説明

ナビゲーション装置、ナビゲーション装置の画像表示方法、およびナビゲーション用プログラム

【課題】細街路等の特定の道路等を確実に非表示状態とすることが可能なナビゲーション装置を提供すること。
【解決手段】 地図情報を格納するデータベース(地図情報DB13a)と、データベースから表示領域に応じた地図情報を読み出す読み出し手段(CPU11)と、読み出された地図情報から所定の属性を有する道路情報を選別する選別手段(CPU11)と、選別された所定の属性を有する道路情報と、その他の地図情報とを異なる領域に分けて格納する格納手段(ビデオメモリ15)と、移動体の状態を検出する検出手段(GPSレシーバ17、センサ群19)と、格納手段に格納されたその他の地図情報に応じて描画処理を実行するとともに、検出手段の検出結果を参照して所定の属性を有する道路情報に応じて描画処理を実行する描画処理手段(グラフィックプロセッサ12)と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置、ナビゲーション装置の画像表示方法、およびナビゲーション用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
車載用のナビゲーション装置は、複数のGPS(Global Positioning Systems)衛星から送信される信号を受信して自車の現在位置を検出するとともに、各種センサにより検出される自車に関する情報およびナビゲーション装置の記録装置に記録されている地図情報に基づいて、自車の現在位置と地図上の道路とをマッチング(マップマッチング)させ、表示部に表示された地図上に自車の現在位置を表示する。そして、目的地が設定された場合には、当該目的地までの案内(ナビゲーション)を実行する。
【0003】
ところで、地図情報としてはできるだけ詳細な情報を表示する方が望ましいが、走行時には、表示装置に表示されている地図情報を注視することができない。そこで、停車ないし低速走行中は、詳細な地図情報を表示装置に表示し、車両が高速走行状態に入った場合には、高速走行に必要な情報のみを表示することにより、視認性を高める技術が特許文献1に開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開平08−234656号公報(要約書、特許請求の範囲)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に開示された技術では、車速が速い場合には、走行路以外の道路等については、背景色と同じ色で表示することにより、見かけ上消去されるようにしている。しかし、このような方法では、背景色とは異なる表示色を有するシンボル(例えば、地図記号)上に表示された道路等の情報については、同一色とはならないために非表示状態とはならないという問題点がある。具体的には、図12(A)に示すように、交差点を有する幹線道路1に接する道路2,3と、道路3が横断するシンボル4(例えば、公園等)が存在する地図において、道路2,3を非表示とする方法としては、従来は、道路2,3を背景5と同じ色の表示色とすることによりこの部分が視認できないようにしていた。
【0006】
しかしながら、このような方法では、背景5とは異なる表示色を有するシンボル4が存在する場合、図12(B)に示すように、道路2および道路3の区間3cおよび区間3aについては背景5と同一色となることから非表示の状態となるが、シンボル4上に配置された区間3bについては非表示の状態とはならない。このため、不必要な道路が表示されてしまうことから、画面が煩雑となってしまうという問題点がある。
【0007】
また、道路を表示する際に、ジャギの発生を抑えるために、道路を示す線分に対してアンチエイリアス処理を施すことがある。その場合、道路を示す線分の周辺に薄い色のピクセルを配置して境界をなだらかに変化させ、ジャギが目立たないようにすることが一般的に行われる。しかし、道路を非表示状態とするために背景と同じ色で道路を描画した場合、当該薄い色のピクセル部分が背景色と異なる色となってしまうため、この部分が視認されてしまうという問題点がある。
【0008】
本発明は、上記の事情に基づきなされたもので、その目的とするところは、細街路等の特定の道路等を確実に非表示状態とすることが可能なナビゲーション装置、ナビゲーション装置の画像表示方法、および、ナビゲーション用プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の目的を達成するため、本発明のナビゲーション装置は、地図を表示して目的地までの経路を案内するナビゲーション装置において、地図情報を格納するデータベースと、
