ナノ粉末の誘導プラズマ合成
ナノ粉末を合成するためのプロセスと装置が提案される。特に、有機金属化合物、塩化物、臭化物、フッ化物、ヨウ化物、亜硝酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、および炭酸塩を前駆体として使う、誘導プラズマ技術による金属、合金、セラミック、および複合材料のような様々な材料のナノ粉末の合成のためのプロセスが開示される。このプロセスは、反応材料を、材料の過熱蒸気をもたらすのに十分高い温度を持ったプラズマ流れが生成されたプラズマトーチに供給する段階と;前記蒸気を冷却領域にプラズマ流れを用いて輸送する段階と;冷却領域内のプラズマ流れに冷却ガスを注入して再生可能なガスの冷却面を形成する段階と;再生可能なガスの冷却面とプラズマ流れとの間の界面においてナノ粉末を形成する段階と;を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘導プラズマ技術を使用するナノ粉末のプラズマ合成に関する。さらに具体的には、本発明は金属、合金、セラミック、および複合材料のような様々な材料のナノ粉末を、有機金属化合物、塩化物、臭化物、フッ化物、ヨウ化物、亜硝酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、および炭酸塩を前駆体として使う誘導プラズマ技術によって合成するためのプロセスに関わるが、排他的なものではない。
【背景技術】
【0002】
ナノ粉末のプラズマ合成は、過去数年にわたって益々注目を浴びて来た。多数のプロセスが、プラズマ放電、アーク放電、電気爆発(electro-explosion)、自己増殖高温合成、燃焼合成、放電、スプレー熱分解、ゾルゲル、および機械的摩耗を含む広く多種多様な技術を使って、金属、合金、およびセラミックベースのナノ粉末を用意するために開発されてきた。
【0003】
高温プラズマ処理速度は、反応物質前駆体(固体、液体、または蒸気/気体(ガス)の形態における)を比較的高温に加熱し、「高強度急激冷却技術(high intensity turbulent quench technique)」でのような冷たいガス流れに混合すること、またはナノ粒子を生成し堆積する冷たい表面に接触させることを通じて、反応生成物を急速冷却するという考え方に基づいている。「高度急激ガス冷却領域(highly turbulent gas quench zone)」の使用は、これまでに、2005年3月25日にBoulosらによって出願された特許文献1、及び2002年12月6日にBoulosらによって出願された特許文献2に記載されている。これらすべてのプロセスに対する共通の目的は、粒子形態、粒径分布、および得られた粉末の凝集を綿密に制御することの要求である。しかしながら、伝統的な「冷たい表面」の濃縮技術を使用することの欠点は、濃縮表面の特性と温度が、濃縮されたナノ粉末層の蓄積とともに変化するということである。
【0004】
2002年4月30日にCelikらによって登録された特許文献3は、微細および超微細な粉末の製造のための、移行アーク熱プラズマ(transferred arc thermal plasma)ベースの蒸気濃縮法を開示している。この方法は、間接的な冷却ステップと直接的な冷却ステップを含んだ濃縮手順を要求する。間接的な冷却ステップは冷却面を含むが、直接的な冷却ステップは蒸気に直接冷却ガスを注入することを含む。冷却面の使用は、濃縮表面上への粒子蓄積の欠点を伴なう。
【0005】
初期の蒸気濃縮と温度、粒子核形成と成長の滞留時間、および冷却プロフィールを制御することにより、粒径分布および結晶化度に対する何らかの制御ができることが、理論的に示された。これは、非特許文献1および非特許文献2に示されている。しかしながら、これらの参考文献は、明確な粒径分布と形態のナノ粉末を作り出すための効率的な方法について記載していない。
【特許文献1】米国特許出願公開第2005 0217421号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2003 0143153号明細書
【特許文献3】米国特許第6,379,419号明細書
【非特許文献1】Okuyamaら著,「AlChE Journal」,1986年,32(12),第2010〜2019頁
【非特許文献2】Girshickら著,「Plasma Chem. and Plasma Processing」,1989年,9(3),第355〜369頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
粒子形態、粒径分布、および粒子の凝集が容易に制御され、そして容易に拡大縮小可能であるような、ナノ粉末を用意するための改善されたプロセスの必要性が残っている。
【0007】
本発明は、これら、および他の必要性に対処する。
【0008】
本発明は多くの文献を参照し、その内容は参考文献としてそのすべてがここに組み入れられる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、プラズマトーチと冷却チャンバーを有する誘導プラズマ装置を必要とする粉末のプラズマ合成に関わり、そこでは、冷却ガスの注入を通じて再生可能な「ガスの冷却面」が形成され、ガスの反応物質/反応生成物が核生成する。核形成はナノ粉末を生成し、その粉末は、移動する冷却面によって収集チャンバーに速やかに輸送される。驚くべきことに、プラズマ流れに存在している反応物質/反応生成物を核生成(すなわち濃縮)するための再生可能なガスの冷却面を生成することによって、結果的なナノ粉末の形態と粒径分布の優秀な制御を達成できる、ということが発見された。さらに、再生可能なガスの冷却面の使用により、粒子凝集に対して緊密な制御が提供される。
【0010】
さらに具体的には、広く請求されたように、本発明は、反応材料を、該材料の過熱蒸気をもたらすのに十分高い温度を持ったプラズマ流れが生成されたプラズマトーチに供給する段階と;前記蒸気を冷却領域に前記プラズマ流れを用いて輸送する段階と;冷却領域内のプラズマ流れに冷却ガスを注入して再生可能なガスの冷却面を形成する段階と;再生可能なガスの冷却面とプラズマ流れとの間の界面においてナノ粉末を形成する段階と;を有することを特徴とするナノ粉末を合成するプロセスに関する。
【0011】
また、本発明は、プラズマ流れを生成し、プラズマ流れ中でプラズマトーチに供給された反応材料から過熱蒸気を作り出すプラズマトーチと;プラズマトーチ下流側にマウントされ、前記プラズマトーチと流体連通してプラズマトーチから過熱蒸気を受け取る冷却チャンバーであって、冷却ガスを受け取って前記冷却ガスから再生可能なガスの冷却面を形成し、過熱蒸気を急速に冷却してナノ粉末をもたらす冷却チャンバーと;を有することを特徴とするナノ粉末を合成するための装置にも関する。
【0012】
本発明の前述のような、また他の目的、利点、そして特徴は、専ら添付の図面を参照する例を用いて与えられた以下の例証的な実施形態の、非限定的な説明を読むことによって、一層明白になるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本願の明細書で使われる用語の明確で一貫した理解を提供するために、以下で多くの定義が提供される。さらに、別途定義されないならば、ここで使われるすべての技術用語および科学用語は、本発明の関連する技術における当業者に共通に理解されるものと同じ意味を持っている。
【0014】
請求項および/または明細書における「有する」という用語と関連して使われる時の「一の」、「ある」という用語の使用は、「一つ」を意味しうるが、「1つ以上」、「少なくとも1つ」、および「1つまたは1つを超える」という意味とも矛盾しない。同様に、「他の」という用語は、少なくとも第2のもの、あるいはそれ以降を意味しうる。
【0015】
この明細書および請求項で使われるように、「有している」という用語(および複数の主体が「有する」、単数の主体が「有する」のような、「有している」の語形)「持っている」という用語(および複数の主体が「持つ」、単数の主体が「持つ」のような、「有している」の語形)、「含んでいる」という用語(および複数の主体が「含む」、単数の主体が「含む」のような、「含んでいる」の語形)、および、「収容している」という用語(および複数の主体が「収容する」、単数の主体が「収容する」のような、「収容している」の語形)は、包括的であるか、または上限がないものであり、追加の、請求されていない要素またはプロセス段階を排除するものではない。
