説明

ナビゲーションシステム

【課題】通常の携帯電話機を用いて利用できるナビゲーションシステムを提供する。
【解決手段】M系列の1または0の配列を表すM系列マーカを位置の特定に使用するナビゲーションシステムであって、M系列の部分系列を表すM系列マーカ50の画像を送信する携帯端末装置10と、当該携帯端末装置から情報を受信して案内情報を携帯端末装置に提供するサーバ30とを備える。サーバ30は、携帯端末装置10から受信したM系列マーカ50の画像よりM系列の部分系列を検出し、この部分系列から携帯端末装置10の現在位置を検出し、それを基に目的地までの案内情報を生成し、携帯端末装置10に送信する。このシステムは、画像のメール送受信機能を備えた市販のカメラ付携帯端末であれば、利用が可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路や屋外施設、屋内施設などに設置されたM系列マーカを用いて位置を特定するナビゲーションシステムに関し、このシステムの普及を図るものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、歩行者用のナビゲーションシステムとして、GPS(Global Positioning System)を利用するシステムが知られている。しかし、このシステムは、衛星からの電波を受信できない屋内では使用できず、また、ビルで反射した電波しか受信できない繁華街では、精確な位置を特定することができない。
【0003】
本発明者等は、先に、M系列マーカを用いて位置を特定するナビゲーションシステムを提案している(下記非特許文献1、2)。
M系列は、シフトレジスタを用いて作成可能な0と1との2進数から成る配列である。例えば、図14に示すように、3段のシフトレジスタを用いる場合は、各段のセルの値を1クロック毎に右に移動し、3段目のセルの値を出力するとともに、1段目のセルには、前クロック時点における1段目のセルの値と3段目のセルの値との排他的論理和を入力することとすると、シフトレジスタに保持される値は、111、011、101、・・・、110と7通りに変化し、その後のクロックで、この変化を周期的に繰り返す。その間にシフトレジスタからは、1周期の配列が1110100から成る系列長7ビットのM系列が繰り返し出力される。
【0004】
ここで、シフトレジスタに保持された連続した3ビットは、1周期のM系列の中でユニークな存在であり、M系列の連続した3ビットを見れば、7ビット中の何処の位置であるかが特定できる。
シフトレジスタの段数をm段とすると、発生するM系列の系列長Lは、
L=2m−1
で表される。この場合、M系列の連続するmビットを見れば、Lビット中の何処の位置であるかが特定できることになる。
【0005】
M系列を利用するナビゲーションシステムでは、図13に示すように、M系列の1または0の配列を表すM系列マーカを歩道上に配置する。図13では、視覚障害者誘導用ブロックに画いた三角形の形状がM系列マーカであり、三角形の向きにより0または1を表している。このM系列マーカが系列長7ビットのM系列を表している場合、足元の連続する3枚の視覚障害者誘導用ブロックに画かれたM系列マーカを読み取ることで、現在位置を特定することができる。
例えば、m=10とすると、L=1023であり、視覚障害者誘導用ブロックの一辺の長さを30cmとすると、307mに渡って配置された視覚障害者誘導用ブロックからM系列の10チップ分のM系列マーカを読み取ることで現在位置が特定できる。
M系列マーカの読み取りは、ソフトウエアをインストールしたカメラ付携帯端末装置で行っている。この携帯端末装置のカメラで複数枚の視覚障害者誘導用ブロックを撮影し、その画像を解析して、これらのブロックで表されたM系列の部分系列を検出し、その部分系列から現在位置を特定する。そして、携帯端末装置の表示画面に進むべき方向を矢印で表示する。
【0006】
このナビゲーションシステムは、病院などの屋内や、ビルが立ち並ぶ繁華街等でも精確に現在位置を特定することができ、それを基に、精確な案内・誘導が可能である。また、M系列マーカは、ペンキを塗るなどの方法でも形成することができるため、極めて低コストで実現できる。
【非特許文献1】長谷川孝明, “ITSプラットフォーム“EUPITS”〜実現へのアプローチ〜,”電子情報通信学会技術研究報告, ITS2003-8, pp.41-47, 2003.