データベースから表示領域に応じた地図情報を読み出す読み出し手段と、読み出し手段によって読み出された地図情報から所定の属性を有する道路情報を選別する選別手段と、選別手段によって選別された所定の属性を有する道路情報と、その他の地図情報とを異なる領域に分けて格納する格納手段と、本装置が搭載された移動体の状態を検出する検出手段と、格納手段に格納されたその他の地図情報に応じて描画処理を実行するとともに、検出手段の検出結果を参照して所定の属性を有する道路情報に応じて描画処理を実行する描画処理手段と、を有している。
【0010】
また、他の発明のナビゲーション装置は、上述の発明に加えて、所定の属性情報を有する道路情報が、所定の道幅以下の道路の情報であり、描画手段が、本装置が搭載された移動体が所定の速度未満で移動中であるかまたは停止中であることを検出手段が検出した場合には、異なる領域に格納された所定の道幅以下の道路を描画し、所定の速度以上で移動中である場合には描画しないようにしている。
【0011】
また、他の発明のナビゲーション装置は、上述の発明に加えて、描画手段が、本装置が搭載された移動体が所定の道幅以下の道路を走行中であることを検出手段が検出した場合には、速度の如何に拘わらず、所定の道幅以下の道路を描画するようにしている。
【0012】
また、他の発明のナビゲーション装置は、上述の発明に加えて、描画手段が、異なる領域に格納された所定の属性を有する道路情報を、周期的に描画処理したり描画処理しなかったりすることにより、当該道路を点滅表示するようにしている。
【0013】
また、本発明のナビゲーション装置の画像表示方法は、地図を表示して目的地までの経路を案内するナビゲーション装置の画像表示方法において、データベースから表示領域に応じた地図情報を読み出し、読み出された地図情報から所定の属性を有する道路情報を選別し、選別された所定の属性を有する道路情報と、その他の地図情報とを記憶装置の異なる領域に分けて格納し、本装置が搭載された移動体の状態を検出し、格納されたその他の地図情報に応じて描画処理を実行するとともに、移動体の状態に関する検出結果を参照して所定の属性を有する道路情報に応じて描画処理を実行する、ようにしている。
【0014】
また、本発明のナビゲーション用プログラムは、地図を表示して目的地までの経路を案内するナビゲーション装置において実行されるコンピュータ読み取り可能な画像表示用プログラムにおいて、コンピュータを、地図情報を格納するデータベース、データベースから表示領域に応じた地図情報を読み出す読み出し手段、読み出し手段によって読み出された地図情報から所定の属性を有する道路情報を選別する選別手段、選別手段によって選別された所定の属性を有する道路情報と、その他の地図情報とを異なる領域に分けて格納する格納手段、本装置が搭載された移動体の状態を検出する検出手段、格納手段に格納されたその他の地図情報に応じて描画処理を実行するとともに、検出手段の検出結果を参照して所定の属性を有する道路情報に応じて描画処理を実行する描画処理手段、として機能させるようにしている。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、細街路等の特定の道路等を確実に非表示状態とすることが可能なナビゲーション装置、ナビゲーション装置の画像表示方法、および、ナビゲーション用プログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の一実施の形態について図に基づいて説明する。
【0017】
図1は、本発明の実施の形態に係るナビゲーション装置の構成例を示すブロック図である。この図に示すように、本発明の実施の形態に係るナビゲーション装置10は、CPU(Central Processing Unit)11、グラフィックプロセッサ12、HDD(Hard Disk Drive)13、メモリ14、ビデオメモリ15、LCD(Liquid Crystal Display)16、GPSレシーバ17、ジャイロ装置18、センサ群19、および、入力装置20を有している。なお、ナビゲーション装置10は、移動体としての自動車に搭載される。
【0018】
ここで、読み出し手段および選別手段としてのCPU11は、HDD13またはメモリ14に格納されているプログラムに応じて、各種演算処理を実行するとともに、装置の各部を制御する中央処理装置である。
【0019】
グラフィックプロセッサ12は、HDD13から読み出され、ビデオメモリ15に展開されたコマンドリストに応じて描画処理を実行し、得られた画像を映像信号に変換してLCD16に供給して表示させる描画処理装置である。
