説明

ナビゲーション装置

【課題】提示された案内経路の中に回避したい道路が含まれる場合など、経路変更を予定する際の変更ポイントとなり得る道路分岐点を、トレース等の所定操作をしなくても、案内経路の表示と共に視覚的に把握することができるようにしたナビゲーション装置を提供すること。
【解決手段】経路探索手段により探索された案内経路中の道路分岐点のうち、案内経路の方向と異なる方向にも進行可能な道路分岐点を特定分岐点として抽出する特定分岐点抽出手段を設け、前記案内経路表示手段には、前記特定分岐点と、それ以外の非特定分岐点とを区別しつつ前記案内経路と共に特定分岐点をモニター上に表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、指定された目的地までの案内経路を表示するナビゲーション装置に関し、特に、案内経路中の道路分岐点のうち、案内経路の方向と異なる方向にも進行可能な道路分岐点を視覚的にわかりやすく表示するようにしたナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、地図データ、道路データを用いて、所望の出発地から目的地までの経路を探索して案内経路をユーザに提示するナビゲーション装置が知られている。例えば、自動車に搭載されて運転者を目的地まで誘導案内するカーナビゲーション装置や、携帯端末を利用して経路探索サーバに経路探索要求を送り、その結果を受信して目的地に至るまでの誘導案内を受けられる通信型のナビゲーション装置がすでに実用化されている。
【0003】
最近のナビゲーション装置では、道路交通情報を取得して道路の渋滞状況を表示する機能も提供されており、ユーザは探索された案内経路の渋滞状況を知ることができる。このような機能を有するナビゲーション装置においては、探索した案内経路を走行中に現在位置より先の経路部分に渋滞が発生し、予定した所要時間よりも時間がかかるということが予想された場合に、現在位置から当初の目的地までの新たな経路(迂回経路)を探索してユーザに案内するように構成されたものも知られている。
【0004】
このように、ユーザは、これから走行しようとする案内経路に渋滞があることを知った場合には、案内経路とは異なる他の経路を利用したいという欲求を持つことがある。また、渋滞の有無によらず、案内経路を外れて飲食店やショッピングモールなどに立ち寄りたいという欲求を持つこともある。そのような場合に、所望の地点において案内経路を変更できると便利である。
【0005】
そこで、これらナビゲーション装置の中には、案内経路が表示されるモニターがタッチパネル式になっており、ユーザが、モニター上に表示された案内経路上の道路分岐点を起点とする案内経路とは異なる方向に延びる道路を指でなぞる(トレースする)ことにより、トレースされた経路を辿るように案内経路を部分的に変更可能とした案内経路編集機能を有するナビゲーション装置も提案されている(例えば特許文献1(特開2006−200979号公報)参照)。
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に示されるナビゲーション装置では、必ずしもトレースされた道路を通過するように案内経路が編集されない場合がある。これは、トレースされた道路が案内経路上の道路分岐点から延びる道路であったとしても、それが一方通行で進入不可能であったり、時間帯により通行不可能であったり等の交通規制により、案内経路としての選択に自ずと制約がかかるためである。しかも、特許文献1に示されるナビゲーション装置では、全てのトレース作業を完了させたうえで案内経路編集機能を実行させて初めて経路変更ができないことが明らかとなるので、トレースを含む一連の編集作業を繰り返さなければならない場合があるといった問題がある。
【0007】
このような問題をできるだけ解消するために、例えば、下記の特許文献2(特開2006−308311号公報)には、案内経路の編集の際に、トレースされた道路が通行不可能である場合には、その道路をトレースした直後にその旨をユーザに通知するようにした技術が開示されている。
【0008】
すなわち、特許文献2に開示されたナビゲーション装置は、道路地図を表示する表示モニタと、表示モニタに表示される道路地図上の押圧位置を検出する押圧位置検出手段と、表示モニタに表示される道路のリンク情報およびノード情報を記憶する記憶手段と、押圧位置に対応する対応リンクを抽出する対応リンク抽出手段と、対応リンクに隣接する隣接リンクを抽出する隣接リンク抽出手段と、隣接リンクに関する通行規制情報に基づいて、対応リンクから隣接リンクへ車両が進入できるか否か判断する進入判断手段と、進入判断手段によって対応リンクから隣接リンクへ進入できない場合は、隣接リンクの通行規制情報を文字もしくは記号もしくは音声により出力する通行規制情報出力手段と、から構成されたものである。
