ナビゲーション装置及び方法
実況交通情報の将来の進展を予想するために実況交通情報を処理するデジタル処理装置(200)であって、発生時刻のそれぞれにおいて、交通移動時間遅延を示す実況交通情報の項目を受信し、発生時刻に関するそれぞれの移動時間遅延の変動履歴を生成するために、移動時間遅延を示す情報とそれぞれの時刻とをメモリに格納し(608)、履歴から、最新の実況交通情報の項目の発生時刻から将来に向かっての予想される移動時間遅延の進展を示す、少なくとも1つの移動時間遅延の特徴を決定する(610)ように構成された処理資源を備える処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置及びナビゲーション情報を提示する方法に関する。本発明の例示の実施形態は、ポータブルナビゲーション装置(いわゆるPND)、特に全地球測位システム(GPS)信号の受信及び処理機能を有するPNDに関する。その他の実施形態は、より一般的に、経路計画機能そして好ましくはナビゲーション機能も提供するために、ナビゲーションソフトウェアを実行するように構成されたあらゆる種類の処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
GPS(全地球測位システム)信号の受信及び処理機能を有するポータブルナビゲーション装置(PND)は、乗物搭載型ナビゲーションシステム又は自動車以外の乗物のナビゲーションシステムとしてよく知られており、また広く使用されている。
【0003】
一般論として、最新のPNDは、プロセッサと、メモリ(揮発性及び不揮発性の少なくとも一方、そして普通は両方)と、このメモリ内に格納された地図データとを備える。このプロセッサとメモリは、協力して実行環境を提供し、この環境の中でソフトウェアのオペレーティングシステムが立ち上がりうる。また、よくあることだが、1つ以上の付加的なソフトウェアプログラムが提供されていて、PNDの機能を制御可能にするとともに、種々の他の機能を提供可能にしている。
【0004】
通常これらの装置は、ユーザによる装置の操作及び制御を可能にする1つ以上の入力インタフェースと、それを用いてユーザに情報を中継しうる1つ以上の出力インタフェースとをさらに備える。出力インタフェースの具体例には、画像表示装置及び可聴出力用のスピーカを含む。入力インタフェースの具体例には、装置のオン/オフ操作又は他の機能を制御するための1つ以上の物理的ボタン(このボタンは必ずしもそれ自体を装置上に設置する必要はなく、装置を乗物に組み込む場合、ステアリングホイール上に設置できよう)と、ユーザの音声を検出するマイクとを含む。特に好ましい構成では、出力インタフェースディスプレイが、(接触感応オーバレイ又は他の手段を用いて)接触感応ディスプレイとして構成され、ユーザが触れることにより装置を操作しうる入力インタフェースを追加で提供してもよい。
【0005】
この種の装置は、1つ以上の物理的接続インタフェースもたいてい有し、このインタフェースを用いて、装置は、電力及び状況に応じてデータ信号を送受信しうる。また、状況に応じて1つ以上の無線送信機/受信機も有し、例えばWiFi、Wi−MAX GSMなどのセルラ通信ならびに他の信号及びデータのネットワークを通じた通信を可能にする。
【0006】
この種のPND装置は、GPSアンテナも有し、このGPSアンテナを用いて位置データを含む衛星放送信号を受信し、続いてそれを処理して、この装置の現在位置を測定することができる。
【0007】
PND装置はまた、電子ジャイロスコープ及び電子加速度計も有してもよく、これらが作り出す信号を処理して、現在の角加速度及び線加速度を測定でき、さらにはGPS信号から導出される位置情報とともに処理して、この装置ひいては装置が搭載されている乗物の速度及び相対変位を測定できる。通常このような特徴は、乗物搭載型のナビゲーションシステムが最もよく備えるが、もしこのような特徴を備えるのが都合良いなら、PND装置にも備えられてもよい。
【0008】
このようなPNDの有用性は、第1の場所(通常は出発地点又は現在位置)と第2の場所(通常は目的地点)との間の経路を決定する能力に主に現れる。これらの場所は、装置のユーザが多種多様の異なる方法のいずれかで入力しうる。例えば郵便番号、住所、事前格納済みの「周知」の目的地(有名な場所、公共の場所(運動場又はスイミングプール等)及び他の主要な場所等)、及びお気に入りの場所又は最近訪問した目的地などで入力しうる。
【0009】
通常、PNDの機能は、地図データから出発住所位置と目的住所位置との間の「最善の」又は「最適な」経路を計算するソフトウェアによって有効になる。「最善の」又は「最適な」経路は、所定の基準に基づいて決定され、必ずしも最速の経路又は最短の経路である必要はない。運転者を案内する経路の選択は、非常に精巧にできる。経路の選択に当たっては、現在の道路交通情報、予測される道路交通情報、動的に受信され若しくは無線で受信され又はこの双方である道路交通情報、道路上の速度に関する履歴情報、ならびに道路選択を決定する要因に関する運転者自身の好み(例えば、運転者は経路が高速道路又は有料道路を含むべきでないと指定してもよい)を勘案してもよい。
【0010】
また、装置は、継続的に道路交通状態を監視し、状態の変化に応じて残りの道のりで取るべき経路の変更を提案又は選択してもよい。種々の技術(例えば、移動電話データ交換、固定カメラ、GPSフリートトラッキング)に基づくリアルタイム交通監視システムは、交通遅滞を識別し、その情報を通知システムに供給するために使用されている。
【0011】
この種のPNDは、乗物のダッシュボード又はフロントガラスに通常取りつけられてもよいが、乗物無線のオンボードコンピュータの一部として、又はそれどころか乗物自体の制御システムの一部としても形成されてもよい。ナビゲーション装置はまた、PDA(携帯情報端末)、メディアプレーヤ、移動電話機又は同種のものなどのハンドヘルドシステムの一部でもよい。この場合には、ハンドヘルドシステムの通常の機能が、経路計算と計算した経路に沿ってのナビゲーションとの両方を実行するソフトウェアを装置にインストールすることによって拡張される。
【0012】
経路計画及びナビゲーション機能はまた、適切なソフトウェアを実行する卓上型又は移動型の計算資源によって提供されてもよい。例えば、ロイヤルオートモービルクラブ(RAC)は、http://www.rac.co.ukでオンライン経路計画及びナビゲーション手段を提供している。この手段により、ユーザは出発地点及び目的地点を入力可能になり、入力すると直ぐにユーザのPCに接続されたサーバが、ユーザが選択した出発地点から選択した目的地点までユーザを案内する経路(経路の態様はユーザ指定でもよい)を計算し、地図を生成し、精緻なナビゲーション命令セットを生成する。この手段はまた、計算経路の疑似的な3次元表示を提供し、ユーザが経路に沿って移動するのをシミュレートすることによって、ユーザに計算経路のプレビューを提供する経路プレビュー機能も提供する。
【0013】
PNDに関しては、経路が計算されしだい、ユーザは、ナビゲーション装置を操作して、状況によっては提案経路のリストの中から、所望の計算経路を選択する。必要に応じて、ユーザは、この経路選択プロセスに介入又はそれをガイドしてもよい。例えば特定の移動に関して、特定の経路、道路、地域又は基準を避けるべきか、又はそれらは必須であると指定してもよい。PNDの経路計算の態様は、1つの主機能であり、このような経路に沿ったナビゲーションはもう1つの主機能である。
【0014】
計算経路に沿ったナビゲーション中、このようなPNDが視覚命令及び/又は可聴命令を提供し、選択した経路に沿って経路の終点すなわち所望の目的地点までユーザを案内するのが普通である。またPNDが、ナビゲーション中に地図情報を画面上に表示するのも一般的であり、その情報は画面上で定期的に更新されて、表示される地図情報が装置の現在位置を表し、それ故、ユーザの現在位置又は装置が車内でのナビゲーションに使用されている場合はユーザの乗物の現在位置を表す。
【0015】
画面上に表示されるアイコンは、通常は装置の現在位置を示し、この装置の現在位置の付近の現在及び周辺の道路の地図情報の中心に配置され、他の地図機能も表示される。また、ナビゲーション情報は、任意的に、表示された地図情報の上、下又は片側に、ステータスバーで表示されてもよく、ナビゲーション情報の例には、次の道路変更までにユーザが現在の道路で走る必要のある距離を含み、場合によりその道路変更の特徴が、例えば左折又は右折などの道路変更の特定のタイプを示唆するさらなるアイコンによって表される。ナビゲーション機能はまた、ユーザを経路に沿って案内しうる可聴命令の内容、期間及びタイミングも決定する。理解されるように、「100m先左折」などの簡単な命令も、多くの処理及び解析を必要とする。前述のように、ユーザのこの装置の操作は、タッチスクリーンで行ってもよいし、あるいは追加又は代替で、ステアリングコラムに搭載の遠隔制御装置で、音声起動で、又は任意の他の適切な方法で行ってもよい。
【0016】
装置が提供するさらなる重要な機能は、イベント発生時又は何らかの理由でユーザが積極的に装置に経路再計算を実行させる場合における自動経路再計算である。ここでこのイベントは、ナビゲーション中にユーザが(誤ってか又は意図的に)以前の計算経路から逸れるとき、及びリアルタイムの交通状態から代替経路がより好都合であり、装置がそのような状態を自動的に認識する適切な能力があるときである。
【0017】
ユーザ定義の基準を使用して経路計算が可能なことも知られている。例えばユーザは、景色の良い経路を装置に計算させるのを好んでもよいし、交通渋滞がありそうな道路、予想される道路、又は現在起こっている道路を避けるように望んでもよい。この場合、装置のソフトウェアは、種々の経路を計算し、経路に沿って例えば景勝としてタグ付けされている興味のある点(POIとして知られる)の数を最も多く含む経路により好意的に重みを付ける、又は特定の道路の一般的な交通状態を示す格納済み情報を使用して、ありそうな渋滞のレベル又はそれによる遅延のレベルの点から見て計算経路の順序付けをするであろう。POIに基づく及び交通情報に基づく他の経路計算ならびに他のナビゲーション基準も可能である。
【0018】
経路計算機能及びナビゲーション機能は、PNDの総合的な有用性の基本であるが、純粋に情報表示又は「フリードライビング」のために装置を使用することも可能である。フリードライビングでは、現在の装置位置に関連する地図情報だけを表示し、装置は経路を全く計算せず、ナビゲーションも行わない。このような動作モードは、ユーザが移動を望む経路を既に知っており、ナビゲーション補助を必要としないときに、たいてい適用される。
【0019】
上述のタイプの装置、例えばTomTom International B.V.が製造販売する720Tモデルは、ユーザがある位置から別の位置まで移動するのを可能にする信頼できる手段を提供する。
【0020】
ユーザが、移動する経路になじみがないときに大きな有用性があるだけでなく、多くのユーザは、ユーザ宅と職場との間のようななじみのある移動における経路選択の補助にもナビゲーション装置をやはり使用する。事故及び異なる時刻における交通の流れの変化などの事情は、遅滞及び渋滞を避けるために最適経路の選択を補助する際に、ナビゲーション装置には大きな利点がありうることを意味する。
【0021】
例えばいくつかの国では、交通遅滞に関するデジタル情報が、乗物搭載型のナビゲーション装置に無線送信されうる。一例は、限られた量のデジタル交通情報をFMラジオ放送の一部として多重可能にするRDS−TMC(Radio−Data−System−Traffic−Message−Channel)である。この情報は、適切なFM受信機で分離され、ナビゲーション装置で処理されてもよい。別の例は、個別情報チャネルで大量の最新のデジタル交通情報を提供するために、国際公開第2007/057696号、国際公開第2007/057694号、国際公開第2007/042796号、国際公開第2007/017691号、及び国際公開第02/45046号の番号で公開されているPCT出願に記載される技術を使用する。そのようなシステムは、HD Traffic(High Definition Traffic)の商標名のもとにTomTom International BVが実施している。
【0022】
遅滞情報を受信する代わりに、別の技術は、デジタル地図情報の中にいつもの交通パターンを考慮に入れた異なる時刻の移動時間プロファイルを含めている。この移動時間プロファイルは、異なる時刻に道路を使用する様々な乗物の過去の平均に基づく。この移動時間プロファイルをデジタル地図情報の中に含めることで、ナビゲーション装置がいつもの交通パターンに基づいて経路を計画することが可能になる。移動時間プロファイルは、任意の適切な方法で導出されてもよく、具体的な技術が、例えば国際出願PCT/EP2008/057694号に記載されている。その技術は、IQ Routesの商標名でTomTom International BVが実施している。
【0023】
各技術には、利点と欠点がある。リアルタイム交通情報は、実際の道路交通状態に基づいているので、より正確である。しかし、リアルタイム交通情報は、現時点の情報だけを提供し、交通の流れがこれから先どう進展するかの表示を少しも提供しない。対照的に、事前格納済みの異なる時刻の移動時間プロファイルは、過去の移動の分析に基づいているので、どのように移動時間及びいつもの遅滞が進展するかのパターンを提供する。しかし、事前格納済みの移動時間プロファイルは、本質的に単なる統計であり、予測できない事故、故障した乗物、又は道路工事もしくは信号機故障によって引き起こされる他の遅滞によって影響を受けることがある現在の交通状況の正確なスナップショットを提供しない。
【0024】
さらなる問題は、ナビゲーション装置がアクセスできる交通の流れの情報量が(リアルタイム交通情報であれ事前格納済み移動時間プロファイルであれ)増加するにつれて、そのような情報を簡単だが意味のあるようにユーザに提示するのがますます難しくなることである。車内で使用するとき、ユーザの注意を乗物の運転から逸らさないようにすることが重要である。なぜならこのことは運転者のストレスを増やし、事故の危険を増すからである。
【0025】
本発明は、上記の問題を踏まえて考案された。
【発明の概要】
【0026】
本発明の態様は、特許請求の範囲に規定されている。
【0027】
1つの態様において、好適な実施形態は、移動状況が順調であるか否かを表す表示出力を生成する技術を表し、前記技術は、
ナビゲーション経路について、前記経路を完了するために予想される継続時間を示す予想移動時間情報を算出することと、
前記予想移動時間を前記経路についての平均移動時間と比較することと、
前記比較の結果に応じて、移動状況が順調であるか否かを表す前記表示出力を生成することと、を含む。
【0028】
他の態様において、好適な実施形態は、移動状況が順調であるか否かを表す表示出力を生成する技術を表し、前記技術は、
第1の所定の時刻にナビゲーション経路の少なくとも一部分を通るための第1の移動時間情報を決定することと、
前記第1の所定の時刻とは異なる第2の所定の時刻に前記ナビゲーション経路の前記少なくとも一部分を通るための第2の移動時間情報を決定することと、
移動時間の変化を表す移動時間パラメータを、前記第1及び第2の移動時間情報から決定することと、
前記移動時間パラメータに応じて、前記表示出力を生成することと、
から選択される1以上の特徴を含む。
【0029】
他の態様において、好適な実施形態は、実況交通情報の将来の進展を予想するために当該実況交通情報を処理する技術を表し、前記技術は、
発生時刻のそれぞれにおいて、交通移動時間遅延を示す実況交通情報の項目を受信することと、
発生時刻に関するそれぞれの前記移動時間遅延の変動履歴を生成するために、前記移動時間遅延を示す情報と前記それぞれの時刻とをメモリに格納することと、
前記履歴から、最新の実況交通情報の項目の発生時刻から将来に向かっての予想される前記移動時間遅延の進展を示す、少なくとも1つの前記移動時間遅延の特徴を決定することと、
から選択される1以上の特徴を含む。
【0030】
本明細書で使用する限り、「交通情報(traffic information)」又は「実況交通情報(live traffic information)」という用語は、外部情報源から受け取り、かつ現在の交通データの観測情報を提供する交通情報を指す。情報は、現在の観測に基づいているという意味で「実況」であるが、処理及び伝達が情報のスループットを遅らせることがあることは理解されるであろう。実況交通情報の例には、前述のRDS−TMC及びHD−Trafficを含む。
【0031】
本発明の種々の態様及び実施形態における本発明の特徴及び利点は、(1)移動状態が良好かどうかの表示の直感的で理解しやすい提示、(2)1つ以上の事前格納済み経路についての移動状況を監視し、移動状況について助言又は警告するプロンプト(促し)の生成能力、(3)実況交通情報が示す移動時間遅延がこれから先どのように進展しうるかの予測を導出する能力、(4)実況交通情報の履歴を使用して、履歴からの外挿に基づき交通遅滞がどのように進展しうるかの予測、(5)実況交通情報と事前格納済み移動時間プロファイルとの間の、有用性のある情報のギャップを埋める能力、の中から選択される少なくとも1つを含む。
【0032】
さらなる特徴及び利点は、以降に記載されており、これらの実施形態のそれぞれのさらなる詳細及び特徴は、添付の従属請求項及びその他には以下の詳細説明に規定されている。本明細書に記載及び/又は図面に例示のどの新規な特徴又は着想に対しても、それに強調が行われているか否かにかかわらず、保護を要求する。
【0033】
本発明の教示の種々の態様及びそれらの教示を具体化する構成(arrangement)について、以降では添付の図面を参照して説明に役立つ例を用いて記述する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】全地球測位システム(GPS)の概略図である。
【図2】ナビゲーション装置をもたらすように構成された電子構成要素の概略図である。
【図3】ナビゲーション装置が無線通信チャネルを通じて情報を受信しうるやり方の概略図である。
【図4A】ナビゲーション装置の説明用の斜視図である。
【図4B】ナビゲーション装置の説明用の斜視図である。
【図5】ナビゲーション装置が用いるソフトウェアの概略図である。
【図6A】デジタル地図データベース用の移動時間情報の概略図である。
【図6B】デジタル地図データベース用の移動時間情報の概略図である。
【図7】交通遅滞の進展を予測するプロセスステップを示す概略フロー図である。
【図8】計画されたナビゲーション経路に沿って起こる遅滞の概略図である。
【図9】図7のステップをより詳細に示す概略フロー図である。
【図10】交通遅滞の位置を示す地図ビューの概略図である。
【図11】交通遅滞情報を表す表示アイコンの3つの形態を示す図である。
【図12】移動時間解析器の実装を示す概略ブロック図である。
【図13】実況交通情報を処理する一技術例を示す概略フロー図である。
【図14】図13の技術例の変更例を示す概略フロー図である。
【図15】移動時間プロファイルを処理する一技術例を示す概略フロー図である。
