タイヤ状態検出方法及び装置
【課題】タイヤのスリップ角とキャンバー角を同時に効率よく測定でき、かつタイヤの交換を容易に行うことができるタイヤ状態検出方法及び装置を提供する。
【解決手段】撮像カメラ16で撮像した角度検出用回転体14の画像データを基にタイヤ1204のキャンバー角αを求め、さらに、撮像カメラ16で撮像した走行路面28の画像データと角度検出用回転体14の画像データを基にタイヤ1204のスリップ角βを求める構成にした。
【解決手段】撮像カメラ16で撮像した角度検出用回転体14の画像データを基にタイヤ1204のキャンバー角αを求め、さらに、撮像カメラ16で撮像した走行路面28の画像データと角度検出用回転体14の画像データを基にタイヤ1204のスリップ角βを求める構成にした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤ状態検出方法及び装置に関し、さらに詳しくは、車両走行時のタイヤの状態であるタイヤのスリップ角とキャンバー角を同時に効率よく測定できるタイヤ状態検出方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両走行時においてタイヤの状態であるタイヤのスリップ角とキャンバー角を精度よく測定することは、車両やタイヤの運動性能、緩衝性能、摩擦性能、制動性能を評価する上で重要である。また、タイヤ状態とタイヤに発生する力を組み合わせて評価することでタイヤが影響する車両挙動に対してタイヤ単体での測定条件、タイヤに発生する力を確認でき、室内及びシミュレーションによるメカニズム解析に貢献できる。
また、タイヤ状態の代表的な情報としてはタイヤのスリップ角とキャンバー角があり、これらの情報を測定するほう方法が機械的、光学的手法により種々提案されている(例えば特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−81322号公報
【特許文献2】特開平9−133510号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この種の測定装置は複雑で、大型及び重量化するものであると共に、測定装置をホイール面に取り付けて使用する上で非効率であり、更にタイヤの取替えなどでの校正作業が必要になるという不具合がある。さらに、生産性も低く、試験コストも上昇するという問題があった。
【0005】
本発明は、上記のような事情に鑑みなされたものであり、タイヤのスリップ角とキャンバー角を同時に効率よく測定でき、かつタイヤの交換を容易に行うことができるタイヤ状態検出方法及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明は、タイヤ及びホイールを含む車輪の状態を表すキャンバー角とスリップ角を検出するタイヤ状態検出装置であって、前記ホイールの回転軸線上に軸線を一致して設けられた角度検出用回転体と、前記角度検出用回転体の上方に位置して前記車両に支持され、前記角度検出用回転体を撮像するとともに前記タイヤが接地する走行路面を撮像する撮像カメラと、前記撮像カメラで撮像した前記角度検出用回転体の画像データに基づいて前記タイヤのキャンバー角を求めるキャンバー角算出手段と、前記撮像カメラで撮像した前記走行路面の画像データと前記角度検出用回転体の画像データに基づいて前記タイヤのスリップ角を求めるスリップ角算出手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
また本発明は、車両のタイヤ及びホイールを含む車輪の状態を表すキャンバー角とスリップ角を検出するタイヤ状態検出方法であって、前記ホイールに角度検出用回転体をホイールの車軸に軸線を一致させて設け、前記角度検出用回転体の上方から前記角度検出用回転体を撮像するとともに前記タイヤが接地する走行路面を撮像する撮像カメラを前記車両に支持させ、前記撮像カメラで撮像した前記角度検出用回転体の画像データを基に前記タイヤのキャンバー角を求め、前記撮像カメラで撮像した前記走行路面の画像データと前記角度検出用回転体の画像データを基に前記タイヤのスリップ角を求めることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、撮像カメラで撮像した角度検出用回転体の画像データを基にタイヤのキャンバー角を求める。そして、撮像カメラで撮像した走行路面の画像データと角度検出用回転体の画像データを基にタイヤのスリップ角を求める。
したがって、タイヤのスリップ角とキャンバー角を同時に効率よく測定でき、かつタイヤの交換を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】(A)は本発明方法によるタイヤ状態検出装置を車両に取り付けた状態を示す概略平面図、(B)は(A)を矢印B方向から見た概略側面図である。
【図2】本発明によるタイヤ状態検出装置の第1の実施の形態を示す全体の構成図である。
【図3】本実施の形態のタイヤ状態検出装置によるキャンバー角の検出例を示す説明図である。
【図4】本実施の形態におけるキャンバー角の検出処理工程を示すフローチャートである。
【図5】本実施の形態におけるスリップ角の検出処理工程を示すフローチャートである。
【図6】本実施の形態のタイヤ状態検出装置によるスリップ角の検出例を示す説明図である。
【図7】本発明のタイヤ状態検出装置に用いられる角度検出用回転体の他の例を示す側面図である。
【図8】図6に示す角度検出用回転体を用いてキャンバー角を検出した時のキャンバー角と角度検出用回転体の面積変化との関係を示すグラフである。
【図9】本発明のタイヤ状態検出装置に用いられる角度検出用回転体の更に他の例を示す側面図である。
【図10】本発明のタイヤ状態検出装置に用いられる角度検出用回転体の更に他の例を示す側面図である。
