説明

ドライブレコーダとして機能する携帯電話機、プログラム及びドライブレコード方法

【課題】新たにドライブレコーダ専用装置を必要とすることなく、既存の携帯電話機をドライブレコーダとして機能させることができる携帯電話機等を提供する。
【解決手段】カメラ部及び加速度センサを有し、車輌の走行中又は停車中におけるドライブレコーダとして用いる携帯電話機であって、当該携帯電話機で実行されるドライブレコードアプリケーションは、車輌外内の映像を連続的に撮影するべく、カメラ部を制御するカメラ制御手段と、カメラ部によって撮影された映像を、所定時間範囲のみ、連続的に先入れ先出し方式で録画する映像録画手段と、加速度センサによって計測された加速度データが、当該車輌の急激な衝撃に基づく所定閾値以上となったか否かを検知する衝撃検知手段と、衝撃検知手段によって検知された衝撃時点における前後の映像を、映像録画手段から取得して保存する映像保存手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輌内で使用するドライブレコーダの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
「ドライブレコーダ」とは、車輌の走行データを記録する装置をいう。走行データとは、例えば、時間経過に基づく走行速度及び加速度だけでなく、走行中の車内外を撮影した映像及び音声も含まれる。記録された走行データは、一般に、交通事故の検証のために用いられる場合が多い。事故の状況は、当事者の主観的な記憶ではなく、ドライブレコーダによる客観的な記録によって判断することができる。ドライブレコーダは、例えば、数分間の走行データを上書きしながら記録し続ける。そして、速度又は加速度における急変といった衝撃を検知した際に、その前後の一定時間の走行データが保存される。
【0003】
従来、ドライブレコーダは、車輌に固定的に取り付けられた専用装置であって、カメラ部と記録メモリ部とを有する。これに対し、近年、携帯電話機を、ドライブレコーダとして用いる技術がある(例えば特許文献1及び2参照)。これら技術によれば、携帯電話機のカメラ部を車外へ向けて、映像(及び音声)を連続的に撮影することができる。
【0004】
尚、ドライブレコーダとは異なる他の技術として、ハンズフリー機器(例えばヘッドセット)によって、携帯電話機の機能を制御する技術もある(例えば特許文献3参照)。この技術によれば、車輌のエンジン始動に合わせて自動的に、携帯電話機の機能をハンズフリー機器に移行させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−245836号公報
【特許文献2】特開2007−300150号公報
【特許文献3】特開2001−197556号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
携帯電話機をドライブレコーダとして用いる特許文献1及び2に記載された技術によれば、事故発生時のトリガとして、車輌本体から車速信号及び衝撃検知信号を入力している。そのために、車輌には、携帯電話機の置き台を必要とする。その置き台には、車輌からの車速信号線、衝撃検知信号線及び充電用線のインタフェースが備えられている。一方で、携帯電話機も、車速信号線及び衝撃検知信号線によって車速及び衝撃検知の情報を取得し、充電用線によって連続的な撮影動作が可能とする。
【0007】
しかしながら、特許文献1及び2に記載された技術によれば、車輌に、携帯電話機に対応した専用の置き台を設置する必要があり、その置き台には、車輌から車速信号線、衝撃検知信号線及び充電用線をつなぐ必要がある。また、携帯電話機についても、充電用線以外に、車速信号線及び衝撃検知信号線のインタフェースを別途備える必要がある。車輌と携帯電話機との間のインタフェースの追加は、コストの増加だけでなく、工数の増加と、普及促進の弊害となる。
【0008】
そこで、本発明は、新たにドライブレコーダ専用装置を必要とすることなく、既存の携帯電話機をドライブレコーダとして機能させることができる携帯電話機、プログラム及びドライブレコード方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、カメラ部及び加速度センサを有し、車輌の走行中又は停車中におけるドライブレコーダとして用いる携帯電話機であって、
当該携帯電話機で実行されるドライブレコードアプリケーションは、
車輌外内の映像を連続的に撮影するべく、カメラ部を制御するカメラ制御手段と、
カメラ部によって撮影された映像を、所定時間範囲のみ、連続的に先入れ先出し方式で録画する映像録画手段と、
加速度センサによって計測された加速度データが、当該車輌の急激な衝撃に基づく所定閾値以上となったか否かを検知する衝撃検知手段と、