【0016】
「約」という用語は、ある値が、その値を決定するために使用される装置または方法に対する固有の誤差変動を含んでいる、ということを示すために使われる。
【0017】
本発明は、誘導プラズマ技術を使用し、再生可能な「ガスの冷却面」、例えばプラズマ流れ中に存在する反応物質/反応生成物を急速に冷却する役割を果たす層状の「ガスの冷却面」を必要とするナノ粉末のプラズマ合成のための新規なプロセスに関わる。第1の選択肢によれば、ガスの冷却面は、冷却ガスを一様に注入された多孔性の金属またはセラミックの壁を有する冷却チャンバー内で生成できる。第2の選択肢によれば、ガスの冷却面は穿孔された耐熱壁を有する冷却チャンバーで生成できる。
【0018】
図1は誘導プラズマアセンブリ(組立体)のある例示的な実施形態を示し、全体的に参照符号10によって表す。図1の誘導プラズマアセンプリ10は、誘導結合無線周波数(rf)プラズマトーチ12から成った上部セクションを有し、その中で、トーチ12の供給側上部終端において反応材料が実質的に軸方向に導入され、当技術分野の当業者によく知られている技術を使ってプラズマ流れの中心に分散される。冷却チャンバー16にマウントされたリアクトル14(reactor)は、プラズマトーチ12の下側終端に、プラズマトーチ12と冷却チャンバー16との間の誘導プラズマアセンプリ10に一様に同軸に取り付けられる。誘導プラズマアセンブリ10は、さらに、冷却チャンバー16の下側終端に同軸にマウントされた収集チャンバー18を有する。勿論、プラズマトーチ12、リアクトル14、冷却チャンバー16、および収集チャンバーは、お互いとの流体連通状態にある。
【0019】
プラズマは、無線周波数(ラジオ周波数)場のような高周波電磁場にさらされた際にイオン化することになる、何らかの適切なガスを使って生成される。適切なガスを選択することは、当技術分野の熟練者の技量の範囲内であると考えられる。適切な誘導結合無線周波数(rf)プラズマトーチは、Boulosらにより2005年7月19日に登録された米国特許第6,919,527号明細書に開示されている。本発明のプロセスによって考慮される他の適切なプラズマトーチは、Boulosらにより1993年4月6日に登録された米国特許第5,200,595号明細書に記載されたもののような高性能な誘導プラズマトーチを含む。
【0020】
反応物質の供給は細かい固体粒子、液体小滴、または蒸気相/気相の形態が可能である。固体の供給のケースでは、反応物質は、プラズマ流れに入ると溶融され、蒸発させられて反応温度に過熱された蒸気雲を形成する。液体小滴のケースでは、プラズマ上の熱負荷が、液体小滴を蒸発温度に熱し、蒸気を反応温度に過熱することの要求に対して、実質的に制限される。ガスの供給のケースでは、プラズマ上の熱負荷が、供給ガスを反応温度に過熱することの要求に対して、実質的に制限される。プラズマ流れは、軸方向にリアクトル14へと蒸気雲を送る。該リアクトルでは、蒸気相/気相に存在する他の成分と混合されうる。本発明の一実施形態においては、さらなる成分は、酸素のような酸化剤、メタンかアセチレンのような炭化剤、またはアンモニアのような窒化剤でありうる。勿論、当技術分野の当業者によく知られている技術を使って、他の成分を供給反応物質と共に付随してプラズマトーチ12に導入したり、あるいは、リアクトルセクション14か冷却セクション16に導入したりできる。
【0021】
プラズマ流れは、プラズマトーチ12から現れる反応物質/反応生成物をそれと流体連通するリアクトル14へ運ぶ。本発明のこの実施形態では、リアクトル14は高温グラファイト/耐熱材で裏打ちしたリアクトルでありうる。他の適切なリアクトルおよびリアクトル形状を選択することは、当技術分野の熟練者の技量の範囲内であると考えられる。同時に他の成分と混合されてプラズマトーチ12に供給物が導入された場合、リアクトル14は、何らかの反応が完了することを可能にする。あるいは、過熱された供給物は反応温度でプラズマトーチ12を出て、プラズマ流れによって他の成分と混合され、反応するリアクトル14中に運ばれる。
【0022】
リアクトル14を出ると、反応物質/反応生成物は冷却チャンバー16中に運ばれる。本発明の一実施形態では、冷却チャンバー16は、冷却ガスおよび/または反応物質が注入される多孔性の金属またはセラミック壁セクション17を有することができる。あるいは冷却チャンバー16は、冷却ガスおよび/または反応物質が注入されるスロットが設けられるか、または穿孔された耐熱壁セクションを有することができる。他の適切な冷却チャンバー形状を決定または選択することは、当技術分野の熟練者の技量の範囲内であると考えられる。他の反応物質と混合されるか、または混合されない冷却ガスの注入は、可動性で連続的に再生可能な層状の「ガスの冷却面」を生成し、その面上でガスの反応物質/反応生成物が濃縮する。このような濃縮は、反応物質/反応生成物の核形成をもたらし、ナノ粉末を生成する。この「ガスの冷却面」は、それが移動状態にあるので、再生可能である。つまり、この移動は、冷却ガスの連続的な注入によって、またプラズマ流れの動きによって与えられる。反応セクション(すなわち、プラズマトーチ12および/またはリアクトル14)と冷却セクション(冷却チャンバー16)との物理的な分離は、ナノ粉末形成が起こる濃縮面の位置を制御するさらに良好な手段を提供する。ガスの冷却面を、さらに図3、図4、図6および図7に示す。本発明の一実施形態では、アルゴンが冷却ガスとして使われる。他の適切な冷却ガスを決定し、選択することは、当技術分野の熟練者の技量の範囲内であると考えられる。
【0023】
ガスの反応物質/反応生成物がさらされる冷却速度は冷却ガスの温度とその流量に依存することになる。冷却ガスの流量は、冷却チャンバー16内の冷却面の位置、そして、リアクトル14から現れて反応物質/反応生成物を有するプラズマガスの高温流れと冷却面が相互作用する方法にも影響を与える。ナノ粉末は、可動性の冷却面上を収集チャンバー18へと運ばれて出ていく。勿論、プラズマガスは、収集チャンバー18に到着する際のそれらの冷却面との相互作用に起因して、著しく低い温度になることもある。
【0024】
本発明によるプロセスは、製造されるナノ粉末の均一性と粒径分布を制御する効果的な手段として、再生可能な「ガスの冷却面」の考え方を包含する。さらに、ナノ粉末は、実質的にその形成の際にプラズマガスと冷却ガスとで構成された現在のガスの冷却面によって冷却チャンバー16から収集チャンバー18へと、急速に排出させられるので、濃縮されたナノ粒子の凝集の可能性は著しく減少する。さらに、高容量冷却ガス流速を使うことによって、冷却チャンバー16から収集チャンバー18へと排出される間に、生成されたナノ粉末を薄い懸濁状態に維持することができる。さらに、薄い懸濁状態を維持することによって、冷却チャンバー16の壁へのナノ粉末の堆積と、粒子間の衝突を通じたナノ粒子凝集のいずれもが、実質的に回避される。毎分400および800標準リットル(slpm)の冷却ガス流速に対する、プラズマトーチ12、リアクトル14、および冷却チャンバー16のそれぞれで観察されるような典型的な温度と流れ場を、図3および図4に示す。これらの図は、高温のプラズマガス流れ上の「ガスの冷却面」の圧縮(収斂)効果を明確に実証する。ガスの冷却面がさらに激しければ、一層大きな圧縮効果となる。しかも、図3および図6から観察できるように、冷却ガス流速の増加は、冷却境界層の厚さの著しい増加とプラズマ流れの中心に向かう冷却面の漸進的な置換とをもたらす。さらに、冷却境界層の厚さの増加は、反応物質/反応生成物の核形成が起こる冷却面とプラズマ流れの界面において急峻な温度勾配の進展を伴なう。これらの図に示さないが、冷却ガス流速の緊密な制御と組み合わせてリアクトルの長さを変えることは、リアクトルアセンプリにおける冷却面の位置、およびそれに応じた反応物質/反応生成物を急速に冷却させる正確な時期を制御する実現可能な手段を提供する。リアクトル14を欠いたケースでは、反応物質/反応生成物は、プラズマトーチ12内でのその蒸発後に、実質的に直ちに冷却面にさらされる。図3および図4に示したような例示的な実施形態においては、プラズマガスはアルゴン/酸素混合物(80体積%/20体積%)から成り、一方、ガスの冷却面は、冷却チャンバー16の多孔性の金属壁を通して注入されたアルゴンを使って作り出された。