【図11】本発明によるタイヤ状態検出装置の第2の実施の形態を示す全体の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の方法を用いたタイヤ状態検出装置の実施の形態について図1〜図4を参照して詳細に説明する。
本実施の形態に示すタイヤ状態検出装置100は、乗用車等の車両10における車輪12(例えば、車両の前輪)の状態を表すキャンバー角αとスリップ角βを検出するものである。ここで車輪(タイヤ、ホイール組み立て体)12とは、車軸に結合されるホイール1202と、ホイール1202に装着されるタイヤ1204を含んで構成されている。
また、タイヤ状態検出装置100は、角度検出用回転体14と、撮像カメラ16と、画像処理装置18、表示部20、キャンバー角算出手段22、スリップ角算出手段24を備えている。
【0011】
角度検出用回転体14は、キャンバー角及びスリップ角を検出するために用いられるもので、図2に示すように、軸線Lを中心とする回転対称で一定の厚さを有する円盤を呈している。このような角度検出用回転体14は、ホイール1202の外側表面に、ホイール1202の外側表面に突設した一定長さの複数の支持ボルト24によりホイール1202の回転軸線上に軸線を一致して取り付けられている。
これにより、角度検出用回転体14全体がボンネット1002の側面から外方へ突出されるように、車両10の車幅方向の外方でホイール1202から離れる方向に一定の距離離間して配置されている。
【0012】
撮像カメラ16は、角度検出用回転体14とタイヤ1204が接地する走行路面24を上方から撮像するもので、角度検出用回転体14の真上上方に位置して、支持機構26により車両10のボンネット1002に支持されている。
また、支持機構26には、車両10のローリングに伴って生じる撮像カメラ16の角度検出用回転体14及び走行路面24に対する撮像角度の変化分を検出する、ジャイロ等の角度センサー28が組み込まれている。
【0013】
画像処理装置18は、撮像カメラ16で撮像した角度検出用回転体14の画像及び走行路面画像のアナログ映像信号をデジタル信号に変換し、キャンバー角算出手段22及びスリップ角算出手段24に出力する。
キャンバー角算出手段22は、画像処理装置18でデジタル信号に変換された角度検出用回転体14の画像データに基づいてタイヤ1204のキャンバー角を算出する。さらに、キャンバー角算出手段22は、ここで算出されるキャンバー角を、角度センサー28で検出された撮像角度の変化分に応じて補正する機能を有している。
また、スリップ角算出手段24は、画像処理装置18でデジタル信号に変換された走行路面28の画像データに基づいてタイヤ1204のスリップ角を算出する。さらに、スリップ角算出手段24は、ここで算出されるスリップ角を、角度センサー28で検出された撮像角度の変化分に応じて補正する機能を有している。
また、画像処理装置18でデジタル信号に変換された角度検出用回転体14の画像データ及び走行路面28の画像データは表示信号に変換されて表示部20に出力され、タイヤの状態を表示できるように構成されている。
【0014】
なお、キャンバー角算出手段22及びスリップ角算出手段24は、パーソナルコンピュータから構成するもので、このパーソナルコンピュータは、CPUと、バスラインを介して接続されたROM、RAM、インタフェースなどを含んで構成される。ROMはCPUが実行する処理または制御プログラムなどを格納し、RAMはワーキングエリアを提供する。CPUが演算処理または制御プログラムを実行することにより、キャンバー角算出手段22、スリップ角算出手段24が実現される。
【0015】
次に、本実施の形態によるキャンバー角算出処理について、図4を参照して説明する。
走行状態にある車両において、タイヤ1204の走行路面28を含む角度検出用回転体14を真上上方から撮像カメラ16で撮像する(ステップS11)。その後、上記撮影画像は画像処理装置18によりデジタル信号に変換される。そして、デジタル信号に変換された画像データは画像処理装置18が内蔵する画像メモリ1802に1フィールドまたは1フレーム毎に取り込まれ、順次上書き保存される(ステップS12)。
【0016】
その後、キャンバー角算出手段22では、画像メモリ1802から1フィールドまたは1フレーム分の画像データを取り込み、角度検出用回転体14の画像データを基にキャンバー角αを算出する(ステップS13)。
具体的には、タイヤ1204を幅方向に2等分する車輪12の中心面が走行路面24と鉛直な線に対して傾斜すると、車輪12と一体に角度検出用回転体14も同一方向に同一角度傾斜する。これに伴い、キャンバー角算出手段22には、例えば図3(A)に示すように傾斜した映像の角度検出用回転体14の画像データが取り込まれる。そこで、キャンバー角算出手段22では、角度検出用回転体14の傾斜角により生じる、角度検出用回転体14の軸線Lと直角な線L2から角度検出用回転体14の外周縁4aまでの間の間隔d内にあるピクセル数を計数し、この計数値からキャンバー角算出用のアルゴリズムに従ってタイヤ1204のキャンバー角αを求める。さらに、キャンバー角算出手段22では、算出されるキャンバー角αを、角度センサー28で検出された撮像角度の変化分に応じて補正する(ステップS14)。
ここで、図3(A)に示すキャンバー角は+0.1度であり、図3(A)に示すキャンバー角は+0.5度であり、図3(A)に示すキャンバー角は+3度である。
【0017】
次に、本実施の形態によるスリップ角算出処理について、図5及び図6を参照して説明する。
走行状態にある車両において、角度検出用回転体14を含むタイヤ1204の走行路面28を撮像カメラ16で撮像する(ステップS21)。その後、上記撮影画像は画像処理装置18によりデジタル信号に変換される。そして、デジタル信号に変換された画像データは画像処理装置18が内蔵する画像メモリ1802に1フィールドまたは1フレーム毎に取り込まれ、順次上書き保存される(ステップS22)。
