説明

ドア装置

【課題】フレームに対しドアパネルの上下方向の振動を確実に抑制できるドア装置を提供する。
【解決手段】機体側のフレーム41の一側部材41aにヒンジ36,37によりドアパネル20の一側部を開閉自在に取付ける。このドアパネル20の一側部に対し、ドアパネル20の他側部にて垂直面部20aの内側板23に第1の制振凹部71を設けるとともに、ドアパネル20の他側部にて上部の折曲面部20bの内側板23に第2の制振凹部72を設ける。機体側のフレーム41の他側部材41bには、ドアパネル20の開閉にともない第1の制振凹部71と係脱自在の第1の制振プランジャ73と、第2の制振凹部72と係脱自在の第2の制振プランジャ74とをそれぞれ設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアパネルにラッチ装置が設けられたドア装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図15は、作業機械としての油圧ショベル10を示し、下部走行体11に上部旋回体12が旋回可能に設けられ、この上部旋回体12上にキャブ13、作業装置14、エンジンなどの動力装置15が搭載されている。動力装置15は、上部カバー16およびサイドドア17などにより覆われている。これらの上部カバー16およびサイドドア17は、機体側フレームにヒンジにより開閉自在に取付けられている。これらのサイドドア17などは、基本的にはラッチ装置18により機体側フレームに閉じ状態で固定される(例えば、特許文献1、2、3参照)。
【0003】
サイドドア17には、上下振動を抑えるための振止部品19が取付けられ、図16に示されるようにこの振止部品19を、機体側フレームに取付けられた上下振動規制体19aと係合させることで、サイドドア17の上下振動を抑えるようにしている。
【0004】
このような上下振動を抑える手段としては、2つのサイドドアの重ね合わされた部分を同時に振れ止めするものや(例えば、特許文献1参照)、サイドドア側のストッパ部材を機体側フレームのストッパ受けと嵌合させるものもある(例えば、特許文献3参照)。
【特許文献1】特開2001−262618号公報(第3−4頁、図2−4)
【特許文献2】特開2007−137183号公報(第3頁、図3−5)
【特許文献3】特開2007−170114号公報(第5−8頁、図2−7)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1、3に示されたサイドドア型のドアパネルは、機体側フレームに一側部のヒンジにより水平方向開閉自在に取付けられた垂直面部に対し、上部にフレーム側に折曲された折曲面部が形成されており、垂直面部のみに上下振動を抑える手段を設けているが、上部の折曲面部には振動を抑える手段がない。上部の折曲面部は、自由端であるから振動しやすい。
【0006】
この振動を防止するために、例えば機体側フレームに設置したストッパをドア閉じ時に上部の折曲面部に当接したとしても、ドアパネルの上下方向の振動を抑制する十分な摩擦が得られず、ドアパネルの上下方向の振動を確実に抑制できない。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、フレームに対しドアパネルの上下方向の振動を確実に抑制できるドア装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載された発明は、フレームと、フレームに一側部のヒンジにより水平方向開閉自在に取付けられた垂直面部に対し上部がフレーム側に折曲されて折曲面部が形成されたドアパネルと、ドアパネルのヒンジとは反対側の他側部にて垂直面部をフレーム側に係脱可能なラッチ装置と、ドアパネルの他側部にて垂直面部の内側に設けられた第1の制振係合部と、ドアパネルの他側部にて折曲面部の内側に設けられた第2の制振係合部と、フレーム側に設けられてドアパネルの開閉にともない第1の制振係合部と係脱自在の第1の制振体と、フレーム側に設けられてドアパネルの開閉にともない第2の制振係合部と係脱自在の第2の制振体とを具備し、第1の制振係合部および第1の制振体は、上下方向に係合するとともに、第2の制振係合部および第2の制振体は、上下方向に係合する構成のドア装置である。