【0009】
従って、ユーザが通行できない区間を指でなぞって通過を希望する経路を指定したとき、表示モニタには通行止めの道路標識である通行規制マークが表示され、経路を指定することのできない理由である通行規制情報が通行規制マークからの吹き出しで表示される。また、スピーカから、「通行止めがあります」と、道路をなぞっても経路を指定することのできない理由が出力され、ユーザは改めて他の希望経路を指定するようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006−200979号公報(段落0076〜0120、図6等)
【特許文献2】特開2006−308311号公報(段落0020〜0030、図3、図5、図6等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記特許文献2に示されるナビゲーション装置にあっても、なお、実際に所望の道路をトレースするまでは、その道路が変更経路として選択可能か否かを判別することができない。このため、変更可能な道路分岐点が見つかるまで何度もトレース作業を繰り返すといった手間がかかってしまう場合があるという問題が残存している。
【0012】
本願の発明者は上記の問題点を解消すべく種々検討を重ねた結果、ナビゲーション装置により探索された案内経路中の道路分岐点のうち、案内経路の方向とは異なる方向へ進行可能な道路分岐点を特定分岐点として抽出し、特定分岐点とそれ以外の非特定分岐点とを区別しつつ案内経路と共に特定分岐点をモニター上に表示するようになせば上記問題点を解消し得ることに想到して本発明を完成するに至ったものである。
【0013】
すなわち、本発明は、上記の問題点を解消することを課題とし、提示された案内経路の中に回避したい道路が含まれる場合など、経路変更を行う際の変更ポイントとなり得る道路分岐点を、トレース等の所定操作をしなくても、案内経路の表示と共に視覚的に把握することができるようにしたナビゲーション装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記課題を解決するために、本願の請求項1にかかるナビゲーション装置は、出発地または現在位置から目的地までの経路を表示手段に表示する制御手段を備えたナビゲーション装置において、前記ナビゲーション装置は、地図データを記憶する地図記憶手段と、入力手段と、を備え、前記制御手段は、前記経路上の道路分岐点のうち、案内経路の方向と異なる方向にも進行可能な道路分岐点を特定分岐点として抽出し、当該特定分岐点の表示態様と、当該特定分岐点以外の非特定分岐点の表示態様とを、異なる表示態様とし、前記表示手段に前記経路を表示することを特徴とする。
【0015】
また、本願の請求項2にかかるナビゲーション装置は、請求項1に記載のナビゲーション装置において、前記制御手段は、ユーザにより前記表示された経路上の特定分岐点を起点として前記経路の方向とは異なる方向に延びる道路が選択されると、前記経路を部分的に変更することを特徴とする。
【0016】
また、本願の請求項3に記載のナビゲーション装置は、請求項1又は2に記載のナビゲーション装置において、前記制御手段は、前記特定分岐点および/または前記非特定分岐点を視覚的特徴を有する表示態様で表示することにより、前記特定分岐点と前記非特定分岐点とを区別して表示することを特徴とする。
【0017】
また、本願の請求項4に記載のナビゲーション装置は、請求項1ないし3に記載のナビゲーション装置において、前記制御手段は、前記道路分岐点から前記経路の方向とは異なる方向に延びる道路についての交通規制情報を参照することにより、各道路分岐点が前記特定分岐点であるか否かを決定することを特徴とする。
【0018】
また、本願の請求項5に記載のナビゲーション装置は、請求項4に記載のナビゲーション装置において、前記交通規制情報が、通行可能方向、通行可能時間帯、通行可能車両区分のいずれか1つ以上の情報を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本願の請求項1に記載のナビゲーション装置によれば、経路から外れることのできる道路分岐点を視覚的に容易に判別できるので、提示された経路の中に回避したいルートが含まれる場合など、経路変更を予定する際の変更ポイントとなり得る道路分岐点を予め把握することができるようになる。
【0020】