衝撃検知手段によって検知された衝撃時点における前後の映像を、映像録画手段から取得して保存する映像保存手段と
を有することを特徴とする。
【0010】
本発明の携帯電話機における他の実施形態によれば、
測位電波を受信し、現在位置を測位する測位部と、
衝撃検知手段によって検知された衝撃時点に、測位部を起動する測位起動手段とを更に有し、
映像保存手段は、映像と共に、測位部によって測位された現在位置を保存することも好ましい。
【0011】
本発明の携帯電話機における他の実施形態によれば、衝撃検知手段によって検知された衝撃時点の後、携帯電話網に対して発呼し、現在位置情報を含む緊急メッセージを、所定相手方装置へ送信する緊急メッセージ送信手段を更に有することも好ましい。
【0012】
本発明の携帯電話機における他の実施形態によれば、緊急メッセージは、映像保存手段に保存された映像を更に含むことも好ましい。
【0013】
本発明の携帯電話機における他の実施形態によれば、
当該携帯電話機は、外部機器に対する有線/無線を介した接続インタフェースと、
外部機器からの特定信号を接続インタフェースによって受信することによって、ドライブレコードアプリケーションを起動するアプリケーション起動手段と
を更に有することも好ましい。
【0014】
本発明の携帯電話機における他の実施形態によれば、外部機器は、車輌内で利用される無線を介したハンズフリー装置であることも好ましい。
【0015】
本発明の携帯電話機における他の実施形態によれば、外部機器は、当該携帯電話機に充電する充電装置であることも好ましい。
【0016】
本発明の携帯電話機における他の実施形態によれば、充電装置は、当該携帯電話機に対して、給電コイルによって電磁誘導で充電する非接触充電方式のものであることも好ましい。
【0017】
本発明によれば、カメラ部及び加速度センサを有する携帯電話機に搭載されたコンピュータを、車輌の走行中又は停車中におけるドライブレコーダとして機能させるドライブレコードアプリケーションプログラムであって、
車輌外内の映像を連続的に撮影するべく、カメラ部を制御するカメラ制御手段と、
カメラ部によって撮影された映像を、所定時間範囲のみ、連続的に先入れ先出し方式で録画する映像録画手段と、
加速度センサによって計測された加速度データが、当該車輌の急激な衝撃に基づく所定閾値以上となったか否かを検知する衝撃検知手段と、
衝撃検知手段によって検知された衝撃時点における前後の映像を、映像録画手段から取得した保存する映像保存手段と
してコンピュータを機能させることを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、カメラ部及び加速度センサを有する携帯電話機を、車輌の走行中又は停車中におけるドライブレコーダとして機能させるドライブレコード方法であって、
カメラ部を用いて、車輌外内の映像を連続的に撮影する第1のステップと、
カメラ部によって撮影された映像を、所定時間範囲のみ、連続的に先入れ先出し方式で録画する第2のステップと、
加速度センサによって計測された加速度データが、当該車輌の急激な衝撃に基づく所定閾値以上となったか否かを検知する第3のステップと、
衝撃検知手段によって検知された衝撃時点における前後の映像を、映像録画手段から取得した保存する第4のステップと
を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明の携帯電話機、プログラム及びドライブレコード方法によれば、新たにドライブレコーダ専用装置を必要とすることなく、既存の携帯電話機をドライブレコーダとして機能させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明における携帯電話機及びクレードルの第1の外観図である。
【図2】携帯電話機がクレードルに設置された状態を表す外観図である。
【図3】携帯電話機及びクレードルの配置構成における車内からの外観図である。
【図4】携帯電話機及びクレードルの配置構成における車外からの外観図である。
【図5】本発明における携帯電話機の機能構成図である。
【図6】携帯電話機及びクレードルの第2の外観図である。
【図7】携帯電話機及びクレードルの第3の外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0022】
図1は、本発明における携帯電話機及びクレードルの第1の外観図である。図2は、携帯電話機がクレードルに設置された状態を表す外観図である。
【0023】
図1によれば、ドライブレコーダとして用いる既存の携帯電話機1と、その携帯電話機1の置き台としてのクレードル2とが表されている。クレードル(cradle)は、一般に、小型電子機器のスタンドをいう。図2によれば、クレードル2は、携帯電話機1を設置した状態であっても、カメラ部111及びディスプレイ部112が外向するように開口されている。本発明によれば、クレードルを必ずしも必須としていないが、カメラ部111を固定するための置台として、クレードルを使用することが好ましい。
