説明

テルライトガラス組成物、それを利用した光導波路及び光増幅器

【課題】テルライトガラス組成物、それを利用した光導波路及び光増幅器を提供する。
【解決手段】TeO、MoOまたはWO、ZnO、MO及びBiを主成分からなるテルライトガラス組成物である。MOは、LiOまたはNaOであるか、またはMOは、LiO、NaO、KO、RbO及びCsOのように+1の価電子を有する金属を含む金属酸化物のうち2つ以上の金属酸化物で構成され、MO及びZnOの添加量は、同時に「0」とならないように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テルライトガラス組成物、それを利用した光導波路及び光増幅器に関する。
【0002】
関連出願
本願は、韓国特許出願第10−2005−0058651(2005年6月30日に出願)に基づいてなされたものであり、本願はこの韓国特許出願の開示内容を全て包含するものである。
【背景技術】
【0003】
一般的に、光増幅器、例えば、光ファイバ増幅器は、エルビウム添加シリカ光ファイバを基盤としたCバンド、すなわち、1530〜1565nmの波長の光ファイバ増幅器を中心に開発されてきた。しかし、超高速・大容量光通信の必要によって使用可能な光通信帯域の増大要求と共に、多様な帯域で活用可能なラマン光ファイバ増幅器についての研究が活発に進められている。特に、高出力半導体レーザダイオードの発展とラマン利得係数が向上したシリカ光ファイバの開発とによって、前記ラマン光ファイバ増幅器は、波長多重光通信システムで非常に重要な増幅器として広範囲に研究されてきた。
【0004】
しかし、一般的なシリカ光ファイバを基盤としたラマン光ファイバ増幅器の場合、利得係数が小さくて、最小数Kmの長さが必要であり、それによる高出力の光源が必要である。また、光源波長からラマン散乱中心(シグナル)波長までが約100nmと近似しており、光ファイバ増幅器の信号対ノイズ比がよくないということがあった。
【0005】
これにより、テルライトガラス光ファイバを基盤としたラマン光ファイバ増幅器が提案された。前記テルライトガラスは、ラマン散乱ピークが約450cm−1(波数)と700cm−1とにそれぞれ二つが存在し、700cm−1のラマン散乱ピークの場合、光源から約170nmほど離れた所に位置して、シリカガラスに比べて多波長ポンピングを利用する場合、広域増幅及び信号対ノイズ比の改善に有利である。
【0006】
また、前記テルライトガラスは、高い非線形性であり、それによって一般シリカガラスより約16倍高いラマン利得係数を有する。その結果、比較的短い長さの光ファイバを通じても増幅が可能であるという長所を有している。このことから、約250mのテルライト光ファイバと4個以上の光源とを利用して、SバンドからLバンドに至る約160nmの光増幅器が具現されたところがある。
【0007】
しかし、既存のテルライトガラス光ファイバを基盤としたラマン光ファイバは、ラマン散乱が700cm−1を中心に約200cm−1未満の半価幅を有するので、広域増幅のためには、複数の光源が必要であるという短所がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする技術的課題は、前記問題点を解決するために創案されたものであって、ラマン散乱の半価幅を増大させて少数の励起光源でも広域のラマン光増幅器またはレーザを具現できるテルライトガラス組成物を提供することである。
【0009】
本発明が解決しようとする他の技術的課題は、前記テルライトガラス組成物をコア層として利用する光導波路を提供することである。
【0010】
また、本発明が解決しようとするさらに他の技術的課題は、前記テルライトガラス組成物をコア層として利用した光ファイバや光導波路を利得媒質として利用する広域の光増幅器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を達成するために、本発明によるテルライトガラス組成物は、25(mol%)≦TeO≦90(mol%)、1(mol%)≦T≦55(mol%)または1(mol%)≦T≦40(mol%)、0(mol%)≦ZnO≦35(mol%)、0(mol%)≦MO≦35(mol%)、及び0(mol%)≦Bi≦20(mol%)を備えてなる全体組成物を含んでなり、
前記Tは、転移金属であってMoであり、
