説明

トランスミッション付きトルクコンバータのバルブ装置

【課題】1つのバルブ装置で、レギュレータ機能と、インチング機能との2つの機能を有するようにし、バルブ装置を小型化する。
【解決手段】バルブ本体14内に移動可能に収容されたスプール軸23及び調圧ピストン29と、オイルポンプよりの圧油を流入させる第1ポート32、コントロールバルブに吐出させる第2ポート33、オリフィスを介してトルクコンバータに吐出する第3ポート34、及びシリンダ室の圧油を排出可能なドレンポート35と、外部からの操作により軸方向に移動するインチングロッド18と、スプール軸23を左方に常時付勢するとともに、インチングロッド18が右向に移動したとき付勢力が減少して、調圧ピストン29によりドレンポート35が開口されるようにした付勢手段26、27とを備えてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばフォークリフト等のトランスミッション付きトルクコンバータの油圧回路中に設けられるバルブ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばエンジンの動力を、トルクコンバータを介してトランスミッションに伝達して走行するフォークリフトにおいては、油圧回路中に、トルクコンバータに供給される油圧を一定圧に調整するレギュレータバルブと、クラッチへの圧油の供給量(圧力)を制御して、クラッチをいわゆる半クラッチ(インチング)状態とし、フォークリフトによる作業性を向上させたり、発進や停止を円滑にしたりするインチングバルブとを設けることがある(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−249129号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1に記載のものにおいては、トランスミッション付きトルクコンバータの油圧回路中にレギュレータバルブとインチングバルブとを個別に設けているため、それらをトランスミッションケース等に設置する場所が制約されるだけでなく、メンテナンスも面倒であり、かつ部品点数や組付工数も増加するのでコスト高となる。
【0004】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、レギュレータ機能とインチング機能との2つの機能を有するようにすることにより、小型化を図り、設置場所の自由度を拡大するとともに、メンテナンス等も容易に行いうるようにし、かつ部品点数や組立工数を削減してコスト低減が図れるようにした、トランスミッション付きトルクコンバータのバルブ装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
(1)トランスミッション付きトルクコンバータにおけるオイルポンプとクラッチとの間の油圧回路に設けられ、前記オイルポンプよりの圧油を、前記トルクコンバータに調圧して供給するとともに、前記クラッチを作動させるコントロールバルブに調圧して供給し、クラッチをインチング状態としうるようにしたバルブ装置であって、バルブ本体と、このバルブ本体の内部のガイド孔内に軸方向に移動可能に収容されたスプール軸と、このスプール軸の側端に連設され、前記バルブ本体の側端部内に設けた前記ガイド孔と連通するシリンダ孔内を軸方向に移動可能な調圧ピストンと、前記シリンダ孔を囲む前記バルブ本体の周壁に設けられた、オイルポンプよりの圧油を前記調圧ピストンの側方のシリンダ室に流入させる第1ポート、シリンダ室に流入した圧油を前記コントロールバルブに吐出させる第2ポート、同じくシリンダ室に流入した圧油を、オリフィスを介して前記トルクコンバータに吐出する第3ポート、及び前記調圧ピストンにより開閉され、シリンダ室の圧油を排出可能なドレンポートと、前記ガイド孔に、軸線方向に移動可能として収容され、外部からの操作と連動して、前記スプール軸と離れる軸方向に移動するインチングロッドと、このインチングロッドとスプール軸との対向面間に設けられ、前記スプール軸をインチングロッドと反対方向に常時付勢するとともに、前記インチングロッドがスプール軸と離れる方向に移動したとき付勢力が減少して、前記調圧ピストンによりドレンポートが開口されるようにした付勢手段とを備えてなる。
