された基材上に微細な導体パターン部を形成できるセラミックグリーンシートの製造方法及びセラミック電子部品の製造方法を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の好適な実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。なお、全図を通じ、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
[セラミックグリーンシートの製造方法]
【0018】
(第1実施形態)
図1(a)〜図1(f)は、セラミックグリーンシートの製造方法の第1実施形態を模式的に示す工程断面図である。
【0019】
まず、図1(a)に示されるように、基材1の表面1aに離型処理を施す。これにより、基材1の表面1a上には離型層3が形成される。
【0020】
基材1は、板状又はフィルム状であり、例えば、PETフィルムが挙げられる。基材1の厚さは、25〜100μm程度であると好ましく、50μm程度であるとより好ましい。離型処理では、まず、例えば付加反応型のシリコーン樹脂材料を、トルエン又はメチルエチルケトン等の溶媒に加え、得られた溶液をバーコード法、グラビアコート法、ドクターブレードコート法等により基材1の表面1a上に塗布する。
【0021】
その後、溶液が塗布された基材1に対し、例えば150℃で30秒間、加熱による乾燥処理を行う。これにより、付加反応型のシリコーン樹脂材料が付加重合すると共に、溶媒が除去される。このようにして、例えば厚さ0.01〜0.1μm程度の離型層3を形成する。なお、用いるシリコーン樹脂材料の種類や使用量等を変えることによって離型層3の性能(離型性)を調整することもできる。
【0022】
次に、図1(b)に示されるように、基材1における離型層3上に、所定の溶媒に対して可溶性を有する導電材料(第1の導電材料)からなる導体層5a(下地層)を形成する。この場合、導体層5aの厚さは、乾燥後の厚さが0.8〜25μmとなるようにすることが好ましい。所定の溶媒に対して可溶性を有する導電材料とは、導電成分の粉末を含むとともに、上記所定の溶媒に対して可溶性を有する混合材料である。この場合、導電成分の粉末の平均粒径は、0.2〜2.5μmであると好ましい。
【0023】
上記導電材料としては、例えば、後述の第1の導体パターン部を形成する工程で用いるエッチング液に対して可溶性を有するバインダー樹脂材料を含有するものが好ましい。エッチング液としては、例えば、アルカリ溶液、アルカリ水溶液、有機溶剤系エッチング液、水系エッチング液等が例示できる。また、これらに溶解可能なバインダー樹脂としては、例えば、アルカリ可溶性セルロース誘導体、アルカリ可溶性アクリル樹脂等を主体とするベースポリマーが挙げられる。
【0024】
第1の導電材料としては、バインダー樹脂に加えて、導電成分の粉末である金属粉末(例えば、Ag、Ni、Pd、Cu又はAg−Pd等の合金等の金属粒子からなる粉末)及び有機溶剤等を更に含有する導電ペーストであることが好ましい。かかる導電材料は、例えば電極材料であり、セラミック電子部品等において導体層5aは電極層となる。
【0025】
この導体層5aは、例えば、以下のようにして形成することができる。すなわち、まず、塗布コーター(例えばドクターブレードを備えたコーター)等を用いて、ペースト状又はスラリー状の導電材料を離型層3上に塗布する。
【0026】
また、導体層5aは、印刷機を用い、ペースト状又はスラリー状の導電材料を離型層3上にパターン印刷することによって、基材1の表面1a上に部分的に形成してもよい。この場合、基材1の表面1aの全面に導体層5aを形成する場合に比べて、導電材料の使用量を抑制することができる。さらに、後述する導体パターン部13の形成工程におけるエッチング液の使用量、処理時間等を少なくできる。よって、例えば高価な導電材料やエッチング液を用いる場合には、セラミックグリーンシートの製造コストを低減できる。続いて、加熱等による乾燥処理を行うことにより、導電材料中の溶剤成分を除去する。
【0027】
次に、図1(c)に示されるように、導体層5a上に、感光性導電材料(第2の導電材料)からなる導体層13a(上地層)を形成する。導体層13aの厚さは、乾燥後の厚さが1.5〜50μmとなるようにすることが好ましい。この感光性導電材料は、導電成分の粉末を含み、上記所定の溶媒に対して可溶性を有するとともに感光性を有する混合材料である。導電成分の粉末の平均粒径は、0.3〜3.0μmであると好ましい。かかる感光性導電材料は、上記所定の溶媒に対して可溶性を有しているが、所定の活性光線を照射されると硬化して、同じ溶媒に対して不溶性となる。
【0028】
導体層13aは、導体層5a上に部分的に形成してもよく、全面に形成してもよい。ただし、後述する導体パターン部13の基材1からの剥離を低減する観点からは、導体層5aは、導体層13aよりも広い面積にわたって形成されることが好ましい。この感光性導電材料は、例えば感光性電極材料であり、セラミック電子部品等において、導体層13aは電極層となる。
【0029】
感光性導電材料としては、例えば、後述の導体パターン部を形成する工程で用いる溶媒(現像液又はエッチング液)に対して可溶性を有するネガ型の感光性バインダー樹脂材料を含有するものが挙げられる。溶媒としては、例えば、アルカリ溶液、アルカリ水溶液、有機溶剤系溶媒、水系溶媒等が挙げられる。また、ネガ型の感光性バインダー樹脂材料は、例えば、紫外線の照射により架橋重合するポリマー又はモノマー、及び重合開始剤等を含有する。
【0030】
本実施形態においては、感光性導電材料は、ネガ型の感光性バインダー樹脂材料に加えて、金属粉末(例えば、Ag、Ni、Pd、Cu又はAg−Pd等の合金等の金属粒子からなる粉末)及び有機溶剤等を更に含有する感光性導電ペーストであることが好ましい。
【0031】
この導体層13aは、例えば、ペースト状又はスラリー状の感光性導電材料を導体層5aの全面に塗布するか、または、導体層5aの所定の部分にパターン印刷することにより形成することができる。そして、このような塗布又は印刷後、加熱等による乾燥処理を行うことにより、感光性導電材料中の溶剤成分を除去して、導体層13aが形成される。なお、加熱により感光性導電材料の感光性能を変化又は発現させることもできる。こうして形成される導体層13aの厚さは、1.5〜50μmであると好ましい。
【0032】
ここで、本実施形態においては、導体層5aを形成するための第1の導電材料の平均粒径d1と、導体層13aを形成するための第2の導電材料の平均粒径d2とは、下記式(1)に示す関係を満たしている。
d2>d1 …(1)
