説明

セラミックスヒーターおよびセラミックスヒーターの製造方法

【課題】セラミックスヒーター上に直接載置された被加熱物を均一に加熱でき、加熱効率も高く、ヒーター本体が大型化せずコンパクトであり、不純物やパーティクルの飛散が少なく寿命が長い安価なセラミックスヒーターを提供する。
【解決手段】一対以上の貫通孔13が形成された絶縁性セラミックスからなる板状部材12と、導電性セラミックスからなる導電層19と、絶縁性セラミックスからなる被覆層21とを備えたセラミックスヒーター11であって、貫通孔に導電性セラミックスからなる接続部材14が挿入され、該接続部材の一端面16が板状部材の主面15と同一平面をなし、接続部材は導電層19が被覆されて板状部材に固定されるとともに、ヒーターパターン20を有する導電層と接続され、接続部材の反対側は板状部材から突出するとともに該突出部18は被覆層が形成されていない端子を構成するセラミックスヒーター。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体の製造工程における半導体ウエハの加熱や、化学気相蒸着法、スパッタ法によって薄膜を形成する際の基材の加熱に使用されるセラミックスヒーターおよびセラミックスヒーターの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体の製造工程における半導体ウエハの加熱や、化学気相蒸着法、スパッタ法によって薄膜を形成する際の基材の加熱に使用されるセラミックスヒーターには、窒化珪素や窒化アルミニウム、窒化ホウ素などの焼結体からなる支持基材に、金属の箔や巻回線からなる発熱体や、金属粒子または導電性セラミック粒子を含む導電性ペーストをスクリーン印刷することによって形成された発熱体を埋設した構造のヒーターが用いられている(特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
しかしスクリーン印刷によりヒーターパターンを形成した場合、発熱層の膜厚が不均一となりやすく、均熱性の良いヒーターとならないことがある。また、スクリーン印刷に用いられるペーストに含まれる有機物や、セラミック焼結体に含まれる焼結助剤成分が、不純物の発生源となる可能性がある。
【0004】
これに対し、化学気相蒸着法によって生成された熱分解窒化ホウ素からなる支持基材上に、化学気相蒸着法によって熱分解グラファイトからなる導電層を成膜し、これに機械加工を施して所望のヒーターパターンを形成し、さらに化学気相蒸着法によって熱分解窒化ホウ素からなる被覆層でヒーターパターンを覆ったものは、均一な膜厚の導電層を得やすく、均熱性の良いセラミックスヒーターとすることができる(特許文献3参照)。
また、支持基材、導電層、被覆層のすべてが化学気相蒸着法で製造されるので、焼結法によって製造されたものより高純度で半導体ウエハが不純物によって汚染されにくいという利点があり、加熱プロセスでは有利である。
【0005】
この化学気相蒸着法によって生成された熱分解窒化ホウ素からなる支持基材上に、化学気相蒸着法によって熱分解グラファイトからなる導電層を成膜し、これに機械加工を施して所望のヒーターパターンを形成し、さらに化学気相蒸着法によって熱分解窒化ホウ素からなる被覆層でヒーターパターンを覆ってなるヒーターは、ヒーターパターンの両端に貫通孔を設けると共に、貫通孔の周囲の被覆層を除去して導電層を露出させ、この導電層露出部分に電源からの導線を金属、またはグラファイトや炭素/炭素複合材料などの炭素材料からなるボルト、ナットで固定することによって電源と接続される。
【0006】
しかし、上記接続方法では、炭素と反応性のある雰囲気では電源接続部分で露出している導電層が消耗して異常発熱を起こし、さらに消耗が進むと放電が起こりヒーターが破損してしまうため、ヒーターの使用条件(加熱温度、雰囲気)が制限されるという問題がある。また、グラファイトや炭素/炭素複合材料などからなるボルト、ナットを使用した場合、これがパーティクルの発生源となる。また、金属製のボルトやナットを使用した場合、使用開始からある程度の期間は、グラファイトや炭素/炭素複合材料などからなるボルト、ナットを使用した場合よりもパーティクルは発生し難い。しかし長期間使用し続けると、例え金属製のボルトやナットであっても熱で劣化してしまい、やはりパーティクルの発生源となるという問題がある。また、処理する半導体ウエハを金属汚染する危険もある。
【0007】
これらの問題を解決するものとして、特許文献4に記載のセラミックスヒーターが挙げられる。これは、熱分解窒化ホウ素からなる基材に、熱分解グラファイトからなるヒーターパターンを設けたものをヒーター本体とし、ヒーターパターンの両端に位置する接触端に貫通孔を設け、グラファイトネジを用い、貫通孔を介して所定の長さのグラファイト棒状部材をヒーターパターンとは反対側の面に位置するように固定した後、ヒーター本体、グラファイトネジ、グラファイト棒状部材を一体的に熱分解窒化ホウ素からなる被覆層で覆った構造のセラミックスヒーターである。
【0008】
そして、グラファイトネジおよびグラファイト棒状部材の取り付けを機械的および電気的に強固にするために、フレキシブルグラファイトワッシャーがグラファイトネジ〜ヒーター本体間およびヒーター本体〜グラファイト棒状部材間に配置されている。グラファイト棒状部材の、グラファイトネジによってヒーター本体に固定されている一端とは反対側の他端には、熱分解窒化ホウ素からなる被覆層が形成されておらず、この部分に電源からの導線が接続される。
【0009】
この特許文献4に記載のヒーターであれば、ヒーターパターンを形成する熱分解グラファイトからなる導電層や、グラファイトネジ、グラファイト棒状部材など炭素材料からなる部材が、ほぼ完全に熱分解窒化ホウ素からなる被覆層で覆われているので、炭素と反応性のある雰囲気でも使用可能なヒーターとなり、またグラファイトネジ、グラファイト棒状部材などからのパーティクルの発生も抑えられる。
【0010】
さらに、グラファイト棒状部材の、グラファイトネジによってヒーター本体に固定されている一端とは反対側の他端は、熱分解窒化ホウ素からなる被覆層が形成されておらず、この部分に電源からの導線が接続されているが、この部分は所定の長さを持つグラファイト棒状部材の分だけヒーターパターンから距離が離れているため、温度が低く抑えられている。よって炭素と反応性がある雰囲気で使用しても、消耗はある程度小さい。また、導線の接続に金属製のネジを使用しても、温度が低いので、金属製のネジが熱で劣化してパーティクルの発生源になることも少ない。
【0011】
ここで、セラミックスヒーターによって半導体ウエハを加熱する主な方法は、半導体ウエハとヒーターを接触させず、ヒーターからの輻射光によって加熱する方法と、半導体ウエハをヒーター上に直置きし、熱伝導により加熱する方法とがある。
減圧下で輻射加熱を行う場合、使用時間が長くなるにつれて、プロセスガスの回り込みに起因する膜付着や、周囲部材からの飛散物の付着によりヒーター表面が汚れ、このため輻射率が変化し、同じ電力でも半導体ウエハを同じように加熱できなくなることがある。このような現象は、特に1000℃以上の高温プロセスで顕著である。
直置き加熱の場合にはこのような問題が無い。また直置き加熱の方が輻射加熱よりも加熱効率がよいため、高温のプロセスでは直置き加熱がコスト的にも適している。
【0012】
しかし、特許文献4に記載のヒーターでは、グラファイト棒状部材を固定するグラファイトネジの頭がヒーターの加熱面に突出している。従って、被加熱物をヒーターの上に直接載せて加熱を行う場合は、グラファイト棒状部材の取り付け位置はヒーター上の被加熱物が載置される領域よりも必ず外側にしなければならず、このためヒーターが大型化するという問題がある。また、特許文献3に記載のヒーターも同様な問題があり、電源からの導線を固定するためのネジやナットがセラミックスヒーターの加熱面上に突出するため、被加熱物をヒーターの上に直接載せて加熱を行う場合は、電源からの導線の取り付け位置はヒーター上の被加熱物が載置される領域よりも必ず外側にしなければならず、やはりヒーターが大型化してしまう。
【0013】