本願の請求項2に記載のナビゲーション装置によれば、案内経路編集作業を実行するに際して、変更ポイントとして選択できるノードと変更ポイントとなり得ないノードとを視覚的に容易に判別できるので、案内経路編集作業をスムーズに行える。
【0021】
本願の請求項3に記載のナビゲーション装置によれば、経路上の特定分岐点および/または非特定分岐点が視覚的特徴を有する表示態様で表示されるので、特定分岐点と非特定分岐点とを一見して把握することができるようになる。
【0022】
本願の請求項4または請求項5に記載のナビゲーション装置によれば、例えば、通行可能方向、通行可能時間帯、通行可能車両区分といった交通規制情報を参照して特定分岐点であるか否かが決定されるので、交通規制情報に基づいてより適格に特定分岐点を判別することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態にかかるナビゲーション装置の要部構成を示すブロック図である。
【図2】案内経路が表示されたモニターの一例を示す図である。
【図3】案内経路上の道路分岐点(ノード)と、各ノードから延びる1又は2以上のリンクの関係を示す図である。
【図4】案内経路と、案内経路上の特定分岐点が表示されたモニターの一例を示す図である。
【図5】特定分岐点抽出処理の詳細を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の具体例を実施例及び図面を用いて詳細に説明する。但し、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化したナビゲーション装置の一例であって、本発明をこのナビゲーション装置にのみ限定することを意図するものではない。本発明は、特許請求の範囲に含まれる限りにおいて、例えば誘導案内機能を持たずにパソコン等を通じて候補経路の提示のみを行うナビゲーション装置や経路編集機能を具備しないカーナビ等、他の全てのナビゲーション装置に適用し得るものである。
【実施例】
【0025】
図1は、本発明の実施形態にかかるナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。本実施形態にかかるナビゲーション装置1は、図1に示すように、制御部10、現在位置検出部11、入力部12、表示部13、地図データ記憶部14、音声報知部15及び通信部16を具備してなる。
【0026】
制御部10は、CPU(図示せず)およびRAM/ROM(図示せず)からなるプロセッサで構成され、RAM、ROMに記録された制御プログラムにしたがってナビゲーション装置1の各部の動作を制御するものである。そして、主要動作として、現在位置検出部11により検出される現在位置または入力部12を介して指定された出発地から、入力部12を介して指定された目的地までの案内経路を、地図データ記憶部14に格納された地図データを参照して探索する案内経路探索処理を行い、探索された案内経路に基づいて目的地までの誘導案内処理を実行する。更に、本発明の要部となる「特定分岐点抽出処理」を実行する。特定分岐点抽出処理の詳細は後に図5のフローチャートを用いて詳細に説明する。
【0027】
現在位置検出部11は、地球上空を周回している複数のGPS衛星から電波を受信するGPS受信機等で構成される。現在位置検出部11には、自立航法装置として、距離センサーや、方位センサーなども含まれている。
【0028】
なお、上記GPS衛星から受信される電波には、日付および時刻情報も含まれているため、現在位置検出部11は、現在日時を検出することも可能である。
【0029】
入力部12は、ナビゲーション装置における操作入力や出発地、目的地の入力を行うための各種スイッチなどから構成される。
【0030】
表示部13は、地図画像や案内経路画像を表示してユーザが視認できるようにするためのマンマシンインターフェースとしての役割を担うものであり、例えば液晶ディスプレイなどのモニターをハードウェアとして構成される。本実施形態では、この表示部13のモニターには、タッチセンサーが具備されて入力部12の一部も担っている。例えば、モニター上に表示されるアイコンをユーザが触れることで選択入力が行われ、また、特定分岐点から所望の道路を指でトレースすることで、案内経路を編集する案内経路編集処理を実行することもできる。なお、案内経路編集処理については、上記特許文献1や特許文献2において示されるような周知技術が適用可能であり、これについての詳細説明は省略する。
【0031】
なお、以下の実施例において表示部13としてタッチセンサーが具備されたモニターを使用した例を示すものとし、モニターに触れることにより適宜の選択入力が行われる構成であるものとして記載する。
【0032】
