ナノ金属粒子及びナノオーダの配線の形成方法
【課題】金属粒子の粒径のバラツキが少なく、かつその粒径の制御が容易なナノ金属粒子の形成方法及びナノオーダの配線の形成方法の提供。
【解決手段】ナノオーダの平坦性を持ち、かつ表面に化学的な結合手が極めて少ない材料からなる基板上に金属材料を真空蒸着する際に、その真空蒸着雰囲気下で基板を400℃から金属材料の融点未満までの範囲の温度に加熱した状態で、金属材料の蒸着量をナノオーダで制御して蒸着せしめ、径の制御されたナノ金属粒子又はナノオーダの配線を形成する。
【解決手段】ナノオーダの平坦性を持ち、かつ表面に化学的な結合手が極めて少ない材料からなる基板上に金属材料を真空蒸着する際に、その真空蒸着雰囲気下で基板を400℃から金属材料の融点未満までの範囲の温度に加熱した状態で、金属材料の蒸着量をナノオーダで制御して蒸着せしめ、径の制御されたナノ金属粒子又はナノオーダの配線を形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノ金属粒子及びナノオーダの配線の形成方法に関し、特に、真空蒸着法により、燃料電池の触媒粒子の形成や、半導体への配線等の形成に用いられるナノ金属粒子の形成方法及びこのナノ金属粒子を用いたナノオーダの配線の形成方法に関する。本発明におけるナノオーダとは、30nm程度以下で、かつ1nm程度以上をいうものとする。
【背景技術】
【0002】
従来、ドライプロセスによりナノ金属粒子を形成させる場合には、電子ビーム蒸着法又は抵抗蒸着法等により、室温状態の基板上に、金属粒子を数nmの厚さで蒸着せしめ、蒸着後に所定の温度まで基板を加熱(アニール処理)することで、基板上にナノ金属粒子を形成させている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来技術の方法でナノ金属粒子を形成すると、基板の温度制御と加熱の昇温過程での金属粒子の凝集のバラツキから、粒径がバラケルと言う問題があった。また、同じ基板温度でも、蒸着量により粒径がバラツクという問題もあった。
【0004】
本発明の課題は、上記従来技術の問題を解決することにあり、ナノ金属粒子の粒径のバラツキが少なく、かつその粒径の制御が容易なナノ金属粒子の形成方法及びナノオーダの配線の形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のナノ金属粒子の形成方法は、ナノオーダの平坦性を持ち、かつ表面に化学的な結合手が極めて少ない材料からなる基板上に金属材料を真空蒸着する際に、その真空蒸着雰囲気下で基板を400℃から金属材料の融点未満までの範囲の温度に加熱した状態で、金属材料の蒸着量をナノオーダで制御して蒸着せしめ、径の制御されたナノ金属粒子を形成することを特徴とする。
【0006】
上記のような基板及び金属材料を用いず、また、真空蒸着雰囲気中で基板温度が400℃未満であると、金属粒子の径が大きくなり、また、凝集して局所化して成長している部分が生じ、基板温度がさらに低くなるにつれて、非常に薄い膜の上に、金属粒子が重なって形成されるようになり、金属粒子の径を制御して、基板上に孤立して粒子単層を成長させることができなくなる。
【0007】
上記ナノ金属粒子の形成方法において、基板は、約10nm以下のステップを少なくとも1つ有する平坦な基板であり、前記ナノ金属粒子を前記ステップの平面とステップの立ち上がり面下端との交線に沿って配列せしめることを特徴とする。
【0008】
このような構成を採用することにより、金属粒子単層が基板表面のステップの平面とステップの立ち上がり面下端との交線に沿って線状に配列できるようになるので、配線等を形成するのに都合がよい。
【0009】
本発明のナノオーダの配線の形成方法は、約10nm以下のステップを少なくとも1つ有する平坦な基板であって、表面に化学的な結合手が極めて少ない材料からなる基板上に金属材料を真空蒸着して配線を形成する際に、その真空蒸着雰囲気下で基板を400℃から金属材料の融点未満までの範囲の温度に加熱した状態で、金属材料の蒸着量をナノオーダで制御して蒸着せしめ、径の制御されたナノ金属粒子を前記ステップの平面とステップの立ち上がり面下端との交線に沿って配列せしめて配線を形成することを特徴とする。
【0010】
このような構成を採用することにより、金属粒子単層が基板表面のステップの平面とステップの立ち上がり面下端との交線に沿って線状に配列できるようになるので、配線を形成するのに都合がよい。
【0011】
上記ナノ金属粒子及びナノオーダの配線の形成方法において、基板は、グラファイト基板であることが好ましい。
【0012】