【0025】
冷却チャンバー16内で観察されるような典型的な「ガスの冷却面」、および関連する冷却ガス等濃度線を図6に示す。さらに、反応生成物を有する高温プラズマガスがガスの冷却面に衝突する時に作られる、典型的な反応生成物冷却等速度線を図7に示す。これらの図は、実質的に均一で、再生可能で、移動可能な冷却ガス面を示す。この冷却ガス面にわたって、反応生成物が約105から106K/sオーダーの高い冷却速度にさらされる。このようなガスの冷却面によって、図8〜図10に示された代表例のように、高温プラズマガスとナノ粉末の生成が実質的に均一な粒径分布を持つという状態で、粒子核形成を界面において起こすことができる。
【0026】
本発明のプロセスは、コンパクトで、拡大縮小可能で、また簡単に動作できるという追加的な利点を提供する。さらにリアクトルアセンプリ10は、製造されるナノ粉末の必要性とタイプに応じて容易に修正することができる。固体、液体、及び気体の前駆体を、製造されるナノ粉末が前駆体と同一または異なった化学組成のいずれかであるという状態で、本発明によるプロセスで使うことができる。製造されるナノ粉末が同一の化学組成のものであるケースでは、プロセスは、それのナノ粒子を生成する供給物の蒸発と濃縮に限定される。製造されるナノ粉末が異なる化学組成のものであるケースでは、供給物は、プラズマトーチ12に注入されるか、またはリアクトル14に導入されうる第2の反応物質と反応させられた。あるいは、冷却ガスは、二重機能の役割を果たすケースでは、蒸発させられた供給物と反応できる。図2に示すように、ガスの反応物質あるいはガスの反応物質/反応生成物を有するプラズマ供給物が冷却チャンバー16内に直接導入されるように、リアクトル14は取り除くことができる。供給物質が化学的に変更されて、酸化であることを制限しない例であるならば、リアクトルの存在は必要とされうる。製造されるナノ粉末のタイプに応じて適切なリアクトルアセンブリを選択することは、当技術分野の熟練者の技量の範囲内であると考えられる。
【0027】
[実験例]
誘導プラズマ技術を使った多くの金属およびセラミックのナノ粉末の合成に際し、「再生可能な層状のガスの冷却面」の効果を示す多くの例が、後述の通り提供される。
【0028】
[固体の前駆体を使ったナノ粉末の合成]
3MHzの発振周波数、65kWのプラズマプレート出力(plasma plate power)、約500Torrのリアクトル圧力の、50mm内径の誘導プラズマトーチを使って、アルゴン/水素誘導プラズマ流れを生成した。ミクロンサイズの金属粉末形態の種々の金属を、プラズマ放電の中心に軸方向に注入して蒸発させた。蒸発させられた金属を有する高温プラズマガスがリアクトルから出現するのに応じて、それらは、冷却チャンバーの多孔性の壁を通じてアルゴンを注入する手段によって作られるガスの冷却面によって捕捉される。ガスの冷却面との高温プラズマガスの相互作用は、高温プラズマガス/ガスの冷却面の界面における核形成現象を生じさせ、良好に確定された粒径分布を持ったナノ粉末の形成につながる。連続的に移動するガスの冷却面は、ここではまた冷却されたプラズマガスで構成されているが、ナノ粉末を収集チャンバーへと急速に排出し、そこでは、標準的な焼結された金属または布フィルター部材に収拾されうる。アルミニウム、ニッケル、およびタングステン粉末に対して得られる実験結果を以下の表1に要約する。プラズマプレート出力、前駆体供給速度、冷却ガス速度、および、比表面積(Specific Surface Area)(BET法を使って測定した)や粒子平均粒径のような収集されたナノ粉末の物理的特徴に関するデータも提供されている。比表面積(Specific Surface Area)は収集された粉末のm2/gの項で表されている。収集された粉末の平均粒径は、体積比率に対する等価な表面積を持った球形の粒子形状を想定して計算することができる。Malvern Mastersizer(登録商標)機器を使った光散乱解析によって得られた粒径分布を図8〜図10に示す。
【0029】
【表1】
【0030】
[液体の前駆体を使ったナノ粉末の合成]
図15および下記表2に示すように、本発明によるプロセスは液体の供給物を使ったナノ粉末の合成に適している。液体の四塩化ゲルマニウム(GeCl4、沸点=83℃)をMasterflex(登録商標)ポンプによって酸素プラズマ中に送り込んだ。その液体を蒸発させ、そして酸化させた。製造された二酸化ゲルマニウム(GeO2)蒸気を、「ガスの冷却面」を生成する冷却ガス流の注入によってナノメートル級粉末に濃縮した。図15で起こるプロセスは、以下の反応で示すことができる:
【0031】
GeCl4(l)+O2(g) → GeO2(s)+2Cl2(g)
【0032】
【表2】
【0033】
[ガスの前駆体を使ったナノ粉末の合成]
本発明のプロセスは、以下の反応で示すようなガスの供給物を使ったナノ粉末の合成にも適している:
【0034】
4BC13(g)+CH4(g)+4H2 → B4C(s)+12HCl(g)
【0035】
本発明が構造の細部および上述のような部品へのその適用に限定されないものである、ということが理解されるべきである。本発明は他の実施形態が可能であり、また様々な方法で実施できる。ここで使われる語法や専門用語が説明の目的のためのものであって、限定の目的のためのものではない、ということも理解されるべきである。ゆえに、例証的な実施形態を通じて本発明を上記のように説明してきたにもかかわらず、それは、添付の特許請求の範囲において規定された発明の主題の精神、範囲、領域、および性質から逸脱することなく、修正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明による誘導プラズマアセンブリの概略部分断面図である。
【図2】リアクトル部品がない図1の誘導プラズマアセンブリの概略部分断面図である
【図3】Ar/H2プラズマガス[65kW;3MHz]を使う図1の誘導プラズマアセンプリの等温線を図示したものであって、それぞれ、(図3A)は冷却ガス(Ar)流速が400slpm、(図3B)は冷却ガス(Ar)流速が800slpmに対するものである。
【図4】Ar/H2プラズマガス[65kW;3MHz]を使う図1の誘導プラズマアセンプリの流線を図示したものであって、(図4A)は冷却ガス(Ar)流速が400slpm、(図4B)は冷却ガス(Ar)流速が800slpmに対するものである。
【図5】Ar/H2プラズマガス[65kW;3MHz]を使う図1の誘導プラズマアセンブリの誘導プラズマトーチ/リアクトルセクションの中央線に沿った温度プロフィールを示すグラフ(図5A,図5B)と、同じ誘導プラズマアセンプリのトーチ/リアクトルセクションの内部の様々な軸方向位置での半径方向における温度プロフィールを示すグラフ(図5C,図5D)であり、(図5A,図5C)は冷却ガス(Ar)流速が400slpm、(図5B,図5D)は冷却ガス(Ar)流速が800slpmに対するものである。
【図6】「ガスの冷却面」を図示したものであって、Ar/H2プラズマガス[65kW;3MHz]を使う図1の誘導プラズマアセンブリの冷却セクションにおける冷却ガス等濃度線を表し、(図6A)は冷却ガス(Ar)流速が400slpm、(図6B)は冷却ガス(Ar)流速が800slpmに対するものである。
【図7】Ar/H2プラズマガス[65kW;3MHz]を使う図1の誘導プラズマアセンブリの冷却セクションにおける反応生成物冷却等速度線を図示したもの(暗い領域は105から106K/sの範囲の冷却速度を表示する)であって、(図7A)は冷却ガス(Ar)流速が400slpm、(図7B)は冷却ガス(Ar)流速が800slpmに対するものである。
【図8】Ar/H2プラズマガス[65kW;3MHz]を使う図1の誘導プラズマアセンブリを使用して得られたアルミニウムナノ粉末に対する粒径分布を示すグラフである。
