説明

チタンを製造する方法

【課題】チタンの製造において使用される前駆体を安価とし、さらに、金属の溶融、鋳造及び鍛造の間の酸化に起因するロスを低減し、チタン、その合金及びその化合物を効率的且つ安価なプロセスで製造する。
【解決手段】チタン含有材料からチタン金属を製造する方法は、チタン含有材料からMIITiFの溶液を製造する工程、(M)aXbの添加によって溶液からMTiFを選択的に沈殿する工程、選択的に沈殿されたMTiFを用いてチタンを製造する工程、を包含する。MIIは、ヘキサフルオロチタネートを形成するタイプのカチオンであり、Mはアンモニウム及びアルカリ金属カチオンから選択され、Xはハライド、サルフェート、ニトライト、アセテート、及びニトレートから選択され、a及びbは1又は2である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チタン金属、チタン合金及びチタン化合物の製造に関する。
【背景技術】
【0002】
チタンは、通常、Hunter又はKrollプロセスによって四塩化チタン(TiCl)から商業的に製造される。これらのプロセスは、ナトリウム又はマグネシウム還元工程を包含している。チタンは、また、ナトリウムを用いたヘキサフルオロチタン酸カリウム(KTiF)の還元によって、二酸化チタン(TiO)の電解還元によって、並びに、マグネシウム又はカルシウムを用いたTiOの還元によって製造されてきた。従って、チタンは、様々な還元剤を用いて、種々のチタン含有前駆体から製造され得る。
【0003】
チタン金属の密度は、鋼の密度の約45%であるが、チタンは、鋼と同程度に強く、優れた化学的耐性を有する。チタンは、また、地殻中の9番目に豊富な元素であるが、その豊富さ及び優れた特性にも拘らず、チタンの世界市場はアルミニウム市場のたった1%であり、ステンレス鋼市場のたった0.1%である。この理由は、その価格にある。軍事、航空宇宙及び医薬の市場のような限られた市場のみが、チタンを使用する経済的な余裕がある。チタン金属が非常に高価である主な理由は、チタンの製造において使用される前駆体が高価であるため、並びに、金属の溶融、鋳造及び鍛造の間の酸化に起因する多大なロスのためである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、チタン、その合金及びその化合物の製造のための効率的且つ安価なプロセスを提供する。
【0005】
本発明の第一の局面に従って、チタン含有材料からチタン金属を製造するための方法が提供され、該方法は以下の工程を包含する:
チタン含有材料からMIITiFの溶液を製造する工程、
(M)aXbの添加によって該溶液からMTiFを選択的に沈殿させる工程
(ここで、
IIは、ヘキサフルオロチタネートを形成するタイプのカチオンであり;
は、アンモニウム及びアルカリ金属カチオンから選択され;
Xは、ハライド、サルフェート、ニトライト、アセテート及びニトレートから選択されるアニオンであり;
a及びbは、1又は2である);並びに、
選択的に沈殿されたMTiFを用いてチタンを製造する工程。
【0006】
ニトレートの場合、MIIは、その最も高い酸化状態にあるだろう。
【0007】
IIは、Fe2+、Mn2+、Zn2+、Mg2+、Cu2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、Co2+及びNi2+から選択され得る。
【0008】
アルカリ金属は、リチウム、ナトリウム及びカリウムから選択され得る。好ましくは、MIITiFはFeTiFであり、(M)aXbはNHClである。
【0009】
チタン含有材料は、チタン鉄鉱(ilmenite)、ルチル(rutile)、アナ
ターゼ(anatase)、ペロブスカイト(perovskite)、板チタン石(brookite)、擬板チタン石(pseudo−brookite)、スフェン(sphene)、白チタン石(leucoxene)及びチタン含有スラグ(titaniferous slags)から選択され得る。チタン鉄鉱は、FeTiOである。ルチル、アナターゼ、板チタン石及び白チタン石は、全て、天然に存在するTiO含有鉱物である。チタン含有スラグは、チタン鉄鉱の溶融から大量に製造される。スフェンはCaTiSiOであり、ペロブスカイトはCaTiOである。
【0010】
チタン鉄鉱又はペロブスカイト以外の鉱石が使用される場合、比率Ti:MIIは、MIIのモル量がTiのモル量と少なくとも同じであるか又はより大きくなるように、1:1以上が適用されるだろう。これは、Tiの添加又はMIIの添加によって達成され得る。
【0011】
このように、MIITiFがFeTiFであり得、FeTiFの溶液は水性HFを用いたチタン鉄鉱の温浸によって製造され得る。
【0012】
チタン鉄鉱は過剰に使用され得る。HFの濃度は、約5〜60%であり得る。好ましくは、それは、約20〜24%であるだろう。
【0013】
方法は、温浸工程において製造された溶液に還元剤を添加し、その溶液中に存在する任意のFe(III)の少なくとも幾らかをFe(II)に還元する工程を包含し得る。還元剤は、金属還元剤であり得る。金属は、Fe(例えば、鉄フィリング又はスチールウールの形態)、Al、Zn、Cu、Mn及びMgから選択され得る。
【0014】
方法は、温浸工程において製造された溶液に固体状態の(M)aXbを添加することを包含し得る。
【0015】
方法は、再結晶化によってMIITiFを精製するさらなる工程を包含し得る。
【0016】
TiFが(NHTiFである場合、方法は、水に(NHTiFを溶解し、溶液を作製すること、並びに、該溶液にリチウム、ナトリウム又はカリウム塩を添加することによってLiTiF、NaTiF又はKTiFを沈殿させることを包含する。塩は、アルカリ金属クロライド及びサルフェートから選択され得るが、当然、任意の他の適当なアルカリ金属塩が使用され得る。好ましくは、塩は、塩化ナトリウム又は硫酸ナトリウムであるだろう。
【0017】
次いで、方法は、LiTiF、NaTiF又はKTiFを還元し、チタンを製造する工程を包含し得る。以下、このルートをオプションAと呼ぶ。還元は、ナトリウム、マグネシウム、カリウム及びカルシウムから選択される還元剤を用いて行われ得る。この場合、方法は、還元工程の前に、還元工程において製造されるチタンが少なくとも1種の他の金属を含むチタン合金の形態になるように、NaTiFを所定量の少なくとも1種の他の金属塩と混合する工程を包含してもよい。他の金属塩は、製造されるチタン合金がアルミニウム又はバナジウム或いはその両方を含むように、例えば、NaAlF又はNaVF或いはその組み合わせであり得る。
【0018】
方法は、例えば、十分なNaAlF又はNaVFを添加して、グレード5のチタン(これは、約6%のアルミニウム及び約4%のバナジウムを含有する)を製造することを包含し得る。当然、他の金属フッ化物塩(例えば、AlF、VF、VF又はVF)が使用され得、その量は、種々の合金が調製され得るように変更される。
【0019】
チタン含有材料が、MIIが少ないTiO含有材料(例えば、ルチル、アナターゼ、板チタン石、白チタン石又はチタン含有スラグ)である場合、方法は、先ずMII塩の水性HF溶液を形成し、次いでMII塩の酸性溶液中でチタン含有材料を温浸し、MIITiFの溶液を製造する工程を包含してもよい。
【0020】
好ましいルートにおいて、方法は、チタンが酸化状態IVにある(NHTiFを還元してチタン−III生成物を製造し、チタン−III生成物を分解してTiFを製造し、且つ、TiFをチタンに還元する工程を包含し得る。以下、このルートをオプションBと呼ぶ。
【0021】
(NHTiFは、アルミニウム、マンガン、亜鉛、鉄及びマグネシウムから選択される還元剤を用いてTi(III)生成物に還元され得る。あるいは、(NHTiFが電解還元され、Ti(III)生成物が製造され得る。
【0022】
Ti(III)生成物は、例えば、(NHTiF、(NHTiF又はNHTiFであり得る。これらの化合物の全ては、約400〜700℃で分解し、TiFが製造される。
【0023】
TiFは、ナトリウム、マグネシウム及びアルミニウムから選択される還元剤を用いた還元により、チタンに還元され得る。
【0024】
本発明は、NHTiFの熱分解によって製造されるTiFに及ぶ。本発明は、さらに、図6に示されるX線回折パターンを有するTiFに及ぶ。
【0025】
本発明は、さらに、以下の工程を包含する、TiO含有材料からチタン金属を製造する方法に及ぶ:
IIを含有するフッ化水素酸水溶液を調製する工程、
該溶液中でTiO含有材料を温浸し、MIITiFを含有する溶液を製造する工程、
(M)aXbの添加によって該溶液からMTiFを選択的に沈殿させる工程、
(ここで、
IIは、ヘキサフルオロチタネートを形成するタイプのカチオンであり;
は、アンモニウム及びアルカリ金属カチオンから選択され;
Xは、ハライド、サルフェート、ニトライト、アセテート及びニトレートから選択されるアニオンであり;
a及びbは、1又は2である);並びに、
選択的に沈殿されたMTiFを用いてチタンを製造する工程。
【0026】
TiO含有材料は、ルチル、アナターゼ、板チタン石、白チタン石及びチタン含有スラグから選択され得る。しかしながら、任意の他の好適なTiO含有材料も使用され得る。
【0027】
IIを含有するフッ化水素酸水溶液は、水性HF中にMIIの塩基性塩を溶解することによって調製され得る。塩基性塩は、例えば、MIIのオキサイド、ハイドロオキサイド又はカーボネートであり得る。
【0028】
好ましい実施形態において、MはNHであり、方法は、以下を包含する:
必要に応じて精製された(NHTiFをNHTiFに還元すること;
NHTiFを熱分解し、TiFを製造すること;及び
TiFをチタン金属に還元すること。
【0029】