【0006】
(2)上記(1)項において、付勢手段を、長さと径の異なる内外二重の圧縮コイルばねとし、インチングロッドがスプール軸と離れる方向に移動したとき、長い方の圧縮コイルばねのみの付勢力がスプール軸に加わるようにする。
【0007】
(3)上記(2)項において、長い方の圧縮コイルばねのばね定数を、短かい方の圧縮コイルばねのばね定数よりも小とする。
【0008】
(4)上記(1)〜(3)項のいずれかにおいて、インチングロッドを、付勢手段よりも付勢力の大きいリターンばねにより、常時スプール軸方向に付勢する。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の発明によれば、付勢手段により付勢された調圧ピストンが、ドレンポートを開口するまでは、所定圧に調圧された圧油が第3ポートを介してトルクコンバータに供給される。また、シリンダ室の油圧が、付勢手段の付勢力以上に高まると、調圧ピストンが付勢手段に抗してドレンポートを開口する方向に移動し、ドレンポートを開口して圧油を排出するため、規定圧以上の圧油がトルクコンバータに供給されることはない。
【0010】
一方、インチングロッドを外部から操作し、スプール軸から離れる方向に移動させると、付勢手段の付勢力が減少して、調圧ピストンがドレンポートを開口する方向に移動し、シリンダ室の圧油を排出するため、コントロールバルブに供給される圧油の圧力が減圧され、クラッチはインチング(半クラッチ)状態となる。
【0011】
このように、1つのバルブ装置で、トルクコンバータへの圧油の圧力を調整するレギュレータ機能と、クラッチをインチング状態とするインチング機能との2つの機能を有するため、レギュレータバルブとインチングバルブとを個別に設けた従来のものに比して、バルブ装置が小型化され、その設置場所の自由度が拡大するとともに、メンテナンス等も容易となる。
また部品点数や組立工数も削減されるので、コスト低減が可能となる。
【0012】
請求項2記載の発明によれば、インチングロッドがスプール軸と離れる方向に移動すると、スプール軸の付勢力が急減し、調圧ピストンが速くドレンポートを開口して、シリンダ室の圧油を排出するため、コントロールバルブに供給される圧油の圧力も大きく減圧され効果的にインチング状態(半クラッチ状態)とすることができる。
【0013】
請求項3記載の発明によれば、スプール軸の付勢力がさらに小さくなるので、請求項2の効果が大きくなる。
【0014】
請求項4記載の発明によれば、万一インチングロッドと、これを操作する車両のインチングペダルとの連結部等にがたが発生したとしても、インチングロッドを常に定位置に付勢しておくことができるので、シリンダ室内の圧油の圧力変動が防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1は、本発明を適用した、例えばフォークリフト等の車両のトランスミッション付きトルクコンバータの油圧回路を示すもので、(1)は、オイルパン(2)の油を吸引して圧送するオイルポンプ、(3)は、トルクコンバータ、(4)は、トルクコンバータ(3)に連結されたトランスミッション、(5)は、ラインフィルタ、(6)は、トランスミッション(4)の前進ギヤ(図示略)への動力の伝達を断続する前進用クラッチ、(7)は、同じく後進ギヤ(図示略)への動力の伝達を断続する後進用クラッチである。
【0016】
各クラッチ(6)(7)は、トルクコンバータ(3)より吐出され、ラインフィルタ(5)を通過した油により潤滑されるようになっている。
【0017】
オイルポンプ(1)に接続された主油圧回路(8)には、本発明のバルブ装置(9)と、アキュムレータ(10)とが接続され、またアキュムレータ(10)の吐出ポート(図示略)に接続されたクラッチ作動回路(11)には、コントロールバルブである4ポート3位置切換型の前後進切換用のソレノイドバルブ(12)が接続されている。
【0018】
(13)は、アキュムレータ(10)への油の流入量を絞り込むオリフィスである。
【0019】