【図9】Ar/H2プラズマガス[65kW;3MHz]を使う図1の誘導プラズマアセンブリを使用して得られたニッケルナノ粉末に対する粒径分布を示すグラフである。
【図10】Ar/H2プラズマガス[65kW;3MHz]を使う図1の誘導プラズマアセンブリを使用して得られたタングステンナノ粉末に対する粒径分布を示すグラフである。
【図11】図1の誘導プラズマアセンブリの冷却セクション内の冷却ガス流れ示す。
【図12】本発明に従ったプロセスによって製造されたナノメートル級ニッケル粉末の、(図12A)は冷却ガス(Ar)流速の関数としての平均粒度を、(図12B)は冷却ガス(Ar)流速の関数としての比表面積を示すグラフである。
【図13】本発明に従ったプロセス(マイクロメートル級サイズの銅粉末から開始した)によって製造されたナノメートル級酸化銅(CuO)粉末の、(図12A)は冷却ガス(Ar)流速の関数としての平均粒度を、(図12B)は冷却ガス(Ar/O2)流速の関数としての比表面積を示すグラフである。
【図14】本発明に従ったプロセス(マイクロメートル級サイズの銅粉末から開始した)によって製造された酸化銅ナノ粉末の粒径分布(それぞれ、BET比表面積=23.08m2/g(図14A)、および22.11m2/g(図14B))を示すグラフである。
【図15】本発明に従ったプロセス(液体GeCl4から開始した)によって製造されたナノメートル級酸化ゲルマニウム(GeO2)粉末の、(図15A)は冷却ガス(Ar)流速の関数としての平均粒度を、(図15B)は冷却ガス(Ar)流速の関数としての比表面積を示すグラフである。
【符号の説明】
【0037】
10 誘導プラズマアセンプリ
12 プラズマトーチ
14 リアクトル
16 冷却チャンバー
17 壁セクション
18 収集チャンバー
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘導プラズマ技術を使用するナノ粉末のプラズマ合成に関する。さらに具体的には、本発明は金属、合金、セラミック、および複合材料のような様々な材料のナノ粉末を、有機金属化合物、塩化物、臭化物、フッ化物、ヨウ化物、亜硝酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、および炭酸塩を前駆体として使う誘導プラズマ技術によって合成するためのプロセスに関わるが、排他的なものではない。
【背景技術】
【0002】
ナノ粉末のプラズマ合成は、過去数年にわたって益々注目を浴びて来た。多数のプロセスが、プラズマ放電、アーク放電、電気爆発(electro-explosion)、自己増殖高温合成、燃焼合成、放電、スプレー熱分解、ゾルゲル、および機械的摩耗を含む広く多種多様な技術を使って、金属、合金、およびセラミックベースのナノ粉末を用意するために開発されてきた。
【0003】
高温プラズマ処理速度は、反応物質前駆体(固体、液体、または蒸気/気体(ガス)の形態における)を比較的高温に加熱し、「高強度急激冷却技術(high intensity turbulent quench technique)」でのような冷たいガス流れに混合すること、またはナノ粒子を生成し堆積する冷たい表面に接触させることを通じて、反応生成物を急速冷却するという考え方に基づいている。「高度急激ガス冷却領域(highly turbulent gas quench zone)」の使用は、これまでに、2005年3月25日にBoulosらによって出願された特許文献1、及び2002年12月6日にBoulosらによって出願された特許文献2に記載されている。これらすべてのプロセスに対する共通の目的は、粒子形態、粒径分布、および得られた粉末の凝集を綿密に制御することの要求である。しかしながら、伝統的な「冷たい表面」の濃縮技術を使用することの欠点は、濃縮表面の特性と温度が、濃縮されたナノ粉末層の蓄積とともに変化するということである。
【0004】
2002年4月30日にCelikらによって登録された特許文献3は、微細および超微細な粉末の製造のための、移行アーク熱プラズマ(transferred arc thermal plasma)ベースの蒸気濃縮法を開示している。この方法は、間接的な冷却ステップと直接的な冷却ステップを含んだ濃縮手順を要求する。間接的な冷却ステップは冷却面を含むが、直接的な冷却ステップは蒸気に直接冷却ガスを注入することを含む。冷却面の使用は、濃縮表面上への粒子蓄積の欠点を伴なう。
【0005】
初期の蒸気濃縮と温度、粒子核形成と成長の滞留時間、および冷却プロフィールを制御することにより、粒径分布および結晶化度に対する何らかの制御ができることが、理論的に示された。これは、非特許文献1および非特許文献2に示されている。しかしながら、これらの参考文献は、明確な粒径分布と形態のナノ粉末を作り出すための効率的な方法について記載していない。
【特許文献1】米国特許出願公開第2005 0217421号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2003 0143153号明細書
【特許文献3】米国特許第6,379,419号明細書
【非特許文献1】Okuyamaら著,「AlChE Journal」,1986年,32(12),第2010〜2019頁
【非特許文献2】Girshickら著,「Plasma Chem. and Plasma Processing」,1989年,9(3),第355〜369頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
粒子形態、粒径分布、および粒子の凝集が容易に制御され、そして容易に拡大縮小可能であるような、ナノ粉末を用意するための改善されたプロセスの必要性が残っている。
【0007】
本発明は、これら、および他の必要性に対処する。
【0008】
本発明は多くの文献を参照し、その内容は参考文献としてそのすべてがここに組み入れられる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、プラズマトーチと冷却チャンバーを有する誘導プラズマ装置を必要とする粉末のプラズマ合成に関わり、そこでは、冷却ガスの注入を通じて再生可能な「ガスの冷却面」が形成され、ガスの反応物質/反応生成物が核生成する。核形成はナノ粉末を生成し、その粉末は、移動する冷却面によって収集チャンバーに速やかに輸送される。驚くべきことに、プラズマ流れに存在している反応物質/反応生成物を核生成(すなわち濃縮)するための再生可能なガスの冷却面を生成することによって、結果的なナノ粉末の形態と粒径分布の優秀な制御を達成できる、ということが発見された。さらに、再生可能なガスの冷却面の使用により、粒子凝集に対して緊密な制御が提供される。
【0010】
さらに具体的には、広く請求されたように、本発明は、反応材料を、該材料の過熱蒸気をもたらすのに十分高い温度を持ったプラズマ流れが生成されたプラズマトーチに供給する段階と;前記蒸気を冷却領域に前記プラズマ流れを用いて輸送する段階と;冷却領域内のプラズマ流れに冷却ガスを注入して再生可能なガスの冷却面を形成する段階と;再生可能なガスの冷却面とプラズマ流れとの間の界面においてナノ粉末を形成する段階と;を有することを特徴とするナノ粉末を合成するプロセスに関する。
【0011】
また、本発明は、プラズマ流れを生成し、プラズマ流れ中でプラズマトーチに供給された反応材料から過熱蒸気を作り出すプラズマトーチと;プラズマトーチ下流側にマウントされ、前記プラズマトーチと流体連通してプラズマトーチから過熱蒸気を受け取る冷却チャンバーであって、冷却ガスを受け取って前記冷却ガスから再生可能なガスの冷却面を形成し、過熱蒸気を急速に冷却してナノ粉末をもたらす冷却チャンバーと;を有することを特徴とするナノ粉末を合成するための装置にも関する。
【0012】
本発明の前述のような、また他の目的、利点、そして特徴は、専ら添付の図面を参照する例を用いて与えられた以下の例証的な実施形態の、非限定的な説明を読むことによって、一層明白になるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本願の明細書で使われる用語の明確で一貫した理解を提供するために、以下で多くの定義が提供される。さらに、別途定義されないならば、ここで使われるすべての技術用語および科学用語は、本発明の関連する技術における当業者に共通に理解されるものと同じ意味を持っている。
