説明

ダイシングフレームの製造方法及びダイシングフレーム

【課題】 縦バリ発生に伴う不具合を防ぎ、吸着パッドによる吸着の際、縦バリ抑制ザグリ部と吸着パッドの間に隙間が生じ、この隙間から気体が漏れて吸着に支障を来たすことのないダイシングフレームの製造方法及びダイシングフレームを提供する。
【解決手段】 樹脂を含む成形材料を金型に射出して真空吸着パッドに吸着される半導体ウェーハ用の中空のダイシングフレーム1を射出成形し、金型を型開きしてその突き出しピン53によりダイシングフレーム1を脱型する製造方法であり、ダイシングフレーム1を射出成形する際、ダイシングフレーム1内外の周縁部に、各突き出しピン53が干渉する成形材料滞留部9を併設し、成形材料滞留部9をダイシングフレーム1の脱型後にダイシングフレーム1から除去する。縦バリ抑制ザグリ部を成形する必要がないので、縦バリ抑制ザグリ部と真空吸着パッドの間に隙間が生じ、空気が漏れて真空吸着に支障を来たすことがない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェーハのダイシング作業等で使用されるダイシングフレームの製造方法及びダイシングフレームに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のダイシングフレーム1は、図4に示すように、半導体ウェーハWを収容する中空の板形に形成され、裏面には、半導体ウェーハWを粘着保持するダイシングテープ10が貼着されている(特許文献1参照)。このダイシングフレーム1は、例えばSUS等の材料を使用して平面略リング形に形成され、略漏斗形の複数の真空吸着パッドにより着脱自在に真空吸着されて移送されたり、搬送される。また、ダイシングテープ10は、例えば平面円形を呈する軟質塩化ビニル樹脂フィルムの表面にアクリル系の粘着剤が塗布して積層されることにより形成されている。
【0003】
係るダイシングフレーム1は、同図に示すように、ダイシングテープ10に粘着保持された半導体ウェーハWがダイヤモンドブレード30により複数のダイDにダイシングされ、図示しないエキスパンド装置にセットされてダイシングテープ10が半径外方向に延伸されることにより、ダイDとダイDとの間隔が相互に接触しないよう拡大され、その後、ダイシングテープ10から複数のダイDが個々にピックアップして移送される。
【0004】
ところで、ダイシングフレーム1は、SUS等の材料を使用して形成されてきたが、近年の軽量化の要求を満たすため、成形材料を使用して成形され、図5に示すように表面7に平面矩形のザグリ部2がSEMIスタンダードの制限下で形成されており、このザグリ部2内に、バーコードあるいは図6に示すRFIDシステム40のRFタグ41が接着剤等を介して貼着されてきている(特許文献2参照)。
【0005】
このタイプのダイシングフレーム1は、樹脂を含む成形材料が型締めされた金型50に射出されることにより射出成形され、その後、金型50の固定型51と可動型52とが型開きされてその複数の突き出しピン53により金型50から変形することのないよう均一な力で脱型される(図7参照)。また、ザグリ部2は、バーコードやRFタグ41の大きさ、厚さに応じて直線的で角ばった断面略U字形に凹み形成され、バーコードやRFタグ41よりも大きく、深く形成されている。
【0006】
さて、ダイシングフレーム1には、ザグリ部2の他に縦バリ54発生に伴う不具合を防止するため、図7に示す複数の縦バリ抑制ザグリ部3が形成される。この点について説明すると、金型50の各突き出しピン53は、金型50のスライド孔55に出没可能に挿入されているが、スライド孔55との間には空隙が存在するので、この空隙に成形材料が射出成形時に侵入してダイシングフレーム1の垂直方向に縦バリ54を発生させ、この縦バリ54が複数枚のダイシングフレーム1の積層時に干渉したり、半導体ウェーハWに付着して悪影響を及ぼすことがある。
【0007】
この縦バリ54は、金型50のスライド孔55と各突き出しピン53との間に空隙が存在する以上、完全に防ぐことはできないが、例えある程度発生しても、実用上支障を来たすことのないよう万全の対策が講じられる必要がある。そこで、従来においては図7に示すように、ダイシングフレーム1の全周に複数の縦バリ抑制ザグリ部3が所定の間隔で生じるよう金型50から各突き出しピン53を予め突出させ、金型50のスライド孔55と各突き出しピン53との空隙に例え縦バリ54が発生しても、各縦バリ抑制ザグリ部3の深さ内に収め、縦バリ54がダイシングフレーム1の表面レベルに達するのを抑制するようにしている。