ソレノイドバルブ(12)の2個の吐出ポート(図示略)は、前進用クラッチ(6)と後進用クラッチ(7)とに接続され、車両の変速レバーの操作と連動して、ソレノイドバルブ(12)を電気的に作動させることにより、アキュムレータ(10)を介して供給される圧油が、前進用クラッチ(6)と後進用クラッチ(7)とのいずれかに選択的に送り込まれ、両クラッチ(6)(7)が接続されるようになっている。アキュムレータ(10)及びオリフィス(13)は、各クラッチ(6)(7)の断続をスムーズに行わせるためのものであるが、これらは省略することもある。
【0020】
なお、図1の状態では、ソレノイドバルブ(12)は中立位置にあり、流入ポートを閉じて、両クラッチ(6)(7)に供給された油を排出することにより、両クラッチ(6)(7)は切れた状態となっている。
【0021】
図2は、車両のエンジン停止状態、すなわちオイルポンプ(1)の非作動状態における本発明のバルブ装置(9)の詳細を示すもので、バルブ装置(9)におけるバルブ本体(14)の内部には、径の異なる大径ガイド孔(15)と小径ガイド孔(16)及び小径ガイド孔(16)よりも小径のシリンダ孔(17)とが、互いに連通するように左右方向に向かって設けられている。
【0022】
大径ガイド孔(15)内には、図示しない車両のインチングペダルに連係されたインチングロッド(18)の一端に連設されたばね受けピストン(19)が、左右方向に移動可能に収容されている。
【0023】
ばね受けピストン(19)の右端面と、インチングロッド(18)が突出するバルブ本体(14)の右方の側壁(14a)の内面との間には、リターンばね(圧縮コイルばね)(20)が縮設され、インチングペダルを操作しない通常時において、インチングロッド(18)は、ばね受けピストン(19)の左端面が大径ガイド孔(15)と小径ガイド孔(16)との段差面(21)と当接する左限位置に付勢されている。
【0024】
(22)は、バルブ本体(14)に穿設された気抜孔で、大径ガイド孔(15)を大気又はオイルパン等に連通させて、インチングロッド(18)の移動を円滑にするためのものである。
【0025】
小径ガイド孔(16)内には、大小径の異なるスプール軸(23)における中間部に連設されたばね受けピストン(24)と、その左右の大径軸(25)とが、左右方向に移動可能に収容されている。
【0026】
小径ガイド孔(16)内において両ばね受けピストン(19)(24)の対向面間には、内外二重の圧縮コイルばね、すなわち自由長を大とした大径の第1圧縮コイルばね(26)と、それよりもばね定数が大で自由長が短かく、かつ小径の第2圧縮コイルばね(27)とが、大径軸(25)に嵌挿されて収容されている。なお、第1、第2圧縮コイル(26)(27)を合わせたばね定数(ばね力)は、リターンばね(20)のばね定数(ばね力)よりも小とされている。
【0027】
(22)は、上記と同様の気抜孔で、小径ガイド孔(16)に連通することにより、スプール軸(23)の移動を円滑とするためのものである。
【0028】
スプール軸(23)の左方の小径軸(28)の左端には、調圧ピストン(29)が一体的に連設され、この調圧ピストン(29)は、バルブ本体(14)の左方のシリンダ孔(17)内に左右方向に移動可能に嵌合されている。
【0029】
オイルポンプ(1)が作動していない図2の状態においては、第1圧縮コイルばね(26)のみが、両ばね受けピストン(19)(24)との対向面に圧接し、この第1圧縮コイルばね(26)により、スプール軸(23)には左向きの初期付勢力が付与されている。
【0030】
この状態において、ばね受けピストン(24)の左端面が、大径ガイド孔(16)と小径のシリンダ孔(17)との段差面(30)に当接することにより、スプール軸(23)は左限に位置し、調圧ピストン(29)の左端面と、バルブ本体(14)の左方の側壁(14b)の内面との間のガイド孔(17)内に、調圧油室(31)が形成されるようになっている。
【0031】
バルブ本体(14)の左端部の周壁、すなわちシリンダ孔(17)を囲む周壁には、左方から順に、互いに対向する第1ポート(32)及び第2ポート(33)と、第3ポート(34)と、ドレンポート(35)とが設けられている。
【0032】
