説明

ナビゲーション装置、および画像表示プログラム

【課題】目的地までの案内経路を地図画像とともに表示部に表示させる機能を有するナビゲーション装置において、案内経路等に近い施設を探す際に手間がかかることを防止し、走行中であっても容易に案内経路等に近い施設を探すことができるようにする
【解決手段】ナビゲーション装置においては、地図スクロール処理にて、案内経路を表示させる機能の作動中において(S140:YES)、スクロール後の表示画像に案内経路が含まれているか否かを判定する(S150)。そして、表示画像に案内経路が含まれていないと判断した場合に(S150:NO)、表示画像に案内経路が含まれるように表示画像を表示させる(S160)。具体的には例えば、表示画像をスクロールさせることによって案内経路が表示画像に表示されるように表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目的地までの案内経路を地図画像とともに表示部に表示させる機能を有するナビゲーション装置、および画像表示プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カーナビゲーション装置において、画面上で使用者に触れられた位置に応じて地図画像をスクロールさせる機能を有するものが広く知られている。このようなナビゲーション装置においては、スクロールによって自車両の位置を表す自車両マークが表示画像に含まれない状態(以下、「表示画像外」という。)になったときに、自車両マークが位置する方向を表示させるものがある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2007−064844号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記ナビゲーション装置において、自車両の位置や案内経路(以下、「案内経路等」という。)が表示画像外になると、案内経路等に近い施設を地図画像上で使用者自身が探す際に、案内経路等と施設との位置関係(距離や施設までの経路)が分かり難くなる。このとき、使用者が案内経路等と施設との位置関係を容易に把握するようにするためには、案内経路等が表示領域内になるように地図をスクロールさせる必要がある。
【0004】
この際の操作は、使用者が表示画像を見ながら画面を触れることによって行われることが一般的であるが、表示画像を注視する必要があるため、使用者が車両の運転中である場合には、一旦車両を停止させる必要がある。このため、案内経路等に近い施設を探す際に車両を停車させる操作等に手間がかかるという問題点があった。
【0005】
そこで、このような問題点を鑑み、目的地までの案内経路を地図画像とともに表示部に表示させる機能を有するナビゲーション装置において、案内経路等に近い施設を探す際に手間がかかることを防止し、走行中であっても容易に案内経路等に近い施設を探すことができるようにすることを本発明の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するために成された請求項1に記載のナビゲーション装置において、案内経路判定手段は、案内経路を表示させる機能の作動中において、スクロール手段によるスクロール後の表示画像に案内経路が含まれているか否かを判定する。そして、表示制御手段は、案内経路判定手段によって表示画像に案内経路が含まれていないと判断されると、表示画像に案内経路が含まれるように表示画像を表示させる。
【0007】
このようなナビゲーション装置によれば、表示画像に案内経路が含まれるように表示画像を表示させることができるので、スクロール後の表示画像において案内経路に近い施設を探す際に手間がかかることを防止することができる。よって、当該装置の使用者は、車両が走行中であっても簡素な操作で案内経路に近い施設を探すことができる。
【0008】
ところで、請求項1に記載のナビゲーション装置おいて表示制御手段は、請求項2に記載のように、表示画像をスクロールさせることによって案内経路が表示画像に表示されるようにしてもよいし、請求項3に記載のように、表示画像に含まれる地図画像の縮尺を変更することによって表示画像に案内経路が表示されるようにしてもよい。また、請求項2および請求項3に記載の構成を組み合わせることによって、表示画像に案内経路が表示されるようにしてもよい。
【0009】
これらのようなナビゲーション装置によれば、表示画像に案内経路が含まれるように表示画像を表示させる構成を具体的に実現することができる。
さらに、請求項1〜請求項3の何れかに記載のナビゲーション装置において、当該ナビゲーション装置が車両に搭載されている場合には、請求項4に記載のように、車両が走行中か否かを検出する走行検出手段による検出結果を取得する走行取得手段を備え、表示制御手段は、走行取得手段によって車両が走行している旨の検出結果が取得された場合にのみ、表示画像に案内経路が含まれるように表示画像を表示させるようにしてもよい。