【0033】
つまり、第1の導電材料の平均粒径d1は、第2の導電材料の平均粒径d2よりも小さくなっている。こうすることで、導体層5aは、導体層13aよりも緻密な構造を有するようになり、基材1に対する密着性に優れるものとなる。これにより、導体層13aは、後述する現像において有利となるように比較的粗い粒子で構成された場合であっても、基材1に対し、導体層5aを介して良好に接着される。
【0034】
このような効果をより良好に得る観点からは、上述した平均粒径d1及びd2は、次のような関係を満たしているとより好ましい。すなわち、d2/d1が、1.1〜15.0であると好ましく、1.5〜15.0であるとより好ましく、3.0〜15.0であると更に好ましい。
【0035】
また、好適な場合、導体層5aの厚さt1と、導体層13aの厚さt2とは、下記式(2)に示す関係を満たしている。
t2≧t1 …(2)
【0036】
つまり、導体層5aの厚さt1は、導体層13aの厚さt2以下となっている。このような構成とすることで、後述の現像及びエッチングにおいて、例えば、現像液の濃度を薄くしたり、また、現像時間を短くしたり等、現像の条件を緩くした場合であっても、導体層5aのパターニングが容易に行える。このため、現像やエッチングによる導体層13aの損傷等が極めて生じ難くなり、その結果、微細なパターンを有する導体層5aや導体層13aを形成する場合であっても、良好なパターン形成が可能となる。
【0037】
このような効果をより良好に得る観点からは、上述した厚さt1及びt2は、次に示すような関係を満たしているとより好ましい。すなわち、t2/t1が、1.0〜62.5であると好ましく、2.0〜62.5であるとより好ましく、4.0〜62.5であると更に好ましい。
【0038】
こうして、基材1上に導体層5a及び導体層13aを形成した後、図1(d)に示されるように、導体層13aの所定部分13bに露光を施す。本実施形態では、所定のパターン形状を有する光透過部11aと、光透過部11aを取り囲む遮光部11bとを有するマスク11を用いて、導体層13aに紫外線等の活性光線Lを照射する。紫外線は、例えば高圧水銀灯から出射される。
【0039】
導体層13aに照射する活性光線Lとしては、波長が365nmの光(i線)、波長が405nmの光(h線)、波長が436nmの光(g線)、又はこれらの混合光等が挙げられる。また、連続した波長帯を有する光を導体層13aに照射してもよい。
【0040】
露光法としては、密着露光法、プロキシミティ露光法、プロジェクション露光法等が挙げられる。露光量は、導体層13aに含まれる感光性導電材料の感光性能、導体層13aの厚さ(高さ)等に応じて適宜調整され、例えば数百〜数千mJ/cmである。また、所望の解像度を得るために、後述の現像処理条件と露光量とを適宜設定することができる。
【0041】
マスク11としては、例えばガラスマスク、フィルムマスク等が挙げられる。なお、露光は、マスク11を用いずに、導体層13aの所定部分13bにレーザ光を選択的に照射することにより行ってもよい。このようにレーザ光を照射する際には、レーザ描画装置を好適に用いることができる。
【0042】
次に、図1(e)に示されるように、所定の溶媒を用いて、導体層13aを現像することにより導体パターン部13(第1の導体パターン)を形成すると共に、導体層13aをマスクとして導体層5aをエッチングして導体パターン部5(第2の導体パターン)を形成する。これにより、本実施形態では、導体パターン部5,13は、マスク11の光透過部11aに対応するパターン形状を有するようになる。
【0043】
かかる工程において、溶媒は、現像液及びエッチング液として機能する。露光が施された導体層13aの所定部分13bは、感光性導電材料が架橋重合することにより、溶媒(現像液)に対して不溶となっている。一方、露光が施されていない導体層13aの部分では、感光性導電材料が架橋重合せず、溶媒(現像液)に可溶となっている。したがって、現像においては、導体層13aの未露光部(所定部分13b以外)が除去されることになる。
【0044】
上記溶媒としては、例えば、アルカリ溶液、アルカリ水溶液、有機溶剤系溶媒、水系溶媒等が挙げられる。溶媒は、第1の導電材料及び第2の導電材料に含まれるバインダー樹脂材料との相溶性を考慮して選択することが好ましい。一例として、溶媒としては、NaCOの1質量%水溶液が挙げられる。この場合、まず、溶媒をスプレー圧0.01〜0.3MPaで数十秒〜数分間、導体層5a及び導体層13aに吹き付ける。続いて、純水をスプレー圧0.01〜0.3MPaで数十秒〜数分間、導体層5a及び導体層13aに吹き付ける。これにより、例えば、感光性導電材料に含まれる感光性樹脂側鎖等にあるカルボキシル基における水素原子(H)が、溶媒中のナトリウム原子(Na)と置換されることにより、架橋重合していない部分がOHの存在下で溶解される。
【0045】
次に、図1(f)に示されるように、基材1上における導体パターン部5,13が形成されていない領域上に、絶縁層9を形成する。これにより、絶縁材料からなる層(絶縁層9)中に導体パターン部(導体パターン部5,13)が内蔵された形状を有するセラミックグリーンシート10が、基材1の離型層3上に形成される。その後、基材1を剥離してもよい。絶縁層9の構成材料としては、セラミック材料や、フェライト等の磁性材料が挙げられる。
【0046】
以上説明した第1実施形態の製造方法により得られたセラミックグリーンシート10は、例えば、コンデンサ、インダクタ、配線基板等の製造に好適である。
【0047】
すなわち、コンデンサは、例えば、セラミックグリーンシート10と、絶縁性を有する層とを交互に積層することにより製造することができる。また、インダクタは、セラミックグリーンシート10を順次積層することにより製造可能である。かかるインダクタの製造においては、各セラミックグリーンシート10の導体パターン部(導体パターン部5,13)は、積層によってコイルパターンを構成し得る形状を有するようにする。
【0048】
さらに、配線基板は、セラミックグリーンシート10における導体パターン部(導体パターン部5,13)を所望の配線形状とすることで形成可能である。また、こうして得られた配線基板間に、スルーホールとして機能する導体パターン部(導体パターン部5,13)を有するセラミックグリーンシート10を更に挟むことによって、多層基板を形成することもできる。
【0049】
(第2実施形態)
図2(a)〜(f)は、セラミックグリーンシートの製造方法の第2実施形態を模式的に示す工程断面図である。
【0050】
まず、図2(a)に示されるように、上述した第1実施形態と同様にして基材1の表面1aに離型処理を施し、離型層3を形成する。