【0009】
請求項2に記載された発明は、請求項1記載のドア装置におけるドアパネルが、外側板と、外側板の内側面に固定されるとともに外側板との間に空間を形成する外側板より薄い板厚の内側板と、外側板と内側板との間の空間に充填された発泡材とを備え、第1の制振係合部および第2の制振係合部は、内側板に形成された構成のドア装置である。
【0010】
請求項3に記載された発明は、請求項2記載のドア装置における第1の制振係合部を、垂直面部の内側板に形成された全周閉じ状態の凹部とし、第2の制振係合部を、折曲面部の内側板に形成された一側方が開放された凹部としたものである。
【0011】
請求項4に記載された発明は、請求項2記載のドア装置における第1の制振係合部を、垂直面部の内側板に形成された全周閉じ状態の凹部とし、第2の制振係合部を、折曲面部の角部にて内側板に形成された斜面部としたものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載された発明によれば、フレームに一側部のヒンジにより水平方向開閉自在に取付けられた垂直面部に対し上部がフレーム側に折曲されて折曲面部が形成されたドアパネルにおいて、ドアパネルの他側部にて垂直面部に設けられた第1の制振係合部およびフレーム側に設けられた第1の制振体は、上下方向に係合するとともに、ドアパネルの他側部にて折曲面部に設けられた第2の制振係合部およびフレーム側に設けられた第2の制振体は、上下方向に係合するので、第1の制振係合部および第1の制振体によりドアパネルの垂直面部の上下振動を抑制できるとともに、第2の制振係合部および第2の制振体によりドアパネルの折曲面部の上下振動を抑制でき、フレームに対するドアパネルの上下方向の振動を確実に抑制できる。
【0013】
請求項2に記載された発明によれば、外側板とこの外側板より薄い内側板とで形成された中空の閉断面構造により軽量化を図ることができるとともに、内側板とこれより厚い外側板とで形成された十分な高さをもった中空の閉断面構造により、外側からの衝撃に対して十分な強度を確保できる強固なドアパネルを安価に提供でき、さらに、発泡材により、ドアパネル自体から発生する音を効果的に減衰させることができ、すなわち音の減衰効果が高く、内側板に形成された第1の制振係合部および第2の制振係合部と、フレーム側に設けられた第1の制振体および第2の制振体との係合による制振効果との相乗作用により、効果的に低騒音化を図ることができる。
【0014】
請求項3に記載された発明によれば、第1の制振係合部は、内側板の垂直面部に形成された全周閉じ状態の凹部であり、第2の制振係合部は、内側板の折曲面部にて一側方が開放された凹部であるので、2つの制振係合部と、対応する2つの制振体との係合によりドアパネルの振動を確実に抑制でき、特に、内側板の垂直面部ほどプレス成形が容易でなく伸びが少ないことから十分な窪みがとりにくい折曲面部であっても、第2の制振係合部における凹部の一側方を開放することで、第2の制振体を係合できる深さの窪みを絞り加工することができ、第2の制振係合部と第2の制振体との係合でも必要な摩擦が得られ、ドアパネルの振動を確実に抑制できる。
【0015】
請求項4に記載された発明によれば、第1の制振係合部は、垂直面部における内側板の形成された全周閉じ状態の凹部であり、第2の制振係合部は、折曲面部における内側板の角部に形成された斜面部であるので、2つの制振係合部を、対応する2つの制振体により挟み込むようにしてドアパネルの上下振動を確実に抑制できるとともに、第2の制振係合部は斜面部とするので、内側板の垂直面部ほどプレス成形が容易でなく伸びが少ないことから十分な窪みがとれない折曲面部であっても、第2の制振係合部を容易にプレス成形できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を、図1乃至図11に示された一実施の形態を参照しながら詳細に説明する。