【0010】
このようなナビゲーション装置によれば、走行時のみに表示画像に必ず案内経路が含まれるようにし、走行時以外には表示画像に案内経路が含まれなくてもよいようにすることによって、使用者が設定の変更操作をすることなく表示モード(案内経路が必ず表示画像に含まれるようにするか否かのモード)を切り換えることができる。また、本発明の構成では、走行時以外の安全な操作を実施できるときには、案内経路が含まれない領域の表示を許可することができるので、表示態様の自由度を向上させることができる。
【0011】
次に、上記目的を達成するための構成としては、請求項5に記載のように、請求項1〜請求項4の何れかの記載の各手段としての機能をコンピュータにおいて実行するための画像表示プログラムであってもよい。
【0012】
このような画像表示プログラムによれば、請求項1〜請求項4の何れかに記載の各手段としての機能をプログラムの機能として備えているので、少なくとも請求項1のナビゲーション装置と同様の効果を享受することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に本発明にかかる実施の形態を図面と共に説明する。
[本実施形態の構成]
図1は、本発明が適用されたナビゲーション装置1の概略構成を示すブロック図である。ナビゲーション装置1は、例えば乗用車等の車両に搭載された装置であって、ナビECU(ECUは電子制御装置)10を中心に構成されている。なお、以下の説明においては、本発明のナビゲーション装置1が搭載された車両を自車両という。
【0014】
このナビゲーション装置1は、ナビECU10の他に、GPS受信機21と、ジャイロスコープ(ジャイロ)23と、加速度センサ(Gセンサ)24と、車速センサ25(走行検出手段)と、ACCスイッチ26と、操作部27と、地図データベース(DB)28と、表示部29とを備えている。
【0015】
GPS受信機21は、複数のGPS衛星からの信号を受信し、ナビECU10に送る。ジャイロ23は、周知のジャイロスコープであって、自車両における角速度等を検出する。
【0016】
Gセンサ24は、周知の3次元加速度センサとして構成されており、自車両に加わる加速度を3軸方向の成分に分解してそれぞれ検出する。また、車速センサ25は、周知の車速センサであって、自車両の走行速度を検出する。
【0017】
なお、GPS受信機21、ジャイロ23、Gセンサ24、車速センサ25(以後、これらをまとめて「各種センサ」ともいう。)による各種検出結果は、ナビECU10にて取得可能に構成されている。
【0018】
ナビECU10は、CPU、ROM、RAM等を備えた周知のマイクロコンピュータとしての機能を備えている。ナビECU10は、各種センサによる検出結果を取得し、ROMに格納されたプログラム(画像表示プログラムを含む)に基づく処理(後述する地図スクロール処理を含む)を実施する。
【0019】
具体的には、ナビECU10は、GPS受信機21からの信号に基づいて、自車両の現在位置(現在地)を検出する。また、ナビECU10は、自車両の現在位置を繰り返し検出することによって、自車両の移動ベクトル(自車両の正面が向いている方位:自車両の方位)を検出する。
【0020】
さらに、ナビECU10は、ジャイロ23、Gセンサ24、車速センサ25による検出結果に基づいて自車両の現在位置および進行方向(自車両の正面が向いている方位)を検出する推測航法処理も実施する。そして、ナビECU10は、予め緯度経度が関連付けられたデジタル地図を記録した地図DB28から自車両の現在位置が含まれる地図データを読み出し、この地図データを自車両の現在位置・進行方向とともに、周知のディスプレイとして構成された表示部29に表示させる。
【0021】
また、ナビECU10は、使用者が操作指令を入力するための操作部27(例えばタッチパネル方式の操作部)に対する操作に応じて、地図画像をスクロールさせる周知の機能を有する。さらに、ナビECU10は、操作部27への操作等によって地図上の目的地が設定されると、自車両の現在位置から設定された目的地までの案内経路を設定し、地図画像とともに表示部29に表示させる機能も有する。なお、以下の説明においては、表示部29に表示された地図画像を「表示画像」と記載する。
【0022】
[本実施形態の処理]
このように構成されたナビゲーション装置1においては、図2に示す地図スクロール処理も実施する。図2はナビECU10が実行する地図スクロール処理を示すフローチャートである。地図スクロール処理は、例えば、図示しないイグニッションスイッチがON状態にされると所定の周期で繰り返し実施される処理であって、まず、S110にて、自身または外部(操作部27)から表示画像の表示範囲を移動させるスクロール指令が入力されたか否かを判定する(S110)。