【図16】移動時間解析器で実施可能な別の例を示す概略フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明の好ましい実施形態について、これより特にPNDとの関連で記述する。しかし、本発明の教示はPNDに限定されず、むしろ経路計画及びナビゲーション機能を提供するためにナビゲーションソフトウェアを実行するように構成された、どのタイプの処理装置にもあまねく適用できることを記憶しておくべきである。それ故、本願との関連では、ナビゲーション装置は、その装置がPND、それとも車載のナビゲーション装置、それどころか経路計画及びナビゲーションソフトウェアを実行する(デスクトップもしくはポータブル・パーソナルコンピュータ(PC)、移動電話機、又は携帯情報端末(PDA)などの)計算資源として具体化されるかにかかわらず、あらゆる種類の経路計画及びナビゲーション装置を含む(限定ではない)ことを意図していることになる。
【0036】
本発明の教示は、ユーザがある地点から別の地点へどのように行くべきかの命令を求めておらず、単に所与の場所のビューを提供されることを望む状況においてさえ有用性を有することも以下のことから明らかになるであろう。そのような状況では、ユーザが選択した「目的の」場所は、ユーザがナビゲーションの開始を望む対応する出発場所を有する必要がなく、その結果として「目的の」場所又はもっとはっきり言えば「目的の」ビューにつての本明細書の言及は、経路の生成が必要不可欠である、「目的地点」への移動が行われなければならない、又はもっとはっきり言えば目的地点の存在は対応する開始場所の指定を必要とする、ことを意味すると解釈されるべきでない。
【0037】
以上の但し書きを記憶に留めて、図1は、ナビゲーション装置により使用可能な全地球測位システム(GPS)の一例の図を表す。そのようなシステムは周知であり、種々の目的に使用される。一般に、GPSは、連続的な位置、速度、時間及びいくつかの例においては方向情報を無数のユーザに対して判定できる衛星無線ナビゲーションシステムである。以前はNAVSTARとして周知であったが、GPSは極めて正確な軌道で地球を回る複数の衛星を使用する。これらの正確な軌道に基づいて、GPS衛星は、それらの場所を任意の数の受信装置に中継できる。
【0038】
GPSデータを受信する能力を特別に備える装置がGPS衛星信号に対する無線周波数の走査を開始する場合、GPSシステムは実現される。GPS衛星から無線信号を受信すると、装置は、複数の異なる従来の方法のうちの1つを用いて、その衛星の正確な場所を判定する。殆どの例において、装置は、少なくとも3つの異なる衛星信号を取得するまで信号の走査を継続する(尚、位置は、通常は2つの信号のみでは判定されないが、他の三角測量技術を使用して2つの信号から判定することもできる)。幾何学的三角測量を実現する場合、受信機は、3つの既知の位置を利用して、衛星に対する自身の2次元位置を判定する。これは、周知の方法で行われる。更に、第4の衛星信号を取得することにより、受信装置は、同一の幾何学計算によって周知の方法でその3次元位置を計算できる。位置及び速度データは、無数のユーザにより連続的にリアルタイムで更新可能である。
【0039】
図1に示すように、GPSシステム全体を参照番号100で示す。複数の衛星120は、地球124の周囲の軌道上にある。各衛星120の軌道は、他の衛星120の軌道と必ずしも同期せず、実際には非同期であることが多い。GPS受信機140は、種々の衛星120からスペクトル拡散GPS衛星信号160を受信するように示される。
【0040】
各衛星120から連続的に送信されるスペクトル拡散信号160は、極めて正確な原子時計を用いて達成される非常に正確な周波数標準を利用する。各衛星120は、そのデータ信号送信160の一部として、その特定の衛星120を示すデータストリームを送信する。一般に、GPS受信機140が三角測量によりその2次元位置を計算するために、GPS受信機140は少なくとも3つの衛星120からスペクトル拡散GPS衛星信号160を取得することが当業者には理解される。更なる信号を取得すると、全部で4つの衛星120から信号160を取得する結果となり、これによってGPS受信機140は、その3次元位置を周知の方法で計算できる。
【0041】
図2は、本願の好適な実施形態に従うナビゲーション装置200の電子構成要素の、ブロック構成要素の形式の説明的表現である。尚、ナビゲーション装置200のブロック図は、ナビゲーション装置の全ての構成要素を含むものではなく、構成要素の多くの例を表すにすぎない。
【0042】
ナビゲーション装置200は、筐体(不図示)内に位置付けられる。筐体は、入力装置220及び表示画面240に接続されるプロセッサ210を含む。入力装置220は、キーボード装置、音声入力装置、タッチパネル、及び情報を入力するために利用される他の任意の周知の入力装置のうちの少なくとも1つを含むことができ、表示画面240は、例えばLCDディスプレイ等の任意の種類の表示画面を含むことができる。特に好適な構成において、ユーザが複数の表示選択肢のうちの1つを選択するか又は複数の仮想ボタンのうちの1つを操作するために表示画面240の一部分に接触するだけでよいように、入力装置220及び表示画面240は、タッチパッド又はタッチスクリーン入力を含む一体型入力表示装置に一体化される。
【0043】
このナビゲーション装置は出力装置、例えば可聴出力装置(例えばスピーカ)を含んでもよい。出力装置260がナビゲーション装置200のユーザに対して可聴情報を生成できるため、入力装置240は入力音声コマンドを受信するマイク及びソフトウェアを更に含むことができると理解されるはずである。
【0044】
ナビゲーション装置200において、プロセッサ210は、接続225を介して入力装置220に動作可能に接続され且つ入力装置220から入力情報を受信するように設定される。また、プロセッサ210は、情報を出力するために、表示画面240及び出力装置260のうちの少なくとも一方に出力接続245を介して動作可能に接続される。更に、プロセッサ210は、接続235を介してメモリ資源230に動作可能に結合され、接続275を介して入出力(I/O)ポート270との間で情報を送受信するように更に構成される。この場合、I/Oポート270は、ナビゲーション装置200の外部のI/O装置280に接続可能である。メモリ資源230には例えば、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)のような揮発性メモリ、及び不揮発性メモリ、例えばフラッシュメモリのようなデジタルメモリ、を含む。外部I/O装置280は、例えばイヤホン等の外部聴音装置を含んでもよいが、これに限定されない。更に、I/O装置280への接続は、例えばハンズフリー動作と音声起動動作との少なくとも一方のため、イヤホン又はヘッドフォンへの接続のため、並びに/あるいは例えば移動電話への接続のためのカーステレオユニット等の他の任意の外部装置への有線接続又は無線接続であってもよい。この場合、移動電話接続は、ナビゲーション装置200とインターネット又は例えば他の任意のネットワークとの間のデータ接続を確立するためと、インターネット又は例えば他の任意のネットワークを介するサーバへの接続を確立するためとの少なくとも一方のために使用されてもよい。
【0045】
図2は、接続255を介するプロセッサ210とアンテナ/受信機250との間の動作可能な接続を更に示す。この場合、アンテナ/受信機250は、例えばGPSアンテナ/受信機であってもよい。参照番号250で示されるアンテナ及び受信機は、図示のために概略的に組み合わされるが、アンテナ及び受信機は、別個に位置する構成要素であってもよく、アンテナは、例えばGPSパッチアンテナ又はヘリカルアンテナであってもよいことが理解されるだろう。
【0046】
更に、図2に示す電子構成要素が従来の方法で電源(不図示)により電力を供給されることが当業者には理解されるだろう。当業者により理解されるように、図2に示す構成要素の異なる構成が本願の範囲に入るものと考えられる。例えば図2に示す構成要素は、有線接続と無線接続との少なくとも一方等を介して互いに通信状態にあってもよい。従って、本願のナビゲーション装置200の範囲は、可搬又は手持ちのナビゲーション装置200を含む。
【0047】
更に、図2の可搬又は手持ちのナビゲーション装置200は、例えば自転車、バイク、自動車又は船舶等のような乗物に既知の方法で接続されるか又は「ドッキング」されることができる。その場合、そのようなナビゲーション装置200は、可搬又は手持ちでのナビゲーションの使用のために、ドッキング場所から取り外し可能である。
【0048】
ここで図3を参照すると、ナビゲーション装置200は、少なくとも1つの実施形態において、デジタル接続(例えば、周知のBluetooth技術を介するデジタル接続)を確立する移動装置(不図示)(移動電話、PDA、及び移動電話技術を用いる任意の装置のうちの少なくとも1つ等)を介して、サーバ302との「モバイル」又は遠距離電気通信ネットワーク接続を確立してもよい。そうして、そのネットワークサービスプロバイダを介して、移動装置は、サーバ302とのネットワーク接続を(例えば、インターネットを介して)確立できる。そのため、「モバイル」ネットワーク接続は、情報に対する「リアルタイム」又は少なくとも非常に「最新」のゲートウェイを提供するために、ナビゲーション装置200(単体時、及び車載走行時の少なくとも一方において移動可能であり且つ多くの場合移動している)とサーバ302との間に確立される。
【0049】
例えば(ワールド・ワイド・ウェブのような)インターネットを使用して、移動装置(サービスプロバイダを介する)とサーバ302等の別の装置との間にネットワーク接続を確立することは、周知の方法で行われうる。これは、例えばTCP/IP層プロトコルの使用を含む。移動装置は、CDMA、GSM、WAN等の任意の数の通信規格を利用できる。
【0050】
そのため、例えば移動電話又はナビゲーション装置200内の移動電話技術を介するデータ接続を介して達成されるインターネット接続が利用されてもよい。この接続の場合、サーバ302とナビゲーション装置200との間のインターネット接続が確立される。これは、例えば、移動電話又は他の移動装置及びGPRS(汎用パケット無線サービス)−接続(GPRS接続は、通信会社により提供される移動装置用高速データ接続であり、GPRSはインターネットへの接続方法である)を介して行われうる。
【0051】
更に、ナビゲーション装置200は、移動装置とのデータ接続を完成し、例えば既存のBluetooth技術を介して周知の方法でインターネット及びサーバ302とのデータ接続を最終的に完成する。この場合、例えばデータプロトコルは、GSM規格に対するデータプロトコル規格であるGSRM等の任意の数の規格を利用できる。
【0052】
ナビゲーション装置200は、ナビゲーション装置200自身の中に、自身の移動電話技術を含んでもよい(例えばアンテナを含み、又は任意的にはナビゲーション装置200の内部アンテナを用いる)。ナビゲーション装置200内の移動電話技術は、上述のような内部構成要素を含むことができ、且つ/又は例えば必要な移動電話技術とアンテナとの少なくとも一方を備える挿入可能なカード(例えば加入者識別モジュールすなわちSIMカード)を含むことができる。そのため、ナビゲーション装置200内の移動電話技術は、任意の移動装置の方法と同様の方法で、例えばインターネットを介して、ナビゲーション装置200とサーバ302との間にネットワーク接続を同様に確立できる。
【0053】
GRPS電話設定の場合、移動電話の機種、製造業者等の多様な範囲に関して正しく動作するために、Bluetooth対応のナビゲーション装置が使用されてもよく、機種/製造業者専用設定は、例えばナビゲーション装置200に格納されてもよい。この情報のために格納されたデータは更新されうる。
【0054】
図3においてナビゲーション装置200は、複数の様々な構成のうち任意のものによって実現されうる汎用通信チャネル318を介して、サーバ302と通信しているものとして描かれている。通信チャネル318を介する接続がサーバ302とナビゲーション装置200との間に確立される場合、サーバ302及びナビゲーション装置200は通信可能である(尚、そのような接続は、移動装置を介するデータ接続、インターネットを介するパーソナルコンピュータを介する直接接続等である)。
【0055】
サーバ302は、図示しない他の構成要素に加えて、メモリ306に動作可能に接続され且つ有線又は無線接続314を介して大容量データ記憶装置312に動作可能に更に接続されるプロセッサ304を含む。更に、プロセッサ304は、通信チャネル318を介してナビゲーション装置200と情報の送受信を行うために、送信機308及び受信機310に動作可能に接続される。送受信される信号は、データ信号、通信信号及び又は他の伝搬信号を含んでもよい。送信機308及び受信機310は、ナビゲーション装置200の通信設計において使用される通信条件及び通信技術に従って選択又は設計されてもよい。尚、送信機308及び受信機310の機能は、信号送受信機に組み合わされてもよい。
【0056】
サーバ302は、大容量記憶装置312に更に接続される(又は、大容量記憶装置312を含む)。尚、大容量記憶装置312は、通信リンク314を介してサーバ302に結合されてもよい。大容量記憶装置312は、ナビゲーションデータ及び地図情報のストアを含む。また、大容量記憶装置312は、サーバ302とは別個の装置であってもよく、サーバ302に組み込まれてもよい。
【0057】
ナビゲーション装置200は、通信チャネル318を介してサーバ302と通信するように構成され、図2に関して上述したように、プロセッサ、メモリ等を含み、更に、通信チャネル318を介して信号及び/又はデータを送出する送信機320及び受信する受信機322を含む。尚、これらの装置は、サーバ302以外の装置と通信するためにも使用される。更に、送信機320及び受信機322は、ナビゲーション装置200の通信設計において使用される通信条件及び通信技術に従って選択又は設計され、送信機320及び受信機322の機能は、単一の送受信機に組み合わされてもよい。
【0058】
サーバメモリ306に格納されるソフトウェアは、プロセッサ304に命令を提供し、サーバ302がナビゲーション装置200にサービスを提供できるようにする。サーバ302により提供される1つのサービスは、ナビゲーション装置200からの要求の処理及び大容量データ記憶装置312からナビゲーション装置200へのナビゲーションデータの送信を含む。サーバ302により提供される別のサービスは、所望のアプリケーションに対する種々のアルゴリズムを使用したナビゲーションデータの処理及びナビゲーション装置200へのこれらの計算の結果の送出を含む。
【0059】
一般に、通信チャネル318は、ナビゲーション装置200とサーバ302とを接続する伝搬媒体又はパスを表す。サーバ302及びナビゲーション装置200の双方は、通信チャネルを介してデータを送信する送信機及び通信チャネルを介して送信されたデータを受信する受信機を含む。
【0060】
通信チャネル318は、特定の通信技術に限定されない。更に、通信チャネル318は、単一の通信技術に限定されない。すなわち、チャネル318は、種々の技術を使用する複数の通信リンクを含んでもよい。例えば、通信チャネル318は、電気通信、光通信、及び電磁通信のうちの少なくとも1つ等のためのパスを提供するように構成されることができる。そのため、通信チャネル318は、電気回路、ワイヤ及び同軸ケーブル等の電気導体、光ファイバケーブル、コンバータ、無線周波数(rf)波、大気、空間等のうちの1つ又はそれらの組み合わせを含むが、それらに限定されない。更に、通信チャネル318は例えば、ルータ、リピータ、バッファ、送信機及び受信機等の中間装置を含むことができる。
【0061】
1つの説明的構成において通信チャネル318は、電話及びコンピュータネットワークを含む。更に通信チャネル318は、無線周波数、マイクロ波周波数、赤外線通信等の無線通信に適応できてもよい。更に通信チャネル318は衛星通信に適応できる。
【0062】
通信チャネル318を介して送信される通信信号は、所定の通信技術に必要とされるか又は望まれる信号を含むが、それらに限定されない。例えば、信号は、時分割多元接続(TDMA)、周波数分割多元接続(FDMA)、符号分割多元接続(CDMA)、グローバル・システム・フォー・モバイル・コミュニケーションズ(Global System for Mobile Communications)(GSM)等のセルラ通信技術において使用されるように構成されてもよい。デジタル信号及びアナログ信号の双方が通信チャネル318を介して送信できる。これらの信号は、通信技術にとって望ましい変調信号、暗号化信号、及び圧縮信号のうちの少なくとも1つであってもよい。
【0063】
サーバ302は、無線チャネルを介してナビゲーション装置200によりアクセス可能なリモートサーバを含む。サーバ302は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、仮想プライベートネットワーク(VPN)等に位置するネットワークサーバを含んでもよい。
【0064】
サーバ302は、デスクトップ又はラップトップコンピュータ等のパーソナルコンピュータを含んでもよく、通信チャネル318は、パーソナルコンピュータとナビゲーション装置200との間に接続されるケーブルであってもよい。あるいは、パーソナルコンピュータは、ナビゲーション装置200とサーバ302との間に接続されて、サーバ302とナビゲーション装置200との間にインターネット接続を確立してもよい。あるいは、インターネットを介してナビゲーション装置200をサーバ302に接続するために、移動電話又は他のハンドヘルド装置がインターネットへの無線接続を確立してもよい。
【0065】
ナビゲーション装置200は、情報ダウンロードを介してサーバ302から情報を与えられてもよい。情報は、自動的に、又はユーザがナビゲーション装置200をサーバ302に接続した際に、周期的に更新されてもよく、且つ/又は例えば無線移動接続装置及びTCP/IP接続を介してサーバ302とナビゲーション装置200との間に接続がより継続して又は頻繁に確立される場合に更に動的に更新されてもよい。多くの動的計算のために、サーバ302内のプロセッサ304が大量の処理要求を処理するために使用されてもよい。しかし、ナビゲーション装置200のプロセッサ210も同様に、多くの場合においてはサーバ302への接続に関係なく、多くの処理及び計算を処理できる。
【0066】
上で示されたように図2において、ナビゲーション装置200はプロセッサ210、入力装置220、表示画面240を含む。入力装置220及び表示画面240は、例えばタッチパネルスクリーンを介して情報(直接入力、メニュー選択など)を入力すること及び情報を表示することとの両方を可能にするために、一体型入力表示装置に統合される。このようなスクリーンは、当業者には周知のものであるように、例えばタッチ入力LCDスクリーンであってもよい。更に、ナビゲーション装置200は、例えばオーディオ入力/出力装置などの、更なる任意の入力装置220と更なる任意の出力装置241との少なくとも一方を有しても良い。
【0067】
図4A及び図4Bは、ナビゲーション装置200の斜視図を示している。図4Aに示すように、ナビゲーション装置200は、一体型入力表示装置290(例えばタッチパネル画面)と図2の他の構成要素(内蔵GPS受信機250、マイクロプロセッサ210、電源、メモリシステム230などを含むがこれに限定されない)を含むユニットであっても良い。
【0068】
