データ処理装置
【課題】タッチパネルに対する一方向への動作で異なる処理を実行させることができるデータ処理装置を提供すること。
【解決手段】CPU14は、RAM15に保持された接触面積Sに対応するデータを用いてスクロール速度Vを決定する。S<S1において、スクロール速度Vは「0」である。また、S1≦S<S2において、接触面積Sとスクロール速度Vとの関係は、傾きを(V2−V1)/(S2−S1)とする比例関係にある。さらに、S2≦Sにおいて、接触面積Sとスクロール速度Vとの関係は、傾きを(V3−V2)/(S3−S2)とする比例関係にある。スクロール速度Vは、接触面積Sの属する範囲ごとに予め定数で用意されていてもよい。また、接触面積Sが接触座標Pの数kに比例することに着目し、スクロール速度Vは、接触座標Pの数kの属する範囲ごとに予め定数で用意されていてもよい。
【解決手段】CPU14は、RAM15に保持された接触面積Sに対応するデータを用いてスクロール速度Vを決定する。S<S1において、スクロール速度Vは「0」である。また、S1≦S<S2において、接触面積Sとスクロール速度Vとの関係は、傾きを(V2−V1)/(S2−S1)とする比例関係にある。さらに、S2≦Sにおいて、接触面積Sとスクロール速度Vとの関係は、傾きを(V3−V2)/(S3−S2)とする比例関係にある。スクロール速度Vは、接触面積Sの属する範囲ごとに予め定数で用意されていてもよい。また、接触面積Sが接触座標Pの数kに比例することに着目し、スクロール速度Vは、接触座標Pの数kの属する範囲ごとに予め定数で用意されていてもよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力値を処理して出力値を得るデータ処理装置に関するものであって、より詳しくは、ナビゲーション装置などに関するものである。
【背景技術】
【0002】
背景技術として、親指および人指し指がタッチパネルディスプレイに接触した状態でそれらの接触位置の間隔を閾値L以下とするように移動すると、親指の接触位置および人指し指の接触位置の中点を中心とする円が定義され、この円内に表示されているアイテムが選択されるカーナビゲーション装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【特許文献1】特開2002−304256号公報(段落[0029]および図3を参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に記載のものにおいては、指をタッチパネルディスプレイに接触させる動作および指をタッチパネルディスプレイ上で移動させる動作が操作として必要であるので、指の接触動作および指の移動動作の組合せが多岐にわたると、操作が複雑になってしまうという問題があった。
【0004】
そこで、本発明は、前述の課題を解決するためになされたもので、タッチパネルに対する一方向への動作で異なる処理を実行させることができるデータ処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るデータ処理装置は、タッチパネルで物体との接触に応じて出力された接触座標に係るデータで定義される接触面積に応じて周辺機器に対する制御を異ならせる制御手段を備えるものである。本発明における字句の解釈は、次のとおりである。
【0006】
「タッチパネル」とは、物体との接触に応じて接触座標に係るデータを出力する接触センサである。一例として、抵抗膜方式のセンサ、光走査方式のセンサ、赤外線イメージ方式のセンサ、赤外線走査方式のセンサ、電磁誘導方式のセンサ、超音波表面弾性方式のセンサや静電容量結合方式のセンサなどがある。
【0007】
「接触座標に係るデータ」とは、タッチパネル側で既に演算された接触座標に対応するデータおよびデータ処理装置側で接触座標の演算などに用いられるデータの双方を含む概念である。
【0008】
「物体」として、接触圧力の強弱でタッチパネルとの接触面積が異なりうる物体が想定され、指、ペンやタバコなどがある。一般的には、接触圧力が大きければ、物体とタッチパネルとの実際の接触面積は大きくなり、接触圧力が小さければ、物体とタッチパネルとの実際の接触面積は小さくなる。
【0009】
「周辺機器」として、ディスプレイ、スピーカ、ライト、エアコンディショナ、パワーウインドなどがある。
【0010】
「タッチパネルで物体との接触に応じて出力された接触座標に係るデータで定義される接触面積」とは、接触座標に係るデータに基づいて求められタッチパネルと物体との実際の接触面積に近似した面積である。接触座標に係るデータに基づいて求める方法として、接触座標の集合の外郭線のなす面積を求める方法や接触座標の数に比例して面積を求める方法など、各種方法がある。
【0011】
「接触面積に応じて周辺機器に対する制御を異ならせる」とは、接触面積ごとに周辺機器に対する制御を関連付けていることである。
【0012】
一例として、「周辺機器」がディスプレイであれば、接触面積に応じた画面制御などが考えられる。接触面積に応じた画面制御の一例として、接触面積に応じたスクロール速度の変更制御や接触面積に応じた縮尺の変更制御などがある。接触面積に応じたスクロール速度の変更制御の一例として、接触面積とスクロール速度とを比例させる制御などがある。
【0013】
「周辺機器」がスピーカであれば、接触面積に応じた音量制御などが考えられる。接触面積に応じた音量制御の一例として、接触面積と音量とを比例させる制御などがある。
【0014】
「周辺機器」がライトであれば、接触面積に応じた光量制御などが考えられる。接触面積に応じた光量制御の一例として、接触面積と光量とを比例させる制御などがある。
【0015】
「周辺機器」がエアコンディショナであれば、接触面積に応じた温度制御などが考えられる。接触面積に応じた温度制御の一例として、接触面積と温度とを比例させる制御などがある。
【0016】
「周辺機器」がパワーウインドであれば、接触面積に応じたパワーウインドの開閉速度制御などが考えられる。接触面積に応じたパワーウインドの開閉速度制御の一例として、接触面積とパワーウインドの開閉速度とを比例させる制御などがある。
【0017】
本発明に係るデータ処理装置は、感圧式タッチパネルで物体との接触に応じて出力された接触圧力に係るデータに応じて周辺機器に対する制御を異ならせる制御手段を備えるものである。本発明における字句の解釈は、次のとおりであって、前述の字句の解釈と同一の字句の解釈については、これを省略する。