【0014】
請求項および/または明細書における「有する」という用語と関連して使われる時の「一の」、「ある」という用語の使用は、「一つ」を意味しうるが、「1つ以上」、「少なくとも1つ」、および「1つまたは1つを超える」という意味とも矛盾しない。同様に、「他の」という用語は、少なくとも第2のもの、あるいはそれ以降を意味しうる。
【0015】
この明細書および請求項で使われるように、「有している」という用語(および複数の主体が「有する」、単数の主体が「有する」のような、「有している」の語形)「持っている」という用語(および複数の主体が「持つ」、単数の主体が「持つ」のような、「有している」の語形)、「含んでいる」という用語(および複数の主体が「含む」、単数の主体が「含む」のような、「含んでいる」の語形)、および、「収容している」という用語(および複数の主体が「収容する」、単数の主体が「収容する」のような、「収容している」の語形)は、包括的であるか、または上限がないものであり、追加の、請求されていない要素またはプロセス段階を排除するものではない。
【0016】
「約」という用語は、ある値が、その値を決定するために使用される装置または方法に対する固有の誤差変動を含んでいる、ということを示すために使われる。
【0017】
本発明は、誘導プラズマ技術を使用し、再生可能な「ガスの冷却面」、例えばプラズマ流れ中に存在する反応物質/反応生成物を急速に冷却する役割を果たす層状の「ガスの冷却面」を必要とするナノ粉末のプラズマ合成のための新規なプロセスに関わる。第1の選択肢によれば、ガスの冷却面は、冷却ガスを一様に注入された多孔性の金属またはセラミックの壁を有する冷却チャンバー内で生成できる。第2の選択肢によれば、ガスの冷却面は穿孔された耐熱壁を有する冷却チャンバーで生成できる。
【0018】
図1は誘導プラズマアセンブリ(組立体)のある例示的な実施形態を示し、全体的に参照符号10によって表す。図1の誘導プラズマアセンプリ10は、誘導結合無線周波数(rf)プラズマトーチ12から成った上部セクションを有し、その中で、トーチ12の供給側上部終端において反応材料が実質的に軸方向に導入され、当技術分野の当業者によく知られている技術を使ってプラズマ流れの中心に分散される。冷却チャンバー16にマウントされたリアクトル14(reactor)は、プラズマトーチ12の下側終端に、プラズマトーチ12と冷却チャンバー16との間の誘導プラズマアセンプリ10に一様に同軸に取り付けられる。誘導プラズマアセンブリ10は、さらに、冷却チャンバー16の下側終端に同軸にマウントされた収集チャンバー18を有する。勿論、プラズマトーチ12、リアクトル14、冷却チャンバー16、および収集チャンバーは、お互いとの流体連通状態にある。
【0019】
プラズマは、無線周波数(ラジオ周波数)場のような高周波電磁場にさらされた際にイオン化することになる、何らかの適切なガスを使って生成される。適切なガスを選択することは、当技術分野の熟練者の技量の範囲内であると考えられる。適切な誘導結合無線周波数(rf)プラズマトーチは、Boulosらにより2005年7月19日に登録された米国特許第6,919,527号明細書に開示されている。本発明のプロセスによって考慮される他の適切なプラズマトーチは、Boulosらにより1993年4月6日に登録された米国特許第5,200,595号明細書に記載されたもののような高性能な誘導プラズマトーチを含む。
【0020】
反応物質の供給は細かい固体粒子、液体小滴、または蒸気相/気相の形態が可能である。固体の供給のケースでは、反応物質は、プラズマ流れに入ると溶融され、蒸発させられて反応温度に過熱された蒸気雲を形成する。液体小滴のケースでは、プラズマ上の熱負荷が、液体小滴を蒸発温度に熱し、蒸気を反応温度に過熱することの要求に対して、実質的に制限される。ガスの供給のケースでは、プラズマ上の熱負荷が、供給ガスを反応温度に過熱することの要求に対して、実質的に制限される。プラズマ流れは、軸方向にリアクトル14へと蒸気雲を送る。該リアクトルでは、蒸気相/気相に存在する他の成分と混合されうる。本発明の一実施形態においては、さらなる成分は、酸素のような酸化剤、メタンかアセチレンのような炭化剤、またはアンモニアのような窒化剤でありうる。勿論、当技術分野の当業者によく知られている技術を使って、他の成分を供給反応物質と共に付随してプラズマトーチ12に導入したり、あるいは、リアクトルセクション14か冷却セクション16に導入したりできる。
【0021】
プラズマ流れは、プラズマトーチ12から現れる反応物質/反応生成物をそれと流体連通するリアクトル14へ運ぶ。本発明のこの実施形態では、リアクトル14は高温グラファイト/耐熱材で裏打ちしたリアクトルでありうる。他の適切なリアクトルおよびリアクトル形状を選択することは、当技術分野の熟練者の技量の範囲内であると考えられる。同時に他の成分と混合されてプラズマトーチ12に供給物が導入された場合、リアクトル14は、何らかの反応が完了することを可能にする。あるいは、過熱された供給物は反応温度でプラズマトーチ12を出て、プラズマ流れによって他の成分と混合され、反応するリアクトル14中に運ばれる。
【0022】
リアクトル14を出ると、反応物質/反応生成物は冷却チャンバー16中に運ばれる。本発明の一実施形態では、冷却チャンバー16は、冷却ガスおよび/または反応物質が注入される多孔性の金属またはセラミック壁セクション17を有することができる。あるいは冷却チャンバー16は、冷却ガスおよび/または反応物質が注入されるスロットが設けられるか、または穿孔された耐熱壁セクションを有することができる。他の適切な冷却チャンバー形状を決定または選択することは、当技術分野の熟練者の技量の範囲内であると考えられる。他の反応物質と混合されるか、または混合されない冷却ガスの注入は、可動性で連続的に再生可能な層状の「ガスの冷却面」を生成し、その面上でガスの反応物質/反応生成物が濃縮する。このような濃縮は、反応物質/反応生成物の核形成をもたらし、ナノ粉末を生成する。この「ガスの冷却面」は、それが移動状態にあるので、再生可能である。つまり、この移動は、冷却ガスの連続的な注入によって、またプラズマ流れの動きによって与えられる。反応セクション(すなわち、プラズマトーチ12および/またはリアクトル14)と冷却セクション(冷却チャンバー16)との物理的な分離は、ナノ粉末形成が起こる濃縮面の位置を制御するさらに良好な手段を提供する。ガスの冷却面を、さらに図3、図4、図6および図7に示す。本発明の一実施形態では、アルゴンが冷却ガスとして使われる。他の適切な冷却ガスを決定し、選択することは、当技術分野の熟練者の技量の範囲内であると考えられる。
【0023】
ガスの反応物質/反応生成物がさらされる冷却速度は冷却ガスの温度とその流量に依存することになる。冷却ガスの流量は、冷却チャンバー16内の冷却面の位置、そして、リアクトル14から現れて反応物質/反応生成物を有するプラズマガスの高温流れと冷却面が相互作用する方法にも影響を与える。ナノ粉末は、可動性の冷却面上を収集チャンバー18へと運ばれて出ていく。勿論、プラズマガスは、収集チャンバー18に到着する際のそれらの冷却面との相互作用に起因して、著しく低い温度になることもある。
【0024】