【0018】
ここで、撮像カメラ16で撮像された角度検出用回転体14の撮影画像データを基に、図6(A)に示すように、楕円形状を呈する角度検出用回転体14の回転中心である軸線Lと直交して、角度検出用回転体14の長尺方向の両端間を結ぶ線L3を求める(ステップS23)。
一方、撮像カメラ16で撮像された路面画像は、撮像カメラ16の露光時間の間に、車速に応じた距離だけ路面が一定の方向に動くため、図6(B)に示すような路面の流れが縞模様になって現れ、この縞模様の路面の流線画像は、デジタル信号に変換された後、画像メモリ1802に1フィールドまたは1フレーム毎に取り込まれ、順次上書き保存される。その後、図6(B)に示す路面の流線画像2802と、これに対してX,Y方向に1ピクセルずつ移動した流線画像2804とを図6(C)に示すように合成し、両者の流線画像2802と2804とが1ピクセルずつX,Y方向に移動した関係にあること検知する。これにより、路面の流線画像パターンが撮像カメラ16で撮像された路面の流線画像であることを認識する(ステップS24)。したがって、撮影時の車速に応じて露光時間を調整することにより、任意の車速で路面の流線画像を撮影することができる。
【0019】
他方、スリップ角算出手段24では、ステップS23で求めた線L3とステップS24で認識した路面の流線画像パターンに基づいてタイヤ1204のスリップ角βを算出する(ステップS25)。さらに、スリップ角算出手段24では、算出されるスリップ角βを、角度センサー28で検出された撮像角度の変化分に応じて補正する(ステップS26)。
【0020】
上記のような本実施の形態によれば、撮像カメラ16で撮像した角度検出用回転体14の画像データを基にタイヤ1204のキャンバー角αを求め、さらに、撮像カメラ16で撮像した走行路面28の画像データと角度検出用回転体14の画像データを基にタイヤ1204のスリップ角βを求める構成にしたので、タイヤのスリップ角とキャンバー角を同時に効率よく測定でき、かつタイヤの交換を容易に行うことができる。
また、本実施の形態によれば、車両のローリングに伴う撮像カメラ16の角度検出用回転体14及び走行路面28に対する撮像角度の変化分を角度センサー32で検出し、この角度センサー32で検出された撮像角度の変化分に応じてキャンバー角算出手段22で求められるキャンバー角α及びスリップ角算出手段24で求められるスリップ角βをそれぞれ補正する構成にしたので、車両のローリングにより撮像カメラ16と角度検出用回転体14との間の距離が変化しても、タイヤのスリップ角とキャンバー角を正確に測定することができる。
【0021】
本発明のタイヤ状態検出装置に用いられる角度検出用回転体の他の例について図7を参照して説明する。
この図7に示す角度検出用回転体40は、ホイールの回転軸線と一致する軸線Lに沿った厚さを有し、この厚さ方向の一方の面は、軸線Lを中心とする回転対称で厚さが中心部から外周に行くに従い傾斜角が複数段階、例えば三段階に減少しながら変化する截頭円錐柱状に形成したものである。
このような形状の角度検出用回転体40においては、車輪のキャンバー角が大きくなるに従い、角度検出用回転体40が図7の矢印A方向の車輪倒れ角度が大きくなると、図7の矢印X方向から撮像される角度検出用回転体40の撮像面積は、図8に示すように二次曲線状に変化する特性を有する。
【0022】
したがって、このような形状の角度検出用回転体40を用いたタイヤ状態検出装置においては、図8かも明らかなように車輪のキャンバー角が小さい時に撮像カメラで撮像される角度検出用回転体40の画像面積を大きくとることができる。これにより、車輪倒れ角が小さい時のキャンバー角を高精度に検出することができる。
【0023】
本発明のタイヤ状態検出装置に用いられる角度検出用回転体の更に他の例について図9を参照して説明する。
この図9に示す角度検出用回転体50は、ホイールの回転軸線と一致する軸線Lに沿った厚さを有し、この厚さ方向の一方の面は、軸線Lを中心とする回転対称で厚さが中心部から外周に行くに従い傾斜角が直線状に減少する截頭円錐柱状に形成したものである。
このような形状の角度検出用回転体50においても上記図8に示す角度検出用回転体と同様な作用効果を得ることができる。
【0024】
本発明のタイヤ状態検出装置に用いられる角度検出用回転体の更に他の例について図10を参照して説明する。
この図10に示す角度検出用回転体60は、ホイールの回転軸線と一致する軸線Lに沿った厚さを有し、この厚さ方向の両面は、軸線Lを中心とする回転対称で厚さが中心部から外周に行くに従い直線状に減少する截頭円錐柱状に形成したものである。
このような形状の角度検出用回転体60においては、上記図8に示す角度検出用回転体と同様な作用効果が得られるほか、車輪が左右いずれの方向に倒れが生じた場合でも、キャンバー角を確実に検出することができる。
また、図10に示す角度検出用回転体60において、その厚さ方向の両面に形成された截頭円錐柱状部6002,6004を互いに異なる色に着色すること可能である。
このように両面の截頭円錐柱状部6002,6004の色の異ならしめた場合、その色によって、車輪の倒れ方向を画像データを基に識別でき、キャンバー角の検出が容易になる。
【0025】
(第2の実施の形態)
以下、本発明にかかるタイヤ状態検出装置の実施の形態について図11を参照して詳細に説明する。
本実施の形態に示すタイヤ状態検出装置100は、図2に示す場合と同様に、角度検出用回転体14と、撮像カメラ16と、画像処理装置18、キャンバー角算出手段22、スリップ角算出手段24を備えるほか、車両の上下方向振動に伴う撮像カメラ16と角度検出用回転体14との間の距離の変化分を求めるため、角度検出用回転体14に、その軸線Lに軸線を一致して突設した距離検出部材34と、この距離検出部材34を撮像カメラ16で撮像した時の画像面積データを基に撮像カメラ16と角度検出用回転体14との間の距離の変化分を算出する距離検出処理部1804を備える。