【0051】
次に、図2(b)に示されるように、基材1における離型層3上に、所定の溶媒に対して可溶性を有するセラミック材料からなるセラミック層105a(下地層)を形成する。かかるセラミック層105aには、表裏面を貫通するスルーホールを設けてもよい。セラミック層105aの厚さは、乾燥後の厚さが0.8〜25μmとなるようにすることが好ましい。ここで、所定の溶媒に対して可溶性を有するセラミック材料とは、セラミック粉末を含むとともに、上記所定の溶媒に対して可溶性を有する混合材料である。ここで、セラミック材料としては、いわゆるフェライト材料を用いてもよい。これらのセラミック粉末の平均粒径は、0.2〜2.5μmであると好ましい。
【0052】
上記セラミック材料としては、例えば、後述の導体パターン部113を形成する工程で用いるエッチング液(所定の溶媒)に対して可溶性を有するバインダー樹脂材料を含有するものが好ましい。エッチング液としては、例えば、アルカリ溶液、アルカリ水溶液、有機溶剤系エッチング液、水系エッチング液等が挙げられる。これらに溶解可能なバインダー樹脂としては、例えば、アルカリ可溶性セルロース誘導体、アルカリ可溶性アクリル樹脂等を主体とするベースポリマーが挙げられる。また、バインダー樹脂として、光重合開始剤を含有しないフォトレジスト(例えばベースポリマー、モノマー、レジン等)を用いてもよい。
【0053】
本実施形態において、セラミック材料は、上記バインダー樹脂材料に加えて、セラミック粉末及び有機溶剤等を更に含有するセラミックペースト又はセラミックスラリーであるとより好ましい。
【0054】
セラミック層105aは、例えば以下のようにして形成することができる。すなわち、まず、塗布コーター(例えばドクターブレードを備えたコーター)を用いて、ペースト状又はスラリー状のセラミック材料を離型層3上に塗布する。なお、塗布コーターに代え、印刷機を用いて、ペースト状又はスラリー状のセラミック材料を離型層3上にパターン印刷してもよい。このように塗布又は印刷を行った後、加熱による乾燥処理を行うことにより、セラミック材料中の溶剤成分を除去する。
【0055】
後者のように印刷を行う場合、基材1における表面1aの全面にセラミック層105aを形成したときに比べて、セラミック材料の使用量を抑制することができる。さらに、後述の導体パターン部113を形成する工程におけるエッチング液の使用量、処理時間等を少なくできる。よって、例えば高価なセラミック材料やエッチング液を用いる場合には、セラミックグリーンシートの製造コストを低減できる。
【0056】
次に、図2(c)に示されるように、セラミック層105a上に、感光性導電材料からなる導体層113a(上地層)を形成する。導体層113aの厚さは、乾燥後の厚さが1.5〜50μmとなるようにすることが好ましい。感光性導電材料としては、上述した第1実施形態と同様のものが適用でき、これを塗布又は印刷することにより導体層113aを形成可能である。この場合、感光性導電材料に含まれる導電成分の粉末の平均粒径は、0.3〜3μmであると好ましい。
【0057】
ここで、本実施形態においては、セラミック層105aを形成するためのセラミック材料の平均粒径d1と、導体層113aを形成するための感光性導電材料の平均粒径d2とは、下記式(1)に示す関係を満たしている。つまり、セラミック材料の平均粒径d1は、感光性導電材料の平均粒径d2よりも小さくなっている。これにより、導体層113aは、比較的粗い粒子から形成される場合であっても、セラミック層105aを介して基材1に良好に接着された状態となる。
d2>d1 …(1)
【0058】
特に、d1とd2とは、d2/d1が、好ましくは1.1〜15.0、より好ましくは1.5〜15.0、更に好ましくは3.0〜15.0である関係を満たしていると、上記効果がより良好に得られる傾向にある。
【0059】
また、セラミック層105aの厚さt1と、導体層113aの厚さt2とは、下記式(2)に示す関係を満たしている。つまり、セラミック層105aの厚さt1は、導体層113aの厚さt2以下となっている。こうすることで、更に良好にパターン形成を行うことが可能となる。
t2≧t1 …(2)
【0060】
特に、t1とt2とは、t2/t1が、好ましくは1.0〜62.5、より好ましくは2.0〜62.5、更に好ましくは4.0〜62.5である関係を満たしていると、上記効果がより良好に得られる傾向にある。
【0061】
次に、図2(d)に示されるように、導体層113aの所定部分113bに露光を施す。露光は、上記第1実施形態と同様に、所定のパターン形状を有する光透過部11aと、光透過部11aを取り囲む遮光部11bとを有するマスク11を用いて、導体層113aに紫外線等の活性光線Lを照射することにより行うことができる。
【0062】
続いて、図2(e)に示されるように、所定の溶媒を用いて、導体層113aを現像することにより導体パターン部113を形成すると共に、この導体パターン部113をマスクとして、セラミック層105aをエッチングしてセラミックパターン部105を形成する。本実施形態では、セラミックパターン部105及び導体パターン部113は、マスク11の光透過部11aに対応するパターン形状を有するようになる。所定の溶媒の種類や現像条件等は、上述した第1実施形態と同様のものが採用できる。
【0063】
そして、図2(f)に示されるように、基材1上におけるセラミックパターン部105及び導体パターン部113が形成されていない領域上に、絶縁層109を形成する。これにより、絶縁材料からなる層(絶縁層109)中にセラミックパターン部105及び導体パターン部113が内蔵された形状を有するセラミックグリーンシート110が、基材1の離型層3上に形成される。その後、基材1を剥離してもよい。絶縁層109の構成材料としては、セラミック材料や、フェライト等の磁性材料が挙げられる。
【0064】
以上説明した第2実施形態の製造方法により得られたセラミックグリーンシート110は、例えば、コンデンサ、インダクタ、配線基板等の製造に好適である。
【0065】
すなわち、コンデンサは、例えば、セラミックグリーンシート110を複数積層することにより製造することができる。この場合、必要に応じて層間に絶縁性を有する層を挟んでもよい。
【0066】
また、インダクタは、セラミックパターン部105の一部にスルーホールを設けたセラミックグリーンシート110を複数積層することによって製造可能である。かかるインダクタの製造においては、セラミックパターン部105のスルーホールと導体パターン部113とが順次積層されることによってコイル状パターンが形成される。
【0067】