【0020】
HDD13は、地図情報DB13aおよび制御プログラム13bを有する記憶装置である。ここで、データベースとしての地図情報DB13aには、地図のシンボルを表示するための情報および道路を表示するための情報等を有している。制御プログラム13bは、ナビゲーション装置10の各部を制御するとともに、GPSレシーバ17から供給される自車位置と、地図情報DB13aに格納された地図情報に基づいて地図を表示する処理を実行する。また、必要に応じて目的地までの経路案内処理を実行する。
【0021】
メモリ14は、ROM(Read Only Memory)またはRAM(Random Access Memory)等の半導体記憶装置によって構成され、CPU11が実行するプログラム等を格納するとともに、CPU11が実行する対象となるプログラムまたはデータを一時的に記憶する。
【0022】
格納手段としてのビデオメモリ15は、グラフィックプロセッサ12の処理対象となるコマンドリストが一時的に格納される半導体記憶装置である。なお、ビデオメモリ15にコマンドリストが格納される動作については後述する。
【0023】
LCD16は、グラフィックプロセッサ12によって生成された映像信号を入力して、対応する画像を表示出力する。
【0024】
検出手段としてのGPSレシーバ17は、複数のGSP衛星(不図示)からの電波をアンテナ17aで受信し、当該電波に重畳されている時刻情報を抽出し、それぞれの電波の到達時間差から現在位置を特定し、位置情報(例えば、緯度情報および経度情報)としてCPU11に供給する。
【0025】
ジャイロ装置18は、車両が方向転換した場合等において、各制御軸に対する車両の角速度を検出して、CPU11に供給する。
【0026】
検出手段としてのセンサ群19は、例えば、車速を検出するための車速センサ、サイドブレーキが操作されたことを検出するサイドブレーキセンサ等を有している。
【0027】
入力装置20は、例えば、LCD16の表示部に設けられたタッチパネル、LCD16の表示部の周辺部に設けられた操作ボタン、および、リモートコントローラ等である。
【0028】
つぎに、本発明の動作について説明する。
【0029】
図2〜4は、本発明の実施の形態に係るナビゲーション装置10の動作を説明するためのフローチャートである。これらのフローチャートに示す処理は、図1に示す制御プログラム13bに基づいて実行される。なお、図2は、メインのフローチャートであり、図3および図4はステップS17およびステップS18の処理(サブルーチン処理)の詳細を示すフローチャートである。図2に示すメインのフローチャートが開始されると、以下のステップが実行される。
【0030】
ステップS10:CPU11は、その時点において設定されている地図の表示縮尺を取得する。ここで、表示縮尺は、例えば、25m、50m、100m、200m、500m、1km等のスケールによって表され、数値が小さいほど詳細な(縮尺率が小さい)地図であることを示す。なお、表示縮尺は、例えば、入力装置20をユーザが操作することにより設定可能とされている。
【0031】
ステップS11:CPU11は、GPSレシーバ17から出力される自車の位置情報(例えば、緯度および経度に関する情報)を参照して、自車の位置を検出する。なお、このとき、ジャイロ装置18からの出力信号およびセンサ群19からの出力信号を参照したり、マップマッチング処理を利用したりして自車位置を校正することができる。
【0032】
ステップS12:CPU11は、ステップS10で取得した表示縮尺と、ステップS11で取得した自車位置を参照して、処理対象区間を決定する。ここで、処理対象区間とは、ビデオメモリ15に格納されてグラフィックプロセッサ12の処理対象となる地図の区間(地図を構成する単位)をいう。具体的には、地図情報DB13aには、各縮尺に対応した複数の地図情報が格納されており、それぞれの地図情報は複数の区間によって構成されている。LCD16に表示される領域を表示領域とすると、表示領域に少なくともその一部が含まれる区間が処理対象区間として設定される。
【0033】
すなわち、図5(A)に示すように、表示領域(破線で示す領域)と処理対象区間である第1の区間(実線で示す領域)とが同図に示す関係を有する場合には、ビデオメモリ15には、第1の区間が格納され、自車の移動に伴って表示領域が移動していく。そして、表示領域が処理対象区間の境界を越えた合には、表示領域に含まれる新たな区間が地図情報DB13aからビデオメモリ15に読み込まれ処理対象区間とされ、表示領域から外れた処理対象区間はビデオメモリ15から削除される。