また、近年の半導体ウエハの大直径化に伴い、これを加熱するヒーターも大型のものが使用されるようになってきているが、電流値、電圧値を過大にしないため、あるいは、半導体ウエハの温度分布の改善等の理由により、第一の電源で加熱されるヒーター中心付近の第一の発熱領域と、その外側の第二の電源で加熱される第二の発熱領域を設け、二台の電源によりヒーターを加熱するという2ゾーン式のヒーターが用いられる場合が多い。
【0014】
特許文献4に記載の構造のヒーターで2ゾーン式のヒーターとし、半導体ウエハを直置きして加熱する場合、ヒーターの第一の加熱領域と第二の加熱領域の形状は、グラファイトネジの頭がヒーターの加熱面に突出しているため、図10に示した形状にせざるを得ない。また、特許文献3に記載の構造のヒーターで2ゾーン式のヒーターとする場合も同様であり、半導体ウエハを直置きにして加熱する場合、ヒーターの第一の加熱領域と第二の加熱領域の形状は、図10に示した形状にせざるを得ない。特許文献3に記載の構造のヒーターでは、ヒーターパターンの両端に貫通孔を設けると共に、貫通孔の周囲の被覆層を除去して導電層を露出させ、この導電層露出部分に電源からの導線をボルト、ナットで固定することによって電源と接続されるので、ヒーターの加熱面上にボルト、ナットが突出するからである。
【0015】
図10のヒーターパターンの形状の問題点は以下の通りである。
半導体ウエハは図10の点線部分1の内側領域に載置される。ヒーターの中央部が第一の加熱領域2、その外側が第二の加熱領域3である。第一の加熱領域2に接続されるグラファイト棒状部材4、第二の加熱領域3に接続されるグラファイト棒状部材5がそれぞれヒーター最外周部に設けられている。即ち、ヒーター中央部に位置する第一の加熱領域2に接続されるグラファイト棒状部材4がヒーター最外周部に設けられるため、第一の加熱領域2とグラファイト棒状部材4とを結ぶ導電経路6を第二の加熱領域3中に設けなければならない。
【0016】
よって第二の電源で加熱される第二の発熱領域3の中に、第一の電源で加熱される発熱体が存在することになり、第一の電源と第二の電源の電力バランス次第では、この導電経路6の部分が局所的な発熱部、または局所的な低温部となり、ウエハの温度分布に悪影響を与えるという問題がある。
【0017】
さらに、特許文献4に記載のヒーターのように、ヒーター本体、グラファイトネジ、グラファイト棒状部材を一体的に熱分解窒化ホウ素からなる被覆層で覆った構造のヒーターでは、グラファイト棒状部材またはグラファイト棒状部材を被覆している熱分解窒化ホウ素の被覆層等を破損した場合、ヒーター本体自体には全く異常が無く、正常に加熱できる状態であっても、ヒーター全体を交換しなければならないという問題がある。よって、半導体その他の量産機に本構造のヒーターを搭載することは、著しいコストアップの要因となっている。
【0018】
【特許文献1】特開2004−220966号公報
【特許文献2】特開2004−253799号公報
【特許文献3】特許第3560456号公報
【特許文献4】特許第2702609号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
そこで、本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、セラミックスヒーター上に直接載置された被加熱物を均一に加熱でき、加熱効率も高く、ヒーター本体が大型化せずコンパクトであり、不純物やパーティクルの飛散が少なく寿命の長い安価のセラミックスヒーターおよびセラミックスヒーターの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記目的を達成するために、本発明によれば、少なくとも、一対以上の貫通孔が形成された絶縁性セラミックスからなる板状部材と、該板状部材上に形成された導電性セラミックスからなる導電層と、該導電層上に形成された絶縁性セラミックスからなる被覆層とを備えたセラミックスヒーターであって、前記板状部材の貫通孔に導電性セラミックスからなる接続部材が挿入され、該接続部材の貫通孔に挿入された端面が前記板状部材の導電層が形成される主面と同一平面をなし、前記接続部材は前記導電層が被覆されて板状部材に固定されるとともに、前記板状部材の主面上に形成されたヒーターパターンを有する前記導電層と接続され、前記接続部材の前記板状部材の貫通孔に挿入された側と反対側は前記板状部材から突出するとともに該突出部は前記被覆層が形成されていない端子を構成するものであることを特徴とするセラミックヒーターが提供される(請求項1)。
【0021】
このように、接続部材の一端面が、板状部材の主面と同一平面をなし、板状部材の主面上に形成されたヒーターパターンを有する導電層と接続されたものとすれば、接続部材の取り付け位置を板状部材上の被加熱物が載置される領域より外側にする必要がなく、ヒーター本体が大型化せずコンパクトな構造であり、前記同一平面上に形成されたヒーターパターンによって、平坦なヒーター上に直接載置された被加熱物を、高い加熱効率で均一に加熱できるセラミックスヒーターとすることができる。
【0022】
さらに、接続部材は板状部材から突出するとともに、該突出部は前記被覆層が形成されていない端子を構成するものとすることにより、別途設けた給電部材に接続することができ、破損し難いとともに、給電部材が破損したとしても交換することが可能で、ヒーター寿命が長くなり、製造コストも低減する。
また、接続部材は導電層が被覆されて板状部材に固定されるため、ヒーター熱およびヒーター重量により破損し易いネジ(螺子)等を用いることなく、導電層と接続部材の接触が良好で耐久性が高くなり、ヒーター寿命が長くなる。
【0023】
また、本発明によれば、少なくとも、絶縁性セラミックスからなる板状部材に一対以上の貫通孔を形成し、該板状部材上に導電性セラミックスからなる導電層を形成し、その後、該導電層上に絶縁性セラミックスからなる被覆層を形成するセラミックスヒーターの製造方法であって、導電性セラミックスからなる接続部材を前記板状部材の貫通孔に挿入して、該接続部材の貫通孔に挿入された端面が前記板状部材の主面と同一平面をなし、前記接続部材の貫通孔に挿入された側と反対側を前記板状部材から突出するようにした後、前記接続部材および前記板状部材を一体的に被覆するように前記導電層を形成して接続部材と板状部材を固着し、前記板状部材の主面上の前記導電層を加工してヒーターパターンを形成し、その後、前記板状部材、前記接続部材、および前記導電層を、前記接続部材の突出部を除いて一体的に被覆するように前記被覆層を形成することを特徴とするセラミックスヒーターの製造方法が提供される(請求項14)。
【0024】
このように、接続部材を板状部材の貫通孔に挿入して、接続部材の一端面が板状部材の主面と同一平面をなすようにし、板状部材の主面上の導電層を加工してヒーターパターンを形成することによって、接続部材の取り付け位置を板状部材上の被加熱物が載置される領域より外側にする必要がないので、ヒーター本体が大型化せずコンパクトな構造であり、平坦なヒーターの上に直接載置された被加熱物を、前記板状部材の主面上の導電層を加工して形成したヒーターパターンによって、高い加熱効率で均一に加熱可能なヒーターを低コストで製造することができる。
【0025】
また、接続部材を板状部材から突出するようにし、該突出部を除いて被覆層を形成することによって、該突出部が端子を構成するものとなり、別途設けた給電部材に接続することができるため、該給電部材が破損したとしても交換することが可能で寿命が長いヒーターを製造することができる。
【0026】
さらに、接続部材および板状部材を一体的に被覆するように導電層を形成することにより接続部材と板状部材を固着することが可能である。特に、接続部材および板状部材全体に対して導電性セラミックス材料を化学気相蒸着させることにより、接続部材と板状部材を容易に固着することができ、ヒーター熱およびヒーター重量により破損し易いネジ等を用いる必要がない。
また、簡単な構造で破損し難いものを容易に作製できるため、製造コストも低減できる。
【0027】
このとき、前記接続部材は、前記板状部材の貫通孔に圧入されたものであることが好ましい(請求項2,15)。