本発明の更なる局面に従って、以下の工程を包含する、金属合金を形成するための方法が提供される:
第一の金属の還元可能なフッ化物塩の所定量を、別の金属の少なくとも1種の還元可能な塩の所定量とを混合し、塩混合物を製造する工程、並びに、
該フッ化物塩混合物を還元し、金属又は合金の混合物を製造する工程。
【0030】
方法は、第一の金属のフッ化物塩を、他の金属の2又はそれ以上の還元可能な塩と混合して、3又はそれ以上の金属を含有する合金を製造することを包含し得る。
【0031】
第一の金属の還元可能なフッ化物塩は、チタンの還元可能な塩であり得る。他の金属の還元可能な塩は、バナジウム、アルミニウム、パラジウム、モリブデン及びニッケルから選択される金属の還元可能な塩であり得る。
【0032】
特に、第一の金属の還元可能な塩はMTiFであり得、他の金属の還元可能な塩は、MAlF、MVF及びその組み合わせから選択される(ここで、Mは、アルカリ金属である)。特に、Mはナトリウムであり得る。
【0033】
方法は、該混合物を溶融(smelting)し、合金を製造する更なる工程を包含してもよい。
【0034】
本発明の別の局面に従って、NHTiFである塩が提供される。
【0035】
本発明は、図5に示されるX線回折パターンを有するNHTiFに及ぶ。
【0036】
本発明の別の局面に従って、NHTiFを製造する方法が提供され、該方法は、(NHTiFを還元する工程を包含する。
【0037】
還元剤は、金属還元剤であり得る。例えば、それは、アルミニウム、アルミニウムアマルガメート(aluminium amalgamate)及び水銀コーティングされたアルミニウム(例えば、Al(Hg))又はアルミニウムカーバイドであり得る。
【0038】
本発明の別の局面に従って、以下の工程を包含する、チタン金属粉末の製造方法が提供される:
アルミニウムを用いてTiFを還元し、チタン金属粉末及びAlFを含有する還元生成物を製造する工程。
【0039】
この方法は、以下の更なる工程を包含してもよい:
AlFの大部分を昇華させるのに十分であるが、チタン金属粉末の反応性を低減させるのに十分なAlFの表面上への保持をもたらす温度及び時間に還元生成物を加熱する工程。
【0040】
この方法は、チタン金属粉末の表面上のAlFが、材料の質量の約0.005〜40%、好ましくは約0.05〜10.0%、さらに好ましくは約0.1〜5.0%を構成するまで還元生成物を加熱する工程を包含する。
【0041】
残渣のAlFは、チタン粉末の表面に形成される少なくとも単層厚である不活性層をもたらす。これは、実質的に、チタン粉末の自然燃焼が空気中で起こる温度を、約250℃から600℃を超える温度に高める。従って、この粉末は、従来技術のチタン粉末よりも使用及び輸送に安全である。
【0042】
本発明は、AlFが材料の質量の約0.05%〜10%を構成し、好ましくは約0.1〜5%AlFのAlF表面層を有する不活性化されたチタン粉末に及ぶ。
【0043】
本発明は、さらに、以下の工程を包含する、チタン金属粉末を製造する方法に及ぶ:
TiFをアルミニウムで還元し、チタン金属粉末及びAlFを含有する還元生成物を製造する工程;及び、
AlFを昇華させるために該還元生成物を加熱し、金属または合金形態における本質的にアルミニウムを含有しないチタン金属粉末を製造する工程。
【0044】
本発明の更なる局面に従って、チタン金属前駆材料からチタン製品(titanium
artifact)を調製する方法(これは、チタン金属前駆材料を加熱工程に供し、チタン金属中間材料を製造する工程、並びに、該中間材料を1又はそれ以上のプロセス工程に供し、製品を製造する工程を包含する)において、揮発性フッ化物塩を含有する雰囲気において加熱工程を行なう改良が提供される。
【0045】
製造されるチタン金属中間材料は、それゆえ、フッ化物塩の保護層を有するだろう。
【0046】
雰囲気は、好ましくは、不活性雰囲気(例えば、アルゴン又はヘリウム雰囲気)であるだろう。チタン金属前駆材料は、前述されたような不活性化されたチタン粉末であり得る。
【0047】
揮発性フッ化物塩がAlF、MgF及びNaFから選択され得る。当然、任意の他の適当なフッ化物塩が使用され得る。
【0048】
加熱工程は、燃焼又は炉加熱(例えば、真空炉、不活性ガス炉、マイクロ波補助炉、高周波補助炉、誘導炉又はゾーン精製炉を用いる)によるものであり得る。
【0049】
プロセス工程は、一軸プレス(uniaxial pressing)、コールドイソスタティックプレス(cold isostatic pressing)、ホットイソスタティックプレス(hot isostatic pressing)、コールドローリング及びホットローリングなどのような、チタン製品の製作において使用されるタイプの標準的なプロセス工程であり得る。プロセス工程は、ワックス及びポリマーのような犠牲バインダー(sacrificial binders)の添加を包含し得る。
【0050】
チタン製品は、固体材料又は多孔材料であり得る。それは、チタンの合金であり得、ロッド、バー、ワイヤー、シートなどから選択され得る。
【0051】
チタン製品は、微量のフッ化物を含有し得る。微量とは、チタンのバルク特性に影響を与えない量を意味する。
【0052】
炉のアレンジメント及び加熱サイクルは、加熱工程の間、チタンが、酸素、窒素、炭素、水素などとの反応から保護されるように、フッ化物塩を含有する保護雰囲気に常に囲まれるようなものであるだろう。
【0053】
本発明の更なる局面に従って、以下の工程を包含する、チタン鉄鉱からチタンを回収する方法が提供される:
チタン鉄鉱を水性HF中で温浸し、FeTiFを生成し、不溶性物質を除去する工程;
アンモニウム塩の添加によって(NHTiFを選択的に沈殿させる工程;
沈殿した(NHTiFを必要に応じて精製する工程;
水銀で活性化されたアルミニウムを用いて、必要に応じて精製された(NHTiFをNHTiFに還元する工程;
NHTiFを熱分解し、TiFを生成する工程;および
TiFをチタン金属に還元する工程。
【0054】
本発明のさらなる局面に従って、以下の工程を包含する、TiO含有材料からチタンを回収する方法が提供される:
IIを含有するフッ化水素酸水溶液を調製する工程、
該溶液中でTiO含有材料を温浸し、MIITiFを含有する溶液を製造し、不溶性物質を除去する工程;
アンモニウム塩の添加によって(NHTiFを選択的に沈殿させる工程;
沈殿した(NHTiFを必要に応じて精製する工程;
水銀で活性化されたアルミニウムを用いて、必要に応じて精製された(NHTiFをNHTiFに還元する工程;
NHTiFを熱分解し、TiFを生成する工程;並びに、
TiFをチタン金属に還元する工程。
【0055】
TiO含有材料は、アナターゼ、ルチル、板チタン石、白チタン石及びチタン含有スラグから選択され得る。
【0056】
本発明の更なる局面に従って、窒素、炭素、ホウ素、水素、ケイ素、リン又は硫黄の供給源と前述の不活性化された粉末を加熱する工程を包含する、窒化チタン、炭化チタン、ホウ化チタン、水素化チタン、ケイ化チタン、リン化チタン及び硫化チタンから選択されるチタン化合物の製造方法が提供される。
【0057】
窒素、炭素、水素、ケイ素又は硫黄の供給源は、対応する元素、例えば、気体としての窒素及び水素、粉末又はコークとしての炭素、粉末化されたケイ素としてのケイ素、並びに、粉末化された硫黄としての硫黄であり得る。
【0058】
ホウ素の供給源は、ジボランであり得る。リンの供給源は、ホスフィンであり得る。
【0059】
窒化チタンは、図12に示されるX線回折パターンを有し得る。
【0060】
ディスカッション
チタン鉄鉱の温浸のための従来技術の方法は、高温で、硫酸又は塩素のいずれか及びコークを使用してきた。また、チタン鉄鉱は、以下の反応式に従う発熱反応において、希薄HF中で温浸され得ることが知られている:
FeTiO + 6HF = FeTiF + 3H
HFの希釈度は20〜24%でコントロールされ、FeTiFの飽和溶液(これは、不溶性物質を取除くためにろ過され得る)が製造された。溶液中の鉄の全てが酸化状態IIである(即ち、Fe3+が存在しない)場合及び遊離HFが存在しない場合、選択的沈殿工程において製造されるFeTiF前駆体の収率及び純度が改善され得ることを見出した。これは、過剰なチタン鉄鉱(これは、次いでリサイクルされ得る)を用いることによって、及び、温浸後の溶液に金属鉄フィリングを添加することによって、達成された。鉄フィリングの添加が、以下の反応式に従ってFe3+をFe2+に還元した。
Fe + 2Fe3+ = 3Fe2+
多すぎる鉄が添加された場合、Ti4+からTi3+への還元が起こり、これが収率にネガティブな影響をもたらす。Ti4+を還元することなくFe3+をFe2+に還元するよう、先ず浸出液の少量のサンプル部分に銅フィリングが添加され得、次いで正確な量
の金属鉄が計算され得ることが見出された。
【0061】
(M)aXbは、好ましくは、乾燥塩の形態で添加された。例えば、MIITiF・6HOの飽和溶液(ここで、MIIは、Fe2+、Mn2+、Zn2+、Mg2+、Cu2+等である)がMClの乾燥塩(ここで、Mは、Li、Na、K又はNHである)と混合される場合、MTiF中間物が溶液からほとんど定量的に沈殿し、一方、MIICl(これは、反応において共に製造される)が溶液中に残る。これは、低い溶解性を有するKTiFの場合に予期せぬ結果ではなかったが、LiTiF及び(NHTiF(この両方は、水中で高度に可溶性である)についてのこのようなほぼ定量的な沈殿は、特に予期していなかった。
【0062】
