説明

ナビゲーション装置及びその方法並びにプログラム

【課題】 経由地の情報を検索して、この経由地情報に基づいて経由地を指定することにより、高い満足感をユーザに与えることができる高品位なナビゲーション装置及び方法並びにプログラムを提供する。
【解決手段】 出発地範囲、目的地範囲および経由地に関する条件の組み合わせを備えた複数の経由地候補を格納する経由地情報格納部45を有する。経由地情報格納部45に格納した経由地候補の中から、前記出発地指定部41が取得した出発地が出発地範囲内にあり、前記目的地指定部42が取得した目的地が目的地範囲内にあり、かつ、前記検索条件指定部46が取得したユーザの希望する条件に該当する検索条件を有する経由地を、経由地検索部47により検索する。経由地検索部47が取得した経由地と、出発地指定部41が取得した出発地および目的地指定部42が取得した目的地に基づいて、誘導経路探索部43が経路探索を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザの希望する条件を備えた経由地を指定して経路誘導を行うことのできるナビゲーション装置、方法並びにプログラムに関するものであって、特に、ユーザの好みにあった経由地を検索するに当たって、設定された出発地と目的地の組み合わせにマッチする経由地のみを取り出すことにより、経路誘導上の経由地として無理がなく、しかも、ユーザの好みを満足することのできるナビゲーション技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、車載用をはじめとするナビゲーション装置では、CD−ROM等の記憶媒体に記録された地点のデータベース、あるいはユーザが任意に選択する地図上の地点から地点検索を行い、所望の目的地を指定する。そして、現在地として自車位置を検出し、自車位置を出発地として目的地に至るまでの誘導経路を探索する。また、目的地までの途中に寄る経由地を指定することも行われており、この場合には出発地から経由地を経由して目的地に至るまでの誘導経路を探索する。
【0003】
誘導経路の探索に際しては、CD−ROM等の記憶媒体から道路データなどを読み出しながら、ダイクストラ法などの経路探索アルゴリズムを使って経路探索を行い、検出された自車位置から指定された目的地まで(経由地を指定した場合には自車位置から経由地まで、更には経由地から目的地まで)の経路を前記道路データに基づいて計算し、経路データを作成している。
【0004】
経路データが決定された後は、目的地に向かう誘導経路及び自車位置を表示器に重ねて表示し、前記経路データに基づいて誘導経路を案内し、併せてスピーカからの合成音声によって方向誘導を行う。このようなナビゲーション装置を用いることにより、ユーザは誘導経路を辿って迷うことなく出発地から目的地まで確実に達することができる。
【0005】
このようなナビゲーション装置は車載用の装置として広く普及しており、それに伴ってナビゲーション装置に対するユーザニーズも多様化している。したがって、これに対応するよう様々なタイプのナビゲーション装置が開発、提案されている。例えば、出発地−経由地−目的地のルートを単純に計算して誘導経路を表示するだけではなく、一般道を経由するとか有料道を経由するというように経由地についてユーザに選択の余地を与えたり、経由地に関する情報に応じて計算するルートを変更するような技術も提案されている。
【0006】
特許文献1に記載の技術は、このような経由地に関する情報をルート選択時に考慮するようなナビゲーション装置の一例である。すなわち、誘導経路の探索に際して、フェリー航路の時刻表データといった経由地に関する情報を、通信によって取得するようにしたものである。この技術によれば、誘導経路上に通過時刻の制約を受ける経由地が存在した場合でも、通信によって経由地に関する情報を取得できるので、常に最新のデータに基づいて正確な誘導経路を計算することが可能である。
【特許文献1】特開2000−180195号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、前記特許文献1の技術も含めて、従来のナビゲーション装置では、目的地を指定した後に誘導経路を計算する場合、距離にせよ所要時間にせよ、最短となる誘導経路を求めるようになっている。つまり、たとえ経由地情報を考慮するようなタイプのナビゲーション装置であっても、道路ネットワーク(重み付き有向グラフ)の最短経路を求めることが経路探索の主眼となっている。しかしながら現実には、理論的な最短経路がユーザにとって最も望ましい誘導経路になるとは限らない。
【0008】
すなわち、ユーザが観光目的で訪れる場所では、出発地から目的地まで最短経路で着くことに意味がある訳ではなく、訪れたい場所を経由しながら目的地まで着くようにした方が観光の楽しみが深まることになる。また、たとえ観光でなくても、距離的にも時間的にも大差がないのならば、途中の経由地がユーザの好みにあった誘導経路の方を選択する方が自然である。
【0009】
このように、ユーザにとって、最短経路を走ることよりもむしろ、どのような経由地を通って目的地に達するのかといったことを優先させたい場合がある。そこで、経由地に関しては、様々な観点から選べるに越したことはなく、単に経由地の物理的な位置情報に留まらず、経由地の景観の良し悪し(景観の概要や見ごろも含めて)、経由地にある施設情報、経由地に至るまでの料金等、詳しい情報の取得が望まれていた。
【0010】
本発明は、以上の課題を解消するために提案されたものであり、その第1の目的は、ユーザの好みに合った条件で経由地を検索し、地域特性やユーザの心理面に十分に配慮して高い満足感をユーザに与えることができる高品位なナビゲーション装置、方法並びにプログラムを提供することにある。
また、本件発明の第2の目的は、ユーザの好みにあった複数の経由地が検索された場合には、これらの経由地を表示装置上に提示し、ユーザが希望する経由地を選択することができるようにして、よりユーザの希望に沿った経由地を決定することができるナビゲーション装置方法並びにプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した目的を達成するために、請求項1の発明は、ユーザの指定もしくは車両の現在位置に基づいて出発地を取得する出発地指定部と、ユーザの指定する目的地を取得する目的地指定部と、経由地に関してユーザが希望する条件を取得する検索条件指定部と、前記出発地から前記条件に適合した経由地を経由して前記目的地に至るまでの誘導経路の探索を行う誘導経路探索部とが設けられたナビゲーション装置において、出発地範囲、目的地範囲および経由地に関する条件の組み合わせを備えた複数の経由地候補を格納する経由地情報格納部と、前記経由地情報格納部に格納した経由地候補の中から、前記出発地指定部が取得した出発地が出発地範囲内にあり、前記目的地指定部が取得した目的地が目的地範囲内にあり、かつ、前記検索条件指定部が取得したユーザの希望する条件に該当する検索条件を有する経由地を検索する経由地検索部と、前記経由地検索部が取得した経由地と、前記出発地指定部が取得した出発地および前記目的地指定部が取得した目的地に基づいて、前記誘導経路探索部が経路探索を行うことを特徴とする。
