説明

ナビゲーション装置

【課題】実際の通信状態に応じて経路の再探索を行うナビゲーション装置を提供すること。
【解決手段】アプリケーションが通信を要求するデータ量に基づいて1又は複数の無線通信アクセスポイントを経由するように出発地点から到着地点までの経路探索を行うナビゲーション装置であって、前記1又は複数の無線通信アクセスポイントで行ったデータの送受信が、各無線通信アクセスポイントで送受信を行うために予め設定されているデータ量に足りていないときは、アプリケーションが通信を要求する残りのデータ量に基づいて、1又は複数の無線通信アクセスポイントを経由する現在地点から前記到着地点までの経路を再び探索するナビゲーション装置とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置に関し、特に無線通信アクセスポイントを経由する経路探索を行うナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無線通信装置搭載ナビゲーション装置における経路探索については、予めアプリケーションが送受信するデータ量に基づいて、アクセスポイントと車載装置との間の通信状態の統計情報等に基づいて必要な無線通信アクセスポイントを経由し、起点から終点までの経路探索を行うことができるようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−78527号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のナビゲーション装置は、アクセスポイントと車載装置との間の通信状態について統計情報を元に計算を行うため、実際の通信状態が統計情報よりも不安定である場合には、経路探索によって算出された全ての無線通信アクセスポイントを経由してもデータの送受信が完了せず、目的地に到達した際にアプリケーションに必要なデータが確保できない。また、実際の通信状態が統計情報よりも良好である場合には、経路探索によって算出された無線通信アクセスポイントを全て経由することなくデータの送受信が完了するが、ナビゲーション装置は全ての無線通信アクセスポイントを経由するようにナビゲーションを継続するため、不必要な無線通信アクセスポイントを経由することにより目的地に到着するまでに余分な時間がかかることになる。
【0005】
さらに、従来のナビゲーション装置は、アプリケーションが送受信するデータ量に基づいて無線通信アクセスポイントを経由する経路探索を行うものであるから、アプリケーションが必要とするデータ量が未確定である場合には経路探索をすることができない。
【0006】
本発明は、上述した問題点に鑑み、実際の通信状態に応じて経路の再探索を行うナビゲーション装置、或いは総データ量が未確定であっても経路探索ができるナビゲーション装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明は、アプリケーションが通信を要求するデータ量に基づいて1又は複数の無線通信アクセスポイントを経由するように出発地点から到着地点までの経路探索を行うナビゲーション装置であって、前記1又は複数の無線通信アクセスポイントのいずれかで行ったデータの送受信が、各無線通信アクセスポイントで送受信を行うために予め設定されているデータ量に足りていないときは、アプリケーションが通信を要求する残りのデータ量に基づいて、1又は複数の無線通信アクセスポイントを経由する現在地点から前記到着地点までの経路を再び探索することを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、アプリケーションが通信を要求するデータ量に基づいて1又は複数の無線通信アクセスポイントを経由するように出発地点から到着地点までの経路探索を行うナビゲーション装置であって、前記1又は複数の無線通信アクセスポイントを全て経由する前に、前記データ量の送受信が完了したときは、無線通信アクセスポイントを考慮しない現在地点から前記到着地点までの経路を再び探索することを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、アプリケーションの通信要求に応じて出発地点から到着地点までの経路探索を行うナビゲーション装置において、前記通信要求を受けると、出発地点における進行方向で最も近い無線通信アクセスポイントを経由地として前記到着地点までの経路を探索することを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、前記経由地である無線通信アクセスポイントで行ったデータの送受信によってアプリケーションが要求するデータの送受信が完了していないときは、現在地点における進行方向で最も近い無線通信アクセスポイントを経由して前記到着地点までの経路を再び探索することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、実際の通信状態に応じて再度経路探索を行うことにより、確実にアプリケーションが通信を要求するデータの送受信を完了し、また無駄な無線通信アクセスポイントを通過することなく、最適経路でユーザーを誘導することができる。さらに、アプリケーションが通信を要求するデータ量が未確定な場合であっても、無線通信アクセスポイントを経由する経路探索を繰り返すため確実にデータの送受信を完了することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】は、本発明のナビゲーション装置の一例を示す図である。
【図2】は、本発明のナビゲーション装置の経路探索処理の一例を示す第1のフローチャートである。
【図3】は、本発明のナビゲーション装置の経路探索処理の一例を示す第2のフローチャートである。
【図4】は、本発明のナビゲーション装置の再経路探索の一例を示す第1の図である。
