説明

センサ移動計画システム

【課題】全ターゲットについて総合的に誤差を小さくするのに適した移動方向を算出できるセンサ移動計画システムを得る。
【解決手段】センサ管理部2は、ターゲットからの信号を受信したセンサから受信波形を獲得する受信波形獲得機能25と、受信波形の観測時刻におけるセンサの位置を獲得する位置情報獲得機能24と、2つのセンサの受信波形を照合してセンサペアのターゲットまでの距離差及び相対速度差を求める受信波照合機能26と、前記距離差及び相対速度差を満たす、ターゲットの観測位置及び観測速度を算出する整合算出機能27とを有し、ターゲット管理部1は、ターゲットの観測位置及び観測速度から将来の時刻におけるターゲットの推定位置及び推定速度を算出する推定機能13を有し、センサ行動算出部3は、各センサについて、位置及び速度誤差改善ベクトルを総合した誤差改善ベクトルを算出し、次の時刻におけるセンサの位置を決定する改善方向決定機能31とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自身に発信機能を有さないパッシブセンサなど、単独のセンサではターゲット(目標)情報の獲得が困難で、他のセンサとセンサペアをつくり、相互の情報の照合によってターゲット情報を獲得するタイプのセンサで構成されるセンサ群の配置あるいは移動計画を指示するセンサ移動計画システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、センサはターゲットの近くにある方が、ターゲット情報を小さい誤差で獲得できる。センサ群の配置あるいは移動計画を指示するシステムにおいて、センサをターゲットの近くに配置あるいは接近方向へ運用するだけの技術は周知である。
【0003】
また、センサ群の配置あるいは移動計画を指示するシステムにおいて、ターゲット位置あるいはセンサ位置の誤差を小さくするために、1センサによる複数回の測定結果に基づき回帰分析を行う技術は周知である(例えば、特許文献1参照)。ここから容易に類推される、複数のセンサの測定結果に基づき回帰分析を行う技術も周知と考えられる。
【0004】
また、センサ群の配置あるいは移動計画を指示するシステムにおいて、ターゲットまでの距離を測定するために、条件を変えた複数回の測定結果の照合によって距離を求める技術(例えば、特許文献2参照)、あるいは、一般に双曲線航法の名前で周知となっている、条件を変えた複数の装置を用いた同時測定結果の照合によって距離を求める技術は周知である。
【0005】
【特許文献1】特開2003−202238号公報
【特許文献2】特開2003−279648号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
同じ数のセンサ群でも配置の違いにより、ターゲット(目標)の位置や速度の測定誤差が異なる。ターゲットは通常複数あるので、どのターゲットに対しても小さい測定誤差になるようなセンサ群の配置を求めることは困難である。
【0007】
また、センサペアから見たターゲットの位置についてのトレードオフもある。例えば、ターゲットの位置誤差は、センサペアを結ぶ直線からなるべく角度の大きい場所にある方が小さい。これに対して、センサ間の距離は、大きい方が各センサの位置誤差から生じるセンサペアの角度誤差が小さくなる一方、小さい方がセンサペアの回転が高速になり、ターゲットの位置誤差を早急に小さくできる。
【0008】
センサ位置に関する上記のようなトレードオフを含む諸条件の存在により、従来はセンサの位置を適切に決定できないという問題点があった。また、センサの移動計画も、適切に決定できないという問題点があった。
【0009】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、その目的は、全ターゲットの位置誤差及び速度誤差に関する諸条件の重みづけを高速に算出する機能を備えることにより、全ターゲットについて総合的に誤差を小さくするのに適した移動方向を算出することができ、センサの位置及びセンサの移動計画を適切に決定することができるセンサ移動計画システムを得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明に係るセンサ移動計画システムは、発信機能を持たないセンサ群の移動を指示するセンサ移動計画システムであって、ターゲットを管理するとともに、前記センサ群によるターゲットの観測結果に含まれる情報を記録する観測目標データベース、及び想定される仮想ターゲットの情報を記録する仮想目標データベースを有するターゲット管理部と、センサを管理するとともに、前記センサ群の情報を記録するセンサデータベース、前記センサ群の2つのセンサによって観測された情報を記録するセンサペアデータベース、及び前記センサ群に属するセンサから構成されたセンサグループへのターゲットの割当であるセンサ割当を記録するとともに、センサグループによって観測されたターゲットに関する情報を記録するセンサグループデータベースを有するセンサ管理部と、センサの行動を算出するセンサ行動算出部とを設けるものである。
【発明の効果】
【0011】
この発明に係るセンサ移動計画システムは、全ターゲットの位置誤差及び速度誤差に関する諸条件の重みづけを高速に算出する機能を備えることにより、全ターゲットについて総合的に誤差を小さくするのに適した移動方向を算出することができ、センサの位置及びセンサの移動計画を適切に決定することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
実施の形態1.