【特許文献1】特開2006‐299226号公報
【特許文献2】特開2007‐62333号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来におけるダイシングフレーム1は、以上のように構成され、縦バリ54発生に伴う不具合を防止する観点から複数の縦バリ抑制ザグリ部3が形成されるので、ウェーハマウンタやダイサの真空吸着パッド20による真空吸着の際、真空吸着の部位(縦バリ抑制ザグリ部3やその周縁部)によっては、縦バリ抑制ザグリ部3と真空吸着パッド20との間に隙間が生じ、この隙間から空気(図8の矢印参照)が漏れて真空吸着に支障を来たすという問題がある。
【0009】
係る問題を解消する手段としては、柔軟性の材料により真空吸着パッド20を形成して隙間を埋めるという方法が考えられるが、材料の変更だけでは確実性に欠け、しかも、経年の材料劣化により真空吸着パッド20が硬質化して真空吸着できないおそれがある。
【0010】
本発明は上記に鑑みなされたもので、縦バリ発生に伴う不具合を防ぎ、吸着パッドによる吸着の際、縦バリ抑制ザグリ部と吸着パッドとの間に隙間が生じ、この隙間から気体が漏れて吸着に支障を来たすことのないダイシングフレームの製造方法及びダイシングフレームを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明においては上記課題を解決するため、樹脂を含む成形材料を金型に注入して吸着パッドに着脱自在に吸着される半導体ウェーハ用の中空のダイシングフレームを成形し、金型を型開きしてその突き出しピンによりダイシングフレームを脱型するものの製造方法であって、
ダイシングフレームを成形する際にダイシングフレームの少なくとも内外いずれか一方の周縁部に、突き出しピンが干渉する成形材料滞留部を併設(合わせて設ける)し、ダイシングフレームを脱型した後にダイシングフレームから成形材料滞留部を除去することを特徴としている。
【0012】
なお、ダイシングフレームを成形する際にダイシングフレームの少なくとも表裏いずれか一方の面に、バーコードあるいはRFIDシステムのRFタグを収容する凹部を形成し、ダイシングフレームの一方の面と凹部の底面とを傾斜辺により接続してその傾斜角度を略30°以下とすることができる。
また、成形材料滞留部をレーザ加工法により除去することができる。
【0013】
また、本発明においては上記課題を解決するため、請求項1、2、又は3記載のダイシングフレームの製造方法によりダイシングフレームを製造することを特徴としている。
【0014】
ここで、特許請求の範囲における吸着パッドは、単数複数を特に問うものではない。半導体ウェーハは、口径200mm、300mm、450mm等のタイプがあるが、特に問うものではない。また、ダイシングフレームは、中空であれば、リング形や枠形等を特に問うものではない。このダイシングフレームの一方の面、凹部の底面、及び傾斜辺の間は、コーナ部を形成することなく、曲線で接続することが好ましい。
【0015】
凹部は、平面円形、楕円形、矩形、多角形等を問うものではなく、又ダイシングフレームの表面に単数複数形成しても良いし、ダイシングフレームの裏面に単数複数形成しても良い。また、ダイシングフレームの表裏面にそれぞれ必要数形成することも可能である。さらに、干渉には、少なくとも関わるという意義の他、位置や係合、接触等という意義が含まれる。
【0016】
本発明によれば、半導体ウェーハ用のダイシングフレームを成形する金型が型開きされ、金型の突き出しピンが突き出て成形されたダイシングフレームを脱型する際、ダイシングフレームの表裏面に突き出しピンが接触するのではなく、ダイシングフレームの周縁部に位置する余分な成形材料滞留部に突き出しピンが接触する。したがって、ダイシングフレームの表裏面の垂直方向に縦バリが発生したり、付着することがない。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、縦バリ発生に伴う不具合を防ぎ、吸着パッドによる吸着の際、縦バリ抑制ザグリ部と吸着パッドとの間に隙間が生じ、この隙間から気体が漏れて吸着に支障を来たすことがないという効果がある。
【0018】