【0018】
「感圧式タッチパネル」とは、物体との接触に応じて接触圧力に係るデータを出力する接触センサである。一例として、超音波表面弾性方式のものが知られている。
【0019】
「接触圧力に係るデータ」とは、感圧式タッチパネル側で既に演算された接触圧力に対応するデータおよびデータ処理装置側で接触圧力の演算などに用いられるデータの双方を含む概念である。
【0020】
「物体」として、特に、接触圧力の強弱によってもタッチパネルとの接触面積が殆ど異ならない物体が想定され、ペンやスタイラスなどがある。
【0021】
「接触圧力」とは、接触圧力に係るデータに基づいて求められタッチパネルと物体との実際の接触圧力に近似した圧力である。
【0022】
「接触圧力に応じて周辺機器に対する制御を異ならせる」とは、接触圧力ごとに周辺機器に対する制御を関連付けていることである。
【0023】
一例として、「周辺機器」がディスプレイであれば、接触圧力に応じた画面制御などが考えられる。接触圧力に応じた画面制御の一例として、接触圧力に応じたスクロール速度の変更制御や接触圧力に応じた縮尺の変更制御などがある。接触圧力に応じたスクロール速度の変更制御の一例として、接触圧力とスクロール速度とを比例させる制御などがある。
【0024】
「周辺機器」がスピーカであれば、接触圧力に応じた音量制御などが考えられる。接触圧力に応じた音量制御の一例として、接触圧力と音量とを比例させる制御などがある。
【0025】
「周辺機器」がライトであれば、接触圧力に応じた光量制御などが考えられる。接触圧力に応じた光量制御の一例として、接触圧力と光量とを比例させる制御などがある。
【0026】
「周辺機器」がエアコンディショナであれば、接触圧力に応じた温度制御などが考えられる。接触圧力に応じた温度制御の一例として、接触圧力と温度とを比例させる制御などがある。
【発明の効果】
【0027】
本発明は、タッチパネルで物体との接触に応じて出力された接触座標に係るデータで定義される接触面積に応じて周辺機器に対する制御を異ならせる制御手段を備えることによって、タッチパネルに対する一方向への動作で異なる処理を実行させることができるという効果を有するデータ処理装置を提供することができるものである。
【0028】
他方、本発明は、感圧式タッチパネルで物体との接触に応じて出力された接触圧力に係るデータに応じて周辺機器に対する制御を異ならせる制御手段を備えることによって、タッチパネルに対する一方向への動作で異なる処理を実行させることができるという効果を有するデータ処理装置を提供することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明に係るデータ処理装置を実施するための最良の形態であるナビゲーション装置について、図1ないし図13を参照しながら説明する。
【0030】
<構成について>本実施の形態に係るナビゲーション装置1の構成を図1および図2を参照しながら説明する。
【0031】
図1に示すように、ナビゲーション装置1は、各種データを入力する入力インターフェース(以下、入力IFという)11と、各種データを記憶するHDD12(「記憶媒体」に相当する)と、各種プログラムを格納するROM13(「制御手段」に相当する)と、ROM13に格納されたプログラムを解釈し実行するCPU14(「制御手段」に相当する)と、入力IF11やCPU14などからのデータを保持するRAM15と、CPU14からのデータに応じて音声出力を制御する音声プロセッサ16と、CPU14からのデータに応じて画像出力を制御する画像プロセッサ17と、画像データを保持するVRAM18と、各種データを出力する出力インターフェース(以下、出力IFという)19とを備え、これらはバスで接続されている。
【0032】
入力IF11には、衛星からのGPSデータを受信するGPS受信機21と、方位に対応する方位データを出力する方位センサ22と、速度に対応する速度データを出力する速度センサ23と、物体との接触に応じて接触座標に係るデータを出力するタッチパネル24とが接続されている。
【0033】
図2に示すように、タッチパネル24は、電極24aがX軸方向およびY軸方向にそれぞれ平行に配置されたもので、接触座標P(Xm,Yn)を各電極24aの交点である格子点上に求めるものである。本実施の形態では、タッチパネル24の側で、接触座標P(Xm,Yn)が演算されるものとする。
【0034】
HDD12には、地図画像に対応する地図データやリンクコストなどに対応する探索データなどが記憶されている。
【0035】
ROM13には、ナビゲーションプログラムの他に、タッチパネル24で物体との接触に応じて出力された接触座標に係るデータで定義される接触面積に応じて周辺機器に対する制御を異ならせる制御手段としてCPU14を機能させるための制御プログラムが格納されている。
【0036】
出力IF19には、音声データに対応する音声を出力するスピーカ31と、画像データに対応する画像を表示するディスプレイ32とが接続されている。ディスプレイ32は、、タッチパネル24の接触座標をディスプレイ32の表示座標に一致させるようにタッチパネル24の背面に位置している。
<動作(処理)について>以上のように構成されたナビゲーション装置1について、図3ないし図11を参照しながらその動作を説明する。図3に示すように、CPU14が、ROM13に格納された制御プログラムを解釈することで、次の処理を実行する。
【0037】
CPU14は、RAM15に接触座標に係るデータが保持されているか否かを判定する(ステップS1)。ここで、RAM15に接触座標に係るデータが保持されていとの判定がなされると(S1のNo)、CPU14は、処理を終了する。
【0038】
ステップS1でRAM15に接触座標に係るデータが保持されているとの判定がなされると(S1のYes)、CPU14は、接触座標に係るデータを用いて接触中心(Xc,Yc)を算出する(ステップS2)。ここで、接触中心とはk個の接触座標(Xk,Yk)の中心であり、「(Xc,Yc)=(X1+・・・+Xk/k,Y1+・・・+Yk/k)」である。また、タッチパネル24が抵抗膜式のセンサであれば、一つの抵抗線上では、接触時刻tで特定できる座標は1つである。したがって、接触時刻tをt−Δtからt+Δtの範囲で把握すれば、一つの抵抗線上で隣り合う2つの座標は検出される。このステップでは、接触中心に対応するデータは、RAM15に保持される。
