説明

ナノインプリント用レジスト及びナノインプリントの方法

【課題】本発明は、ナノインプリントのレジスト及びナノインプリントの方法に関する。
【解決手段】本発明のナノインプリントのレジストは、超分岐ポリウレタンオリゴマーと、ペルフルオロポリエーテルと、メタクリル酸メチル樹脂と、有機希釈剤とを含む。また、本発明は、前記ナノインプリントのレジストを利用して、ナノインプリントを行う方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レジスト及び該レジストを利用してナノインプリントを行う方法に関し、特にナノインプリントのレジスト及び該ナノインプリントのレジストを利用してナノインプリントを行う方法にするものである。
【背景技術】
【0002】
ナノインプリント技術は、所定のポリマーレジストを使用する必要がある。従来技術において、ナノインプリントのレジストは、主に、シリカゲル、エポキシ樹脂、アクリル酸エステル、ポリスチロールなどがある。
【0003】
特許文献1は、ポリメタクリル酸メチル樹脂をナノインプリントのレジストとすることが開示されており、シリコン基材にポリメタクリル酸メチル樹脂を塗布して薄膜が形成された後、熱プレス法で前記シリコン基材にナノレベルのパターンを形成する。前記ナノインプリントの方法において、まず、前記ナノインプリントのレジストを加熱し、可塑性変形を生ませる。次に、該ナノインプリントのレジストを冷却し、該ナノインプリントのレジストを冷却する温度をポリメタクリル酸メチル樹脂のガラス転移温度Tgより低くして、固化成型させる。最後に、金型を除去し、ナノレベルのパターンを形成する。しかし、前記ナノインプリントの方法において、ポリメタクリル酸メチル樹脂のガラス転移温度Tgが高いので、前記ナノインプリントのレジストを加熱する温度が高くなる。従って、前記ナノインプリントのレジストの力学の安定性が悪くなり、型との粘着性が強いので、離型することが困難になり、形成されたナノレベルのパターンの解像度が低くなる。従来技術において、前記問題を解決するために、前記ナノインプリントを行う前に、前もって前記型を処理する必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国(US)特許第5772905号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前記ナノインプリントを行う前に、前もって前記型を処理することが複雑であるので、前記ナノインプリントの方法が複雑になり、コストが高くなる。従って、前記ナノインプリントの方法は、実際の応用に不便になる。
【0006】
従って、本発明は、ナノインプリントのレジスト及び該ナノインプリントのレジストを利用して、ナノインプリントを行う方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記ナノインプリントのレジストは、超分岐ポリウレタンオリゴマーと、ペルフルオロポリエーテルと、メタクリル酸メチル樹脂と、有機希釈剤と、を含む。
【0008】
前記ナノインプリントの方法は、基板の一つ表面に前記ナノインプリントのレジストを塗布して、レジスト層を形成するステップと、一つ表面がナノレベルのパターンを有する金型を提供し、前記ナノレベルのパターンを前記レジスト層に転写するステップと、前記ナノレベルのパターンに対応して、前記基板を加工し、該基板の前記一つの表面に前記ナノレベルのパターンを形成するステップと、を含む。
【0009】
前記ナノインプリントの方法は、基板を提供し、該基板の一つ表面に、順次に第一犠牲層及び第二犠牲層を形成するステップと、一つ表面がナノレベルのパターンを有する金型を提供し、該金型のナノレベルのパターンを有する表面に、前記ナノインプリントのレジストを塗布するステップと、該基板の前記第二犠牲層を、前記金型のナノインプリントのレジストが被覆された表面に接触させ、前記金型及び基板を併せて熱プレスし、該基板にナノインプリントのレジストからなるナノレベルのパターンを形成するステップと、前記ナノレベルのパターンに対応して、前記基板を加工し、該基板の前記一つの表面に前記ナノレベルのパターンを形成するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0010】