なお、距離検出部材34と距離検出処理部1804は、特許請求の範囲に記載した距離検出手段を構成する。
【0026】
このように構成されたタイヤ状態検出装置100においては、角度検出用回転体14及び走行路面28を含む距離検出部材34を撮像カメラ16により撮像し、これらの撮影画像を画像処理装置18によりデジタル信号に変換した後、その画像データは画像メモリ1802に1フィールドまたは1フレーム毎に取り込み、順次上書き保存する。そして、画像処理装置18の距離検出処理部1804では、距離検出部材34の画像データを基に距離検出部材34の画像面積からアルゴリズムに従って撮像カメラ16と角度検出用回転体14との間の距離の変化分を求める。さらに、求められた距離の変化分に応じてキャンバー角算出手段22で求められるキャンバー角α及びスリップ角算出手段24で求められるスリップ角βをそれぞれ補正する。
【0027】
このようなタイヤ状態検出装置によれば、車両の上下方向振動により撮像カメラ16と角度検出用回転体14との間の距離が変化しても、タイヤのスリップ角とキャンバー角を正確に測定することができる。
【0028】
なお、本発明にかかるタイヤ状態検出装置は、上記実施の形態に示す構成のものに限らず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲において、種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0029】
100……タイヤ状態検出装置、10……車両、12……車輪、1202……ホイール1204……タイヤ、14……角度検出用回転体、16……撮像カメラ、18……画像処理装置、22……キャンバー角算出手段、24……スリップ角算出手段、1802……メモリ、1804……距離検出処理部、34……距離検出部材、40,50,60……角度検出用回転体。
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤ状態検出方法及び装置に関し、さらに詳しくは、車両走行時のタイヤの状態であるタイヤのスリップ角とキャンバー角を同時に効率よく測定できるタイヤ状態検出方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両走行時においてタイヤの状態であるタイヤのスリップ角とキャンバー角を精度よく測定することは、車両やタイヤの運動性能、緩衝性能、摩擦性能、制動性能を評価する上で重要である。また、タイヤ状態とタイヤに発生する力を組み合わせて評価することでタイヤが影響する車両挙動に対してタイヤ単体での測定条件、タイヤに発生する力を確認でき、室内及びシミュレーションによるメカニズム解析に貢献できる。
また、タイヤ状態の代表的な情報としてはタイヤのスリップ角とキャンバー角があり、これらの情報を測定するほう方法が機械的、光学的手法により種々提案されている(例えば特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−81322号公報
【特許文献2】特開平9−133510号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この種の測定装置は複雑で、大型及び重量化するものであると共に、測定装置をホイール面に取り付けて使用する上で非効率であり、更にタイヤの取替えなどでの校正作業が必要になるという不具合がある。さらに、生産性も低く、試験コストも上昇するという問題があった。
【0005】
本発明は、上記のような事情に鑑みなされたものであり、タイヤのスリップ角とキャンバー角を同時に効率よく測定でき、かつタイヤの交換を容易に行うことができるタイヤ状態検出方法及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明は、タイヤ及びホイールを含む車輪の状態を表すキャンバー角とスリップ角を検出するタイヤ状態検出装置であって、前記ホイールの回転軸線上に軸線を一致して設けられた角度検出用回転体と、前記角度検出用回転体の上方に位置して前記車両に支持され、前記角度検出用回転体を撮像するとともに前記タイヤが接地する走行路面を撮像する撮像カメラと、前記撮像カメラで撮像した前記角度検出用回転体の画像データに基づいて前記タイヤのキャンバー角を求めるキャンバー角算出手段と、前記撮像カメラで撮像した前記走行路面の画像データと前記角度検出用回転体の画像データに基づいて前記タイヤのスリップ角を求めるスリップ角算出手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
また本発明は、車両のタイヤ及びホイールを含む車輪の状態を表すキャンバー角とスリップ角を検出するタイヤ状態検出方法であって、前記ホイールに角度検出用回転体をホイールの車軸に軸線を一致させて設け、前記角度検出用回転体の上方から前記角度検出用回転体を撮像するとともに前記タイヤが接地する走行路面を撮像する撮像カメラを前記車両に支持させ、前記撮像カメラで撮像した前記角度検出用回転体の画像データを基に前記タイヤのキャンバー角を求め、前記撮像カメラで撮像した前記走行路面の画像データと前記角度検出用回転体の画像データを基に前記タイヤのスリップ角を求めることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、撮像カメラで撮像した角度検出用回転体の画像データを基にタイヤのキャンバー角を求める。そして、撮像カメラで撮像した走行路面の画像データと角度検出用回転体の画像データを基にタイヤのスリップ角を求める。
したがって、タイヤのスリップ角とキャンバー角を同時に効率よく測定でき、かつタイヤの交換を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】(A)は本発明方法によるタイヤ状態検出装置を車両に取り付けた状態を示す概略平面図、(B)は(A)を矢印B方向から見た概略側面図である。