前記Tは、転移金属であってWであり、
前記MOは、LiOまたはNaOであり、或いは、前記MOは、+1の価電子を有する金属を含んでなるLiO、NaO、KO、RbO及びCsOの一又は二以上のものであり、
前記MO及びZnOの添加量は、同時に「0」とならないものである。
【0012】
前述した本発明によるテルライトガラス組成物は、光ファイバコア層または光導波路コア層に利用されうる。前述した本発明によるテルライトガラス組成物は、光ファイバまたは光導波路のコア層に利用されて光ファイバまたは光導波路を構成できる。そして、前述した本発明によるテルライトガラス組成物は、光ファイバまたは光導波路の利得媒質として利用する光増幅器またはレーザ装置を構成できる。前記光増幅器またはレーザ装置は、波長帯域1150〜1500nmのうち一つまたは二つ以上の波長を有するポンプ光を励起光源として利用できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、テルライトガラス組成物は、モリブデン酸化物またはタングステン酸化物のような転移金属酸化物を包含することが可能である。ラマン散乱ピークの半価幅は、約700cm−1(〜約800cm−1)を中心として約200cm−1から300cm−1に増大させることが可能となる。これにより、本発明のテルライトガラス組成物は、長さが短く、かつ増幅帯域が広い光増幅器用の光ファイバまたは光導波路に利用できる。
【0014】
さらに、本発明のテルライトガラス組成物を利用した光増幅器またはレーザ装置は、前述したように、ラマン散乱半価幅が増大したため、少数の励起光源を使用しても経済的に広域光増幅やレーザ発振が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して本発明の望ましい実施形態を詳細に説明する。しかし、次に例示する本発明の実施形態は、色々な他の形態に変形され、本発明の範囲は、後述する実施形態に限定されず、相異なる多様な形態に具現されうる。本発明の実施形態は、当業者に本発明をさらに完全に説明するために提供されるものである。図面で、膜または領域のサイズまたは厚さは、明細書の明確性のために若干誇張されている。
【0016】
まず、テルライトガラス組成物について説明する。テルライトガラス組成物は、TeO、ZnO、NaO(またはLiO )及び複数の酸化物添加組成物で構成される。前記テルライトガラス組成物は、TeO−ZnO及びTeO−PbOのように、二成分系にも製造が可能であるが、主に多成分系に製造される。前記TeOは、ガラス組成物内でTeO、TeO及びTeO3+δなどの多様な構造体として存在し、ガラスの網目を形成し、ZnO及びNaO(またはLiO)は、ガラス構造内の構造変化または電荷補償体として存在する。
【0017】
前記テルライトガラス組成物は、前述したように、二つの広くて強いラマン散乱ピークを示す。すなわち、テルライトガラス組成物は、Te−O−Te曲げ振動モードによる約450cm−1を中心とするピークと、TeO、TeO及びTeO3+δなどの網目形成構造体の変化によって変わる約700cm−1を中心とするピークで構成される。約700cm−1を中心とするピークの場合、半価幅が約200cm−1ほどであり、半価幅の増大のためには、追加的なラマン散乱因子が必要である。
【0018】
これにより、本発明者は、一般的なテルライトガラス組成物に転移金属酸化物、例えば、モリブデン酸化物(MoO)やタングステン酸化物(WO)を添加して半価幅の増大を図った。前記モリブデン酸化物やタングステン酸化物のような転移金属酸化物は、約900cm−1にそれらの構造体が有する強いラマン散乱を有している。このため、それらを添加する場合、半価幅の増大に有利であり、転移金属酸化物の組成を調節して比較的平坦な利得を期待できるラマン散乱スペクトルの獲得が可能であると判断される。
【0019】
このような根拠で、本発明者は、後述する多様な実験を通じて、次のような700cm−1を中心とするラマン散乱ピークの平坦化に最適であるテルライトガラス組成物を発明した。
【0020】
第1例
