説明

データ転送システムおよびナビゲーション装置

【課題】アイソクロナスデータ転送とバルク転送とが並行して行われる場合のバルクデータ転送速度を改善する。
【解決手段】ナビゲーション装置10には、ホスト設定でのみ使用されるUSBコントローラ14を介して音楽再生用電子機器30が接続され、ホスト/デバイス設定切替可能なUSBコントローラ15を介して携帯電話50が接続されている。音楽再生用電子機器30から音楽データをアイソクロナス転送で取得するとともに、携帯電話50から文字データをバルク転送で取得する際、文字データ受信用USBコントローラ15をホスト設定からデバイス設定に切換えるとともに、携帯電話50の携帯USBコントローラ55をデバイス設定からホスト設定に切換える。携帯電話50からのライト要求と書込データを受信すると、ナビゲーション装置10側ではナビMPU11によりデータをRAM13に転送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主プロセッサを有する主電子機器と、従プロセッサを有する従電子機器とをUSB接続してなるデータ転送システムおよびそのシステムに使用するナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、音楽再生用電子機器を車内LANにより接続するとともに、車載無線通信機器をUSBインターフェースで接続するようにしたナビゲーション装置を備えた車両用USBシステムが開示されている。この車両用USBシステムでは、ナビゲーション装置にホストUSBコントローラが設けられ、車載無線通信機器にはホスト/デバイス切替可能なUSBコントローラが設けられている。そして、ナビゲーション装置に異常が発生したとき、車載無線通信機器のUSBコントローラをデバイス設定からホスト設定に切換えて、センタに異常を通知するようにしている。
【0003】
【特許文献1】特開2006−301952号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発明者は、音楽再生用電子機器と携帯電話の双方をUSB接続したナビゲーション装置について種々の問題点を検討した。その結果、ナビゲーション装置に複数の電子機器をUSB接続して同時にデータ転送を行う場合、ナビゲーション装置のMPUの負荷によっては、ナビゲーション装置に転送されたデータの記録処理速度に問題があることが分かった。
【0005】
発明者は鋭意その問題点を解析した。その結果、USB接続した音楽再生用電子機器からアイソクロナス転送方式で音楽データをストリーミングしながら音楽再生している最中に、携帯電話から電話番号データを読み込む場合、文字データの記録処理速度が遅くなることが判明した。その原因は、アイソクロナスデータ転送は、ハイスピードモードを採用すると、125μ秒ごとにナビゲーション装置のプロセッサに割り込みを発生するためであった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明はこのような問題を解決するために提案され、以下の構成を採用するものである。
(1)請求項1の発明は、主プロセッサを有する主電子機器と、従プロセッサを有する第1従電子機器とをUSB接続して構成されるデータ転送システムにおいて、主電子機器に設けられ、ホスト/デバイス設定切換え可能な第1主USBコントローラと、第1従電子機器に設けられ、ホスト/デバイス設定切換え可能な第1従USBコントローラと、第1従電子機器から主電子機器へ転送するデータの記録処理が遅延するか否かを判定する判定手段と、判定手段により記録処理が遅延すると判定された場合、第1主USBコントローラをホスト設定からデバイス設定に切換えるとともに、第1従USBコントローラをデバイス設定からホスト設定に切換える制御手段とを備えることを特徴とする。
(2)請求項2の発明は、請求項1に記載のデータ転送システムにおいて、判定手段は、主プロセッサの実際の処理負荷が所定値以上であるときに、記録処理が遅延すると判定することを特徴とする。
(3)請求項3の発明は、請求項1または2のデータ転送システムにおいて、主電子機器は、第1主USBコントローラとは別の第2主USBコントローラを有し、第2主USBコントローラには、アイソクロナス転送により主電子機器にストリーミングデータを転送する第1従電子機器とは別の第2従電子機器が接続され、判定手段は、第2従電子機器からストリーミングデータがアイソクロナス転送されること、および、第1従電子機器から文字データがバルク転送されることを検出すると、記録処理が遅延すると判定することを特徴とする。