さらに、配線基板は、セラミックグリーンシート110における導体パターン部113を所望の配線形状とすることで形成可能である。また、こうして得られた配線基板を複数積層することによって多層基板を形成することもできる。この際、セラミックパターン部105の一部には、スルーホールが形成されていてもよい。
【0068】
(第3実施形態)
図3(a)〜(f)は、セラミックグリーンシートの製造方法の第3実施形態を模式的に示す工程断面図である。
【0069】
まず、図3(a)に示されるように、上述した第1実施形態と同様にして基材1の表面1aに離型処理を施し、離型層3を形成する。
【0070】
次に、図3(b)に示されるように、基材1における離型層3上に、所定の溶媒に対して可溶性を有する導電材料からなる導体層205a(下地層)を形成する。導体層205aの厚さは、乾燥後の厚さが、0.8〜25μmとなるようにすることが好ましい。所定の溶媒に対して可溶性を有する導電材料としては、上記第1実施形態で示したのと同様のものが例示できる。この場合、導電材料に含まれる導電成分の粉末の平均粒径は、0.2〜2.5μmであると好ましい。この導電材料を、基材1の表面1aの前面に塗布するか、又は、所定の部分にパターン印刷することによって、導体層205aを形成し得る。
【0071】
続いて、図3(c)に示されるように、導体層205a上に、感光性セラミック材料からなるセラミック層213a(上地層)を形成する。セラミック層213aの厚さは、乾燥後の厚さが、1.5〜50μmとなるようにすることが好ましい。感光性セラミック材料は、セラミック粉末を含み、上記所定の溶媒に対して可溶性を有するとともに感光性を有する混合材料である。この場合、セラミック粉末の平均粒径は、0.3〜3μmであると好ましい。感光性セラミック材料は、上述した所定の溶媒に対して可溶性を有するが、所定の活性光線を照射されると硬化して、同じ溶媒に対して不溶性となる。
【0072】
このような感光性セラミック材料としては、例えば、後述のセラミックパターン部213を形成する工程において用いられる溶媒(現像液又はエッチング液)に対して可溶性を有するネガ型の感光性バインダー樹脂材料を含有するものが挙げられる。溶媒としては、例えば、アルカリ溶液、アルカリ水溶液、有機溶剤系溶媒、水系溶媒等が挙げられる。ネガ型の感光性バインダー樹脂材料は、例えば、紫外線の照射により架橋重合するポリマー又はモノマー、及び、重合開始剤等を含有する。
【0073】
本実施形態において、感光性セラミック材料としては、ネガ型の感光性バインダー樹脂材料に加えて、セラミック粉末(例えば、BaTiO、TiO等の誘電体セラミック材料;αアルミナ等の絶縁セラミック材料;Mn−Zn系フェライト、Ni−Zn系フェライト等の磁性セラミック材料;B、SiO、Al等を含むガラスセラミック材料等の原料粉末、又はこれらの原料粉末が必要に応じて混合された混合粉末等が挙げられる)及び有機溶剤等を更に含有するセラミックペーストであることが好ましい。
【0074】
セラミック層213aは、例えば、ペーストやスラリー状の感光性セラミック材料を、導体層205aの全面に塗布するか、又は、導体層205aの所定部分にパターン印刷した後、加熱等による乾燥処理を行い、感光性セラミック材料中の溶剤成分を除去することにより形成可能である。また、加熱により感光性セラミック材料の感光性能を変化又は発現させてもよい。
【0075】
ここで、本実施形態においては、導体層205aを形成するための導電材料の平均粒径d1と、セラミック層213aを形成するための感光性セラミック材料の平均粒径d2とは、下記式(1)に示す関係を満たしている。つまり、導電材料の平均粒径d1は、感光性セラミック材料の平均粒径d2よりも小さくなっている。これにより、セラミック層213aは、比較的粗い粒子から形成される場合であっても、導体層205aを介して基材1に良好に接着された状態となる。
d2>d1 …(1)
【0076】
特に、d1とd2とは、d2/d1が、好ましくは1.1〜15.0、より好ましくは1.5〜15.0、更に好ましくは3.0〜15.0である関係を満たしていると、上記効果がより良好に得られる傾向にある。
【0077】
また、導体層205aの厚さt1と、セラミック層213aの厚さt2とは、下記式(2)に示す関係を満たしている。つまり、導体層205aの厚さt1は、セラミック層213aの厚さt2以下となっている。こうすることで、更に良好にパターン形成を行うことが可能となる。
t2≧t1 …(2)
【0078】
特に、t1とt2とは、t2/t1が、好ましくは1.0〜62.5、より好ましくは2.0〜62.5、更に好ましくは4.0〜62.5である関係を満たしていると、上記効果がより良好に得られる傾向にある。
【0079】
次に、図3(d)に示されるように、セラミック層213aの所定部分213bに露光を施す。露光は、上記第1実施形態と同様に、所定のパターン形状を有する光透過部11aと、光透過部11aを取り囲む遮光部11bとを有するマスク11を用いて、セラミック層213aに紫外線等の活性光線Lを照射することにより行うことができる。
【0080】
続いて、図3(e)に示されるように、所定の溶媒を用いて、セラミック層213aを現像することによりセラミックパターン部213を形成すると共に、このセラミックパターン部213をマスクとして、導体層205aをエッチングして導体パターン部205を形成する。本実施形態では、導体パターン部205及びセラミックパターン部213は、マスク11の光透過部11aに対応するパターン形状を有するようになる。所定の溶媒の種類や現像条件等は、上述した第1実施形態と同様のものが採用できる。
【0081】
そして、図3(f)に示されるように、基材1上における導体パターン部205及びセラミックパターン部213が形成されていない領域上に、絶縁層209を形成する。これにより、絶縁材料からなる層(絶縁層209)中に導体パターン部205及びセラミックパターン部213が内蔵された形状を有するセラミックグリーンシート210が、基材1の離型層3上に形成される。その後、基材1を剥離してもよい。絶縁層209の構成材料としては、セラミック材料や、フェライト等の磁性材料が挙げられる。
【0082】
以上説明した第3実施形態の製造方法により得られたセラミックグリーンシート210は、例えば、コンデンサや配線基板等の製造に好適である。
【0083】
すなわち、コンデンサは、例えば、セラミックグリーンシート210を複数積層することにより製造することができる。この場合、必要に応じて層間に絶縁性を有する層を挟んでもよい。
【0084】