第1及び第2ポート(32)(33)は、主油圧回路(8)に接続され(図1参照)、調圧油室(31)に圧油を流入させる流入ポートと、調圧油室(31)に流入した圧油をソレノイドバルブ(12)に吐出させる吐出ポートとしての機能を有する。
【0033】
第3ポート(34)は、回路(36)を介して、トルクコンバータ(3)に接続され(図1参照)、調圧油室(31)の調圧された圧油が供給されるようになっている。
【0034】
ドレンポート(35)は、調圧油室(31)内の油圧が所定圧以上となったとき、及びインチングペダルを操作して、インチングロッド(18)が右方に移動したときに開かれて、調圧油室(31)内の圧油をオイルパン(2)に排出するものである。
【0035】
図1に示すように、第3ポート(34)とトルクコンバータ(3)とを接続している回路(36)には、第3ポート(34)からトルクコンバータ(3)に供給される圧油の油量を絞ることにより、調圧油室(31)内の油圧を定圧に保つオリフィス(37)が設けられている。なお、このオリフィス(37)は、調圧弁とすることもある。
【0036】
次に、上記バルブ装置(9)の作用を説明する。
エンジン及びそれにより入力されるトルクコンバータ(3)が回転し、オイルポンプ(1)が作動すると、主油圧回路(8)に圧油が吐出され、この回路(8)内の油圧が上昇する。
【0037】
すると、図3に示すように、バルブ装置(9)の調圧油室(31)に、第1ポート(32)を介して圧油が供給され、調圧ピストン(29)が右方に押圧される。これにより、スプール軸(23)全体は、第1圧縮コイルばね(26)を圧縮させながら右方に移動し、第2圧縮コイルばね(27)の右端がインチングロッド(18)のばね受けピストン(19)に当接して、ばね力が大となり、油圧とバランスしたところで停止する。この際、インチングロッド(18)は、ばね定数の大きなリターンばね(20)により左方に付勢されているので、右方に移動することはない。
【0038】
スプール軸(23)が右方に移動すると、調圧ピストン(29)が、それまで閉じていた第3ポート(34)を開くことにより、所定の圧力に調圧された圧油が、回路(36)を介してトルクコンバータ(3)に向かって流れ、これを潤滑する。また同時、圧油は、アキュムレータ(10)を介してクラッチ作動回路(11)に向かっても流れるため、ソレノイドバルブ(12)を作動させると、前進用クラッチ(6)及び後進用クラッチ(7)のいずれかが接続されて、車両の通常走行が可能となる。
【0039】
エンジンの回転数が高くなるなどして、オイルポンプ(1)の吐出圧が大となると、図4に示すように、調圧油室(31)内の油圧も大となることにより、調圧ピストン(29)及びスプール軸(23)全体は、第1、第2圧縮コイルばね(26)(27)を圧縮させながら、右方に移動し、それまで閉じていたドレンポート(35)が開かれる。これにより、調圧油室(31)の油圧が減圧され、それにより調圧された圧油が、第3ポート(34)よりトルクコンバータ(3)に供給される。なお、この際にも、インチングロッド(18)は、ばね定数を大としたリターンばね(20)により左限に押圧されているので、右方に移動することはない。
【0040】
図5〜図7は、クラッチ(6)(7)をインチング状態、いわゆる半クラッチ状態とするべく、車両のインチングペダルを踏み込み、それに連係されたインチングロッド(18)の右方への移動量を段階的に変化させた状態を示している。
【0041】
図5に示すように、インチングロッド(18)がリターンばね(20)を圧縮させて若干右方に移動すると、ばね受けピストン(19)とスプール軸(23)との間の間隔が大となり、自由長の小さい第2圧縮コイルばね(27)がばね受けピストン(19)より離れることにより、スプール軸(23)には第1圧縮コイルばね(26)のみの弱い付勢力が作用する。
【0042】
これにより、スプール軸(23)は、調圧油室(31)内の油圧により右方に若干移動させられ、第1圧縮コイルばね(26)のばね力とバランスしたところで停止する。この際、調圧ピストン(29)がドレンポート(35)を開き始める位置まで移動するように設定し、調圧油室(31)内の圧油がドレンポート(35)より微量だけ排出されるようにすると、第2ポート(33)を介してソレノイドバルブ(12)に向かって流れる圧油の圧力が僅かに減圧される。すると、クラッチ(6)又は(7)に供給されている圧油の圧力も若干減圧されることにより、インチング開始状態、すなわちクラッチが切れ始める。
