説明

タイミングリカバリー回路

【課題】 構成を簡易にし、同期クロックのずれを小さくしたタイミングリカバリー回路を提供する。
【解決手段】 クロック入力信号に対するデータ入力信号の位相差を検出して位相差信号を出力すると共に異常時に異常信号を出力し、データ入力信号に特定期間変化がない場合に擬似信号を供給する位相比較器100と、VCXO109の制御電圧の中間値若しくはその付近の値の電圧が定電圧として供給され、平滑化された位相差信号と定電圧とを比較し、両信号の差分によりクロック入力信号に対するデータ入力信号の位相が進んでいる場合は位相を遅らせる制御電圧を、位相が遅れている場合は位相を進める制御電圧をVCXO109に出力するオペアンプ105と、オペアンプ105の位相差信号の入力端子とVCXO109の入力端子との接続を、異常信号によりオンにするスイッチ104とを有するタイミングリカバリー回路である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位相比較器を用いてクロック入力信号に対してデータ入力信号のタイミングを調整するタイミングリカバリー回路に係り、特に、回路構成を簡易にし、同期クロックのずれを小さくするタイミングリカバリー回路に関する。
【背景技術】
【0002】
[従来のタイミングリカバリー回路の構成:図7]
従来のタイミングリカバリー回路について図7を参照しながら説明する。図7は、従来のタイミングリカバリー回路の構成図である。
従来のタイミングリカバリー回路は、図7に示すように、位相比較器100′と、第1の抵抗器101と、第1のコンデンサ102と、第2の抵抗器103と、第1のスイッチ104aと、第2のスイッチ104bと、オペアンプ105と、第3の抵抗器106と、第4の抵抗器107と、第2のコンデンサ108と、電圧制御型水晶発振器(VCXO:Voltage Controlled Crystal Oscillator)109と、反転回路110とを備えている。
【0003】
尚、第3の抵抗器106、第4の抵抗器107、第2のコンデンサ108によって定電圧供給回路を構成し、オペアンプ105のプラス(+)端子と第2のスイッチ104bの入力端子に定電圧を供給している。
【0004】
位相比較器100′には、ホールド要求信号(HOLDIN)と、データ入力信号(DATAIN)と、クロック入力信号(CLKIN)が入力され、アラーム出力信号(ALMOUT)と、データ出力信号(DATAOUT)と、クロック出力信号(CLKOUT)が出力され、更に、位相差出力信号(PDOUT)と、スイッチ制御信号(SWON)が出力される。
【0005】
位相比較器100′は、CLKINとDATAINの位相を比較し、位相のずれに応じた信号レベル(電圧)を出力する。例えば、位相が進んでいる場合には、高めのレベルのPDOUTを出力し、位相が正常な場合には、中間レベルのPDOUTを出力し、位相が遅れている場合には、低めのレベルのPDOUTを出力する。
【0006】
そして、位相比較器100′は、正常な場合はLowレベルの信号をSWONとして出力し、ホールドオーバー又はアラームの場合はHighレベルの信号をSWONとして出力する。
【0007】
ここで、アラーム時とは、位相比較器において、データの変化が特定時間ない場合に発生される信号のことである。また、ホールドオーバーとは、位相比較器のHOLDINの入力端子にHOLDINが入力されていない場合に発生される信号である。
また、位相比較器100′は、アラーム時にはALMOUTを出力し、更に、DATAOUTとCLKOUTを出力する。
【0008】
[従来のタイミングリカバリー回路の動作]
従来のタイミングリカバリー回路において、正常時は、位相比較器100′のSWONの出力端子からはLowレベル信号が出力され、第1のスイッチ104aには反転回路110を介してHighレベルの信号が入力され、第2のスイッチ104bにはLowレベルの信号が入力される。すると、第1のスイッチ104aはオンとなり、第2のスイッチ104bはオフになる。
【0009】
また、ホールドオーバー又はアラーム時の異常時は、第1のスイッチ104aが反転回路110を介してオフとなり、第2のスイッチ104bがオンになる。
オペアンプ105は、そのプラス端子に定電圧回路から定電圧が印加され、マイナス端子には位相比較器100′のPDOUTの出力端子からの出力が第1の抵抗器101を介して印加される。ここで、プラス端子に印加される定電圧回路からの定電圧は、VCXO109の制御電圧の中間付近の値の電圧(中間レベルの信号)に設定されている。
【0010】
正常時には、第1のスイッチ104aがオンで、第2のスイッチ104bがオフとなるので、オペアンプ105は、入力信号(PDOUT)の差分に応じた増幅信号をVCXO109に出力する。
つまり、位相比較器100′で位相が進んでいる場合には、Highレベルの信号がオペアンプ105のマイナス端子に入力されるため、プラス端子の中間レベルの信号との差分として位相を遅らせる信号が第1のスイッチ104aを介してVCXO109に出力される。
【0011】
また、位相比較器100′で位相が遅れている場合には、Lowレベルの信号がオペアンプ105のマイナス端子に入力されるため、プラス端子の中間レベルの信号との差分として位相を進める信号が第1のスイッチ104aを介してVCXO109に出力される。
【0012】
そして、位相比較器100′で位相が適正である(進んでもおらず、遅れてもいない)場合には、中間レベルの信号がオペアンプ105のマイナス端子に入力され、プラス端子に入力される中間レベルの信号との差分がないため、位相を調整する信号は出力されない。
【0013】
また、ホールドオーバー又はアラーム時の異常時は、第1のスイッチ104aがオフになり、第2のスイッチ104bがオンとなって、定電圧回路からの定電圧が第2のスイッチ104bを介してVCXO109に出力され、異常時でもVCXO109には正常な制御電圧が印加される。
【0014】
尚、関連する先行技術として、特開2006−287484号公報「クロック・データリカバリ回路」(出願人:川崎マイクロエレクトロニクス株式会社)がある(特許文献1)。
特許文献1には、入力データに同期したクロックを生成し、そのクロックを用いて入力データを取り込むクロック・データリカバリ回路が示されている。
【0015】
