説明

ナビゲーション装置、ナビゲーションプログラム

【課題】道路の分岐合流エリアにおいてより適切な経路誘導を行うことができるようにする。
【解決手段】ナビゲーション装置100が、道路上の複数の分岐合流エリアそれぞれに対応する分岐合流エリアの平面形状を示す形状情報と、分岐合流エリアにおける移動体の走行予定経路に応じた推奨走行経路を示す誘導情報とを対応付けて記憶する分岐合流エリア情報記憶部22を備え、現在位置から所定範囲内に位置する分岐合流エリアに対応する分岐合流エリア情報を検索し、検索した分岐合流エリア情報に対応する分岐合流エリアにおける移動体の走行予定経路を特定し、特定した走行予定経路に応じた誘導情報を特定し、特定した誘導情報と、誘導情報に対応する形状情報とに基づいて、前記表示装置の表示画面に分岐合流エリアにおける推奨走行経路を示す分岐合流誘導画像を表示するための分岐合流誘導画像情報を作成して表示装置の表示画面に分岐合流誘導画像を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置の表示画面に道路画像を表示して移動体の移動経路を案内するナビゲーション装置、およびナビゲーション装置に動作制御させるためのナビゲーションプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両や人間などの移動体の目的地への到達を支援するためのシステムとして、ナビゲーションシステムが知られている。このナビゲーションシステムは、例えば、GPS(Global Positioning System)によって移動体の現在位置を導出し、この移動体の現在位置情報と道路地図情報とを基に経路探索処理によって推奨移動経路を求め、この推奨移動経路に基づいて移動経路の自動案内(以下、「経路誘導」という。)を行う。
【0003】
一般的なナビゲーションシステムを備えたナビゲーション装置には、経路の分岐点や複数の経路の合流点、および交差点など(以下、これらを合わせて「分岐合流エリア」と呼ぶ。)における走行経路の案内をより正確に行うために、表示装置の表示画面に道路画像を表示するものがある。
【0004】
このようなナビゲーション装置には、例えば、道路や建造物等を3次元的に表示するためのポリゴンデータを備え、自車位置データならびに表示視点選択データに基づいて地図表示範囲を求め、表示対象となる道路データと建造物のポリゴンデータを読み出し、視点座標系への変換ならびに透視投影変換を行なうことで、平面地図,俯瞰図,車両内から交差点を見た案内図を生成し、生成した地図,俯瞰図,案内図を必要に応じて画像合成して画像表示装置で表示するものなどがある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平09−171348号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このようなナビゲーション装置では、例えば分岐合流エリアの1つである交差点における移動体の進入位置と脱出位置と結ぶ推奨走行経路を表示する場合、交差点内に設定されたリンク(交差点内リンク)に基づいて推奨走行経路を示す矢印などを作成すると、角度案内が現実と異なる表現になってしまう場合があるといった問題があった。
【0007】
すなわち、例えば図4に示すように、分岐合流エリアの1つである交差点が4つのノードで構成され、ノードに対応するリンクL1,L2,L3,L4が設定されており、移動体である車両Cが右折する予定であるとする。このような場合、従来のナビゲーション装置は、車両Cの位置と右折を予定しているという情報とから、リンクL4とリンクL1を選択し、選択したリンクの角度に基づいて走行予定経路を示す矢印などを作成していた。そのため、リンクの角度が実際の道路の曲がり角度と誤差がある場合に、矢印などによる角度案内が現実と異なる表現になってしまう場合があるという問題があった。
【0008】
このような問題を解決するために、例えば、図4におけるリンクL5のような推奨走行経路を示すリンクを追加したり、直進・右折・左折などの方向や推奨走行経路を示す矢印などの複数画像を分岐合流エリアに対応させて記憶部に格納しておき、案内時に表示することを行うようにしたりすることが考えられる。しかし、このような方法では、道路地図情報に対する追加情報(例えば、リンクや画像情報)が増えてしまい、経路探索や経路表示に関する処理に要する処理時間が増えてしまうという新たな問題が発生する。
【0009】
本発明は、上述した問題を解決すべく、道路の分岐合流エリアにおいてより適切な経路誘導を行うことができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のナビゲーション装置は、表示装置の表示画面に道路画像を表示して移動体の移動経路を案内するナビゲーション装置であって、道路上の複数の分岐合流エリアそれぞれに対応する分岐合流エリアの平面形状を示す形状情報と、分岐合流エリアにおける移動体の走行予定経路に応じた推奨走行経路を示す誘導情報とを対応付けて記憶する分岐合流エリア情報記憶手段と、前記移動体の現在位置を特定する現在位置特定手段と、該現在位置特定手段により特定された現在位置から所定範囲内に位置する分岐合流エリアに対応する分岐合流エリア情報を検索する分岐合流エリア情報検索手段と、該分岐合流エリア情報検索手段により検索された分岐合流エリア情報に対応する分岐合流エリアにおける前記移動体の走行予定経路を特定する走行予定経路特定手段と、前記分岐合流エリア情報記憶手段を参照して前記走行予定経路特定手段により特定された走行予定経路に応じた誘導情報を特定する誘導情報特定手段と、該誘導情報特定手段により特定された誘導情報と、該誘導情報に対応する形状情報とに基づいて、前記表示装置の表示画面に分岐合流エリアにおける推奨走行経路を示す分岐合流誘導画像を表示するための分岐合流誘導画像情報を作成する分岐合流誘導画像情報作成手段と、該分岐合流誘導画像情報作成手段により作成された分岐合流誘導画像情報に基づいて前記表示装置の表示画面に分岐合流誘導画像を表示する分岐合流誘導画像表示手段とを含むことを特徴とする。
【0011】
上記の構成としたことで、道路の分岐合流エリアにおいてより適切な経路誘導を行うことができるようになる。
【0012】
前記リンク情報が示すリンクに、前記分岐合流エリアへ進入する道路に対応するリンクを示す進入リンクと前記分岐合流エリアから脱出する道路に対応するリンクを示す脱出リンクとを含み、前記走行予定経路特定手段は、前記進入リンクと前記脱出リンクとの組み合わせにより前記走行予定経路を特定する構成とされていてもよい。