また、配線基板は、セラミックグリーンシート210における導体パターン部205を所望の配線形状とすることで形成可能である。また、こうして得られた配線基板を複数積層することによって多層基板を形成することもできる。この際、セラミックパターン部213の一部には、スルーホールが形成されていてもよい。
【0085】
(第4実施形態)
図4(a)〜(f)は、セラミックグリーンシートの製造方法の第4実施形態を模式的に示す工程断面図である。
【0086】
まず、図4(a)に示されるように、上述した第1実施形態と同様にして基材1の表面1aに離型処理を施し、離型層3を形成する。
【0087】
次に、図4(b)に示されるように、基材1における離型層3上に、所定の溶媒に対して可溶性を有するセラミック材料(第1のセラミック材料)からなるセラミック層305a(下地層)を形成する。セラミック層305aの厚さは、乾燥後の厚さが0.8〜25μmとなるようにすることが好ましい。所定の溶媒に対して可溶性を有するセラミック材料としては、上述した第2実施形態と同様のものが挙げられる。つまり、セラミック材料としては、フェライト材料を用いてもよい。この場合、セラミック粉末の平均粒径は、0.2〜2.5μmとすることが好ましい。このセラミック材料を、基材1の表面1aの全面に塗布するか、又は、所定の部分にパターン印刷することによって、セラミック層305aを形成し得る。
【0088】
続いて、図4(c)に示されるように、セラミック層305a上に、感光性セラミック材料(第2のセラミック材料)からなるセラミック層313a(上地層)を形成する。このセラミック層313aの厚さは、乾燥後の厚さが1.5〜50μmとなるようにすることが好ましい。セラミック層313aは、上述した所定の溶媒に対して可溶性を有するが、所定の活性光線を照射されると、上記所定の溶媒に対して不溶性の硬化物を形成する。
【0089】
感光性セラミック材料としては、上述した第3実施形態において挙げたのと同様のものが適用できる。この場合、これに含まれるセラミック粉末の平均粒径は、0.3〜3μmであると好ましい。セラミック層313aは、ペースト又はスラリー状の感光性セラミック材料を、セラミック層305aの全面に塗布するか、又は、所定の部分にパターン印刷することにより形成することができる。
【0090】
ここで、本実施形態においては、セラミック層305aを形成するための第1のセラミック材料の平均粒径d1と、セラミック層313aを形成するための第2のセラミック材料の平均粒径d2とは、下記式(1)に示す関係を満たしている。つまり、第1のセラミック材料の平均粒径d1は、第2のセラミック材料の平均粒径d2よりも小さくなっている。これにより、セラミック層313aは、比較的粗い粒子から形成される場合であっても、セラミック層305aを介して基材1に良好に接着された状態となる。
d2>d1 …(1)
【0091】
特に、d1とd2とは、d2/d1が、好ましくは1.1〜15.0、より好ましくは1.5〜15.0、更に好ましくは3.0〜15.0である関係を満たしていると、上記効果がより良好に得られる傾向にある。
【0092】
また、セラミック層305aの厚さt1と、セラミック層313aの厚さt2とは、下記式(2)に示す関係を満たしていると好ましい。つまり、セラミック層305aの厚さt1は、セラミック層313aの厚さt2以下となっていると好ましい。こうすることで、更に良好にパターン形成を行うことが可能となる。
t2≧t1 …(2)
【0093】
特に、t1とt2とは、t2/t1が、好ましくは1.0〜62.5、より好ましくは2.0〜62.5、更に好ましくは4.0〜62.5である関係を満たしていると、上記効果がより良好に得られる傾向にある。
【0094】
次に、図4(d)に示されるように、セラミック層313aの所定部分313bに露光を施す。露光は、上記第1実施形態と同様に、所定のパターン形状を有する光透過部11aと、光透過部11aを取り囲む遮光部11bとを有するマスク11を用いて、セラミック層313aに紫外線等の活性光線Lを照射することにより行うことができる。
【0095】
続いて、図4(e)に示されるように、所定の溶媒を用いて、セラミック層313aを現像することによりセラミックパターン部313(第1のセラミックパターン部)を形成すると共に、このセラミックパターン部313をマスクとして、セラミック層305aをエッチングしてセラミックパターン部305(第2のセラミックパターン部)を形成する。本実施形態では、セラミックパターン部305及びセラミックパターン部313は、マスク11の光透過部11aに対応するパターン形状を有するようになる。所定の溶媒の種類や現像条件等は、上述した第1実施形態と同様のものが採用できる。
【0096】
そして、図4(f)に示されるように、基材1上におけるセラミックパターン部305及びセラミックパターン部313が形成されていない領域上に、絶縁層309を形成する。これにより、絶縁材料からなる層(絶縁層309)中にセラミックパターン部305,313aが内蔵された形状を有するセラミックグリーンシート310が、基材1の離型層3上に形成される。その後、基材1を剥離してもよい。絶縁層309の構成材料としては、セラミック材料やフェライト等の磁性材料が挙げられる。
【0097】
このように、第4実施形態に係る製造方法によれば、異なる2層のセラミック層を有するセラミックグリーンシートを得ることができる。具体的には、例えば、2層のうちの一方が非磁性のセラミック層であり、もう一方がフェライト層であるセラミックグリーンシートが挙げられる。そして、例えば、多層配線板の製造において、かかる構造のセラミックグリーンシートを用い、所定の導体層を含むセラミックグリーンシートを挟むことで、フェライト層間に導体層が配置された構造を有するノイズ吸収層等を容易に形成することができる。
【0098】
(絶縁層の形成方法の他の形態)
上述した第1〜第4実施形態では、基材1上に、導体パターン部又はセラミックパターン部と、導体パターン部又はセラミックパターン部とを備える2層の積層構造を形成した後、基材1上におけるこれらが形成されていない領域に絶縁層を形成したが、この絶縁層の形成方法は上述した実施形態に限られず、他の形態としてもよい。
【0099】
以下、絶縁層の形成方法の他の形態について、第1〜第5の方法を例に挙げて説明する。なお、以下、第1の実施形態の積層構造(第1の導体パターン部上に第2の導体パターン部を備える積層構造)を例に挙げて説明するが、これらの第1〜第5の方法は、上述した第1〜第4の実施形態に対してそれぞれ好適な方法を適宜選択して用いることが好ましい。
【0100】
<第1の方法>
図5(a)及び図5(b)は、第1の方法により絶縁層が形成されたセラミックグリーンシートの断面構造を模式的に示す図である。
