説明

ナビゲーション装置、及びハイブリッド車両

【課題】走行パターンによる経路案内をしつつも、より効率のよい走行を行う。
【解決手段】ユーザがいつも通る道でいつも行く所に行こうとする場合、ナビゲーション装置は、これを検知し、交通情報を受信して、この経路で渋滞などの円滑な走行を阻害する事象が発生しているか確認する。円滑な走行を阻害する事象が発生している場合、これによって燃費が一定以上悪くなるようであれば、ハイブリッド車両は、目的地までの燃料消費量が最小となる最適経路を探索し、ユーザに提示する。そして、ユーザがこの提示によって最適経路の案内を選択した場合、ハイブリッド車両は、最適経路での走行を案内する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置、及びハイブリッド車両に関し、例えば、エネルギーマネジメントにより走行するものに関する。
【背景技術】
【0002】
環境に対する関心の高まりや原油価格の高騰などの影響により、エンジン(内燃機関)とモータ(電動機)を組み合わせたハイブリッド車両への関心が高まっている。
ハイブリッド車両は、例えば、発進時などのエンジン効率が悪い領域ではモータで駆動し、高速走行などのエンジン効率がよい領域では、エンジンで駆動すると共に発電機を駆動して蓄電を行うなど、モータとエンジンを相補的に協働させることにより燃費の向上を図っている。
【0003】
近年、ハイブリッド車両の燃費を向上させるために、エネルギーマネジメントと呼ばれる技術が開発されつつある。
この技術は、これから走行を予定している経路を予め推測し、最も効率がよくなるようにエンジンとモータの駆動配分を計画するものである。
【0004】
これによって、例えば、前方に下り坂が存在する場合、その手前に達するまでにモータ駆動によってバッテリを放電させ、下り坂を下る際の回生電力を可能な限り蓄電するなどの制御を行うことが可能となる。
このようにエネルギーマネジメントを行う技術としては、次の特許文献1の「移動体の制御装置」がある。
この技術は、現在地から目的地までの複数の経路を求め、最も効率的な経路を算出して表示するものである。
【特許文献1】特開平9−93717公報
【0005】
ところで、ハイブリッド車両のユーザは、例えば、会社への通勤や近所の商店に買い物に行くなど、いつも通る経路を走行することが多い。
そこで、ユーザが走行した経路を記憶しておき、その走行履歴から走行パターンを抽出することにより所謂「ユーザが通るいつもの道」を検知し、ユーザがこの経路を走行すると推測される場合には、当該経路での高効率走行ができるようにエネルギーマネジメントを行う技術も開発されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、交通事情は日々刻々と異なり、渋滞や工事などの影響により、いつも走行している経路が返って燃費の悪化を招くこともあり得る。
【0007】
そこで、本発明は、ユーザの走行パターンによる経路案内をしつつも、より効率のよい走行を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)前記目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、エンジンとモータによって駆動力を発生するハイブリッド車両のナビゲーション装置であって、出発地から目的地に向けて反復して走行する反復経路を取得する反復経路取得手段と、前記出発地から前記目的までの、最も燃費のよい最適経路を探索する探索手段と、前記探索した最適経路の方が前記取得した反復経路よりも燃費がよい場合に、反復経路よりも燃費のよい最適経路があることを提示する提示手段と、を具備したことを特徴とするナビゲーション装置を提供する。
(2)請求項2に記載の発明では、現在の交通状況を取得する交通状況取得手段を具備し、前記探索手段は、前記取得した交通状況を用いて最適経路を探索することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置を提供する。
(3)請求項3に記載の発明では、前記探索手段は、前記反復経路を走行している間も、現在地から目的地に至る最も燃費のよい最適経路を探索し、前記提示手段は、走行している間に前記探索手段が最適経路を探索した場合は、前記反復経路よりも燃費のよい最適経路があることを提示することを特徴とする請求項1、又は請求項2に記載のナビゲーション装置を提供する。
(4)請求項4に記載の発明では、前記提示した最適経路を案内するか否かの選択を受け付ける選択受付手段と、前記選択受付手段にて前記提示した最適経路の案内が選択された場合に、当該最適経路での走行を案内する案内手段と、を具備したことを特徴とする請求項1、請求項2、又は請求項3に記載のナビゲーション装置を提供する。