【0017】
図11は、作業機械としての油圧ショベル10を示し、下部走行体11に上部旋回体12が旋回可能に設けられ、この上部旋回体12上にキャブ13、作業装置14、エンジンなどの動力装置15が搭載されている。動力装置15は、上部カバー16およびサイドドア17などにより覆われている。
【0018】
図4乃至図6は、サイドドア17のドアパネル20を示し、このドアパネル20は、外側板21と、この外側板21より薄い板厚の板金を凹凸状にプレス成形して外側板21の内側面に凹部を固定するとともに凸部と外側板21との間に空間22を形成する内側板23と、これらの外側板21と内側板23との間の空間22に充填された発泡材24とを具備している。
【0019】
図5および図6に示されるように、内側板23は、凹状に成形されて外側板21に接合された凹部27,28と、これらの凹部27,28に対し膨出成形された凸部29とを具備している。
【0020】
凹部27は、接着剤により外側板21と接着される部分であり、この凹部27内に、接着剤溜まりを兼ねた縦方向の補強用凸部31が設けられ、また、横方向の凸部29には、補強用の凸部32が設けられている。
【0021】
図6に示されるように、外側板21の周縁部は、内側板23の周縁部を包みこむように折返して押しつぶすようにヘミング加工したへミング加工部33を備えている。
【0022】
内側板23の少なくとも周縁部は、接着剤により外側板21に接着され、この接着剤により外側板21と内側板23とを接合するとともにシールする。接着剤は、粘性と熱硬化性を有するペーストタイプ構造用接着剤が望ましい。
【0023】
内側板23の一側部内には外側板21に接着された内部補強板(図に表れず)が設けられ、図5に示されるように、内側板23に開口されたヒンジ取付窓34,35を通して、内部補強板にヒンジ36,37が溶接などで取付けられている。
【0024】
油圧ショベルの上部旋回体12上には、図1に示されるように機体側のフレーム41が取付けられ、このフレーム41の一側部材41aにヒンジ36,37により、サイドドア17のドアパネル20の一側部が水平方向開閉自在に取付けられている。このドアパネル20は、垂直面部20aに対し、上部がフレーム41側に折曲されて折曲面部20bが形成されている。
【0025】
このドアパネル20のヒンジ36,37とは反対側の他側部には、垂直面部20aをフレーム41側に係脱可能なラッチ装置42のラッチ機構部43が設けられている。一方、ドアパネル20の開閉にともないドアパネル20が当接される方向に対向してフレーム41の他側部材41bに固定された取付板44aよりラッチ装置42の係合体としてのストライカ44が突設され、このストライカ44に対しドアパネル20側に設けられたラッチ機構部43が係脱可能となっている。
【0026】
図7、図9および図10に示されるように、ストライカ44は、フレーム41側の取付板44aに固定される上下1対の取付基板部45と、これらの取付基板部45からラッチ機構部43側にV字状に膨出形成された一方の振止係合部としての複数の振止斜面部46と、これらの振止斜面部46間の先端平面部47から突出されてラッチ機構部43に挿入される丸形断面部材によりコ字形に成形された係止部としてのフック金具48とを備えている。
【0027】
このストライカ44の各取付基板部45には、上下方向に細長く形成された長穴がそれぞれ設けられ、これらの長穴に図9に示されるように挿入されたボルト50と、このボルト50に螺合されたナット50aとの締付により、ストライカ44がフレーム41側の取付板44aに取付けられる。その際に、長穴の範囲内でストライカ44の上下方向位置を調整できる。
【0028】
図7乃至図9に示されるように、ラッチ機構部43は、ドアパネル20に取付けられる取付板51に機構本体部52を構成する一対の本体プレート52a,52bが、それぞれボルト53およびナット54により取付けられ、この機構本体部52の本体プレート52a,52bには、ストライカ44のフック金具48と嵌合するラッチ溝部55がそれぞれU字形に切込み形成され、これらの各ラッチ溝部55の開口側に他方の振止係合部としての複数の振止規制部56がそれぞれV字形に一体形成されている。これらの振止規制部56は、ラッチ溝部55の開口側に位置する本体プレート52a,52bの一部を外側へ折曲して形成する。