【0013】
道路走行時の注意点などをユーザに報知するための案内情報を前記分岐合流エリア情報と対応付けて記憶する案内情報記憶手段と、該案内情報記憶手段に記憶された案内情報のうち現在位置に応じた案内情報に従って経路誘導を行う経路誘導手段とを含み、前記分岐合流エリア情報は、前記誘導情報に対応する案内情報を有する構成とされていてもよい。
【0014】
前記分岐合流エリア情報検索手段は、検索した分岐合流エリア情報に誘導情報が対応付けされているか否かを判定する分岐合流エリア判定手段を有し、前記誘導情報特定手段は、前記分岐合流エリア判定手段により前記分岐合流エリア情報に誘導情報が対応付けされていると判定された場合に走行予定経路に応じた誘導情報を特定する構成とされていてもよい。
【0015】
また、本発明のナビゲーションプログラムは、表示装置の表示画面に道路画像を表示して移動体の移動経路を案内するナビゲーション装置に動作制御させるためのナビゲーションプログラムであって、前記ナビゲーション装置に、前記移動体の現在位置を特定する現在位置特定処理と、道路上の複数の分岐合流エリアそれぞれに対応する分岐合流エリアの平面形状を示す形状情報と、分岐合流エリアにおける移動体の走行予定経路に応じた推奨走行経路を示す誘導情報とを対応付けて記憶する分岐合流エリア情報記憶手段に記憶された分岐合流エリア情報のうち前記現在位置特定処理にて特定された現在位置から所定範囲内に位置する分岐合流エリアに対応する分岐合流エリア情報を検索する分岐合流エリア情報検索処理と、該分岐合流エリア情報検索処理にて検索された分岐合流エリア情報に対応する分岐合流エリアにおける前記移動体の走行予定経路を特定する走行予定経路特定処理と、前記分岐合流エリア情報記憶手段を参照して前記走行予定経路特定処理にて特定された走行予定経路に応じた誘導情報を特定する誘導情報特定処理と、該誘導情報特定処理にて特定された誘導情報と、該誘導情報に対応する形状情報とに基づいて、前記表示装置の表示画面に推奨走行経路を示す分岐合流誘導画像を表示するための分岐合流誘導画像情報を作成する分岐合流誘導画像情報作成処理と、該分岐合流誘導画像情報作成処理にて作成された分岐合流誘導画像情報に基づいて前記表示装置の表示画面に分岐合流エリアにおける分岐合流誘導画像を表示する分岐合流誘導画像表示処理とを実行させるためのものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、道路の分岐合流エリアにおいてより適切な経路誘導を行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】ナビゲーション装置の構成の例を示すブロック図である。
【図2】制御部と記憶部の構成の例を説明するための説明図である。
【図3】分岐合流エリア情報の格納状態の例を示す説明図である。
【図4】従来の道路情報について説明するための説明図である。
【図5】分岐合流エリア情報について説明するための説明図である。
【図6】分岐合流誘導画像表示処理の例を示すフローチャートである。
【図7】分岐合流エリア情報と分岐合流エリア情報に基づいて作成される分岐合流誘導画像について説明するための説明図である。
【図8】分岐合流誘導画像を含む道路画像を表示した表示画面の例を示す説明図である。
【図9】1つの走行予定経路に対応して複数の分岐合流誘導画像情報が作成される場合の例について説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
【0019】
図1は、本発明の一実施の形態に係るナビゲーション装置100の構成の例を示すブロック図である。ナビゲーション装置100は、例えば、モバイルタイプのパーソナルコンピュータ、PND(Portable Navigation Device)や専用デバイスなどの情報処理装置によって構成されるものである。本例においては、図1に示すように、ナビゲーション装置100は、制御部10と、記憶部20と、メモリ30と、表示部40と、センサ部50と、通信部60と、入力部70とを含む。以下、ナビゲーション装置100が移動体である車両に搭載されている場合について説明する。
【0020】
なお、図示しないが、ナビゲーション装置100は、CPU(中央処理装置)、プログラム記憶部、OS(オペレーティング・システム)等を有する。
【0021】
制御部10は、例えばCPU(中央処理装置)により構成され、記憶部20に記憶されたコンピュータプログラム(ナビゲーション装置100に動作制御させるためのコンピュータプログラムであり、ナビゲーションプログラムを含む。)に従い、ナビゲーション装置100を構成する各要素を統括制御し、経路探索機能、経路誘導機能、サービス情報(ガソリンスタンドやコンビニエンスストア、ラーメン店、ホテル・旅館といった店舗情報や、有名な施設情報、行楽地情報といったPOI(Point Of Interest)情報)を検索する情報検索機能を含む各種の処理を実行するための各種の機能を有する。なお、これらの各種の機能は、一般のナビゲーション装置が備える公知の技術によって実現される。制御部10の構成については、後で詳しく説明する。
【0022】
記憶部20は、ROMやRAMなどで構成され、ナビゲーション装置100が使用する各種コンピュータプログラムを記憶する記憶媒体である。また、記憶部20には、地図情報などナビゲーション装置として必要な各種情報を記憶する記憶媒体である。記憶部20の構成については、後で詳しく説明する。
【0023】
メモリ30は、制御部10が処理する各種情報を一時的に保持する記憶媒体であり、RAMなどの半導体記憶装置により構成される。
【0024】
出力部40は経路誘導に関する情報を出力する装置であり、例えば画像情報を表示する画像表示装置(ディスプレイ装置、モニタ)と、音声情報を音声出力する音声出力装置(スピーカ装置)とを含む。画像表示装置は、道路地図情報と車両の現在位置情報とを表示画面上に表示するとともに、目的地までの推奨移動経路を表示画面上に併せて表示することで、視覚によって道順を報知する。また、音声出力装置は、案内音声情報を音声出力することで、聴覚によって移動経路の道順を報知する。
【0025】
センサ部50は、ナビゲーション装置100の現在位置(すなわち、ユーザの現在位置)を測位する機能を備えており、例えば、GPS衛星から送られてくるGPS信号を受信し、このGPS信号に基づいて位置を測定するGPSセンサや、初期位置から移動量(距離)を計測する速度センサ、進行(移動)方位を計測するジャイロセンサ等からなる。
