説明

デジタルカメラ及びオートフォーカス装置

【課題】装置の大型化を招くことなく位相差検出方式のAF処理によるコストアップを抑える。
【解決手段】デジタルカメラの絞り機構31は、第1絞り羽根60と、第2絞り羽根61と、第1レバー62と、第2レバー63と、ケース64とで構成される。ケース64は、撮影レンズの光軸上に中心が合わせられる開口82を有している。第1絞り羽根60は、AF用開口84を有している。各レバーは、アイリスモータ34の駆動に応じて回転し、各絞り羽根60、61をスライド移動させる。絞り機構31は、各絞り羽根60、61のスライド移動により、開口82の中心に対してAF用開口84の中心を右側にずらしてAF用開口84を開口82に重ねた第1AF状態と、左側にずらして重ねた第2AF状態とに変化する。デジタルカメラは、各AF状態で取得された画像データを基に、位相差検出方式のAF処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位相差検出方式のオートフォーカス処理を行うデジタルカメラ及びオートフォーカス装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被写体像をCCDイメージセンサなどの固体撮像素子で撮像してデジタルの画像データを取得するデジタルカメラが普及している。こうしたデジタルカメラの多くは、焦点を自動的に被写体に合わせるオートフォーカス機能を備えている。デジタルカメラのオートフォーカスには、主にコントラスト検出方式や位相差検出方式が採用されている。
【0003】
コントラスト検出方式は、構成が簡潔でオートフォーカス機能を安価に提供できる反面、フォーカスレンズを移動させながら合焦位置を探索するため、合焦に時間が掛かってしまうという問題がある。一方、位相差検出方式は、光軸を挟んで対称な光路上から取得された2枚の画像のズレ量(位相差)を検出することにより、デフォーカス量及び方向を認識してフォーカスレンズを迅速に合焦させることができる反面、撮影用以外の撮像素子や被写体光を分割するための光学系などが別途必要になるため、コストアップを招くという問題がある。
【0004】
上述のような各方式の問題を解決し、低価格かつ迅速な合焦を得られるオートフォーカス機能を実現するため、位相差検出方式によるコストアップを抑える方法が、例えば、特許文献1や2などで知られている。
【0005】
特許文献1では、通常の絞り開口とは別に光軸を挟んで対称な位置に形成された2つのAF用開口を設け、各AF用開口を遮光羽根によって選択的に塞ぐことにより、光路の異なる2つの画像を得るようにしている。また、特許文献2では、2枚の絞り羽根を光軸と直交する面上でシフト移動させることにより、光路の異なる2つの画像を得るようにしている。各特許文献の方法によれば、撮影用以外の撮像素子や被写体光を分割するための光学系などを設けることなく、絞りの切り替え機構だけで位相差検出方式を実現できるので、位相差検出方式によるコストアップを抑えることができる。
【特許文献1】特開平9−184972号公報
【特許文献2】特開平2004−038114号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の方法では、遮光羽根やこれを駆動するためのモータなどが別途必要になる。また、特許文献2の方法では、各絞り羽根のそれぞれに個別のモータが必要になる。このため、各特許文献の方法では、必ずしも十分にコストアップが抑えられるわけではなかった。さらに、特許文献1の方法では、径の異なる複数の開口が形成された円板状の絞り羽根を用いている。複数の開口が形成される絞り羽根は、当然ながら各開口に対してかなり大径にしなければならない。このため、特許文献1の方法では、装置の大型化も懸念される。
【0007】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであって、装置の大型化を招くことなく、位相差検出方式によるコストアップを十分に抑えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明のデジタルカメラは、光軸方向に移動可能なフォーカスレンズを含む撮影レンズと、前記撮影レンズが結像した被写体光を撮像する撮像素子と、前記フォーカスレンズを前記光軸方向に移動させるレンズ移動手段と、前記撮影レンズの光軸上に設けられた第1露光開口と、前記光軸と略直交するスライド方向にスライド移動して前記第1露光開口の露呈する面積を増減させることにより、前記撮像素子に入射する前記被写体光の光量を調節する複数の絞り羽根と、前記各絞り羽根のいずれかに設けられ、前記第1露光開口よりも小さい面積に形成された第2露光開口とを有する絞り機構と、モータと、このモータの回転量に応じて前記各絞り羽根を前記スライド方向にスライド移動させることにより、前記第1露光開口を塞ぐ閉じ状態と、前記第1露光開口を露呈させる開き状態と、前記第2露光開口の中心を前記第1露光開口の中心から前記スライド方向に所定量ずらして前記第2露光開口を前記第1開口に重ねた第1露光状態と、前記第1露光開口の中心を挟んで前記第1露光状態と対称になるように前記第2露光開口を前記第1開口に重ねた第2露光状態とに前記絞り機構の状態を変化させる駆動伝達機構とからなる絞り機構駆動手段と、前記絞り機構を前記第1露光状態にして撮像を行うことにより取得される第1画像データと、前記絞り機構を前記第2露光状態にして撮像を行うことにより取得される第2画像データとを基に位相差検出方式のオートフォーカス処理を行って、前記フォーカスレンズの合焦位置を算出する合焦位置算出手段と、前記オートフォーカス処理の実行が指示された際に、前記第1画像データと前記第2画像データとを取得して前記合焦位置算出手段に前記合焦位置を算出させ、前記レンズ移動手段を駆動して算出された前記合焦位置に前記フォーカスレンズを移動させる合焦制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】
前記モータは、ステッピングモータであることが好ましい。前記第2露光開口は、前記スライド方向と略直交する方向に長い楕円形又は多角形に形成されることが好ましい。前記第1露光状態及び前記第2露光状態にある前記第2露光開口は、その中心が前記第1露光開口の中心から前記スライド方向に所定量ずれ、かつ前記第1露光開口の中心が前記第2露光開口の内側に来るように位置決めされることが好ましい。
【0010】
前記合焦制御手段は、前記合焦位置算出手段によって前記合焦位置が算出された後、その合焦位置を含む所定の合焦範囲を特定し、特定した前記合焦範囲に対してコントラスト検出方式のオートフォーカス処理を行い、このコントラスト検出方式のオートフォーカス処理によって算出された合焦位置に前記フォーカスレンズを移動させることが好ましい。
【0011】
前記絞り機構は、前記第1露光開口を露呈させるための切欠と前記第2露光開口とが形成された第1絞り羽根と、前記第1露光開口を露呈させるための開口が形成された第2絞り羽根と、前記第1露光開口が形成され、前記第1絞り羽根と前記第2絞り羽根とを前記スライド方向にスライド自在に収容するケースとからなることが好ましい。
【0012】
前記駆動伝達機構は、前記第1絞り羽根に形成された第1カム溝と、前記第2絞り羽根に形成された第2カム溝と、前記第1カム溝に係合するピンが形成され、前記モータの回転に従動して回転する第1レバーと、前記第2カム溝に係合するピンが形成され、前記第1レバーの回転に従動して回転する第2レバーとからなることが好ましい。
【0013】
なお、前記駆動伝達機構は、前記第1絞り羽根に形成された第1カム溝と、前記第2絞り羽根に形成された第2カム溝と、前記第1カム溝に係合する第1ピンが一端に形成され、前記第2カム溝に係合する第2ピンが他端に形成され、前記モータの回転に従動して回転するレバーとからなるものであってもよい。
【0014】
また、前記絞り機構は、前記第1露光開口を露呈させるための切欠が形成された第1絞り羽根と、前記第1露光開口を露呈させるための開口が形成された第2絞り羽根と、前記第2露光開口が形成された第3絞り羽根と、前記第1絞り羽根と前記第2絞り羽根と前記第3絞り羽根とを前記スライド方向にスライド自在に収容するケースとからなるものであってもよい。
【0015】
この際、前記駆動伝達機構は、前記第1絞り羽根に形成された第1カム溝と、前記第2絞り羽根に形成された第2カム溝と、前記第3絞り羽根に形成された第3カム溝と、前記第3カム溝に係合するピンが形成され、前記モータの回転に従動して回転する第1レバーと、前記第1カム溝と前記第2カム溝とに係合するピンが形成され、前記第1レバーの回転に従動して回転する第2レバーとからなることが好ましい。
【0016】
前記第1画像データと前記第2画像データとを合成して立体写真を作成する立体写真作成手段を設けることが好ましい。前記第1露光状態と前記第2露光状態とを交互に切り替えながら撮像を行うことによって取得した複数の前記第1画像データと前記第2画像データとを基に立体動画を作成する立体動画作成手段を設けることが好ましい。