(5)請求項5に記載の発明では、前記探索手段は、前記反復経路での燃料消費量が所定の閾値以上になる場合に、前記最適経路を探索することを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1の請求項に記載のナビゲーション装置を提供する。
(6)請求項6に記載の発明では、モータとエンジンを用いて駆動し、請求項1から請求項5のうちのいずれか1の請求項に記載のナビゲーション装置を搭載したハイブリッド車両であって、前記ナビゲーション装置から現在地から目的地までの経路を取得する経路取得手段と、前記取得した経路に沿って、前記モータと前記エンジンの駆動分配を計画する計画手段と、前記計画に従って前記モータと前記エンジンを駆動する駆動手段と、を具備したことを特徴とするハイブリッド車両を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ユーザの走行パターンによる経路案内をしつつも、他の経路を案内することにより、より効率のよい走行を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(1)実施の形態の概要
ユーザがいつも通る道でいつも行く所に行こうとする場合、ナビゲーション装置は、これを検知し、交通情報を受信して、この経路で渋滞などの円滑な走行を阻害する事象が発生しているか確認する。円滑な走行を阻害する事象が発生している場合、これによって燃費が一定以上悪くなるようであれば、ハイブリッド車両は、目的地までの燃料消費量が最小となる最適経路を探索し、ユーザに提示する。そして、ユーザがこの提示によって最適経路の案内を選択した場合、ハイブリッド車両は、最適経路での走行を案内する。
【0011】
(2)実施の形態の詳細
図1は、本実施の形態のハイブリッド車両に搭載するECU1(Engine Control Unit)の構成を模式的に示したブロック図である。
ECU1は、エンジンやモータの駆動や、バッテリの放電、燃料の噴射量などを電子制御するいわばハイブリッド車両の頭脳に該当する機能部である。
【0012】
ECU1は、図示しないが、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクなどの記憶装置を用いたコンピュータなどで構成されており、記憶装置に記憶されているプログラムをCPUで実行し、ユーザの走行した経路を学習して走行パターンを抽出したり、交通情報などを用いて最適経路をユーザに提示して提案したりする。
【0013】
ECU1は、エネルギー情報取得部5、ナビゲーションシステム8、エネルギーマネジメントシステム7、モータ制御部6、エンジン制御部10などを備えており、ナビゲーションシステム8には最適経路探索部11が設けられている。
そして、ECU1には、周辺機器として、通信部2、バッテリセンサ3、燃料センサ4、地図DB9などが接続している。
【0014】
通信部2は、例えば、携帯電話、無線LAN(Local Area Network)、PLC(Power Line Communications)、光ビーコン、FM(Frequency Modulation)などの通信モジュールであって、インターネットやその他の通信ネットワークを介してサーバ装置に接続し、ECU1が外部のサーバ装置と通信を行う際のインターフェースを提供する。
通信部2は、ナビゲーションシステム8が、外部のサーバ装置から渋滞情報、工事情報、事故情報といった交通情報や、登坂路の配置(勾配情報)、信号機の有無などの地理情報を収集する際に、通信の中継を行う。
【0015】
バッテリセンサ3は、バッテリの充電状態(SOC値:State of Charge)を監視し、エネルギー情報取得部5に送信する。
燃料センサ4は、燃料タンクの燃料の容積を検知する燃料メータであって、検知した燃料の量をエネルギー情報取得部5に送信する。
【0016】
地図DB9は、ノードやノードを連結するリンクで構成されたルート検索用の地図や、ユーザに表示するための地図などが格納されている。
地図DB9は、ナビゲーションシステム8が、現在地に対応するノードから目的地に対応するノードへのリンクの連結を辿ることにより、現在地から目的地への経路を探索したり、あるいは最適経路を探索したりする際に必要な情報を提供する。
また、登坂路や信号機の有無などの情報も記憶されており、ナビゲーションシステム8は、地図DB9からも地理情報を取得することができる。
本実施の形態では、地図DB9の地図データは、ナビゲーションシステム8により外部サーバの地理情報によって定期的に最新データに更新されるようになっている。
【0017】
エネルギー情報取得部5は、バッテリセンサ3、燃料センサ4と、エネルギーマネジメントシステム7を接続するインターフェースであって、エネルギーマネジメントシステム7がバッテリの充電量、燃料の量など、モータやエンジンを制御する上で必要な情報を収集する際に、エネルギーマネジメントシステム7と、バッテリセンサ3、燃料センサ4との仲介を行う。