【0026】
GPSセンサは、いわゆるGPS受信機と称されるものであり、GPS衛星から放射されるGPS信号を受信してGPS衛星とGPS受信機自身との距離(疑似距離)を測定し、複数の衛星からのGPS信号を同時に受信することによりGPS受信機自身の現在位置(GPS測位解)を算出する。
【0027】
また、センサ部50は、GPS信号を受信するGPS受信機(アンテナ)の他、受信したGPS信号のデコード等の処理を行い、制御部10に通知する機能を有する。
【0028】
通信部60は、インターネットなどの通信ネットワークに無線あるいは有線によって接続し、通信ネットワークに接続された管理サーバなどの外部の装置と情報の送受信を行うための機能を有する。
【0029】
入力部70は、制御部10に対する各種指示をユーザから受け付ける機能を備える。本例では、入力部70は、例えば、表示部40の表示画面上に表示される操作ボタンなどによって構成される。
【0030】
図2は、本例における制御部10と記憶部20の構成を説明するための説明図である。図2に示すように、制御部10は、経路探索部11と、自車位置特定部12と、分岐合流エリア情報検索部13と、走行予定経路特定部14と、誘導情報特定部15と、分岐合流誘導画像情報作成部16と、経路誘導部17とを含む。
【0031】
経路探索部11は、出発位置(例えば、現在位置)から目的地までの推奨移動経路を導出する経路探索処理を行う。経路探索処理では、例えば、入力部70を介して出発地(または、現在位置)と目的地とを示す情報の入力を受け付けて、受け付けた情報に基づいて、道路情報を参照して出発地から目的地までの推奨移動経路を導出するとともに、導出した推奨移動経路を含む道路地図からなる移動経路周辺地図を生成する処理を行う。なお、経路探索処理については公知の技術を用いるので、ここでの詳細な説明は省略する。また、経路探索処理に必要な情報、例えば現在位置の特定や移動経路周辺地図を生成するためなどに用いられる地図情報は、予め記憶部20に記憶されている構成としてもよいし、通信部60により外部の管理サーバなどから取得する構成としてもよい。
【0032】
自車位置特定部12は、車両の現在位置情報を特定する処理を行う。ここで、現在位置は、例えば緯度と経度により示される。自車位置特定部12は、例えば、センサ部50から通知される情報に基づいて現在位置を示す現在位置情報を特定する。
【0033】
分岐合流エリア情報検索部13は、後述する分岐合流エリア情報記憶部22に記憶された分岐合流エリア情報のうち、検索条件に応じた分岐合流エリア情報を検索する機能を有する。本例においては、分岐合流エリア情報検索部13は、経路探索部11により導出された推奨移動経路上に位置する分岐合流エリアであって、後述する「点フラグ」に「0」が設定された分岐合流エリア(または、形状情報と誘導情報が対応付けされた分岐合流エリア)に対応する分岐合流エリア情報を検索する。
【0034】
走行予定経路特定部14は、分岐合流エリア情報が示す分岐合流エリアにおける車両の走行予定経路を特定する機能を有する。本例においては、走行予定経路特定部14は、後述する推奨移動経路情報記憶部23に記憶された推奨移動経路情報に基づいて、分岐合流エリアにおける車両の走行予定経路を特定する。具体的には、走行予定経路特定部14は、分岐合流エリアに対応する進入リンクと脱出リンクとの組み合わせを特定し、分岐合流エリア情報における走行可能経路のうち特定した進入リンクと脱出リンクの組み合わせを示す走行可能経路を走行予定経路として選択する(図3参照)。
【0035】
誘導情報特定部15は、後述する分岐合流エリア情報記憶部22を参照して走行予定経路特定部14により特定された走行予定経路に応じた誘導情報を特定する。なお、本例においては、分岐合流エリア情報記憶部22において、誘導情報と形状情報とは予め対応付けされているものとする。
【0036】
分岐合流誘導画像情報作成部16は、分岐合流エリア情報を参照して、走行予定経路特定部14により特定された走行予定経路に対応する誘導情報に基づいて、出力部40の表示画面に推奨走行経路を示す分岐合流誘導画像を表示するための分岐合流誘導画像情報を作成する機能を有する。具体的には、分岐合流誘導画像情報作成部16は、走行予定経路特定部14により特定された進入リンクと脱出リンクとの組み合わせに対応する走行可能経路に対応付けされた誘導情報を特定し、特定した誘導情報と、誘導情報に対応付けされた形状情報とに基づいて(図3参照)分岐合流誘導画像情報を作成する。本例においては、分岐合流誘導画像情報作成部16は、形状情報が示す領域のうち誘導情報が示す領域を示すポリゴン座標群を抽出することにより、分岐合流誘導画像情報を作成する。
【0037】
経路誘導部17は、経路探索部11により探索された推奨移動経路を用いた一般的な経路誘導(ユーザの現在位置に応じた推奨移動経路を含む地図の表示や、音声案内など)を行うための処理を行う機能を有する。なお、本例においては、経路誘導部17は、分岐合流エリアにおける推奨走行経路(分岐合流誘導画像が示す経路)を用いた経路誘導を行うための処理を実行する機能を有する。
【0038】
また、本例において、記憶部20は、図2に示すように、道路地図情報記憶部21と、分岐合流エリア情報記憶部22と、推奨移動経路情報記憶部23とを含む。
【0039】
道路地図情報記憶部21は、一定の緯度幅と緯度幅で区切られた矩形状の範囲(以下、「メッシュ」という。)に分割して地図情報を記憶する記憶媒体である。この地図情報は、道路地図情報記憶部21に記憶されるほか、例えばSDメモリカードと呼ばれるリムーバルメディアとしての補助記憶装置や、CD−ROMやDVD−ROM等に保存することができる。また、インターネット等の通信ネットワークを介して地図情報をダウンロードするようにしてもよい。また、道路地図情報記憶部21は、道路情報として、道路を分岐合流エリアとリンクで表して管理し、各分岐合流エリアとリンクに関して経路構成分岐合流エリア情報と経路構成リンク情報とを記憶する記憶媒体である。すなわち、経路探索部11は、経路探索処理において必要な情報を道路地図情報記憶部21から取得することとなる。以下、適宜地図情報と道路情報とを合わせて「道路地図情報」と呼ぶ。
【0040】
