説明

ナビゲーション装置、ナビゲーション方法、及びナビゲーションプログラム

【課題】デジタル放送によって提供される詳細な道路交通情報を、走行地域やVICS受信地域に制限されることなく取得して利用することができる、ナビゲーション装置、ナビゲーション方法、及びナビゲーションプログラムを提供すること。
【解決手段】デジタル放送を受信する番組受信部30と、統計交通情報を取得する統計交通情報取得部72と、統計交通情報に基づいて、車両の走行先の道路又は地域の中で当該車両が到達する時刻に交通障害が発生する可能性がある道路又は地域を特定する交通障害予測部74と、特定された道路又は地域における交通情報を、デジタル放送の中から取得する交通情報取得部75と、交通障害を示す情報が含まれている場合に、当該交通情報を案内する案内制御部76とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置、ナビゲーション方法、及びナビゲーションプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載されて走行経路案内を行うナビゲーション装置には、道路交通情報センタ(以下、VICSセンタ)から送られてくるVICS道路交通情報(以下、VICS情報)を受信し、当該受信したVICS情報に含まれる渋滞情報や規制情報を、走行経路と共に画面に表示する機能が設けられているものがある。
【0003】
また、VICS情報よりも詳細な道路交通情報を、地上デジタル放送(以下、デジタル放送)から取得することができるナビゲーション装置も提案されている。このナビゲーション装置では、VICS情報を受信した際、車両の現在位置に対応する対象地域情報を抽出し、この対象地域情報に関連する道路交通情報をデジタル放送から取得して表示する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−315714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の如き従来のナビゲーション装置では、VICS情報を受信した際の車両の現在位置を基準として、この現在位置に対応する対象地域情報の道路交通情報のみを取得していたので、車両が現在走行している地域の道路交通情報しか得ることができないと共に、VICS情報を受信可能な地域の道路交通情報しか得ることができないという問題があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、デジタル放送によって提供される詳細な道路交通情報を、車両が現在走行している地域やVICS情報を受信可能な地域に制限されることなく取得して利用することができる、ナビゲーション装置、ナビゲーション方法、及びナビゲーションプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載のナビゲーション装置は、デジタル放送を受信する受信手段と、統計交通情報を取得する統計交通情報取得手段と、前記統計交通情報取得手段にて取得された前記統計交通情報に基づいて、車両の走行先の道路又は地域の中で当該車両が到達する時刻に交通障害が発生する可能性がある道路又は地域を特定する交通障害予測手段と、前記特定された道路又は地域における交通情報を、前記受信手段にて受信されたデジタル放送の中から取得する交通情報取得手段と、前記交通情報取得手段にて取得された交通情報に、交通障害を示す情報が含まれている場合に、当該交通情報を案内する案内制御手段とを備える。
【0008】
また、請求項2に記載のナビゲーション装置は、請求項1に記載のナビゲーション装置において、前記案内制御手段は、前記特定された道路又は地域に対する所定範囲以内に前記車両が入った際に、前記交通情報を案内する。
【0009】
また、請求項3に記載のナビゲーション装置は、請求項1又は2に記載のナビゲーション装置において、前記道路又は前記地域の通過予測日時を算定する通過予測日時算定手段を備え、前記交通情報取得手段は、前記通過予測日時算定手段にて算定された通過予測日時を基準とする過去の同一の曜日及び/又は同一の時間帯の交通情報を取得し、前記案内制御手段は、前記交通情報取得手段にて取得された過去の同一の曜日及び/又は同一の時間帯の交通情報を案内する。
【0010】
また、請求項4に記載のナビゲーション装置は、請求項1から3のいずれか一項に記載のナビゲーション装置において、前記交通情報取得手段は、前記交通情報として、前記特定された道路又は地域におけるライブカメラ映像を、前記受信手段にて受信されたデジタル放送の中から取得し、前記案内制御手段は、前記交通情報取得手段にて取得されたライブカメラ映像を表示する。
【0011】