この発明の実施の形態1に係るセンサ移動計画システムについて図1から図9までを参照しながら説明する。図1は、この発明の実施の形態1に係るセンサ移動計画システムの構成を示すブロック図である。なお、以降では、各図中、同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0013】
図1において、この実施の形態1に係るセンサ移動計画システムは、ターゲット管理部1と、センサ管理部2と、センサ行動算出部3とが設けられている。
【0014】
ターゲット管理部1は、センサ群によるターゲット(目標)の観測結果に含まれる情報を記録する観測目標データベース(観測目標DB)11と、想定されるターゲットの情報を記録する仮想目標データベース(仮想目標DB)12とを有する。
【0015】
観測目標DB11は、観測対象であるターゲット群の、ターゲット毎に観測して得られた諸情報を、センサ管理部2から受取り、保持する。『諸情報』には、「観測時刻」、該観測時刻におけるターゲットの「観測位置」、「観測速度」、「観測位置誤差」、「観測速度誤差」が含まれる。
【0016】
仮想目標DB12は、ユーザの指定した仮想ターゲット群に関する諸情報を有する。仮想ターゲット群には、観測したターゲットから後述の推定機能により推定された諸情報を有する仮想ターゲットが含まれる。仮想目標DB12の諸情報には、観測時刻以外の複数の時刻における、観測ターゲットの諸情報、例えば「推定位置」、「推定速度」、「推定位置誤差」、「推定速度誤差」が含まれる。また、仮想ターゲット群には、ユーザにより指定された諸情報を有する仮想ターゲットが含まれる。この仮想ターゲットの諸情報には、ユーザの指定した時刻における「仮想位置」、「仮想速度」、「仮想位置誤差」、「仮想速度誤差」が含まれる。上記指定時刻は、特に後述の監視範囲の指定に用いる場合などにおいて、ある時刻範囲や全時刻範囲とする場合もある。
【0017】
また、ターゲット管理部1は、推定機能13と、優先度規則指定機能14と、優先度決定機能15と、監視範囲指定機能16と、ユーザ提示機能17と、DB情報提供機能18とを有する。
【0018】
推定機能13は、観測目標DB11の諸情報から仮想目標DB12の諸情報を推定する。例えば、観測位置と観測速度から指定時刻における推定位置を算出し、該時刻における推定速度を現在時刻の観測速度と同じと見なす。あるいは、複数時刻の観測位置から指定時刻における推定位置を外挿し位置の差から推定速度を算出する。
【0019】
優先度規則指定機能14は、ターゲット毎時刻毎に優先度を決定するための優先度規則をユーザから受付ける。
【0020】
優先度決定機能15は、優先度規則に従ってターゲット毎時刻毎に優先度を算出し付与する。この優先度決定機能15は、優先度規則と、ターゲット毎時刻毎の観測位置、観測速度、推定位置、推定速度のいずれか、あるいはすべてによって、優先度を決定する。例えば、優先度規則に、位置が指定範囲内の場合に高い優先度とし、範囲外であれば範囲から遠いほど優先度を低くするとあるなら、指定範囲内にある時刻毎のターゲットの優先度を高い優先度とし、範囲外にある時刻毎のターゲットの優先度を、優先度規則に従って低くする。仮想目標DB12及び観測目標DB11の諸情報には、ターゲット毎、時刻毎の「優先度」が含まれる。
【0021】
監視範囲指定機能16は、監視範囲及びその優先度をユーザから受付ける。この監視範囲指定機能16により、ターゲットが未検出でもセンサの配置を決定できる。仮想目標DB12の諸情報には、「監視範囲」及びその「優先度」が含まれる。監視範囲は、仮想ターゲットの集合で指定することもできる。ユーザの指定した範囲を、ユーザの定めた総数あるいはユーザの定めた密度でランダムに配置された、あるいはユーザの定めた配置規則に従って規則的に配置された仮想ターゲットの集合に変換して、仮想目標DB12に記録する。これにより、範囲に関する行動ルールを、推定位置や観測位置などの位置に関する行動ルールと共通化でき、システム開発が容易になる。
【0022】
ユーザ提示機能17は、観測目標DB11及び仮想目標DB12に保持された各情報を提示する。
【0023】
DB情報提供機能18は、センサ行動算出部3に観測目標DB11及び仮想目標DB12の諸情報を提供する。
【0024】
図2は、この発明の実施の形態1に係るセンサ移動計画システムにおけるターゲットとセンサの関係を示す図である。この図2では、具体的に、ターゲットA及びターゲットBに対してセンサaからセンサdまでの4つのセンサが行動するケースを示すとともに、ターゲット管理部1のユーザ提示機能17のうち、情報を図示する例も示す。センサ群に受信波が観測されると、センサ管理部2から、現在時刻T1でのターゲット群の現在時刻の位置及び速度が観測目標DB11に記録される。また、優先度決定機能15により、現在時刻の位置での優先度が観測目標DB11に記録される。また、推定機能13により、時刻T2及び時刻T3での推定位置が算出され仮想目標DB12に記録される。監視範囲にも監視範囲指定機能16により、優先度が付与される。監視範囲は、仮想ターゲットの集合で表現することもできる。このときの優先度は共通とすることもできるし、優先度決定機能15の利用するものと同一の優先度規則に基づいて決めることもできる。
【0025】
センサ管理部2は、センサ群の情報を記録するセンサデータベース(センサDB)21と、該センサ群の2つのセンサによって観測された情報を記録するセンサペアデータベース(センサペアDB)22と、該センサ群に属するセンサから構成されたセンサグループへのターゲットの割当(センサ割当)と、該センサグループによって観測された該ターゲットに関する情報を記録するセンサグループデータベース(センサグループDB)23とを有する。
【0026】