【0017】
前記第1露光状態で動画像を撮影している際に、定期的に前記第2露光状態に切り替えることにより、定期的に前記フォーカスレンズを合焦させながら動画像の撮影を行うコンティニアスオートフォーカス動画撮影モードを有していることが好ましい。また、前記コンティニアスオートフォーカス動画撮影モードでは、前記第1画像データと前記第2画像データとに共通して撮影されている部分のみが前記各画像データから抽出され、前記オートフォーカス処理の際に取得される前記第2画像データが、動画像の1フレーム分の画像として記録されることが好ましい。
【0018】
なお、本発明のオートフォーカス装置は、光軸方向に移動可能なフォーカスレンズを含む撮影レンズと、前記撮影レンズが結像した被写体光を撮像する撮像素子と、前記フォーカスレンズを前記光軸方向に移動させるレンズ移動手段と、前記撮影レンズの光軸上に設けられた第1露光開口と、前記光軸と略直交するスライド方向にスライド移動して前記第1露光開口の露呈する面積を増減させることにより、前記撮像素子に入射する前記被写体光の光量を調節する複数の絞り羽根と、前記各絞り羽根のいずれかに設けられ、前記第1露光開口よりも小さい面積に形成された第2露光開口とを有する絞り機構と、モータと、このモータの回転量に応じて前記各絞り羽根を前記スライド方向にスライド移動させることにより、前記第1露光開口を塞ぐ閉じ状態と、前記第1露光開口を露呈させる開き状態と、前記第2露光開口の中心を前記第1露光開口の中心から前記スライド方向に所定量ずらして前記第2露光開口を前記第1開口に重ねた第1露光状態と、前記第1露光開口の中心を挟んで前記第1露光状態と対称になるように前記第2露光開口を前記第1開口に重ねた第2露光状態とに前記絞り機構の状態を変化させる駆動伝達機構とからなる絞り機構駆動手段と、前記絞り機構を前記第1露光状態にして撮像を行うことにより取得される第1画像データと、前記絞り機構を前記第2露光状態にして撮像を行うことにより取得される第2画像データとを基に位相差検出方式のオートフォーカス処理を行って、前記フォーカスレンズの合焦位置を算出する合焦位置算出手段と、オートフォーカス処理の実行が指示された際に、前記第1画像データと前記第2画像データとを取得して前記合焦位置算出手段に前記合焦位置を算出させ、前記レンズ移動手段を駆動して算出された前記合焦位置に前記フォーカスレンズを移動させる合焦制御手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明では、1つのモータだけで撮像素子に入射する光の光量の調節と、位相差検出方式のオートフォーカス処理にともなう第2露光開口の位置制御とを行うことができる。これにより、部品点数の削減を図って位相差検出方式のオートフォーカス処理によるコストアップを十分に抑えることができる。また、複数の絞り羽根をスライド移動させ、第1露光開口の露呈する面積を変化させることによって光量の調節を行うので、径の異なる複数の開口が形成された円板状の絞り羽根を用いる例などと比較して装置の大型化も抑えることができる。さらには、各部の駆動を1つのモータだけで行うことにより、消費電力の低減も図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1に示すように、デジタルカメラ(オートフォーカス装置)2は、略直方体状に形成されたカメラ本体4を有している。カメラ本体4の前面には、撮影レンズ10を保持するレンズ鏡胴11と、被写体像を光学的に確認するための光学ファインダ12と、撮影実行の際に被写体を照射するストロボ発光部13とが設けられている。
【0021】
また、カメラ本体4の上面には、撮影実行を指示するレリーズボタン15と、電源のON/OFFを切り替える電源ボタン16とが設けられている。レリーズボタン15は、2段階押しのスイッチとなっている。レリーズボタン15を軽く押す(半押し)と、AF(自動焦点調整)やAE(自動露出調整)などの各種の撮影準備処理が実施される。この半押しした状態からレリーズボタン15をさらに押し込む(全押し)と、カメラ本体4に撮影の実行が指示され、撮影準備処理が施された1画面分の撮像信号が画像データに変換される。
【0022】
図2に示すように、カメラ本体4の背面には、液晶パネル20と操作部21とが設けられている。液晶パネル20には、撮影した画像や撮影時のいわゆるスルー画、及び各種のメニュー画面などが表示される。操作部21には、撮影レンズ10を広角側もしくは望遠側に変倍するためのズーム操作ボタン22、静止画撮影を行う静止画撮影モード、動画撮影を行う動画撮影モード、液晶パネル20に画像を再生表示する再生モードなどの各種のモードを選択的に切り替えるためのモード切替スイッチ23、液晶パネル20にメニュー画面を表示する際や選択内容を決定する際などに操作されるメニューボタン24、メニュー画面の表示項目などを切り替えるための表示切替ボタン25、及びメニュー画面内のカーソルを移動させる際などに操作される十字キー26などが配設されている。
【0023】
図3に示すように、撮影レンズ10は、光軸Lに沿って配列されたズームレンズ30、絞り機構31、及びフォーカスレンズ32によって構成されている。ズームレンズ30には、レンズモータ33が接続されている。レンズモータ33は、ズーム操作ボタン22の操作に連動して、ズームレンズ30を広角側もしくは望遠側に移動させる。絞り機構31には、アイリスモータ34が接続されている。アイリスモータ34は、レリーズボタン15の半押しにともなう撮影準備処理の際に、絞り機構31の開口面積を変化させてズームレンズ30から入射する光の量を調節する。また、フォーカスレンズ32には、レンズモータ(レンズ移動手段)35が接続されている。レンズモータ35は、ズームレンズ30の変倍などにともなって、フォーカスレンズ32を光軸方向に移動させることにより、撮影レンズ10の焦点を至近側、もしくは無限遠側に調整する。
【0024】
各モータ33、34、35は、モータドライバ36に接続されている。モータドライバ36は、デジタルカメラ2を統括的に制御するCPU(合焦制御手段)37に接続されており、このCPU37からの制御信号に基づいて各モータ33、34、35に駆動パルスを送信する。各モータ33、34、35は、この駆動パルスに応じて回転軸を回転駆動する。
【0025】
撮影レンズ10の背後には、撮影レンズ10によって結像された被写体像を撮像するCCD(撮像素子)38が配置されている。CCD38には、CPU37によって制御されるタイミングジェネレータ(TG)39が接続され、このTG39から入力されるタイミング信号(クロックパルス)により、電子シャッタのシャッタ速度が決定される。
【0026】
CCD38から出力された画像データは、相関二重サンプリング回路(CDS)40に入力され、CCD38の各セルの蓄積電荷量に正確に対応したR、G、Bの画像データとして出力される。CDS40から出力された画像データは、増幅器(AMP)41で増幅され、A/D変換器(A/D)42でデジタルの画像データに変換される。
【0027】
画像入力コントローラ43は、バス44を介してCPU37に接続され、CPU37の制御命令に応じて、CCD38、CDS40、AMP41、及びA/D42の各部を制御する。A/D42から出力された画像データは、SDRAM45に一時的に記録される。
【0028】
画像信号処理回路46は、SDRAM45から画像データを読み出して、階調変換、ホワイトバランス補正、γ補正処理などの各種画像処理を施し、この画像データを再度SDRAM45に記録する。YC変換処理回路47は、画像信号処理回路46で各種処理を施された画像データをSDRAM45から読み出し、輝度信号Yと色差信号Cr、Cbとに変換する。LCDドライバ48は、画像信号処理回路46、YC変換処理回路47を経た画像データをSDRAM45から読み出し、アナログのコンポジット信号に変換して液晶パネル20にスルー画として表示する。
【0029】
圧縮伸長処理回路50は、YC変換処理回路47でYC変換された画像データを、例えば、TIFFやJPEGなどといった所定の圧縮形式で圧縮する。メディアコントローラ51は、メディアスロットに着脱自在に装着されたメモリカード52にアクセスして、圧縮された画像データの読み書きなどを行う。
【0030】
CPU37には、レリーズボタン15、電源ボタン16、操作部21、及びEEPROM54などが接続されている。EEPROM54には、各種制御用のプログラムや設定情報などが記録されている。CPU37は、これらの情報をEEPROM54から作業用メモリであるSDRAM45に読み出して、各種の処理を実行する。
【0031】