また、請求項5に記載のナビゲーション方法は、デジタル放送を受信する受信ステップと、統計交通情報を取得する統計交通情報取得ステップと、前記統計交通情報取得ステップにて取得された前記統計交通情報に基づいて、車両の走行先の道路又は地域の中で当該車両が到達する時刻に交通障害が発生する可能性がある道路又は地域を特定する交通障害予測ステップと、前記特定された道路又は地域における交通情報を、前記受信ステップにて受信されたデジタル放送の中から取得する交通情報取得ステップと、前記交通情報取得ステップにて取得された交通情報に、交通障害を示す情報が含まれている場合に、当該交通情報を案内する案内ステップとを含む。
【0012】
また、請求項6に記載のナビゲーションプログラムは、請求項5に記載の方法をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載のナビゲーション装置、請求項5に記載のナビゲーション方法、及び請求項6に記載のナビゲーションプログラムによれば、交通障害が発生する可能性があるものとして特定された道路又は地域における交通情報がデジタル放送の中から取得され、当該取得された交通情報に交通障害を示す情報が含まれている場合に、当該交通情報が案内されるので、デジタル放送によって提供される詳細な道路交通情報を、車両が現在走行している地域やVICS情報を受信可能な地域に制限されることなく利用することができ、デジタル放送によって提供される詳細な交通情報の利便性を高めることができる。
【0014】
また、請求項2に記載のナビゲーション装置によれば、交通障害が発生する可能性があるものとして特定された道路又は地域に対する所定範囲以内に車両が入った際に、交通情報が案内されるので、デジタル放送によって提供される詳細な交通情報を、必要性の高い適切なタイミングで利用することができる。
【0015】
また、請求項3に記載のナビゲーション装置によれば、通過予測日時を基準とする過去の同一の曜日及び/又は同一の時間帯の交通情報が取得されて案内されるので、通過予測日時と共通性の高い過去の交通情報を参考情報として利用することができる。
【0016】
また、請求項4に記載のナビゲーション装置によれば、交通障害が発生する可能性があるものとして特定された道路又は地域におけるライブカメラ映像が表示されるので、交通障害が予測される道路又は地域のライブカメラ映像を見ることができ、この映像を参考にして交通障害の発生又は状況変化を把握することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置を例示するブロック図である。
【図2】統計交通情報の構成例を示す図である。
【図3】案内制御処理のフローチャートである。
【図4】図3に続く、案内制御処理のフローチャートである。
【図5】交通情報の出力画面例を示す図である。
【図6】交通情報としてのライブカメラ映像の出力画面例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係るナビゲーション装置、ナビゲーション方法、及びナビゲーションプログラムの実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。ただし、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0019】
(構成)
最初に、本実施の形態に係るナビゲーション装置の構成について説明する。図1は本実施の形態に係るナビゲーション装置を例示するブロック図である。この図1に示すように、このナビゲーション装置1は、操作部10、現在位置検出処理部20、番組受信部30、通信部40、スピーカ50、ディスプレイ60、制御部70、及びデータ記録部80を備えている。
【0020】
(構成−操作部)
操作部10は、ユーザによる操作入力を受け付ける操作手段である。この操作部10の具体的な構成は任意であり、例えば、ディスプレイ60の前面に設けたタッチパネル、押しボタン、リモートコントローラの如き遠隔操作手段、あるいは、音声入力を受け付けるマイクの如き音声認識手段を用いて操作部10を構成することができる。
【0021】
(構成−現在位置検出処理部)
現在位置検出処理部20は、ナビゲーション装置1が取り付けられた車両の現在位置を検出する現在位置検出手段である。具体的には、現在位置検出処理部20は、GPS、地磁気センサ、距離センサ、又はジャイロセンサ(いずれも図示省略)の少なくとも一つを有し、現在の車両の位置(座標)及び方位等を公知の方法にて検出する。
【0022】
(構成−番組受信部)
