説明

センサアンプ

【課題】 例えば部品の引っ掛かりを検出する光センサの出力に従ってエアブロアを駆動するに際し、高価なプログラマブルコントローラを用いることなく簡易に、しかも確実にその作動を制御することのできるセンサアンプを提供する。
【解決手段】 光センサの出力のオン継続時間が設定時間を超えたときに制御信号を出力すると共に、制御信号を出力した後にもセンサ出力のオン状態が継続するときには制御信号を繰り返し出力する。好ましくはセンサ出力を受けて動作するオンディレイタイマと、このオンディレイタイマの出力信号を受けて制御信号を生成するワンショット回路とを備える。特にオンディレイタイマを、センサ出力がオンとなったときに計時動作を開始して設定時間経過後に出力信号を生成すると共に、ワンショット回路が生成する制御信号を受けて初期化されて再び上記計時動作を開始するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば部品搬送供給装置上での物品の目詰まりを光学的に検出する光センサの出力から、目詰まりを生じた物品に圧縮空気を吹き付ける等して上記部品搬送供給装置上から排除する排除機構を駆動する制御信号を生成するに好適なセンサアンプに関する。
【背景技術】
【0002】
回路基板に対する表面実装用の抵抗器や半導体等のチップ部品を連続して供給する部品搬送供給装置(パーツフィーダ等)は、例えば図1に示すように概略的には回転振動を利用したロータリパーツフィーダ1と、直線振動パーツフィーダ2とを備えて構成される。そしてロータリパーツフィーダ1の中央部(ボウル部)に供給された大量のチップ部品Aを該ロータリパーツフィーダ1の遠心力を利用してその外周縁部に整列させながら一方向に向けて送り込み、整列させたチップ部品Aを1個ずつ順に直線振動パーツフィーダ2に載せ替えることで、ベルトコンベア3に載置されて搬送される回路基板Bに向けて順次搬送するものとなっている(例えば特許文献1を参照)。
【0003】
尚、上記ロータリパーツフィーダ1には、その外周縁部に整列させたチップ部品3の上下面の向きやその整列方向を検査するための光センサ4,5が設けられ、また直線振動パーツフィーダ2にはチップ部品Aの満杯状態を検出するための光センサ6が設けられる。更には前記ロータリパーツフィーダ1と直線振動パーツフィーダ2との連結部分にはチップ部品Aの目詰まりを検出するための光センサ7が設けられている。そして光センサ7によりチップ部品Aの引っ掛かり(目詰まり)が検出されたとき、エアブロア8を駆動して上記チップ部品Aに圧縮空気を吹き付けることで該チップ部品Aを前記ロータリパーツフィーダ1と直線振動パーツフィーダ2との連結部から排除する(吹き飛ばす)ものとなっている。
【特許文献1】特開平7−285651号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで前記光センサ7は、ロータリパーツフィーダ1と直線振動パーツフィーダ2との連結部にチップ部品Aが存在することを光学的に検出するだけである。そこで従来においては光センサ7の出力がオンとなったとき(チップ部品Aの存在が検出されたとき)、専ら、プログラマブルコントローラの制御の下で前記エアブロア8を駆動している。具体的にはプログラマブルコントローラにて、例えばセンサ出力のオン継続時間を監視し、所定時間に亘ってオン状態が継続したときに前記エアブロア8を一定時間に亘って作動させるようにしている。
【0005】
しかしプログラマブルコントローラは、一般的に高価である。しかもセンサ出力は、チップ部品Aが上記連結部を定常的に通過するときにも変化し、また一時的な引っ掛かりを伴いながら通過するときにも変化する。これ故、チップ部品Aが真に引っ掛かって目詰まりを起こし、これを排除する必要がある場合にだけエアブロア8を駆動するには、プログラマブルコントローラにおける引っ掛かり検出アルゴリズム(動作プログラム)を種々工夫することが必要となる。
【0006】
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、その目的は、例えば部品の引っ掛かりを検出する光センサの出力に従ってエアブロアを駆動するに際し、高価なプログラマブルコントローラを用いることなく簡易に、しかも確実にその作動を制御することのできるセンサアンプを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を達成するべく本発明に係るセンサアンプは、物体の存在を光学的に検出する光センサにより求められるセンサ出力のオン継続時間が予め設定した時間を超えたときに制御信号を出力するものであって、