また、バス44には、上記の他に、ストロボ制御部56、AE/AWB検出回路57、及びAF検出回路(合焦位置算出手段)58などが接続されている。ストロボ制御部56は、CPU37から送信されるストロボ発光信号に応じてストロボ発光部13を発光させる。AE/AWB検出回路57は、YC変換処理回路47でYC変換された画像データの輝度信号Yと色差信号Cr、Cbとの積算値を基に、被写体の輝度を表す測光値を算出し、この算出結果をCPU37に送信する。CPU37は、AE/AWB検出回路57から送信された測光値を基に、露出量、及びホワイトバランスの適否を判断し、絞り機構31、及びCCD38などの動作を制御する。
【0032】
AF検出回路58は、A/D42でデジタル化された画像データを基に撮影レンズ10の合焦位置を算出し、その算出結果をCPU37に送信する。CPU37は、レリーズボタン15の半押しにともなう撮影準備処理の際にレンズモータ35を駆動し、算出された合焦位置にフォーカスレンズ32を移動させることによってAF処理を終了する。
【0033】
図4に示すように、絞り機構31は、第1絞り羽根60と、第2絞り羽根61と、第1レバー62と、第2レバー63と、ケース64とで構成されている。各絞り羽根60、61は、略長方形の板状に形成されている。ケース64は、第1凹面65と、この第1凹面65よりも深い第2凹面66とを有する略開口箱状に形成されており、その内部空間に各絞り羽根60、61と各レバー62、63とを収容する。
【0034】
第1絞り羽根60には、2つのカム溝70、71と長穴72とが形成されている。カム溝70は、ケース64に収容された際に、第1レバー62の一端部に形成されたピン74と係合する。一方、カム溝71は、ケース64に収容された際に、第2レバー63の一端部に形成されたピン75と係合する。長穴72は、第1絞り羽根60と第2絞り羽根61とのそれぞれの長手方向と略平行な矢線A方向に長く形成され、ケース64に収容された際に、ケース64の第1凹面65に設けられたピン76と係合する。第2絞り羽根61には、カム溝77と長穴78とが形成されている。カム溝77は、ケース64に収容された際に、第2レバー63のピン75と係合する。長穴78は、矢線A方向に長く形成され、ケース64に収容された際に、ケース64のピン76と係合する。
【0035】
ケース64の背面には、アイリスモータ34が取り付けられる。ケース64の第2凹面66には、図示を省略した貫通孔が形成されており、この貫通孔を介してアイリスモータ34の回転軸34aがケース64内に侵入している。各レバー62、63は、ケース64の第2凹面66の部分に収容される。この際、第2凹面66は、各絞り羽根60、61と各レバー62、63との干渉を防止するため、各レバー62、63の厚み分だけ第1凹面65よりも深くされている。
【0036】
各レバー62、63は、各ピン74、75と反対側の端部に形成された貫通孔を介してアイリスモータ34の回転軸34aに取り付けられ、アイリスモータ34の駆動に応じて回転する。各レバー62、63が回転すると、各カム溝70、71と各ピン74、75との係合、及び長穴72とピン76との係合によって、第1絞り羽根60が矢線A方向にスライド移動する。同様に、カム溝77とピン75との係合、及び長穴78とピン76との係合によって、第2絞り羽根61が矢線A方向にスライド移動する。なお、絞り機構31は、カメラ本体4の幅方向と矢線A方向とが略平行になるように配置される。
【0037】
第1絞り羽根60には、略半円形の切欠80が形成されている。第2絞り羽根61には、円形の開口81が形成されている。また、ケース64にも、円形の開口(第1露光開口)82が形成されている。各開口81、82、及び切欠80は、同一の直径で形成されている。ケース64は、撮影レンズ10の光軸が開口82と直交し、かつ光軸が開口82の中心を通るように配置される。絞り機構31は、各絞り羽根60、61をスライド移動させ、各絞り羽根60、61で開口82を覆ったり、切欠80と開口81とを介して開口82を露呈させたりすることにより、フォーカスレンズ32に出射される光の量を調節する。
【0038】
また、第1絞り羽根60には、AF処理の際に用いられるAF用開口(第2露光開口)84が形成されている。AF用開口84は、切欠80や各開口81、82の直径よりも径が小さく、これらよりも小さい面積で形成されている。絞り機構31は、AF処理の際に、第1絞り羽根60をスライド移動させてAF用開口84をケース64の開口82の上に重ねることにより、AF用開口84の面積に応じた光量の光をフォーカスレンズ32に入射させる。
【0039】
図5に示すように、第2レバー63のピン75と反対側の端部には、アイリスモータ34の回転軸34aが挿通される貫通孔90が設けられたヒンジ部91が形成されている。ヒンジ部91は、第2レバー63の端部よりも薄く、かつ幅狭に形成されている。一方、第1レバー62のピン74と反対側の端部には、その一部を凹ませた凹部92が形成されている。凹部92の深さは、ヒンジ部91の厚みに合わせられている。また、凹部92には、アイリスモータ34の回転軸34aが挿通される貫通孔93が設けられている。各レバー62、63は、ヒンジ部91と凹部92とを組み合わせた状態でアイリスモータ34に取り付けられる。
【0040】
第1レバー62の貫通孔93は、回転軸34aの直径と同一に形成されている。第1レバー62は、貫通孔93を回転軸34aに嵌入させることによってアイリスモータ34に取り付けられる。これにより、第1レバー62は、回転軸34aの回転に従動して回転する。一方、第2レバー63の貫通孔90は、回転軸34aの直径よりも僅かに大きく形成されいる。これにより、第2レバー63は、回転軸34aに対して自由回転する。この際、第2レバー63は、ヒンジ部91と凹部92との係合によって、図6(a)に示すように、各貫通孔90、93の中心と各ピン74、75の中心とが一直線上に並ぶ状態(以下、「直線状態」と称す)と、図6(b)に示すように、第1レバー62に対して時計方向(裏側から見た場合)に略90°回転した状態との間で回転が制限される。
【0041】
また、図5に示すように、各レバー62、63には、トーションバネ95が取り付けられる。トーションバネ95は、回転軸34aがコイル部95aを通るように、各レバー62、63の裏面側に配置される。トーションバネ95の一端は、第1レバー62のピン74の裏面側に設けられた略ピン状のバネ支持部96に取り付けられる。トーションバネ95の他端は、第2レバー63のピン75の裏面側に設けられた略ピン状のバネ支持部97に取り付けられる。このトーションバネ95は、ヒンジ部91と凹部92との係合状態が外れないように第2レバー63を支持するとともに、各レバー62、63を前述の直線状態に保持するように付勢する。
【0042】
アイリスモータ34を駆動して第1レバー62を時計方向(表側から見た場合)に回転させると、図7(a)に示すように、第1レバー62がケース64の内側面と当接する。この際、第2レバー63は、トーションバネ95の付勢によって直線状態に保持され、第1レバー62の回転に従動して回転する。ケース64の内側面と当接するまで第1レバー62を回転させると、各カム溝70、71、77、各ピン74、75、76、各長穴72、78によって各絞り羽根60、61がスライド移動し、ケース64の開口82が各絞り羽根60、61によって塞がれた状態になる。以下、図7(a)に示す状態を、「閉じ状態」と称す。
【0043】
この閉じ状態からアイリスモータ34を駆動して第1レバー62を反時計方向に回転させると、図7(b)に示すように、直線状態に保持された第2レバー63が従動回転して、第2レバー63がケース64の内側面と当接する。第2レバー63がケース64の内側面と当接するまで第1レバー62を回転させると、各カム溝70、71と各ピン74、75との係合、及び長穴72とピン76との係合によって、第1絞り羽根60が閉じ状態の位置から右方向にスライド移動し、切欠80と開口82とが同心軸上に重なる。また、カム溝77とピン75との係合、及び長穴78とピン76との係合によって、第2絞り羽根61が閉じ状態の位置から左方向にスライド移動し、開口81と開口82とが同心軸上に重なる。これにより、切欠80と開口81とを介して開口82が露呈された状態となる。以下、図7(b)に示す状態を、「開き状態」と称す。
【0044】
この開き状態からアイリスモータ34を駆動して第1レバー62をさらに反時計方向に回転させると、図8に示すように、ケース64の内側面と当接した状態に第2レバー63が保持され、トーションバネ95の付勢に抗して第1レバー62だけが回転するようになる。第1レバー62だけが回転する区間では、第2絞り羽根61は、開き状態と同じ位置に保持される。一方、第1絞り羽根60は、カム溝70とピン74との係合によって左方向にスライド移動する。
【0045】