なお、道路情報は、時期や車両の進行方向によって異なる内容となる場合がある。ここで、本例における道路情報には、各リンクの長さや通過時間を経路コストとして格納されている。また、道路情報は、複数の階層を持っており、本例においては近傍用(全ての道路を格納)、近距離用(細街路以外の道路を格納)、中距離用(県道以上の道路を格納)、遠距離用(高速道、国道を格納)が設定されている。この場合、例えば道路情報を構成する分岐合流エリアとリンクに階層情報を設定するようにすればよい。これにより、経路探索の条件によって経路探索の対象となる道路情報を使い分けることができる。すなわち、例えば現在位置から目的地までの距離が長距離である場合には、間に存在する道路情報の量が膨大になるため、遠距離用が設定された道路情報を用いて経路探索処理を行うことにより、経路探索部11の処理負荷を軽減させることができる。
【0041】
分岐合流エリア情報記憶部22は、道路上の複数の分岐合流エリアそれぞれに対応する分岐合流エリア情報に、分岐合流エリアの平面形状を示す形状情報と、分岐合流エリアにおける移動体の走行予定経路に応じた推奨走行経路を示す誘導情報とを対応付けて記憶する記憶媒体である。なお、分岐合流エリア情報は、分岐合流エリアが立体交差点である場合などには、平面形状だけでなく、分岐合流エリアの立体形状を示す形状情報を有している構成とされていてもよい。
【0042】
図3は、分岐合流エリア情報記憶部22における分岐合流エリア情報の格納状態の例を示す説明図である。図3に示すように、本例における分岐合流エリア情報は、分岐合流エリアを一意に特定するための分岐合流エリアIDと、道路地図情報における分岐合流エリアの位置を特定するための位置情報と、分岐合流エリアが「点」として表現されているか否か示す点フラグと、分岐合流エリア属性と、接続リンクIDと、分岐合流エリア名称と、走行可能経路と、形状情報と、誘導情報とを含む。
【0043】
ここで、「点フラグ」とは、分岐合流エリアが点として取り扱われているか否かを示すものである。本例においては、分岐合流エリアが一般的な「ノード」と同様に、「点」で表されている場合に点フラグには「1」が設定される。一方、「面」として取り扱われている分岐合流エリアの点フラグには「0」が設定される。なお、本例においては、後述する「形状情報」が対応付けされている分岐合流エリアに対して、点フラグに「0」が設定される。点フラグの設定は、情報の作成者が入力する構成としてもよいし、形状情報が入力されたことに応じて制御部10が設定する構成としてもよい。
【0044】
また、「分岐合流エリア属性」とは、分岐合流エリアに設定された属性を示すものである。本例においては、分岐合流エリア属性として、交差点種別(図3における「a」)、案内情報種別(図3における「b」)、および分岐点区分(図3における「c」)が設定される。分岐合流エリア属性は、経路探索や経路誘導に関する処理において分岐合流エリアを判定する際に利用される。
【0045】
また、「接続リンクID」とは、分岐合流エリアに接続(進入または脱出)するリンクを特定するための識別情報である。
【0046】
また、「走行可能経路」とは、分岐合流エリアにおいて車両が走行可能な経路を示す情報である。本例においては、接続リンクIDが示すリンクのうち、分岐合流エリアに対して車両が進入する道路に対応するリンク(進入リンク)と、分岐合流エリアから車両が脱出する道路に対応するリンク(脱出リンク)との組み合わせが記憶されているものとする。
【0047】
また、「形状情報」とは、分岐合流エリアの形状を示す情報であり、分岐合流エリアの位置を示す代表座標値と、分岐合流エリアの形状を多角形形状で示すポリゴン座標群とで構成される。以下、本例においては、代表座標値として分岐合流エリアの略中心の位置を示す位置情報と同一の座標を用いる場合について説明する。
【0048】
なお、形状情報が、代表座標値と形状オフセット値(例えば、代表座標値を基準として分岐合流エリアの形状を特定可能なオフセット値)で構成される構成としてもよい。
【0049】
また、「誘導情報」とは、分岐合流エリアにおける移動体の走行予定経路に応じた推奨走行経路を示す情報である。すなわち、誘導情報は、分岐合流エリアにおいて車両の走行経路を推奨走行経路上に誘導するための分岐合流誘導画像を示す分岐合流誘導画像情報を作成し、出力部40などの表示装置の表示画面に表示するための情報である。なお、本例においては、誘導情報は、分岐合流エリアの形状情報としてのポリゴン座標群が示す範囲内における「推奨走行経路」とされる範囲を指定する情報(範囲指定情報)であるものとする。すなわち、誘導情報に基づいて形状情報から「推奨走行経路」を示す「分岐合流誘導画像情報」を抽出するという意味において、誘導情報は、「分岐合流誘導画像を作成するための情報」としての役割を果たす。
【0050】
なお、本例においては、誘導情報として、例えば「合流可能位置までの距離Xm、合流区間Ym、本線区間Zm、幅Am、となる範囲」が設定されているものとする(X,Y,Z,Aはそれぞれ分岐合流エリアの形状に応じて設定可能な数値)。なお、分岐合流誘導画像情報作成部16において使用される複数の直線を結ぶ場合の曲率の決定方法については、図面作成ソフトなどで使用される公知の技術を使用するので詳しい説明は省略する。このような構成とすることにより、分岐合流エリアにおけるユーザの位置に応じた分岐合流誘導画像を示す分岐合流誘導画像情報を作成することができる。なお、分岐合流エリア情報に対応付けされる誘導情報は、代表点に対する範囲指定である構成としてもよい。
【0051】
また、形状情報と誘導情報とに基づいて作成される「分岐合流誘導画像」は、進入リンクと脱出リンクとに対応する道路を結ぶ画像を表示できる構成であればよい。本例においては、分岐合流誘導画像情報として、形態の表現だけでなく、地図画像や道路画像に重畳して表示するためのマッチングで利用するためのポリゴン座標群を含む画像情報を用いる場合について説明を行う。
【0052】
推奨移動経路情報記憶部23は、経路探索部11により導出された推奨移動経路を示すリンク情報を分岐合流エリア情報と関連付けて記憶する記憶媒体である。
【0053】
ここで、本例における分岐合流エリア情報の概念について、図を参照して改めて説明する。
【0054】
