説明

ナビゲーション装置

【課題】視認できる案内対象物と視認できない案内対象物とを区別して表示するナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】地図上の道路の情報を保持する道路データベースと、前記地図上の案内対象物の位置および案内情報を保持する案内対象物データベースと、本装置が取付けられた移動体の位置を求める位置計算部計算部と、前記道路の情報、前記位置および前記案内対象物の位置の情報から幾何学的に前記案内対象物が道路に面しているか否かを判断する道路隣接判断部と、道路に面していると判断された前記案内対象物と道路に面していないと判断された前記案内対象物とを区別して表示する画像を生成する案内表示生成部と、前記画像を表示する表示部とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、表示装置に表示する画像によって、目的地まで道路に沿って、ユーザを案内するナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のナビゲーション装置においては、ガソリンスタンドといった任意の対象を検索したときに、現在位置から目的地までの誘導経路沿いに存在する案内対象物を案内することが開示されている。具体的には、検索地点周辺の施設がジャンル指定により選別され、選別された各施設と、予め探索された経路との最短直線距離が算出され、算出された最短直線距離が所定距離以内に存する施設のみが抽出され、各施設から目的地までの距離にしたがい、各施設データが並び換えられて提示されることが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−264750号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のナビゲーション装置では、探索された経路との最短直線距離が所定値以下の案内対象物を抽出しているので、ユーザ(ドライバや同乗者など)から視認できない案内対象物に関する案内も表示される。このため、名所案内機能などのような自車の周囲の名所を案内する状況では、実際にどの名所がユーザに見えているのかが分からないという問題がある。また、名所が複数存在するような状況では、見えていない名所の情報まで表示してしまうと情報が過多となる問題もある。
【0005】
この発明は、上述のような問題を解消するためになされたもので、ユーザが視認できる案内対象物を特定し、当該特定された案内対象物に関する案内を表示するナビゲーション装置を得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るナビゲーション装置においては、地図上の道路の情報を保持する道路データベースと、前記地図上の案内対象物の位置および案内情報を保持する案内対象物データベースと、本装置が取付けられた移動体の位置および前記移動体の向きを表す方位を求める位置計算部と、前記道路の情報、前記位置、前記方位および前記案内対象物の位置の情報から幾何学的に前記案内対象物が道路に面しているか否かを判断する道路隣接判断部と、道路に面していると判断された前記案内対象物と道路に面していないと判断された前記案内対象物とを区別して表示する画像を生成する案内表示生成部と、前記画像を表示する表示部とを備えたものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明は、案内対象物が道路に面しているか否かにより、案内対象物がユーザから見えるかどうかを判断するので、ユーザが視認できる案内対象物に関する案内を表示することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施の形態1のナビゲーション装置の構成図である。
【図2】実施の形態1の案内表示生成部の処理のフローチャートである。
【図3】実施の形態1の地図案内図の種類ごとに収集する案内対象物を示す図である。
【図4】実施の形態1の道路隣接判断処理のフローチャートである。
【図5】実施の形態1の道路データ選択処理のフローチャートある。
【図6】実施の形態1の矩形決定処理のフローチャートである。
【図7】実施の形態1の案内対象物のジャンルごとの案内対象物の範囲を示す図である。
【図8】実施の形態2のナビゲーション装置の構成図である。
【図9】実施の形態2の隣接判断処理部の処理のフローチャートである。
【図10】実施の形態2の隣接判断処理部の道路データを選別するエリアを決定する処理を示す表である。
【図11】実施の形態2の隣接判断処理部の道路データ選別の検索範囲の例を示す図である。
【図12】実施の形態3のナビゲーション装置の構成図である。
【図13】実施の形態3の映像合成処理部の処理を示すフローチャートである。
【図14】実施の形態3のコンテンツ生成処理の案内対象物に対する生成するコンテンツの例を示す図である。
【図15】実施の形態4の映像合成処理部のフローチャートである。
【図16】実施の形態4のコンテンツ位置の移動処理の説明図である。
【図17】実施の形態4の表示結果の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は、この発明を実施するための実施の形態1におけるナビゲーション装置のシステム構成を表すブロック図である。以下、ナビゲーション装置の一例として、車両に搭載されるカーナビゲーション装置を例に挙げて説明する。ただし、本発明は、カーナビゲーション装置に限られるものではない。例えば、本発明を携帯電話あるいはPDAなどの携帯可能な機器に搭載し、歩行者が携帯機器を使用するという形態でも良い。
【0010】
図において、ナビゲーション装置は、地図情報のデータベースである地図データベース5と、本ナビゲーション装置の取付けられた移動体の現在位置を求める位置計算部4と、地図上の目的地および表示方法などを設定するためのユーザ入力を行う入力操作部6と、地図データベース5を用いて案内表示を生成するナビゲーション制御部9と、上記案内表示を表示する表示部10を備える。ここで、地図データベース5は、地図上の道路の情報(道路データ)を保持する道路データベース16と、同じ地図上の案内対象物の情報を保持する案内対象物データベース17とを含む。また、ここで、移動体とは、ナビゲーション装置が設けられた車、列車などの移動体をいう。また、移動体の向きとは、車などの前方、または進行方向をいう。
【0011】
位置計算部4は、方位センサ3の情報に基づき、本ナビゲーション装置の取付けられた移動体が向いている方位を計算する機能を持たせても良い。
【0012】
また、本発明には、カーナビゲーションのルート案内のために必要な入力操作部6、必須の構成要素ではない。例えば、カーナビゲーションでルート案内をしない場合には、入力操作部6は必須ではない。カーナビゲーション以外の都市景観シミュレータでは、現在位置および視線方向を入力操作部6で設定するため、位置計算部4は、入力操作部6からの現在位置および視線方向、または移動方向および視線回転の情報に基づき、現在位置および視線方向を求める。
【0013】
ここで、案内対象物は、施設・名所・山といったナビゲーション装置が案内する対象であり、案内対象物はユーザが検索した結果のみに限定するものではなく、ナビゲーション装置が自発的に案内するものも含むものである。また、ユーザは、カーナビゲーション装置では、ドライバや同乗者などである。
【0014】