開き状態から第1レバー62だけをさらに反時計方向に回転させて、第1絞り羽根60が左方向にスライド移動すると、図8に示すように、AF用開口84が開口81、82の上に重なる。デジタルカメラ2のCPU37は、レリーズボタン15の半押しにともなうAF処理の際に、撮影レンズ10の光軸(開口82の中心)よりもAF用開口84の中心が右側に位置した状態(図8(a)参照)と、撮影レンズ10の光軸よりもAF用開口84の中心が左側に位置した状態(図8(b)参照)とに第1絞り羽根60を移動させることにより、光路の異なる2枚の画像データを取得する。AF検出回路58は、取得された各画像データの位相差を求め、その位相差から撮影レンズ10のフォーカスのズレ方向及びズレ量(すなわち合焦位置)を算出する、いわゆる位相差検出方式のAF処理を行う。
【0046】
なお、これ以降では、図8(a)に示す状態を「第1AF状態」、図8(b)に示す状態を「第2AF状態」と称す。また、第1AF状態で取得された画像データを「第1AF画像データ」、第2AF状態で取得された画像データを「第2AF画像データ」と称す。
【0047】
第1AF状態にあるAF用開口84の中心と、第2AF状態にあるAF用開口84の中心とは、光軸を挟んで左右対称に合わせられる。第1AF状態と第2AF状態との位置合わせは、アイリスモータ34の回転量によって制御される。このため、アイリスモータ34には、例えば、ステッピングモータなどといった回転量を制御できるモータが用いられる。このようなモータを用いることで、例えば、ロータリエンコーダなどといった回転量制御のためのセンサを設ける必要がなくなる。
【0048】
このように、絞り機構31は、アイリスモータ34の回転駆動に応じて各絞り羽根60、61を上記の各状態に変化させる。絞り機構31は、閉じ状態と開き状態との間で各レバー60、61の回転量を調節することで、開口82の露呈する面積を連続的に変化させる。CPU37は、例えば、AE処理で算出された測光値などに合わせてアイリスモータ34を駆動することにより、絞り機構31の開口面積を適切に調節する。
【0049】
次に、図9に示すフローチャートを参照しながら、上記構成によるデジタルカメラ2の作用について説明する。デジタルカメラ2で撮影を行う際には、液晶パネル20に表示されるスルー画などを見ながら被写体をフレーミングした後、レリーズボタン15を半押しする。レリーズボタン15を半押しすると、CPU37がAF処理を開始する。
【0050】
AF処理を開始したCPU37は、モータドライバ36を介してアイリスモータ34を駆動し、絞り機構31を第1AF状態(図8(a)参照)にする。絞り機構31を第1AF状態にしたCPU37は、CCD38を駆動し、第1AF状態で結像された被写体像を撮像して第1AF画像データを取得する。
【0051】
第1AF画像データを取得したCPU37は、再びアイリスモータ34を駆動して絞り機構31を第2AF状態(図8(b)参照)にする。絞り機構31を第2AF状態にしたCPU37は、CCD38を駆動し、第2AF状態で結像された被写体像を撮像して第2AF画像データを取得する。
【0052】
各AF画像データを取得したCPU37は、それらの各AF画像データをAF検出回路58に入力する。各AF画像データを受け取ったAF検出回路58は、各AF画像データの位相差を求め、その位相差から撮影レンズ10の合焦位置を算出する。合焦位置を算出したAF検出回路58は、その算出結果をCPU37に送信する。AF検出回路58から合焦位置の算出結果を受信したCPU37は、モータドライバ36を介してレンズモータ35を駆動し、算出された合焦位置にフォーカスレンズ32を移動させる。以上により、AF処理が完了する。なお、AF処理は、レリーズボタン15が半押しされている間、繰り返し実施される。また、レリーズボタン15が半押しされた際には、上述のAF処理の他に、例えば、AE/AWB検出回路57によるAE処理などが実施される。AE/AWB検出回路57は、例えば、上述の第1AF画像データや第2AF画像データ、もしくは絞り機構31を開き状態(図7(b)参照)などにして別途取得される画像データなどを基に測光値を算出する。
【0053】
CPU37は、レリーズボタン15の全押しに応じて撮影の実行を開始する。撮影の実行を開始したCPU37は、AE/AWB検出回路57で算出された測光値を基にアイリスモータ34を駆動し、フォーカスレンズ32、及びCCD38に適切な光量の光が入射するように開口82の露呈する面積を調節する。そして、CCD38を駆動して画像データを取得し、取得した画像データをメモリカード52に記録する。
【0054】
このように、本実施形態によれば、1つのアイリスモータ34だけでフォーカスレンズ32、及びCCD38に入射する光の光量の調節と、位相差検出方式のAF処理にともなうAF用開口84の位置制御とを行うことができる。これにより、部品点数の削減を図って位相差検出方式のAF処理によるコストアップを十分に抑えることができる。また、各絞り羽根60、61をスライド移動させ、開口82の露呈する面積を変化させることによって光量の調節を行うので、径の異なる複数の開口が形成された円板状の絞り羽根を用いる例などと比較して装置の大型化も抑えることができる。さらには、各部の駆動を1つのアイリスモータ34だけで行うことにより、消費電力を抑えることもできる。
【0055】
なお、上記実施形態では、円形のAF用開口84を示したが、AF用開口の形状は、これに限ることなく、例えば、図10に示すAF用開口100のように、第1絞り羽根60のスライド方向と略直交する方向に長い楕円形状に形成してもよい。なお、図10(a)は、絞り機構31が第1AF状態にある様子を示し、図10(b)は、絞り機構31が第2AF状態にある様子を示している。
【0056】
このような楕円状のAF用開口100は、円形のAF用開口84に比べて、第1絞り羽根60のスライド移動量を増加させることなく、開口面積を広げることができる。これにより、AF処理の際の光量を増加させて、AF処理の精度を向上させることができる。また、絞り機構31を各AF状態にする際には、図10に示すように、撮影レンズ10の光軸(開口82の中心)がAF用開口100の内側に来るように第1絞り羽根60の位置決めを行うことが好ましい。このように第1絞り羽根60の位置決めを行うことで、AF処理の際の光量をさらに増加させることができる。
【0057】
なお、AF用開口100の短辺(横幅)の長さをA、開口82の直径をRとするとき、短辺Aは、R/2≦A≦Rの関係にあることが好ましい。また、AF用開口は、楕円形に限ることなく、例えば、長方形や六角形などの第1絞り羽根60のスライド方向と略直交する方向に長い多角形状のものであってもよい。
【0058】
また、上記実施形態では、位相差検出方式のAF処理のみを行う例を示したが、これに限ることなく、例えば、図11のフローチャートに示すように、位相差検出処理のAF処理とコントラスト検出方式のAF処理とを組み合わせるようにしてもよい。図11のフローチャートでは、レリーズボタン15の半押しに応じて各AF画像データを取得した後、各AF画像データを基に合焦位置が含まれる合焦範囲の特定を行うようにしている。合焦範囲の特定は、AF検出回路58で行われる。AF検出回路58は、例えば、各AF画像データを基に合焦位置を算出し、算出した合焦位置の前後に所定の距離を加えることによって、その範囲を合焦範囲として特定する。合焦範囲を特定したAF検出回路58は、特定した合焦範囲をCPU37に送信する。
【0059】
合焦範囲を受信したCPU37は、レンズモータ35を駆動して、フォーカスレンズ32を至近から無限遠、もしくは無限遠から至近に向けて所定量ずつ移動させながら、特定された合焦範囲内の各ポイントにおけるフォーカス評価値をAF検出回路58に算出させる。なお、フォーカス評価値は、画像の特定のエリア、例えば、撮影画像の中央部分の画像データをハイパスフィルタなどで輪郭抽出処理を施し、これにより抽出した輪郭信号、及び中央部分の画像データの輝度値を積算することで得られる。また、フォーカス評価値は、大きい程その部分の高周波成分が多く、その部分が合焦状態にあることを表す。
【0060】
AF検出回路58に各ポイントのフォーカス評価値を算出させたCPU37は、フォーカス評価値が最大となるポイントを最終的な合焦位置として決定し、そのポイントにフォーカスレンズ32を移動させることによってAF処理を終了する。
【0061】
複数の撮像素子を用いて位相差検出方式のAF処理を行う一眼レフタイプのデジタルカメラなどでは、位相差検出方式によるAF処理を複数回繰り返すことによってAF処理の精度の向上を図っている。ところが、上記実施形態で示した1つのCCD38で位相差検出方式のAF処理を行うデジタルカメラ2では、絞り機構31の状態の切り替えなどが必要になるため、位相差検出方式のAF処理を複数回繰り返そうとするとAF処理に時間が掛かってしまうという問題が生じる。
【0062】
これに対し、図11に示すフローチャートのように、位相差検出方式のAF処理で大まかな範囲を特定し、その範囲に対してコントラスト検出方式のAF処理を行うことにより、1つのCCD38を用いる場合においても、迅速かつ高精度にAF処理を行うことができる。
【0063】