【図5】は、本発明のナビゲーション装置の再経路探索の一例を示す第2の図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0014】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の実施の形態の一つにおけるナビゲーション装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図1を参照してナビゲーション装置1は、操作部2と、表示部3と、制御部4と、バッテリー5と、地図データメモリ6と、スピーカー7と、自車位置検出部8と、無線LANモジュール9とを含む。
【0015】
操作部2は、ユーザーが指令や情報を入力操作するリモコンやタッチパネル等の操作部(入力操作手段)で、目的地を入力したり、メニュー操作したりする
【0016】
表示部3は、地図画面やメニュー画面を表示する表示モニターである。
【0017】
制御部4は、ナビゲーション装置の動作を制御するものであり、CPU41と、描画チップ42と、I/O部43と、メモリ44とを含む。
【0018】
バッテリー5は電源供給手段である。地図データメモリ6は、NAND型フラッシュメモリ(不揮発性を持つ記憶素子のフラッシュメモリ)、SDメモリカードなど地図情報を記録しておくメモリである。また、地図情報には同時に無線LANアクセスポイントの位置情報も記録されている。スピーカー7は、表示部3に表示された経路案内における音声案内や効果音等を出力する。
【0019】
自車位置検出部8は、図示しないGPS受信機、ジャイロ、車速センサ、地磁気センサ等を含んで構成され、これらの信号を制御部4に送る。無線LANモジュール9は、ナビゲーション装置がデータ送受信を行う通信手段である。無線LANは、例えば、IEEE802.11b規格等によるものであり、無線LANのホスト基地局の機能を有するいわゆるアクセスポイントを経由してインターネットに接続される。そして、インターネットを介して画像蓄積サービスを行うサーバ装置等の撮影情報蓄積装置(図示せず)に接続可能となっている。
【0020】
CPU41は、アプリケーションが要求するデータ量の算出、マップマッチング処理や経路探索その他ナビゲーションシステムとして必要なあらゆる機能を有し、自車位置検出部8からの信号を受信すると地図データメモリ6に記録されている地図情報とあわせて自車の位置、方向、速度等を算出する。描画チップ42は、CPU41の算出したデータに基づいて、表示部2のサイズの地図画像を生成し、表示する。I/O部43は、メモリ44に情報を書き込む場合とメモリ44から情報を読み込む場合とで信号回路を切り替える機能を有する。メモリ44は、書き込まれた情報を記録する機能を有する。
【0021】
図2は、本発明のナビゲーション装置の経路探索処理の一例を示す第1のフローチャートである。
【0022】
ステップS01において、アプリケーションが通信を要求するデータ量に基づき、出発地点から目的地までの間に経由すべき1又は複数の無線LANアクセスポイントを算出し、算出された1又は複数の無線LANアクセスポイントを経由するように経路探索を行う。
【0023】
ステップS02において、経由アクセスポイント(以下、「経由AP」という。)の通信圏内に到達したかどうかが判断され、到達していないと判断された場合には(NO)、経由APまで引き続き誘導を行う。
【0024】
ステップS02において、経由APの通信圏内に到達したと判断されると、ナビゲーション装置1はデータの送受信を行う(ステップS03)。
【0025】
経由APの通信圏外となりステップS03のデータの送受信が終了すると、ステップS04において、当該経由APに予め割り当てられたデータ量の通信を行ったかどうかが判断される。当該経由APとナビゲーション装置との通信状態が劣悪であるといった理由により、予定のデータ量の送受信が完了していないと判断されると、ステップS05に進み、再度残りのデータ量に基づいて、現在地点における進行方向で無線LANアクセスポイントを含む1又は複数の無線LANアクセスポイントを経由する経路探索を行う。
【0026】
ステップS04において予め割り当てられたデータ量の通信を完了したと判断すると、アプリケーションが通信を要求するデータの全ての送受信が完了しているかが判断される(ステップS06)。ステップS06においてアプリケーションが通信を要求するデータの全ての送受信が完了していないと判断されると、引き続き残りの経由APを経由するように誘導を行う。
【0027】
ステップS06においてアプリケーションが通信を要求するデータ量の全ての送受信が完了していると判断されると、ステップS07において、現在地点から目的地の経路上に、経由APが残っているかが判断される。その結果、経由APが残っていないと判断された場合には、引き続き目的地まで誘導を行う。
【0028】
ステップS07において、経由APが残っていると判断されると、残りの経由APを無視した現在地点から目的地への最短の経路探索を行い、目的地までの誘導を行う(ステップS08)。
【0029】
図4及び図5は第1の実施の形態において、経由APに割り当てられたデータの送受信が完了していない場合及び全経由APを経由する前にデータの送受信が完了した場合それぞれの再経路探索の一例を示す図である。
【0030】
図4は、経由APに割り当てられたデータの送受信が完了していない場合の再経路探索の一例を示している。ルートAは、アプリケーションが通信を要求するデータ量に基づく経路探索により当初予定されていたルートであり、AP1及びAP2を経由するルートである。
【0031】
しかしながら、AP1を通過し、通信圏外となったときに、予めAP1で送受信を行うと割り当てられていたデータ量の送受信が完了していない場合には、再度経路探索を行い、AP3を経由するルートBに変更される。
【0032】
図5は、全経由APを経由する前にデータの送受信が完了した場合の再経路探索の一例を示している。ルートA'は、アプリケーションが通信を要求するデータ量に基づく経路探索により当初予定されていたルートであり、AP1'を経由するルートである。