【0034】
また、表示領域(破線で示す領域)と処理対象区間である第1〜第4の区間(実線で示す領域)とが図5(B)に示す関係を有する場合には、ビデオメモリ15には、第1〜第4の区間が格納され、自車の移動に伴って表示領域が移動していく。そして、表示領域が処理対象区間の境界を越えた場合には、表示領域に含まれる新たな区間が地図情報DB13aからビデオメモリ15に読み込まれ処理対象区間とされ、表示領域から外れた処理対象区間はビデオメモリ15から削除される。
【0035】
ステップS13:CPU11は、ステップS10で取得した表示縮尺を参照し、所定の属性を有する道路としての細街路(道幅が5.5m未満の道路)をLCD16に表示するか否かを判定する。具体的には、地図情報DB13aには、図6に示すように、複数の縮尺に対応するための複数の地図情報が格納されている。図6の例では、地図情報として第1〜第3の地図情報が格納されている。グラフィックプロセッサ12は、これらの地図情報に基づいて描画処理を実行し、縮尺の異なる第1〜第6の表示画面をLCD16に表示する。例えば、25mおよび50mスケールの表示画面は第1の地図情報に基づいて描画し、100mおよび200mスケールの表示画面は第2の地図情報に基づいて描画するといった具合である。
【0036】
ところで、縮尺が大きくなると細街路については視認できなくなるため、表示が省略される。図6の例では、第4〜第6の表示画面では、細街路を表示しない設定となっているため、ステップS13の処理では、これらのいずれに該当するか(すなわち、第1〜第3の表示画面に該当するかまたは第4〜第6の表示画面に該当するか)を判定し、第1〜第3の表示画面に該当する場合(第1〜第3の縮尺に該当する場合)には細街路を表示する(Y)と判定してステップS14に進み、それ以外の場合には細街路を表示しない(N)と判定してステップS15に進む。
【0037】
ステップS14:CPU11は、地図情報DB13aに格納されている地図情報のうちステップS12において処理対象区間とされた区間に含まれている道路情報からその属性情報が細街路であるものを抽出し、グラフィックプロセッサ12を介してビデオメモリ15に転送する。ビデオメモリ15では、細街路に対応する道路情報(コマンドリスト)が所定の領域に格納される。なお、細街路をビデオメモリ15に転送する際には、細街路をその他の道路と区別する必要があるが、その場合には各道路リンクに付与された道路属性情報(図7を参照して後述する)に基づいて判断する。
【0038】
図7に示すように、各道路リンク(道路を構成する最小単位の情報)50は、道路属性情報51、座標情報52、および、表示色情報53を主要な構成要素としている。ここで、道路属性情報51は、例えば、細街路、一般道、地方道、高速道路等を示す情報を有する。座標情報52は、道路リンクの始端と終端の位置情報を有する。表示色情報53は、各道路リンクをLCD16に表示する際の表示色を示す。したがって、ステップS14の処理において、細街路を転送する場合には、道路属性情報51を参照することにより、細街路であるか否かを選別することができる。
【0039】
ステップS15:地図情報DB13aに格納されている処理対象区間の地図情報に含まれている細街路以外の情報(細街路以外の道路およびシンボル等の情報)を、グラフィックプロセッサ12を介してビデオメモリ15に転送する。ビデオメモリ15では、転送された情報が所定の領域(細街路とは別の領域)に格納される。
【0040】
なお、ステップS13において、細街路を表示しないと判断された場合であって、対象となる地図情報に細街路の情報が含まれていない場合(図6に示す第5または第6の表示画面の場合)には、格納されているすべての情報をビデオメモリ15に転送する。また、細街路を表示しないと判断された場合であって、対象となる地図情報に細街路の情報が含まれている場合(図7に示す第4の表示画面の場合)には、格納されているすべての情報の中から細街路を除く情報をビデオメモリ15に転送する。なお、このとき、細街路かそれ以外の道路かを判断する場合には、前述の道路属性情報51を参照して判断する。
【0041】