さらに、上記実施形態では、位相差検出方式のAF処理の際に絞り機構31を用いる例を示したが、絞り機構31は、これに限ることなく、図12のフローチャートに示すように、立体写真の撮影に絞り機構31を用いるようにしてもよい。なお、立体写真を撮影するモードへの設定は、例えば、メニューボタン24などを介して行えばよい。図12のフローチャートでは、まず、レリーズボタン15の半押しに応じて上述のようにAF処理を実施している。AF処理を実施したCPU37は、レリーズボタン15が全押しされたことに応じて絞り機構31を第1AF状態にする。絞り機構31を第1AF状態にしたCPU37は、CCD38を駆動し、第1AF状態で結像された被写体像を撮像して画像データを取得する。
【0064】
前述のように、各絞り羽根60、61は、カメラ本体4の幅方向と略平行な方向にスライド移動する。また、図8(a)に示すように、第1AF状態にあるAF用開口84は、絞り機構31の表側から見た際に、その中心が撮影レンズ10の光軸(開口82の中心)よりも右側に位置している。このため、絞り機構31が第1AF状態にある際には、撮影レンズ10の撮影画角に対して、左側の一部分のみが撮影されるようになる(図15参照)。以下、絞り機構31が第1AF状態にある際にレリーズボタン15の全押しに応じて取得された画像データを、「左眼画像データ」と称す。
【0065】
左眼画像データを取得したCPU37は、絞り機構31を第2AF状態にする。絞り機構31を第2AF状態にしたCPU37は、CCD38を駆動し、第2AF状態で結像された被写体像を撮像して画像データを取得する。前述のように、第2AF状態にあるAF用開口84の中心は、第1AF状態にあるAF用開口84の中心に対して光軸を挟んで左右対称に合わせられる。このため、絞り機構31が第2AF状態にある際には、撮影レンズ10の撮影画角に対して、右側の一部分のみが撮影されるようになる。以下、絞り機構31が第2AF状態にある際にレリーズボタン15の全押しに応じて取得された画像データを、「右眼画像データ」と称す。
【0066】
各画像データを取得したCPU37は、取得した各画像データを合成して立体写真データを作成する。立体写真データを作成したCPU37は、作成した立体写真データをメモリカード52に記録する。このように、絞り機構31を用いることによって、位相差検出方式のAF処理のみならず、立体写真の作成をも行うことができるようになる。なお、立体写真データは、左眼画像データと右眼画像データとを左右に並べて配置した、いわゆる平行法や交差法によるものであってもよいし、赤青メガネで観賞する、いわゆるアナグリフ法によるものであってもよい。
【0067】
なお、絞り機構31は、立体写真の撮影のみならず、図13のフローチャートに示すように、立体動画の撮影に用いてもよい。デジタルカメラ2のCPU37は、立体動画の撮影開始が指示されると、まず、絞り機構31を第1AF状態にする。なお、立体動画の撮影開始は、例えば、モード切替スイッチ23やメニューボタン24などによってデジタルカメラ2を立体動画撮影モードに設定した後、レリーズボタン15を全押しすることによって指示される。
【0068】
絞り機構31を第1AF状態にしたCPU37は、CCD38を駆動し、第1AF状態で結像された被写体像を撮像して左眼画像データを取得する。左眼画像データを取得したCPU37は、その左眼画像データをメモリカード52に記録する。左眼画像データを記録したCPU37は、絞り機構31を第2AF状態にする。絞り機構31を第2AF状態にしたCPU37は、CCD38を駆動し、第2AF状態で結像された被写体像を撮像して右眼画像データを取得する。右眼画像データを取得したCPU37は、その右眼画像データをメモリカード52に記録する。
【0069】
右眼画像データをメモリカード52に記録したCPU37は、絞り機構31を再び第1AF状態にして左眼画像データを取得する。左眼画像データを取得したCPU37は、前回記録された左眼画像データに連結するようにして、取得された左眼画像データをメモリカード52に記録する。このように、CPU37は、絞り機構31の状態を順次切り替えながら各画像データを1フレーム分の画像として記録していくことにより、所定の形式の左眼動画と右眼動画とをそれぞれ個別に作成する。
【0070】
以下、CPU37は、レリーズボタン15の全押しなどによって立体動画の撮影終了が指示されるまで上記の手順を繰り返す。なお、作成された左眼映像と右眼映像とから立体動画を再生表示する方法としては、立体写真と同様に、平行法や交差法、及びアナグリフ法などが知られている。また、立体動画の再生表示方法については、例えば、特開平7−307961号公報などに詳細に説明されている。このように、絞り機構31を用いることによって、立体動画を作成することもできる。なお、本例では、左眼画像データと右眼画像データとを1フレームずつ取得していくようにしているが、これに限ることなく、数フレーム分取得してから絞り機構31の状態を切り替えるようにしてもよい。
【0071】
さらには、図14のフローチャートに示すように、絞り機構31を用いることによって、動画撮影の際に連続的に焦点を調整する、いわゆるコンティニアスAFを行うようにしてもよい。デジタルカメラ2のCPU37は、動画の撮影開始が指示されると、まず、絞り機構31を第1AF状態にする。なお、動画の撮影開始は、例えば、モード切替スイッチ23やメニューボタン24などによってデジタルカメラ2を動画撮影モードに設定した後、レリーズボタン15を全押しすることによって指示される。
【0072】
絞り機構31を第1AF状態にしたCPU37は、CCD38を駆動し、第1AF状態で結像された被写体像を撮像して左眼画像データを取得する。左眼画像データを取得したCPU37は、その左眼画像データを動画の1フレーム分の画像としてメモリカード52に記録する。そして、CPU37は、所定のフレーム数に達するまで左眼画像データの取得とメモリカード52への記録とを繰り返す。
【0073】
CPU37は、所定のフレーム数の左眼画像データを取得すると、絞り機構31を第2AF状態にする。絞り機構31を第2AF状態にしたCPU37は、CCD38を駆動し、第2AF状態で結像された被写体像を撮像して右眼画像データを取得する。右眼画像データを取得したCPU37は、その右眼画像データと直前に取得した左眼画像データとをAF検出回路58に入力する。各画像データを受け取ったAF検出回路58は、各画像データの位相差を求め、その位相差から撮影レンズ10の合焦位置を算出する。合焦位置を算出したAF検出回路58は、その算出結果をCPU37に送信する。AF検出回路58から合焦位置の算出結果を受信したCPU37は、モータドライバ36を介してレンズモータ35を駆動し、算出された合焦位置にフォーカスレンズ32を移動させる。
【0074】
フォーカスレンズ32を移動させたCPU37は、取得した右眼画像データを動画の1フレーム分の画像としてメモリカード52に記録する。右眼画像データをメモリカード52に記録したCPU37は、絞り機構31を再び第1AF状態にする。そして、CPU37は、レリーズボタン15の全押しなどによって動画の撮影終了が指示されるまで上記の手順を繰り返す。このように、絞り機構31を用いることによって、動画撮影の際のコンティニアスAFを行うこともできる。なお、本例では、左眼画像データ主に撮影して、AF処理用に右眼画像データを取得するようにしているが、これらは、当然反対であってもよい。
【0075】
ところで、図15に示すように、左眼画像データと右眼画像データとには、第1AF状態にあるAF用開口84と第2AF状態にあるAF用開口84との基線長の分だけ視差が生じる。このため、図14に示すフローチャートのように、取得した右眼画像データをそのまま1フレーム分の画像として記録してしまうと、ズレのある画像が周期的に表示される、違和感のある動画になってしまう。
【0076】
これを防止するため、図15に示すように、共通の部分が撮影されたオーバーラップ領域OAを各画像データから抽出し、このオーバーラップ領域OAのみを動画として記録するようにしてもよい。なお、各画像データのオーバーラップ領域OAは、例えば、AF用開口84の基線長、及び撮影レンズ10の画角やズーム倍率などを基に算出すればよい。
【0077】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。なお、上記実施形態と機能・構成上同一のものについては、同符号を付し、詳細な説明を省略する。図16に示すように、本実施形態の絞り機構150は、第1絞り羽根160と、第2絞り羽根161と、第3絞り羽根162と、第1レバー163と、第2レバー164と、トーションバネ165と、ケース166とで構成されている。各絞り羽根160、161、162は、略長方形の板状に形成されている。ケース166は、第1凹面167と、この第1凹面167よりも深い第2凹面168とを有する略開口箱状に形成されており、その内部空間に上記各部を収容する。
【0078】
