ディーゼルエンジン
【課題】DOCが排気マニホールドから離れた位置に配置されるため、DOCにおける排気ガスの温度低下が避けられないことによるDPFの強制再生時に生ずる不具合を改善しようとするものである。
【解決手段】排気マニホールド12からターボ過給器13のタービン13a側を介して排気ガスの排出を行う排気経路14において、該排気経路14の下流側適宜位置に、未燃燃料を酸化させる第一DOC15に続いて排気ガス内の粒状化物質PMを除去する第一DPF16を配置してなるディーゼルエンジンにおいて、前記排気マニホールド12の下流位置に開閉バルブ17に続いて未燃燃料を酸化させる第二DOC18を配置すると共に、該第二DOC18の他端側を前記第一DOC15の上流側適宜位置に接続して設けたことを特徴とするディーゼルエンジン。
【解決手段】排気マニホールド12からターボ過給器13のタービン13a側を介して排気ガスの排出を行う排気経路14において、該排気経路14の下流側適宜位置に、未燃燃料を酸化させる第一DOC15に続いて排気ガス内の粒状化物質PMを除去する第一DPF16を配置してなるディーゼルエンジンにおいて、前記排気マニホールド12の下流位置に開閉バルブ17に続いて未燃燃料を酸化させる第二DOC18を配置すると共に、該第二DOC18の他端側を前記第一DOC15の上流側適宜位置に接続して設けたことを特徴とするディーゼルエンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ディーゼルエンジンに関する。特に、ディーゼルエンジンの排気ガス後処理装置に関し、排気ガスの後処理装置としてDOC(酸化触媒)及びDPF(パティキュレートフィルタ)を有するディーゼルエンジンにおいて、排気ガス中のパティキュレートをDPFにて捕集し堆積したときに再生処理を行うもの等の分野に属する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境問題の高まりや健康に関する影響が懸念されていることから、自動車及び各種作業車・船舶・発電機等のディーゼルエンジンから排出される排気ガス中の粒子状物質としてのパティキュレート(以下PMという)を除去する装置の開発が進められている。また、一部地域においては具体的に規制強化が実施されていることもあり、それらへの対応が急務となっている。これらに対応するための技術的な方法としては、エンジン側にて燃料の噴射時期や混合比等の対策によりPMの排出防止を行う方法と、排気系の後処理で対応する方法とがある。
【0003】
排気系の後処理で対応する方法としては、例えばディーゼルエンジン等の排気装置にPM除去装置としてDPFを取り付ける技術が既に公知となっており、これらの装置ではPMの目詰まりを再生する方式が多種検討されているが、まだ技術的に十分とはいえない。
【0004】
かかるDPFの再生処理に関する従来技術として、特許文献1においては、DPFの上流側にNOx吸蔵還元触媒を備えている排気ガス再循環式(EGR)のディーゼルエンジンにおいて、触媒再生のタイミングを遅延させると共に、EGR,吸気調節バルブ,排気調節バルブ及び還元剤の噴射添加の単独又は適切な組み合わせ適用により、リーン状態とリッチ状態とを切り替え形成させるように制御して、NOx吸蔵還元触媒及びDPFを再生可能とする。なお、NOx吸蔵還元触媒の代わりに貴金属系酸化触媒(DOC)を用い、還元剤噴射をせずEGR,吸気/排気調節を適切に組み合わせ適用することにより排気ガス温度を制御可能とするもの等が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−73748号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、前記の如く、特許文献1におけるDPFの再生装置やDOCによる排気ガス温度制御装置では、構造が複雑であり、コスト高となる難点がある。また、通常、DOCについては大きさの関係からエンジンのレイアウト上、排気マニホールドから離れた位置に配置せざるを得ず、排気マニホールドからDOCに至る間の配管により熱が奪われるため、DPFの強制再生を行う際にはDOCを排気ガスの熱を利用して昇温(活性化)させる必要がある。
【0007】
このため本発明は、DOCが排気マニホールドから離れた位置に配置されるため、DOCにおける排気ガスの温度低下が避けられないことによるDPFの強制再生時に生ずる不具合を改善しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、排気マニホールド(12)からターボ過給器(13)のタービン(13a)側を介して排気ガスの排出を行う排気経路(14)において、該排気経路(14)の下流側適宜位置に、未燃燃料を酸化させる第一DOC(15)に続いて排気ガス内の粒状化物質(PM)を除去する第一DPF(16)を配置してなるディーゼルエンジンにおいて、前記排気マニホールド(12)の下流位置に開閉バルブ(17)に続いて未燃燃料を酸化させる第二DOC(18)を配置すると共に、該第二DOC(18)の他端側を前記第一DOC(15)の上流側適宜位置に接続して設けたことを特徴とするディーゼルエンジンとする。
【0009】
このような構成により、通常運転時(連続再生時)には、第二DOC(18)は開閉バルブ(17)を閉じて、第一DOC(15)側へ流すことにより、排気ガスの流量が多いときでも排気ガスの圧力損失を低減でき、第一DPF(16)の連続再生を行わせることができる。また、強制再生時のように排気ガスの流量が少ないときには、開閉バルブ(17)を開いて第二DOC(18)側にも排気ガスの一部を流すことにより、さらに、排気マニホールド(12)下流側の第二DOC(18)に排出される高温の排気ガスにより、第二DOC(18)を活性化させてDPF(16)の強制再生を行わせることができる。
【0010】
請求項2の発明は、前記第二DOC(18)の処理能力は、第一DOC(15)の処理能力よりも小さくなるように構成したことを特徴とする請求項1に記載のディーゼルエンジンとする。
【0011】
このような構成により、通常運転時(連続再生時)には、第二DOC(18)側は開閉バルブ(17)を閉じ、排気ガスの全量を大きな容積を大型の第一DOC(15)側へ流すことにより、排気ガスの流量が多いときでも排気ガスの圧力損失を低減できると共に、第一DPF(16)の連続再生を行わせることができる。
【0012】
また、強制再生時のように排気ガスの流量が少ないときには、開閉バルブ(17)を開いて小型の第二DOC(18)側にも排気ガスの一部を流すことにより、排気マニホールド(12)下流側の小型の第二DOC(18)に排出される高温の排気ガスにより、小型の第二DOC(18)を活性化させて第一DPF(16)の強制再生を行わせることができる。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明では、上記作用の如く、通常運転時には第一DOC(15)側へ排気ガスを全量流すことにより、排気ガスの流量が多いときでも排気ガスの圧力損失を招くことなく、第一DPF(16)の連続再生を容易に行わせることができる。排気ガスの流量が少ない第一DPF(16)の強制再生時には、排気マニホールド(12)下流側に配置している排気ガスが少ない場合に対応できる第二DOC(18)に高温の排気ガスを流すことで、第二DOC(18)を活性化させ、第一DPF(16)の強制再生を良好に行い再生時間の短縮を図ることができる。
【0014】
請求項2の発明では、排気ガスの流量が少ない第一DPF(16)の強制再生時には、排気マニホールド(12)下流側に配置している小型の第二DOC(18)に高温の排気ガスを流すことができるから、大きさの関係で排気マニホールド(12)下流に配置できず排気ガスの温度低下を余儀なくされていた大型の第一DOC(15)に代えて、小型の第二DOC(18)を活性化させることにより、DPF(16)の強制再生を良好に行い再生時間の短縮を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】コモンレールによる蓄圧式燃料噴射ディーゼルエンジンを示すシステム図。
【図2】三種類の制御モードによるエンジン回転数と出力トルクの関係を示す線図。
【図3】エンジンの排気経路に大型DOCとDPFを接続配設すると共に、強制再生時には排気マニホールド下流側に接続した小型DOCを排気経路にバイパス接続させる回路を示す作用回路図。
【図4】エンジンの排気経路と吸気経路を接続するEGR回路に並列状態で配設したDOCとEGRクーラーを、通常運転時と強制再生時において適時切り替えさせる切替バルブを設けた回路を示す作用回路図。
