説明

ナビゲーション装置

【課題】ナビゲーション装置において、より直感的な操作により、入力を行うことを可能にする。
【解決手段】ナビゲーション装置は、ディスプレイの傾きを検出する傾き検出手段と、ディスプレイの傾きに応じて、ディスプレイに表示する内容を異ならせる表示手段とを備える。例えば、ディスプレイの傾きが第1の範囲の場合、平面地図表示を行い、ディスプレイの傾きが第2の範囲の場合、鳥瞰地図表示を行うようにしてもよい。また、複数の選択肢を有するメニューを表示し、所定の範囲の傾きを検出した場合、傾きの方向に応じてスクロール又はページ遷移を行うようにしてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置に関し、特に車載用ナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通常の車載用ナビゲーション装置は、ジョイスティック、ダイヤルスイッチ、タッチパネル、リモコンなどのデバイスを介して入力を受け付ける。ユーザは、スイッチを押したり、ダイヤルスイッチを回したりといった操作が必要となる。
【0003】
【特許文献1】特開2000−55693号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、使い勝手の良さを向上する観点から、スイッチを押したり、ダイヤルスイッチを回したりといった煩雑な操作ではなく、より直感的な操作で入力を行うことができる車載用ナビゲーション装置が望まれている。
【0005】
本発明は、上記課題を解決すべくなされたものであり、ナビゲーション装置において、より直感的な操作により、入力を行うことを可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決すべく、本発明では、ディスプレイの傾きによって、ユーザの入力を受け付け、表示内容を変化させる。
【0007】
例えば、本発明のナビゲーション装置は、ディスプレイの傾きを検出する傾き検出手段と、前記ディスプレイの傾きに応じて、前記ディスプレイに表示する内容を異ならせる表示手段とを備える。
【0008】
前記表示手段は、前記ディスプレイの傾きが第1の範囲の場合、平面地図表示を行い、前記ディスプレイの傾きが第2の範囲の場合、鳥瞰地図表示を行うようにしてもよい。
【0009】
また、前記表示手段は、複数の選択肢を有するメニューを表示し、前記傾き検出手段が所定の範囲の傾きを検出した場合、傾きの方向に応じてスクロール又はページ遷移を行うようにしてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態が適用された車載用ナビゲーション装置100の概略構成図である。図示するように、車載用ナビゲーション装置100は、演算処理部1と、ディスプレイ部2と、記憶装置3と、音声入出力装置4と、入力装置5と、車輪速センサ6と、ジャイロセンサ7と、GPS(Global Positioning System)受信装置8と、を備えている。
【0012】
演算処理部1は、様々な処理を行う中心的ユニットである。例えば各種センサ6、7やGPS受信装置8から出力される情報を基にして現在位置を検出する。また、ディスプレイ2に画像を表示するためにグラフィックス情報を生成する。
【0013】
ディスプレイ部2は、液晶表示装置などのディスプレイ21と、ディスプレイ21の傾きを検出する傾き検出装置22とからなる。ディスプレイ21は、演算処理部1で生成されたグラフィックス情報を表示するユニットである。
【0014】
図2は、ディスプレイ部2の外観図である。ディスプレイ21は、支持部材23により、車両のコンソールパネルCPに設置される。支持部材23は、ディスプレイ21を、図3に示すように、三軸方向に変位可能で、かつ表示面に対して平行に変位可能に支持する。なお、三次元空間に、ディスプレイ21を、y軸に縦、x軸に横、z軸に幅(ディスプレイ21の奥行き)になるように配置したとき、x軸回転をピッチ回転といい、y軸回転をヨー回転といい、z軸回転をロール回転という。また、表示面に対する平行移動とは、z軸方向の変位のことをいう。
【0015】