【0039】
ステップS2で接触中心が算出されると、CPU14は、RAM15に保持された接触座標に係るデータを用いて接触面積Sを求める(ステップS3)。そして、接触面積Sに対応するデータは、RAM15に保持される。以下では、この処理を接触面積演算処理として説明する。
【0040】
ステップS3で接触面積演算処理が実行されると、CPU14は、RAM15に保持された接触中心に対応するデータを用いて、ディスプレイ32上で地図画面をスクロールさせる方向(以下、スクロール方向という)を決定する(ステップS4)。
【0041】
本実施の形態では、図4に示すように、指がタッチパネル24に接触すると、スクロール方向は、接触中心および画面の中心をそれぞれ始点および終点とする方向になる(図4(a)を参照)。また、中指と人指し指とが略同時にタッチパネル24に接触すると、スクロール方向は、各接触中心の中点および画面の中心をそれぞれ始点および終点とする方向になる(図5(a)を参照)。
【0042】
ステップS4でスクロール方向が決定されると、CPU14は、RAM15に保持された接触面積Sに対応するデータを用いてスクロール速度Vを決定する(ステップS5)。
【0043】
図6に示すように、S<S1において、スクロール速度Vは「0」である。また、S1≦S<S2において、接触面積Sとスクロール速度Vとの関係は、傾きを(V2−V1)/(S2−S1)とする比例関係にある。さらに、S2≦Sにおいて、接触面積Sとスクロール速度Vとの関係は、傾きを(V3−V2)/(S3−S2)とする比例関係にある。
【0044】
他方、図7に示すように、スクロール速度Vは、接触面積Sの属する範囲ごとに予め定数で用意されていてもよい(図7(a)を参照)。また、接触面積Sが接触座標Pの数kに比例することに着目し、スクロール速度Vは、接触座標Pの数kの属する範囲ごとに予め定数で用意されていてもよい(図7(b)を参照)。
【0045】
ステップS5でスクロール速度が決定されると、CPU14は、ステップS4で決定されたスクロール方向およびステップS5で決定されたスクロール速度を内容とする制御データを画像プロセッサ17に出力する(ステップS6)。このとき、画像プロセッサ17は、HDD12から読み出した地図データをVRAM18に描画し、VRAM18に描画された地図データをディスプレイ32に転送する。そして、ディスプレイ32は、ステップS4で決定されたスクロール方向にステップS5で決定されたスクロール速度で地図画像をスクロール表示する。例えば、スクロール表示の状況は、図4(a)に示す画面から図4(b)に示す画面を経由して図4(c)に示す画面となる。このとき、図4(a)に示す画面から図4(c)に示す画面にスクロールする速度について、「S2≦S」における速度は、「S1≦S<S2」における速度よりも大きい。
<接触面積演算処理について>図8に示すように、CPU14は、ROM13に格納された制御プログラムを解釈して、接触面積演算処理を実行する。
【0046】
CPU14は、RAM15に保持された接触座標に係るデータを用いて、接触座標のX座標(図9を参照)の最大値Xm(max)を演算する(ステップS11)。具体的には、接触座標に係るk個のデータについて、Xmを比較する処理が繰り返され、最大値Xm(max)が求まる。
【0047】
ステップS11で最大値Xm(max)が演算されると、CPU14は、ステップS11での演算結果を用いて、接触座標のX座標の最小値Xm(min)を演算する(ステップS12)。
【0048】
ステップS12で最小値Xm(min)が演算されると、CPU14は、RAM15に保持された接触座標に係るデータを用いて、接触座標のY座標の最大値Yn(max)を演算する(ステップS13)。具体的は、接触座標に係るk個のデータについて、Ynを比較する処理が繰り返され、最大値Yn(max)が求まる。
【0049】
ステップS13で最大値Yn(max)が演算されると、CPU14は、ステップS13での演算結果を用いて、接触座標のY座標の最小値Yn(min)を演算する(ステップS14)。
【0050】
ステップS14で最小値Yn(min)が演算されると、CPU14は、ステップS11ないしステップS14の演算結果を用いて、楕円の面積を算出する(ステップS15)。つまり、楕円の面積は、円周率π、距離|Yn(max)−Yn(min)|および距離|Xm(max)−Xm(min)|を乗じて得られる。本実施の形態では、接触面積Sを楕円の面積に近似しているが、接触面積Sとして多角形の面積が演算されてもよい(図10を参照)。また、接触面積Sとして凸包(図11を参照)の面積が演算されてもよい。ここで、凸包とは、その集合のすべての点を含む最小の凸多角形である。そして、多角形および凸包をなす接触座標がすべて格子点であれば、多角形の面積および凸包の面積は、それぞれピックの定理(Pick’S Theorem)で求まる。
<本実施の形態における効果>以上本実施の形態によれば、スクロール速度Vが接触面積Sに応じて異なるので、指をタッチパネル24に接触させる動作のみでスクロール速度Vを変えることができる。
【0051】
本実施の形態によれば、スクロール速度Vが接触面積Sに比例するので、タッチパネル24に対する接触圧力を調整する直感的な動作のみでスクロール速度Vを変化させることができる。
【0052】
本実施の形態によれば、スクロール速度Vと接触面積Sとの比例係数(傾き)が接触面積Sのとり得る範囲ごとに異なるので、タッチパネル24に対する接触圧力を調整する直感的な動作のみをよりスクロール速度Vに反映させることができる。
【0053】
本実施の形態によれば、スクロール速度Vと接触面積Sとの関係が接触面積Sのとり得る範囲ごとに予め定数で用意されているので、接触面積Sからスクロール速度Vを演算する時間が省け、タッチパネル24に対する接触圧力を調整する直感的な動作のみでスクロール速度Vを効率的に変化させることができる。
【0054】
本実施の形態によれば、スクロール速度Vと接触座標数kとの関係が接触座標数kのとり得る範囲ごとに予め定数で用意されているので、接触面積Sを演算する時間が省け、タッチパネル24に対する接触圧力を調整する直感的な動作のみでスクロール速度Vをより効率的に変化させることができる。
【0055】
本実施の形態によれば、接触面積SがS1以上になると、スクロール表示が開始されるので、タッチパネル24に対する接触圧力を調整する直感的な動作のみでスクロールの開始を指示することができる。