また、特開平09−130240号公報「PLL回路」(出願人:日本電気株式会社)には、入力断検出回路が、入力信号が途絶えた場合に、入力信号の位相比較回路への入力を止め、電圧制御発振回路の出力信号同士を比較することで発振出力を保持し、零連続符号耐力の大きいリカバリ回路となるPLL回路が記載されている(特許文献2)。
【0016】
また、特開平11−313127号公報「回線接続装置」(出願人:安藤電気株式会社)には、クロック断検出回路が低速側線路から入力されるクロックについて断を検出すると、PLL回路から発生するクロックを網側及び端末側へ同期信号として出力する回線接続装置が記載されている(特許文献3)。
【0017】
また、特開2000−100082号公報「信号処理回路及び信号処理回路の制御方法」(出願人:富士通株式会社他)には、判定帰還型等化器のFWフィルタから出力される出力信号とFBフィルタから出力される帰還信号をループ制御回路で監視して帰還ループをオンオフ制御し、出力信号と帰還信号に基づいて加算器から出力される判定信号にクロック信号の位相引き込みを行うタイミングリカバリPLLにおける擬似ロックを防ぐ信号処理回路が記載されている(特許文献4)。
【0018】
【特許文献1】特開2006−287484号公報
【特許文献2】特開平09−130240号公報
【特許文献3】特開平11−313127号公報
【特許文献4】特開2000−100082号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
しかしながら、上記従来のタイミングリカバリー回路では、通常動作時とアラーム及びホールドオーバー要求時に、VCXOの制御電圧の設定を切り替えるために、切替スイッチが2個必要となって、簡易な構成とすることができないという問題点があった。
【0020】
また、上記従来のタイミングリカバリー回路では、入力デジタルデータ列で論理固定値が長く継続し、論理変化が少ない場合に、最初の変化データでの生成同期クロックが遅れてしまうという問題点があり、もし、変化データが同期クロックの1クロック分の場合には、同期クロックが生成されないおそれがあった。
【0021】
本発明は上記実情に鑑みて為されたもので、VCXOの制御電圧の設定を切り替えるための切替スイッチを1個にして構成を簡易にし、更に同期クロックのずれを小さくできるタイミングリカバリー回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、クロック入力信号に対してデータ入力信号のタイミングを調整するタイミングリカバリー回路であって、クロック入力信号に対するデータ入力信号の位相差を検出し、位相差信号を出力すると共に、ホールドオーバー又はアラーム時の異常時に異常信号を出力する位相比較器と、制御電圧によって発振する信号の位相を調整し、位相比較器のクロック入力信号として出力する電圧制御発振器と、位相比較器から出力される位相差信号を平滑化するフィルタ回路と、電圧制御発振器の制御電圧の中間値若しくはその付近の値の電圧を供給する定電圧回路と、フィルタ回路から出力される位相差信号と定電圧回路から供給される電圧とを比較し、両信号の差分によりクロック入力信号に対するデータ入力信号の位相が進んでいる場合は、位相を遅らせる制御電圧を電圧制御発振器に出力し、クロック入力信号に対するデータ入力信号の位相が遅れている場合は、位相を進める制御電圧を電圧制御発振器に出力する増幅器と、増幅器の位相差信号が入力される端子と電圧制御発振器の入力端子との接続を制御し、異常信号によって接続をオンにするスイッチとを有し、位相比較器が、データ入力信号に特定期間変化がない場合にデータ変化の擬似信号をフィルタ回路に供給することを特徴とする。
【0023】
本発明は、上記タイミングリカバリー回路において、定電圧回路から供給される電圧は中間レベルの信号であり、位相比較器から出力され、増幅器に入力される位相差信号が、クロック入力信号に対するデータ入力信号の位相が進んでいる場合は中間レベルより高いレベルの信号であり、クロック入力信号に対するデータ入力信号の位相が遅れている場合は中間レベルより低いレベルの信号であることを特徴とする。
【0024】
本発明は、上記タイミングリカバリー回路において、位相比較器から擬似信号を出力する特定期間は、アラーム時と認定される期間より短いことを特徴とする。
【0025】
本発明は、上記タイミングリカバリー回路において、位相比較回路が、クロック信号の立ち上がりで入力データをシフトする第1のシフト手段と、クロックの立ち下がりで第1のシフト手段からの出力をシフトする第2のシフト手段と、クロックの立ち上がりで第2のシフト手段からの出力をシフトする第3のシフト手段と、入力データを遅延させる第1の遅延手段と、第3のシフト手段からの出力を遅延させる第2の遅延手段と、クロック信号の出力を遅延させる第3の遅延手段と、第1の遅延手段からの出力と第1のシフト手段からの出力との否定排他的論理和を出力する否定排他的論理和出力手段と、第1のシフト手段からの出力と第2のシフト手段からの出力との排他的論理和を出力する排他的論理和出力手段と、否定排他的論理和出力手段の出力と排他的論理和出力手段の出力とを抵抗加算し、位相差信号として出力する抵抗加算手段と、抵抗加算手段の後段に、抵抗加算手段からの出力の利得調整を行う増幅器と、クロック入力信号のクロックを特定数カウントし、特定数になるとアラーム信号を出力すると共に、排他的論理和出力手段からの出力によってカウント値をクリアし、特定数をカウントする期間より短い、排他的論理和出力手段からの出力が入力されない特定期間を経過すると、擬似的にデータ変化の信号を出力するアラーム計数手段と、ホールドオーバー要求信号とアラーム信号を入力し、いずれかの信号が入力されている場合にスイッチをオンする異常信号を出力する論理和出力手段と、アラーム計数手段から出力されたデータ変化の信号に基づいて1又は数クロック分の擬似信号を出力する擬似信号発生手段と、論理和出力手段からの異常信号が出力された場合及び擬似信号発生手段からの擬似信号が出力された場合に、排他的論理和出力手段からの出力と否定排他的論理和出力手段からの出力とを無効化する無効化手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、クロック入力信号に対してデータ入力信号のタイミングを調