センサDB21は、観測手段であるセンサ群の、時刻毎センサ毎の諸情報を保持する。諸情報には、観測時刻におけるセンサの「位置」、「位置誤差」、「速度」、「速度誤差」が含まれる。また、センサDB21の諸情報には、各センサの今後の時刻毎の「位置」及び「速度」が含まれる。さらに、センサDB21の諸情報には、各センサの各時刻での「観測結果」、例えば「受信波形」が含まれる。
【0027】
センサペアDB22は、センサ群に属するセンサペア毎の、観測時刻における各センサの観測結果を照合して得られる諸情報を保持する。このセンサペアDB22の諸情報には、各ターゲットまでの「距離差」、各ターゲットの「相対速度差」が含まれる。諸情報は空値でもよい。
【0028】
センサグループDB23は、ターゲット管理部1の観測目標DB11及び仮想目標DB12に記録された各ターゲットと、その観測に用いるべき「センサグループ」を保持する。各センサグループは、センサペアの集合からなる。センサ行動算出部3からセンサ割当を受取り、センサグループDB23に記録する。
【0029】
図3は、この発明の実施の形態1に係るセンサ移動計画システムのセンサ、センサペア及びセンサグループの関係を示す図である。この図3は、センサDB21にセンサA、センサB、センサC、センサD、センサEの5センサの情報が格納され、観測目標DB11にターゲットX、ターゲットYの2ターゲットの情報が格納されている状態を示している。図3では、センサ割当により、センサグループABCDのセンサペアAB、センサペアBC、センサペアCDがターゲットXに割当てられている。また、センサグループABCEのセンサペアAB、センサペアBE、センサペアCEがターゲットYに割当てられている。この図3によれば、例えばセンサグループABCD、センサグループABCE双方にセンサA、センサB及びセンサCは含まれる。しかし、センサグループABCDにセンサペアBCは含まれるが、センサグループABCEにセンサペアBCは含まれない。
【0030】
また、センサ管理部2は、位置情報獲得機能24と、受信波形獲得機能25と、受信波照合機能26と、整合算出機能27と、移動指示機能28と、DB情報提供機能29とを有する。
【0031】
位置情報獲得機能24は、例えば各センサが適当な既存の手段で自位置を計測した結果を、センサとの通信により受取り、センサDB21に記録する。
【0032】
受信波形獲得機能25は、例えば各センサが適当な既存の手段で受信した波形を、センサとの通信により受取り、センサDB21に記録する。
【0033】
受信波照合機能26は、各センサからターゲットまでの距離差及び相対速度差を求め、センサペアDB22に記録する。この受信波照合機能26の適用をセンサ割当に記録されたセンサペアのみに制限する場合もある。それにより処理が高速化できる。
【0034】
整合算出機能27は、センサグループに含まれるセンサペア間の整合算出を行う。この整合算出機能27により、ターゲットの観測位置及び観測速度を算出し、得られたターゲット観測位置をターゲット管理部1に提供する。
【0035】
移動指示機能28は、センサ行動算出部3へセンサDB21の情報を提供し、センサ位置改善方向を受取り、そのままセンサに伝達する。あるいは、センサの現在の速度を考慮し、加速度ベクトルとして伝達する。あるいは、加速度に限界を設定し、限界以内の加速度ベクトルを計算して伝達する。
【0036】
DB情報提供機能29は、センサ行動算出部3にセンサDB21、センサペアDB22、センサグループDB23の諸情報を提供する。
【0037】
センサ行動算出部3は、改善方向決定機能31と、位置誤差改善ベクトル算出機能32と、速度誤差改善ベクトル算出機能33と、改善ベクトル制限機能34と、割当機能35とを有する。
【0038】
改善方向決定機能31は、ターゲット管理部1の観測目標DB11及び仮想目標DB12、並びにセンサ管理部2のセンサDB21、センサペアDB22及びセンサグループDB23を参照し、各センサについて誤差改善ベクトルを算出してセンサ管理部2のセンサDB21に記録する。この誤差改善ベクトルは、位置誤差改善ベクトル算出機能32により算出される位置誤差改善ベクトルと、速度誤差改善ベクトル算出機能33により算出される速度誤差改善ベクトルの、重みつき和で定義される。この重みは、ユーザが予め与えることができる。あるいは、対等に1ずつとすることも考えられる。
【0039】
位置誤差改善ベクトル算出機能32は、位置誤差関数の集合を、各ターゲットについて、センサグループDB23の該ターゲットへのセンサ割当を参照して、該センサ割当のセンサグループを用いて算出し、該誤差関数集合の各誤差関数に基づき、各センサについて位置誤差を小さくする位置誤差改善要素ベクトルを算出し、その重みつき和によって位置誤差改善ベクトルを算出する。
【0040】
速度誤差改善ベクトル算出機能33は、速度誤差関数の集合を、各ターゲットについて、センサグループDB23のセンサ割当を参照し、該センサ割当のセンサグループを用いて算出し、該誤差関数集合の各誤差関数に基づき、各センサについて速度誤差を小さくする速度誤差改善要素ベクトルを算出し、その重みつき和によって位置誤差改善ベクトルを算出する。
【0041】
改善ベクトル制限機能34は、各センサの改善方向を制限する。改善ベクトルの大きさは、センサの性能として所与の、センサの最大加速度を上限とする。センサが移動速度ベクトルを持つ場合、改善ベクトルと該移動速度ベクトルの差として計算されるベクトルの大きさは、センサの性能として所与の、センサの方向転換に関する最大加速度を上限とする。
【0042】