【0056】
他の実施の形態として、周辺機器に対する制御と接触面積Sとの対応関係をユーザごとにHDD12に記憶されば、指の大きさが異なるユーザ間でも同一の装置で前述の効果を享受することができる。
【0057】
他の実施の形態として、タッチパネル24が感圧式のタッチパネルであって、特定の接触座標における接触圧力Prに係るデータが出力されてもよい。このとき、図12に示すように、演算式が、Pr<Pr1においてスクロール速度Vを「0」とし、Pr1≦Pr<Pr2およびPr2≦Prにおいて、スクロール速度Vと接触圧力Prとの関係をそれぞれ傾き(V2−V1)/(Pr2−Pr1)の比例関係、傾き(V3−V2)/(Pr3−Pr2)の比例関係として定義される。この実施の形態によれば、ボールペンやスタイラスなどの硬い物体で操作する場合であっても、タッチパネル24に対する接触圧力を調整する直感的な動作のみでスクロール速度Vを変化させることができる。
【0058】
他の実施の形態として、特定の接触座標における接触圧力Prに係るデータが出力される場合、図13に示すように、スクロール速度Vは、接触圧力Prの属する範囲ごとに予め定数で用意されていてもよい。この実施の形態によれば、接触圧力Prからスクロール速度Vを演算する時間が省け、タッチパネル24に対する接触圧力Prを調整する直感的な動作のみでスクロール速度Vを効率的に変化させることができる。
<変形例>以上の説明では、制御の対象となる周辺機器をディスプレイ32で構成した例について説明したが、その他のスピーカ、ライト、エアコンディショナやパワーウインドなどについても同様に実施可能である。
【産業上の利用可能性】
【0059】
以上のように、本発明に係るデータ処理装置は、タッチパネルに対する一方向への動作で異なる処理を実行させることができるという効果を有し、ナビゲーション装置などとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明に係るデータ処理装置を実施するための最良の形態であるナビゲーション装置の構成を示すハードウエア構成図
【図2】本実施の形態におけるタッチパネルと物体との接触座標の定義を示す図
【図3】本実施の形態におけるナビゲーション装置の処理を示すフロー図
【図4】(a)1本指による操作におけるスクロール開始前の画面を示す図(b)1本指による操作におけるスクロール開始後の画面を示す図(c)1本指による操作におけるスクロール完了時の画面を示す図
【図5】(a)2本指による操作におけるスクロール開始前の画面を示す図(b)2本指による操作におけるスクロール開始後の画面を示す図(c)2本指による操作におけるスクロール完了時の画面を示す図
【図6】本実施の形態において接触面積Sとスクロール速度Vとの関係を演算するための式を示す図
【図7】本実施の形態において接触面積Sとスクロール速度Vとを対応付けたテーブルを示す図
【図8】本実施の形態における接触面積演算処理の流れを示すフロー図
【図9】本実施の形態における接触座標、接触面積および実際の接触面積の関係を示す図
【図10】本実施の形態において接触面積を多角形の面積とした様子を示す図
【図11】本実施の形態において接触面積を凸包の面積とした様子を示す図
【図12】他の実施の形態において接触圧力Prとスクロール速度Vとの関係を演算するための式を示す図
【図13】本実施の形態において接触圧力Prとスクロール速度Vとを対応付けたテーブルを示す図
【符号の説明】
【0061】
1 ナビゲーション装置(データ処理装置)
12 HDD(記憶媒体)
13 ROM(制御手段)
14 CPU(制御手段)
24 タッチパネル
31 スピーカ
32 ディスプレイ
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力値を処理して出力値を得るデータ処理装置に関するものであって、より詳しくは、ナビゲーション装置などに関するものである。
【背景技術】
【0002】
背景技術として、親指および人指し指がタッチパネルディスプレイに接触した状態でそれらの接触位置の間隔を閾値L以下とするように移動すると、親指の接触位置および人指し指の接触位置の中点を中心とする円が定義され、この円内に表示されているアイテムが選択されるカーナビゲーション装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【特許文献1】特開2002−304256号公報(段落[0029]および図3を参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に記載のものにおいては、指をタッチパネルディスプレイに接触させる動作および指をタッチパネルディスプレイ上で移動させる動作が操作として必要であるので、指の接触動作および指の移動動作の組合せが多岐にわたると、操作が複雑になってしまうという問題があった。
【0004】
そこで、本発明は、前述の課題を解決するためになされたもので、タッチパネルに対する一方向への動作で異なる処理を実行させることができるデータ処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るデータ処理装置は、タッチパネルで物体との接触に応じて出力された接触座標に係るデータで定義される接触面積に応じて周辺機器に対する制御を異ならせる制御手段を備えるものである。本発明における字句の解釈は、次のとおりである。
【0006】
「タッチパネル」とは、物体との接触に応じて接触座標に係るデータを出力する接触センサである。一例として、抵抗膜方式のセンサ、光走査方式のセンサ、赤外線イメージ方式のセンサ、赤外線走査方式のセンサ、電磁誘導方式のセンサ、超音波表面弾性方式のセンサや静電容量結合方式のセンサなどがある。
【0007】
「接触座標に係るデータ」とは、タッチパネル側で既に演算された接触座標に対応するデータおよびデータ処理装置側で接触座標の演算などに用いられるデータの双方を含む概念である。
【0008】
「物体」として、接触圧力の強弱でタッチパネルとの接触面積が異なりうる物体が想定され、指、ペンやタバコなどがある。一般的には、接触圧力が大きければ、物体とタッチパネルとの実際の接触面積は大きくなり、接触圧力が小さければ、物体とタッチパネルとの実際の接触面積は小さくなる。
【0009】
「周辺機器」として、ディスプレイ、スピーカ、ライト、エアコンディショナ、パワーウインドなどがある。