図4は、従来の道路情報について説明するための説明図である。従来の道路情報では、例えば図4に示すように、分岐合流エリアの1つである交差点に対しては、交差点内に交差点内リンクL1〜L4を設定していた。そして、経路誘導対象である車両Cに対して、交差点内リンクL1〜L4に基づいて本例における分岐合流誘導画像に対応する画像を作成(または、予め進行方向に対応付けされた画像を選択)して出力していた。具体的には、車両Cが交差点に所定距離以内まで接近したことに応じて、例えば推奨移動経路情報に基づいて車両が走行する予定の経路に対応する交差点内リンクを特定し、特定した交差点内リンクに基づいて分岐合流誘導画像を作成(または選択)して出力していた。この場合、例えば分岐合流誘導画像の曲がり具合などは交差点内リンク同士の接続角度などにより設定されることとなるため、実際の分岐合流エリアの通過する形状と異なる場合があった。また、走行予定経路に応じた画像を選択する構成や、図4におけるリンクL5のような「推奨走行経路を示すリンク」を選択する構成とする場合には、道路情報に対応付けする情報量が過大になってしまうという問題があった。
【0055】
一方、図5は、分岐合流エリア情報記憶部22に格納された分岐合流エリア情報について説明するための説明図である。図5(A)に示すように、形状情報が対応付けされた分岐合流エリア情報の場合、車両Cの進路上に位置する分岐合流エリアに対応する分岐合流エリアN21を、車両Cの走行経路となり得る範囲の道路形状に近似した平面形状で表すことができる。また、分岐合流エリアN21に対する進入リンクAL1と脱出リンクEL1〜EL3は、分岐合流エリアN21に接続するものとして表すことができる。そして、走行予定経路特定部14により特定された走行予定経路が「進入リンクAL1から脱出リンクEL3」である場合、例えば図5(B)に示すように、分岐合流誘導画像情報作成部16により、車両Cが分岐合流エリアの中心(代表点RN21)を通って進入リンクAL1から脱出リンクEL3へ移動するための経路を示す分岐合流誘導画像G1が作成される。なお、走行予定経路に応じた分岐合流誘導画像の作成方法の1つとして、分岐合流エリアに設定された代表点RN21の座標を基準とした形状指定などが考えられる。
【0056】
なお、図5に示すように、分岐合流エリアN21に対応する接続リンク(例えば、進入リンクAL1など)は、分岐合流エリアN21の内部まで進入していないため、リンクを用いた経路誘導に誤差が生じるとも考えられる。しかし、例えば分岐合流エリアN21の大きさに応じた走行経路の長さをリンク間コスト(分岐合流エリアコスト)としての経路コスト(距離)に含めるなど、誤差を修正するための方法は種々考えられる。なお、分岐合流エリア内の距離誤差をリンク間コストとして経路計算結果に反映させる構成とすることにより、例えば図4に示した従来の道路情報を用いた経路計算より距離精度を向上させることができるようになる。さらに、分岐合流画像G1の幅方向をゼロとした線分を分岐合流エリアにおけるマップマッチングの情報として用いる構成とすることにより、分岐合流エリアにおける位置精度を向上させることができる。
【0057】
次に、本例のナビゲーション装置100の動作について図を参照して説明する。なお、本発明に特に係わらない処理については、その詳細な説明を省略している場合がある。
【0058】
図6は、ナビゲーション装置100が実行する分岐合流誘導画像表示処理の例を示すフローチャートである。分岐合流誘導画像表示処理では、分岐合流誘導画像を含む道路画像を出力部40の表示画面に表示するための処理が行われる。以下、推奨移動経路上に点フラグが「0」に設定された分岐合流エリア情報が示す分岐合流エリアが存在する場合の分岐合流誘導画像表示処理の例について説明を行なう。
【0059】
図7は、分岐合流エリア情報と分岐合流エリア情報に基づいて作成される分岐合流誘導画像について説明するための説明図である。図7(A)は、分岐合流エリア情報の構成の例について説明するための説明図である。図7(A)に示すように、分岐合流エリア情報は、分岐合流エリアN11と、分岐合流エリアN11に対応する代表点RN11と、分岐合流エリアに進入する道路に対応する進入リンクAL11,AL12と、分岐合流エリアから脱出する道路に対応する脱出リンクEL11とを示す。
【0060】
図7(B)は、分岐合流エリアN11を示す分岐合流エリア情報に基づいて作成される分岐合流誘導画像について説明するための説明図である。図7(B)に示すように、分岐合流誘導画像G11は、対応するリンクの組み合わせである進入リンクAL11と脱出リンクEL11(図3参照)に対応する道路を結ぶ領域を示す。なお、道路に対する分岐合流誘導画像G11の幅は、道路に対する車両の幅(または、車両の幅に近い幅)とする構成としてもよい。
【0061】
本例における分岐合流誘導画像表示処理は、例えば、制御部10が、ナビゲーション装置100のユーザAによる出発地と目的地の入力を受け付けて、経路探索部11による推奨移動経路の探索を開始したことにより開始される。
【0062】
分岐合流誘導画像表示処理において、先ず、制御部10は、経路探索部11により、推奨移動経路を導出する(ステップS101)。
【0063】
推奨移動経路を導出すると、制御部10は、導出した推奨移動経路を示すリンク情報を推奨移動経路情報記憶部23に登録して、経路誘導部17による経路誘導を開始する(ステップS102)。なお、本例においては、制御部10は、経路となるリンク情報とともに分岐合流エリア情報を誘導経路情報記憶部23に登録する。
【0064】
経路誘導を開始すると、制御部10は、分岐合流エリア情報検索部13により、分岐合流エリア情報記憶部22に格納された分岐合流エリア情報のうち、推奨移動経路を示すリンク情報に応じた分岐合流エリア情報を検索する(ステップS103)。本例においては、分岐合流エリア情報検索部13は、推奨移動経路を示すリンク情報に含まれるリンクを接続リンクとする分岐合流エリア情報を検索する(ステップS103)。
【0065】
分岐合流エリア情報を検索すると、制御部10は、推奨移動経路上に点フラグが「0」の分岐合流エリア情報が示す分岐合流エリアがあるか否かを判定する(ステップS104)。本例においては、制御部10は、推奨移動経路を示すリンク情報に含まれるリンクに、点フラグが「0」の分岐合流エリア情報において誘導情報に対応付けされた走行可能経路を示すリンク(すなわち、進入リンクと脱出リンクの組み合わせ)がある場合に、推奨移動経路上に点フラグが「0」の分岐合流エリア情報が示す分岐合流エリアがあると判定する(ステップS104)。
【0066】