整するタイミングリカバリー回路であって、位相比較器がクロック入力信号に対するデータ入力信号の位相差を検出し、位相差信号を出力すると共に、ホールドオーバー又はアラーム時の異常時に異常信号を出力し、電圧制御発振器が制御電圧によって発振する信号の位相を調整し、位相比較器のクロック入力信号として出力し、フィルタ回路が位相比較器から出力される位相差信号を平滑化し、定電圧回路が電圧制御発振器の制御電圧の中間値若しくはその付近の値の電圧を供給し、増幅器がフィルタ回路から出力される位相差信号と定電圧回路から供給される電圧とを比較し、両信号の差分によりクロック入力信号に対するデータ入力信号の位相が進んでいる場合は、位相を遅らせる制御電圧を電圧制御発振器に出力し、クロック入力信号に対するデータ入力信号の位相が遅れている場合は、位相を進める制御電圧を電圧制御発振器に出力し、スイッチが増幅器の位相差信号が入力される端子と電圧制御発振器の入力端子との接続を制御し、異常信号によって接続をオンにするものであり、位相比較器が、データ入力信号に特定期間変化がない場合にデータ変化の擬似信号をフィルタ回路に供給するものとしているので、回路構成を簡易にでき、データ入力信号の変化がない状態が継続した場合でも同期クロックのずれを小さくできる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
[実施の形態の概要]
本発明の実施の形態に係るタイミングリカバリー回路は、クロック入力信号に対するデータ入力信号の位相差を検出し、位相差信号を出力すると共に、ホールドオーバー又はアラーム時の異常時に異常信号を出力する位相比較器と、制御電圧によって発振する信号の位相を調整し、位相比較器のクロック入力信号として出力する電圧制御発振器と、位相比較器から出力される位相差信号を平滑化するフィルタ回路と、電圧制御発振器の制御電圧の中間値若しくはその付近の値の電圧を供給する定電圧回路と、フィルタ回路から出力される位相差信号と定電圧回路から供給される電圧とを比較し、両信号の差分によりクロック入力信号に対するデータ入力信号の位相が進んでいる場合は、位相を遅らせる制御電圧を電圧制御発振器に出力し、クロック入力信号に対するデータ入力信号の位相が遅れている場合は、位相を進める制御電圧を電圧制御発振器に出力する増幅器と、増幅器の位相差信号が入力される端子と電圧制御発振器の入力端子との接続を制御し、異常信号によって接続をオンにするスイッチとを有し、更に、位相比較器が、データ入力信号に特定期間変化がない場合に擬似的にデータ変化の信号をフィルタ回路に供給するものであり、正常時と異常時における制御を1つのスイッチで実現でき、回路構成を簡易にできるものであり、更に、データ入力信号の変化がない状態が継続した場合でも同期クロックのずれを小さくできるものである。
【0028】
ここで、請求項のタイミングリカバリー回路における「フィルタ回路」は直列に接続された第1の抵抗器101、第1のコンデンサ102、第2の抵抗器103に相当し、「増幅器」はオペアンプ104に相当し、位相比較器における「第1のシフト手段」は第1のフリップフロップ14に相当し、「第2のシフト手段」は第2のフリップフロップ15に相当し、「第3のシフト手段」は第3のフリップフロップ16に相当し、「第1の遅延手段」は第1の遅延回路7に相当し、「第2の遅延手段」は第2の遅延回路17に相当し、「第3の遅延手段」は第3の遅延回路24に相当し、「否定排他的論理和出力手段」はエクスクルーシブノアゲート8に相当し、「排他的論理和出力手段」はエクスクルーシブオアゲート9に相当し、「抵抗加算手段」は並列接続の第1の抵抗器12と第2の抵抗器13に相当し、「増幅器」はオペアンプ26に相当し、「アラーム計数手段」はアラームカウンタ4に相当し、「論理和出力手段」はオアゲート5が相当し、「無効化手段」はノアゲート6、第1のナンドゲート10及び第2のナンドゲート11に相当し、「擬似信号発生手段」は第4のフリップフロップ27、第5のフリップフロップ28及びアンドゲート29に相当している。
【0029】
[実施の形態に係るタイミングリカバリー回路:図1]
本発明の実施の形態に係るタイミングリカバリー回路について図1を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施の形態に係るタイミングリカバリー回路の構成図である。
本発明の実施の形態に係るタイミングリカバリー回路(本回路)は、図1に示すように、位相比較器(ALMDET)100と、第1の抵抗器101と、第1のコンデンサ102と、第2の抵抗器103と、スイッチ104と、オペアンプ105と、第3の抵抗器106と、第4の抵抗器107と、第2のコンデンサ108と、電圧制御型水晶発振器(VCXO)109とを基本的に有している。
【0030】
第1の抵抗器101、第1のコンデンサ102、第2の抵抗器103、オペアンプ105でループフィルタを構成している。
また、第1の抵抗器101、第1のコンデンサ102、第2の抵抗器103によりフィルタ回路を構成しており、位相出力信号(PDOUT)の電圧を平滑化してオペアンプ105に出力する。
図1におけるループフィルタのオペアンプ特性は反転であり、VCXO109の制御電圧が正極性であることが前提となっている。
【0031】
尚、第3の抵抗器106、第4の抵抗器107、第2のコンデンサ108によって定電圧供給回路を構成し、オペアンプ105のプラス(+)端子に定電圧を供給している。
この定電圧は、VCXO109の制御電圧の中間値の電圧若しくはその付近の値の電圧となるよう設定されるものである。
【0032】
[各部]
本回路の各部について具体的に説明する。
位相比較器100には、ホールド要求信号(HOLDIN)と、データ入力信号(DATAIN)と、クロック入力信号(CLKIN)が入力され、アラーム出力信号(ALMOUT)と、データ出力信号(DATAOUT)と、クロック出力信号(CLKOUT)が出力され、更に、位相出力信号(PDOUT)と、スイッチ制御信号(SWON)が出力される。
【0033】
位相比較器100は、CLKINとDATAINの位相を比較し、位相が進んでいる場合には、HighレベルのPDOUTを出力し、位相が正常な場合には、中間レベルのPDOUT(HighとLowの中間レベルの信号)を出力し、位相が遅れている場合には、LowレベルのPDOUTを出力する。
