説明

テープ貼付装置、マウント装置及びマウント方法

【課題】テープ基材の傷等の異常を検出し、当該異常箇所を除いて切り込みを入れダイシングテープを形成した半導体ウエハのマウント装置及び方法を提供する。
【解決手段】ダイカット装置13の上流側に設けられたCCDカメラ等の検査装置14は、ガイドロール25の直前位置に設けられ、この検査一回の撮像でダイシングテープDTの面積をカバーすることが好ましい。検査装置14による検査データは制御装置に出力され、異常が検出されたときは、その位置データに基づいて、当該異常が存在する領域が切り込みCの領域内に含まれないようにする。一枚のダイシングテープDTを形成する領域内に異常が検出された場合には、その異常箇所が素通りするまで前述したクリアランスCLを保ったままダイカット装置13の駆動が停止されることとなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はテープ貼付装置、マウント装置及びマウント方法に係り、特に、半導体ウエハをリングフレームに固定する際に、ベースシートの一方の面にダイシングテープ形成用のテープ基材が仮着された原反を用いてダイシングテープを形成し、当該ダイシングテープを剥離して半導体ウエハをリングフレームに固定することに適したテープ貼付装置、マウント装置及びマウント方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、回路面が形成された半導体ウエハをダイシングする際に、リングフレームの内側に半導体ウエハを配置し、それらの面にダイシングテープを貼付することによって半導体ウエハをリングフレームに固定することが行われている。このダイシングテープの貼付は、帯状に連続するダイシングテープをリングフレーム及び半導体ウエハに貼付した後、カッターを用いてリングフレームの形状に合わせてダイシングテープの外周側を切り落とす方法が知られている。
他の貼付方法としては、例えば、特許文献1に示されるように、ベースシートの一方の面にテープ基材を仮着した帯状の原反を用い、前記テープ基材にリングフレームの形状に対応する閉ループ状の切り込みを設けてその内側にダイシングテープを形成し、その後にダイシングテープを一枚ずつ剥離してリングフレームに貼付する、という方法も採用されている。
【0003】
【特許文献1】特開平6−216242号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、帯状に連続するダイシングテープを貼付した後にリングフレームの形状に応じてカッターでダイシングテープの外周側を切り落とす方法では、リングフレームの面内でダイシングテープを切断するため、カッターの刃によってリングフレームが著しく損傷してしまう、という不都合がある。特に、安価に製造でき、且つ、軽量化を達成するために樹脂製のリングフレームを用いた場合には、前記損傷の度合いは一層顕著となる。
【0005】
この一方、特許文献1に示されるように、予めリングフレームの形状に切り込まれたダイシングテープを貼付する方法では、前記テープ基材の面内にラベル状となるダイシングテープを事前に形成する工程が必要となる。また、テープ基材が硬く、厚い材料の場合には、繰り出し途中でベースシートから剥離してしまう不都合がある。更に、ラベル形状に切り込みが形成されたダイシングテープは、ベースシートに対して粘着剤を介して貼付された状態でロール状に巻回されているため、当該ロールの径方向に沿う各層毎にダイシングテープが常にぴったりと重なり合うように巻回される状態とはならない。従って、粘着剤の弾性変形と、相互に重なり合うダイシングテープのエッヂによって、巻き圧に伴う押し跡(段差)若しくは押し傷がダイシングテープの面に形成されて平面精度を大きく低下させてしまうこととなる。このような押し跡若しくは押し傷が存在したダイシングテープをリングフレームに貼合した場合には、平面精度の低下による空気混入等を惹起して貼付不良等の弊害をもたらす要因となる。
【0006】
ところで、前述したダイシングテープは、その面内に傷があったり、ゴミ等の不純物が付着していたりする場合がある。このような場合には、それらの傷やゴミ等の存在により、半導体ウエハとダイシングテープとの貼付面に空気が混入する要因となり、部分的な貼付不良をもたらすこととなる。この点、従来では、予め所定の間隔で所定形状にダイシングテープが形成されているだけで、特別な対応策が講じられておらず、例え傷等があっても、そのまま貼付に用いてしまうので、貼付不良を回避することができない、という不都合があった。