【0012】
請求項9の発明は、請求項1の発明を方法の観点から捉えたものであり、コンピュータ上に、ユーザの指定もしくは車両の現在位置に基づいて出発地を取得する出発地指定部と、ユーザの指定する目的地を取得する目的地指定部と、経由地に関してユーザが希望する条件を取得する検索条件指定部と、出発地範囲、目的地範囲および経由地に関する条件の組み合わせを備えた複数の経由地候補を格納する経由地情報格納部と、前記出発地から前記条件に適合した経由地を経由して前記目的地に至るまでの誘導経路の探索を行う誘導経路探索部を実現して成るナビゲーション装置を利用して誘導経路の探索を行うナビゲーション方法において、
前記出発地指定部により出発地を取得する出発地指定ステップと、前記目的地指定部により目的地を取得する目的地指定ステップと、前記検索条件指定部により経由地に関するユーザの指定する条件を取得する検索条件指定ステップと、前記経由地情報格納部に格納された経由地候補の中から、取得した出発地が出発地範囲内にあり、取得した目的地が目的地範囲内にあり、かつ、取得したユーザの希望する条件に該当する検索条件を有する経由地を検索する経由地検索ステップと、前記経由地検索ステップにおいて検索した経由地と、前記取得した出発地および目的地に基づいて、前記誘導経路探索部により経路探索を行う経路探索ステップを備えていることを特徴とする。
【0013】
さらに、請求項10の発明は、請求項1、9の発明に係るナビゲーション装置及びその方法に関してこれをプログラムの観点から捉えたものであり、コンピュータに、ユーザの指定もしくは車両の現在位置に基づいて出発地を取得する出発地指定機能と、ユーザの指定する目的地を取得する目的地指定機能と、経由地に関してユーザが希望する条件を取得する経由地条件指定機能と、出発地範囲、目的地範囲および経由地に関する条件の組み合わせを備えた複数の経由地候補を格納する経由地候補格納機能と、前記格納された経由地候補の中から、取得した出発地が出発地範囲内にあり、取得した目的地が目的地範囲内にあり、かつ、取得したユーザの希望する条件に該当する検索条件を有する経由地を検索する経由地検索機能と、前記出発地から前記検索条件に適合した経由地を経由して前記目的地に至るまでの誘導経路の探索を行う誘導経路探索機能を実現させることを特徴とする。
【0014】
以上の構成を有する請求項1、9、10の発明においては、経由地情報格納部に一定範囲の出発地と同じく一定範囲の目的地の組み合わせによる経由地候補を予め格納しておく。この経由地候補には、それぞれ景観がよい、温泉地を通る、良いレストランやガソリンスタンドなど所定の施設がある、舗装道路、片側二車線以上、夜間や冬季でも通行可能、スリップや積雪・濃霧などの危険性が少ない等の条件を設定しておく。
ユーザが出発地を入力するか、GPS装置を利用して取得した自車位置から出発地指定部が出発地を取得するとともに、ユーザ入力に従い目的地指定部が目的地を取得すると、経由地検索部は、前記経由地情報格納部に格納されている出発地と目的地の組み合わせの中から、取得した出発地が出発地範囲内にあり、取得した目的地が目的地範囲内にあるものを検索する。同時に、前記検索条件指定部が取得した条件、たとえば、ユーザが入力した「景観の良い道路」という条件に従って、各経由地候補が検索され、その中から条件に一致した経由地が抽出される。このようにして、経由地が抽出された後は、取得された出発地、検索された経由地および取得された目的地に従って経路誘導が行われる。
この場合、取得された出発地や目的地は通常のナビゲーション装置と同様に位置を示す座標として各指定部に入力されるが、格納されている各経由地候補の出発地および目的地は一定の範囲を有しているので、取得した出発地と目的地がその範囲に入っている経由地候補がすべて抽出される。その結果、出発地や目的地が多少異なる場合であっても、希望する経由地が抽出されるとともに、出発地と目的地を勘案して最短距離ではないがコースとしては無理のない(あまりにも遠回りにならない)経由地を通った経路誘導が可能となる。
【0015】
請求項2の発明は、請求項1に記載のナビゲーション装置において、前記経由地検索部が検索した経由地候補を表示する経由地候補表示部と、前記経由地候補表示部に表示された経由地候補の中からユーザが希望する経由地を取得する経由地指定部を備え、前記経由地指定部が取得した経由地と、前記出発地指定部が取得した出発地および前記目的地指定部が取得した目的地に基づいて、前記誘導経路探索部が経路探索を行うことを特徴とする。
【0016】
このような請求項2の発明によれば、検索された経由地候補が複数有る場合に、経由地候補表示部に複数の経由地候補が表示されるので、ユーザはその中から自分が希望する経由地を選択することができる。この場合、表示部に経由地に関する各種の情報も併せて表示することにより、経由地の選択をより容易に実施できる。
【0017】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載のナビゲーション装置において、前記経由地情報格納部に格納した前記経由地情報を検索するための検索条件を表示する検索条件表示部を備え、前記検索条件指定部が、検索条件表示部が表示した検索条件の中からユーザが指定した検索条件を取得するものであることを特徴とする。
このような請求項3の発明においては、あらかじめ用意したり、あるいは各経由地候補が有する条件を検索条件表示部に表示し、この表示された条件の中からユーザが検索条件を指定することが可能になり、検索条件の指定が容易になる。
【0018】
請求項4の発明は、請求項3に記載のナビゲーション装置において、検索条件表示部が、前記経由地情報格納部に格納した各経由地候補の中から、前記出発地指定部が取得した出発地が出発地範囲内にあり、前記目的地指定部が取得した目的地が目的地範囲内にある経由地候補を選択して、この選択された経由地候補が有する経由地に関する条件を表示するものであることを特徴とする。
請求項4の発明によれば、検索条件を出発地と目的地との条件に合った経由地から取り出して表示することができ、検索条件表示部は、出発地と目的地との間に存在しない経由地候補が有する条件を表示することがないので、ユーザにとって余分な条件の表示がなく、条件の選択を容易に実行できる。
【0019】
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載のナビゲーション装置において、前記出発地範囲と目的地範囲として、行政区分、経緯度方眼として予め定められたメッシュコード、任意に指定された範囲という情報のうち、いずれかの情報が用いられることを特徴とする。