また、ダイシングフレームを成形する際にダイシングフレームの少なくとも表裏いずれか一方の面に、バーコードあるいはRFIDシステムのRFタグを収容する凹部を形成すれば、バーコードあるいはRFタグを使用してダイシングフレームや半導体ウェーハに関する情報を容易に把握することができる。また、ダイシングフレームの一方の面と凹部の底面とを傾斜辺により接続してその傾斜角度を略30°以下とすれば、吸着パッドによる吸着の際、略確実に吸着することのできるダイシングフレームを提供することができる。
【0019】
さらに、成形材料滞留部をレーザ加工法により除去すれば、成形材料滞留部が除去されたダイシングフレームの除去面を、凸凹の少ない滑らかな面に形成し、高精度の寸法公差で体裁を整えることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明に係るダイシングフレームの製造方法の好ましい実施形態を説明すると、本実施形態におけるダイシングフレームの製造方法は、図1や図2等に示すように、成形材料を金型50に射出して真空吸着パッド20に吸着される半導体ウェーハW用のダイシングフレーム1を射出成形し、金型50を型開きしてその複数の突き出しピン53によりダイシングフレーム1を脱型する製造方法であり、ダイシングフレーム1を射出成形する際、ダイシングフレーム1の周縁部に、各突き出しピン53が干渉する複数の成形材料滞留部9を併設するようにしている。
【0021】
成形材料は、所定の樹脂に繊維状のフィラーや不定形のフィラーが配合されることにより調製される。例えば成形材料は、流動性、寸法安定性、精密成形に優れるポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂やナイロン系の樹脂に、強度、剛性を確保するカーボンファィバーや炭酸カルシウム、耐薬品性、補強効果に優れるホウ酸アルミニウムウィスカー等が混合混練されることにより調製される。
【0022】
金型50は、図7に示すように、相対向する固定型51と可動型52とを備え、これら固定型51と可動型52とには、ダイシングフレーム1よりも一回り大きい彫刻用の空間が形成されており、射出成形装置から溶融した流動性の成形材料が充填される。この金型50の可動型52には、成形品であるダイシングフレーム1内外の周縁部に位置する複数のスライド孔55が穿孔され、各スライド孔55には、ダイシングフレーム1を均一な力で押し出して脱型する突き出しピン53がスライド可能に挿入される。その他の部分については、一般的な射出成形用の金型と同様である。
【0023】
半導体ウェーハWは、図4に示すように、例えば口径300mmのタイプからなり、ダイシングフレーム1の中空部を裏面側から覆うダイシングテープ10の表面に着脱自在に粘着保持されており、ダイヤモンドブレード30により複数のダイDにダイシングされた後、ダイシングテープ10から複数のダイDが個々にピックアップして移送される。
【0024】
ダイシングフレーム1は、図1に示すように、成形材料により中空に射出成形され、表面7の後部に凹部であるザグリ部2が凹み形成されており、中空部に半導体ウェーハWを可撓性のダイシングテープ10を介して収容するとともに、複数の真空吸着パッド20により着脱自在に真空吸着された状態で移送されたり、搬送される。
【0025】
ダイシングフレーム1は、図1に示すように、半導体ウェーハWよりも一回り大きい厚さ2〜3mmの平面略リング形の板に成形され、内周縁部4が傾斜形成あるいは断面略く字形(日本語のくの字)に形成される。このダイシングフレーム1の外周面は、その前部の左右に位置決め用のノッチ5がそれぞれ切り欠かれ、左右両側部がそれぞれ前後方向に直線的に切り欠かれる。
【0026】
ザグリ部2は、バーコードやRFIDシステム40のRFタグ41の大きさ、厚さに応じて平面略長方形の断面略皿形に凹み形成され、バーコードやRFタグ41よりも大きく、深く形成されており、本実施形態においてはRFタグ41が接着剤等を介し嵌入接着される(この点については図5、図6参照)。このザグリ部2は、例えばRFタグ41の厚さが一般的に0.2〜0.4mmであることから、0.3〜0.5mm、好ましくは0.3〜0.4mmの深さに形成される。
【0027】
ザグリ部2は、真空吸着の際の空気漏れを抑制防止する観点から、図2に示すように底面6の周縁部とダイシングフレーム1の略平坦な表面7とがテーパ状の傾斜辺8により接続され、この傾斜辺8の傾斜角度が略30°以下とされる。
【0028】