図8は、ステップS13において細街路を表示すると判断された場合に、地図情報DB13aに格納されている地図情報がビデオメモリ15に展開された状態を示す図である。この例では、地図情報DB13aには、背景情報60、道路情報61、シンボル情報62が格納されている。ビデオメモリ15には、背景CL(Command List)70、道路CL71、細街路CL72、および、シンボルCL73が格納されている。ここで、その他の地図情報としての背景CL70は、背景情報60から取得されたものである。その他の地図情報としての道路CL71は、道路情報61から取得されたものであり細街路以外の道路を表示するためのデータである。所定の属性を有する道路情報としての細街路CL72は、道路情報61から取得されたものであり細街路を表示するためのデータである。その他の地図情報としてのシンボルCL73は、地図記号等を表示するためのデータである。なお、ステップS13において、細街路を表示しないと判断された場合には、細街路CL72がビデオメモリ15に格納されていない状態となる。
【0042】
ステップS16:CPU11は、ステップS10で取得した表示縮尺を参照して、細街路を表示するか否かを判定し、表示する場合にはステップS17に進み、それ以外の場合にはステップS18に進む。なお、この判断は、ステップS13の場合と同様である。
【0043】
ステップS17:CPU11は、細街路を表示する処理である第1の表示処理を実行する。なお、この処理の詳細については、図3を参照して後述する。
【0044】
ステップS18:CPU11は、細街路を表示しない処理である第2の表示処理を実行する。なお、この処理の詳細については、図4を参照して後述する。
【0045】
ステップS19:CPU11は、処理を完了するか否かを判定し、完了しない場合にはステップS20に進み、それ以外の場合には処理を終了する。例えば、電源が切断された場合には完了すると判断して処理を終了し、それ以外の場合にはステップS20に進む。
【0046】
ステップS20:CPU11は、自車の移動に起因する表示領域の移動に伴って、処理区間を更新する必要が生じたか否かを判定し、更新する必要が生じたと判定した場合にはステップS10に戻って同様の処理を繰り返し、それ以外の場合にはステップS16に戻って同様の処理を繰り返す。
【0047】
つぎに、図3を参照して、図2のステップS17の処理の詳細について説明する。このフローチャートの処理が開始されると、以下のステップが実行される。
【0048】
ステップS30:CPU11は、GPSレシーバ17から自車位置を示す情報を取得する。なお、このとき、ジャイロ装置18からの信号またはセンサ群19から出力される信号を参照したり、地図情報を用いてマップマッチング処理を行ったりすることにより自車位置の精度を高めることができる。
【0049】
ステップS31:CPU11は、ステップS30において取得した自車位置に関する情報と、ステップS10において取得した表示縮尺を参照して、表示領域(図5参照)を特定する。
【0050】
ステップS32:CPU11は、グラフィックプロセッサ12に対して制御信号を送り、細街路以外の情報を表示させる。その結果、グラフィックプロセッサ12は、ビデオメモリ15に格納されている細街路CL72以外のコマンドリスト(背景CL70、道路CL71、シンボルCL73)を実行して、細街路以外の情報をLCD16に表示させる。
【0051】
ステップS33:CPU11は、センサ群19に含まれている車速センサ(不図示)の出力信号(車の速度を示す信号)およびGPSレシーバ17の出力信号(自車位置を示す信号)を参照し、自車が走行中であるか否かを判定する。そして、自車が走行中であると判定した場合には、ステップS34に進み、それ以外の場合にはステップS35に進む。なお、走行中であるか否かの判断としては、例えば、自車位置が所定の時間以上変化せず、かつ、自車の速度が所定の速度未満である場合には停車中であると判断し、それ以外の場合には走行中と判断する。
【0052】
ステップS34:CPU11は、GPSレシーバ17からの位置情報と、地図情報とを参照して、自車が細街路を現在走行中であるか否かを判定し、細街路を走行中である場合にはステップSステップS35に進み、それ以外の場合には元の処理に復帰する。
【0053】
ステップS35:CPU11は、グラフィックプロセッサ12に対して制御信号を供給して細街路を表示させる。その結果、グラフィックプロセッサ12は、ビデオメモリ15に格納されている細街路CL72を実行することにより細街路をLCD16に表示させる。
【0054】
以上に示す第1の表示処理によれば、停車中であるかまたは細街路を走行中である場合にはLCD16に細街路が表示され、それ以外の場合(細街路以外を走行中である場合)には、細街路が表示されない状態となる。
【0055】
図8は、細街路を表示する縮尺が選択された場合において、停車中または細街路を走行中であるときのビデオメモリ15の状態を示す図である。この図に示すように、停車中または細街路を走行中である場合には、細街路CL72が実行され、LCD16には細街路が表示される。