地図データ記憶部14には、所定の経度および緯度で区切った複数の矩形形状のメッシュデータの他、交差点やT字路などの道路分岐点の結節点や屈曲点をノードとするノードデータと、それぞれのノード間を結ぶ道路をリンクとしたリンクデータとを含む地図データが格納されている。より詳細には道路分岐点(結節点、屈曲点)の位置をノードとし、各ノードを結ぶ道路をリンクとしている。
【0033】
ノードデータには、ノード番号、ノード位置座標、そのノードへの接続リンク本数、ノードが交差点である場合には交差点名称などが含まれるほか、交差点等の案内地点に対応する案内ポイントおよび右折や左折、直進などを案内する誘導案内用のデータが含まれる。また、リンクデータには、全てのリンクについてのコスト情報(距離、走行所要時間)と交通規制情報(通行可能方向、通行可能時間帯、通行可能車両区分)とが含まれている。更に、リンクデータには起点および終点となるノード番号、道路種別、車線数、車道幅の他、リンク属性として橋、トンネル、踏切、料金所などのデータが付与される。なおここでいう道路種別とは、高速道路や有料道路、および国道や都道府県道などの種別を含む情報である。
【0034】
制御部10は、この地図データ記憶部14の地図データを参照して、出発点から目的地に至るノードとリンクを順次探索し、リンクのコストが最小となるノード、リンクを辿る経路を案内経路として特定する案内経路探索処理を行い、モニターや音声報知部15を介してかかる案内経路を経由する目的地までユーザを誘導案内する。なお、このような案内経路探索処理の手法としてはラベル確定法あるいはダイクストラ法と言われる公知の手法を用いることができる。
【0035】
更に、地図データ記憶部14には、施設位置・施設形状・施設名称等の施設データや、海岸線、湖沼、河川形状などの水系データ、行政境界データ、背景データが格納されている。これら情報は、モニター上にアイコンや文字で適宜表示される。
【0036】
音声報知部15は、操作ガイドや誘導案内時の音声案内等、ナビゲーション装置1における各種音声報知を行うものでありスピーカー等をハードウェアとして構成される。
【0037】
通信部16は、無線通信受信機などで構成され、通行止めや、進入禁止などの交通規制情報を取得する。この交通規制情報は例えば、VICS(登録商標)情報などであり、以下の説明ではこの交通規制情報はVICS情報であるものとして記載する。
【0038】
そして、制御部10により、取得した通行止めや、進入禁止、渋滞情報などのVICS情報が地図データ記憶部14に格納された地図データに対応付けられてRAMなどに記憶される。また、VICS情報以外にも、所定通信ネットワークを介して所定サーバと接続し、最新の地図データを通信部16を介して取得することができる構成としても良く、取得した最新の地図データは、地図データ記憶部14に格納された地図データを更新するのに使用される。
【0039】
次に、本発明の要部となる「特定分岐点抽出処理」(図5参照)の手順に従って案内経路表示上に特定分岐点が表示されるまでの様子を、図2ないし図4に基づいて説明する。
【0040】
図2は、現在位置(図2中左下に示される「START」地点)からユーザが指定した目的地(図2中右上に示される「GOAL」地点)までの案内経路が案内経路探索処理により探索され、探索された案内経路がモニターに表示された様子を示す図である。なお、同図中の矢印(→)は一方通行の道路を示している。また、同図では省略されているが、モニター上には、案内経路の他、施設情報等の各種参照情報が表示される。
【0041】
図2に示されるように、モニター上左上に表示されている「編集」アイコンを押下(タッチ)すると、制御部10は、図3に示されるように、地図データ記憶部14に格納されたノードデータ及びリンクデータを参照して現在地から目的地までの案内経路上の全てのノード(N1〜N14)と各ノードから延びる全てのリンク(L1〜L31)を抽出する。尚、図3はその際の処理の概略を視覚的に現したものであり、実際にこの映像がモニターに表示されるものではない。
【0042】
そして、制御部10は、案内経路上の全てのノード(N1〜N14)のうち、案内経路の方向と異なる方向にも進行可能なノードを特定分岐点として抽出する。なお、この際には、リンクデータの内の交通規制情報やRAMに記憶されたVICS情報などが参照される。
【0043】
ここで、案内経路の方向とは、探索された案内経路に含まれるリンクであり、例えば、ノードN4に着目して例示すると、リンクL7とリンクL9が案内経路の方向となる。そして、ノード4に接続されるリンクL7,L8,L9の内、案内経路L7,L9の方向とは異なる方向のリンクL8が存在した場合に、リンクデータ内の交通規制情報やRAMに記憶されたVICS情報などを参照し、当該ノードN4から当該リンクL8に進入可能であれば、案内経路の方向と異なる方向にも進行可能と判定する。