ここで、推奨移動経路上に点フラグが「0」の分岐合流エリア情報が示す分岐合流エリアがあると判定すると(ステップS104のY)、制御部10は、走行予定経路特定部14により、点フラグが「0」の分岐合流エリア情報が示す分岐合流エリアにおける走行予定経路を特定する(ステップS105)。本例においては、走行予定経路特定部14は、推奨移動経路を示すリンク情報に進入リンクAL11と脱出リンクEL11とを示すリンクが含まれていると判定し、進入リンクAL11と脱出リンクEL11との組み合わせを分岐合流エリア情報N11に対応する分岐合流エリアにおける走行予定経路として特定する(図7(A)参照)。
【0067】
走行予定経路を特定すると、制御部10は、分岐合流誘導画像情報作成部16により、誘導情報に基づいて、特定した走行予定経路に対応する分岐合流誘導画像情報を作成する(ステップS106)。本例においては、分岐合流誘導画像情報作成部16は、推奨移動経路を構成するリンクに含まれる進入リンクAL11と脱出リンクEL11との組み合わせに対応する道路間を移動するための推奨走行経路画像を示す分岐合流誘導画像G11を、分岐合流エリア情報に対応する誘導情報と形状情報とに基づいて作成する。そのため、走行予定経路が特定されたことに応じて、制御部10は、分岐合流エリア情報記憶部22を参照して、特定された走行予定経路に対応する(すなわち、分岐合流エリア情報記憶部22において走行可能経路に対応付けされた)誘導情報と形状情報とを特定する。
【0068】
特定した走行予定経路に対応する分岐合流誘導画像情報を作成すると、制御部10は、車両の現在位置から作成した分岐合流誘導画像情報に対応する分岐合流エリアまでの距離が所定距離以内(例えば、30m以内。なお、ユーザにより設定された距離であってもよい。)であるか否かを判定する(ステップS107)。ここで、車両の現在位置から作成した分岐合流誘導画像情報に対応する分岐合流エリアまでの距離が所定距離以内でないと判定すると(ステップS107のN)、制御部10は、所定の判定条件が充足された後に、再度車両の現在位置から作成した分岐合流誘導画像情報に対応する分岐合流エリアまでの距離が所定距離以内であるか否かを判定する。なお、本例においては、制御部10は、予め設定された単位時間が経過することにより判定条件が充足されたとみなして、ステップS107の処理を行うものとする。
【0069】
一方、車両の現在位置から作成した分岐合流誘導画像情報に対応する分岐合流エリアまでの距離が所定距離以内であると判定すると(ステップS107のY)、制御部10は、出力部40の表示画面に、作成した分岐合流誘導画像情報が示す分岐合流誘導画像を含む道路画像を表示する(ステップS108)。
【0070】
図8は、分岐合流誘導画像を含む道路画像を表示した表示画面の例を示す説明図である。図8に示すように、出力部40の表示画面には、道路の外観を示す道路画像に分岐合流誘導画像G11が重畳して表示される。なお、本例においては、車両の現在位置と現在位置周辺の地図とを表示する地図表示領域101が縮小して表示される。
【0071】
分岐合流誘導画像を含む道路画像を表示すると、制御部10は、車両の現在位置が表示した分岐合流誘導画像に対応する脱出リンク上に位置するか否かを判定する(ステップS109)。ここで、車両の現在位置が脱出リンク上に位置していないと判定すると(ステップS109のN)、制御部10は、予め設定された単位時間経過後にステップS109の処理を再度実行する。なお、このとき車両の現在位置に応じて表示画面の表示内容(例えば、仮想視点の方向など)を調整する構成とされることが好ましい。
【0072】
一方、車両の現在位置が分岐合流誘導画像に対応する脱出リンク上に位置すると判定すると(ステップS109のY)、制御部10は、表示画面から分岐合流誘導画像を含む道路画像を消去して(ステップS110)、ステップS104の処理に移行する。なお、本例においては、制御部10は、分岐合流誘導画像を含む道路画像の代わりに地図表示領域101を拡大して表示する。
【0073】
一方、分岐合流誘導画像表示処理におけるステップS104の処理において、推奨移動経路上に点フラグ「0」の分岐合流エリア情報が示す分岐合流エリアが無いと判定すると(ステップS104のN)、制御部10は、経路誘導の終了判定処理に移行する(ステップS111)。そして、例えば車両の現在位置を示す座標が目的地を示す座標と一致したことにより、経路誘導が終了したと判定すると(ステップS111のY)、制御部10は、ここでの処理を終了する。
【0074】
以上に説明したように、上述した実施の形態では、表示装置(例えば、出力部40)の表示画面に道路画像を表示して移動体(例えば、車両)の移動経路を案内するナビゲーション装置100が、道路上の複数の分岐合流エリアそれぞれに対応する各分岐合流エリア情報に、分岐合流エリアの平面形状を示す形状情報と、分岐合流エリアでの移動体の走行予定経路(例えば、進入リンクと脱出リンクとの組み合わせ)に応じた推奨走行経路を示す誘導情報とを対応付けて記憶する分岐合流エリア情報記憶部22を備え、移動体の現在位置を特定し、特定した現在位置から所定範囲内(例えば、推奨移動経路上)に位置する分岐合流エリアに対応する分岐合流エリア情報を検索し、検索した分岐合流エリア情報に対応する分岐合流エリアにおける移動体の走行予定経路を特定し、分岐合流エリア情報記憶部22を参照して特定した走行予定経路に応じた誘導情報を特定し、特定した誘導情報と、誘導情報に対応する形状情報とに基づいて、表示装置の表示画面に分岐合流エリアにおける推奨走行経路を示す分岐合流誘導画像を表示するための分岐合流誘導画像情報を作成し、作成した分岐合流誘導画像情報に基づいて表示装置の表示画面に分岐合流誘導画像を表示する構成としているので、道路の分岐合流エリアにおいてより適切な経路誘導を行うことができるようになる。
【0075】
すなわち、走行予定経路に応じて予め記憶された誘導情報に基づいて分岐合流誘導画像情報を作成するので、分岐合流エリアにおける推奨走行経路の誘導が実際の道路状況と異なる表現になるようなことを防止することができるようになる。また、分岐合流エリア毎に誘導情報を設定できるので、実際の道路状況に応じた詳細な指定ができる。
【0076】
また、形状情報により分岐合流エリアを道路形状に対応する「面」として取り扱うことにより、例えば誘導情報が推奨走行経路の条件を示すような場合に、道路形状に応じた推奨走行経路を示す分岐合流誘導画像情報を作成することができるようになる。すなわち、形状情報が示す範囲内で分岐合流誘導画像情報を作成することで、作成した分岐合流誘導画像情報が示す分岐合流誘導画像が実際の道路からはみ出してしまうようなことを防止することができる。
【0077】