番組受信部30は、デジタル放送による各種の番組を受信する受信手段である。ここで、「番組」とは、TV番組やラジオ番組を含むものであるが、これらに限定されず任意の放送形態による番組を含む。また、「番組」は、放送局から放送された番組(以下、「一次番組」)と、一次番組を中継する機器から出力された番組(以下、「二次番組」)を含む。本実施の形態1においては、番組受信部30は、一次番組を取得するためのアンテナ及びチューナーを有する放送受信手段として構成されているが、二次番組を外部機器から受信するための受信用のインターフェースとして構成されてもよい。
【0023】
この「番組」に関する情報を、ここでは「番組情報」と称する。この番組情報は、「番組本体情報」と「番組付随情報」を含む。「番組本体情報」とは、番組本体を構成する情報であって、例えば、番組がTV番組である場合には、当該TV番組を構成する音声情報や映像情報が該当し、番組がラジオ番組である場合には、当該ラジオ番組を構成する音声情報が該当する。また、「番組付随情報」とは、番組に付随する情報であって、例えば、番組が地上デジタル放送やBSデジタル放送によるデジタルTV番組である場合には、文字データ放送等を行うための文字情報、デジタル信号にパケットとして挿入されるPSI(Program Specific Information)やSI(Service Information)、あるいは、番組放送に伴い付随的に配信される情報(メタ情報)が該当する。SIには、例えば、電子番組表(EPG:Electronic Program Guide)を作成する元データとなり得るEIT(Event Information Table)が含まれる。また、「番組付随情報」には、少なくとも、各番組の「ジャンル名」や「放送日時」が含まれる。
【0024】
ここで、「番組情報」(すなわち、番組本体情報や番組付随情報)には、「交通情報」が含まれる。「交通情報」とは、道路又は地域に対応付けられている交通に関する情報であり、道路又は地域やその近傍に設置した定点カメラ等にて撮影された「ライブカメラ映像」や、交通障害に関する「交通障害情報」を含む。交通障害とは、道路又は地域を交通することを妨げる可能性があるものであり、「渋滞」、「規制」、及び「工事」を含む。規制には、例えば、車線規制やイベントによる走行規制等の規制等が含まれる。
【0025】
(構成−通信部)
通信部40は、外部の通信装置(例えば、既知のコンピュータ、移動体通信端末、あるいは、カーナビゲーションサービスを統括する統括センター)との間で、各種情報を通信するための通信手段であり、公知の無線通信装置を用いることができる。ここでは、通信部40は、統括センターから道路交通センサス(全国道路・街路交通情勢調査)の情報(以下、統計交通情報)を取得する。統計交通情報は、全国の道路の交通量調査結果を含んでいる。このように取得された統計交通情報は、後述する統計交通情報DB82に記憶される。
【0026】
(構成−スピーカ)
スピーカ50は、制御部70の制御に基づいて各種の音声を出力する出力手段である。スピーカ50より出力される音声の具体的な態様は任意であり、必要に応じて生成された合成音声や、予め録音された音声を出力することができる。
【0027】
(構成−ディスプレイ)
ディスプレイ60は、制御部70の制御に基づいて各種の画像を表示する表示手段である。なお、このディスプレイ60の具体的な構成は任意であり、公知の液晶ディスプレイや有機ELディスプレイの如きフラットパネルディスプレイを使用することができる。
【0028】
(構成−制御部)
制御部70は、ナビゲーション装置1を制御する制御手段であり、具体的には、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)、及びプログラムや各種のデータを格納するためのRAMの如き内部メモリを備えて構成されるコンピュータである。特に、実施の形態1に係るナビゲーションプログラムは、任意の記録媒体又はネットワークを介してナビゲーション装置1にインストールされることで、制御部70の各部を実質的に構成する。
【0029】
この制御部70は、機能概念的に、経路探索部71、統計交通情報取得部72、通過予測日時算定部73、交通障害予測部74、交通情報取得部75、及び案内制御部76を備えている。経路探索部71は、走行経路を探索する経路探索手段である。統計交通情報取得部72は、統計交通情報を取得する統計交通情報取得手段である。通過予測日時算定部73は、道路又は地域の通過予測日時を算定する通過予測日時算定手段である。交通障害予測部74は、統計交通情報取得部72にて取得された統計交通情報に基づいて、車両の走行先の道路又は地域(例えば、車両の走行経路が設定されている場合には、当該走行経路上の道路又は地域であり、車両の走行経路が設定されてない場合には、車両の進行方向等から当該車両が走行するものとして推測される道路又は地域)の中で当該車両が到達する時刻に交通障害が発生する可能性がある道路又は地域を特定する交通障害予測手段である。交通情報取得部75は、交通障害予測部74にて交通障害が発生する可能性があるものとして特定された道路又は地域における交通情報を、番組受信部30にて受信されたデジタル放送の中から取得する交通情報取得手段である。案内制御部76は、交通情報取得部75にて取得された交通情報に、交通障害の発生又は状況変化を示す情報が含まれている場合に、当該交通情報を案内する案内制御手段である。これらの制御部70の各構成要素によって実行される処理の詳細については後述する。