【0034】
そして、位相比較器100は、正常な場合はLowレベルの信号をSWONとして出力し、ホールドオーバー又はアラームの場合はHighレベルの信号をSWONとして出力する。
【0035】
また、位相比較器100は、アラーム時にはアラーム出力信号をALMOUTとして出力し、更に、入力されたデータ信号及びクロック信号をDATAOUTとCLKOUTとして出力する。
【0036】
定電圧供給回路は、第3の抵抗器106と第4の抵抗器107が直列に接続され、第4の抵抗器107と第2のコンデンサ108が並列に接続され、第3の抵抗器106の一端に電圧VDDが印加され、第4の抵抗器107の他端が接地(GND)されている。
ここで、コンデンサ108は、電源ノイズ除去用で設けられている。
そして、第3の抵抗器106と第4の抵抗器107で分圧された電圧が定電圧としてオペアンプ105のプラス(+)端子に供給されている。
【0037】
また、位相比較器出力端子からの位相出力信号(PDOUT)は、直列に接続された第1の抵抗器101と、第1のコンデンサ102と、第2の抵抗器103を介してVCXO109に入力されるとともに、オペアンプ105のマイナス(−)端子には、第1の抵抗器101と第1のコンデンサ102との間の電圧が印加され、オペアンプ105の出力もVCXO109に入力される。
【0038】
また、スイッチ104の入力端子側は、第1の抵抗器101と第1のコンデンサ102との間からオペアンプ105のマイナス端子に接続するラインに接続し、スイッチ104の出力端子側は、VCXO109の入力側に接続している。
【0039】
[本回路の動作]
本回路において、正常時は、位相比較器100のスイッチ制御出力端子からはSWONの信号としてLowレベル信号が出力され、スイッチ104にはLowレベルの信号が入力される。すると、スイッチ104はオフになる。
また、ホールドオーバー又はアラーム時の異常時は、位相比較器100のスイッチ制御出力端子からはSWONの信号としてHighレベル信号が出力され、スイッチ104はオンになる。
【0040】
そして、オペアンプ105は、そのプラス端子に定電圧回路から定電圧が印加され、マイナス端子には位相比較器100の位相比較器出力端子からの位相出力信号(PDOUT)が第1の抵抗器101を介して印加されている状態である。
ここで、プラス端子に印加される定電圧回路からの定電圧は、VCXO109の制御電圧の中間付近の値の電圧(中間レベルの信号)に設定されている。
【0041】
正常時には、スイッチ104がオフとなるので、オペアンプ105は、入力信号の差分に応じた増幅信号をVCXO109に出力する。
つまり、位相比較器100で位相が進んでいる場合には、Highレベルの信号がオペアンプ105のマイナス端子に入力されるため、プラス端子の中間レベルの信号との差分として位相を遅らせる信号がVCXO109に出力される。
【0042】
また、位相比較器100で位相が遅れている場合には、Lowレベルの信号がオペアンプ105のマイナス端子に入力されるため、プラス端子の中間レベルの信号との差分として位相を進める信号がVCXO109に出力される。
【0043】
そして、位相比較器100で位相が適正である(進んでもおらず、遅れてもいない)場合には、中間レベルの信号がオペアンプ105のマイナス端子に入力され、プラス端子に入力される中間レベルの信号との差分がないため、VCXO109には位相を調整する信号は出力されない。
【0044】
また、ホールドオーバー又はアラーム時の異常時は、スイッチ104がオンとなって、オペアンプ105の出力端子とマイナスの入力端子が短絡することになるため、オペアンプ105のプラス端子に入力される定電圧回路からの定電圧がオペアンプ105の出力端からそのままVCXO109に出力され、異常時でもVCXO109には正常な制御電圧が印加される。
つまり、異常時は、VCXO109の制御電圧を一定値にすることができる。
【0045】
[位相比較器:図2]
次ぎに、本発明の実施の形態に係るタイミングリカバリー回路における位相比較器100について図2を参照しながら説明する。図2は、本発明の実施の形態に係る位相比較器の回路図である。
本発明の実施の形態に係る位相比較器は、図2に示すように、ホールドオーバー要求端子1と、データ入力端子2と、クロック入力端子3と、アラームカウンタ4と、オアゲート5と、ノアゲート6と、第1の遅延回路7と、イクスクルーシブノアゲート8と、イクスクルーシブオアゲート9と、第1のナンドゲート10と、第2のナンドゲート11と、第1の抵抗器12と、第2の抵抗器13と、第1のフリップフロップ14と、第2のフリップフロップ15と、第3のフリップフロップ16と、第2の遅延回路17と、インバータ18と、スイッチ制御出力端子19と、アラーム出力端子20と、位相比較器出力端子21と、リカバリーデータ出力端子22と、リカバリークロック出力端子23と、第3の遅延回路24と、第3の抵抗器25と、オペアンプ26と、第4のフリップフロップ27と、第5のフリップフロップ28と、アンドゲート29とを有している。
【0046】
[各部]
ホールドオーバー要求端子1は、ホールドオーバー要求信号(HOLDIN)を入力し、オアゲート5の一方の入力端子に出力する。
データ入力端子2は、入力データ(DATAIN)を入力し、分岐して第1の遅延回路7の入力端子と第1のフリップフロップ14のデータ端子(D端子)に出力する。
【0047】
クロック入力端子3は、クロック入力信号(CLKIN)を入力し、分岐してアラームカウンタ4のクロック端子(CK端子)、第1のフリップフロップ14のクロック端子(CK端子)、第3のフリップフロップ16のクロック端子(CK端子)、インバータ18の入力端子、第3の遅延回路24の入力端子に出力する。
【0048】
アラームカウンタ(ALMCNT)4は、クロック入力信号がCK端子に入力され、クリア端子(CLR端子)にはイクスクルーシブオアゲート9の出力が入力される。
アラームカウンタ4は、クロック信号をカウントして特定のカウント値(例えば256カウント)になった場合(カウントアップの場合)に、Lowレベルの信号からHighレベルの信号に切り替えてY2出力端子から出力する。このHighレベルの信号が、アラーム信号である。
【0049】