【図5】温度/運転状況等から算出する再生用燃料噴射量によってインジェクタへの通電時間を算出し、この通電時間の長,短によってポスト噴射させる気筒数の組合せを変更する手順を示すフローチャート。
【図6】温度/運転状況等から算出する再生用燃料噴射量によってインジェクタへの通電時間を算出し、この通電時間の長,短によってポスト噴射させる気筒数の組合せを変更及び切り替えする手順を示すフローチャート。
【図7】エンジンの排気経路にDOCとDPFを、更にDPFの下流側に排気絞りバルブ配設し、吸気経路には吸気絞りバルブを配設すると共に、排気経路のDOC上流側に設けた空燃比センサを、ECUを介して吸気絞りバルブに接続させる回路を示す作用回路図。
【図8】エンジンの排気経路にDOCとDPFを、更にDPFの下流側に排気絞りバルブ配設し、吸気経路には吸気絞りバルブを配設すると共に、吸気絞りバルブの上流側に設けたエアーフローセンサを、ECUを介して吸気絞りバルブに接続させる回路を示す作用回路図。
【図9】エンジンの排気経路にDOCとDPFを、更にDPFの下流側に排気絞りバルブ配設し、吸気経路には吸気絞りバルブを配設すると共に、吸気絞りバルブの上流側に設けたエアーフローセンサと温度センサを、ECUを介して吸気絞りバルブに接続させる回路を示す作用回路図。
【図10】DPFを装着するディーゼルエンジンを搭載したトラクタにおいて、ボンネット内のDPFとキャビン前端部との間に断熱材を配設した状態を示す側面図。
【図11】(a)DOCとDPFを装着するディーゼルエンジンを搭載したトラクタにおいて、ターボ過給器の直後に設けたDOCと、このDOCと反対側のキャビン前端部のコーナー近傍に設けたDPFとをL字状のパイプによって連結させると共に、排気管をDPFの上方に延設させた状態を示す正面図。(b)DOCとDPFを装着するディーゼルエンジンを搭載したトラクタにおいて、ターボ過給器の直後に設けたDOCと、このDOCと反対側のキャビン前端部のコーナー近傍に設けたDPFとをL字状のパイプによって連結させると共に、排気管をDPFの上方に延設させた状態を示す平面図。
【図12】ディーゼルエンジンにおいて、インジェクタ保護カバーをエンジン本体に取り付けるカバー取付ステーの折曲一端部位置にエンジン吊り具用穴を設けると共に、折曲他端部の端部側にブローバイガス用フィルタを取り付けた状態を示す全体斜視図。
【図13】前記インジェクタ保護カバーのカバー取付ステーの折曲他端部の端部側にブローバイガス用フィルタを取り付けると共に、カバー取付ステーの折曲一端部位置にエアコン用コンプレッサを固定するブラケットを取り付けた状態を示す全体斜視図。
【図14】トラクタ本機において、フロントアクスルブラケットにエンジン本体とエンジンリヤプレートを組み付けた状態を示す斜視図。
【図15】エンジン本体とエンジンリヤプレートの組み付け時に、リヤプレートの上下側の左右部位置に各々ボルト締め付け部を追加した状態を示す斜視図。
【図16】(a)オイルパンの後端部左右側位置に各々ボルト締付用のボスを設けた状態を示す斜視図。(b)シリンダブロックの後端部左右側位置に各々ボルト締付用のボスを設けた状態を示す斜視図。
【図17】(a)シリンダブロックの冷却水路に近接した左右側位置に各々オイル通路を設けた状態を示す断面斜視図。(b)左右側適宜位置のオイル通路からターボ過給器の軸受部に対し送油パイプによる配管状態を示す全体斜視図。
【図18】(a)シリンダボア間に設けている加工キリ穴による冷却水穴とシリンダヘッド側の水穴とが折曲状に接続されている状態を示す断面斜視図。(b)シリンダボア間に設けている冷却水穴に対しシリンダヘッド側の水穴を直線状で接続可能なるよう斜めの水穴とした状態を示す断面斜視図。
【図19】(a)ウォータポンプからシリンダブロックへの冷却水の流れ部をアール形状とした状態を示す部分平面図。(b)ウォータポンプからシリンダブロックへの冷却水の流れ部をアール形状とした状態を示す部分側面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
排気マニホールド12からターボ過給器13のタービン13a側を介して排気ガスの排出を行う排気経路14の下流側適宜位置に、大型DOC15に続いてDPF16を各々接続配置してなるディーゼルエンジンにおいて、一端側を排気マニホールド12直下に接続配置した開閉バルブ17を有する小型DOC18の他端側を、大型DOC15の上流側適宜位置に接続して設ける。
【0017】
以下に、この発明の実施例を図面に基づいて説明する。
コモンレール式ディーゼルエンジンEついて、図1のシステム図によりその概要を示す如く、コモンレール式(蓄圧式燃料噴射方式)とは、各気筒への燃料噴射を要求圧力に調整して供給するコモンレール1(蓄圧室)を介して行うものである。
【0018】
燃料タンク3内の燃料は吸入通路により燃料フィルタ7を介して該エンジンEで駆動される高圧ポンプ4に吸入され、この高圧ポンプ4によって加圧された高圧燃料は吐出通路8によりコモンレール1に導かれ蓄えられる。
【0019】
該コモンレール1内の高圧燃料は各高圧燃料供給通路9により気筒5の数分インジェクター6に供給され、ECU100からの指令に基づき、各気筒5毎にインジェクター6が開弁作動して、高圧燃料が該エンジンEの各燃焼室内に噴射供給され、各インジェクター6での余剰燃料(リターン燃料)は各燃料戻し管10により共通の燃料戻し通路10aへ導かれ、この燃料戻し通路10aによって燃料タンク3へ戻される。
【0020】
また、コモンレール1内の燃料圧力(コモンレール圧)を制御するため高圧ポンプ4に圧力制御弁11が設けられており、この圧力制御弁11はECU100からのデューティ信号によって、高圧ポンプ4から燃料タンク3への余剰燃料の燃料戻し通路10aの流路面積を調整するものであり、これによりコモンレール1側への燃料吐出量を調整してコモンレール圧を制御することができる。
【0021】
具体的には、エンジン運転条件に応じて目標コモンレール圧を設定し、レール圧センサ2により検出されるコモンレール圧が目標コモンレール圧と一致するよう、圧力制御弁11を介してコモンレール圧をフィードバック制御する。
【0022】
農作業機に搭載したコモンレール式ディーゼルエンジンEのECU100は、図2に示す如く、回転数と出力トルクの関係において、回転数の変動で出力も変動するドループ制御と、負荷が変動しても回転数が一定で出力を負荷に応じて変更するアイソクロナス制御と、アイソクロナス制御が負荷限界近くになると回転数を上昇させ出力を上げる重負荷制御とによる三種類の制御モードを設定している。
【0023】
ドループ制御は走行モード(A)として、農作業を行わず移動走行する場合に使用するものであり、例えば、ブレーキを掛けて走行速度を減速したり停止したりすると、この走行負荷の増大に伴ってエンジン回転数が低下するため走行速度の減速や停止を安全に行うことができる。
【0024】
アイソクロナス制御は通常作業モード(B)として、通常の農作業を行う場合に使用するものであり、例えば、トラクターであれば耕耘作業時に耕地が固く耕耘刃に抵抗が掛かるとき、コンバインであれば収穫作業時に収穫物が多く負荷が増大したときでも、出力が変動して回転数を維持するものでオペレータが楽に操縦できる。
【0025】
重負荷制御は重作業モード(C)として、特に、負荷限界近くで農作業を行う場合に使用するものであり、例えば、トラクターで耕耘作業を行っている際に、特に、固い耕地に遭遇してもエンジン出力が通常の限界を越えて増大するので作業を中断するようなことがない。
【0026】
従来、ディーゼルエンジンでは、メイン噴射に先立って少量の燃料をパルス的に噴射するパイロット噴射を行うことにより、着火遅れを短縮してディーゼルエンジン特有の、所謂ノック音を低減することが知られている。
【0027】
このパイロット噴射は、メイン噴射の前に1回乃至2回に固定して行われるものであったが、前記コモンレール1のシステムを用いることで、エンジンの状況に応じてパイロット噴射の状態を変化させ、騒音の低減や不完全燃焼による白煙又は黒煙の発生を抑制できる。
【0028】
図3に示す如く、ディーゼルエンジンの本体20に接続した排気マニホールド12から排気経路14を通じ、ターボ過給器13のタービン13a側を介してその下流側の適宜位置に大型DOC15を接続配置すると共に、この大型DOC15の下流側に続いてDPF16を接続配置して構成させる。なお、21は吸気マニホールド、13bはターボ過給器13のコンプレッサを示す。
【0029】
排気マニホールド12直下に、開閉バルブ17の開閉により作用を入切させる小型DOC18を開閉バルブ17と連結して接続配置すると共に、この小型DOC18を、大型DOC15の上流側適宜位置の排気経路14にバイパス形態にて接続配置して構成させる。