従来のナノインプリントのレジスト及びナノインプリントの方法と比べると、本発明のナノインプリントのレジスト及びナノインプリントの方法は、下記の優れた点がある。第一に、前記ナノインプリントのレジストが超分岐ポリウレタンオリゴマーを含み、低いガラス転移温度Tgを有し、熱プレスを75℃より小さい温度で行うことができるので、前記ナノインプリントのレジストが固化され、架橋反応を発生し、弾性率が高められ、変形が小さくなる。第二に、前記ナノインプリントのレジストがペルフルオロポリエーテルを含み、該ペルフルオロポリエーテルが低い表面のエネルギーを有する材料であるので、該ナノインプリントのレジストが固化された後、粘着性が小さい。従って、前記ナノインプリントのレジストと前記基板とが粘着することを防止することができ、離型しやすく、ナノレベルのパターンの完全性及び解像度を高めることができる。第三に、前記メタクリル酸メチル樹脂及び前記有機希釈剤が前記ナノインプリントのレジストの粘着性及び流動性を調節することができるので、該ナノインプリントのレジストを前記ナノレベルのパターンに十分に充填させ、ナノレベルのパターンの欠点を減少し、ナノレベルのパターンの解像度を高めることができる。第四に、前記ナノインプリントの方法は、熱プレスの温度が低く、前もって前記型を処理する必要はないので、工程が簡単で、コストが減少する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施例1に係るナノインプリントの方法のフローチャートである。
【図2】本発明の実施例1に係るナノインプリントの方法を示す図である。
【図3】本発明の実施例2に係るナノインプリントの方法のフローチャートである。
【図4】本発明の実施例2に係るナノインプリントの方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施例について説明する。
【0013】
本発明の実施例は、ナノインプリントのレジストを提供する。前記ナノインプリントのレジストは、超分岐ポリウレタンオリゴマー(hyperbranched polyurethane oligomer、HPを略称する)、ペルフルオロポリエーテル(perfluoropolyether、PFPEを略称する)、メタクリル酸メチル樹脂(methylmethacrylate、MMAを略称する)及び有機希釈剤(diluent solvent)を含む。
【0014】
前記ペルフルオロポリエーテルの化学式は、下記のように示されている。
【0015】
【化1】

【0016】
前記有機希釈剤は、2-ヒドロキシエチル2−メチルエチレン(2-Hydroxy Ethyl 2-methyl ethylene)である。前記超分岐ポリウレタンオリゴマーは、トリメリット酸無水物(trimellitic anhydride)、エチレン-グリコール(ethylene glycol)及びエポキシアクリル酸(epoxy acrylicacid)が共重合し、又は、エチレンメルカプタン(ethylene mercaptan)及びエポキシアクリル酸が開環共重合して、形成されたものである。
【0017】
本実施例において、前記超分岐ポリウレタンオリゴマーの化学の構造は、下記のように示されている。
【0018】
【化2】

【0019】
前記ナノインプリントのレジストにおいて、前記超分岐ポリウレタンオリゴマーの重量パーセンテージは、50%〜60%であり、前記ペルフルオロポリエーテルの重量パーセンテージは、3%〜5%であり、前記メタクリル酸メチル樹脂の重量パーセンテージは、5%〜10%であり、前記有機希釈剤の重量パーセンテージは、25%〜35%である。
【0020】