また、(NHTiFを定量的に沈殿させるには、4モルのNHClが1モルのMIITiFに添加される必要があることを見出した。これは、(NHIICl複塩の共形成によって説明され得る。これは、また、カリウムの場合においても予期されるが、その低い溶解性ゆえに、KII複塩の形成よりも優先してKTiFが沈殿する。結果的に、ほぼ定量的にKTiFを沈殿させるためには、2モルのKCl又は1モルのKSOのみが必要であった。同様のことは、MIIと複塩を形成しないLi及びNaについてもあてはまる。そのより高い溶解性及びより容易なリサイクリングループゆえに、SO2−よりもむしろクロライドが使用された。CHCOO、NO2−等のような他のアニオンが、また、選択的沈殿のために使用され得るが、NO3−は、Fe2+又はMn2+の酸化を引き起こすため適していない。
【0063】
ろ過及び洗浄の後、結晶沈殿中に低レベルのMIIだけが残るように、選択的沈殿は、MIIのバルクの除去をもたらした。この方法において、比較的純粋なチタン前駆体が高収率(>90%)で得られた。
【0064】
TiFが直接的に還元された場合、生じるチタン中の鉄のレベルは、グレード4のチタンのものに相当していた(酸素、窒素、炭素及び水素レベルは非常に低いが)。チタン中の鉄含量を減少させ、グレード1チタン又はそれより良いものに相当する鉄レベルを有する金属を製造するために、前駆体の純度を改善する必要があった。KTiF及びNaTiFの低い溶解性ゆえに、再結晶化は実用的でなく、そして、これらの塩はメチルイソブチルケトン(MIBK)及びHClを用いた溶媒抽出によって精製された。高度に可溶性であるLiTiF又は(NHTiF塩を選択的に沈殿するのが、これらが容易に再結晶化され得るため、より実用的であった。2つの塩のうち、(NHTiFを使用する方がより経済的であった。また、(NHTiFの飽和溶液を沸騰させることが塩の加水分解をもたらさないこと(これは、水溶性チタン塩にとって珍しい)、及び、それゆえ冷却の際に結晶生成物の最大収率が得られ得るような高濃度が得られたことを見出した。非常に純粋なチタン前駆体は、この方法において得られ、TiO顔料の製造において前駆体として使用されるのに十分に純粋であった。精製された(NHTiFの還元で製造されたチタン金属は、市販のグレード1チタンよりも純粋であった。
【0065】
(NHTiFが再結晶化によって精製された後、2通りのアプローチが続いて行なわれ得、チタン金属が製造される。第一アプローチ(オプションA)は、(NHTiFから製造されるNaTiF又はKTiFの還元を包含する。
【0066】
(NHTiFとNaTiF(又は対応するカリウム塩)との間の溶解性における差違ゆえに、NaTiFは、塩化ナトリウムの添加によって(NHTiFの飽和溶液から沈殿し得る。副産物として製造されるNHClは、次いで、沈殿物からろ過され、選択的沈殿工程において再利用のために結晶化され得る。
【0067】
乾燥後、NaTiF(mp.700℃)がアルゴン雰囲気下で還元され得る。還元は、塩の融点で発熱的である。通常、ナトリウム又はマグネシウム(10%化学量論的過剰)が還元剤として使用されるが、カリウム又はカルシウムも使用され得る。
【0068】
還元後、過剰なナトリウム又はマグネシウムは、それぞれ、900℃又は1100℃で煮沸除去される(boiled off)。各生成物は、6NaF(Ti)又は2NaMgF(Ti)である。
【0069】
フッ化物−チタン混合物は、次いで、アルゴン雰囲気下で垂直に配置された細長いチューブ状(vertically arranged elongate tubular)のジルコニア又はモリブデンるつぼ中に供給される。るつぼの頂部は1300℃まで加熱され、底部は1700℃まで加熱される。溶融された6NaF(mp.990℃)又は2NaMgF(mp.1030℃)のバルクは、るつぼから溶融されたチタン上に注がれ(tapped)、溶融されたフッ化物の残余は、溶融されたチタン(mp.1670℃)の頂部上のブランケットとして機能し、それを酸素及び窒素から保護する。
【0070】
次いで、溶融されたチタンは、チタンを700℃でアニールさせる、例えば、40モル%NaF及び60モル%LiF(mp.652℃)からなる溶融フッ化物共晶(molten fluoride eutectic)のインゴット又は他の製品にキャストされる。この方法において、チタンは、アニーリングプロセスの間、酸化及び硝化に対して依然として保護されている。
【0071】
チタンの製造のための第二アプローチ(オプションB)は、(NHTiFからTi3+種へのプレ還元(pre−reduction)、Ti3+種からTiFへの変換及びTiFからチタン金属への還元を包含する。
【0072】
例えば、選択的沈殿工程において製造された(NHTiFは、酸を添加することなく、Al(Hgで活性化された)又はMnを用いて還元され得る。
【0073】
還元の典型的な生成物は、NHTiF及び(NHAlF、又は、(NHTiF及びMnFである。アルミニウムを用いる還元の場合、(NHAlFがより可溶性であり、酸ろ過によってほぼ不溶性のNHTiF沈殿物から除去され得る。次いで、後者は、700℃にて分解され、NHF(g)及び TiF(s)が製造される。希釈された(NHAlFから、NaClを用いて、NaAlF(氷晶石)が副産物として沈殿され得、生じたアンモニウム塩がリサイクルされ得る。
【0074】
酸(通常HF)の添加と共に、Zn、Al、Mn、Fe又はMgのような他の還元剤が使用され得る。代表的な生成物は、(NHHTiF(これは、酸(pH1〜2)において自由に溶解性であるが、一方、還元剤−フッ化物は、これよりも非常に低い溶解性を示し、ろ過によって(NHHTiFから分離され得る。NHOH(pH6)を用いてpHを上げることにより、(NHTiFが沈殿する。ろ過及び乾燥の後、生成物は700℃にて分解され、3NHF(g)及びTiF(s)が製造され得る。
【0075】
しかしながら、代替的なオプションは、(NHTiFを電解還元することである。キャンバスメンブレンのようなメンブレンが、カソードからアノードを分離するために使用される。通常、鉛アノード及びグラファイトカソードが使用される。アノード側は、0.1N HF溶液で満たされ、カソード側は、飽和された(NHTiF溶液(HFでpH1に酸性化された)で満たされる。電解反応は、以下の通りである:
アノード:HO = 1/2O(g)+2H+(aq)+2e
カソード:2Ti4+(aq)+2e = 2Ti3+(aq)
電解後、NHOHの添加によって紫色(NHHTiF溶液のpHがpH6まで高められ、(NHTiFが沈殿された。ろ過及び乾燥の後、生成物は700℃にて分解され、3NHF(g)及びTiF(s)が製造され得る。次いで、Ti3+はチタン金属に還元される。
【0076】
Na、Mg又はAlを用いてTiFが還元され、3NaF(Ti)、1 1/2MgF(Ti)又はAlF(Ti)がそれぞれ製造される。TiFの還元は、(Na、K)TiFの還元よりも低い発熱性であり、700℃超で起こる。
【0077】
前述したように、AlFは1300℃で昇華される一方、NaF又はMgFはチタンから溶融され得る。
【0078】
温浸工程の後に遊離HFが存在しないよう、温浸の間、30±10%過剰のチタン鉄鉱が維持される。その粗さ(coarseness)及び高密度ゆえに、過剰なチタン鉄鉱は、温浸の後、浸出液及び軽い不溶性沈殿から沈降する。温浸された懸濁液は、沈降されたチタン鉄鉱からポンプでくみ出され(pumped off)、ろ過される。次いで、フィルターケーキは再びスラリー状にされ、45μmスクリーンを通してふるいにかけられる。最上部のフラクション(チタン鉄鉱)は、再び浸漬タンクに戻され(recycled back)、一方、底部のフラクション(ほぼ酸不溶物)は廃棄物である。この方法において、90%より高い温浸効率が達成される。
【0079】
NaTiFの還元を介して進行するオプションAプロセスにおいて、還元剤の選択は、選択的沈殿のために使用される塩の選択を決定する。ナトリウムは塩化物沈殿を好み、一方、マグネシウムは硫酸塩沈殿を好む。リサイクリングループは、図16及び17に示され、これらは、それぞれ、高純度チタン及びグレード4チタンの製造を示す。
【0080】
オプションBプロセス(これは、Ti4+からTi3+への中間還元を介して進行する)において、リサイクリングループは、本質的に、図1に示されるオプションAプロセスについてのものと同じである。電解プレ還元(Ti4+からTi3+へ)が使用されない場合、還元剤のフッ化物塩が副産物になるだろう。アルミニウムが第二還元工程(Ti3+からTiへ)において使用される場合、昇華されたAlFが副産物として売られ得るか、又は、以下の反応式に従って400℃にて水蒸気加水分解によってフッ化物価が回復され得る:
2AlF + 3HO = Al + 6HF
このとき、Alが副産物になるだろう。
【0081】
Feは、本発明のプロセスの主な副産物である。マグネシウムが還元剤として使用され且つ再生されない場合、Mg(OH)又はMgSOもまた副産物になるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】図1は、本発明の一般的なフロー図である。
【図2】図2は、好ましいルートについてのフロー図である。
【図3】図3は、選択的に沈殿された(NHTiFのX線回折パターンである。
【図4】図4は、再結晶化後の図3の(NHTiFのX線回折パターンである。
【図5】図5は、Al(Hg)を用いた(NHTiFの還元によって製造されるNHTiFのX線回折パターンである。
【図6】図6は、図5のNHTiF分解によって製造されるTiFのX線回折パターンである。
【図7】図7は、TiF及びFeFの標準サンプルの重ね合わせられた(superimposed)X線回折パターンを示す。
【図8】図8は、750℃にてアルミニウムを用いたTiF還元生成物のX線回折パターンである。
【図9】図9は、1250℃にて昇華されたAlFのX線回折パターンである。
【図10】図10は、AlFの昇華後の図8の生成物のX線回折パターンである。
【図11】図11は、図10の粉末から生産されるチタン金属のX線回折パターンである。