本発明のナノ金属粒子の形成方法はまた、シリコン等の基板上に金属材料を真空蒸着する際に、この基板上に金属粒子脱離層を形成した後に、この基板を真空蒸着雰囲気下で400℃から金属材料の融点未満までの範囲の温度に加熱した状態で、この脱離層上に金属材料の蒸着量をナノオーダで蒸着せしめ、径の制御されたナノ金属粒子を形成し、次いで脱離層からナノ金属粒子を脱離せしめてナノ金属粒子を得ることを特徴とする。かくして、容易にナノ金属粒子を得ることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、金属粒子の蒸着量を制御することにより、ナノ金属粒子の径、すなわち粒子高さを制御して形成でき、また、基板表面のステップの平面とステップの立ち上がり面下端との交線に沿って線状に配列して蒸着されるので、ナノオーダの配線を形成することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明に係るナノ金属粒子の形成方法の実施の形態によれば、ナノオーダの平坦性を持ち、かつ表面に化学的な結合手が極めて少ない材料からなり、約10nm以下のステップを少なくとも1つ有する平坦な基板上に金属材料を真空蒸着する際に、その真空蒸着雰囲気下で基板を400℃から金属材料の融点未満までの範囲の温度に加熱した状態で、真空蒸着プロセス条件を適宜設定して所定量の金属材料を蒸発せしめて金属材料の蒸着量をナノオーダで制御して蒸着せしめ、粒子径、すなわち粒子高さの制御されたナノ金属粒子を形成することができ、また、ナノ金属粒子を基板表面のステップの平面とステップの立ち上がり面下端との交線に沿って直線状に配列せしめて形成することができる。基板温度が上記融点以上であると、蒸着した金属粒子の結晶状態が変わるので好ましくない。上記蒸着粒子は、基板表面を移動し、プロセス中の基板温度で凝集して粒子径が増大し、径の制御されたナノ金属粒子を形成することができる。
【0015】
このナノ金属粒子の形成方法を実施するために使用する蒸着装置の一例として、電子ビーム蒸着源を備えた装置について、以下、説明する。本発明で用いることができる蒸着源としては特に制限がある訳ではなく、電子ビーム蒸着源の他に、例えば、スパッタやアーク・イオンプレーティングや同軸型真空アーク蒸着源を用いてもよい。
【0016】
本発明のナノ金属粒子の形成方法を実施するための電子ビーム蒸着源を備えた電子ビーム蒸着装置の一構成例を模式的に図1に示す。
【0017】
図1に示すように、電子ビーム蒸着装置は、円筒形状の真空チャンバ1からなり、この真空チャンバ1内には、その下部の底フランジに取り付けられた電子ビーム蒸着源2が設けられ、電子ビーム蒸着源2のルツボに蒸着用金属材料3が収納されるようになっており、そして電子ビーム蒸着源2と対向して基板ステージ4が設けられている。この基板ステージ4は、ナノ金属粒子を蒸着するための基板Sの蒸着面が金属材料3と対向して取り付けられるように構成されている。基板ステージ4の背面には、その中心に基板マニピュレータ5が真空チャンバ1上部壁面を貫通して取り付けられ、基板Sが基板ステージ4と共に、基板マニピュレータ5により回転できるように構成されている。そして、基板Sが取り付けられる基板ステージ4の面と反対側の面にはヒータ等の加熱手段6が取り付けられ、基板ステージ4、ひいては基板Sを加熱できるように構成されている。基板Sの蒸着表面の近傍には膜厚測定子7が取り付けられて、蒸着膜の膜厚を測定できるようになっている。
【0018】
真空チャンバ1には、その壁面にターボ分子ポンプ8、バルブ9及びロータリポンプ10が順次接続され、ターボ分子ポンプ8からロータリポンプ10までは金属製の真空配管11で接続されて、真空チャンバ1内の真空排気を行うことができるように構成されている。この場合、好ましくはチャンバ内を10−5Pa以下まで排気し、保持できるようになっている。
【0019】
図1に示す電子ビーム蒸着装置を用いて本発明のナノ金属粒子の形成方法を実施する場合について、以下、説明する。
【0020】
本発明によれば、400℃以上、金属材料の融点未満に加熱した状態の基板上に、所定の金属材料を所定の範囲に制御された蒸着量で蒸着することにより、粒径の制御されたナノ金属粒子を形成し、また、粒径の制御されたナノ金属粒子を、基板表面のステップの平面とステップの立ち上がり面下端との交線に沿って直線状にステップに沿って配列せしめて形成することができる。
【0021】
本発明で使用できる好ましい基板は、上記したように、ナノオーダの平坦性を持ち、かつ表面に化学的な結合手が極めて少ない材料からなり、約10nm以下のステップを少なくとも1つ有する平坦な基板であり、グラファイト、例えば高配向熱グラファイト(High Orientated Pyretic Graphite:略称HOPG)や、シリコン等からなる基板を挙げることができる。
【0022】
基板にナノ金属粒子の蒸着膜を形成する場合には、HOPG基板を使用することが好ましい。HOPG基板は、製造過程で高温で燒結するため、その製造コストは高いが、グラフェンシート毎に剥がすことができるので、ナノ金属粒子を蒸着後に剥がし、基板を繰り返し使用することができ、製造コストの問題は解消される。また、基板にナノ金属粒子の蒸着膜を形成するのではなく、ナノ金属粒子の粉末を採取する場合には、HOPG基板でなくても、シリコン基板等の基板を用いて、以下述べるように、基板上に設けたSiO2膜等の金属粒子脱離層上にナノ金属粒子を蒸着した後に所定の処理を行って粉末を脱離して採取することもできる。
【0023】
本発明で使用する金属材料は、例えば白金、コバルト等を挙げることができる。
【0024】
