説明

チアゾリルMGLUR5アンタゴニスト及びそれらの使用のための方法

効力及び/又は薬物動態及び/又は選択性及び/又はインビボ受容体占有特性に関する有利な特性を有するため、薬物様特性に関して特別な長所を有するユニークな一連の化合物の同定。具体的には、ピリジン環の3位又はピリミジニル環の5位にエチニレンが連結されている1,3−チアゾール−2−イル環メンバーの選択の結果(この環は、選択された置換基により置換されている。)、優れた薬物様の特性を有する化合物が得られる。本発明は、これらの複素環化合物の医薬的に許容される塩形態、特に塩酸塩及びトリフルオロ酢酸塩を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、mGluR5アンタゴニストとして高い活性を有する特定の複素環化合物及び、さらに、これらの複素環の特定の塩の発見に関する。さらに、本発明は、様々な疾病及び状態の治療及び予防のためのこれらの化合物の治療上の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
不飽和複素環化合物には幅広い利用がある。例えば、この群の化合物には、リガンド活性化受容体が介在する生理的プロセスの調節因子としての利用がある。リガンドにより活性化される受容体は、とりわけ、神経、心臓、腎臓、消化器及び気管支系にわたって存在する。神経系において、例えば、複素環化合物は、神経伝達物質、神経ホルモン及び神経調節因子に対する受容体の、アゴニスト又はアンタゴニストとして機能できる。ヒト、その他の哺乳動物及び脊椎動物ならびに無脊椎動物種を含む多岐にわたる種において、リガンド活性化受容体が同定されている。したがって、この群の化合物はまた、系統発生全体にわたり受容体介在性プロセスを調節することもでき、多様な用途、例えば医薬、殺虫剤、抗真菌剤及びその他の使用において利用がある。
【0003】
アミノ酸L−グルタミン酸(グルタメート)などの興奮性アミノ酸により活性化される受容体は、哺乳動物中枢神経系における主要な興奮性神経伝達物質受容体群である。解剖学的、生化学的及び電気生理学的分析から、グルタミン酸作動性系は、速い興奮性シナプス伝達、神経伝達物質放出の制御、長期増強、長期抑圧、学習及び記憶、発生的シナプス可塑性、低酸素虚血性障害及び神経細胞死、てんかん様発作、視覚処理ならびにいくつかの神経変性疾患の病理を含む多岐にわたる神経プロセスに関与することが示唆されている。全般的に、Nakanishiら、Brain Research Reviews 26:230−235(1998);Monaghanら、Ann,Rev.Pharmacol.Toxicol.29:365−402(1980)を参照のこと。この幅広い機能(特に、学習、神経毒性及び神経病理に関するもの)が刺激となり、グルタミン酸がその効果を示す機構を説明し定義するための研究が近年行われてきた。
【0004】
グルタミン酸は、2種類の主要な群(イオンチャネル型及び代謝調節型)に分類されている受容体を介してその効果を媒介することが観察されている。イオンチャネル型グルタミン酸受容体は一般に、2つの群に分けられる(N−メチル−D−アスパラギン酸(NMDA)及び非NMDA受容体)。両群の受容体には、不可欠の陽イオンチャネルに連結し、これらの受容体は一部アミノ酸配列相同性がある。GluR1−4はAMPA(a−アミノ−3−ヒドロキシ−5−メチルイソキサゾール−4−プロピオン酸)受容体と呼ばれるが、これは、AMPAがこれらのサブユニットから構成される受容体を選択的に活性化するためであり、一方、GluRS−7及びKA1−2はカイニン酸受容体と呼ばれるが、これらがカイニン酸に対して選択的に感受性があるためである。したがって、「AMPA受容体」は、AMPAにより活性化され得る非NMDA受容体である。AMPA受容体にはGluR1−4ファミリーが含まれるが、これらは、様々な電流−電圧関係及びカルシウム透過性を示すホモオリゴマー及びヘテロオリゴマー複合体を形成する。GluR1−4核酸配列によりコードされるポリペプチドは、機能的なリガンド依存性イオンチャネルを形成し得る。AMPA受容体には、GluR1、GluR2、GluR3及び/又はGluR4サブユニットを有する受容体が含まれる。NMDA受容体には、NMDAR1、NMDAR2a、NMDAR2b、NMDAR2c、NMDAR2d及び/又はNMDAR3サブユニットを有する受容体が含まれる。
【0005】
代謝調節型グルタミン酸受容体は、アミノ酸配列相同性、伝達機構及び薬理学的特性に基づき、3つの群(即ち、Group I、Group II及びGroup III)に分けられる。受容体の各グループは、1以上のタイプの受容体を含有する。例えば、Group Iは、代謝調節型グルタミン酸受容体1及び5(mGluR1及びmGluR5)を含み、Group IIは、代謝調節型グルタミン酸受容体2及び3(mGluR2及びmGluR3)を含み、Group IIIは、代謝調節型グルタミン酸受容体4、6、7及び8(mGluR4、mGluR6、mGluR7及びmGluR8)を含む。特定のmGluRタイプにはいくつかのサブタイプが存在し得る。例えば、mGluR1のサブタイプには、mGluR1a、mGluR1b、mGluR1c及びmGluR1dが含まれる。
【0006】
解剖学的研究から、哺乳動物神経系における代謝調節型グルタミン酸受容体の幅広く選択的な分布が明らかである。例えば、mGluR1は、小脳、嗅球、海馬、外側中隔、視床、淡蒼球、脚内核、腹側淡蒼球及び黒質において発現される(Petraliaら、(1997)J.Chem.Neuroanat.,13:77−93;Shigemotoら、(1992)J.Comp.Neurol.,322:121−135)。一方、mGluR5は小脳では発現が弱いが、線条体及び皮質では発現レベルがより高いことが分かっている(Romanoら、(1995)J.Comp.Neurol.,355:455−469)。海馬において、mGluR5は、広く分布し、散在性に発現されると思われる。
【0007】
代謝調節型グルタミン酸受容体は、通常、前に大きな推定細胞外アミノ末端ドメインがあり、後に大きな推定細胞内カルボキシ末端ドメインがある、7個の推定膜貫通ドメインを特徴とする。この受容体は、G−タンパク質に共役し、受容体群に依存して、ある種の二次メッセンジャーを活性化する。このように、例えば、Group IのmGluRは、ホスホリパーゼCを活性化する。この受容体の活性化の結果、膜ホスファチジルイノシトール(4,5)−ビスホスフェートがジアシルグリセロールに加水分解され、これによりタンパク質キナーゼCが活性化され、続いて、イノシトールトリホスフェートがイノシトールトリホスフェート受容体を活性化し、20細胞内カルシウムの放出を促進する。
【0008】
mGlu5アンタゴニストとしての活性を有する多岐にわたる複素環化合物が、mGluR5受容体の活性を調節することについて、及び、mGluR5介在状態の治療における使用について、発明者らの国際公開WO01/16121並びに第09/387,073号(放棄)及び米国特許第6,774,138号として発行されている第10/217,800号などの関連国内段階出願に記載されている。一般に興奮性アミノ酸受容体及び、特に代謝調節型グルタミン酸受容体は生理的及び病理的に重要であることから、興奮性アミノ酸受容体が介在するプロセスを調節するより一層効果的な方法ならびに疾患のより効果的な治療方法及び予防方法を特定することが必要である。したがって、当技術分野において、興奮性アミノ酸受容体を調節することができる化合物群の、新しく益々強力なメンバーが現在もなお必要とされている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
WO01/16121及び米国特許第6,744,138号に記載され主張される化合物群の範囲に包含されるが、そこでは具体的には開示されておらず、一連の化合物が薬物様の特性に関して特別な長所を有する、一連の化合物の同定。即ち、本明細書中に記載の化合物は、効力及び/又は選択性及び/又は薬物動態特性及び/又はインビボ受容体占有特性に関する比類なく有利な特性を有するため、薬物としての使用について高い可能性を示す。具体的に、ピリジル環の3位又はピリミジニル環の5位においてエチニレンが連結している1,3−チアゾール−2−イル環部分の選択(この環は、選択された置換基で置換される。)の結果、優れた薬物様特性を有する化合物が得られる。本発明はまた、これらの複素環化合物の医薬的に許容される塩形態、特に塩酸塩及びトリフルオロ酢酸塩も開示する。
【0010】
本発明の化合物は、多岐にわたる用途に対して有用である。例えばこれらの化合物は、神経系においてグルタミン酸受容体のアンタゴニストとして機能することで、生理的プロセスを調節する作用を示し得る。本発明の化合物はまた、殺虫剤及び殺真菌剤として作用し得る。本発明の化合物を含有する医薬組成物にも、広い用途がある。
【0011】
本発明によれば、具体的に定義される複素環化合物群を用いて、興奮性アミノ酸受容体の活性を調節する方法も提供される。ある実施形態において、代謝調節型グルタミン酸受容体の調節方法が提供される。本発明はまた、複素環化合物を用いた疾患の治療方法も提供する。想到される疾患としては、脳虚血、慢性神経変性、精神障害、統合失調症、気分障害、情緒障害、錐体外路運動機能障害、肥満、呼吸、運動調節及び機能の障害、注意欠陥障害、集中力障害、疼痛障害、神経変性障害、てんかん、痙攣性疾患、摂食障害、睡眠障害、性障害、日周期障害、薬物禁断症状、薬剤耽溺、強迫性障害、不安、パニック障害、抑うつ障害、皮膚障害、腎臓虚血、腎臓変性、緑内障、臓器移植に伴う障害、喘息、虚血及び星状細胞腫が挙げられる。本発明はさらに、肺系の疾患、神経系の疾患、心血管系の疾患、精神遅滞(脆弱X症候群に関する精神遅滞を含む。)、消化器系の疾患(逆流性食道炎及び過敏性腸症候群など)、内分泌系の疾患、外分泌系の疾患、皮膚疾患、癌及び眼科系の疾患に関係する疾患状態の予防方法を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によると、式:
【0013】
【化8】