【図12】図12は、図10のチタン粉末を1350℃にて窒素に曝すことによって形成される窒化チタンのX線回折パターンである。
【図13】図13は、Al(Hg)を用いた(NHVFの還元によって製造されるNHVFのX線回折パターンである。
【図14】図14は、図13に示されるNHVFの分解によって製造されるVFのX線回折パターンである。
【図15】図15は、1250℃での軽い焼結(soft sintering)後の図10のチタン粉末を示す。
【図16】図16は、ナトリウム還元ルートのフロー図である。
【図17】図17は、マグネシウム還元ルートのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0083】
本発明は、ここで、以下の実施例、図面及び第一表に関連する例によって記載される。ここで、第一表は、異なるグレードのチタンの化学的組成、機械的特性及び物理学的特性を示す。
【0084】
図1に関して、本発明のプロセスは、5つのステージに分けられ得る。これらは、チタン鉄鉱の温浸、温浸工程において製造されるチタン前駆体の選択的沈殿、前駆体の還元、還元されたチタン生成物のインゴットへの溶融、並びに、プロセスにおいて使用された試
薬のリサイクルである。
【実施例1】
【0085】
(NHTiFのAl(Hg)還元を介するチタン鉄鉱からのチタンの製造
工程1:希HFを用いたチタン鉄鉱の温浸
供給材料
温浸工程のための供給材料として、チタン鉄鉱コンセントレート(concentrate)を使用した。この材料は、約89.5%のチタン鉄鉱、6%のヘマタイト、2.5%のクオーツ及び2%の他の金属酸化物を含有していた。粒子サイズは均一であり、材料の約98%が+45μm〜−106μmの粒子サイズを有していた。材料は、代表的に、以下の化学組成を有していた:
【0086】
【表1】

【0087】
化学量論:500gのチタン鉄鉱供給物に要求されるHF
使用されたチタン鉄鉱は、FeTiO(89.5%)、Fe(6.0%)、SiO(2.5%)及び他の物質(2%)からなった。これは、500g中、FeTiO(447.5g;2.95mol)、Fe(30g;0.19mol)及びSiO(12.5g;0.21mol)に相当した。FeTiO、Fe及びSiOの各々は、それぞれ、FeTiF、FeF及びHSiFへの変換のため、1モル当たり6モルのHFを必要とする。それゆえ、必要とされるHFの合計量は、98%供給ストックに対して、(2.95+0.19+0.21)×6=20.1モルであった。
【0088】
しかしながら、完全な温浸を行なうため、温浸の間、過剰な20%チタン鉄鉱を使用した。温浸後、その高密度及び粗い粒子サイズゆえに、約94%の過剰なチタン鉄鉱を回収することができた。
【0089】
バッチは次のように調製した。2lのポリプロピレンビーカー中で、チタン鉄鉱(600g)を水道水(500ml;20℃)に添加した。勢いよく攪拌しながら、HF(900ml;40%)を添加し、ビーカーの頂部にゆるく重いプラスチックの蓋(loose
heavy plastic lid)を置いた。反応は強い発熱性であり、約10分後、懸濁液は沸点に達し、約5分間沸騰した。
【0090】
2時間後、Fe(12g;スチールウール)を溶液に添加し、混合物を1時間攪拌し、全ての可溶性Fe(III)をFe(II)に還元した。
【0091】
次いで、懸濁液をろ過し、水道水(2×50ml)で洗浄した。約200gの湿ったフィルターケーキが得られた。この物質を再びスラリー状にし、過剰なチタン鉄鉱の大部分を回収し、FeTiFを含有する1375mlの浸出液を得た。
【0092】
抽出効率
浸出液のTi濃度は、約100g/l(137.5gのTi回収を意味する)であった。以下のように回収効率を計算した:
−化学量論:141.5gTi(500g供給)=97%
−20%過剰:169.8gTi(600g供給)=81%
−過剰分の94%回収:144gTi(505g供給)=95.5%
工程2:(NHTiFの選択的沈殿
浸出液(1.375L)は、Ti(137.5g;2.865mol)を含んでいた。これは、NHCl(4×2.865=11.46モル;613.11g)を必要とした。
【0093】
NHCl(613g)を、激しく攪拌しながら、工程1のFeTiF浸出液(1375ml)にゆっくり添加した。10℃より下に低下した温度は、温浴槽を用いて15℃まで上昇させた。次いで、その懸濁液を15℃にて1時間攪拌した。
【0094】
生じた結晶性(NHTiFを15〜20℃にてろ過し、フィルターヘッド内でプレスし、できるだけ多くの過剰な液体を除去した。次いで、真空を中断し、氷水(184ml;5℃)を生成物に添加した。水がフィルターケーキを通った後(約2分後)にのみ真空を元に戻したところ、結晶性(NHTiFがアイシングシュガーの様相を呈した。この結晶生成物を、できるだけ乾燥するよう、吸引及びプレスした。
【0095】
次いで、結晶性(NHTiFを60℃にて乾燥させた。収量は522gであった。この生成物のXRDを図3に示す。
【0096】
沈殿効率
100%の純度を有する(NHTiF結晶生成物(522g=2.631モルTi)に基づいて、Ti回収の効率は92%であった。この結晶生成物中のFe濃度は、代表的に、約0.5±0.4%であった。Si及びAlのような他の不純物も存在していた。しかしながら、これらの不純物は、温浸前の供給物(feed)の事前の処理によって(例えば、苛性浸出(caustic leaching)によって)或いは温浸後のこれらの因子の沈殿によって、除去することができる。例えば、Fe還元後、NaClを添加し、NaSiF及びNaAlFを沈殿させることができる。
【0097】
(NHTiFの再結晶化
前述のように製造され且つ60℃にて乾燥された(NHTiF(400g)を2リットル容器内の水(500ml)に添加した。無水(NHTiFが、水和又は湿潤(NHTiF・xHOよりも高い溶解性を有することを見出した。Alストリップの小さい切片(約100mm×25mm)をこの懸濁液に添加した。
【0098】
攪拌しながら、加水分解を防止するため及びアルミニウムを用いた少量のTi(IV)の還元を開始させるために、HF(0.5ml;40%)を懸濁液に添加した。この懸濁液を沸点(約100℃)まで加熱した。溶液の最上部に形成される何らかの泡は、時間と共に減少し、溶液に混ざった。
【0099】
溶液の色はTi(III)の存在を示す明るい紫色に変化した。これは、また、存在する鉄の全てがFe(II)型であることを示唆した。溶液を煮沸すると、紫色のTiFの層がAlストリップの触媒作用を阻害し(poisoned the Al strip)、還元が停止した。アルミニウムストリップの添加から生じる少量の(NHAlFの形成は、この生成物が以下の工程(工程3)において副産物として製造されるので、問題はなかった。溶液を約1分間煮沸した後、それを熱源から取除き、冷却した。次いで、Alストリップを取除き、次回の実施(run)において再利用した(洗浄することなく)。
【0100】
冷水を用いて容器を約40℃に冷却し、生じた結晶性(NHTiFを攪拌しながら、氷及び冷水を用いて容器を10℃に冷却した。
【0101】
結晶生成物をろ過し、フィルターヘッド内でプレスし、できる限り多くの過剰な液体を除去した。次いで、真空を中断し、氷水(50ml;5℃)を結晶生成物に添加した。水がフィルターケーキを通った後(約2分後)にのみ真空を元に戻すと、結晶生成物がアイシングシュガーの様相を呈した。結晶生成物を、できるだけ乾燥するよう、吸引及びプレスした。
【0102】
生じた結晶性(NHTiFを60℃にて乾燥させた。収率は、代表的に、更なる水の蒸発を行なわない場合に供給結晶生成物の約70%であった。この生成物のXRDを図4に示す。
【0103】
乾燥された結晶性(NHTiFの純度を試験するための、クルードであるが信頼性のある方法は、生成物(約5g)を、50mlガラスビーカー中のCPグレードHCl(約25ml;32%)に添加することである。約5分間放置(standing)した後、鉄が存在している場合には、HClが黄色又は橙色に変化した。濃HClは、鉄に対して非常に敏感であり、黄色又は橙色の強さは、約1%〜0.01%Feの濃度レベルにて、鉄濃度に正比例した。
【0104】
この試験は、供給結晶生成物、再結晶化された生成物及び(NHTiF標品(standard)について行なった。
【0105】
工程3:Al(Hg)を用いた(NHTiFの還元
Hgを用いたAlの活性化
アルミニウムボタン(ID約10〜15mm、1〜3mm厚、150g)を、500mlプラスチックビーカー中の1N NaOH溶液でカバーし、Hg(約50ml)を添加した。ボタンを、プラスチック攪拌器を用いて混合し、Hg中に浸した(dipped)。5分後、ボタンは、Hgで完全にコーティングされた。
【0106】
約1分間ビーカー内で水道水を大量に流すことによりボタンをリンスすることによって、水酸化ナトリウムを除去した。
【0107】
次いで、500μmスクリーンを通してHgコーティングされたボタンから過剰なHgを注ぎ、このボタンを直ぐにアセトンで覆った。アセトン中で約1〜2時間後、更なる遊離Hgがボタンから落ち、ボタン上にHgのマイクロ層のみが残った。
【0108】
使用の準備ができたとき、Al(Hg)−ボタンをアセトン及び遊離Hgからスクリーンで分離し(500μm)、以下に記載されるように(NHTiF溶液中に直ぐに入れた。
【0109】
還元
2L容器中で、工程2(500g)からの再結晶化された(NHTiFを水道水(1.5L)に溶解した。温度が30℃に高められ、透明溶液が得られた。
【0110】
前述のように調製されたAl(Hg)ボタン(150g)を、攪拌しながら(vortexを使用しない)、(NHTiF溶液に添加した。この反応は発熱的であり、温度は75分間で30℃から70℃に上昇した。70℃にて15分後、懸濁液を30℃より下に冷却し、ろ過した。