また、エネルギー情報取得部5は、バッテリセンサ3や燃料センサ4の出力値がアナログ信号であった場合に、これをデジタル信号に変換することも行う。
【0018】
ナビゲーションシステム8は、走行データ(現在地、時刻、車速、アクセル開度(要求駆動力を示す)などから構成されている)を取得してエネルギーマネジメントシステム7に出力したり、出発地と目的地の設定、学習した経路の取得、最適経路の探索、経路の案内などを行う。
【0019】
ナビゲーションシステム8は、ユーザが走行した走行履歴(経路と走行データなどからなる)を記憶する機能を有しており、走行履歴から走行パターンを抽出することにより、ユーザが反復して走行する経路(いつも通る経路)を学習するようになっている。
以下、このようにユーザが習慣的に反復して走行する経路を反復経路と呼ぶことにする。
即ち、反復経路とは、走行履歴において、一定の統計的な優位性を持って頻繁に発生する走行経路であり、統計的な処理によって走行履歴から抽出されるものである。そして、この統計的な優位性を見出す処理を学習と呼ぶことにする。
但し、統計的な優位性を持って頻繁に発生する走行経路だけでなく、過去に所定回数(n回、例えば2回、5回…)以上走行した走行経路を反復経路としてもよい。
【0020】
なお、本実施の形態では、ナビゲーションシステム8は、学習により走行パターンを抽出して反復経路を取得するが、ユーザが予め手動で設定し、ナビゲーションシステム8がこれを記憶するように構成することもできる。
【0021】
ナビゲーションシステム8は、ユーザが、例えば、始動スイッチをオンにするなど、ハイブリッド車両を操作すると、これを過去の走行パターンと照合し、この操作が行われているものがあるか確認する。
そして、同じ操作が行われているものがあった場合は、当該走行パターンおける目的地をこれからユーザが向かおうとしている目的地と推測し、当該走行パターンにおける経路(即ち、反復経路)をこれからユーザが走行するであろうと推測する。
そして、ナビゲーションシステム8は、自動的に、当該目的地と反復経路を今回の走行の目的地、及び走行経路に設定する。
【0022】
例えば、ユーザが火曜日の午前8時に住所A(自宅)においてハイブリッド車両の始動操作をしたとする。
この場合、ナビゲーションシステム8は、操作の種類(始動操作)、日時(火曜日の午前8時)をキーとして走行履歴を検索し、走行履歴から、月曜日から金曜日までは、午前8時に住所A(自宅)を出発して、リンク○○とノード○○を経由して午前8時30分に住所B(会社)に到着する、といったような、一定の統計的な優位性を有する走行パターンを抽出する。そして、ナビゲーションシステム8は、住所Bを目的地に設定し、リンク○○とノード○○を経由する経路を反復経路として取得する。
【0023】
なお、以上は、目的地と反復経路を自動設定する場合であるが、ユーザが、月曜日から金曜日までは、午前8時に自宅を出発して会社に向かい、経路はこのルートを用いる、といったような情報を予めナビゲーションシステム8に入力するなど、目的地と反復経路を手動にて入力することも可能である。
【0024】
更に、ナビゲーションシステム8は、現在の交通情報を外部のサーバ装置から受信し、最適経路探索部11によって、目的地までの最適経路を探索する機能を有する。
ここで、最適経路とは、交通情報や地理情報を勘案した上で、現在地から目的地に至るまでの燃料消費量が最小となる経路である。
ナビゲーションシステム8は、最適経路の探索を、目的地を設定した後も、目的地に到着するまで走行中も随時行う。
【0025】
そして、ナビゲーションシステム8は、ユーザがこれから反復経路を走行しようとする際や走行中に、最適経路を検索して提示するが、反復経路の場合はユーザが燃費が悪いと認識した上でその経路を好んで走行している場合もあるため、次のように動作する。
まず、1回目に、ユーザが反復経路を走行しようとする場合、ナビゲーションシステム8は、これが最適経路か確認し、最適経路でなかった場合は、「こちらのルートの方が燃費がよくなりますが、どちらを選択しますか?」などと、最適経路と反復経路の選択をユーザに提示する。
【0026】
そして、ナビゲーションシステム8は、ユーザが選択した経路を反復経路に設定する。ここで、ユーザが最適経路を選択した場合、ナビゲーションシステム8は、以降は、最適経路を反復経路として自動的に設定する。
また、始動の度に何度も提示するとユーザに迷惑であるため、2回目以降は、例えば月に1回など時折提示する。
【0027】
また、ナビゲーションシステム8は、ユーザが反復経路を走行しようとする際に、あるいは走行中に、交通情報を受信して解析し、反復経路を通常通り走行できるか否かをリアルタイムで判断する。
そして、渋滞、工事、事故など、通常通りの円滑な走行を阻害する事象が発生している場合、「いつもの道は渋滞中です。こちらのルートの方が燃費がよくなりますが、どちらを選択しますか?」などと、ユーザに提示する。そして、ナビゲーションシステム8は、ユーザが選択した経路を案内する。