【0029】
ストライカ44の複数の振止斜面部46およびラッチ機構部43の複数の振止規制部56は、それぞれ上下に配置され、上下の振止規制部56は、ストライカ44の上下の振止斜面部46と密着して機構本体部52の上下方向の振動を抑える。
【0030】
取付板51には、操作板収納部57が設けられ、この操作板収納部57の内部には、図7に示されるように係合解除用の操作板58が軸59により回動可能に取付けられている。
【0031】
ラッチ機構部43は、機構本体部52の1対の本体プレート52a,52bの一側部間に回動自在に軸支されたラッチプレート61と、1対の本体プレート52a,52bの他側部間に回動自在に軸支されたロック体62とを備えている。
【0032】
ラッチプレート61は、ストライカ44のフック金具48が図9から図10に示されるようにラッチ溝部55に挿入されるときにこのフック金具48を受入れる受入溝63を有し、この受入溝63がラッチ溝部55の開口側に開放される角度に、図8に示されるスプリング64で附勢されストッパ65で係止されているが、フック金具48の挿入動作に応じて回動することでその受入溝63を閉じることができる。
【0033】
ロック体62は、ラッチプレート61の周面にスプリング66で附勢されて、受入溝63を閉じた角度のラッチプレート61を係止する。このロック体62の係止は、操作板58の回動と連動する係合解除体67により解除する。係合解除体67は、隣接して設置された施錠装置68により、その係合解除動作を規制される。
【0034】
このラッチ機構部43の取付板51は、リベット69によりドアパネル20に取付ける。
【0035】
図1に示されるように、機体側のフレーム41の一側部材41aにヒンジ36,37によりドアパネル20の一側部の垂直面部20aが開閉自在に取付けられ、このドアパネル20の一側部に対し、ドアパネル20の他側部にて垂直面部20aの内側板23に第1の制振係合部としての第1の制振凹部71が設けられ、ドアパネル20の他側部にて上部の折曲面部20bの内側板23に第2の制振係合部としての第2の制振凹部72が設けられている。
【0036】
一方、機体側のフレーム41の他側部材41bには、ドアパネル20の開閉にともない第1の制振凹部71と係脱自在の第1の制振体としての第1の制振プランジャ73と、ドアパネル20の開閉にともない第2の制振凹部72と係脱自在の第2の制振体としての第2の制振プランジャ74とが、それぞれ設けられている。
【0037】
第1の制振プランジャ73は、フレーム41の他側部材41bの中段部に固定されたL形の取付板75を介して取付けられ、第2の制振プランジャ74は、フレーム41の他側部材41bの上部に固定されたL形の取付板76を介して取付けられている。
【0038】
図2に示されるように、第1の制振凹部71は、ドアパネル20の折曲部20cより下側に形成された垂直面部20aにおける内側板23の凸部29に形成された全周閉じ状態の横長楕円形状の凹部であり、全周にわたって図2紙面から手前に向かって拡大するテーパ71aが設けられている。また、第2の制振凹部72は、ドアパネル20の折曲部20cより上側に形成された折曲面部20bにおける内側板23の凸部29に形成された一側方が開放された切欠部77を有する横長楕円形状の凹部であり、この切欠部77を除く全周にわたって図2紙面から手前に向かって拡大するテーパ72aが設けられている。
【0039】
図3に示されるように、第1の制振凹部71および第1の制振プランジャ73は、上下方向に係合する係合箇所78a,78bを有するとともに、第2の制振凹部72および第2の制振プランジャ74は、上下方向に係合する係合箇所79a,79bを有する。
【0040】