図において、位置計算部4は、複数の衛星からの電波を受信することにより自車位置を計測するGPSレシーバ1、自車の速度を逐次計測する車速センサ2および自車の進行方向(以下、「方位」という)を逐次計測する方位センサ3から送られる情報に基づき自車位置を計算する構成となっている。
【0015】
位置計算部4は、GPSレシーバ1から送られてくる自車位置信号から自車の現在位置および方位を計測する。なお、トンネルの中または周囲の建物などによって自車の上空が遮られている場合は、電波を受信できる衛星の数がゼロまたは少なくなって受信状態が悪くなり、GPSレシーバ1からの自車位置信号だけでは自車の現在位置および方位が計測できなくなり、計測できても精度が悪化する。このため、車速センサ2からの車速信号および方位センサ3からの方位信号を用いた自律航法を利用して、自車位置を計測し、GPSレシーバ1による計測を補う処理を実行する。
【0016】
位置計算部4で計測された自車の現在位置および方位は、上述したように、GPSレシーバ1の受信状態の悪化による計測精度の悪化、タイヤの摩耗による直径の変化、温度変化に起因する車速の誤差またはセンサ自体の精度に起因する誤差などといった様々な誤差を含んでいる。そこで、位置計算部4は、計測により得られた誤差を含んだ自車の現在位置および方位を、地図データベース5から読み出した地図データから取得した道路データを用いてマップマッチングを行うことにより修正する。この修正された自車の現在位置および方位は、自車位置方位データとしてナビゲーション制御部9に送られる。なお、以下に示す視界の情報を算出し、視界の情報と位置からの距離とから検索範囲を決定する場合を除き、自車位置データを送っても実現できる。
【0017】
地図データベース5は、道路の位置、道路の種別(例えば、高速道路、有料道路、一般道路および細街路などの種別)、道路に関する規制(例えば、速度制限または一方通行などの規制)または交差点近傍のレーン情報といった道路データを保持する道路データベース16と、案内対象物の位置情報、名称、ジャンルといった案内対象物データを保持する案内対象物データベース17から構成される。ここで道路の位置は、道路を複数のノードとノード間を直線で結ぶリンクとで表現される。また、ノードは、ノードの緯度および経度の情報を記録することにより表現されている。例えば、あるノードに3つ以上のリンクが接続されている場合は、そのノードの位置で複数の道路が交わっていることを表している。この地図データベース5に保持されているデータは、上述したように位置計算部4によって読み出される他、ナビゲーション制御部9によって読み出される。
【0018】
入力操作部6は、リモートコントローラ、タッチパネルまたは音声認識装置など入力装置の少なくとも1つから構成される。入力装置は、ユーザである運転者または同乗者が、操作によって、目的地を入力したり、ナビゲーション装置が提供する情報を選択したりするのに使用される。この入力操作部6の操作によって発生されたデータは、操作データとしてナビゲーション制御部9に送られる。
【0019】
ナビゲーション制御部9は、入力操作部6から入力された目的地までの誘導経路の計算、誘導経路と自車の現在位置および方位とに応じた案内情報の生成、自車位置周辺の地図と自車位置を示す自車マークを合成した案内図の生成などナビゲーション装置が有する自車周辺の地図を表示する機能、および、自車を目的地に誘導するための機能などを提供するためのデータ処理を行う他、自車位置、目的地または誘導経路に関連する交通情報、観光地、飲食店または物販店などの情報の検索、入力操作部6から入力された条件にマッチした施設の検索などの一般的なカーナビゲーション装置のデータ処理を実行する。
【0020】
また、ナビゲーション制御部9は、地図データベース5から読み出した地図データに基づき地図を生成する。このナビゲーション制御部9の詳細は後述する。ナビゲーション制御部9における種々の処理によって生成された表示データは、表示部10に送られる。
【0021】
表示部10は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)などの表示装置から構成されており、ナビゲーション制御部9から送られてくる表示データにしたがって、地図やメニュー画面などを表示装置の画面に表示する。
【0022】
次に、ナビゲーション制御部9の詳細を説明する。ナビゲーション制御部9は、入力操作部6からの操作データを元に目的地を設定する目的地設定部11、上記目的地のデータを受取り、位置計測部4からの自車位置および方位データと地図データベース5から読み出した地図データとを用いて、目的地までの誘導経路を計算する経路計算部12、案内表示生成部13、表示決定部15および道路隣接判断部18を備えている。なお、図1においては、図面の煩雑さを避けるために、上記複数の構成要素間の接続の一部を省略しているが、省略した部分については、以下において出現する都度説明する。
【0023】
目的地設定部11は、入力操作部6から送られてくる操作データにしたがって目的地を設定する。この目的地設定部11で設定された目的地は、目的地データとして経路計算部12に送られる。経路計算部12は、目的地設定部11から送られてくる目的地データ、位置計算部4から送られてくる自車位置方位データ、および、地図データベース5から読み出した地図データを用いて、目的地までの誘導経路を計算する。この経路計算部12で計算された誘導経路は、誘導経路データとして表示決定部15に送られる。
【0024】
案内表示生成部13は、表示決定部15からの指示に応じて、従来のカーナビゲーション装置で用いられている地図による案内図(以下、「地図案内図」という。)を生成する。この案内表示生成部13で生成される地図案内図には、平面地図、交差点拡大図、高速略図などといったナビゲーション装置で用いられる様々な案内図が含まれる。また、地図案内図は、平面地図に限定されず、3次元CGを用いた案内図または平面地図を俯瞰する案内図であってもよい。なお、地図案内図を作成する技術は周知であるので、ここでは詳細な説明は省略する。この案内表示生成部13で生成された地図案内図は、地図案内図データとして表示決定部15に送られる。
【0025】
表示決定部15は、上述したように、案内表示生成部13に対して地図案内図の生成を指示する。また、表示決定部15は、位置計算部4から送られてくる自車位置方位データ、地図データベース5から読み出した自車周辺の地図データ、および、入力操作部6から送られてくる操作データに基づき、受け取ったデータの一部あるいは全てを用いて表示部10の画面に表示する内容を決定する。
【0026】
例えば、表示するパターンをユーザに提示し、提示したパターンの中からユーザが所望の表示パターンを選択する。表示パターンは、たとえば2次元地図を用いた案内、3次元(3D)の施設表示を用いた案内などがある。このとき、操作データは、2次元地図の縮尺、3次元の施設表示の描画視点の高さなど表示パターンに応じた設定情報を含む。さらに、操作データは、表示パターンを選択した結果の情報を含む。また、表示決定部15は、操作データに含まれるユーザが選択した表示パターンに対応する予め定めた表示内容を決定する。また、例えば、車両が交差点の400m以内に存在しており、かつ交差点との距離が短くなっている場合には、ユーザがいかなる操作を行っていても強制的に交差点拡大案内図を表示する、といった一部のデータ(この例では操作データ)を用いない構成であっても良い。この表示決定部15において決定された表示内容に対応するデータ、つまり、案内表示生成部13から送られてくる地図案内図データは、表示データとして表示部10に送られる。
【0027】