上記請求項5の発明によれば、出発地と目的地がピンポイントではなく、有る程度の範囲として設定されているので、予め経由地情報格納部に格納する出発地と目的地および経由地の組み合わせが少なくてすみ、格納するデータ量の削減が可能となる。
【0020】
請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載のナビゲーション装置において、前記経由地情報格納部に格納した前記経由地候補が有する経由地に関する条件として複数のカテゴリが用意され、前記経由地検索部がこれら複数のカテゴリに属する条件を満足した経由地を検索することを特徴とする。
上記請求項6の発明においては、経由地を複数のカテゴリに属する条件によって検索し、抽出することができるので、ユーザの好みに加えて、走行時の季節、日時、天候など多種多様な条件の組み合わせにより、もっとも適した経由地を選定することが可能になる。
【0021】
請求項7の発明は、請求項6に記載のナビゲーション装置において、検索条件指定部が外部情報取得部を備え、前記経由地検索部が、前記外部情報取得部によってナビゲーション装置がユーザの指定によらず独自に取得したカテゴリに属する条件と、ユーザの指定に係るカテゴリに属する条件とに基づいて、該当する検索条件を有する経由地を検索することを特徴とする。
このような請求項7の発明によれば、日時や季節、天候などについては、特にユーザが入力することなく、ナビゲーション装置やナビゲーション装置を設置する車両等が有する外部情報取得部から自動的に取得される。その結果、通行止めの期間がある経由地や季節によっては景観が優れていない経由地のように、経由地として不適当な場所をユーザが意識することなく避けることが可能になる。
【0022】
請求項8の発明は、請求項1〜7のいずれか1項に記載のナビゲーション装置において、前記検索条件指定部は、前記経由地を複数指定可能であり、且つ経由する順番を指定するように構成されたことを特徴としている。
以上の請求項8の発明によれば、検索条件指定部が経由地を複数指定し、且つ経由する順番までも指定可能なので、ユーザの希望通りの誘導経路を求めることができる。
【0023】
請求項11の発明は、ユーザの指定もしくは車両の現在位置に基づいて出発地を取得する出発地指定部と、ユーザの指定する目的地を取得する目的地指定部と、前記出発地から前記条件に適合した経由地を経由して前記目的地に至るまでの誘導経路の探索を行う誘導経路探索部とが設けられたナビゲーション装置において、出発地範囲、目的地範囲および経由地に関する条件の組み合わせを備えた複数の経由地候補を格納する経由地情報格納部と、前記経由地情報格納部に格納した経由地候補の中から、前記出発地指定部が取得した出発地が出発地範囲内にあり、前記目的地指定部が取得した目的地が目的地範囲内にある経由地を検索する経由地検索部と、前記経由地検索部が検索した経由地候補を表示する経由地候補表示部と、前記経由地候補表示部に表示された経由地候補の中からユーザが希望する経由地を取得する経由地指定部を備え、前記経由地指定部が取得した経由地と、前記出発地指定部が取得した出発地および前記目的地指定部が取得した目的地に基づいて、前記誘導経路探索部が経路探索を行うことを特徴とする。
【0024】
請求項12の発明は、前記請求項11の発明を方法の観点からとらえたものであって、コンピュータ上に、ユーザの指定もしくは車両の現在位置に基づいて出発地を取得する出発地指定部と、ユーザの指定する目的地を取得する目的地指定部と、出発地範囲及び目的地範囲の組み合わせを備えた複数の経由地候補を格納する経由地情報格納部と、前記出発地から経由地を経由して前記目的地に至るまでの誘導経路の探索を行う誘導経路探索部を実現して成るナビゲーション装置を利用して誘導経路の探索を行うナビゲーション方法において、前記出発地指定部により出発地を取得する出発地指定ステップと、前記目的地指定部により目的地を取得する目的地指定ステップと、前記経由地情報格納部に格納された経由地候補の中から、取得した出発地が出発地範囲内にあり、取得した目的地が目的地範囲内にある経由地を検索する経由地検索ステップと、前記経由地検索ステップにおいて検索された経由地候補を表示する経由地候補表示ステップと、前記経由地候補表示ステップにおいて表示された経由地候補の中からユーザが希望する経由地を取得する経由地指定ステップと、前記経由地検索ステップにおいて検索した経由地と、前記取得した出発地および目的地に基づいて、前記誘導経路探索部により経路探索を行う経路探索ステップを備えていることを特徴とする。
【0025】
請求項13の発明は、前記請求項11の発明をプログラムの観点からとらえたものであって、コンピュータに、ユーザの指定もしくは車両の現在位置に基づいて出発地を取得する出発地指定機能と、ユーザの指定する目的地を取得する目的地指定機能と、出発地範囲、目的地範囲および経由地に関する条件の組み合わせを備えた複数の経由地候補を格納する経由地候補格納機能と、前記格納された経由地候補の中から、取得した出発地が出発地範囲内にあり、取得した目的地が目的地範囲内にある経由地を検索する経由地検索機能と、前記経由地検索機能により検索された経由地候補を表示する経由地候補表示機能と、前記経由地候補表示機能に表示された経由地候補の中からユーザが希望する経由地を取得する経由地指定機能と、前記出発地から前記検索条件に適合した経由地を経由して前記目的地に至るまでの誘導経路の探索を行う誘導経路探索機能を実現させることを特徴とする。
【0026】
このような構成を有する請求項11、請求項12及び請求項13の発明によれば、出発地と目的地とが出発地範囲と目的地範囲に属する経由地候補が経由地候補表示部にすべてリストアップされるので、ユーザはこの表示を参考にして自分の好みにあった経由地を選択することができる。
【発明の効果】
【0027】
以上述べたように、本発明のナビゲーション装置、方法及びプログラムによれば、出発地と目的地の組み合わせによる経由地候補を予め用意しておくことで、ユーザが希望する経由地を容易に選択することが可能になるので、地域特性やユーザの心理面に十分に配慮して誘導経路を決めることができ、高い満足感をユーザに与えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
続いて、本発明を実施するための最良の形態(以下「実施形態」という)について、図面を参照して具体的に説明する。なお、本実施形態は、周辺装置を備えたコンピュータをプログラムで制御することで実現できるが、この場合のハードウェアやプログラムの実現態様は各種変更可能であり、さらに地図データや経路計算のためのアルゴリズムに関しても適宜選択自由である。
【0029】
また、本発明はナビゲーション装置及び方法に加えて、上記プログラム、そのプログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体としても把握でき、このプログラムはナビゲーション装置に組み込まれたCPUや各種チップセットといった物理的な処理装置を活用することでこの発明の作用効果を実現する。