【0030】
(構成−データ記録部)
データ記録部80は、ナビゲーション装置1の動作に必要なプログラム及び各種のデータを記録する記録手段であり、例えば、外部記録装置としてのハードディスク(図示省略)を用いて構成されている。ただし、ハードディスクに代えてあるいはハードディスクと共に、磁気ディスクの如き磁気的記録媒体、又はDVDやブルーレイディスクの如き光学的記録媒体を含む、その他の任意の記録媒体を用いることができる。
【0031】
このデータ記録部80は、地図情報データベース(以下、データベースを「DB」と称する)81、統計交通情報DB82、及びデジタル放送交通情報DB83を備える。
【0032】
地図情報DB81は、地図情報を格納する地図情報格納手段である。「地図情報」は、例えば、道路情報が「JIS X 0410−1976 地域メッシュコード」に規定される統合地域メッシュの如き所定のメッシュによって区画されたエリア毎に記憶されている。このエリア毎の道路情報は、リンクデータ(リンク番号、接続ノード番号、道路座標、道路種別、車線数、走行規制等)、ノードデータ(ノード番号、座標)、地物データ(信号機、道路標識、ガードレール、建物等)、地形データ、及び地図をディスプレイ60に表示するための地図表示データ等を含んで構成されている。また、リンクデータには、リンクに付与された識別番号であるリンクID、リンクにおける始点及び終点の座標、始点から終点までの距離等の情報が含まれている。
【0033】
統計交通情報DB82は、統計交通情報を格納する統計交通情報格納手段である。この統計交通情報は、例えば、図2の構成例に示すように、項目「リンクID」、項目「曜日」、項目「時刻」、項目「所要時間」、項目「渋滞」、及び項目「規制」を含む。項目「リンクID」にはリンクに付与された識別番号であるリンクID、項目「曜日」には統計交通情報が示す曜日、項目「時刻」には統計交通情報が示す時刻、項目「所要時間」には各リンクを通過するために必要な時間、項目「渋滞」には渋滞の有無や程度を示す渋滞情報、及び項目「規制」には規制の有無や程度を示す規制情報が、それぞれ対応付けて格納されている。
【0034】
デジタル放送交通情報DB83は、デジタル放送から取得された交通情報を格納するデジタル放送交通情報格納手段である。この交通情報は、例えば、当該交通情報に対応する道路又は地域と、当該交通情報が取得された日時とに対応付けて格納されている。
【0035】
(処理)
次に、このように構成されたナビゲーション装置1によって実行される案内制御処理について説明する。図3、4は案内制御処理のフローチャートである(以下の各処理の説明ではステップを「S」と略記する)。特記しない制御に関しては、ナビゲーション装置1の制御部70が行うこととする。この案内制御処理は、例えば操作部10を介して目的地が設定され、当該目的地までの経路探索の指示がされた場合に起動される。
【0036】
案内制御処理が起動されると、経路探索部71は、現在位置検出処理部20にて検出された車両の現在位置から、ユーザによって設定された目的地までの走行経路を公知の経路探索ロジックにより探索する(SA1)。
【0037】
続いて、統計交通情報取得部72は、統計交通情報を取得する(SA2)。具体的には、統計交通情報取得部72は、統括センターから通信部40を介して統計交通情報を取得し、当該取得した統計交通情報を統計交通情報DB82に格納する。なお、この統計交通情報の取得や格納については、案内制御処理に先立つ任意のタイミングで行っておいてもよい。
【0038】
その後、通過予測日時算定部73は、統計交通情報取得部72によって取得された統計交通情報に基づいて、車両の走行先の道路又は地域の通過予測日時を算定する(SA3)。具体的には、通過予測日時算定部73は、SA1で探索された走行経路に含まれる道路又は地域のリンクを特定し、当該リンクのリンクIDを地図情報DB81から取得し、当該リンクIDにおける所要時間を統計交通情報から抽出する。そして、通過予測日時算定部73は、当該抽出した所要時間を、道路又は地域に至る経路毎に積算することで、これら道路又は地域に至る所要時間を算定し、当該算定した所要時間を、公知の方法で取得した現在時刻に加えることで、車両の走行先の道路又は地域の通過予測日時を算定する。なお、このように通過予測日時を算定する方法としては、例えば、特開2007−040912に開示の方法を使用することができる。