本発明によれば、ナノ金属粒子を形成する前に、加熱手段6を用いてHOPG等からなる基板Sを上記した所定の温度まで加熱する。電子ビーム蒸着源2のルツボ内に白金等の金属材料3を充填する。電子ビーム蒸着源2を稼動させて電子ビームをルツボに投入し、蒸着材料を溶融、蒸発させて、基板S上に金属材料3を所定の厚みで蒸着する。蒸着膜の厚みは、膜厚測定子7に付着した重量から、その同じ量が基板Sに均一に付着したものとして、その重量を基板面積と金属材料3の比重とから計算して算出した値である。蒸着した金属粒子の大きさ(直径)は、AFM(原子間力顕微鏡)を用いて粒子の高さを測定して算出する。この場合、粒子の高さは粒子の直径とほぼ同じであると仮定する。
【0025】
この場合、金属蒸着量をナノオーダで変えることによって、金属粒子の高さ、すなわち粒径を制御できる。
【0026】
次に、ナノ金属粒子を採取する場合について説明する。基板及び金属材料としては、上記した通りであり、以下、シリコン基板を用いた場合について説明する。
【0027】
本発明によれば、シリコン基板上に、CVDやスパッタ法に従って公知のプロセス条件でSiO2膜を形成し、この膜上に、上記した蒸着法に従って、金属を上記した基板温度で蒸着せしめる。金属を蒸着する前のSiO2表面に対してAFM観察すると、SiO2膜表面の凹凸の高さは0.2〜0.3nm程度であり、十分平坦である。この場合も、金属蒸着量をナノオーダで変えることによって、金属粒子の高さ、すなわち粒径を制御できる。SiO2膜上で金属は十分に微粒子化している。SiO2膜上に金属粒子を形成した場合、例えばナノ白金粒子等を蒸着した後にフッ酸等で処理するとSiO2膜は溶融し、白金のナノ粒子のみを採取することができる。
【0028】
また、上記では、電子ビーム蒸着装置を用いたが、蒸着源は電子ビーム蒸着源に限定するものではなく、スパッタやアーク・イオンプレーティングを用いても同様な結果が得られる。
【実施例1】
【0029】
図1に示す電子ビーム蒸着装置を用いて、HOPG基板上にナノ白金粒子を形成した。
【0030】
ナノ白金粒子を形成する前に、加熱手段6を用いてHOPG基板Sを所定の温度(500℃)まで加熱した。電子ビーム蒸着源2のルツボ内に白金を充填した。電子ビーム蒸着源2を稼動させて電子ビームをルツボに投入し、白金を溶融、蒸発させて、蒸着量を1nm、2nm及び4nmと変えて、HOPG基板S上に白金粒子を蒸着せしめた。得られた白金蒸着膜の表面をAFMで観察した。
【0031】
図2(a)及び(b)は、それぞれ、蒸着量1nm及び2nmでHOPG基板上に形成した白金蒸着膜の表面に対するAFM観察像を示す写真である。図2(a)及び(b)から、蒸着量1nmの時、白金粒子の高さ、すなわち白金蒸着膜の厚みは約8nmであり、蒸着量2nmの時、白金粒子の高さ、すなわち白金蒸着膜の厚みは17nmであった。この場合、粒子の高さが粒子の直径と比例すると仮定した。
【0032】
この白金蒸着膜の厚みは、膜厚測定子7に付着した重量から、その同じ量がHOPG基板Sに均一に付着したものとして、その重量を基板面積と蒸着材料の比重とから計算して算出した値である。
【0033】
また、図2(a)及び(b)のそれぞれの左側のAFM写真から、白金粒子がステップに沿って斜めに成長していることが観察され、これから、基板表面のステップの平面とステップの立ち上がり面下端との交線に沿って直線状に金属粒子が蒸着し、配列していることが分かった。なお、蒸着前のHOPG基板の表面をAFMで観察すると、図3に示すように、平坦なテラスとステップが存在しており、高い方のステップ高さは0.5nm程度であることが分かる。
【0034】
図4に、白金蒸着量(nm)に対して白金粒子の高さ(nm)をプロットし、白金粒子高さの蒸着量依存性を示す。なお、図4には、基板温度400℃で上記蒸着プロセスを繰り返した場合の蒸着量(1nm、2nm及び4nm)に対する粒子高さを合わせてプロットしてある。図4のグラフから明らかなように、基板温度400℃及び500℃に加熱した状態で蒸着量を変えることによって、粒の高さ、すなわち粒子直径を制御できることが分かる。
【実施例2】
【0035】
基板温度を室温(27℃)、200℃、300℃、400℃及び500℃と変えて、実施例1と同様にして、白金材料を蒸着せしめた。HOPG基板上に形成された白金蒸着膜をAFMで観察すると、室温での蒸着の場合、図5に示すように、金属微粒子は分散して形成されているが、その粒子直径は大きく(粒子高さ:3〜5nm程度)、200℃での蒸着の場合、図6に示すように、白金粒子は基板のテラスとは関係なく、非常に大きく、凝集して局所化して成長している部分があるように観察され、そして300℃での蒸着の場合、図7に示すように、高さ15nm程度の白金粒子が基板全体に広がって形成されているが、凝集して局所化して成長している部分があるように観察される。また、400℃での蒸着の場合、図8に示すよう、30nm程度のドット状に白金粒子が形成されていることが分かる。さらに、500℃での蒸着の場合、図2(a)及び(b)に示す実施例1の場合と同様の結果が得られた。
【0036】