【0101】
図5(a)、(b)に示すように、第1の方法においては、絶縁層91,92を、導体パターン部5,13が形成されていない領域上だけでなく、導体パターン部5,13からなる積層構造をも覆うように形成する。これにより、導体パターン部5,13が絶縁層91,92に覆われた構造のセラミックグリーンンシート10a,10bが得られる。
【0102】
絶縁層91,92は、絶縁層形成用の材料を、基板1の表面1aの全面に塗布することで形成可能である。これにより、導体パターン部5,13以外の領域に絶縁層9を形成した上記実施形態に比して、絶縁層の形成工程を簡略化できる。また、図5(b)に示されるように、絶縁層92の表面位置が導体パターン部13の表面位置に略一致するようにすれば、セラミックグリーンシート10bの表面を平坦化し易くなることから、より好ましい。
【0103】
<第2の方法>
図6(a)〜(e)は、絶縁層を形成する第2の方法を模式的に示す工程断面図である。図6(a)は、図1(e)の後に続く図である。また、図7は、図6(d)に示される工程断面図の他の例を示す工程断面図である。
【0104】
まず、図6(a)に示されるように、基材1上に絶縁材料層15aを形成する。このとき、絶縁材料層15aは導体パターン部13及び導体パターン部5を覆うように形成する。絶縁材料層15aは、上述した第1〜第4の実施形態で例示したような所定の溶媒に対して可溶な絶縁材料からなることが好ましい。
【0105】
次に、図6(b)に示されるように、上記所定の溶媒を用いて絶縁材料層15aを全面エッチングすることにより絶縁層15を形成する。このとき、絶縁層15の表面位置は、導体パターン部13の表面位置よりも低くなるようにして、導体パターン部13の上部を露出させる。なお、導体パターン部13上には、絶縁材料層15aが残存していても構わない。この絶縁材料層15aは、後述の現像処理と同時に除去され得る。
【0106】
次に、図6(c)に示されるように、絶縁層15上にネガ型の感光性絶縁材料からなる感光性絶縁層17aを形成する。感光性絶縁層17aは、上述したような所定の溶媒に対して可溶な感光性絶縁材料からなることが好ましい。このとき、感光性絶縁層17aの表面位置を導体パターン部13の表面位置に略一致させることが好ましい。これにより、得られるセラミックグリーンシートの表面を平坦化し易くなる。
【0107】
その後、図6(d)に示されるように、マスク16を介して感光性絶縁層17aに露光を施す。マスク16は、導体パターン部13及び導体パターン部5に対応するパターン形状を有する遮光部16bと、遮光部16bを取り囲む光透過部16aとを備えている。このため、感光性絶縁層17aにおける導体パターン部13上の部分には光Lが照射されない。
【0108】
なお、図7に示されるように、マスク16を用いずに、基材1側から感光性絶縁層17aに光Lを照射することもできる。照射する光Lに対して導体パターン部13及び導体パターン部5の少なくともいずれか一方が遮光性を有し、且つ、基材1、離型層3及び絶縁層15が光透過性を有している場合、感光性絶縁層17aにおける導体パターン部13上の部分には光Lが照射されない。
【0109】
次に、図6(e)に示されるように、上記所定の溶媒を用いて、露光された感光性絶縁層17aを現像することにより、感光性絶縁層17aにおける導体パターン部13上の部分が除去され、絶縁層17が形成される。その結果、絶縁層15及び絶縁層17からなる絶縁層9aと、導体パターン部13と、導体パターン部5とを備えたセラミックグリーンシート20が得られる。
【0110】
この第2の方法では、絶縁材料層15aの厚さを厚くすることにより、感光性絶縁層17aの厚さを薄くすることができるので、感光性絶縁材料の使用量を抑制することができる。こうすれば、感光性絶縁材料(例えば、感光性セラミックスラリー)は、比較的高価であるため、特に感光性絶縁材料を多量に使用するセラミックグリーンシートの製造方法において、製造コストを低減できる。
【0111】
<第3の方法>
図8(a)〜図8(d)は、絶縁層を形成する第3の方法を模式的に示す工程断面図である。図8(a)は、図1(e)の後に続く図である。図9は、図8(c)に示される工程断面図の他の例を示す工程断面図である。
【0112】
まず、図8(a)に示されるように、基材1上に絶縁材料層19aを形成する。このとき、絶縁材料層19aは導体パターン部13及び導体パターン部5を覆うように形成される。絶縁材料層19aの表面位置は、導体パターン部13の表面位置よりも低くする。この絶縁材料層19aは、所定の溶媒に対して可溶な絶縁材料からなることが好ましい。
【0113】
次に、図8(b)に示されるように、絶縁材料層19a上に、ネガ型の感光性絶縁材料からなる感光性絶縁層21aを全面に形成する。感光性絶縁層21aは、所定の溶媒に対して可溶な感光性絶縁材料からなることが好ましい。このとき、感光性絶縁層21aの表面位置を導体パターン部13の表面位置に略一致させることが好ましい。これにより、得られるセラミックグリーンシートの表面を平坦化し易くなる。
【0114】
次に、図8(c)に示されるように、上記第2の方法と同様に、マスク16を介して感光性絶縁層21aに露光を施す。マスク16を用いると、感光性絶縁層21aにおける導体パターン部13上の部分には光Lが照射されない。
【0115】
なお、図9に示されるように、マスク16を用いずに、基材1側から感光性絶縁層21aに光Lを照射してもよい。照射する光Lに対して導体パターン部13及び導体パターン部5の少なくともいずれか一方が遮光性を有し、且つ、基材1、離型層3及びセラミック層19aが光透過性を有している場合、感光性絶縁層21aにおける導体パターン部13上の部分には光Lが照射されない。
【0116】
次に、図8(d)に示されるように、上記所定の溶媒を用いて、露光された感光性絶縁層21aを現像することにより、感光性絶縁層21aにおける導体パターン部13上の部分が除去され、絶縁層21が形成される。また、上記所定の溶媒を用いて絶縁材料層19aがエッチングされることにより、絶縁層19が形成される。その結果、絶縁層19及び絶縁層21からなる絶縁層9bと、導体パターン部13と、導体パターン部5とを備えたセラミックグリーンシート30が得られる。第3の方法では、第2の方法における全面エッチング処理を省略することができる。
【0117】
<第4の方法>
図10(a)〜(c)は、絶縁層を形成する第4の方法を模式的に示す工程断面図である。図10(a)は、図1(e)の後に続く図である。
【0118】