(4)請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のデータ転送システムにおいて、第1従USBコントローラを備える第1従電子機器を検索する検索手段をさらに備え、制御手段は、判定手段により記録処理が遅延すると判定された場合、検索手段により検索された第1従電子機器に接続されている第1主USBコントローラをホスト設定からデバイス設定に切換えるとともに、検索された第1従電子機器の第1従USBコントローラをデバイス設定からホスト設定に切換えることを特徴とする。
(5)請求項5の発明は、主プロセッサを有するナビゲーション装置と、ストリーミングデータを記憶する記憶媒体を有する第1電子機器と、文字データを記憶する記憶媒体を有する第2電子機器とを有し、ナビゲーション装置に第1および第2の電子機器をUSB接続して構成されるデータ転送システムにおいて、ナビゲーション装置に設けられ、ホスト/デバイス設定切換え可能であり、第2電子機器を接続するための第1主USBコントローラと、ナビゲーション装置に設けられ、第1電子機器を接続するためホスト設定された第2主USBコントローラと、第2電子機器に設けられ、ホスト/デバイス設定切換え可能であり、ナビゲーション装置に接続するための第1従USBコントローラと、第2電子機器からナビゲーション装置へ転送したデータの記録処理が遅延するか否かを判定する判定手段と、判定手段により記録処理が遅延すると判定された場合、第1主USBコントローラをホスト設定からデバイス設定に切換えるとともに、第1従USBコントローラをデバイス設定からホスト設定に切換える制御手段とを備えることを特徴とする。
(6)請求項6の発明は、請求項5のデータ転送システムにおいて、ナビゲーション装置に設けられ、ホスト/デバイス設定切換え可能な第1従USBコントローラを備える第2電子機器を検索する検索手段をさらに備え、制御手段は、判定手段により記録処理が遅延すると判定された場合、検索手段により検索された第2電子機器に接続されている第1主USBコントローラをホスト設定からデバイス設定に切換えるとともに、検索された第2電子機器の第1従USBコントローラをデバイス設定からホスト設定に切換えることを特徴とする。
(7)請求項7の発明は、請求項5のデータ転送システムに使用されるナビゲーション装置であって、主プロセッサと、第1および第2主USBコントローラと、判定手段と、制御手段とを備え、主プロセッサにより各種ナビゲーション機能を実行することを特徴とする。
(8)請求項8の発明は、請求項7のナビゲーション装置において、ホスト/デバイス設定切換え可能な第1従USBコントローラを備える第2電子機器を検索する検索手段をさらに備え、制御手段は、判定手段により記録処理が遅延すると判定された場合、検索手段により検索された第2電子機器に接続されている第1主USBコントローラをホスト設定からデバイス設定に切換えるとともに、検索されてた第2電子機器の第1従USBコントローラをデバイス設定からホスト設定に切換えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、主電子機器やナビゲーション装置のプロセッサの処理負荷が大きくなるような場合であっても、従電子機器や第2電子機器から転送されるデータの記録処理がむやみに長引くことがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明によるデータ転送システムを車載カーナビゲーションに適用した一実施形態の構成を図1に示す。図1のデータ転送システムは、ナビゲーション装置10と、音楽再生用電子機器(音楽プレイヤ)30と、携帯電話50と、パソコン(PC)70とを接続して構成されている。ナビゲーション装置10は、地図表示、経路誘導などの通常のナビゲーション機能、音楽再生機能、音楽リッピング機能、地上デジタル放送視聴および録画機能などを備えている。したがって、図示は省略するが、GPS受信機やジャイロなどで構成される自車位置検出装置、地図データを記憶するHDDのような記憶装置、地図や映像を表示する表示器、DVDドライブ装置、地上デジタル放送受信機なども備えている。
【0009】
ナビゲーション装置10は、MPU(以下、ナビMPU)11と、ROM12と、RAM13と、3種類のUSBコントローラ14〜16とを備えている。第1USBコントローラ14には音楽再生用電子機器(音楽プレイヤ)30が不図示のUSBコントローラを介して接続されている。このUSBコントローラはデバイス設定されている。音楽再生用電子機器30に記録されている音楽データは、アイソクロナス転送により第1USBコントローラ14が受信してRAM13に転送されて記録される。