ナビゲーション装置200は、アーム292上に備え付けられても良い。このアーム292は、吸着カップ294を用いて、乗物のダッシュボード/窓/等に固定されても良い。このアーム292は、ナビゲーション装置200がドッキング可能なドッキングステーションの一例である。
【0069】
図4Bに示すように、ナビゲーション装置200は、例えば、アーム292に対してナビゲーション装置292をスナップ接続することで、ドッキングステーションのアーム292にドッキング若しくは接続することができる。図4Bにおける矢印で示すように、ナビゲーション装置200は、アーム292上で回転可能である。ナビゲーション装置200とドッキングステーションとの間の接続を解除するためには、例えば、ナビゲーション装置200上のボタンを押下すればよい。ナビゲーション装置をドッキングステーションへと結合し、及び結合を解除するための、他の同等に適した構成もまた、当業者にはよく知られている。
【0070】
ここで添付図の図5を参照すると、メモリ資源230は、ブートローダプログラム(図示せず)を格納しており、このプログラムは、プロセッサ210で実行されて、機能ハードウェアコンポーネント460の実行のために、メモリ資源230からオペレーティングシステム470をロードする。オペレーティングシステム470は、アプリケーションソフトウェア480を実行しうる環境を提供する。オペレーティングシステム470は、機能ハードウェアコンポーネント460を制御する働きをし、アプリケーションソフトウェア480と機能ハードウェアコンポーネント460との間に存在する。アプリケーションソフトウェア480は、たとえば地図閲覧機能、経路計画機能、ナビゲーション機能及びそれに関係する他のすべての機能などのナビゲーション装置200のコア機能をサポートするGUIを含む操作環境を提供する。モジュールの中でもとりわけ、アプリケーションソフトウェア480は、経路計画モジュール482、移動時間解析器モジュール484、交通情報処理モジュール486、及び交通遅滞進展解析器488を有してもよい。これらのモジュールは個別に示されているが、この表現が単に理解を助けるためであることは理解されるであろう。機能はモジュール間で重なり合ってもよい、及び/又は1つのモジュールは1つ以上の他のモジュールを備えてもよい。
【0071】
メモリ資源230は、地図データベース又はデジタル地図490も格納するが、それらは、(1)視覚的地図表示の生成及び(2)経路計画及びナビゲーションに必要な道路及び交差点の位置、のために使用される情報の電子表現である。デジタル地図490は、データの唯一の収集物として編成されてもよいし、また複数の個別の情報構成要素として編成されてもよい。デジタル地図490に表される各道路区間に関して、デジタル地図は、道路区間についての補助情報を有する。例えば図6aを参照すると、簡単な形態では、補助情報は、1つ以上の道路区間長500、その道路区間の制限速度502及び/又はその道路区間の移動に要する典型的な移動時間504を含んでもよい。移動時間情報は、経路計画ソフトウェアが出発地点から目的地点までの経路の移動期間を予測するのを可能にし、移動時間を最短にする経路の選択を最適化可能にするので重要である。
【0072】
ここで留意すべきは、図6aにおいて、情報項目のすべては、明示的に表される必要がないことである。情報のある項目は、別の項目から暗示的に導出されてもよい。例えば、典型的な移動時間は明示的に含まれなくてもよい。代わりに、道路区間の平均速度は、制限速度の0.8倍などの制限速度の一定の割合と想定して計算されてもよい。この場合、典型的な移動時間は、道路区間長を平均速度で割ることで計算されてもよい(例えば、典型的な移動時間=距離/(0.8×制限速度))。
【0073】
より高度な形態の図6bを参照すると、道路区間の補助情報は、道路区間長500、制限速度502、ならびに異なる時刻及び/又は異なる日の複数の移動時間プロファイル506を有してもよい。各プロファイル506は、移動時間を計算するための時間又は任意の他のパラメータで表されてもよい移動時間指標508を有する。例えば、移動時間指標508は、上の説明と同様に制限速度の割合として平均乗物速度を表す、割合の形態をとることができよう。移動が遅いとき、この割合は小さい。移動が比較的速いとき、この割合は1に向けて大きさを増す。各移動時間プロファイル506は、プロファイルが有効である時刻及び/又は日を示す、時刻及び/又は日有効(validity)時間帯(ウインドウ)510に関係してもよい。例えば、ウィークデーの朝のピーク時プロファイルに関しては、時刻及び/又は日時間帯は、月曜〜金曜の8:00〜10:00を表してもよい。有効時間帯510は、プロファイルを使用して明示的に示されてもよいし、また同じ時間帯が地図の特定地域(町など)又は地図全体に対して適用されてもよく、この場合、有効時間帯510は暗示されており、明示的に表される必要はない。移動時間指標508は、天候(例えば、良い、悪い)又は乗物の種類(例えば、自動車、貨物用乗物)などの異なる基準に従って、それ自体再分割されてもよい。
【0074】
デジタル地図490に加えて、メモリ資源230は、経路計画モジュール482が考案した計画済みのナビゲーション経路、及び/又は以前計画され、ユーザが格納することを選択した1つ以上の事前計画済み経路も格納してもよい。例えば、このような事前計画済み経路は「好みの経路」と呼ばれてもよい。これらの経路を格納することによって、出発地点、目的地点、及び経路選択基準などの経路詳細を再入力する必要なしに、経路詳細の読み出しが可能になる。
【0075】
一形態では、ナビゲーション装置200は、実況交通情報を処理できる。本明細書で使用する限り、用語「実況交通情報」は、外部情報源から受け取り、かつ交通データの観測情報を提供する交通情報を意味する。情報は、現在の観測に基づいているという意味において「実況」であるが、処理及び伝達が情報のスループットを遅らせることがあることは理解されるであろう。実況交通情報の例には、前述のRDS−TMC及びHD−Trafficのデータを含む。RDS−TMCの情報は、最大30〜60分遅れることがある。その理由は、RDS−TMCチャネルの情報容量が情報のスループットを制限し、情報の全フレームを新たにするのに最大30〜60分かかることがあるからである。HD−Trafficのデータは、はるかに新しく、伝送チャネル容量による伝送への影響が少ない。ナビゲーション装置200は、実況交通情報を受信及び復号する受信機を有してもよいし、またナビゲーション装置200は、実況交通情報を受信する別の受信機にI/Oポート270を介して結合されてもよい。この別の受信機は、例えばFMラジオ又はセルラ電話装置であることができよう。実況交通情報は、必要なら交通情報処理モジュール486で復号される。
【0076】
好ましい実施形態の1つの任意的な態様は、交通遅滞進展解析器488である。解析器488は、交通遅滞がこれから先どのように進展しうるかを予測するために実況交通情報を処理する。図7は、図8に示される交通遅滞600に関して、そのようなプロセスのための一般的ステップを概略的に示す。プロセスは、各交通遅滞600に対して実行されるループ602を有する。ステップ604は、任意的なステップであり、関心のある経路に沿って起こる交通遅滞だけを選択することによって、処理及び/又はデータ保存の負担を抑える。用語「沿う(along)」は、関心のある経路及び状況に応じて関心のある経路の近く(ここの遅滞がこれから先関心のある経路に及ぶかもしれないし、また関心のある経路の再計画が必要な場合に重要かもしれない)の交通遅滞を含む。関心のある経路は、現在選択されている経路でもよいし、また1つ以上の事前格納済み(「好み」)の経路も含んで、ユーザが現在選択していないときでさえ、そのような経路の情報が最新に維持されうるようにしてもよい。ステップ604が実施されない場合、すべての遅滞に対して処理を続ける。
【0077】
ステップ606では、移動時間に対するそれぞれの遅延が時間閾値を超えるかどうかを判定することにより、2番目の任意的な選別テストを適用する。閾値は、軽微な遅滞を省略しうるように選択される。閾値は、例えば約5分でもよい。ステップ606は、任意的にステップ604と組み合わせて実施されてもよいし、また代替として、所望であればステップ604と606の両方とも省略できよう。
【0078】
ステップ608では、現在の交通遅滞情報及び交通遅滞情報の発生時刻を表すタイムスタンプを格納して、長期にわたるそれぞれの遅滞に関する遅滞情報の時刻インデックス付き又は時間順の履歴を作成する。交通遅滞情報は、地図上の1つ以上の遅滞開始地点600a、遅滞を通過するための移動時間遅延600b、渋滞長600c(物理的長さ)、地図上の遅滞終了地点600dを含んでもよい。
【0079】
ステップ610では、遅滞情報の履歴を分析し、時刻遅滞履歴に基づく統計的推定を使用して、移動時間の遅延がこれから先どのように進展するかを予測する。現在及び過去の値に基づきこれから先の変化を予測する種々の推定技術が、統計分析分野で知られている。ステップ610ではまた、例えば、遅滞は不変か、増加しているか、それとも縮小しているか、及び/又は遅滞自体が経路に沿って進んでいるか(例えば、速度の遅い乗物によって引き起こされている場合)どうかなどによって遅滞を分類してもよい。次いでループ602は、処理を待つ次の交通遅滞に対して繰り返される。
【0080】
図9は、分析ステップ610のより詳細なサブステップを示す。サブステップ612では、遅滞の値は、ステップ606で格納された履歴から、時間t2だけさかのぼる期間にわたってt1の間隔で読み出される。データサンプル数はt2/t1である。間隔t1の値は、例えば約1秒、又は約2秒、又は約5秒、又は約10秒、又はより大きい値もしくはそれらの間の任意の値でもよい。t2の値は、状況に応じてt1より約100〜150倍大きくてもよい(従って、処理のために約100〜150のサンプルをもたらす)。追加又は代替で、t2の値は、約500秒、55秒、600秒、700秒、又は1000秒、あるいはより大きい値もしくはそれらの間の任意の値でもよい。典型的な値は、t1=5秒及びt2=600秒で、処理のために120のサンプルをもたらすであろう。ステップ614で、統計的推定がこれら離散値に適用され、遅滞の種類を分類し遅滞パラメータを定める。分類及び関連パラメータは、以下の1つ以上を含んでもよい。
(a)移動時間遅延は不変か、増加しているか、それとも減少しているか。増加しているか又は減少している場合、変化率(及び状況に応じて変化の加速率)。
(b)遅滞は動いているかそれとも止まっているか。動いている遅滞は、始点と終点の両方が同じ方向に進むことによって示されることがある。動いている場合、移動速度(及び状況に応じて変化の加速率)。
(c)遅滞は始点(例えば、経路で遭遇する最初の地点)で増加しているか/減少しているか、及び増加/減少のそれぞれの率。
(d)遅滞は終点(例えば、経路で遭遇する最後の地点)で増加しているか/減少しているか、及び増加/減少のそれぞれの率。
(e)所定の閾値に対する遅延時間の大きさに応じて小、中又は大として、移動時間に対する遅延を分類。
【0081】
ステップ616では、分類及びパラメータがメモリ資源に格納される。
【0082】
上記の技術は、遅滞履歴の格納及び分析に基づき、交通遅滞がこれから先どのように進展しうるかの予測を可能にする。これは、実況交通情報と事前格納済み移動時間プロファイルとの間の大きな差を埋め合わせる。実況交通情報がどんな過去の内容もこれから先の予測情報も含んでいないときでさえ、上記の技術は、交通遅滞進展の予測を可能にできる。
【0083】
受信した実況交通情報を処理するナビゲーション装置200で使用されるものとして、上記の技術が説明された。一代替として、そのような予測処理は、実況交通情報を送信又は放送する前に発信側で適用できよう。例えば、追加のデータフィールドを実況交通情報に含めることができよう。追加のデータフィールドは、上記の分類及びパラメータの1つ以上を表すことができよう。これは、各ナビゲーション装置200における処理負担を軽減可能にしうる。これはまた、予測の一致を確実にすることに加えて、実況交通情報の価値も増加しうる。
【0084】
実況交通情報からの予想遅延時間の使用、又は実況交通情報に対する予想遅延時間の使用は、経路計画及び分析を補助するのに極めて有用である。そのような情報は、実況交通情報との間の現在の情報の隔たりを埋めうる。
【0085】
図10を参照すると、一形態では、ナビゲーション装置200は、ナビゲーション経路632及びすべての交通遅滞634を示す地図ビュー630を生成することができる。交通遅滞634は、例えば実線(例えば赤色)を用いて、任意の適切に警告するやり方で示されてもよい。線の長さは、地図ビュー630上に投影された渋滞長に相当してもよい。遅滞の特徴は、そばに、又は開/閉可能なサブウインドウの中に表示されてもよいし、またアイコン636で表されてもよい。
【0086】
好ましい形態では、ナビゲーション装置200は、地図ビューの中にアイコン636を生成する。図11を参照すると、アイコン636は、移動時間遅延の大きさに対応する大きさ(例えば長さ)を有する。アイコン636は、それ自体が矢印か又は周囲の線もしくは輪に囲まれた矢印の形態を取ってもよい。アイコン636はまた、(1)移動時間遅延の大きさ、又は(2)遅延が現在増加、減少それともは安定しているかに応じて、色づけされてもよい。例えば、赤のアイコンは、遅延が現在増加していることを示してもよく、黄のアイコンは、遅延が安定していることを示してもよく、また緑のアイコンは、遅延が現在縮小していることを示してもよい。
【0087】
交通遅滞が所定の閾値より大きい割合で増加していると判定される場合、この経路の移動に対して遅滞の混乱が急速に増加しているとユーザに警告するために、追加の警告が生成されてもよい。追加の警告は、例えば警告音でもよい。
【0088】
交通遅滞が中規模であり、比較的長い時間安定していると判定される、及び/又は少ししか又は全く動きを示さない場合、遅滞は、道路工事及び/又は事故によって引き起こされた持続的な交通渋滞を表すことがある。このような交通遅滞は、長い時間存在し続けることがあるので、異なる表示表現及び/又はアイコンが使用されてもよい。
【0089】
図12を参照すると、好ましい実施形態の第2の任意的な態様は、経路の移動時間を分析し、移動状況が現在良好かどうかの表示出力を生成する移動時間解析器484である。分析を実行するために、移動時間解析器484は、以下の情報入力の1つ以上を受信する。それらは、デジタル地図490からの地図情報入力650と、受信実況交通情報の実況交通情報入力652と、外部気象情報源から受信したか又は車載降雨センサ(図示せず)などの適切なセンサにより感知した気象情報654とである。
【0090】
一形態では、移動時間解析器484は、経路の移動時間が現在増加、減少それとも安定状態にあるかの表示出力を生成するように構成される。そのような情報は、仮にユーザが短期間待つとしたら、ユーザが今移動を開始するのに比べて、移動時間が長いか、短いかそれとも同じかをユーザに示す効果的なやり方である。これは、移動時間が短くなるであろう場合、ユーザが今移動を開始すべきかそれとも短期間待つべきかの、簡単かつ非常に直感的な表示をユーザに提供する。
【0091】
別の形態では、移動時間解析器484は、追加又は代替で、経路の移動時間が「平均より悪い」すなわち平均より長いか否かを示す警告信号を生成するように構成されてもよい。追加又は代替で、予想移動時間が平均より短い(及び/又は少なくとも平均より長くない)場合、好意的な表示が生成されてもよい。運転者が渋滞又は遅滞を避けることを望む場合、これは、ユーザが移動を開始すべきかそれとももっと長く待つべきかの決定を可能にしうる。
【0092】
このような機能の実施のための処理についてこれより説明する。
【0093】
移動時間解析器が、移動時間が現在増加、減少それとも安定状態にあるかを分析する形態について、図13〜15を参照する。移動時間の最も正確な計算は、実況交通情報入力652から得られうる。移動時間解析器484は、経路に影響を及ぼしている交通遅滞がどのように進展するかを予測するために、交通遅滞進展解析器488を呼び出してもよい。簡単な実施例においては、経路の交通遅滞は、互いに同期した時刻に、すなわち同時に遅滞に遭遇したかのように分析され、現在の乗物位置からそれぞれの交通遅滞がどのくらい離れているかを考慮しない。図13を参照すると、移動時間解析器が実行するステップは、1番目のループ600を含み、ステップ661において、現在の移動時間遅延の累計又は現在合計高(現在の遅延を伴う移動を開始する場合の経路上での遅延の現在合計高を意味する)を生成するために、経路に沿った各交通遅滞による現在の移動時間遅延を合計する。これに続いて、一定の時間間隔で各交通遅滞に対する移動時間遅延のこれから先の進展を予測するために、ステップ663で遅滞進展解析器488を呼び出す2番目のループ662がある。これから先の時間間隔は、少なくとも約5分でよいが、より好ましくは少なくとも約10分である。これから先の時間間隔は約30分未満でよいが、好ましくは約20分未満である。例えば、これから先の時間間隔は約15分でもよい。ステップ664では、経路に沿った、これから先の合計移動時間遅延(これから先に予測される値の遅延を伴う移動を開始する場合の、経路上での遅延の現在合計高を意味する)を生成するために、予想移動時間遅延を合計する。ステップ666では、1番目のループ660で取得された現在の合計移動時間遅延を2番目のループ662で取得されたこれから先の合計移動時間遅延と比較し、それぞれの状態を示す情報出力信号を生成する。
(a)現在の遅延はこれから先の遅延より小さい(遅滞状態は増加している)
(b)現在の遅延はこれから先の遅延と同等である(遅滞状態は安定している)
(c)現在の遅延はこれから先の遅延より大きい(遅滞状態は減少している)
【0094】
所望であれば、大きさにおいて量子化値より大きい差だけが状態(a)又は(c)を示すように、比較は、所定の量子化値(例えば5分)又は合計移動時間の所定の割合(例えば5%)で量子化されてもよい。大きさにおいて量子化値より小さい差は、同等と見なされ、状態(b)を示す。
【0095】
表示出力は、この場合もやはり図11の矢印アイコンなどのアイコンを使用して示されてもよい。アイコンには、遅滞に関する時間情報が添えられてもよい。時間情報は、例えば移動時間の差及び/又は現在の移動時間とこれから先の移動時間の一方又は両方を示してもよい。出力信号は、仮にユーザが短期間待つとしたら(例えば15分)、ユーザが今移動を開始する場合に比べて、移動時間が長い、短いそれとも同じかをユーザに示す効果的なやり方である。これは、ユーザが直ぐに移動を開始すべきか、それとも15分などの短期間待つべきかについて簡単かつ非常に直感的な表示を提供する。
【0096】