【0030】
[1.構成]
[1−1.全体の構成]
本実施形態の各要素について、図1の機能ブロック図を用いて説明する。各要素とは、絶対位置・方位検出部1と、相対方位検出部2と、車速検出部3と、ナビゲーション処理部4と、メモリ群Mと、出力部10と、入力部11と、ディスク制御部12と、FM多重受信及び処理部13である。
【0031】
このうち、絶対位置・方位検出部1は、GPS衛星から送られてくるGPS電波をアンテナやレシーバなどで受信することにより、本装置が搭載された車両の現在地である自車位置について地表での絶対的な位置座標や方位を計算する部分である。相対方位検出部2は、ジャイロセンサなどを使って自車の相対的な方位を検出する部分である。車速検出部3は、自車より得られる車速パルスを処理することで、自車の速度を計算する部分である。
【0032】
ナビゲーション処理部4は、本実施形態の装置全体を制御する制御回路の役割を果たす部分である。メモリ群MにはROM5、DRAM6、SRAM7、VRAM8が設けられている。このうち、ROM5は、BIOSやブートアッププログラムなどが予め格納されており、本装置の起動時にナビゲーション処理部4によってアクセスされる。DRAM6はワークエリアなどに使用される。また、SRAM7は不揮発性のメモリであり、自車のアクセサリ電源など本装置のメイン電源がオフになっている場合でも、電池などでバックアップされることでメモリ内容を保持するものである。VRAM8は、出力部10でビデオ表示を行うためのメモリである。
【0033】
出力部10は、探索された誘導経路や経由地の候補リスト等を画面に表示すると共に、表示された情報に関して誘導案内等の音声出力を行う部分である。入力部11は、リモコンやタッチパネル等を使ってユーザが命令や目的地、経由地等、さまざまな情報を本装置に入力するための部分である。ユーザインタフェース部9は、I/O制御回路やドライバなどを使って、出力部10及び入力部11と、ナビゲーション処理部4とを結ぶユーザインタフェースである。
【0034】
ディスク制御部12は、ナビゲーションプログラムや、交差点や道路を含む地図データ、交差点の拡大表示に使用される画像データや指示マークに使用される画像データ等の各種データを、ハードディスクやCD−ROM等のディスクに記録されたデータベースから読み出す手段である。FM多重受信及び処理部13は、複数のアンテナを受信状態に応じて切り換えることで、ラジオのFM放送波を受信し、この放送波からVICS情報を取得する部分である。
【0035】
[1−2.ナビゲーション処理部]
前記ナビゲーション処理部4は、従来のナビゲーション装置においても採用されていた自車位置特定部40、出発地指定部41、目的地指定部42、誘導経路探索部43、案内制御部44と、本発明の基本的な構成である経由地情報格納部45、検索条件指定部46、経由地検索部47と、本実施形態に特有の構成である外部情報取得部48、検索条件表示部49、経由地候補表示部50、経由地指定部51とから成る。
【0036】
このうち、自車位置特定部40は、GPS航法測位と自律航法測位とを組み合わせることで自車位置を逐次計算し、自車位置を特定するための手段である。出発地指定部41は、前記自車位置特定部40により得られた自車の位置やユーザの入力した地名、施設、ランドマークなどの位置を出発地として取得するものであり、目的地指定部42はユーザの入力した地名、施設、ランドマークなどにしたがって目的地の位置を取得するものである。
【0037】
誘導経路探索部43は、ディスク制御部12を使ってCD−ROM等のディスクから道路データ等を読み出しながら、ダイクストラ法等の経路探索アルゴリズムを使って経路探索を行い、出発地指定部41が取得した位置から、後述する処理によって得られた経由地を経由して、前記目的地指定部42にて指定された目的地までの誘導経路を、前記地図データに基づいて計算することで、誘導経路を表す経路データを作成する部分である。
【0038】
案内制御部44は、出力部10であるディスプレイに案内する道路、その周辺の地図、ランドマーク、自車位置などを表示したり、合成音声の併用などにより誘導案内音声をスピーカから出力するための制御手段である。
【0039】
[1−3.本発明の特徴的な部分]
次に、本発明の基本的な構成である経由地情報格納部45、検索条件指定部46、経由地検索部47、および本実施形態に特有な外部情報取得部48、検索条件表示部49、経由地候補表示部50、経由地指定部51について説明する。
【0040】
前記経由地情報格納部45は、出発地範囲、目的地範囲および経由地に関する条件の組み合わせを備えた複数の経由地候補を格納するものである。
【0041】
図2は、この経由地情報格納部45に格納されている各経由地候補(図中名称として記録されているA有料道路、B有料道路……L峠、M大橋など)に関する情報内容の一例である。各経由地候補が有する出発地範囲及び目的地範囲に関する情報は、行政区分、経緯度方眼として予め定められたメッシュコード、任意に指定された範囲のうち、いずれかの形式で記録されているものであって、図2の例では、出発地範囲と目的地範囲について四角形の範囲の対角頂点を定義するデータ(自車位置範囲左下x座標、自車位置範囲左下y座標、自車位置範囲右上x座標、自車位置範囲右上y座標、目的地範囲左下x座標、目的地範囲左下y座標、目的地範囲右上x座標、目的地範囲右上y座標、)が格納されている。
【0042】
経由地に関する条件は、本実施形態では、複数のカテゴリを有しており、経由地の種別(道路、橋、並木、峠など)、開始時期、終了時期、天候が用意されている。また、経由地が選択された場合に経路誘導に利用するための経由地点x座標と経由地点y座標、および各経由地が有するガイド情報、各経由地の写真等の画像データが用意されている。
【0043】
なお、この経由地情報格納部45には、図2のように経由地そのものの座標を格納しておいても良いし、このナビゲーション装置の地図データに記録されている地名や施設名、ランドマークなどを各経由地名として格納しておき、経由地が決定された後は、対応する座標を地図データから読み出しても良い。結果的に、誘導経路探索部43が経由地を通らするルートを決定するにあたり、経由地の位置(座標)を取得できればよいので、経由地そのものの位置はどこに格納しておいても良い。
【0044】
経由地情報格納部45に格納する各経由地のデータは、ハードディスクやCD−ROM等のディスクに記録されたデータベースから取得したり、あるいはインターネットその他の通信により配信されるものでも良い。
【0045】
この経由地情報格納部45に記録する経由地情報は、図2に限定されるものではなく、図3のようなものであっても良い。すなわち、図3では、出発地範囲及び目的地範囲は緯度及び経度による矩形領域にて規定され、経由地に関する条件としては、経由地点の座標、経由地の表示名称(奥多摩周遊道路や東京湾アクアライン)に加えて、経由地に関する特徴等の条件を記述したカテゴリ情報、経由地の概要を説明するガイド情報が格納されている。