まず、図10(a)に示されるように、基材1上に、ネガ型の感光性絶縁材料からなる感光性絶縁層23aを全面に形成する。感光性絶縁層23aは、所定の溶媒に対して可溶な感光性絶縁材料からなることが好ましい。このとき、感光性絶縁層23aは導体パターン部13及び導体パターン部5を覆うように形成される。
【0119】
次に、図10(b)に示されるように、基材1側から感光性絶縁層23aに光Lを照射する。照射する光Lに対して導体パターン部13及び導体パターン部5の少なくともいずれか一方が遮光性を有し、且つ、基材1及び離型層3が光透過性を有している場合、感光性絶縁層23aにおける導体パターン部13上の部分には光Lが照射されない。なお、所望の解像度を得るために、後述の現像における処理条件と露光量とを適宜設定することができる。
【0120】
次に、図10(c)に示されるように、上記所定の溶媒を用いて、露光された感光性絶縁層23aを現像することにより、感光性絶縁層23aにおける導体パターン部13上の部分が除去され、絶縁層9cが形成される。このとき、現像処理条件及び露光量を調整することにより、絶縁層9cの表面位置を導体パターン部13の表面位置に略一致させることが好ましい。その結果、絶縁層9cと、導体パターン部13と、導体パターン部5とを備えたセラミックグリーンシート40が得られる。
【0121】
<第5の方法>
図11(a)〜(c)は、絶縁層を形成する第5の方法を模式的に示す工程断面図である。図11(a)は、図1(e)の後に続く図である。図12は、図11(b)に示される工程断面図の他の例を示す工程断面図である。
【0122】
まず、図11(a)に示されるように、基材1上に、ネガ型の感光性絶縁材料からなる感光性絶縁層25aを全面に形成する。感光性絶縁層25aは、所定の溶媒に対して可溶な感光性絶縁材料からなることが好ましい。このとき、感光性絶縁層25aは導体パターン部13及び導体パターン部5を覆うように形成する。また、感光性絶縁層25aの表面位置は、導体パターン部13の表面位置に略一致させることが好ましい。これにより、得られるセラミックグリーンシートの表面を平坦化し易くなる。
【0123】
次に、図11(b)に示されるように、マスク16を介して感光性絶縁層25aに露光を施す。この際、マスクにより、感光性絶縁層25aにおける導体パターン部13上の部分には光Lが照射されないことになる。
【0124】
なお、図12に示されるように、マスク16を用いずに、基材1側から感光性絶縁層25aに光Lを照射してもよい。照射する光Lに対して導体パターン部13及び導体パターン部5の少なくともいずれか一方が遮光性を有し、且つ、基材1及び離型層3が光透過性を有している場合、感光性絶縁層25aにおける導体パターン部13上の部分には光Lが照射されない。
【0125】
次に、図11(c)に示されるように、上記所定の溶媒を用いて、露光された感光性絶縁層25aを現像することにより、感光性絶縁層25aにおける導体パターン部13上の部分が除去され、絶縁層9dが形成される。その結果、絶縁層9dと、導体パターン部13と、導体パターン部5とを備えたセラミックグリーンシート40が得られる。
[セラミック電子部品の製造方法]
【0126】
以下、上述した実施形態の製造方法により得られたセラミックグリーンシートを用いてセラミック電子部品を製造する方法の一例を具体的に説明する。
【0127】
図13は、セラミック電子部品の一例であるコンデンサの製造方法を模式的に示す工程断面図である。図13に示すコンデンサの製造方法においては、セラミックグリーンシートとして、上述した第2実施形態の製造方法により得られたものを使用する。
【0128】
まず、図13(a)に示されるように、複数(ここでは3つ)のセラミックグリーンシート110を、各層が左右方向に交互にオフセットされるように重ねるとともに、一対のセラミックグリーンシート410aを、セラミックグリーンシート110を挟むように配置し、積層体420を得る。セラミックグリーンシート110としては、予め基材1から剥離したものを用いる。また、セラミックグリーンシート410aとしては、セラミック材料からなり、導体パターン等を内蔵していないものを用いる。
【0129】
次に、積層体420を、各層が密着するようにプレスした後、その端部を切断する。切断は、セラミックグリーンシート110における導体パターン113及びセラミックパターン105が、切断した端部に露出するように行う。上述の如く、各セラミックグリーンシートは交互にオフセットして配置されていることから、各層の導体パターン113及びセラミックパターン105は、切断後の積層体420の両端部に交互に露出することになる。
【0130】
その後、切断後の積層体420を、所定の温度条件で焼成して、コンデンサ素体400を得る。焼成により、セラミックパターン部105及び絶縁層109からコンデンサ層405が形成され、導体パターン部113から内部電極413が形成され、セラミックグリーンシート410aから保護層410が形成される。そして、このコンデンサ素体400の両端部に外部電極等を設けることによって、積層型のセラミックコンデンサを得ることができる。
【0131】
このように、セラミックグリーンシート110は、予め導体パターン部113とセラミックパターン部105とが積層された構成を有していることから、このセラミックグリーンシート110を複数積層することによって、積層型のセラミックコンデンサを容易に得ることができる。
【0132】
上述の如く、第3実施形態で得られたセラミックグリーンシート210も同様に、セラミックパターン部113と導体パターン部105とが積層された構成を有していることから、同様に、このセラミックグリーンシートを複数積層すれば、積層型のセラミックコンデンサを製造することが可能である。
【0133】
また、上記第1実施形態で得られたセラミックグリーンシート10のように、導体パターン部113及び導体パターン部105という2層の導体パターン部を有する場合には、セラミックグリーンシート10と、導体パターン等を内蔵していないセラミックグリーンシートとを交互に積層することによって、積層型のセラミックコンデンサを得ることもできる。
【0134】
なお、上記各実施形態の製造方法により得られたセラミックグリーンシートによれば、上述したコンデンサに限られず、多様なセラミック電子部品を製造可能である。例えば、回路基板、インダクタ、バリスタ、NTC(Negative Temperature Coefficient)サーミスタ、PTC(Positive Temperature Coefficient)サーミスタ等、アクチュエータ、又はこれらの積層品又は複合部品等が挙げられる。上記積層品としては、例えば多層基板等が挙げられ、また、上記複合部品としては、例えばLCフィルタ等が挙げられる。これらのセラミック電子部品は、セラミックグリーンシートにおける導体パターン部やセラミックパターン部の構成材料やパターン形状を適宜変更することによって好適に製造可能である。