【図2】本発明によるタイヤ状態検出装置の第1の実施の形態を示す全体の構成図である。
【図3】本実施の形態のタイヤ状態検出装置によるキャンバー角の検出例を示す説明図である。
【図4】本実施の形態におけるキャンバー角の検出処理工程を示すフローチャートである。
【図5】本実施の形態におけるスリップ角の検出処理工程を示すフローチャートである。
【図6】本実施の形態のタイヤ状態検出装置によるスリップ角の検出例を示す説明図である。
【図7】本発明のタイヤ状態検出装置に用いられる角度検出用回転体の他の例を示す側面図である。
【図8】図6に示す角度検出用回転体を用いてキャンバー角を検出した時のキャンバー角と角度検出用回転体の面積変化との関係を示すグラフである。
【図9】本発明のタイヤ状態検出装置に用いられる角度検出用回転体の更に他の例を示す側面図である。
【図10】本発明のタイヤ状態検出装置に用いられる角度検出用回転体の更に他の例を示す側面図である。
【図11】本発明によるタイヤ状態検出装置の第2の実施の形態を示す全体の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の方法を用いたタイヤ状態検出装置の実施の形態について図1〜図4を参照して詳細に説明する。
本実施の形態に示すタイヤ状態検出装置100は、乗用車等の車両10における車輪12(例えば、車両の前輪)の状態を表すキャンバー角αとスリップ角βを検出するものである。ここで車輪(タイヤ、ホイール組み立て体)12とは、車軸に結合されるホイール1202と、ホイール1202に装着されるタイヤ1204を含んで構成されている。
また、タイヤ状態検出装置100は、角度検出用回転体14と、撮像カメラ16と、画像処理装置18、表示部20、キャンバー角算出手段22、スリップ角算出手段24を備えている。
【0011】
角度検出用回転体14は、キャンバー角及びスリップ角を検出するために用いられるもので、図2に示すように、軸線Lを中心とする回転対称で一定の厚さを有する円盤を呈している。このような角度検出用回転体14は、ホイール1202の外側表面に、ホイール1202の外側表面に突設した一定長さの複数の支持ボルト24によりホイール1202の回転軸線上に軸線を一致して取り付けられている。
これにより、角度検出用回転体14全体がボンネット1002の側面から外方へ突出されるように、車両10の車幅方向の外方でホイール1202から離れる方向に一定の距離離間して配置されている。
【0012】
撮像カメラ16は、角度検出用回転体14とタイヤ1204が接地する走行路面24を上方から撮像するもので、角度検出用回転体14の真上上方に位置して、支持機構26により車両10のボンネット1002に支持されている。
また、支持機構26には、車両10のローリングに伴って生じる撮像カメラ16の角度検出用回転体14及び走行路面24に対する撮像角度の変化分を検出する、ジャイロ等の角度センサー28が組み込まれている。
【0013】
画像処理装置18は、撮像カメラ16で撮像した角度検出用回転体14の画像及び走行路面画像のアナログ映像信号をデジタル信号に変換し、キャンバー角算出手段22及びスリップ角算出手段24に出力する。
キャンバー角算出手段22は、画像処理装置18でデジタル信号に変換された角度検出用回転体14の画像データに基づいてタイヤ1204のキャンバー角を算出する。さらに、キャンバー角算出手段22は、ここで算出されるキャンバー角を、角度センサー28で検出された撮像角度の変化分に応じて補正する機能を有している。
また、スリップ角算出手段24は、画像処理装置18でデジタル信号に変換された走行路面28の画像データに基づいてタイヤ1204のスリップ角を算出する。さらに、スリップ角算出手段24は、ここで算出されるスリップ角を、角度センサー28で検出された撮像角度の変化分に応じて補正する機能を有している。
また、画像処理装置18でデジタル信号に変換された角度検出用回転体14の画像データ及び走行路面28の画像データは表示信号に変換されて表示部20に出力され、タイヤの状態を表示できるように構成されている。
【0014】
なお、キャンバー角算出手段22及びスリップ角算出手段24は、パーソナルコンピュータから構成するもので、このパーソナルコンピュータは、CPUと、バスラインを介して接続されたROM、RAM、インタフェースなどを含んで構成される。ROMはCPUが実行する処理または制御プログラムなどを格納し、RAMはワーキングエリアを提供する。CPUが演算処理または制御プログラムを実行することにより、キャンバー角算出手段22、スリップ角算出手段24が実現される。
【0015】
次に、本実施の形態によるキャンバー角算出処理について、図4を参照して説明する。
走行状態にある車両において、タイヤ1204の走行路面28を含む角度検出用回転体14を真上上方から撮像カメラ16で撮像する(ステップS11)。その後、上記撮影画像は画像処理装置18によりデジタル信号に変換される。そして、デジタル信号に変換された画像データは画像処理装置18が内蔵する画像メモリ1802に1フィールドまたは1フレーム毎に取り込まれ、順次上書き保存される(ステップS12)。
【0016】
その後、キャンバー角算出手段22では、画像メモリ1802から1フィールドまたは1フレーム分の画像データを取り込み、角度検出用回転体14の画像データを基にキャンバー角αを算出する(ステップS13)。