【0010】
第2USBコントローラ15には携帯電話50が接続され、携帯電話50の文字データはバルク転送により第2USBコントローラ15が受信して、RAM13に転送されて記録される。文字データは、たとえば、携帯電話50に記録されている電話帳の文字情報である。第3USBコントローラ16にはパソコン(PC)70が不図示のUSBコントローラ(以下、PCUSBコントローラ)を介して接続されている。このUSBコントローラはホスト設定されている。インターネット経由でPC70で取得した地図データなどは、PCUSBコントローラの制御の下で第3USBコントローラ16が受信してRAM13に転送されて記録される。
【0011】
第1USBコントローラ14はホスト設定でのみ使用され、第2USBコントローラ15はホスト設定とデバイス設定を切換えて使用され、第3USBコントローラ16は、デバイス設定でのみ使用される。RAM13には、3種類のUSBコントローラ14〜16に対応した記憶領域13a〜13cがそれぞれ設定されている。
【0012】
携帯電話50は、MPU(以下、携帯MPU)51と、RAM52と、ROM53と、SDカード54と、USBコントローラ(以下、携帯USBコントローラと呼ぶ)55とを備えている。携帯USBコントローラ55はホスト設定とデバイス設定を切換えて使用することができる。
【0013】
USBコントローラ15および55は、上述したようにホストとして使用するモードと、デバイスとして使用する2つのモードを切替え可能である。ここで、ホストに設定されている第1USBコントローラ14を経由して音楽データをアイソクロナス転送により受信する場合を一例として説明する。ハイスピードモードで音楽データをUSB転送する際、第1USBコントローラ14は、125μ秒ごとにナビゲーション装置10のナビMPU11に割り込みをかける。これは、一定時間内に所定のデータ転送速度を保証するためである。そのため、読み込んだ音楽データをナビゲーション装置10で再生している最中に、携帯電話50から文字データをバルク転送する場合、125μ秒ごとにナビMPU11が割り込み処理を実行するため、ナビMPU11が携帯電話50へ送信するリード要求の出力が遅れる。そのため、文字データのRAM13への記録処理が遅くなる。
【0014】
そこで、ナビMPU11は、文字データと音楽データを並行して受信することを検出すると、ナビMPU11の負荷が大きくなると判定し、図2に示すように、第2USBコントローラ15をホスト設定からデバイス設定に切換えるとともに、携帯USBコントローラ55をデバイス設定からホスト設定に切換える。これにより、バルク転送時に第2USBコントローラは携帯電話50側へリード要求を出力する必要がなく、携帯電話50から送信される文字データをいったん保存して、ナビMPU11があいているときに、RAM13の所定のアドレスに転送するだけでよい。したがって、ナビMPU11の処理負荷によってバルク転送によるデータの転送速度に影響を与えない。
【0015】
図3は、上述したナビゲーション装置10と携帯電話50との間の通信プロトコルを説明する図である。ナビゲーション装置10の第2USBコントローラ15はホスト設定され、と携帯電話50の携帯USBコントローラ55はデバイス設定されている。ナビゲーション装置10から携帯電話50にリード要求101を送信すると、携帯USBコントローラ55は、携帯電話50のSDカード54から文字データを読み出し、第2USBコントローラ15へデータを送信する(102)。このような文字データのバルク転送中にCPU11の負荷が所定値以上に大きくなると、ナビMPU11から携帯MPU51に対して交換要求依頼103を送信する。これに応答して、携帯MPU51は交換要求応答信号(OK)104を返信する。
【0016】
ここでは、音楽再生用電子機器30から音楽データを読み込み再生する要求がある場合CPU11の負荷が所定値以上に大きくなるものと判断し、第2USBコントローラ15と携帯USBコントローラ55のそれぞれのホスト/デバイス設定の切換え処理を行い、その後、音楽データの転送を開始するものとする。
【0017】