【0056】
一方、図9は、細街路を表示する縮尺が選択された場合において、細街路以外を走行中であるときのビデオメモリ15の状態を示す図である。この図に示すように、細街路以外を走行中である場合には、ビデオメモリ15には細街路CL72は格納されているが、これは描画対象とはならず、LCD16に細街路は表示されない状態となる。
【0057】
図10は、細街路が表示されていない状態のLCD16を示す図である。この図に示すように、LCD16は、表示部16aを有し、この表示部16aにはタッチパネル20aが重畳するように配置されており、表示部16aに表示されたアイコン等を指で押圧することにより、当該アイコンに対応する所定の情報を入力することができる。表示部16aの周辺にはボタン20b〜20gが配置されている。また、表示部16aの中央部には、自車位置を示す三角形のアイコン80が表示されている。また、表示部16aの左上には方位を示すアイコン81と、縮尺を示すアイコン82とが表示されている。
【0058】
図11は、細街路が表示されている状態のLCD16を示す図である。この図の例では、図10の場合に比較して表示部16aに複数の細街路83〜89が表示されている。このような表示を参考にすることにより、ユーザは幹線道路同士を接続する細街路の状態を知ることができる。
【0059】
図4は、図2に示すステップS18の処理の詳細を説明するためのフローチャートである。このフローチャートの処理が開始されると、以下のステップが実行される。
【0060】
ステップS50:CPU11は、GPSレシーバ17から自車位置を示す情報を取得する。なお、このとき、ジャイロ装置18からの信号またはセンサ群19から出力される信号を参照したり、地図情報を用いてマップマッチング処理を行ったりすることにより自車位置の精度を高めることができる。
【0061】
ステップS51:CPU11は、ステップS50において取得した自車位置に関する情報と、ステップS10において取得した表示縮尺を参照して、表示領域(図5参照)を特定する。
【0062】
ステップS52:CPU11は、グラフィックプロセッサ12に対して制御信号を送り、細街路以外の情報を表示させる。その結果、グラフィックプロセッサ12は、ビデオメモリ15に格納されているすべてのコマンドリスト(背景CL70、道路CL71、シンボルCL73)を実行して、LCD16に地図を表示させる。そして、元の処理に復帰する。
【0063】
以上の処理によれば、細街路を表示しない縮尺が選択された場合(図6の第4〜第6の表示画面に該当する場合)に対応して、細街路を非表示の状態とすることができる。
【0064】
以上に説明したように、本発明の実施の形態に係るナビゲーション装置10によれば、細街路が描画される縮尺が選択された場合においては、細街路CL72を他の道路CL71とは異なるビデオメモリ15上の領域に分けて格納するようにしたので、例えば、細街路を非表示とする場合には、当該領域に格納されているコマンドリストについては実行しないようにグラフィックプロセッサ12に指示することにより、非表示状態とすることができる。
【0065】
また、以上の実施の形態によれば、細街路を非表示とする場合は、細街路CL72を描画処理対象から除外するようにした。このため、従来のように、表示色を背景色と同一にする場合に比較して、背景色とは異なる表示色を有するシンボル上に配置された細街路についても確実に非表示状態とすることができる。また、細街路CL72を描画処理対象から除外すると、アンチエイリアス処理の対象とはならないので、アンチエイリアス処理によって生じる薄いピクセルが視認されてしまうことを防止できる。
【0066】
また、以上の実施の形態によれば、例えば、細街路の表示色を変更したり、細街路を点滅表示させたりする場合の処理が容易になる。すなわち、表示色を変更する場合は、細街路CL72のみの表示色を一括して変更すればよい。また、点滅表示させる場合には、細街路CL72のみの表示色を所定の周期で一括して変更すればよい。その場合、従来のように、細街路CL72を道路CL71から分けずに同じ場所に格納する場合に比較すると、細街路を検索して表示色を変更する処理が不要となるので、処理を簡便化することが可能になる。
【0067】
なお、上述の実施の形態は、本発明の好適な例であるが、本発明は、これらに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変形、変更が可能である。
【0068】