基板温度400℃以上に加熱した状態で蒸着量を変えることによって、粒の高さ、すなわち粒子直径を変えることができる。上記したように、AFM観察によると、基板温度が400℃未満であると粒径は大きくなり、基板温度が300℃、200℃になると、非常に薄い膜の上に、粒子が重なってくるようになり、基板上に孤立して粒子単層を成長させることができなくなることが分かる。孤立した粒子単層を成長させるには、基板温度を400℃以上、好ましくは500〜600℃にすることが必要である。
【実施例3】
【0037】
本実施例では、白金をHOPG基板に蒸着するのではなく、シリコン基板上に、公知のスパッタプロセス条件でSiO2膜を形成し、このSiO2膜上に、実施例1と同様にして、白金を基板温度500℃で蒸着せしめ、ナノ白金粒子粉を採取した。
【0038】
SiO2膜上に白金を蒸着する前の表面状態は、図9に示すAFM観察像によれば、SiO2膜表面の凹凸の高さは0.2〜0.3nm程度で、十分平坦であった。また、得られた白金蒸着膜に対するAFM観察像によれば、膜厚が2nmである場合、図10に示すように白金粒子の高さは2〜3nm程度であり、膜厚が1nmである場合、図11に示すように白金粒子の高さは1〜2nm程度となっていた。この場合も、白金蒸着量を変えることによって、白金粒子の高さ、すなわち粒径を制御できることが分かる。SiO2膜上で金属は十分に微粒子化している。
【0039】
次いで、白金蒸着粒子の形成された基板に対して、フッ酸処理を行って、SiO2膜を溶融せしめ、ナノ白金粒子を採取した。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明によれば、金属の蒸着量を制御することによりナノ金属粒子の直径を制御して形成でき、また、基板表面のステップ上に金属が蒸着されるので、ナノオーダの配線を形成することができる。従って、本発明は、半導体分野における配線形成分野や、燃料電池の触媒粒子形成分野等において利用可能である
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の形成方法を実施するために用いる電子ビーム蒸着装置の一構成例の模式図。
【図2】実施例1で得られた白金蒸着膜(基板温度:500℃)のAFM観察像を示す写真であり、(a)は蒸着量1nmの場合、(b)は蒸着量2nmの場合である。
【図3】実施例1で用いた蒸着前のHOPG基板の表面のAFM観察像を示す写真。
【図4】実施例1で得られた白金粒子の高さに対する白金蒸着量依存性を示すグラフ。
【図5】実施例2で得られた白金蒸着膜(基板温度:室温)のAFM観察像を示す写真。
【図6】実施例2で得られた白金蒸着膜(基板温度:200℃)のAFM観察像を示す写真。
【図7】実施例2で得られた白金蒸着膜(基板温度:300℃)のAFM観察像を示す写真。
【図8】実施例2で得られた白金蒸着膜(基板温度:400℃)のAFM観察像を示す写真。
【図9】実施例3で用いた白金蒸着前のSiO2膜の表面のAFM観察像を示す写真。
【図10】実施例3で得られた白金蒸着膜(膜厚:2nm)のAFM観察像を示す写真。
【図11】実施例3で得られた白金蒸着膜(膜厚:1nm)のAFM観察像を示す写真。
【符号の説明】
【0042】
1 真空チャンバ 2 電子ビーム蒸着源
3 蒸着用金属材料 4 基板ステージ
5 基板マニピュレータ 6 加熱手段
7 膜厚測定子 8 ターボ分子ポンプ
9 バルブ 10 ロータリポンプ
11 真空配管 S 基板
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノ金属粒子及びナノオーダの配線の形成方法に関し、特に、真空蒸着法により、燃料電池の触媒粒子の形成や、半導体への配線等の形成に用いられるナノ金属粒子の形成方法及びこのナノ金属粒子を用いたナノオーダの配線の形成方法に関する。本発明におけるナノオーダとは、30nm程度以下で、かつ1nm程度以上をいうものとする。
【背景技術】
【0002】
従来、ドライプロセスによりナノ金属粒子を形成させる場合には、電子ビーム蒸着法又は抵抗蒸着法等により、室温状態の基板上に、金属粒子を数nmの厚さで蒸着せしめ、蒸着後に所定の温度まで基板を加熱(アニール処理)することで、基板上にナノ金属粒子を形成させている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来技術の方法でナノ金属粒子を形成すると、基板の温度制御と加熱の昇温過程での金属粒子の凝集のバラツキから、粒径がバラケルと言う問題があった。また、同じ基板温度でも、蒸着量により粒径がバラツクという問題もあった。
【0004】
本発明の課題は、上記従来技術の問題を解決することにあり、ナノ金属粒子の粒径のバラツキが少なく、かつその粒径の制御が容易なナノ金属粒子の形成方法及びナノオーダの配線の形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のナノ金属粒子の形成方法は、ナノオーダの平坦性を持ち、かつ表面に化学的な結合手が極めて少ない材料からなる基板上に金属材料を真空蒸着する際に、その真空蒸着雰囲気下で基板を400℃から金属材料の融点未満までの範囲の温度に加熱した状態で、金属材料の蒸着量をナノオーダで制御して蒸着せしめ、径の制御されたナノ金属粒子を形成することを特徴とする。
【0006】