本発明の第1例によるテルライトガラス組成物は、25(mol%)≦TeO≦90(mol%)、1(mol%)≦MoO≦55(mol%)、0(mol%)≦ZnO≦35(mol%)、0(mol%)≦MO≦35(mol%)、及び0(mol%)≦Bi≦20(mol%)を備えてなる全体組成物を含んでなるものである。前記MOは、LiOまたはNaOであるか、または前記MOは、LiO、NaO、KO、RbO及びCsOのように+1の価電子を有する金属を含む金属酸化物のうち2つ以上の金属酸化物で構成される。例えば、MOがLiO及びNaOを何れも含んで前記組成範囲を満足できる。前記MO及びZnOの添加量は、同時に「0」とならないように構成する。
【0021】
前記テルライトガラス組成物を構成する全体組成物にMoO、WO、Ta、PbO、Nb及びAlのうち一つまたは2つ以上の酸化物が第1添加剤として0〜20mol%で添加されうる。また、前記テルライトガラス組成物を構成するのに提示されない酸化物またはフッ化物として、MoO、WO、Ta、PbO、Nb及びAl以外の酸化物のうち、希土類酸化物及び希土類フッ化物を除外した組成物が第2添加剤として前記全体組成物の0〜40mol%で添加されうる。
【0022】
言い換えれば、前記テルライトガラス組成物を構成する金属として、Te、Mo、Zn、W、MまたはBiを含んでいない酸化物、Ta、Pb、NbまたはAlを含んでいない酸化物、及び全てのフッ化物のうち、希土類酸化物及び希土類フッ化物を除外した組成物が第2添加剤として前記全体組成物の0〜40mol%で添加されうる。前記フッ化物は、前記テルライトガラス組成物を構成する金属を含む金属フッ化物である。
【0023】
また、前記テルライトガラス組成物を構成する全体組成物にPr、Nd、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm及びYbの希土類酸化物またはPrF、NdF、SmF、EuF、TbF、DyF、HoF、ErF、TmF及びYbFのフッ化物のうち一つまたは2つ以上が第3添加剤として0〜5mol%の範囲内で添加されうる。前記第1添加剤、第2添加剤及び第3添加剤は、何れも添加されてもよく、一つのみ添加されてもよい。
【0024】
第2例
本発明の第2例によるテルライトガラス組成物は、25(mol%)≦TeO≦90(mol%)、1(mol%)≦WO≦40(mol%)、0(mol%)≦ZnO≦35(mol%)、0(mol%)≦MO≦35(mol%)、及び0(mol%)≦Bi≦20(mol%)を備えてなる全体組成物を含んでなる。前記MOは、LiOまたはNaOであるか、または前記MOは、LiO、NaO、KO、RbO及びCsOのように+1の価電子を有する金属を含む金属酸化物のうち2つ以上の金属酸化物で構成される。例えば、MOがLiO及びNaOを何れも含んで前記組成範囲を満足できる。前記MO及びZnOの添加量は、同時に「0」とならないように構成する。
【0025】
前記テルライトガラス組成物を構成する全体組成物にMoO、WO、Ta、PbO、Nb及びAlのうち一つまたは2つ以上の酸化物が第1添加剤として0〜20mol%で添加されうる。また、前記テルライトガラス組成物を構成するのに提示されていない酸化物またはフッ化物として、MoO、WO、Ta、PbO、Nb及びAl以外の酸化物のうち、希土類酸化物及び希土類フッ化物を除外した組成物が第2添加剤として前記全体組成物の0〜40mol%で添加されうる。
【0026】
言い換えれば、前記テルライトガラス組成物を構成する金属として、Te、Mo、Zn、W、MまたはBiを含んでいない酸化物、Ta、Pb、NbまたはAlを含んでいない酸化物、及び全てのフッ化物のうち、希土類酸化物及び希土類フッ化物を除外した組成物が第2添加剤として前記全体組成物の0〜40mol%で添加されうる。前記フッ化物は、前記テルライトガラス組成物を構成する金属を含む金属フッ化物である。
【0027】
また、前記テルライトガラス組成物を構成する全体組成物にPr、Nd、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm及びYbの希土類酸化物またはPrF、NdF、SmF、EuF、TbF、DyF、HoF、ErF、TmF及びYbFのフッ化物のうち一つまたは2つ以上が第3添加剤として0〜5mol%の範囲内で添加されうる。前記第1添加剤、第2添加剤及び第3添加剤は、何れも添加されてもよく、一つのみ添加されてもよい。
【0028】
次いで、モリブデン酸化物及びタングステン酸化物を含むテルライトガラス組成物のラマン散乱スペクトルを説明する。本発明に利用したテルライトガラス組成物は、前述した本発明の組成物のうち、代表的に次に説明される組成物を利用した。