【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1】セラミックグリーンシートの製造方法の第1実施形態を模式的に示す工程断面図である。
【図2】セラミックグリーンシートの製造方法の第2実施形態を模式的に示す工程断面図である。
【図3】セラミックグリーンシートの製造方法の第3実施形態を模式的に示す工程断面図である。
【図4】セラミックグリーンシートの製造方法の第4実施形態を模式的に示す工程断面図である。
【図5】第1の方法により絶縁層が形成されたセラミックグリーンシートの断面構造を模式的に示す図である。
【図6】絶縁層を形成する第2の方法を模式的に示す工程断面図である。
【図7】図6(d)に示される工程断面図の他の例を示す工程断面図である。
【図8】絶縁層を形成する第3の方法を模式的に示す工程断面図である。
【図9】図8(c)に示される工程断面図の他の例を示す工程断面図である。
【図10】絶縁層を形成する第4の方法を模式的に示す工程断面図である。
【図11】絶縁層を形成する第5の方法を模式的に示す工程断面図である。
【図12】図11(b)に示される工程断面図の他の例を示す工程断面図である。
【図13】セラミック電子部品の一例であるコンデンサの製造方法を模式的に示す工程断面図である。
【符号の説明】
【0136】
1…基材、1a…表面、3…離型層、5…導体パターン部、5a…導体層、9,9a,9b,9c,9d…絶縁層、10…セラミックグリーンシート、13…導体パターン部、13a…導体層、91,92…絶縁層、105a…セラミック層、105…セラミックパターン部、109…絶縁層、110…セラミックグリーンシート、113a…導体層、113…導体パターン部、205a…導体層、205…導体パターン部、209…絶縁層、210…セラミックグリーンシート、213a…セラミック層、213…セラミックパターン部、305a…セラミック層、305…セラミックパターン部、309…絶縁層、310…セラミックグリーンシート、313a…セラミック層、313…セラミックパターン部、400…コンデンサ素体、410a…セラミックグリーンシート、410…絶縁層、420…積層体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に離型処理が施された基材上に、所定の溶媒に対して可溶性を有する第1の導電材料からなる下地層を形成する工程と、
前記下地層上に、感光性を有する第2の導電材料からなる上地層を形成する工程と、
前記上地層の所定部分に露光を施す工程と、
前記所定の溶媒を用い、前記上地層を現像して第1の導体パターン部を形成するとともに、前記下地層をエッチングして第2の導体パターン部を形成する工程と、
前記第1の導体パターン部及び前記第2の導体パターン部が形成された前記基材上に、絶縁層を形成する工程と、を備え、
前記第1の導電材料の平均粒径d1と、前記第2の導電材料の平均粒径d2とは、下記式(1)に示す関係を満たしていること、
を特徴とするセラミックグリーンシートの製造方法。
d2>d1 …(1)
【請求項2】
表面に離型処理が施された基材上に、所定の溶媒に対して可溶性を有するセラミック材料からなる下地層を形成する工程と、
前記下地層上に、感光性を有する導電材料からなる上地層を形成する工程と、
前記上地層の所定部分に露光を施す工程と、
前記所定の溶媒を用い、前記上地層を現像して導体パターン部を形成するとともに、前記下地層をエッチングしてセラミックパターン部を形成する工程と、
前記導体パターン部及び前記セラミックパターン部が形成された前記基材上に、絶縁層を形成する工程と、を備え、
前記セラミック材料の平均粒径d1と、前記導電材料の平均粒径d2とは、下記式(1)に示す関係を満たしていること、
を特徴とするセラミックグリーンシートの製造方法。
d2>d1 …(1)
【請求項3】
表面に離型処理が施された基材上に、所定の溶媒に対して可溶性を有する導電材料からなる下地層を形成する工程と、
前記下地層上に、感光性を有するセラミック材料からなる上地層を形成する工程と、
前記上地層の所定部分に露光を施す工程と、
前記所定の溶媒を用い、前記上地層を現像してセラミックパターン部を形成するとともに、前記下地層をエッチングして導体パターン部を形成する工程と、
前記セラミックパターン部及び前記導体パターン部が形成された前記基材上に、絶縁層を形成する工程と、を備え、
前記導電材料の平均粒径d1と、前記セラミック材料の平均粒径d2とは、下記式(1)に示す関係を満たしていること、
を特徴とするセラミックグリーンシートの製造方法。
d2>d1 …(1)
【請求項4】
表面に離型処理が施された基材上に、所定の溶媒に対して可溶性を有する第1のセラミック材料からなる下地層を形成する工程と、
前記下地層上に、感光性を有する第2のセラミック材料からなる上地層を形成する工程と、
前記上地層の所定部分に露光を施す工程と、
前記所定の溶媒を用い、前記上地層を現像して第1のセラミックパターン部を形成するとともに、前記下地層をエッチングして第2のセラミックパターン部を形成する工程と、
前記第1のセラミックパターン部及び前記第2のセラミックパターン部が形成された前記基材上に、絶縁層を形成する工程と、を備え、
前記第1のセラミック材料の平均粒径d1と、前記第2のセラミック材料の平均粒径d2とは、下記式(1)に示す関係を満たしていること、
を特徴とするセラミックグリーンシートの製造方法。
d2>d1 …(1)
【請求項5】
前記下地層の厚さt1と、前記上地層の厚さt2とは、下記式(2)に示す関係を満たしていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のセラミックグリーンシートの製造方法。
t2≧t1 …(2)
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のセラミックグリーンシートの製造方法により製造されたセラミックグリーンシートを焼成する焼成工程を含む、セラミック電子部品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−186270(P2006−186270A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−381159(P2004−381159)
【出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】