上記のような基板及び金属材料を用いず、また、真空蒸着雰囲気中で基板温度が400℃未満であると、金属粒子の径が大きくなり、また、凝集して局所化して成長している部分が生じ、基板温度がさらに低くなるにつれて、非常に薄い膜の上に、金属粒子が重なって形成されるようになり、金属粒子の径を制御して、基板上に孤立して粒子単層を成長させることができなくなる。
【0007】
上記ナノ金属粒子の形成方法において、基板は、約10nm以下のステップを少なくとも1つ有する平坦な基板であり、前記ナノ金属粒子を前記ステップの平面とステップの立ち上がり面下端との交線に沿って配列せしめることを特徴とする。
【0008】
このような構成を採用することにより、金属粒子単層が基板表面のステップの平面とステップの立ち上がり面下端との交線に沿って線状に配列できるようになるので、配線等を形成するのに都合がよい。
【0009】
本発明のナノオーダの配線の形成方法は、約10nm以下のステップを少なくとも1つ有する平坦な基板であって、表面に化学的な結合手が極めて少ない材料からなる基板上に金属材料を真空蒸着して配線を形成する際に、その真空蒸着雰囲気下で基板を400℃から金属材料の融点未満までの範囲の温度に加熱した状態で、金属材料の蒸着量をナノオーダで制御して蒸着せしめ、径の制御されたナノ金属粒子を前記ステップの平面とステップの立ち上がり面下端との交線に沿って配列せしめて配線を形成することを特徴とする。
【0010】
このような構成を採用することにより、金属粒子単層が基板表面のステップの平面とステップの立ち上がり面下端との交線に沿って線状に配列できるようになるので、配線を形成するのに都合がよい。
【0011】
上記ナノ金属粒子及びナノオーダの配線の形成方法において、基板は、グラファイト基板であることが好ましい。
【0012】
本発明のナノ金属粒子の形成方法はまた、シリコン等の基板上に金属材料を真空蒸着する際に、この基板上に金属粒子脱離層を形成した後に、この基板を真空蒸着雰囲気下で400℃から金属材料の融点未満までの範囲の温度に加熱した状態で、この脱離層上に金属材料の蒸着量をナノオーダで蒸着せしめ、径の制御されたナノ金属粒子を形成し、次いで脱離層からナノ金属粒子を脱離せしめてナノ金属粒子を得ることを特徴とする。かくして、容易にナノ金属粒子を得ることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、金属粒子の蒸着量を制御することにより、ナノ金属粒子の径、すなわち粒子高さを制御して形成でき、また、基板表面のステップの平面とステップの立ち上がり面下端との交線に沿って線状に配列して蒸着されるので、ナノオーダの配線を形成することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明に係るナノ金属粒子の形成方法の実施の形態によれば、ナノオーダの平坦性を持ち、かつ表面に化学的な結合手が極めて少ない材料からなり、約10nm以下のステップを少なくとも1つ有する平坦な基板上に金属材料を真空蒸着する際に、その真空蒸着雰囲気下で基板を400℃から金属材料の融点未満までの範囲の温度に加熱した状態で、真空蒸着プロセス条件を適宜設定して所定量の金属材料を蒸発せしめて金属材料の蒸着量をナノオーダで制御して蒸着せしめ、粒子径、すなわち粒子高さの制御されたナノ金属粒子を形成することができ、また、ナノ金属粒子を基板表面のステップの平面とステップの立ち上がり面下端との交線に沿って直線状に配列せしめて形成することができる。基板温度が上記融点以上であると、蒸着した金属粒子の結晶状態が変わるので好ましくない。上記蒸着粒子は、基板表面を移動し、プロセス中の基板温度で凝集して粒子径が増大し、径の制御されたナノ金属粒子を形成することができる。
【0015】
このナノ金属粒子の形成方法を実施するために使用する蒸着装置の一例として、電子ビーム蒸着源を備えた装置について、以下、説明する。本発明で用いることができる蒸着源としては特に制限がある訳ではなく、電子ビーム蒸着源の他に、例えば、スパッタやアーク・イオンプレーティングや同軸型真空アーク蒸着源を用いてもよい。
【0016】
本発明のナノ金属粒子の形成方法を実施するための電子ビーム蒸着源を備えた電子ビーム蒸着装置の一構成例を模式的に図1に示す。
【0017】
図1に示すように、電子ビーム蒸着装置は、円筒形状の真空チャンバ1からなり、この真空チャンバ1内には、その下部の底フランジに取り付けられた電子ビーム蒸着源2が設けられ、電子ビーム蒸着源2のルツボに蒸着用金属材料3が収納されるようになっており、そして電子ビーム蒸着源2と対向して基板ステージ4が設けられている。この基板ステージ4は、ナノ金属粒子を蒸着するための基板Sの蒸着面が金属材料3と対向して取り付けられるように構成されている。基板ステージ4の背面には、その中心に基板マニピュレータ5が真空チャンバ1上部壁面を貫通して取り付けられ、基板Sが基板ステージ4と共に、基板マニピュレータ5により回転できるように構成されている。そして、基板Sが取り付けられる基板ステージ4の面と反対側の面にはヒータ等の加熱手段6が取り付けられ、基板ステージ4、ひいては基板Sを加熱できるように構成されている。基板Sの蒸着表面の近傍には膜厚測定子7が取り付けられて、蒸着膜の膜厚を測定できるようになっている。