【0044】
具体的には、ノードN1には、案内経路の方向と異なる方向に延びる進入可能なリンクL1とL2が分岐接続されているのでノードN1は特定分岐点と認定される。同様にして、ノードN4には案内経路の方向と異なる方向に延びる進入可能なリンクL8が分岐接続されており、ノードN5には案内経路の方向と異なる方向に延びる進入可能なリンクL10,L11が分岐接続されており、ノードN6には案内経路の方向と異なる方向に延びる進入可能なリンクL14が分岐接続されている。
【0045】
同様に、ノードN7には案内経路の方向と異なる方向に延びる進入可能なリンクL15が分岐接続されており、ノードN10には案内経路の方向と異なる方向に延びる進入可能なリンクL22が分岐接続されており、ノードN11には案内経路の方向と異なる方向に延びる進入可能なリンクL23,L24が分岐接続されており、ノードN13には案内経路の方向と異なる方向に延びる進入可能なリンクL28が接続されており、ノードN14には案内経路の方向と異なる方向に延びる進入可能なL30が接続されている。
【0046】
そして、これらノードN1,N4,N5,N6,N7,N10,N11,N13,N14は特定分岐点として認定され、図4に示されるように、案内経路中に、‘丸囲み’の表示態様で表示される。一方、道路分岐点から案内経路の方向と異なる方向に延びる別のリンクがあっても、それら1又は2以上の別のリンクが、リンクデータとして予め格納された交通規制情報や通信部16を介して取得したVICS情報から車両通行止めや進入禁止、通行不可能時間帯であることが判別されると、案内経路の方向と別方向には進行不可能な非特定分岐点と判定される。図3に示した例ではノードN2,N3,N8,N9,N12が非特定分岐点に該当し、図4に明らかであるように、ノードN2,N3,N8,N9,N12には特徴的な表示は何もなされていない。このように特定分岐点と非特定分岐点とを、前者を特定のマークで表示し、後者を非表示あるいは、前者とは異なるマークで表示するなど、それぞれ異なる表示態様とすることで、容易に特定分岐点を識別することができる。
【0047】
図4を参照しつつ、案内経路編集処理の一例を説明する。例えば、ユーザがモニター上に特徴的に表示された特定分岐点N6から案内経路の方向と異なる方向に延びる道路L14を指でトレースした場合、N6からL14を通り目的地に至る案内経路が再度探索され、例えば、図4に示される例ではノードN15→N16→N17→N18→N19→N20→N21→N22を経由する新たな案内経路に書き換え表示される(図示省略)。このように、特定分岐点が予め把握できるようになされていることによって、経路編集や経路変更にかかるユーザの手間が大幅に削減されることとなる。
【0048】
次に、図5のフローチャートを用いて本発明のナビゲーション装置の制御部10における特定分岐点抽出処理の内容を詳細に説明する。
【0049】
図2の左上に示したモニター上の「編集」アイコンが押下されるまでは特定分岐点抽出処理の実行は待機状態にある(ステップS1,NO)。「編集」アイコンの押下が検出されると(ステップS1,YES)、特定分岐点抽出処理の実行が開始され、まず、案内経路中の最初のノード(出発点に最も近いノード。例えば図3で示した例ではノードN1)が抽出され(ステップS2)、この抽出されたノードに接続された案内経路の方向と別のリンク(図3で示した例ではリンクL1,L2)があるか否かを判定する(ステップS3、ステップS4)。
【0050】
ここで、案内経路の方向と別の方向に延びるリンクがある場合には(ステップS4,YES)、それら1又は2以上のリンクが、そのノードから進入可能か否かを、リンクデータの交通規制情報およびVICS情報を参照して判別する(ステップS5)。そして、そのノードから進入可能な案内経路の方向と別の方向に延びるリンクが1つ以上あると(ステップS5,YES)、そのノードが特定分岐点と判定され、例えば、制御部10内のRAMに格納される(ステップS6)。
【0051】
上述の特定分岐点抽出処理は、案内経路上の全てのノード(図3で示した例ではN1〜N14)の全てについて行われる(ステップS7NO→ステップS1〜S6)。そして、案内経路中の全てのノードについての判別が終了すると(ステップS7,YES)、例えば図4に示したように、案内経路と、特定分岐点とがモニター上に表示され(ステップS9)、特定分岐点抽出処理を終了する。
【0052】