【0111】
Al(Hg)−ボタンを水でリンスし、アセトン中で保存した。紫色の沈殿物をろ過し、可能な限り乾燥するよう吸引し、水で洗浄した(2×50ml)
紫色沈殿物を60℃にて乾燥した(収量475g)。生成物は、約75%:25%の重量比のNHTiF及び(NHAlFからなる。NHTiFは、希HF中で低い溶解度を有し、濃HF中ではより低い溶解度を有する。この方法において、必要であれば、(NHAlF(及び他の不純物)は生成物から洗浄除去され得る。この透明な生成物のXRDを図5に示す。
【0112】
また、精製(NHTiFの代わりに粗製物を用いる場合、溶液中に存在するFe(II)がAl(Hg)−ボタン上を覆い、それらの触媒作用を阻害することを見出した。しかしながら、これは、Ti(IV)の全てがTi(III)に還元された後にだけ起こる。本出願人は、(NHTiFの再結晶化が必要でない限りにおいて、Feを除去するためにこの方法が使用され得ると考える。還元後、触媒作用が阻害されたAl(Hg)−ボタンを希HCl浸出液によって再活性化し、Feを除去することができる。
【0113】
工程4:NHTiF及び(NHAlFの分解
工程3からの還元生成物(NHTiF及び(NHAlFの混合物からなる)を、軟鋼ロータリー中で窒素又はアルゴン雰囲気下で600℃にて分解した。浸漬の2〜4時間後、明るい茶色〜栗色の生成物(TiF及びAlFからなる)は、蒸発したNHFを完全に含んでいなかった。蒸発した物質を濃縮し、回収した。NHFの痕跡が残っている場合、750℃でのAlを用いた還元の間にTiNが形成されることを見出した。
【0114】
NHTiFと(NHAlFとの間の比率に依存して、分解生成物の収率は、代表的に、供給量の60%〜70%である。
【0115】
前述のように調製された純粋なNHTiFから製造された純粋なTiFのXRDを、図6に示す。
【0116】
NHTiFは、従来知られていなかった塩であるため、図5に示されるようなNHTiFのXRD粉末パターンと比較するためのデータが存在しない。この塩に適合する最も近いXRDは、NHFeFのXRDである。それゆえ、分解生成物(NHTiFのTiF)がFeFのXRD粉末パターンに最もよく合うことは予期せぬことではない。FeF及びTiFの標準サンプルのXRD粉末パターンを図7に示す。
【0117】
工程5:Alを用いたTiFの還元及びAlFの昇華
工程(4)において製造される生成物中のTiFとAlFとの間の比率を測定した後、Al粉末(<125μm)を生成物と混合した。TiFに対するAlの化学量論量を使用した(1モル:1モル)。この混合物をアルゴン雰囲気下において軟鋼るつぼ中に置き、750℃に加熱した。浸漬の2時間後、質量における何らかの変化を伴うことなく、還元が完了した。この物質のXRDを図8に示す。
【0118】
還元が静的ユニットにおいて完全となるために、使用され得る最も粒が大きいAl粉末(the coarsest Al)は、<125μmであることを見出した。回転ユニットにおいては、液体AlがTiFを完全に湿らせ、それゆえ還元が完了し得ることが予期される。あるいは、還元を完了するために、AlをZn中に溶解し、Alの表面積を増大してもよい。還元後、Znを950℃にてエバポレーションし、濃縮し、次回の実施(run)において再利用することができる。
【0119】
750℃での還元後、アルゴン雰囲気下のままで温度を1250℃に高めた。この温度において、AlFは昇華され、濃縮され、精製副産物として回収された。AlFのXRDを図9に示す。白煙の生成が停止したとき、昇華が完了した。バッチサイズ及び表面
積に依存して、この温度での浸漬は2〜10時間であった。冷却後、生成物Ti粉末を回収した。粉末のXRDを図10に示す。
【0120】
本出願人は、AlFの完全な昇華は望ましくない可能性があり、Ti粉末をコーティングするために微量(0.1〜5%)を残しておくことが好ましいことを見出した。このフッ化物コーディングが粉末を保護し、粉末を取り扱う及び輸送するときの安全性を高めることを見出した。従来技術の市販のTi粉末は、空気中で約250℃の自然燃焼温度を有する。しかしながら、不活性AlF層が存在する場合、この温度は>600℃に上昇する。粉末が溶融又は焼結(粉末冶金)されるとき、AlF層は昇華し、チタン生成物を汚染しないであろう。
【0121】
また、金属外表面が1250℃にてTi粉末の最上部に形成されることを見出した(図15を参照)。この外表面は、ゾーン精製に類似して、AlFが昇華するときにAlF気体と共に粉末表面へ移行し且つそこで沈降した金属不純物を含有すると考えられる。
【0122】
工程6:Ti粉末の溶融
工程(5)において製造されたTi粉末を、ジルコニアで裏打ちした粘土るつぼ中でプレスし、アルゴン雰囲気下において誘導炉中で溶融した。それは容易に溶融し、小さいインゴットを形成し、煙霧状の微量AlFが製造された。この金属のXRDは図11に示される。この方法において製造されたTi粉末又は金属は、前述したフッ化物保護に起因して、非常に低いレベル(<Tiグレード 1)の酸素、窒素、炭素及び水素を含有していた。
【0123】
Ti−インゴットのXRDから分かるように、本発明のプロセスは、Al−Ti合金を形成することなく、Alを用いる還元によってTiを製造することを可能にする。図8に示されるような還元後及び図10に示されるような昇華後のTi粉末のXRDは、AlTi相(Ti相のみではなく)の存在を示しているように見えるが、本出願人は、このXRDにおいて外見上示されるAlTi相は、ただの偽AlTi相(pseudo AlTi phase)であり、実際はAlが存在しないと考えている。
【0124】
「Ti」が「AlTi」の結晶構造を有する理由は、それがAlから「生まれ」且つ使用された低い温度(<1300℃)ではチタン結晶構造を再配置するのに十分なエネルギーが存在していなかったからである。チタン結晶構造の再配置は、Tiが溶融されるか又は他の何か(Nのような)と反応してTiNを形成するときにのみ起こる。図12は、Ti粉末が、1350℃にて一定限度量のNに曝されたときのXRDを示す。明らかなように、Alは検出されず、Al合金相が検出された。
【0125】
これは、また、Alを用いたときの還元Ti粉末のXRD(図8)が、AlF相及びAlTi相のみが存在していることを示していたという事実によって、確認される。TiFに対して化学量論量のAlを使用したので、もし実際にAlがTiと合金化してAlTiが形成されるならば、25%の未反応のTiFが存在するはずであり、これはXRD上に現れていない。
【0126】
合金化することなくTiがAlによって還元され得る主な理由は、還元の間、Alが、Ti(IV)とではなくTi(III)と反応することにある。前者の反応は適度に発熱性であり、一方、後者の反応は激しく発熱性である:
【0127】
【化1】

【0128】
合金化は、2つの金属が互いに接触し、合金を形成するのに十分なエネルギーが存在するときに起こる。
【0129】
第一反応において、エネルギーは、合金化を可能にするには低すぎる。AlFの存在は、また、AlFが昇華し始めることによってエネルギーを吸収するときの温度である1100℃よりも低い温度を維持するのに役立つ。
【0130】
Ti(IV)からTi(III)への最初の電子還元は非常に発熱的であることは明らかである。本発明のプロセスにおいて、そのエネルギーは、Al(Hg)を用いた(NHTiFの制御された水性還元(aqueous reduction)の間、水の中で吸収される。
【実施例2】
【0131】
チタン−バナジウム合金の調製
工程1:NHVF及びVFの調製
Ti−6Al−4VのようなTi合金を製造するために、Alを用いた還元の前に、金属フッ化物の形態の合金元素を正確な比率でTiFと混合した。Ti−6Al−4Vの場合、VFをTiFに添加し、還元の間6%過剰Alを使用し、AlFの昇華後に合金粉末を製造した。
【0132】
Vは、VF又はVFとして導入することができなかった(これらの化合物の低い沸点ゆえに、還元が起こる前にそれらが昇華するため)。それゆえ、後述するように、V前駆体としてVFを製造する必要があった。
【0133】
NHVO(58.5g)を水(300ml)に添加し、攪拌した。生じた溶液にNHCl(53.5g)及びHF(40%;130ml)を添加し、黄色溶液を製造した。
【0134】
Fe(14g、スチールウール)をこの溶液に添加し、V(V)をV(IV)に還元した。還元は発熱的であり、青色の溶液が生成された。反応が完了した後、約1時間後、溶液をろ過し、微量の鉄残渣を除去した。
【0135】
【化2】

【0136】
青色溶液の温度を20℃に調整し、次いでAl(Hg)−ボタンを用いて還元した。約3時間かけて、温度を約40℃まで上げた。V(IV)からV(III)への還元が完了したとき、FeがAl(Hg)−ボタン上にめっきされ、還元が停止した。
【0137】
次いで、生じた緑色の懸濁液をろ過し、上述したNHTiFについて乾燥させた。ペパーミントグリーン色のNHVF・2HOの収量は、67gであった。この生成物のXRDを図13に示す。
【0138】
反応が非常に激しく、且つ、反応の間に非常に多くの(NHAlFが沈殿するので、V(V)をV(IV)に還元するのにAl(Hg)を使用しなかった。
【0139】
工程2:合金の調製
NHTiFについては、また、NHVF・2HOを700℃にて分解し、深緑色のVF(+AlF)を製造した。この生成物のXRDを図14に示す。VFとALFとの比率を定めたのち、この粉末をTiF(+AlF)と混合し、還元及び昇華の後に合金粉末を製造した。
【実施例3】
【0140】
(NHFeCl溶液からのNHClの再生