また、アラームカウンタ4は、上記カウントアップとなる前の適宜なカウント(例えば256カウントより少ないカウント)の値でHighレベル信号をY1出力端子から第4のフリップフロップ27に出力する。この適宜なカウントの値が、アラーム時と判定される期間より短い特定期間を形成するものである。
更に、アラームカウンタ4は、イクスクルーシブオアゲート9からの出力によってカウンタをクリアする。クリアされると、アラームカウンタ4は、最初からカウントを開始する。
【0050】
オアゲート5は、ホールドオーバー要求端子1からのホールドオーバー要求信号とアラームカウンタ4からの出力信号を入力し、いずれかの信号がHighレベルの信号であれば、Highレベルの信号を分岐してスイッチ制御出力端子19とノアゲート6に出力する。オアゲート5から出力されるHighレベルの信号が、ホールドオーバー要求時及びアラーム時の信号となる。
【0051】
ノアゲート6は、オアゲート5とアンドゲート29からの信号が共にLowレベル信号の場合、Highレベル信号を、オアゲート5とアンドゲート29からの信号にHighレベル信号が含まれる場合、Lowレベル信号を、第1のナンドゲート10及び第2のナンドゲート11における各々一方の入力端子に出力する。つまり、ノアゲート6は、入力が共にLowレベルの信号であればHighレベルの信号に反転し、入力の一方又は双方がHighレベルの信号である場合、Lowレベルの信号を出力する。
【0052】
つまり、ノアゲート6は、正常時はHighレベルの信号出力し、ホールドオーバー要求時及びアラーム時、更に特定期間(アラーム時と判定される期間より短い期間)データに変化がない時では、1クロック分のLowレベルの信号(1パルス)を第1のナンドゲート10及び第2のナンドゲート11に出力する。本実施の形態では、1クロック分の1パルスを出力するようにしているが、2以上の数クロック分の1パルスを出力してもよい。特定期間データに変化が内場合の信号処理については後述する。
【0053】
第1の遅延回路(DELAY1)7は、第1のフリップフロップ14での処理の時間を考慮して、第1のフリップフロップ14からの出力信号に対して、位相の進み/遅れがない場合に、入力データを半クロック分位相が進むよう遅延させてイクスクルーシブノアゲート8の一方の入力端子に出力する。具体的には、第1のフリップフロップ14で1クロック分の処理時間を要するのであれば、第1の遅延回路7では、1/2クロック分遅延させるようにする。
【0054】
イクスクルーシブノアゲート(XNOR)8は、第1の遅延回路7からの出力と、第1のフリップフロップ14の出力端子(Q端子)からの出力を入力し、入力信号が共にHighレベルの信号又は共にLowレベルの信号の時にHighレベルの信号を、一方がHighレベルの信号で他方がLowレベルの信号の時にLowレベルの信号を第1のナンドゲート10の他方の入力端子に出力する。
【0055】
イクスクルーシブオアゲート(XOR)9は、第1のフリップフロップ14の出力端子からの出力と、第2のフリップフロップ15の出力端子からの出力とを入力し、一方がHighレベルの信号で他方がLowレベルの信号である時にHighレベルの信号を、入力信号が共にHighレベルの信号又はLowレベルの信号の時にLowレベルの信号をアラームカウンタ4のクリア端子と第2のナンドゲート11の他方の入力端子に出力する。
【0056】
第1のナンドゲート10は、ノアゲート6からの出力信号とイクスクルーシブノアゲート8からの出力信号とを入力し、双方の入力信号がHighレベルの信号の場合に、Highレベルの信号を出力する。
つまり、第1のナンドゲート10は、正常時にノアゲート6からHighレベルの信号が出力されるので、イクスクルーシブノアゲート8からの出力信号をそのまま出力し、ホールドオーバー要求時又はアラーム時、特定期間データに変化がない時等の異常時にはLowレベルの信号を出力する。
【0057】
第2のナンドゲート11は、ノアゲート6からの出力信号とイクスクルーシブオアゲート9からの出力信号とを入力し、双方の入力信号がHighレベルの信号の場合に、Highレベルの信号を出力する。
つまり、第2のナンドゲート11は、正常時にノアゲート6からHighレベルの信号が出力されるので、イクスクルーシブオアゲート9からの出力信号をそのまま出力し、ホールドオーバー要求時又はアラーム時、特定期間データに変化がない時等の異常時にはLowレベルの信号をする。
【0058】
第1の抵抗器12は、第1のナンドゲート10の出力側と位相比較器出力端子21の前段に設けられたオペアンプ26の入力側との間に設けられている。
第2の抵抗器13は、第2のナンドゲート11の出力側と位相比較器出力端子21の前段に設けられたオペアンプ26の入力側との間に設けられている。
【0059】
第1のフリップフロップ(DFF)14は、入力端子(D端子)と、クロック端子(CK端子)と、出力端子(Q端子)とを備え、入力端子にはデータ入力端子2からデータが入力され、クロック端子にはクロック入力端子3からクロックが入力され、入力されたデータをクロックの立ち上がりのタイミングで出力端子から出力する。
【0060】
第2のフリップフロップ(DFF)15は、入力端子(D端子)と、クロック端子(CK端子)と、出力端子(Q端子)とを備え、入力端子には第1のフリップフロップ14からデータが入力され、クロック端子にはインバータ18からの反転クロックが入力され、入力されたデータを反転クロックの立ち上がりのタイミングで出力端子から出力する。
従って、第2のフリップフロップ15からの出力は、第1のフリップフロップ14からの出力に比べて1/2クロックシフトしたものとなる。
【0061】
第3のフリップフロップ(DFF)16は、入力端子(D端子)と、クロック端子(CK端子)と、出力端子(Q端子)とを備え、入力端子には第2のフリップフロップ15からデータが入力され、クロック端子にはクロック入力端子3からクロックが入力され、入力されたデータをクロックの立ち上がりのタイミングで出力端子から出力する。
従って、第3のフリップフロップ16からの出力は、第2のフリップフロップ15からの出力に比べて1/2クロックシフトしたものとなり、第1のフリップフロップ14からの出力に比べて1クロックシフトしたものとなる。
【0062】
第2の遅延回路(DELAY2)17は、第3のフリップフロップ16から出力されたデータを位相比較器出力端子21からの出力と同期させるために遅延させ、リカバリーデータ出力端子22に出力するものである。