このように、前記接続部材の前記板状部材の貫通孔への挿入は、圧入によることとすれば、板状部材と接続部材の接続に、ヒーター熱およびヒーター重量等による破断の不具合の原因となるネジを使用せず導電層と接続部材の接触を良好にして接続部材の断面積を小さくすることができるので、外部へ流出する熱量を小さく抑えることができて被加熱物をより高い加熱効率で均一に加熱できる。また、パーティクルの発生源となるボルトとナットを使用する必要がないため、不純物の飛散がなく高純度が要求される加熱プロセスにも対応できる。この場合、接続部材の一端面と板状部材の主面とが正確に同一面となるように、圧入した後主面を平面研削する等により平面加工するのが好ましい。
【0028】
ここで、前記ヒーターパターンは、前記接続部材の前記板状部材の貫通孔に挿入された側の端面と同一平面をなす前記板状部材の主面上、および/または、該主面と反対側の主面上に形成され、該ヒーターパターンが形成されてない主面においては前記接続部材同士が短絡しないように電気的に絶縁されたものとすることができる(請求項3,16)。
このように、前記ヒーターパターンを、前記接続部材の前記板状部材の貫通孔に挿入された側の端面と同一平面をなす前記板状部材の主面上、および/または、該主面と反対側の主面上に形成し、該ヒーターパターンを形成していない主面上の導電層を一部または全部除去することにより前記接続部材同士が短絡しないように電気的に絶縁すれば、平坦なヒーター上に直接載置された被加熱物を高い加熱効率で均一に加熱できるヒーターとなる。
【0029】
さらに、前記板状部材は、熱分解窒化ホウ素、炭素を含有する熱分解窒化ホウ素、珪素を含有する熱分解窒化ホウ素、アルミニウムを含有する熱分解窒化ホウ素のいずれかからなるものであることが好ましい(請求項4,17)。
このように、前記板状部材として、熱分解窒化ホウ素、炭素を含有する熱分解窒化ホウ素、珪素を含有する熱分解窒化ホウ素、アルミニウムを含有する熱分解窒化ホウ素のいずれかを用いることにより、化学気相蒸着法により製造することができ、高温での使用でも安定で不純物の飛散がなく高純度が要求される加熱プロセスにも対応できるヒーターとなる。
ここで、前記板状部材が炭素を含有する熱分解窒化ホウ素、珪素を含有する熱分解窒化ホウ素、アルミニウムを含有する熱分解窒化ホウ素である場合は、炭素含有量または珪素含有量またはアルミニウムの含有量が大きくなるにつれて板状部材の抵抗率は小さくなる。炭素含有量または珪素含有量またはアルミニウム含有量は、ヒーターパターン間の絶縁を保ち得る量に抑えられる必要がある。
【0030】
また、前記接続部材は、グラファイト、炭化ケイ素焼結体、炭化ホウ素焼結体のいずれかからなるものであることが好ましい(請求項5,18)。
このように、前記接続部材として、グラファイト、炭化ケイ素焼結体、炭化ホウ素焼結体のいずれかからなるものを用いることにより、耐熱性に優れたものとなる上に、外面に導電層および被覆層が被覆されるので、不純物の飛散がなく高純度が要求される加熱プロセスにも対応できるヒーターとなる。特に、グラファイトは、比較的安価で加工も容易であるためさらに好ましい。
【0031】
さらに、前記導電層は、熱分解グラファイト、ホウ素および/または炭化ホウ素を含有する熱分解グラファイトのいずれかからなるものであることが好ましい(請求項6,19)。
このように、前記導電層を、熱分解グラファイト、ホウ素および/または炭化ホウ素を含有する熱分解グラファイトのいずれかを化学気相蒸着させることにより形成することにより、金属の箔や巻回線よりも加工が容易なためヒーターパターンを蛇行パターンとして、その幅や厚さを変えることにより、任意の温度傾斜をつけたり、熱環境に応じた発熱分布をもたせて均熱化したりすることが容易なヒーターとなる。さらに、化学気相蒸着法を用いれば、導電性ペーストをスクリーン印刷により塗布する手法よりも厚さを均一にできる。
【0032】
また、前記接続部材の突出部に、該接続部材とは別体であり導電性セラミックスまたは金属からなる棒状の給電部材の一端に設けられた凹部が挿入され、該給電部材と接続されたものであることが好ましい(請求項7,20)。
【0033】
このように、前記接続部材の突出部を、該接続部材とは別体であり導電性セラミックスまたは金属からなる棒状の給電部材の一端に形成された凹部に挿入し、該給電部材と接続することによって、棒状の給電部材の凹部が設けられた一端とは反対側の他端に導線等との接続部を設けてヒーター本体との間に十分な距離をとることができるので、前記導線等との接続部での温度が低く、該接続に使用される圧着端子、ボルト、螺子、ナット等の部材のヒーター熱による劣化や、これに起因するパーティクルの飛散を抑えることができる。
また、前記給電部材は、ヒーター本体と別体であるため、該給電部材やこれに形成した被膜が損傷した場合は、当該部品のみを交換すればよいため寿命の長い安価なヒーターとすることができる。
【0034】
このとき、前記接続部材の突出部は、該突出部に雄螺子が形成され、前記給電部材の凹部に雌螺子が形成され、前記雄螺子が前記雌螺子に螺合されることによって前記給電部材に接続されたものであることが好ましい(請求項8,21)。
【0035】
このように、前記接続部材の突出部の前記給電部材との接続は、前記接続部材の突出部に雄螺子を形成し、前記給電部材の凹部に雌螺子を形成し、前記雄螺子を前記雌螺子に螺合することにより行うヒーターとすることによって、給電部材やこれに形成した被膜が破損した場合の部材交換が容易であり、組立ても容易で保管や輸送時には空間を取らず利便性が高いものとすることができる。
【0036】
また、前記給電部材は、グラファイト、外表面がホウ素および/または炭化ホウ素を含有する熱分解グラファイトで被覆されたグラファイト、炭化ケイ素焼結体、炭化ホウ素焼結体、タンタル、タングステン、モリブデン、インコネル、ニッケル、ステンレスのいずれかからなるものであることが好ましい(請求項9,22)。
このように、前記給電部材として、グラファイト、外表面がホウ素および/または炭化ホウ素を含有する熱分解グラファイトで被覆されたグラファイト、導電性炭化ケイ素焼結体、導電性炭化ホウ素焼結体、タンタル、タングステン、モリブデン、インコネル、ニッケル、ステンレスのいずれかからなるものを用いることによって、導電性が高い上に融点も高いので、1000℃以上の加熱プロセスにも対応できるヒーターとなる。特に、グラファイトは、比較的安価で加工も容易であるためさらに好ましい。
【0037】
さらに、前記給電部材は、絶縁性セラミックスからなる管状部材により囲まれたものであることが好ましい(請求項10,23)。
このように、前記給電部材を、絶縁性セラミックスからなる管状部材により囲繞することによって、給電部材からの不純物やパーティクルの飛散が抑制されるとともに、給電部材は周囲の部材から絶縁されることになるので、給電部材と周囲の部材との間の放電を防ぐことができる。
また、該管状部材に損傷が生じた場合、当該部品のみを交換すればよいため、寿命の長いヒーターとすることができる。
【0038】
さらに、この場合、前記管状部材は、一端に底部を有し該底部の中心部に貫通孔が設けられたものであり、前記底部の底面がヒーター本体に接し、前記貫通孔に、前記接続部材の突出部が挿入され、さらに前記給電部材が挿入されることで、給電部材を囲繞するものとすることができる(請求項11,24)。
このように、前記管状部材による囲繞は、絶縁性セラミックスからなる管状部材の一端に底部を形成し、該底部の中心部に貫通孔を設け、該貫通孔に前記接続部材の突出部を挿入し、前記底部の底面がヒーター本体に接するようにし、さらに前記突出部に前記給電部材を挿入して固定することにより行うことによって、ヒーター本体付近での絶縁性セラミックスによる接続部材および給電部材の囲繞を確実にすることができ、ヒーター熱等による劣化に起因するヒーター破損や不純物・パーティクルの飛散を抑制することができる。
【0039】
さらに、前記給電部材上に、絶縁性セラミックスからなる被膜が形成されたものであることが好ましい(請求項12,25)。