図14は、図13に基づくプロセスのより洗練されたバージョンを示す。交通遅滞の各事例に対して現在の移動時間遅延を使用する代わりに、現在の乗物位置と交通遅滞との間の距離に応じて時刻オフセットが適用される。遅滞進展予測器488はそれぞれの時に呼び出されるが、遅滞進展予測器488は乗物が遅滞に遭遇するであろう予想される時刻点を表す、未来の異なる時刻点について呼び出される。例えば、仮想の経路移動が現時刻に開始される場合でさえ、経路に沿って10kmのところにある遅滞に到着するまで、これから先約10分はかかるかもしれない。時刻オフセットはこれを補償する。時刻オフセットは、経路計画モジュール482が計算する累計移動時間カウンタに基づいてもよいし、また乗物位置と交通遅滞との間の距離に対する、経路を通した概算の平均速度による除算に基づいた概算でもよい。図14では、1番目のループ600のステップ661の前に、上で説明したように各交通遅滞発生に適用するそれぞれの時刻オフセットを決定する最初のステップ558と、時刻オフセットに基づき遅滞進展予測器488を呼び出すステップ559とがある。ステップ661は、経路に沿ってそれぞれの時間遅延を合計し、現在の合計移動時間遅延(現時刻に移動を開始する場合の移動時間の合計遅延を意味する)を生成する。2番目のループ662では、追加のステップ665が時刻オフセットにこれから先の時間間隔を加える。例えば、各オフセットは、未来に向かって15分だけ増加されてもよい。次いでステップ663では、増加された時刻オフセットに基づき遅滞進展予測器488を呼び出し、それから方法は前述のように続く。この洗練されたプロセスは、経路に沿って交通遅滞に遭遇するであろうそれぞれの時間を用いて、より正確な遅滞のパターンを生成しうる。
【0097】
図15は、デジタル地図490の一部として移動時間プロファイル506が与えられる場合に、代わりに移動時間プロファイル506に基づき類似の情報を生成する代替技術を示す。この代替技術は、ナビゲーション装置が実況交通情報を処理する能力を備えていない場合、又はそのような実況交通情報が利用可能でない場合に使用されてもよい。移動時間プロファイル506は、デジタル地図情報490とともに事前格納されているので、追加の情報ストリームの受信に頼らない。前の技術において見られるように、時刻オフセット有り及び無しの2つの類似の技術が、使用されてもよい。
【0098】
図15を参照すると、より簡単な方法が備える1番目のループ672は、ナビゲーション経路に沿った各経路区間に関して、現在の時刻及び日に基づき経路区間の移動時間プロファイル506を分析する第1のステップ673と、経路に沿って移動時間を合計し現在の移動時間現在合計高を生成するステップ674とを備える。2番目のループ675において、各経路区間に関して、ステップ676では、未来に向かってある時間間隔後に対応する移動時間プロファイル506を分析する。これから先の時間間隔は、図13及び14で使用される時間間隔と同じでもよく、典型的な値は約15分である。ステップ678では、これから先の時間間隔後の経路に沿った移動時間を合計して、これから先の移動時間現在合計高を生成する。ステップ680では、1番目のループ672から取得した現在の移動時間と2番目のループ675から取得したこれから先の移動時間とを比較し、上述のステップ666と同様に出力信号を生成する。
【0099】
より洗練された形態では、方法は、任意的なステップ670及び677を加え、特定の道路区間に到達するまでに乗物が要する時間長を反映するために時刻オフセットを適用する。この方法では、オフセットは、ステップ674又は678でそれぞれ計算された移動時間の累計(rolling sum)から直接読み取られてもよい。
【0100】
さらなる代替形態では、移動時間解析器484は、実況交通情報に基づく技術(例えば、図13又は14)と移動時間プロファイル506に基づく技術(例えば、図15)の両方を、組み合わせて使用してもよい。そのような組み合わせの方法は、例えば事故、又は信号故障、又は故障乗物、又は速度の遅い乗物によって引き起こされるかもしれない、異常でいつもと異なる交通遅滞に実況交通情報が限定される場合、特に役立つことがある。いつもの交通遅滞に関する情報は、依然として移動時間プロファイル506から取得されてもよい。上述の方法は、順々にか又は並行して実行されてもよく、それぞれの「現在」及び「これから先」の時間情報が最終比較の前に一緒に合計される。
【0101】
図16は、移動時間解析器484からの第2の形態の出力指標の処理、すなわち経路の移動時間の平均値との比較を示す。ステップ700では、移動が現時刻に開始されると想定した移動に対する、予想移動時間の計算を備える。移動時間は、以下の任意の1つ以上を参照して計算されてもよい。
(a)事前格納済み移動時間プロファイル506
(b)受信実況交通情報
(c)気象情報。天候のタイプは、事前格納済みの移動時間プロファイルが細分類されている特性の1つでもよい。あるいは、ナビゲーション装置は、悪天候で移動時間が増加する統計的平均を表す悪天候倍率によって、移動時間を増加してもよい。
【0102】
予想移動時間が受信実況交通情報に基づいている場合、所定の閾値より短いか又はそれを超えない移動時間遅延は、処理負担を減少するために、状況に応じて取るに足らないとして無視してもよい。この閾値は、例えばステップ606で使用される閾値と同様であってもよい。通常、閾値は約5分である。任意的に、乗物が交通遅滞の地点に到達することが予想される未来の時点へと遅延時間を外挿するために、移動時間遅延進展解析器188が呼び出されてもよい。
【0103】
ステップ702は、移動に関する平均移動時間の決定又は計算を備える。平均移動時間に関する情報源は、予想移動時間に関する情報源と異なってもよい。例えば、ステップ700において予想移動時間が受信実況交通情報を使用して計算される場合、ステップ702は、デジタル地図情報例えば移動時間プロファイル506からの平均移動時間を取得することを含んでもよい。移動時間プロファイル506は、収集した乗物移動データの履歴の平均に既に基づいているので、平均化機能は追加で実施されなくてもよい。
【0104】
あるいは、平均移動時間に関する情報源は、例えば両方とも事前格納済み交通プロファイル506に基づくなど、予想移動時間を計算する情報源と同じでもよい。このような場合は、好ましくはステップ702で、例えば1日全体にわたって移動時間プロファイル506を平均化することによって、及び/又は同じ時刻だが異なる曜日、月及び/又は年の移動プロファイルを平均化することによって移動時間の平均値を取得するように、さらに平均化計算の実行を備える。このような平均化計算の実行は、(1)予想移動時間と平均移動時間との間の幾分の差別化又は非依存性を確実にする、及び/又は(2)平均移動時間が予想移動時間より変動の少ない移動時間の基準を表すのを確実にする。
【0105】
ステップ704では、予想移動時間と平均移動時間が比較され、予想移動時間が平均より長いかどうかに応じて表示が生成される。所望であれば、追加の閾値も比較に使用できよう。
(a)は(予想移動時間)>(平均移動時間+閾値)。この計算は平均移動時間を閾値の値だけ増加させ、それによって予想移動時間が平均移動時間とおおむね差がないとき、「平均より悪い」警告表示生成の確率を減少する。
(b)は(予想移動時間)>(平均移動時間−閾値)。この計算は平均移動時間を閾値の値だけ減少させ、それによって予想移動時間が少なくとも閾値の値だけ平均移動時間に勝らない限り、平均より悪い表示を生成する。
【0106】
同様にステップ704では、単に2つの状態の代わりに3つ以上の表示状態を使用できよう。3つの表示状態は、「平均より良い(平均より短い)」、「平均と同じ」又は「平均より悪い(平均より長い)」を含むことができよう。予想移動時間と平均移動時間との間の差の大きさが量子化閾値より小さい場合、表示出力が「平均と同じ」であるように、閾値は比較を量子化するために使用できよう。
【0107】
上記の両方において、閾値は所定の値でもよいし、またユーザが設定可能又は調節可能でもよい。
【0108】
ステップ704における移動時間の表示は、警告音などの音の生成を備えてもよい。異なる音が異なる比較状態を示すために使用されてもよい、及び/又は比較状態が変化するとき、特殊な警告音が生成されてもよい。
【0109】
図12を参照すると、移動時間解析器484は、外部入力750に応答して、ユーザのコマンドがありしだい処理を開始してもよい。あるいは、移動時間解析器484は、自主的又は半自主的に処理を繰り返して、バックグラウンド機能を提供し、かつ予想移動時間を監視する移動時間レーダの機能を果たすように構成されてもよい。例えば、外部入力750は、ユーザのコマンドであるのに加えて、ナビゲーション装置200を操作するユーザを示してもよい。ユーザが装置の操作を所定の期間停止後、移動時間解析器の処理は停止してもよい。あるいは、ユーザは、移動時間解析器484の操作に関する時間基準を事前にプログラムしてもよく、そしてタイマモジュール752が、適切な操作時間にトリガを生成してもよい。例えば、ユーザは、例えば毎ウィークデーの朝の8:00〜10:00などの特定の時間帯に関して、現在の経路(又は「好み」として格納済みの経路)の予想移動時間を移動時間解析器484が監視するのを望むと決定してもよい。開始時刻及び終了時刻は、タイマモジュール752にプログラムされてもよく、現時刻が所望の操作時間帯内にあるとき、タイマモジュール752は周期的に計算トリガを生成する。さらなる代替として、タイマモジュール752は、ナビゲーション装置を運用中のときはいつでも、移動時間解析器484に対する計算トリガを周期的に生成するように継続してもよい。
【0110】
関心のある特定の経路に関して時間関連情報を提供するために移動時間を監視するのと同じ原理は、交通の流れなどの他の交通遅滞パラメータに拡張されてもよい。多くのユーザが最速の経路での経路計画を通常望むが、他のユーザは、経路が目的地点への最速の経路でないかもしれない場合でさえ、渋滞遅滞のない自由に流れる経路を望むことがある。自由に流れる経路は、ユーザが運転するのにストレスが少ないことがある。
【0111】
上記の技術は、移動時間及び/又は交通遅滞に関して、移動時間情報の監視及びユーザに役立ち直感的に分かる指標の生成を可能にする。指標は、大量の時間関連情報を聴くか又は読むために注意をそらす必要がなく、ユーザが理解しやすい。所望なら、移動時間情報はさらに、特定の時間枠にわたって記録又は計算され、グラフ形式でユーザに視覚的に提示され、ユーザが所望の移動をする最適の時刻を特定できるようにしてもよい。グラフ形式は、ナビゲーション装置200のディスプレイ上に表示されてもよいし、また例えばプリンタを装備した外部コンピュータへの通信接続を使用するなどして印刷されてもよい。
【0112】
本発明の種々の態様及び実施形態についてこれまで説明してきたが、本発明の範囲が本明細書に記載の特定の構成に限定されず、代わりに添付の特許請求項の範囲内に入るすべての構成ならびにそれへの修正及び変更を包含するように拡張されることは理解されるであろう。
【0113】
例えば、前述の詳細説明で記載の実施形態はGPSに言及しているが、ナビゲーション装置は、GPSの代替として(又は実際にはGPSに加えて)、どんな種類の位置検出技術を利用してもよいことに注目すべきである。例えば、ナビゲーション装置は、欧州ガリレオシステムなどの他の全地球ナビゲーションシステムの使用を活用してもよい。同様に、ナビゲーション装置は、衛星を基礎にしたものに限定されず、地上ビーコン又は装置にその地理的位置を測定可能にさせる任意の他の種類のシステムを使用して直ちに機能できよう。
【0114】
好ましい実施形態はソフトウェアを用いてある種の機能を実施するが、その機能はハードウェアだけで(例えば、1つ以上のASIC(アプリケーション固有集積回路)を用いて)、又は実際にはハードウェアとソフトウェアの混合で同様に実施できることも、当業者は十分に理解するであろう。このような状況から、本発明の範囲は、ソフトウェアでの実施だけに限定されると解釈されるべきでない。
【0115】
最後に、添付の特許請求項は、本明細書に記載の特徴の特定の組み合わせで記載されているが、本発明の範囲は、これ以降に請求する特定の組み合わせに限定されず、代わりに特定の組み合わせが今回添付の特許請求の範囲内に具体的に列挙されているか否かにかかわらず、本明細書に開示の特徴又は実施形態のどんな組み合わせも包含するように拡張されることにも注目すべきである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置及びナビゲーション情報を提示する方法に関する。本発明の例示の実施形態は、ポータブルナビゲーション装置(いわゆるPND)、特に全地球測位システム(GPS)信号の受信及び処理機能を有するPNDに関する。その他の実施形態は、より一般的に、経路計画機能そして好ましくはナビゲーション機能も提供するために、ナビゲーションソフトウェアを実行するように構成されたあらゆる種類の処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
GPS(全地球測位システム)信号の受信及び処理機能を有するポータブルナビゲーション装置(PND)は、乗物搭載型ナビゲーションシステム又は自動車以外の乗物のナビゲーションシステムとしてよく知られており、また広く使用されている。
【0003】
一般論として、最新のPNDは、プロセッサと、メモリ(揮発性及び不揮発性の少なくとも一方、そして普通は両方)と、このメモリ内に格納された地図データとを備える。このプロセッサとメモリは、協力して実行環境を提供し、この環境の中でソフトウェアのオペレーティングシステムが立ち上がりうる。また、よくあることだが、1つ以上の付加的なソフトウェアプログラムが提供されていて、PNDの機能を制御可能にするとともに、種々の他の機能を提供可能にしている。
【0004】
通常これらの装置は、ユーザによる装置の操作及び制御を可能にする1つ以上の入力インタフェースと、それを用いてユーザに情報を中継しうる1つ以上の出力インタフェースとをさらに備える。出力インタフェースの具体例には、画像表示装置及び可聴出力用のスピーカを含む。入力インタフェースの具体例には、装置のオン/オフ操作又は他の機能を制御するための1つ以上の物理的ボタン(このボタンは必ずしもそれ自体を装置上に設置する必要はなく、装置を乗物に組み込む場合、ステアリングホイール上に設置できよう)と、ユーザの音声を検出するマイクとを含む。特に好ましい構成では、出力インタフェースディスプレイが、(接触感応オーバレイ又は他の手段を用いて)接触感応ディスプレイとして構成され、ユーザが触れることにより装置を操作しうる入力インタフェースを追加で提供してもよい。
【0005】
この種の装置は、1つ以上の物理的接続インタフェースもたいてい有し、このインタフェースを用いて、装置は、電力及び状況に応じてデータ信号を送受信しうる。また、状況に応じて1つ以上の無線送信機/受信機も有し、例えばWiFi、Wi−MAX GSMなどのセルラ通信ならびに他の信号及びデータのネットワークを通じた通信を可能にする。
【0006】
この種のPND装置は、GPSアンテナも有し、このGPSアンテナを用いて位置データを含む衛星放送信号を受信し、続いてそれを処理して、この装置の現在位置を測定することができる。
【0007】
PND装置はまた、電子ジャイロスコープ及び電子加速度計も有してもよく、これらが作り出す信号を処理して、現在の角加速度及び線加速度を測定でき、さらにはGPS信号から導出される位置情報とともに処理して、この装置ひいては装置が搭載されている乗物の速度及び相対変位を測定できる。通常このような特徴は、乗物搭載型のナビゲーションシステムが最もよく備えるが、もしこのような特徴を備えるのが都合良いなら、PND装置にも備えられてもよい。
【0008】
このようなPNDの有用性は、第1の場所(通常は出発地点又は現在位置)と第2の場所(通常は目的地点)との間の経路を決定する能力に主に現れる。これらの場所は、装置のユーザが多種多様の異なる方法のいずれかで入力しうる。例えば郵便番号、住所、事前格納済みの「周知」の目的地(有名な場所、公共の場所(運動場又はスイミングプール等)及び他の主要な場所等)、及びお気に入りの場所又は最近訪問した目的地などで入力しうる。
【0009】
通常、PNDの機能は、地図データから出発住所位置と目的住所位置との間の「最善の」又は「最適な」経路を計算するソフトウェアによって有効になる。「最善の」又は「最適な」経路は、所定の基準に基づいて決定され、必ずしも最速の経路又は最短の経路である必要はない。運転者を案内する経路の選択は、非常に精巧にできる。経路の選択に当たっては、現在の道路交通情報、予測される道路交通情報、動的に受信され若しくは無線で受信され又はこの双方である道路交通情報、道路上の速度に関する履歴情報、ならびに道路選択を決定する要因に関する運転者自身の好み(例えば、運転者は経路が高速道路又は有料道路を含むべきでないと指定してもよい)を勘案してもよい。
【0010】
また、装置は、継続的に道路交通状態を監視し、状態の変化に応じて残りの道のりで取るべき経路の変更を提案又は選択してもよい。種々の技術(例えば、移動電話データ交換、固定カメラ、GPSフリートトラッキング)に基づくリアルタイム交通監視システムは、交通遅滞を識別し、その情報を通知システムに供給するために使用されている。
【0011】
この種のPNDは、乗物のダッシュボード又はフロントガラスに通常取りつけられてもよいが、乗物無線のオンボードコンピュータの一部として、又はそれどころか乗物自体の制御システムの一部としても形成されてもよい。ナビゲーション装置はまた、PDA(携帯情報端末)、メディアプレーヤ、移動電話機又は同種のものなどのハンドヘルドシステムの一部でもよい。この場合には、ハンドヘルドシステムの通常の機能が、経路計算と計算した経路に沿ってのナビゲーションとの両方を実行するソフトウェアを装置にインストールすることによって拡張される。
【0012】
経路計画及びナビゲーション機能はまた、適切なソフトウェアを実行する卓上型又は移動型の計算資源によって提供されてもよい。例えば、ロイヤルオートモービルクラブ(RAC)は、http://www.rac.co.ukでオンライン経路計画及びナビゲーション手段を提供している。この手段により、ユーザは出発地点及び目的地点を入力可能になり、入力すると直ぐにユーザのPCに接続されたサーバが、ユーザが選択した出発地点から選択した目的地点までユーザを案内する経路(経路の態様はユーザ指定でもよい)を計算し、地図を生成し、精緻なナビゲーション命令セットを生成する。この手段はまた、計算経路の疑似的な3次元表示を提供し、ユーザが経路に沿って移動するのをシミュレートすることによって、ユーザに計算経路のプレビューを提供する経路プレビュー機能も提供する。
【0013】
PNDに関しては、経路が計算されしだい、ユーザは、ナビゲーション装置を操作して、状況によっては提案経路のリストの中から、所望の計算経路を選択する。必要に応じて、ユーザは、この経路選択プロセスに介入又はそれをガイドしてもよい。例えば特定の移動に関して、特定の経路、道路、地域又は基準を避けるべきか、又はそれらは必須であると指定してもよい。PNDの経路計算の態様は、1つの主機能であり、このような経路に沿ったナビゲーションはもう1つの主機能である。
【0014】
計算経路に沿ったナビゲーション中、このようなPNDが視覚命令及び/又は可聴命令を提供し、選択した経路に沿って経路の終点すなわち所望の目的地点までユーザを案内するのが普通である。またPNDが、ナビゲーション中に地図情報を画面上に表示するのも一般的であり、その情報は画面上で定期的に更新されて、表示される地図情報が装置の現在位置を表し、それ故、ユーザの現在位置又は装置が車内でのナビゲーションに使用されている場合はユーザの乗物の現在位置を表す。
【0015】
画面上に表示されるアイコンは、通常は装置の現在位置を示し、この装置の現在位置の付近の現在及び周辺の道路の地図情報の中心に配置され、他の地図機能も表示される。また、ナビゲーション情報は、任意的に、表示された地図情報の上、下又は片側に、ステータスバーで表示されてもよく、ナビゲーション情報の例には、次の道路変更までにユーザが現在の道路で走る必要のある距離を含み、場合によりその道路変更の特徴が、例えば左折又は右折などの道路変更の特定のタイプを示唆するさらなるアイコンによって表される。ナビゲーション機能はまた、ユーザを経路に沿って案内しうる可聴命令の内容、期間及びタイミングも決定する。理解されるように、「100m先左折」などの簡単な命令も、多くの処理及び解析を必要とする。前述のように、ユーザのこの装置の操作は、タッチスクリーンで行ってもよいし、あるいは追加又は代替で、ステアリングコラムに搭載の遠隔制御装置で、音声起動で、又は任意の他の適切な方法で行ってもよい。