インバータ18は、クロック入力端子3から入力されたクロック信号を反転させ、第2のフリップフロップ15のクロック端子に出力する。
【0063】
スイッチ制御出力端子19は、オアゲート5からの出力信号を出力するものであり、図1のスイッチ104のオン/オフを制御するスイッチ制御信号(SWON)を出力する。
具体的には、オアゲート5にホールドオーバー要求信号又はアラーム信号が入力されたときは、Highレベルの信号がスイッチ制御信号として出力され、スイッチ104は、Highレベルの信号によりスイッチ104をオンするようになっている。
【0064】
アラーム出力端子20は、アラームカウンタ4のY2出力端子からのアラーム出力信号(ALMOUT)を出力するものである。
位相比較器出力端子21は、第1のナンドゲート10と第2のナンドゲート11からの出力信号が第1の抵抗器12及び第2の抵抗器13を介してオペアンプ26に入力し、利得調整が為されて位相出力信号(PDOUT)として出力される。
位相比較器出力端子21からの位相出力信号は、後述するように、位相の遅れ、正常、進みに対して大きく分けて3つの値(3つのレベル信号)をとるようになっている。
【0065】
リカバリーデータ出力端子22は、第2の遅延回路17からの出力データ(DATAOUT)を出力する。
リカバリークロック出力端子23は、第3の遅延回路24で遅延された入力クロック信号を出力クロック信号(CLKOUT)として出力する。
第3の遅延回路(DELAY3)24は、クロック入力端子3からの入力クロックを第2の遅延回路17から出力されるデータと同期させるために遅延させるものである。
【0066】
第3の抵抗器25は、オペアンプ26の入力側と出力側を接続するよう設けられている。
オペアンプ26は、位相出力信号(PDOUT)に対して利得調整を行い、更に出力インピーダンスを低く抑えることができるものである。
【0067】
第4のフリップフロップ27は、アラームカウンタ4のY1出力端子からの信号をD入力端子に入力し、CK端子に入力されるクロックで1クロック分信号をシフトしてQ出力端子から出力する。
尚、アラームカウンタ4のY1出力端子からは、正常時Lowレベルの信号が出力されるが、特定期間(Y2出力端子から出力されるカウントアップのHighレベルの信号が出力されるまでの期間より短い期間)データに変化がない場合にはHighレベルの信号が出力される。
【0068】
つまり、第4のフリップフロップ27は、通常、アラームカウンタ4からLowレベルの信号がD入力端子に入力されているので、Q出力端子からも1クロックシフトしてLowレベルの信号が出力され、アラームカウンタ4からHighレベルの信号がD入力端子に入力された場合に、Q出力端子からも1クロックシフトしてHighレベルの信号が出力される。
【0069】
第5のフリップフロップ28は、第4のフリップフロップ27のQ出力端子から出力された信号をD入力端子に入力し、CK端子に入力されるクロックで1クロック分信号をシフトして/Q出力端子から信号を反転出力する。
【0070】
従って、第5のフリップフロップ28の/Q出力端子は、通常、D入力端子にLowレベルの信号が入力されている状態では、Highレベルの信号が出力され、D入力端子にHighレベルの信号が入力されると、1クロック後にLowレベルの信号を出力する。
【0071】
アンドゲート29は、第4のフリップフロップ27のQ出力端子から信号と第5のフリップフロップ28の/Q出力端子から信号を入力し、両信号の論理積をノアゲート6の一方の入力端子に出力する。
【0072】
具体的には、アンドゲート29は、通常、第4のフリップフロップ27からLowレベルの信号が入力され、第5のフリップフロップ28からHighレベルの信号が入力されているので、出力はLowレベルの信号となる。
そして、アラームカウンタ4のY1出力端子から特定期間データに変化がない場合にHighレベルの信号が出力されると、第4のフリップフロップ27からHighレベルの信号が1クロックシフトされてアンドゲート29の一方の入力端子に入力され、但し第5のフリップフロップ28からはまだHighレベルの信号が出力されているので、アンドゲート29の他方の入力端子にHighレベルの信号が入力され、出力はHighレベルの信号となる。
【0073】
アンドゲート29からHighレベルの信号が出力されて1クロック後には、第5のフリップフロップ28のD入力端子へのHighレベルの信号入力を受けて、/Q出力端子からLowレベルの信号が出力される。
従って、アンドゲート29は、一方の入力(第4のフリップフロップ27からの入力)がHighレベルの信号であり、他方の入力(第5のフリップフロップ28からの入力)がLowレベルの信号に変化するので、出力はLowレベルの信号となる。
【0074】
その後、アラームカウンタ4のY1出力端子がLowレベルの信号となっても、アンドゲート29の出力は、Lowレベルの信号のままである。
つまり、第4のフリップフロップ27、第5のフリップフロップ28及びアンドゲート29は、1クロック分のパルスを生成する1パルス生成回路であり、アラームカウンタ4のY1出力端子から特定期間データに変化がない場合に出力されたHighレベルの信号をトリガーとして1クロック分のパルスを発生させるものとなっている。よって、請求項では「擬似信号発生手段」と記述している。
そして、当該1パルスはノアゲート6の一方の入力端子に入力される。
【0075】
[位相比較器及の動作:図3〜5]
本発明の実施の形態に係るタイミングリカバリー回路における位相比較器について図3〜図5を参照しながら説明する。図3は、位相ずれがない場合のタイミング動作を示す図であり、図4は、位相が進んでいる場合のタイミング動作を示す図であり、図5は、位相が遅れている場合のタイミング動作を示す図である。
【0076】
[位相ずれがない場合:図3]
図3に示すように、第1の遅延回路7で1/2クロック遅延させたデータ入力信号(DATAIN)とクロック入力信号(CLKIN)の位相を比較した場合、位相ずれが遅延分の1/2クロックである場合は、第1のフリップフロップ(DFF)14の出力(Q1)は、遅延させたDATAINに対して1/2クロック位相差のあるデータが出力され、第2のフリップフロップ(DFF)15の出力(Q2)は、それに対して更に1/2クロック位相差のあるデータが出力される。