割当機能35は、センサ割当を決定する。この割当機能35は、上記センサ割当をセンサ管理部2のセンサグループDB23に記録する。割当機能35とは、指定されたターゲットの位置測定に用いるセンサペアを割当てる機能を指す。例えば、指定ターゲットから距離が近い順に所与の数のセンサを選び、その全センサペアの誤差関数を、ターゲットの誤差の縮小に寄与する順に並べる。その上位から所与の数のセンサペアを、該ターゲットへのセンサ割当とする。
【0043】
つぎに、この実施の形態1に係るセンサ移動計画システムの動作について図面を参照しながら説明する。図4は、この発明の実施の形態1に係るセンサ移動計画システムの動作を示すフローチャートである。
【0044】
観測ステップ101において、センサ管理部2は、いずれかのセンサがターゲットからの信号を受信すると、受信波形獲得機能25を用いて受信センサから受信波形を獲得し、センサDB21に記録する。また、センサ管理部2は、位置情報獲得機能24を用いて受信センサの観測時刻(受信時刻)の位置を獲得してセンサDB21に記録する。
【0045】
次に、照合ステップ102において、センサ管理部2は、いずれか複数のセンサが信号を受信して、複数のセンサでの受信波形がセンサDB21に記録されると、受信センサ同士でつくられるセンサペア集合に属する各センサペアについて、受信波照合機能26及び整合算出機能27を用いて、各ターゲットの観測位置及び観測速度を算出する。このとき、各ターゲットについて、上記センサペア集合がセンサ割当を包含する場合、センサ割当に含まれるセンサペアのみを用いて各ターゲットの観測位置及び観測速度を算出する。
【0046】
センサ管理部2は、センサグループDB23を参照して各ターゲットについてセンサペア群を獲得し、該センサペア群に属する各センサペアにおいて、該センサペアに属するセンサの受信波形を、受信波照合機能26によって照合し、さらに、センサペア間の整合算出機能27によってターゲットの観測位置及び観測速度を算出し、ターゲット管理部1の観測目標DB11に記録する。
【0047】
図5は、この発明の実施の形態1に係るセンサ移動計画システムにおけるターゲットまでの距離差について説明するための図である。ターゲットとセンサペアであるセンサ1及びセンサ2からなる三角形を考える。まず、位置情報獲得機能24は、各センサの位置を獲得し、該位置をセンサDB21に記録する。また、受信波形獲得機能25は、各センサで受信した受信波形を獲得し、該受信波形をセンサDB21に記録する。センサがパッシブの場合には、信号の発信時刻が不明なため、センサ1からターゲットまでの距離Rは、受信した波形からは、単独では特定できない。しかし、センサペアの受信波照合機能26、すなわちセンサ2の測定結果との受信波形の照合処理により、センサ2からターゲットまでの距離との差r12が判明する。センサ間距離がs12として与えられると、該三角形は距離Rを変数とする三角形集合として特定される。このターゲットに相当する位置の軌跡は、センサ間を結ぶ直線を回転軸とする双曲面である。空間中でこの距離Rを特定するには、センサペア間の整合算出機能27により、さらに別の2つのセンサペアによる双曲面との照合を行えばよい。この結果、すべての双曲面の交わる点が、ターゲットの観測位置となる。
【0048】
図6は、この発明の実施の形態1に係るセンサ移動計画システムにおけるターゲットの相対速度差について説明するための図である。この図6のターゲット及びセンサの位置関係は、図5と同様である。センサ1の受信波形からは、ターゲットの速度については、両者を結ぶ直線方向の成分(相対速度)しか測定できない。センサ2からも同様である。さらに、センサがパッシブの場合には、発信波形が不明なため、センサ1との相対速度Vは単独では測定できない。センサペアの受信波照合機能26、すなわちセンサ2の測定結果との照合処理により、両相対速度の差v12(=相対速度差)が判明する。
【0049】
次に、推定ステップ103において、ターゲット管理部1は、観測位置及び観測速度をセンサ管理部2から受け取り、観測目標DB11に記録し、推定機能13を用いて、観測目標の将来時刻の像である仮想ターゲットの諸情報を推定し、該諸情報を仮想目標DB12に記録する。
【0050】
図2は、ターゲットA及びターゲットBの現在時刻T1での位置及び速度、将来時刻T2及びT3での推定位置に対して、センサaからセンサdまでの4つのセンサがそれぞれの将来時刻における位置を決定した様子を示す。センサDB21には、現在時刻T1における各センサの位置、速度、位置誤差、速度誤差が記録される。また、センサDB21には、現在時刻T1において観測された受信波形が記録される。さらに、センサDB21には、計画として将来時刻T2及びT3のそれぞれにおける各センサの位置及び速度が記録される。センサペアDB22には、各ターゲットの観測に用いた全センサペアについて、ターゲット照合情報が記録される。このターゲット照合情報には、例えば各ターゲットまでの距離差、各ターゲットの相対速度差が含まれる。例えば、時刻T2のターゲットAに対し、センサペアab、センサペアbc、センサペアcdがセンサグループDB23にセンサ割当として記録されていたとすると、時刻T2のターゲットAの位置とセンサaの位置との距離及びセンサbとの距離の差がセンサペアabでの距離差としてセンサペアDB22に記録され、同様にセンサペアbc、センサペアcdに距離差が記録される。センサペアacは、ターゲットBに対しても受信波照合が行われなかった場合には、距離差は記録されない。
【0051】
次に、誤差見積ステップ104において、センサ行動算出部3は、ターゲット管理部1の観測目標DB11及び仮想目標DB12、並びにセンサ管理部2のセンサDB21、センサペアDB22及びセンサグループDB23の情報を参照し、位置誤差改善ベクトル算出機能32及び速度誤差改善ベクトル算出機能33を用いて、各誤差要因について、各ターゲット、各センサ、各センサペア、各センサ割当による、各センサの誤差改善ベクトルを算出する。
【0052】