【0030】
このような構成により、通常運転時には、小型DOC18は開閉バルブ17を閉じて作用を切とし、排気経路14を通じてターボ過給器13のタービン13a側を介して排気ガスの全量を大きな容積を持つ大型DOC15側へ流すことにより、排気ガスの流量が多いときでも排気ガスの圧力損失を招くことなく、DPF16の連続再生を容易に行わせることができる。
【0031】
排気ガスの流量が少ないDPF16の強制再生時には、開閉バルブ17を開いて小型DOC18側にも排気ガスの一部を流すことにより、小型のためスペース的に排気マニホールド12直下に配置可能な小型DOC18に高温の排気ガスを流すことができるから、大きさの関係で排気マニホールド12直下に配置できず排気ガスの温度低下を余儀なくされていた大型DOC15に代えて小型DOC18を活性化させることにより、DPF16の強制再生を良好に行い再生時間の短縮を図ることができる。
【0032】
なお、通常運転時には、排気ガス中のNOを大型DOC15内でNO2に変換し、そのNO2を利用してDPF16内の酸素を燃焼させるが、NOをNO2に変換させるために、大型DOC15にそれほど多くの白金の担持は必要としないと共に、強制再生時には、排気ガスの流量が少なく、且つ排気ガス中のHCと酸素を反応させて発熱させるためには、小型DOC18に担持させる白金の密度を増やす必要がある。
【0033】
このように、強制再生用の小型DOC18には高密度の白金を、連続再生用の大型DOC15には低密度の白金を担持させることで、DOCの数は増えるが高価な白金使用量を低減できるため、結果的にはDOCの価格を低減できることになる。
【0034】
また、図4に示す如く、ディーゼルエンジンの本体22に接続した排気マニホールド23から排気経路24を通じ、ターボ過給器25のタービン25a側を介してその下流側の適宜位置にDOC26を接続配置し、このDOC26の下流側に続いてDPF27を接続配置させると共に、エンジンの本体22に接続した吸気マニホールド28から吸気経路29を通じターボ過給器25のコンプレッサ25b側に接続して構成させる。
【0035】
排気マニホールド23と吸気経路29の適宜位置とにEGR回路30を接続すると共に、このEGR回路30に、切替バルブ31の接続により各々切り替え作用させるEGRクーラー32とDOC33とを並列に接続配置して構成させる。
【0036】
なお、DOC33をEGR回路30に配置することにより、高温の排気ガスを排出する排気マニホールド23直下に配置するが可能となる。
このような構成により、通常運転時には、EGRクーラー32に排気ガスが流れるよう切替バルブ31を切り替えることにより、EGR回路30に流れ込む排気ガスの全量をEGRクーラー32に通過させて吸気に還元する。(従来と同じ)また、強制再生時には、再生開始と同時にDOC33に排気ガスが流れるよう切替バルブ31を切り替え排気ガスの一部をDOC33に流すことにより、DOC33内での触媒反応により排気ガスが加熱され、加熱された排気ガスが吸気に還元されて吸気温度を上昇させ、吸気温度上昇に伴う排気温度上昇によって、DOC33を活性化させ、DPF27の強制再生を良好に行い再生時間の短縮を図ることができる。
【0037】
また、後処理装置再生時には、コモンレールシステムの多段噴射機能を利用して、未燃の燃料を後処理装置へ送り込み燃焼させることにより再生を行わせるようにしており、4気筒エンジンの場合、全ての気筒のインジェクターから燃料を噴射するよう制御されている。この燃料噴射は、インジェクターへの通電時間で制御され最低通電時間が規定されているため、再生に対し微量の燃料噴射で済むところを必要以上の燃料を噴射してしまうという難点がある。
【0038】
このため、前記図1に示す如き、コモンレールシステムによる電子制御式ディーゼルエンジンEにおいて、排気ガス対策として後処理装置を装着すると共に、この後処理装置内の圧力等(PMの堆積)により再生が必要と判断された場合、コモンレールシステムにより多段噴射を行う再生時の燃料噴射を限定された気筒5のみとする制御を、図5のフローチャートに示す。
【0039】
この制御では、温度/運転状況等により必要とされる再生用の燃料噴射量が算出され、その時のレール圧によりインジェクター6への通電時間が算出され、この算出された通電時間がインジェクター6の固有の最低通電時間よりも長い場合には、通常の2バンク(4気筒の組合せ)にてインジェクター6が駆動され、最低通電時間よりも短い場合には、1バンク(2気筒の組合せ)分のインジェクター6を駆動することにより、個々のインジェクター6の通電時間を長くすることで目標に近い燃料噴射量を再生用ポスト噴射として使用することができる。
【0040】
このように、再生用の燃料は燃焼室で燃焼させるわけではないから、各気筒5に均等に噴射させる必要がなく、気筒5を限定して燃料を噴射することにより、同じ最低通電時間でもエンジントータルとしては燃料噴射量を低減することができると共に、インジェクター6の耐久性向上にも寄与することができる。
【0041】
また、図6のフローチャートに示す如く、温度/運転状況等により必要とされる再生用の燃料噴射量が算出され、その時のレール圧によりインジェクター6への通電時間が算出され、この算出された通電時間がインジェクター6の固有の最低通電時間よりも長い場合には、通常の2バンクにてインジェクター6が駆動され、最低通電時間よりも短い場合には、1バンクをバンクA又はバンクBに切り替えてインジェクター6を駆動することにより、個々のインジェクター6の通電時間を長くすることで目標に近い燃料噴射量を再生用ポスト噴射として使用することができると共に、限定されるバンクを再生の機会毎に切り替えることにより、ノズル作動によるインジェクター6の寿命を向上させることができる。
【0042】
このように、再生用の燃料は燃焼室で燃焼させるわけではないから、各気筒5に均等に噴射させる必要がなく、気筒5を限定して燃料を噴射することにより、同じ最低通電時間でもエンジントータルとしては燃料噴射量を低減することができると共に、気筒5の限定した切り替えによりインジェクター6の耐久性向上になお一層寄与することができる。
【0043】
また、従来では、排気ガス中に含まれる未燃燃料の量をモニターすることなく吸気絞りバルブの開度を制御しているため、吸気バルブの開度が小さいときは未燃燃料の量が多くなりDOC内で処理しきれず未燃燃料が排気ガスと共に排出され、逆に、吸気絞りバルブの開度が大きいときは未燃燃料の量が少なくなり強制再生温度に達するまでに時間を要するという難点があった。
【0044】
このため、図7に示す如く、エンジン本体35からターボ過給器36のタービン36a側を介して排気経路37を延出させ、この排気経路37のタービン36a側下流の適宜位置にDOC38とDPF39に続いて排気絞りバルブ40を各々配置させると共に、エンジン本体35からターボ過給器36のコンプレッサ36b側を介して吸気経路41を延出させ、この吸気経路41のコンプレッサ36b側上流の適宜位置に吸気絞りバルブ42を配置して構成させる。
【0045】
排気経路37のDOC38上流側の適宜位置に配置した空燃比センサ43の出力値に応じて、ECU44により吸気経路41の吸気絞りバルブ42を開閉制御可能に接続して構成させる。
【0046】
このような構成により、排気経路37の空燃比センサ43により強制再生中の空燃比をモニターし、空燃比が大きい場合には吸気絞りバルブ42の開度を小さくし、逆に、空燃比が小さい場合には吸気絞りバルブ42の開度を大きくすることにより、未燃燃料が過剰に排気ガス中に混入する炭化水素の増加傾向を防止しつつ排気ガスのクリーン化を行い、適度な未燃燃料を排気ガス中に混合することで素早くDOC38を昇温させて、強制再生温度に達するまでの時間短縮を図ることができる。
【0047】
また、前記図7に示す如き排気経路37と吸気経路41の構成において、図8に示す如く、吸気経路41の吸気絞りバルブ42上流側の適宜位置に配置したエアーフローセンサ45の出力値に応じて、ECU44により吸気経路41の吸気絞りバルブ42を開閉制御可能に接続して構成させる。
【0048】
このような構成により、吸気経路41のエアーフローセンサ45による強制再生中の吸気量の検出により、燃料噴射量と空気量をモニターして空燃比を演算し、空燃比が大きい場合には吸気絞りバルブ42の開度を小さくし、逆に、空燃比が小さい場合には吸気絞りバルブ42の開度を大きくすることにより、未燃燃料が過剰に排気ガス中に混入する炭化水素の増加傾向を防止しつつ排気ガスのクリーン化を行い、適度な未燃燃料を排気ガス中に混合することで素早くDOC38を昇温させて、強制再生温度に達するまでの時間短縮を図ることができる。