【0007】
[発明の目的]
本発明は、このような不都合に着目して案出されたものであり、その目的は、ベースシートに仮着されたベース基材に切り込みを形成して貼付用のテープを形成する際に、テープ基材に異常があるか否かを検査し、異常が検出された場合に当該異常箇所を除く領域に切り込みを形成して貼付用のテープを形成し、その後に、貼付用のテープを被着体に貼付することのできるテープ貼付装置を提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、テープ基材に異常があるか否かを検査し、異常が検出された場合に当該異常箇所を除く領域に切り込みを形成してダイシングテープ形成し、その後に、当該ダイシングテープをリングフレーム及び半導体ウエハに貼付して当該半導体ウエハをリングフレームにマウントするマウント装置及びマウント方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するため、本発明は、ベースシートの一方の面にテープ基材が仮着された帯状の原反を繰り出す繰出装置と、前記原反の繰り出し経路上で前記テープ基材に閉ループ状の切り込みを形成して貼付用テープを形成するカット装置と、前記貼付用テープを前記ベースシートから剥離する剥離装置と、所定の被着体を支持する支持体と前記剥離装置とを相対移動させて前記貼付用テープを被着体に貼付する貼付装置と、前記剥離装置で貼付用テープを剥離した後の原反を巻き取る巻取装置とを備え、
前記カット装置に対して原反の繰出方向上流側にテープ基材の検査装置が配置され、この検査装置がテープ基材の異常を検出したときに、当該異常箇所をカット装置に素通りさせて貼付用テープを形成する、という構成を採っている。
【0010】
また、本発明は、テーブル上にリングフレームを配置するとともに当該リングフレームの内側に半導体ウエハを配置し、前記リングフレームにダイシングテープを貼付して前記半導体ウエハをリングフレームに固定するマウント装置において、
ベースシートの一方の面にテープ基材が仮着された帯状の原反を繰り出す繰出装置と、前記原反の繰り出し経路上で前記テープ基材に閉ループ状の切り込みを形成してダイシングテープを形成するカット装置と、前記ダイシングテープを前記ベースシートから剥離する剥離装置と、前記テーブルと前記剥離装置とを相対移動させて前記ダイシングテープをリングフレーム及び半導体ウエハに貼付する貼付装置と、前記剥離装置でダイシングテープを剥離した後の原反を巻き取る巻取装置とを備え、
前記カット装置に対して原反の繰出方向上流側にテープ基材の検査装置が配置され、この検査装置がテープ基材の異常を検出したときに、当該異常箇所をカット装置に素通りさせてダイシングテープを形成する、という構成を採っている。
【0011】
更に、本発明は、テーブル上にリングフレームを配置するとともに、当該リングフレームの内側に半導体ウエハを配置し、前記リングフレームにダイシングテープを貼付して半導体ウエハをリングフレームに固定するマウント方法において、
ベースシートの一方の面にテープ基材が仮着された帯状の原反を繰り出し途中でテープ基材に異常があるか否かを検査する工程と、
前記検査工程を経たテープ基材に閉ループ状の切り込みを形成してダイシングテープを形成するカット工程と、
前記ダイシングテープを前記ベースシートから剥離してダイシングテープをリングフレーム及び半導体ウエハに貼付する工程と、
前記剥離装置でダイシングテープを剥離した後の原反を巻き取る工程とを含み、