【0010】
「タッチパネルで物体との接触に応じて出力された接触座標に係るデータで定義される接触面積」とは、接触座標に係るデータに基づいて求められタッチパネルと物体との実際の接触面積に近似した面積である。接触座標に係るデータに基づいて求める方法として、接触座標の集合の外郭線のなす面積を求める方法や接触座標の数に比例して面積を求める方法など、各種方法がある。
【0011】
「接触面積に応じて周辺機器に対する制御を異ならせる」とは、接触面積ごとに周辺機器に対する制御を関連付けていることである。
【0012】
一例として、「周辺機器」がディスプレイであれば、接触面積に応じた画面制御などが考えられる。接触面積に応じた画面制御の一例として、接触面積に応じたスクロール速度の変更制御や接触面積に応じた縮尺の変更制御などがある。接触面積に応じたスクロール速度の変更制御の一例として、接触面積とスクロール速度とを比例させる制御などがある。
【0013】
「周辺機器」がスピーカであれば、接触面積に応じた音量制御などが考えられる。接触面積に応じた音量制御の一例として、接触面積と音量とを比例させる制御などがある。
【0014】
「周辺機器」がライトであれば、接触面積に応じた光量制御などが考えられる。接触面積に応じた光量制御の一例として、接触面積と光量とを比例させる制御などがある。
【0015】
「周辺機器」がエアコンディショナであれば、接触面積に応じた温度制御などが考えられる。接触面積に応じた温度制御の一例として、接触面積と温度とを比例させる制御などがある。
【0016】
「周辺機器」がパワーウインドであれば、接触面積に応じたパワーウインドの開閉速度制御などが考えられる。接触面積に応じたパワーウインドの開閉速度制御の一例として、接触面積とパワーウインドの開閉速度とを比例させる制御などがある。
【0017】
本発明に係るデータ処理装置は、感圧式タッチパネルで物体との接触に応じて出力された接触圧力に係るデータに応じて周辺機器に対する制御を異ならせる制御手段を備えるものである。本発明における字句の解釈は、次のとおりであって、前述の字句の解釈と同一の字句の解釈については、これを省略する。
【0018】
「感圧式タッチパネル」とは、物体との接触に応じて接触圧力に係るデータを出力する接触センサである。一例として、超音波表面弾性方式のものが知られている。
【0019】
「接触圧力に係るデータ」とは、感圧式タッチパネル側で既に演算された接触圧力に対応するデータおよびデータ処理装置側で接触圧力の演算などに用いられるデータの双方を含む概念である。
【0020】
「物体」として、特に、接触圧力の強弱によってもタッチパネルとの接触面積が殆ど異ならない物体が想定され、ペンやスタイラスなどがある。
【0021】
「接触圧力」とは、接触圧力に係るデータに基づいて求められタッチパネルと物体との実際の接触圧力に近似した圧力である。
【0022】
「接触圧力に応じて周辺機器に対する制御を異ならせる」とは、接触圧力ごとに周辺機器に対する制御を関連付けていることである。
【0023】
一例として、「周辺機器」がディスプレイであれば、接触圧力に応じた画面制御などが考えられる。接触圧力に応じた画面制御の一例として、接触圧力に応じたスクロール速度の変更制御や接触圧力に応じた縮尺の変更制御などがある。接触圧力に応じたスクロール速度の変更制御の一例として、接触圧力とスクロール速度とを比例させる制御などがある。
【0024】
「周辺機器」がスピーカであれば、接触圧力に応じた音量制御などが考えられる。接触圧力に応じた音量制御の一例として、接触圧力と音量とを比例させる制御などがある。
【0025】
「周辺機器」がライトであれば、接触圧力に応じた光量制御などが考えられる。接触圧力に応じた光量制御の一例として、接触圧力と光量とを比例させる制御などがある。
【0026】
「周辺機器」がエアコンディショナであれば、接触圧力に応じた温度制御などが考えられる。接触圧力に応じた温度制御の一例として、接触圧力と温度とを比例させる制御などがある。
【発明の効果】
【0027】
本発明は、タッチパネルで物体との接触に応じて出力された接触座標に係るデータで定義される接触面積に応じて周辺機器に対する制御を異ならせる制御手段を備えることによって、タッチパネルに対する一方向への動作で異なる処理を実行させることができるという効果を有するデータ処理装置を提供することができるものである。
【0028】
他方、本発明は、感圧式タッチパネルで物体との接触に応じて出力された接触圧力に係るデータに応じて周辺機器に対する制御を異ならせる制御手段を備えることによって、タッチパネルに対する一方向への動作で異なる処理を実行させることができるという効果を有するデータ処理装置を提供することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明に係るデータ処理装置を実施するための最良の形態であるナビゲーション装置について、図1ないし図13を参照しながら説明する。
【0030】
<構成について>本実施の形態に係るナビゲーション装置1の構成を図1および図2を参照しながら説明する。
【0031】
図1に示すように、ナビゲーション装置1は、各種データを入力する入力インターフェース(以下、入力IFという)11と、各種データを記憶するHDD12(「記憶媒体」に相当する)と、各種プログラムを格納するROM13(「制御手段」に相当する)と、ROM13に格納されたプログラムを解釈し実行するCPU14(「制御手段」に相当する)と、入力IF11やCPU14などからのデータを保持するRAM15と、CPU14からのデータに応じて音声出力を制御する音声プロセッサ16と、CPU14からのデータに応じて画像出力を制御する画像プロセッサ17と、画像データを保持するVRAM18と、各種データを出力する出力インターフェース(以下、出力IFという)19とを備え、これらはバスで接続されている。
【0032】
入力IF11には、衛星からのGPSデータを受信するGPS受信機21と、方位に対応する方位データを出力する方位センサ22と、速度に対応する速度データを出力する速度センサ23と、物体との接触に応じて接触座標に係るデータを出力するタッチパネル24とが接続されている。
【0033】
図2に示すように、タッチパネル24は、電極24aがX軸方向およびY軸方向にそれぞれ平行に配置されたもので、接触座標P(Xm,Yn)を各電極24aの交点である格子点上に求めるものである。本実施の形態では、タッチパネル24の側で、接触座標P(Xm,Yn)が演算されるものとする。