支持部材23は、かかる三軸方向の回転と、前後の平行移動を可能にするため、例えば、図2に示すように、車両のコンソールパネルCPに固定される固定部材231と、固定部材231に対して回転可能に接続する回転部材232と、回転部材232にヒンジ機構233を介して接続するヒンジ部材234と、ヒンジ部材234に対して回転可能かつ摺動可能に接続しディスプレイ21を背面から支持する背面固定部材235とを有して構成される。回転部材232は、ディスプレイ21のヨー回転を可能とする。ヒンジ機構233は、ディスプレイ21のピッチ回転を可能とする。背面固定部材235は、ヒンジ部材234に回転可能に接続されていることから、ディスプレイ21のロール回転を可能とする。また、背面固定部材235は、ヒンジ部材234に摺動可能に接続されていることから、ディスプレイ21の表示面に対する平行移動を可能とする。
【0016】
支持部材23を構成する部材には、変位を検出するためのエンコーダ(不図示)が設置されている。例えば、回転部材232には、回転部材232が回転した量に応じたパルスを出力するエンコーダと、ヒンジ部材234が変位した量に応じたパルスを出力するエンコーダとを備えている。また、背面支持部材235は、回転した量に応じたパルスを出力するエンコーダと、前後に平行移動した量に応じたパルスを出力するエンコーダとを備えている。
【0017】
傾き検出装置22は、支持部材23を構成する部材の変位を検出し、ディスプレイ21のピッチ、ヨー、ロール及び平行移動を検出する。例えば、支持部材23を構成する部材に設置されたエンコーダの出力を受信して、ディスプレイ21のピッチ回転、ヨー回転、ロール回転及び平行移動の向き及び量を求める。なお、エンコーダを用いる方法でなくても、傾き検出装置22がディスプレイ21の変位を検出可能であれば、他の手段を用いてもよい。
【0018】
図1に戻って説明する。
【0019】
記憶装置3は、CD-ROMやDVD-ROMやHDDやICカードといった記憶媒体で構成されている。この記憶媒体には、地図の描画や経路探索において利用される地図データが記憶されている。地図データには、地図上の道路を構成するリンクのデータ(リンクデータ)が含まれている。リンクデータには、リンクを識別するコード(リンクID)ごとに、開始ノードと終了ノードの座標、道路種別、リンク長、接続するリンクに関する情報などが格納されている。
【0020】
また、地図データには、立体的な鳥瞰図を描画する際に利用される、地図上の構成物の三次元データ(ポリゴンデータ)が含まれている。ポリゴンデータは、三角形などの単純な多角形の頂点の三次元座標の集合である。ポリゴンデータには、立体物を地図上に配置するときに基準として用いられる代表点の位置も含まれている。ポリゴンデータで規定される立体物を、予め定められた向きで、その代表点が所定の座標位置になるように配置すると、実際の建物の配置を再現することができる。
【0021】
音声入出力装置4は、マイクロホンを備え、ユーザが発話した音声を取得し、演算処理部1に送信する。また、演算処理部1で生成したユーザへのメッセージを音声信号に変換し出力する。
【0022】
入力装置5は、ユーザからの指示を受け付けるユニットである。入力装置5は、スクロールキー、縮尺変更キーなどのハードスイッチ、ジョイスティック、ディスプレイ上に貼られたタッチパネルなどで構成される。
【0023】
センサ6、7およびGPS受信装置8は、車載用ナビゲーション装置100で現在地(自車位置)を検出するために使用されるものである。
【0024】
図4は、演算処理部1のハードウェア構成例を示す図である。
【0025】
図示するように、演算処理部1は、各デバイス間をバス32で接続した構成としてある。演算処理部1は、数値演算及び各デバイスを制御するといった様々な処理を実行するCPU(Central Processing Unit)21と、記憶装置3から読み出した地図データ、演算データなどを格納するRAM(Random Access Memory)22と、プログラムやデータを格納するROM(Read Only Memory)23と、メモリ間およびメモリと各デバイスとの間のデータ転送を実行するDMA(Direct Memory Access)24と、グラフィックス描画を実行し且つ表示制御を行う描画コントローラ25と、グラフィックスイメージデータを蓄えるVRAM(Video Random Access Memory)26と、イメージデータをRGB信号に変換するカラーパレット27と、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器28と、シリアル信号をバスに同期したパラレル信号に変換するSCI(Serial Communication Interface)29と、パラレル信号をバスに同期させてバス上にのせるPIO(Parallel Input/Output)30と、パルス信号を積分するカウンタ31と、を有する。
【0026】
図5は、演算処理部1の機能ブロック図である。