の化合物(式中、XはHであり、Yは、
【0014】
【化9】



から選択されるか、
又は、YはHであり、Xは、
【0015】
【化10】

から選択され、
前記化合物は、放射性同位体を含まない。)
及び医薬的に許容されるそれらの塩が提供される。
【0016】
また、本発明によれば、式:
【0017】
【化11】

の化合物(式中、Yは、
【0018】
【化12】


から選択され、
前記化合物は、放射性同位体を含まない。)
及び医薬的に許容されるそれらの塩が提供される。
【0019】
本明細書で使用される場合、「アルキル」とは、約1から12個の範囲の炭素原子を有する、直鎖又は分枝のアルキル基を指し、「置換アルキル」とは、ヒドロキシ、アルコキシ、メルカプト、アリール、複素環、ハロゲン、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、シアノ、シアノメチル、ニトロ、アミノ、アミド、アミジン、アミド、カルボキシル、カルボキサミド、カーバメート、エステル、スルホニル、スルホンアミドなどの1以上の置換基をさらに有するアルキル基を指す。
【0020】
本明細書で使用される「ハロゲン」とは、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素基を指す。
【0021】
当業者にとって、本発明の化合物が1以上のキラル中心を有し得、従ってラセミ混合物として存在し得ることは明らかである。多くの用途において、立体選択的合成を実施すること及び/又は実質的に光学的に純粋な物質を製造するために反応生成物を適切な精製段階に供することが好ましい。光学的に純粋な物質を製造するのに適切な立体選択的合成手段は、ラセミ混合物を精製して光学的に純粋な分画を得る手段のように、当技術分野で周知である。さらに、化合物が様々な形態で結晶化することが可能な多形体で本発明の化合物が存在し得ることは、当業者にとって明らかである。多形を同定及び分離するための適切な方法は当技術分野で公知である。
【0022】
本発明の別の実施態様によれば、医薬的に許容される担体と組み合わせて、上記の複素環化合物を含む医薬組成物が提供される。場合によっては、本発明の化合物は、それが有する置換基に依って、無毒性の酸付加塩に変換することができる。従って、上記の化合物(場合によっては医薬的に許容される担体と組み合わせて)は、各種適応症の治療に有用な医薬品の製造において使用可能である。
【0023】
本発明の実施での使用に対して想到される医薬的に許容される担体としては、経口、舌下、静脈内、皮下、経皮、筋肉内、皮内、硬膜内、硬膜外、眼球内、頭蓋内、吸入、直腸、経膣などの投与に適切な担体が挙げられる。クリーム、ローション、錠剤、カプセル、ペレット、分散性粉剤、顆粒剤、坐剤、シロップ、エリキシル剤、トローチ剤(lozenge)、注射剤、無菌の水性もしくは非水性液剤、懸濁液もしくはエマルジョン、パッチなどの形態での投与が想到される。医薬的に許容される担体としては、グルコース、ラクトース、アラビアゴム、ゼラチン、マンニトール、デンプン糊、三ケイ酸マグネシウム、タルク、コーンスターチ、ケラチン、コロイド状シリカ、ジャガイモデンプン、尿素、デキストランなどが挙げられる。
【0024】
本発明の化合物は、場合によっては、無毒性の酸付加塩に変換することができる。このような塩は通常、本発明の化合物を適切な有機もしくは無機酸と反応させることにより調製することできる。代表的な塩としては、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、メタンスルホン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、吉草酸塩、オレイン酸塩、ラウリン酸塩、ホウ酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、リン酸塩、トルエンスルホン酸塩(トシル酸塩)、クエン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、ナプシル酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、カンファースルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ウンデカン酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩などが挙げられる。硫酸塩、重硫酸塩、ヘミ硫酸塩、塩酸塩、塩素酸塩、過塩素酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩などの塩を用いて無機酸を用いて形成することもできる。塩基性塩の例としては、アンモニウム塩;ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩;ジシクロヘキシルアミン塩、N−メチル−D−グルカミン、フェニルエチルアミンなどの有機塩基との塩;アルギニン、リジンなどのアミノ酸との塩などが挙げられる。このような塩は、当技術分野で公知の方法を用いて容易に調製することができる。
【0025】
本発明の別の実施形態によると、興奮性アミノ酸受容体の活性を調節する方法が提供され、この方法は、前記受容体を少なくとも1個の上記化合物と接触させることを含む。したがって、本発明の調節方法に従う使用に想到される化合物としては、前記興奮性アミノ酸受容体の活性を調節するのに十分な量での、構造A−L−B−L−Z(上述及び本明細書中に記載のように)を有する化合物もしくは鏡像異性体、ジアステレオマー異性体又はこれらの何れか2つ以上の混合物又は医薬的に許容されるそれらの塩が含まれる。
【0026】
本明細書で用いる場合、「興奮性アミノ酸受容体」とは、中枢神経系における主要な興奮性神経伝達物質受容体群である細胞表面受容体群を指す。さらにこの種の受容体は、阻害反応にも介在する。興奮性アミノ酸受容体は、アミノ酸であるグルタミン酸及びおそらくは他の内因性酸性アミノ酸の刺激作用に介在する膜貫通タンパク質である。興奮性アミノ酸は、速い及び遅い神経伝達において不可欠であり、アルツハイマー病、卒中、統合失調症、頭部外傷、てんかんなどを含む様々な疾患に関連している。さらに興奮性アミノ酸は、学習及び記憶の基礎となるシナプス機構である長期増強及び抑圧のプロセスにおいて非常に重要である。興奮性アミノ酸受容体には、(1)代謝調節型受容体、(2)イオンチャネル型NMDA受容体及び(3)AMPA受容体及びカイニン酸受容体を含む非NMDA受容体という、3種類の主要なサブタイプがある。
【0027】
本明細書で使用する場合、「活性の調節」という表現は、本発明を用いない場合の活性と比較して、本発明を用いた場合に活性が異なるような活性レベルの変化を指す。興奮性アミノ酸受容体の活性の調節には、受容体の活性の抑制又は増強などがある。受容体活性の抑制は、リガンド結合部位の遮断、リガンド結合部位の生化学的及び/又は物理化学的修飾、アゴニスト認識ドメインの結合、受容体におけるリガンド活性化配座変化の阻止、活性化受容体によるG−タンパク質などの二次メッセンジャーの刺激阻止などの様々な手段によって行うことができる。受容体活性の増強は、リガンド結合部位の安定化、リガンド結合部位の生化学的及び/又は物理化学的修飾、アゴニスト認識ドメインの結合、受容体におけるリガンド活性化配座変化の促進などの様々な手段によって行うことができる。
【0028】
興奮性アミノ酸受容体の活性は、多くの病態に関与し得る。従って受容体活性の調節はまた、脳虚血、慢性神経変性、精神障害、統合失調症、気分障害、情緒障害、錐体外路運動機能障害、肥満、呼吸、運動調節及び機能の障害、注意欠陥障害、集中力障害、疼痛障害、神経変性障害、てんかん、痙攣性疾患、摂食障害、睡眠障害、性障害、日周期障害、薬物禁断症状、薬剤耽溺、強迫性障害、不安、パニック障害、抑うつ障害、皮膚障害、腎臓虚血、腎臓変性、緑内障、臓器移植に伴う障害、喘息、虚血又は星状細胞腫の治療などの様々な治療用途も指す。
【0029】
本発明の調節方法による使用に想到される化合物は、不安、抑うつ、精神病、薬物禁断症状、煙草禁断症状、記憶喪失、認識障害、認知症、アルツハイマー病などの気分障害;パーキンソン病、進行性筋肉上麻痺、ハンチントン病、ジル−ド−ラ−トゥレット症候群、遅発性ジスキネジアなどの錐体外路運動機能障害の治療に特に有用である。
【0030】
本発明による使用に想到される化合物はまた、神経因性疼痛、慢性疼痛、急性疼痛、疼痛性糖尿病性ニューロパチー、帯状疱疹後神経痛、癌に伴う疼痛、化学療法に伴う疼痛、脊髄損傷に伴う疼痛、多発性硬化症に伴う疼痛、灼熱痛及び反射交感神経性ジストロフィー、幻肢痛、卒中後(中枢)疼痛、HIV又はAIDSに伴う疼痛、三叉神経痛、腰痛、顔面筋障害、片頭痛、骨関節痛、術後疼痛、歯痛、火傷後疼痛、全身性エリテマトーデスに伴う疼痛、エントラップメント神経障害、有痛性多発性神経障害、眼痛、炎症に伴う疼痛、組織損傷による疼痛などの疼痛障害治療に対しても特に有用でもある。
【0031】
さらに、本発明による使用に対して想到される化合物は、脳虚血、慢性神経変性、精神障害、統合失調症、気分障害、情緒障害、錐体外路運動機能障害、肥満、呼吸、運動調節及び機能の障害、注意欠陥障害、集中力障害、疼痛障害、神経変性障害、てんかん、痙攣性疾患、摂食障害、睡眠障害、性障害、日周期障害、薬物禁断症状、薬剤耽溺、強迫性障害、不安、パニック障害、抑うつ障害、皮膚障害、腎臓虚血、腎臓変性、緑内障、臓器移植に伴う障害、喘息、虚血又は星状細胞腫の治療に対して特に有用である。本発明はさらに、肺系の疾患、神経系の疾患、心血管系の疾患、精神遅滞(脆弱X症候群に関する精神遅滞を含む。)、消化器系の疾患(逆流性食道炎及び過敏性腸症候群など)、内分泌系の疾患、外分泌系の疾患、皮膚疾患、癌及び眼科系の疾患に関係する病態の予防方法を開示する。
【0032】
「接触」とは、溶液又は固相での接触を含み得る。
【0033】
「医薬的に許容される塩」とは、所望の薬理活性を有し、生理的に適切である、治療に使用される化合物の塩を指す。このような塩は、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、樟脳酸塩、カンファースルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、シュウ酸塩、酒石酸塩、トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩など、有機酸を用いて形成することができる。このような塩は、硫酸塩、重硫酸塩、塩素酸塩、過塩素酸塩、ヘミ硫酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩など、無機酸と形成することもできる。さらにこのような塩は、22アンモニウム塩;ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩;ジシクロヘキシルアミン塩、N−メチル−D−グルカミン、フェニルエチルアミンなどの有機塩基との塩;アルギニン、リジンなどのアミノ酸との塩など、塩基性塩を用いて形成することができる。
【0034】
本明細書中の化合物の塩形態はいくつかの長所を有する。本明細書に記載の複素環化合物のある種の医薬的に許容される塩形態は、非塩形態のものと比較して溶解度が高い。さらにある種の塩形態は、医薬用途に対する適合性がより高い。例えば、2−(フェニルエチニル)−1,3−チアゾールの塩酸塩は油状物であるが、2−(フェニルエチニル)−1,3−チアゾールのトルエンスルホン酸塩型は、水性媒体に対して可溶性である固体である。化合物の塩形態の特性は、そのように処理される化合物の特性及び使用される特定の塩に依存する。