前記検査工程でテープ基材の異常が検出されたときに、当該異常箇所を除外して前記切り込みを形成する、という方法を採っている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ベースシートにテープ基材が貼付された状態で帯状の原反が構成され、当該原反は、ロール状に巻回された状態から繰り出されることとなる。繰り出された原反には、リングフレーム及び半導体ウエハ等の被着体に対応した平面形状となるように、カット装置によって閉ループ状の切り込みが形成されてダイシングテープが形成される。このダイシングテープは、ピールプレート等からなる剥離装置を介して剥離された後に、リングフレーム及び半導体ウエハ等の被着体に貼付される。従って、貼付後にリングフレーム上でフィルムをカットする工程は不要となり、当該リングフレームの損傷を回避することができる。しかも、ダイシングテープは、原反を繰り出す経路上で形成されるため、前述した巻き圧による押し跡や押し傷等がダイシングテープ内に形成されてしまうことがなく、これにより、平面精度を高精度に保った状態で半導体ウエハとリングフレームに貼付することが可能となる。
また、前記カット装置による切り込みを形成する前の段階でテープ基材にゴミの付着や傷の有無等の異常を検出し、異常が検出された場合に当該異常箇所を除いた領域に前記切り込みが形成されるので、貼付後にダイシングテープと半導体ウエハとの間に空気が混入して貼付不良を生ずる原因も回避することができる。
なお、本明細書において、「閉ループ」とは無端状であれば足り、円形に閉じられた場合の他、楕円形、多角形等も含むものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の好ましい実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1には、本実施形態に係るマウント装置の概略正面図が示されている。この図において、マウント装置10は、下部ユニット10Aと上部ユニット10Bとにより構成されている。下部ユニット10Aは、図1中紙面直交方向(図2中上下方向)に相対配置された一対のフレーム板F1からなる下部フレームLFと、この下部フレームLFの領域内に配置されるとともに、ベースシートSの一方の面にテープ基材TBが仮着された帯状の原反Lを繰り出す繰出装置11と、前記原反Lの繰り出し経路上で前記テープ基材TBに閉ループ状の切り込みC(図3参照)を形成して貼付用テープとしてのダイシングテープDTを形成するカット装置としてのダイカット装置13と、このダイカット装置13に対して原反Lの繰出方向上流側に配置されたテープ基材TBの検査装置14とを備えて構成されている。
【0014】
前記上部ユニット10Bは、フレーム板F2からなる上部フレームUFと、当該上部フレームUFの領域内に配置されるとともに、前記ダイシングテープDTをベースシートSから剥離する剥離装置15と、ダイシングテープDTを被着体であるリングフレームRF及び半導体ウエハWに貼付する貼付装置16と、剥離装置15でダイシングテープDTを剥離した後の原反を巻き取る巻取装置17とを備えて構成されている。剥離装置15の下部側には、図1中左右方向に移動可能な支持体としてのテーブル19が配置され、当該テーブル19の上面側に前記リングフレームRF及び半導体ウエハWが吸着支持されるようになっている。なお、下部ユニット10A及び上部ユニット10Bにおける装置各部は、図示しない制御装置を介して全体的に制御される。
【0015】
前記繰出装置11は、モータM1と、当該モータM1によって回転駆動される支持軸21とにより構成され、この支持軸21回りにロール状に巻回された原反Lが支持されている。この繰出装置11から繰り出された原反Lは、繰出方向下流側すなわち上部ユニット10B側に向かって順次配置されたガイドロール22、第1のダンサロール23、ガイドロール25,26を経てダイカット装置13にて切り込みCが形成され、更に、ガイドロール28,29を経て上部ユニット10B側に繰り出されるようになっている。ここで、第1のダンサロール23は、フレーム板F1に形成された上下方向に延びるスロット30に沿って上下移動可能に設けられ、スロット30の上下各位置には上部センサ32,下部センサ33が配置されている。上部センサ32は前記ダイカット装置13への原反Lの繰り出しに伴って第1のダンサロール23が上昇したときに、その上昇位置を検出して制御装置に信号を出力し、当該制御装置が前記モータM1に駆動信号を出力して繰出装置11から原反Lの繰り出しを行う一方、この繰り出しに伴って自重で第1のダンサロール23が下降して当該第1のダンサロール23の下降位置を下部センサ33が検出したときに、前記制御装置を介してモータM1の駆動を停止する動作を交互に行うようになっている。
【0016】