【0027】
図示するように、演算処理部1は、主制御部101と、入力処理部102と、傾き検出部103と、表示処理部104とを備えている。なお、車載用ナビゲーション装置100の本来の基本動作であるナビゲーション処理に関する機能部については説明を省略する。
【0028】
主制御部101は、各機能部を制御する中心的なユニットである。例えば、入力処理部102を介して入力装置5への入力を検出し、ユーザからの指示を解析し、指示された内容に対応する処理が実行されるように各機能部を制御する。
【0029】
入力処理部102は、入力装置5から、入力信号を受信し、主制御部101に送る。
【0030】
傾き検出部103は、傾き検出装置22を介して、ディスプレイ21の傾き(ピッチ、ヨー、ロール、平行移動を含む)を検出し、主制御部101に送る。
【0031】
表示処理部45は、ディスプレイ2への描画コマンドを生成する。例えば、指定された縮尺、描画方式で、道路、その他の地図構成物や、現在地、目的地、推奨経路のための矢印といったマークを描画するように地図描画コマンドを生成する。
【0032】
図5で示した構成要素及び機能は、CPU21がメモリ22にロードした所定のプログラムを実行することにより達成される。
【0033】
[動作の説明]次に、本実施形態の車載用ナビゲーション装置100の特徴的な動作について説明する。
【0034】
本実施形態の車載用ナビゲーション装置100は、鳥瞰地図と平面地図とを表示することができる。また、ディスプレイ21のピッチ方向の回転により、鳥瞰地図と平面地図との表示を切り替える機能を備えている。
【0035】
地図の表示処理は、入力処理部102が、入力装置5を介してユーザから地図表示の要求を受け付けると開始される。
【0036】
主制御部101は、鳥瞰地図の表示の要求があった場合は、鳥瞰地図の表示処理を開始する。一方、平面地図の表示の要求があった場合は、平面地図の表示処理を開始する。また、表示する地図の形式を指定されなかった場合は、初期設定として、現在位置周辺の鳥瞰地図を表示する。
【0037】
図6は、鳥瞰地図の表示処理のフロー図である。
【0038】
まず、主制御部101は、傾き検出部103を介して、ディスプレイ21のピッチ回転角を取得する(S110)。なお、図3に示すように、ディスプレイ21を垂直に立てた状態、すなわち、y軸に縦、x軸に横、表示面がxy平面と平行になるように配置させたときのピッチ回転角を0°とする。すなわち、ディスプレイ21をx軸を中心に回転させて、表示面が水平となった状態のピッチ回転角は、90°となる。
【0039】
次に、主制御部101は、ピッチ回転角が予め定めた角度A1を超えたか否か判定する(S111)。角度A1は、ディスプレイ21が水平に近くなるときの角度、例えば、80〜90°とすることができる。
【0040】
ピッチ回転角>角度A1である場合(S111でY)、すなわち、ディスプレイ21が水平に近い状態となった場合、主制御部101は、鳥瞰地図の表示処理を終了して、後述する平面地図の表示処理を開始する。
【0041】
一方、ピッチ回転角>角度A1でない場合(S111でN)、主制御部101は、鳥瞰地図を描画する際の俯角を、ピッチ回転角を用いて更新する(S112)。
【0042】
図7は、鳥瞰図を描画する方法を説明するための図である。鳥瞰図は、ある視点から、地表を眺めた様子を示す図である。鳥瞰図は、視点の位置と、方位と、俯角(地表を見下ろしたときの視線の方向と目の高さの水平面とのなす角)が設定されれば描画することができる。そこで、主制御部101は、ピッチ回転角を、鳥瞰の俯角として用いる。なお、三次元画像の二次元画像への変換は、視線に垂直な投影面に地表の様子を投影することで描画することができる。
【0043】
主制御部101は、初期状態において、基準位置の上空の位置(例えば、現在位置の10m上空の位置)を視点に設定する。また、車両方位を、鳥瞰の方位に設定する。
【0044】
次に、主制御部101は、傾き検出部103を介して、ディスプレイ21のヨー回転角を取得する(S113)。
【0045】
そして、主制御部101は、鳥瞰の方位(図7の「方位」参照)を、ヨー回転角を用いて変更する(S114)。具体的には、現在の鳥瞰の方位に、ヨー回転角の変化分を足して更新する。
【0046】
こうして、視点の位置と、鳥瞰の方位と、俯角とが設定されると、主制御部101は、地図データを用いて、鳥瞰地図を生成し、表示処理部104を介して、ディスプレイ21に表示する(S115)。なお、ポリゴンデータを用いて、立体的な鳥瞰地図を生成することができる。そして、再び、S110に戻って処理を繰り返す。