また、交差点リンクという現実には存在しないリンクを設定する必要がなくなり、道路情報を構成するリンクの数が減るため、経路探索処理に要する処理負荷を軽減させることができるようになる。
【0078】
また、分岐合流エリアを点または面として定義することで、分岐合流エリアでのより適切な誘導を行うことができるようになる。すなわち、例えば主要交差点や高速道路などより経路誘導が必要と思われる分岐合流エリアを面として定義し、その他の分岐合流エリアに関しては一般的なノードと同様に点で定義することにより、必要性に応じた情報の重み付けができるようになる。
【0079】
また、上述した実施の形態では、ナビゲーション装置100が、道路に対応したリンクを示すリンク情報を記憶するリンク情報記憶部(例えば、道路地図情報記憶部21)を備え、出発位置(例えば、ユーザにより入力された位置や車両の現在位置)と目的位置とを結ぶ推奨移動経路を示すリンクを導出し、分岐合流エリア情報は、各分岐合流エリアに対応するリンクを示すリンク情報(例えば、接続リンクID)を有し、分岐合流エリア情報と推奨移動経路を示すリンクとに基づいて(例えば、推奨移動経路を構成するリンクに分岐合流エリア情報において走行可能経路として記憶された進入リンクと脱出リンクの組み合わせが含まれているか判定して)走行予定経路を特定する構成としているので、推奨移動経路に応じた分岐合流誘導画像を選択して表示することができるようになる。
【0080】
なお、上述した実施の形態では推奨移動経路上に面として定義された分岐合流エリアが示す分岐合流エリア(例えば、点フラグ「0」の分岐合流エリア情報が示す分岐合流エリア)を検索して分岐合流誘導画像情報を作成する場合について説明したが、分岐合流誘導画像情報の作成方法はこれに限定されない。すなわち、例えば、分岐合流エリア情報が分岐合流エリアにおける交通規制情報を有し、ナビゲーション装置100が、移動体(例えば、車両)の現在位置と交通規制情報とに基づいて走行予定経路(例えば、進入リンクと脱出リンクの組み合わせ)を特定し、特定した走行予定経路に応じた誘導情報に基づいて分岐合流誘導画像情報を作成する構成としてもよい。このような構成とすることにより、推奨移動経路を導出していない場合であっても、ユーザの状況に応じた分岐合流誘導画像情報を作成して、分岐合流誘導画像を表示することができるようになる。
【0081】
すなわち、例えば図7(A)に示す場合において、分岐合流エリアN11を示す分岐合流エリア情報が、「進入リンクAL11を走行してきた車両は左折して脱出リンクEL11に向かわなければならない。」という交通規制情報を有している場合には、ナビゲーション装置100は、移動体の現在位置が進入リンクAL11上を走行している(または、走行予定である)ことさえ認識できれば、車両の走行予定経路を特定することができる。よって、このような構成とすることにより、推奨移動経路上に進入リンクAL11と脱出リンクEL11とが含まれているか否かを判定しなくとも、分岐合流誘導画像を用いた経路誘導を行うことができるようになる。なお、この場合、例えばナビゲーション装置100が、車両の現在位置と道路地図情報と分岐合流エリア情報とを比較することにより、車両の現在位置が進入リンク上にあるか否かを判定する構成とすればよい。
【0082】
また、上述した実施の形態では、分岐合流誘導画像情報は、ポリゴン座標群により構成される構成としているので、立体的な分岐合流誘導画像を表示することができるようになり、視認性を向上させることができるようになる。なお、分岐合流誘導画像情報を構成するポリゴン座標群は、分岐合流誘導画像の形状を表現するために用いられる他、分岐合流誘導画像を道路画像に重畳して表示する際のマッチングで利用することができる。
【0083】
また、上述した実施の形態では、リンク情報が示すリンクに、分岐合流エリアへ進入する道路に対応するリンクを示す進入リンクと分岐合流エリアから脱出する道路に対応するリンクを示す脱出リンクとを含み、ナビゲーション装置100が、進入リンクと脱出リンクとの組み合わせにより走行予定経路を特定する構成としているので、交差点内リンクという現実には存在しないリンクを削除でき、経路探索(またはルート探索)に要する処理負荷を軽減させることができるようになる。
【0084】
なお、上述した実施の形態では特に言及していないが、ナビゲーション装置100が、道路走行時の注意点などをユーザに報知するための案内情報(すなわち、例えば注意喚起のための音声情報など)を分岐合流エリア情報と対応付けて記憶する案内情報記憶部を備え、案内情報記憶部に記憶された案内情報のうち現在位置に応じた案内情報に従って経路誘導を行い、分岐合流エリア情報が、分岐合流誘導画像情報に対応する案内情報を有する構成としてもよい。このような構成とし、例えば案内情報として分岐合流誘導画像が示す経路上の推奨走行速度などを設定しておくことにより、より有用な経路誘導を行うことができるようになる。
【0085】
なお、上述した実施の形態では特に言及していないが、表示された分岐合流誘導画像が示す経路上から車両の現在位置が外れた場合に、例えば制御部10が、分岐合流誘導画像を消去して、改めて誘導情報に基づく分岐合流誘導画像情報を作成する構成としてもよい。この場合、例えば制御部10が、車両の現在位置と表示した分岐合流誘導画像が示す位置との一致判定を行う構成とすればよい。
【0086】
図9は、1つの走行予定経路に対応して複数の分岐合流誘導画像情報が作成される場合の例について説明するための説明図である。図9(A)に示すように、分岐合流エリアN31に対応する代表点RN31と、進入リンクAL31,AL32と、脱出リンクEL31とを示す分岐合流エリア情報において、走行可能経路「進入リンクAL21と脱出リンクEL21」に対応する誘導情報として「座標(A,B)から座標(A,B)内を走行中の場合、側路Xm、合流Ym、本線Zm」、「座標(A,B)から座標(A,B)内を走行中の場合、側路Xm、合流Ym、本線Zm」、「座標(A,B)から座標(A,B)内を走行中の場合、側路Xm、合流Ym、本線Zm」記憶されているとする。
【0087】
この場合、分岐合流誘導画像情報作成部16が、例えば図9(B)に示すように、分岐合流エリアN21周辺の道路の詳細地図(推奨移動経路の導出に使用する道路情報よりも詳細な道路の様子を示す地図であって、座標情報を有する地図)を示す情報を参照して、車両の現在位置C1,C2,C3に応じて分岐合流誘導画像G31,G32,G33を示す分岐合流誘導画像情報を作成することとなる。
【0088】