第1の制振プランジャ73の取付板75は、フレーム41の他側部材41bの中段部にボルト81により固定され、第1の制振プランジャ73は、取付板75に固着されたナット82と螺合するねじ軸83に取付けられ、このねじ軸83と螺合する他のナット84により締着されるので、このナット84を緩めてねじ軸83の螺進位置を調整することで、第1の制振凹部71に対する制振プランジャ73の挿入深度を調節できる。
【0041】
同様に、第2の制振プランジャ74の取付板76は、フレーム41の他側部材41bの上部にボルト85により固定され、第2の制振プランジャ74は、取付板76に固着されたナット86と螺合するねじ軸87に取付けられ、このねじ軸87と螺合する他のナット88により締着されるので、このナット88を緩めてねじ軸87の螺進位置を調整することで、第2の制振凹部72に対する制振プランジャ74の挿入深度を調節できる。
【0042】
次に、この実施の形態の作用効果を説明する。
【0043】
図1に示されるように一側の機体側のフレーム41にヒンジ36,37により開閉自在に取付けられたサイドドア17のドアパネル20が、他側の機体側のフレーム41に向かって閉じられるときは、図9に示されるように、フレーム41側のストライカ44に向かってドアパネル20のラッチ機構部43が移動し、その機構本体部52に設けられたラッチ溝部55に、図10に示されるようにストライカ44のフック金具48が挿入される。
【0044】
その際、ラッチプレート61の受入溝63がストライカ44のフック金具48により押圧されて、図10に示されるように、ラッチプレート61が回転し、ストライカ44のフック金具48を拘束係止する。
【0045】
このとき、ラッチ機構部43の機構本体部52に一体に設けられた上下の振止規制部56と、ストライカ44に一体に設けられた上下の振止斜面部46とが係合し、サイドドア17のドアパネル20は、上下方向の振動を起こさないように規制される。
【0046】
そして、機体側のフレーム41に一側部のヒンジ36,37により水平方向開閉自在に取付けられた垂直面部20aに対し上部がフレーム41側に折曲されて折曲面部20bが形成されたドアパネル20において、図3に示されるようにドアパネル20の他側部にて垂直面部20aに設けられた第1の制振凹部71および機体側のフレーム41側に設けられた第1の制振プランジャ73は、上下方向に係合するとともに、ドアパネル20の他側部にて折曲面部20bに設けられた第2の制振凹部72および機体側のフレーム41側に設けられた第2の制振プランジャ74は、上下方向に係合するので、第1の制振凹部71および第1の制振プランジャ73によりドアパネル20の垂直面部20aの上下振動を抑制できるとともに、第2の制振凹部72および第2の制振プランジャ74によりドアパネル20の折曲面部20bの上下振動を抑制できることから、機体側のフレーム41に対するドアパネル20の上下方向の振動を確実に抑制できる。
【0047】
外側板21とこの外側板21より薄い内側板23とで形成された中空の閉断面構造により軽量化を図ることができるとともに、内側板23とこれより厚い外側板21とで形成された十分な高さをもった中空の閉断面構造により、外側からの衝撃に対して十分な強度を確保できる強固なドアパネル20を安価に提供でき、さらに、内側板23と外側板21との間に充填された発泡材24により、ドアパネル20自体から発生する音を効果的に減衰させることができ、すなわち音の減衰効果が高く、しかも、内側板23に形成された第1の制振凹部71および第2の制振凹部72と、機体側のフレーム41に設けられた第1の制振プランジャ73および第2の制振プランジャ74との係合による制振効果との相乗作用により、効果的に低騒音化を図ることができる。
【0048】
第1の制振凹部71は、内側板23の垂直面部20aに形成された全周閉じ状態の凹部であり、第2の制振凹部72は、内側板23の折曲面部20bにて一側方が開放された凹部であるので、2つの制振係合部と、対応する2つの制振体との係合によりドアパネル20の振動を確実に抑制でき、特に、内側板23の垂直面部20aほどプレス成形が容易でなく伸びが少ないことから十分な窪みがとりにくい折曲面部20bであっても、第2の制振凹部72における凹部の一側方を開放することで、第2の制振プランジャ74を係合できる深さの窪みを絞り加工することができ、第2の制振凹部72と第2の制振プランジャ74との係合でも必要な摩擦が得られ、ドアパネル20の振動を確実に抑制できる。