【0028】
最適経路探索部11は、現在地から目的地に至るまで、燃料消費量が最小となる経路を探索し、探索された経路を最適経路として出力する。
最適経路探索部11は、最適経路の探索を、交通情報、地理情報などを用いて行う。
より詳細には、最適経路探索部11は、例えば、次のようにして最適経路を探索する。
まず、最適経路探索部11は、現在地から目的地に至るノードとリンクの連なりを検索することにより、目的地に至ることができる経路を検索する。
【0029】
そして、最適経路探索部11は、検索された各経路に対して、例えば、経路の長さ、推測される走行速度(渋滞、工事、事故、信号機など考慮したもの)、要求される駆動力(登坂路などを考慮したもの)などから、経路を通過するのに要する燃料消費量を算出し、これが最小となる経路を最適経路として特定する。
【0030】
なお、経路を走行するのに要する燃料消費量を計算する場合には、更に、過去の走行データを参照することもできる。
例えば、ある時間帯にある経路を走行した場合の走行データが走行履歴にある場合、この走行データによって、その時間帯にその経路を走行する場合の走行データを推測することができる。
【0031】
エネルギーマネジメントシステム7は、モータとエンジンの駆動を制御するシステムであり、ナビゲーションシステム8からの指令に基づいてモータとエンジンの駆動分配を行う。
エネルギーマネジメントシステム7は、例えば、ナビゲーションシステム8から、前方に下り坂が存在するといった情報を得て、その下り坂での回生電力を最大限充電できるように、下り坂に到達する前にモータを駆動してバッテリを消費しておくなど、これから走行する経路の状況を先読みし、最も燃費がよくなるようにモータとエンジンの駆動力を分配する。
【0032】
モータ制御部6は、エネルギーマネジメントシステム7から指定された要求駆動力をモータに発生させるようにモータ電流を制御する。
エンジン制御部10は、エネルギーマネジメントシステム7から指定された要求駆動力をエンジンに発生させるように、燃料の供給などを制御する。
【0033】
次に、ナビゲーションシステム8がハイブリッド車両を案内する方法について説明する。
図2は、出発地61から目的地62に至るまでの経路を示した図である。
経路51、55は、反復経路であり、ユーザが出発地61から目的地62に向かう際にいつも通る道である。
ユーザが出発地61から目的地62に出発しようとする場合、ナビゲーションシステム8は、走行履歴から走行パターンを抽出して、経路51、55を経由して目的地62に向かうものと推測する。
そこで、ナビゲーションシステム8は、目的地62を目的地に設定し、経路51、55を反復経路に設定する。
【0034】
ナビゲーションシステム8は、このようにして反復経路を取得すると、交通情報を外部のサーバ装置から交通情報を受信し、これを参照して反復経路での交通状態を調べる。
その結果、経路51で渋滞65が発生し、経路55で事故66が発生していたとする。
すると、ナビゲーションシステム8は、当日発生している円滑な交通を妨げる事象をも考慮して、反復経路を走行するのに要する燃料消費量を計算する。
燃料消費量が所定の閾値以内である場合、ナビゲーションシステム8は、反復経路を案内する。
このように閾値を設定したのは、交通事情は日々変化するものであり、頻繁に反復経路から最適経路への変更をユーザに提示すると、ユーザにとって煩わしいからである。
【0035】
一方、燃料消費量が所定の閾値よりも多い場合、ナビゲーションシステム8は、最適経路探索部11に、経路51〜経路55の組み合わせの全てについて、燃料消費量が最小となるような最適経路を探索させる。
最適経路探索部11は、ナビゲーションシステム8からの指令により、最適経路を探索する。
更に、最適経路探索部11は、(経路51、経路53)、(経路51、経路54)、(経路51、経路55)、(経路52、経路53)、(経路52、経路54)、(経路52、経路55)の経路の各組み合わせについて燃料消費量を計算する。
【0036】
この計算に関しては、経路51で現在発生している渋滞65、経路53に設置されている3台の信号機71、71、71、経路54に存在する急な登坂路67と信号機71、経路55で現在発生している事故66などを交通情報や地理情報から得て、これらによる影響も含めて計算する。
そして、最適経路探索部11は、最も燃料消費量が少ない経路、例えば(経路52、経路54)を最適経路として出力する。
【0037】
ナビゲーションシステム8は、最適経路探索部11で最適経路が計算されると、これをユーザに提示し、ユーザが最適経路を選択した場合は最適経路を案内し、ユーザが最適経路を選択しなかった場合は、反復経路を案内する。