これにより、表示部10には、例えば、車両が交差点に近づいた場合には交差点拡大図が表示され、入力操作部6のメニューボタンが押されている場合はメニューが表示される。
【0028】
ここで、道路とは、移動体が通行するための通路を意味する。道路データとは、道路をデータ化したものであり、例えば、地図座標系で道路形状を表現したものである。本発明では特に道路データベース16に格納されているデータを指す。また、道路ネットワークとは、道路をデータ化する際のデータ格納方式であり、道路を点(ノード)と、点間を結ぶ線(リンク)で構成された網状のデータとして扱う方式である。道路ネットワークの点は、通常は交差点を意味するが、一本道のカーブのような直線上でない道路の場合には、道路の形状を再現できるように交差点以外の地点をノードとしても良い。
【0029】
道路隣接判断部18は、位置計算部4から取得する車両の現在位置方位と地図データベース5から読み出した自車周辺の道路ネットワークを用いて、案内表示生成部13から送られてくる案内対象物データが道路に面しているかどうかを判断する。ここで、道路データベース16に格納されている全ての道路に対して、道路に面しているかどうかを判断する代わりに、判断する対象の道路は、位置計算部4から取得する車両の現在位置方位と地図データベース5から読み出した自車周辺の道路ネットワークを用いて求めた道路として、案内対象物が対象道路に面しているかを判断しても良い。使用する道路の選別方法としては、位置情報を用いて自車周辺500m以内の全ての道路とする方法や、位置情報またはこれと方位情報を用いて自車500m以内かつ自車の進行方向の左右45度の扇形の内部の道路のみを対象としても良い。または、自車位置から自車周辺100m以内の道路リンクに下ろした垂線の長さが最も短い道路のみを用いるといったように、自車が走行中の道路を計算して計算結果の道路のみを用いても良い。この計算方法はマップマッチング手法として広く知られているものであるため、ここでは詳細は割愛する。この道路隣接判断部18が判断した結果は、案内表示生成部13に送られる。
【0030】
次に、本発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置の動作を説明する。このナビゲーション装置では、自車の移動に応じて、自車周辺の地図に自車位置を示す図形(自車マーク)を組み合わせた地図案内図としての自車周辺地図を生成し、これらを表示部10に表示する。以下では、地図案内図としての自車周辺地図を生成する処理を、図2に示すフローチャートを参照しながら説明する。この地図生成処理は、主として案内表示生成部13と道路隣接判断部18で実行される。
【0031】
地図生成処理は、まず、表示地図種別を取得する(ステップST101)。具体的には、案内表示生成部13が、表示決定部15から現在生成すべき地図案内図の種類に関する情報を取得する。ここで、地図案内図の種類は、前述したように、平面地図、交差点拡大図、高速略図などといったナビゲーション装置で用いられる様々な案内図が存在する。また、地図案内図は、平面地図に限定されず、3次元CGを用いた案内図または平面地図を俯瞰する案内図であってもよい。
【0032】
次に、地図生成処理は、自車位置方位を取得する(ステップST102)。具体的には、案内表示生成部13が、位置計算部4から自車位置方位データを取得する。
【0033】
次に、地図生成処理は、道路データの取得する範囲を決定する(ステップST103)。具体的には、案内表示生成部13が、例えば、自車を中心とする半径1000mの円形、または、自車から前方500m、左右100mの矩形といった範囲を、道路データを収集する範囲と定める。ここで、道路データを取得する範囲は、平面地図であれば自車を中心に半径5000[m]、交差点拡大図であれば自車を中心に半径100[m]といったように、ステップST101で取得した地図案内図の種類に応じて変化させても良い。また、地図案内図の縮尺が一定でない場合には、画面全体をカバーするように縮尺に応じて道路データ取得する範囲を拡大させるといったように取得範囲を変化させても良い。さらに、道路データを収集する範囲は、ナビゲーション装置の製作者が予め定めるように構成できるし、ユーザが任意に設定するように構成することもできる。
【0034】
次に、地図生成処理は、自車位置周辺の道路データを収集する(ステップST104)。具体的には、案内表示生成部13が、地図データベース5から、ステップST103で定めた範囲内の道路データを収集する。
【0035】
次に、地図生成処理は、道路データを描画する(ステップST105)。具体的には、案内表示生成部13が、ステップST104で取得した道路データを描画する。
【0036】
次に、地図生成処理は、道路データを取得する範囲を決定する(ステップST106)。具体的には、案内表示生成部13が、例えば、自車を中心とする半径1000mの円形、または自車から前方500m、左右100mの矩形といった範囲を、案内対象物を収集する範囲と定める。ここで、案内対象物を取得する範囲は、平面地図であれば自車を中心に半径5000[m]、交差点拡大図であれば自車を中心に半径100[m]といったように、ステップST101で取得した地図案内図の種類に応じて変化させても良い。また、地図案内図の縮尺が一定でない場合には、画面全体をカバーするように取得する範囲を拡大させるといったように取得範囲を変化させても良い。さらに、案内対象物を収集する範囲は、ナビゲーション装置の製作者が予め定めるように構成できるし、ユーザが任意に設定するように構成することもできる。
【0037】
次に、地図生成処理は、収集する案内対象物の種類を決定する(ステップST107)。具体的には、案内表示生成部13が、ステップST101で取得した地図案内図の種類に応じて収集する案内対象物の種類を変化させる。例えば、あらかじめ定めた図3に示す表に基づき、案内対象物の種類を変化させることができる。ここで図3は、平面図、交差点拡大図、高速略図などの地図案内図の種類と、各地図案内図の種類で収集する案内対象物の種類を示す表である。なお、案内対象物の種類は、ナビゲーション装置の製作者が予め定めるように構成できる。また、ユーザが任意に設定するように構成することもできる。
【0038】
次に、地図生成処理は、案内対象物を収集する(ステップST108)。具体的には、案内表示生成部13が、地図データベース5から、ステップST106で定めた範囲内に存在する、ステップST107で定めた種類の案内対象物を収集する。
【0039】
次に、地図生成処理は、案内対象物のチェックが終了したかどうかを調べる(ステップST110)。具体的には、ステップST108で収集した案内対象物の全てが、道路に隣接しているかどうかをチェックされたかどうかを調べる。チェックが終了している場合には、ステップST113に遷移する。チェックが終了していない場合には、未チェックの案内対象物から1つが選択される(ステップST110)。
【0040】
次に、地図生成処理は、案内対象物が道路に隣接しているかどうかを調べる(ステップST111)。この処理は、道路隣接判断部18が、実行する。この処理の詳細については後に詳しく述べる。案内対象物が道路に隣接している場合には、何も実行せずにステップST109に遷移する。道路に隣接していない場合には、ST109でチェックしている案内対象物のグループから該当する案内対象物を取り除く(ST112)。
【0041】
以上により、ステップST109の処理で全ての案内対象物のチェックが終了した場合には、案内対象物の描画が行われる(ステップST113)。
【0042】