【0047】
次に、平面地図の表示処理について説明する。図8は、平面地図の表示処理のフロー図である。
【0048】
まず、主制御部101は、傾き検出部103を介して、ディスプレイ21のピッチ回転角を取得する(S120)。
【0049】
次に、主制御部101は、ピッチ回転角が予め定めた角度A2未満であるか否か判定する(S121)。角度A2は、ディスプレイ21が垂直に立てられた状態に近くなるときの角度、すなわち、0〜10°とすることができる。なお、前述した鳥瞰地図から水平地図に切り替わるときの角度A1と、かかる水平地図から鳥瞰地図に切り替わるときの角度A2は、同じ値でもよいが、異なる値とすることもできる。図7に示すように、角度A1>角度A2であるのが好ましい。こうすれば、一旦、平面地図へ切り替わった場合に、所定の角度までディスプレイを起こさなければ鳥瞰地図に切り替わらないようにすることができる。また、一旦、鳥瞰地図に切り替わると、所定の角度までディスプレイを寝かさないと平面地図に切り替わらないようにすることができる。
【0050】
図8に戻って説明する。
【0051】
ピッチ回転角<角度A2である場合(S121でY)、すなわち、ディスプレイ21が垂直に近い状態となった場合、主制御部101は、平面地図の表示処理を終了して、図6で示した鳥瞰地図の表示処理を開始する。
【0052】
一方、ピッチ回転角<角度A2でない場合(S121でN)、主制御部101は、ピッチ回転角に応じた平面地図のスクロール方向と速度を決定する(S122)。具体的には、表示面を正面にして見たとき、ピッチ回転の方向が、ディスプレイ21の上部が手前に、下部が奥に変位するような回転の場合、スクロール方向を下方向(下方向の地図が次々と表示されるスクロール方向)に設定する。逆に、ピッチ回転の方向が、ディスプレイ21の上部が奥に、下部が手前に変位するような回転の場合、スクロール方向を上方向(上方向の地図が次々と表示されるスクロール方向)に設定する。また、水平を基準としたときの傾きが大きいほど(水平との差が大きい程)、スクロール速度を早く設定する。なお、主制御部101は、予め、ピッチ回転角を、スクロール方向及びスクロール速度に対応つけたテーブルを保持しておき、かかるテーブルを用いて、スクロール方向及び速度を求めてもよい。
【0053】
次に、主制御部101は、傾き検出部103を介して、ディスプレイ21のヨー回転角を取得する(S123)。
【0054】
そして、主制御部101は、ヨー回転角に応じた平面地図のスクロール方向と速度を決定する(S124)。具体的には、ヨー回転の方向が、ディスプレイ21の右端部が手前に、左端部が奥に変位するような回転の場合、スクロール方向を左方向(左方向の地図が次々と表示されるスクロール方向)に設定する。逆に、ヨー回転の方向が、ディスプレイ21の右端部が奥に、左端部が手前に変位するような回転の場合、スクロール方向を右方向(右方向の地図が次々と表示されるスクロール方向)に設定する。また、水平を基準としたときの傾きが大きいほど(水平との差が大きい程)、スクロール速度を早く設定する。なお、主制御部101は、予め、ヨー回転角を、スクロール方向及びスクロール速度に対応つけたテーブルを保持しておき、かかるテーブルを用いて、スクロール方向及び速度を求めてもよい。
【0055】
こうして、スクロール方向と速さを決定すると、主制御部101は、地図データから表示に必要な範囲の地図を取得し、表示処理部104を介して、平面地図をスクロール表示する(S125)。そして、S120に戻って処理を繰り返す。
【0056】
以上、鳥瞰地図の表示処理と、平面地図の表示処理について説明した。次に、表示画面の遷移図を用いて、より具体的に説明する。
【0057】
図9〜図12は、ディスプレイ21を様々な方向に回転した場合の画面の遷移図である。画面に対応させて、ディスプレイ21の傾きの様子も示している。
【0058】
図9は、鳥瞰地図から平面地図に切り替わる様子を示す。初め、ディスプレイ21は、ほぼ垂直に配置されているとする。図示するように、初期状態において、主制御部101は、俯角をほぼ0°とした鳥瞰地図411を表示する。
【0059】
ディスプレイ21がピッチ方向に傾けられると、主制御部101は、鳥瞰の俯角がピッチ回転角になるように変更する。その結果、より上から見下ろした鳥瞰地図412となる。
【0060】
さらに、ピッチ方向に傾けられ、ディスプレイ21がほぼ水平に寝かされると、主制御部101は、鳥瞰地図表示をやめて、平面地図413に切り替えて表示する。
【0061】