【0077】
そして、エクスクルーシブノアゲート(XNOR1)8の出力及びエクスクルーシブオアゲート(XOR1)9の出力は、図3に示すものとなり、位相比較器出力端子21からの位相出力信号(PDOUT)は、両者を合成したものとなる。このPDOUTは、フィルタ等で平滑化すると、中間レベルの信号となる。
また、図3では、リカバリーデータ出力端子22からのデータ出力信号(DATAOUT)とリカバリークロック出力端子23からのクロック出力信号(CLKOUT)を示している。
【0078】
[位相が進んでいる場合:図4]
図4に示すように、第1の遅延回路7で1/2クロック遅延させたデータ入力信号(DATAIN)とクロック入力信号(CLKIN)の位相を比較した場合、位相ずれが遅延分の1/2クロックより進んでいる場合は、第1のフリップフロップ(DFF)14の出力(Q1)は、遅延させたDATAINに対して1/2クロックより大きい位相差のあるデータが出力され、第2のフリップフロップ(DFF)15の出力(Q2)は、それに対して更に1/2クロック位相差のあるデータが出力される。
【0079】
そして、エクスクルーシブノアゲート(XNOR1)8の出力及びエクスクルーシブオアゲート(XOR1)9の出力は、図4に示すものとなり、位相比較器出力端子21からの位相出力信号(PDOUT)は、両者を合成したものとなる。このPDOUTは、フィルタ等で平滑化すると、Lowレベルの信号となる。
また、図4では、リカバリーデータ出力端子22からのデータ出力信号(DATAOUT)とリカバリークロック出力端子23からのクロック出力信号(CLKOUT)を示している。
【0080】
[位相が遅れている場合:図5]
図5に示すように、第1の遅延回路7で1/2クロック遅延させたデータ入力信号(DATAIN)とクロック入力信号(CLKIN)の位相を比較した場合、位相ずれが遅延分の1/2クロックより遅れている場合は、第1のフリップフロップ(DFF)14の出力(Q1)は、遅延させたDATAINに対して1/2クロックより小さい位相差のあるデータが出力され、第2のフリップフロップ(DFF)15の出力(Q2)は、それに対して更に1/2クロック位相差のあるデータが出力される。
【0081】
そして、エクスクルーシブノアゲート(XNOR1)8の出力及びエクスクルーシブオアゲート(XOR1)9の出力は、図5に示すものとなり、位相比較器出力端子21からの位相出力信号(PDOUT)は、両者を合成したものとなる。このPDOUTは、フィルタ等で平滑化すると、Highレベルの信号となる。
また、図5では、リカバリーデータ出力端子22からのデータ出力信号(DATAOUT)とリカバリークロック出力端子23からのクロック出力信号(CLKOUT)を示している。
【0082】
以上説明したように、本回路における位相比較器100は、データ入力信号とクロック入力信号との位相を比較した場合、位相ずれがない場合はPDOUTとして中間レベルの信号を出力し、データ入力信号の位相が進んでいる場合はPDOUTとしてLowレベルの信号を出力し、データ入力信号の位相が遅れている場合はPDOUTとしてHighレベルの信号を出力する。
【0083】
[データが固定値を継続した場合:図6]
次ぎに、本回路において、データ入力端子2に入力されるデータに変化がない状態(Lowレベルの信号又はHighレベルの信号の状態)が継続した場合の動作について図6を参照しながら説明する。図6は、データが固定値を継続した場合のタイミング動作を示す図である。
【0084】
図6に示すように、データ入力端子2にデータ入力信号(DATAIN)としてLowレベルの信号が継続した場合、アラームカウンタ4で特定期間(アラームとなる期間より短い期間)をカウントし、特定期間となると、Y1出力端子からHighレベルの信号(ALMCNT_Y1)を出力する。
【0085】
すると、第4のフリップフロップ27のQ出力端子(DFF Q)は、1クロック後にHighレベルの信号を出力し、第5のフリップフロップ28の/Q出力端子(DFF /Q)は、更に1クロック後にLowレベルの信号を出力する。
【0086】
それにより、アンドゲート29(AND)は、第4のフリップフロップ27からのHighレベルの信号の立ち上がりに同期して立ち上がり、第5のフリップフロップ28からのLowレベルの信号の立ち下がりに同期して立ち下がる1クロックのパルス信号を出力する。
【0087】
すると、ノアゲート6(NOR)は、アンドゲート29の出力を反転して第1及び第2のナンドゲート10,11に出力する。
これにより、位相比較器出力端子(PDOUT)21は、1クロック分の幅をデータが変化したものとして擬似的に位相比較結果(1クロック分のLowレベルの信号)を出力する。
このような特定期間データが変化しない状況で擬似的なデータ変化の1パルスの信号をPLLのフィルタに入力させることで、データが変化しない状況を長い期間継続しないようにし、変化データで生成される同期クロックの遅れを小さくできるものである。
【0088】
[実施の形態の効果]
本回路の位相比較器100においては、位相比較結果をオペアンプを用いずに、第1の抵抗器12と第2の抵抗器13によるの抵抗器結合で実現できるようにしたものであり、構成を簡略にでき、消費電力を低減できる。
【0089】
また、本回路によれば、従来のタイミングリカバリー回路に比べて1つのスイッチで正常時と異常時を切り替えて動作可能としたものであり、構成を簡略化できる効果がある。
【0090】
また、本回路によれば、特定期間データが変化しない状況で擬似的なデータ変化の信号をPLLのフィルタに入力させるようにすることで、データが変化しない状況を長い期間継続しないようにし、変化データで生成される同期クロックの遅れを小さくできる効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明は、VCXOの制御電圧の設定を切り替えるための切替スイッチを1個にして構成を簡易にし、同期クロックのずれを小さくできるタイミングリカバリー回路に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の実施の形態に係るタイミングリカバリー回路の構成図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る位相比較器の回路図である。