このように、前記給電部材として、表面上に、絶縁性セラミックスからなる被膜が形成されたものを用いることによって、給電部材からの不純物やパーティクルの飛散がより抑制されるとともに、給電部材は周囲の部材から絶縁されるヒーターとなるので、給電部材と周囲の部材との間の放電を防ぐことができる。
特に、前記給電部材上の被膜が、凹部と銅線等に接続する部分を除く全体に形成され、前記被膜がヒーター本体に密着するように突出部と凹部が接続されることにより、導電層や接続部材あるいは給電部材と反応性のある雰囲気下でヒーターを使用することも可能となり、ヒーター熱等による劣化に起因するヒーター破損や不純物・パーティクルの飛散を効果的に抑制することができる。
特にこの場合、給電部材を、導電性セラミックスである、グラファイト、炭化ケイ素焼結体、炭化ホウ素焼結体からなるものとし、この上に、前記絶縁性セラミックスからなる被膜を形成すれば、より高温で安定で不純物の飛散が少ないものとなるので好ましい。
【0040】
また、前記被覆層、前記管状部材、前記給電部材上の被膜は、熱分解窒化ホウ素、炭素を含有する熱分解窒化ホウ素、珪素を含有する熱分解窒化ホウ素、アルミニウムを含有する熱分解窒化ホウ素のいずれかからなるものであることが好ましい(請求項13,26)。
このように、前記被覆層、前記管状部材、前記給電部材上の被膜として、熱分解窒化ホウ素、炭素を含有する熱分解窒化ホウ素、珪素を含有する熱分解窒化ホウ素、アルミニウムを含有する熱分解窒化ホウ素のいずれかからなるものを用いることによって、化学気相蒸着法により容易に製造することができ、高温での使用でも安定で不純物の飛散がなく高純度が要求される加熱プロセスにも対応できるヒーターとなる。
ここで前記被覆層、前記管状部材、前記給電部材が、炭素を含有する熱分解窒化ホウ素、珪素を含有する熱分解窒化ホウ素、アルミニウムを含有する熱分解窒化ホウ素である場合は、炭素含有量または珪素含有量またはアルミニウムの含有量が大きくなるにつれて抵抗率は小さくなる。そのため、炭素含有量または珪素含有量またはアルミニウム含有量は、前記被覆層については、ヒーターパターン間あるいはヒーターパターンと被加熱物の間の絶縁を保ち得る量に抑えられる必要があり、前記管状部材、前記給電部材上の被膜については、給電部材と周囲部材との間の絶縁を保ち得る量に抑えられる必要がある。
【発明の効果】
【0041】
このように、本発明により、セラミックスヒーター上に直接載置された被加熱物を均一に加熱でき、加熱効率も高く、ヒーター本体が大型化せずコンパクトであり、破損し難く不純物やパーティクルの飛散が少なく寿命が長い安価なセラミックスヒーターを製造することが可能となった。
特に、使用時にヒーター熱が大きくヒーター重量がかかる負担も大きい接続部材の板状部材と接続する部分を圧入により接続することとして、螺子(ネジ)を使用せず、破断等の不具合や不純物やパーティクルの飛散を防止することができ、その一方で、接続部材の給電部材との接続を螺子による螺合とすることで、給電部材やこれに形成した被膜が破損した場合の部材交換を容易にし、組立ても容易で保管や輸送時には空間を取らず利便性が高いセラミックスヒーターとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
従来、加熱時に不純物の飛散がなく高純度が要求される加熱プロセスに対応する耐久性が高いヒーターを製造する場合、グラファイト棒状部材のネジ(螺子)による取り付け位置をヒーター上の被加熱物が載置される領域よりも外側にしなければならないためヒーターが大型化し、また、ヒーター本体、グラファイトネジ、グラファイト棒状部材を一体的に絶縁性セラミックスからなる被覆層で覆った構造のヒーターは、グラファイト棒状部材またはこれを被覆している被覆層等を破損した場合、ヒーター全体を交換しなければならずヒーター寿命が短くなる上に高コストであるという問題があった。
【0043】
そこで、本発明者等は、鋭意研究を重ね、少なくとも、一対以上の貫通孔が形成された絶縁性セラミックスからなる板状部材と、該板状部材上に形成された導電性セラミックスからなる導電層と、該導電層上に形成された絶縁性セラミックスからなる被覆層とを備えたセラミックスヒーターであって、前記板状部材の貫通孔に導電性セラミックスからなる接続部材が挿入され、該接続部材の貫通孔に挿入された端面が前記板状部材の導電層が形成される主面と同一平面をなし、前記接続部材は前記導電層が被覆されて板状部材に固定されるとともに、前記板状部材の主面上に形成されたヒーターパターンを有する前記導電層と接続され、前記接続部材の前記板状部材の貫通孔に挿入された側と反対側は前記板状部材から突出するとともに該突出部は前記被覆層が形成されていない端子を構成するセラミックスヒーターとすることにより、セラミックスヒーター上に直接載置された被加熱物を均一に加熱でき、加熱効率も高く、ヒーター本体が大型化せずコンパクトであり、不純物やパーティクルの飛散が少なく破損し難く、安価で寿命が長いものとなることに想到し、本発明を完成させた。
【0044】
そして、使用時にヒーター熱が大きくヒーター重量がかかる負担も大きい接続部材の板状部材と接続する部分を圧入によることとして、螺子(ネジ)を使用せず、破断等の不具合や不純物やパーティクルの飛散を防止することができ、その一方で、接続部材の給電部材との接続を螺子による螺合とすることで、給電部材やこれに形成した被膜が破損した場合の部材交換を容易にし、組立ても容易で保管や輸送時には空間を取らず利便性が高いセラミックスヒーターとすることができる。
【0045】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
図1は、本発明のセラミックスヒーターの一例を示す断面図である。図2、3は、本発明のセラミックスヒーターの板状部材および接続部材の一例を示す図である。図6、図8は、本発明のセラミックスヒーターの給電部材を接続部材に接続する一例を示す図である。
【0046】
本発明のセラミックスヒーターは、一対以上の貫通孔13が形成された絶縁性セラミックスからなる板状部材12と、該板状部材12上に形成された導電性セラミックスからなる導電層19と、該導電層19上に形成された絶縁性セラミックスからなる被覆層21とを備えたセラミックスヒーター11であって、板状部材12の貫通孔13に導電性セラミックスからなる接続部材14が挿入され、該接続部材14の貫通孔13に挿入された端面16が板状部材12の導電層19が形成される主面15と同一平面をなし、接続部材14は導電層19が被覆されて板状部材12に固定されるとともに、板状部材12の主面15上に形成されたヒーターパターン20を有する導電層19と接続され、接続部材14の板状部材12の貫通孔13に挿入された側と反対側は板状部材12から突出するとともに該突出部18は被覆層21が形成されていない端子を構成するセラミックスヒーターである。
【0047】
このように、接続部材の一端面16が板状部材12の主面と同一平面をなすものとし、板状部材12の主面15上に形成されたヒーターパターン20を有する導電層19と接続されたものとすれば、接続部材14の取り付け位置を板状部材12上の被加熱物が載置される領域より外側にする必要がなく、該領域の内側で任意の位置に設置できるので、従来のものより小型のセラミックスヒーターであってヒーターの加熱面に突起物のない平坦なヒーターとすることができる。
その上、前記同一平面上に形成されたヒーターパターン20によって、平坦なヒーター上に直接載置された被加熱物を高い加熱効率で均一に加熱できるセラミックスヒーターとすることができる。また、より均熱化を図るため、図1のように、接続部材の一端面16上にもヒーターパターン20が形成されている。
【0048】
さらに、本発明のセラミックスヒーターを2ゾーン式とする場合では、図10に示すような従来のヒーターと異なり、第一の加熱領域2に接続される接続部材14を、第一の加熱領域2内に設けることができるので、第一の加熱領域2と接続部材14とを結ぶ導電経路を第二の加熱領域3中に設ける必要が無い。よって、2ゾーン式の場合、さらに均熱性のよいセラミックスヒーターとすることができる(図4参照)。
【0049】