本発明によるプロセスは、製造されるナノ粉末の均一性と粒径分布を制御する効果的な手段として、再生可能な「ガスの冷却面」の考え方を包含する。さらに、ナノ粉末は、実質的にその形成の際にプラズマガスと冷却ガスとで構成された現在のガスの冷却面によって冷却チャンバー16から収集チャンバー18へと、急速に排出させられるので、濃縮されたナノ粒子の凝集の可能性は著しく減少する。さらに、高容量冷却ガス流速を使うことによって、冷却チャンバー16から収集チャンバー18へと排出される間に、生成されたナノ粉末を薄い懸濁状態に維持することができる。さらに、薄い懸濁状態を維持することによって、冷却チャンバー16の壁へのナノ粉末の堆積と、粒子間の衝突を通じたナノ粒子凝集のいずれもが、実質的に回避される。毎分400および800標準リットル(slpm)の冷却ガス流速に対する、プラズマトーチ12、リアクトル14、および冷却チャンバー16のそれぞれで観察されるような典型的な温度と流れ場を、図3および図4に示す。これらの図は、高温のプラズマガス流れ上の「ガスの冷却面」の圧縮(収斂)効果を明確に実証する。ガスの冷却面がさらに激しければ、一層大きな圧縮効果となる。しかも、図3および図6から観察できるように、冷却ガス流速の増加は、冷却境界層の厚さの著しい増加とプラズマ流れの中心に向かう冷却面の漸進的な置換とをもたらす。さらに、冷却境界層の厚さの増加は、反応物質/反応生成物の核形成が起こる冷却面とプラズマ流れの界面において急峻な温度勾配の進展を伴なう。これらの図に示さないが、冷却ガス流速の緊密な制御と組み合わせてリアクトルの長さを変えることは、リアクトルアセンプリにおける冷却面の位置、およびそれに応じた反応物質/反応生成物を急速に冷却させる正確な時期を制御する実現可能な手段を提供する。リアクトル14を欠いたケースでは、反応物質/反応生成物は、プラズマトーチ12内でのその蒸発後に、実質的に直ちに冷却面にさらされる。図3および図4に示したような例示的な実施形態においては、プラズマガスはアルゴン/酸素混合物(80体積%/20体積%)から成り、一方、ガスの冷却面は、冷却チャンバー16の多孔性の金属壁を通して注入されたアルゴンを使って作り出された。
【0025】
冷却チャンバー16内で観察されるような典型的な「ガスの冷却面」、および関連する冷却ガス等濃度線を図6に示す。さらに、反応生成物を有する高温プラズマガスがガスの冷却面に衝突する時に作られる、典型的な反応生成物冷却等速度線を図7に示す。これらの図は、実質的に均一で、再生可能で、移動可能な冷却ガス面を示す。この冷却ガス面にわたって、反応生成物が約105から106K/sオーダーの高い冷却速度にさらされる。このようなガスの冷却面によって、図8〜図10に示された代表例のように、高温プラズマガスとナノ粉末の生成が実質的に均一な粒径分布を持つという状態で、粒子核形成を界面において起こすことができる。
【0026】
本発明のプロセスは、コンパクトで、拡大縮小可能で、また簡単に動作できるという追加的な利点を提供する。さらにリアクトルアセンプリ10は、製造されるナノ粉末の必要性とタイプに応じて容易に修正することができる。固体、液体、及び気体の前駆体を、製造されるナノ粉末が前駆体と同一または異なった化学組成のいずれかであるという状態で、本発明によるプロセスで使うことができる。製造されるナノ粉末が同一の化学組成のものであるケースでは、プロセスは、それのナノ粒子を生成する供給物の蒸発と濃縮に限定される。製造されるナノ粉末が異なる化学組成のものであるケースでは、供給物は、プラズマトーチ12に注入されるか、またはリアクトル14に導入されうる第2の反応物質と反応させられた。あるいは、冷却ガスは、二重機能の役割を果たすケースでは、蒸発させられた供給物と反応できる。図2に示すように、ガスの反応物質あるいはガスの反応物質/反応生成物を有するプラズマ供給物が冷却チャンバー16内に直接導入されるように、リアクトル14は取り除くことができる。供給物質が化学的に変更されて、酸化であることを制限しない例であるならば、リアクトルの存在は必要とされうる。製造されるナノ粉末のタイプに応じて適切なリアクトルアセンブリを選択することは、当技術分野の熟練者の技量の範囲内であると考えられる。
【0027】
[実験例]
誘導プラズマ技術を使った多くの金属およびセラミックのナノ粉末の合成に際し、「再生可能な層状のガスの冷却面」の効果を示す多くの例が、後述の通り提供される。
【0028】
[固体の前駆体を使ったナノ粉末の合成]
3MHzの発振周波数、65kWのプラズマプレート出力(plasma plate power)、約500Torrのリアクトル圧力の、50mm内径の誘導プラズマトーチを使って、アルゴン/水素誘導プラズマ流れを生成した。ミクロンサイズの金属粉末形態の種々の金属を、プラズマ放電の中心に軸方向に注入して蒸発させた。蒸発させられた金属を有する高温プラズマガスがリアクトルから出現するのに応じて、それらは、冷却チャンバーの多孔性の壁を通じてアルゴンを注入する手段によって作られるガスの冷却面によって捕捉される。ガスの冷却面との高温プラズマガスの相互作用は、高温プラズマガス/ガスの冷却面の界面における核形成現象を生じさせ、良好に確定された粒径分布を持ったナノ粉末の形成につながる。連続的に移動するガスの冷却面は、ここではまた冷却されたプラズマガスで構成されているが、ナノ粉末を収集チャンバーへと急速に排出し、そこでは、標準的な焼結された金属または布フィルター部材に収拾されうる。アルミニウム、ニッケル、およびタングステン粉末に対して得られる実験結果を以下の表1に要約する。プラズマプレート出力、前駆体供給速度、冷却ガス速度、および、比表面積(Specific Surface Area)(BET法を使って測定した)や粒子平均粒径のような収集されたナノ粉末の物理的特徴に関するデータも提供されている。比表面積(Specific Surface Area)は収集された粉末のm2/gの項で表されている。収集された粉末の平均粒径は、体積比率に対する等価な表面積を持った球形の粒子形状を想定して計算することができる。Malvern Mastersizer(登録商標)機器を使った光散乱解析によって得られた粒径分布を図8〜図10に示す。
【0029】
【表1】
【0030】
[液体の前駆体を使ったナノ粉末の合成]
図15および下記表2に示すように、本発明によるプロセスは液体の供給物を使ったナノ粉末の合成に適している。液体の四塩化ゲルマニウム(GeCl4、沸点=83℃)をMasterflex(登録商標)ポンプによって酸素プラズマ中に送り込んだ。その液体を蒸発させ、そして酸化させた。製造された二酸化ゲルマニウム(GeO2)蒸気を、「ガスの冷却面」を生成する冷却ガス流の注入によってナノメートル級粉末に濃縮した。図15で起こるプロセスは、以下の反応で示すことができる:
【0031】
GeCl4(l)+O2(g) → GeO2(s)+2Cl2(g)
【0032】
【表2】
【0033】
[ガスの前駆体を使ったナノ粉末の合成]
本発明のプロセスは、以下の反応で示すようなガスの供給物を使ったナノ粉末の合成にも適している:
【0034】
4BC13(g)+CH4(g)+4H2 → B4C(s)+12HCl(g)
【0035】
本発明が構造の細部および上述のような部品へのその適用に限定されないものである、ということが理解されるべきである。本発明は他の実施形態が可能であり、また様々な方法で実施できる。ここで使われる語法や専門用語が説明の目的のためのものであって、限定の目的のためのものではない、ということも理解されるべきである。ゆえに、例証的な実施形態を通じて本発明を上記のように説明してきたにもかかわらず、それは、添付の特許請求の範囲において規定された発明の主題の精神、範囲、領域、および性質から逸脱することなく、修正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明による誘導プラズマアセンブリの概略部分断面図である。
【図2】リアクトル部品がない図1の誘導プラズマアセンブリの概略部分断面図である
【図3】Ar/H2プラズマガス[65kW;3MHz]を使う図1の誘導プラズマアセンプリの等温線を図示したものであって、それぞれ、(図3A)は冷却ガス(Ar)流速が400slpm、(図3B)は冷却ガス(Ar)流速が800slpmに対するものである。
【図4】Ar/H2プラズマガス[65kW;3MHz]を使う図1の誘導プラズマアセンプリの流線を図示したものであって、(図4A)は冷却ガス(Ar)流速が400slpm、(図4B)は冷却ガス(Ar)流速が800slpmに対するものである。
【図5】Ar/H2プラズマガス[65kW;3MHz]を使う図1の誘導プラズマアセンブリの誘導プラズマトーチ/リアクトルセクションの中央線に沿った温度プロフィールを示すグラフ(図5A,図5B)と、同じ誘導プラズマアセンプリのトーチ/リアクトルセクションの内部の様々な軸方向位置での半径方向における温度プロフィールを示すグラフ(図5C,図5D)であり、(図5A,図5C)は冷却ガス(Ar)流速が400slpm、(図5B,図5D)は冷却ガス(Ar)流速が800slpmに対するものである。