【0043】
図6に示すように、インチングロッド(18)がさらに右方に移動すると、ばね受けピストン(19)とスプール軸(23)との間隔も大きくなり、第1圧縮コイルばね(26)が伸長して、スプール軸(23)の付勢力がさらに小さくなることにより、スプール軸(23)の右方への移動量が大となる。その結果、ドレンポート(35)の開口面積が大きくなって、調圧油室(31)の圧油の排出量が増大し、ソレノイドバルブ(12)に供給される圧油の圧力がさらに減圧される。
これにより、クラッチ(6)又は(7)の油圧も低下し、インチング(半クラッチ)状態となる。
【0044】
インチングペダルをいっぱいまで踏み込み、インチングロッド(18)を最大ストローク右方に移動すると、図7に示すように、ばね受けピストン(19)とスプール軸(23)とがさらに離間し、第1圧縮コイルばね(26)がさらに伸長して、スプール軸(23)の付勢力が弱まることにより、調圧油室(31)の油圧によりスプール軸(23)は、右方に大きく移動する。
【0045】
これにより、調圧ピストン(29)によりドレンポート(35)は大きく開口され、調圧油室(31)内の圧油の排出量が増大することにより、ソレノイドバルブ(12)に供給されていた圧油の圧力が急速に低下するため、クラッチは完全に切れ、車両は停止する。
【0046】
なお、上記インチング状態とした際には、トルクコンバータ(3)に供給される圧油の圧力も減圧されることとなるが、クラッチの摩耗を防止するため、通常、インチング状態とするのは数秒の短時間であり、しかもオリフィス(37)を有しているので、トルクコンバータ(3)に供給される圧油の圧力変動は小さく、何ら問題となることはない。
【0047】
図7の状態において、インチングペダルからゆっり足を離すと、インチングロッド(18)が左方に移動するため、上記と逆の作用により、クラッチ(6)(7)に供給される圧油の油量及び圧力が徐々に増大し、再度インチング状態を経て、クラッチは緩やかに接続される。
【0048】
以上説明したように、上記実施形態のバルブ装置(9)においては、トルクコンバータ(3)に供給される圧油の圧力を調整するレギュレータ機能と、クラッチへの圧油の供給量(圧力)を制御して、クラッチをインチング状態とするインチング機能との2つの機能を有しているため、従来のように、レギュレータバルブとインチングバルブとを個別に設ける必要はなくなる。
【0049】
その結果、バルブ装置(9)が小型化して、その設置場所の自由度が拡がるとともに、メンテナンス等も容易となる。
また、部品点数や組付工数も削減されるので、コスト低減が図れるようになる。
【0050】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。
上記実施形態では、外側の第1圧縮コイルばね(26)の自由長を長く、内側の第2圧縮コイルばね(27)の自由長を短寸とし、かつばね定数を大としているが、それらを逆として、内側の第2圧縮コイルばね(27)を、常時インチングロッド(18)のばね受けピストン(19)に圧接するようにしてもよい。
【0051】
また、それらのばね定数を等しくして、長さのみを変えてもよい。
さらに、1個の圧縮コイルばねを用いることもある。
【0052】
インチングロッド(18)を、インチングペダルもしくは、それに連係されたエアシリンダ等の駆動手段に追従して、直接作動させるようにすれば、リターンばね(20)は省略することができる。
【0053】
第3ポート(34)をオリフィス状に小径とすれば、回路(36)のオリフィス(37)は省略してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明を適用したトランスミッション付きトルクコンバータの油圧回路である。
【図2】本発明のバルブ装置の中央縦断正面図である。
【図3】同じく、トルクコンバータへの圧油調圧時の中央縦断正面図である。