以上の説明により明らかなように、本実施形態のナビゲーション装置によれば、案内経路中の道路分岐点のうち、案内経路の方向と異なる方向へ進行可能な道路分岐点を視覚的にわかりやすく表示されるので、提示された案内経路の中に回避したい道路が含まれる場合など、経路変更を行う際の変更ポイントとなり得る道路分岐点を、トレース等の所定操作をしなくても、案内経路の表示と共に視覚的に把握することができ、ナビゲーション装置としての利便性の向上が図られる。
【0053】
なお、上記実施の形態では、特定分岐点を丸囲みで特徴的に表示し、非特定分岐点には何のマークも表示しないようにし、それぞれの表示態様を異ならせることで容易に特定分岐点を識別できるようにしたが、特徴的表示の態様はこれに限定されるものではなく、例えば特定分岐点を点滅させるあるいは、特定の色や形状のマーク、あるいは高輝度で表示するなど、種々の視覚的特徴を有する表示態様を適用することができる。特に、点滅表示や断続的に輝度変化をさせたり、マーク形状を変化させたり、動的に変化する表示態様を適用すると更に特定分岐点を識別し易くなる。
【0054】
また、上記実施例では、道路分岐点から案内経路の方向と異なる方向に延びる別のリンクがあっても、地図データ記憶手段にリンクデータとして予め格納された交通規制情報や通信部16を介して取得したVICS情報から当該リンクが車両通行止めや進入禁止、通行不可能時間帯であることを判別した場合には、非特定分岐点としたが、これに限ることはなく、例えば、当該リンクが通常では案内経路に用いないリンクであったり、リンクデータに含まれる車道幅を参照し、車道幅が著しく狭い場合なども、非特定分岐点と判定するようにしてもよい。
【0055】
さらに、道路分岐点から案内経路の方向と異なる方向に延びる別のリンクがあった場合に、当該リンクが通行不可能時間帯により通行不能か否かの判別をするようにしても良い。具体的には、例えば、リンクデータに含まれる走行所要時間と案内経路に基づき、当該ノードに到達する予想到達時間を算出し、算出した予想到達時間と通行不可能時間帯とを比較することにより、通行不能か否かを判定するようにできる。
【符号の説明】
【0056】
1 ナビゲーション装置
10 制御部
11 現在位置検出部
12 入力部
13 表示部
14 地図データ記憶部
15 音声報知部
16 通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出発地または現在位置から目的地までの経路を表示手段に表示する制御手段を備えたナビゲーション装置において、
前記ナビゲーション装置は、地図データを記憶する地図記憶手段と、入力手段と、を備え、
前記制御手段は、前記経路上の道路分岐点のうち、案内経路の方向と異なる方向にも進行可能な道路分岐点を特定分岐点として抽出し、当該特定分岐点の表示態様と、当該特定分岐点以外の非特定分岐点の表示態様とを、異なる表示態様とし、前記表示手段に前記経路を表示することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記制御手段は、ユーザにより前記表示された経路上の特定分岐点を起点として前記経路の方向とは異なる方向に延びる道路が選択されると、前記経路を部分的に変更することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記特定分岐点および/または前記非特定分岐点を視覚的特徴を有する表示態様で表示することにより、前記特定分岐点と前記非特定分岐点とを区別して表示することを特徴とする請求項1又は2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記道路分岐点から前記経路の方向とは異なる方向に延びる道路についての交通規制情報を参照することにより、各道路分岐点が前記特定分岐点であるか否かを決定することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のナビゲーショ装置。
【請求項5】
前記交通規制情報が、通行可能方向、通行可能時間帯、通行可能車両区分のいずれか1つ以上の情報を含むことを特徴とする請求項4に記載のナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−43456(P2011−43456A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−192964(P2009−192964)
【出願日】平成21年8月24日(2009.8.24)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】