【0024】
携帯電話機1は、カメラ部111と、ディスプレイ部112と、受電端子(物理接続インタフェース)113とを有する。カメラ部111は、クレードル2に設置された状態で、走行中の車外の映像(動画像)を連続的に撮影する。ディスプレイ部112は、当該携帯電話機1の操作内容を表示すると共に、カメラ部11によって撮影された映像を表示するものであってもよい。カメラ部11を車外へ向けることを考慮すると、携帯電話機1におけるカメラ部111とディスプレイ部112とは、相対する面に配置されていることが好ましい。勿論、カメラ部11が車外へ向けられていればよく、ディスプレイ部112は、二つ折り携帯電話機の内側にあってもよい。受電端子113は、充電用の物理接続インタフェースであり、連続起動のために外部から受電する。
【0025】
クレードル2は、電源アダプタ211と、給電端子(物理接続インタフェース)213とを有する。クレードル2の給電端子213は、携帯電話機1の設置時に、受電端子113に接触する。電源アダプタ211は、車輌の電源供給部(バッテリ)に接続されている。携帯電話機1は、車輌搭載中に、常時、ドライブレコーダ機能を起動させる必要があるために、常に給電される。受電端子113及び給電端子213は、USB(Universal Serial Bus)であってもよい。既存のUSBは、給電機能を有するためである。
【0026】
図3は、携帯電話機及びクレードルの配置構成における車内からの外観図である。
【0027】
図3によれば、携帯電話機1がクレードル2に設置された状態で、携帯電話機1のディスプレイ112が運転席側に向かう。これによって、運転中のユーザは、ディスプレイ部112を視認することができる。
【0028】
図3によれば、携帯電話機1は、ハンズフリー機器3と通信することができる。ハンズフリー機器とは、運転中のユーザが、携帯電話機自体を操作することなく、通話をすることができる機器である。携帯電話機1とハンズフリー機器3とは、例えばBluetoothのような近距離無線によって接続される。図3のハンズフリー機器3は、車内に据え置き型のものであって、車のエンジンを掛けることによって、ハンズフリー装置3の電源がオンになり、それを契機にペアとなる携帯電話機を探索する。本発明によれば、携帯電話機1とハンズフリー機器3との間で初期接続シーケンスが実行されることによって、携帯電話機1は、ドライブレコーダ機能を起動することができる。
【0029】
ハンズフリー機器は、例えば以下のようなプロファイルを有する。
・ヘッドセットプロファイル(HSP、Headset Profile):
Bluetooth搭載ヘッドセットと通信するためのプロファイル。
(モノラル音声の受信だけではなく、マイクで双方向通信する機能を有する)
・ハンズフリープロファイル(HFP、Hands-Free Profile):
車内やヘッドセットでハンズフリー通話を実現するためのプロファイル
(HSPの機能に加え、通信の発信・着信機能を有する)
・シリアルポートプロファイル(SPP、Serial Port Profile):
Bluetooth機器を仮想シリアルポート化するためのプロファイル
【0030】
図4は、携帯電話機及びクレードルの配置構成における車外からの外観図である。
【0031】
図4によれば、携帯電話機1がクレードル2に設置された状態で、携帯電話機1のカメラ部111が車外に向かう。これによって、運転車からの視界に入る映像が、カメラ部111によって撮影される。
【0032】
図4によれば、携帯電話機1は、GPS(Global
Positioning System、全地球的測位システム)衛星3からの測位電波を受信することによって、「緯度・経度」を測位することができる。また、携帯電話機1は、携帯電話基地局5を介して、相手先と通信することができる。尚、場合によっては、携帯電話基地局5からの電波を用いて、測位することもできる。
【0033】
図5は、本発明における携帯電話機の機能構成図である。
【0034】
図5によれば、携帯電話機1は、ドライブレコードアプリケーション10と、アプリケーション起動部110と、カメラ部111と、ディスプレイ部112と、物理接続インタフェース113と、加速度センサ114と、測位部115と、携帯電話通信部116と、無線接続インタフェース117とを有する。ドライブレコードアプリケーション10及びアプリケーション起動部110は、携帯電話機に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムを実行することによって実現できる。
【0035】