【図4】同じく、ドレンポートを開口してトルクコンバータへの圧油を調圧したときの中央縦断正面図である。
【図5】同じく、インチング開始直後の中央縦断正面図である。
【図6】同じく、インチング中の中央縦断正面図である。
【図7】同じく、インチング終了時の中央縦断正面図である。
【符号の説明】
【0055】
(1)オイルポンプ
(2)オイルパン
(3)トルクコンバータ
(4)トランスミッション
(5)ラインフィルタ
(6)前進用クラッチ
(7)後進用クラッチ
(8)主油圧回路
(9)バルブ装置
(10)アキュムレータ
(11)クラッチ作動回路
(12)ソレノイドバルブ(コントロールバルブ)
(13)オリフィス
(14)バルブ本体
(14a)(14b)側壁
(15)大径ガイド孔
(16)小径ガイド孔
(17)シリンダ孔
(18)インチングロッド
(19)ばね受けピストン
(20)リターンばね
(21)段差面
(22)気抜孔
(23)スプール軸
(24)ばね受けピストン
(25)大径軸
(26)第1圧縮コイルばね
(27)第2圧縮コイルばね
(28)小径軸
(29)調圧ピストン
(30)段差面
(31)調圧油室
(32)第1ポート
(33)第2ポート
(34)第3ポート
(35)ドレンポート
(36)回路
(37)オリフィス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トランスミッション付きトルクコンバータにおけるオイルポンプとクラッチとの間の油圧回路に設けられ、前記オイルポンプよりの圧油を、前記トルクコンバータに調圧して供給するとともに、前記クラッチを作動させるコントロールバルブに調圧して供給し、クラッチをインチング状態としうるようにしたバルブ装置であって、
バルブ本体と、このバルブ本体の内部のガイド孔内に軸方向に移動可能に収容されたスプール軸と、このスプール軸の側端に連設され、前記バルブ本体の側端部内に設けた前記ガイド孔と連通するシリンダ孔内を軸方向に移動可能な調圧ピストンと、前記シリンダ孔を囲む前記バルブ本体の周壁に設けられた、オイルポンプよりの圧油を前記調圧ピストンの側方のシリンダ室に流入させる第1ポート、シリンダ室に流入した圧油を前記コントロールバルブに吐出させる第2ポート、同じくシリンダ室に流入した圧油を、オリフィスを介して前記トルクコンバータに吐出する第3ポート、及び前記調圧ピストンにより開閉され、シリンダ室の圧油を排出可能なドレンポートと、前記ガイド孔に、軸線方向に移動可能として収容され、外部からの操作と連動して、前記スプール軸と離れる軸方向に移動するインチングロッドと、このインチングロッドとスプール軸との対向面間に設けられ、前記スプール軸をインチングロッドと反対方向に常時付勢するとともに、前記インチングロッドがスプール軸と離れる方向に移動したとき付勢力が減少して、前記調圧ピストンによりドレンポートが開口されるようにした付勢手段とを備えることを特徴とするトランスミッション付きトルクコンバータのバルブ装置。
【請求項2】
付勢手段を、長さと径の異なる内外二重の圧縮コイルばねとし、インチングロッドがスプール軸と離れる方向に移動したとき、長い方の圧縮コイルばねのみの付勢力がスプール軸に加わるようにしてなる請求項1記載のトランスミッション付きトルクコンバータのバルブ装置。
【請求項3】
長い方の圧縮コイルばねのばね定数を、短かい方の圧縮コイルばねのばね定数よりも小としてなる請求項2記載のトランスミッション付きトルクコンバータのバルブ装置。
【請求項4】
インチングロッドを、付勢手段よりも付勢力の大きいリターンばねにより、常時スプール軸方向に付勢してなる請求項1〜3のいずれかに記載のトランスミッション付きトルクコンバータのバルブ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−270862(P2007−270862A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−94225(P2006−94225)
【出願日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(000000561)株式会社岡村製作所 (1,415)
【Fターム(参考)】