前記ダイカット装置13は、図2に示されるように、フレーム板F1,F1間に配置されるとともに外周面に切断刃36Aが設けられたダイカットロール36と、これに相対配置されたダイ受けロール37と、当該ダイ受けロール37を回転させるモータM2と、ダイ受けロール37の回転軸38に固定された主動ギヤ39と、前記ダイカットロール36の回転軸40に固定されて前記主動ギヤ39に噛み合う従動ギヤ42とを備えて構成されている。ダイカットロール36とダイ受けロール37にはベアラ43,44が両側にそれぞれ配置され、これにより、ダイカットロール36とダイ受けロール37の中心軸間距離が一定に維持され、ひいては、切断刃36Aによるテープ基材TBの切断を高精度に行えるようになっている。なお、切断刃36Aは、ダイカットロール36が回転したときに、前記リングフレームRFの直径よりも若干小径となる閉ループの円を描く軌跡に沿って延び、且つ、前記テープ基材TBに切り込みを形成する高さに形成されている。また、切断刃36Aは、図5に示されるように、ダイカットロール36の周方向に刃が存在しない領域Nを備えており、図6に示されるように、当該切断刃36Aの存在しない領域Nがダイ受けロール37側に位置する状態で、原反Lに切り込みを形成することなく当該原反Lを素通りさせることができるクリアランスCLが前記ベアラ43,44によって保たれる。
【0017】
前記ダイカットロール36の回転軸40の両側には、図3に示されるように、軸受機能を備えたスライドブロック47,47が設けられ、これらのスライドブロック47,47は、フレーム板F1,F1の面内に形成された略コ字状の切欠部49,49内に配置されている。これを更に詳述すると、スライドブロック47は、側端面形状が略H型に設けられており、その上下の溝47Aに切欠部49の上下形成端部49Aが入り込むことでスライドブロック47がフレーム板F1の面を直交する方向に脱落不能に設けられている。スライドブロック47と、切欠部49のコ字状の底部49Bとの間にはばね部材51が介装されており、このばね部材51の存在下でダイカットロール36がダイ受けロール37から離れる方向に付勢されている。
【0018】
前記ベアラ43,43には、対応するベアラ44,44とは反対側となる外周面部分に上下二箇所で接するコロ53,53がそれぞれ配置されている。これらのコロ53は、軸受55,55を介して回転可能に設けられており、これら軸受55,55は、連結板56を介して相互に連結されている。この連結板56は、前記フレーム板F1,F1の各面に形成された切欠部49間に延びて当該切欠部49内で図1中左右方向に沿って移動可能に設けられている。また、切欠部49のコ字状の開放端側は、フレーム板F1,F1間に延びる板状部材59によって閉塞され、当該板状部材59の長手方向二箇所には、前記連結板56の面位置を左右方向に移動させるための調整ハンドル61が設けられている。本実施形態では、調整ハンドル61を時計方向に回転操作することで、連結板56が図1中右方向に移動可能となり、当該連結板56に固定された軸受55,55のコロ53,53がベアラ43,43を介してダイカットロール36を前記ばね部材51の付勢力に抗してダイ受けロール37側に移動させることができ、ダイカットロール36側のベアラ43と、ダイ受けロール37側のベアラ44とが接するように調整可能になっている。この一方、調整ハンドル61を反時計方向に回転操作することでダイカットロール36がばね部材51の付勢力によってダイ受けロール37から離間可能となっている。
【0019】
前記ダイカット装置13の位置に対して原反Lの繰出方向上流側に設けられた検査装置14は、本実施形態では、前記ガイドロール25の直前位置に設けられている。この検査装置14は、例えば、CCDカメラ等の光学系センサを用いることができ、一回の撮像でダイシングテープDTの面積をカバーできる広角型のセンサを採用することが好ましい。また、ダイシングテープDTの面積をカバーできないタイプのセンサであっても、複数回の撮像でテープ基材TBの異常を検出することでも差し支えない。検査装置14による検査データは制御装置に出力され、ダイシングテープDTに傷などの異常がない場合には、ダイカット装置13の駆動により切り込みCが形成される一方、異常が検出されたときは、その位置データに基づいて、当該異常が存在する領域が切り込みCの領域内に含まれないようにダイカット装置13を原反Lが素通りするようになっている。ここで、例えば、一枚のダイシングテープDTを形成する領域内に異常が検出された場合には、その異常箇所が素通りするまで前述したクリアランスCLを保ったままダイカット装置13の駆動が停止されることとなる。