【非特許文献2】山下清司, 長谷川孝明, “視覚障害者誘導用ブロックを用いたM-CubITS歩行者ナビゲーションシステムについて,” 電子情報通信学会論文誌(A), Vol.J88-A No.2, pp.269-276, 2005.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、先に提案したシステムは、その普及を図る上で改善すべき点を幾つか含んでいる。
即ち、このシステムでは、M系列マーカの画像からM系列の部分系列を検出したり、その部分系列から位置を特定したりするソフトウエアを携帯端末装置にインストールする方式を採用しているため、このソフトウエアをインストールしていない携帯端末装置は、システムに参入することができない。
また、道路や施設にM系列マーカを利用するシステムが新たに導入されても、携帯端末装置にインストールされているソフトウエアやデータベースを更新しなければ、それを利用することができない。
また、既存システムのM系列マーカの設置が延長されたり、案内対象が追加されたり、案内対象の位置が変更されたりした場合にも、携帯端末装置にインストールされているソフトウエアやデータベースの更新が必要になる。
また、携帯端末装置にソフトウエアをインストールする方式では、携帯端末装置の処理負担が大きくなるため、きめ細かいサービスが提供できない。
【0008】
本発明は、こうした課題を解決するものであり、M系列マーカを用いるシステムであって、特殊な機器を持たなくてもシステムの利用が可能であり、システムの拡張・変更に柔軟に対応することができ、また、利便性の高いサービスの供給が可能であるナビゲーションシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、M系列の1または0の配列を表すM系列マーカを位置の特定に使用するナビゲーションシステムであって、M系列の部分系列を表す前記M系列マーカの画像を送信する携帯端末装置と、当該携帯端末装置から情報を受信して案内情報を前記携帯端末装置に提供するサーバとを備え、前記携帯端末装置が、前記部分系列を表すM系列マーカの画像を撮影する撮影手段と、前記画像を添付したメールを前記サーバに送信し、当該サーバから前記案内情報のメールを受信するメール手段と、前記サーバから受信した前記案内情報を表示する表示手段と、を有し、前記サーバが、前記携帯端末装置から受信した前記M系列マーカの画像よりM系列の部分系列を検出する画像処理手段と、前記画像処理手段が検出した前記部分系列から前記携帯端末装置の現在位置を検出する現在位置検出手段と、前記現在位置検出手段が検出した現在位置に基づいて、データベースに蓄積されたデータを用いて案内情報を作成する案内情報作成手段と、前記携帯端末装置から前記M系列マーカの画像が添付されたメールを受信し、当該携帯端末装置に前記案内情報作成手段が作成した案内情報をメールで送信するメール手段と、を有することを特徴とする。
このナビゲーションシステムは、画像のメール送受信機能を備えた市販のカメラ付携帯端末であれば、利用が可能である。また、システムの拡張・変更に対しては、サーバ側を変更するだけで対応できる。
【0010】
また、本発明のナビゲーションシステムでは、前記携帯端末装置が、目的地を示すメールに前記撮影手段が撮影したM系列マーカの画像を添付して前記サーバに送信し、前記サーバの前記案内情報作成手段が、前記目的地までの案内情報を作成するように構成することができる。
このナビゲーションシステムのサーバは、携帯端末装置のユーザが求めている情報を、きめ細かく提供することができる。
【0011】
また、本発明のナビゲーションシステムでは、1つの前記M系列マーカが、M系列のpチップ分の値を表し、前記M系列マーカがM系列のp周期分に渡って配列されているように構成することができる。
このように、多値を表わすM系列マーカを用いることにより、位置の特定を効率的に行うことができる。
【0012】
また、本発明のナビゲーションシステムでは、前記M系列マーカを、視覚障害者誘導用ブロックに形成することができる。
このナビゲーションシステムは、視覚障害者を目的地に案内することができる。
【0013】
また、本発明のナビゲーションシステムでは、前記視覚障害者誘導用ブロックの一つに複数の前記M系列マーカを形成するようにしても良い。
このナビゲーションシステムでは、複数の視覚障害者誘導用ブロックを撮影することが不要であり、一つの視覚障害者誘導用ブロックを撮影すれば足りる。
【0014】
また、本発明のナビゲーションシステムでは、前記M系列マーカを、タイルカーペットで形成することができる。
病院等の建物内での案内・誘導には、タイルカーペットで表したM系列マーカを用いることができる。
【0015】