【図3】位相ずれがない場合のタイミング動作を示す図である。
【図4】位相が進んでいる場合のタイミング動作を示す図である。
【図5】位相が遅れている場合のタイミング動作を示す図である。
【図6】データが固定値を継続した場合のタイミング動作を示す図である。
【図7】従来のタイミングリカバリー回路の構成図である。
【符号の説明】
【0093】
1…ホールドオーバー要求端子、 2…データ入力端子、 3…クロック入力端子、 4…アラームカウンタ、 5…オアゲート、 6…ノアゲート、 7…第1の遅延回路、 8…イクスクルーシブノアゲート、 9…イクスクルーシブオアゲート、 10…第1のナンドゲート、 11…第2のナンドゲート、 12…第1の抵抗器、 13…第2の抵抗器、 14…第1のフリップフロップ、 15…第2のフリップフロップ、 16…第3のフリップフロップ、 17…第2の遅延回路、 18…インバータ、 19…スイッチ制御出力端子、 20…アラーム出力端子、 21…位相比較器出力端子、 22…リカバリーデータ出力端子、 23…リカバリークロック出力端子、 24…第3の遅延回路、 24…第3の抵抗器、 26…オペアンプ、 27…第4のフリップフロップ、 28…第5のフリップフロップ、 29…アンドゲート、 100,100′…位相比較器、 101…第1の抵抗器、 102…第1のコンデンサ、 103…第2の抵抗器、 104,104a,104b…スイッチ、 105…オペアンプ、 106…第3の抵抗器、 107…第4の抵抗器、 108…第2のコンデンサ、 109…電圧制御型水晶発振器(VCXO)、 110…反転回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロック入力信号に対してデータ入力信号のタイミングを調整するタイミングリカバリー回路であって、
クロック入力信号に対するデータ入力信号の位相差を検出し、位相差信号を出力すると共に、ホールドオーバー又はアラーム時の異常時に異常信号を出力する位相比較器と、
制御電圧によって発振する信号の位相を調整し、前記位相比較器のクロック入力信号として出力する電圧制御発振器と、
前記位相比較器から出力される位相差信号を平滑化するフィルタ回路と、
前記電圧制御発振器の制御電圧の中間値若しくはその付近の値の電圧を供給する定電圧回路と、
前記フィルタ回路から出力される位相差信号と前記定電圧回路から供給される電圧とを比較し、両信号の差分によりクロック入力信号に対するデータ入力信号の位相が進んでいる場合は、位相を遅らせる制御電圧を前記電圧制御発振器に出力し、クロック入力信号に対するデータ入力信号の位相が遅れている場合は、位相を進める制御電圧を前記電圧制御発振器に出力する増幅器と、
前記増幅器の位相差信号が入力される端子と前記電圧制御発振器の入力端子との接続を制御し、前記異常信号によって接続をオンにするスイッチとを有し、
前記位相比較器が、データ入力信号に特定期間変化がない場合にデータ変化の擬似信号を前記フィルタ回路に供給することを特徴とするタイミングリカバリー回路。
【請求項2】
定電圧回路から供給される定電圧は中間レベルの信号であり、
位相比較器から出力され、増幅器に入力される位相差信号が、クロック入力信号に対するデータ入力信号の位相が進んでいる場合は前記中間レベルより高いレベルの信号であり、クロック入力信号に対するデータ入力信号の位相が遅れている場合は前記中間レベルより低いレベルの信号であることを特徴とする請求項1記載のタイミングリカバリー回路。
【請求項3】
位相比較器から擬似信号を出力する特定期間は、アラーム時と認定される期間より短いことを特徴とする請求項1又は2記載のタイミングリカバリー回路。
【請求項4】
位相比較回路は、
クロック信号の立ち上がりで入力データをシフトする第1のシフト手段と、
クロックの立ち下がりで前記第1のシフト手段からの出力をシフトする第2のシフト手段と、
クロックの立ち上がりで前記第2のシフト手段からの出力をシフトする第3のシフト手段と、
入力データを遅延させる第1の遅延手段と、
前記第3のシフト手段からの出力を遅延させる第2の遅延手段と、
クロック信号の出力を遅延させる第3の遅延手段と、
前記第1の遅延手段からの出力と前記第1のシフト手段からの出力との否定排他的論理和を出力する否定排他的論理和出力手段と、
前記第1のシフト手段からの出力と前記第2のシフト手段からの出力との排他的論理和を出力する排他的論理和出力手段と、
前記否定排他的論理和出力手段の出力と前記排他的論理和出力手段の出力とを抵抗加算し、位相差信号として出力する抵抗加算手段と、
前記抵抗加算手段の後段に、前記抵抗加算手段からの出力の利得調整を行う増幅器と、
前記クロック入力信号のクロックを特定数カウントし、特定数になるとアラーム信号を出力すると共に、前記排他的論理和出力手段からの出力によってカウント値をクリアし、前記特定数をカウントする期間より短い、前記排他的論理和出力手段からの出力が入力されない特定期間を経過すると、擬似的にデータ変化の信号を出力するアラーム計数手段と、
ホールドオーバー要求信号と前記アラーム信号を入力し、いずれかの信号が入力されている場合にスイッチをオンする異常信号を出力する論理和出力手段と、
前記アラーム計数手段から出力されたデータ変化の信号に基づいて1又は数クロック分の擬似信号を出力する擬似信号発生手段と、
前記論理和出力手段からの異常信号が出力された場合及び前記擬似信号発生手段からの擬似信号が出力された場合に、前記排他的論理和出力手段からの出力と否定排他的論理和出力手段からの出力とを無効化する無効化手段とを有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載のタイミングリカバリー回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−130057(P2010−130057A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−299394(P2008−299394)
【出願日】平成20年11月25日(2008.11.25)
【出願人】(000232483)日本電波工業株式会社 (1,148)
【Fターム(参考)】