そして、ナビゲーションシステム8は、ユーザを案内する経路に関する情報をエネルギーマネジメントシステム7に伝達し、エネルギーマネジメントシステム7は、これを用いてエネルギー効率がよくなるようにモータとエンジンを制御する。
【0038】
また、ナビゲーションシステム8は、ハイブリッド車両が走行中であっても、所定時間間隔(例えば、30秒間隔)で、最適経路探索部11に最適経路を探索させる。
例えば、ハイブリッド車両が反復経路(経路51、55)のうち、経路51を走行中に経路55で事故66が発生したとする。
この場合、最適経路探索部11は、現在地から経由可能な経路の組み合わせを生成し、上と同様にして最も燃料消費量が少ない経路を最適経路として出力する。
この場合、最適経路探索部11は、経由可能な経路53、54、55から燃料消費量が最も少ない経路を選択する。
【0039】
最適経路探索部11が、経路54を最適経路とした場合、ナビゲーションシステム8は、ハイブリッド車両が最適経路への分岐点である交差点68にさしかかる手前で、「前方で事故が発生しています。こちらのルートの方が燃費がよくなりますが、どちらを選択しますか?」などと、ユーザに最適経路の案内を行う。そして、ユーザが最適経路を選択した場合、ナビゲーションシステム8は、最適経路を案内し、選択しなかった場合は反復経路を案内する。
【0040】
以上に説明した本実施の形態では、ナビゲーションシステム8は、反復経路での燃料消費量が所定の閾値以内である場合、反復経路を案内するように構成したが、これに限定せず、例えば、閾値の設定を設けず、ユーザが反復経路を走行しようとする際には、毎回最適経路を提示するように構成することもできる。
【0041】
次に、図3のフローチャートを用いて、ナビゲーションシステム8が最適経路を提示する手順について説明する。
まず、ユーザがハイブリッド車両を始動するとナビゲーションシステム8は、ユーザの操作から得られる情報(ユーザの操作による始動時刻、現在地、曜日など)を走行パターンと照合し、一致する走行パターンから目的地を推測して取得する(ステップ5)。
一致する走行パターンがなく、目的地が取得できなかった場合(ステップ10;N)、ナビゲーションシステム8は、最適経路の提示はせずに通常の案内を行う。
【0042】
一方、目的地が取得できた場合(ステップ10;Y)、ナビゲーションシステム8は、一致した過去の走行パターンから反復経路を取得する(ステップ15)。
このように、ナビゲーションシステム8は、出発地から目的地に向けて反復して走行する反復経路を取得する反復経路取得手段を備えている。
【0043】
次に、ナビゲーションシステム8は、外部のサーバ装置から現在地周辺の現在の交通情報を取得する(ステップ20)。このようにナビゲーションシステム8は、現在の交通状況を取得する交通状況取得手段を備えている。
これを用いて、ナビゲーションシステム8は、まず、反復経路での燃料消費量を計算する。
【0044】
そして、ナビゲーションシステム8は、この燃料消費量が所定の閾値以内であった場合(ステップ25;Y)、反復経路を案内する(ステップ55)。
一方、燃料消費量が所定の閾値よりも多い場合(ステップ25;N)、ナビゲーションシステム8は、最適経路を探索する(ステップ30)。
このように、ナビゲーションシステム8は、出発地から出発する際に、最も燃費のよい最適経路を探索する探索手段を備えている。
【0045】
そして、ナビゲーションシステム8は、反復経路での燃料消費量と最適経路での燃料消費量を比較し、差分がない場合(ステップ35;N)、反復経路を案内する(ステップ55)。
一方、反復経路と最適経路で燃料消費量に差分がある場合(ステップ35;Y)、ナビゲーションシステム8は、ユーザに最適経路の案内を提示する(ステップ40)。
このように、ナビゲーションシステム8は、探索した最適経路の方が反復経路よりも燃費がよい場合に、反復経路よりも燃費のよい最適経路があることを提示する提示手段を備えている。
【0046】
なお、反復経路と最適経路で燃料消費量に差分がない場合とは、反復経路と最適経路が一致するか、若しくは、反復経路と最適経路は異なるが燃料消費量が一致する場合である。実際上は、殆どの場合は前者となる。
また、反復経路と最適経路で燃料消費量に差分がある場合とは、反復経路と最適経路が異なる場合である。
【0047】
ナビゲーションシステム8は、提示の結果、ユーザからの最適経路の指定がなかった場合(ステップ45;N)、反復経路を案内する(ステップ55)。
一方、提示の結果、ユーザからの最適経路の指定を受け付けた場合(ステップ45;Y)、ナビゲーションシステム8は、最適経路を案内する(ステップ50)。
【0048】
このように、ナビゲーションシステム8は、提示した最適経路を案内するか否かの選択をユーザから受け付ける選択受付手段と、提示した最適経路の案内がユーザによって選択された場合に、当該最適経路での走行を案内する案内手段を備えている。
【0049】