また、接続部材14は板状部材12から突出するとともに、該突出部18は被覆層21が形成されていない端子を構成するものとすることにより、凹部を設けた給電部材、例えば図6、図8に示すような棒状の給電部材34に接続することができ、該給電部材が破損したとしても交換することが可能で、ヒーター寿命が長くなる。
さらに、接続部材14は導電層19が被覆されて板状部材12に固定されるため、ヒーター熱およびヒーター重量等により破損し易いネジ(螺子)等を用いることなく、導電層19と接続部材14の接触が良好で耐久性が高く、ヒーター寿命が長いものとすることができる。
【0050】
また、接続部材14は、板状部材12の貫通孔13に圧入されたものであることが好ましい。これにより、板状部材と接続部材の接続に、ヒーター熱の大きさおよびヒーター重量にかかる負担が大きい等による破断の不具合の原因となるネジを使用しないため、導電層と接続部材の接触を長期間に渡って良好に保ち、安定して使用できる長寿命のセラミックスヒーターとすることができる。
【0051】
さらに、接続部材14は、板状部材12の貫通孔13に圧入されたものとすることにより、ネジ山部分の不具合を防ぐ目的で部材を太いものにする必要も無いので、接続部材14の断面積を小さくすることができ、外部へ流出する熱量を小さく抑えることができて被加熱物をより高い加熱効率で均一に加熱できる。なお、パーティクルの発生源となるボルトとナットを使用する必要もないため、不純物の飛散がなく高純度が要求される加熱プロセスにも対応できる。さらにこの場合、接続部材の一端面16と板状部材の主面15とがより正確に同一平面となるようにするために、圧入した後主面を平面研削する等により平面加工するのが好ましい。
【0052】
接続部材14の突出部18には、図6、8に示すように、該接続部材14とは別体であり導電性セラミックスからなる棒状の給電部材34の一端に設けられた凹部35が挿入され、該給電部材と接続されたものであることが好ましい(図7、図9参照)。これにより、棒状の給電部材の凹部35が設けられた一端とは反対側の他端に導線等との接続部36を設けてヒーター本体との間に十分な距離をとることができるので、前記導線等との接続部36での温度が低く、該接続に使用される圧着端子、ボルト、螺子、ナット等の部材のヒーター熱による劣化や、これに起因するパーティクルの飛散を抑えることができる。
また、給電部材34は、ヒーター本体と別体であるため、該給電部材34が損傷した場合は、当該部品のみを交換すればよいため寿命の長いヒーターとすることができる。
【0053】
接続部材14の突出部18は、突出部18に雄螺子が形成され、給電部材34の凹部35に雌螺子が形成され、雄螺子が雌螺子に螺合されることによって給電部材に接続されたものであることが好ましい。これにより、電気的接触を確実なものとすることができるとともに、給電部材やこれに形成した被膜が破損した場合の部材交換が容易であり、組立ても容易で保管や輸送時には空間を取らず利便性が高いものとすることができる。
【0054】
このように接続部材14が、使用時にヒーター熱が大きくヒーター重量がかかる負担も大きい板状部材と接続する部分を圧入によることとして、螺子(ネジ)を使用せず、破断等の不具合や不純物やパーティクルの飛散を防止することができ、その一方で、接続部材の給電部材との接続を螺子による螺合とすることで、破損し難いものとできるとともに、万が一、給電部材34やこれに形成した被膜が破損した場合の部材交換を容易にし、組立ても容易で保管や輸送時には空間を取らず利便性が高いセラミックスヒーターとすることができる。
【0055】
接続部材14は、導電性セラミックスからなるものであればよいが、グラファイト、炭化ケイ素焼結体、炭化ホウ素焼結体のいずれかからなるものであることが好ましい。これにより、耐熱性に優れたものとなる上に、上部においては外面に導電層19および被覆層21が被覆されるので、不純物の飛散がなく高純度が要求される加熱プロセスにも対応できるヒーターとなる。特に、グラファイトは、比較的安価で加工も容易であるためさらに好ましい。
【0056】
接続部材14の形状は、図1、図6、図8に示すように円柱形状を有するボルト状のものであることが好ましいが、これに限定されず、貫通孔13に挿入して固定できる形状であればよい。接続部材14の直径は特に限定されないが、貫通孔13に挿入される部分の直径は、3〜20mm、より好ましくは8〜14mmとすればよい。直径が3mmより大きいと折れ難く、直径が20mmより小さいと、接続部材14から外部への熱の流出が小さく、ヒーターの温度分布が均一になる。
【0057】
また、板状部材12は、一対以上の貫通孔13が形成された絶縁性セラミックスからなるものであって、ヒーターパターン20が形成される支持基材として機能するものであればよいが、熱分解窒化ホウ素、炭素を含有する熱分解窒化ホウ素、珪素を含有する熱分解窒化ホウ素、アルミニウムを含有する熱分解窒化ホウ素のいずれかからなるものであることが好ましい。これにより、板状部材12は、化学気相蒸着法により製造することができ、高い絶縁性を有し、高温での使用による不純物の飛散がなく高純度が要求される加熱プロセスにも対応できる。
【0058】
特に、1500℃付近の高温プロセスで、しかも100℃/min以上の急速な昇降温でも安定して使用することができる。板状部材12の厚さは、1〜5mmとするのが好ましく、より好ましくは2〜4mmである。板状部材12の厚さが1mmより厚ければ、部材に反りが発生することがない。また、5mmよりも薄ければ、板状部材12の厚さ方向の熱膨張と、棒状部材14との熱膨張量の差が大きくなり過ぎることなく、圧入部分で導電性セラミックスからなる導電層19や被覆層21にクラックや剥離が発生することもない。
【0059】
なお、板状部材12が炭素を含有する熱分解窒化ホウ素、珪素を含有する熱分解窒化ホウ素、アルミニウムを含有する熱分解窒化ホウ素である場合は、炭素含有量または珪素含有量またはアルミニウムの含有量が大きくなるにつれて板状部材の抵抗率は小さくなる。炭素含有量または珪素含有量またはアルミニウム含有量は、ヒーターパターン間の絶縁を保ち得る量に抑えられる必要がある。
また、板状部材12の形状は、被加熱物として大直径の円形の半導体ウエハを支持するため、図2、4のように円盤状が好ましいが、必要に応じて多角形の板状であってもよい。また、貫通孔13は、1対以上形成されるが、例えば、2ゾーン式のヒーターの場合、図2、5のように2対形成される。貫通孔13の形状は、接続部材14を挿入して固定できる形状であれば、特に限定されないが、円柱状の接続部材14を圧入して固定可能な円形形状であることが好ましい。
【0060】
さらに、導電層19は、導電性セラミックスからなるものであり、板状部材12およびその貫通孔13に挿入された接続部材14を被覆して固定するものである。これにより、接続部材14と板状部材12を固定することができるとともに、導電層と接続部材の電気的接触を良好にすることができる。
【0061】
導電層19は、熱分解グラファイト、ホウ素および/または炭化ホウ素を含有する熱分解グラファイトのいずれかからなるものとすることが好ましい。これにより、高温まで安定して使用することができるし、金属の箔や巻回線よりも加工が容易なためヒーターパターンを蛇行パターンとして、その幅や厚さを変えることにより、任意の温度傾斜をつけたり、熱環境に応じた発熱分布をもたせて均熱化したりすることが容易となる。さらに、化学気相蒸着法を用いれば、導電性ペーストをスクリーン印刷により塗布する手法よりも厚さを均一にできる。
【0062】
導電層19の厚さは、特に限定されないが、10〜300μm、特に30〜150μmとすることが望ましい。ヒーター温度を目的の温度に到達させ、かつ均熱化させるために、電源容量やヒーターパターン20の形状との兼ね合いをよく考慮し、適切な厚さを選択すればよい。
【0063】
ヒーターパターン20は、例えば機械加工により形成することができるが、図1のように、接続部材14の突出部18を有する側と反対側の一端面16と板状部材の主面15がなす同一平面の板状部材の主面15上にヒーターパターン20を有するものとすることができ、この場合、前述のように接続部材の端面16上にもヒーターパターンを形成することができ、このようなヒーターパターン20とすれば、被加熱物を高い加熱効率で均一に加熱することができる。