【0020】
前記下部ユニット10Aにおいて切り込みCが形成された原反Lは、図示しない支持装置を介して支持された一対のニップロール65,65及びガイドロール66を介して上部ユニット10Bに供給される。
【0021】
上部ユニット10Bにおいて、フレーム板F2の面内には、ガイドロール70、第2のダンサロール71、トルク調整可能なモータM3によって原反Lに所定張力を付与するテンションロール72及びピンチロール73、ガイドロール74を経て剥離装置15が配置され、この剥離装置15によってダイシングテープDTが順次剥離される。そして、剥離装置15によってダイシングテープDTが剥離された後の原反Lは、モータM4によって駆動する駆動ロール76とニップロール77、第3のダンサロール79、ガイドロール80を経て巻取装置17で巻き取られるようになっている。
【0022】
第2のダンサロール71は、フレーム板F2の面内に設けられた上下方向に延びるスロット82に沿って移動可能に設けられている。スロット82の上部と下部には、第2のダンサロール71の上昇位置と下降位置をそれぞれ検出する上部センサ84及び下部センサ85が設けられ、駆動ロール76の駆動によって原反Lの繰り出しが行われて上部センサ84が第2のダンサロール71の上昇位置を検出したときに、上流側から原反Lの繰り出しが行われて第2のダンサロール71が自重で下降する。そして、下部センサ85が第2のダンサロール71の下降位置を検出したときに、上流側からの原反Lの繰り出しが停止する。モータM3は、テンションロール72,駆動ロール76間の原反Lが所定の張力となるようにテンションロール72を反繰出方向に付勢している。
【0023】
前記剥離装置15は、本実施形態では、ピールプレート87により構成され、当該ピールプレート87の先端位置で原反Lの繰出方向を急激に反転させることで、原反LからダイシングテープDTを剥離でき、この剥離のタイミングに合わせて移動するテーブル19上のリングフレームRFと半導体ウエハWの上面にダイシングテープDTが貼付される。この際、ピールプレート87の先端側には、貼付装置を構成する押圧ロール90が配置されており、当該押圧ロール90によって剥離されたダイシングテープDTがリングフレームRFと半導体ウエハWの面に所定の貼付圧力を付与するようになっている。なお、押圧ロール90の手前側(原反Lの繰出方向上流側)にはセンサ91が配置されており、当該センサ91によってダイシングテープDTの繰出方向先端位置が検出され、テーブル19の移動タイミング調整が行えるようになっている。
【0024】
前記第3のダンサロール79は、フレーム板F2の面内に設けられた上下方向に延びるスロット92に沿って移動可能に設けられている。スロット92の上部と下部には、第3のダンサロール79の上昇位置と下降位置をそれぞれ検出する上部センサ94及び下部センサ95が設けられ、上部センサ94が第3のダンサロール79の上昇位置を検出したときに、前記第1及び第2のダンサロール23,71と同様に、第3のダンサロール79が自重によって下降するように制御される一方、下部センサ95が第3のダンサロール79の下降位置を検出したときに、巻取装置17によって原反Lの巻き取りが行われるようになっている。なお、巻取装置17は、モータM5と、当該モータM5に連結された巻取軸97とにより構成されている。
【0025】
次に、本実施形態におけるマウント装置10の全体的な動作について説明する。
【0026】
初期作業として、繰出装置11から原反Lを引き出し、図1に示されるように、巻取装置17の巻取軸97に原反Lのリード端を固定しておく。この一方、テーブル19の上面に、リングフレームRF及び半導体ウエハWを吸着し、図1中実線で示される位置に待機させておく。この初期作業に際し、ダイカット装置13は、ダイカットロール36の切断刃36Aが存在しない外周領域がダイ受けロール37側となって前記クリアランスCLを形成する初期位置に設定しておき、原反Lの素通りが許容される状態に保たれる。
【0027】