【0046】
前記図3において、カテゴリ情報としては、たとえば、奥多摩周遊道路には経由地の「景観が良い」という条件が、東京湾アクアラインには該経由地が「最短経路」上に位置するという条件がが格納されている。また、出発地範囲及び目的地範囲を規定する矩形領域は、緯度及び経度を4段で示しているが、一段目の緯度が矩形領域における左上のy座標、二段目の経度が左上のx座標、三段目の緯度が右下のy座標、四段目の経度が右下のx座標を示している。また、出発地の矩形領域を「指定無し」とした場合には出発地はどこでも良いことを示している。
【0047】
さらに、図4は、前記経由地情報格納部45に記録する経由地情報の中で、出発地範囲と目的地範囲とを図3のように座標で指定する代わりに、行政区画によって指定した例である。
【0048】
検索条件表示部49は、経由地情報格納部45に格納されている各経由地候補の有する条件中から、ユーザが選択することのできる条件を表示するものである。この検索条件表示部49としては、予め用意されたいくつかの条件(たとえば、景観の良い道路、冬季でも通行可能な道路、良いレストランのある道路など)を常に提示するものであっても良いし、経由地情報格納部45に格納されている各経由地が有する条件をすべて検索し、その中から一定の基準で選択された条件のみを表示するものでも良い。
【0049】
たとえば、ユーザによる出発地と目的地との入力前に表示するものであれば、すべての経由地の条件中の上位何件かを表示したり、後述する外部情報取得部から取得した年月日や時刻などから判断して、経由するには不適切な経由地を除外した残りの経由地が有する条件のみを抽出して表示することができる。また、出発地と目的地が入力された後に表示するものであれば、入力された出発地と目的地が前記出発地範囲と目的地範囲に属する経由地が有する条件のみを表示することできる。この場合は、表示された条件の中から希望する経由地条件を選択した場合に、必ず該当する経由地が抽出されるという利点がある。
【0050】
検索条件指定部46は、検索条件表示部49が表示した検索条件の中からユーザ指示により入力部11からの入力を受けて検索条件を取得するものである。この場合、本実施形態では、検索条件指定部46は、「検索条件なし:経由地の検索を行わない」という設定を取得することができるように構成されている。この設定は、図5に述べる検索条件の入力画面から行っても良し、前記目的地指定部42において、目的地の指定に引き続いて、経由地検索の有無をユーザに入力させるように構成しても良い。
【0051】
図5は表示された検索条件を選択操作する場合の出力部10の画面イメージの一例である。ここでは、検索条件として、前述した図3におけるカテゴリ情報である「景観良」と「最短経路」などの検索データが選択キーK1上に一覧表示される。さらに画面右下には決定キーK2及びキャンセルキーK3が並んで配置されている。これらのキーは全てタッチパネル上のキーであり入力部11を構成する。すなわち、ユーザは、表示された検索条件の中から選択キーK1のいずれかを押すことで検索条件を選び(反転表示となる)、決定キーK2を押すことで選んだ検索条件を決定する。このユーザの入力動作を受けて、検索条件指定部46は、検索すべき条件を取得する。
【0052】
前記検索条件指定部46において、ユーザから取得する検索条件を複数とすることも可能であり、また、異なる種類の検索データであれば各経由地が複数の検索データを持つようにしても良く、検索データが複数ある場合、いずれかを先に検索しても良いし、同時に実行しても良い。また、andやorで連結しても良い。さらに、前記検索条件指定部46は、前記のように表示された検索条件を取得するもの以外に、ユーザが直接検索条件に該当する用語を入力することにより、条件を取得するものでも良い。
【0053】
この検索条件指定部46は、前記のようなユーザの入力による検索条件の取得に加え、外部情報取得部48から入力された種々の条件も検索条件として取得するものである。すなわち、外部情報取得部48は、年月日、時刻、温度、気圧、ワイパーの自動運転装置に設けられた雨滴の検出用センサ、VICSのその他の交通情報などのデータを取得し、この取得したデータを検索条件として検索条件指定部46に出力するものである。すなわち、本実施形態では、ユーザの入力による条件の取得に加えて、外部情報取得部48によって自動的に取得した(あるいはユーザに意識させることなく取得した)データを条件として、適切な経由地を検索できる。
【0054】
経由地検索部49は、前記経由地情報格納部45に格納されている出発地範囲と目的地範囲の組み合わせの中から、取得した出発地が出発地範囲内にあり、取得した目的地が目的地範囲内にあるものを検索する。同時に、前記検索条件指定部46が取得した条件、たとえば、ユーザが入力した「景観の良い道路」という条件に従って、各経由地候補が検索され、その中から条件に一致した経由地が抽出される。
【0055】
経由地候補表示部50は、前記経由地検索部49が検索した各経由地候補に関する情報を出力部10のディスプレイ画面に表示するものである。図6は経由地候補及びその経由地に関する情報が表示された場合の出力部10の画面イメージの一例である。ここでは、画面左側には経由地候補の表示部が設けられ、各経由地候補の名称が選択キーK1上に表示される。また、画面右側にはガイド情報表示部W1が設けられており、ここには選択されて反転表示された経由地候補のガイド情報が表示される。さらに画面右下には決定キーK2及びキャンセルキーK3が並んで配置されている。
【0056】
ユーザは、この経由地候補表示部50に表示された経由地候補の中から、ガイド情報表示部W1に表示される該経由地のガイド情報を参照して、複数の選択キーK1のいずれかを押すことで経由地を選択する(反転表示となる)。そして、決定キーK2を押すと、この指令を受けて経由地指定部51には経路探索に使用される経由地が取得される。なお、ユーザは、複数の経由地候補を指定し、且つ経由する順番を指定することにより、経由地指定部51に対して複数の経由地を取得させることも可能である。
【0057】
前記のようにしてユーザの入力に基づいて経由地指定部51において取得された経由地は、誘導経路探索部43に出力され、この誘導経路探索部43において前記出発地、目的地および経由地にしたがって経路探索が実行され、探索された経路が案内制御部44に出力される。
【0058】
[2.作用]
次に、本実施形態の作用について説明する。図7は経由地条件を指定した上で誘導経路の探索を行う処理に関するフローチャートである。自車位置特定部40が自車位置を特定これを出発地とするか、あるいはユーザが自宅その他特定の施設や場所などのランドマークを入力することで、出発地指定部41が出発地を取得する(ステップ1)。また、入力部11に対するユーザの入力により、目的地指定部42は目的地を取得する(ステップ2)。
【0059】