【0029】
図1は、本発明によってモリブデン酸化物を含むテルライトガラス組成物のラマン散乱スペクトルを示すグラフである。
【0030】
具体的に、図1に示したテルライトガラス組成物は、代表的な組成物として(85−x)TeO+10 ZnO+5 NaO +x MoOを利用する。前記モリブデン酸化物(MoO)の含量を増加させつつ、ラマン散乱の変化を観察した。xは、0、10、25及び55に変化させ、ガラス製造が可能な最大濃度区間まで添加した。
【0031】
図1に示したように、モリブデン酸化物が添加されていないテルライトガラス組成物の場合、典型的なテルライトガラス組成物でのラマン散乱を表す。モリブデン酸化物が添加されるほど約900cm−1付近で現れるモリブデン酸化物による典型的なラマンピークが成長する。
【0032】
図1に示したように、モリブデンの添加量が増加するほど約900cm−1に位置したモリブデン酸化物の強いラマン散乱によってテルライトガラス組成物のラマン散乱幅が増大しており、約25mol%のモリブデン酸化物が添加された場合、最大の半価幅の増大現象を表す。すなわち、約25mol%のモリブデン酸化物が添加されたテルライトガラス組成物の場合、約800cm−1を中心として半価幅が約310cm−1に至る広いラマン散乱を表す。
【0033】
これから分かるように、約700cm−1を中心としたTeO、TeO及びそれらの複合的構造体によるラマン散乱ピークは、次第に約800cm−1に移動する。これは、モリブデン酸化物が添加されるにつれてテルライトガラス組成物内のTeO構造体が次第にTeOまたはTeO3+δの形態の構造体に変化されて現れる現象と判断される。
【0034】
図2は、本発明によってタングステン酸化物を含むテルライトガラス組成物のラマン散乱スペクトルを示すグラフである。
【0035】
具体的に、図2に示したテルライトガラス組成物は、代表的な組成物として(85−x)TeO+10 ZnO+5 NaO +x WOを利用した。前記タングステン酸化物の含量を増加させ、ラマン散乱の変化を観察した。xは、0、10、25及び40に変化させ、ガラス製造が可能な区間まで添加した。
【0036】
図2に示したように、タングステン酸化物が添加されるほど約950cm−1付近で現れるタングステン酸化物による典型的なラマンピークが成長する。そして、タングステン酸化物が含まれているテルライトガラス組成物のラマン散乱スペクトルは、タングステン酸化物が増加するほど約950cm−1に位置したタングステン酸化物の強いラマン散乱によってテルライトガラス組成物のラマン散乱幅が増大している。
【0037】
図3は、本発明によってモリブデン酸化物が含まれているテルライトガラス組成物のDSC(Differential Scanning Calorimeter)分析結果を示すグラフである。
【0038】
具体的に、図3は、図1の代表的な組成物として実験した結果である。図3で、P1、P2及びP3は、グラフの1次変移点であって、これに該当するX軸値がガラス転移温度を表し、P4、P5及びP6は、グラフの2次変移点であって、これに該当するX軸値が結晶化温度を表す。
【0039】
図3に示したように、モリブデン酸化物の添加量が増加するにつれてテルライトガラス組成物の安定性を決定するガラス転移温度と結晶化温度との間隔が次第に増大している。特に、25mol%のモリブデン酸化物が添加されたテルライトガラス組成物の結晶化温度とガラス転移温度との違いは、約100℃であって、比較的安定した光ファイバの引線が可能である。
【0040】
一方、前述した本発明のテルライトガラス組成物を光ファイバや光導波路のコア層として利用できる。言い換えれば、本発明のテルライトガラス組成物をコア層として利用すれば、一般のシリカガラス組成物より16倍のラマン利得係数を有するので、比較的短い光ファイバや光導波路のコア層として利用できる。
【0041】
特に、前述したように、本発明のテルライトガラス組成物を利用した光ファイバや光導波路で700cm−1のラマン散乱ピークの半価幅を増大させられて、少数の励起光源や広域のライン光増幅器またはレーザ具現が可能である。以下では、代表的に、本発明のテルライトガラス組成物を光ファイバのコア層として利用して光増幅器を具現した例を説明する。
【0042】