位置誤差改善ベクトル算出機能32とは、上述したように、下記に列挙するような「位置誤差関数」の集合を、各ターゲットについて、センサグループDB23の該ターゲットへのセンサ割当を参照して、該センサ割当のセンサグループを用いて算出し、該誤差関数集合の各誤差関数に基づき、各センサについて位置誤差を小さくする「位置誤差改善要素ベクトル」を算出し、その重みつき和によって「位置誤差改善ベクトル」を算出する機能を指す。
【0053】
「位置誤差改善要素ベクトル」は、ひとつのセンサがひとつのターゲットの位置誤差を、「位置誤差関数」に基づいて小さくする方向及び大きさを有するベクトルである。上記の重みは例えば、ターゲットの優先度、あるいはその関数で与えられる。あるいは、誤差関数の種類毎に定めることができる。あるいは、すべて1として与えることも考えられる。
【0054】
「位置誤差関数」の集合は、センサ1つ対ターゲット1つで決まるものを含む。この誤差関数の根拠は、信号の強度がターゲットとセンサの距離の関数で表現されることによる。該誤差関数は、各センサの位置及び位置誤差と、各ターゲットの位置を入力変数とし、各ターゲットの位置誤差を出力変数にもつ関数である。該誤差関数に基づく各センサの「位置誤差改善要素ベクトル」は、誤差関数値の変動を大きさに持ち、ターゲットに接近する方向のベクトルになる。
【0055】
「位置誤差関数」の集合は、センサ2つ対ターゲット1つで決まるものを含む。この誤差関数の根拠は、センサペアを結ぶ線分と、2つのセンサとターゲットを結ぶ線分のなす角が、どちらも大きい方が誤差は小さいことによる。該誤差関数は、センサペアの各センサ位置及び位置誤差と、各ターゲット位置を入力変数とし、各ターゲットの位置誤差を出力変数にもつ関数である。該誤差関数に基づく各センサの「位置誤差改善要素ベクトル」は、誤差関数値の変動を大きさに持ち、上記角度が大きくなる方向のベクトルになる。
【0056】
「位置誤差関数」の集合は、センサ3つ対ターゲット1つで決まるものを含む。この誤差関数の根拠は、ターゲットから見て両端に位置する2センサとターゲットを結ぶ2線分のなす角度が90度に近いほど誤差は小さいことによる。該誤差関数は、3つのセンサの各センサ位置及び位置誤差と、各ターゲット位置を入力変数とし、各ターゲットの位置誤差を出力変数にもつ関数である。該誤差関数に基づく各センサの「位置誤差改善要素ベクトル」は、誤差関数値の変動を大きさに持ち、上記角度が90度に近くなる方向のベクトルになる。
【0057】
「位置誤差関数」の集合は、センサ4つ対ターゲット1つで決まるものを含む。この誤差関数の根拠は、3次元空間でターゲットから見て外縁に位置する3センサとターゲットを結ぶ3線分のそれぞれ2線分のなす角度が90度に近いほど誤差は小さいことによる。該誤差関数は、4つのセンサの各センサ位置及び位置誤差と、各ターゲット位置を入力変数とし、各ターゲットの位置誤差を出力変数にもつ関数である。該誤差関数に基づく各センサの「位置誤差改善要素ベクトル」は、誤差関数値の変動を大きさに持ち、上記角度が90度に近くなる方向のベクトルになる。
【0058】
図7及び図8は、この発明の実施の形態1に係るセンサ移動計画システムの位置誤差見積を説明するための図である。
【0059】
図7(a)に、誤差関数の図例として、ターゲットの位置誤差と、距離差の測定誤差の関係を示す。センサ1からターゲット候補1までの距離がR、センサ1からとセンサ2からの距離差がr12、距離差の誤差がΔr12とする。距離差が本当はr12+Δr12だった場合、例えばターゲット候補2で示される位置にターゲットがあることになる。そのずれはセンサ1とセンサ2を結ぶ線分と、センサ1とターゲット候補1を結ぶ線分の角度θ11と、センサ1とターゲット候補2を結ぶ線分の角度θ12との差で見積ることができ、ターゲット候補1とターゲット候補2の距離すなわちターゲットの位置誤差は、そのR倍と見積ることができる。距離差が固定の場合、上記の各角度と距離Rの関係は双曲線(3次元空間中では双曲面)を描くことが公知である。
【0060】
図7(b)に、別の誤差関数の図例として、ターゲットの位置誤差と、距離差の測定誤差及びセンサ位置誤差の関係を示す。センサ1を固定したときのセンサ2の相対的な位置誤差をΔs12とする。センサ1とセンサ2の距離をs12とする。ターゲット候補2の位置は最大でおよそΔs12/s12を正接(タンジェント)とする角度だけ上記θ12から離れた位置となる。図7(a)の図例と比べ、該角度の分だけターゲット候補2の位置がずれ、ターゲットの位置誤差の幅も該角度の分だけ大きくなる。ターゲット候補の位置誤差は、θ11が90度に近くなるほど小さくなる。ターゲット候補は、センサ1とセンサ2を結ぶ線分の垂直二等分平面上にあることが好ましい。
【0061】
図8(a)に、別の誤差関数の図例として、センサペア2つすなわちセンサ3つによる、ターゲットの位置誤差と、距離差の測定誤差の関係を示す。ターゲットの位置誤差は、ターゲットまでの距離Rをひとつ決めた場合、図7と同様に、センサペアからの角度の変化幅で表現できる。センサ1とセンサ2を結ぶ線分とターゲット候補とセンサ2を結ぶ線分との角度の変化幅と、センサ1とセンサ3を結ぶ線分とターゲット候補とセンサ3を結ぶ線分との角度の変化幅とを考えると、図8(a)のように、変化幅同士による四角形を考えることができ、この大きさがターゲットの位置誤差の大きさを表している。
【0062】
図8(b)には、センサ1とセンサ2の距離及びセンサ1とセンサ3の距離が近い場合の想定図例を示す。図8(b)でわかる通り、この四角形の大きさはターゲット候補とセンサ2を結ぶ線分と、ターゲット候補とセンサ3を結ぶ線分とが90度に近く交わるときに最小に近くなる。
【0063】