ダイシングテープ10は、例えばエチレン酢酸ビニル(EVA)、ポリ塩化ビニル、ポリブチレンテレフタレート、ポリオレフィン系等からなるフィルムの表面にUV系の粘着剤が塗布して積層されることにより薄い平面円板形に形成され、ダイシングフレーム1の裏面に粘着(この点については図4参照)されており、使用後にダイシングフレーム1の裏面から剥離されることによりダイシングフレーム1がリサイクルに供される。フィルムの表面には、UV光の照射により粘着性を喪失するUV系の粘着剤が積層されるのが好ましいが、必要に応じ、アクリル系の粘着剤が代わりに塗布して積層される。
【0029】
複数の成形材料滞留部9は、図1に示すように、ダイシングフレーム1の射出成形の際、ダイシングフレーム1の内周縁部4と外周縁部の周方向に、金型50の複数の突き出しピン53が干渉可能なようそれぞれ所定の間隔で併設され、ダイシングフレーム1の金型50からの脱型後に二次加工により除去される。各成形材料滞留部9としては、例えば成形時のガスを逃がすための突出した樹脂溜まりや金型50のスプルからゲートまでの間で固化したランナの端部等があげられる。
【0030】
各成形材料滞留部9を除去する二次加工としては、例えば型による打ち抜き加工法、ウォータージェットによる切断法、滑らかな切断面を得ることのできる加工性の良いレーザ加工法等があげられる。これらの中でも、炭酸ガスやYAG等の高出力レーザにより成形材料滞留部9を溶断したり、水流中にレーザを通すことで樹脂製の成形材料滞留部9を冷却しながら溶断するレーザ加工法等が最適である。その他の部分については、従来例と同様である。
【0031】
上記において、半導体ウェーハW用のダイシングフレーム1を製造する場合には、先ず、金型50の固定型51と可動型52とが型締めされ、金型50内に射出成形装置の樹脂注入口が接触して溶融した一定温度の成形材料を高圧で射出し、中空のダイシングフレーム1が射出成形されるとともに、このダイシングフレーム1の内外の周縁部に、金型50の突き出しピン53が干渉、位置する複数の成形材料滞留部9が一体的に併設される(図1参照)。
【0032】
この際、ダイシングフレーム1の内外周縁部に複数の成形材料滞留部9が併設されるので、ダイシングフレーム1の全周に複数の縦バリ抑制ザグリ部3を所定の間隔で凹み成形する必要がなく、表裏面が略平坦なダイシングフレーム1を成形することができる。
【0033】
ダイシングフレーム1に複数の成形材料滞留部9が併設されたら、金型50がその内部を流通している冷却水により冷却され、この冷却と平行して成形材料の溶融と計量とがそれぞれ行われる。
【0034】
次いで、金型50の固定型51と可動型52とが型開きされ、金型50の複数の突き出しピン53が突き出てダイシングフレーム1を変形しないよう均一な力で脱型し、ダイシングフレーム1が成形装置の外部に移送されたり、搬送される。この際、ダイシングフレーム1の表裏面に複数の突き出しピン53が直接圧接するのではなく、本来余分な複数の成形材料滞留部9に突き出しピン53が圧接するので、ダイシングフレーム1の表裏面の垂直方向に縦バリ54が発生したり、付着することがない。
【0035】
ダイシングフレーム1が移送、搬送されたら、ダイシングフレーム1の内外周縁部から本来余分な複数の成形材料滞留部9が全て除去され、この除去により、完成したダイシングフレーム1を得ることができる。
【0036】
上記によれば、ダイシングフレーム1に複数の縦バリ抑制ザグリ部3を凹み成形する必要が全くないので、ウェーハマウンタやダイサの真空吸着パッド20による真空吸着の際、縦バリ抑制ザグリ部3と真空吸着パッド20との間に隙間が生じ、この隙間から空気が漏れて真空吸着に支障を来たすことがない。また、柔軟性の材料により真空吸着パッド20を形成して隙間を埋める必要もないので、真空吸着パッド20が硬質化して真空吸着できなくなるおそれを排除することができる。
【0037】
また、ザグリ部2を直線的な断面略U字形とするのではなく、断面略皿形に凹み形成してその傾斜辺8の傾斜角度を略30°以下とするので、ザグリ部2の周縁部が起立することがなく、真空吸着パッド20による真空吸着の際、ザグリ部2と真空吸着パッド20との間に大きな段差や隙間が生じたり、隙間から空気が漏れて真空吸着に支障を来たしたり、あるいは真空吸着パッド20が位置ズレすることがない。したがって、確実な真空吸着が期待でき、真空吸着パッド20の吸着位置の自由度を著しく向上させたり、ダイシングフレーム1を円滑に移送したり、搬送することができる。
【0038】
また、空気漏れを防止する観点から、吸着力に欠ける小径の真空吸着パッド20や専用の真空吸着パッド20を使用する必要が全くないので、ダイシングフレーム1や真空吸着パッド20、マウンタ等の汎用性を大幅に向上させることが可能になる。さらに、ダイシングフレーム1が金属製ではなく、軽量の樹脂製であるので、RFタグ41の通信特性に悪影響を及ぼすこともない。