図4は、本発明のテルライトガラス組成物で製造された光ファイバを利得媒質として利用した光増幅器の一例を示す概念図であり、図5は、本発明による光ファイバを示す斜視図である。
【0043】
具体的に、本発明のテルライトガラス組成物で製造された光ファイバ23を利得媒質とし、励起光源(ポンプ光源)25,27を利用して光増幅器を具現できる。励起光源25,27の波長は、通信帯域の適切な増幅のために約1150〜1500nmで選択的に取れる。但し、図4の本発明の実験例では、代表的に二つの相異なる波長、すなわち、1342nm及び1407nmを有する励起光源(ポンプ光源)25,27から放出された励起光(ポンプ光)で両方向励起させる方式のラマン光ファイバ増幅器の概念図を表したものであり、増幅器の構成は、使用目的及び性能によって変わり、図4の構成に限定されない。
【0044】
さらに詳細には、信号光は、本発明のテルライトガラス組成物からなるコア層23aと、その周囲を取り包むクラッド層23bとで構成された光ファイバ23に入力される。前記信号光が入力されるとき、光孤立器21を経るが、これは、信号光を一側方向にのみ移動させるためである。
【0045】
前記信号光は、光結合器22を通じて前記光ファイバ23に入力され、同時に入力された1342nmの波長を有する第1励起光源25(第1ポンプ光源)及び1407nmの波長を有する第2励起光源27(第2ポンプ光源)によって光ファイバ23の内部で増幅されて他側に出力光が出力される。本発明のテルライトガラス組成物は、前述したように、励起光源の波長から約900cm−1(波長で約200nm)離れた所で強いピークが予想されるので、この波長領域の信号を減衰して平坦な利得を得るために出力端子の前に利得平坦化フィルタ29を設置する。
【0046】
図4に提示した本発明の光増幅器は、一例を説明したものであって、波長の相異なる一つ以上の半導体レーザを使用し、第1励起光源25のみを利用して順方向に増幅させるか、第2励起光源27を利用して逆方向に光を増幅させるか、前述したように、第1励起光源25または第2励起光源27を利用して両方向に光を増幅させうる。
【0047】
一方、図4及び図5では、光ファイバ23を利用した光増幅器を説明したが、光導波路を利用して具現した光増幅器は、便宜上省略する。それは、公知のように、光導波路も光ファイバのようにコア層とその周囲に形成されたクラッド層とで構成されるためである。
【0048】
図6は、図4で使われた二つの励起光源によって発生するテルライトガラス組成物のラマン散乱スペクトルを波長帯域で示すグラフである。
【0049】
具体的に、図6に示したように、励起光源(ポンプ光源)の波長が1342nmである場合、波長1425、1500及び1525nmで強いピークが得られ、励起光源の波長が1407nmである場合、波長1475、1550、及び1610nmで強いピークが得られる。そして、本発明のテルライトガラス組成物は、励起光源波長の適切な調和を通じて二つの励起光源でも約150nmに至る帯域のラマン散乱が発生し、これを通じた広域光増幅器を具現できる。
【0050】
図7は、本発明のテルライトガラス組成物で製造された光ファイバを利得媒質として利用したレーザ装置の一例を示す概念図である。レーザの構成は、使用目的及び性能によって変わり、図7の構成に限定されない。
【0051】
具体的に、レーザ装置は、本発明のテルライトガラス組成物を利用したコア層31a及びクラッド層31bを備えた光ファイバ31、励起光源33,35、光分合器37、全反射ブラグ格子光ファイバ素子39、出力結合用ブラグ格子光ファイバ素子41を含む。前記励起光源33,35の波長は、適切な増幅のために約1150〜1500nmで選択的に取れる。前記光ファイバ31のコア層31aは、励起光源33,35によって自発的ラマン散乱を放出し、これは、共振器43を構成する全反射ブラグ格子光ファイバ素子39と出力結合用ブラグ格子光ファイバ素子41との間で増幅されて、右側の出力結合用ブラグ格子光ファイバ素子41を通じてレーザ光45が放出される。
【0052】
本発明は、図面に示された実施形態を参考として説明されたが、これは、例示的なものに過ぎず、当業者ならば、これから多様な変形及び均等な他の実施形態が可能であるということが分かるであろう。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲の技術的思想によって決定されねばならない。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、光ファイバ増幅器関連の技術分野に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明によってモリブデン酸化物を含むテルライトガラス組成物のラマン散乱スペクトルを示すグラフである。