電源投入により、制御装置が上下の各ユニット10A、10Bにおける装置各部を全体的に制御する。すなわち、モータM1、M2,M3,M4及びM5が駆動して原反Lの繰り出しが行われると、前記第1ないし第3のダンサロール23,71,79が上下に往復移動して原反Lの張力を一定に保ちながら当該原反L繰り出し動作を行うこととなる。そして、この繰り出しの過程において、検査装置14がテープ基材TBの検査を行い、傷やゴミの付着の有無を検査することとなる。この検査により、異常が検出されないことを条件に、ダイカットロール36及びダイ受けロール37が回転してテープ基材TBの切断を行い、テープ基材TBに円形の切り込みCを順次形成することとなる。
【0028】
このようにしてテープ基材TBに形成された切り込みCの内側領域をダイシングテープDTとして当該ダイシングテープDTが原反Lに形成されることとなる。ピールプレート87の近傍に設けられたセンサ90によってダイシングテープDTが検出されると、予め設定されたタイミングでテーブル19が図1中右側に移動を開始し、ピールプレート87の先端位置で順次剥離されるダイシングテープDTがリングフレームRFと半導体ウエハ上に繰り出されて押圧ロール90によって貼付されることとなる。
【0029】
ここで、検査装置14がテープ基材TBの異常を検出した場合には、当該異常箇所が、ダイシングテープの形成領域に属するか否かが検査データに基づいて制御装置によって判断される。すなわち、ダイシングテープDTの形成領域から外れた位置に異常があっても、その後に切り込みCを形成することに支障はない。この一方、異常がダイシングテープDTの形成領域に属することが判断されると、当該異常箇所が通過するまでの間、ダイカット装置14は、原反Lの素通りを許容する状態のまま停止状態に保たれ、異常箇所が通過した後、次の異常箇所が検出されるまでの間、回転動作を行って一定間隔毎にダイシングテープDTを形成することとなる。なお、原反Lの繰り出し方向に沿って異常箇所が複数検出され、それらが一つのダイシングテープDTの形成領域に属する場合には、最後の異常箇所がダイカット装置13を素通りするまで当該ダイカット装置13の動作が停止されることとなる。
【0030】
従って、このような実施形態によれば、ベースシートSにテープ基材TBを仮着した帯状の原反Lを繰り出す過程でダイシングテープDTを形成し、その後にリングフレームRF及び半導体ウエハWに貼付する構成としたから、予めラベル状に形成したダイシングテープをベースシートに仮着した原反を用いた場合の不都合を解消することができる。また、テープ基材TBに傷等の異常が検出されたときに、当該異常箇所を除いてダイシングテープDTを形成する構成としたことで、表面精度に優れたダイシングテープDTを得ることができ、半導体ウエハWに対するダイシングテープDTの貼付を高精度に行うことができる、という効果を得る。
【0031】
本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
すなわち、本発明は、主に特定の実施の形態に関して特に図示し、且つ、説明されているが、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上に述べた実施の形態に対し、形状、材料、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それら形状などの限定の一部若しくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【0032】
例えば、前記実施形態では、本発明が、原反LからダイシングテープDTを形成してリングフレームRF及び半導体ウエハWに貼付するマウント装置に適用された場合を図示、説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その他の被着体、例えば、コンパクトディスク(CD)、デジタル他用途ディスク(DVD)、ディスプレイ用パネル、ガラス等を被着体としたテープ貼付装置一般に適用することができる。
【0033】
また、前記実施形態では、下部ユニット10Aと上部ユニット10Bの二段構成としてマウント装置10を構成したが、これらユニット10A、10Bを横方向に併設したり、単一のユニットとして構成することも可能である。但し、前記実施形態のように別ユニットとして構成した場合には、それらのユニットを切り離し、独立したユニットとして利用することもできる汎用性が付与される。