前記検索条件表示部49は、予め用意されている検索条件(景観の良い道路、観光地など)か、あるいは前記のように格納されている各経由地候補が有する検索条件を抽出して、これを出力部10の画面に表示する。この検索条件表示部49を見たユーザからの入力に基づいて、検索条件指定部46は検索条件を取得する(ステップ3)。
【0060】
本実施形態において、前記検索条件指定部46は、ユーザからの検索条件を取得するか、あるいは「経由地検索をしない」というユーザの指令を取得するように構成されているので、検索条件が選択された後は、経由地候補をリストアップする(経由地検索を行う)ように設定されているかどうかを確認する(ステップ4)。経由地候補をリストアップするように設定されていない場合には(ステップ4のNo)、誘導経路探索部43はどこも経由しない誘導経路、すなわち自車位置から目的地へと向かう最短経路を計算する(ステップ13)。
【0061】
一方、経由地候補をリストアップするように設定されている場合には(ステップ4のYes)、経由地検索部47は、ステップ1にて取得した出発地とステップ2にて取得した目的地及びステップ3にて取得した検索条件の3つを満足する経由地を、前記経由地情報格納部45に記録されている各経由地データ中から抽出する。この場合、出発地と目的地については、その位置(座標)が各経由地データが有する出発地範囲と目的地範囲の中に存在するか否かを調べ、前記出発地及び目的地の座標が存在する経由地を経由地候補として抽出し、条件については各経由地データが有するカテゴリの条件と完全一致あるいは部分一致する経由地を抽出する(ステップ5)。
【0062】
続いて、経由地情報格納部45の中で経由地候補が1件以上見つかったかどうかを判定する(ステップ6)。経由地の候補が1件も見つからなかった場合には(ステップ6のNo)、ステップ7において経由地候補選択検索部46は経由地の候補が1つもない場合の表示指令を出力部10に出し、出力部10は「経由地点候補が見つかりませんでした」という画面表示を行い、ステップ13の「経由地を考慮しない経路探索」に移る。
【0063】
経由地情報格納部45の中から経由地の候補が1件以上見つかった場合(ステップ6のYes)、経由地候補表示部50は、発見された経由地候補に関する経由地情報を、出力部10の表示画面にリストアップして表示する。このとき、最初の経由地候補の表示名称を示した選択キーK1を反転表示させ、その経由地のガイド情報をガイド情報表示部W1上に表示すると共に、2番目以降の経由地候補の選択キーK1以降については反転表示をせずに経由地候補の名称を表示する(ステップ8)。
【0064】
このような検索結果の表示画面において、ユーザが他の選択キーK1、決定キーK2またはキャンセルキーK3のいずれかを選択する(ステップ9)。まず、決定キーK2が押圧された場合には(ステップ10の決定)、反転表示されている経由地候補が選択されたものとして、経由地指定部51はその経由地候補の有する座標を取得し、これを誘導経路探索部43に渡すので、経路誘導部43は前記出発地、目的地及びこの経由地候補の座標を基にして、自車インデックステーブルから目的地へその経路値を通過する最短経路を計算する(ステップ11)。
【0065】
ユーザが反転していない他の選択キーK1以降を押圧した場合には(ステップ10の選択)、新たに選択された経由地候補の名称部分が反転表示されるとともに、その経由地候補が有しているガイド情報がガイド情報表示部W1に表示される。ユーザは、自分の希望する経由地が出現するまでこの選択キーの押圧を繰り返すことにより、経由地候補表示部50に表示された各経由地候補の情報を見ることができ、希望する経由地候補が現れた時点で、前記のように決定キーK1を押圧することで、所望の経由地を選択することができる。
【0066】
すべての経由地候補を表示させた場合でも、ユーザの好みに合う経由地が発見されなかった場合には、ユーザがキャンセルキーK3を操作することにより(ステップ10のキャンセル)、誘導経路探索部43はどこも経由しない誘導経路、すなわち出発地から目的地へと向かう最短経路を計算する(ステップ13)。
【0067】
[3.効果]
以上のような本実施形態によれば、訪れたい経由地を指定した上で誘導経路を計算するため、自車位置から目的地へとまっすぐに向かう最短経路よりも、目的地の途中に寄る経由地の選択を優先した上で経路探索を実施することができる。したがって、地域特性やユーザの心理面を十分に考慮した上で誘導経路を決めることができ、ユーザは高い満足感を感じることができる。
【0068】
また、上記実施形態の経由地情報格納部45に格納された各経由地候補は、出発地範囲、目的地範囲及び検索条件の3種類のデータの組み合わせによる経由地情報を持つので、指定した出発地及び目的地が前記範囲に含まれるか否かを考慮して経由地検索部47は経由地候補を絞り込むことができ、出発地や目的地から見てあまりにも遠回りになるなど経路誘導上不自然な経由地を排除することが可能となる。
【0069】
さらに、本実施形態では、ユーザの希望する経由地の条件を、出発地及び目的地の入力後に指定するように構成したので、ユーザの希望する条件が予め判明している場合には、無駄な経由地候補をリストアップすることがない利点もある。さらに、図示の実施形態では、検索結果として経由地がリストアップされた場合、同時に各経由地が有するガイド情報を表示するようにしたので、ユーザは、自己の指定した条件に加えて、より詳細な情報を取得することができ、ユーザの希望により即した経由地を選択することができる。
【0070】
特に、出発地指定部52及び目的地指定部42は、行政区分、経緯度方眼として予め定められたメッシュコード、任意に指定された範囲のうち、いずれかの情報により規定される範囲を出発地範囲及び目的地範囲を指定するので、一定の範囲を単位としてその範囲内に出発地及び目的地が入ってさえいれば、経由地候補選択部46は出発地及び目的地の組み合わせに従い、経由地候補を選択することができる。つまり、出発地及び目的地をピンポイントで特定する場合に比べて格段に広い範囲から経由地候補を見つけることができ、経由地選択の幅を広げることが可能となる。
【0071】
[4.他の実施形態]
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、次のような他の実施形態も包含する。
【0072】
(1)経由地候補が1つしかなかった場合には、ユーザによるキー操作を省いて、見つかった経由地候補を即座に経由地として決定しても良い。この部分のフローチャートを図8に示す。すなわち、フローチャートのステップ6において、経由地情報格納部45の中で経由地候補が1件以上見つかったかどうかを判定した後、経由地の候補が1件かどうかを確認し(ステップ6´)、経由地の候補が1件である場合には(ステップ6´のYes)、その経由地をユーザが選択した経由地と見なして、出発地から目的地へその経由地を通過する最短経路を検索する(ステップ11)。一方、経由地候補が複数見つかった場合は、前記の実施形態と同様に、各経由地候補を表示して、ユーザの選択に委ねる。