前記制御信号を出力した後にも前記センサ出力のオン状態が継続するとき、前記制御信号を繰り返し出力するようにしたことを特徴としている。
【0008】
好ましくは請求項2に記載するように前記センサアンプは、前記センサ出力を受けて動作するオンディレイタイマと、このオンディレイタイマの出力信号を受けて所定時間幅の制御信号を生成するワンショット回路とを具備して構成され、特に前記オンディレイタイマは、前記センサ出力がオンとなったときに計時動作を開始して予め設定した時間経過後に出力信号を生成すると共に、前記ワンショット回路が生成する制御信号を受けて初期化されて再び上記計時動作を開始することを特徴としている。
【0009】
ちなみに前記センサ出力は、請求項3に記載するように搬送路上の物品を光学的に検出する光センサからの物品検出信号であって、前記制御信号は上記搬送路上から物品を排除する排除機構に対する駆動信号として用いられる。
【発明の効果】
【0010】
上述した構成のセンサアンプによれば、センサ出力がオン状態となり、そのオン状態が予め設定した時間に亘って継続したときに制御信号が出力され、その後も上記センサ出力のオン状態が継続する場合には、上記制御信号が繰り返し出力されるので、単にセンサ出力のオン継続時間を監視するだけでその出力制御を簡易に実行することができる。しかもセンサアンプを、前記センサ出力を受けて動作するオンディレイタイマと、このオンディレイタイマの出力信号を受けて所定時間幅の制御信号を生成するワンショット回路とにより構成することができるので、高価なプログラマブルコントローラを用いることなく安価にセンサアンプを構築することができる。
【0011】
しかも前記オンディレイタイマを、前記センサ出力がオンとなったときに計時動作を開始して予め設定した時間経過後に出力信号を生成すると共に、前記ワンショット回路が生成する制御信号を受けて初期化されて再び上記計時動作を開始するように構成するだけで上述した制御信号を繰り返して出力することができるので、センサアンプの構成およびその制御アルゴリズムの簡素化を図ることが可能となる。
【0012】
特にセンサ出力が搬送路上の物品の引っ掛かりを光学的に検出する光センサからの物品検出信号であるとき、前記制御信号を上記搬送路上から物品を排除する排除機構に対する駆動信号として用いれば、搬送路を定常的に通過する物品や、一時的に引っ掛かりを生じただけの物品に対しては制御信号が発せられることがない。そして搬送路上で引っ掛かりを生じた物品が排除されるまで前記排除機構に対する駆動信号(制御信号)が繰り返し出力されることになるので、簡易にして確実に上記物品を排除することが可能となる等の効果が奏せられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態に係るセンサアンプついて、部品搬送供給装置(パーツフィーダ等)におけるチップ部品の引っ掛かりを光学的に検出する光センサの出力から、引っ掛かりを生じたチップ部品に圧縮空気を吹き付けてその搬送路上から排除する排除機構(エアブロウ)を駆動する制御信号を生成する場合を例に説明する。
図1に示したようにこの種の部品搬送供給装置においては、その搬送路上におけるチップ部品Aの引っ掛かりを検出するセンサとして光センサ7が用いられる。そしてこの光センサ7を用いてチップ部品Aの存在が確認されたとき、センサアンプ等においてはそのセンサ出力がオン[正論理でH]となることを利用してエアブロウ8を駆動する制御信号を生成するように構成される。
【0014】
このようなセンサアンプにおいて、本発明が特徴とするところは上記光センサ7の出力(センサ出力)のオン継続時間Tonが予め設定した時間Tsetを超えたとき、エアブロウ8を駆動するための制御信号Drivを出力し、更に上記制御信号Drivを出力した後にも前記センサ出力のオン状態が継続するときには前記制御信号Drivを繰り返し出力するようにした点にある。
【0015】