【0039】
次いで、交通障害予測部74は、統計交通情報取得部72にて取得された統計交通情報に基づいて、車両の走行先の道路又は地域の中で当該車両が到達する時刻に交通障害が発生する可能性がある道路又は地域を特定する(SA4)。ここでは、交通障害予測部74は、統計交通情報取得部72にて取得された統計交通情報の中で、通過予測日時算定部73にて算定された通過予測日時を基準とする同一の曜日及び/又は同一の時間帯における過去の統計交通情報に基づいて、交通障害が発生する可能性がある道路又は地域を特定する。具体的には、交通障害予測部74は、SA1で探索された走行経路に含まれる道路又は地域のリンクを特定し、当該リンクのリンクIDを地図情報DB81から取得し、当該リンクIDに基づいて統計交通情報DB82を参照することで、当該リンクIDに対応する渋滞情報と規制情報を統計交通情報DB82から抽出する。そして、交通障害予測部74は、当該抽出した渋滞情報により渋滞があることが示されており、あるいは、当該抽出した規制情報により規制があることが示されている場合、これら渋滞情報や規制情報に対応する曜日と時刻を統計交通情報DB82から抽出する。そして、交通障害予測部74は、当該抽出した曜日と時刻が、SA3で算定された道路又は地域の通過予測日時を基準とする同一の曜日及び/又は同一の時間帯と合致するか否かを判定し、合致する場合には、当該合致した道路又は地域を、車両の走行先の道路又は地域の中で当該車両が到達する時刻に交通障害が発生する可能性がある道路又は地域であると特定する。なお、同一の時間帯としては、例えば、通過予測日時で特定される時刻を基準とした前後所定時間(例えば1時間)を基準としたり、あるいは、通過予測日時で特定される曜日や時刻によって異なる所定の時間帯を設定しておいてもよい。また、「同一の曜日及び/又は同一の時間帯に合致する」とは、同一の曜日及び同一の時間帯に合致する場合と、同一の曜日又は同一の時間帯に合致する場合とを含むことを意味し、同一の曜日と同一の時間帯とをAND条件として設定したり、同一の曜日と同一の時間帯とをOR条件として設定してもよい(後述するライブカメラ映像の取得においても同様)。なお、ここでは、車両の走行先の道路又は地域として、車両の走行経路が設定されている場合において、当該設定された走行経路上の道路又は地域を対象に、交通障害が発生する可能性を予測する場合を説明したが、車両の走行経路が設定されてない場合には、車両の進行方向等から当該車両が走行するものとして公知の方法で推測される道路又は地域を対象として、交通障害が発生する可能性を予測するようにしてもよい。
【0040】
次いで、制御部70は、SA4で特定された道路又は地域があるか否かを判定し(SA5)、このような道路又は地域がない場合(SA5、No)、デジタル放送から交通情報を取得する必要がないとし、案内制御処理を終了する。一方、このような道路又は地域がある場合(SA5、Yes)、交通情報取得部75は、該当する道路又は地域の交通情報を、デジタル放送交通情報DB83から取得する(SA6)。例えば、交通情報取得部75は、SA5で道路又は地域が特定された場合には、継続的に、当該特定された道路又は地域の交通情報を番組受信部30を介してデジタル放送から取得し、当該取得した交通情報を、当該特定された道路又は地域と、当該交通情報を取得した日時とに対応付けて、デジタル放送交通情報DB83に格納する。そして、交通情報取得部75は、このようにデジタル放送交通情報DB83に格納した交通情報の中から、SA5で特定された道路又は地域の交通情報を取得する。
【0041】
SA5で特定された道路又は地域の交通情報をデジタル放送から取得する方法としては、例えば、交通情報取得部75は、その時点で受信可能な全ての番組を番組受信部30を介して短時間だけ順次受信し、これらの番組の中から、番組本体情報や番組付随情報に、ライブカメラ映像等を含む交通情報であって、SA5で特定された道路又は地域に対応付けられている交通情報が含まれている番組を探し出し、当該番組から、SA5で特定された道路又は地域に対応付けられている交通情報を取得する。交通情報が含まれているか否かは、例えば、番組付随情報に「交通」のジャンルのジャンルコードが記述されているか否かに基づいて判定したり、番組本体情報に含まれる文字放送用データを解析したり、番組本体情報に含まれる音声情報を音声認識し、これら解析されたデータや認識された音声の中に、交通情報に関するキーワード(例えば、「交通情報」、「道路情報」等)が含まれているか否かに基づいて判定する。