再度、ディスプレイ21がほぼ垂直に立てられると、主制御部101は、鳥瞰地図414を表示することになる。
【0062】
図10は、鳥瞰地図表示を行っている場合にヨー回転があった場合の画面遷移図である。
【0063】
初め、ディスプレイ21は、正面を向いているとする。主制御部101は、初期設定の方位(車両方位)を鳥瞰方位とした鳥瞰図421を表示する。
【0064】
そして、主制御部101は、ディスプレイ21の左端部が手前、右端部が奥になるようなヨー回転を検出すると、鳥瞰方位を左方向(反時計回りの方向)に変更する。そして、左方向を見た鳥瞰図422を表示する。
【0065】
一方、主制御部101は、ディスプレイ21の左端部が奥、右端部が手前になるようなヨー回転を検出すると、鳥瞰方位を右方向(時計回りの方向)に変更する。そして、右方向を見た鳥瞰図423を表示する。
【0066】
図11は、平面地図の表示を行っている場合に、ディスプレイ21がピッチ方向に傾けられた場合の画面遷移図である。
【0067】
主制御部は、ディスプレイ21がほぼ水平のときは、スクロールせずに、静止した平面地図432を表示する。一方、ディスプレイ21の上部が手前に、下部が奥になるようにピッチ回転があった場合、下方向の地図431が表示されるようにスクロールする。逆に、ディスプレイ21の上部が奥に、下部が手前になるようにピッチ回転があった場合、上方向の地図433が表示されるようにスクロールする。また、スクロールの速度は、水平位置からの傾きが大きい程、早くする。
【0068】
図12は、平面地図の表示を行っている場合に、ディスプレイ21がヨー方向に傾けられた場合の画面遷移図である。
【0069】
主制御部は、ディスプレイ21がほぼ水平のときは、スクロールせずに、静止した平面地図442を表示する。一方、ディスプレイ21の右端部が手前に、左端部が奥になるようにヨー回転があった場合、左方向の地図441が表示されるようにスクロールする。逆に、ディスプレイ21の右端部が奥に、左端部が手前になるようにヨー回転があった場合、右方向の地図443が表示されるようにスクロールする。また、スクロールの速度は、水平位置からの傾きが大きい程、早くする。
【0070】
なお、主制御部101は、ディスプレイ21の前後の平行移動を検出した場合、地図の縮尺を変更するようにしてもよい。図13は、かかる場合の画面遷移図である。画面に対応させて、ディスプレイ21の変位の様子も示している。
【0071】
主制御部101は、傾き検出部103を介して、ディスプレイ21の表示面にする平行移動を検出する。そして、移動の方向により、地図の縮尺を切り替える。図13に示すように、初めは、ユーザに指定された縮尺(あるいは、初期設定の縮尺)で地図452を表示する。ディスプレイ21の表示面を正面とした場合に、ディスプレイ21が手前に平行移動した場合、主制御部101は、縮尺を大きくする。すなわち、より詳細な地図451を表示する。一方、ディスプレイ21が奥に平行移動した場合、主制御部101は、縮尺を小さくする。すなわち、より広域な地図453を表示する。
【0072】
なお、縮尺を変更するのは、平面地図を表示しているときであっても、鳥瞰地図を表示しているときであってもよい。
【0073】
以上、本発明の一実施形態について説明した。
【0074】
上記実施形態によれば、ユーザに、直感的な操作で入力を行わせることができる。すなわち、スイッチを押したり、ダイヤルを回したりさせることなく、ディスプレイを動かすだけで、表示内容の変更要求を入力させることができる。
【0075】
<変形例1>
本発明は、上記実施形態に制限されない。上記実施形態は、様々な変形が可能である。
【0076】
例えば、上記実施形態では、本発明を地図表示の際の入力操作に適用した場合について説明した。本発明は、これに限らず、メニュー表示している際の入力操作に適用してもよい。
【0077】
図14は、メニューの表示処理のフロー図である。また、図15は、かかる場合の画面の遷移図である。
【0078】
主制御部101は、設定されたモードに応じて、複数の選択肢461mをリスト表示する。そして、表示した選択肢461mの中から、ユーザに、1つの選択肢を選択させる。そのため、選択肢の1つにフォーカス461fを配置する。そして、フォーカス461fの画面上の位置を変化させずに、リストをスクロールさせることで、フォーカスが配置される選択肢を変更していく。ユーザから、入力装置5などを介して確定要求を受け付けたると、そのときフォーカスの位置にある選択肢をユーザが選択した選択肢として確定する。以下、スクロールの方法とメニュー画面の変更の方法について、図14のフローに沿って説明する。