【0035】
本発明の別の実施形態によると、代謝調節型グルタミン酸受容体の活性調節方法が提供され、この方法は、興奮性アミノ酸受容体活性の調節のための本発明の方法に従って、前記代謝調節型グルタミン酸受容体の活性を調節するのに十分な濃度の上述のような複素環化合物と、代謝調節型グルタミン酸受容体を接触させることを含む。
【0036】
本明細書で使用する場合、「代謝調節型グルタミン酸受容体」という語句は、グルタミン酸作動性リガンドに対する細胞のG−タンパク質共役応答に関与するある種の細胞表面受容体を指す。アミノ酸配列相同性、伝達機構及び結合選択性に基づいて同定される、3群の代謝調節型グルタミン酸受容体が現在知られており、各群が1種類以上の受容体を含む。例えばGroup Iには、代謝調節型グルタミン酸1及び5(mGluR1及びmGluR5)が含まれ、Group IIには、代謝調節型グルタミン酸2及び3(mGluR2及びmGluR3)が含まれ、Group IIIには、代謝調節型グルタミン酸4,6、7及び8(mGluR4、mGluR6、mGluR7及びmGluR8)が含まれる。各mGluR型にはいくつかのサブタイプが存在し得る。例えばmGluR1のサブタイプには、mGluR1a、mGluR1b及びmGluR1cなどが含まれる。
【0037】
本発明の別の実施形態によれば、多岐にわたる病態の治療方法が提供されるが、この方法は、興奮性アミノ酸受容体活性を調節するための本発明の方法に従って、上記複素環化合物の少なくとも1種類の治療上有効量を、病態にある患者に投与することを含む。
【0038】
本明細書で使用する場合、「治療」とは、疾患、障害又は状態の進行を阻害する又は停止させること、及び/又は疾患、障害又は状態の軽減、寛解又は退行を起こすことを指す。様々な方法及びアッセイを用いて疾患、障害又は状態の進行を評価し得ること、同様に、様々な方法及びアッセイを用いて、疾患、障害又は状態の軽減、寛解又は退行を評価し得ることは、当業者にとって明らかであろう。
【0039】
本発明による治療に対して想到される疾患状態としては、脳虚血、慢性神経変性、精神障害、統合失調症、気分障害、情緒障害、錐体外路運動機能障害、肥満、呼吸、運動調節及び機能の障害、注意欠陥障害、集中力障害、疼痛障害、神経変性障害、てんかん、痙攣性疾患、摂食障害、睡眠障害、性障害、日周期障害、薬物禁断症状、薬剤耽溺、強迫性障害、不安、パニック障害、抑うつ障害、皮膚障害、腎臓虚血、腎臓変性、緑内障、臓器移植に伴う障害、喘息、虚血、星状細胞腫などが挙げられる。
【0040】
本発明による治療において想到される疾患状態としては、さらに、肺系の疾患、神経系の疾患、心血管系の疾患、消化器系の疾患、内分泌系の疾患、外分泌系の疾患、皮膚疾患、癌及び眼球系の疾患などが挙げられる。
【0041】
本明細書で使用する場合、「投与」とは、経口、舌下、静脈内、皮下、経皮、筋肉内、皮内、硬膜内、硬膜外、眼内、頭蓋内、吸入、直腸、経膣などの投与を用いて、本明細書に記載の複素環化合物及び/又はその塩を患者に与える手段を指す。クリーム、ローション、錠剤、カプセル、ペレット、分散性粉剤、顆粒剤、坐剤、シロップ、エリキシル剤、トローチ剤(lozenge)、注射液、無菌の水性もしくは非水性液剤、懸濁液もしくはエマルジョン、パッチなどの形態での投与も想到される。グルコース、ラクトース、アラビアゴム、ゼラチン、マンニトール、デンプン糊、三ケイ酸マグネシウム、タルク、コーンスターチ、ケラチン、コロイド状シリカ、ジャガイモデンプン、尿素、デキストランなどの無毒性で医薬的に許容される担体と有効成分を混合することができる。
【0042】
経口投与のためには、炭酸カルシウム、ラクトース、リン酸カルシウム、リン酸ナトリウムなどの様々な賦形剤を含有する、錠剤、カプセル、トローチ、水性もしくは油系の懸濁液、分散性粉剤もしくは顆粒剤、エマルジョン、硬もしくは軟カプセル、又はシロップ、エリキシル剤及びトローチ剤(lozenge)を、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、アルギン酸などの、様々な造粒剤及び崩壊剤とともに、トラガカントゴム、コーンスターチ、ゼラチン、アラビアゴムなどの結合剤と組み合わせて用い得る。ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、タルクなどの潤滑剤も添加することができる。経口用製剤は、医薬製剤の製造に関して当業界で公知の何らかの方法に従って調製することができ、このような製剤は、医薬的に口当たりの良い製剤を提供するために、スクロース、ラクトース、サッカリンなどの甘味料;ペパーミント、冬緑油などの香味料、着色料及び保存料からなる群から選択される1以上の薬剤を含有し得る。
【0043】
経口用製剤はまた、適切な担体を含むこともでき、このような製剤としては、湿潤剤、乳化剤及び懸濁24剤、甘味料、香味料及び香料などの添加剤を場合によっては含有する、エマルジョン、溶液、懸濁液、シロップなどが挙げられる。錠剤はコーティングされていないものでも良く、又は、公知の技術によってコーティングを施して、消化管での崩壊及び吸収を遅延させて、長期間にわたって持続的作用が得られるようにすることができる。
【0044】
非経口投与用液体の調製の場合、適切な担体としては、無菌の水性もしくは非水性の溶液、懸濁液又はエマルジョンが挙げられる。非経口投与の場合、本発明の実施のための溶液は、無菌の生理食塩水溶液又は前述の相当する水溶性で医薬的に許容される金属塩などを含み得る。非経口投与の場合、本発明の実施に使用される化合物の溶液はまた、非水性の溶液、懸濁液、エマルジョンなども含み得る。非水性溶媒又はビヒクルの例としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油及びトウモロコシ油などの植物油、ゼラチン及びオレイン酸エチルなどの注射可能な有機エステルがある。このような剤形はまた、保存料、湿潤剤、乳化剤及び分散剤などの助剤も含有し得る。これらは、例えば細菌捕捉フィルターによる濾過、組成物中への滅菌剤の組み込み、組成物の放射線照射又は組成物の加熱によって滅菌することができる。これらはまた、使用の直前に、滅菌水又は他の何らかの無菌注射用媒体の形態で製造することもできる。
【0045】
水溶液はまた、静脈内、筋肉内、硬膜内、皮下及び腹腔内注射にも適切であり得る。使用される無菌水性媒体はいずれも、当業者には周知の標準的な技術によって容易に得ることができる。これらは例えば、細菌捕捉フィルターによる濾過、組成物中への滅菌剤の組み込み、組成物の放射線照射又は組成物の加熱などによって滅菌することができる。これらは、使用の直前に、滅菌水又は他の何らかの無菌の注射可能な媒体の形態で製造することもできる。
【0046】
本発明による使用で想到される化合物は、直腸投与又は経膣投与のための坐剤の形態で投与することもできる。このような組成物は、周囲温度で固体であるが、体内腔部で液化及び/又は溶解して薬剤を放出するカカオバター、ポリエチレングリコール類の合成グリセリドエステルなどの適切な非刺激性賦形剤と薬剤とを混合することにより調製することができる。
【0047】
好ましい注射ための治療組成物及び用量は、臨床的適応症によって変動する。用量の若干の変動は、治療対象の患者の状態に依存して必要に応じて行われるものであり、いずれの場合も、医師が個々の患者に対する適切な用量を決定する。単位用量当たりの化合物の有効量は、特に体重、生理機能及び選択される注射法によって決まる。化合物の単位用量とは、担体重量を除く(担体を用いている場合)化合物重量を指す。
【0048】
本発明の実施に対して使用される化合物及び組成物の投与経路は、治療が必要な疾患及び部位によって決まる。本明細書に記載の化合物及び組成物の薬物動態及び薬力学は若干変動することから、組織において治療濃度を得るために最も好ましい方法は、用量を徐々に上昇させ、臨床効果をモニタリングするというものである。そのような用量漸増の治療投与方法での初期用量は、投与経路によって決まる。
【0049】
本発明の方法によれば医薬製剤は、いずれかの医薬品製剤又は組成物で、非経口投与、皮膚投与などで投与することができる。これは、単独薬剤として、あるいは他の医薬製剤との併用で用いる。単回及び複数回治療投与計画が治療プロトコールで有用となり得る。
【0050】
本明細書で用いる場合、複素環化合物及び医薬的に許容されるそれらの塩を用いる本発明の方法に関して使用する場合の「治療上有効量」という語句は、受容者に対して有用な効果を与えるのに十分な高さの循環濃度を与えるのに十分な化合物用量を指す。何らかの特定の患者に対する具体的な治療上有効な用量レベルは、治療対象の障害、障害の重度、使用される具体的な化合物の活性、投与経路、具体的な化合物のクリアランス速度、投与期間、具体的な化合物と併用又は同時投与される薬剤、患者の年齢、体重、性別、食事及び全身の健康状態ならびに医学及び科学の分野で周知の同様の要素などを含む様々な要素によって決まる。用量レベルは通常、約0.001から100mg/kg/日の範囲にあり、約0.05から10mg/kg/日の範囲のレベルが好ましい。
【0051】
本発明のさらに別の実施態様では、疾患の危険のある対象者における病態の予防方法が提供されるが、この方法は、興奮性アミノ酸受容体の活性を調節するための本発明の方法に従って、上記複素環化合物の少なくとも1種類の治療上有効量を前記対象者に投与することを含む。
【0052】
本明細書で使用する場合、「病態の予防」という語句は、疾患の危険性があり得るが、まだその疾患があると診断されていない対象者において、疾患、障害又は状態が生じるのを阻止することを指す。様々な方法を用いて疾患の危険性のある対象者を決定し得ること、ならびに対象者に疾患の危険性があるか否かが、対象者の遺伝的素因、対象者の年齢、体重、性別、食事、全身の健康状態、職業、環境条件への曝露、結婚歴などを含む、当業者にとって公知の様々な要素によって決まることは、当業者にとって明らかである。
【0053】
当業者は、興奮性アミノ酸受容体の活性を評価するために使用できる様々なアッセイを容易に確認できる。二次メッセンジャー経路を活性化する受容体種に対して、細胞内二次メッセンジャーにおける受容体活性化変化を測定するアッセイを用いて、受容体活性をモニタリングすることができる。例えば、放射性リガンド結合アッセイを用いたG−タンパク質カップリング代謝調節型グルタミン酸受容体の阻害である(実施例109参照。)。
【0054】
同様に、細胞内カルシウムの放出又は細胞内カルシウム濃度の変化を生じさせる興奮性アミノ酸受容体の活性化を用いて、興奮性アミノ酸受容体活性を評価することもできる。細胞内カルシウム濃度における一時的上昇を検出する方法も当技術分野において周知である(例えば、Itoら、J.Neurochem.56:531−540(1991)及び実施例108参照)。G−タンパク質カップリング受容体はまた、ホスファチジルイノシトール加水分解などの他の二次メッセンジャー系ともカップリングする(例えば、Berridgeら、(1982)Biochem.J.206:587−5950;及びNakajimaら、J.Bioil.Chem.267:2437−2442(1992)及び実施例110参照。)。
【0055】
以下の実施例は、本発明を説明するためのものであり、いかなる形でも本発明を限定することを明示及び示唆するものではない。これらは、使用されると考えられるものを代表するものではあるが、当業者にとって公知の他の手段、方法又は技術を代用し得る。
【0056】
中間体1
2−クロロ−5−[(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)エチニル]ピリジン
【0057】
【化13】