【0018】
真空チャンバ1には、その壁面にターボ分子ポンプ8、バルブ9及びロータリポンプ10が順次接続され、ターボ分子ポンプ8からロータリポンプ10までは金属製の真空配管11で接続されて、真空チャンバ1内の真空排気を行うことができるように構成されている。この場合、好ましくはチャンバ内を10−5Pa以下まで排気し、保持できるようになっている。
【0019】
図1に示す電子ビーム蒸着装置を用いて本発明のナノ金属粒子の形成方法を実施する場合について、以下、説明する。
【0020】
本発明によれば、400℃以上、金属材料の融点未満に加熱した状態の基板上に、所定の金属材料を所定の範囲に制御された蒸着量で蒸着することにより、粒径の制御されたナノ金属粒子を形成し、また、粒径の制御されたナノ金属粒子を、基板表面のステップの平面とステップの立ち上がり面下端との交線に沿って直線状にステップに沿って配列せしめて形成することができる。
【0021】
本発明で使用できる好ましい基板は、上記したように、ナノオーダの平坦性を持ち、かつ表面に化学的な結合手が極めて少ない材料からなり、約10nm以下のステップを少なくとも1つ有する平坦な基板であり、グラファイト、例えば高配向熱グラファイト(High Orientated Pyretic Graphite:略称HOPG)や、シリコン等からなる基板を挙げることができる。
【0022】
基板にナノ金属粒子の蒸着膜を形成する場合には、HOPG基板を使用することが好ましい。HOPG基板は、製造過程で高温で燒結するため、その製造コストは高いが、グラフェンシート毎に剥がすことができるので、ナノ金属粒子を蒸着後に剥がし、基板を繰り返し使用することができ、製造コストの問題は解消される。また、基板にナノ金属粒子の蒸着膜を形成するのではなく、ナノ金属粒子の粉末を採取する場合には、HOPG基板でなくても、シリコン基板等の基板を用いて、以下述べるように、基板上に設けたSiO2膜等の金属粒子脱離層上にナノ金属粒子を蒸着した後に所定の処理を行って粉末を脱離して採取することもできる。
【0023】
本発明で使用する金属材料は、例えば白金、コバルト等を挙げることができる。
【0024】
本発明によれば、ナノ金属粒子を形成する前に、加熱手段6を用いてHOPG等からなる基板Sを上記した所定の温度まで加熱する。電子ビーム蒸着源2のルツボ内に白金等の金属材料3を充填する。電子ビーム蒸着源2を稼動させて電子ビームをルツボに投入し、蒸着材料を溶融、蒸発させて、基板S上に金属材料3を所定の厚みで蒸着する。蒸着膜の厚みは、膜厚測定子7に付着した重量から、その同じ量が基板Sに均一に付着したものとして、その重量を基板面積と金属材料3の比重とから計算して算出した値である。蒸着した金属粒子の大きさ(直径)は、AFM(原子間力顕微鏡)を用いて粒子の高さを測定して算出する。この場合、粒子の高さは粒子の直径とほぼ同じであると仮定する。
【0025】
この場合、金属蒸着量をナノオーダで変えることによって、金属粒子の高さ、すなわち粒径を制御できる。
【0026】
次に、ナノ金属粒子を採取する場合について説明する。基板及び金属材料としては、上記した通りであり、以下、シリコン基板を用いた場合について説明する。
【0027】
本発明によれば、シリコン基板上に、CVDやスパッタ法に従って公知のプロセス条件でSiO2膜を形成し、この膜上に、上記した蒸着法に従って、金属を上記した基板温度で蒸着せしめる。金属を蒸着する前のSiO2表面に対してAFM観察すると、SiO2膜表面の凹凸の高さは0.2〜0.3nm程度であり、十分平坦である。この場合も、金属蒸着量をナノオーダで変えることによって、金属粒子の高さ、すなわち粒径を制御できる。SiO2膜上で金属は十分に微粒子化している。SiO2膜上に金属粒子を形成した場合、例えばナノ白金粒子等を蒸着した後にフッ酸等で処理するとSiO2膜は溶融し、白金のナノ粒子のみを採取することができる。
【0028】
また、上記では、電子ビーム蒸着装置を用いたが、蒸着源は電子ビーム蒸着源に限定するものではなく、スパッタやアーク・イオンプレーティングを用いても同様な結果が得られる。
【実施例1】
【0029】
図1に示す電子ビーム蒸着装置を用いて、HOPG基板上にナノ白金粒子を形成した。
【0030】
ナノ白金粒子を形成する前に、加熱手段6を用いてHOPG基板Sを所定の温度(500℃)まで加熱した。電子ビーム蒸着源2のルツボ内に白金を充填した。電子ビーム蒸着源2を稼動させて電子ビームをルツボに投入し、白金を溶融、蒸発させて、蒸着量を1nm、2nm及び4nmと変えて、HOPG基板S上に白金粒子を蒸着せしめた。得られた白金蒸着膜の表面をAFMで観察した。
【0031】
図2(a)及び(b)は、それぞれ、蒸着量1nm及び2nmでHOPG基板上に形成した白金蒸着膜の表面に対するAFM観察像を示す写真である。図2(a)及び(b)から、蒸着量1nmの時、白金粒子の高さ、すなわち白金蒸着膜の厚みは約8nmであり、蒸着量2nmの時、白金粒子の高さ、すなわち白金蒸着膜の厚みは17nmであった。この場合、粒子の高さが粒子の直径と比例すると仮定した。
【0032】