第1絞り羽根160には、カム溝170と長穴171とが形成されている。カム溝170は、ケース166に収容された際に、第2レバー164の一端部に形成されたピン172と係合する。長穴171は、各絞り羽根160、161、162のそれぞれの長手方向と略平行な矢線B方向に長く形成され、ケース166に収容された際に、ケース166の第1凹面167に設けられたピン173と係合する。
【0079】
第2絞り羽根161には、カム溝175と長穴176とが形成されている。カム溝175は、ケース166に収容された際に、第2レバー164のピン172と係合する。長穴176は、矢線B方向に長く形成され、ケース166に収容された際に、ケース166のピン173と係合する。第3絞り羽根162には、長穴状のカム溝177が形成されている。カム溝177は、矢線B方向と略直交する方向に長く形成され、ケース166に収容された際に、第1レバー163の一端部に形成されたピン178と係合する。
【0080】
ケース166の背面には、アイリスモータ34が取り付けられる。ケース166の第2凹面168には、図示を省略した貫通孔が形成されており、この貫通孔を介してアイリスモータ34の回転軸34aがケース166内に侵入している。各レバー163、164は、ケース166の第2凹面168の部分に収容される。この際、第2凹面168は、各絞り羽根160、161、162と各レバー163、164との干渉を防止するため、各レバー163、164の厚み分だけ第1凹面167よりも深くされている。
【0081】
第1レバー163は、ピン178と反対側の端部に形成された貫通孔を介してアイリスモータ34の回転軸34aに取り付けられ、アイリスモータ34の駆動に応じて回転する。第2レバー164は、ピン172と反対側の端部に形成された貫通孔を介してケース166の第2凹面168に設けられたピン180に回動自在に取り付けられている。
【0082】
アイリスモータ34の駆動に応じて第1レバー163が回転すると、カム溝177とピン178との係合によって、第3絞り羽根162が矢線B方向にスライド移動する。また、第1レバー163が時計方向に回転すると、第1レバー163のピン178と反対側の端部に形成された円弧状の突起部182が、第2レバー164の側面と接触する。そして、この接触によって第2レバー164がピン180を軸に回転する。
【0083】
第2レバー164が回転すると、カム溝170とピン172との係合によって、第1絞り羽根160が矢線B方向にスライド移動する。さらに、第2レバー164が回転すると、カム溝175とピン172との係合によって、第2絞り羽根161が矢線B方向にスライド移動する。トーションバネ165は、ケース166に収容された際に、一端を第2レバー164に係合させ、他端をケース166の第2凹面168に設けられたピン184に係合させる。トーションバネ165は、突起部182との接触によって第2レバー164が時計方向に回転した際に、これに抗して第2レバー164が反時計方向に回転するように付勢する。なお、絞り機構150は、カメラ本体4の幅方向と矢線B方向とが略平行になるように配置される。
【0084】
第1絞り羽根160には、略半円形の切欠186が形成されている。第2絞り羽根161には、円形の開口187が形成されている。また、ケース166にも、円形の開口188が形成されている。各開口187、188、及び切欠186は、同一の直径で形成されている。ケース166は、撮影レンズ10の光軸が開口188と直交し、かつ光軸が開口188の中心を通るように配置される。絞り機構150は、各絞り羽根160、161、162をスライド移動させ、各絞り羽根160、161、162で開口188を覆ったり、切欠186と開口187とを介して開口188を露呈させたりすることにより、フォーカスレンズ32に出射される光の量を調節する。
【0085】
また、第3絞り羽根162には、AF処理の際に用いられるAF用開口190が形成されている。AF用開口190は、切欠186や各開口187、188の直径よりも小さい径で形成されている。絞り機構150は、第3絞り羽根162をスライド移動させてAF用開口190をケース166の開口188の上に重ねることにより、上記第1の実施形態と同様に、位相差検出方式のAF処理を実現する。
【0086】
アイリスモータ34を駆動して第1レバー163を時計方向に回転させると、図17(a)に示すように、第1レバー163がケース166の内側面と当接する。ケース166の内側面と当接するまで第1レバー163を回転させると、突起部182が第2レバー164の側面と接触し、トーションバネ165の付勢に抗して第2レバー164が時計方向に回転する。第2レバー164が回転すると、ピン172と各カム溝170、175の係合、及びピン173と各長穴171、176の係合によって、第1絞り羽根160と第2絞り羽根161とがスライド移動する。これにより、ケース166の開口188が第1絞り羽根160と第2絞り羽根161とによって塞がれた閉じ状態に、絞り機構150が設定される。
【0087】
この閉じ状態からアイリスモータ34を駆動して第1レバー163を反時計方向に回転させると、トーションバネ165の付勢によって第2レバー164も反時計方向に回転する。そして、図17(b)に示すように、突起部182と第2レバー164の側面との接触が解除されるまで第1レバー163を反時計方向に回転させると、反時計方向に回転した第2レバー164がケース166の内側面と当接する。第2レバー164がケース166の内側面と当接するまで回転すると、カム溝170とピン172との係合、及び長穴171とピン173との係合によって、第1絞り羽根160が閉じ状態の位置から右方向にスライド移動し、切欠186と開口188とが同心軸上に重なる。また、カム溝175とピン172との係合、及び長穴176とピン173との係合によって、第2絞り羽根161が閉じ状態の位置から左方向にスライド移動し、開口187と開口188とが同心軸上に重なる。これにより、切欠186と開口187とを介して開口188が露呈された開き状態に、絞り機構150が設定される。
【0088】
この開き状態からアイリスモータ34を駆動して第1レバー163をさらに反時計方向に回転させると、カム溝177とピン178との係合によって第3絞り羽根162が左方向にスライド移動する。この際、第1絞り羽根160と第2絞り羽根161とは、第2レバー164との係合によって開き状態と同じ位置に保持される。
【0089】
第3絞り羽根162が左方向にスライド移動すると、図18に示すように、AF用開口190が開口187、188の上に重なる。そして、アイリスモータ34の回転量を調節することによって、上記第1の実施形態と同様に、絞り機構150が、図18(a)に示す第1AF状態と、図18(b)に示す第2AF状態とに設定される。
【0090】
このように、本実施形態の絞り機構150によっても、1つのアイリスモータ34で各状態に切り替えることができるので、上記第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、本実施形態によれば、上記第1の実施形態に比べて各絞り羽根に形成されるカム溝の形状を簡略化することができる。これにより、カム溝の加工難にともなうコストアップなどを抑えることができる。
【0091】
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。図19に示すように、本実施形態の絞り機構200は、第1絞り羽根210と、第2絞り羽根211と、レバー212と、ケース213とで構成されている。各絞り羽根210、211は、略長方形の板状に形成されている。ケース213は、第1凹面214と、この第1凹面214よりも深い第2凹面215とを有する略開口箱状に形成されており、その内部空間に各絞り羽根210、211とレバー212とを収容する。
【0092】
第1絞り羽根210には、カム溝220と長穴221とが形成されている。カム溝220は、略円弧状に形成された第1区間220aと、この第1区間220aの一端から直線状に形成された第2区間220bとを有している。このカム溝220は、ケース213に収容された際に、レバー212の一端に形成されたピン222と係合する。長穴221は、各絞り羽根210、211のそれぞれの長手方向と略平行な矢線C方向に長く形成され、ケース213に収容された際に、ケース213の第1凹面214に設けられたピン224と係合する。
【0093】
第2絞り羽根211には、カム溝226と長穴227とが形成されている。カム溝226は、略S字状に形成された第1区間226aと、この第1区間226aから略円弧状に形成された第2区間226bとを有している。このカム溝226は、ケース213に収容された際に、レバー212の他端に形成されたピン228と係合する。長穴227は、矢線C方向に長く形成され、ケース213に収容された際に、ケース213のピン224と係合する。
【0094】