【0049】
また、前記図7に示す如き排気経路37と吸気経路41の構成において、図9に示す如く、吸気経路41の吸気絞りバルブ42上流側の適宜位置に配置したエアーフローセンサ45と温度センサ46の出力値に応じて、ECU44により吸気経路41の吸気絞りバルブ42を開閉制御可能に接続して構成させる。
【0050】
このような構成により、吸気経路41のエアーフローセンサ45による強制再生中の吸気量の検出により、燃料噴射量と空気量をモニターして空燃比を演算し、空燃比が大きい場合には吸気絞りバルブ42の開度を小さくし、逆に、空燃比が小さい場合には吸気絞りバルブ42の開度を大きくする制御を行う。そして、冬期等では、吸気温度が低く不完全燃焼を起し未燃ガスが放出され易くなるため、温度センサ46の検出値により吸気絞りバルブ42の開度を補正して吸気量を増やし、未燃燃料が過剰に排出されることを防止する制御を行うことにより、未燃燃料が過剰に排気ガス中に混入する炭化水素の増加傾向を防止しつつ排気ガスのクリーン化を行い、適度な未燃燃料を排気ガス中に混合することで素早くDOC38を昇温させて、強制再生温度に達するまでの時間短縮を図ることができる。
【0051】
また、トラクタに搭載したディーゼルエンジンの後処理装置としてDPFをボンネット内に装着している場合、DPFの熱がキャビンに伝わりキャビン内やステップの温度を上昇させてしまうという不具合があった。
【0052】
このため、図10に示す如く、DPF47を装着するディーゼルエンジンを搭載したトラクタTにおいて、ボンネット48内のDPF47とキャビン49の前端部との間に断熱板50を配置することにより、DPF47の熱によりキャビン49内やステップ部49a等の温度上昇を防止することができる。なお、51は前輪、52は後輪を示す。
【0053】
また、搭載スペースが限られるトラクタ等では、後処理装置をコンパクトに搭載することが求められている。
このため、図11(a),(b)に示す如く、DOC53とDPF54を装着するディーゼルエンジンを搭載したトラクタTにおいて、DOC53をターボ過給器55の直後のボンネット56外側面に後方に向け水平方向に配置し、DPF54をDOC53とは反対側のキャビン57前端部のコーナー近傍に鉛直方向にて配置すると共に、DOC53とDPF54をL字状に形成したパイプ58によってエンジン下部側を通し連結させ、更に、排気管59をDPF54から上方に向け接続延長して構成させる。なお、60は前輪を示す。
【0054】
このような構成により、視界を妨げることなくコンパクトにDPF54を装着することができると共に、重量物であるDOC53とDPF54を分離して配置することにより、装着強度に対する安全性を増大させることができる。
【0055】
また、図12に示す如く、ディーゼルエンジンにおいて、インジェクター(図示なし)を保護する平板状のインジェクター保護カバー61を、エンジン本体62に取り付けるL字状に折曲したカバー取付ステー63に、エンジンを吊り下げるときに使用するエンジン吊り具用穴64を折曲一端部63aの適宜位置に設け、更に、ブローバイガスを浄化するブローバイガス用フィルタ65を折曲他端部63bの端部側に取り付けることにより、スペースの有効利用が可能になると共に、部品点数の削減を行うことができる。なお、66はシリンダヘッド、67はシリンダブロック、68はオイルパン、69はフライホイールを示す。
【0056】
また、図13に示す如く、前記インジェクター保護カバー61のカバー取付ステー63の折曲他端部63bの端部側にブローバイガス用フィルタ65を取り付け、更に、カバー取付ステー63の折曲一端部63a位置に、エアコン用コンプレッサ70を固定するブラケット71を取り付けることにより、よりスペースの有効利用が可能になると共に、部品点数の削減を行うことができる。
【0057】
また、従来、作業車等におけるエンジン装着用のエンジンリヤプレートは、シリンダブロックに設けた複数箇所の取付けボスに締め付け締結されているため、リヤプレートの略中央拠りのみが締め付けられることとなり、本機の車格が大きくなるに従いリヤプレートに対する負荷が大きくなることから、オイルパンを曲げる方向の荷重の作用により高い応力が発生したり、リヤプレートが左右方向から引っ張られるようなモードで変形する不具合を生じていた。
【0058】
図14は、トラクタ本機のフロントアクスルブラケット72とエンジン本体のシリンダブロック73及びエンジンリヤプレート74の3者による締結状態を示すものである。
図15及び図16(a)に示す如く、エンジン本体とトラクタ本機とを締結するために用いるエンジンリヤプレート74の下端側に相当するオイルパン75の後端部左右位置にボス75aを各々設け、リヤプレート74とオイルパン75をメンテナンス性を考慮してオイルパン75側からボルトにより締結を行う。そして、図15及び図16(b)に示す如く、リヤプレート74の上端側に相当するシリンダブロック73の後端部左右位置にボス73aを各々設け、リヤプレート74とシリンダブロック73をメンテナンス性を考慮してオイルパン75側からボルトにより締結を行うことにより、リヤプレート74の下方側をオイルパン75で、リヤプレート74の上方側をシリンダブロック73で各々締結するため、リヤプレート74に発生する本機の車格上昇による荷重負荷を分散させて受けることができ、製品信頼性が向上する。なお、リヤプレート74の曲げ方向の動きが規制されることにより振動,騒音に対しても有利となる。
【0059】
また、従来、オイル通路の位置に対しターボ過給器が離れた距離に設けられているため、エンジン始動直後、油圧が十分な高圧となりターボ過給器へオイルが供給されるまでに時間がかかり、それによりターボ過給器の軸受部の焼き付きといった不具合が発生していた。
【0060】
このため、図17(a)に示す如く、シリンダブロック77の冷却水路77aに近接した左右側位置に各々オイル通路77bを設けることにより、図17(b)に示す如く、左右側適宜位置のオイル通路77bからターボ過給器78の軸受部78aに対し、短距離にて送油パイプ79による配管を行うことができるから、冷却水との熱交換にて温度が低いオイルをターボ過給器78へ素早く供給することが可能となり、軸受部78aの焼き付き不具合を解消することができる。なお、シリンダブロック77のオイル通路77bを左右側位置に設けることにより、ターボ過給器78の位置がエンジン搭載仕様にて変更となっても容易に対応することができる。
【0061】
また、従来、図18(a)に示す如く、シリンダブロック76において、シリンダボア(図示なし)間に加工キリ穴による冷却水穴76aを設けているが、この冷却水穴76aとシリンダヘッド80側の水穴80aとは折曲状態で接続されているため、冷却水の流れに抵抗が生じ圧力損失が大きくなって、十分な冷却水が流れないという不具合が発生する。
【0062】
このため、図18(b)に示す如く、シリンダボア間の冷却水が流れる冷却水穴76aに対し、シリンダヘッド80側の水穴80aが直線状に接続可能となるよう斜めの水穴80aとすることにより、冷却水の流れが円滑となり圧力損失が小さくなるから冷却水が十分に流れ、シリンダボア間の冷却効果を向上させることができる。なお、81はシリンダ冷却水路を示す。
【0063】
また、図19(a),(b)に示す如く、ウォータポンプ(図示なし)からシリンダブロック82への冷却水の流れ部82aをアール形状とし、シリンダボア83の壁面との空間容積83aを大きく確保することができるから、シリンダブロック82への冷却水の流れによる圧力損失を小さくして、冷却水の流れを円滑にすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
トラクターやコンバイン等の農作業機を始め一般車両にも利用することができる。
【符号の説明】
【0065】
PM 粒状化物質
1 コモンレール
E コモンレール式ディーゼルエンジン
12 排気マニホールド
13 ターボ過給器
13a タービン
14 排気経路
15 第一DOC(大型DOC)
16 第一DPF
17 開閉バルブ
18 第二DOC(小型DOC)
【技術分野】
【0001】
この発明は、ディーゼルエンジンに関する。特に、ディーゼルエンジンの排気ガス後処理装置に関し、排気ガスの後処理装置としてDOC(酸化触媒)及びDPF(パティキュレートフィルタ)を有するディーゼルエンジンにおいて、排気ガス中のパティキュレートをDPFにて捕集し堆積したときに再生処理を行うもの等の分野に属する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境問題の高まりや健康に関する影響が懸念されていることから、自動車及び各種作業車・船舶・発電機等のディーゼルエンジンから排出される排気ガス中の粒子状物質としてのパティキュレート(以下PMという)を除去する装置の開発が進められている。また、一部地域においては具体的に規制強化が実施されていることもあり、それらへの対応が急務となっている。これらに対応するための技術的な方法としては、エンジン側にて燃料の噴射時期や混合比等の対策によりPMの排出防止を行う方法と、排気系の後処理で対応する方法とがある。