【0033】
しかしながら、AP1'において必要なデータ全ての送受信が完了した場合には、当初経由するものとされたAP2'を無視して再度、現在地点から目的地までの最短の経路探索を行い、AP2'を経由しないルートB'に変更される。
【0034】
[第2の実施形態]
上述した第2の実施の形態は、アプリケーションが通信を要求するデータ量が定まっており、当該データ量に基づいて経由すべきアクセスポイントの数を算出し、出発地点(現在地点)から目的地までの間に経由すべき1又は複数のアクセスポイントを経由するように経路探索を行うナビゲーション装置であったが、第2の実施の形態では、アプリケーションが通信を要求するデータ量が未確定であっても、無線LANアクセスポイントを経由する出発地点(現在地点)から目的地までの経路探索を行う。
【0035】
図3は、本発明のナビゲーション装置の経路探索処理の一例を示す第2のフローチャートである。
【0036】
ステップS10において、現在地点から目的地までの最短の経路探索を行う。
【0037】
ステップS11において、アプリケーションからの通信要求の有無を判断し、通信要求がある場合にはステップS12に進む。一方、通信要求がなければそのまま目的地まで誘導を行う。
【0038】
ステップS12において、現在地点における進行方向で最も近いAPを経由APとする経路探索を再度行う。
【0039】
ステップS13において、経由APの通信圏内に到達したと判断されると、ナビゲーション装置1はデータの送受信を行う(ステップS14)。
【0040】
経由APの通信圏外となりステップS14のデータの送受信が終了すると、ステップS11に進み、アプリケーションからの通信要求の有無を判断する。その結果、通信要求がなければ引き続き目的地まで誘導を行い、通信用要求があれば再びステップS12に進む。
【0041】
第2の実施の形態においては、上述の通り、アプリケーションが通信を要求するデータ量が未確定の場合であってもデータの送受信が完了するまで経路探索を繰り返すが、途中でデータ量が定まった場合には、第1の実施の形態のようにアプリケーションが通信を要求するデータ量に基づいて経由APを算出し、経由APを経由するように経路探索を行うこととしてもよい。
【0042】
<<変形等>>
以上、本発明の実施形態の一例について説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。当該実施形態としては、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改変を加えることが可能である。
【0043】
[注釈1]
上述の実施形態では、ナビゲーション装置がデータの送受信を行う通信手段が、無線LANによる接続となっているが、USBなどの有線インタフェースやBluetoothなどのその他の無線インタフェースを使用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、無線通信アクセスポイント情報を内蔵したナビゲーション装置に利用できる。
【符号の説明】
【0045】
1 ナビゲーション装置
2 操作部
3 表示部
4 制御部
5 バッテリー
6 地図データメモリ
7 スピーカー
8 自車位置検出部
9 無線LANモジュール
41 CPU
42 描画チップ
43 I/O部
44 メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アプリケーションが通信を要求するデータ量に基づいて1又は複数の無線通信アクセスポイントを経由するように出発地点から到着地点までの経路探索を行うナビゲーション装置であって、
前記1又は複数の無線通信アクセスポイントで行ったデータの送受信が、各無線通信アクセスポイントで送受信を行うために予め設定されているデータ量に足りていないときは、アプリケーションが通信を要求する残りのデータ量に基づいて、1又は複数の無線通信アクセスポイントを経由する現在地点から前記到着地点までの経路を再び探索することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
アプリケーションが通信を要求するデータ量に基づいて1又は複数の無線通信アクセスポイントを経由するように出発地点から到着地点までの経路探索を行うナビゲーション装置であって、
前記1又は複数の無線通信アクセスポイントを全て経由する前に、前記データ量の送受信が完了したときは、無線通信アクセスポイントを考慮しない現在地点から前記到着地点までの経路を再び探索することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
アプリケーションの通信要求に応じて出発地点から到着地点までの経路探索を行うナビゲーション装置において、
前記通信要求を受けると、出発地点における進行方向で最も近い無線通信アクセスポイントを経由地として前記到着地点までの経路を探索することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
前記経由地である無線通信アクセスポイントで行ったデータの送受信によってアプリケーションが要求するデータの送受信が完了していないときは、現在地点における進行方向で最も近い無線通信アクセスポイントを経由して前記到着地点までの経路を再び探索することを特徴とする請求項3に記載のナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−266287(P2010−266287A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−116802(P2009−116802)
【出願日】平成21年5月13日(2009.5.13)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】