具体的には、タイヤ1204を幅方向に2等分する車輪12の中心面が走行路面24と鉛直な線に対して傾斜すると、車輪12と一体に角度検出用回転体14も同一方向に同一角度傾斜する。これに伴い、キャンバー角算出手段22には、例えば図3(A)に示すように傾斜した映像の角度検出用回転体14の画像データが取り込まれる。そこで、キャンバー角算出手段22では、角度検出用回転体14の傾斜角により生じる、角度検出用回転体14の軸線Lと直角な線L2から角度検出用回転体14の外周縁4aまでの間の間隔d内にあるピクセル数を計数し、この計数値からキャンバー角算出用のアルゴリズムに従ってタイヤ1204のキャンバー角αを求める。さらに、キャンバー角算出手段22では、算出されるキャンバー角αを、角度センサー28で検出された撮像角度の変化分に応じて補正する(ステップS14)。
ここで、図3(A)に示すキャンバー角は+0.1度であり、図3(A)に示すキャンバー角は+0.5度であり、図3(A)に示すキャンバー角は+3度である。
【0017】
次に、本実施の形態によるスリップ角算出処理について、図5及び図6を参照して説明する。
走行状態にある車両において、角度検出用回転体14を含むタイヤ1204の走行路面28を撮像カメラ16で撮像する(ステップS21)。その後、上記撮影画像は画像処理装置18によりデジタル信号に変換される。そして、デジタル信号に変換された画像データは画像処理装置18が内蔵する画像メモリ1802に1フィールドまたは1フレーム毎に取り込まれ、順次上書き保存される(ステップS22)。
【0018】
ここで、撮像カメラ16で撮像された角度検出用回転体14の撮影画像データを基に、図6(A)に示すように、楕円形状を呈する角度検出用回転体14の回転中心である軸線Lと直交して、角度検出用回転体14の長尺方向の両端間を結ぶ線L3を求める(ステップS23)。
一方、撮像カメラ16で撮像された路面画像は、撮像カメラ16の露光時間の間に、車速に応じた距離だけ路面が一定の方向に動くため、図6(B)に示すような路面の流れが縞模様になって現れ、この縞模様の路面の流線画像は、デジタル信号に変換された後、画像メモリ1802に1フィールドまたは1フレーム毎に取り込まれ、順次上書き保存される。その後、図6(B)に示す路面の流線画像2802と、これに対してX,Y方向に1ピクセルずつ移動した流線画像2804とを図6(C)に示すように合成し、両者の流線画像2802と2804とが1ピクセルずつX,Y方向に移動した関係にあること検知する。これにより、路面の流線画像パターンが撮像カメラ16で撮像された路面の流線画像であることを認識する(ステップS24)。したがって、撮影時の車速に応じて露光時間を調整することにより、任意の車速で路面の流線画像を撮影することができる。
【0019】
他方、スリップ角算出手段24では、ステップS23で求めた線L3とステップS24で認識した路面の流線画像パターンに基づいてタイヤ1204のスリップ角βを算出する(ステップS25)。さらに、スリップ角算出手段24では、算出されるスリップ角βを、角度センサー28で検出された撮像角度の変化分に応じて補正する(ステップS26)。
【0020】
上記のような本実施の形態によれば、撮像カメラ16で撮像した角度検出用回転体14の画像データを基にタイヤ1204のキャンバー角αを求め、さらに、撮像カメラ16で撮像した走行路面28の画像データと角度検出用回転体14の画像データを基にタイヤ1204のスリップ角βを求める構成にしたので、タイヤのスリップ角とキャンバー角を同時に効率よく測定でき、かつタイヤの交換を容易に行うことができる。
また、本実施の形態によれば、車両のローリングに伴う撮像カメラ16の角度検出用回転体14及び走行路面28に対する撮像角度の変化分を角度センサー32で検出し、この角度センサー32で検出された撮像角度の変化分に応じてキャンバー角算出手段22で求められるキャンバー角α及びスリップ角算出手段24で求められるスリップ角βをそれぞれ補正する構成にしたので、車両のローリングにより撮像カメラ16と角度検出用回転体14との間の距離が変化しても、タイヤのスリップ角とキャンバー角を正確に測定することができる。
【0021】
本発明のタイヤ状態検出装置に用いられる角度検出用回転体の他の例について図7を参照して説明する。
この図7に示す角度検出用回転体40は、ホイールの回転軸線と一致する軸線Lに沿った厚さを有し、この厚さ方向の一方の面は、軸線Lを中心とする回転対称で厚さが中心部から外周に行くに従い傾斜角が複数段階、例えば三段階に減少しながら変化する截頭円錐柱状に形成したものである。
このような形状の角度検出用回転体40においては、車輪のキャンバー角が大きくなるに従い、角度検出用回転体40が図7の矢印A方向の車輪倒れ角度が大きくなると、図7の矢印X方向から撮像される角度検出用回転体40の撮像面積は、図8に示すように二次曲線状に変化する特性を有する。
【0022】
したがって、このような形状の角度検出用回転体40を用いたタイヤ状態検出装置においては、図8かも明らかなように車輪のキャンバー角が小さい時に撮像カメラで撮像される角度検出用回転体40の画像面積を大きくとることができる。これにより、車輪倒れ角が小さい時のキャンバー角を高精度に検出することができる。
【0023】
本発明のタイヤ状態検出装置に用いられる角度検出用回転体の更に他の例について図9を参照して説明する。
この図9に示す角度検出用回転体50は、ホイールの回転軸線と一致する軸線Lに沿った厚さを有し、この厚さ方向の一方の面は、軸線Lを中心とする回転対称で厚さが中心部から外周に行くに従い傾斜角が直線状に減少する截頭円錐柱状に形成したものである。
このような形状の角度検出用回転体50においても上記図8に示す角度検出用回転体と同様な作用効果を得ることができる。
【0024】
本発明のタイヤ状態検出装置に用いられる角度検出用回転体の更に他の例について図10を参照して説明する。
この図10に示す角度検出用回転体60は、ホイールの回転軸線と一致する軸線Lに沿った厚さを有し、この厚さ方向の両面は、軸線Lを中心とする回転対称で厚さが中心部から外周に行くに従い直線状に減少する截頭円錐柱状に形成したものである。
このような形状の角度検出用回転体60においては、上記図8に示す角度検出用回転体と同様な作用効果が得られるほか、車輪が左右いずれの方向に倒れが生じた場合でも、キャンバー角を確実に検出することができる。