また、本発明のナビゲーションシステムでは、前記サーバが、文字で表した前記案内情報を提供し、前記携帯端末装置が、前記案内情報を文字で前記表示手段に表示するようにしても良い。
文字による詳しい案内が可能になる。
【0016】
また、本発明のナビゲーションシステムでは、前記サーバが、文字で表した前記案内情報を提供し、前記携帯端末装置が、前記案内情報を音声に変換して前記表示手段から表示するように構成することができる。
読み上げ機能を有する市販の携帯端末を使用すれば、案内情報の音声での表示が可能になる。
【0017】
また、本発明のナビゲーションシステムでは、前記サーバが、前記携帯端末装置から受信した画像に進行方向を示す矢印を付した画像を前記案内情報として提供し、前記携帯端末装置が、前記サーバから受信した前記画像を前記表示手段に表示するように構成することができる。
このナビゲーションシステムでは、案内情報を画像で表示することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明のナビゲーションシステムは、市販のカメラ付携帯端末装置で利用することができる。システムが拡張・変更された場合は、サーバ側のソフトウエアやデータベースを更新するだけで対処が可能であり、新設・拡張・変更されたシステムの利用に際して、携帯端末装置への制限は皆無である。また、サーバは、携帯端末装置のユーザの求めに応じて、きめ細かな案内情報を提供することができる。
このように、システムへの参入が容易であり、システムの拡張・変更に対して柔軟な対応が可能であり、利便性の高い情報提供が可能であり、また、低コストでシステムが構築できるため、このナビゲーションシステムの普及が期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明のナビゲーションシステムの実施形態について、図面を用いて説明する。
図1は、このナビゲーションシステムを模式的に示す図、図2は、携帯端末装置の構成を示すブロック図、図3は、サーバの構成を示すブロック図、図4は、サーバでの画像処理の手順を示す図、図5及び図6は、サーバのデータベースに格納されたデータのデータ構造を示す図、また、図7は、案内情報の一例を示す図である。
図8に示すように、歩道には、M系列マーカ50を形成した視覚障害者誘導用ブロックが敷設されている。このブロックに沿って歩いて来たユーザは、目的地の図書館への案内情報を希望する場合に、図1に示すように、携帯端末装置10で自身の足元から前方に延びる所定個数のM系列マーカ50を撮影し、目的地(図書館)を記載したメールに、この画像を添付して、サーバ30宛に送信する。
なお、ここでは、後述するように、視覚障害者誘導用ブロックに画く三角形の向き及び色により、1つの視覚障害者誘導用ブロックにM系列の2チップ分(2ビット)のM系列マーカを形成している。このM系列マーカ50が、系列長L(=2m−1)のM系列を表しているとき、サーバ30には、M系列のmチップ分以上のM系列マーカ50(即ち、m/2枚以上の視覚障害者誘導用ブロック)の画像を送信する。
【0020】
このメールを受信したサーバ30は、メールを解析し、添付された画像から、連続するmチップ分のM系列マーカ50が表している1または0の配列(部分系列)を検出する画像処理を行い、得られた部分系列からユーザの現在位置を特定する。次いで、ユーザの現在位置から図書館までの案内情報を作成し、この案内情報が記載されたメールを携帯端末装置10宛に送信する。
この情報を受信した携帯端末装置10は、案内情報を表示する。
こうして、ユーザは、図書館への行き方を知ることができる。
【0021】
携帯端末装置10は、図2に示すように、撮影用のカメラ11と、表示画面を備えた表示部12と、メールに記載する文字等を入力するキー操作部13と、音声を入力するマイク14と、音声を出力するスピーカ15とを有する通常の装置である。この装置は、内部に映像入出力処理部16、文字入出力処理部17、音声入出力処理部18、及び通信処理部20を有し、また、文字情報を音声に変換する文字/音声変換部19を備えている。そのため、サーバ30から文字情報で送られた案内情報は、音声に変換して、スピーカ15から出力することができる。こうした文字/音声変換機能を備えた携帯端末装置も従来から市販されている。
【0022】
サーバ30は、図3に示すように、携帯端末装置10との間でメールを送受信するメール送受信部31と、受信メールを解析するメール解析部32と、M系列マーカ50の画像を処理して部分系列を検出する画像処理部33と、部分系列から現在位置を検出する現在位置検出部34と、案内情報を作成する案内情報作成部35と、部分系列から現在位置を求めるための現在位置算出テーブル、及び、案内情報を作成するための案内情報テーブルなどが格納されたデータベース36とを有している。