【0016】
装置が提供するさらなる重要な機能は、イベント発生時又は何らかの理由でユーザが積極的に装置に経路再計算を実行させる場合における自動経路再計算である。ここでこのイベントは、ナビゲーション中にユーザが(誤ってか又は意図的に)以前の計算経路から逸れるとき、及びリアルタイムの交通状態から代替経路がより好都合であり、装置がそのような状態を自動的に認識する適切な能力があるときである。
【0017】
ユーザ定義の基準を使用して経路計算が可能なことも知られている。例えばユーザは、景色の良い経路を装置に計算させるのを好んでもよいし、交通渋滞がありそうな道路、予想される道路、又は現在起こっている道路を避けるように望んでもよい。この場合、装置のソフトウェアは、種々の経路を計算し、経路に沿って例えば景勝としてタグ付けされている興味のある点(POIとして知られる)の数を最も多く含む経路により好意的に重みを付ける、又は特定の道路の一般的な交通状態を示す格納済み情報を使用して、ありそうな渋滞のレベル又はそれによる遅延のレベルの点から見て計算経路の順序付けをするであろう。POIに基づく及び交通情報に基づく他の経路計算ならびに他のナビゲーション基準も可能である。
【0018】
経路計算機能及びナビゲーション機能は、PNDの総合的な有用性の基本であるが、純粋に情報表示又は「フリードライビング」のために装置を使用することも可能である。フリードライビングでは、現在の装置位置に関連する地図情報だけを表示し、装置は経路を全く計算せず、ナビゲーションも行わない。このような動作モードは、ユーザが移動を望む経路を既に知っており、ナビゲーション補助を必要としないときに、たいてい適用される。
【0019】
上述のタイプの装置、例えばTomTom International B.V.が製造販売する720Tモデルは、ユーザがある位置から別の位置まで移動するのを可能にする信頼できる手段を提供する。
【0020】
ユーザが、移動する経路になじみがないときに大きな有用性があるだけでなく、多くのユーザは、ユーザ宅と職場との間のようななじみのある移動における経路選択の補助にもナビゲーション装置をやはり使用する。事故及び異なる時刻における交通の流れの変化などの事情は、遅滞及び渋滞を避けるために最適経路の選択を補助する際に、ナビゲーション装置には大きな利点がありうることを意味する。
【0021】
例えばいくつかの国では、交通遅滞に関するデジタル情報が、乗物搭載型のナビゲーション装置に無線送信されうる。一例は、限られた量のデジタル交通情報をFMラジオ放送の一部として多重可能にするRDS−TMC(Radio−Data−System−Traffic−Message−Channel)である。この情報は、適切なFM受信機で分離され、ナビゲーション装置で処理されてもよい。別の例は、個別情報チャネルで大量の最新のデジタル交通情報を提供するために、国際公開第2007/057696号、国際公開第2007/057694号、国際公開第2007/042796号、国際公開第2007/017691号、及び国際公開第02/45046号の番号で公開されているPCT出願に記載される技術を使用する。そのようなシステムは、HD Traffic(High Definition Traffic)の商標名のもとにTomTom International BVが実施している。
【0022】
遅滞情報を受信する代わりに、別の技術は、デジタル地図情報の中にいつもの交通パターンを考慮に入れた異なる時刻の移動時間プロファイルを含めている。この移動時間プロファイルは、異なる時刻に道路を使用する様々な乗物の過去の平均に基づく。この移動時間プロファイルをデジタル地図情報の中に含めることで、ナビゲーション装置がいつもの交通パターンに基づいて経路を計画することが可能になる。移動時間プロファイルは、任意の適切な方法で導出されてもよく、具体的な技術が、例えば国際出願PCT/EP2008/057694号に記載されている。その技術は、IQ Routesの商標名でTomTom International BVが実施している。
【0023】
各技術には、利点と欠点がある。リアルタイム交通情報は、実際の道路交通状態に基づいているので、より正確である。しかし、リアルタイム交通情報は、現時点の情報だけを提供し、交通の流れがこれから先どう進展するかの表示を少しも提供しない。対照的に、事前格納済みの異なる時刻の移動時間プロファイルは、過去の移動の分析に基づいているので、どのように移動時間及びいつもの遅滞が進展するかのパターンを提供する。しかし、事前格納済みの移動時間プロファイルは、本質的に単なる統計であり、予測できない事故、故障した乗物、又は道路工事もしくは信号機故障によって引き起こされる他の遅滞によって影響を受けることがある現在の交通状況の正確なスナップショットを提供しない。
【0024】
さらなる問題は、ナビゲーション装置がアクセスできる交通の流れの情報量が(リアルタイム交通情報であれ事前格納済み移動時間プロファイルであれ)増加するにつれて、そのような情報を簡単だが意味のあるようにユーザに提示するのがますます難しくなることである。車内で使用するとき、ユーザの注意を乗物の運転から逸らさないようにすることが重要である。なぜならこのことは運転者のストレスを増やし、事故の危険を増すからである。
【0025】
本発明は、上記の問題を踏まえて考案された。
【発明の概要】
【0026】
本発明の態様は、特許請求の範囲に規定されている。
【0027】
1つの態様において、好適な実施形態は、移動状況が順調であるか否かを表す表示出力を生成する技術を表し、前記技術は、
ナビゲーション経路について、前記経路を完了するために予想される継続時間を示す予想移動時間情報を算出することと、
前記予想移動時間を前記経路についての平均移動時間と比較することと、
前記比較の結果に応じて、移動状況が順調であるか否かを表す前記表示出力を生成することと、を含む。
【0028】
他の態様において、好適な実施形態は、移動状況が順調であるか否かを表す表示出力を生成する技術を表し、前記技術は、
第1の所定の時刻にナビゲーション経路の少なくとも一部分を通るための第1の移動時間情報を決定することと、
前記第1の所定の時刻とは異なる第2の所定の時刻に前記ナビゲーション経路の前記少なくとも一部分を通るための第2の移動時間情報を決定することと、
移動時間の変化を表す移動時間パラメータを、前記第1及び第2の移動時間情報から決定することと、
前記移動時間パラメータに応じて、前記表示出力を生成することと、
から選択される1以上の特徴を含む。
【0029】
他の態様において、好適な実施形態は、実況交通情報の将来の進展を予想するために当該実況交通情報を処理する技術を表し、前記技術は、
発生時刻のそれぞれにおいて、交通移動時間遅延を示す実況交通情報の項目を受信することと、
発生時刻に関するそれぞれの前記移動時間遅延の変動履歴を生成するために、前記移動時間遅延を示す情報と前記それぞれの時刻とをメモリに格納することと、
前記履歴から、最新の実況交通情報の項目の発生時刻から将来に向かっての予想される前記移動時間遅延の進展を示す、少なくとも1つの前記移動時間遅延の特徴を決定することと、
から選択される1以上の特徴を含む。
【0030】
本明細書で使用する限り、「交通情報(traffic information)」又は「実況交通情報(live traffic information)」という用語は、外部情報源から受け取り、かつ現在の交通データの観測情報を提供する交通情報を指す。情報は、現在の観測に基づいているという意味で「実況」であるが、処理及び伝達が情報のスループットを遅らせることがあることは理解されるであろう。実況交通情報の例には、前述のRDS−TMC及びHD−Trafficを含む。
【0031】
本発明の種々の態様及び実施形態における本発明の特徴及び利点は、(1)移動状態が良好かどうかの表示の直感的で理解しやすい提示、(2)1つ以上の事前格納済み経路についての移動状況を監視し、移動状況について助言又は警告するプロンプト(促し)の生成能力、(3)実況交通情報が示す移動時間遅延がこれから先どのように進展しうるかの予測を導出する能力、(4)実況交通情報の履歴を使用して、履歴からの外挿に基づき交通遅滞がどのように進展しうるかの予測、(5)実況交通情報と事前格納済み移動時間プロファイルとの間の、有用性のある情報のギャップを埋める能力、の中から選択される少なくとも1つを含む。
【0032】
さらなる特徴及び利点は、以降に記載されており、これらの実施形態のそれぞれのさらなる詳細及び特徴は、添付の従属請求項及びその他には以下の詳細説明に規定されている。本明細書に記載及び/又は図面に例示のどの新規な特徴又は着想に対しても、それに強調が行われているか否かにかかわらず、保護を要求する。
【0033】
本発明の教示の種々の態様及びそれらの教示を具体化する構成(arrangement)について、以降では添付の図面を参照して説明に役立つ例を用いて記述する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】全地球測位システム(GPS)の概略図である。
【図2】ナビゲーション装置をもたらすように構成された電子構成要素の概略図である。
【図3】ナビゲーション装置が無線通信チャネルを通じて情報を受信しうるやり方の概略図である。
【図4A】ナビゲーション装置の説明用の斜視図である。
【図4B】ナビゲーション装置の説明用の斜視図である。
【図5】ナビゲーション装置が用いるソフトウェアの概略図である。
【図6A】デジタル地図データベース用の移動時間情報の概略図である。
【図6B】デジタル地図データベース用の移動時間情報の概略図である。
【図7】交通遅滞の進展を予測するプロセスステップを示す概略フロー図である。
【図8】計画されたナビゲーション経路に沿って起こる遅滞の概略図である。
【図9】図7のステップをより詳細に示す概略フロー図である。
【図10】交通遅滞の位置を示す地図ビューの概略図である。
【図11】交通遅滞情報を表す表示アイコンの3つの形態を示す図である。
【図12】移動時間解析器の実装を示す概略ブロック図である。
【図13】実況交通情報を処理する一技術例を示す概略フロー図である。
【図14】図13の技術例の変更例を示す概略フロー図である。
【図15】移動時間プロファイルを処理する一技術例を示す概略フロー図である。
【図16】移動時間解析器で実施可能な別の例を示す概略フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明の好ましい実施形態について、これより特にPNDとの関連で記述する。しかし、本発明の教示はPNDに限定されず、むしろ経路計画及びナビゲーション機能を提供するためにナビゲーションソフトウェアを実行するように構成された、どのタイプの処理装置にもあまねく適用できることを記憶しておくべきである。それ故、本願との関連では、ナビゲーション装置は、その装置がPND、それとも車載のナビゲーション装置、それどころか経路計画及びナビゲーションソフトウェアを実行する(デスクトップもしくはポータブル・パーソナルコンピュータ(PC)、移動電話機、又は携帯情報端末(PDA)などの)計算資源として具体化されるかにかかわらず、あらゆる種類の経路計画及びナビゲーション装置を含む(限定ではない)ことを意図していることになる。
【0036】
本発明の教示は、ユーザがある地点から別の地点へどのように行くべきかの命令を求めておらず、単に所与の場所のビューを提供されることを望む状況においてさえ有用性を有することも以下のことから明らかになるであろう。そのような状況では、ユーザが選択した「目的の」場所は、ユーザがナビゲーションの開始を望む対応する出発場所を有する必要がなく、その結果として「目的の」場所又はもっとはっきり言えば「目的の」ビューにつての本明細書の言及は、経路の生成が必要不可欠である、「目的地点」への移動が行われなければならない、又はもっとはっきり言えば目的地点の存在は対応する開始場所の指定を必要とする、ことを意味すると解釈されるべきでない。
【0037】
以上の但し書きを記憶に留めて、図1は、ナビゲーション装置により使用可能な全地球測位システム(GPS)の一例の図を表す。そのようなシステムは周知であり、種々の目的に使用される。一般に、GPSは、連続的な位置、速度、時間及びいくつかの例においては方向情報を無数のユーザに対して判定できる衛星無線ナビゲーションシステムである。以前はNAVSTARとして周知であったが、GPSは極めて正確な軌道で地球を回る複数の衛星を使用する。これらの正確な軌道に基づいて、GPS衛星は、それらの場所を任意の数の受信装置に中継できる。
【0038】
GPSデータを受信する能力を特別に備える装置がGPS衛星信号に対する無線周波数の走査を開始する場合、GPSシステムは実現される。GPS衛星から無線信号を受信すると、装置は、複数の異なる従来の方法のうちの1つを用いて、その衛星の正確な場所を判定する。殆どの例において、装置は、少なくとも3つの異なる衛星信号を取得するまで信号の走査を継続する(尚、位置は、通常は2つの信号のみでは判定されないが、他の三角測量技術を使用して2つの信号から判定することもできる)。幾何学的三角測量を実現する場合、受信機は、3つの既知の位置を利用して、衛星に対する自身の2次元位置を判定する。これは、周知の方法で行われる。更に、第4の衛星信号を取得することにより、受信装置は、同一の幾何学計算によって周知の方法でその3次元位置を計算できる。位置及び速度データは、無数のユーザにより連続的にリアルタイムで更新可能である。
【0039】
図1に示すように、GPSシステム全体を参照番号100で示す。複数の衛星120は、地球124の周囲の軌道上にある。各衛星120の軌道は、他の衛星120の軌道と必ずしも同期せず、実際には非同期であることが多い。GPS受信機140は、種々の衛星120からスペクトル拡散GPS衛星信号160を受信するように示される。
【0040】
各衛星120から連続的に送信されるスペクトル拡散信号160は、極めて正確な原子時計を用いて達成される非常に正確な周波数標準を利用する。各衛星120は、そのデータ信号送信160の一部として、その特定の衛星120を示すデータストリームを送信する。一般に、GPS受信機140が三角測量によりその2次元位置を計算するために、GPS受信機140は少なくとも3つの衛星120からスペクトル拡散GPS衛星信号160を取得することが当業者には理解される。更なる信号を取得すると、全部で4つの衛星120から信号160を取得する結果となり、これによってGPS受信機140は、その3次元位置を周知の方法で計算できる。
【0041】
図2は、本願の好適な実施形態に従うナビゲーション装置200の電子構成要素の、ブロック構成要素の形式の説明的表現である。尚、ナビゲーション装置200のブロック図は、ナビゲーション装置の全ての構成要素を含むものではなく、構成要素の多くの例を表すにすぎない。
【0042】
ナビゲーション装置200は、筐体(不図示)内に位置付けられる。筐体は、入力装置220及び表示画面240に接続されるプロセッサ210を含む。入力装置220は、キーボード装置、音声入力装置、タッチパネル、及び情報を入力するために利用される他の任意の周知の入力装置のうちの少なくとも1つを含むことができ、表示画面240は、例えばLCDディスプレイ等の任意の種類の表示画面を含むことができる。特に好適な構成において、ユーザが複数の表示選択肢のうちの1つを選択するか又は複数の仮想ボタンのうちの1つを操作するために表示画面240の一部分に接触するだけでよいように、入力装置220及び表示画面240は、タッチパッド又はタッチスクリーン入力を含む一体型入力表示装置に一体化される。
【0043】
このナビゲーション装置は出力装置、例えば可聴出力装置(例えばスピーカ)を含んでもよい。出力装置260がナビゲーション装置200のユーザに対して可聴情報を生成できるため、入力装置240は入力音声コマンドを受信するマイク及びソフトウェアを更に含むことができると理解されるはずである。
【0044】
ナビゲーション装置200において、プロセッサ210は、接続225を介して入力装置220に動作可能に接続され且つ入力装置220から入力情報を受信するように設定される。また、プロセッサ210は、情報を出力するために、表示画面240及び出力装置260のうちの少なくとも一方に出力接続245を介して動作可能に接続される。更に、プロセッサ210は、接続235を介してメモリ資源230に動作可能に結合され、接続275を介して入出力(I/O)ポート270との間で情報を送受信するように更に構成される。この場合、I/Oポート270は、ナビゲーション装置200の外部のI/O装置280に接続可能である。メモリ資源230には例えば、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)のような揮発性メモリ、及び不揮発性メモリ、例えばフラッシュメモリのようなデジタルメモリ、を含む。外部I/O装置280は、例えばイヤホン等の外部聴音装置を含んでもよいが、これに限定されない。更に、I/O装置280への接続は、例えばハンズフリー動作と音声起動動作との少なくとも一方のため、イヤホン又はヘッドフォンへの接続のため、並びに/あるいは例えば移動電話への接続のためのカーステレオユニット等の他の任意の外部装置への有線接続又は無線接続であってもよい。この場合、移動電話接続は、ナビゲーション装置200とインターネット又は例えば他の任意のネットワークとの間のデータ接続を確立するためと、インターネット又は例えば他の任意のネットワークを介するサーバへの接続を確立するためとの少なくとも一方のために使用されてもよい。
【0045】
図2は、接続255を介するプロセッサ210とアンテナ/受信機250との間の動作可能な接続を更に示す。この場合、アンテナ/受信機250は、例えばGPSアンテナ/受信機であってもよい。参照番号250で示されるアンテナ及び受信機は、図示のために概略的に組み合わされるが、アンテナ及び受信機は、別個に位置する構成要素であってもよく、アンテナは、例えばGPSパッチアンテナ又はヘリカルアンテナであってもよいことが理解されるだろう。
【0046】
更に、図2に示す電子構成要素が従来の方法で電源(不図示)により電力を供給されることが当業者には理解されるだろう。当業者により理解されるように、図2に示す構成要素の異なる構成が本願の範囲に入るものと考えられる。例えば図2に示す構成要素は、有線接続と無線接続との少なくとも一方等を介して互いに通信状態にあってもよい。従って、本願のナビゲーション装置200の範囲は、可搬又は手持ちのナビゲーション装置200を含む。
【0047】
更に、図2の可搬又は手持ちのナビゲーション装置200は、例えば自転車、バイク、自動車又は船舶等のような乗物に既知の方法で接続されるか又は「ドッキング」されることができる。その場合、そのようなナビゲーション装置200は、可搬又は手持ちでのナビゲーションの使用のために、ドッキング場所から取り外し可能である。
【0048】