図4は、本実施の形態の地図生成処理のステップST111で行われる道路隣接判断処理(図2参照)の詳細を示すフローチャートである。この道路隣接判断処理は、道路隣接判断部18で実行される。
【0043】
まず、道路隣接判断部18は、画像表示生成部13から、案内対象物データを送信される(ステップST201)。すなわち、道路隣接処理部18は、画像表示生成部13が送信した案内対象物データを受け取る。
【0044】
次に、ステップST202は、隣接を判断するために使用される道路を選択する。具体的には、道路隣接判断部18は、ステップST201で地図データベース5から取得した道路データの中から、自車の進行方向と同じ向きに伸びる道路を選択し、隣接判断に使用する道路として用いる。なお、この処理は、後に詳しく説明する。
【0045】
次に、ステップST203は、案内対象物の矩形を決定する。具体的には、道路隣接判断部18は、案内対象物データから案内対象物の底面矩形を決定する。なお、この処理は、後に詳しく説明する。
【0046】
次に、ステップST204は、道路と矩形を比較して、道路に面しているかどうかを判断する。具体的には、道路隣接判断部18は、ステップST202で選択した道路の道路データが表現する形状と、ステップST203で決定した案内対象物の底面矩形とが、重なるかどうかを判断して、案内対象物が、道路に面しているかどうかを判断する。ここでの判断は、道路データと底面矩形の一部が重なる場合、案内対象物が道路に面していると判断し、それ以外の場合には面していないと判断する。ここで、道路データと底面矩形が重なるかどうかの判断には外縁を含める方法と含めない方法が考えられるが、ナビゲーション開発者があらかじめ設計しておいても良いし、ユーザが事前に選択するようにしておいても良い。
【0047】
次に、ステップST205は、道路隣接判断処理の結果を通知する。具体的には、道路隣接判断部18は、案内表示生成部13へ、ステップST201で受信した案内対象物が道路に面しているかどうかを送信する。
【0048】
図5は、道路隣接判断処理のステップST202で行われる道路データ選択処理(図4参照)の詳細を示すフローチャートである。この道路データ選択処理は、道路隣接判断部18で実行される。
【0049】
まず、ステップST301は、自車の位置方位情報および自車周辺の道路データを取得する。具体的には、道路隣接判断部18が、位置計算部4から自車位置方位データを取得するとともに、地図データベース5から自車位置周辺の道路データを取得する。
【0050】
次に、ステップST302は、調査データの初期化を行う。具体的には、これから調査する対象の道路データのリストを記憶する未調査道路データに、ステップST301で取得した道路データを格納する。また、調査した結果、隣接判断処理する対象の道路データのリストを記憶する隣接判断処理用道路データを空にする。なお、未調査道路データと隣接判断処理用道路データとは、道路隣接判断部18の内部に設けられている。
【0051】
次に、ステップST303は、未調査道路データが存在するかどうかが調べる。すなわち、このステップST303において、未調査道路データが空でなければ、道路データが1つ選択される(ステップST304)。ステップST303で未調査道路データが空であれば、ステップST309に処理が移る。
【0052】
次に、ステップST305は、道路データが、エリア内に存在するかどうかを判定する。具体的には、ステップST304で選択された道路データが、自車周辺の所定のエリア内に存在するかどうかを判定する。道路データが、エリア内に存在するかどうかは、道路上の任意の点のデータのすべてがエリアに含まれることを基準としても良いし、一部でも含まれる場合や、ナビゲーション装置開発者あるいはユーザが定めた50%などの数値のように長さあるいはノードの個数が一定以上含まれることを基準としても良い。このエリアは、例えば、自車を中心とした半径100[m]以内の円内や、自車前方50[m]・後方10[m]・左右10[m]の矩形、といったように、ナビゲーション装置製作者あるいはユーザが定める。道路データが表す道路形状がエリア内に存在した場合には、ステップST306に処理が移り、存在しなかった場合には、ステップST308に処理が移る。ここで、地図表示縮尺(詳細度)に応じて自動的に範囲が拡大・縮尺しても良い。例えば、縮尺を1/nとすると、最終的な範囲=(n÷10000)×元の範囲、とすれば良い。ここで、範囲とは半径や矩形の長さなどを指す。
【0053】
次に、ステップST306は、自車の方位と道路データの角度とを比較する。具体的には、ステップST301で取得された自車の方位と、ステップST304で選択された道路データの方位とを比較し、方位の差が所定範囲以内であるかどうかを判定する。一定以内と判断する方位の差は、例えば10度以内といったように、ナビゲーション装置製作者またはユーザが定める。または、例えば速度を時速nキロのとき、方位の差の上限をn+5度とするように、速度にあわせて変化させても良い。所定範囲以内の場合には、ステップST307に処理を移し、所定範囲より大きい場合には、ステップST308に処理を移す。
【0054】
次に、ステップST307は、隣接判断処理用道路データを更新する。具体的には、隣接判断処理用道路データに、ステップST404で選択された道路データを追加する。
【0055】
次に、ステップST308は、未調査道路データを更新する。具体的には、未調査道路データから、ステップST304で選択された道路データを削除する。ここで、ステップST305・ステップST306・ステップST307から、このステップST308に到達できるが、到達前のステップに関わらず同じ処理を行う。その後ステップST303に戻る。
【0056】
ステップST303で未調査道路データが空だと判定された場合には、ステップST309に処理を移す。ステップST309は、記録された隣接判断処理用道路データを通知する。通知された隣接判断用道路データは、図4のステップST202に入力されて書路される。
【0057】
図6は、上述した道路隣接判断処理(図4参照)のステップST203で行われる矩形決定処理の詳細を示すフローチャートである。以下、この図を参照しながら説明する。なお、道路データ選択処理は、道路隣接判断部18で実行される。
【0058】
まず、ステップST401は、案内対象物データに矩形情報が含まれているかどうかを判定する。案内対象物データに矩形情報が含まれている場合には、当該矩形情報をそのまま使用する(ステップST402)。
【0059】
一方、案内対象物データに矩形情報が含まれていない場合には、ステップST403にて、駅やホテルなどの案内対象物のジャンルを示すジャンル情報が含まれているかどうかが判定される。ジャンル情報が含まれている場合には、ジャンル別の案内対象物の大きさを表す表を利用して、ジャンルに応じた大きさを求めて、上記矩形情報の替わりに大きさに応じた領域の情報を作成して利用することもできる。上記ジャンル別の案内対象物の大きさを表す表として、例えば、図7に示すような「駅」、「ホテル」、「コンビニ」の案内対象物のジャンルに対して、それぞれ、半径「100」、「50」、「10」〔m〕が設定された表が考えられる。この例では、ジャンルに応じた半径を持つ円形を矩形として使用する(ステップST404)。なお、ここでは矩形として円形を用いる例を挙げたが、多角形の使用や、ジャンルごとに形を変化させても良い。また、図7の表に関しても、ナビゲーション装置製作者が用意するだけでなく、ユーザが変更できるように構成しても良い。
【0060】