メール送受信部31は、携帯端末装置10からメールを受信すると、そのメールアドレスを記憶して、受信メールをメール解析部32に送る。メール解析部32は、受信メールを解析し、メールに含まれた目的地を示す情報を案内情報作成部35に、また、添付された画像データを画像処理部33に送る。
【0023】
画像処理部33は、図4に示す手順で画像処理を行い、部分系列を得る。
(1)特定色抽出
添付画像について1画素ごとに色相値を算出し、M系列マーカ50の塗装に用いられる色相の範囲内にある画素のみを抽出する。
(2)角度の取得
添付画像に対してエッジ検出及び直線検出を行い、視覚障害者誘導用ブロックと路面との境界線及び撮影画像のx方向(図4(a)参照)に対する境界線の角度θを得る。
(3)画像の回転
(2)で取得したθとx方向、y方向についての輝度ヒストグラムを利用し、M系列マーカ50の列が画像のy方向と平行になるように特定色抽出後の画像を回転する。
(4)M系列の部分系列取得
(3)で得られた画像に対して回転後の新しい座標系のY方向(図4(b)参照)の輝度ヒストグラムを作製し、それぞれのM系列マーカ50のY座標を算出する。得られたY座標に対してX方向に走査し、輪郭線追跡によりM系列マーカ50を検出する。検出したM系列マーカ50の色と形状からM系列マーカ50の種類を判別し、部分系列を取得する。図4の例では、1つのM系列マーカが、その形状と色とでそれぞれ二値を表しており、部分系列は、
「101000101011」
となる。このM系列の系列長Lは4095である。
画像処理部33は、部分系列「101000101011」の値(2603)と、(2)で求めた角度θと、(3)で回転した角度とを現在位置検出部34に出力する。
【0024】
データベース36には、図5に示すように、部分系列によって表される値と、M系列マーカの始端からの距離との関係が記述された現在位置算出テーブルが格納されている。
現在位置検出部34は、この現在位置算出テーブルを参照し、画像処理部33が検出した部分系列の値からユーザの現在位置を示す「始端からの距離」を求め、また、(2)の角度θ及び(3)の回転角度から、ユーザの向きを特定する。そして、ユーザの現在位置を示す「始端からの距離」とユーザの向きの情報とを案内情報作成部35に出力する。
【0025】
また、データベース36には、図6に示すように、目的地の情報と、M系列マーカの始端からの距離の情報と、補足情報とが記述された案内情報テーブルが格納されている。
例えば、図書館は、M系列マーカの始端から40mの位置を右折して15mの位置に存在している。この案内情報テーブルの目的地の欄には、その目的地への案内情報を求めるユーザが目的地の情報として入力する可能性がある表記が網羅的に記述されている。
案内情報作成部35は、案内情報テーブルを参照して、メール解析部32から受信した目的地の表記に一致する目的地を検出し、その目的地の始端からの距離と、現在位置検出部34から送られたユーザの現在位置の「始端からの距離」との差を算出する。そして、その算出結果や、ユーザの向きの情報、補足情報などに基づいて、例えば、図7に示すような案内情報を作成する。
この案内情報は、メール送受信部31に送られ、携帯端末装置10宛のメールで伝送される。
【0026】
このメールを受信した携帯端末装置10では、文字/音声変換部19がメールの文字情報を音声情報に変換し、スピーカ15から音声出力する。また、携帯端末装置10が文字/音声変換部19を持たない場合は、案内情報が表示部12の画面に表示される。
【0027】
このように、このナビゲーションシステムは、カメラ及びメール送受信機能を備えた携帯端末装置(今日、この種の機種は広く普及している)を所有しているユーザであれば、利用できる。また、その携帯端末装置が文字/音声変換機能を有している場合(今日、この種の機種も広く普及している)は、案内情報を音声で聞くことができる。
また、M系列マーカの設置範囲が拡張されたり、新たな地域に設置されたり、目的地の数が増えたり、目的地の場所が変更されたりした場合は、データベース36に格納された案内情報テーブルや現在位置算出テーブルを更新することで対応できる。
また、データベース36に格納する案内情報テーブルの補足情報を充実化することにより、きめ細かな案内情報を提供することができる。
【0028】
ここで注目すべきは、1つの視覚障害者誘導用ブロックに2つの値(2値)を表すM系列マーカが形成されている場合でも、このシステムにおいて、部分系列を用いて位置が識別できる視覚障害者誘導用ブロックの敷設総延長は、1つの視覚障害者誘導用ブロックに1つの値を表すM系列マーカが形成されている場合と変わらない点である。