前記ナノインプリントのレジストにおいて、前記ペルフルオロポリエーテルの酸素の官能基が低い表面エネルギーを有し、前記メタクリル酸メチル樹脂が前記ナノインプリントのレジストの粘着性及び流動性を調節することができるので、該ナノインプリントのレジストが固化された後の変形が小さい。従って、離型する過程において、前記ナノインプリントのレジストと前記型とが粘着することを防止し、前記ナノインプリントのレジストを前記型から分離することを容易にさせ、ナノレベルの解像度を高めることができる。前記超分岐ポリウレタンオリゴマーが低いガラス転移温度Tg(15℃〜45℃)を有するので、前記ナノインプリントの方法を利用して、ナノレベルのパターンを形成する場合、熱プレスの温度が低い。前記熱プレスの温度が75℃より小さい時、前記ナノインプリントのレジストが固化され、架橋反応を発生することができる。従って、前記ナノインプリントのレジストが高い弾性率、低い熱膨張率を有するので、ナノパターンを形成しやすい。
【0021】
前記ナノインプリントのレジストは、下記の方法で製作することができる。
【0022】
重量パーセンテージが50%〜60%である超分岐ポリウレタンオリゴマー、重量パーセンテージが3%〜5%であるペルフルオロポリエーテル、重量パーセンテージが5%〜10%であるメタクリル酸メチル樹脂、重量パーセンテージが25%〜35%である有機希釈剤を混合し、1〜3時間に放置して、液体状態であるポリマー混合物を形成する。濾過装置で前記液体状態であるポリマー混合物を濾過させて、前記液体状態であるポリマー混合物における不純物を除去して、ナノインプリントのレジストを形成する。
【0023】
更に、前記ナノインプリントのレジストに、重量パーセンテージが5%〜10%であるポリジメチルシロキサン(polydimethlsiloxanes、PDMSを略称する)を添加することができる。前記ポリジメチルシロキサンは基材との接着性が強いので、前記ポリジメチルシロキサンを添加することにより、前記ナノインプリントのレジストと前記基材との接着性を高めることができる。更に、前記ナノインプリントのレジストに、重量パーセンテージが0.1%〜2%である開始剤を添加することができる。これにより、光又は熱によって、前期ナノインプリントのレジストを固化できる。
【0024】
(実施例1)
図1及び図2を参照すると、本実施例は、前記ナノインプリントのレジストを利用して、ナノインプリントを行う方法を提供する。前記ナノインプリントの方法は、下記のステップを含む。
【0025】
ステップS101では、基板10を提供し、該基板10の一つ表面にレジスト層130を形成する。
【0026】
まず、前記基板10の一つ表面に、第一犠牲層110を形成する。
【0027】
基板10を洗浄し、該基板10の一つ表面にポリマー材料層を形成する。該ポリマー材料層を加熱し、第一犠牲層110を形成する。前記基板10の材料は、ガラス、シリコン、酸化珪素、ITOガラスなどの硬い材料、又はPSP、PMMA、PETなどの柔らかい材料である。前記第一犠牲層110の材料は、ポリメタクリル酸メチル樹脂(polymethyl methacrylate、PMMAを略称する)、エポキシ樹脂(epoxy resin)、不飽和ポリエステル(unsaturated polyester resins)、シリコンエステル樹脂(silicon ether resin)などのいずれか一種の熱硬化性樹脂である。前記ポリマー材料層を形成する方法は、シルクスクリーンの印刷法又は回転塗布法である。
【0028】
本実施例において、前記基板10の材料は、シリコンである。前記基板10を洗浄した後、前記基板10を回転させながら、該基板10の一つ表面にポリマー材料のポリメタクリル酸メチル樹脂を塗布する。前記基板10を回転させる速度が5400回転/分〜7000回転/分であり、回転時間が0.5分〜1.5分間である。その後、ポリマー材料のポリメタクリル酸メチル樹脂が塗布された前記基板10を140℃〜180℃で3分〜5分間乾燥させる。
【0029】
次に、前記第一犠牲層110を被覆するように、第二犠牲層120を形成する。
【0030】
前記第二犠牲層120は、例えばクロム又はアルミニウムなどの金属からなり、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法又は化学気相堆積法によって、前記第一犠牲層110に形成される。