以上のように、この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置によれば、任意の案内対象物がユーザから見えているかどうかの判定を、道路に面しているかどうかの判定で代用することにより、少ない計算量で、ユーザから見えている案内対象物を案内することができる。
【0061】
案内対象物がユーザから見えているかどうかの判定は、ナビゲーション装置に撮影装置を取り付け、撮影した映像を特徴点抽出法などの画像解析手法を用いて解析し、地図データと照合して映像中に映っているものを特定する方法が考えられる。しかし、一般には、画像解析手法を実行する際には多大な計算量が必要となるため、ナビゲーション装置のような計算機リソースが限られた環境で実行することは困難である。また、撮影画像を画像処理するので、地図データとの照合精度、誤認識が問題となる。
【0062】
また、ユーザから見えているかどうかの判定をせずに、すべての案内対象物を表示すると、ユーザから見えない案内対象物まで表示するので、情報が多すぎて判別しにくくなる問題もある。さらに、表示対象に入るすべての案内対象物を表示すると、表示処理自体に時間を要し、単位時間当たりに表示できるフレーム数(フレームレート)が低くなる問題がある。
【0063】
そこで、本実施の形態のナビゲーション装置によれば、地図データ上で道路に面している案内対象物の情報を表示画面に表示するから、ユーザから現実に見えない案内対象物は表示されず、必要な表示がされて見やすい、または分かりやすいという効果がある。ここで、見やすい理由は、ユーザから現実には見えない案内対象物が表示されず、表示されている案内対象物は、現実にユーザが視覚にて認識できるからである。
【0064】
また、本実施の形態のナビゲーション装置によれば、表示すべき案内対象物の決定のための地図データ上で道路に面している案内対象物の判定は、地図データ上の幾何学的関係の処理であるので、計算量が少なくて済む。このため、少ない計算量で、ユーザから見えている案内対象物を案内することができる効果がある。また、計算量が少ない結果、フレームレートが高くできる効果もある。
【0065】
なお、上記では、道路に面していない案内対象物を表示しないという構成としたが、道路に面している案内対象物の案内を太字で表示し、面していない案内対象物を細字で表示するといったように、道路に面している案内対象物を強調して表示するようにナビゲーション装置を構成しても良い。また道路に面している案内対象物と面していない案内対象物との表示色または表示属性を異ならせるといったように、区別して表示するようにナビゲーション装置を構成しても良い。上記のように構成することによって、ユーザから見えていないが(道路に面していないが)、近くに存在する案内対象物をもユーザが認識できる効果がある。ユーザから見えないが近くに存在する案内対象物に興味があれば、寄り道をして立ち寄るなどの選択をすることが可能となる。
【0066】
実施の形態2.
本実施の形態は、実施の形態1の構成に加え、道路隣接判断部18の検索範囲を決定する検索範囲決定部を備えることによって、状況に応じて見えないことが明らかな案内対象物を道路隣接判断部18の判断対象からはずして、処理を高速化する効果を有する。なお、上記実施の形態と同じ処理部は、実施の形態1と同じ符号を付している。
【0067】
図8は、本実施の形態のナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。本実施の形態のナビゲーション装置の構成は、実施の形態1と同様に、地図データベース5と、位置計算部4と、入力操作部6と、地図データベース5を用いて案内表示を生成するナビゲーション制御部9と、上記案内表示を表示する表示部10を備える。
【0068】
ナビゲーション制御部9は、入力操作部6からの操作データを元に目的地を設定する目的地設定部11、上経路計算部12、案内表示生成部13、表示決定部15、道路隣接判断部18および道路隣接判断部18で用いる隣接判断処理用道路を決定する検索範囲決定部19を備える。上記実施の形態1との違いは、検索範囲決定部19が追加され、道路隣接判断部18の機能が一部変更されていることであり、この点以外は、図1に示した実施の形態1に係るナビゲーション装置の構成と同じである。
【0069】
検索範囲決定部19は、地図データベース5から道路データを取得し、現在走行中の道路形状・道路の傾斜・トンネルの有無・高架道路などの交差道路の有無、といった車両の周囲の道路状況を用いて、道路隣接判断部18が図5のステップST32で選択する隣接判断処理用道路データの取得範囲を変化させる。
【0070】
次に、本実施の形態のナビゲーション装置の動作を説明する。このナビゲーション装置の動作は、隣接判断処理に使用する道路を選択する処理(図6参照)を除き、実施の形態1に係るナビゲーション装置の動作と同じである。以下、図9に示すフローチャートおよび図10に示す表を参照して、隣接判断処理の詳細を説明する。なお、実施の形態1に係るナビゲーション装置の隣接判断処理(図5参照)と同じ処理を行うステップには、実施の形態1で使用した符号と同じ符号を付する。
【0071】
図9は、隣接判断処理部18における隣接を判断する道路を選択する処理(図4のステップST202)の一例を示すフローチャートである。また、図10は、隣接判断処理部18における道路データを選別するエリアを決定する処理(図9のステップST501)の一例を示す表である。
【0072】
図9において、ステップST301〜ST309は、実施の形態1と同様である。ステップST501は、ステップST303にて未調査道路データが存在しない場合、隣接判断用道路データを選択する処理で、検索範囲決定部19から検索範囲を取得する。具体的には、ステップST501は、図10に示す表を用いて検索範囲を定める。図10は、左側の「絞込み条件」に当てはまる場合に、右側の「検索範囲」にある範囲を検索範囲と定める。たとえば、「現在走行中の道路が下り」であれば、「現在走行中の道路の傾斜の1[度]ごとに前方の範囲を5[m]狭める。後方の道路データをたどり、下りの道路のみ範囲内とする(上る道路が接続されていると以降は範囲外)。」を検索範囲とする。
【0073】
次に、ステップST502は、隣接処理用道路データの選別を行う。具体的には、ステップST501で取得した検索範囲の中に存在しない道路データを隣接判断用道路データから取り除く。その後、ステップST309は、隣接判断用道路データの通知を行う。
【0074】
なお、上記のステップST501では、図10に示す表を用いて道路状況に応じて検索範囲を変化させることを述べた。このように検索範囲を変化させる原因は道路状況だけでなく、例えば図11に示す表のように、明るさ・昼夜・天候といった周囲の環境、すなわち移動体の周囲の明るさに関係する環境情報に応じて変化させても良い。
【0075】
図11の1段目は、移動体の周囲の明るさによって、検索範囲を変化させるものである。図11の1段目は、周囲の明るさが、n〔ルクス〕であれば、自車を中心とする径100×n/50000[m]の円内を検索範囲とすることを意味し、この情報が、環境情報記憶部に記憶されている。上記式は、一例であり、一般に、周囲の明るさが明るいほど、検索範囲を広く設定する。ステップST501は、周囲の明るさを計測して、計測した明るさ(n〔ルクス〕)に上記検索範囲を求める情報から、自車を中心とする径100×n/50000[m]の円内を検索範囲とする。そして当該検索範囲内に存在する道路データを選別する(ステップST502)。
【0076】