【0034】
HDD12には、地図画像に対応する地図データやリンクコストなどに対応する探索データなどが記憶されている。
【0035】
ROM13には、ナビゲーションプログラムの他に、タッチパネル24で物体との接触に応じて出力された接触座標に係るデータで定義される接触面積に応じて周辺機器に対する制御を異ならせる制御手段としてCPU14を機能させるための制御プログラムが格納されている。
【0036】
出力IF19には、音声データに対応する音声を出力するスピーカ31と、画像データに対応する画像を表示するディスプレイ32とが接続されている。ディスプレイ32は、、タッチパネル24の接触座標をディスプレイ32の表示座標に一致させるようにタッチパネル24の背面に位置している。
<動作(処理)について>以上のように構成されたナビゲーション装置1について、図3ないし図11を参照しながらその動作を説明する。図3に示すように、CPU14が、ROM13に格納された制御プログラムを解釈することで、次の処理を実行する。
【0037】
CPU14は、RAM15に接触座標に係るデータが保持されているか否かを判定する(ステップS1)。ここで、RAM15に接触座標に係るデータが保持されていとの判定がなされると(S1のNo)、CPU14は、処理を終了する。
【0038】
ステップS1でRAM15に接触座標に係るデータが保持されているとの判定がなされると(S1のYes)、CPU14は、接触座標に係るデータを用いて接触中心(Xc,Yc)を算出する(ステップS2)。ここで、接触中心とはk個の接触座標(Xk,Yk)の中心であり、「(Xc,Yc)=(X1+・・・+Xk/k,Y1+・・・+Yk/k)」である。また、タッチパネル24が抵抗膜式のセンサであれば、一つの抵抗線上では、接触時刻tで特定できる座標は1つである。したがって、接触時刻tをt−Δtからt+Δtの範囲で把握すれば、一つの抵抗線上で隣り合う2つの座標は検出される。このステップでは、接触中心に対応するデータは、RAM15に保持される。
【0039】
ステップS2で接触中心が算出されると、CPU14は、RAM15に保持された接触座標に係るデータを用いて接触面積Sを求める(ステップS3)。そして、接触面積Sに対応するデータは、RAM15に保持される。以下では、この処理を接触面積演算処理として説明する。
【0040】
ステップS3で接触面積演算処理が実行されると、CPU14は、RAM15に保持された接触中心に対応するデータを用いて、ディスプレイ32上で地図画面をスクロールさせる方向(以下、スクロール方向という)を決定する(ステップS4)。
【0041】
本実施の形態では、図4に示すように、指がタッチパネル24に接触すると、スクロール方向は、接触中心および画面の中心をそれぞれ始点および終点とする方向になる(図4(a)を参照)。また、中指と人指し指とが略同時にタッチパネル24に接触すると、スクロール方向は、各接触中心の中点および画面の中心をそれぞれ始点および終点とする方向になる(図5(a)を参照)。
【0042】
ステップS4でスクロール方向が決定されると、CPU14は、RAM15に保持された接触面積Sに対応するデータを用いてスクロール速度Vを決定する(ステップS5)。
【0043】
図6に示すように、S<S1において、スクロール速度Vは「0」である。また、S1≦S<S2において、接触面積Sとスクロール速度Vとの関係は、傾きを(V2−V1)/(S2−S1)とする比例関係にある。さらに、S2≦Sにおいて、接触面積Sとスクロール速度Vとの関係は、傾きを(V3−V2)/(S3−S2)とする比例関係にある。
【0044】
他方、図7に示すように、スクロール速度Vは、接触面積Sの属する範囲ごとに予め定数で用意されていてもよい(図7(a)を参照)。また、接触面積Sが接触座標Pの数kに比例することに着目し、スクロール速度Vは、接触座標Pの数kの属する範囲ごとに予め定数で用意されていてもよい(図7(b)を参照)。
【0045】
ステップS5でスクロール速度が決定されると、CPU14は、ステップS4で決定されたスクロール方向およびステップS5で決定されたスクロール速度を内容とする制御データを画像プロセッサ17に出力する(ステップS6)。このとき、画像プロセッサ17は、HDD12から読み出した地図データをVRAM18に描画し、VRAM18に描画された地図データをディスプレイ32に転送する。そして、ディスプレイ32は、ステップS4で決定されたスクロール方向にステップS5で決定されたスクロール速度で地図画像をスクロール表示する。例えば、スクロール表示の状況は、図4(a)に示す画面から図4(b)に示す画面を経由して図4(c)に示す画面となる。このとき、図4(a)に示す画面から図4(c)に示す画面にスクロールする速度について、「S2≦S」における速度は、「S1≦S<S2」における速度よりも大きい。
<接触面積演算処理について>図8に示すように、CPU14は、ROM13に格納された制御プログラムを解釈して、接触面積演算処理を実行する。
【0046】
CPU14は、RAM15に保持された接触座標に係るデータを用いて、接触座標のX座標(図9を参照)の最大値Xm(max)を演算する(ステップS11)。具体的には、接触座標に係るk個のデータについて、Xmを比較する処理が繰り返され、最大値Xm(max)が求まる。
【0047】
ステップS11で最大値Xm(max)が演算されると、CPU14は、ステップS11での演算結果を用いて、接触座標のX座標の最小値Xm(min)を演算する(ステップS12)。
【0048】
ステップS12で最小値Xm(min)が演算されると、CPU14は、RAM15に保持された接触座標に係るデータを用いて、接触座標のY座標の最大値Yn(max)を演算する(ステップS13)。具体的は、接触座標に係るk個のデータについて、Ynを比較する処理が繰り返され、最大値Yn(max)が求まる。
【0049】
ステップS13で最大値Yn(max)が演算されると、CPU14は、ステップS13での演算結果を用いて、接触座標のY座標の最小値Yn(min)を演算する(ステップS14)。
【0050】