ケース213の背面には、アイリスモータ34が取り付けられる。ケース213の第2凹面215には、図示を省略した貫通孔が形成されており、この貫通孔を介してアイリスモータ34の回転軸34aがケース213内に侵入している。レバー212は、ケース213の第2凹面215の部分に収容される。この際、第2凹面215は、各絞り羽根210、211とレバー212との干渉を防止するため、レバー212の厚み分だけ第1凹面214よりも深くされている。
【0095】
レバー212は、中央付近に形成された貫通孔を介してアイリスモータ34の回転軸34aに取り付けられ、アイリスモータ34の駆動に応じて回転する。レバー212が回転すると、カム溝220とピン222との係合、及び長穴221とピン224との係合によって、第1絞り羽根210が矢線C方向にスライド移動する。同様に、カム溝226とピン228との係合、及び長穴227とピン224との係合によって、第2絞り羽根211が矢線C方向にスライド移動する。なお、絞り機構200は、カメラ本体4の幅方向と矢線C方向とが略平行になるように配置される。
【0096】
第1絞り羽根210には、略半円形の切欠230が形成されている。第2絞り羽根211には、円形の開口231が形成されている。また、ケース213にも、円形の開口232が形成されている。各開口231、232、及び切欠230は、同一の直径で形成されている。ケース213は、撮影レンズ10の光軸が開口232と直交し、かつ光軸が開口232の中心を通るように配置される。絞り機構200は、各絞り羽根210、211をスライド移動させ、各絞り羽根210、211で開口232を覆ったり、切欠230と開口231とを介して開口232を露呈させたりすることにより、フォーカスレンズ32に出射される光の量を調節する。
【0097】
また、第1絞り羽根210には、AF処理の際に用いられるAF用開口234が形成されている。AF用開口234は、切欠230や各開口231、232の直径よりも小さい径で形成されている。絞り機構200は、AF処理の際に、第1絞り羽根210をスライド移動させてAF用開口234をケース213の開口232の上に重ねることにより、上記各実施形態と同様に、位相差検出方式のAF処理を実現する。
【0098】
アイリスモータ34を駆動してレバー212を時計方向に回転させると、図20(a)に示すように、ピン222がカム溝220の第1区間220aの端部に当接する。また、これとともに、ピン228がカム溝226の第1区間226aの端部に当接する。このように、各ピン222、228が各カム溝220、226のそれぞれの端部に当接することで、レバー212の回転が阻止される。回転が阻止されるまでレバー212を時計方向に回転させると、各カム溝220、226、各ピン222、224、228、各長穴221、227によって各絞り羽根210、211がスライド移動し、ケース213の開口232が各絞り羽根210、211によって塞がれた閉じ状態に、絞り機構200が設定される。
【0099】
この閉じ状態からアイリスモータ34を駆動し、図20(b)に示すように、各カム溝220、226の各第1区間220a、226aが終了するまでレバー212を反時計方向に回転させると、カム溝220とピン222との係合、及び長穴221とピン224との係合によって、第1絞り羽根210が閉じ状態の位置から右方向にスライド移動し、切欠230と開口232とが同心軸上に重なる。また、カム溝226とピン228との係合、及び長穴227とピン224との係合によって、第2絞り羽根211が閉じ状態の位置から左方向にスライド移動し、開口231と開口232とが同心軸上に重なる。これにより、切欠230と開口231とを介して開口232が露呈された開き状態に、絞り機構200が設定される。
【0100】
この開き状態からアイリスモータ34を駆動してレバー212をさらに反時計方向に回転させると、カム溝220とピン222との係合、及び長穴221とピン224との係合によって、第1絞り羽根210が開き状態の位置から左方向にスライド移動する。一方、カム溝226は、第2絞り羽根211が開き状態にある際に、第2区間226bの曲率とピン228の回転軌道とが一致するように形成されている。このため、第2絞り羽根211は、レバー212が開き状態からさらに反時計方向に回転した際にも、スライド移動することなく、開き状態と同じ位置に保持される。
【0101】
第1絞り羽根210が左方向にスライド移動すると、図21に示すように、AF用開口234が開口231、232の上に重なる。そして、アイリスモータ34の回転量を調節することによって、上記各実施形態と同様に、絞り機構200が、図21(a)に示す第1AF状態と、図21(b)に示す第2AF状態とに設定される。
【0102】
このように、本実施形態の絞り機構200によっても、1つのアイリスモータ34で各状態に切り替えることができるので、上記各実施形態と同様の効果を得ることができる。また、上記各実施形態では、アイリスモータ34の駆動力を伝達する際に、2つのレバーやトーションバネなどを用いていたが、本実施形態では、1つのレバー212だけでよい。このため、本実施形態によれば、部品点数を削減して絞り機構の構成をより簡略にし、位相差検出方式のAF処理によるコストアップを、上記各実施形態よりもさらに抑えることができる。
【0103】
なお、上記各実施形態では、オートフォーカス装置として、デジタルカメラ2を示したが、オートフォーカス装置は、これに限ることなく、例えば、写真フイルムに潜像記録を行う、いわゆる銀塩カメラ、及び望遠鏡や双眼鏡などといった他の光学機器などであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】デジタルカメラの構成を概略的に示す前面方向から見た斜視図である。
【図2】デジタルカメラの構成を概略的に示す背面方向から見た斜視図である。
【図3】デジタルカメラの電気的構成を概略的に示すブロック図である。
【図4】絞り機構の構成を概略的に示す斜視図である。
【図5】第1レバーと第2レバーとの構成を示す斜視図である。
【図6】各レバーが直線状態にある様子と折れ曲がった様子とを示す説明図である。
【図7】絞り機構が閉じ状態にある様子と開き状態にある様子とを示す説明図である。
【図8】絞り機構が第1AF状態にある様子と第2AF状態にある様子とを示す説明図である。
【図9】静止画撮影の手順を概略的に示すフローチャートである。
【図10】楕円状のAF用開口を示す説明図である。
【図11】位相差検出方式のAF処理とコントラスト方式のAF処理とを組み合わせた例を示すフローチャートである。
【図12】絞り機構を用いて立体写真を撮影する例を示すフローチャートである。
【図13】絞り機構を用いて立体動画を撮影する例を示すフローチャートである。
【図14】絞り機構を用いてコンティニアスAFを行う例を示すフローチャートである。
【図15】オーバーラップ領域を抽出する例を示す説明図である。
【図16】カム溝の形状の簡略化を図った絞り機構の構成を概略的に示す斜視図である。
【図17】カム溝の形状の簡略化を図った絞り機構が閉じ状態にある様子と開き状態にある様子とを示す説明図である。
【図18】カム溝の形状の簡略化を図った絞り機構が第1AF状態にある様子と第2AF状態にある様子とを示す説明図である。
【図19】部品点数の削減を図った絞り機構の構成を概略的に示す斜視図である。
【図20】部品点数の削減を図った絞り機構が閉じ状態にある様子と開き状態にある様子とを示す説明図である。
【図21】部品点数の削減を図った絞り機構が第1AF状態にある様子と第2AF状態にある様子とを示す説明図である。
【符号の説明】
【0105】
2 デジタルカメラ(オートフォーカス装置)
10 撮影レンズ
31、150、200 絞り機構
32 フォーカスレンズ
34 アイリスモータ(モータ)
35 レンズモータ(レンズ移動手段)
37 CPU(合焦制御手段)
38 CCD(撮像素子)
58 AF検出回路(合焦位置算出手段)
60、160、210 第1絞り羽根
61、161、211 第2絞り羽根
62、163 第1レバー
63、164 第2レバー
64、166、213 ケース
70、71、77、170、175、177、220、226 カム溝
74、75、172、178、222、228 ピン
80、186、230 切欠
81、187、231 開口
82、188、232 開口(第1露光開口)
84、100、190、234 AF用開口(第2露光開口)
162 第3絞り羽根
212 レバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光軸方向に移動可能なフォーカスレンズを含む撮影レンズと、前記撮影レンズが結像した被写体光を撮像する撮像素子と、前記フォーカスレンズを前記光軸方向に移動させるレンズ移動手段とを有し、位相差検出方式のオートフォーカス処理を行って前記フォーカスレンズを合焦させるデジタルカメラにおいて、