カメラ部111は、ドライブレコードアプリケーション10からの制御に基づいて、映像(動画像)を連続的に撮影する。撮影された映像データは、ドライブレコードアプリケーション10へ出力される。尚、カメラ部11に、マイク機能も搭載することによって、取得された音声データを、ドライブレコードアプリケーション10へ出力することも好ましい。
【0036】
ディスプレイ部112は、ドライブレコードアプリケーション10における操作内容を表示すると共に、カメラ部111によって撮影された映像を表示する。
【0037】
物理接続インタフェース113は、クレードル2のような外部機器に接触し、携帯電話機1の電池に充電することができる。また、物理接続インタフェース113は、クレードル2と接続した際に、アプリケーション起動部110に対して、接続完了信号を出力する。
【0038】
加速度センサ114は、加速度を計測するセンサであって、例えば直流電圧又は周波数の変化を加速度データに変換して出力する。加速度センサ114は、計測した加速度データを、ドライブレコードアプリケーション10へ出力する。
【0039】
測位部115は、GPS衛星4から受信した測位電波を用いて測位する。その位置情報は、ドライブレコードアプリケーション10へ出力される。
【0040】
携帯電話通信部116は、ドライブレコードアプリケーション10からの指示に応じて、携帯電話基地局5を介して携帯電話網へ発呼し、所定相手方装置へメッセージを送信する。
【0041】
無線接続インタフェース117は、ハンズフリー機器のような外部機器に無線リンクを介して接続する。その無線リンクは、例えばBluetoothであってもよい。また、無線接続インタフェース117は、ハンズフリー機器と接続した際に、アプリケーション起動部110に対して、接続完了信号を出力する。
【0042】
尚、無線接続インタフェース117は、無線リンクの接続だけでなく、ハンズフリー機器からドライブレコーダ機能を起動するコマンドを受信した際に、アプリケーション起動部110に対して、接続完了信号を出力するものであってもよい。例えば、携帯電話機1は、ハンズフリー機器から送信されるBluetoothの電波を検知すると、SPPで携帯電話機1とハンズフリー機器とを接続する。次に、ハンズフリー機器は、SPPによって、携帯電話機1へ、ドライブレコードアプリケーションの起動コマンドを送信する。そして、携帯電話機1は、ハンズフリー機器との間で、HFPによって接続する。
【0043】
アプリケーション起動部110は、物理接続インタフェース113及び無線接続インタフェース117から接続完了信号を受信した際に、ドライブレコードアプリケーション10を起動する。従って、携帯電話機1が、クレードル2に設置された際に、又は、ハンズフリー機器3と無線リンクを介して接続された際に、自動的に、ドライブレコードアプリケーション10が起動される。勿論、ドライブレコードアプリケーション10は、携帯電話機1に対するユーザの操作によって起動されるものであってもよい。
【0044】
ドライブレコードアプリケーション10は、携帯電話機1を、ドライブレコーダとして機能させる。ドライブレコードアプリケーション10は、カメラ制御部101と、映像録画部102と、衝撃検知部103と、映像保存部104と、測位起動部105と、緊急メッセージ送信部106とを有する。
【0045】
カメラ制御部101は、ドライブレコードアプリケーション10が起動された際に、カメラ部111に対して、映像の撮影を開始するべく指示する。
【0046】
衝撃検知部103は、加速度センサ114から加速度データを入力し、交通事故のような急激な衝撃を検知する。衝撃検知部103は、加速度の所定閾値を有し、単位時間に発生した加速度が所定閾値を越えた際に、衝撃検知と判断する。例えば、所定閾値1G(9.8m/s2)とする。そして、20km/hで走行中の車輌が衝突し、0.5秒後に、速度が0km/hになり、加速度11.1m/s2が生じたとする。この場合、加速度11.1m/s2は、所定閾値9.8m/s2を越えたこととなり、衝撃検知と判断する。そして、衝撃検知部103は、衝撃検知信号を、映像録画部102と、測位起動部105と、緊急メッセージ送信部106とへ出力する。
【0047】
映像録画部102は、カメラ部111から受信した映像データをバッファに録画する。記憶容量の制限から、入力された全ての映像データをバッファに録画しておくことはできない。バッファは、先入れ先出し方式(FIFO、First In, First Out)であって、キュー(queue)と称される「待ち行列」のデータ構造を有する。従って、記憶容量の制限に応じて、少なくとも最新の所定時間範囲の映像データは、バッファに録画される。例えば交通事故の場合、衝撃時点の前後数十秒程度の映像データを録画できればよい。また、映像録画部102は、衝撃検知部103から衝撃検知信号が入力された際、バッファに録画している映像データを、映像保存部104へ出力する。映像録画部102は、衝撃検知の時間情報(時刻)を、映像保存部104へ出力することも好ましい。