【0073】
(2)前記実施形態は、ユーザが出発地、目的地及び経由地に関する条件を入力して、これら3つをキーワードとして経由地候補の検索を行ったが、図9のフローチャートのように、単に出発地と目的地とに従って経由地候補の検索を行うことも可能である。この場合、図1の機能ブロック図における検索条件指定部46、外部情報取得部48、検索条件表示部49は不要である。また、経由地情報格納部45内に格納する各経由地候補のデータとしては、図10に示すように、出発地範囲、目的地範囲、経由地座標及びガイド情報のみが利用できる。
【0074】
この実施形態では、出発地と目的地とが出発地範囲と目的地範囲に属する経由地候補が経由地候補表示部50にすべてリストアップされるので、前記実施形態のように、経由地候補表示部50にガイド情報を経由地候補名とともに表示することで、ユーザはこの表示を参考にして自分の好みにあった経由地を選択することになる。
【0075】
(3)データ格納テーブルに格納するカテゴリ情報としては、観光情報を採用する場合でも、単に景観の良し悪しだけではなく、どの時期や時刻の景観が良いのかという点を加えても良い。検索条件指定部はこれらのカテゴリ情報を検索データとして利用することにより、細かく分類されたデータに基づく検索が可能となり、ユーザの希望する経由地候補を的確に得ることができる。また、経由地のガイド情報としては、温泉地、動植物園、水族館、遊園地、レストラン、ホテル、旅館、売店、並木、峠、橋、道路等の種別、施設の利用料金や利用時間等を加えても良い。
【0076】
(4)経由地情報取得部が経由地に関する情報をネットワークを介してリアルタイムに取得し、更新することも可能であり、この場合には経由地の混雑状況等も経由地情報として提示可能である。また、経由地情報を格納部に移すメディアはCDやDVD等のディスクや、携帯用のメモリーカードを利用可能である。さらに、経由地情報取得部自体を格納する場所としては、ナビゲーション装置内の主記憶装置や補助記憶装置のほか、ナビゲーション装置に外付けされる補助記憶装置であってもかまわない。
【0077】
(5)時期や天候によって通行止めとなる道路や閉鎖される施設、新緑や紅葉の時期等景観の良い時期が限定される経由地については、時期や天候を検索データとして利用することが有効である。その場合、検索条件指定部による検索条件の選択の際に、車両の時計から年月日や時刻を入力したり、ユーザが当日の天候を入力することで、これらのデータを含めた検索を行うことが可能となり、よりきめ細かな条件で経由地を検索することができる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明に係るナビゲーション装置の一実施形態の構成を示す機能ブロック図。
【図2】図1の実施形態における経由地情報格納部に格納する経由地情報の一例を示す表。
【図3】図1の実施形態における経由地情報格納部に格納する経由地情報の第2の例を示す表。
【図4】図1の実施形態における経由地情報格納部に格納する経由地情報の第3の例を示す表。
【図5】図1の実施形態における検索条件の選択時の画面例を示す図。
【図6】図1の実施形態における経由地候補の選択時の画面例を示す図。
【図7】図1の実施の形態における各部の動作を示すフローチャート。
【図8】図1の実施形態における変形例を示すフローチャート。
【図9】図1の実施形態における他の変形例を示すフローチャート。
【図10】図9の変形例における経由地情報格納部に格納する経由地情報の例を示す表。
【符号の説明】
【0079】
1…絶対位置・方位検出部
2…相対方位検出部
3…車速検出部
4…ナビゲーション処理部
5…ROM
6…DRAM
7…SRAM
8…VRAM
9…ユーザインタフェース部
10…出力部
11…入力部
12…ディスク制御部
M…メモリ群
13…FM多重受信及び処理部
40…自車位置特定部
41…出発地指定部
42…目的地指定部
43…誘導経路探索部
44…案内制御部
45…経由地情報取得部
46…検索条件指定部
47…経由地検索部
48…外部情報取得部
49…検索条件表示部
50…経由地候補表示部
51…経由地指定部
K1…選択キー
K2…決定キー
K3…キャンセルキー
W1…ガイド情報表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの指定もしくは車両の現在位置に基づいて出発地を取得する出発地指定部と、ユーザの指定する目的地を取得する目的地指定部と、経由地に関してユーザが希望する条件を取得する検索条件指定部と、前記出発地から前記条件に適合した経由地を経由して前記目的地に至るまでの誘導経路の探索を行う誘導経路探索部とが設けられたナビゲーション装置において、
出発地範囲、目的地範囲および経由地に関する条件の組み合わせを備えた複数の経由地候補を格納する経由地情報格納部と、
前記経由地情報格納部に格納した経由地候補の中から、前記出発地指定部が取得した出発地が出発地範囲内にあり、前記目的地指定部が取得した目的地が目的地範囲内にあり、かつ、前記検索条件指定部が取得したユーザの希望する条件に該当する検索条件を有する経由地を検索する経由地検索部と、
前記経由地検索部が取得した経由地と、前記出発地指定部が取得した出発地および前記目的地指定部が取得した目的地に基づいて、前記誘導経路探索部が経路探索を行うことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記経由地検索部が検索した経由地候補を表示する経由地候補表示部と、
前記経由地候補表示部に表示された経由地候補の中からユーザが希望する経由地を取得する経由地指定部を備え、
前記経由地指定部が取得した経由地と、前記出発地指定部が取得した出発地および前記目的地指定部が取得した目的地に基づいて、前記誘導経路探索部が経路探索を行うことを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記経由地情報格納部に格納した前記経由地情報を検索するための検索条件を表示する検索条件表示部を備え、
前記検索条件指定部が、検索条件表示部が表示した検索条件の中からユーザが指定した検索条件を取得するものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
検索条件表示部が、前記経由地情報格納部に格納した各経由地候補の中から、前記出発地指定部が取得した出発地が出発地範囲内にあり、前記目的地指定部が取得した目的地が目的地範囲内にある経由地候補を選択して、この選択された経由地候補が有する経由地に関する条件を表示するものであることを特徴とする請求項3に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記出発地範囲と目的地範囲として、行政区分、経緯度方眼として予め定められたメッシュコード、任意に指定された範囲という情報のうち、いずれかの情報が用いられることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記経由地情報格納部に格納した前記経由地候補が有する経由地に関する条件として複数のカテゴリが用意され、前記経由地検索部がこれら複数のカテゴリに属する条件を満足した経由地を検索することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