ナビゲーションシステム8は、最適経路を案内しながら(ステップ50)、あるいは反復経路を案内しながら(ステップ55)、所定時間間隔ごとにハイブリッド車両が目的地に到着したか否かを確認し、目的地に到着していない場合は(ステップ60;N)、ステップ20に戻り、目的地に到着した場合は(ステップ60;Y)、案内処理を終了する。
【0050】
以上、本実施の形態について説明したが、これによって次のような効果を得ることができる。
(1)ユーザがいつもの道でいつもの目的地に向かう場合、ハイブリッド車両は、これを検知して、更に燃費のよい最適経路が存在することをユーザに通知することができる。
(2)ユーザがいつもの道でいつもの目的地に向かう場合、ハイブリッド車両は、交通情報などを用いて、この経路に円滑な走行を阻害する事象が発生していないか確認し、何らかの事象が発生している場合は、ユーザに他の最適経路を提示することができる。
(3)ハイブリッド車両は、反復経路での燃料消費量が所定の閾値以上となる場合に最適経路を提示するため、ユーザを必要以上に煩わすことがない。
(4)目的地に走行している途上であっても、ハイブリッド車両は、最適経路を探索して提示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】ECUの構成を模式的に示したブロック図である。
【図2】出発地から目的地に至るまでの経路を示した図である。
【図3】最適経路の提示手順を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0052】
1 ECU
2 通信部
3 バッテリセンサ
4 燃料センサ
5 エネルギー情報取得部
6 モータ制御部
7 エネルギーマネジメントシステム
8 ナビゲーションシステム
9 地図DB(データベース)
10 エンジン制御部
11 最適経路探索部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンとモータによって駆動力を発生するハイブリッド車両のナビゲーション装置であって、
出発地から目的地に向けて反復して走行する反復経路を取得する反復経路取得手段と、
前記出発地から前記目的までの、最も燃費のよい最適経路を探索する探索手段と、
前記探索した最適経路の方が前記取得した反復経路よりも燃費がよい場合に、反復経路よりも燃費のよい最適経路があることを提示する提示手段と、
を具備したことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
現在の交通状況を取得する交通状況取得手段を具備し、
前記探索手段は、前記取得した交通状況を用いて最適経路を探索することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記探索手段は、前記反復経路を走行している間も、現在地から目的地に至る最も燃費のよい最適経路を探索し、
前記提示手段は、走行している間に前記探索手段が最適経路を探索した場合は、前記反復経路よりも燃費のよい最適経路があることを提示することを特徴とする請求項1、又は請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記提示した最適経路を案内するか否かの選択を受け付ける選択受付手段と、
前記選択受付手段にて前記提示した最適経路の案内が選択された場合に、当該最適経路での走行を案内する案内手段と、
を具備したことを特徴とする請求項1、請求項2、又は請求項3に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記探索手段は、前記反復経路での燃料消費量が所定の閾値以上になる場合に、前記最適経路を探索することを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1の請求項に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
モータとエンジンを用いて駆動し、請求項1から請求項5のうちのいずれか1の請求項に記載のナビゲーション装置を搭載したハイブリッド車両であって、
前記ナビゲーション装置から現在地から目的地までの経路を取得する経路取得手段と、
前記取得した経路に沿って、前記モータと前記エンジンの駆動分配を計画する計画手段と、
前記計画に従って前記モータと前記エンジンを駆動する駆動手段と、
を具備したことを特徴とするハイブリッド車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−249588(P2008−249588A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−93043(P2007−93043)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】