例えば、上述の実施の形態では、細街路CL72を他の道路CL71とは異なる領域に格納して非表示とするようにしたが、細街路ではなく、例えば、幹線道路に関するコマンドリストを他の道路とは異なる領域に格納し、これを必要に応じて非表示とすることも可能である。
【0069】
また、地図情報DB13aおよび制御プログラム13bをHDD13に格納するようにしたが、これらの双方または一方を他の記録媒体(例えば、DVD(Digital Versatile Disk)等)に格納するようにしてもよい。
【0070】
なお、上記の処理機能は、例えば、図1に示すようなコンピュータによって実現される。その場合、ナビゲーション装置が有すべき機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、処理機能がコンピュータ上で実現される。処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリなどがある。磁気記録装置には、ハードディスク装置(HDD)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープなどがある。光ディスクには、DVD、DVD−RAM(Random Access Memory)、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)、CD−R(Recordable)/RW(ReWritable)などがある。光磁気記録媒体には、MO(Magneto-Optical Disk)などがある。
【0071】
プログラムを流通させる場合には、例えば、そのプログラムが記録されたDVD、CD−ROMなどの可搬型記録媒体が販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
【0072】
プログラムを実行するコンピュータは、例えば、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、自己の記憶装置からプログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行する。なお、コンピュータは、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することもできる。また、コンピュータは、サーバコンピュータからプログラムが転送される毎に、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、地図を表示して目的地までの経路を案内するナビゲーション装置に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の実施の形態に係るナビゲーション装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】図1に示す実施の形態に係るナビゲーション装置おいて実行される処理の流れの一例を説明するフローチャートである。
【図3】図2に示す第1の表示処理の詳細を説明するためのフローチャートである。
【図4】図2に示す第2の表示処理の詳細を説明するためのフローチャートである。
【図5】図1に示す実施の形態に係るナビゲーション装置における表示領域と地図の区間との関係を示す図であり、(A)は地図の区間内に表示領域が収まる場合を示す図であり、(B)は表示領域が複数の区間にまたがる場合を示す図である。
【図6】図1に示す実施の形態に係るナビゲーション装置の地図データベースに格納されている地図情報と、表示画面の縮尺と関係を示す図である。
【図7】図1に示す実施の形態に係るナビゲーション装置において使用される道路リンクの詳細な構成例を示す図である。
【図8】図1に示す実施の形態に係るナビゲーション装置において、細街路を表示すると判断された場合に、地図情報DBに格納されている地図情報がビデオメモリに展開された状態を示す図である。
【図9】図1に示す実施の形態に係るナビゲーション装置において、細街路を表示しないと判断された場合に、地図情報DBに格納されている地図情報がビデオメモリに展開された状態を示す図である。
【図10】図1に示す実施の形態に係るナビゲーション装置において、細街路が表示されていな状態を示す表示例である。
【図11】図1に示す実施の形態に係るナビゲーション装置において、細街路が表示された状態を示す表示例である。
【図12】従来のナビゲーション装置における表示例を示す図であり、(A)は細街路を表示した状態を示す表示例であり、(B)は細街路を表示しない状態を示す表示例である。
【符号の説明】
【0075】
10 ナビゲーション装置