即ち、M系列の系列長Lは、L=2m−1であるから、奇数である。従って、Lの系列を順に2個ずつ組にしていくと、M系列の1周期目の最後の値と2周期目の最初の値とが同じ組に入る。そのため、1周期目の各組の組合せと2周期目の各組の組合せとは異なるものとなり、画像から識別可能である。
一方、位置の特定に必要な部分系列は、M系列のmチップ分で足りるから、m/2枚の視覚障害者誘導用ブロックの画像を送れば良いことになる。
このように、多値を表わすM系列マーカを用いることにより、位置の特定を効率的に行うことができる。
なお、多値は、3値でも4値でも良く、それ以上でも良い。
【0029】
なお、ここでは、携帯端末装置のカメラでm個の視覚障害者誘導用ブロックに形成されたM系列マーカを撮影してサーバ30に送信する場合について説明したが、図9に示すように、視覚障害者誘導用ブロックの1つの警告ブロック51にm個分の誘導ブロックのM系列マーカを形成するようにすれば、この警告ブロック51の画像を撮影してサーバ30に送信するだけで、サーバ30では、ユーザの現在位置の特定が可能になる。図10には、複数枚の視覚障害者誘導用ブロックに形成されたM系列マーカ(a)と、一枚の警告ブロック51に形成された複数のM系列マーカ(b)との対応関係を示している。
また、M系列マーカを屋内に設置する場合は、図11に示すように、床に敷き詰めるタイルカーペットでM系列マーカを形成することもできる。
【0030】
また、ここでは、携帯端末装置10からサーバ30に目的地を通知する場合について説明したが、例えば、イベント会場への誘導用にM系列マーカを設置するときのように、目的地が決まっているときは、M系列マーカの画像だけをサーバ30に送信すれば良い。
この場合、イベント会場から遠い地域では、図10(b)のように、複数のM系列マーカが形成されたブロックを所定間隔ごとに点在させ、一方、イベント会場の近くでは、図10(a)のように、1つのM系列マーカが形成されたブロックを敷き詰めて、イベント会場の近傍でのみ、ユーザの現在位置が高い精度で特定できるようにすることも可能である。
また、ここでは、サーバ30から携帯端末装置10に、文字による案内情報を送信する場合について説明したが、図12に示すように、携帯端末装置10から受信した画像に目的地の方向を示す矢印を付して携帯端末装置10に返送し、携帯端末装置10が、受信した画像を表示部12に表示するようにしても良い。
【0031】
また、M系列マーカをM系列の複数の周期に渡って繰り返して配置した場合は、部分系列が各周期に出現するため、部分系列で現在位置を一意に特定することができなくなるが、例えば、M系列の周期ごとにM系列マーカの色を変えたり、あるいは、M系列の周期を示す符合を付加したりして、携帯端末装置10のカメラで撮影されたM系列マーカが、M系列のどの周期のものであるかが識別できるようにすれば、M系列マーカをM系列の複数の周期に渡って配置しても、部分系列から現在位置を一意に特定することが可能になる。このように周期の識別が可能なM系列マーカを使用する場合は、M系列マーカ敷設の総延長が如何に拡大しても、短い部分系列でユーザの現在位置を特定することが可能であり、高い分解能で位置を特定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明のナビゲーションシステムは、視覚障害者の屋外や屋内での案内・誘導、イベント参加者の集合場所への案内・誘導など、各種の案内及び誘導に広く用いることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施形態に係るナビゲーションシステムの模式図
【図2】図1のナビゲーションシステムにおける携帯端末装置の構成を示すブロック図
【図3】図1のナビゲーションシステムにおけるサーバの構成を示すブロック図
【図4】図1のナビゲーションシステムのサーバでの画像処理手順を示す図
【図5】図1のナビゲーションシステムのデータベースに格納された現在位置算出テーブルを示す図
【図6】図1のナビゲーションシステムのデータベースに格納された案内情報テーブルを示す図
【図7】案内情報の一例を示す図
【図8】歩道に敷設されたM系列マーカの配列を示す図
【図9】複数のM系列マーカが形成された警告ブロックを説明する図
【図10】複数のM系列マーカの配列(a)と、複数のM系列マーカが形成された1つの警告ブロック(b)との対応関係を示す図
【図11】タイルカーペットで形成されたM系列マーカを示す図
【図12】画像で表された案内情報を示す図
【図13】M系列マーカの配列を示す図
【図14】M系列の説明図
【符号の説明】
【0034】
10 携帯端末装置
11 カメラ
12 表示部
13 キー操作部
14 マイク
15 スピーカ
16 映像入出力処理部
17 文字入出力処理部
18 音声入出力処理部
19 文字/音声変換部
20 通信処理部
30 サーバ
31 メール送受信部