【図6】「ガスの冷却面」を図示したものであって、Ar/H2プラズマガス[65kW;3MHz]を使う図1の誘導プラズマアセンブリの冷却セクションにおける冷却ガス等濃度線を表し、(図6A)は冷却ガス(Ar)流速が400slpm、(図6B)は冷却ガス(Ar)流速が800slpmに対するものである。
【図7】Ar/H2プラズマガス[65kW;3MHz]を使う図1の誘導プラズマアセンブリの冷却セクションにおける反応生成物冷却等速度線を図示したもの(暗い領域は105から106K/sの範囲の冷却速度を表示する)であって、(図7A)は冷却ガス(Ar)流速が400slpm、(図7B)は冷却ガス(Ar)流速が800slpmに対するものである。
【図8】Ar/H2プラズマガス[65kW;3MHz]を使う図1の誘導プラズマアセンブリを使用して得られたアルミニウムナノ粉末に対する粒径分布を示すグラフである。
【図9】Ar/H2プラズマガス[65kW;3MHz]を使う図1の誘導プラズマアセンブリを使用して得られたニッケルナノ粉末に対する粒径分布を示すグラフである。
【図10】Ar/H2プラズマガス[65kW;3MHz]を使う図1の誘導プラズマアセンブリを使用して得られたタングステンナノ粉末に対する粒径分布を示すグラフである。
【図11】図1の誘導プラズマアセンブリの冷却セクション内の冷却ガス流れ示す。
【図12】本発明に従ったプロセスによって製造されたナノメートル級ニッケル粉末の、(図12A)は冷却ガス(Ar)流速の関数としての平均粒度を、(図12B)は冷却ガス(Ar)流速の関数としての比表面積を示すグラフである。
【図13】本発明に従ったプロセス(マイクロメートル級サイズの銅粉末から開始した)によって製造されたナノメートル級酸化銅(CuO)粉末の、(図12A)は冷却ガス(Ar)流速の関数としての平均粒度を、(図12B)は冷却ガス(Ar/O2)流速の関数としての比表面積を示すグラフである。
【図14】本発明に従ったプロセス(マイクロメートル級サイズの銅粉末から開始した)によって製造された酸化銅ナノ粉末の粒径分布(それぞれ、BET比表面積=23.08m2/g(図14A)、および22.11m2/g(図14B))を示すグラフである。
【図15】本発明に従ったプロセス(液体GeCl4から開始した)によって製造されたナノメートル級酸化ゲルマニウム(GeO2)粉末の、(図15A)は冷却ガス(Ar)流速の関数としての平均粒度を、(図15B)は冷却ガス(Ar)流速の関数としての比表面積を示すグラフである。
【符号の説明】
【0037】
10 誘導プラズマアセンプリ
12 プラズマトーチ
14 リアクトル
16 冷却チャンバー
17 壁セクション
18 収集チャンバー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)反応材料を、該材料の過熱蒸気をもたらすのに十分高い温度を持ったプラズマ流れが生成されたプラズマトーチに供給する段階と;
b)前記蒸気を冷却領域に前記プラズマ流れを用いて輸送する段階と;
c)冷却領域内のプラズマ流れに冷却ガスを注入して再生可能なガスの冷却面を形成する段階と;
d)再生可能なガスの冷却面とプラズマ流れとの間の界面においてナノ粉末を形成する段階と;
を有することを特徴とするナノ粉末を合成するプロセス。
【請求項2】
収集領域でナノ粉末を収集する段階をさらに有することを特徴とする請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
ガスの冷却面はプラズマ流れに対して圧縮効果を及ぼすことを特徴とする請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
圧縮効果は冷却ガス流速に比例することを特徴とする請求項3に記載のプロセス。
【請求項5】
冷却ガスを、冷却領域内に、該冷却領域の壁セクションにおける複数の開口を用いて注入する段階を有することを特徴とする請求項4に記載のプロセス。
【請求項6】
複数の開口が、多孔性の壁セクションを規定することを特徴とする請求項5に記載のプロセス。
【請求項7】
複数の開口が、スロットを設けた壁セクションを規定することを特徴とする請求項5に記載のプロセス。
【請求項8】
複数の開口が、穿孔された壁セクションを規定することを特徴とする請求項5に記載のプロセス。
【請求項9】
冷却領域がチャンバーを冷却することを特徴とする請求項5、6、7または8のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項10】
前記反応材料は、固体、液体、及び気体の供給物から成るグループから選択されることを特徴とする請求項1に記載のプロセス。
【請求項11】
前記過熱蒸気は、前記プラズマ流れおよび/または前記冷却ガスと反応することのできる反応温度であることを特徴とする請求項1に記載のプロセス。
【請求項12】
前記反応材料は、金属、合金、有機金属化合物、塩化物、臭化物、フッ化物、ヨウ化物、亜硝酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、炭酸塩、酸化物、および複合材料から成るグループから選択されることを特徴とする請求項10に記載のプロセス。
【請求項13】
e)プラズマ流れ中に第2の反応物質を供給する段階と;
f)第2の反応物質を前記反応材料と反応させて、前記反応材料と異なった化学組成のナノ粉末を作り出す段階と;
をさらに有することを特徴とする請求項1に記載のプロセス。
【請求項14】
プラズマトーチに前記第2の反応物質を注入する段階を有することを特徴とする請求項13に記載のプロセス。
【請求項15】
プラズマトーチと冷却領域の間のリアクトルに第2の反応物質を注入する段階を有することを特徴とする請求項13に記載のプロセス。
【請求項16】
前記第2の反応物質は冷却ガスであることを特徴とする請求項13に記載のプロセス。
【請求項17】
a)プラズマ流れを生成し、プラズマ流れ中でプラズマトーチに供給された反応材料から過熱蒸気を作り出すプラズマトーチと;
b)プラズマトーチ下流側にマウントされ、前記プラズマトーチと流体連通してプラズマトーチから過熱蒸気を受け取る冷却チャンバーであって、冷却ガスを受け取って前記冷却ガスから再生可能なガスの冷却面を形成し、過熱蒸気を急速に冷却してナノ粉末をもたらす冷却チャンバーと;
を有することを特徴とするナノ粉末を合成するための装置。
【請求項18】
ナノ粉末を収集する収集チャンバーをさらに有することを特徴とする請求項17に記載の装置。
【請求項19】
ガスの冷却面はプラズマ流れに対して圧縮効果を及ぼすことを特徴とする請求項17に記載の装置。
【請求項20】
圧縮効果は冷却ガス流速に比例することを特徴とする請求項19に記載の装置。
【請求項21】
冷却チャンバーは、冷却ガスを、前記冷却チャンバー内に注入するための複数の開口を備えた壁セクションを有することを特徴とする請求項17に記載の装置。
【請求項22】
前記壁セクションは多孔性の壁セクションであることを特徴とする請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記壁セクションはスロットを設けた壁セクションであることを特徴とする請求項21に記載の装置。
【請求項24】
前記壁セクションは穿孔された壁セクションであることを特徴とする請求項21に記載の装置。
【請求項25】
前記反応材料は、固体、液体、及び気体の供給物から成るグループから選択されることを特徴とする請求項17に記載の装置。
【請求項26】
前記過熱蒸気は、前記プラズマ流れおよび/または前記冷却ガスと反応することのできる反応温度であることを特徴とする請求項17に記載の装置。
【請求項27】
前記反応材料は、金属、合金、有機金属化合物、塩化物、臭化物、フッ化物、ヨウ化物、亜硝酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、炭酸塩、酸化物、および複合材料から成るグループから選択されることを特徴とする請求項17に記載の装置。
【請求項28】
プラズマ流れ中に第2の反応物質を供給する手段と;
第2の反応物質を前記反応材料と反応させて、前記反応材料と異なった化学組成のナノ粉末を作り出す段階と;
をさらに有することを特徴とする請求項17に記載の装置。