図11の2段目、3段目は、昼夜などの時間帯によって、検索範囲を変化させるものである。図11の2段目は、時刻が、日の出時刻〜日没時刻の場合には、自車を中心とした半径200[m]の円内を検索範囲とすることを意味し、この情報が、環境情報記憶部に記憶されている。図11の3段目は、時刻が、日没時刻〜日の出時刻の場合には、自車を中心とした半径50[m]の円内を検索範囲とすることを意味し、この情報が、環境情報記憶部に記憶されている。ステップST501は、現在時刻が、どちらに入るかによって、検索範囲を決める。そして当該検索範囲内に存在する道路データを選別する(ステップST502)。
【0077】
図11の4段目、5段目は、天候によって、検索範囲を変化させるものである。図11の5段目は、天候が曇りの場合には、自車を中心とした半径100[m]の円内を検索範囲とすることを意味し、この情報が、環境情報記憶部に記憶されている。図11の5段目は、天候が雨の場合には、自車を中心とした半径50[m]の円内を検索範囲とすることを意味し、この情報が、環境情報記憶部に記憶されている。ステップST501は、現在の天候の情報を天気サイトから入手し、上記環境情報記憶部の情報に照らして、入手した天候の情報に対応する検索範囲を求める。そして当該検索範囲内に存在する道路データを選別する(ステップST502)。なお、天候の情報は、周囲の明るさの直近10分の平均が、所定値以下の場合に曇りとし、外部に設けた水センサにより水を検知した場合に、雨と判断するようにしても良い。
【0078】
また、上記昼夜などの時間帯、および天候から移動体周囲の明るさn〔ルクス〕を推測して、推測した明るさに対して、図11の1段目の条件式を適用して、検索範囲を求めるように構成しても良い。例えば、時刻が、日没時刻〜日の出時刻の場合は、最低の明るさとし、正午が最高の明るさで、日の出時刻〜日没時刻の間は、その間を正弦波で滑らかに変化させるようにすることができる。また、こうして求めた明るさに、天候が曇りであれば、0.7、雨であれば、0.5をかけて最終的な明るさを求めても良い。こうして求めた明るさ(n〔ルクス〕)に上記図11の1段目の式を適用して検索範囲を求めることもできる。
【0079】
また、移動体の周囲の明るさに関係する環境情報およびこの環境情報と明るさとの関係を環境情報記憶部に記憶しても良い。ここで、移動体周囲の明るさに関係する環境情報として、晴れ、曇り、雨の天候の情報、昼夜などの時刻情報がある。この場合、検索範囲決定部19は、前記環境情報から上記環境情報と明るさとの関係から、明るさを求めることができる。求めた明るさが明るいほど、検索範囲を広げ、求めた明るさが暗いほど、検索範囲を狭めるように構成しても良い。例えば、上記求めた明るさをn〔ルクス〕として、図11の1段目の式を適用して、検索範囲を求めることができる。このように構成すると、移動体の周囲の明るさを局所的な明るさを測るセンサで求めた明るさを用いると、建物の影に入ったときに暗いと判断されるところ、環境情報から明るさを推測することによって、局所的でなく、移動体周囲の平均的な明るさで検索範囲を決めることができる。
【0080】
また、図10と図11を組み合わせて同時に使用するといった構成にしても良い。例えば、図11で求めた検索範囲と図10で求めた検索範囲の中間の検索範囲を求めるようにしても良い。また、道路状況に応じて図10で求めた検索範囲に、移動体の周囲の明るさに関係する環境情報に応じて変化させることもできる。
【0081】
以上のように、本実施の形態のナビゲーション装置によれば、状況に応じて隣接を判断する範囲を限定することで、最初から見えないことが分かっている不要な案内対象物に対する道路隣接判定を行わなくて良くなり、処理の高速化でき、フレームレートを上げて滑らかに見せる効果がある。また、最初から見えないことが分かっている不要な案内対象物に対する道路隣接判定を行わなくて良くなり、見えない案内表示を表示しないことに対する精度を高めることができる。
【0082】
また、本実施の形態のナビゲーション装置によれば、検索範囲決定部19が、道路状況に応じて隣接処理用道路データの検索範囲を求めるので、道路に面する案内対象物があっても、当該案内対象物が見えないことが分かっている道路の隣接判定を行わなくて良くなり、処理の高速化でき、フレームレートを上げて滑らかに見せる効果がある。
【0083】
また、本実施の形態のナビゲーション装置によれば、検索範囲決定部19が、移動体の周囲の明るさに関係する環境情報に応じて、隣接処理用道路データの検索範囲を求めるので、道路に面する案内対象物があっても、当該案内対象物が見えないことが分かっている道路の隣接判定を行わなくて良くなり、処理の高速化でき、フレームレートを上げて滑らかに見せる効果がある。
【0084】
実施の形態3.
本実施の形態は、実施の形態1の構成に加え、カメラ、映像取得部および映像合成処理部を備えることによって、実写映像に案内対象のコンテンツ情報を重畳して表示し、実写映像を用いて案内する場合にも、比較的少ない計算量で処理できる効果がある。
【0085】
図12は、この発明の実施の形態3に係るナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。本実施の形態のナビゲーション装置の構成は、実施の形態1と同様に、地図データベース5、位置計算部4、入力操作部6、ナビゲーション制御部9と、表示部10を備える。本実施の形態のナビゲーション装置は、実施の形態1の構成に加え、自車の周囲の映像を撮影するカメラ22、カメラ22の映像を取得する映像取得部20を備え、ナビゲーション制御部9には、映像取得部20からの映像とナビゲーション制御部9で作成した表示内容とを合成する映像合成処理部21が追加されている。その他は、表示決定部15と道路隣接判断部18の機能が一部変更されていることを除き、実施の形態1に示した構成と同じである。
【0086】
カメラ22は、自車の前方を撮影するカメラまたは周囲全体を含む幅広い方向を一度に撮影できるカメラなどの少なくとも1つから構成されており、自車の進行方向を含む自車近傍を撮影する。このカメラ22で撮影することにより得られた映像信号は、映像取得部8に送られる。
【0087】
映像取得部20は、カメラ22から送られてくる映像信号を、計算機で処理可能なデジタル信号に変換する。この映像取得部20における変換により得られたデジタル信号は、映像データとしてナビゲーション制御部9に送られる。
【0088】
映像合成処理部21は、表示決定部15からの指示に応じて、映像取得部20から送付された実写映像に情報を付加する映像を重畳させた案内図(以下、「実写案内図」という)を生成する。例えば、映像合成処理部21は、
(1)地図データベース5から読み出した地図データから、自車周辺に存在する道路ネットワーク、ランドマークまたは交差点などの案内対象物の情報を取得し、
(2)取得した案内対象物のうちから、道路隣接判断部18で道路に面していると判断した案内対象物を抽出し、
(3)上記で抽出した案内対象物の形状または内容などを説明するための図形、文字列またはイメージなどのコンテンツ情報を作成し、
(4)映像取得部20から送られた実写映像上の周辺物(案内対象物)の周辺に、などを説明するための図形、文字列またはイメージなど(以下、「コンテンツ」という)を重ね合わせた実写コンテンツ合成映像を生成する。
上記処理を行う映像合成処理部21によって生成された実写コンテンツ合成映像は、実写案内図データとして表示決定部15に送られる。
【0089】