【0039】
次に、図3は本発明の第2の実施形態を示すもので、この場合には、ダイシングフレーム1の表面7、ザグリ部2の底面6、及び傾斜辺8の間を段差の生じ易い直線で接続するのではなく、滑らかに連続する曲線で接続し、これらの間に角ばったコーナ部が生じるのを規制するようにしている。その他の部分については、上記実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0040】
本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、しかも、ダイシングフレーム1の表面7、ザグリ部2の底面6、及び傾斜辺8の間を連続する曲線で接続して面取りするので、ザグリ部2と真空吸着パッド20との間に大きな隙間が生じないのは明らかである。
【0041】
なお、本発明に係るダイシングフレーム1は、上記実施形態に何ら限定されるものではない。例えば、上記実施形態ではダイシングフレーム1のザグリ部2内にRFIDシステム40のRFタグ41を貼着したが、ザグリ部2内に、バーコードを貼着しても良い。また、ダイシングフレーム1の内周縁部4のみに、各突き出しピン53が干渉する複数の成形材料滞留部9を併設しても良いし、ダイシングフレーム1の外周縁部のみに複数の成形材料滞留部9を併設しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明に係るダイシングフレームの製造方法及びダイシングフレームの実施形態を模式的に示す平面説明図である。
【図2】本発明に係るダイシングフレームの製造方法及びダイシングフレームの実施形態を模式的に示す説明図である。
【図3】本発明に係るダイシングフレームの製造方法及びダイシングフレームの第2の実施形態を模式的に示す断面説明図である。
【図4】一般的なダイシングフレームを示す斜視説明図である。
【図5】樹脂製のダイシングフレームを示す平面説明図である。
【図6】樹脂製のダイシングフレームとRFIDシステムの関係を示す斜視説明図である。
【図7】樹脂製のダイシングフレームの縦バリ抑制ザグリ部と突き出しピンの関係を示す説明図である。
【図8】樹脂製のダイシングフレームの問題点を示す説明図である。
【符号の説明】
【0043】
1 ダイシングフレーム
2 ザグリ部(凹部)
4 内周縁部
6 底面
7 表面
8 傾斜辺
9 成形材料滞留部
20 真空吸着パッド(吸着パッド)
40 RFIDシステム
41 RFタグ
50 金型
51 固定型
52 可動型
53 突き出しピン
54 縦バリ
55 スライド孔
W 半導体ウェーハ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂を含む成形材料を金型に注入して吸着パッドに着脱自在に吸着される半導体ウェーハ用の中空のダイシングフレームを成形し、金型を型開きしてその突き出しピンによりダイシングフレームを脱型するダイシングフレームの製造方法であって、
ダイシングフレームを成形する際にダイシングフレームの少なくとも内外いずれか一方の周縁部に、突き出しピンが干渉する成形材料滞留部を併設し、ダイシングフレームを脱型した後にダイシングフレームから成形材料滞留部を除去することを特徴とするダイシングフレームの製造方法。
【請求項2】
ダイシングフレームを成形する際にダイシングフレームの少なくとも表裏いずれか一方の面に、バーコードあるいはRFIDシステムのRFタグを収容する凹部を形成し、ダイシングフレームの一方の面と凹部の底面とを傾斜辺により接続してその傾斜角度を略30°以下とする請求項1記載のダイシングフレームの製造方法。
【請求項3】
成形材料滞留部をレーザ加工法により除去する請求項1又は2記載のダイシングフレームの製造方法。
【請求項4】
請求項1、2、又は3記載のダイシングフレームの製造方法により製造されたことを特徴とするダイシングフレーム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−273088(P2008−273088A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−120884(P2007−120884)
【出願日】平成19年5月1日(2007.5.1)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】