【0079】
主制御部101は、メニュー画面の表示中、ディスプレイ21への回転を検出すると、その角度を取得する(S130)。例えば、図15に示すように、選択肢を縦にリスト表示するメニュー画面461を表示している場合、ピッチ方向の回転を監視し、回転が検出された場合、回転角を取得する。そして、取得したピッチ回転角に応じた選択肢のスクロール方向と速度を決定する(S131)。具体的には、主制御部101は、回転方向に対応するスクロール方向を、予め定めておく。また、回転角度(基準位置からの回転角度)に応じたスクロール速度を、予め定めておく。そして、ピッチ回転角に応じたスクロール方向と速度を特定する。さらに、主制御部101は、ディスプレイ21の平行移動を監視する(S132)。そして、平行移動があった場合、その方向に応じて、メニュー画面のページを変更する(S133)。例えば、ディスプレイ21が、表示面を正面とした場合に、奥に平行移動した場合、次のメニュー画面に遷移するように、表示するページを決定する。手前に移動した場合、前のメニュー画面に遷移するように、表示するページを決定する。そして、主制御部101は、決定したメニュー画面を表示し、決定したスクロール方向及び速度でリストをスクロールさせる(S134)。
【0080】
図14及び図15で示した例に限らず、ディスプレイ21の平行移動の動作により、確定要求を受け付けるようにしてもよい。例えば、主制御部101は、選択肢をリスト表示しているときに、選択候補を示すフォーカス461fをいずれかの選択肢に配置する。そして、ディスプレイ21の奥への平行移動を検知した場合に、フォーカスが配置されている選択肢を、ユーザの選択した内容として確定する。
【0081】
または、ディスプレイの回転方向によって、スクロール要求と、選択の確定要求を区別してもよい。例えば、主制御部101は、ピッチ方向の回転を検知すると、リスト表示された選択肢をスクロールする。一方、ヨー方向の回転を検知すると、フォーカス461fが配置されている選択肢を、ユーザの選択した選択肢として確定する。
【0082】
また、回転角度によって、確定要求を受け付けてもよい。例えば、主制御部101は、ピッチ方向の回転を検知した場合、回転角が所定の範囲内(例えば、水平を基準とした場合の傾きが45°以内)であれば、選択肢のリストをスクロールし、所定の範囲内(例えば、水平を基準とした場合の傾きが45°以上)を超えている場合は、フォーカスが配置されている選択肢をユーザの選択した選択肢として確定する。
【0083】
<変形例2>
また、ディスプレイ21を、車載用ナビゲーション装置100の本体から着脱可能にしてもよい。着脱可能とした場合、本体とディスプレイ21との情報の授受は、無線通信で行うことができる。また、車載用ナビゲーション装置は、ディスプレイ21の着脱を検知する機能を備える。かかる場合、ディスプレイ21には、ディスプレイ21の傾きを検出するために、例えば、三軸方向の回転を検知可能なジャイロセンサを備えている。傾き検出部103は、ジャイロセンサの出力から、ピッチ、ヨー、ロール、前後移動を検出する。
【0084】
このように、ディスプレイ21を固定せずに、ユーザが自由に移動できるようにした場合でも、上記のように、ディスプレイ21への変位動作により、鳥瞰地図と平面地図の表示を切り替えたり、鳥瞰の俯角や鳥瞰方向を変更させたり、平面地図のスクロール方向や速度、メニュー表示のスクロール方向や速度を変更するようにすることができる。すなわち、ディスプレイ21を外して、およそ水平にした場合、平面地図を表示することいができるので、ユーザはあたかも紙の地図のように扱うことができる。
【0085】
さらに、下記のようにすることもできる。
【0086】
例えば、図16に示すように、主制御部101は、表示する地図の方位を、ディスプレイ21の方位に一致させる。具体的には、鳥瞰地図を表示している場合に、鳥瞰の方位(図7の「方位」参照)を、ディスプレイ21の表示面に垂直でかつ表示面から背面に向かう方位(図3では、z軸方向)に一致させる。そのため、まず、主制御部101は、ディスプレイ21が車両の支持部材から外されたことを検知すると、ディスプレイ21の三軸方向のジャイロセンサの出力から、支持部材から外されてからのディスプレイ21の向きの変化を求める。ジャイロセンサは、加速度を検出するが、加速度を時間で積分すれば、速度が求まり、さらに時間で積分すれば、x軸、y軸、z軸方向への移動軌跡が求められる。そして、車両の支持部材から外されてからのディスプレイ21の向きの変化が求められる。その向きの変化を、現在位置算出処理の過程で求められる車両方位に加算することで、ディスプレイ21の方位が求められる。そして、ディスプレイ21の表示面に垂直でかつ表示面から背面に向かう方位(図3のz軸方向)を求め、その方位を鳥瞰の方位に設定する。こうすれば、図16に示すように、例えば、ある場所470で、ユーザがディスプレイ21を表示面が正面となるように両手で持って、北方向を向けば、北方向の鳥瞰地図471が表示されるようになる。