速度誤差改善ベクトル算出機能33とは、上述したように、下記に列挙するような「速度誤差関数」の集合を、各ターゲットについて、センサグループDB23のセンサ割当を参照し、該センサ割当のセンサグループを用いて算出し、該誤差関数集合の各誤差関数に基づき、各センサについて速度誤差を小さくする「速度誤差改善要素ベクトル」を算出し、その重みつき和によって「位置誤差改善ベクトル」を算出する機能を指す。
【0064】
「速度誤差改善要素ベクトル」は、ひとつのセンサがひとつのターゲットの速度誤差を、「速度誤差関数」に基づいて小さくする方向及び大きさを有するベクトルである。上記の重みは例えば、ターゲットの優先度、あるいはその関数で与えられる。あるいは、誤差関数の種類毎に定めることができる。あるいは、すべて1として与えることも考えられる。
【0065】
「速度誤差関数」の集合は、センサ1つ対ターゲット1つで決まるものを含む。この誤差関数の根拠は、信号の強度がターゲットとセンサの距離の関数で表現されることによる。該誤差関数は、各センサの位置、位置誤差、速度、速度誤差と、各ターゲットの位置及び速度を入力変数とし、各ターゲットの速度誤差を出力変数にもつ関数である。該誤差関数に基づく各センサの「速度誤差改善要素ベクトル」は、誤差関数値の変動を大きさに持ち、ターゲットに接近する方向とターゲットの速度ベクトルとの、重みつき和のベクトルになる。
【0066】
「速度誤差関数」の集合は、センサ2つ対ターゲット1つで決まるものを含む。この誤差関数の根拠は、ターゲットから見たセンサペアの各センサ間の角度が、90度に近い方が誤差は小さいことによる。該誤差関数は、センサペアの各センサ位置、位置誤差、速度、速度誤差と、各ターゲット位置及び速度を入力変数とし、各ターゲットの速度誤差を出力変数にもつ関数である。該誤差関数に基づく各センサの「速度誤差改善要素ベクトル」は、誤差関数値の変動を大きさに持ち、上記角度が90度に近くなる方向のベクトルになる。
【0067】
図9は、この発明の実施の形態1に係るセンサ移動計画システムのセンサ毎の誤差改善ベクトルと、位置誤差改善要素ベクトル及び速度誤差改善要素ベクトルの関係を示す図である。
【0068】
この図9では、観測目標DB11にターゲットX及びターゲットYの2ターゲットが格納され、センサDB21にセンサA、センサB、センサC、センサDの4センサが格納されている例のうち、センサA及びセンサBの誤差改善ベクトルに関係する部分の概略を示している。「位置誤差改善要素ベクトル」は、各ターゲット、各センサ、各センサペア、各センサグループに含まれるセンサ集合に対して計算される。「速度誤差改善要素ベクトル」も同様に、各ターゲット、各センサ、各センサペア、各センサグループに含まれるセンサ集合に対して計算される。
【0069】
センサ毎の誤差改善ベクトルは、関係する「位置誤差改善要素ベクトル」及び「速度誤差改善要素ベクトル」を重みつき集計したものになるので、センサAの誤差改善ベクトルは、「位置誤差改善要素ベクトルPAX」、「位置誤差改善要素ベクトルPAY」、「位置誤差改善要素ベクトルPABX」、「位置誤差改善要素ベクトルPABY」、「位置誤差改善要素ベクトルPABCDX」及び「位置誤差改善要素ベクトルPABCDY」と、「速度誤差改善要素ベクトルVAX」、「速度誤差改善要素ベクトルVAY」、「速度誤差改善要素ベクトルVABX」、「速度誤差改善要素ベクトルVABY」、「速度誤差改善要素ベクトルVABCDX」及び「速度誤差改善要素ベクトルVABCDY」を集計したものになる。
【0070】
同様に、センサBの誤差改善ベクトルは、「位置誤差改善要素ベクトルPBX」、「位置誤差改善要素ベクトルPBY」、「位置誤差改善要素ベクトルPABX」、「位置誤差改善要素ベクトルPABY」、「位置誤差改善要素ベクトルPABCDX」及び「位置誤差改善要素ベクトルPABCDY」と、「速度誤差改善要素ベクトルVBX」、「速度誤差改善要素ベクトルVBY」、「速度誤差改善要素ベクトルVABX」、「速度誤差改善要素ベクトルVABY」、「速度誤差改善要素ベクトルVABCDX」及び「速度誤差改善要素ベクトルVABCDY」を集計したものになる。
【0071】
次に、割当ステップ105において、センサ行動算出部3は、割当機能35を用いてターゲットにセンサグループを割当てる。つまり、割当機能35を用いてセンサペア、ターゲット割当を決定する。
【0072】
割当機能35とは、上述したように、指定されたターゲットの位置測定に用いるセンサペアを割当てる機能を指す。例えば、指定ターゲットから距離が近い順に所与の数のセンサを選び、その全センサペアの誤差関数を、ターゲットの誤差の縮小に寄与する順に並べる。その上位から所与の数のセンサペアを、該ターゲットへのセンサ割当とする。
【0073】
図2において、センサペア3つをセンサ割当とする場合を考える。時刻T3のターゲットAの測定誤差縮小には、時刻T3におけるセンサペアab、センサペアbc、センサペアcd、センサペアbdの順に寄与する場合、上位3センサペアであるセンサペアab、センサペアbc、センサペアcdをセンサグループDB23に記録する。該センサペア、ターゲット割当によって、一部のターゲットに対してセンサペア情報の照合処理を省略する。これで、照合処理を行っても、どのターゲットの誤差の改善にも貢献しないようなセンサペアの照合処理を省くこととなり、算出が高速化する。
【0074】
そして、移動計画策定ステップ106において、センサ行動算出部3は、誤差見積ステップ104で求めた誤差改善ベクトルと、センサ管理部2のセンサDB21、センサペアDB22及びセンサグループDB23の情報を参照し、上記センサ割当に従って、改善方向決定機能31を用いてセンサの次の位置を決定してセンサ管理部2に記録し、改善方向決定機能31により各センサの改善方向を決定して移動指示を出す。
【0075】
センサが信号を受信するたびに各ステップ101〜106を順に反復する。