SA5で特定された道路又は地域に対応付けられているか否かは、例えば、番組付随情報にSA4で特定された道路又は地域が含まれているか否かに基づいて判定したり、番組本体情報に含まれる文字放送用データを解析したり、番組本体情報に含まれる音声情報を音声認識し、これら解析されたデータや認識された音声の中に、SA4で特定された道路又は地域の名称が含まれているか否かに基づいて判定することができる。このように番組が特定されると、以降、当該番組が継続して受信され、当該番組より取得されたライブカメラ映像等を含む交通情報が、SA4で特定された道路又は地域と対応付けて、デジタル放送交通情報DB83に格納される。
【0042】
次いで、案内制御部76は、SA6で取得されたされた交通情報に、交通障害を示す情報が含まれているか否かを判定する(SA7)。具体的には、案内制御部76は、SA6で取得されたされた交通情報に、交通障害の発生又は状況変化を示す情報が含まれているか否かを判定する。ここで、交通障害の発生を示す情報としては、例えば、交通障害が始めて発生した事実を示す情報が該当する。ただし、交通障害が以前から発生していた事実を示す情報であっても、このような情報がSA6で最初に取得された場合には、当該情報も、交通障害の発生を示す情報に含まれるものとしてもよい。また、交通障害の状況変化を示す情報としては、例えば、渋滞の程度や距離が増加又は減少したことを示す情報、あるいは規制が開始又は解除されたことを示す情報が該当する。例えば、案内制御部76は、SA6で継続的に受信されデジタル放送交通情報DB83に格納されている番組に対して、番組本体情報に含まれる文字放送用データを解析したり、番組本体情報に含まれる音声情報を音声認識し、これら解析されたデータや認識された音声の中に、「渋滞が発生」や「規制が開始」等のキーワードが含まれている場合には、交通障害の発生又は状況変化を示す情報が含まれていると判定する。
【0043】
そして、交通障害の発生又は状況変化を示す情報が含まれていると判定した場合(SA7、Yes)、案内制御部76は、当該情報を含んだ交通情報を出力するか否かをユーザに選択させるための案内を行い、ユーザが交通情報を出力することを選択しなかった場合には(SA8、No)、案内制御処理を終了し、ユーザが交通情報を出力することを選択した場合には(SA8、Yes)、SA5で特定された道路又は地域の交通情報を出力する(SA9)。
【0044】
交通情報を出力するか否かをユーザに選択させるための案内の具体的方法としては種々の方法を取り得るが、例えば、図5の出力画面例に示すように、ディスプレイ60に地図と走行経路が重畳して表示されている地図画面において、SA4で特定された道路又は地域を識別可能に表示する(例えば、図5に示すように円で囲む)と共に、この表示の近傍位置に「この道路又は地域の交通情報を出力しますか?」の案内文字と、交通情報を出力することを選択するための「出力する」ボタンと、交通情報を出力しないことを選択するための「出力しない」ボタンとを表示する。
【0045】
また、交通情報を出力するための具体的方法としては種々の方法を取り得るが、例えば、図6の出力画面例に示すように、道路又は地域のライブカメラ映像をディスプレイ60に出力する。すなわち、番組受信部30にて受信されデジタル放送交通情報DB83に格納されている交通情報の中には、ライブカメラ映像が含まれているため、SA5で特定された道路又は地域のライブカメラ映像をデジタル放送交通情報DB83から取得して出力する。このライブカメラ映像としては、デジタル放送交通情報DB83に格納されている中で最新のものを出力してもよいが、SA3で算定された当該道路又は地域の通過予測日時を基準に、同一の曜日及び/又は同一の時間帯における過去のライブカメラ映像を取得して出力することがより好ましい。また、このように過去のライブカメラ映像を出力する場合には、車両の通過予測時刻と同一の曜日及び/又は同日の時間帯のライブカメラ映像である旨と、撮影された地域を示す情報を、合わせて表示することが好ましい。あるいは、ライブカメラ映像が撮影された日時を表示してもよい。このように、通過予測日時を基準とする過去の同一の曜日及び/又は同一の時間帯の交通情報が取得されて案内されるので、ユーザは、通過予測日時と共通性の高い過去の交通情報を参考情報として利用することができる。また、交通障害が発生する可能性があるものとして特定された道路又は地域におけるライブカメラ映像が表示されるので、交通障害が予測される道路又は地域のライブカメラ映像を見ることができ、この映像を参考にして交通障害の発生又は状況変化を把握することが可能となる。また、ライブカメラ映像以外にも、デジタル放送交通情報DB83に格納されている交通情報を出力することができる。この結果、ユーザは、車両の走行先の道路又は地域における交通障害に関する情報を含む交通情報を見ることができ、交通障害についての詳細な情報を取得することができる。また、この交通情報は、交通障害が発生する可能性があることが予測された場合のみであって、さらにユーザが出力を選択した場合にのみ出力されるので、交通障害の可能性がないような場合にまで交通情報が出力されたり、ユーザが出力を希望しない場合にまで交通情報が出力されることがないので、ユーザに煩わしさを与えることもない。