具体的にはこの実施形態に係るセンサアンプは、図2にその概略構成を示すように、前記センサ出力を受けて動作するオンディレイタイマ11と、このオンディレイタイマ11の出力信号を受けて所定時間幅の制御信号Drivを生成するワンショット回路12とを備えて構成される。そして前記オンディレイタイマ11においては、例えば前記センサ出力がオンとなったときに計時動作を開始して予め設定した時間(Tset)の経過後に出力信号を生成すると共に、この出力信号を受けて前記ワンショット回路12が生成する制御信号Drivを受けて初期化(リセット)されて再び上記計時動作を開始することで、前記センサ出力がオン状態を継続しているときには繰り返し出力信号を生成し、これによって前記ワンショット回路12に前記制御信号Drivを繰り返し生成させるようにしたことを特徴としている。
【0016】
上述したように機能するオンディレイタイマ11は、例えば簡単な構成のものとしては抵抗とコンデンサとにより構成されてセンサ出力がオン状態のときに積分動作する積分回路と、その出力レベル(積分値)を判定して出力信号を生成する比較器、および上記積分回路のリセット回路とを備えて実現される。或いは上記オンディレイタイマ11は、前記センサ出力がオン状態のときに所定周波数のクロックをプリセット値まで計数するカウンタと、そのリセット回路とにより構成される。
【0017】
この場合には、例えば上記カウンタのキャリーオーバ信号を出力信号とすれば良い。また前記リセット回路については、センサ出力がオフ状態に遷移したときに積分回路またはカウンタをリセットすると共に、モノマルチバイブレータ等により実現されるワンショット回路12が生成出力する前記制御信号Drivの立ち上がり、または立ち下がりを検出して上記積分回路またはカウンタをリセットするように構成すれば十分である。
【0018】
尚、上記オンディレイタイマ11に予め設定する時間Tsetは、部品整送装置(パーツフィーダ)における部品搬送速度等の仕様にもよるが、例えば5〜10秒程度とし与えるようにすれば良い。また制御信号Drivについては前述したエアブロウ8の性能(仕様)にもよるが、例えば0.5〜1秒程度として設定すれば十分である。また制御信号Drivを繰り返し出力する周期については、ここでは上記設定時間Tsetを基準として定めるものとなっているが、設定時間Tsetとは独立に設定することも勿論可能である。
【0019】
かくして上述した如く構成されたセンサアンプによれば、図3にその動作タイミングを示すように光センサ7によるセンシング部位をチップ部品Aが通過する都度、センサ出力がオン状態に変化しても、チップ部品Aが定常的に搬送されている場合にはその通過時間が短いのでセンサ出力のオン継続時間Tonが短い。従ってセンサ出力のオン継続時間Tonが前述した設定時間Tsetを越えることがないのでオンディレイタイマ11は出力信号を生成してワンショット回路12を駆動することがなく、故にワンショット回路12はエアブロウ8を駆動する制御信号Drivを生成出力することもない。
【0020】
しかしチップ部品Aに引っ掛かりが生じ、これに伴ってセンサ出力のオン継続時間Tonが長くなると、その継続時間が前述した設定時間Tsetを越えた時点でオンディレイタイマ11は出力信号を発生する。すると図3のタイミングt1に示すように上記出力信号を受けてワンショット回路12が制御信号Drivを生成し、エアブロウ8を駆動する。そしてこのエアブロウ8の駆動により搬送路に引っ掛かっていたチップ部品Aが吹き飛ばされて該搬送路上から排除されると、これに伴ってタイミングt2に示すようにセンサ出力がオフ状態に遷移するのでオンディレイタイマ11がリセットされ、その後、制御信号Drivが繰り返し生成出力されることがなくなる。
【0021】
これに対してチップ部品Aに引っ掛かりが生じ、これに伴ってセンサ出力のオン継続時間Tonが長くなり、前述したようにワンショット回路12にて制御信号Drivを生成出力してエアブロウ8を駆動したにも拘わらずチップ部品が排除されない場合には、図4に示すようにセンサ出力のオン状態が長時間に亘って継続する。するとオンディレイタイマ11は、ワンショット回路12が生成した制御信号Drivを受けてリセットされて前述した積分回路またはカウンタによる計時動作を再度開始することになる。そしてセンサ出力オン状態が更に設定時間Tset以上に亘って継続すると、オンディレイタイマ11は再度出力信号を生成してワンショット回路12を駆動することになる。この結果、ワンショット回路12から再び制御信号Drivが出力されてエアブロウ8が駆動されることになる。つまりセンサ出力のオン状態が継続する限り、図4に示すように制御信号Drivが繰り返し生成出力されることになる。そしてこのエアブロウ8の繰り返し駆動により、搬送路上で引っ掛かりを生じたチップ部品Aの確実な排除が行われることになる。