交換要求応答信号(OK)104を受信したナビMPU11が交換時転送開始セクタ105を送信すると、携帯MPU51は、交換時転送開始セクタ105を保存し、設定切替許可信号(OK)を第2USBコントローラ15へ送信するとともに、携帯USBコントローラ55をホスト設定に切り替える(106A)。設定切替許可信号(OK)を受信したナビMPU11は第2USBコントローラ15をデバイス設定に切り替える(106B)。携帯USBコントローラ55をホスト設定に切り替えた後、携帯MPU51がナビMPU11に対して第2USBコントローラ15のデバイス認証を要求すると(107)、ナビMPU11は第2USBコントローラ15がデバイス設定されていることを確認し、認証完了信号108を携帯MPU51へ送信する。
【0018】
以上のようにして、第2USBコントローラ15をデバイスに、携帯USBコントローラ55をホストに設定した後、携帯MPU51は、上述したようにRAM52に保存した転送開始セクタに基づいて、再開する文字データをRAM52から読み出して第2USBコントローラ15へ送信し始める。具体的には、携帯MPU51はライト要求を第2USBコントローラ15に送信するとともに、一定量の文字データをRAM52から読み出し、第2USBコントローラ15を介してナビゲーション装置10へ送信する(109)。第2USBコントローラ15が受信した文字データはRAM13に転送されて保存される。
【0019】
第2USBコントローラ15を経由して一定量のデータを受信すると、ナビMPU11は受信完了信号(受信OK)110を携帯MPU51に返信する。この信号を受信して携帯MPU51は、再度、ライト要求を第2USBコントローラ15に送信するとともに、一定量の文字データをRAM52から読み出し、第2USBコントローラ15を介してナビゲーション装置10へ送信する(111)。このような処理を繰り返して、携帯電話50に記録されている文字データをナビゲーション装置10のRAM13の所定格納領域13bに記録する。
【0020】
ナビゲーション装置10と携帯電話50との間で文字データの転送が終了すると、文字データの転送終了が携帯MPU51からナビMPU11へ通知される。具体的には、携帯MPU51からナビMPU11へ交換要求依頼113を送信すると、この通知を受信してナビMPU11は第2USBコントローラ15をホスト設定に切替える(114A)。そして、携帯MPU51に対して交換要求応答114を送信して、携帯USBコントローラ55をデバイス設定に切換えるよう指令する。交換要求応答114を受信した携帯電話50は携帯USBコントローラ55をデバイス設定に切換える(114B)。
【0021】
第1USBコントローラ14を介してナビゲーション装置10と音楽プレイヤ30との間で音楽データの再生が終了した場合も同様である。すなわち、ナビMPU11は、音楽データの再生終了を検出すると、第2USBコントローラ15をホスト設定に切替えるとともに、携帯MPU51に対して携帯USBコントローラ55をデバイス設定に切換えるよう指令すればよい。
【0022】
図4は図3に示した通信プロトコルによる各種処理を説明するフローチャートである。この処理は、ROM12に格納されているプログラムをナビMPU11上で起動して実行される。以下では、携帯電話50が接続された状態でナビゲーション装置10の電源がオンされたものとして説明する。
【0023】
電源がオンされると、ステップS1において、ナビMPU11は第2USBコントローラ15をホストに設定するとともに、携帯USBコントローラ55をデバイスに設定する指令を携帯電話50に送信する。ステップS2において、携帯電話50から文字データを読み込む指示が発生したことをナビMPU11が検出すると、ステップS3に進み、ナビMPU11は携帯MPU51に文字データのリード要求を送信する。このリード要求により携帯電話50から文字データが送信されてくると、第2USBコントローラ15からナビMPU11を経由してRAM13bに文字データが転送されて記録される。
【0024】
ステップS4において、ナビMPU11の負荷が所定値以上になるデータ処理がユーザから指示されたことをナビMPU11が検知すると、ステップS5に進む。ステップS5において、ナビMPU11は携帯USBコントローラ55をホストに設定する指令(交換要求依頼)を携帯電話50に送信する。ステップS6において、ナビMPU11が、携帯電話50から交換要求応答信号(OK)を受信すると、ステップS7において、ナビMPU11は交換時転送開始セクタを携帯電話50へ送信する。交換時転送開始セクタは、RAM13上で文字データが最後に格納された領域を示す。
【0025】