選択的沈殿工程の副産物として製造される(NHFeCl溶液から、NHOHを用いてFe(OH)を沈殿するときに生じる問題は、上記の実施例1の工程2において述べたように、高濃度のNHClにおけるその溶解性である。これは、非常に遅い沈殿をもたらす。さらに、Fe(OH)のFeO(OH)(NHClにおける低い溶解性)への空気酸化が遅く実用的でなく、そしてHを用いた酸化はよく働くが、試薬が高価である。
【0141】
本出願人は、Fe(II)のFe(III)への酸化が、溶液に電流を伝導することによって促進され得ることを見出した。以下の反応が起こる:
【0142】
【化3】

【0143】
従って、選択的沈殿工程において製造される1リットルの(NHFeCl溶液のpHは、攪拌しながらNHOHを添加することによって、4〜5に増大した。溶液/懸濁液を攪拌するとき、それは、6Vの電圧及び2つのグラファイト電極(任意の適当な電極が使用され得る)にて自動車バッテリーチャージャーを用いて電気分解された。6〜9ampsの電流を生成した。この電流は、また、溶液を60〜70℃まで加熱し、反応を助けた。
【0144】
電気分解が進むにつれて、pHが低下したが、度々NHOHの添加によって4〜5に戻された。このプロセスの間、Fe(II)のFe(III)への酸化によって直ぐにクロライドに変換されるため、Cl気体は生産されなかった。約3時間後、pHの低下が止んだ(これは反応が完了したことを示す)。全体で、約300mlのNHOH(25%)を使用した。
【0145】
めっきされたFeをカソードから回収し、茶−橙色の沈殿を直ぐにろ過で取除いた。80℃での乾燥後、ほとんどがFeO(OH)及び幾らかのTiOF及び他の不純物からなる200gの生成物を得た。
【0146】
ろ液を蒸発させ、NHCl(310g)を生成した。クルードマスバランス(crude mass balance)は、フィルターケーキを洗浄することなく、NHClの80%超を回収したことを示した。
【0147】
温浸後に鉄還元を行なうとき、及び、必要であればFeTiを製造するため、めっきされた鉄を該プロセスにおいて使用することができる。
【実施例4】
【0148】
再生及びHF追加(HF TOP−UP)
実施例1の工程(4)において記載されるように、600℃でのNH前駆体の分解後に回収されたNHFを消石灰溶液と反応させ、NHOH溶液及びCaF沈殿を形成させた。NHOHを、(NHFeClからのNHClの再生において使用した。製造されたCaF(蛍石)は、副産物として売られ得るか、又は、HFを製造するための従来のプロセスに従って、濃縮されたHSOで処理され得る。
【実施例5】
【0149】
アナターゼパルプからの(NHTiFの生産
クルードのアナターゼパルプ(TiO・xHO)は、Ti溶液の水性加水分解(aqueous hydrolysis)によって得られる周知の生成物である。本質的に、全てのTi供給ストック材料をクルードのアナターゼパルプに変換することができる。MIITiFの濃縮溶液を製造するため、1モルMII:1モルTiIVに近いモル比を得るために、MIIを添加することが必要である。この実施例においてMIIは、Zn2+である。
【0150】
ZnO(40.7g、0.5モル)を水道水(65ml)に添加し、ZnOが湿るまで攪拌した。湿ったZnOに、HF(130ml、40%、3モル)をゆっくり添加した。この反応は、発熱的であり、ZnOの全てが溶解することはなかった。激しく攪拌しながら、TiO・2HO(69.6g、0.6モル)をゆっくり4回に分けて(in four portion)添加した。反応は発熱的であり、混合物は沸騰し始めた。3回目分を添加した後、透明溶液が得られた。過剰なパルプを含む4回目分を添加した後、乳白色になった。過剰なパルプの使用は、HFの全ての消費を確実にした。1時間後、溶液を40℃まで冷却し、ろ過した。フィルターケーキを水(1×20ml)で洗浄した。NHCl(117g、2モル)を、激しく攪拌しながら浸出液に添加し(30℃にて約200ml)、以下の反応によって(NHTiFを製造した:
【0151】
【化4】

【0152】
混合物の温度は先ず5℃より下に低下し、約15分間の攪拌の後には、この温度が約10℃に上昇し、混合物をろ過した。生じた結晶性(NHTiFを60℃にて乾燥し、80.25gの結晶生成物を製造した、収率は>80%であった。プロセスをスケールアップした場合、より高い収率(90%より大きい)が製造された。
【0153】
予期せぬことに、反応の順番が変わると(NHTiFが製造されないことが見出
された。第一にクルードのアナターゼパルプをHF中で温浸して水性HTiFを生成し、次いでZnOをHTiF溶液中にゆっくり溶解する場合、透明溶液が製造される。しかしながら、NHCl(s)を溶液に添加すると、Tiは(NHTiFとして沈殿せず、その代わりに、白色不溶性沈殿への加水分解が起こる。
【実施例6】
【0154】
ルチル、板チタン石、白チタン石及びチタン含有スラグからの(NHTiFの製造
ルチル、板チタン石、白チタン石又はチタン含有スラグを用いて、(NHTiFの製造のために、実施例5のプロセスを行なったところ、同様の結果が得られた。
【実施例7】
【0155】
アナターゼ、ルチル、板チタン石、白チタン石及びチタン含有スラグからの(NHTiFの製造
アナターゼ、ルチル、板チタン石、白チタン石及びチタン含有スラグからの(NHTiFの製造について、ZnOの代わりにMgOを用いて、実施例5のプロセスを行なったところ、同様の結果が得られた。
【実施例8】
【0156】
NaTiFのNa還元を介するチタン鉄鉱からのチタンの製造
図16に関して、攪拌しながら、ルーズな蓋が付いた2リットルポリプロピレンビーカー中の20%水性HF(1.5L)を用いて、チタン鉄鉱(800g)を温浸した。スラリーは、約10分後沸騰し始め(100℃)、約5分間沸騰した。次いで、この反応混合物を冷却し始めた。1時間後、温度は74℃に低下した。次いで、スチールウール(12g)を添加して全ての鉄(III)を鉄(II)に還元し、この反応混合物をさらに1時間攪拌した。生じたFeTiF飽和溶液(1モルTi=438ml浸出液)をろ過し、不溶性物質及び過剰なチタン鉄鉱(これはリサイクルされた)を除去した。生じた浸出液(1.5L)は164gの溶解されたチタンを含んでいた。固体NHCl(49.4g;5%過剰)をこの浸出液(876ml)に添加し、温度を約10℃に低下させた。生じた溶液を、20℃の水浴中で1時間攪拌した。ろ過により、68gの水を含む湿った白色結晶生成物(386gの乾燥重量に相当)として、(NHTiF(454g)が製造された。2モルの(NHTiFに対する理論上の収量は、395.8gである。従って、選択的沈殿は、97.5%の効率を有し且つ約98%の純度を有する生成物を製造する。次いで、湿ったフィルターケーキを最少量の飽和NHCl溶液(約75ml)で洗浄し、湿った結晶生成物(442g)を生成させた。この生成物は、約66gの水を含んでおり(376gの乾燥重量に相当)、95%の効率及び約99%の純度を示す。
【0157】
水(332ml)を湿った結晶生成物(442g)に添加し、溶液を98℃にボイルした。結晶生成物の全てを溶解し、溶液を10℃に冷却した。生じた混合物をろ過し、湿ったフィルターケーキを最少量の氷水(約60ml)で洗浄し、約37gの水を含有する湿った再結晶化された(NHTiF生成物(242g)を生成した(乾燥重量205g及び>99.9%の純度に相当する)。アルカリ性母液(mother lye)及び洗浄液をリサイクルした。
【0158】
乾燥NaCl(121.2g)及び水(300ml)を湿った(NHTiF(242g)に添加し、30分間攪拌し、混合物をろ過した。フィルターケーキを最小量の飽和NaCl溶液(約50ml)で洗浄し、60℃にて乾燥し、非常に純粋な結晶NaTiF(210g)を生成した。
【0159】
この生成物を、アルゴン雰囲気下でルーズな蓋が備えられた750mlステンレス鋼るつぼ中のナトリウム金属(115g;20%過剰)に添加した。るつぼをマッフル炉中に置き(アルゴン下のまま)、約700℃に加熱した。この温度において、発熱反応が起こり、その温度は約900℃に自然に上昇した。過剰なナトリウムの全てが蒸発するように、このるつぼをさらに30分間約900℃に保ち、次いで冷却した。
【0160】
るつぼを室温まで冷却した後、アルゴンフローを停止し、NaF及びチタン(約270g)からなる生成物を、約2〜15mmのサイズを有する切片の形態で、るつぼから除去
した(理論上の収量300g)。生成物の幾らかは、るつぼに付着していた。この粒状生成物を250mlの密封されたジルコニアるつぼ中に置き、10分間、密閉されたアルゴン雰囲気下において1700℃に加熱し、室温まで冷却した。NaFスラグ下で、チタンインゴット(約40g;>99.9%)を回収した。
【0161】
NaFのリサイクルは、別の実験を通じて試験された。NaF(42g;〜500μm)及び濃HCl(100ml;32%)溶液を、ルーズな蓋を備えた250mlビーカーに添加し、室温にて2時間攪拌し、水性HF溶液を製造した。微細な結晶NaCl(120℃での乾燥後、57g;>98%)を溶液(96ml)からろ過した。HFを84mlの体積まで蒸発させ、20%のHF溶液を得た(約95%の効率を示す)。
【0162】
NHClによるFeTiFからの(NHTiFの選択的沈殿後、ろ液は、複塩(NHFeCl及び幾らかの微量元素(これは、Feと同様の挙動を示す)を含んでいた。NHClを、実施例3に記載したように再生した。
【0163】
HCl及びNaOHを、飽和NaCl溶液の電気分解によって回収した。これは、周知の工業プロセスであり、例えば、キロトンスケールで、南アフリカのChloorkop施設で使用される。
【0164】
例えば、ガラス産業においてよく知られているように、ケイ酸ナトリウムを水酸化ナトリウム及びシリカから回収し、そのケイ酸ナトリウムを、既知の方法に従ってSi(Fe)を介してナトリウムに変換した。
【実施例9】
【0165】
NaTiFのMg還元を介するチタン鉄鉱からのチタンの製造