【0058】
2−クロロ−5−ヨードピリジン(40mmol、10.0g)、2−メチル−4−[(トリメチルシリル)エチニル]−1,3−チアゾール(40mmol、7.8g)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(2mmol、1.4g)、ヨウ化銅(I)(4mmol、760mg)及びトリエチルアミン(200mmol、28mL)を、脱酸素DMF(200mL)へ室温で添加した。次いで、反応物を60℃に温め、フッ化テトラブチルアンモニウム(40mmol、THF中の1.0M溶液40mL)をシリンジを通して滴下した。攪拌を2.5時間継続し、続いて反応内容物を分液漏斗中に注ぎ、1:1のヘキサン:EtOAc(1000mL)及び水(500mL)に分配した。次いで、有機層を5回分の5%NaCl(各250mL)で洗浄した。混合水層を、1:1ヘキサン:EtOAc(500mL)で逆抽出した。混合有機層をMgSO上で乾燥させ、ろ過し、真空濃縮した。1:1のEtOAc:ヘキサンで溶出するSiO上で、未精製残留物をクロマトグラフにかけ、2−クロロ−5−[(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)メチニル]ピリジンを褐色の固体として得た。H−NMR(CDCl,300MHz)δ8.57(s,1H),7.77(d,1H),7.45(s,1H),7.32(d,1H),2.75(s,3H)。MS(ESI)235.2(M+H)。
【0059】
中間体2
2−クロロ−5−[(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)エチニル]ピリミジン
【0060】
【化14】

【0061】
2−クロロ−5−ブロモピリミジン(5.0g、26mmol)、2−メチル−4−エチニル−1,3−チアゾール(3.2g、26mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.6g、0.5mmol)、ヨウ化銅(I)(0.1g、0.5mmol)及びトリエチルアミン(13g、130mmol)を、脱酸素トルエン(50mL)へ室温で添加した。次いで反応物を60℃に温めた。攪拌を2.5時間継続し、続いて、反応内容物を分液漏斗中に注ぎ、EtOAc(100mL)及び水(100mL)に分配した。次いで、有機層を水で2回(各250mL)洗浄した。有機層をMgSO上で乾燥させ、ろ過し、真空濃縮した。1:1のEtOAc:ヘキサンで溶出するSiO上で、未精製残留物をクロマトグラフにかけ、2−クロロ−5−[(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)エチニル]ピリミジンを褐色の固体として獲た。H−NMR(CDCl,300MHz)δ8.78(s,2H),7.52(s,1H),2.78(s,3H)。
【実施例】
【0062】
(実施例1)
3−フルオロ−5−{5−[(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)エチニル]ピリジン−2−イル}ベンゾニトリル
【0063】
【化15】

【0064】
段階1:3−フルオロ−5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ベンゾニトリル
【0065】
【化16】

【0066】
3−ブロモ−5−フルオロベンゾニトリル(30.0mmol、9.23g)、ビス(ピナコラート)ジボロン(30.0mmol、7.62g)、PdCl(dppf)(ジクロロメタンを伴い1:1の複合体、1.2mmol、980mg)及び酢酸カリウム(105mmol、10.3g)を、脱酸素ジオキサン(150mL)中で混合し、80℃で4時間加熱し、その間にGC/MS分析によって反応が完了したことを決定した。反応物を室温に冷却し、EtOAc(300mL)及び水(200mL)を含有する分液漏斗中に注いだ。水層をEtOAc(75mL)で逆抽出し、混合有機層をMgSO上で乾燥させ、ろ過し、真空濃縮した。更なる精製又は性質決定せずに、未精製残留物を次の段階で使用した。
【0067】
段階2:3−フルオロ−5−{5−[(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)エチニル]ピリジン−2−イル}ベンゾニトリル
【0068】
【化17】