【0046】
その後、制御部70は、SA1で設定された走行経路における目的地に自車両が到着したか否かを、現在位置検出処理部20にて検出される自車両の現在位置と地図情報DB81の地図情報とに基づいて判定し、到着していない場合には(SA10、No)、SA7に移行し、到着した場合には(SA10、Yes)、案内制御処理を終了する。
【0047】
一方、SA7において、交通障害の発生又は状況変化を示す情報が含まれていない判定した場合(SA7、No)、案内制御部76は、自車両が、SA4にて特定された道路又は地域に対する所定範囲以内に入ったか否かを、現在位置検出処理部20にて検出される自車両の現在位置と地図情報DB81の地図情報とに基づいて判定する(SA11)。そして、所定範囲(例えば1km)以内に入ったと判定された場合(SA11、Yes)、案内制御部76は、SA8に移行する。この結果、ユーザは、交通障害の発生又は状況変化があった場合のみでなく、SA4にて特定された道路又は地域の所定範囲以内に車両が入った際にも、最新の交通情報を確認することができる。一方、所定範囲以内に入っていないと判定された場合(SA11、No)、SA5で特定された道路又は地域の過去の交通情報を出力するか否かをユーザに選択させるための案内を行う。そして、ユーザが過去の交通情報を出力することを選択しなかった場合には(SA12、No)、SA6に移行し、ユーザが過去の交通情報を出力することを選択した場合には(SA12、Yes)、SA5で特定された道路又は地域の過去の交通情報をデジタル放送交通情報DB83より抽出し(SA13)、当該抽出した過去の交通情報を出力する(SA9)。例えば、SA4にて特定された道路又は地域に対応付けてデジタル放送交通情報DB83に格納されている交通情報の中から、SA3で算定された当該道路又は地域の通過予測日時を基準に、同一の曜日及び/又は同一の時間帯における過去のライブカメラ映像を取得して出力する。この結果、ユーザは、交通障害の発生又は状況変化があった場合や、SA4にて特定された道路又は地域の所定範囲以内に車両が入った場合のみでなく、これら以外の場合にも、SA4にて特定された道路又は地域における過去の交通情報を確認することができる。
【0048】
(効果)
このように本実施の形態によれば、交通障害が発生する可能性があるものとして特定された道路又は地域における交通情報がデジタル放送の中から取得され、当該取得された交通情報に交通障害の発生又は状況変化を示す情報が含まれている場合に、当該交通情報が案内されるので、デジタル放送によって提供される詳細な道路交通情報を、車両が現在走行している地域やVICS情報を受信可能な地域に制限されることなく利用することができ、デジタル放送によって提供される詳細な交通情報の利便性を高めることができる。
【0049】
また、交通障害が発生する可能性があるものとして特定された道路又は地域に対する所定範囲以内に車両が入った際に、交通情報が案内されるので、デジタル放送によって提供される詳細な交通情報を、必要性の高い適切なタイミングで利用することができる。
【0050】
また、通過予測日時を基準とする過去の同一の曜日及び/又は同一の時間帯の交通情報が取得されて案内されるので、通過予測日時と共通性の高い過去の交通情報を参考情報として利用することができる。
【0051】
また、交通障害が発生する可能性があるものとして特定された道路又は地域におけるライブカメラ映像が表示されるので、交通障害が予測される道路又は地域のライブカメラ映像を見ることができ、この映像を参考にして交通障害の発生又は状況変化を把握することが可能となる。
【0052】
〔各実施の形態に対する変形例〕
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0053】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、上述の内容に限定されるものではなく、発明の実施環境や構成の細部に応じて異なる可能性があり、上述した課題の一部のみを解決したり、上述した効果の一部のみを奏することがある。
【0054】
(統計交通情報について)