【0031】
本実施例において、前記第二犠牲層120は、電子ビーム蒸着法で、前記第一犠牲層110に形成された、厚さが30ナノメートル〜50ナノメートルであるアルミニウムフィルムである。前記電子ビーム蒸着の速度は、0.3オングストローム/分〜0.6オングストローム/分である。
【0032】
最後、前記第二犠牲層120を被覆するように、レジスト層130を形成する。
【0033】
前記レジスト層130の材料は、前記ナノインプリントのレジストである。該ナノインプリントのレジストは、超分岐ポリウレタンオリゴマー、ペルフルオロポリエーテル、メタクリル酸メチル樹脂及び有機希釈剤を含む。前記レジスト層130は、シルクスクリーンの印刷法又は回転塗布法によって形成することができる。具体的には、まず、回転塗布法で、前記第二犠牲層120に前記ナノインプリントのレジストを形成する。前記回転塗布する回転速度が5400回転/分〜7000回転/分であり、回転時間が0.5分〜2分間である。次に、ナノインプリントのレジストが回転塗布された前記基板10を100℃〜120℃で2分〜4分間乾燥し、ナノインプリントのレジスト層130を形成する。該ナノインプリントのレジスト層130の厚さは100ナノメートル〜300ナノメートルである。
【0034】
前記ナノインプリントの方法において、前記第一犠牲層110及び前記第二犠牲層120を形成するステップを省略し、前記基板10の一つ表面にナノインプリントのレジスト層130を直接形成することができる。
【0035】
ステップS102では、一つ表面にナノレベルのパターンを有する金型20を提供し、前記ナノレベルのパターンを前記該ナノインプリントのレジスト層130に転写する。
【0036】
まず、一つ表面にナノレベルのパターンを有する金型20を提供する。
【0037】
前記金型20の材料は、シリコン、酸化珪素などの硬い材料、又はPS、PMMA、PETなどの柔らかい材料である。本実施例において、前記金型20の材料は、酸化珪素である。前記金型20の一つ表面に複数の第一凸部24及び複数の第一凹部26からなるナノレベルのパターンを有する。
【0038】
次に、前記金型20のナノレベルのナノパターンが形成された表面と前記レジスト層130とを接触させ、前記金型20及び前記基板10を熱プレスした後、該基板10を前記金型20から分離する。
【0039】
前記金型20で前記基板10に圧力を印加し、該基板10を加熱することによって、前記金型20のナノレベルのパターンを前記基板10のナノインプリントのレジスト層130に転写する。具体的には、前記金型20及び前記基板10をそれぞれ、熱プレス装置(図示せず)に取り付け、前記金型20のナノレベルのパターンが形成された表面と、前記基板10に形成されたレジスト層130と、を接触させる。前記熱プレス装置の中の真空度を5.0E-03ミリバール(mbar)に制御する。前記基板10及び前記金型20を前記ナノインプリントのレジストのガラス転移温度Tg以上(例えば、45℃〜75℃)まで加熱させることにより、該ナノインプリントのレジスト層130におけるレジストが優れた流動性を有させる。前記金型20に12ボンド/平方インチ(Psi)〜15ボンド/平方インチの圧力を印加し、5分〜10分間保持し、該金型20の第一凸部24を前記基板10のナノインプリントのレジスト層130の中に圧入し、該ナノインプリントのレジスト層130におけるレジストを前記金型20のナノレベルのパターンの複数の第一凹部26に充填させる。その後、前記金型20に35ボンド/平方インチ〜60ボンド/平方インチの圧力を印加して、温度を前記レジストのガラス転移温度Tgまでに下げて、5分〜10分間保持する。その後、前記温度を25℃〜50℃までに下げて、前記基板10を前記金型20から分離する。これにより、該基板10のナノレベルのパターンが前記ナノインプリントのレジスト層130に転写される。前記ナノインプリントのレジスト層130に転写されたナノレベルのパターンは、複数の第二凹部16及び複数の第二凸部14を含む。
【0040】