【0069】
2−クロロ−5−[(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)エチニル]ピリジン(30mmol、7.02g)及び3−フルオロ−5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ベンゾニトリル(30mmol、粗製物質、上記方法)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(1.5mmol、1.05g)並びに炭酸カリウム(120mmol、16.6g)を、脱酸素DME:水(1:1、300mL)に室温で添加した。反応物を80℃に温め、窒素下で一晩攪拌し、次いで分液漏斗中でEtOAc(500mL)及び水(300mL)に分配した。有機層を追加分の水(100mL)で洗浄し、混合水層をEtOAc(100mL)で逆抽出した。混合有機層をMgSO上で乾燥させ、ろ過し、真空濃縮した。ヘキサン中の30%EtOAcで溶出するSiO上で、未精製残留物をクロマトグラフにかけ、表題化合物を褐色の固体として得た。H−NMR(CDCl,500MHz)δ8.89(m,1H)8.17(dd,1H),8.04(m,1H),7.98(dd,1H),7.75(d,1H),7.50(s,1H),7.42(m,1H),2.79(s,3H)。MS(ESI)320.0(M+H)。
【0070】
3−フルオロ−5−{5−[(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)エチニル]ピリジン−2−イル}ベンゾニトリルを、塩化メチレン中で溶解し、エーテル中のHClの等モル量を滴下した。溶媒を真空蒸発し、オフホワイトの固体を生成した。MS(ESI)320.0(M+H)。
【0071】
(実施例2)
2−(2−フルオロフェニル)−5−[(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)エチニル]ピリジン
【0072】
【化18】

【0073】
2−クロロ−5−[(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)エチニル]ピリジン(0.43mmol、100mg)、2−フルオロフェニルボロン酸(0.47mmol、66mg)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(0.03mmol、18mg)及び炭酸カリウム(1.72mmol、238mg)を、脱酸素DME:水(1:1、3mL)へ室温で添加した。150℃で5分間、マイクロ波照射を通して反応物を加熱し、次いで分液漏斗中で、EtOAc(100mL)及び水(30mL)に分配した。有機層を追加分の水(20mL)で洗浄し、混合水層をEtOAc(50mL)で逆抽出した。混合有機層をMgSO上で乾燥させ、ろ過し、真空濃縮した。ヘキサン中10−40%EtOAcの勾配で溶出するSiO上で、未精製残留物をクロマトグラフにかけ、表題化合物を褐色の固体として取得し、エーテル中で溶解し、エーテル中の1M HClで塩酸塩として沈殿した。H−NMR(CDOD,500MHz)δ9.13(s,1H),8.69(d,1H),8.30(d,1H),7.98(s,1H),7.84(dd,1H),7.70(m,1H),7.42−7.53(m,2H),2.83(s,3H)。MS(ESI)295.13(M+H)。
【0074】
(実施例3)
2−(3−フルオロフェニル)−5−[(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)エチニル]ピリジン
【0075】
【化19】

【0076】
2−クロロ−5−[(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)エチニル]ピリジン(0.43mmol、100mg)、3−フルオロフェニルボロン酸(0.47mmol、66mg)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(0.03mmol、18mg)及び炭酸カリウム(1.72mmol、238mg)を、脱酸素DME:水(1:1、3mL)へ室温で添加した。150℃で5分間、マイクロ波照射を通して反応物を加熱し、次いで分液漏斗中で、EtOAc(100mL)及び水(30mL)に分配した。有機層を追加分の水(20mL)で洗浄し、混合水層をEtOAc(50mL)で逆抽出した。混合有機層をMgSO上で乾燥させ、ろ過し、真空濃縮した。ヘキサン中の10−40%EtOAcの勾配で溶出するSiO上で、未精製残留物をクロマトグラフにかけ、表題化合物を褐色の固体として取得し、エーテル中で溶解し、エーテル中の1M HClで塩酸塩として沈殿した。H−NMR(CDOD,500MHz)δ8.99(s,1H),8.58(d,1H),8.28(d,1H),7.95(s,1H),7.74(m,2H),7.60(m,1H),7.38(m,1H),2.73(s,3H)。MS(ESI)295.13(M+H)。
【0077】
(実施例4)
2−{5−[(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)エチニル]ピリジン−2−イル}ベンゾニトリル
【0078】
【化20】

【0079】
2−クロロ−5−[(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)エチニル]ピリジン(1.0mmol、234mg)、2−シアノフェニルボロン酸(1.2mmol、176mg)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(0.05mmol、35mg)及び炭酸カリウム(3.5mmol、500mg)を、脱酸素DME:水(1:1、5mL)へ室温で添加した。150℃で5分間、マイクロ波照射を通して反応物を加熱し、次いで分液漏斗中で、EtOAc(100mL)及び水(30mL)に分配した。有機層を追加分の水(20mL)で洗浄し、混合水層をEtOAc(50mL)で逆抽出した。混合有機層をMgSO上で乾燥させ、ろ過し、真空濃縮した。ヘキサン中の0−60%EtOAcの勾配で溶出するSiO上で、未精製残留物をクロマトグラフにかけ、表題化合物を白色の固体として取得し、エーテル中で溶解し、エーテル中の1M HClで塩酸塩として沈殿した。MS(ESI)301.4(M+H)。
【0080】
(実施例5)
2−(2−メチルフェニル)−5−[(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)エチニル]ピリジン
【0081】
【化21】

【0082】
2−クロロ−5−[(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)エチニル]ピリジン(1.0mmol、234mg)、2−メチルフェニルボロン酸(2.0mmol、272mg)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(0.05mmol、35mg)及び炭酸カリウム(3.5mmol、500mg)を、脱酸素DME:水(1:1、5mL)へ室温で添加した。反応物を80℃で18時間加熱し、次いで分液漏斗中で、EtOAc(100mL)及び水(30mL)に分配した。有機層を追加分の水(20mL)で洗浄し、混合水層をEtOAc(50mL)で逆抽出した。混合有機層をMgSO上で乾燥させ、ろ過し、真空濃縮した。ヘキサン中の0−60%EtOAcの勾配で溶出するSiO上で、未精製残留物をクロマトグラフにかけ、表題化合物を褐色の固体として取得し、エーテル中で溶解し、エーテル中の1M HClで塩酸塩として沈殿した。H−NMR(CDOD,500MHz)δ9.14(s,1H),8.76(d,1H),8.18(d,1H),8.03(s,1H),7.44−7.61(m,4H),2.76(s,3H),2.26(s,3H)。MS(ESI)291.2(M+H)。
【0083】
(実施例6)
2−(5−フルオロ−2−メトキシフェニル)−5−[(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)エチニル]ピリジン
【0084】
【化22】

【0085】
2−クロロ−5−[(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)エチニル]ピリジン(1.0mmol、234mg)、2−メトキシ−5−フルオロフェニルボロン酸(2.0mmol、340mg)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(0.05mmol、35mg)及び炭酸カリウム(3.5mmol、500mg)を、脱酸素DME:水(1:1、5mL)へ室温で添加した。反応物を80℃で18時間加熱し、次いで分液漏斗中で、EtOAc(100mL)及び水(30mL)に分配した。有機層を追加分の水(20mL)で洗浄し、混合水層をEtOAc(50mL)で逆抽出した。混合有機層をMgSO上で乾燥させ、ろ過し、真空濃縮した。ヘキサン中の0−60%EtOAcの勾配で溶出するSiO上で、未精製残留物をクロマトグラフにかけ、表題化合物を褐色の固体として取得し、エーテル中で溶解し、エーテル中の1M HClで塩酸塩として沈殿した。H−NMR(CDOD,500MHz)δ9.08(s,1H),8.73(d,1H),8.34(d,1H),8.03(s,1H),7.58(dd,1H),7.45(m,1H),7.33(m,1H),3.97(s,3H),2.77(s,3H)。MS(ESI)325.4(M+H)。
【0086】
(実施例7)
2−(2−クロロフェニル)−5−[(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)エチニル]ピリジン
【0087】
【化23】

【0088】
2−クロロ−5−[(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)エチニル]ピリジン(1.0mmol、234mg)、2−メトキシ−5−フルオロフェニルボロン酸(2.0mmol、312mg)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(0.05mmol、35mg)及び炭酸カリウム(3.5mmol、500mg)を、脱酸素DME:水(1:1、5mL)へ室温で添加した。反応物を80℃で18時間加熱し、次いで分液漏斗中で、EtOAc(100mL)及び水(30mL)に分配した。有機層を追加分の水(20mL)で洗浄し、混合水層をEtOAc(50mL)で逆抽出した。混合有機層をMgSO上で乾燥させ、ろ過し、真空濃縮した。ヘキサン中0−60%EtOAcの勾配で溶出するSiO上で、未精製残留物をクロマトグラフにかけ、表題化合物を褐色の固体として取得し、エーテル中で溶解し、エーテル中の1M HClで塩酸塩として沈殿した。H−NMR(CDOD,500MHz)δ9.15(s,1H),8.73(d,1H),8.20(d,1H),7.97(s,1H),7.57−7.69(m,3H),7.59(m,1H),2.77(s,3H)。MS(ESI)310.9(M+H)。
【0089】
(実施例8)
2−(2−メトキシフェニル)−5−[(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)エチニル]ピリジン
【0090】
【化24】