【0023】
なお、自身から入力されるスクロール指令とは、例えば自車両の現在位置が移動したことに伴って表示画像の表示範囲を更新する(移動させる)指令等が該当し、外部(操作部27)から入力されるスクロール指令とは、例えば、使用者がタッチした画面上の位置に応じて表示画像の中心からタッチされた位置の方向に表示画像の表示範囲を移動させる指令等が該当する。
【0024】
スクロール指令が入力されていなければ(S110:NO)、地図スクロール処理を終了する。また、スクロール指令が入力されていれば(S110:YES)、スクロール指令によって指定された位置が表示画像の中心になるように表示画像の中心を移動させる(S120:スクロール手段)。
【0025】
続いて、自車両が走行中であるか否かを判定する(S130:走行取得手段)。具体的には、ジャイロ23、Gセンサ24、および車速センサ25による検出結果が走行中に相当する出力をしているか否かによって自車両が走行中であるか否かを判定する。
【0026】
自車両が走行中であれば(S130:YES)、案内経路を表示させる機能(即ち目的地まで自車両を案内する機能)が作動中であるか否かを判定する(S140)。案内経路を表示させる機能が作動中であれば(S140:YES)、さらに表示画像(地図画像)に案内経路が含まれているか否かを判定する(S150:案内経路判定手段)。
【0027】
表示画像に案内経路が含まれていなければ(S150:NO)、案内経路が含まれるように表示画像の表示態様を変更する(S160:表示制御手段)。具体的には、表示画像の中心位置が案内経路上になるように表示画像の中心位置を移動させる。このとき、例えば、図3に示すように表示部29における鉛直方向や水平方向に表示画像を移動させてもよいし、表示画像を移動させる前における中心位置に対して案内経路上の最も近接した位置が表示画像の中心になるように表示画像を移動させてもよい。
【0028】
このような処理が終了すると、移動後の表示画像を表示部29に出力し(S170)、地図スクロール処理を終了する。即ち、この場合には、S160にて生成された表示画像が表示部29に出力されることになる。
【0029】
一方、S130の処理にて自車両が走行中ではないと判定された場合(S130:NO)、S140の処理にて案内経路を表示させる機能が作動中でない場合(S140:NO)、およびS150の処理にて表示画像に案内経路が含まれている場合(S150:YES)には、直ちに移動後の表示画像を表示部29に出力し(S170)、地図スクロール処理を終了する。この場合には、S120の処理にて生成された表示画像が表示部29に出力されることになる。
【0030】
[本実施形態の効果]
以上のように詳述したナビゲーション装置1において、ナビECU10は、地図スクロール処理にて、案内経路を表示させる機能の作動中において、スクロール後の表示画像に案内経路が含まれているか否かを判定する。そして、表示画像に案内経路が含まれていないと判断した場合に、表示画像に案内経路が含まれるように表示画像を表示させる。具体的にナビECU10は、表示画像をスクロールさせることによって案内経路が表示画像に表示されるように表示させる。
【0031】
このようなナビゲーション装置1によれば、表示画像に案内経路が含まれるように表示画像を表示させることができるので、スクロール後の表示画像において案内経路に近い施設を探す際に手間がかかることを防止することができる。よって、当該ナビゲーション装置1の使用者は、自車両が走行中であっても簡素な操作で案内経路に近い施設を探すことができる。
【0032】
さらに、ナビゲーション装置1においては、自車両に搭載されており、ナビECU10は、車速センサ25による検出結果を取得し、自車両が走行している旨の検出結果を取得した場合にのみ、表示画像に案内経路が含まれるように表示画像を表示させる。
【0033】
このようなナビゲーション装置1によれば、走行時のみに表示画像に必ず案内経路が含まれるようにし、走行時以外には表示画像に案内経路が含まれなくてもよいようにすることによって、使用者が設定の変更操作をすることなく表示モード(案内経路が必ず表示画像に含まれるようにするか否かのモード)を切り換えることができる。また、本発明の構成では、走行時以外の安全な操作を実施できるときには、案内経路が含まれない領域の表示を許可することができるので、表示態様の自由度を向上させることができる。
【0034】
[その他の実施形態]
本発明の実施の形態は、上記の実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
【0035】