11 CPU(読み出し手段、選別手段)
12 グラフィックプロセッサ(描画手段)
13a 地図情報DB(データベース)
15 ビデオメモリ(格納手段)
17 GPSレシーバ(検出手段)
19 センサ群(検出手段)
70 背景CL(その他の地図情報)
71 道路CL(その他の地図情報)
72 細街路CL(所定の属性を有する道路情報)
73 シンボルCL(その他の地図情報)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図を表示して目的地までの経路を案内するナビゲーション装置において、
地図情報を格納するデータベースと、
上記データベースから表示領域に応じた地図情報を読み出す読み出し手段と、
上記読み出し手段によって読み出された地図情報から所定の属性を有する道路情報を選別する選別手段と、
上記選別手段によって選別された上記所定の属性を有する道路情報と、その他の地図情報とを異なる領域に分けて格納する格納手段と、
本装置が搭載された移動体の状態を検出する検出手段と、
上記格納手段に格納された上記その他の地図情報に応じて描画処理を実行するとともに、上記検出手段の検出結果を参照して上記所定の属性を有する道路情報に応じて描画処理を実行する描画処理手段と、
を有することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記所定の属性情報を有する道路情報は、所定の道幅以下の道路の情報であり、
前記描画手段は、本装置が搭載された移動体が所定の速度未満で移動中であるかまたは停止中であることを前記検出手段が検出した場合には、前記異なる領域に格納された上記所定の道幅以下の道路を描画し、所定の速度以上で移動中である場合には描画しないことを特徴とする請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記描画手段は、本装置が搭載された移動体が前記所定の道幅以下の道路を走行中であることを前記検出手段が検出した場合には、速度の如何に拘わらず、前記所定の道幅以下の道路を描画することを特徴とする請求項2記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記描画手段は、前記異なる領域に格納された前記所定の属性を有する道路情報を、周期的に描画処理したり描画処理しなかったりすることにより、当該道路を点滅表示することを特徴とする請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
地図を表示して目的地までの経路を案内するナビゲーション装置の画像表示方法において、
データベースから表示領域に応じた地図情報を読み出し、
読み出された地図情報から所定の属性を有する道路情報を選別し、
選別された上記所定の属性を有する道路情報と、その他の地図情報とを記憶装置の異なる領域に分けて格納し、
本装置が搭載された移動体の状態を検出し、
格納された上記その他の地図情報に応じて描画処理を実行するとともに、移動体の状態に関する検出結果を参照して上記所定の属性を有する道路情報に応じて描画処理を実行する、
ことを特徴とするナビゲーション装置の画像表示方法。
【請求項6】
地図を表示して目的地までの経路を案内するナビゲーション装置において実行されるコンピュータ読み取り可能なナビゲーション用プログラムにおいて、
コンピュータを、
地図情報を格納するデータベース、
上記データベースから表示領域に応じた地図情報を読み出す読み出し手段、
上記読み出し手段によって読み出された地図情報から所定の属性を有する道路情報を選別する選別手段、
上記選別手段によって選別された上記所定の属性を有する道路情報と、その他の地図情報とを異なる領域に分けて格納する格納手段、
本装置が搭載された移動体の状態を検出する検出手段、
上記格納手段に格納された上記その他の地図情報に応じて描画処理を実行するとともに、上記検出手段の検出結果を参照して上記所定の属性を有する道路情報に応じて描画処理を実行する描画処理手段、
として機能させることを特徴とするコンピュータ読み取り可能なナビゲーション用プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−118879(P2006−118879A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−304433(P2004−304433)
【出願日】平成16年10月19日(2004.10.19)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】