【0091】
2−クロロ−5−[(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)エチニル]ピリジン(1.0mmol、234mg)、2−メトキシフェニルボロン酸(2.0mmol、304mg)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(0.05mmol、35mg)及び炭酸カリウム(3.5mmol、500mg)を、脱酸素DME:水(1:1、5mL)へ室温で添加した。反応物を80℃で18時間加熱し、次いで分液漏斗中で、EtOAc(100mL)及び水(30mL)に分配した。有機層を追加分の水(20mL)で洗浄し、混合水層をEtOAc(50mL)で逆抽出した。混合有機層をMgSO上で乾燥させ、ろ過し、真空濃縮した。ヘキサン中0−60%EtOAcの勾配で溶出するSiO上で、未精製残留物をクロマトグラフにかけ、表題化合物を淡黄色の固体として取得し、エーテル中で溶解し、エーテル中の1M HClで塩酸塩として沈殿した。H−NMR(CDOD,500MHz)δ9.02(s,1H),8.73(d,1H),8.34(d,1H),7.97(s,1H),7.68−7.77(m,2H),7.32(d,1H),7.24(dd,1H),3.99(s,3H),2.77(s,3H)。MS(ESI)307.2(M+H)。
【0092】
2−(2−メトキシフェニル)−5−[(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)エチニル]ピリジンに対する実施例8に記載の同様の方法を使用し、次の化合物を調製した。
【0093】
(実施例9)
2−(4−フルオロ−2−メチルフェニル)−5−[(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)エチニル]トリフルオロ酢酸ピリジニウム
【0094】
【化25】

MS(ESI)310(M+H)。
【0095】
(実施例10)
2−(3,5−ジフルオロ−2−メトキシフェニル)−5−[(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)エチニル]トリフルオロ酢酸ピリジニウム
【0096】
【化26】

【0097】
H−NMR(CDCl,500MHz)。8.71(m,1H),8.02(m,1H),7.98(m,1H),7.78(m,1H),7.39(m,1H),7.12(m,1H),3.85(s,3H),2.80(s,3H)。MS(ESI)343(M+H)。
【0098】
(実施例11)
2−(4−フルオロ−2−メトキシフェニル)−5−[(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)エチニル]トリフルオロ酢酸ピリジニウム
【0099】
【化27】

MS(ESI)326(M+H)。
【0100】
(実施例12)
2−(5−フルオロ−2−メチルフェニル)−5−[(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)エチニル]トリフルオロ酢酸ピリジニウム
【0101】
【化28】

MS(ESI)309(M+H)。
【0102】
(実施例13)
2−(2−メチルフェニル)−5−[(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)エチニル]ピリミジン
【0103】
【化29】

【0104】
2−クロロ−5−[(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)エチニル]ピリミジン(200mg、0.85mmol)、2−メチルフェニルボロン酸(250mg、1.7mmol)、Pddba(20mg、0.021mmol)、[2’−(ジシクロヘキシルホスフィノ)ビフェニル−2−イル]ジメチルアミン(15mg、0.038mmol)及びフッ化ナトリウム(1.72mmol、238mg)を、脱酸素ジオキサン(3mL)へ添加した。反応物を100℃で4時間加熱した。粗反応物を、HPLC上でクロマトグラフにかけた(C18カラム)。H−NMR(CDCl,500MHz)δ8.96(s,2H),8.15(d,1H),7.49(s,1H),7.3−7.4(m,3H),2.78(s,3H),2.62(s,3H)。MS(ESI)292.02(M+H)。
【0105】
2−(2−メチルフェニル)−5−[(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)エチニル]ピリミジンに対する実施例13に記載の同様の方法を使用し、次の化合物を調製した。
【0106】
(実施例14)
5−[(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)エチニル]−2−[2−(メチルチオ)フェニル]ピリミジン
【0107】
【化30】

【0108】
H−NMR(CDCl,500MHz)δ9.0(s,2H),7.89(d,1H),7.49(s,1H),7.1−7.3(m,3H),2.78(s,3H),2.49(s,3H)。MS(ESI)323.90(M+H)。
【0109】
(実施例15)
2−(2−クロロフェニル)−5−[(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)エチニル]ピリミジン
【0110】
【化31】

【0111】
H−NMR(CDCl,500MHz)δ9.0(s,2H),7.81(d,1H),7.3−7.5(m,4H),2.78(s,3H)。MS(ESI)311.88(M+H)。
【0112】
(実施例16)
2−(2,3−ジメチルフェニル)−5−[(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)エチニル]ピリミジン
【0113】
【化32】

【0114】
H−NMR(CDCl,500MHz)δ9.0(s,2H),7.81(d,1H),7.1−7.5(m,4H),2.78(s,3H),2.4(s,6H)。MS(ESI)305.95(M+H)。
【0115】
(実施例17)
1−{5−[(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)エチニル]ピリジン−2−イル}−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン
【0116】
【化33】

【0117】
60℃にて、DMF(20mL)中の1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン(2.0mmol、236mg)の攪拌した溶液へ、水素化ナトリウム(2.5mmol、鉱物油中の60重量%分散液100mg)を添加した。30分後、2−クロロ−5−[(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)エチニル]ピリジン(0.5mmol、117mg)を添加し、反応物を75℃に温め、窒素下で一晩攪拌した。次いで、反応物をEtOAc:ヘキサン(1:1、100mL)及び水(50mL)に分配した。有機層を5%NaCl(4×50mL)で洗浄し、次いでMgSO上で乾燥させ、ろ過し、真空濃縮した。DCM中の3%MeOHで溶出するSiO上で、未精製残留物をフラッシュクロマトグラフにかけ、表題化合物を白色の固体として取得し、エーテル中で溶解し、エーテル中の1N HClで塩酸塩として沈殿した。H−NMR(CDOD,500MHz)δ8.88(m,2H),8.65(d,1H),8.54(d,1H),8.30(dd,1H),8.05(d,1H),7.94(s,1H),7.83(dd,1H),7.24(d,1H),2.82(s,3H)。MS(ESI)317.4(M+H)。
【0118】
(実施例18)
1−{5−[(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)エチニル]ピリジン−2−イル}−1H−ピロロ[2,3−c]ピリジン
【0119】
【化34】

【0120】
6−アザインドールヒドロブロミド(198mg、1.0mmol)、2−クロロ−5−[(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)エチニル]ピリジン(1.0mmol、234mg)及び炭酸セシウム(3.2mmol、1.04g)を、DMF(15mL)中で混合し、120℃で18時間加熱した。反応物を室温に冷却し、分液漏斗中で、1:1のヘキサン:EtOAc(100mL)及び水(50mL)に分配した。有機層を5%NaCl(4×25mL)で洗浄し、次いで、MgSO上で乾燥させ、ろ過し、真空濃縮した。DCM中の0−6%iPrOH勾配で溶出するSiO上で、未精製残留物を精製し、表題化合物を白い固体として取得して、エーテル中で溶解し、エーテル中の1M HClで塩酸塩として沈殿した。H−NMR(CDOD,500MHz)δ10.1(s,1H),8.83(m,2H),8.43(d,1H),8.27(d,1H),8.22(d,1H),7.99(d,1H),7.92(s,1H),7.26(d,1H),2.79(s,3H)。MS(ESI)317.2(M+H)。
【0121】
(実施例19)
5−[(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)エチニル]−2−ピペリジン−1−イルピリジン
【0122】
【化35】

【0123】
2−クロロ−5−[(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)エチニル]ピリジン200mg(0.85mmol、1当量)、ピペリジン0.25mL(2.5mmol、3当量)及びDMF2mLを混合した。反応混合物を90℃で16時間加熱し、pH10のPBSで反応停止し、DCMで抽出した。シリカゲルクロマトグラフィー(勾配10−50%EtOAc/ヘキサン)により、5−[(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)エチニル]−2−ピペリジン−1−イルピリジン(L−001106455)を得た。遊離塩基をジエチルエーテル中に溶解し、HCl1当量を添加することにより、モノHCl塩を生成し、ろ過により単離した。LC−MSがC1617Sを283と算出し、m/e284.3(M+H)を観察した。H−NMR(500MHz,DMSO−d6)δ8.20(s,1H),7.92−7.93(m,2H),7.30(d,1H),3.73(m,4H),2.68(s,3H),1.61−1.66(m,6H)。
【0124】
(実施例20)
2−(2−メチルピロリジン−1−イル)−5−[(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)エチル]ピリジン
【0125】
【化36】

【0126】
2−クロロ−5−[(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)エチニル]ピリジン200mg(0.85mmol、1当量)、2−メチルピロリジン0.30mL(2.5mmol、3当量)及びNMP2mLを混合した。180℃で30分間、反応混合物をマイクロ波中で加熱し、pH10のPBSで反応停止し、DCMで抽出した。シリカゲルクロマトグラフィー(勾配10−50%EtOAc/ヘキサン)により、2−(2−メチルピロリジン−1−イル)−5−[(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)エチニル]ピリジン(L−001120970)を得た。遊離塩基をジエチルエーテル中に溶解し、HCl1当量を添加することにより、モノHCl塩を生成し、ろ過により単離した。LC−MSがC1617Sを283と算出し、m/e284.0(M+H)を観察した。
【0127】
(実施例21)
2−(2−メチルピロリジン−1−イル)−5−[(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)エチニル]ピリミジン
【0128】
【化37】