前記撮影レンズの光軸上に設けられた第1露光開口と、前記光軸と略直交するスライド方向にスライド移動して前記第1露光開口の露呈する面積を増減させることにより、前記撮像素子に入射する前記被写体光の光量を調節する複数の絞り羽根と、前記各絞り羽根のいずれかに設けられ、前記第1露光開口よりも小さい面積に形成された第2露光開口とを有する絞り機構と、
モータと、このモータの回転量に応じて前記各絞り羽根を前記スライド方向にスライド移動させることにより、前記第1露光開口を塞ぐ閉じ状態と、前記第1露光開口を露呈させる開き状態と、前記第2露光開口の中心を前記第1露光開口の中心から前記スライド方向に所定量ずらして前記第2露光開口を前記第1開口に重ねた第1露光状態と、前記第1露光開口の中心を挟んで前記第1露光状態と対称になるように前記第2露光開口を前記第1開口に重ねた第2露光状態とに前記絞り機構の状態を変化させる駆動伝達機構とからなる絞り機構駆動手段と、
前記絞り機構を前記第1露光状態にして撮像を行うことにより取得される第1画像データと、前記絞り機構を前記第2露光状態にして撮像を行うことにより取得される第2画像データとを基に前記位相差検出方式のオートフォーカス処理を行って、前記フォーカスレンズの合焦位置を算出する合焦位置算出手段と、
前記オートフォーカス処理の実行が指示された際に、前記第1画像データと前記第2画像データとを取得して前記合焦位置算出手段に前記合焦位置を算出させ、前記レンズ移動手段を駆動して算出された前記合焦位置に前記フォーカスレンズを移動させる合焦制御手段とを備えたことを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項2】
前記モータが、ステッピングモータであることを特徴とする請求項1記載のデジタルカメラ。
【請求項3】
前記第2露光開口は、前記スライド方向と略直交する方向に長い楕円形又は多角形に形成されることを特徴とする請求項1又は2記載のデジタルカメラ。
【請求項4】
前記第1露光状態及び前記第2露光状態にある前記第2露光開口は、その中心が前記第1露光開口の中心から前記スライド方向に所定量ずれ、かつ前記第1露光開口の中心が前記第2露光開口の内側に来るように位置決めされることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のデジタルカメラ。
【請求項5】
前記合焦制御手段は、前記合焦位置算出手段によって前記合焦位置が算出された後、その合焦位置を含む所定の合焦範囲を特定し、特定した前記合焦範囲に対してコントラスト検出方式のオートフォーカス処理を行い、このコントラスト検出方式のオートフォーカス処理によって算出された合焦位置に前記フォーカスレンズを移動させることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のデジタルカメラ。
【請求項6】
前記絞り機構は、前記第1露光開口を露呈させるための切欠と前記第2露光開口とが形成された第1絞り羽根と、前記第1露光開口を露呈させるための開口が形成された第2絞り羽根と、前記第1露光開口が形成され、前記第1絞り羽根と前記第2絞り羽根とを前記スライド方向にスライド自在に収容するケースとからなることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のデジタルカメラ。
【請求項7】
前記駆動伝達機構は、前記第1絞り羽根に形成された第1カム溝と、前記第2絞り羽根に形成された第2カム溝と、前記第1カム溝に係合するピンが形成され、前記モータの回転に従動して回転する第1レバーと、前記第2カム溝に係合するピンが形成され、前記第1レバーの回転に従動して回転する第2レバーとからなることを特徴とする請求項6記載のデジタルカメラ。
【請求項8】
前記駆動伝達機構は、前記第1絞り羽根に形成された第1カム溝と、前記第2絞り羽根に形成された第2カム溝と、前記第1カム溝に係合する第1ピンが一端に形成され、前記第2カム溝に係合する第2ピンが他端に形成され、前記モータの回転に従動して回転するレバーとからなることを特徴とする請求項6記載のデジタルカメラ。
【請求項9】
前記絞り機構は、前記第1露光開口を露呈させるための切欠が形成された第1絞り羽根と、前記第1露光開口を露呈させるための開口が形成された第2絞り羽根と、前記第2露光開口が形成された第3絞り羽根と、前記第1絞り羽根と前記第2絞り羽根と前記第3絞り羽根とを前記スライド方向にスライド自在に収容するケースとからなることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のデジタルカメラ。
【請求項10】
前記駆動伝達機構は、前記第1絞り羽根に形成された第1カム溝と、前記第2絞り羽根に形成された第2カム溝と、前記第3絞り羽根に形成された第3カム溝と、前記第3カム溝に係合するピンが形成され、前記モータの回転に従動して回転する第1レバーと、前記第1カム溝と前記第2カム溝とに係合するピンが形成され、前記第1レバーの回転に従動して回転する第2レバーとからなることを特徴とする請求項9記載のデジタルカメラ。
【請求項11】
前記第1画像データと前記第2画像データとを合成して立体写真を作成する立体写真作成手段を設けたことを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載のデジタルカメラ。
【請求項12】
前記第1露光状態と前記第2露光状態とを交互に切り替えながら撮像を行うことによって取得した複数の前記第1画像データと前記第2画像データとを基に立体動画を作成する立体動画作成手段を設けたことを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載のデジタルカメラ。
【請求項13】
前記第1露光状態で動画像を撮影している際に、定期的に前記第2露光状態に切り替えることにより、定期的に前記フォーカスレンズを合焦させながら動画像の撮影を行うコンティニアスオートフォーカス動画撮影モードを有していることを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載のデジタルカメラ。
【請求項14】
前記コンティニアスオートフォーカス動画撮影モードでは、前記第1画像データと前記第2画像データとに共通して撮影されている部分のみが前記各画像データから抽出され、前記オートフォーカス処理の際に取得される前記第2画像データが、動画像の1フレーム分の画像として記録されることを特徴とする請求項13記載のデジタルカメラ。
【請求項15】
光軸方向に移動可能なフォーカスレンズを含む撮影レンズと、前記撮影レンズが結像した被写体光を撮像する撮像素子と、前記フォーカスレンズを前記光軸方向に移動させるレンズ移動手段とを有し、位相差検出方式のオートフォーカス処理を行って前記フォーカスレンズを合焦させるオートフォーカス装置において、
前記撮影レンズの光軸上に設けられた第1露光開口と、前記光軸と略直交するスライド方向にスライド移動して前記第1露光開口の露呈する面積を増減させることにより、前記撮像素子に入射する前記被写体光の光量を調節する複数の絞り羽根と、前記各絞り羽根のいずれかに設けられ、前記第1露光開口よりも小さい面積に形成された第2露光開口とを有する絞り機構と、
モータと、このモータの回転量に応じて前記各絞り羽根を前記スライド方向にスライド移動させることにより、前記第1露光開口を塞ぐ閉じ状態と、前記第1露光開口を露呈させる開き状態と、前記第2露光開口の中心を前記第1露光開口の中心から前記スライド方向に所定量ずらして前記第2露光開口を前記第1開口に重ねた第1露光状態と、前記第1露光開口の中心を挟んで前記第1露光状態と対称になるように前記第2露光開口を前記第1開口に重ねた第2露光状態とに前記絞り機構の状態を変化させる駆動伝達機構とからなる絞り機構駆動手段と、
前記絞り機構を前記第1露光状態にして撮像を行うことにより取得される第1画像データと、前記絞り機構を前記第2露光状態にして撮像を行うことにより取得される第2画像データとを基に前記位相差検出方式のオートフォーカス処理を行って、前記フォーカスレンズの合焦位置を算出する合焦位置算出手段と、
前記オートフォーカス処理の実行が指示された際に、前記第1画像データと前記第2画像データとを取得して前記合焦位置算出手段に前記合焦位置を算出させ、前記レンズ移動手段を駆動して算出された前記合焦位置に前記フォーカスレンズを移動させる合焦制御手段とを備えたことを特徴とするオートフォーカス装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2008−242185(P2008−242185A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−84075(P2007−84075)
【出願日】平成19年3月28日(2007.3.28)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】