【0048】
映像保存部104は、映像録画部102から出力された映像データを保存する。保存された映像データは、例えば交通事故の場合、事故記録とすることができる。また、映像データと共に、衝撃検知の時間情報も保存することも好ましい。更に、映像データと共に、測位部115によって測位された現在位置も保存することも好ましい。保存された映像データは、携帯電話機1のディスプレイ部112で再生できるような汎用的な映像フォーマットである。
【0049】
測位起動部105は、衝撃検知部103から衝撃検知信号を受信した際に、測位部115を起動する。このとき、測位部115は、GPS衛星4からの測位電波を受信することによって、現在位置を測位する。測位された現在位置は、ドライブレコードアプリケーションへ入力され、緊急メッセージ送信部106及び映像保存部104へ入力される。
【0050】
緊急メッセージ送信部106は、衝撃検知部103から衝撃検知信号を入力した際に、携帯電話通信部116を介して携帯電話網へ自動的に発呼する。そして、測位部106から取得した現在位置を含む緊急メッセージを、所定相手方装置へ送信する。また、緊急メッセージ送信部106は、映像保存部104から衝撃検知時の映像データを取得し、緊急メッセージに含めることも好ましい。
【0051】
携帯電話機1が発呼する所定相手方装置は、例えば、警察、消防又は警備保障会社に設置された通信装置であってもよい。交通事故発生直後に、警察等は、緊急メッセージによって、事故発生の事実、及び、その発生場所を知ることができる。また、緊急メッセージに時刻及び映像データが含まれることによって、警察等は、事故発生直後に、現場状況の概要を把握することができる。尚、警察等に映像データが送信されることによって、事故の有力な証拠となる映像データが、ユーザの誤操作又は悪意を持った人物の操作によって消去されてもかまわない。
【0052】
図6は、携帯電話機及びクレードルの第2の外観図である。
【0053】
図6によれば、携帯電話機1は、埋め込み型非接触ICカードを備えている。この非接触ICカードは、クレードル2の背面部分に搭載された埋め込み型非接触ICカードリーダに対向する。携帯電話機1が、クレードル2に設置された際に、クレードル2から受信したドライブレコードアプリケーションの起動コマンドを受信することができる。
【0054】
図7は、携帯電話機及びクレードルの第3の外観図である。
【0055】
図7によれば、携帯電話機1は、埋め込み型受電コイルを備えている。この受電コイルは、クレードル2の背面部分に搭載された給電コイルに対向する。携帯電話機1は、給電コイルと受電コイルとの間の非接触の電磁誘導効果によって充電することができる。
【0056】
尚、携帯電話機1がクレードル2に設置されたことを磁界の変化によって検知した際に、携帯電話機1は、ドライブレコーダアプリケーションを自動的に起動するものであってもよい。また、給電コイルと受電コイルとの間で低速のデータ通信をすることができる場合、携帯電話機1は、クレードル2からドライブレコードアプリケーションの起動コマンドを受信するものであってもよい。
【0057】
以上、詳細に説明したように、本発明の携帯電話機、プログラム及びドライブレコード方法によれば、新たにドライブレコーダ専用装置を必要とすることなく、既存の携帯電話機をドライブレコーダとして機能させることができる。例えば交通事故が発生した場合における衝撃は、加速度センサによって検知されるために、車輌から車速信号及び加速度信号を入力するインタフェースを別途備える必要がない。また、携帯電話機の測位部によって測位した位置情報と、衝撃検知時の映像データとを含む緊急メッセージを、警察等の所定相手方装置へ送信することによって、事故の緊急通報に役立つ。
【0058】
前述した本発明の種々の実施形態について、本発明の技術思想及び見地の範囲の種々の変更、修正及び省略は、当業者によれば容易に行うことができる。前述の説明はあくまで例であって、何ら制約しようとするものではない。本発明は、特許請求の範囲及びその均等物として限定するものにのみ制約される。
【符号の説明】
【0059】
1 携帯電話機
10 ドライブレコードアプリケーション
101 カメラ制御部
102 映像録画部
103 衝撃検知部
104 映像保存部
105 測位起動部
106 緊急メッセージ送信部
110 アプリケーション起動部
111 カメラ部
112 ディスプレイ部
113 物理接続インタフェース、受電端子
114 加速度センサ
115 測位部
116 携帯電話通信部
117 無線接続インタフェース