統計交通情報は、データ記録部80に記憶するものとして説明したが、必要に応じてその都度、統括センター等から取得するようにしてもよい。また、統計交通情報としては、道路交通センサス以外の任意の情報を利用してもよい。
【0055】
(通過予測日時について)
図3のフローチャートでは、通過予測日時の算定をSA3において1度だけ行っているが、通過予測日時は様々な要因により変化することが考えられるので、所定間隔(例えば15分)毎に通過予測日時を算定し、常に最新の通過予測日時に基づいて、他の処理を行うようにしてもよい。
【0056】
(交通情報について)
交通情報は、デジタル放送から取得してデータ記録部80に記憶するものとして説明したが、必要に応じてデジタル放送からその都度取得してもよい。また、デジタル放送から交通情報を取得する機能や、当該取得した交通情報を記憶する機能を、統括センター等の外部センターに持たせ、車両は、必要に応じて、この統括センター等から交通情報を取得するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 ナビゲーション装置
10 操作部
20 現在位置検出処理部
30 番組受信部
40 通信部
50 スピーカ
60 ディスプレイ
70 制御部
71 経路探索部
72 統計交通情報取得部
73 通過予測日時算定部
74 交通障害予測部
75 交通情報取得部
76 案内制御部
80 データ記録部
81 地図情報DB
82 統計交通情報DB
83 デジタル放送交通情報DB

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタル放送を受信する受信手段と、
統計交通情報を取得する統計交通情報取得手段と、
前記統計交通情報取得手段にて取得された前記統計交通情報に基づいて、車両の走行先の道路又は地域の中で当該車両が到達する時刻に交通障害が発生する可能性がある道路又は地域を特定する交通障害予測手段と、
前記特定された道路又は地域における交通情報を、前記受信手段にて受信されたデジタル放送の中から取得する交通情報取得手段と、
前記交通情報取得手段にて取得された交通情報に、交通障害を示す情報が含まれている場合に、当該交通情報を案内する案内制御手段と、
を備えるナビゲーション装置。
【請求項2】
前記案内制御手段は、前記特定された道路又は地域に対する所定範囲以内に前記車両が入った際に、前記交通情報を案内する、
請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記道路又は前記地域の通過予測日時を算定する通過予測日時算定手段を備え、
前記交通情報取得手段は、前記通過予測日時算定手段にて算定された通過予測日時を基準とする過去の同一の曜日及び/又は同一の時間帯の交通情報を取得し、
前記案内制御手段は、前記交通情報取得手段にて取得された過去の同一の曜日及び/又は同一の時間帯の交通情報を案内する、
請求項1又は2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記交通情報取得手段は、前記交通情報として、前記特定された道路又は地域におけるライブカメラ映像を、前記受信手段にて受信されたデジタル放送の中から取得し、
前記案内制御手段は、前記交通情報取得手段にて取得されたライブカメラ映像を表示する、
請求項1から3のいずれか一項に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
デジタル放送を受信する受信ステップと、
統計交通情報を取得する統計交通情報取得ステップと、
前記統計交通情報取得ステップにて取得された前記統計交通情報に基づいて、車両の走行先の道路又は地域の中で当該車両が到達する時刻に交通障害が発生する可能性がある道路又は地域を特定する交通障害予測ステップと、
前記特定された道路又は地域における交通情報を、前記受信ステップにて受信されたデジタル放送の中から取得する交通情報取得ステップと、
前記交通情報取得ステップにて取得された交通情報に、交通障害を示す情報が含まれている場合に、当該交通情報を案内する案内ステップと、
を含むナビゲーション方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法をコンピュータに実行させるナビゲーションプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−209212(P2011−209212A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−79026(P2010−79026)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】