【0022】
尚、制御信号Drivの繰り返し出力回数が予め設定した管理回数を越えた場合、エアブロウ8による圧縮空気の吹き付けによるチップ部品Aの自動排除が困難であると判断し、例えば警報を発する等してチップ部品Aの手動排除を促すようにしても良い。この場合、上記制御信号Drivの出力回数を計数するだけで、チップ部品Aの排除処理が確実に行われているか否かを判断することが可能となるので、その制御系を簡易に構築することができる等の2次的な効果が奏せられる。
【0023】
このように本発明に係るセンサアンプによれば、センサ出力のオン継続時間Tonをタイマー管理してエアブロウ8を駆動する制御信号Drivを生成するだけで良いので、その構成が非常に簡単であり、プログラマブルコントローラのような高価な機器を用いる必要もなく安価に実現することができる。そしてセンサ出力を利用した引っ掛かり部品の排除と言う主目的を確実に果たすことができるので、その実用的利点が多大である。
【0024】
尚、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。ここではセンサ出力のオン状態を正論理のHレベルとして説明したが、負論理におけるLレベルをオン状態とする場合にも同様に適用することができる。また部品搬送供給装置に組み込んで光センサ7からのセンサ出力を利用してエアブロウ8を駆動する場合のみならず、超音波センサや放射線センサ等からのセンサ出力を用いて電磁弁やシリンダ等を駆動する必要のある他の装置に対しても同様に適用することができる。またセンサアンプの出力を用いて警報(ブザー)を鳴動する等して、作業者に部品排除処理を促すようにしても良い。その他、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明が適用される部品整送装置の概略構成を示す図。
【図2】本発明の一実施形態に係るセンサアンプの概略的な構成例を示す図。
【図3】チップ部品の定常的な搬送時、および軽度な引っ掛かりが生じた場合における図2に示すセンサアンプの動作タイミングを示す図。
【図4】チップ部品の頑固な引っ掛かりが生じた場合における図2に示すセンサアンプの動作タイミングを示す図。
【符号の説明】
【0026】
11 オンディレイタイマ
12 ワンショット回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサ出力のオン継続時間が予め設定した時間を超えたときに制御信号を出力するセンサアンプにおいて、
前記制御信号を出力した後にも前記センサ出力のオン状態が継続するとき、前記制御信号を繰り返し出力することを特徴とするセンサアンプ。
【請求項2】
請求項1に記載のセンサアンプであって、前記センサ出力を受けて動作するオンディレイタイマと、このオンディレイタイマの出力信号を受けて所定時間幅の制御信号を生成するワンショット回路とを具備し、
前記オンディレイタイマは、前記センサ出力がオンとなったときに計時動作を開始して予め設定した時間経過後に出力信号を生成すると共に、前記ワンショット回路が生成する制御信号を受けて初期化されて再び上記計時動作を開始することを特徴とするセンサアンプ。
【請求項3】
前記センサ出力は、搬送路上の物品を光学的に検出する光センサからの物品検出信号であって、前記制御信号は上記搬送路上から物品を排除する排除機構に対する駆動信号である請求項1に記載のセンサアンプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−304174(P2006−304174A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−126402(P2005−126402)
【出願日】平成17年4月25日(2005.4.25)
【出願人】(000006666)株式会社山武 (1,808)
【Fターム(参考)】