【0003】
排気系の後処理で対応する方法としては、例えばディーゼルエンジン等の排気装置にPM除去装置としてDPFを取り付ける技術が既に公知となっており、これらの装置ではPMの目詰まりを再生する方式が多種検討されているが、まだ技術的に十分とはいえない。
【0004】
かかるDPFの再生処理に関する従来技術として、特許文献1においては、DPFの上流側にNOx吸蔵還元触媒を備えている排気ガス再循環式(EGR)のディーゼルエンジンにおいて、触媒再生のタイミングを遅延させると共に、EGR,吸気調節バルブ,排気調節バルブ及び還元剤の噴射添加の単独又は適切な組み合わせ適用により、リーン状態とリッチ状態とを切り替え形成させるように制御して、NOx吸蔵還元触媒及びDPFを再生可能とする。なお、NOx吸蔵還元触媒の代わりに貴金属系酸化触媒(DOC)を用い、還元剤噴射をせずEGR,吸気/排気調節を適切に組み合わせ適用することにより排気ガス温度を制御可能とするもの等が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−73748号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、前記の如く、特許文献1におけるDPFの再生装置やDOCによる排気ガス温度制御装置では、構造が複雑であり、コスト高となる難点がある。また、通常、DOCについては大きさの関係からエンジンのレイアウト上、排気マニホールドから離れた位置に配置せざるを得ず、排気マニホールドからDOCに至る間の配管により熱が奪われるため、DPFの強制再生を行う際にはDOCを排気ガスの熱を利用して昇温(活性化)させる必要がある。
【0007】
このため本発明は、DOCが排気マニホールドから離れた位置に配置されるため、DOCにおける排気ガスの温度低下が避けられないことによるDPFの強制再生時に生ずる不具合を改善しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、排気マニホールド(12)からターボ過給器(13)のタービン(13a)側を介して排気ガスの排出を行う排気経路(14)において、該排気経路(14)の下流側適宜位置に、未燃燃料を酸化させる第一DOC(15)に続いて排気ガス内の粒状化物質(PM)を除去する第一DPF(16)を配置してなるディーゼルエンジンにおいて、前記排気マニホールド(12)の下流位置に開閉バルブ(17)に続いて未燃燃料を酸化させる第二DOC(18)を配置すると共に、該第二DOC(18)の他端側を前記第一DOC(15)の上流側適宜位置に接続して設けたことを特徴とするディーゼルエンジンとする。
【0009】
このような構成により、通常運転時(連続再生時)には、第二DOC(18)は開閉バルブ(17)を閉じて、第一DOC(15)側へ流すことにより、排気ガスの流量が多いときでも排気ガスの圧力損失を低減でき、第一DPF(16)の連続再生を行わせることができる。また、強制再生時のように排気ガスの流量が少ないときには、開閉バルブ(17)を開いて第二DOC(18)側にも排気ガスの一部を流すことにより、さらに、排気マニホールド(12)下流側の第二DOC(18)に排出される高温の排気ガスにより、第二DOC(18)を活性化させてDPF(16)の強制再生を行わせることができる。
【0010】
請求項2の発明は、前記第二DOC(18)の処理能力は、第一DOC(15)の処理能力よりも小さくなるように構成したことを特徴とする請求項1に記載のディーゼルエンジンとする。
【0011】
このような構成により、通常運転時(連続再生時)には、第二DOC(18)側は開閉バルブ(17)を閉じ、排気ガスの全量を大きな容積を大型の第一DOC(15)側へ流すことにより、排気ガスの流量が多いときでも排気ガスの圧力損失を低減できると共に、第一DPF(16)の連続再生を行わせることができる。
【0012】
また、強制再生時のように排気ガスの流量が少ないときには、開閉バルブ(17)を開いて小型の第二DOC(18)側にも排気ガスの一部を流すことにより、排気マニホールド(12)下流側の小型の第二DOC(18)に排出される高温の排気ガスにより、小型の第二DOC(18)を活性化させて第一DPF(16)の強制再生を行わせることができる。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明では、上記作用の如く、通常運転時には第一DOC(15)側へ排気ガスを全量流すことにより、排気ガスの流量が多いときでも排気ガスの圧力損失を招くことなく、第一DPF(16)の連続再生を容易に行わせることができる。排気ガスの流量が少ない第一DPF(16)の強制再生時には、排気マニホールド(12)下流側に配置している排気ガスが少ない場合に対応できる第二DOC(18)に高温の排気ガスを流すことで、第二DOC(18)を活性化させ、第一DPF(16)の強制再生を良好に行い再生時間の短縮を図ることができる。
【0014】
請求項2の発明では、排気ガスの流量が少ない第一DPF(16)の強制再生時には、排気マニホールド(12)下流側に配置している小型の第二DOC(18)に高温の排気ガスを流すことができるから、大きさの関係で排気マニホールド(12)下流に配置できず排気ガスの温度低下を余儀なくされていた大型の第一DOC(15)に代えて、小型の第二DOC(18)を活性化させることにより、DPF(16)の強制再生を良好に行い再生時間の短縮を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】コモンレールによる蓄圧式燃料噴射ディーゼルエンジンを示すシステム図。
【図2】三種類の制御モードによるエンジン回転数と出力トルクの関係を示す線図。
【図3】エンジンの排気経路に大型DOCとDPFを接続配設すると共に、強制再生時には排気マニホールド下流側に接続した小型DOCを排気経路にバイパス接続させる回路を示す作用回路図。
【図4】エンジンの排気経路と吸気経路を接続するEGR回路に並列状態で配設したDOCとEGRクーラーを、通常運転時と強制再生時において適時切り替えさせる切替バルブを設けた回路を示す作用回路図。
【図5】温度/運転状況等から算出する再生用燃料噴射量によってインジェクタへの通電時間を算出し、この通電時間の長,短によってポスト噴射させる気筒数の組合せを変更する手順を示すフローチャート。
【図6】温度/運転状況等から算出する再生用燃料噴射量によってインジェクタへの通電時間を算出し、この通電時間の長,短によってポスト噴射させる気筒数の組合せを変更及び切り替えする手順を示すフローチャート。
【図7】エンジンの排気経路にDOCとDPFを、更にDPFの下流側に排気絞りバルブ配設し、吸気経路には吸気絞りバルブを配設すると共に、排気経路のDOC上流側に設けた空燃比センサを、ECUを介して吸気絞りバルブに接続させる回路を示す作用回路図。
【図8】エンジンの排気経路にDOCとDPFを、更にDPFの下流側に排気絞りバルブ配設し、吸気経路には吸気絞りバルブを配設すると共に、吸気絞りバルブの上流側に設けたエアーフローセンサを、ECUを介して吸気絞りバルブに接続させる回路を示す作用回路図。
【図9】エンジンの排気経路にDOCとDPFを、更にDPFの下流側に排気絞りバルブ配設し、吸気経路には吸気絞りバルブを配設すると共に、吸気絞りバルブの上流側に設けたエアーフローセンサと温度センサを、ECUを介して吸気絞りバルブに接続させる回路を示す作用回路図。
【図10】DPFを装着するディーゼルエンジンを搭載したトラクタにおいて、ボンネット内のDPFとキャビン前端部との間に断熱材を配設した状態を示す側面図。
【図11】(a)DOCとDPFを装着するディーゼルエンジンを搭載したトラクタにおいて、ターボ過給器の直後に設けたDOCと、このDOCと反対側のキャビン前端部のコーナー近傍に設けたDPFとをL字状のパイプによって連結させると共に、排気管をDPFの上方に延設させた状態を示す正面図。(b)DOCとDPFを装着するディーゼルエンジンを搭載したトラクタにおいて、ターボ過給器の直後に設けたDOCと、このDOCと反対側のキャビン前端部のコーナー近傍に設けたDPFとをL字状のパイプによって連結させると共に、排気管をDPFの上方に延設させた状態を示す平面図。