この白金蒸着膜の厚みは、膜厚測定子7に付着した重量から、その同じ量がHOPG基板Sに均一に付着したものとして、その重量を基板面積と蒸着材料の比重とから計算して算出した値である。
【0033】
また、図2(a)及び(b)のそれぞれの左側のAFM写真から、白金粒子がステップに沿って斜めに成長していることが観察され、これから、基板表面のステップの平面とステップの立ち上がり面下端との交線に沿って直線状に金属粒子が蒸着し、配列していることが分かった。なお、蒸着前のHOPG基板の表面をAFMで観察すると、図3に示すように、平坦なテラスとステップが存在しており、高い方のステップ高さは0.5nm程度であることが分かる。
【0034】
図4に、白金蒸着量(nm)に対して白金粒子の高さ(nm)をプロットし、白金粒子高さの蒸着量依存性を示す。なお、図4には、基板温度400℃で上記蒸着プロセスを繰り返した場合の蒸着量(1nm、2nm及び4nm)に対する粒子高さを合わせてプロットしてある。図4のグラフから明らかなように、基板温度400℃及び500℃に加熱した状態で蒸着量を変えることによって、粒の高さ、すなわち粒子直径を制御できることが分かる。
【実施例2】
【0035】
基板温度を室温(27℃)、200℃、300℃、400℃及び500℃と変えて、実施例1と同様にして、白金材料を蒸着せしめた。HOPG基板上に形成された白金蒸着膜をAFMで観察すると、室温での蒸着の場合、図5に示すように、金属微粒子は分散して形成されているが、その粒子直径は大きく(粒子高さ:3〜5nm程度)、200℃での蒸着の場合、図6に示すように、白金粒子は基板のテラスとは関係なく、非常に大きく、凝集して局所化して成長している部分があるように観察され、そして300℃での蒸着の場合、図7に示すように、高さ15nm程度の白金粒子が基板全体に広がって形成されているが、凝集して局所化して成長している部分があるように観察される。また、400℃での蒸着の場合、図8に示すよう、30nm程度のドット状に白金粒子が形成されていることが分かる。さらに、500℃での蒸着の場合、図2(a)及び(b)に示す実施例1の場合と同様の結果が得られた。
【0036】
基板温度400℃以上に加熱した状態で蒸着量を変えることによって、粒の高さ、すなわち粒子直径を変えることができる。上記したように、AFM観察によると、基板温度が400℃未満であると粒径は大きくなり、基板温度が300℃、200℃になると、非常に薄い膜の上に、粒子が重なってくるようになり、基板上に孤立して粒子単層を成長させることができなくなることが分かる。孤立した粒子単層を成長させるには、基板温度を400℃以上、好ましくは500〜600℃にすることが必要である。
【実施例3】
【0037】
本実施例では、白金をHOPG基板に蒸着するのではなく、シリコン基板上に、公知のスパッタプロセス条件でSiO2膜を形成し、このSiO2膜上に、実施例1と同様にして、白金を基板温度500℃で蒸着せしめ、ナノ白金粒子粉を採取した。
【0038】
SiO2膜上に白金を蒸着する前の表面状態は、図9に示すAFM観察像によれば、SiO2膜表面の凹凸の高さは0.2〜0.3nm程度で、十分平坦であった。また、得られた白金蒸着膜に対するAFM観察像によれば、膜厚が2nmである場合、図10に示すように白金粒子の高さは2〜3nm程度であり、膜厚が1nmである場合、図11に示すように白金粒子の高さは1〜2nm程度となっていた。この場合も、白金蒸着量を変えることによって、白金粒子の高さ、すなわち粒径を制御できることが分かる。SiO2膜上で金属は十分に微粒子化している。
【0039】
次いで、白金蒸着粒子の形成された基板に対して、フッ酸処理を行って、SiO2膜を溶融せしめ、ナノ白金粒子を採取した。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明によれば、金属の蒸着量を制御することによりナノ金属粒子の直径を制御して形成でき、また、基板表面のステップ上に金属が蒸着されるので、ナノオーダの配線を形成することができる。従って、本発明は、半導体分野における配線形成分野や、燃料電池の触媒粒子形成分野等において利用可能である
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の形成方法を実施するために用いる電子ビーム蒸着装置の一構成例の模式図。
【図2】実施例1で得られた白金蒸着膜(基板温度:500℃)のAFM観察像を示す写真であり、(a)は蒸着量1nmの場合、(b)は蒸着量2nmの場合である。
【図3】実施例1で用いた蒸着前のHOPG基板の表面のAFM観察像を示す写真。
【図4】実施例1で得られた白金粒子の高さに対する白金蒸着量依存性を示すグラフ。
【図5】実施例2で得られた白金蒸着膜(基板温度:室温)のAFM観察像を示す写真。
【図6】実施例2で得られた白金蒸着膜(基板温度:200℃)のAFM観察像を示す写真。
【図7】実施例2で得られた白金蒸着膜(基板温度:300℃)のAFM観察像を示す写真。
【図8】実施例2で得られた白金蒸着膜(基板温度:400℃)のAFM観察像を示す写真。
【図9】実施例3で用いた白金蒸着前のSiO2膜の表面のAFM観察像を示す写真。