32 メール解析部
33 画像処理部
34 現在位置検出部
35 案内情報作成部
36 データベース
50 M系列マーカ
51 警告ブロック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
M系列の1または0の配列を表すM系列マーカを位置の特定に使用するナビゲーションシステムであって、
M系列の部分系列を表す前記M系列マーカの画像を送信する携帯端末装置と、当該携帯端末装置から情報を受信して案内情報を前記携帯端末装置に提供するサーバとを備え、
前記携帯端末装置が、
前記部分系列を表すM系列マーカの画像を撮影する撮影手段と、
前記画像を添付したメールを前記サーバに送信し、当該サーバから前記案内情報のメールを受信するメール手段と、
前記サーバから受信した前記案内情報を表示する表示手段と、
を有し、
前記サーバが、
前記携帯端末装置から受信した前記M系列マーカの画像よりM系列の部分系列を検出する画像処理手段と、
前記画像処理手段が検出した前記部分系列から前記携帯端末装置の現在位置を検出する現在位置検出手段と、
前記現在位置検出手段が検出した現在位置に基づいて、データベースに蓄積されたデータを用いて案内情報を作成する案内情報作成手段と、
前記携帯端末装置から前記M系列マーカの画像が添付されたメールを受信し、当該携帯端末装置に前記案内情報作成手段が作成した案内情報をメールで送信するメール手段と、
を有することを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のナビゲーションシステムであって、前記携帯端末装置が、目的地を示すメールに前記撮影手段が撮影したM系列マーカの画像を添付して前記サーバに送信し、前記サーバの前記案内情報作成手段が、前記目的地までの案内情報を作成することを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項3】
請求項1または2に記載のナビゲーションシステムであって、1つの前記M系列マーカが、M系列のpチップ分の値を表し、前記M系列マーカがM系列のp周期分に渡って配列されていることを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載のナビゲーションシステムであって、前記M系列マーカが、視覚障害者誘導用ブロックに形成されていることを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項5】
請求項4に記載のナビゲーションシステムであって、前記視覚障害者誘導用ブロックの一つに複数の前記M系列マーカが形成されていることを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項6】
請求項1から3のいずれかに記載のナビゲーションシステムであって、前記M系列マーカが、タイルカーペットで形成されていることを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載のナビゲーションシステムであって、前記サーバが、文字で表した前記案内情報を提供し、前記携帯端末装置が、前記案内情報を文字で前記表示手段に表示することを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項8】
請求項1から6のいずれかに記載のナビゲーションシステムであって、前記サーバが、文字で表した前記案内情報を提供し、前記携帯端末装置が、前記案内情報を音声に変換して前記表示手段から表示することを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項9】
請求項1から6のいずれかに記載のナビゲーションシステムであって、前記サーバが、前記携帯端末装置から受信した画像に進行方向を示す矢印を付した画像を前記案内情報として提供し、前記携帯端末装置が、前記サーバから受信した前記画像を前記表示手段に表示することを特徴とするナビゲーションシステム。

【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図1】
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【図4】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−222682(P2009−222682A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−70486(P2008−70486)
【出願日】平成20年3月18日(2008.3.18)
【出願人】(504190548)国立大学法人埼玉大学 (292)
【Fターム(参考)】