【0076】
本実施の形態1は、全ターゲットの位置誤差及び速度誤差に関する諸条件の重みづけを高速に算出する機能を備えることにより、全ターゲットについて総合的に誤差を小さくするのに適したセンサ移動を算出できるようにし、センサの位置及びセンサの移動計画を適切に決定できる。
【0077】
また、本実施の形態1は、将来のターゲット位置及び速度を推定し、該位置及び速度における位置誤差及び速度誤差を小さくするのに適したセンサ移動を算出できるようにし、センサの位置及びセンサの移動計画を適切に決定できる。
【0078】
また、本実施の形態1は、ターゲット管理部1が、監視範囲をユーザから受付ける監視範囲指定機能16をさらに有し、センサ行動算出部3の位置誤差改善ベクトル算出機能32及び速度誤差改善ベクトル算出機能33において、監視範囲に属する仮想ターゲットも用いて位置誤差改善ベクトル及び速度誤差改善ベクトルをそれぞれ算出するもので、監視範囲を定め、該監視範囲における位置誤差及び速度誤差を小さくするのに適したセンサ移動を算出できるようにし、センサの位置およびセンサの移動計画を適切に決定できる。
【0079】
また、本実施の形態1は、ターゲット管理部1が、ターゲット毎時刻毎に優先度を決定するための優先度規則をユーザから受付ける優先度規則指定機能14と、優先度規則に従ってターゲット毎時刻毎に優先度を算出し付与する優先度決定機能15とをさらに有し、センサ行動算出部3の位置誤差改善ベクトル算出機能32及び速度誤差改善ベクトル算出機能33において、各ターゲットを優先度によって重みつけしたうえで位置誤差改善ベクトル及び速度誤差改善ベクトルをそれぞれ算出するもので、ターゲットの優先度を考慮することにより、重要なターゲットの位置誤差及び速度誤差を小さくするのに適したセンサ移動を算出できるようにし、センサの位置及びセンサの移動計画を適切に決定できる。
【0080】
また、本実施の形態1は、各センサが移動可能であり、各センサと本システムが通信可能であり、センサ管理部2の位置情報獲得機能24及び受信波形獲得機能25は、各センサとの通信によってセンサの位置及び受信波形を獲得し、センサ行動算出部3は、誤差改善ベクトル、並びにセンサの現在の位置及び速度とから、センサ位置改善方向に近い方向への運動を実現するための、運動可能範囲での加速度ベクトルを算出する改善ベクトル制限機能34をさらに有し、センサ管理部2は、加速度ベクトルを各センサに通信で伝えるもので、センサと連携するシステムであり、決定したセンサの移動計画を伝達することにより、位置誤差及び速度誤差のより小さいターゲット位置測定を可能にする。
【0081】
さらに、本実施の形態1は、各センサが計算機内の仮想的センサであり、センサ管理部2の位置情報獲得機能24及び受信波形獲得機能25は、仮想的センサの模擬によって得たセンサの位置及び受信波形を記録し、センサ行動算出部3は、誤差改善ベクトル、並びにセンサの現在の位置及び速度とから、センサ位置改善方向に近い方向への運動を実現するための、運動可能範囲での加速度ベクトルを算出する改善ベクトル制限機能34をさらに有し、加速度ベクトルによる移動結果を、センサDB21に記録するもので、センサと連携しないシステムであり、実際のセンサを使わずにセンサ移動計画を立案し検討できる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】この発明の実施の形態1に係るセンサ移動計画システムの構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係るセンサ移動計画システムにおけるターゲットとセンサの関係を示す図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係るセンサ移動計画システムのセンサ、センサペア及びセンサグループの関係を示す図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係るセンサ移動計画システムの動作を示すフローチャートである。
【図5】この発明の実施の形態1に係るセンサ移動計画システムにおけるターゲットまでの距離差について説明するための図である。
【図6】この発明の実施の形態1に係るセンサ移動計画システムにおけるターゲットの相対速度差について説明するための図である。
【図7】この発明の実施の形態1に係るセンサ移動計画システムの位置誤差見積を説明するための図である。
【図8】この発明の実施の形態1に係るセンサ移動計画システムの位置誤差見積を説明するための図である。
【図9】この発明の実施の形態1に係るセンサ移動計画システムのセンサ毎の誤差改善ベクトルと、位置誤差改善要素ベクトル及び速度誤差改善要素ベクトルの関係を示す図である。
【符号の説明】
【0083】
1 ターゲット管理部、2 センサ管理部、3 センサ行動算出部、13 推定機能、14 優先度規則指定機能、15 優先度決定機能、16 監視範囲指定機能、17 ユーザ提示機能、18 DB情報提供機能、24 位置情報獲得機能、25 受信波形獲得機能、26 受信波照合機能、27 整合算出機能、28 移動指示機能、29 DB情報提供機能、31 改善方向決定機能、32 位置誤差改善ベクトル算出機能、33 速度誤差改善ベクトル算出機能、34 改善ベクトル制限機能、35 割当機能。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発信機能を持たないセンサ群の移動を指示するセンサ移動計画システムであって、
ターゲットを管理するとともに、前記センサ群によるターゲットの観測結果に含まれる情報を記録する観測目標データベース、及び想定される仮想ターゲットの情報を記録する仮想目標データベースを有するターゲット管理部と、