【0087】
また、平面地図表示をしている場合に、ディスプレイ21に表示される地図の基準方向(例えば、北西)が、実際の基準方向(例えば、北西)と一致するようにすることもできる。例えば、主制御部101は、上記と同様に、ディスプレイ21の方位を求める。そして、ディスプレイ21の上部方向(図3ではy軸方向)の方位を求める。そして、平面地図を表示する際、求めた方位がディスプレイ21の上になるように調整して表示する。例えば、ディスプレイ21の上部が北西を向いている場合、ディスプレイ21の上が北西になるような平面地図を表示する。こうすれば、ユーザが、ディスプレイ21をほぼ水平に、かつ上が北西になるように持った場合、ディスプレイ21には上が北西となって配置された平面地図が表示される。ディスプレイ21をロール方向に回転させても、表示される地図の向きと、実際の向きが一致することになる。したがって、ユーザにとっては、ディスプレイ21上の地図が実際の向きと一致するので、見やすいものとなる。
【0088】
また、ディスプレイ21が車両の支持部材から外されたか否かにより、上記のようなディスプレイ21の回転によりユーザから入力を受け付けるか否かを設定するようにしてもよい。すなわち、ディスプレイ21が車両の支持部材に装着されている場合は、主制御部101は、デイスプレイ21の傾きに関係なく、ハードスイッチなどからの入力のみに基づいて、ユーザから入力を受け付ける。そして受け付けた内容に応じた処理を行う。一方、ディスプレイ21が車両の支持部材から外された場合は、主制御部101は、デイスプレイ21に対して成された傾き(ピッチ、ヨー、ロール、前後移動など)の動作に応じて、ユーザから入力を受け付け、受け付けた内容によって、表示内容を変える。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】図1は、本発明の一実施形態が適用された車載用ナビゲーション装置の概略構成図である。
【図2】図2は、ディスプレイ部の外観図である。
【図3】図3は、ディスプレイの回転方向を説明するための図である。
【図4】図4は、演算処理部1のハードウェア構成を示す図である。
【図5】図5は、演算処理部1の機能構成を示す図である。
【図6】図6は、鳥瞰地図表示処理のフロー図である。
【図7】図7は、鳥瞰地図の生成方法を説明するための図である。
【図8】図8は、平面地図表示処理のフロー図である。
【図9】図9は、画面の遷移図である。
【図10】図10は、画面の遷移図である。
【図11】図11は、画面の遷移図である。
【図12】図12は、画面の遷移図である。
【図13】図13は、画面の遷移図である。
【図14】図14は、メニュー表示処理のフロー図である。
【図15】図15は、画面の遷移図である。
【図16】図16は、表示画面の例を示す図である。
【符号の説明】
【0090】
100…車載用ナビゲーション装置、
1…演算処理部、2…ディスプレイ部、3…記憶装置、4…音声出入力装置、5…入力装置、6…車輪速センサ、7…ジャイロ、8…GPS受信装置、21…CPU、22…RAM、23…ROM、24…DMA、25…描画コントローラ、26…VRAM、27…カラーパレット、28…A/D変換器、29…SCI、30…PIO、31…カウンタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナビゲーション装置であって、
ディスプレイの傾きを検出する傾き検出手段と、
前記ディスプレイの傾きに応じて、前記ディスプレイに表示する内容を異ならせる表示手段と
を備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載のナビゲーション装置であって、
前記表示手段は、
前記ディスプレイの傾きが第1の範囲の場合、平面地図表示を行い、
前記ディスプレイの傾きが第2の範囲の場合、鳥瞰地図表示を行う
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項2に記載のナビゲーション装置であって、
前記表示手段は、
鳥瞰地図表示を行っている場合、
前記ディスプレイの傾きに応じて、鳥瞰の俯角を変更する