【請求項29】
プラズマトーチに前記第2の反応物質を注入する手段を有することを特徴とする請求項28に記載の装置。
【請求項30】
プラズマトーチと冷却領域の間のリアクトルに第2の反応物質を注入する手段を有することを特徴とする請求項28に記載の装置。
【請求項31】
前記第2の反応物質は冷却ガスであることを特徴とする請求項28に記載の装置。
【請求項32】
前記反応材料と前記第2の反応物質とを反応させるリアクトルであって、プラズマトーチと冷却チャンバーとに流体連通し、かつプラズマトーチと冷却チャンバー間に配置されるリアクトルをさらに有することを特徴とする請求項17に記載の装置。
【請求項1】
a)反応材料を、該材料の過熱蒸気をもたらすのに十分高い温度を持ったプラズマ流れが生成されたプラズマトーチに供給する段階と;
b)前記蒸気を冷却領域に前記プラズマ流れを用いて輸送する段階と;
c)冷却領域内のプラズマ流れに冷却ガスを注入して再生可能なガスの冷却面を形成する段階と;
d)再生可能なガスの冷却面とプラズマ流れとの間の界面においてナノ粉末を形成する段階と;
を有することを特徴とするナノ粉末を合成するプロセス。
【請求項2】
収集領域でナノ粉末を収集する段階をさらに有することを特徴とする請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
ガスの冷却面はプラズマ流れに対して圧縮効果を及ぼすことを特徴とする請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
圧縮効果は冷却ガス流速に比例することを特徴とする請求項3に記載のプロセス。
【請求項5】
冷却ガスを、冷却領域内に、該冷却領域の壁セクションにおける複数の開口を用いて注入する段階を有することを特徴とする請求項4に記載のプロセス。
【請求項6】
複数の開口が、多孔性の壁セクションを規定することを特徴とする請求項5に記載のプロセス。
【請求項7】
複数の開口が、スロットを設けた壁セクションを規定することを特徴とする請求項5に記載のプロセス。
【請求項8】
複数の開口が、穿孔された壁セクションを規定することを特徴とする請求項5に記載のプロセス。
【請求項9】
冷却領域がチャンバーを冷却することを特徴とする請求項5、6、7または8のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項10】
前記反応材料は、固体、液体、及び気体の供給物から成るグループから選択されることを特徴とする請求項1に記載のプロセス。
【請求項11】
前記過熱蒸気は、前記プラズマ流れおよび/または前記冷却ガスと反応することのできる反応温度であることを特徴とする請求項1に記載のプロセス。
【請求項12】
前記反応材料は、金属、合金、有機金属化合物、塩化物、臭化物、フッ化物、ヨウ化物、亜硝酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、炭酸塩、酸化物、および複合材料から成るグループから選択されることを特徴とする請求項10に記載のプロセス。
【請求項13】
e)プラズマ流れ中に第2の反応物質を供給する段階と;
f)第2の反応物質を前記反応材料と反応させて、前記反応材料と異なった化学組成のナノ粉末を作り出す段階と;
をさらに有することを特徴とする請求項1に記載のプロセス。
【請求項14】
プラズマトーチに前記第2の反応物質を注入する段階を有することを特徴とする請求項13に記載のプロセス。
【請求項15】
プラズマトーチと冷却領域の間のリアクトルに第2の反応物質を注入する段階を有することを特徴とする請求項13に記載のプロセス。
【請求項16】
前記第2の反応物質は冷却ガスであることを特徴とする請求項13に記載のプロセス。
【請求項17】
a)プラズマ流れを生成し、プラズマ流れ中でプラズマトーチに供給された反応材料から過熱蒸気を作り出すプラズマトーチと;
b)プラズマトーチ下流側にマウントされ、前記プラズマトーチと流体連通してプラズマトーチから過熱蒸気を受け取る冷却チャンバーであって、冷却ガスを受け取って前記冷却ガスから再生可能なガスの冷却面を形成し、過熱蒸気を急速に冷却してナノ粉末をもたらす冷却チャンバーと;
を有することを特徴とするナノ粉末を合成するための装置。
【請求項18】
ナノ粉末を収集する収集チャンバーをさらに有することを特徴とする請求項17に記載の装置。
【請求項19】
ガスの冷却面はプラズマ流れに対して圧縮効果を及ぼすことを特徴とする請求項17に記載の装置。
【請求項20】
圧縮効果は冷却ガス流速に比例することを特徴とする請求項19に記載の装置。
【請求項21】
冷却チャンバーは、冷却ガスを、前記冷却チャンバー内に注入するための複数の開口を備えた壁セクションを有することを特徴とする請求項17に記載の装置。
【請求項22】
前記壁セクションは多孔性の壁セクションであることを特徴とする請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記壁セクションはスロットを設けた壁セクションであることを特徴とする請求項21に記載の装置。
【請求項24】
前記壁セクションは穿孔された壁セクションであることを特徴とする請求項21に記載の装置。
【請求項25】
前記反応材料は、固体、液体、及び気体の供給物から成るグループから選択されることを特徴とする請求項17に記載の装置。
【請求項26】
前記過熱蒸気は、前記プラズマ流れおよび/または前記冷却ガスと反応することのできる反応温度であることを特徴とする請求項17に記載の装置。
【請求項27】
前記反応材料は、金属、合金、有機金属化合物、塩化物、臭化物、フッ化物、ヨウ化物、亜硝酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、炭酸塩、酸化物、および複合材料から成るグループから選択されることを特徴とする請求項17に記載の装置。
【請求項28】
プラズマ流れ中に第2の反応物質を供給する手段と;
第2の反応物質を前記反応材料と反応させて、前記反応材料と異なった化学組成のナノ粉末を作り出す段階と;
をさらに有することを特徴とする請求項17に記載の装置。
【請求項29】
プラズマトーチに前記第2の反応物質を注入する手段を有することを特徴とする請求項28に記載の装置。
【請求項30】
プラズマトーチと冷却領域の間のリアクトルに第2の反応物質を注入する手段を有することを特徴とする請求項28に記載の装置。
【請求項31】
前記第2の反応物質は冷却ガスであることを特徴とする請求項28に記載の装置。
【請求項32】
前記反応材料と前記第2の反応物質とを反応させるリアクトルであって、プラズマトーチと冷却チャンバーとに流体連通し、かつプラズマトーチと冷却チャンバー間に配置されるリアクトルをさらに有することを特徴とする請求項17に記載の装置。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公表番号】特表2008−528259(P2008−528259A)
【公表日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−552475(P2007−552475)
【出願日】平成18年1月27日(2006.1.27)
【国際出願番号】PCT/CA2006/000110
【国際公開番号】WO2006/079213
【国際公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【出願人】(503389611)テクナ・プラズマ・システムズ・インコーポレーテッド (10)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年1月27日(2006.1.27)
【国際出願番号】PCT/CA2006/000110
【国際公開番号】WO2006/079213
【国際公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【出願人】(503389611)テクナ・プラズマ・システムズ・インコーポレーテッド (10)
【Fターム(参考)】
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