【0064】
このとき、ヒーターパターン20は、前記板状部材の主面15上に限らず、該主面と反対側の主面17上に形成してもよく、主面15上および主面17上の両方に形成してもよく、被加熱物を載置する平坦度や必要な熱量等に応じて設計することができる。
【0065】
ここで、ヒーターパターン20が形成されてない主面においては、前記接続部材同士の短絡を防ぐために、電気的に絶縁されたものとすることが必要となる。例えば、図5、図1に示すように、裏面に溝22を機械加工により設ける等することによって導電層の除去部を形成することにより、電気的な絶縁を行うことができる。
【0066】
ヒーターパターン20は、例えば、図4に示すように、2ゾーン式として、一対の接続部材が、内側の白色部の第一の発熱領域2を形成するパターンに電流を供給できるようにし、他の一対の接続部材14が、外側の灰色部の第二の発熱領域3を形成するパターンに電流を供給できるようにヒーターパターン20を形成する。
【0067】
給電部材34は、接続部材14の突出部18が挿入される凹部35が設けられたものであればよいが、グラファイト、外表面がホウ素および/または炭化ホウ素を含有する熱分解グラファイトで被覆されたグラファイト、導電性炭化ケイ素焼結体、導電性炭化ホウ素焼結体、タンタル、タングステン、モリブデン、インコネル、ニッケル、ステンレスのいずれかからなるものであることが好ましい。
これによって、給電部材34は、導電性が高い上に融点も高いので、1000℃以上の加熱プロセスにも対応できるヒーターとなる。特に、グラファイトは、比較的安価で加工も容易であるためさらに好ましい。
【0068】
給電部材34は、図6に示すような絶縁性セラミックスからなる管状部材31により囲まれたものであることが好ましい。これにより、給電部材からの不純物やパーティクルの飛散が抑制されるとともに、給電部材は周囲の部材から絶縁されるヒーターとなるので、給電部材と周囲の部材との間の放電を防ぐことができる。
また、管状部材31に損傷が生じた場合、当該部品のみを交換すればよいため、寿命の長いヒーターとすることができる。
【0069】
管状部材31は、一端に底部32を有し該底部の中心部に貫通孔33が設けられたものであり、前記底部32の底面がヒーター本体に接し、貫通孔33に、接続部材14の突出部18が挿入され、さらに給電部材34が挿入されることで、給電部材34を囲繞するものとすることができる。これによって、ヒーター本体付近での絶縁性セラミックスによる導電体の囲繞を確実にすることができ、ヒーター熱による劣化に起因する不純物やパーティクルの飛散を確実に抑制することができる。
【0070】
また、図8のように、給電部材34上に、絶縁性セラミックスからなる被膜37が形成されたものであることが好ましい。これによって、給電部材34からの不純物やパーティクルの飛散が抑制されるとともに、給電部材34は周囲の部材から絶縁されるヒーターとなるので、給電部材34と周囲の部材との間の放電を防ぐことができる。
特に、前記給電部材上の被膜37が、凹部35と銅線等に接続する部分36を除く全体に形成され、前記被膜37がヒーター本体に密着するように凹部35と突出部18が接続されることにより、接続部材14や給電部材34と反応性のある雰囲気下でヒーターを使用することも可能となり、反応性雰囲気に侵食されることに起因する放電、ヒーター破損や不純物・パーティクルの飛散を効果的に抑制することができる。
特にこの場合、給電部材は、導電性セラミックスである、グラファイト、炭化ケイ素焼結体、炭化ホウ素焼結体からなるものとし、この上に、前記絶縁性セラミックスからなる被膜を形成したものとすれば、より高温で安定で不純物飛散が少ない給電部材となるので好ましい。
【0071】
被覆層21、管状部材31、給電部材上の被膜37は、熱分解窒化ホウ素、炭素を含有する熱分解窒化ホウ素、珪素を含有する熱分解窒化ホウ素、アルミニウムを含有する熱分解窒化ホウ素のいずれかからなるものであることが好ましい。このように、これらは化学気相蒸着法により容易に製造することができ、高温での使用でも安定で不純物の飛散がなく高純度が要求される加熱プロセスにも対応できるヒーターとなる。
【0072】
ここで被覆層21、管状部材31、給電部材上の被膜37が、炭素を含有する熱分解窒化ホウ素、珪素を含有する熱分解窒化ホウ素、アルミニウムを含有する熱分解窒化ホウ素である場合は、炭素含有量または珪素含有量またはアルミニウムの含有量が大きくなるにつれて板状部材の抵抗率は小さくなる。
従って、炭素含有量または珪素含有量またはアルミニウム含有量は、被覆層21については、ヒーターパターン間あるいはヒーターパターンと被加熱物の間の絶縁を保ち得る量に抑えられる必要があり、管状部材31、給電部材上の被膜37については、給電部材と周囲部材との間の絶縁を保ち得る量に抑えられる必要がある。
【0073】
以上のような本発明のセラミックスヒーターは、接続部材14の一端面16が板状部材12の主面15と同一平面をなすヒーターパターン20が形成された面側に、大直径の半導体ウエハ等の被加熱物を直置きにして、給電端子18から電力を供給することによって、ヒーター本体が大型化せずコンパクトな構造でありながら、被加熱物を高い加熱効率で均一に加熱することができ、不純物やパーティクルの飛散が少ないため、被加熱物への汚染が小さい上に、ヒーター寿命が長い。
【0074】
このような本発明のセラミックスヒーターは、板状部材12に一対以上の貫通孔13を形成し、該板状部材12上に導電層16を形成し、その後、該導電層16上に被覆層21を形成するセラミックスヒーター11の製造方法において、接続部材14を貫通孔13に挿入して、接続部材14の一端面16が板状部材の主面15と同一平面をなし、接続部材14の貫通孔13に挿入された側と反対側を板状部材12から突出するようにした後、接続部材14および板状部材12を一体的に被覆するように導電層19を形成して接続部材14と板状部材12を固着し、板状部材12の主面15、17上の導電層19を加工してヒーターパターンを形成し、その後、板状部材12、接続部材14、および導電層19を、接続部材14の突出部18を除いて一体的に被覆するように被覆層21を形成することによって製造することができる。
【0075】
これによって、セラミックスヒーター上に直接載置された被加熱物を均一に加熱でき、加熱効率も高く、ヒーター本体が大型化せずコンパクトであり、不純物やパーティクルの飛散が少なく寿命が長い本発明のセラミックスヒーターを容易に安価で製造することができる。
【実施例】
【0076】
以下、実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例)
まず、アンモニア4SLMと三塩化ホウ素2SLMを圧力10Torr、温度1850℃で反応させて直径310mm、厚さ2.5mmの熱分解窒化ホウ素製の板状部材を作製した。この板状部材の中心から半径102mm上の2箇所と半径111mm上の2箇所に直径12mmの貫通孔を設けた。
【0077】
次に、この貫通孔にグラファイト(東洋炭素(株)、IG−110)からなる円柱状の接続部材(直径:12+0.1〜0.2mm)を圧入した後、接続部材の一端面が板状部材と同一平面を成すように平面加工を施した。また、円柱の他端は板状部材から20mmの部分で切断し、M6のネジ加工を施して雄螺子を形成した。
【0078】
次に、このようにして形成した図2および図3に示すような板状部材と接続部材に対して、メタン3SLMと三塩化ホウ素0.1SLMとを圧力5Torr、温度1750℃で熱分解させて厚さ50μmの炭化ホウ素を含有する熱分解グラファイトからなる導電層を設け、これに機械加工を施して図4のようなヒーターパターンを形成し、2ゾーン式のセラミックスヒーターとした。
【0079】
ヒーター中心部分の第一の加熱領域と、その外側に位置する第二の加熱領域は、図4中のAで示された半径108.8mm部分で分割されており、第一の加熱領域はほぼ同心円形状、第二の加熱領域はリング形状を成している。
【0080】