ステップS103では、前記ナノレベルのパターンに対応して、前記基板10を加工し、該基板10の前記表面に前記ナノレベルのパターンを形成する。
【0041】
まず、前記ナノレベルのパターンの第二凹部16の底部に残されたナノインプリントのレジストを除去し、該第二凹部16の底部に位置された前記第二犠牲層120を露出させる。
【0042】
プラズマエッチング法で前記ナノレベルのパターンの第二凹部16の底部に残されたナノインプリントのレジストを除去する。
【0043】
本実施例において、酸素プラズマで前記第二凹部16の底部に残されたナノインプリントのレジストを除去する。具体的には、前記ナノレベルのパターンが形成された基板10をマイクロ波プラズマ装置(図示せず)に置く。該マイクロ波プラズマ装置は、酸素プラズマを放出ことができる。前記酸素プラズマは、前記ナノレベルのパターンの第二凹部16の底部に残されたナノインプリントのレジストをエッチングする。前記マイクロ波プラズマ装置の仕事率は、40ワット〜60ワットであり、酸素プラズマを導入する速度が40sccm(standard−state cubic centimeter per minute)であり、気圧が2パスカルであり、エッチングする時間は5秒〜15秒である。前記方法によって、前記第二凹部16の底部に残されたナノインプリントのレジストを除去し、前記第二犠牲層120を露出させる。
【0044】
次に、前記第二凹部16の底部に設置された第二犠牲層120を除去し、前記第一犠牲層110を露出させる。
【0045】
前記第二犠牲層120の材料によって、ウェットエッチング法又はドライエッチング法を採用することができる。
【0046】
前記第二犠牲層120の材料がアルミニウムである場合、ドライエッチング法を採用する。具体的には、前記第二凹部16の底部に前記第二犠牲層120が露出した基板10を、誘導結合プラズマ装置(図示せず)に置く。前記第二凹部16の底部に設置された前記第二犠牲層120にナノインプリントのレジストが被覆されないので、酸素と塩素をエッチングガスとして、前記第二凹部16の底部に設置された前記第二犠牲層120をエッチングし、前記第一犠牲層110を露出させることができる。本実施例において、前記誘導結合プラズマ装置の仕事率は50ワットであり、塩素を導入する速度が24sccmであり、気圧が2パスカル〜10パスカルであり、エッチングする時間が40秒〜50秒である。
【0047】
前記第二犠牲層120の材料がクロムである場合、ウェットエッチング法を採用する。具体的には、濃度が0.06モル/リットル〜0.25モル/リットルであるクロムエッチング液のK[Fe(CN)]を提供する。前記基板10を前記クロムエッチング液の中に置き、4分〜15分間浸漬する。前記第二凹部16の底部に設置された前記第二犠牲層120がナノインプリントのレジストに被覆されないので、前記クロムエッチング液の作用で、前記第二凹部16の底部に設置された前記第二犠牲層120が除去され、前記第一犠牲層110を露出させる。
【0048】
その後、前記第二凹部16の底部に設置された第一犠牲層110を除去し、基板10を露出させる。
【0049】
酸素プラズマ装置で前記第二凹部16の底部に設置された第一犠牲層110を除去し、基板10を露出させることができる。該酸素プラズマ装置の仕事率が40ワット〜60ワットであり、該酸素プラズマを導入する速度が40sccmであり、気圧が2パスカル〜10パスカルであり、エッチングする時間が30秒〜50秒である。前記方法によって、前記第二凹部16の底部に設置された第一犠牲層110が除去され、基板10を露出させる。
【0050】
最後に、前記第二凹部16の底部の一部の基板10をエッチングし、有機溶剤で残された前記第一犠牲層110及び前記第二犠牲層120を除去し、ナノレベルのパターンを有する基板100を形成する。
【0051】