【0129】
2−クロロ−5−[(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)エチニル]ピリミジン117mg(0.50mmol、1当量)、2−メチルピロリジン0.50mL(5mmol、10当量)及びNMP1mLを混合した。反応混合物を200℃で15分間加熱し、pH10のPBSで反応停止して、DCMで抽出した。シリカゲルクロマトグラフィー(勾配10%−40%EtOAc/ヘキサン)により、2−(2−メチルピロリジン−1−イル)−5−[(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)エチニル]ピリミジン(L−001152863)を得た。LC−MSがC1516Sを284と算出し、m/e285.3(M+H)を観察した。
【0130】
(実施例22)
N−(tert−ブチル)−5−[(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)エチニル]ピリミジン−2−アミン
【0131】
【化38】

【0132】
2−クロロ−5−[(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)エチニル]ピリミジン117mg(0.50mmol、1当量)、t−ブチルアミン0.50mL(5mmol、10当量)及びNMP1mLを混合した。反応混合物を180℃で10分間加熱した。反応混合物を処理せずに精製した。分取逆相HPLC(勾配30%−100%MeCN/水)により、N−(tert−ブチル)−5−[(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)エチニル]ピリミジン−2−アミンをTFA塩として得た。LC−MSがC1416Sを272と算出し、m/e273.2(M+H)を観察した。
【0133】
N−(tert−ブチル)−5−[(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)エチニル]ピリミジン−2−アミンに対する実施例22に記載の同様の方法を使用し、次の化合物を調製した。
【0134】
(実施例23)
2−(3−メチルピペリジン−1−イル)−5−[(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)エチニル]ピリミジン
【0135】
【化39】

【0136】
H−NMR(CDCl,300MHz)δ8.46(s,2H),7.35(s,1H),4.63(m,2H),2.94(t,1H),2.75(s,3H),2.60(m,1H),1.88(bs),1.78(m,1H),1.65(m,1H),1.55(m,1H),1.22(m,1H),0.98(d,3H)。MS(ESI)299.16(M+H)。
【0137】
(実施例24)
5−[(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)エチニル]−2−ピペリジン−1−イルピリミジン
【0138】
【化40】

【0139】
H−NMR(CDCl,300MHz)δ8.46(s,2H),7.35(s,1H),3.85(m,4H),2.75(s,3H),2.60(m,1H),1.69(m,2H),1.63(m,4H)。MS(ESI)285.14(M+H)。
【0140】
(実施例25)
2−イソプロポキシ−5−[(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)エチニル]ピリミジン
【0141】
【化41】

【0142】
2−クロロ−5−[(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)エチニル]ピリミジン50mg、炭酸カリウム200mg及びイソプロパノール5mLを混合した。反応混合物を80℃で1時間加熱した。RPHPLCにより、5−[(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)エチニル]−2−イソプロポキシ−1−イルピリミジンを得た。H−NMR(500MHz,CDCl)δ8.20(s,1H),8.70(s,2H),7.45(s,1H),5.36(m,1H),2.81(s,3H),1.44(d,6H)。MS(ESI)259.88(M+H)
【0143】
2−イソプロポキシ−5−[(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)エチニル]ピリミジンに対する実施例25に記載の同様の方法を使用し、次の化合物を調製した。
【0144】
(実施例26)
2−イソプロポキシ−5−[(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)エチニル]トリフルオロ酢酸ピリジニウム
【0145】
【化42】

MS(ESI)259(M+H)
(実施例27)
2−tert−ブトキシ−5−[(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)エチニル]ピリジン
【0146】
【化43】

【0147】
H−NMR(CDCl,500MHz)δ8.315−8.310(d,1H),7.644−7.622(dd,1H),7.34(s,1H),6.61−6.60(d,1H),2.73(s,1H),1.59(s,9H)。MS(ESI)273.06(M+H)。
【0148】
(実施例28)
2−(tert−ブチルチオ)−5−[(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)エチニル]ピリジン
【0149】
【化44】

【0150】
H−NMR(CDCl,500MHz)δ8.580−8.576(d,1H),7.56−7.54(dd,1H),7.34(s,1H),7.18−7.17(d,1H),2.69(s,3H),1.49(s,9H)。MS289.14(M+H)。
【0151】
(実施例29)
白色の固体として2−(tert−ブチルチオ)−5−[(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)エチニル]ピリミジン
【0152】
【化45】

【0153】
H NMR(MeOD 500MHz)8.73(s,2H),7.98(s,1H),2.86(s,3H),1.63(s,9H)。MS(ESI)290.03(M+H)。
【0154】
(実施例30)
2−シクロヘキシル−5−[(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)エチニル]ピリジン
【0155】
【化46】

【0156】
THF(1mmol、1.1当量)中の2−クロロ−5−[(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)エチニル]ピリジン200mg(0.85mmol、1当量)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)50mg(0.043mmol、0.05当量)及び0.5M臭化シクロヘキシル亜鉛2mLを混合した。150℃で5分間、反応混合物をマイクロ波中で加熱し、pH7のPBSで反応停止して、DCMで抽出した。シリカゲルクロマトグラフィー(勾配0%−40%EtOAc/ヘキサン)により、2−シクロヘキシル−5−[(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)エチニル]ピリジン(L−001106449)を得た。遊離塩基をジエチルエーテル中に溶解し、HCl1当量を添加することにより、モノHCl塩を生成し、ろ過により単離した。LC−MSがC1718Sを282と算出し、m/e283.3(M+H)を観察した。H−NMR(500MHz,DMSO−d6)δ8.87(s,1H),8.30(d,1H),8.03(s,1H),7.71(d,1H),2.94(m,1H),2.69(s,3H),1.35−1.91(m,10H)。
【0157】
(実施例31)
2−tert−ブチル−5−[(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)エチニル]ピリジン
【0158】
【化47】

【0159】
THF(1mmol、1.1当量)中の2−クロロ−5−[(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)エチニル]ピリジン200mg(0.85mmol、1当量)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)50mg(0.043mmol、0.05当量)及び0.5M臭化t−ブチル亜鉛2mL混合した。150℃で5分間、反応混合物をマイクロ波中で加熱し、pH10のPBSで反応停止して、DCMで抽出した。シリカゲルクロマトグラフィー(勾配5%−50%EtOAc/ヘキサン)により、2−tert−ブチル−5−[(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)エチニル]ピリジン(L−001109555)を得た。LC−MSがC1516Sを256と算出し、m/e257.0(M+H)を観察した。H−NMR(500MHz,CDCl)δ8.74(s,1H),7.76(d,1H),7.45(s,1H),7.12(d,1H),2.77(s,3H),2.12(m,1H),0.97(d,9H)。
【0160】
(実施例32)
2−シクロヘキシル−5−[(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)エチニル]ピリミジン
【0161】
【化48】

【0162】
THF(1mmol、1.1当量)中の2−クロロ−5−[(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)エチニル]ピリミジン200mg(0.85mmol、1当量)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)50mg(0.043mmol、0.05当量)及び0.5M臭化シクロヘキシル亜鉛2mLを混合した。150℃で5分間、反応混合物をマイクロ波中で加熱し、pH10のPBSで反応停止して、DCMで抽出した。シリカゲルクロマトグラフィー(勾配10%−40%EtOAc/ヘキサン)により、2−シクロヘキシル−5−[(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)エチニル]ピリミジン(L−001152744)を得た。LC−MSがC1617Sを283と算出し、m/e284.1(M+H)を観察した。
【0163】
(実施例33−107)
上記及び当該技術分野の当業者には周知の同様の合成方法を使用し、次の化合物を調製した。
【0164】
【化49】