裏面に形成された導電層は、図5に示したように接続部材の周囲に部分的に機械加工を施して除去した。さらにこのセラミックスヒーター上にアンモニア5SLMと三塩化ホウ素2SLMを圧力10Torr、温度1890℃の条件で反応させて、板状部材、接続部材、および導電層を、接続部材14の突出部18を除いて熱分解窒化ホウ素の絶縁膜で一体的に被覆し、直径300mm(12インチ)の大直径の半導体ウエハを加熱するための図1に示すようなセラミックスヒーターを完成させた。
【0081】
このヒーターを真空チャンバーにセットし、ヒーターに温度測定用の熱電対を取り付けた後、真空ポンプでチャンバー内圧力を5Paに減圧した。その後このヒーターを通電し、ヒートサイクル試験を行った。昇温速度は150℃/min、降温速度は100℃/minとし、300〜1100℃の間で500回の昇降温を問題なく行うことができた。ヒートサイクル試験の後、セラミックスヒーターを真空チャンバーを取出し、外観の確認を行ったところ、絶縁膜にクラック、剥離などの異常は観察されなかった。
【0082】
さらに、直径12mm、長さ100mmのグラファイト(東洋炭素(株)、IG−110)からなる円柱棒状の給電部材上に、アンモニア5SLMと三塩化ホウ素2SLMを圧力10Torr、温度1890℃の条件で反応させて、厚さ200μmの熱分解窒化ホウ素からなる被覆層を形成した。その後、給電部材の一端にM6の雌螺子を形成し、他端には電源からの導線に接続するために、同様にM6の雌螺子を形成した。
【0083】
この給電部材を図8に示すように上記の本発明のセラミックスヒーター11の本体に接続して図9に示すヒーターを完成し、これをチャンバーにセットし、ヒーターに温度測定用の熱電対を取り付け、直径300mmのシリコンウェーハをヒーター上に載置した後、チャンバー内に6Vol%H/Arを流量200ml/minで供給した。
【0084】
チャンバー内の雰囲気が置換された後、このヒーターに通電し、1100℃で10時間加熱したところ、ウェーハ全面を均一に加熱することができた。また、同様の条件で、1100℃、500時間のヒーターの連続加熱試験を行ったところ、途中で放電、断線は発生せず、500時間の連続加熱試験を問題なく行うことができた。
【0085】
このように、本発明のセラミックスヒーターであれば、直径300mm(12インチ)の大直径の半導体ウエハを加熱するためのヒーターであっても、接続部材の取り付け位置を板状部材上の半導体ウエハが載置される領域より外側にする必要がないので、ヒーター本体が大型化せずわずか直径310mm程度というコンパクトな構造のヒーターで、被加熱物を高い加熱効率で均一に加熱することができ、加熱時に不純物の飛散がなく高純度が要求される加熱プロセスにも対応することが可能となった。
【0086】
さらに、実施時に給電部材を破損させる事故があったが、予備の給電部材に容易に交換することができて、スムーズに加熱処理を再開することができ、ヒーター寿命も長いことが確認された。
【0087】
(比較例)
まず、アンモニア4SLMと三塩化ホウ素2SLMを圧力10Torr、温度1850℃で反応させて、実施例よりも大きい直径350mm、厚さ2.5mmの熱分解窒化ホウ素製の板状部材を作製した。そして、板状部材上にメタン3SMLと三塩化ホウ素、0.1SLMとを圧力5Torr、温度1750℃で熱分解させて厚さ50μmの炭化ホウ素を含有する熱分解グラファイトからなる導電層を設けて、これに機械加工を施して図10のような2ゾーン式の導電路経路6を有するヒーターパターンを形成した。
【0088】
そして、図10のように板状部材の外周部に直径5mmの貫通孔を2対を設け、該貫通孔に、M5のグラファイト(東洋炭素(株)、IG−110)ネジによって、直径10mm、長さ6mmの円柱状のグラファイト棒状部材を固定した。この際、グラファイトネジ〜ヒーター本体間およびヒーター本体〜グラファイト円柱間にグラファイトワッシャーを挟み込んだ。
【0089】
さらに、このセラミックスヒーター上にアンモニア5SLMと三塩化ホウ素2SLMを圧力10Torr、温度1890℃の条件で反応させて、板状部材、グラファイト棒状部材、グラファイトネジを熱分解窒化ホウ素の絶縁膜で一体的に被覆し、セラミックスヒーターを完成させた。
【0090】
しかし、このヒーターは、ハンドリングが困難で、このヒーターをチャンバーにセットする前に、グラファイト棒状部材を誤って破損させることがあった。この場合、ヒーター本体自体は無傷であるにもかかわらずグラファイト棒状部材がヒーター本体と一体的に被膜されているために、破損したグラファイト円柱を交換することができず、チャンバーへ取り付けることができなかったため、加熱試験を行うことができなかった。
【0091】
また、上記のようにグラファイト棒状部材をグラファイトネジで接続する場合、ネジによって表面が平坦にならないので、直径300mmのウェーハを加熱するためには、直径350mm程度の大型のヒーターとして、その外周部に接続部を形成しなければならず、これはコストアップの原因になった。さらに、導電路6が必要で面内の温度分布も悪いものであった。
【0092】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明のセラミックスヒーターの一例を示す断面図である。
【図2】本発明のセラミックスヒーターの板状部材および接続部材の一例を示す平面図である。
【図3】本発明のセラミックスヒーターの板状部材および接続部材の一例を示す側面図である。
【図4】本発明のセラミックスヒーターのヒーターパターンの一例を示す平面図である。
【図5】本発明のセラミックスヒーターの裏面の一例を示す平面図である。
【図6】本発明のセラミックスヒーターの給電部材を接続部材に接続する一例を示す断面図である。
【図7】本発明のセラミックスヒーターの給電部材を接続した一例を示す断面図である。
【図8】本発明のセラミックスヒーターの給電部材を接続部材に接続する他の一例を示す断面図である。
【図9】本発明のセラミックスヒーターの給電部材を接続した他の一例を示す断面図である。
【図10】従来技術の2ゾーン式のセラミックスヒーターのヒーターパターンのゾーン分割の一例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0094】
1…被加熱物の載置位置、 2…第一の加熱領域、 3…第二の加熱領域、
4、5…棒状部材、 6…導電経路、 11…セラミックスヒーター、
12…板状部材、 13…貫通孔、 14…接続部材、 15、17…板状部材の主面、
16…接続部材の一端面、 18…突出部(端子)、 19…導電層、
20…ヒーターパターン、 21…被覆層、 22…導電層の除去部(溝)、
31…管状部材、 32…底部、 33…貫通孔、 34…給電部材、 35…凹部、
36…接続部、 37…給電部材上の被膜。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、一対以上の貫通孔が形成された絶縁性セラミックスからなる板状部材と、該板状部材上に形成された導電性セラミックスからなる導電層と、該導電層上に形成された絶縁性セラミックスからなる被覆層とを備えたセラミックスヒーターであって、前記板状部材の貫通孔に導電性セラミックスからなる接続部材が挿入され、該接続部材の貫通孔に挿入された端面が前記板状部材の導電層が形成される主面と同一平面をなし、前記接続部材は前記導電層が被覆されて板状部材に固定されるとともに、前記板状部材の主面上に形成されたヒーターパターンを有する前記導電層と接続され、前記接続部材の前記板状部材の貫通孔に挿入された側と反対側は前記板状部材から突出するとともに該突出部は前記被覆層が形成されていない端子を構成するものであることを特徴とするセラミックヒーター。
【請求項2】
前記接続部材は、前記板状部材の貫通孔に圧入されたものであることを特徴とする請求項1に記載のセラミックスヒーター。
【請求項3】
前記ヒーターパターンは、前記接続部材の前記板状部材の貫通孔に挿入された側の端面と同一平面をなす前記板状部材の主面上、および/または、該主面と反対側の主面上に形成され、該ヒーターパターンが形成されてない主面においては前記接続部材同士が短絡しないように電気的に絶縁されたものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のセラミックスヒーター。