まず、前記基板10を誘導結合プラズマ装置に置いて、四塩化ケイ素と塩素をエッチングガスとして、前記基板10をエッチングする。前記第二凹部16の底部の基板10に前記第一犠牲層110が被覆されないので、前記第二凹部16の底部の一部の基板10が除去される。次に、アセトンで前記第一犠牲層110及び前記第二犠牲層120を除去し、ナノレベルのパターンを有する基板100を形成する。本実施例において、該感応カップリングのプラズマ装置の仕事率は50ワットであり、塩素を導入する速度が20sccm〜60sccmであり、四塩化ケイ素を導入する速度は20sccm〜60sccmであり、気圧が4パスカル〜15パスカルである。
【0052】
(実施例2)
図3及び図4を参照すると、本実施例は、前記ナノインプリントのレジストを利用して、ナノインプリントを行う方法を提供する。前記ナノインプリントの方法は、下記のステップを含む。
【0053】
ステップ201では、基板30を提供し、該基板30に、順次に第一犠牲層310及び第二犠牲層320を形成する。
【0054】
本実施例において、前記基板30の材料は、前記実施例1における基板10の材料と同じである。前記第一犠牲層310及び第二犠牲層320の製造方法、構造、材料及び位置は、前記実施例1における第一犠牲層110及び第二犠牲層120の製造方法、構造、材料及び位置と同じである。
【0055】
ステップ202では、一つ表面にナノレベルのパターンを有する金型60を提供し、該金型60のナノレベルのパターンを有する表面にナノインプリントのレジスト330を設置する。
【0056】
本実施例において、一つ表面にナノレベルのパターンを有する金型60は、前記実施例1における金型20と、同じである。前記金型60は、複数の第一凹部66及び複数の第一凸部64を含む。前記ナノインプリントのレジスト330は、前記実施例1におけるナノインプリントのレジストと、同じである。具体的には、ナノインプリントのレジスト330を、前記金型60のナノレベルのパターンを有する表面に滴下し、真空雰囲気の下に1時間〜2時間放置する。
【0057】
ステップ203では、前記基板30の前記第二犠牲層320を、前記金型60のナノインプリントのレジスト330が被覆された表面に接触させ、前記基板30及び前記金型60を併せて熱プレスした後、離型して該基板30の第二犠牲層320に前記ナノインプリントのレジスト330からなるナノレベルのパターンを形成する。
【0058】
具体的には、前記基板30と前記金型60とを合わせて、該基板30の前記第二犠牲層320を、前記金型60のナノインプリントのレジスト330が被覆された表面に接触させる。前記基板30が被覆された金型60を熱プレス装置に置き、前記熱プレス装置の真空度を5.0E-03ミリバールに制御する。前記基板30及び前記金型60を前記ナノインプリントのレジスト330のガラス転移温度Tg以上に加熱し、該ナノインプリントのレジストに優れた流動性を有させる。前記金型60に12ボンド/平方インチ〜15ボンド/平方インチの圧力を印加し、5分〜10分間保持し、前記ナノインプリントのレジスト330を前記金型60のナノレベルのパターンの第一凹部66の中に充填させ、前記基板30の第二犠牲層320の表面に接着させる。その後、前記金型60に35ボンド/平方インチ〜60ボンド/平方インチの圧力を印加し、温度を前記ナノインプリントのレジスト330のガラス転移温度Tgに下げて、5分〜10分間保持し、前記温度が25℃〜50℃に下がると、前記基板30を前記金型60から分離させ、該基板30の第二犠牲層320に前記ナノインプリントのレジスト330からなるナノレベルのパターンを形成させる。前記ナノインプリントのレジスト330からなるナノレベルのパターンは、複数の第二凹部36及び複数の第二凸部34を含む。
【0059】
ステップ204では、前記ナノレベルのパターンに対応して、前記基板30を加工して、該基板30の前記表面にナノレベルのパターンを形成する。
【0060】
まず、ナノインプリントのレジストからなるナノレベルのパターンの第二凹部36の底部に残されたナノインプリントのレジスト330を除去し、該第二凹部36の底部に位置された前記第二犠牲層320を露出させる。次に、前記第二凹部36の底部に位置された前記第二犠牲層320を除去し、前記第一犠牲層310を露出させる。その後、前記第二凹部36の底部に位置された前記第一犠牲層310を除去し、前記基板30を露出させる。最後、前記第二凹部36の底部に位置された一部の基板30を除去し、残された前記第一犠牲層310及び前記第二犠牲層320を有機溶剤で除去し、ナノレベルのパターンを有する基板300を形成する。