【図12】ディーゼルエンジンにおいて、インジェクタ保護カバーをエンジン本体に取り付けるカバー取付ステーの折曲一端部位置にエンジン吊り具用穴を設けると共に、折曲他端部の端部側にブローバイガス用フィルタを取り付けた状態を示す全体斜視図。
【図13】前記インジェクタ保護カバーのカバー取付ステーの折曲他端部の端部側にブローバイガス用フィルタを取り付けると共に、カバー取付ステーの折曲一端部位置にエアコン用コンプレッサを固定するブラケットを取り付けた状態を示す全体斜視図。
【図14】トラクタ本機において、フロントアクスルブラケットにエンジン本体とエンジンリヤプレートを組み付けた状態を示す斜視図。
【図15】エンジン本体とエンジンリヤプレートの組み付け時に、リヤプレートの上下側の左右部位置に各々ボルト締め付け部を追加した状態を示す斜視図。
【図16】(a)オイルパンの後端部左右側位置に各々ボルト締付用のボスを設けた状態を示す斜視図。(b)シリンダブロックの後端部左右側位置に各々ボルト締付用のボスを設けた状態を示す斜視図。
【図17】(a)シリンダブロックの冷却水路に近接した左右側位置に各々オイル通路を設けた状態を示す断面斜視図。(b)左右側適宜位置のオイル通路からターボ過給器の軸受部に対し送油パイプによる配管状態を示す全体斜視図。
【図18】(a)シリンダボア間に設けている加工キリ穴による冷却水穴とシリンダヘッド側の水穴とが折曲状に接続されている状態を示す断面斜視図。(b)シリンダボア間に設けている冷却水穴に対しシリンダヘッド側の水穴を直線状で接続可能なるよう斜めの水穴とした状態を示す断面斜視図。
【図19】(a)ウォータポンプからシリンダブロックへの冷却水の流れ部をアール形状とした状態を示す部分平面図。(b)ウォータポンプからシリンダブロックへの冷却水の流れ部をアール形状とした状態を示す部分側面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
排気マニホールド12からターボ過給器13のタービン13a側を介して排気ガスの排出を行う排気経路14の下流側適宜位置に、大型DOC15に続いてDPF16を各々接続配置してなるディーゼルエンジンにおいて、一端側を排気マニホールド12直下に接続配置した開閉バルブ17を有する小型DOC18の他端側を、大型DOC15の上流側適宜位置に接続して設ける。
【0017】
以下に、この発明の実施例を図面に基づいて説明する。
コモンレール式ディーゼルエンジンEついて、図1のシステム図によりその概要を示す如く、コモンレール式(蓄圧式燃料噴射方式)とは、各気筒への燃料噴射を要求圧力に調整して供給するコモンレール1(蓄圧室)を介して行うものである。
【0018】
燃料タンク3内の燃料は吸入通路により燃料フィルタ7を介して該エンジンEで駆動される高圧ポンプ4に吸入され、この高圧ポンプ4によって加圧された高圧燃料は吐出通路8によりコモンレール1に導かれ蓄えられる。
【0019】
該コモンレール1内の高圧燃料は各高圧燃料供給通路9により気筒5の数分インジェクター6に供給され、ECU100からの指令に基づき、各気筒5毎にインジェクター6が開弁作動して、高圧燃料が該エンジンEの各燃焼室内に噴射供給され、各インジェクター6での余剰燃料(リターン燃料)は各燃料戻し管10により共通の燃料戻し通路10aへ導かれ、この燃料戻し通路10aによって燃料タンク3へ戻される。
【0020】
また、コモンレール1内の燃料圧力(コモンレール圧)を制御するため高圧ポンプ4に圧力制御弁11が設けられており、この圧力制御弁11はECU100からのデューティ信号によって、高圧ポンプ4から燃料タンク3への余剰燃料の燃料戻し通路10aの流路面積を調整するものであり、これによりコモンレール1側への燃料吐出量を調整してコモンレール圧を制御することができる。
【0021】
具体的には、エンジン運転条件に応じて目標コモンレール圧を設定し、レール圧センサ2により検出されるコモンレール圧が目標コモンレール圧と一致するよう、圧力制御弁11を介してコモンレール圧をフィードバック制御する。
【0022】
農作業機に搭載したコモンレール式ディーゼルエンジンEのECU100は、図2に示す如く、回転数と出力トルクの関係において、回転数の変動で出力も変動するドループ制御と、負荷が変動しても回転数が一定で出力を負荷に応じて変更するアイソクロナス制御と、アイソクロナス制御が負荷限界近くになると回転数を上昇させ出力を上げる重負荷制御とによる三種類の制御モードを設定している。
【0023】
ドループ制御は走行モード(A)として、農作業を行わず移動走行する場合に使用するものであり、例えば、ブレーキを掛けて走行速度を減速したり停止したりすると、この走行負荷の増大に伴ってエンジン回転数が低下するため走行速度の減速や停止を安全に行うことができる。
【0024】
アイソクロナス制御は通常作業モード(B)として、通常の農作業を行う場合に使用するものであり、例えば、トラクターであれば耕耘作業時に耕地が固く耕耘刃に抵抗が掛かるとき、コンバインであれば収穫作業時に収穫物が多く負荷が増大したときでも、出力が変動して回転数を維持するものでオペレータが楽に操縦できる。
【0025】
重負荷制御は重作業モード(C)として、特に、負荷限界近くで農作業を行う場合に使用するものであり、例えば、トラクターで耕耘作業を行っている際に、特に、固い耕地に遭遇してもエンジン出力が通常の限界を越えて増大するので作業を中断するようなことがない。
【0026】
従来、ディーゼルエンジンでは、メイン噴射に先立って少量の燃料をパルス的に噴射するパイロット噴射を行うことにより、着火遅れを短縮してディーゼルエンジン特有の、所謂ノック音を低減することが知られている。
【0027】
このパイロット噴射は、メイン噴射の前に1回乃至2回に固定して行われるものであったが、前記コモンレール1のシステムを用いることで、エンジンの状況に応じてパイロット噴射の状態を変化させ、騒音の低減や不完全燃焼による白煙又は黒煙の発生を抑制できる。
【0028】
図3に示す如く、ディーゼルエンジンの本体20に接続した排気マニホールド12から排気経路14を通じ、ターボ過給器13のタービン13a側を介してその下流側の適宜位置に大型DOC15を接続配置すると共に、この大型DOC15の下流側に続いてDPF16を接続配置して構成させる。なお、21は吸気マニホールド、13bはターボ過給器13のコンプレッサを示す。
【0029】
排気マニホールド12直下に、開閉バルブ17の開閉により作用を入切させる小型DOC18を開閉バルブ17と連結して接続配置すると共に、この小型DOC18を、大型DOC15の上流側適宜位置の排気経路14にバイパス形態にて接続配置して構成させる。
【0030】
このような構成により、通常運転時には、小型DOC18は開閉バルブ17を閉じて作用を切とし、排気経路14を通じてターボ過給器13のタービン13a側を介して排気ガスの全量を大きな容積を持つ大型DOC15側へ流すことにより、排気ガスの流量が多いときでも排気ガスの圧力損失を招くことなく、DPF16の連続再生を容易に行わせることができる。
【0031】
排気ガスの流量が少ないDPF16の強制再生時には、開閉バルブ17を開いて小型DOC18側にも排気ガスの一部を流すことにより、小型のためスペース的に排気マニホールド12直下に配置可能な小型DOC18に高温の排気ガスを流すことができるから、大きさの関係で排気マニホールド12直下に配置できず排気ガスの温度低下を余儀なくされていた大型DOC15に代えて小型DOC18を活性化させることにより、DPF16の強制再生を良好に行い再生時間の短縮を図ることができる。
【0032】
なお、通常運転時には、排気ガス中のNOを大型DOC15内でNO2に変換し、そのNO2を利用してDPF16内の酸素を燃焼させるが、NOをNO2に変換させるために、大型DOC15にそれほど多くの白金の担持は必要としないと共に、強制再生時には、排気ガスの流量が少なく、且つ排気ガス中のHCと酸素を反応させて発熱させるためには、小型DOC18に担持させる白金の密度を増やす必要がある。
【0033】
このように、強制再生用の小型DOC18には高密度の白金を、連続再生用の大型DOC15には低密度の白金を担持させることで、DOCの数は増えるが高価な白金使用量を低減できるため、結果的にはDOCの価格を低減できることになる。
【0034】
また、図4に示す如く、ディーゼルエンジンの本体22に接続した排気マニホールド23から排気経路24を通じ、ターボ過給器25のタービン25a側を介してその下流側の適宜位置にDOC26を接続配置し、このDOC26の下流側に続いてDPF27を接続配置させると共に、エンジンの本体22に接続した吸気マニホールド28から吸気経路29を通じターボ過給器25のコンプレッサ25b側に接続して構成させる。