このような構成とすることにより、より詳細な経路誘導を行うことができるようになる。
【0089】
なお、上述した実施の形態では特に言及していないが、分岐合流エリア情報が、走行予定経路に対応する誘導情報を複数有する構成としてもよい。この場合、例えば移動体の現在位置に応じて異なる誘導情報を用いて分岐合流誘導情報を作成する構成とすればよい。
【0090】
なお、上述した実施の形態では、ナビゲーション装置100が、検索した分岐合流エリア情報に誘導情報が対応付けされているか否かを判定し(例えば、推奨移動経路上に点フラグ「0」の分岐合流エリア情報が示す分岐合流エリアがあるか否かを判定し)、分岐合流エリア情報に誘導情報が対応付けされていると判定された場合に(例えば、分岐合流誘導画像表示処理におけるステップS104のY)走行予定経路に応じた誘導情報を特定する構成としているので、例えば車両が分岐合流エリアに到着する前に分岐合流誘導画像情報の作成を開始して、適切なタイミング(例えば、予め記憶部20に記憶された表示条件が満たされたときなど)で分岐合流誘導画像を表示することができるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明は、車両の進路案内を実現するデバイスを扱う業種において産業上有用であり、電子地図の表示が可能なカーナビゲーション装置等の電化製品市場においても有用である。
【符号の説明】
【0092】
10 制御部
11 経路探索部
12 自車位置特定部
13 分岐合流エリア情報検索部
14 走行予定経路特定部
15 誘導情報特定部
16 分岐合流誘導画像情報作成部
17 経路誘導部
20 記憶部
21 道路地図情報記憶部
22 分岐合流エリア情報記憶部
23 推奨移動経路情報記憶部
30 メモリ
40 出力部
50 センサ部
60 通信部
70 入力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置の表示画面に道路画像を表示して移動体の移動経路を案内するナビゲーション装置であって、
道路上の複数の分岐合流エリアそれぞれに対応する分岐合流エリア情報に、分岐合流エリアの平面形状を示す形状情報と、分岐合流エリアにおける移動体の走行予定経路に応じた分岐合流エリアでの推奨走行経路を示す誘導情報とを対応付けて記憶する分岐合流エリア情報記憶手段と、
前記移動体の現在位置を特定する現在位置特定手段と、
該現在位置特定手段により特定された現在位置から所定範囲内に位置する分岐合流エリアに対応する分岐合流エリア情報を検索する分岐合流エリア情報検索手段と、
該分岐合流エリア情報検索手段により検索された分岐合流エリア情報に対応する分岐合流エリアにおける前記移動体の走行予定経路を特定する走行予定経路特定手段と、
前記分岐合流エリア情報記憶手段を参照して前記走行予定経路特定手段により特定された走行予定経路に応じた誘導情報を特定する誘導情報特定手段と、
該誘導情報特定手段により特定された誘導情報と、該誘導情報に対応する形状情報とに基づいて、前記表示装置の表示画面に分岐合流エリアにおける推奨走行経路を示す分岐合流誘導画像を表示するための分岐合流誘導画像情報を作成する分岐合流誘導画像情報作成手段と、
該分岐合流誘導画像情報作成手段により作成された分岐合流誘導画像情報に基づいて前記表示装置の表示画面に分岐合流誘導画像を表示する分岐合流誘導画像表示手段とを含む
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
道路走行時の注意点などをユーザに報知するための案内情報を前記分岐合流エリア情報と対応付けて記憶する案内情報記憶手段と、
該案内情報記憶手段に記憶された案内情報のうち現在位置に応じた案内情報に従って経路誘導を行う経路誘導手段とを含み、
前記分岐合流エリア情報は、前記誘導情報に対応する案内情報を有する
請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記分岐合流エリア情報検索手段は、検索した分岐合流エリア情報に誘導情報が対応付けされているか否かを判定する分岐合流エリア判定手段を有し、
前記誘導情報特定手段は、前記分岐合流エリア判定手段により前記分岐合流エリア情報に誘導情報が対応付けされていると判定された場合に走行予定経路に応じた誘導情報を特定する
請求項1または請求項2記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
表示装置の表示画面に道路画像を表示して移動体の移動経路を案内するナビゲーション装置に動作制御させるためのナビゲーションプログラムであって、
前記ナビゲーション装置に、
前記移動体の現在位置を特定する現在位置特定処理と、
道路上の複数の分岐合流エリアそれぞれに対応する分岐合流エリアの形状を示す形状情報と、分岐合流エリアにおける移動体の走行予定経路に応じた推奨走行経路を示す誘導情報とを対応付けて記憶する分岐合流エリア情報記憶手段に記憶された分岐合流エリア情報のうち前記現在位置特定処理にて特定された現在位置から所定範囲内に位置する分岐合流エリアに対応する分岐合流エリア情報を検索する分岐合流エリア情報検索処理と、
該分岐合流エリア情報検索処理にて検索された分岐合流エリア情報に対応する分岐合流エリアにおける前記移動体の走行予定経路を特定する走行予定経路特定処理と、
前記分岐合流エリア情報記憶手段を参照して前記走行予定経路特定処理にて特定された走行予定経路に応じた誘導情報を特定する誘導情報特定処理と、
該誘導情報特定処理にて特定された誘導情報と、該誘導情報に対応する形状情報とに基づいて、前記表示装置の表示画面に分岐合流エリアにおける推奨走行経路を示す分岐合流誘導画像を表示するための分岐合流誘導画像情報を作成する分岐合流誘導画像情報作成処理と、
該分岐合流誘導画像情報作成処理にて作成された分岐合流誘導画像情報に基づいて前記表示装置の表示画面に分岐合流誘導画像を表示する分岐合流誘導画像表示処理とを
実行させるためのナビゲーションプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−68045(P2012−68045A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−210765(P2010−210765)
【出願日】平成22年9月21日(2010.9.21)
【出願人】(507052430)キャンバスマップル株式会社 (77)
【Fターム(参考)】