【0061】
本実施例において、前記ナノレベルのパターンを前記基板30の表面に転写し、該基板30の表面にナノレベルのパターンをエッチングする方法は、前記実施例1における方法と同じである。
【0062】
本発明の実施例のナノインプリントのレジスト及びナノインプリントの方法は、下記の優れた点がある。第一に、前記ナノインプリントのレジストが超分岐ポリウレタンオリゴマーを含み、低いガラス転移温度Tgを有し、熱プレスを75℃より小さい温度で行うことができるので、前記ナノインプリントのレジストが固化され、架橋反応を発生し、弾性率が高められ、変形が小さくなる。第二に、前記ナノインプリントのレジストがペルフルオロポリエーテルを含み、該ペルフルオロポリエーテルが低い表面のエネルギーを有する材料であるので、該ナノインプリントのレジストが固化された後、粘着性が小さい。従って、前記ナノインプリントのレジストと前記基板とが粘着することを防止することができ、離型しやすく、ナノレベルのパターンの完全性及び解像度を高めることができる。第三に、前記メタクリル酸メチル樹脂及び前記有機希釈剤が前記ナノインプリントのレジストの粘着性及び流動性を調節することができるので、該ナノインプリントのレジストを前記ナノレベルのパターンに十分に充填させ、ナノレベルのパターンの欠点を減少し、ナノレベルのパターンの解像度を高めることができる。第四に、前記ナノインプリントの方法は、熱プレスの温度が低く、前もって前記型を処理する必要はないので、工程が簡単で、コストが減少する。
【符号の説明】
【0063】
10、30 基板
20、60 金型
24、64 第一凸部
26、66 第一凹槽
110、310 第一犠牲層
120、320 第二犠牲層
130 レジスト層
330 レジスト
14、34 第二凸部
16、36 第二凹部
100、300 ナノレベルのパターンを有する基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超分岐ポリウレタンオリゴマーと、ペルフルオロポリエーテルと、メタクリル酸メチル樹脂と、有機希釈剤と、を含むことを特徴とするナノインプリントのレジスト。
【請求項2】
基板の一つ表面に請求項1に記載の前記ナノインプリントのレジストを塗布して、レジスト層を形成するステップと、
一つ表面がナノレベルのパターンを有する金型を提供し、前記ナノレベルのパターンを前記レジスト層に転写するステップと、
前記ナノレベルのパターンに対応して、前記基板を加工し、該基板の前記一つの表面に前記ナノレベルのパターンを形成するステップと、
を含むことを特徴とするナノインプリントの方法。
【請求項3】
基板を提供し、該基板の一つ表面に、順次に第一犠牲層及び第二犠牲層を形成するステップと、
一つ表面がナノレベルのパターンを有する金型を提供し、該金型のナノレベルのパターンを有する表面に、請求項1に記載の前記ナノインプリントのレジストを塗布するステップと、
該基板の前記第二犠牲層を、前記金型のナノインプリントのレジストが被覆された表面に接触させ、前記金型及び基板を併せて熱プレスし、該基板にナノインプリントのレジストからなるナノレベルのパターンを形成するステップと、
前記ナノレベルのパターンに対応して、前記基板を加工し、該基板の前記一つの表面に前記ナノレベルのパターンを形成するステップと、
を含む特徴とするナノインプリントの方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−284970(P2010−284970A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−132465(P2010−132465)
【出願日】平成22年6月9日(2010.6.9)
【出願人】(598098331)ツィンファ ユニバーシティ (534)
【出願人】(500080546)鴻海精密工業股▲ふん▼有限公司 (1,018)
【Fターム(参考)】