【図10】実施例3で得られた白金蒸着膜(膜厚:2nm)のAFM観察像を示す写真。
【図11】実施例3で得られた白金蒸着膜(膜厚:1nm)のAFM観察像を示す写真。
【符号の説明】
【0042】
1 真空チャンバ 2 電子ビーム蒸着源
3 蒸着用金属材料 4 基板ステージ
5 基板マニピュレータ 6 加熱手段
7 膜厚測定子 8 ターボ分子ポンプ
9 バルブ 10 ロータリポンプ
11 真空配管 S 基板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノオーダの平坦性を持ち、かつ表面に化学的な結合手が極めて少ない材料からなる基板上に金属材料を真空蒸着する際に、その真空蒸着雰囲気下で基板を400℃から金属材料の融点未満までの範囲の温度に加熱した状態で、金属材料の蒸着量をナノオーダで制御して蒸着せしめ、径の制御されたナノ金属粒子を形成することを特徴とするナノ金属粒子の形成方法。
【請求項2】
前記基板が、約10nm以下のステップを少なくとも1つ有する平坦な基板であり、前記ナノ金属粒子を前記ステップの平面とステップの立ち上がり面下端との交線に沿って配列せしめることを特徴とする請求項1記載のナノ金属粒子の形成方法。
【請求項3】
約10nm以下のステップを少なくとも1つ有する平坦な基板であって、表面に化学的な結合手が極めて少ない材料からなる基板上に金属材料を真空蒸着して配線を形成する際に、その真空蒸着雰囲気下で基板を400℃から金属材料の融点未満までの範囲の温度に加熱した状態で、金属材料の蒸着量をナノオーダで制御して蒸着せしめ、径の制御されたナノ金属粒子を前記ステップの平面とステップの立ち上がり面下端との交線に沿って配列せしめて配線を形成することを特徴とするナノオーダの配線の形成方法。
【請求項4】
前記基板が、グラファイト基板であることを特徴とする請求項1又は2記載のナノ金属粒子の形成方法。
【請求項5】
前記基板が、グラファイト基板であることを特徴とする請求項3記載のナノオーダの配線の形成方法。
【請求項6】
基板上に金属材料を真空蒸着する際に、この基板上に金属粒子脱離層を形成した後に、この基板を真空蒸着雰囲気下で400℃から金属材料の融点未満までの範囲の温度に加熱した状態で、この脱離層上に金属材料の蒸着量をナノオーダで制御して蒸着せしめ、径の制御されたナノ金属粒子を形成し、次いで脱離層からナノ金属粒子を脱離せしめてナノ金属粒子を得ることを特徴とするナノ金属粒子の形成方法。
【請求項1】
ナノオーダの平坦性を持ち、かつ表面に化学的な結合手が極めて少ない材料からなる基板上に金属材料を真空蒸着する際に、その真空蒸着雰囲気下で基板を400℃から金属材料の融点未満までの範囲の温度に加熱した状態で、金属材料の蒸着量をナノオーダで制御して蒸着せしめ、径の制御されたナノ金属粒子を形成することを特徴とするナノ金属粒子の形成方法。
【請求項2】
前記基板が、約10nm以下のステップを少なくとも1つ有する平坦な基板であり、前記ナノ金属粒子を前記ステップの平面とステップの立ち上がり面下端との交線に沿って配列せしめることを特徴とする請求項1記載のナノ金属粒子の形成方法。
【請求項3】
約10nm以下のステップを少なくとも1つ有する平坦な基板であって、表面に化学的な結合手が極めて少ない材料からなる基板上に金属材料を真空蒸着して配線を形成する際に、その真空蒸着雰囲気下で基板を400℃から金属材料の融点未満までの範囲の温度に加熱した状態で、金属材料の蒸着量をナノオーダで制御して蒸着せしめ、径の制御されたナノ金属粒子を前記ステップの平面とステップの立ち上がり面下端との交線に沿って配列せしめて配線を形成することを特徴とするナノオーダの配線の形成方法。
【請求項4】
前記基板が、グラファイト基板であることを特徴とする請求項1又は2記載のナノ金属粒子の形成方法。
【請求項5】
前記基板が、グラファイト基板であることを特徴とする請求項3記載のナノオーダの配線の形成方法。
【請求項6】
基板上に金属材料を真空蒸着する際に、この基板上に金属粒子脱離層を形成した後に、この基板を真空蒸着雰囲気下で400℃から金属材料の融点未満までの範囲の温度に加熱した状態で、この脱離層上に金属材料の蒸着量をナノオーダで制御して蒸着せしめ、径の制御されたナノ金属粒子を形成し、次いで脱離層からナノ金属粒子を脱離せしめてナノ金属粒子を得ることを特徴とするナノ金属粒子の形成方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−63605(P2008−63605A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−241021(P2006−241021)
【出願日】平成18年9月6日(2006.9.6)
【出願人】(000231464)株式会社アルバック (1,740)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月6日(2006.9.6)
【出願人】(000231464)株式会社アルバック (1,740)
【Fターム(参考)】
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