また、図10に示す角度検出用回転体60において、その厚さ方向の両面に形成された截頭円錐柱状部6002,6004を互いに異なる色に着色すること可能である。
このように両面の截頭円錐柱状部6002,6004の色の異ならしめた場合、その色によって、車輪の倒れ方向を画像データを基に識別でき、キャンバー角の検出が容易になる。
【0025】
(第2の実施の形態)
以下、本発明にかかるタイヤ状態検出装置の実施の形態について図11を参照して詳細に説明する。
本実施の形態に示すタイヤ状態検出装置100は、図2に示す場合と同様に、角度検出用回転体14と、撮像カメラ16と、画像処理装置18、キャンバー角算出手段22、スリップ角算出手段24を備えるほか、車両の上下方向振動に伴う撮像カメラ16と角度検出用回転体14との間の距離の変化分を求めるため、角度検出用回転体14に、その軸線Lに軸線を一致して突設した距離検出部材34と、この距離検出部材34を撮像カメラ16で撮像した時の画像面積データを基に撮像カメラ16と角度検出用回転体14との間の距離の変化分を算出する距離検出処理部1804を備える。
なお、距離検出部材34と距離検出処理部1804は、特許請求の範囲に記載した距離検出手段を構成する。
【0026】
このように構成されたタイヤ状態検出装置100においては、角度検出用回転体14及び走行路面28を含む距離検出部材34を撮像カメラ16により撮像し、これらの撮影画像を画像処理装置18によりデジタル信号に変換した後、その画像データは画像メモリ1802に1フィールドまたは1フレーム毎に取り込み、順次上書き保存する。そして、画像処理装置18の距離検出処理部1804では、距離検出部材34の画像データを基に距離検出部材34の画像面積からアルゴリズムに従って撮像カメラ16と角度検出用回転体14との間の距離の変化分を求める。さらに、求められた距離の変化分に応じてキャンバー角算出手段22で求められるキャンバー角α及びスリップ角算出手段24で求められるスリップ角βをそれぞれ補正する。
【0027】
このようなタイヤ状態検出装置によれば、車両の上下方向振動により撮像カメラ16と角度検出用回転体14との間の距離が変化しても、タイヤのスリップ角とキャンバー角を正確に測定することができる。
【0028】
なお、本発明にかかるタイヤ状態検出装置は、上記実施の形態に示す構成のものに限らず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲において、種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0029】
100……タイヤ状態検出装置、10……車両、12……車輪、1202……ホイール1204……タイヤ、14……角度検出用回転体、16……撮像カメラ、18……画像処理装置、22……キャンバー角算出手段、24……スリップ角算出手段、1802……メモリ、1804……距離検出処理部、34……距離検出部材、40,50,60……角度検出用回転体。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ及びホイールを含む車輪の状態を表すキャンバー角とスリップ角を検出するタイヤ状態検出装置であって、
前記ホイールの回転軸線上に軸線を一致して設けられた角度検出用回転体と、
前記角度検出用回転体の上方に位置して前記車両に支持され、前記角度検出用回転体を撮像するとともに前記タイヤが接地する走行路面を撮像する撮像カメラと、
前記撮像カメラで撮像した前記角度検出用回転体の画像データに基づいて前記タイヤのキャンバー角を求めるキャンバー角算出手段と、
前記撮像カメラで撮像した前記走行路面の画像データと前記角度検出用回転体の画像データに基づいて前記タイヤのスリップ角を求めるスリップ角算出手段と、
を備えることを特徴とするタイヤ状態検出装置。
【請求項2】
前記角度検出用回転体は、前記軸線を中心とする回転対称で一定の厚さを有する円盤であることを特徴とする請求項1記載のタイヤ状態検出装置。
【請求項3】
前記角度検出回転体は、前記軸線に沿った厚さを有し、この厚さ方向の一方の面は、前記軸線を中心とする回転対称で厚さが中心部から外周に行くに従い直線状または二次曲線状に減少する截頭円錐柱状に形成されていることを特徴とする請求項1記載のタイヤ状態検出装置。
【請求項4】
前記角度検出回転体は、前記軸線に沿った厚さを有し、この厚さ方向の両面は、前記軸線を中心とする回転対称で厚さが中心部から外周に行くに従い直線状または二次曲線状に減少する截頭円錐柱状に形成されていることを特徴とする請求項1記載のタイヤ状態検出装置。
【請求項5】
前記両面は互いに異なる色に着色されていることを特徴とする請求項4記載のタイヤ状態検出装置。
【請求項6】
前記車両のローリングに伴う前記撮像カメラの前記角度検出用回転体及び前記走行路面に対する撮像角度の変化分を検出する角度センサーを更に備え、
前記角度センサーで検出された撮像角度の変化分に応じて前記キャンバー角算出手段で求められるキャンバー角及び前記スリップ角算出手段で求められるスリップ角をそれぞれ補正するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至5に何れか1項記載のタイヤ状態検出装置。
【請求項7】
前記車両の上下方向振動に伴う前記撮像カメラと前記角度検出用回転体との間の距離の変化分を求める距離検出手段をさらに備え、
前記距離検出手段で求められた距離の変化分に応じて前記キャンバー角算出手段で求められるキャンバー角及び前記スリップ角算出手段で求められるスリップ角をそれぞれ補正するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至6に何れか1項記載のタイヤ状態検出装置。
【請求項8】