ステップS8において、ナビMPU11が設定切替許可信号(OK)を受信すると、ステップS9において、ナビMPU11は第2USBコントローラ15をデバイスに設定する。ステップS10において、ナビMPU11が携帯電話50からのデバイス認証を受信すると、第2USBコントローラ15がデバイスに設定されていることを確認し、ステップS11において、携帯電話50に対して認証完了信号を送信する。
【0026】
その後は、ステップS12に進み、携帯電話50からライト要求とともに送信されるデータの受信を検出すると、ステップS13において、ナビMPU11は受信OK信号を携帯電話50に返信する。ステップS14において、このような処理を文字データの転送処理が終了するまで繰り返し行う。ステップS14で文字データの転送が全て終了することを判定すると、ステップS15に進み、ナビUSBコントローラ15をホストに設定し、携帯USBコントローラ55をデバイスに設定して処理を終了する。
【0027】
ステップS2で文字データの読込指示ではないと判定されると、ステップS21に進む。ステップS21で音楽データ再生指示と判定されると、ステップS22に進み、音楽データを読込み、再生する。ステップS23で音楽データ再生が終了と判定されると、処理を終了する。一方、ステップS21で音楽データ再生ではないと判定されると、ステップS31でその他の処理を実行して処理を終了する。
【0028】
以上説明した一実施の形態によるナビゲーション装置10のデータ転送システムによれば次のような作用効果を奏することができる。
(1)ナビMPU11の負荷が所定値以上になることが予想される場合、あるいは、ナビMPU11の実負荷が所定値以上になると、ナビゲーション装置10の第2USBコントローラ15をホスト設定からデバイス設定に切換えるとともに、携帯電話50の携帯USBコントローラ55をデバイス設定からホスト設定に切換える。そして、携帯USBコントローラ55がホスト設定に切り換わった後は、携帯電話50からライト要求とともに書込データをナビゲーション装置10に送信し、ナビゲーション装置10側ではDMA転送により受信データをRAM13に転送して記録するようにした。したがって、ナビMPU11は携帯電話50へリード要求を出力する必要がなく、ナビMPU11の処理負荷に起因して文字データの転送記録処理がむやみに長引くことがない。
【0029】
以上説明したデータ転送システムは、図5および図6に示すようなナビゲーション装置にも適用できる。
【0030】
図5に示す実施形態では、ナビゲーション装置10には携帯電話50だけが接続されている。ナビゲーション装置10には、ホスト/デバイス設定切替え可能な第2USBコントローラ15が設けられ、携帯電話50にはホスト/デバイス設定切替え可能な携帯USBコントローラ55が設けられている。このようなナビゲーションシステムにおいては、地図スクロールなどの指令によりナビMPU11の処理負荷が大きいときに、第2USBコントローラ15をホスト設定からデバイス設定にするとともに、携帯USBコントローラ55をホスト設定とすることにより、図1〜図4により説明した実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
なお、図5においては、ナビゲーショ装置10および携帯電話50のMPUなどの機器の図示を省略している。
【0031】
図6に示す実施形態では、ナビゲーション装置10Aには、音楽再生用電子機器30と、携帯電話50と、PDA75が接続されている。ナビゲーション装置10Aには、ホスト/デバイス設定切替え可能な第2および第3USBコントローラ15および16Aが設けられるとともに、ホスト設定でのみ使用される第1USBコントローラ14が設けられている。第1〜第3USBコントローラ14〜16Aには、それぞれ音楽再生用電子機器30、携帯電話50、PDA75がそれぞれ接続されている。携帯電話50およびPDA75には、ホスト/デバイス設定切替え可能なUSBコントローラ50とUSBコントローラ76が設けられている。
【0032】
図6のシステムでは、PDA75とナビゲーション装置10Aとの間で文字データなどをバルク転送している場合に、ナビゲーション装置10Aと音楽再生用電子機器30との間で音楽データのストリーミング再生が指示されると、上述したのと同様にして、ナビゲーション装置10Aの第3USBコントローラ16Aをデバイス設定に切換えるとともに、PDA75のUSBコントローラ76をホスト設定として文字データを転送する。
【0033】
このようなナビゲーションシステムでも、図1〜図4により説明した実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0034】