【0034】
更に、前記実施形態では、テープ基材TBに切り込みCを形成するカット装置としてダイカット装置13を採用したが、テープ基材TBの面に沿う回転刃を用いて切り込みCを形成する他の装置であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本実施形態におけるマウント装置の概略正面図。
【図2】ダイカット装置の要部概略平面図。
【図3】ダイカット装置の概略斜視図。
【図4】フレーム板を省略した状態を示すダイカット装置の概略斜視図。
【図5】ダイカットロールの概略斜視図。
【図6】ダイカットロールとダイ受けロールの正面図。
【符号の説明】
【0036】
10 マウント装置(テープ貼付装置)
11 繰出装置
13 ダイカット装置(カット装置)
14 検査装置
15 剥離装置
16 貼付装置
17 巻取装置
C 切り込み
L 原反
RF リングフレーム(被着体)
S ベースシート
TB テープ基材
W 半導体ウエハ(被着体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースシートの一方の面にテープ基材が仮着された帯状の原反を繰り出す繰出装置と、前記原反の繰り出し経路上で前記テープ基材に閉ループ状の切り込みを形成して貼付用テープを形成するカット装置と、前記貼付用テープを前記ベースシートから剥離する剥離装置と、所定の被着体を支持する支持体と前記剥離装置とを相対移動させて前記貼付用テープを被着体に貼付する貼付装置と、前記剥離装置で貼付用テープを剥離した後の原反を巻き取る巻取装置とを備え、
前記カット装置に対して原反の繰出方向上流側にテープ基材の検査装置が配置され、この検査装置がテープ基材の異常を検出したときに、当該異常箇所をカット装置に素通りさせて貼付用テープを形成することを特徴とするテープ貼付装置。
【請求項2】
テーブル上にリングフレームを配置するとともに当該リングフレームの内側に半導体ウエハを配置し、前記リングフレームにダイシングテープを貼付して前記半導体ウエハをリングフレームに固定するマウント装置において、
ベースシートの一方の面にテープ基材が仮着された帯状の原反を繰り出す繰出装置と、前記原反の繰り出し経路上で前記テープ基材に閉ループ状の切り込みを形成してダイシングテープを形成するカット装置と、前記ダイシングテープを前記ベースシートから剥離する剥離装置と、前記テーブルと前記剥離装置とを相対移動させて前記ダイシングテープをリングフレーム及び半導体ウエハに貼付する貼付装置と、前記剥離装置でダイシングテープを剥離した後の原反を巻き取る巻取装置とを備え、
前記カット装置に対して原反の繰出方向上流側にテープ基材の検査装置が配置され、この検査装置がテープ基材の異常を検出したときに、当該異常箇所をカット装置に素通りさせてダイシングテープを形成することを特徴とするマウント装置。
【請求項3】
テーブル上にリングフレームを配置するとともに、当該リングフレームの内側に半導体ウエハを配置し、前記リングフレームにダイシングテープを貼付して半導体ウエハをリングフレームに固定するマウント方法において、
ベースシートの一方の面にテープ基材が仮着された帯状の原反を繰り出す途中でテープ基材に異常があるか否かを検査する工程と、
前記検査工程を経たテープ基材に閉ループ状の切り込みを形成してダイシングテープを形成するカット工程と、
前記ダイシングテープを前記ベースシートから剥離してダイシングテープをリングフレーム及び半導体ウエハに貼付する工程と、
前記剥離装置でダイシングテープを剥離した後の原反を巻き取る工程とを含み、
前記検査工程でテープ基材の異常が検出されたときに、当該異常箇所を除外して前記切り込みを形成することを特徴とするマウント方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−73920(P2006−73920A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−258078(P2004−258078)
【出願日】平成16年9月6日(2004.9.6)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】