検索条件指定部が外部情報取得部を備え、
前記経由地検索部が、前記外部情報取得部によってナビゲーション装置がユーザの指定によらず独自に取得したカテゴリに属する条件と、ユーザの指定に係るカテゴリに属する条件とに基づいて、該当する検索条件を有する経由地を検索することを特徴とする請求項6に記載のナビゲーション装置。
【請求項8】
前記検索条件指定部は、前記経由地を複数指定可能であり、且つ経由する順番を指定するように構成されたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項9】
コンピュータ上に、ユーザの指定もしくは車両の現在位置に基づいて出発地を取得する出発地指定部と、ユーザの指定する目的地を取得する目的地指定部と、経由地に関してユーザが希望する条件を取得する検索条件指定部と、出発地範囲、目的地範囲および経由地に関する条件の組み合わせを備えた複数の経由地候補を格納する経由地情報格納部と、前記出発地から前記条件に適合した経由地を経由して前記目的地に至るまでの誘導経路の探索を行う誘導経路探索部を実現して成るナビゲーション装置を利用して誘導経路の探索を行うナビゲーション方法において、
前記出発地指定部により出発地を取得する出発地指定ステップと、
前記目的地指定部により目的地を取得する目的地指定ステップと、
前記検索条件指定部により経由地に関するユーザの指定する条件を取得する検索条件指定ステップと、
前記経由地情報格納部に格納された経由地候補の中から、取得した出発地が出発地範囲内にあり、取得した目的地が目的地範囲内にあり、かつ、取得したユーザの希望する条件に該当する検索条件を有する経由地を検索する経由地検索ステップと、
前記経由地検索ステップにおいて検索した経由地と、前記取得した出発地および目的地に基づいて、前記誘導経路探索部により経路探索を行う経路探索ステップを備えていることを特徴とするナビゲーション方法。
【請求項10】
コンピュータに、
ユーザの指定もしくは車両の現在位置に基づいて出発地を取得する出発地指定機能と、
ユーザの指定する目的地を取得する目的地指定機能と、
経由地に関してユーザが希望する条件を取得する経由地条件指定機能と、
出発地範囲、目的地範囲および経由地に関する条件の組み合わせを備えた複数の経由地候補を格納する経由地候補格納機能と、
前記格納された経由地候補の中から、取得した出発地が出発地範囲内にあり、取得した目的地が目的地範囲内にあり、かつ、取得したユーザの希望する条件に該当する検索条件を有する経由地を検索する経由地検索機能と、
前記出発地から前記検索条件に適合した経由地を経由して前記目的地に至るまでの誘導経路の探索を行う誘導経路探索機能を実現させることを特徴とするナビゲーションプログラム。
【請求項11】
ユーザの指定もしくは車両の現在位置に基づいて出発地を取得する出発地指定部と、ユーザの指定する目的地を取得する目的地指定部と、前記出発地から前記条件に適合した経由地を経由して前記目的地に至るまでの誘導経路の探索を行う誘導経路探索部とが設けられたナビゲーション装置において、
出発地範囲、目的地範囲および経由地に関する条件の組み合わせを備えた複数の経由地候補を格納する経由地情報格納部と、
前記経由地情報格納部に格納した経由地候補の中から、前記出発地指定部が取得した出発地が出発地範囲内にあり、前記目的地指定部が取得した目的地が目的地範囲内にある経由地を検索する経由地検索部と、
前記経由地検索部が検索した経由地候補を表示する経由地候補表示部と、
前記経由地候補表示部に表示された経由地候補の中からユーザが希望する経由地を取得する経由地指定部を備え、
前記経由地指定部が取得した経由地と、前記出発地指定部が取得した出発地および前記目的地指定部が取得した目的地に基づいて、前記誘導経路探索部が経路探索を行うことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項12】
コンピュータ上に、ユーザの指定もしくは車両の現在位置に基づいて出発地を取得する出発地指定部と、ユーザの指定する目的地を取得する目的地指定部と、出発地範囲及び目的地範囲の組み合わせを備えた複数の経由地候補を格納する経由地情報格納部と、前記出発地から経由地を経由して前記目的地に至るまでの誘導経路の探索を行う誘導経路探索部を実現して成るナビゲーション装置を利用して誘導経路の探索を行うナビゲーション方法において、
前記出発地指定部により出発地を取得する出発地指定ステップと、
前記目的地指定部により目的地を取得する目的地指定ステップと、
前記経由地情報格納部に格納された経由地候補の中から、取得した出発地が出発地範囲内にあり、取得した目的地が目的地範囲内にある経由地を検索する経由地検索ステップと、
前記経由地検索ステップにおいて検索された経由地候補を表示する経由地候補表示ステップと、
前記経由地候補表示ステップにおいて表示された経由地候補の中からユーザが希望する経由地を取得する経由地指定ステップと、
前記経由地検索ステップにおいて検索した経由地と、前記取得した出発地および目的地に基づいて、前記誘導経路探索部により経路探索を行う経路探索ステップを備えていることを特徴とするナビゲーション方法。
【請求項13】
コンピュータに、
ユーザの指定もしくは車両の現在位置に基づいて出発地を取得する出発地指定機能と、
ユーザの指定する目的地を取得する目的地指定機能と、
出発地範囲、目的地範囲および経由地に関する条件の組み合わせを備えた複数の経由地候補を格納する経由地候補格納機能と、
前記格納された経由地候補の中から、取得した出発地が出発地範囲内にあり、取得した目的地が目的地範囲内にある経由地を検索する経由地検索機能と、
前記経由地検索機能により検索された経由地候補を表示する経由地候補表示機能と、
前記経由地候補表示機能に表示された経由地候補の中からユーザが希望する経由地を取得する経由地指定機能と、
前記出発地から前記検索条件に適合した経由地を経由して前記目的地に至るまでの誘導経路の探索を行う誘導経路探索機能を実現させることを特徴とするナビゲーションプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−275736(P2006−275736A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−94643(P2005−94643)
【出願日】平成17年3月29日(2005.3.29)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】