ここで図3を参照すると、ナビゲーション装置200は、少なくとも1つの実施形態において、デジタル接続(例えば、周知のBluetooth技術を介するデジタル接続)を確立する移動装置(不図示)(移動電話、PDA、及び移動電話技術を用いる任意の装置のうちの少なくとも1つ等)を介して、サーバ302との「モバイル」又は遠距離電気通信ネットワーク接続を確立してもよい。そうして、そのネットワークサービスプロバイダを介して、移動装置は、サーバ302とのネットワーク接続を(例えば、インターネットを介して)確立できる。そのため、「モバイル」ネットワーク接続は、情報に対する「リアルタイム」又は少なくとも非常に「最新」のゲートウェイを提供するために、ナビゲーション装置200(単体時、及び車載走行時の少なくとも一方において移動可能であり且つ多くの場合移動している)とサーバ302との間に確立される。
【0049】
例えば(ワールド・ワイド・ウェブのような)インターネットを使用して、移動装置(サービスプロバイダを介する)とサーバ302等の別の装置との間にネットワーク接続を確立することは、周知の方法で行われうる。これは、例えばTCP/IP層プロトコルの使用を含む。移動装置は、CDMA、GSM、WAN等の任意の数の通信規格を利用できる。
【0050】
そのため、例えば移動電話又はナビゲーション装置200内の移動電話技術を介するデータ接続を介して達成されるインターネット接続が利用されてもよい。この接続の場合、サーバ302とナビゲーション装置200との間のインターネット接続が確立される。これは、例えば、移動電話又は他の移動装置及びGPRS(汎用パケット無線サービス)−接続(GPRS接続は、通信会社により提供される移動装置用高速データ接続であり、GPRSはインターネットへの接続方法である)を介して行われうる。
【0051】
更に、ナビゲーション装置200は、移動装置とのデータ接続を完成し、例えば既存のBluetooth技術を介して周知の方法でインターネット及びサーバ302とのデータ接続を最終的に完成する。この場合、例えばデータプロトコルは、GSM規格に対するデータプロトコル規格であるGSRM等の任意の数の規格を利用できる。
【0052】
ナビゲーション装置200は、ナビゲーション装置200自身の中に、自身の移動電話技術を含んでもよい(例えばアンテナを含み、又は任意的にはナビゲーション装置200の内部アンテナを用いる)。ナビゲーション装置200内の移動電話技術は、上述のような内部構成要素を含むことができ、且つ/又は例えば必要な移動電話技術とアンテナとの少なくとも一方を備える挿入可能なカード(例えば加入者識別モジュールすなわちSIMカード)を含むことができる。そのため、ナビゲーション装置200内の移動電話技術は、任意の移動装置の方法と同様の方法で、例えばインターネットを介して、ナビゲーション装置200とサーバ302との間にネットワーク接続を同様に確立できる。
【0053】
GRPS電話設定の場合、移動電話の機種、製造業者等の多様な範囲に関して正しく動作するために、Bluetooth対応のナビゲーション装置が使用されてもよく、機種/製造業者専用設定は、例えばナビゲーション装置200に格納されてもよい。この情報のために格納されたデータは更新されうる。
【0054】
図3においてナビゲーション装置200は、複数の様々な構成のうち任意のものによって実現されうる汎用通信チャネル318を介して、サーバ302と通信しているものとして描かれている。通信チャネル318を介する接続がサーバ302とナビゲーション装置200との間に確立される場合、サーバ302及びナビゲーション装置200は通信可能である(尚、そのような接続は、移動装置を介するデータ接続、インターネットを介するパーソナルコンピュータを介する直接接続等である)。
【0055】
サーバ302は、図示しない他の構成要素に加えて、メモリ306に動作可能に接続され且つ有線又は無線接続314を介して大容量データ記憶装置312に動作可能に更に接続されるプロセッサ304を含む。更に、プロセッサ304は、通信チャネル318を介してナビゲーション装置200と情報の送受信を行うために、送信機308及び受信機310に動作可能に接続される。送受信される信号は、データ信号、通信信号及び又は他の伝搬信号を含んでもよい。送信機308及び受信機310は、ナビゲーション装置200の通信設計において使用される通信条件及び通信技術に従って選択又は設計されてもよい。尚、送信機308及び受信機310の機能は、信号送受信機に組み合わされてもよい。
【0056】
サーバ302は、大容量記憶装置312に更に接続される(又は、大容量記憶装置312を含む)。尚、大容量記憶装置312は、通信リンク314を介してサーバ302に結合されてもよい。大容量記憶装置312は、ナビゲーションデータ及び地図情報のストアを含む。また、大容量記憶装置312は、サーバ302とは別個の装置であってもよく、サーバ302に組み込まれてもよい。
【0057】
ナビゲーション装置200は、通信チャネル318を介してサーバ302と通信するように構成され、図2に関して上述したように、プロセッサ、メモリ等を含み、更に、通信チャネル318を介して信号及び/又はデータを送出する送信機320及び受信する受信機322を含む。尚、これらの装置は、サーバ302以外の装置と通信するためにも使用される。更に、送信機320及び受信機322は、ナビゲーション装置200の通信設計において使用される通信条件及び通信技術に従って選択又は設計され、送信機320及び受信機322の機能は、単一の送受信機に組み合わされてもよい。
【0058】
サーバメモリ306に格納されるソフトウェアは、プロセッサ304に命令を提供し、サーバ302がナビゲーション装置200にサービスを提供できるようにする。サーバ302により提供される1つのサービスは、ナビゲーション装置200からの要求の処理及び大容量データ記憶装置312からナビゲーション装置200へのナビゲーションデータの送信を含む。サーバ302により提供される別のサービスは、所望のアプリケーションに対する種々のアルゴリズムを使用したナビゲーションデータの処理及びナビゲーション装置200へのこれらの計算の結果の送出を含む。
【0059】
一般に、通信チャネル318は、ナビゲーション装置200とサーバ302とを接続する伝搬媒体又はパスを表す。サーバ302及びナビゲーション装置200の双方は、通信チャネルを介してデータを送信する送信機及び通信チャネルを介して送信されたデータを受信する受信機を含む。
【0060】
通信チャネル318は、特定の通信技術に限定されない。更に、通信チャネル318は、単一の通信技術に限定されない。すなわち、チャネル318は、種々の技術を使用する複数の通信リンクを含んでもよい。例えば、通信チャネル318は、電気通信、光通信、及び電磁通信のうちの少なくとも1つ等のためのパスを提供するように構成されることができる。そのため、通信チャネル318は、電気回路、ワイヤ及び同軸ケーブル等の電気導体、光ファイバケーブル、コンバータ、無線周波数(rf)波、大気、空間等のうちの1つ又はそれらの組み合わせを含むが、それらに限定されない。更に、通信チャネル318は例えば、ルータ、リピータ、バッファ、送信機及び受信機等の中間装置を含むことができる。
【0061】
1つの説明的構成において通信チャネル318は、電話及びコンピュータネットワークを含む。更に通信チャネル318は、無線周波数、マイクロ波周波数、赤外線通信等の無線通信に適応できてもよい。更に通信チャネル318は衛星通信に適応できる。
【0062】
通信チャネル318を介して送信される通信信号は、所定の通信技術に必要とされるか又は望まれる信号を含むが、それらに限定されない。例えば、信号は、時分割多元接続(TDMA)、周波数分割多元接続(FDMA)、符号分割多元接続(CDMA)、グローバル・システム・フォー・モバイル・コミュニケーションズ(Global System for Mobile Communications)(GSM)等のセルラ通信技術において使用されるように構成されてもよい。デジタル信号及びアナログ信号の双方が通信チャネル318を介して送信できる。これらの信号は、通信技術にとって望ましい変調信号、暗号化信号、及び圧縮信号のうちの少なくとも1つであってもよい。
【0063】
サーバ302は、無線チャネルを介してナビゲーション装置200によりアクセス可能なリモートサーバを含む。サーバ302は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、仮想プライベートネットワーク(VPN)等に位置するネットワークサーバを含んでもよい。
【0064】
サーバ302は、デスクトップ又はラップトップコンピュータ等のパーソナルコンピュータを含んでもよく、通信チャネル318は、パーソナルコンピュータとナビゲーション装置200との間に接続されるケーブルであってもよい。あるいは、パーソナルコンピュータは、ナビゲーション装置200とサーバ302との間に接続されて、サーバ302とナビゲーション装置200との間にインターネット接続を確立してもよい。あるいは、インターネットを介してナビゲーション装置200をサーバ302に接続するために、移動電話又は他のハンドヘルド装置がインターネットへの無線接続を確立してもよい。
【0065】
ナビゲーション装置200は、情報ダウンロードを介してサーバ302から情報を与えられてもよい。情報は、自動的に、又はユーザがナビゲーション装置200をサーバ302に接続した際に、周期的に更新されてもよく、且つ/又は例えば無線移動接続装置及びTCP/IP接続を介してサーバ302とナビゲーション装置200との間に接続がより継続して又は頻繁に確立される場合に更に動的に更新されてもよい。多くの動的計算のために、サーバ302内のプロセッサ304が大量の処理要求を処理するために使用されてもよい。しかし、ナビゲーション装置200のプロセッサ210も同様に、多くの場合においてはサーバ302への接続に関係なく、多くの処理及び計算を処理できる。
【0066】
上で示されたように図2において、ナビゲーション装置200はプロセッサ210、入力装置220、表示画面240を含む。入力装置220及び表示画面240は、例えばタッチパネルスクリーンを介して情報(直接入力、メニュー選択など)を入力すること及び情報を表示することとの両方を可能にするために、一体型入力表示装置に統合される。このようなスクリーンは、当業者には周知のものであるように、例えばタッチ入力LCDスクリーンであってもよい。更に、ナビゲーション装置200は、例えばオーディオ入力/出力装置などの、更なる任意の入力装置220と更なる任意の出力装置241との少なくとも一方を有しても良い。
【0067】
図4A及び図4Bは、ナビゲーション装置200の斜視図を示している。図4Aに示すように、ナビゲーション装置200は、一体型入力表示装置290(例えばタッチパネル画面)と図2の他の構成要素(内蔵GPS受信機250、マイクロプロセッサ210、電源、メモリシステム230などを含むがこれに限定されない)を含むユニットであっても良い。
【0068】
ナビゲーション装置200は、アーム292上に備え付けられても良い。このアーム292は、吸着カップ294を用いて、乗物のダッシュボード/窓/等に固定されても良い。このアーム292は、ナビゲーション装置200がドッキング可能なドッキングステーションの一例である。
【0069】
図4Bに示すように、ナビゲーション装置200は、例えば、アーム292に対してナビゲーション装置292をスナップ接続することで、ドッキングステーションのアーム292にドッキング若しくは接続することができる。図4Bにおける矢印で示すように、ナビゲーション装置200は、アーム292上で回転可能である。ナビゲーション装置200とドッキングステーションとの間の接続を解除するためには、例えば、ナビゲーション装置200上のボタンを押下すればよい。ナビゲーション装置をドッキングステーションへと結合し、及び結合を解除するための、他の同等に適した構成もまた、当業者にはよく知られている。
【0070】
ここで添付図の図5を参照すると、メモリ資源230は、ブートローダプログラム(図示せず)を格納しており、このプログラムは、プロセッサ210で実行されて、機能ハードウェアコンポーネント460の実行のために、メモリ資源230からオペレーティングシステム470をロードする。オペレーティングシステム470は、アプリケーションソフトウェア480を実行しうる環境を提供する。オペレーティングシステム470は、機能ハードウェアコンポーネント460を制御する働きをし、アプリケーションソフトウェア480と機能ハードウェアコンポーネント460との間に存在する。アプリケーションソフトウェア480は、たとえば地図閲覧機能、経路計画機能、ナビゲーション機能及びそれに関係する他のすべての機能などのナビゲーション装置200のコア機能をサポートするGUIを含む操作環境を提供する。モジュールの中でもとりわけ、アプリケーションソフトウェア480は、経路計画モジュール482、移動時間解析器モジュール484、交通情報処理モジュール486、及び交通遅滞進展解析器488を有してもよい。これらのモジュールは個別に示されているが、この表現が単に理解を助けるためであることは理解されるであろう。機能はモジュール間で重なり合ってもよい、及び/又は1つのモジュールは1つ以上の他のモジュールを備えてもよい。
【0071】
メモリ資源230は、地図データベース又はデジタル地図490も格納するが、それらは、(1)視覚的地図表示の生成及び(2)経路計画及びナビゲーションに必要な道路及び交差点の位置、のために使用される情報の電子表現である。デジタル地図490は、データの唯一の収集物として編成されてもよいし、また複数の個別の情報構成要素として編成されてもよい。デジタル地図490に表される各道路区間に関して、デジタル地図は、道路区間についての補助情報を有する。例えば図6aを参照すると、簡単な形態では、補助情報は、1つ以上の道路区間長500、その道路区間の制限速度502及び/又はその道路区間の移動に要する典型的な移動時間504を含んでもよい。移動時間情報は、経路計画ソフトウェアが出発地点から目的地点までの経路の移動期間を予測するのを可能にし、移動時間を最短にする経路の選択を最適化可能にするので重要である。
【0072】
ここで留意すべきは、図6aにおいて、情報項目のすべては、明示的に表される必要がないことである。情報のある項目は、別の項目から暗示的に導出されてもよい。例えば、典型的な移動時間は明示的に含まれなくてもよい。代わりに、道路区間の平均速度は、制限速度の0.8倍などの制限速度の一定の割合と想定して計算されてもよい。この場合、典型的な移動時間は、道路区間長を平均速度で割ることで計算されてもよい(例えば、典型的な移動時間=距離/(0.8×制限速度))。
【0073】
より高度な形態の図6bを参照すると、道路区間の補助情報は、道路区間長500、制限速度502、ならびに異なる時刻及び/又は異なる日の複数の移動時間プロファイル506を有してもよい。各プロファイル506は、移動時間を計算するための時間又は任意の他のパラメータで表されてもよい移動時間指標508を有する。例えば、移動時間指標508は、上の説明と同様に制限速度の割合として平均乗物速度を表す、割合の形態をとることができよう。移動が遅いとき、この割合は小さい。移動が比較的速いとき、この割合は1に向けて大きさを増す。各移動時間プロファイル506は、プロファイルが有効である時刻及び/又は日を示す、時刻及び/又は日有効(validity)時間帯(ウインドウ)510に関係してもよい。例えば、ウィークデーの朝のピーク時プロファイルに関しては、時刻及び/又は日時間帯は、月曜〜金曜の8:00〜10:00を表してもよい。有効時間帯510は、プロファイルを使用して明示的に示されてもよいし、また同じ時間帯が地図の特定地域(町など)又は地図全体に対して適用されてもよく、この場合、有効時間帯510は暗示されており、明示的に表される必要はない。移動時間指標508は、天候(例えば、良い、悪い)又は乗物の種類(例えば、自動車、貨物用乗物)などの異なる基準に従って、それ自体再分割されてもよい。
【0074】
デジタル地図490に加えて、メモリ資源230は、経路計画モジュール482が考案した計画済みのナビゲーション経路、及び/又は以前計画され、ユーザが格納することを選択した1つ以上の事前計画済み経路も格納してもよい。例えば、このような事前計画済み経路は「好みの経路」と呼ばれてもよい。これらの経路を格納することによって、出発地点、目的地点、及び経路選択基準などの経路詳細を再入力する必要なしに、経路詳細の読み出しが可能になる。
【0075】
一形態では、ナビゲーション装置200は、実況交通情報を処理できる。本明細書で使用する限り、用語「実況交通情報」は、外部情報源から受け取り、かつ交通データの観測情報を提供する交通情報を意味する。情報は、現在の観測に基づいているという意味において「実況」であるが、処理及び伝達が情報のスループットを遅らせることがあることは理解されるであろう。実況交通情報の例には、前述のRDS−TMC及びHD−Trafficのデータを含む。RDS−TMCの情報は、最大30〜60分遅れることがある。その理由は、RDS−TMCチャネルの情報容量が情報のスループットを制限し、情報の全フレームを新たにするのに最大30〜60分かかることがあるからである。HD−Trafficのデータは、はるかに新しく、伝送チャネル容量による伝送への影響が少ない。ナビゲーション装置200は、実況交通情報を受信及び復号する受信機を有してもよいし、またナビゲーション装置200は、実況交通情報を受信する別の受信機にI/Oポート270を介して結合されてもよい。この別の受信機は、例えばFMラジオ又はセルラ電話装置であることができよう。実況交通情報は、必要なら交通情報処理モジュール486で復号される。
【0076】
好ましい実施形態の1つの任意的な態様は、交通遅滞進展解析器488である。解析器488は、交通遅滞がこれから先どのように進展しうるかを予測するために実況交通情報を処理する。図7は、図8に示される交通遅滞600に関して、そのようなプロセスのための一般的ステップを概略的に示す。プロセスは、各交通遅滞600に対して実行されるループ602を有する。ステップ604は、任意的なステップであり、関心のある経路に沿って起こる交通遅滞だけを選択することによって、処理及び/又はデータ保存の負担を抑える。用語「沿う(along)」は、関心のある経路及び状況に応じて関心のある経路の近く(ここの遅滞がこれから先関心のある経路に及ぶかもしれないし、また関心のある経路の再計画が必要な場合に重要かもしれない)の交通遅滞を含む。関心のある経路は、現在選択されている経路でもよいし、また1つ以上の事前格納済み(「好み」)の経路も含んで、ユーザが現在選択していないときでさえ、そのような経路の情報が最新に維持されうるようにしてもよい。ステップ604が実施されない場合、すべての遅滞に対して処理を続ける。
【0077】
ステップ606では、移動時間に対するそれぞれの遅延が時間閾値を超えるかどうかを判定することにより、2番目の任意的な選別テストを適用する。閾値は、軽微な遅滞を省略しうるように選択される。閾値は、例えば約5分でもよい。ステップ606は、任意的にステップ604と組み合わせて実施されてもよいし、また代替として、所望であればステップ604と606の両方とも省略できよう。
【0078】
ステップ608では、現在の交通遅滞情報及び交通遅滞情報の発生時刻を表すタイムスタンプを格納して、長期にわたるそれぞれの遅滞に関する遅滞情報の時刻インデックス付き又は時間順の履歴を作成する。交通遅滞情報は、地図上の1つ以上の遅滞開始地点600a、遅滞を通過するための移動時間遅延600b、渋滞長600c(物理的長さ)、地図上の遅滞終了地点600dを含んでもよい。