(表中、実施例は、左から右の列にかけて読まれる。)
【0165】
(実施例108)
カルシウムフラックスアッセイ
マウスの繊維芽Ltk−細胞中で安定して発現するhmGluR5a受容体に対し、化合物の活性を調べた(hmGluR5a/L38−20細胞株)。一般的には、Daggett et al.,Neuropharmacology 34:871−886(1995)を参照されたい。蛍光性カルシウム感受性色素を使用して測定した細胞内カルシウム([Ca2+])中の変化により、受容体活性を検出し、fura−2、hmGluR5a/L38−20細胞を、96ウェルプレート上に播種し、3M fura−2を1時間にわたって与えた。取り込まれなかった色素を細胞から洗浄し、全自動プレート処理及び液体配送システム中に組み込まれた特注の96チャンネル蛍光光度計(SIBIA−SAIC、La Jolla、CA)ヘ、細胞プレートを移した。光学フィルターと結合したキセノン源を用い、細胞が350nm及び385nmにて活性化した。2色性反射鏡及び510nmの干渉フィルターを通して、放射光を試料から集光し、冷却されたCCDカメラ(Princeton Indtruments)中に誘導した。映像対を、およそ1秒ごとに捕捉し、背景を差し引いた後に比率イメージを得た。20秒の基底の読み取り後、EC80濃度のグルタミン酸(10 M)をウェルに加え、更なる60秒間、反応を評価した。化合物のスクリーニングの下で、[Ca2+]のグルタミン酸誘発の増加を、グルタミン酸のみの反応と比較した(陽性対照)。
【0166】
(実施例109)
齧歯動物の脳膜へ結合する[H]−mGluR5アンタゴニスト
Anderson JJ、Rao SP、Rowe B、Giracello DR、Holtz G、Chapman DF、Tehrani L、Bradbury MJ、Cosford ND、Varney MA、[H]Methoxymethyl−3−[(2−methyl−1,3−thiazol−4−yl)ethynyl]pyridine binding to metabotropic glutamate receptor subtype 5 in rodent brain:in vitro and in vivo characterization(齧歯動物の脳における代謝調節型グルタミン酸受容体サブタイプ5へ結合する[H]メトキシメチル−3−[(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)エチニル]ピリジン:インビトロ及びインビボの性質決定)、J Pharmacol Exp Ther.2002年12月;303(3):1044−51に従って、全ラット脳、或いはmGlu5+/+又はmGlu5−/−全マウス脳を使用し、膜を調製した(Ransom RW及びStec NL(1988)Cooperative modulation of [3H]MK−801 binding to the N−methyl−D−aspartate receptor−ion channel complex by L−glutamate, glycine and polyamines、J Neurochem 51:830−836に記載どおり)。
【0167】
結合アッセイを、室温で、僅かな修正を用いて実行した(Schaffhauser H、Richards JG、Cartmell J、Chaboz S、Kemp JA,Klingelschmidt A、Messer J、Stadler H、Woltering T及びMutel V(1998)In vitro binding characteristics of a new selective group II metabotropic glutamate receptor radioligand,[H]LY354740(ラット脳における新しい選択グループIIの代謝調節型グルタミン酸受容体の放射性リガンドにおけるインビトロ結合特性の[H]LY354740)、Mol Pharmacol 53:228−233に記載どおり)。簡単に言うと、膜を解凍し、アッセイバッファ(50mM HEPES、2mM MgCl、pH7.4)で一回洗浄し、続いて40,000×gで20分間遠心分離した。アッセイバッファ中にて、ペレットを再懸濁し、簡単にポリトロンを用いて均質化した。
【0168】
タンパク質の線形性実験の場合、上昇濃度の膜タンパク質を3つの96ウェルプレートへ加え、20nMの[H]メトキシメチル−3−[(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)エチニル]ピリジンの添加により、結合を開始した。アッセイを2時間インキュベートし、10μMのMPEPを使用して、非特異的結合を決定した。96ウェルプレートBrandelセルハーベスターを使用し、ガラス繊維フィルター(Unifilter−96GF/Bプレート、Packard)を通した急速ろ過により、結合を停止した。シンチラントの添加に続き、液体シンチレーション分光測光法によって放射能を決定した。標準として、ウシ血清アルブミンを使用し、BioRad−DCタンパク質アッセイにより、タンパク質の測定を実行した。
【0169】
上昇濃度の[H]メトキシメチル−3−[(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)エチニル]ピリジン(1pM〜100nM)を用い、飽和結合の実験を3回実行した。異なる時点において(0−240分)、10nMの[H]メトキシメチル−3−[(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)エチニル]ピリジンを膜へ添加し、続いてろ過することにより、会合の経時変化を測定した。異なる時点において、10nMの[H]メトキシメチル−3−[(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)メチニル]ピリジンで前もって3時間インキュベートした膜へ、100μMの未標識メトキシメチル−3−[(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)エチニル]ピリジンを添加することにより、解離を測定した。競争実験の場合、100μgの膜タンパク質及び10nMの[H]メトキシメチル−3−[(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)エチニル]ピリジンを、2つの上昇濃度の試験化合物を含有するウェルへ添加した(メトキシメチル−3−[(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)エチニル]ピリジン又はMPEP)。また、上記の方法で、[H]−3−メトキシ−5−(ピリジン−2−イルエチニル)ピリジンも放射性リガンドとして利用し得る(Cosford, N.D.P.,Roppe J、Tehrani L、Seiders T.J.,Schweiger E.J.et al.[3H]−Methoxymethyl−MTEP and [3H]−methoxy−PEPy:Potent and selective radioligands for the Metabotropic Glutamate Subtype 5(mGlu5)([3H]−メトキシメチル−MTEP及び[3H]−メトキシ−PEPy:代謝調節型グルタミン酸サブタイプ5(mGlu5)受容体に対する強力及び選択的な放射性リガンド)、Bioorg.Med.Chem.Lett.2003、13、351−354を参照)。
【0170】
(実施例110)
ホスファチジルイノシトール加水分解(IP)アッセイ
Berridge et al.(1982)(Berridge et al.(1982)Biochem.J.206:587−5950及びNakajima et al.J.Biol.Chem.267:2437−2442(1992))に記載どおり、僅かな修正を用い、イノシトールリン酸アッセイを実行した。hmGluR5(hmGluR5/L38−20細胞)を発現するマウスの繊維芽Ltk細胞を、8×10細胞/ウェルの密度にて、24ウェルプレート中に播種した。[H]−イノシトール1Ci(Amersham PT6−271、Arlington Heights、IL、比活性度=17.7Ci/mmol)を各ウェルに加え、37℃で16時間インキュベートした。細胞を2回洗浄し、標準的Hepes緩衝生理的食塩水バッファ0.5mL中(HBS、125mM NaCl、5mM KCl、0.62M MgSO、1.8mM CaCl、20mM HEPES、6mM グルコース、pHを7.4へ)で、45分間インキュベートした。細胞を10mM LiClを含有するHBSで洗浄し、400iilのバッファを各ウェルに加えた。細胞を37℃で20分間インキュベートした。検査に対し、10×本発明の実施において使用される化合物50L[HBS/LiCl(100mM)中で生成]を添加し、10分間インキュベートした。10pMのグルタミン酸を添加することにより、細胞を活性化し、プレートを37℃で1時間放置した。
【0171】
1mLの氷冷エタノールを各ウェルに添加することにより、インキュベーションを停止した。イノシトールリン酸(IP)を単離するため、細胞をウェルからすくい取り、番号が付されたガラス試験管内に入れた。クロロホルム(1mL)を各試験管に加え、試験管を混合させ、遠心分離により相を分離した。Dowex陰イオン交換カラム(AG1−X8 100−200メッシュのギ酸形態)上で、IPを分離した。上位の水層(750L)をDowexカラムに加え、PCT/US00/23923の109のカラムを蒸留水(3mL)で溶出した。溶出剤を捨て、カラムを60mMギ酸アンモニウム/5mMホウ砂(10mL)で洗浄し、この液体も廃液として捨てた。最後に、カラムを800mMギ酸アンモニウム/0.1Mギ酸(4mL)で溶出し、シンチレーション瓶中に試料を収集した。シンチラントを各瓶に加え、瓶を振盪し、シンチレーションカウンター中で2時間後に計数した。特定の代表的化合物で処理した細胞中でのホスファチジルイノシトール加水分解を、対照物で処理した細胞中のホスファチジルイノシトール加水分解と比較した。この方法を使用し、実施例1に対して33nMのIC50値を取得し、実施例18に対しては2nMのIC50値を得た。
【0172】
(実施例111)
代表的な化合物の活性
前述の実施例で開示された特定の化合物の活性が下記に示されている(N.D.=測定なし):
【0173】
【表1】



【0174】
実施例18に対し、カルシウムフラックス及び結合アッセイの比較的高い値を、IPアッセイのアッセイ結果につり合う(実施例10中で報告どおり)ことに注意する。
【0175】
本発明を、その特定の好ましい実施態様を具体的に参照しながら詳説したが、記載及び請求される本発明の精神及び範囲内で修正及び変更があることを理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化1】

の化合物(式中、XはHであり、Yは、
【化2】



から選択されるか、
又は、YはHであり、Xは、
【化3】


から選択され、
前記化合物は、放射性同位体を含まない。)
及び医薬的に許容されるそれらの塩。
【請求項2】
式:
【化4】

の化合物(式中、Yは、
【化5】


から選択され、
前記化合物は、放射性同位体を含まない。)
及び医薬的に許容されるそれらの塩。
【請求項3】
【化6】







から選択される化合物(前記化合物は、何れの放射性同位体も含まない。)
及び医薬的に許容されるそれらの塩。
【請求項4】
化合物:
【化7】

(式中、前記化合物は、何れの放射性同位体も含まない。)
及び医薬的に許容されるそれらの塩。

【公表番号】特表2008−516004(P2008−516004A)
【公表日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−543041(P2007−543041)
【出願日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【国際出願番号】PCT/US2005/035921
【国際公開番号】WO2007/050050
【国際公開日】平成19年5月3日(2007.5.3)
【出願人】(390023526)メルク エンド カムパニー インコーポレーテッド (924)
【氏名又は名称原語表記】MERCK & COMPANY INCOPORATED
【Fターム(参考)】