【0049】
次に図12は、他の実施の形態を示し、第1の制振係合部は、垂直面部20aにて内側板23に形成された全周閉じ状態の制振凹部71であり、第2の制振係合部は、折曲面部20bの角部にて内側板23に形成された斜面部91である。この斜面部91は、凸部29の角部を斜めに切落した状態に形成されている。
【0050】
そして、制振凹部71には、第1の制振体としての制振プランジャ(図示せず)が挿入され、斜面部91には、第2の制振体としての係合板(図示せず)が係合される。この係合板は、斜面部91の形状に合わせてフレーム41の他側部材41bの上部に斜めに設置された鋼板などであり、これらの制振プランジャと係合板とによって、制振凹部71および斜面部91を挟み込むように押さえることで、ドアパネル20の上下振動を押さえ込むようにする。
【0051】
この実施の形態によれば、第1の制振係合部は、内側板23の垂直面部20aに形成された全周閉じ状態の制振凹部71であり、第2の制振係合部は、折曲面部20bにおける内側板23の角部に形成された斜面部91であるので、これらの制振凹部71および斜面部91を、対応する2つの制振体により挟み込むようにしてドアパネル20の上下振動を確実に抑制できるとともに、第2の制振係合部は斜面部91とするので、内側板23の垂直面部20aほどプレス成形が容易でなく伸びが少ないことから十分な窪みがとれない折曲面部20bであっても、この制振係合部を容易にプレス成形できる。
【0052】
次に、図13および図14は、さらに別の実施の形態を示す。
【0053】
図13に示されるように、外側板21には、正6角形に形成された複数の通気穴95を通気穴各辺の結合部を介してハニカム状に集合させたハニカム状通気穴集合部96が、穴加工により複数組設けられている。
【0054】
内側板23の凹部27は、外側板21のハニカム状通気穴集合部96と対応して横方向に3列形成され、これらの凹部27には、外側板21のハニカム状通気穴集合部96より大きな通気用開口部97がそれぞれ穴加工により設けられている。
【0055】
すなわち、外側板21のハニカム状通気穴集合部96と、内側板23の凹部としての凹部27に開口された通気用開口部97は、1対1で対応して複数組設けられているが、内側板23の通気用開口部97は、外側板21のハニカム状通気穴集合部96よりやや大きく形成されている。
【0056】
図14に示されるように、第1の制振係合部としての第1の制振凹部71は、ドアパネル20の垂直面部20aにおける内側板23の凸部29に形成された全周閉じ状態の凹部であり、第2の制振係合部としての第2の制振凹部72は、ドアパネル20の折曲面部20bにおける内側板23の凸部29に形成された一側方が開放された切欠部77を有する凹部である。
【0057】
第1の制振凹部71に挿入される第1の制振体としての第1の制振プランジャと、第2の制振凹部72に挿入される第2の制振体としての第2の制振プランジャは、図1および図3に示されたものと同様であるから、その説明を省略する。
【0058】
この図13および図14に示された実施の形態によれば、通気穴95および通気用開口部97を通して、通気性を確保することによりサイドドア17の内側の室を換気することができ、酷暑に対応できる。また、2つの制振凹部71,72と、これらに嵌合される2つの制振プランジャとの係合によりドアパネル20の振動を確実に抑制でき、特に、内側板23の垂直面部ほどプレス成形が容易でなく伸びが少ないことから十分な窪みがとりにくい折曲面部20bであっても、第2の制振凹部72の一側方を開放することで、第2の制振プランジャを係合できる深さの窪みを絞り加工することができ、第2の制振凹部72と第2の制振プランジャとの係合でも必要な摩擦が得られ、ドアパネル20の振動を確実に抑制できる。
【0059】