以上説明したデータ転送システムを次のように変形してもよい。
(1)バルク転送による文字データ転送とアイソクロナス転送による音楽データ転送とが並行して行われることを検知すると、第2USBコントローラ15をホスト設定からデバイス設定に切り替えるようにした。しかし、ナビMPU11の実際の処理負荷を測定し、処理負荷が所定値以上のときに負荷が大きいことを判定した場合にホスト設定とデバイス設定を切り替えるようにしてもよい。
【0035】
(2)第2USBコントローラ15をデバイス設定に切り替えた後、携帯電話50から一定量の文字データを受信することをナビMPU11が判定し、ナビMPU11が携帯電話50に受信OKを返信するようにした。しかし、第2USBコントローラ15にバルク転送における一定量のデータを受信可能なバッファメモリを設け、一定量のデータを受信すると受信OKを返信するように第2USBコントローラ15を構成してもよい。
【0036】
本発明の特徴を損なわない限り、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の形態についても、本発明の範囲内に含まれる。したがって、データ転送システムは車載用ナビゲーション装置のデータ転送システムに限定されない。
【0037】
なお、以上説明した実施の形態におけるナビゲーション装置の各構成要素と特許請求の範囲の各構成要素との対応関係は以下のとおりである。
ナビMPU11が主プロセッサに、ナビゲーション装置10が主電子機器に、携帯MPU51が従プロセッサに、携帯電話50が第1従電子機器または第2電子機器に、第2USBコントローラ15が第1主USBコントローラに、携帯USBコントローラ55が第1従USBコントローラに、ナビゲーションMPU11が判定手段、制御手段および検索手段にそれぞれ対応する。音楽再生用電子機器30が第2従電子機器や第1電子機器に、音楽再生用電子機器30のUSBコントローラが第2従USBコントローラにそれぞれ対応する。
なお、以上の対応関係の説明は一例であり、権利解釈に際してなんら拘束されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明をナビゲーション装置に適用したデータ転送システムの一実施の形態における構成を示すブロック図
【図2】図1のデータ転送システムにおいて、ホスト、デバイス設定の切替を説明するブロック図
【図3】ナビゲーション装置と携帯電話との間の通信プロトコルを説明する図
【図4】ナビゲーション装置と携帯電話との間の通信プロトコルを実現するためのフローチャート
【図5】本発明の他の実施の形態のデータ転送システムを説明する図
【図6】本発明のさらに他の実施の形態のデータ転送システムを説明する図
【符号の説明】
【0039】
10,10A:ナビゲーション装置 11:ナビMPU
13:RAM 14〜16,16A:第1〜第3USBコントローラ
30:音楽再生用電子機器 50:携帯電話
51:携帯MPU 55:携帯USBコントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主プロセッサを有する主電子機器と、従プロセッサを有する第1従電子機器とをUSB接続して構成されるデータ転送システムにおいて、
前記主電子機器に設けられ、ホスト/デバイス設定切換え可能な第1主USBコントローラと、
前記第1従電子機器に設けられ、ホスト/デバイス設定切換え可能な第1従USBコントローラと、
前記第1従電子機器から前記主電子機器へ転送するデータの記録処理が遅延するか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により前記記録処理が遅延すると判定された場合、前記第1主USBコントローラをホスト設定からデバイス設定に切換えるとともに、前記第1従USBコントローラをデバイス設定からホスト設定に切換える制御手段とを備えることを特徴とするデータ転送システム。
【請求項2】
請求項1のデータ転送システムにおいて、
前記判定手段は、前記主プロセッサの実際の処理負荷が所定値以上であるときに、前記記録処理が遅延すると判定することを特徴とするデータ転送システム。
【請求項3】
請求項1または2のデータ転送システムにおいて、
前記主電子機器は、前記第1主USBコントローラとは別の第2主USBコントローラを有し、
前記第2主USBコントローラには、アイソクロナス転送により前記主電子機器にストリーミングデータを転送する前記第1従電子機器とは別の第2従電子機器が接続され、