図17に関して、チタン鉄鉱(800g)を20%水性HFで温浸し、実施例1に記載されるような浸出液を製造した。硫酸ナトリウム(149g;5%過剰)を浸出液(438ml)に添加し、この溶液を20℃にて1時間攪拌した。生じた懸濁液をろ過し、湿った白色結晶生成物(これは、最少量の飽和NaSO溶液で洗浄され(約3×25ml)、60℃にて乾燥された)を製造し、結晶性NaTiF生成物(195g;94%の効率及び約99%の純度を示す)を得た。
【0166】
乾燥された結晶性NaTiF生成物(195g)を、アルゴン雰囲気下においてルーズな蓋を備えた750mlのステンレス鋼るつぼ中のマグネシウムフィリング(57g;20%過剰)に添加した。るつぼをマッフル炉(アルゴン下のまま)中に置き、約700℃に加熱した。この温度にて発熱反応が起こり、温度が自然に約900℃に上昇した。次いで、温度は約1100℃まで高められ、過剰なマグネシウムの全てが蒸発のを確実にするために、この温度を約30分間保ち、その後冷却した。
【0167】
るつぼを室温まで冷却し、アルゴンフローを停止し、NaMgF及びチタンの混合物からなる生成物をるつぼから回収した。前駆体の鉄含量のため、1700℃で生成物を溶融することによって、Tiグレード4のみが得られた。
【0168】
図17に示されるリサイクリングループは、周知の商業的プロセスである。
【実施例10】
【0169】
窒化チタン、炭化チタン、ホウ化チタン、水素化チタン、ケイ化チタン、リン化チタン及び硫化チタンの調製
実施例1の不活性化されたチタン粉末を、それぞれ、気体窒素、炭素粉末又はコーク形態の炭素、ジボラン、気体水素、粉末ケイ素、ホスフィン及び粉末硫黄の存在下において
加熱し、それぞれ、窒化チタン、炭化チタン、ホウ化チタン、水素化チタン、ケイ化チタン、リン化チタン及び硫化チタンを製造した。
【0170】
利点
従来技術のプロセスと比較したときに、本発明の方法に関する幾つかの明らかな利点が存在する。
(1)第一に、本発明のプロセスは、安価な出発材料(例えば、大量に容易に入手できるチタン鉄鉱)を用いる。
(2)このプロセスにおいて製造された副産物は全てリサイクルされ、結果的に、全試薬消費量が非常に少ない。
(3)本発明のプロセスは、また、前述のような保護フッ化物コーティングを伴うチタンへのルートを提供する。
(4)TiClのような前駆体の代わりに中間体(NHTiF(これは、以前は、市販されていなかった)を用いることも、本発明のプロセスの更なる利点である。塩(NH)TiFは、空気中及び水中で安定であり、非腐食性であり、周囲温度で水性媒体中で容易に調製される。一方、TiClは、空気及び水中で激しく分解する非常に毒性の液体であり、非常に腐食性である。1000℃オーダーの温度を必要とし、還元工程の間ガス形態で存在するため、調製が困難である。TiClを介して製造されるチタンは高価であり、本発明の方法に伴うフッ化物コーティングが存在しないため、O、N、H及びCによるコンタミネーションの傾向がある。
(5)本発明の方法に従って製造されるチタンが、高いグレードのステンレス鋼に匹敵するコストを有することも、更なる主要な利点である。
(6)最終生成物中にアルミニウム合金が形成されることなく、ナトリウム又はマグネシウム(従来技術のプロセスにおいて使用されるような)よりもかなり安価なアルミニウムが使用されることも更なる利点である。
(7)さらに、本発明のプロセスは、チタンの融点よりかなり低い温度でチタン粉末を製造する。このことは、かなり安価な高温冶金操作(pyrometallurgical)をもたらす。次いで、この粉末は、ニアネット形状製品(near net shape articles)を製造するための古典的な粉末冶金技術において使用され得る。これにより、結果的に、チタンインゴットを使用する従来技術のプロセスと比べて、かなり少ない損失をもたらす。しかしながら、チタンインゴットが必要とされる場合、粉末は、AlFコーティングによって保護されているため、例えば、誘導炉における単一ステージの溶融プロセスにおいて容易に溶融され得る。AlFは、さらに、粉末の溶融の間、融剤として作用する。
(8)実施例2に記載されるようなチタン合金を製造する場合、合金中の他の金属(1種又は複数種)の均一な分散が得られるように、他の金属フッ化物塩(1種又は複数種)が容易にTiFと均一混合され得ることは、本発明の特別な利点である。溶融金属を混合することによって均一な合金を製造する従来法は、現実的に非常に困難である。
(9)本発明の更なる利点は、このプロセスがテクニカルグレードの水性HF(これは、化学的に純粋な水性HFよりもかなり安価である)を用いて行われ得ることである。
【0171】
第一表に、比較目的のため、市販の腐食耐性チタン合金の代表的な化学組成、機械的特性及び物理的特性を示す。
【0172】
【表2】

【0173】
【表3】

【0174】
結論
要約すれば、本出願人は、非常に純粋なチタン前駆体がチタン鉄鉱(これは、チタンの最も安価な供給源である)から高収率で製造され得ること、並びに、この前駆体を用いて市販のグレード1のチタンよりも低い酸素レベルを有するチタン金属が製造され得ることを見出した。低い酸素含有率は、金属の展性を高める。この金属は、また、金属フッ化物ベースのコーティングを介する鍛造の間、酸化から保護されている。本出願人は、本発明の方法が、ハイグレードのステンレス鋼のコストとほぼ同じコストでチタンを製造することを可能にすると確信している。このことは、チタンについての世界市場を大いに高めるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程を包含する、チタン含有材料からチタン金属を製造する方法:
チタン含有材料からMIITiFの溶液を製造する工程、
(M)aXbの添加によって、該溶液からMTiFを選択的に沈殿させる工程
(ここで、
IIは、ヘキサフルオロチタネートを形成するタイプのカチオンであり;
は、アンモニウム及びアルカリ金属カチオンから選択され;
Xは、ハライド、サルフェート、ニトライト、アセテート及びニトレートから選択されるアニオンであり;且つ、
a及びbは、1又は2である);並びに、
該選択的に沈殿されたMTiFを用いてチタンを製造する工程。
【請求項2】
IIが、Fe2+、Mn2+、Zn2+、Mg2+、Cu2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、Co2+及びNi2+から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
アルカリ金属が、リチウム、ナトリウム及びカリウムから選択される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
IITiFがFeTiFであり、且つ、(M)aXbがNHCl及び(NHSOから選択される、先の請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
チタン含有金属が、チタン鉄鉱、ルチル、アナターゼ、ペロブスカイト、板チタン石、擬板チタン石、スフェン、白チタン石及びチタン含有スラグ(titaniferous slag)から選択
される、先の請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
IITiFがFeTiFであり、且つ、FeTiFの溶液が水性HFでのチタン含有材料の温浸により製造される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
HFの濃度が約5〜60%である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
HFの濃度が約20〜24%である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
温浸工程において製造された溶液に還元剤を添加し、該溶液中に存在する任意のFe(III)の少なくとも幾らかをFe(II)に還元する工程を包含する、請求項6〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
再結晶化によってMIITiFを精製する更なる工程を包含する、先の請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
TiFが(NHTiFであり、且つ、
該(NHTiFを水に溶解して溶液を製造すること、並びに、該溶液へのリチウム塩、ナトリウム塩及びカリウム塩から選択される塩の添加によって、LiTiF、NaTiF及びKTiFから選択される塩を沈殿させることを包含する、
先の請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
塩が、アルカリ金属のクロリド及びサルフェートから選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
LiTiF、NaTiF及びKTiFから選択される塩を還元し、チタンを製造する工程を包含する、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
(NHTiF(チタンが酸化状態IVにある)を還元し、チタン−III生成物を製造する工程、
該チタン−III生成物を分解し、TiFを製造する工程、並びに、
該TiFをチタンに還元する工程、
を包含する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
アルミニウム、マンガン、亜鉛、鉄及びマグネシウムから選択される還元剤を用いて、(NHTiFがTi(III)生成物に還元される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