ステップS14で最小値Yn(min)が演算されると、CPU14は、ステップS11ないしステップS14の演算結果を用いて、楕円の面積を算出する(ステップS15)。つまり、楕円の面積は、円周率π、距離|Yn(max)−Yn(min)|および距離|Xm(max)−Xm(min)|を乗じて得られる。本実施の形態では、接触面積Sを楕円の面積に近似しているが、接触面積Sとして多角形の面積が演算されてもよい(図10を参照)。また、接触面積Sとして凸包(図11を参照)の面積が演算されてもよい。ここで、凸包とは、その集合のすべての点を含む最小の凸多角形である。そして、多角形および凸包をなす接触座標がすべて格子点であれば、多角形の面積および凸包の面積は、それぞれピックの定理(Pick’S Theorem)で求まる。
<本実施の形態における効果>以上本実施の形態によれば、スクロール速度Vが接触面積Sに応じて異なるので、指をタッチパネル24に接触させる動作のみでスクロール速度Vを変えることができる。
【0051】
本実施の形態によれば、スクロール速度Vが接触面積Sに比例するので、タッチパネル24に対する接触圧力を調整する直感的な動作のみでスクロール速度Vを変化させることができる。
【0052】
本実施の形態によれば、スクロール速度Vと接触面積Sとの比例係数(傾き)が接触面積Sのとり得る範囲ごとに異なるので、タッチパネル24に対する接触圧力を調整する直感的な動作のみをよりスクロール速度Vに反映させることができる。
【0053】
本実施の形態によれば、スクロール速度Vと接触面積Sとの関係が接触面積Sのとり得る範囲ごとに予め定数で用意されているので、接触面積Sからスクロール速度Vを演算する時間が省け、タッチパネル24に対する接触圧力を調整する直感的な動作のみでスクロール速度Vを効率的に変化させることができる。
【0054】
本実施の形態によれば、スクロール速度Vと接触座標数kとの関係が接触座標数kのとり得る範囲ごとに予め定数で用意されているので、接触面積Sを演算する時間が省け、タッチパネル24に対する接触圧力を調整する直感的な動作のみでスクロール速度Vをより効率的に変化させることができる。
【0055】
本実施の形態によれば、接触面積SがS1以上になると、スクロール表示が開始されるので、タッチパネル24に対する接触圧力を調整する直感的な動作のみでスクロールの開始を指示することができる。
【0056】
他の実施の形態として、周辺機器に対する制御と接触面積Sとの対応関係をユーザごとにHDD12に記憶されば、指の大きさが異なるユーザ間でも同一の装置で前述の効果を享受することができる。
【0057】
他の実施の形態として、タッチパネル24が感圧式のタッチパネルであって、特定の接触座標における接触圧力Prに係るデータが出力されてもよい。このとき、図12に示すように、演算式が、Pr<Pr1においてスクロール速度Vを「0」とし、Pr1≦Pr<Pr2およびPr2≦Prにおいて、スクロール速度Vと接触圧力Prとの関係をそれぞれ傾き(V2−V1)/(Pr2−Pr1)の比例関係、傾き(V3−V2)/(Pr3−Pr2)の比例関係として定義される。この実施の形態によれば、ボールペンやスタイラスなどの硬い物体で操作する場合であっても、タッチパネル24に対する接触圧力を調整する直感的な動作のみでスクロール速度Vを変化させることができる。
【0058】
他の実施の形態として、特定の接触座標における接触圧力Prに係るデータが出力される場合、図13に示すように、スクロール速度Vは、接触圧力Prの属する範囲ごとに予め定数で用意されていてもよい。この実施の形態によれば、接触圧力Prからスクロール速度Vを演算する時間が省け、タッチパネル24に対する接触圧力Prを調整する直感的な動作のみでスクロール速度Vを効率的に変化させることができる。
<変形例>以上の説明では、制御の対象となる周辺機器をディスプレイ32で構成した例について説明したが、その他のスピーカ、ライト、エアコンディショナやパワーウインドなどについても同様に実施可能である。
【産業上の利用可能性】
【0059】
以上のように、本発明に係るデータ処理装置は、タッチパネルに対する一方向への動作で異なる処理を実行させることができるという効果を有し、ナビゲーション装置などとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明に係るデータ処理装置を実施するための最良の形態であるナビゲーション装置の構成を示すハードウエア構成図
【図2】本実施の形態におけるタッチパネルと物体との接触座標の定義を示す図
【図3】本実施の形態におけるナビゲーション装置の処理を示すフロー図
【図4】(a)1本指による操作におけるスクロール開始前の画面を示す図(b)1本指による操作におけるスクロール開始後の画面を示す図(c)1本指による操作におけるスクロール完了時の画面を示す図
【図5】(a)2本指による操作におけるスクロール開始前の画面を示す図(b)2本指による操作におけるスクロール開始後の画面を示す図(c)2本指による操作におけるスクロール完了時の画面を示す図
【図6】本実施の形態において接触面積Sとスクロール速度Vとの関係を演算するための式を示す図
【図7】本実施の形態において接触面積Sとスクロール速度Vとを対応付けたテーブルを示す図
【図8】本実施の形態における接触面積演算処理の流れを示すフロー図
【図9】本実施の形態における接触座標、接触面積および実際の接触面積の関係を示す図
【図10】本実施の形態において接触面積を多角形の面積とした様子を示す図
【図11】本実施の形態において接触面積を凸包の面積とした様子を示す図
【図12】他の実施の形態において接触圧力Prとスクロール速度Vとの関係を演算するための式を示す図
【図13】本実施の形態において接触圧力Prとスクロール速度Vとを対応付けたテーブルを示す図
【符号の説明】
【0061】
1 ナビゲーション装置(データ処理装置)
12 HDD(記憶媒体)
13 ROM(制御手段)
14 CPU(制御手段)
24 タッチパネル
31 スピーカ
32 ディスプレイ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパネルで物体との接触に応じて出力された接触座標に係るデータで定義される接触面積に応じて周辺機器に対する制御を異ならせる制御手段を備えるデータ処理装置。
【請求項2】