【0079】
ステップ610では、遅滞情報の履歴を分析し、時刻遅滞履歴に基づく統計的推定を使用して、移動時間の遅延がこれから先どのように進展するかを予測する。現在及び過去の値に基づきこれから先の変化を予測する種々の推定技術が、統計分析分野で知られている。ステップ610ではまた、例えば、遅滞は不変か、増加しているか、それとも縮小しているか、及び/又は遅滞自体が経路に沿って進んでいるか(例えば、速度の遅い乗物によって引き起こされている場合)どうかなどによって遅滞を分類してもよい。次いでループ602は、処理を待つ次の交通遅滞に対して繰り返される。
【0080】
図9は、分析ステップ610のより詳細なサブステップを示す。サブステップ612では、遅滞の値は、ステップ606で格納された履歴から、時間t2だけさかのぼる期間にわたってt1の間隔で読み出される。データサンプル数はt2/t1である。間隔t1の値は、例えば約1秒、又は約2秒、又は約5秒、又は約10秒、又はより大きい値もしくはそれらの間の任意の値でもよい。t2の値は、状況に応じてt1より約100〜150倍大きくてもよい(従って、処理のために約100〜150のサンプルをもたらす)。追加又は代替で、t2の値は、約500秒、55秒、600秒、700秒、又は1000秒、あるいはより大きい値もしくはそれらの間の任意の値でもよい。典型的な値は、t1=5秒及びt2=600秒で、処理のために120のサンプルをもたらすであろう。ステップ614で、統計的推定がこれら離散値に適用され、遅滞の種類を分類し遅滞パラメータを定める。分類及び関連パラメータは、以下の1つ以上を含んでもよい。
(a)移動時間遅延は不変か、増加しているか、それとも減少しているか。増加しているか又は減少している場合、変化率(及び状況に応じて変化の加速率)。
(b)遅滞は動いているかそれとも止まっているか。動いている遅滞は、始点と終点の両方が同じ方向に進むことによって示されることがある。動いている場合、移動速度(及び状況に応じて変化の加速率)。
(c)遅滞は始点(例えば、経路で遭遇する最初の地点)で増加しているか/減少しているか、及び増加/減少のそれぞれの率。
(d)遅滞は終点(例えば、経路で遭遇する最後の地点)で増加しているか/減少しているか、及び増加/減少のそれぞれの率。
(e)所定の閾値に対する遅延時間の大きさに応じて小、中又は大として、移動時間に対する遅延を分類。
【0081】
ステップ616では、分類及びパラメータがメモリ資源に格納される。
【0082】
上記の技術は、遅滞履歴の格納及び分析に基づき、交通遅滞がこれから先どのように進展しうるかの予測を可能にする。これは、実況交通情報と事前格納済み移動時間プロファイルとの間の大きな差を埋め合わせる。実況交通情報がどんな過去の内容もこれから先の予測情報も含んでいないときでさえ、上記の技術は、交通遅滞進展の予測を可能にできる。
【0083】
受信した実況交通情報を処理するナビゲーション装置200で使用されるものとして、上記の技術が説明された。一代替として、そのような予測処理は、実況交通情報を送信又は放送する前に発信側で適用できよう。例えば、追加のデータフィールドを実況交通情報に含めることができよう。追加のデータフィールドは、上記の分類及びパラメータの1つ以上を表すことができよう。これは、各ナビゲーション装置200における処理負担を軽減可能にしうる。これはまた、予測の一致を確実にすることに加えて、実況交通情報の価値も増加しうる。
【0084】
実況交通情報からの予想遅延時間の使用、又は実況交通情報に対する予想遅延時間の使用は、経路計画及び分析を補助するのに極めて有用である。そのような情報は、実況交通情報との間の現在の情報の隔たりを埋めうる。
【0085】
図10を参照すると、一形態では、ナビゲーション装置200は、ナビゲーション経路632及びすべての交通遅滞634を示す地図ビュー630を生成することができる。交通遅滞634は、例えば実線(例えば赤色)を用いて、任意の適切に警告するやり方で示されてもよい。線の長さは、地図ビュー630上に投影された渋滞長に相当してもよい。遅滞の特徴は、そばに、又は開/閉可能なサブウインドウの中に表示されてもよいし、またアイコン636で表されてもよい。
【0086】
好ましい形態では、ナビゲーション装置200は、地図ビューの中にアイコン636を生成する。図11を参照すると、アイコン636は、移動時間遅延の大きさに対応する大きさ(例えば長さ)を有する。アイコン636は、それ自体が矢印か又は周囲の線もしくは輪に囲まれた矢印の形態を取ってもよい。アイコン636はまた、(1)移動時間遅延の大きさ、又は(2)遅延が現在増加、減少それともは安定しているかに応じて、色づけされてもよい。例えば、赤のアイコンは、遅延が現在増加していることを示してもよく、黄のアイコンは、遅延が安定していることを示してもよく、また緑のアイコンは、遅延が現在縮小していることを示してもよい。
【0087】
交通遅滞が所定の閾値より大きい割合で増加していると判定される場合、この経路の移動に対して遅滞の混乱が急速に増加しているとユーザに警告するために、追加の警告が生成されてもよい。追加の警告は、例えば警告音でもよい。
【0088】
交通遅滞が中規模であり、比較的長い時間安定していると判定される、及び/又は少ししか又は全く動きを示さない場合、遅滞は、道路工事及び/又は事故によって引き起こされた持続的な交通渋滞を表すことがある。このような交通遅滞は、長い時間存在し続けることがあるので、異なる表示表現及び/又はアイコンが使用されてもよい。
【0089】
図12を参照すると、好ましい実施形態の第2の任意的な態様は、経路の移動時間を分析し、移動状況が現在良好かどうかの表示出力を生成する移動時間解析器484である。分析を実行するために、移動時間解析器484は、以下の情報入力の1つ以上を受信する。それらは、デジタル地図490からの地図情報入力650と、受信実況交通情報の実況交通情報入力652と、外部気象情報源から受信したか又は車載降雨センサ(図示せず)などの適切なセンサにより感知した気象情報654とである。
【0090】
一形態では、移動時間解析器484は、経路の移動時間が現在増加、減少それとも安定状態にあるかの表示出力を生成するように構成される。そのような情報は、仮にユーザが短期間待つとしたら、ユーザが今移動を開始するのに比べて、移動時間が長いか、短いかそれとも同じかをユーザに示す効果的なやり方である。これは、移動時間が短くなるであろう場合、ユーザが今移動を開始すべきかそれとも短期間待つべきかの、簡単かつ非常に直感的な表示をユーザに提供する。
【0091】
別の形態では、移動時間解析器484は、追加又は代替で、経路の移動時間が「平均より悪い」すなわち平均より長いか否かを示す警告信号を生成するように構成されてもよい。追加又は代替で、予想移動時間が平均より短い(及び/又は少なくとも平均より長くない)場合、好意的な表示が生成されてもよい。運転者が渋滞又は遅滞を避けることを望む場合、これは、ユーザが移動を開始すべきかそれとももっと長く待つべきかの決定を可能にしうる。
【0092】
このような機能の実施のための処理についてこれより説明する。
【0093】
移動時間解析器が、移動時間が現在増加、減少それとも安定状態にあるかを分析する形態について、図13〜15を参照する。移動時間の最も正確な計算は、実況交通情報入力652から得られうる。移動時間解析器484は、経路に影響を及ぼしている交通遅滞がどのように進展するかを予測するために、交通遅滞進展解析器488を呼び出してもよい。簡単な実施例においては、経路の交通遅滞は、互いに同期した時刻に、すなわち同時に遅滞に遭遇したかのように分析され、現在の乗物位置からそれぞれの交通遅滞がどのくらい離れているかを考慮しない。図13を参照すると、移動時間解析器が実行するステップは、1番目のループ600を含み、ステップ661において、現在の移動時間遅延の累計又は現在合計高(現在の遅延を伴う移動を開始する場合の経路上での遅延の現在合計高を意味する)を生成するために、経路に沿った各交通遅滞による現在の移動時間遅延を合計する。これに続いて、一定の時間間隔で各交通遅滞に対する移動時間遅延のこれから先の進展を予測するために、ステップ663で遅滞進展解析器488を呼び出す2番目のループ662がある。これから先の時間間隔は、少なくとも約5分でよいが、より好ましくは少なくとも約10分である。これから先の時間間隔は約30分未満でよいが、好ましくは約20分未満である。例えば、これから先の時間間隔は約15分でもよい。ステップ664では、経路に沿った、これから先の合計移動時間遅延(これから先に予測される値の遅延を伴う移動を開始する場合の、経路上での遅延の現在合計高を意味する)を生成するために、予想移動時間遅延を合計する。ステップ666では、1番目のループ660で取得された現在の合計移動時間遅延を2番目のループ662で取得されたこれから先の合計移動時間遅延と比較し、それぞれの状態を示す情報出力信号を生成する。
(a)現在の遅延はこれから先の遅延より小さい(遅滞状態は増加している)
(b)現在の遅延はこれから先の遅延と同等である(遅滞状態は安定している)
(c)現在の遅延はこれから先の遅延より大きい(遅滞状態は減少している)
【0094】
所望であれば、大きさにおいて量子化値より大きい差だけが状態(a)又は(c)を示すように、比較は、所定の量子化値(例えば5分)又は合計移動時間の所定の割合(例えば5%)で量子化されてもよい。大きさにおいて量子化値より小さい差は、同等と見なされ、状態(b)を示す。
【0095】
表示出力は、この場合もやはり図11の矢印アイコンなどのアイコンを使用して示されてもよい。アイコンには、遅滞に関する時間情報が添えられてもよい。時間情報は、例えば移動時間の差及び/又は現在の移動時間とこれから先の移動時間の一方又は両方を示してもよい。出力信号は、仮にユーザが短期間待つとしたら(例えば15分)、ユーザが今移動を開始する場合に比べて、移動時間が長い、短いそれとも同じかをユーザに示す効果的なやり方である。これは、ユーザが直ぐに移動を開始すべきか、それとも15分などの短期間待つべきかについて簡単かつ非常に直感的な表示を提供する。
【0096】
図14は、図13に基づくプロセスのより洗練されたバージョンを示す。交通遅滞の各事例に対して現在の移動時間遅延を使用する代わりに、現在の乗物位置と交通遅滞との間の距離に応じて時刻オフセットが適用される。遅滞進展予測器488はそれぞれの時に呼び出されるが、遅滞進展予測器488は乗物が遅滞に遭遇するであろう予想される時刻点を表す、未来の異なる時刻点について呼び出される。例えば、仮想の経路移動が現時刻に開始される場合でさえ、経路に沿って10kmのところにある遅滞に到着するまで、これから先約10分はかかるかもしれない。時刻オフセットはこれを補償する。時刻オフセットは、経路計画モジュール482が計算する累計移動時間カウンタに基づいてもよいし、また乗物位置と交通遅滞との間の距離に対する、経路を通した概算の平均速度による除算に基づいた概算でもよい。図14では、1番目のループ600のステップ661の前に、上で説明したように各交通遅滞発生に適用するそれぞれの時刻オフセットを決定する最初のステップ558と、時刻オフセットに基づき遅滞進展予測器488を呼び出すステップ559とがある。ステップ661は、経路に沿ってそれぞれの時間遅延を合計し、現在の合計移動時間遅延(現時刻に移動を開始する場合の移動時間の合計遅延を意味する)を生成する。2番目のループ662では、追加のステップ665が時刻オフセットにこれから先の時間間隔を加える。例えば、各オフセットは、未来に向かって15分だけ増加されてもよい。次いでステップ663では、増加された時刻オフセットに基づき遅滞進展予測器488を呼び出し、それから方法は前述のように続く。この洗練されたプロセスは、経路に沿って交通遅滞に遭遇するであろうそれぞれの時間を用いて、より正確な遅滞のパターンを生成しうる。
【0097】
図15は、デジタル地図490の一部として移動時間プロファイル506が与えられる場合に、代わりに移動時間プロファイル506に基づき類似の情報を生成する代替技術を示す。この代替技術は、ナビゲーション装置が実況交通情報を処理する能力を備えていない場合、又はそのような実況交通情報が利用可能でない場合に使用されてもよい。移動時間プロファイル506は、デジタル地図情報490とともに事前格納されているので、追加の情報ストリームの受信に頼らない。前の技術において見られるように、時刻オフセット有り及び無しの2つの類似の技術が、使用されてもよい。
【0098】
図15を参照すると、より簡単な方法が備える1番目のループ672は、ナビゲーション経路に沿った各経路区間に関して、現在の時刻及び日に基づき経路区間の移動時間プロファイル506を分析する第1のステップ673と、経路に沿って移動時間を合計し現在の移動時間現在合計高を生成するステップ674とを備える。2番目のループ675において、各経路区間に関して、ステップ676では、未来に向かってある時間間隔後に対応する移動時間プロファイル506を分析する。これから先の時間間隔は、図13及び14で使用される時間間隔と同じでもよく、典型的な値は約15分である。ステップ678では、これから先の時間間隔後の経路に沿った移動時間を合計して、これから先の移動時間現在合計高を生成する。ステップ680では、1番目のループ672から取得した現在の移動時間と2番目のループ675から取得したこれから先の移動時間とを比較し、上述のステップ666と同様に出力信号を生成する。
【0099】
より洗練された形態では、方法は、任意的なステップ670及び677を加え、特定の道路区間に到達するまでに乗物が要する時間長を反映するために時刻オフセットを適用する。この方法では、オフセットは、ステップ674又は678でそれぞれ計算された移動時間の累計(rolling sum)から直接読み取られてもよい。
【0100】
さらなる代替形態では、移動時間解析器484は、実況交通情報に基づく技術(例えば、図13又は14)と移動時間プロファイル506に基づく技術(例えば、図15)の両方を、組み合わせて使用してもよい。そのような組み合わせの方法は、例えば事故、又は信号故障、又は故障乗物、又は速度の遅い乗物によって引き起こされるかもしれない、異常でいつもと異なる交通遅滞に実況交通情報が限定される場合、特に役立つことがある。いつもの交通遅滞に関する情報は、依然として移動時間プロファイル506から取得されてもよい。上述の方法は、順々にか又は並行して実行されてもよく、それぞれの「現在」及び「これから先」の時間情報が最終比較の前に一緒に合計される。
【0101】
図16は、移動時間解析器484からの第2の形態の出力指標の処理、すなわち経路の移動時間の平均値との比較を示す。ステップ700では、移動が現時刻に開始されると想定した移動に対する、予想移動時間の計算を備える。移動時間は、以下の任意の1つ以上を参照して計算されてもよい。
(a)事前格納済み移動時間プロファイル506
(b)受信実況交通情報
(c)気象情報。天候のタイプは、事前格納済みの移動時間プロファイルが細分類されている特性の1つでもよい。あるいは、ナビゲーション装置は、悪天候で移動時間が増加する統計的平均を表す悪天候倍率によって、移動時間を増加してもよい。
【0102】
予想移動時間が受信実況交通情報に基づいている場合、所定の閾値より短いか又はそれを超えない移動時間遅延は、処理負担を減少するために、状況に応じて取るに足らないとして無視してもよい。この閾値は、例えばステップ606で使用される閾値と同様であってもよい。通常、閾値は約5分である。任意的に、乗物が交通遅滞の地点に到達することが予想される未来の時点へと遅延時間を外挿するために、移動時間遅延進展解析器188が呼び出されてもよい。
【0103】
ステップ702は、移動に関する平均移動時間の決定又は計算を備える。平均移動時間に関する情報源は、予想移動時間に関する情報源と異なってもよい。例えば、ステップ700において予想移動時間が受信実況交通情報を使用して計算される場合、ステップ702は、デジタル地図情報例えば移動時間プロファイル506からの平均移動時間を取得することを含んでもよい。移動時間プロファイル506は、収集した乗物移動データの履歴の平均に既に基づいているので、平均化機能は追加で実施されなくてもよい。
【0104】
あるいは、平均移動時間に関する情報源は、例えば両方とも事前格納済み交通プロファイル506に基づくなど、予想移動時間を計算する情報源と同じでもよい。このような場合は、好ましくはステップ702で、例えば1日全体にわたって移動時間プロファイル506を平均化することによって、及び/又は同じ時刻だが異なる曜日、月及び/又は年の移動プロファイルを平均化することによって移動時間の平均値を取得するように、さらに平均化計算の実行を備える。このような平均化計算の実行は、(1)予想移動時間と平均移動時間との間の幾分の差別化又は非依存性を確実にする、及び/又は(2)平均移動時間が予想移動時間より変動の少ない移動時間の基準を表すのを確実にする。
【0105】
ステップ704では、予想移動時間と平均移動時間が比較され、予想移動時間が平均より長いかどうかに応じて表示が生成される。所望であれば、追加の閾値も比較に使用できよう。
(a)は(予想移動時間)>(平均移動時間+閾値)。この計算は平均移動時間を閾値の値だけ増加させ、それによって予想移動時間が平均移動時間とおおむね差がないとき、「平均より悪い」警告表示生成の確率を減少する。
(b)は(予想移動時間)>(平均移動時間−閾値)。この計算は平均移動時間を閾値の値だけ減少させ、それによって予想移動時間が少なくとも閾値の値だけ平均移動時間に勝らない限り、平均より悪い表示を生成する。
【0106】
同様にステップ704では、単に2つの状態の代わりに3つ以上の表示状態を使用できよう。3つの表示状態は、「平均より良い(平均より短い)」、「平均と同じ」又は「平均より悪い(平均より長い)」を含むことができよう。予想移動時間と平均移動時間との間の差の大きさが量子化閾値より小さい場合、表示出力が「平均と同じ」であるように、閾値は比較を量子化するために使用できよう。
【0107】
上記の両方において、閾値は所定の値でもよいし、またユーザが設定可能又は調節可能でもよい。
【0108】
ステップ704における移動時間の表示は、警告音などの音の生成を備えてもよい。異なる音が異なる比較状態を示すために使用されてもよい、及び/又は比較状態が変化するとき、特殊な警告音が生成されてもよい。
【0109】
図12を参照すると、移動時間解析器484は、外部入力750に応答して、ユーザのコマンドがありしだい処理を開始してもよい。あるいは、移動時間解析器484は、自主的又は半自主的に処理を繰り返して、バックグラウンド機能を提供し、かつ予想移動時間を監視する移動時間レーダの機能を果たすように構成されてもよい。例えば、外部入力750は、ユーザのコマンドであるのに加えて、ナビゲーション装置200を操作するユーザを示してもよい。ユーザが装置の操作を所定の期間停止後、移動時間解析器の処理は停止してもよい。あるいは、ユーザは、移動時間解析器484の操作に関する時間基準を事前にプログラムしてもよく、そしてタイマモジュール752が、適切な操作時間にトリガを生成してもよい。例えば、ユーザは、例えば毎ウィークデーの朝の8:00〜10:00などの特定の時間帯に関して、現在の経路(又は「好み」として格納済みの経路)の予想移動時間を移動時間解析器484が監視するのを望むと決定してもよい。開始時刻及び終了時刻は、タイマモジュール752にプログラムされてもよく、現時刻が所望の操作時間帯内にあるとき、タイマモジュール752は周期的に計算トリガを生成する。さらなる代替として、タイマモジュール752は、ナビゲーション装置を運用中のときはいつでも、移動時間解析器484に対する計算トリガを周期的に生成するように継続してもよい。