【0035】
排気マニホールド23と吸気経路29の適宜位置とにEGR回路30を接続すると共に、このEGR回路30に、切替バルブ31の接続により各々切り替え作用させるEGRクーラー32とDOC33とを並列に接続配置して構成させる。
【0036】
なお、DOC33をEGR回路30に配置することにより、高温の排気ガスを排出する排気マニホールド23直下に配置するが可能となる。
このような構成により、通常運転時には、EGRクーラー32に排気ガスが流れるよう切替バルブ31を切り替えることにより、EGR回路30に流れ込む排気ガスの全量をEGRクーラー32に通過させて吸気に還元する。(従来と同じ)また、強制再生時には、再生開始と同時にDOC33に排気ガスが流れるよう切替バルブ31を切り替え排気ガスの一部をDOC33に流すことにより、DOC33内での触媒反応により排気ガスが加熱され、加熱された排気ガスが吸気に還元されて吸気温度を上昇させ、吸気温度上昇に伴う排気温度上昇によって、DOC33を活性化させ、DPF27の強制再生を良好に行い再生時間の短縮を図ることができる。
【0037】
また、後処理装置再生時には、コモンレールシステムの多段噴射機能を利用して、未燃の燃料を後処理装置へ送り込み燃焼させることにより再生を行わせるようにしており、4気筒エンジンの場合、全ての気筒のインジェクターから燃料を噴射するよう制御されている。この燃料噴射は、インジェクターへの通電時間で制御され最低通電時間が規定されているため、再生に対し微量の燃料噴射で済むところを必要以上の燃料を噴射してしまうという難点がある。
【0038】
このため、前記図1に示す如き、コモンレールシステムによる電子制御式ディーゼルエンジンEにおいて、排気ガス対策として後処理装置を装着すると共に、この後処理装置内の圧力等(PMの堆積)により再生が必要と判断された場合、コモンレールシステムにより多段噴射を行う再生時の燃料噴射を限定された気筒5のみとする制御を、図5のフローチャートに示す。
【0039】
この制御では、温度/運転状況等により必要とされる再生用の燃料噴射量が算出され、その時のレール圧によりインジェクター6への通電時間が算出され、この算出された通電時間がインジェクター6の固有の最低通電時間よりも長い場合には、通常の2バンク(4気筒の組合せ)にてインジェクター6が駆動され、最低通電時間よりも短い場合には、1バンク(2気筒の組合せ)分のインジェクター6を駆動することにより、個々のインジェクター6の通電時間を長くすることで目標に近い燃料噴射量を再生用ポスト噴射として使用することができる。
【0040】
このように、再生用の燃料は燃焼室で燃焼させるわけではないから、各気筒5に均等に噴射させる必要がなく、気筒5を限定して燃料を噴射することにより、同じ最低通電時間でもエンジントータルとしては燃料噴射量を低減することができると共に、インジェクター6の耐久性向上にも寄与することができる。
【0041】
また、図6のフローチャートに示す如く、温度/運転状況等により必要とされる再生用の燃料噴射量が算出され、その時のレール圧によりインジェクター6への通電時間が算出され、この算出された通電時間がインジェクター6の固有の最低通電時間よりも長い場合には、通常の2バンクにてインジェクター6が駆動され、最低通電時間よりも短い場合には、1バンクをバンクA又はバンクBに切り替えてインジェクター6を駆動することにより、個々のインジェクター6の通電時間を長くすることで目標に近い燃料噴射量を再生用ポスト噴射として使用することができると共に、限定されるバンクを再生の機会毎に切り替えることにより、ノズル作動によるインジェクター6の寿命を向上させることができる。
【0042】
このように、再生用の燃料は燃焼室で燃焼させるわけではないから、各気筒5に均等に噴射させる必要がなく、気筒5を限定して燃料を噴射することにより、同じ最低通電時間でもエンジントータルとしては燃料噴射量を低減することができると共に、気筒5の限定した切り替えによりインジェクター6の耐久性向上になお一層寄与することができる。
【0043】
また、従来では、排気ガス中に含まれる未燃燃料の量をモニターすることなく吸気絞りバルブの開度を制御しているため、吸気バルブの開度が小さいときは未燃燃料の量が多くなりDOC内で処理しきれず未燃燃料が排気ガスと共に排出され、逆に、吸気絞りバルブの開度が大きいときは未燃燃料の量が少なくなり強制再生温度に達するまでに時間を要するという難点があった。
【0044】
このため、図7に示す如く、エンジン本体35からターボ過給器36のタービン36a側を介して排気経路37を延出させ、この排気経路37のタービン36a側下流の適宜位置にDOC38とDPF39に続いて排気絞りバルブ40を各々配置させると共に、エンジン本体35からターボ過給器36のコンプレッサ36b側を介して吸気経路41を延出させ、この吸気経路41のコンプレッサ36b側上流の適宜位置に吸気絞りバルブ42を配置して構成させる。
【0045】
排気経路37のDOC38上流側の適宜位置に配置した空燃比センサ43の出力値に応じて、ECU44により吸気経路41の吸気絞りバルブ42を開閉制御可能に接続して構成させる。
【0046】
このような構成により、排気経路37の空燃比センサ43により強制再生中の空燃比をモニターし、空燃比が大きい場合には吸気絞りバルブ42の開度を小さくし、逆に、空燃比が小さい場合には吸気絞りバルブ42の開度を大きくすることにより、未燃燃料が過剰に排気ガス中に混入する炭化水素の増加傾向を防止しつつ排気ガスのクリーン化を行い、適度な未燃燃料を排気ガス中に混合することで素早くDOC38を昇温させて、強制再生温度に達するまでの時間短縮を図ることができる。
【0047】
また、前記図7に示す如き排気経路37と吸気経路41の構成において、図8に示す如く、吸気経路41の吸気絞りバルブ42上流側の適宜位置に配置したエアーフローセンサ45の出力値に応じて、ECU44により吸気経路41の吸気絞りバルブ42を開閉制御可能に接続して構成させる。
【0048】
このような構成により、吸気経路41のエアーフローセンサ45による強制再生中の吸気量の検出により、燃料噴射量と空気量をモニターして空燃比を演算し、空燃比が大きい場合には吸気絞りバルブ42の開度を小さくし、逆に、空燃比が小さい場合には吸気絞りバルブ42の開度を大きくすることにより、未燃燃料が過剰に排気ガス中に混入する炭化水素の増加傾向を防止しつつ排気ガスのクリーン化を行い、適度な未燃燃料を排気ガス中に混合することで素早くDOC38を昇温させて、強制再生温度に達するまでの時間短縮を図ることができる。
【0049】
また、前記図7に示す如き排気経路37と吸気経路41の構成において、図9に示す如く、吸気経路41の吸気絞りバルブ42上流側の適宜位置に配置したエアーフローセンサ45と温度センサ46の出力値に応じて、ECU44により吸気経路41の吸気絞りバルブ42を開閉制御可能に接続して構成させる。
【0050】
このような構成により、吸気経路41のエアーフローセンサ45による強制再生中の吸気量の検出により、燃料噴射量と空気量をモニターして空燃比を演算し、空燃比が大きい場合には吸気絞りバルブ42の開度を小さくし、逆に、空燃比が小さい場合には吸気絞りバルブ42の開度を大きくする制御を行う。そして、冬期等では、吸気温度が低く不完全燃焼を起し未燃ガスが放出され易くなるため、温度センサ46の検出値により吸気絞りバルブ42の開度を補正して吸気量を増やし、未燃燃料が過剰に排出されることを防止する制御を行うことにより、未燃燃料が過剰に排気ガス中に混入する炭化水素の増加傾向を防止しつつ排気ガスのクリーン化を行い、適度な未燃燃料を排気ガス中に混合することで素早くDOC38を昇温させて、強制再生温度に達するまでの時間短縮を図ることができる。
【0051】
また、トラクタに搭載したディーゼルエンジンの後処理装置としてDPFをボンネット内に装着している場合、DPFの熱がキャビンに伝わりキャビン内やステップの温度を上昇させてしまうという不具合があった。
【0052】
このため、図10に示す如く、DPF47を装着するディーゼルエンジンを搭載したトラクタTにおいて、ボンネット48内のDPF47とキャビン49の前端部との間に断熱板50を配置することにより、DPF47の熱によりキャビン49内やステップ部49a等の温度上昇を防止することができる。なお、51は前輪、52は後輪を示す。
【0053】
また、搭載スペースが限られるトラクタ等では、後処理装置をコンパクトに搭載することが求められている。