前記制御手段は、ディスプレイに対して前記接触面積に応じた異なる速度で画面をスクロール表示させることを特徴とする請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記ディスプレイに対して前記接触面積に比例する速度で画面をスクロール表示させることを特徴とする請求項2に記載のデータ処理装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記接触面積が所定の値以上になると、前記ディスプレイに対するスクロール制御を開始することを特徴とする請求項2に記載のデータ処理装置。
【請求項5】
前記制御手段は、スピーカに対して前記接触面積に応じた異なる音量で音を出力させることを特徴とする請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記スピーカに対して前記接触面積に比例する音量で音を出力させることを特徴とする請求項5に記載のデータ処理装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記接触面積が所定の値以上になると、前記スピーカに対する音量制御を開始することを特徴とする請求項5に記載のデータ処理装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記周辺機器に対する制御と前記接触面積との対応関係をユーザごとに記憶媒体に記憶させることを特徴とする請求項1ないし請求項7の何れかに記載のデータ処理装置。
【請求項9】
感圧式タッチパネルで物体との接触に応じて出力された接触圧力に係るデータに応じて周辺機器に対する制御を異ならせる制御手段を備えるデータ処理装置。
【請求項10】
前記制御手段は、前記周辺機器であるディスプレイに対して前記接触圧力に応じた異なる速度で画面をスクロール表示させることを特徴とする請求項9に記載のデータ処理装置。
【請求項11】
前記制御手段は、前記ディスプレイに対して前記接触圧力に比例する速度で画面をスクロール表示させることを特徴とする請求項10に記載のデータ処理装置。
【請求項12】
前記制御手段は、前記接触圧力が所定の値以上になると、前記ディスプレイに対するスクロール制御を開始させることを特徴とする請求項11に記載のデータ処理装置。
【請求項13】
前記制御手段は、前記周辺機器であるスピーカに対して前記接触圧力に応じた異なる音量で音を出力させることを特徴とする請求項9に記載のデータ処理装置。
【請求項14】
前記制御手段は、前記スピーカに対して前記接触圧力に比例する音量で音を出力させることを特徴とする請求項13に記載のデータ処理装置。
【請求項15】
前記制御手段は、前記接触圧力が所定の値以上になると、前記スピーカに対する音量制御を開始することを特徴とする請求項13に記載のデータ処理装置。
【請求項1】
タッチパネルで物体との接触に応じて出力された接触座標に係るデータで定義される接触面積に応じて周辺機器に対する制御を異ならせる制御手段を備えるデータ処理装置。
【請求項2】
前記制御手段は、ディスプレイに対して前記接触面積に応じた異なる速度で画面をスクロール表示させることを特徴とする請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記ディスプレイに対して前記接触面積に比例する速度で画面をスクロール表示させることを特徴とする請求項2に記載のデータ処理装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記接触面積が所定の値以上になると、前記ディスプレイに対するスクロール制御を開始することを特徴とする請求項2に記載のデータ処理装置。
【請求項5】
前記制御手段は、スピーカに対して前記接触面積に応じた異なる音量で音を出力させることを特徴とする請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記スピーカに対して前記接触面積に比例する音量で音を出力させることを特徴とする請求項5に記載のデータ処理装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記接触面積が所定の値以上になると、前記スピーカに対する音量制御を開始することを特徴とする請求項5に記載のデータ処理装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記周辺機器に対する制御と前記接触面積との対応関係をユーザごとに記憶媒体に記憶させることを特徴とする請求項1ないし請求項7の何れかに記載のデータ処理装置。
【請求項9】
感圧式タッチパネルで物体との接触に応じて出力された接触圧力に係るデータに応じて周辺機器に対する制御を異ならせる制御手段を備えるデータ処理装置。
【請求項10】
前記制御手段は、前記周辺機器であるディスプレイに対して前記接触圧力に応じた異なる速度で画面をスクロール表示させることを特徴とする請求項9に記載のデータ処理装置。
【請求項11】
前記制御手段は、前記ディスプレイに対して前記接触圧力に比例する速度で画面をスクロール表示させることを特徴とする請求項10に記載のデータ処理装置。
【請求項12】
前記制御手段は、前記接触圧力が所定の値以上になると、前記ディスプレイに対するスクロール制御を開始させることを特徴とする請求項11に記載のデータ処理装置。
【請求項13】
前記制御手段は、前記周辺機器であるスピーカに対して前記接触圧力に応じた異なる音量で音を出力させることを特徴とする請求項9に記載のデータ処理装置。
【請求項14】
前記制御手段は、前記スピーカに対して前記接触圧力に比例する音量で音を出力させることを特徴とする請求項13に記載のデータ処理装置。
【請求項15】
前記制御手段は、前記接触圧力が所定の値以上になると、前記スピーカに対する音量制御を開始することを特徴とする請求項13に記載のデータ処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2006−268073(P2006−268073A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−80962(P2005−80962)
【出願日】平成17年3月22日(2005.3.22)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月22日(2005.3.22)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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