車両のタイヤ及びホイールを含む車輪の状態を表すキャンバー角とスリップ角を検出するタイヤ状態検出方法であって、
前記ホイールに角度検出用回転体をホイールの車軸に軸線を一致させて設け、
前記角度検出用回転体の上方から前記角度検出用回転体を撮像するとともに前記タイヤが接地する走行路面を撮像する撮像カメラを前記車両に支持させ、
前記撮像カメラで撮像した前記角度検出用回転体の画像データを基に前記タイヤのキャンバー角を求め、
前記撮像カメラで撮像した前記走行路面の画像データと前記角度検出用回転体の画像データを基に前記タイヤのスリップ角を求める、
ことを特徴とするタイヤ状態検出方法。
【請求項9】
前記車両のローリングに伴う前記撮像カメラの前記角度検出用回転体及び前記走行路面に対する撮像角度の変化分を検出し、
前記撮像角度の変化分に応じて前記キャンバー角及び前記スリップ角をそれぞれ補正することを特徴とする請求項8記載のタイヤ状態検出方法。
【請求項10】
前記車両の上下方向振動に伴う前記撮像カメラと前記角度検出用回転体との間の距離の変化分を求め、
前記距離の変化分に応じて前記キャンバー角及び前記スリップ角をそれぞれ補正することを特徴とする請求項8または9記載のタイヤ状態検出方法。
【請求項1】
タイヤ及びホイールを含む車輪の状態を表すキャンバー角とスリップ角を検出するタイヤ状態検出装置であって、
前記ホイールの回転軸線上に軸線を一致して設けられた角度検出用回転体と、
前記角度検出用回転体の上方に位置して前記車両に支持され、前記角度検出用回転体を撮像するとともに前記タイヤが接地する走行路面を撮像する撮像カメラと、
前記撮像カメラで撮像した前記角度検出用回転体の画像データに基づいて前記タイヤのキャンバー角を求めるキャンバー角算出手段と、
前記撮像カメラで撮像した前記走行路面の画像データと前記角度検出用回転体の画像データに基づいて前記タイヤのスリップ角を求めるスリップ角算出手段と、
を備えることを特徴とするタイヤ状態検出装置。
【請求項2】
前記角度検出用回転体は、前記軸線を中心とする回転対称で一定の厚さを有する円盤であることを特徴とする請求項1記載のタイヤ状態検出装置。
【請求項3】
前記角度検出回転体は、前記軸線に沿った厚さを有し、この厚さ方向の一方の面は、前記軸線を中心とする回転対称で厚さが中心部から外周に行くに従い直線状または二次曲線状に減少する截頭円錐柱状に形成されていることを特徴とする請求項1記載のタイヤ状態検出装置。
【請求項4】
前記角度検出回転体は、前記軸線に沿った厚さを有し、この厚さ方向の両面は、前記軸線を中心とする回転対称で厚さが中心部から外周に行くに従い直線状または二次曲線状に減少する截頭円錐柱状に形成されていることを特徴とする請求項1記載のタイヤ状態検出装置。
【請求項5】
前記両面は互いに異なる色に着色されていることを特徴とする請求項4記載のタイヤ状態検出装置。
【請求項6】
前記車両のローリングに伴う前記撮像カメラの前記角度検出用回転体及び前記走行路面に対する撮像角度の変化分を検出する角度センサーを更に備え、
前記角度センサーで検出された撮像角度の変化分に応じて前記キャンバー角算出手段で求められるキャンバー角及び前記スリップ角算出手段で求められるスリップ角をそれぞれ補正するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至5に何れか1項記載のタイヤ状態検出装置。
【請求項7】
前記車両の上下方向振動に伴う前記撮像カメラと前記角度検出用回転体との間の距離の変化分を求める距離検出手段をさらに備え、
前記距離検出手段で求められた距離の変化分に応じて前記キャンバー角算出手段で求められるキャンバー角及び前記スリップ角算出手段で求められるスリップ角をそれぞれ補正するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至6に何れか1項記載のタイヤ状態検出装置。
【請求項8】
車両のタイヤ及びホイールを含む車輪の状態を表すキャンバー角とスリップ角を検出するタイヤ状態検出方法であって、
前記ホイールに角度検出用回転体をホイールの車軸に軸線を一致させて設け、
前記角度検出用回転体の上方から前記角度検出用回転体を撮像するとともに前記タイヤが接地する走行路面を撮像する撮像カメラを前記車両に支持させ、
前記撮像カメラで撮像した前記角度検出用回転体の画像データを基に前記タイヤのキャンバー角を求め、
前記撮像カメラで撮像した前記走行路面の画像データと前記角度検出用回転体の画像データを基に前記タイヤのスリップ角を求める、
ことを特徴とするタイヤ状態検出方法。
【請求項9】
前記車両のローリングに伴う前記撮像カメラの前記角度検出用回転体及び前記走行路面に対する撮像角度の変化分を検出し、
前記撮像角度の変化分に応じて前記キャンバー角及び前記スリップ角をそれぞれ補正することを特徴とする請求項8記載のタイヤ状態検出方法。
【請求項10】
前記車両の上下方向振動に伴う前記撮像カメラと前記角度検出用回転体との間の距離の変化分を求め、
前記距離の変化分に応じて前記キャンバー角及び前記スリップ角をそれぞれ補正することを特徴とする請求項8または9記載のタイヤ状態検出方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−15489(P2013−15489A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−150058(P2011−150058)
【出願日】平成23年7月6日(2011.7.6)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月6日(2011.7.6)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
【Fターム(参考)】
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