【図2】本発明によってタングステン酸化物を含むテルライトガラス組成物のラマン散乱スペクトルを示すグラフである。
【図3】本発明によってモリブデン酸化物が含まれているテルライトガラス組成物のDSC分析結果を示すグラフである。
【図4】本発明のテルライトガラス組成物で製造された光ファイバを利得媒質として利用した光増幅器の一例を示す概念図である。
【図5】本発明による光ファイバを示す斜視図である。
【図6】図4で使われた二つの励起光源によって発生するテルライトガラス組成物のラマン散乱スペクトルを波長帯域で示すグラフである。
【図7】本発明のテルライトガラス組成物で製造された光ファイバを利得媒質として利用したレーザ装置の概念図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
25(mol%)≦TeO≦90(mol%)、1(mol%)≦T≦55(mol%)または1(mol%)≦T≦40(mol%)、0(mol%)≦ZnO≦35(mol%)、0(mol%)≦MO≦35(mol%)、及び0(mol%)≦Bi≦20(mol%)を備えてなる全体組成物を含んでなり、
前記Tは、転移金属であってMoであり、
前記Tは、転移金属であってWであり、
前記MOは、LiOまたはNaOであり、或いは、前記MOは、+1の価電子を有する金属を含んでなるLiO、NaO、KO、RbO及びCsOの一又は二以上のものであり、
前記MO及びZnOの添加量は、同時に「0」とならないものである、テルライトガラス組成物。
【請求項2】
前記全体組成物が、MoO、WO、Ta、PbO、Nb及びAlの一又は二以上のものを、0mol%〜20mol%の量で含んでなる、請求項1に記載のテルライトガラス組成物。
【請求項3】
Te、Mo、Zn、W、MまたはBiを含んでいない酸化物、Ta、Pb、NbまたはAlを含んでいない酸化物、及びフッ化物を、0mol%〜40mol%の量で、前記全体組成物に添加してなり、
前記酸化物及び前記フッ化物が、希土類酸化物及び希土類フッ化物を含まないものである、請求項1または2に記載のテルライトガラス組成物。
【請求項4】
Pr、Nd、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm及びYbを包含する希土類酸化物、またはPrF、NdF、SmF、EuF、TbF、DyF、HoF、ErF、TmF及びYbFを包含するフッ化物のうち一または二以上を、0mol%〜5mol%の量で、前記全体組成物に添加してなる、請求項1または2に記載のテルライトガラス組成物。
【請求項5】
光ファイバのコア層又は光導波路のコア層に利用される、請求項1〜4のいずれか一項に記載のテルライトガラス組成物。
【請求項6】
テルライトガラス組成物をコア層に利用した光導波路であって、
前記テルライトガラス組成物が、請求項1〜4のいずれか一項に記載されたものである、光導波路。
【請求項7】
テルライトガラス組成物を含んでなる光増幅器であって、
前記テルライトガラス組成物が、光ファイバまたは光導波路の利得媒質として利用されてなり、かつ、請求項1〜4のいずれか一項に記載されたものであり、
波長帯域1150〜1500nmのうち一つまたは二つ以上の波長を有する光源を励起光源として利用するものである、光増幅器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−8802(P2007−8802A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−108992(P2006−108992)
【出願日】平成18年4月11日(2006.4.11)
【出願人】(596180076)韓國電子通信研究院 (733)
【氏名又は名称原語表記】Electronics and Telecommunications Research Institute
【住所又は居所原語表記】161 Kajong−dong, Yusong−gu, Taejon korea
【Fターム(参考)】