表示決定部15は、上述のように、操作データに基づいて、案内表示生成部13に対して地図案内図の生成を指示するとともに、映像合成処理部21に対して実写案内図の生成を指示する。具体例を説明すると、操作データが、案内表示および実写表示のオンおよびオフの表示モード情報を持つとする。すると、案内表示がオンであれば、表示決定部15は、表示生成部13に対して地図案内図の生成を指示する。また、実写表示がオンであれば、映像合成処理部21に対して、実写案内図の生成を指示する。
【0090】
また、表示決定部15は、実施の形態1の説明で述べたように、位置計算部4から送られる自車位置方位データ、地図データベース5から読み出した自車周辺の地図データ、および入力操作部6から送られてくる操作データに基づき、受け取ったデータの一部または全てを用いて、表示部10の画面に表示する内容を決定する。この際、表示する案内として地図案内図だけでなく実写案内図を用いても良い。例えば、自車と交差点の距離が200〜400mの時には地図案内図を用い、距離が200m以下の時には実写案内図を用いる。あるいはユーザの設定に応じて2次元地図を用いた地図案内図、3次元の施設表示を用いた地図案内図、実写案内図、2次元地図を用いた地図案内図と実写案内図をそれぞれ画面の左半分と右半分に合成した案内、などの表示を切り替えても良い。表示決定部15は、案内表示生成部13から送られた地図案内図データ、および映像合成処理部21から送られた実写案内図データの両方または片方を決定された表示内容に応じて、表示データとして表示部10に送る。
【0091】
道路隣接判断部18は、車両位置計算部4から取得する車両の現在位置方位と地図データベース5から読み出した自車周辺の道路ネットワークを用いて、実施の形態1で述べた道路隣接判断部18と同様の判断を行って、案内表示生成部13あるいは映像合成処理部21から送られる案内対象物データが道路に面しているかどうかを判断する。この道路隣接判断部18が判断した結果は、案内表示生成部13あるいは映像合成処理部21に送られる。
【0092】
次に、本発明の実施の形態のナビゲーション装置の動作を説明する。このナビゲーション装置の動作は、実写案内図を作成する処理を除き、実施の形態1のナビゲーション装置の動作と同じである。以下では、実写案内図としてのコンテンツ合成映像を生成する処理を、図13に示すフローチャートを参照しながら説明する。このコンテンツ合成映像作成処理は、主として映像合成処理部21で実行される。なお、実施の形態1のナビゲーション装置の地図案内図生成処理(図3参照)と同じ処理を行うステップには、実施の形態1で使用した符号と同じ符号を付して説明を省略する。
【0093】
コンテンツ合成映像作成処理において、表示地図種別、自社位置方位を取得するとともに、ステップST601は、映像が取得する。具体的には、映像合成処理部21が、その時点で映像取得部20において生成された映像データを該映像取得部20から取得する。
【0094】
次に、上述したステップST109で、収集されたすべての案内対象物に対して道路隣接チェックが行われた後に、ステップST602は、残った道路に隣接すると判断された案内対象物に関するコンテンツを生成する。具体的には、映像合成処理部21は、図14に示す表などを用いて案内対象物からコンテンツ情報を生成する。
【0095】
ここで、コンテンツ情報には、例えば、ユーザに右左折を指示して目的地へ誘導したい場合には、交差点の名称文字列、交差点の座標、経路誘導矢印の座標などが含まれる。また、自車周辺の有名なランドマークを案内したい場合には、そのランドマークの名称文字列、ランドマークの座標、ランドマークに関する歴史または見所、営業時間などといったランドマークに関する情報の文字列または写真などが含まれる。
【0096】
なお、コンテンツ情報は、上述した以外に、自車周辺の道路ネットワークの個々の座標と各道路の一方通行または進入禁止などといった交通規制情報、車線数などの情報といった地図情報そのものであってもよい。また、コンテンツ情報の座標値は、例えば、緯度および経度のように、地上で一意に決定される座標系(以下、「基準座標系」という)で与えられる。
【0097】
このステップST602の処理によって、ユーザに提示したいコンテンツと、その総数aが確定する。
【0098】
次に、ステップST603は、コンテンツ総数aを取得する。具体的には、映像合成処理部21は、ステップST602で生成したコンテンツの総数aを取得する。次に、ステップST604は、カウンタの内容iを初期化する。具体的には、合成済みコンテンツ数をカウントするためのカウンタの内容iが「1」に設定される。なお、カウンタは、映像合成処理部21の内部に設けられている。
【0099】
次に、ステップST605は、全てのコンテンツ情報の合成処理が終了したかどうかを調べる。具体的には、映像合成処理部21は、カウンタの内容である合成済みコンテンツ数iが、ステップST603で取得したコンテンツ総数a以上になったかどうかを調べる。このステップST605において、全てのコンテンツ情報の合成処理が終了していない、合成済みコンテンツ数iがコンテンツ総数a未満であることが判断されると、ステップST606は、i番目のコンテンツ情報を取得する。すなわち、映像合成処理部21は、ステップST602で生成したコンテンツ情報のうちのi番目のコンテンツ情報を取得する。
【0100】
次に、ステップST607は、透視変換によるコンテンツ情報の映像上の位置を計算する。具体的には、映像合成処理部21は、ステップST102で取得した自車位置方位(基準座標系における自車の位置方位)、カメラ22の自車を基準にした座標系における位置方位、および、あらかじめ取得しておいた画角および焦点距離といったカメラ22の固有値を使用し、ステップST606で取得したコンテンツ情報を表示すべき基準座標系における映像上の位置を計算する。この計算は、透視変換と言われる座標変換計算と同じである。
【0101】
次に、ステップST608は、映像合成処理を行う。具体的には、映像合成処理部21は、ステップST601で取得した映像上の、ステップST607で計算された位置に、ステップST606で取得したコンテンツ情報によって示される図形、文字列またはイメージなどといったコンテンツを合成する。
【0102】
次に、ステップST609は、カウンタの内容iをインクリメントする。具体的には、映像合成処理部21は、カウンタの内容iを1インクリメント(+1)する。その後、シーケンスはステップST605に戻り、上述した処理が繰り返される。
【0103】
上記ステップST605において、全てのコンテンツ情報の合成処理が終了した、つまり合成済みコンテンツ数iがコンテンツ総数a以上になったことが判断されると、コンテンツ合成映像作成処理は終了する。
【0104】
以上説明したように、本実施の形態のナビゲーション装置によれば、車載カメラでリアルタイムに撮影した実写映像を用いて案内を行うナビゲーション装置において、任意の案内対象物が映像に映っているかどうかの判定を、道路に面しているかどうかの判定で代用することにより、比較的少ない計算量で、映像に映っている案内対象物のみを案内することができる。
【0105】
実施の形態4
本実施の形態は、実施の形態3の構成に加え、映像合成処理部21がコンテンツの表示位置を移動する処理を行うことによって、案内対象物の実写映像とコンテンツ表示とが重なることを避けることができるものである。
【0106】
この発明の実施の形態4に係るナビゲーション装置の構成は、映像合成処理部21の機能が一部変更されていることを除き、図12に示した実施の形態3のナビゲーション装置の構成と同じである。
【0107】