【0110】
関心のある特定の経路に関して時間関連情報を提供するために移動時間を監視するのと同じ原理は、交通の流れなどの他の交通遅滞パラメータに拡張されてもよい。多くのユーザが最速の経路での経路計画を通常望むが、他のユーザは、経路が目的地点への最速の経路でないかもしれない場合でさえ、渋滞遅滞のない自由に流れる経路を望むことがある。自由に流れる経路は、ユーザが運転するのにストレスが少ないことがある。
【0111】
上記の技術は、移動時間及び/又は交通遅滞に関して、移動時間情報の監視及びユーザに役立ち直感的に分かる指標の生成を可能にする。指標は、大量の時間関連情報を聴くか又は読むために注意をそらす必要がなく、ユーザが理解しやすい。所望なら、移動時間情報はさらに、特定の時間枠にわたって記録又は計算され、グラフ形式でユーザに視覚的に提示され、ユーザが所望の移動をする最適の時刻を特定できるようにしてもよい。グラフ形式は、ナビゲーション装置200のディスプレイ上に表示されてもよいし、また例えばプリンタを装備した外部コンピュータへの通信接続を使用するなどして印刷されてもよい。
【0112】
本発明の種々の態様及び実施形態についてこれまで説明してきたが、本発明の範囲が本明細書に記載の特定の構成に限定されず、代わりに添付の特許請求項の範囲内に入るすべての構成ならびにそれへの修正及び変更を包含するように拡張されることは理解されるであろう。
【0113】
例えば、前述の詳細説明で記載の実施形態はGPSに言及しているが、ナビゲーション装置は、GPSの代替として(又は実際にはGPSに加えて)、どんな種類の位置検出技術を利用してもよいことに注目すべきである。例えば、ナビゲーション装置は、欧州ガリレオシステムなどの他の全地球ナビゲーションシステムの使用を活用してもよい。同様に、ナビゲーション装置は、衛星を基礎にしたものに限定されず、地上ビーコン又は装置にその地理的位置を測定可能にさせる任意の他の種類のシステムを使用して直ちに機能できよう。
【0114】
好ましい実施形態はソフトウェアを用いてある種の機能を実施するが、その機能はハードウェアだけで(例えば、1つ以上のASIC(アプリケーション固有集積回路)を用いて)、又は実際にはハードウェアとソフトウェアの混合で同様に実施できることも、当業者は十分に理解するであろう。このような状況から、本発明の範囲は、ソフトウェアでの実施だけに限定されると解釈されるべきでない。
【0115】
最後に、添付の特許請求項は、本明細書に記載の特徴の特定の組み合わせで記載されているが、本発明の範囲は、これ以降に請求する特定の組み合わせに限定されず、代わりに特定の組み合わせが今回添付の特許請求の範囲内に具体的に列挙されているか否かにかかわらず、本明細書に開示の特徴又は実施形態のどんな組み合わせも包含するように拡張されることにも注目すべきである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
実況交通情報の将来の進展を予想するために当該実況交通情報を処理するデジタル処理装置であって、
発生時刻のそれぞれにおいて、交通移動時間遅延を示す実況交通情報の項目を受信し、
発生時刻に関するそれぞれの前記移動時間遅延の変動履歴を生成するために、前記移動時間遅延を示す情報と前記それぞれの時刻とをメモリに格納し、
前記履歴から、最新の実況交通情報の項目の発生時刻から将来に向かっての予想される前記移動時間遅延の進展を示す、少なくとも1つの前記移動時間遅延の特徴を決定する
ように構成された処理資源を備えることを特徴とする処理装置。
【請求項2】
前記処理資源は、前記少なくとも1つの特徴を、最新の実況交通情報の項目の前記発生時刻から将来の発生時刻へと前記履歴を外挿することによって決定するように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の処理装置。
【請求項3】
前記将来の発生時刻は、最新の実況交通情報の項目の前記発生時刻に関して5分間と1時間との間だけ将来にあることを特徴とする、請求項2に記載の処理装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの特徴が、前記移動時間遅延が増加していることと、前記移動時間遅延が減少していることと、前記移動時間遅延が実質的に一定であることとから選択される表現を含むことを特徴とする、請求項1乃至3の何れか1項に記載の処理装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの特徴が、移動時間遅滞の位置が実質的に静止していることと、前記移動時間遅滞の位置が動いていることとから選択される表現を含むことを特徴とする、請求項1乃至4の何れか1項に記載の処理装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つの特徴が、交通渋滞の開始位置が移動しているか否かを示す表現を含むことを特徴とする、請求項1乃至5の何れか1項に記載の処理装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つの特徴が、移動速度の表現を含むことを特徴とする、請求項6に記載の処理装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つの特徴が、前記渋滞が前記開始位置において増大しているか否かの表現を含むことを特徴とする、請求項6又は7に記載の処理装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つの特徴が、交通渋滞の終了位置が移動しているか否かを示す表現を含むことを特徴とする、請求項1乃至8の何れか1項に記載の処理装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つの特徴が、移動速度の表現を含むことを特徴とする、請求項9に記載の処理装置。
【請求項11】
前記少なくとも1つの特徴が、前記渋滞が前記終了位置において増大しているか否かの表現を含むことを特徴とする、請求項9又は10に記載の処理装置。
【請求項12】
ナビゲーション装置であることを特徴とする、請求項1乃至11の何れか1項に記載の処理装置。
【請求項13】
前記ナビゲーション装置が可搬ナビゲーション装置であることを特徴とする、請求項12に記載の処理装置。
【請求項14】
計画されたナビゲーション経路を格納するメモリ資源をさらに備え、移動時間遅延を含む移動時間予想を計算するように動作可能であることを特徴とする、請求項1乃至13の何れか1項に記載の処理装置。
【請求項15】
実況交通情報の将来の進展を予想するために当該実況交通情報を処理する方法であって、
発生時刻のそれぞれにおいて、交通移動時間遅延を示す実況交通情報の項目を受信する工程と、
発生時刻に関するそれぞれの前記移動時間遅延の変動履歴を生成するために、前記移動時間遅延を示す情報と前記それぞれの時刻とをメモリに格納する工程と、
前記履歴から、最新の実況交通情報の項目の発生時刻から将来に向かっての予想される前記移動時間遅延の進展を示す、少なくとも1つの前記移動時間遅延の特徴を決定する工程と
を含む方法。
【請求項16】
前記決定する工程は、最新の実況交通情報の項目の前記発生時刻から将来の発生時刻へと前記履歴を外挿する工程を含むことを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記将来の発生時刻は、最新の実況交通情報の項目の前記発生時刻に関して5分間と1時間との間だけ将来にあることを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも1つの特徴が、前記移動時間遅延が増加していることと、前記移動時間遅延が減少していることと、前記移動時間遅延が実質的に一定であることと、移動時間遅滞の位置が実質的に静止していることと、前記移動時間遅滞の位置が動いていることと、移動している交通渋滞の開始位置と、前記開始位置の移動速度の表現と、前記渋滞が前記開始位置において増大しているか否かの表現と、交通渋滞の終了位置が移動しているか否かを示す表現と、前記終了位置の移動速度の表現と、前記終了位置において前記渋滞が増大しているか否かの表現とから選択される1以上の表現を含むことを特徴とする、請求項15乃至17の何れか1項に記載の方法。
【請求項19】
処理資源によって実行された場合に、実況交通情報の将来の進展を予想するために当該実況交通情報を処理する方法を行うコンピュータプログラムであって、
前記方法は、
発生時刻のそれぞれにおいて、交通移動時間遅延を示す実況交通情報の項目を受信する工程と、
発生時刻に関するそれぞれの前記移動時間遅延の変動履歴を生成するために、前記移動時間遅延を示す情報と前記それぞれの時刻とをメモリに格納する工程と、
前記履歴から、最新の実況交通情報の項目の発生時刻から将来に向かっての予想される前記移動時間遅延の進展を示す、少なくとも1つの前記移動時間遅延の特徴を決定する工程と
を含むことを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項20】
請求項19に記載のコンピュータプログラムを保持し又は含むコンピュータ読み取り可能な情報格納媒体。
【請求項21】
実況交通情報ストリームの信号フォーマットであって、前記信号フォーマットは、
それぞれが移動時間に対する現在の遅延を表す現時刻情報フィールドを含む、交通遅滞情報のインスタンスと、
将来に向かっての予想される移動時間遅延の進展を示す少なくとも1つの特徴を表す、進展情報フィールドと
を含むことを特徴とする信号フォーマット。
【請求項22】
前記少なくとも1つの特徴が、前記移動時間遅延が増加していることと、前記移動時間遅延が減少していることと、前記移動時間遅延が実質的に一定であることと、移動時間遅滞の位置が実質的に静止していることと、前記移動時間遅滞の位置が動いていることと、移動している交通渋滞の開始位置と、前記開始位置の移動速度の表現と、前記渋滞が前記開始位置において増大しているか否かの表現と、交通渋滞の終了位置が移動しているか否かを示す表現と、前記終了位置の移動速度の表現と、前記終了位置において前記渋滞が増大しているか否かの表現とから選択される1以上の表現を含むことを特徴とする、請求項21に記載の信号フォーマット。
【請求項1】
実況交通情報の将来の進展を予想するために当該実況交通情報を処理するデジタル処理装置であって、
発生時刻のそれぞれにおいて、交通移動時間遅延を示す実況交通情報の項目を受信し、
発生時刻に関するそれぞれの前記移動時間遅延の変動履歴を生成するために、前記移動時間遅延を示す情報と前記それぞれの時刻とをメモリに格納し、
前記履歴から、最新の実況交通情報の項目の発生時刻から将来に向かっての予想される前記移動時間遅延の進展を示す、少なくとも1つの前記移動時間遅延の特徴を決定する
ように構成された処理資源を備えることを特徴とする処理装置。
【請求項2】
前記処理資源は、前記少なくとも1つの特徴を、最新の実況交通情報の項目の前記発生時刻から将来の発生時刻へと前記履歴を外挿することによって決定するように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の処理装置。
【請求項3】
前記将来の発生時刻は、最新の実況交通情報の項目の前記発生時刻に関して5分間と1時間との間だけ将来にあることを特徴とする、請求項2に記載の処理装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの特徴が、前記移動時間遅延が増加していることと、前記移動時間遅延が減少していることと、前記移動時間遅延が実質的に一定であることとから選択される表現を含むことを特徴とする、請求項1乃至3の何れか1項に記載の処理装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの特徴が、移動時間遅滞の位置が実質的に静止していることと、前記移動時間遅滞の位置が動いていることとから選択される表現を含むことを特徴とする、請求項1乃至4の何れか1項に記載の処理装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つの特徴が、交通渋滞の開始位置が移動しているか否かを示す表現を含むことを特徴とする、請求項1乃至5の何れか1項に記載の処理装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つの特徴が、移動速度の表現を含むことを特徴とする、請求項6に記載の処理装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つの特徴が、前記渋滞が前記開始位置において増大しているか否かの表現を含むことを特徴とする、請求項6又は7に記載の処理装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つの特徴が、交通渋滞の終了位置が移動しているか否かを示す表現を含むことを特徴とする、請求項1乃至8の何れか1項に記載の処理装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つの特徴が、移動速度の表現を含むことを特徴とする、請求項9に記載の処理装置。
【請求項11】
前記少なくとも1つの特徴が、前記渋滞が前記終了位置において増大しているか否かの表現を含むことを特徴とする、請求項9又は10に記載の処理装置。
【請求項12】
ナビゲーション装置であることを特徴とする、請求項1乃至11の何れか1項に記載の処理装置。
【請求項13】
前記ナビゲーション装置が可搬ナビゲーション装置であることを特徴とする、請求項12に記載の処理装置。
【請求項14】
計画されたナビゲーション経路を格納するメモリ資源をさらに備え、移動時間遅延を含む移動時間予想を計算するように動作可能であることを特徴とする、請求項1乃至13の何れか1項に記載の処理装置。
【請求項15】
実況交通情報の将来の進展を予想するために当該実況交通情報を処理する方法であって、
発生時刻のそれぞれにおいて、交通移動時間遅延を示す実況交通情報の項目を受信する工程と、
発生時刻に関するそれぞれの前記移動時間遅延の変動履歴を生成するために、前記移動時間遅延を示す情報と前記それぞれの時刻とをメモリに格納する工程と、
前記履歴から、最新の実況交通情報の項目の発生時刻から将来に向かっての予想される前記移動時間遅延の進展を示す、少なくとも1つの前記移動時間遅延の特徴を決定する工程と
を含む方法。
【請求項16】
前記決定する工程は、最新の実況交通情報の項目の前記発生時刻から将来の発生時刻へと前記履歴を外挿する工程を含むことを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記将来の発生時刻は、最新の実況交通情報の項目の前記発生時刻に関して5分間と1時間との間だけ将来にあることを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも1つの特徴が、前記移動時間遅延が増加していることと、前記移動時間遅延が減少していることと、前記移動時間遅延が実質的に一定であることと、移動時間遅滞の位置が実質的に静止していることと、前記移動時間遅滞の位置が動いていることと、移動している交通渋滞の開始位置と、前記開始位置の移動速度の表現と、前記渋滞が前記開始位置において増大しているか否かの表現と、交通渋滞の終了位置が移動しているか否かを示す表現と、前記終了位置の移動速度の表現と、前記終了位置において前記渋滞が増大しているか否かの表現とから選択される1以上の表現を含むことを特徴とする、請求項15乃至17の何れか1項に記載の方法。
【請求項19】
処理資源によって実行された場合に、実況交通情報の将来の進展を予想するために当該実況交通情報を処理する方法を行うコンピュータプログラムであって、
前記方法は、
発生時刻のそれぞれにおいて、交通移動時間遅延を示す実況交通情報の項目を受信する工程と、
発生時刻に関するそれぞれの前記移動時間遅延の変動履歴を生成するために、前記移動時間遅延を示す情報と前記それぞれの時刻とをメモリに格納する工程と、
前記履歴から、最新の実況交通情報の項目の発生時刻から将来に向かっての予想される前記移動時間遅延の進展を示す、少なくとも1つの前記移動時間遅延の特徴を決定する工程と
を含むことを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項20】
請求項19に記載のコンピュータプログラムを保持し又は含むコンピュータ読み取り可能な情報格納媒体。
【請求項21】
実況交通情報ストリームの信号フォーマットであって、前記信号フォーマットは、
それぞれが移動時間に対する現在の遅延を表す現時刻情報フィールドを含む、交通遅滞情報のインスタンスと、
将来に向かっての予想される移動時間遅延の進展を示す少なくとも1つの特徴を表す、進展情報フィールドと
を含むことを特徴とする信号フォーマット。
【請求項22】
前記少なくとも1つの特徴が、前記移動時間遅延が増加していることと、前記移動時間遅延が減少していることと、前記移動時間遅延が実質的に一定であることと、移動時間遅滞の位置が実質的に静止していることと、前記移動時間遅滞の位置が動いていることと、移動している交通渋滞の開始位置と、前記開始位置の移動速度の表現と、前記渋滞が前記開始位置において増大しているか否かの表現と、交通渋滞の終了位置が移動しているか否かを示す表現と、前記終了位置の移動速度の表現と、前記終了位置において前記渋滞が増大しているか否かの表現とから選択される1以上の表現を含むことを特徴とする、請求項21に記載の信号フォーマット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公表番号】特表2011−525626(P2011−525626A)
【公表日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−515250(P2011−515250)
【出願日】平成21年1月14日(2009.1.14)
【国際出願番号】PCT/EP2009/050382
【国際公開番号】WO2009/156189
【国際公開日】平成21年12月30日(2009.12.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
2.Bluetooth
【出願人】(307043223)トムトム インターナショナル ベスローテン フエンノートシャップ (144)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月14日(2009.1.14)
【国際出願番号】PCT/EP2009/050382
【国際公開番号】WO2009/156189
【国際公開日】平成21年12月30日(2009.12.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
2.Bluetooth
【出願人】(307043223)トムトム インターナショナル ベスローテン フエンノートシャップ (144)
【Fターム(参考)】
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