本発明は、油圧ショベルなどの作業機械のサイドドア、リアドアなどに利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明に係るドア装置の一実施の形態を示す斜視図である。
【図2】同上ドア装置のドアパネルの要部を拡大した内面図である。
【図3】同上ドア装置の要部を切欠いた側面図である。
【図4】同上ドア装置のドアパネルを示す外面側の斜視図である。
【図5】同上ドア装置のドアパネルを示す内面側の斜視図である。
【図6】同上ドア装置のドアパネルの一部の拡大断面図である。
【図7】同上ドア装置に設けられたラッチ装置の斜視図である。
【図8】同上ラッチ装置のラッチ機構部を示す斜視図である。
【図9】同上ラッチ装置の結合前の状態を示す側面図である。
【図10】同上ラッチ装置の結合後の状態を示す側面図である。
【図11】同上ドア装置を備えた作業機械の平面図である。
【図12】本発明に係るドア装置のドアパネルにおける他の実施の形態を示す要部の拡大内面図である。
【図13】本発明に係るドア装置のドアパネルのさらに別の実施の形態を示す内面側の斜視図である。
【図14】図13に示された実施の形態の要部を拡大した内面側の斜視図である。
【図15】従来のドア装置を備えた作業機械の斜視図である。
【図16】従来のドア装置に設けられた上下振動規制手段を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0061】
20 ドアパネル
20a 垂直面部
20b 折曲面部
21 外側板
22 空間
23 内側板
24 発泡材
36,37 ヒンジ
41 フレーム
42 ラッチ装置
71 第1の制振係合部としての第1の制振凹部
72 第2の制振係合部としての第2の制振凹部
73 第1の制振体としての第1の制振プランジャ
74 第2の制振体としての第2の制振プランジャ
91 斜面部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームと、
フレームに一側部のヒンジにより水平方向開閉自在に取付けられた垂直面部に対し上部がフレーム側に折曲されて折曲面部が形成されたドアパネルと、
ドアパネルのヒンジとは反対側の他側部にて垂直面部をフレーム側に係脱可能なラッチ装置と、
ドアパネルの他側部にて垂直面部の内側に設けられた第1の制振係合部と、
ドアパネルの他側部にて折曲面部の内側に設けられた第2の制振係合部と、
フレーム側に設けられてドアパネルの開閉にともない第1の制振係合部と係脱自在の第1の制振体と、
フレーム側に設けられてドアパネルの開閉にともない第2の制振係合部と係脱自在の第2の制振体とを具備し、
第1の制振係合部および第1の制振体は、上下方向に係合するとともに、第2の制振係合部および第2の制振体は、上下方向に係合する
ことを特徴とするドア装置。
【請求項2】
ドアパネルは、
外側板と、
外側板の内側面に固定されるとともに外側板との間に空間を形成する外側板より薄い板厚の内側板と、
外側板と内側板との間の空間に充填された発泡材とを備え、
第1の制振係合部および第2の制振係合部は、内側板に形成された
ことを特徴とする請求項1記載のドア装置。
【請求項3】
第1の制振係合部は、垂直面部の内側板に形成された全周閉じ状態の凹部であり、
第2の制振係合部は、折曲面部の内側板に形成された一側方が開放された凹部である
ことを特徴とする請求項2記載のドア装置。
【請求項4】
第1の制振係合部は、垂直面部の内側板に形成された全周閉じ状態の凹部であり、
第2の制振係合部は、折曲面部の角部にて内側板に形成された斜面部である
ことを特徴とする請求項2記載のドア装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−108619(P2009−108619A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−282981(P2007−282981)
【出願日】平成19年10月31日(2007.10.31)
【出願人】(000190297)キャタピラージャパン株式会社 (1,189)
【Fターム(参考)】