(NHTiFが電解還元され、Ti(III)生成物が製造される、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
(NH)TiFの熱分解によって製造されるTiF
【請求項18】
図6に示されるものと実質的に同一なX線回折パターンを有するTiF
【請求項19】
以下の工程を包含する、TiO含有材料からチタン金属を製造する方法:
IIを含有するフッ化水素酸水溶液を調製する工程、
該溶液中でTiO含有材料を温浸し、MIITiFを含有する溶液を製造する工程、
(M)aXbの添加によって、該溶液からMTiFを選択的に沈殿させる工程
(ここで、
IIは、ヘキサフルオロチタネートを形成するタイプのカチオンであり;
は、アンモニウム及びアルカリ金属カチオンから選択され;
Xは、ハライド、サルフェート、ニトライト、アセテート及びニトレートから選択されるアニオンであり;
a及びbは、1又は2である);並びに、
選択的に沈殿されたMTiFを用いてチタンを製造する工程。
【請求項20】
TiO含有材料が、ルチル、アナターゼ、板チタン石、白チタン石及びチタン含有スラグから選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
IIを含有するフッ化水素酸水溶液が、水性フッ化水素酸中でMIIの塩基性塩を溶解することによって調製される、請求項19又は20に記載の方法。
【請求項22】
第一の金属の還元可能なフッ化物塩の所定量を、別の金属の少なくとも1種の還元可能な塩の所定量と混合して、塩混合物を製造する工程、並びに、
該塩混合物を還元し、金属の混合物を製造する工程、
を包含する、合金の製造方法。
【請求項23】
第一の金属のフッ化物塩を、他の金属の2又はそれ以上の還元可能な塩と混合させることによって、3又はそれ以上の金属を含有する合金を製造すること、を包含する、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
第一の金属の還元可能なフッ化物塩がチタンの還元可能な塩であり、且つ、他の金属の還元可能な塩がバナジウム、アルミニウム、パラジウム、モリブデン及びニッケルから選択
される金属の還元可能な塩である、請求項22又は23に記載の方法。
【請求項25】
第一の金属の還元可能なフッ化物塩がMTiFであり、且つ、他の金属の還元可能な塩がMAlF、MVF及びその組み合わせから選択される(ここで、Mは、アルカリ金属である)、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
Mがナトリウムである、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
還元可能なフッ化物塩がTiFであり、他の金属の還元可能な塩がVFであり、且つ、アルミニウム還元剤を用いて還元が行なわれる、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
混合物を溶融(smelting)して合金を製造する更なる工程を包含する、請求項22〜27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
NHTiFである塩。
【請求項30】
図5に示されるものと実質的に同一なX線回折パターンを有するNHTiFである塩。
【請求項31】
(NHTiFを還元する工程を包含する、NHTiFの製造方法。
【請求項32】
(NHTiFが、アルミニウム、アルミニウムアマルガメート(aluminium amalgamate)及び水銀コーティングされたアルミニウムから選択される還元剤で還元される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
TiFをアルミニウムで還元し、チタン金属粉末及びAlFを含有する還元生成物を製造する工程を包含する、チタン金属粉末の製造方法。
【請求項34】
AlFの大部分を昇華させるのに十分であるが、チタン金属粉末の反応性を低減させるのに十分なAlFの表面上への保持をもたらす温度及び時間で還元生成物を加熱するさらなる工程を包含する、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
チタン金属粉末の表面上のAlFが、材料の質量の0.005〜40%を構成するまで還元生成物が加熱される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
チタン金属粉末の表面上のAlFが、材料の質量の0.05〜10.0%を構成する、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
チタン金属粉末の表面上のAlFが、材料の質量の0.10〜5.0%を構成する、請求項34に記載の方法。
【請求項38】
AlFが材料の質量の0.005%〜10%を構成する、AlFの表面層を有する不活性化されたチタン粉末。
【請求項39】
AlFが材料の質量の0.05%〜10%を構成する、請求項38に記載の不活性化されたチタン粉末。
【請求項40】
AlFが材料の質量の0.10%〜5%を構成する、請求項38に記載の不活性化されたチタン粉末。
【請求項41】
AlTiのX線回折パターンに似たX線回折パターンを有するチタン粉末。
【請求項42】
図10に示されるものと実質的に同じX線回折パターンを有するチタン粉末。
【請求項43】
以下の工程を包含する、チタン金属粉末を製造する方法;
アルミニウムを用いてTiFを還元し、チタン金属粉末及びAlFを含有する還元生成物を製造する工程;及び、
該還元生成物を加熱し、AlFを昇華させ、本質的にアルミニウムを含有しない金属または合金形態のチタン金属粉末を製造する工程。
【請求項44】
チタン金属前駆材料からチタン製品(titanium artifact)を調製する方法において、該方法は、チタン金属前駆材料を加熱工程に供してチタン金属中間材料を製造する工程、並びに、該中間材料を1又はそれ以上のプロセス工程に供し、製品を製造する工程を包含する工程を含み、揮発性フッ化物塩を含有する雰囲気において該加熱工程を行なう、改良。
【請求項45】
チタン金属前駆材料が、請求項37〜39のいずれか一項に記載の不活性化されたチタン粉末である、請求項44に記載の改良。
【請求項46】
揮発性フッ化物塩が、AlF、MgF及びNaFから選択される、請求項44または請求項45に記載の改良。
【請求項47】
プロセス工程が、一軸プレス、コールドイソスタティックプレス、ホットイソスタティックプレス、コールドローリング及びホットローリングから選択される、請求項44〜46のいずれか一項に記載の改良。
【請求項48】
チタン製品がロッド、バー、ワイヤー及びシートから選択される、請求項44〜47のいずれか一項に記載の改良。
【請求項49】
チタン製品が微量のフッ化物を含有する、請求項44〜48のいずれか一項に記載の改良。
【請求項50】
以下の工程を包含する、チタン鉄鉱からチタンを回収する方法:
チタン鉄鉱を水性HF中で温浸し、FeTiFを生成し、不溶性物質を除去する工程;
アンモニウム塩の添加によって(NHTiFを選択的に沈殿させる工程;
沈殿した(NHTiFを必要に応じて精製する工程;
水銀で活性化されたアルミニウムを用いて、必要に応じて精製された(NHTiFをNHTiFに還元する工程;
NHTiFを熱分解し、TiFを生成する工程;
アルミニウムを用いてTiFをチタン金属に還元し、Ti粉末及びAlFを生成する工程;並びに、
昇華によって、AlFのバルクを除去する工程。
【請求項51】
以下の工程を包含する、TiO含有材料からチタンを回収する方法:
IIを含有するフッ化水素酸水溶液を調製する工程、
該溶液中でTiO含有材料を温浸し、MIITiFを含有する溶液を製造し、不溶性物質を除去する工程;
アンモニウム塩の添加によって(NHTiFを選択的に沈殿させる工程;
必要に応じて、沈殿した(NHTiFを精製する工程;
水銀で活性化されたアルミニウムを用いて、必要に応じて精製された(NHTiFをNHTiFに還元する工程;
NHTiFを熱分解し、TiFを生成する工程;並びに、
TiFをチタン金属に還元する工程。
【請求項52】
TiO含有材料が、アナターゼ、ルチル、板チタン石、白チタン石及びチタン含有スラグから選択される、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
請求項38〜40のいずれか一項に記載の不活性化されたチタン粉末を、それぞれ窒素、炭素、ホウ素、水素、ケイ素、リン又は硫黄の供給源と加熱する工程を包含する、窒化チタン、炭化チタン、ホウ化チタン、水素化チタン、ケイ化チタン、リン化チタン及び硫化チタンから選択されるチタン化合物の製造方法。
【請求項54】
窒素、炭素、水素、ケイ素又は硫黄の供給源が、元素の窒素、炭素、水素、ケイ素又は硫黄である、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
ホウ素の供給源がジボランである、請求項53に記載の方法。
【請求項56】
リンの供給源がホスフィンである、請求項53に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−153380(P2011−153380A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−39267(P2011−39267)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【分割の表示】特願2007−552738(P2007−552738)の分割
【原出願日】平成17年12月14日(2005.12.14)
【出願人】(507229238)ペルーク (プロプリエタリー) リミテッド (3)
【Fターム(参考)】