前記判定手段は、前記第2従電子機器からストリーミングデータが前記アイソクロナス転送されること、および、前記第1従電子機器から文字データがバルク転送されることを検出すると、前記記録処理が遅延すると判定することを特徴とするデータ転送システム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のデータ転送システムにおいて、
前記第1従USBコントローラを備える前記第1従電子機器を検索する検索手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記判定手段により前記記録処理が遅延すると判定された場合、前記検索手段により検索された前記第1従電子機器に接続されている前記第1主USBコントローラをホスト設定からデバイス設定に切換えるとともに、前記検索された前記第1従電子機器の第1従USBコントローラをデバイス設定からホスト設定に切換えることを特徴とするデータ転送システム。
【請求項5】
主プロセッサを有するナビゲーション装置と、
ストリーミングデータを記憶する記憶媒体を有する第1電子機器と、
文字データを記憶する記憶媒体を有する第2電子機器とを有し、
前記ナビゲーション装置に前記第1および第2の電子機器をUSB接続して構成されるデータ転送システムにおいて、
前記ナビゲーション装置に設けられ、ホスト/デバイス設定切換え可能であり、前記第2電子機器を接続するための第1主USBコントローラと、
前記ナビゲーション装置に設けられ、前記第1電子機器を接続するためのホスト設定された第2主USBコントローラと、
前記第2電子機器に設けられ、ホスト/デバイス設定切換え可能であり、前記ナビゲーション装置に接続するための第1従USBコントローラと、
前記第2電子機器から前記ナビゲーション装置へ転送したデータの記録処理が遅延するか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により前記記録処理が遅延すると判定された場合、前記第1主USBコントローラをホスト設定からデバイス設定に切換えるとともに、前記第1従USBコントローラをデバイス設定からホスト設定に切換える制御手段とを備えることを特徴とするデータ転送システム。
【請求項6】
請求項5のデータ転送システムにおいて、
前記ナビゲーション装置に設けられ、前記ホスト/デバイス設定切換え可能な前記第1従USBコントローラを備える第2電子機器を検索する検索手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記判定手段により前記記録処理が遅延すると判定された場合、前記検索手段により検索された第2電子機器に接続されている前記第1主USBコントローラをホスト設定からデバイス設定に切換えるとともに、前記検索された第2電子機器の前記第1従USBコントローラをデバイス設定からホスト設定に切換えることを特徴とするデータ転送システム。
【請求項7】
請求項5のデータ転送システムに使用されるナビゲーション装置であって、
前記主プロセッサと、前記第1および第2主USBコントローラと、前記判定手段と、前記制御手段とを備え、前記主プロセッサにより各種ナビゲーション機能を実行することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項8】
請求項7のナビゲーション装置において、
前記ホスト/デバイス設定切換え可能な前記第1従USBコントローラを備える第2電子機器を検索する検索手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記判定手段により前記記録処理が遅延すると判定された場合、前記検索手段により検索された前記第2電子機器に接続されている前記第1主USBコントローラをホスト設定からデバイス設定に切換えるとともに、前記検索された前記第2電子機器の前記第1従USBコントローラをデバイス設定からホスト設定に切換えることを特徴とするナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−116788(P2009−116788A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−291885(P2007−291885)
【出願日】平成19年11月9日(2007.11.9)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】