このため、図11(a),(b)に示す如く、DOC53とDPF54を装着するディーゼルエンジンを搭載したトラクタTにおいて、DOC53をターボ過給器55の直後のボンネット56外側面に後方に向け水平方向に配置し、DPF54をDOC53とは反対側のキャビン57前端部のコーナー近傍に鉛直方向にて配置すると共に、DOC53とDPF54をL字状に形成したパイプ58によってエンジン下部側を通し連結させ、更に、排気管59をDPF54から上方に向け接続延長して構成させる。なお、60は前輪を示す。
【0054】
このような構成により、視界を妨げることなくコンパクトにDPF54を装着することができると共に、重量物であるDOC53とDPF54を分離して配置することにより、装着強度に対する安全性を増大させることができる。
【0055】
また、図12に示す如く、ディーゼルエンジンにおいて、インジェクター(図示なし)を保護する平板状のインジェクター保護カバー61を、エンジン本体62に取り付けるL字状に折曲したカバー取付ステー63に、エンジンを吊り下げるときに使用するエンジン吊り具用穴64を折曲一端部63aの適宜位置に設け、更に、ブローバイガスを浄化するブローバイガス用フィルタ65を折曲他端部63bの端部側に取り付けることにより、スペースの有効利用が可能になると共に、部品点数の削減を行うことができる。なお、66はシリンダヘッド、67はシリンダブロック、68はオイルパン、69はフライホイールを示す。
【0056】
また、図13に示す如く、前記インジェクター保護カバー61のカバー取付ステー63の折曲他端部63bの端部側にブローバイガス用フィルタ65を取り付け、更に、カバー取付ステー63の折曲一端部63a位置に、エアコン用コンプレッサ70を固定するブラケット71を取り付けることにより、よりスペースの有効利用が可能になると共に、部品点数の削減を行うことができる。
【0057】
また、従来、作業車等におけるエンジン装着用のエンジンリヤプレートは、シリンダブロックに設けた複数箇所の取付けボスに締め付け締結されているため、リヤプレートの略中央拠りのみが締め付けられることとなり、本機の車格が大きくなるに従いリヤプレートに対する負荷が大きくなることから、オイルパンを曲げる方向の荷重の作用により高い応力が発生したり、リヤプレートが左右方向から引っ張られるようなモードで変形する不具合を生じていた。
【0058】
図14は、トラクタ本機のフロントアクスルブラケット72とエンジン本体のシリンダブロック73及びエンジンリヤプレート74の3者による締結状態を示すものである。
図15及び図16(a)に示す如く、エンジン本体とトラクタ本機とを締結するために用いるエンジンリヤプレート74の下端側に相当するオイルパン75の後端部左右位置にボス75aを各々設け、リヤプレート74とオイルパン75をメンテナンス性を考慮してオイルパン75側からボルトにより締結を行う。そして、図15及び図16(b)に示す如く、リヤプレート74の上端側に相当するシリンダブロック73の後端部左右位置にボス73aを各々設け、リヤプレート74とシリンダブロック73をメンテナンス性を考慮してオイルパン75側からボルトにより締結を行うことにより、リヤプレート74の下方側をオイルパン75で、リヤプレート74の上方側をシリンダブロック73で各々締結するため、リヤプレート74に発生する本機の車格上昇による荷重負荷を分散させて受けることができ、製品信頼性が向上する。なお、リヤプレート74の曲げ方向の動きが規制されることにより振動,騒音に対しても有利となる。
【0059】
また、従来、オイル通路の位置に対しターボ過給器が離れた距離に設けられているため、エンジン始動直後、油圧が十分な高圧となりターボ過給器へオイルが供給されるまでに時間がかかり、それによりターボ過給器の軸受部の焼き付きといった不具合が発生していた。
【0060】
このため、図17(a)に示す如く、シリンダブロック77の冷却水路77aに近接した左右側位置に各々オイル通路77bを設けることにより、図17(b)に示す如く、左右側適宜位置のオイル通路77bからターボ過給器78の軸受部78aに対し、短距離にて送油パイプ79による配管を行うことができるから、冷却水との熱交換にて温度が低いオイルをターボ過給器78へ素早く供給することが可能となり、軸受部78aの焼き付き不具合を解消することができる。なお、シリンダブロック77のオイル通路77bを左右側位置に設けることにより、ターボ過給器78の位置がエンジン搭載仕様にて変更となっても容易に対応することができる。
【0061】
また、従来、図18(a)に示す如く、シリンダブロック76において、シリンダボア(図示なし)間に加工キリ穴による冷却水穴76aを設けているが、この冷却水穴76aとシリンダヘッド80側の水穴80aとは折曲状態で接続されているため、冷却水の流れに抵抗が生じ圧力損失が大きくなって、十分な冷却水が流れないという不具合が発生する。
【0062】
このため、図18(b)に示す如く、シリンダボア間の冷却水が流れる冷却水穴76aに対し、シリンダヘッド80側の水穴80aが直線状に接続可能となるよう斜めの水穴80aとすることにより、冷却水の流れが円滑となり圧力損失が小さくなるから冷却水が十分に流れ、シリンダボア間の冷却効果を向上させることができる。なお、81はシリンダ冷却水路を示す。
【0063】
また、図19(a),(b)に示す如く、ウォータポンプ(図示なし)からシリンダブロック82への冷却水の流れ部82aをアール形状とし、シリンダボア83の壁面との空間容積83aを大きく確保することができるから、シリンダブロック82への冷却水の流れによる圧力損失を小さくして、冷却水の流れを円滑にすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
トラクターやコンバイン等の農作業機を始め一般車両にも利用することができる。
【符号の説明】
【0065】
PM 粒状化物質
1 コモンレール
E コモンレール式ディーゼルエンジン
12 排気マニホールド
13 ターボ過給器
13a タービン
14 排気経路
15 第一DOC(大型DOC)
16 第一DPF
17 開閉バルブ
18 第二DOC(小型DOC)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気マニホールド(12)からターボ過給器(13)のタービン(13a)側を介して排気ガスの排出を行う排気経路(14)において、該排気経路(14)の下流側適宜位置に、未燃燃料を酸化させる第一DOC(15)に続いて排気ガス内の粒状化物質(PM)を除去する第一DPF(16)を配置してなるディーゼルエンジンにおいて、前記排気マニホールド(12)の下流位置に開閉バルブ(17)に続いて未燃燃料を酸化させる第二DOC(18)を配置すると共に、該第二DOC(18)の他端側を前記第一DOC(15)の上流側適宜位置に接続して設けたことを特徴とするディーゼルエンジン。
【請求項2】
前記第二DOC(18)の処理能力は、第一DOC(15)の処理能力よりも小さくなるように構成したことを特徴とする請求項1に記載のディーゼルエンジン。
【請求項1】
排気マニホールド(12)からターボ過給器(13)のタービン(13a)側を介して排気ガスの排出を行う排気経路(14)において、該排気経路(14)の下流側適宜位置に、未燃燃料を酸化させる第一DOC(15)に続いて排気ガス内の粒状化物質(PM)を除去する第一DPF(16)を配置してなるディーゼルエンジンにおいて、前記排気マニホールド(12)の下流位置に開閉バルブ(17)に続いて未燃燃料を酸化させる第二DOC(18)を配置すると共に、該第二DOC(18)の他端側を前記第一DOC(15)の上流側適宜位置に接続して設けたことを特徴とするディーゼルエンジン。
【請求項2】
前記第二DOC(18)の処理能力は、第一DOC(15)の処理能力よりも小さくなるように構成したことを特徴とする請求項1に記載のディーゼルエンジン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2011−127472(P2011−127472A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−285309(P2009−285309)
【出願日】平成21年12月16日(2009.12.16)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月16日(2009.12.16)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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