次に、本発明の実施の形態のナビゲーション装置の動作を説明する。このナビゲーション装置の動作は、実施の形態3のナビゲーション装置に加え、実写案内図を作成するときに、コンテンツの表示位置を、コンテンツが存在する位置から道路脇にずらす処理を行う点が異なる。この点を除けば、実施の形態3に係るナビゲーション装置の動作と同じである。
【0108】
図15は、本実施の形態のナビゲーション装置の映像合成処理部21のフローチャートである。また、図16は、映像合成処理部21のコンテンツ位置の移動処理の説明図である。以下では、図15に示すフローチャートおよび図16に示す説明図を参照しながら、実写案内図としてのコンテンツ合成映像を生成する処理を説明する。
【0109】
このコンテンツ合成映像作成処理は、主として映像合成処理部21で実行される。なお、実施の形態3のナビゲーション装置のコンテンツ合成映像生成処理(図13参照)と同じ処理を行うステップには、実施の形態3で使用した符号と同じ符号を付して説明する。
【0110】
上述したステップST607でi番目のコンテンツ情報が取得された後に、ステップST701は、該コンテンツ情報の最寄の道路を検索する。具体的には、コンテンツ合成映像生成処理部21は、ステップST606で取得したコンテンツから各道路データに下ろした垂線の長さが、最も短い道路データを検索する。
【0111】
次に、ステップST702は、コンテンツの表示位置を移動する。具体的には、コンテンツ合成映像生成処理部21は、ステップST606で取得したコンテンツの表示位置を、図16(a)に示すようにステップST701で求めた道路データが存在する位置にずらす。
【0112】
このとき、道路データが幅情報を持つときには、図16(b)に示すように、ずらす位置を道路データの幅の位置に設定しても良い。さらに、道路データが幅情報と併走する歩道(あるいは路側帯)の幅情報を持つときに、図16(c)に示すように、ずらす位置を、歩道の幅も含めた位置にずらしても良い。
【0113】
図17は、ステップST702でコンテンツの表示位置をずらした表示結果の一例である。図17(a)は、案内位置を変更する前、図17(b)は、案内位置を道路わきに表示した場合、図17(c)は、案内位置を歩道脇に変更した場合の例を示している。いずれも灰色の建物が案内対象物である。
【0114】
案内対象物の中心位置に、コンテンツ情報を表示すると、図17(a)のように該案内対象物の手前に存在するビルなどの上にコンテンツ情報が重なって表示されることがある。このため、図17(b)のように道路脇に案内(コンテンツ情報の表示)をずらす(移動する)ことによって、コンテンツ情報が他の施設の映像に重ならなくなる。
【0115】
また、図17のように道路脇に歩道や路側帯が存在しており、道路データがそれらの情報を持つ場合には、図17(c)のように歩道や路側帯を考慮して、歩道や路側帯の幅の分だけ移動するようにずらす位置を決定しても良い。さらに、図17(b)(c)のように、コンテンツ情報の表示位置をずらした場合に、案内対象物が存在位置を示す矢印などの絵や文字などを追加しても良い。
【0116】
以上のように、本実施の形態のナビゲーション装置によれば、道路に面している案内対象物を案内する際に、手前に存在する他のビルなどと重ならない映像が得られる。また、案内対象物が道路から内側に入り込んだ位置に存在するような、直接見えない場合であっても、案内している対象をユーザが取り違えないといった効果が得られる。
【符号の説明】
【0117】
1 GPSレシーバ、2 車速センサ、3 方位センサ、4 位置計算部、5 地図データベース、6 入力操作部、9 ナビゲーション制御部、10 表示部、11 目的地設定部、12 経路計算部、13 案内表示生成部、16 道路データベース、17 案内対象物データベース、18 道路隣接判断部、19 検索範囲決定部、20 映像取得部、21 映像合成処理部、22 カメラ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図上の道路の情報を保持する道路データベースと、
前記地図上の案内対象物の位置および案内情報を保持する案内対象物データベースと、
本装置が取付けられた移動体の位置を求める位置計算部と、
前記道路の情報、前記位置および前記案内対象物の位置の情報から幾何学的に前記案内対象物が道路に面しているか否かを判断する道路隣接判断部と、
道路に面していると判断された前記案内対象物と道路に面していないと判断された前記案内対象物とを区別して表示する画像を生成する案内表示生成部と、
前記画像を表示する表示部とを備えたナビゲーション装置。
【請求項2】
道路隣接判断部は、道路の情報ならびに位置から移動体が存在する前記道路を判断の対象とすることを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
道路データベースの各道路は、道路の種別を表す属性情報を有し、
位置方位計算部は、移動体の向きを表す方位を計測し、
前記道路の前記属性情報、位置および方位から視界の情報を算出し、前記視界の情報と前記位置からの距離とから検索範囲を決定する検索範囲決定部を備え、
道路隣接判断部は、前記検索範囲の範囲内に存在する案内対象物を判断の対象とすることを特徴とする請求項1または2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
道路データベースの各道路は、道路の種別を表す属性情報を有し、
位置方位計算部は、移動体の向きを表す方位を計測し、
前記道路の前記属性情報、位置および方位から視界の情報を算出し、前記視界の情報と前記位置からの距離とから検索範囲を決定する検索範囲決定部を備え、
道路隣接判断部は、前記検索範囲の範囲内に存在する前記道路を判断の対象とすることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
案内対象物データベースの案内情報は、案内対象物の底面図形の情報を含み、
道路隣接判断部は、前記案内対象物の前記案内情報の底面図形の情報の底面図形と対象道路の形状とが重なる場合に、道路に面していると判断することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
検索範囲決定部は、移動体の周囲の明るさに関係する環境情報に応じて検索範囲を求めることを特徴とする請求項3または4に記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
本体の外部の映像を取得する映像取得部と、
案内表示生成部で生成した画像を前記映像の上に合成する映像合成処理部とを備え、
前記案内表示生成部は、前記映像取得部の映像取得する視界からの3次元表示の映像を生成し、
表示部は、前記映像合成処理部で合成した映像を表示することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項8】
映像合成処理部は、案内対象物と道路とが接する地図上の位置に案内情報を表示することを特徴とする請求項7に記載のナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−33574(P2011−33574A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−182475(P2009−182475)
【出願日】平成21年8月5日(2009.8.5)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】