【請求項4】
前記板状部材は、熱分解窒化ホウ素、炭素を含有する熱分解窒化ホウ素、珪素を含有する熱分解窒化ホウ素、アルミニウムを含有する熱分解窒化ホウ素のいずれかからなるものであることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のセラミックスヒーター。
【請求項5】
前記接続部材は、グラファイト、炭化ケイ素焼結体、炭化ホウ素焼結体のいずれかからなるものであることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載のセラミックスヒーター。
【請求項6】
前記導電層は、熱分解グラファイト、ホウ素および/または炭化ホウ素を含有する熱分解グラファイトのいずれかからなるものであることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載のセラミックスヒーター。
【請求項7】
前記接続部材の突出部に、該接続部材とは別体であり導電性セラミックスまたは金属からなる棒状の給電部材の一端に設けられた凹部が挿入され、該給電部材と接続されたものであることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載のセラミックスヒーター。
【請求項8】
前記接続部材の突出部は、該突出部に雄螺子が形成され、前記給電部材の凹部に雌螺子が形成され、前記雄螺子が前記雌螺子に螺合されることによって前記給電部材に接続されたものであることを特徴とする請求項7に記載のセラミックスヒーター。
【請求項9】
前記給電部材は、グラファイト、外表面がホウ素および/または炭化ホウ素を含有する熱分解グラファイトで被覆されたグラファイト、炭化ケイ素焼結体、炭化ホウ素焼結体、タンタル、タングステン、モリブデン、インコネル、ニッケル、ステンレスのいずれかからなるものであることを特徴とする請求項7または請求項8に記載のセラミックスヒーター。
【請求項10】
前記給電部材は、絶縁性セラミックスからなる管状部材により囲まれたものであることを特徴とする請求項7ないし請求項9のいずれか一項に記載のセラミックスヒーター。
【請求項11】
前記管状部材は、一端に底部を有し該底部の中心部に貫通孔が設けられたものであり、前記底部の底面がヒーター本体に接し、前記貫通孔に、前記接続部材の突出部が挿入され、さらに前記給電部材が挿入されることで、給電部材を囲繞するものであることを特徴とする請求項10に記載のセラミックスヒーター。
【請求項12】
前記給電部材上に、絶縁性セラミックスからなる被膜が形成されたものであることを特徴とする請求項7ないし請求項9のいずれか一項に記載のセラミックスヒーター。
【請求項13】
前記被覆層、前記管状部材、前記給電部材上の被膜は、熱分解窒化ホウ素、炭素を含有する熱分解窒化ホウ素、珪素を含有する熱分解窒化ホウ素、アルミニウムを含有する熱分解窒化ホウ素のいずれかからなるものであることを特徴とする請求項1ないし請求項12のいずれか一項に記載のセラミックスヒーター。
【請求項14】
少なくとも、絶縁性セラミックスからなる板状部材に一対以上の貫通孔を形成し、該板状部材上に導電性セラミックスからなる導電層を形成し、その後、該導電層上に絶縁性セラミックスからなる被覆層を形成するセラミックスヒーターの製造方法であって、導電性セラミックスからなる接続部材を前記板状部材の貫通孔に挿入して、該接続部材の貫通孔に挿入された端面が前記板状部材の主面と同一平面をなし、前記接続部材の貫通孔に挿入された側と反対側を前記板状部材から突出するようにした後、前記接続部材および前記板状部材を一体的に被覆するように前記導電層を形成して接続部材と板状部材を固着し、前記板状部材の主面上の前記導電層を加工してヒーターパターンを形成し、その後、前記板状部材、前記接続部材、および前記導電層を、前記接続部材の突出部を除いて一体的に被覆するように前記被覆層を形成することを特徴とするセラミックスヒーターの製造方法。
【請求項15】
前記接続部材の前記板状部材の貫通孔への挿入は、圧入によることを特徴とする請求項14に記載のセラミックスヒーターの製造方法。
【請求項16】
前記ヒーターパターンを、前記接続部材の前記板状部材の貫通孔に挿入された側の端面と同一平面をなす前記板状部材の主面上、および/または、該主面と反対側の主面上に形成し、該ヒーターパターンを形成していない主面上の導電層を一部または全部除去することにより前記接続部材同士が短絡しないように電気的に絶縁することを特徴とする請求項14または請求項15に記載のセラミックスヒーターの製造方法。
【請求項17】
前記板状部材として、熱分解窒化ホウ素、炭素を含有する熱分解窒化ホウ素、珪素を含有する熱分解窒化ホウ素、アルミニウムを含有する熱分解窒化ホウ素のいずれかを用いることを特徴とする請求項14ないし請求項16のいずれか一項に記載のセラミックスヒーターの製造方法。
【請求項18】
前記接続部材として、グラファイト、炭化ケイ素焼結体、炭化ホウ素焼結体のいずれかからなるものを用いることを特徴とする請求項14ないし請求項17のいずれか一項に記載のセラミックスヒーターの製造方法。
【請求項19】
前記導電層を、熱分解グラファイト、ホウ素および/または炭化ホウ素を含有する熱分解グラファイトのいずれかを化学気相蒸着させることにより形成することを特徴とする請求項14ないし請求項18のいずれか一項に記載のセラミックスヒーターの製造方法。
【請求項20】
前記接続部材の突出部を、該接続部材とは別体であり導電性セラミックスまたは金属からなる棒状の給電部材の一端に形成された凹部に挿入し、該給電部材と接続することを特徴とする請求項14ないし請求項19のいずれか一項に記載のセラミックスヒーターの製造方法。
【請求項21】
前記接続部材の突出部の前記給電部材との接続は、前記接続部材の突出部に雄螺子を形成し、前記給電部材の凹部に雌螺子を形成し、前記雄螺子を前記雌螺子に螺合することにより行うことを特徴とする請求項20に記載のセラミックスヒーターの製造方法。
【請求項22】
前記給電部材として、グラファイト、外表面がホウ素および/または炭化ホウ素を含有する熱分解グラファイトで被覆されたグラファイト、炭化ケイ素焼結体、炭化ホウ素焼結体、タンタル、タングステン、モリブデン、インコネル、ニッケル、ステンレスのいずれかからなるものを用いることを特徴とする請求項20または請求項21に記載のセラミックスヒーターの製造方法。
【請求項23】
前記給電部材を、絶縁性セラミックスからなる管状部材により囲繞することを特徴とする請求項20ないし請求項22のいずれか一項に記載のセラミックスヒーターの製造方法。
【請求項24】
前記管状部材による囲繞は、絶縁性セラミックスからなる管状部材の一端に底部を形成し、該底部の中心部に貫通孔を設け、該貫通孔に前記接続部材の突出部を挿入し、前記底部の底面がヒーター本体に接するようにし、さらに前記突出部に前記給電部材を挿入して固定することにより行うことを特徴とする請求項23に記載のセラミックスヒーターの製造方法。
【請求項25】
前記給電部材として、表面上に、絶縁性セラミックスからなる被膜が形成されたものを用いることを特徴とする請求項20ないし請求項22のいずれか一項に記載のセラミックスヒーターの製造方法。
【請求項26】
前記被覆層、前記管状部材、前記給電部材上の被膜として、熱分解窒化ホウ素、炭素を含有する熱分解窒化ホウ素、珪素を含有する熱分解窒化ホウ素、アルミニウムを含有する熱分解窒化ホウ素のいずれかからなるものを用いることを特徴とする請求項14ないし請求項25のいずれか一項に記載のセラミックスヒーターの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−157661(P2007−157661A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−355426(P2005−355426)
【出願日】平成17年12月8日(2005.12.8)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】