12 ディスプレイ部112
2 クレードル
211 電源アダプタ
213 物理接続インタフェース、給電端子
3 GPS衛星
4 携帯電話基地局

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラ部及び加速度センサを有し、車輌の走行中又は停車中におけるドライブレコーダとして用いる携帯電話機であって、
当該携帯電話機で実行されるドライブレコードアプリケーションは、
車輌外内の映像を連続的に撮影するべく、前記カメラ部を制御するカメラ制御手段と、
前記カメラ部によって撮影された映像を、所定時間範囲のみ、連続的に先入れ先出し方式で録画する映像録画手段と、
前記加速度センサによって計測された加速度データが、当該車輌の急激な衝撃に基づく所定閾値以上となったか否かを検知する衝撃検知手段と、
前記衝撃検知手段によって検知された衝撃時点における前後の映像を、前記映像録画手段から取得して保存する映像保存手段と
を有することを特徴とする携帯電話機。
【請求項2】
測位電波を受信し、現在位置を測位する測位部と、
前記衝撃検知手段によって検知された衝撃時点に、前記測位部を起動する測位起動手段とを更に有し、
前記映像保存手段は、前記映像と共に、前記測位部によって測位された前記現在位置を保存する
ことを特徴とする請求項1に記載の携帯電話機。
【請求項3】
前記衝撃検知手段によって検知された衝撃時点の後、携帯電話網に対して発呼し、前記現在位置情報を含む緊急メッセージを、所定相手方装置へ送信する緊急メッセージ送信手段を更に有することを特徴とする請求項2に記載の携帯電話機。
【請求項4】
前記緊急メッセージは、前記映像保存手段に保存された前記映像を更に含むことを特徴とする請求項3に記載の携帯電話機。
【請求項5】
当該携帯電話機は、外部機器に対する有線/無線を介した接続インタフェースと、
前記外部機器からの特定信号を前記接続インタフェースによって受信することによって、前記ドライブレコードアプリケーションを起動するアプリケーション起動手段と
を更に有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の携帯電話機。
【請求項6】
前記外部機器は、車輌内で利用される無線を介したハンズフリー装置であることを特徴とする請求項5に記載の携帯電話機。
【請求項7】
前記外部機器は、当該携帯電話機に充電する充電装置であることを特徴とする請求項5に記載の携帯電話機。
【請求項8】
前記充電装置は、当該携帯電話機に対して、給電コイルによって電磁誘導で充電する非接触充電方式のものであることを特徴とする請求項7に記載の携帯電話機。
【請求項9】
カメラ部及び加速度センサを有する携帯電話機に搭載されたコンピュータを、車輌の走行中又は停車中におけるドライブレコーダとして機能させるドライブレコードアプリケーションプログラムであって、
車輌外内の映像を連続的に撮影するべく、前記カメラ部を制御するカメラ制御手段と、
前記カメラ部によって撮影された映像を、所定時間範囲のみ、連続的に先入れ先出し方式で録画する映像録画手段と、
前記加速度センサによって計測された加速度データが、当該車輌の急激な衝撃に基づく所定閾値以上となったか否かを検知する衝撃検知手段と、
前記衝撃検知手段によって検知された衝撃時点における前後の映像を、前記映像録画手段から取得した保存する映像保存手段と
してコンピュータを機能させることを特徴とする携帯電話機用のドライブレコードアプリケーションプログラム。
【請求項10】
カメラ部及び加速度センサを有する携帯電話機を、車輌の走行中又は停車中におけるドライブレコーダとして機能させるドライブレコード方法であって、
前記カメラ部を用いて、車輌外内の映像を連続的に撮影する第1のステップと、
前記カメラ部によって撮影された映像を、所定時間範囲のみ、連続的に先入れ先出し方式で録画する第2のステップと、
前記加速度センサによって計測された加速度データが、当該車輌の急激な衝撃に基づく所定閾値以上となったか否かを検知する第3のステップと、
前記衝撃検知手段によって検知された衝撃時点における前後の映像を、前記映像録画手段から取得した保存する第4のステップと
を有することを特徴とする携帯電話機のドライブレコード方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−171798(P2011−171798A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−31090(P2010−31090)
【出願日】平成22年2月16日(2010.2.16)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000208891)KDDI株式会社 (2,700)
【Fターム(参考)】