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項2に記載のナビゲーション装置であって、
前記表示手段は、
鳥瞰地図表示を行っている場合、
前記ディスプレイの傾きに応じて、鳥瞰の方位を変更する
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項2に記載のナビゲーション装置であって、
前記表示手段は、
平面地図表示を行っている場合、
前記ディスプレイの傾きの方向に応じて、スクロールの方向を変更する
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項6】
請求項2に記載のナビゲーション装置であって、
前記ディスプレイの表示面に対する平行移動を検出する平行移動検出手段を備え、
前記表示手段は、
前記平行移動検出手段が平行移動を検出した場合、地図の縮尺を変更する
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項7】
請求項1に記載のナビゲーション装置であって、
前記表示手段は、
複数の選択肢を有するメニューを表示し、
前記傾き検出手段が所定の範囲の傾きを検出した場合、傾きの方向に応じてスクロール又はページ遷移を行う
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項8】
請求項7に記載のナビゲーション装置であって、
前記表示手段は、
前記ディスプレイの傾きの大きさに応じてスクロール速度又はページ遷移速度を変更する
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項9】
請求項7に記載のナビゲーション装置であって、
前記ディスプレイの表示面に対する平行移動を検出する平行移動検出手段を備え、
前記表示手段は、
前記平行移動変位検出手段が平行移動を検出した場合、画面を遷移させる
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項10】
請求項1に記載のナビゲーション装置であって、
前記傾き検出手段は、
前記ディスプレイを支持する部材の変位から傾きを検出する
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項11】
請求項1に記載のナビゲーション装置であって、
前記ディスプレイは、ジャイロセンサを備え、
前記傾き検出手段は、前記ジャイロセンサの出力を用いて、前記ディスプレイの傾きを検出する
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項12】
請求項11に記載のナビゲーション装置であって、
前記ディスプレイは、ナビゲーション装置本体と着脱可能に構成される
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項13】
請求項12に記載のナビゲーション装置であって、
前記傾き検出手段は、前記ジャイロセンサの出力から前記ディスプレイの方位を求め、
前記表示手段は、
鳥瞰の方位を前記ディスプレイの方位に対応させて、鳥瞰地図を表示する
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項14】
請求項12に記載のナビゲーション装置であって、
前記傾き検出手段は、前記ジャイロセンサの出力から前記ディスプレイの方位を求め、
前記表示手段は、平面図の基準方位を前記ディスプレイの方位に対応させて、平面地図を表示する
ことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項15】
ナビゲーション装置の表示方法であって、
ディスプレイの傾きを検出する傾き検出ステップと、
前記ディスプレイの傾きに応じて、前記ディスプレイに表示する内容を異ならせる表示ステップと
を行うことを特徴とするナビゲーション装置の表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2008−45914(P2008−45914A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−219776(P2006−219776)
【出願日】平成18年8月11日(2006.8.11)
【出願人】(591132335)株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【Fターム(参考)】