センサを管理するとともに、前記センサ群の情報を記録するセンサデータベース、前記センサ群の2つのセンサによって観測された情報を記録するセンサペアデータベース、及び前記センサ群に属するセンサから構成されたセンサグループへのターゲットの割当であるセンサ割当を記録するとともに、センサグループによって観測されたターゲットに関する情報を記録するセンサグループデータベースを有するセンサ管理部と、
センサの行動を算出するセンサ行動算出部と
を備えたことを特徴とするセンサ移動計画システム。
【請求項2】
前記センサ管理部は、
ターゲットからの信号を受信したセンサから受信波形を獲得して前記センサデータベースに記録する受信波形獲得機能と、
前記受信波形の観測時刻におけるセンサの位置を獲得して前記センサデータベースに記録する位置情報獲得機能と、
前記センサグループデータベースを参照してターゲットについてセンサペア群を獲得し、前記センサペア群に属する各センサペアにおいて、センサペアに属する2つのセンサの受信波形を照合して前記センサペアのターゲットまでの距離差及び相対速度差を求める受信波照合機能と、
各ターゲットについて、対応するセンサグループに属するセンサペアで得られた距離差及び相対速度差を満たす、ターゲットの観測位置及び観測速度を算出して前記観測目標データベースに記録する整合算出機能とを有する
ことを特徴とする請求項1記載のセンサ移動計画システム。
【請求項3】
前記ターゲット管理部は、
前記観測目標データベースに記録されたターゲットの観測位置及び観測速度から想定される、将来の時刻におけるターゲットの推定位置及び推定速度を算出して前記仮想目標データベースに記録する推定機能を有する
ことを特徴とする請求項1記載のセンサ移動計画システム。
【請求項4】
前記センサ行動算出部は、
各ターゲットの観測位置及び推定位置、各センサの位置及び位置誤差、並びに前記距離差から、各センサについて位置誤差を小さくする位置誤差改善ベクトルを算出する位置誤差改善ベクトル算出機能と、
各ターゲットの観測位置、推定位置、観測速度及び推定速度、各センサの位置及び位置誤差、並びに前記相対速度差から、各センサについて速度誤差を小さくする速度誤差改善ベクトルを算出する速度誤差改善ベクトル算出機能と、
各センサについて、前記位置誤差改善ベクトル及び速度誤差改善ベクトルを総合した誤差改善ベクトルを算出し、次の時刻におけるセンサの位置を決定する改善方向決定機能と、
各ターゲットの位置測定に用いるセンサペアを割当てて前記センサグループデータベースに記録する割当機能とを有する
ことを特徴とする請求項1記載のセンサ移動計画システム。
【請求項5】
前記ターゲット管理部は、
監視範囲をユーザから受付ける監視範囲指定機能をさらに有し、
前記センサ行動算出部の位置誤差改善ベクトル算出機能及び速度誤差改善ベクトル算出機能において、前記監視範囲に属する仮想ターゲットも用いて位置誤差改善ベクトル及び速度誤差改善ベクトルをそれぞれ算出する
ことを特徴とする請求項4記載のセンサ移動計画システム。
【請求項6】
前記ターゲット管理部は、
ターゲット毎時刻毎に優先度を決定するための優先度規則をユーザから受付ける優先度規則指定機能と、
前記優先度規則に従ってターゲット毎時刻毎に優先度を算出し付与する優先度決定機能とをさらに有し、
前記センサ行動算出部の位置誤差改善ベクトル算出機能及び速度誤差改善ベクトル算出機能において、各ターゲットを優先度によって重みつけしたうえで位置誤差改善ベクトル及び速度誤差改善ベクトルをそれぞれ算出する
ことを特徴とする請求項4記載のセンサ移動計画システム。
【請求項7】
各センサは移動可能であり、各センサと本システムが通信可能であり、
前記センサ管理部は、
ターゲットからの信号を受信したセンサから受信波形を獲得して前記センサデータベースに記録する受信波形獲得機能と、
前記受信波形の観測時刻におけるセンサの位置を獲得して前記センサデータベースに記録する位置情報獲得機能とを有し、
前記センサ管理部の位置情報獲得機能及び受信波形獲得機能は、各センサとの通信によってセンサの位置及び受信波形を獲得し、
前記センサ行動算出部は、
前記誤差改善ベクトル、並びにセンサの現在の位置及び速度とから、センサ位置改善方向に近い方向への運動を実現するための、運動可能範囲での加速度ベクトルを算出する改善ベクトル制限機能をさらに有し、
前記センサ管理部は、
前記加速度ベクトルを各センサに通信で伝える
ことを特徴とする請求項6記載のセンサ移動計画システム。
【請求項8】
各センサは計算機内の仮想的センサであり、
前記センサ管理部は、
ターゲットからの信号を受信したセンサから受信波形を獲得して前記センサデータベースに記録する受信波形獲得機能と、
前記受信波形の観測時刻におけるセンサの位置を獲得して前記センサデータベースに記録する位置情報獲得機能とを有し、
前記センサ管理部の位置情報獲得機能及び受信波形獲得機能は、前記仮想的センサの模擬によって得たセンサの位置及び受信波形を記録し、
前記センサ行動算出部は、
前記誤差改善ベクトル、並びにセンサの現在の位置及び速度とから、センサ位置改善方向に近い方向への運動を実現するための、運動可能範囲での加速度ベクトルを算出する改善ベクトル制限機能をさらに有し、
前記加速度ベクトルによる移動結果を、前記センサデータベースに記録する
ことを特徴とする請求項6記載のセンサ移動計画システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−170268(P2008−170268A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−3495(P2007−3495)
【出願日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】