例えば、上記実施形態の地図スクロール処理においては、実際に表示画像をスクロールさせる前(スクロール後の表示画像を表示部29に表示させる前)に、表示画像に案内経路が含まれているか否かを判定したが、表示画像をスクロールさせてから表示画像に案内経路が含まれているか否かを判定してもよい。
【0036】
また、上記実施形態の地図スクロール処理においては、表示画像の中心位置が案内経路上になるように表示画像を移動させたが、表示画像に案内経路が含まれるように表示画像を移動させていれば、移動の態様については任意に設定することができる。また、案内経路を必ず表示画像中に含める処理(S140〜S160の処理)を実施するか否かについては、操作部27からの入力に基づいて設定できるようにされていてもよい。
【0037】
さらに、上記実施形態の地図スクロール処理においては、表示画像の中心位置を移動させることによって案内経路が表示画像に含まれるようにしたが、例えば、地図の縮尺を変更することによって案内経路が表示画像に含まれるようにしてもよい。具体的には、表示画像において、案内経路が表示画像に含まれるようになるまで段階的に縮尺を小さく(縮尺分母を大きく)変更すればよい。つまり、地図画像を表示させる際の縮尺を複数(多数)準備しておき、表示画像に案内経路が含まれない場合に(S150:NO)、現在の縮尺よりも一段階だけ縮尺を小さくした表示画像に案内経路が含まれているか否かを判定し、この表示画像に案内経路が含まれていなければ、さらに一段階だけ縮尺を小さくして案内経路が含まれているか否かを判定するといった処理を繰り返す。
【0038】
そして、案内経路が含まれる縮尺にて、表示画像を出力する。このような処理を実施しても、上記実施形態と同様の効果を享受することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】ナビゲーション装置1の概略構成を示すブロック図である。
【図2】地図スクロール処理を示すフローチャートである。
【図3】地図スクロール例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0040】
1…ナビゲーション装置、10…ナビECU、21…GPS受信機、23…ジャイロ、24…Gセンサ、25…車速センサ、26…ACCスイッチ、27…操作部、28…地図DB、29…表示部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目的地までの案内経路を地図画像とともに表示部に表示させる機能を有するナビゲーション装置であって、
外部より移動方向を指定したスクロール指令を受けると、前記表示部に表示された地図画像である表示画像を前記指定された移動方向にスクロールさせるスクロール手段と、
前記案内経路を表示させる機能の作動中において、前記スクロール手段によるスクロール後の表示画像に前記案内経路が含まれているか否かを判定する案内経路判定手段と、
前記案内経路判定手段によって表示画像に前記案内経路が含まれていないと判断されると、前記表示画像に前記案内経路が含まれるように前記表示画像を表示させる表示制御手段と、
を備えたことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記表示制御手段は、前記表示画像をスクロールさせることによって前記表示画像に前記案内経路が表示されるようにすること
を特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記表示制御手段は、前記表示画像に含まれる地図画像の縮尺を変更することによって前記表示画像に前記案内経路が表示されるようにすること
を特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3の何れかに記載のナビゲーション装置において、
当該ナビゲーション装置は車両に搭載されており、
当該車両が走行中か否かを検出する走行検出手段による検出結果を取得する走行取得手段を備え、
前記表示制御手段は、前記走行取得手段によって車両が走行している旨の検出結果が取得された場合にのみ、前記表示画像に前記案内経路が含まれるように前記表示画像を表示させること
を特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4の何れかの記載の各手段としての機能をコンピュータにおいて実行するための画像表示プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−14662(P2010−14662A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−176915(P2008−176915)
【出願日】平成20年7月7日(2008.7.7)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】